(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074700
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ストッパー装置付きスライドレール
(51)【国際特許分類】
A47B 88/473 20170101AFI20240524BHJP
A47B 88/49 20170101ALI20240524BHJP
【FI】
A47B88/473
A47B88/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186030
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】390002255
【氏名又は名称】日本アキュライド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】門下 卓也
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA05
3B160AA11
3B160AA12
3B160AB41
3B160EA03
3B160EA14
3B160EB75
3B160EB76
(57)【要約】
【課題】 本発明は、簡単な構成のストッパー装置付きスライドレールを提供することを課題とする。
【解決手段】
固定側メンバーと、中間メンバーと、移動側メンバー等からなるスライドレールであって、最大伸長状態の引き出し量と、最大伸長より短い引き出し量に2段階で選択可能とし、移動側メンバーが途中位置で停止させるストッパー装置により短い引き出し量を可能とし、ストッパー部材が、着脱可能に構成されているストッパー装置付きスライドレールにおいて、ストッパー部を、スライドレールの中間メンバーの基板に、固定側メンバー側、移動側メンバー側方向に貫通して設けられた挿入孔に、挿入孔の固定側メンバー側より挿入し、挿入孔の移動側メンバー側に突出するように取り付け、ストッパー部のスライド時の軌跡が、移動側メンバーの基板における、スライド方向と直行するとともに基板と平行となる方向における基板の中心より外れた位置となる構成とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側メンバーと、該固定側メンバーにスライド可能に嵌挿された中間メンバーと、固定側メンバーの中間メンバーを挟んだ対向側に設けられた移動側メンバー等からなるスライドレールであって、引き出し量を、最大伸長状態の引き出し量と、最大伸長より短い引き出し量に少なくとも2段階で選択可能とし、移動側メンバーが最大伸長状態となるまでの途中位置で停止させるストッパー装置によりスライドレールの前記最大伸長より短い引き出し量を可能とし、該ストッパー装置に備えられたストッパー部材が、中間メンバーに着脱可能に構成されているストッパー装置付きスライドレールにおいて、ストッパー部材は、少なくともストッパー部を有し、ストッパー部が、スライドレールの中間メンバーの基板に、固定側メンバー側、移動側メンバー側方向に貫通して設けられた挿入孔に、挿入孔の固定側メンバー側より挿入され、挿入孔の移動側メンバー側に突出するように取り付けられるとともに、ストッパー部のスライド時の軌跡が、移動側メンバーの基板における、スライド方向と直行するとともに基板と平行となる方向における基板の中心より外れた位置となっていることを特徴とするストッパー装置付きスライドレール。
【請求項2】
固定側メンバーと、該固定側メンバーにスライド可能に嵌挿された中間メンバーと、固定側メンバーの中間メンバーを挟んだ対向側に設けられた移動側メンバー等からなるスライドレールであって、引き出し量を、最大伸長状態の引き出し量と、最大伸長より短い引き出し量に少なくとも2段階で選択可能とし、移動側メンバーが最大伸長状態となるまでの途中位置で停止させるストッパー装置によりスライドレールの前記最大伸長より短い引き出し量を可能とし、該ストッパー装置に備えられたストッパー部材が、中間メンバーに着脱可能に構成されているストッパー装置付きスライドレールにおいて、ストッパー部材は、少なくともストッパー部を有し、ストッパー部が、スライドレールの中間メンバーの基板に設けられた挿入孔に、挿入孔の固定側メンバー側より挿入され、挿入孔の移動側メンバー側に突出するように取り付けられ、ストッパー部材は、少なくともストッパー部と、スライドレールのメンバー部材の基板の一方面に当接または近接する回転防止部を有することを特徴とするストッパー装置付きスライドレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に物品を直線移動させるスライドレールに用いられ、スライドレールの伸長過程で伸長を停止させることが可能なストッパー装置付きスライドレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ストッパー装置付きスライドレールとして数々のものが提供されており、その代表的なものとして、先行技術文献1(特許文献1)に示されるように、スライドレールの伸長途中でストッパー装置を働かせ、スライドレールの伸長を途中で停止させることや、ストッパー装置を解除して、スライドレールをさらに伸長させる機能のものがある。
しかしながら、スライドレールの上下の中心付近でストッパー装置が形成されており、通常スライドレールを物品に取り付けるためのネジ位置もスライドレールの上下の中心付近となるため、ストッパー装置とネジとの位置関係の設定が難しいといった問題がある。
また、スライドレールで移動させる物品の重量が重い場合、ストッパー装置に大きな負荷がかかるが、ねじにレール部材を直接当てるものは、ネジ加工部が変形してねじが外れなくなるといった問題がある。
また、板バネ状のストッパーのものは、強い衝撃に耐えられないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡単な構成のストッパー装置の有無を選択可能なストッパー装置付きスライドレールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
固定側メンバーと、該固定側メンバーにスライド可能に嵌挿された中間メンバーと、固定側メンバーの中間メンバーを挟んだ対向側に設けられた移動側メンバー等からなるスライドレールであって、引き出し量を、最大伸長状態の引き出し量と、最大伸長より短い引き出し量に少なくとも2段階で選択可能とし、移動側メンバーが最大伸長状態となるまでの途中位置で停止させるストッパー装置によりスライドレールの前記最大伸長より短い引き出し量を可能とし、該ストッパー装置に備えられたストッパー部材が、中間メンバーに着脱可能に構成されているストッパー装置付きスライドレールにおいて、ストッパー部を有したストッパー部材のストッパー部を、スライドレールの中間メンバーの基板に、固定側メンバー側、移動側メンバー側方向に貫通して設けられた挿入孔に、挿入孔の固定側メンバー側より挿入し、挿入孔の移動側メンバー側に突出するように取り付け、ストッパー部のスライド時の軌跡が、移動側メンバーの基板における、スライド方向と直行するとともに基板と平行となる方向における基板の中心より外れた位置となる構成とする。
【0006】
固定側メンバーと、該固定側メンバーにスライド可能に嵌挿された中間メンバーと、固定側メンバーの中間メンバーを挟んだ対向側に設けられた移動側メンバー等からなるスライドレールであって、引き出し量を、最大伸長状態の引き出し量と、最大伸長より短い引き出し量に少なくとも2段階で選択可能とし、移動側メンバーが最大伸長状態となるまでの途中位置で停止させるストッパー装置によりスライドレールの前記最大伸長より短い引き出し量を可能とし、該ストッパー装置に備えられたストッパー部材が、中間メンバーに着脱可能に構成されているストッパー装置付きスライドレールにおいて、ストッパー部を有したストッパー部材のストッパー部を、スライドレールの中間メンバーの基板に設けられた挿入孔に、挿入孔の固定側メンバー側より挿入し、挿入孔の移動側メンバー側に突出するように取り付け、ストッパー部材には、少なくともストッパー部と、スライドレールのメンバー部材の基板の一方面に当接または近接する回転防止部を有した構成とする。
【発明の効果】
【0007】
ストッパー部が、スライドレールのメンバー部材の基板に設けられた挿入孔に、挿入孔の一方側より挿入され、挿入孔の他方側に突出するように取り付けられるから、簡単な構成でスライドレール中心から外すことができるので、スライドレールと物品の取り付けネジの設定が容易になるばかりか、簡単な構成で、ストッパー部材の強度高めた上で着脱可能とすることが容易となる。
また、ストッパー部を、少なくともストッパー部と、スライドレールのメンバー部材の基板の一方面に当接または近接する回転防止部有した構成であるから、ストッパー部に大きな衝撃が加わると、回転防止部がメンバー部材の基板に接触し、基材と協働でストッパー部に加わる衝撃を受け止めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例1のストッパー装置が装着されたスライドレールの伸長状態の斜視
図1
【
図2】実施例1のストッパー装置が装着されたスライドレールの最収縮状態の斜視図
【
図3】実施例1のストッパー装置が装着されたスライドレールの分解斜視
図1
【
図4】実施例1のストッパー装置が装着されたスライドレールの分解斜視
図2
【
図6】実施例1のストッパー装置が外されたスライドレールの最大伸長状態の斜視図
【
図9】実施例2のストッパー装置が装着されたスライドレールの伸長状態の斜視図
【
図11】実施例2のストッパー装置が装着されたスライドレールの最収縮状態の斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
簡単な構成のストッパー装置付きスライドレールを実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0010】
実施例1のスライドレールの基本的構成を
図1~6に基づいて説明する。
尚、便宜的に、
図5における上下方向を上下方向と云い、左右方向を左右方向と云い、
図1における右下側を引き出し側または伸長側、左上側を引き込み側または収縮側と云う。
また、スライドレールの伸長、収縮の摺動方向をスライド方向と云う。
図1において、符号100は、スライドレールを示し、スライドレール100は、固定側メンバー1と、固定側メンバー1に対向して設けられた移動側メンバー2と、固定側メンバー1と移動側メンバー2間に嵌挿自在に設けられた中間メンバー3と、固定側メンバー1と中間メンバー3間に設けられた内側リテーナ4と、中間メンバー3と移動側メンバー2間に設けられた外側リテーナ5と、固定側メンバー1と中間メンバー3間で内側リテーナ4に回転自在に保持されたボール40・・・と、中間メンバー3と移動側メンバー2間で、外側リテーナ5に回転自在に保持されたボール50・・・より構成されている。
【0011】
固定側メンバー1は、帯状金属板の上下端部を内向き円弧状あるいはV字状に湾曲形成した内面前後方向に上下ボール案内溝11、11を有する上下折曲縁12、12と、基板10より断面略C字形に構成され、基板10の前端部には、中間メンバー3側に突出し形成された内側リテーナ4の前端部が当接する前端ストッパー13が形成され、基板10の後部には、基板10の後端部には、中間メンバー3側に突出し形成された中間メンバー3の後端部が当接する後端ストッパー131が形成されている。符号14・・・は固定部材への取り付け孔を示している。
【0012】
移動側メンバー2は、固定側メンバー1とほぼ同長で、内面前後方向に上下ボール案内溝21、21を有する上下折曲縁22、22と、基板20より、断面略C字形に構成され、基板20の前端部には、中間メンバー3側に突出して、外側リテーナ5の前端部に当接する前部ストッパー23が形成され、基板20の後端部には、中間メンバー3側に突出して、外側リテーナ5の後端部に当接する後端ストッパー231が形成されている。
符号24・・・は移動部材への取り付け孔を示している。
図5に示す符号201は、メンバーの補強材であって、用途(荷重)に合わせて各メンバー部材(例えば符号201A、301A)に適宜設けられる。
【0013】
中間メンバー3は、固定側メンバー1に嵌挿可能な大きさで、ほぼ同長に形成されている固定側インナーメンバー301と、移動側メンバー2に嵌挿可能な大きさで、ほぼ同長に形成されている移動側インナーメンバー302と、固定側インナーメンバー301と移動側インナーメンバー302を連結する連結材303で構成されている。
本実施例における固定側インナーメンバー301と移動側インナーメンバー302は同型である。
固定側インナーメンバー301(移動側インナーメンバー302)は、2つの帯状金属板の上下端部を外向き円弧状あるいはV字状に湾曲形成された外面前後方向にボール案内溝31、31(33、33)を有する上下折曲縁32、32(34、34)と、基板30、(30)より断面略C字形の2つのインナーメンバーを、板状の連結材303を間に挟んで基板30、30の背面側同士を固着するように断面ほぼ略I字形に形成されている。
【0014】
本実施例においては、スライドレールは上下方向に並列に並べられて使用される重荷重タイプであるから、移動側メンバー2、固定側メンバー1共に上下方向に並列に並べられている。そのため、これに対応して固定側インナーメンバー301、移動側インナーメンバー302ともに上下方向に並列に並べられることになるので、連結材303は、各インナーメンバーが上下方向に並列に並べられる大きさに設定されている。
また、固定側メンバー1、1は、固定側メンバー連結材101で連結されている。該固定側メンバー連結材101は設けなくてもスライドレールはスライド可能であるが、設置性などを考慮して設けている。
尚、スライドレールを上下方向に並べない各メンバーが一本のみのスライドレールの場合は、中間メンバー3は、連結材303を介さずに基板30、30の背面側同士を直接固着し断面ほぼ略I字形に形成される。
そして、符号62は、中間メンバー3の移動側メンバー2側の基板30に設けられた後述するストッパー部材60のストッパーネジ61の取付用螺孔を示している。
また、符号63は、固定側メンバー1の基板30から移動側メンバー2側基板30に向かって貫通して設けられたストッパー部材60を挿入する挿入孔を示している。
【0015】
符号311は、移動側メンバー2側の基板30の引き出し側(伸長側)で、基板30の一部を外側リテーナ5側に突出させた前ストッパーを示している。
そして、 符号64は、外側リテーナ5の基板51で、前ストッパー311対向して基板51のスライド方向のほぼ中央部を前ストッパー311側に切り起こして形成されたストッパー突起を示している。
符号312は、固定側メンバー1側の基板30の引き込み側(収縮側)で、基板30の一部を内側リテーナ4側に突出させた後ストッパーを示している。
そして、 符号43は、内側リテーナ4の基板41で、後ストッパー312対向して基板41のスライド方向のほぼ中央部を後ストッパー312側に切り起こして形成されたストッパー突起を示している。
そして、符号6は、スライドレールが最大伸長状態となるまでの途中位置で停止させるストッパー装置を示し、ストッパー装置6は、着脱可能なストッパー部材60、ストッパー部材60を固定するストッパーネジ61、取付用螺孔62、ストッパー部材60と接触しスライドレールの伸長を停止させるストッパー突起64、64より構成されている。
【0016】
内側リテーナ4は、両メンバー1、2のほぼ半分程度の長さで、基板41と、基板41の上下端部を移動側メンバー2側に折り曲げて形成された上下突出縁42、42より断面略コ字形で、中間メンバー3の約半分弱の長さに形成にされ、上下突出縁42、42の前後方向に所定間隔を有して、複数個のボール40・・・を回転自在に保持している。外側リテーナ5は、両メンバー1、2のほぼ半分程度の長さで、内側リテーナ4に対向した同形で、基板51と上下突出縁52、52より断面略コ字形に形成され、上下突出縁52、52の前後方向に所定間隔を有して、複数個のボール50・・・を回転自在に保持している。
【0017】
固定側メンバー1と、移動側メンバー2と、中間メンバー3と、内側リテーナ4と、外側リテーナ5は、上記のように構成されており、固定側メンバー1と中間メンバー3と移動側メンバー2の全長が重合した状態(
図2に示す)が物品等が収納されたスライドレール100の最収縮状態である。
ストッパー装置6のストッパーが解除された状態(ストッパー部材が外された状態)のスライドレールの最収縮状態から移動側メンバー2を前方に引き出すと(移動側アウターメンバー2と連結された物品を前方に引き出すと)、移動側メンバー2の前方へのスライド移動に伴って、外側リテーナ5が、ボール50・・・と共に、移動側メンバー2の移動距離の2分の1程度スライド移動するので、やがて、移動側メンバー2の後端部に形成された後端ストッパー231が、外側リテーナ5の後端面に当接すると同時に、外側リテーナ5のストッパー突起64が、中間メンバー3の前ストッパー311に当接して、中間メンバー3に対する移動側メンバー2の移動は停止する。
【0018】
一方、固定側メンバー1に対し中間メンバー3が前方にスライド移動すると、内側リテーナ4は、ボール40・・・と共に、中間メンバー3の移動距離の2分の1程度移動するので、やがて、中間メンバー3の後ストッパー312が、内側リテーナ4の後ストッパー43に当接すると同時に、内側リテーナ4の前端面が固定側メンバー1の内側リテーナ前端ストッパー13に当接し、固定側メンバー1に対する中間メンバー3の移動は停止し、移動側メンバー2は前方に最も引き出された状態で停止する(
図6の状態)。
この状態が、スライドレール100の最大伸長状態であり、この状態から、移動側メンバー2を収縮側の後方に移動させると、前述した動作とは逆の方向に、移動側メンバー2、中間メンバー3の順に収縮側に移動し、固定側メンバー1に対する中間メンバー3の移動は停止し、中間メンバー3に対する移動側アウターメンバー2の後方への移動は停止し、スライドレール100は最収縮状態となる。
【0019】
次に、ストッパー装置6を説明する。
ストッパー装置6は、前述のとおり、着脱可能なストッパー部材60、ストッパー部材60を固定するストッパーネジ61、取付用螺孔62、ストッパー部材60と接触しスライドレールの伸長を停止させるストッパー突起64、64より構成されている。
【0020】
ストッパー部材60は、鋼板を曲げ加工して形成されるもので、中間メンバー3の基板30に密着する板状の四角形の基材601と、基材601に設けられたストッパー部材60固定用の固定孔601aと、基材60の一対の端部よりそれぞれ90度折り曲げられて突出するストッパー部602、602と、ストッパー部602、602のそれぞれの突出先で、ストッパー部材60がスライドレール100に取り付けられた状態での伸長側に向かって延伸する第1回転防止部603と、前記一対の端部と直行する側の一対の端部の内、ストッパー部材60がスライドレール100に取り付けられた状態での収縮側の端部より収縮側に向かって延伸する第2回転防止部604が一体的に形成される。
【0021】
そして、前述のとおり、中間メンバー3には、挿入孔63が設けられている。挿入孔63は、スライド方向に長い長方形のスリット状の開口部が移動側インナーメンバー302の基板30に設けられ、ストッパー部材60のストッパー部602、602に対応して上下方向に一対形成されている。
連結材303にも、挿入孔63、63に対応して同型の挿入孔303a、303aが、挿入孔63、63と連通して形成されている。
固定側インナーメンバー301の基板30には、挿入孔63、63に対応して、取り付け状態でストッパー部材60が内包可能な大きさの四角形の逃がし孔30aが挿入孔303a、303a臨むように形成される。
取付用螺孔62は、移動側インナーメンバー302の基板30の挿入孔63、63間に設けられる。
【0022】
ストッパー突起64、64は、外側リテーナ5のスライド方向の中心部付近で、
図3、
図5における外側リテーナ5に形成される凸部501の上下角部に、移動側インナーメンバー302側に向かって突出形成されている。
【0023】
次に、ストッパー部材60をスライドレール100に取り付ける方法を説明する。
ストッパー部材60は、前述のとおり、中間メンバー3に取り付けられるものである。
まず、固定側インナーメンバー301の逃がし孔30aから臨む挿入孔303a、303aに第1回転防止部603、603の伸長側端から差し込む。
そして、第1回転防止部603、603は、挿入孔63、63を貫通して、移動側インナーメンバー302側に突出する。
この状態から、第1回転防止部603、603の伸長側端を伸長側押し出すように、かつ、基材601、第2回転防止部604を、連結材303に密着させるようにストッパー部材60を回転させながら挿入する。
基材601、第2回転防止部604が密着した状態で、ストッパーネジ61のネジ部を、基材61の固定孔601aを貫通して、取付用螺孔62に螺止する。この状態で、ストッパーネジ61のねじ頭にて、基材601は、基板30に密着した状態でストッパー部材60は固定され、ストッパー部材60は、中間メンバー3に取り付けられる。
【0024】
尚、スライドレールが上下に並列に並んでいないスライドレールの場合は、連結材303は存在しないから、固定側インナーメンバー301の逃がし孔30aは存在せずに、固定側インナーメンバー301の基板30に、挿入孔303a、303aと同様な挿入孔が設けられることとなる。
そして、第2回転防止部604は、固定側インナーメンバー301の基板30に密着して取り付けられることになる。
【0025】
ストッパー部材60は、中間メンバー3に取り付けられた状態で、第2回転防止部604は、基板30に当接しており、第1回転防止部603、603は、突出部の移動側インナーメンバー302の基板30に面している端面603aが、基板30に近接している。
尚、端面603aは、基板30に当接させてもいいが、当接させるとストッパー部材60は取り付け時に嵌合させるように強く押し込む必要が出てくるので、端面603aと基板30は若干の隙間を設けて近接させてるほうが作業性がよい。
また、ストッパーネジ61の代わりに、ストッパー部602、602に突起を設けて、ストッパー部材60を取り付ける時に挿入孔63に圧入する方法をとり、ストッパー部材60を取り外す時は、ハンマーなどにて叩き外す方法で、ストッパー部材60を使い捨てのような方法でもよいが、ストッパーネジ61で固定したほうが、作業性がよい。
【0026】
そして、ストッパー部材60が取り付けられた状態で、ストッパー602、602は、
図5に示すように、外側リテーナ5に接触しない程度で、かつ、前述の外側リテーナ5に形成されたストッパー突起64には接触する程度に突出している。
また、通常、スライドレールに物品に取り付ける際、移動側メンバー2と物品をネジにて固定するが、
図5における外側リテーナ5に形成される凸部501は、移動側メンバー2と物品を固定する際のネジ頭と外側リテーナ5の接触を避けるために凸状に形成している。
そして、該ネジ固定は、移動側メンバー2の基材20に設けられた貫通孔を使用して行われるが、該貫通孔は、スライドレールを左右兼用できることなど、生産の容易性、設計の容易性、在庫の管理性といった効率を求め、基材20の上下方向中心部に設けられることが多い。
そのため、ストッパー602、602は、基材20の上下方向中心部を避けるように上下方向に離間しており、スライドレールがスライドしても、ストッパー602、602は、基材20の上下方向中心部を通らない軌跡を描くこととなる。
このように、ストッパー602、602が基材20の上下方向中心部を通らないようにすると、前記物品とスライドレールの固定方法に、ネジの大きさや、ネジ以外のリベット固定など自由度が生まれる。
【0027】
次に、ストッパー部材60がスライドレール100に取り付けられてストッパー装置6が機能している状態でのスライドレール100について説明する。
スライドレールの最収縮状態から移動側メンバー2を前方に引き出すと(移動側アウターメンバー2と連結された物品を前方に引き出すと)、移動側メンバー2の前方へのスライド移動に伴って、外側リテーナ5が、ボール50・・・と共に、移動側メンバー2の移動距離の2分の1程度スライド移動すると、外側リテーナ5のストッパー突起64も伸長側に移動するから、やがてストッパー突起64、64がストッパー部602、602の収取側面に接触する。
ストッパー突起64がストッパー部602接触した状態で、移動側メンバー2の後端の後端ストッパー231が外側リテーナ5の後端(収縮側端)に接触する。
そして、外側リテーナ5は、ストッパー突起64がストッパー部602接触しているので伸長側にスライドできずに移動が停止し、移動側メンバー2は、移動が停止した外側リテーナ5に後端ストッパー231が接触しているから移動できない(
図8の状態)。
このようにして、移動側メンバー2は中間メンバー3に対してのスライドが停止する。この状態で、スライドレールの最大伸長時に比べて移動側メンバー2は中間メンバー3に対してのスライド量は約半分になっている。
このスライド量は、使用状態の仕様に合わせて適宜設定されるもので、ストッパー部材60の取り付け位置、ストッパー突起64、64を設ける位置を用途に合わせて設定するので、前記のようにスライド量は約半分にならない場合もある。
【0028】
さらに、物品を引き出すと、ストッパー突起64、64にてストッパー部602、602を引き出すことになるから、中間メンバー3は、固定側メンバーに対して伸長側にスライド移動する。そして、前述のように中間メンバー3は、固定側メンバーに対して最大伸長になるとスライドレール100の伸長は停止し、スライドレール100は、最大伸長時に比べ、移動側レールが約半分のスライド量にてスライドを停止することになる(
図1の状態)。
当然ながら、ストッパー部材60を取り外すと、スライドレール100は最大伸長までスライド可能となる。
【0029】
次に、第1回転防止部603、第2回転防止部604について説明する。
前記のとおり、ストッパー部材60が取り付けられた状態でのスライドレール100の最大伸長(以下中間最大伸長と云う)になる時には、ストッパー突起64、64とストッパー部602、602が接触した状態となっている。
そのため、中間最大伸長した瞬間に、スライドストッパー突起64、64がストッパー部602、602を押し込むように衝撃が加わりスライドが停止する。
【0030】
特に、スライドレールに取り付けられている物品の重量が重いと、ストッパー部602、602に加わる衝撃力も強くなる。そのため、ストッパー部602、602が伸長側に押し込まれ、押し込まれるとストッパーネジ61で基材601は固定されているから、ストッパーネジ部を起点にストッパー部602、602だけが伸長側に回転するように力が加わることとなる。そうなるとストッパー部材60が変形してしまうことがある。
ストッパー部材60が変形してしまうと、ストッパー部材60のストッパー部が挿入孔から抜けなくなってしまい、ストッパー部材60を外すことができないことがある。
そのため、ストッパー部602、602だけが衝撃により伸長側に回転すると、第2回転防止部604の端面604Aが移動側インナーメンバー302の基板30に接触し、ストッパー部602、602の回転を防止する。
同時にストッパー部602、602だけが伸長側に回転すると、第1回転防止部603はストッパーネジ部を起点に連結材303に押し付けれるように回転するが、第1回転防止部603は、連結材303に密着した状態で固定されているから、ストッパー部602、602の回転を防止することができ、ストッパー部材60が変形することを防止できる。
【0031】
このように、第1回転防止部603、第2回転防止部604は、スライドレールに加わる荷重・衝撃力に合わせて設定されるものであるから、荷重・衝撃力が小さい時は、第1回転防止部603、第2回転防止部604を設けず、基材51とストッパー部602、602のみで構成したコ字状の形状とすることもある。
また、基材51とストッパー部602のみのL字状の形状とすることもある。
【0032】
次に、実施例2のスライドレールについて説明する。
図9、
図10に示すように実施例2のスライドレール100Aは、固定側メンバー1、内側リテーナ4、中間メンバー3A、外側リテーナ5、移動側メンバー2Aで構成されるが、固定側メンバー1、内側リテーナ4、外側リテーナ5については実施例1と同一形状である。
中間メンバー3は、実施例1では、同一形状の固定側インナーメンバー301と移動側インナーメンバー302が背中合わせで組み合わされていたが、
図10に示すように、固定側インナーメンバー301と連結材303Aと、実施例1の移動側メンバー2と同じ断面形状の移動側アウターメンバー302Aで構成されている。
そして、移動側メンバー2Aは、移動側インナーメンバー302と同じ断面形状のものとされている。
したがって、固定側メンバー1、内側リテーナ4、固定側インナーメンバー301までの構成は実施例1と同一である。
【0033】
そして、中間メンバー3Aは、固定側メンバー1に嵌挿可能な大きさで、ほぼ同長に形成されている固定側インナーメンバー301と、移動側メンバー2Aが嵌挿可能な大きさで、ほぼ同長に形成されている移動側アウターメンバー302Aと、固定側インナーメンバー301と移動側アウターメンバー302Aを連結する連結材303で構成されている。
固定側インナーメンバー301と移動側アウターメンバー302Aの断面略C字形の2つのメンバーを、コ字状断面の連結材303Aを間に挟んで基板30、30Aの背面側同士を固着するように断面ほぼ略I字形に形成されている。
尚、スライドレールを上下方向に並べない各メンバーが一本のみのスライドレールの場合は、中間メンバー3Aは、連結材303Aを介さずに基板30、30Aの背面側同士を直接固着し断面ほぼ略I字形に形成されるのは実施例1と同様である。
【0034】
実施例2のスライドレール100Aは、固定側メンバー1に対して、内側リテーナ4を介して固定側インナーメンバー301(中間メンバー3A)がスライド移動し、移動側アウターメンバー302A(中間メンバー3A)に対して、外側リテーナ5を介して移動側メンバー2Aがスライド移動するものである。
【0035】
このように構成されたスライドレール100Aの固定側メンバー1と中間メンバー3Aと移動側メンバー2Aの全長が重合した状態が物品等が収納されたスライドレール100Aの最収縮状態である(
図11の状態)。
そして、伸長動作は、実施例1のスライドレール100と同様に、移動側メンバー2Aが引き出されると、外側リテーナ5が、ボール50・・・と共に、移動側メンバー2Aの移動距離の2分の1程度スライド移動し、中間メンバー3Aに対する移動側メンバー2の移動は停止する。そして、固定側メンバー1に対し中間メンバー3が前方にスライド移動すると、内側リテーナ4は、ボール40・・・と共に中間メンバー3Aの移動距離の2分の1程度移動し、固定側メンバー1に対する中間メンバー3Aの移動は停止し、移動側メンバー2Aは前方に最も引き出された状態で停止する。
この状態が、スライドレール100Aの最大伸長状態であり、この状態から、移動側メンバー2Aを収縮側の後方に移動させると、前述した動作とは逆の方向に、移動側メンバー2A、中間メンバー3Aの順に収縮側に移動し、固定側メンバー1に対する中間メンバー3Aの移動は停止し、中間メンバー3Aに対する移動側メンバー2Aの後方への移動は停止し、スライドレール100は最収縮状態となる。
【0036】
次に、ストッパー装置6Aを説明する。
ストッパー装置6Aは、着脱可能なストッパー部材60、ストッパー部材60を固定するストッパーネジ61、取付用螺孔62、ストッパー部材60と接触しスライドレールの伸長を停止させるストッパー当り64A、64Aより構成されている。
【0037】
ストッパー部材60は、実施例1と同じものである。
そして、実施例1と同様に中間メンバー3Aには、挿入孔63が設けられている。挿入孔63は、実施例1と同形状であり、移動側アウターメンバー302の基板30Aに設けられている。
連結材303Aにも、挿入孔63、63に対応して同型の挿入孔303A、303Aが、挿入孔63、63と連通して形成されている。
固定側インナーメンバー301の基板30には、実施例1と同様に逃がし孔30Aが挿入孔303A、303A臨むように形成され、取付用螺孔62は、実施例1と同様に設けられている。
そして、外側リテーナ5の前端(伸長側端)面がストッパー当り64、64として設定されている。
また、ストッパー部材60は、実施例1と同様の方法にて中間メンバー3Aに取り付けられる。
【0038】
実施例2のストッパー部材60も実施例1と同様に、中間メンバー3Aに取り付けられた状態で、第1回転防止部603は、基板30に当接しており、第2回転防止部604、604は、突出部の移動側アウターメンバー302Aの基板30Aに面している端面604Aが、基板30Aに近接している。
【0039】
そして、実施例2では、ストッパー部材60が取り付けられた状態で、ストッパー602、602は、
図11に示すように、外側リテーナ5の軌道上に届くように突出している。
ストッパー602、602は、実施例1と同様に基材20Aの上下方向中心部を避けるように上下方向に離間しており、スライドレールがスライドしても、ストッパー602、602は、基材20の上下方向中心部を通らない軌跡を描くこととなる。
【0040】
次に、ストッパー部材60がスライドレール100Aに取り付けられてストッパー装置6が機能している状態でのスライドレール100について説明する。
スライドレールの最収縮状態から移動側メンバー2Aを前方に引き出すと(移動側アウターメンバー2Aと連結された物品を前方に引き出すと)、移動側メンバー2Aの前方へのスライド移動に伴って、外側リテーナ5が、ボール50・・・と共に、移動側メンバー2の移動距離の2分の1程度スライド移動すると、外側リテーナ5の前端のストッパー当り64A、64Aがストッパー部602、602の収取側面に接触する。
ストッパー当り64Aがストッパー部602接触すると、移動側メンバー2Aは中間メンバー3Aに対してのスライドが停止する(
図12の状態)。
そして、実施例1と同様に移動側メンバー2Aの後部に設けられたストッパーが外側リテーナ5の後端に接触し、移動側メンバー2Aの移動が停止する。
この状態で、スライドレールの最大伸長時に比べて移動側メンバー2Aは中間メンバー3Aに対してのスライド量は約半分になっている。このスライド量は、実施例1と同様に使用状態の仕様に合わせて適宜設定される。
【0041】
さらに、物品を引き出すと、ストッパー当り64A、64Aにてストッパー部602、602を引き出すことになるから、中間メンバー3Aは、固定側メンバーに対して伸長側にスライド移動する。そして、前述のように中間メンバー3Aは、固定側メンバーに対して最大伸長になるとスライドレール100の伸長は停止し、スライドレール100Aは、最大伸長時に比べ、移動側レールが約半分のスライド量にてスライドを停止することになる。ストッパー部材60を取り外すと、スライドレール100Aは最大伸長までスライド可能となる。
また、第1回転防止部603、第2回転防止部604についても実施例1と同様に作用する。
以上が、本発明のストッパー装置ならびに、ストッパー装置付きのスライドレールであり、簡単な構成で、ストッパー装置を構成することが可能である。
【0042】
以上のように、本発明のストッパー装置付きのスライドレールは、引き出し式の収納家具の他、調理台におけるグリル器や、複写機の用紙トレーや、自動車用コンソール、サーバーラックやATM機器、両替機など、物品を直線移動させるものに広範囲に利用可能である。