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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074707
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240524BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240524BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/00 370
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186037
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久家 秀喜
(72)【発明者】
【氏名】成田 隼斗
【テーマコード(参考)】
2H033
2H200
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA24
2H033BA01
2H033BA02
2H033BA08
2H033BA10
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA29
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB18
2H033BB30
2H033BC02
2H033BC03
2H033CA21
2H033CA22
2H033CA26
2H033CA53
2H033CA55
2H200FA11
2H200GA12
2H200GA23
2H200JA02
2H200JB01
2H200JB10
2H200JB18
2H200JB24
2H200JC04
2H270KA35
2H270LA62
2H270LA98
2H270MC44
2H270MD02
2H270SA09
2H270SB16
2H270SB23
2H270SC08
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】本開示は、非接触で記録媒体を加熱する定着装置において、送風装置が停止した状態で加熱部を起動させる場合と比較して、搬送装置が停止した場合に、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制する定着装置の提供を目的とする。
【解決手段】定着装置100は、記録媒体Pを搬送する搬送装置16による記録媒体Pの搬送経路に配置され、記録媒体Pの表面を非接触で加熱する加熱部102と、加熱部102に対向して配置され、記録媒体Pの裏面に送風する送風装置160と、送風装置160の動作状態を検知する検知部を有し、検知部が送風装置160の動作を検知した場合に加熱部102を起動させる制御部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、前記記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、
前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、
前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有し、前記検知部が前記送風装置の動作を検知した場合に前記加熱部を起動させる制御部と、
を備える、定着装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記加熱部が起動している状態において前記送風装置の停止を検知した場合に前記加熱部を停止させる、
請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、
前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、
前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有すると共に、前記検知部が前記送風装置の停止を検知した場合に、前記加熱部を停止させる制御部と、
を備える、定着装置。
【請求項4】
前記制御部は、定着動作を停止する際に、前記加熱部を停止させた後に前記送風装置を停止させる、
請求項1又は請求項3に記載の、定着装置。
【請求項5】
前記検知部は、専用回路に構成され、前記送風装置から出力される信号に基づいて前記送風装置の動作状態を検知する第一検知部である、
請求項1又は請求項3に記載の、定着装置。
【請求項6】
前記検知部は、前記送風装置を駆動させる駆動信号を検知する第二検知部をさらに有し、
前記制御部は、前記第二検知部が前記駆動信号を検知しない場合に、前記第一検知部の検知結果に拠らず前記加熱部を停止させる、
請求項5に記載の、定着装置。
【請求項7】
前記制御部が前記加熱部を停止させた場合に、前記加熱部の動作状態を報知する報知手段をさらに備える、
請求項2又は請求項3に記載の、定着装置。
【請求項8】
前記送風装置は、前記記録媒体の搬送経路よりも下方に配置され、
前記加熱部と前記送風装置とが対向している領域の前記記録媒体の搬送方向は、水平方向に対して傾いている、
請求項1又は請求項3に記載の、定着装置。
【請求項9】
前記記録媒体の搬送方向において、前記加熱部の下流側に配置され、回転しながら前記記録媒体を挟んで前記記録媒体を加熱する一対の回転体をさらに備える、
請求項1又は請求項3に記載の定着装置。
【請求項10】
前記記録媒体にトナー画像を形成する形成部と、
前記トナー画像が形成された前記記録媒体を搬送する前記搬送装置と、
前記トナー画像を前記記録媒体に定着させる請求項9に記載の定着装置と、
を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙にトナー像を形成する画像形成部と、前記画像形成部に対して所定の搬送タイミングで前記用紙を送出するレジストローラー部と、前記画像形成部によりトナー像が形成された用紙を定着ニップにおいて加熱および加圧して、当該用紙に前記トナー像を定着させる定着部と、用紙搬送方向における前記定着ニップの下流側から前記用紙に向けて送風することにより、前記定着部が有する定着部材から前記用紙を分離する送風部と、前記用紙搬送方向における前記定着ニップの下流側に配置され、前記定着ニップを通過した用紙と接触することにより回転する回転部材と、前記回転部材の回転を検出することによって前記用紙の通過を検出する用紙通過検出部と、前記レジストローラー部によりn(n:1以上の整数)枚目の前記用紙が送出されてから前記用紙通過検出部によりn枚目の前記用紙の通過が検出されるまでの第1の通過時間が、前記定着ニップを通過した用紙の搬送姿勢が適正である範囲内で最大限許容される最大通過時間より長い場合、前記送風部の送風量を増大させ、前記レジストローラー部によりn+1枚目の前記用紙が送出されてから前記用紙通過検出部によりn+1枚目の前記用紙の通過が検出されるまでの第2の通過時間が前記最大通過時間より長い場合、前記第1の通過時間と前記第2の通過時間との大小関係とに応じて、前記送風部の送風量を制御する制御部と、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6601247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、送風装置により記録媒体を非接触とさせながら記録媒体を加熱する加熱部を有する定着装置において、送風装置が停止した状態で加熱部を起動させる場合と比較して、搬送装置が停止した場合に、記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される定着装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様の定着装置は、記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、前記記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有し、前記検知部が前記送風装置の動作を検知した場合に前記加熱部を起動させる制御部と、を備える。
【0006】
第二態様の定着装置は、第一態様に記載の定着装置において、前記制御部は、前記加熱部が起動している状態において前記送風装置の停止を検知した場合に前記加熱部を停止させる。
【0007】
第三態様の定着装置は、記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有すると共に、前記検知部が前記送風装置の停止を検知した場合に、前記加熱部を停止させる制御部と、を備える。
【0008】
第四態様の定着装置は、第一態様又は第三態様に記載の定着装置において、前記制御部は、定着動作を停止する際に、前記加熱部を停止させた後に前記送風装置を停止させる。
【0009】
第五態様の定着装置は、第一態様又は第三態様に記載の定着装置において、前記検知部は、専用回路に構成され、前記送風装置から出力される信号に基づいて前記送風装置の動作状態を検知する第一検知部である。
【0010】
第六態様の定着装置は、第五態様に記載の定着装置において、前記検知部は、前記送風装置を駆動させる信号を検知する第二検知部をさらに有し、前記制御部は、前記第二検知部が前記駆動信号を検知しない場合に、前記第一検知部の検知結果に拠らず前記加熱部を停止させる。
【0011】
第七態様の定着装置は、第二態様又は第三態様に記載の定着装置において、前記制御部が前記加熱部を停止させた場合に、前記加熱部の動作状態を報知する報知手段をさらに備える。
【0012】
第八態様の定着装置は、第一態様又は第三態様に記載の定着装置において、前記送風装置は、前記記録媒体の搬送経路よりも下方に配置され、前記加熱部と前記送風装置とが対向している領域の前記記録媒体の搬送方向は、水平方向に対して傾いている。
【0013】
第九態様の定着装置は、第一態様又は第三態様に記載の定着装置において、前記記録媒体の搬送方向において、前記加熱部の下流側に配置され、回転しながら前記記録媒体を挟んで前記記録媒体を加熱する一対の回転体をさらに備える。
【0014】
第十態様の画像形成装置は、第九態様に記載の画像形成装置において、前記記録媒体にトナー画像を形成する形成部と、前記トナー画像が形成された前記記録媒体を搬送する前記搬送装置と、前記トナー画像を前記記録媒体に定着させる定着装置と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
第一態様の定着装置によれば、送風装置により記録媒体を非接触とさせながら記録媒体を加熱する加熱部を有する定着装置において、送風装置が停止した状態で加熱部を起動させる定着装置と比べて、搬送装置が停止した場合に記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される。
【0016】
第二態様の定着装置によれば、送風装置が停止した状態で加熱部の稼働を継続する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される。
【0017】
第三態様の定着装置によれば、送風装置により記録媒体を非接触とさせながら記録媒体を加熱する加熱部を有する定着装置において、送風装置が停止した状態で加熱部の稼働を継続する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される。
【0018】
第四態様の定着装置によれば、定着動作を停止する際に、送風装置の停止が加熱部の停止よりも先とされている定着装置と比べて、搬送装置が停止時に記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される。
【0019】
第五態様の定着装置によれば、制御部がプロセッサとソフトウェアの協働による検知部のみを有する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることが抑制される。
【0020】
第六態様の定着装置によれば、制御部が検知部として第一検知部のみを有する定着装置と比べて、送風装置の動作状態の誤検知が抑制される。
【0021】
第七態様の定着装置によれば、送風装置の動作不良を検知した場合に制御部が加熱部を停止させるのみである定着装置と比べ、加熱部が停止したことをユーザーが認識しやすい。
【0022】
第八態様の定着装置によれば、加熱部と送風装置とが対向している領域の記録媒体の搬送方向が水平方向である場合と比べ、加熱部と送風装置とが対向している領域から記録媒体が排出されやすい。
【0023】
第九態様の定着装置によれば、加熱部及び一対の回転体にて記録媒体にトナー画像を定着させることができる。
【0024】
第十態様の画像形成装置によれば、送風装置が停止した状態で加熱部を稼働する定着装置を備える画像形成装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
図2】本開示に係るトナー像形成部の構成を示す概略図である。
図3】本開示に係る定着ユニットの構成を示す概略図である。
図4】本開示に係るチェーングリッパの構成を示す斜視図である。
図5】本開示に係る送風装置の構成を示す斜視図である。
図6】本開示に係る定着装置に備えられた加熱ロール及び加圧ロールを示した断面図である。
図7】本開示に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図8】本開示に係る制御部の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、装置前後方向(装置奥行方向)を示す。
【0027】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0028】
図1に示される画像形成装置10は、シート状の被搬送材の一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、図1に示されるように、収容部14と、排出部18と、画像形成部12と、定着装置100と、冷却部90と、搬送装置16と、を有している。以下、画像形成装置10の各部(収容部14、排出部18、画像形成部12、定着装置100、冷却部90及び搬送装置16)について説明する。
【0029】
(収容部14)
図1に示される収容部14は、記録媒体Pを収容する機能を有している。画像形成装置10では、収容部14は、複数(例えば2つ)が備えられている。この複数の収容部14から選択的に記録媒体Pが送り出される。記録媒体Pとしては、例えば、予め定められた大きさ(すなわちサイズ)とされた枚葉紙(いわゆるカット紙)が用いられる。
【0030】
(排出部18)
図1に示される排出部18は、画像が形成された記録媒体Pが排出される部分である。画像形成装置10では、定着装置100で画像が加熱された後に、冷却部90で冷却された記録媒体Pが排出部18に排出される。
【0031】
(画像形成部12)
図1に示される画像形成部12は、記録媒体にトナー画像を形成する形成部の一例である。具体的には、画像形成部12は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部12は、図1に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部20と、トナー像形成部20で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、を有している。
【0032】
(トナー像形成部20)
トナー像形成部20は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部20が備えられている。図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0033】
各色のトナー像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー像形成部20は、図2に示されるように、図2における矢印A方向に回転する感光体ドラム21(感光体)と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。さらに、各色のトナー像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、を有している。
【0034】
(転写装置30)
図1に示される転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー像を記録媒体Pに二次転写する機能を有している。具体的には、転写装置30は、図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト31と、一次転写ロール33と、転写部35と、を備えている。
【0035】
一次転写ロール33は、感光体ドラム21に形成されたトナー像を、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置T(図2参照)で転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0036】
転写ベルト31は、図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1つが回転駆動されることで、矢印B方向へ周回し、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0037】
転写部35は、転写ベルト31に転写されたトナー像を記録媒体Pに転写する機能を有している。転写部35は、具体的には、二次転写部34と、対向ロール36と、を有している。
【0038】
対向ロール36は、転写ベルト31に対向するように、転写ベルト31の下側に配置されている。二次転写部34は、図1に示されるように、対向ロール36との間に転写ベルト31が配置されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。二次転写部34は、具体的には、コロトロンで構成されている。転写部35では、転写ベルト31に転写されたトナー像が、二次転写部34の放電により発生された静電力により、二次転写位置NTを通過する記録媒体Pに転写される。
【0039】
(搬送装置16)
図1に示される搬送装置16は、記録媒体Pを搬送する装置であり、図1に示されるように、搬送機構60と、反転機構80と、を有している。なお、搬送装置16が、記録媒体Pを搬送する動作を、搬送動作と称する。
【0040】
(搬送機構60)
図1に示される搬送機構60は、記録媒体Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構60は、収容部14に収容された記録媒体Pを画像形成部12へ搬送し、画像形成部12に記録媒体Pを通過させる。また、搬送機構60は、記録媒体Pを画像形成部12から定着装置100へ搬送し、定着装置100に記録媒体Pを通過させる。すなわち、搬送機構60は、画像が形成された記録媒体Pを定着装置100において搬送する機能を有している。
【0041】
また、搬送機構60では、画像形成部12及び定着装置100において、記録媒体Pの一方の面を上方側へ向けて搬送する。当該一方の面は、画像形成部12において、画像が形成される画像面であり、且つ定着装置100において加熱される面である。
【0042】
具体的には、搬送機構60は、図1に示されるように、送出ロール62と、複数の搬送ロール64と、チェーングリッパ66と、を有している。
【0043】
送出ロール62は、収容部14に収容された記録媒体Pを送り出す。複数の搬送ロール64は、送出ロール62が送り出した記録媒体Pをチェーングリッパ66へ搬送する。
【0044】
チェーングリッパ66は、図4に示されるように、記録媒体Pの前端部(すなわち、搬送方向の下流部)を保持して記録媒体Pを搬送する部材である。チェーングリッパ66は、具体的には、図4に示されるように、一対のチェーン72と、グリッパ76と、を備えている。
【0045】
一対のチェーン72は、図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン72は、装置前後方向(図1のD方向)に間隔をおいて配置されている(図4参照)。そして、一対のチェーン72の各々は、図1に示されるように、対向ロール36に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、装置前後方向に間隔をおいて配置された一対のスプロケットに巻き掛けられている。これらの一対のスプロケットのいずれかが回転することで、チェーン72が矢印C方向へ周回する構成とされている(図1参照)。なお、各図では、スプロケットの外周に設けられる歯を省略して図示している。
【0046】
一対のチェーン72には、図4に示されるように、グリッパ76が取り付けられた取付部材75が装置前後方向に沿って掛け渡されている。取付部材75は、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン72に固定されている(図1及び図3参照)。なお、各図では、チェーン72の図示を簡略化するため、チェーン72をブロック状に示している。
【0047】
グリッパ76は、図4に示されるように、装置前後方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材75に取り付けられている。グリッパ76は、記録媒体Pの前端部を保持(把持)する機能を有している。具体的には、グリッパ76は、図4に示されるように、爪76Aと爪台76Bとを有している。グリッパ76では、爪76Aと爪台76Bとの間に記録媒体Pの前端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。このグリッパ76は、例えば、爪76Aが爪台76Bに対してバネ等により押し付けられると共に、カム等の作用により爪76Aが爪台76Bに対して開閉される。このように、本実施形態では、記録媒体Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、記録媒体Pの搬送方向の下流側から記録媒体Pの前端部を保持する。
【0048】
そして、チェーングリッパ66は、図3及び図4に示されるように、グリッパ76が記録媒体Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、記録媒体Pの一方の面を上方側へ向けた状態で該記録媒体Pを搬送する。このとき、チェーングリッパ66は、記録媒体Pの後端側部分を非保持の状態で該記録媒体Pを搬送する。すなわち、記録媒体Pは、後端側部分が拘束されずに、自由状態のまま搬送される。これにより、記録媒体Pは、一方の面を上方側へ向けた状態で画像形成部12及び定着装置100を通過する。なお、搬送機構60において記録媒体Pが搬送される搬送経路の一部が、図1において一点鎖線にて示されている。
【0049】
(反転機構80)
図1に示される反転機構80は、定着装置100によって画像が加熱された記録媒体Pの表裏を反転させる機構である。具体的には、反転機構80は、図1に示されるように、複数(例えば、2つ)の搬送ロール82と、反転装置84、複数(例えば、7つ)の搬送ロール86と、有している。
【0050】
複数の搬送ロール82は、定着装置100から送られた記録媒体Pを反転装置84へ搬送する。反転装置84は、記録媒体Pの表裏を反転させる。複数の搬送ロール86は、反転装置84で表裏が反転された記録媒体Pをチェーングリッパ66へ搬送する。すなわち、複数の搬送ロール86は、表裏が反転された記録媒体Pをチェーングリッパ66に受け渡す機能を有している。
【0051】
このように、反転機構80は、図3に示す加熱部102と対向面181との間を通過した記録媒体Pの上下を反転させて、チェーングリッパ66に受け渡す。そして、チェーングリッパ66は、受け渡された記録媒体Pを、トナー画像が形成された面を下方側に向けて、再び、画像形成部12を経て、加熱部102と対向面181との間へ搬送する。なお、反転機構80において記録媒体Pが搬送される搬送経路の一部が、図1において一点鎖線にて示されている。
【0052】
(冷却部90)
冷却部90は、図1に示されるように、後述する定着装置100に対する搬送方向下流側に配置されている。この冷却部90は、搬送方向に並んでいる複数(例えば2つ)の冷却ロール92を備えている。
【0053】
冷却ロール92は、金属等により形成された円筒状のロールで構成されている。冷却ロール92は、その内部で空気や水などの冷媒が流通することで、冷媒との熱交換により記録媒体Pを冷却する構成とされている。
【0054】
後述する加熱部102でトナー像が加熱された記録媒体Pは、さらにチェーングリッパ66によって、定着ユニット120に搬送され、加熱ロール130及び加圧ロール140で挟まれて加圧及び加熱される。トナー像が定着された記録媒体Pは、図1に示される冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部18へ排出される。
【0055】
(定着装置100)
図3は、定着装置100の構成を示す概略図である。定着装置100は、図1に示されるように、画像形成部12に対する搬送方向下流側に配置されている。定着装置100は、定着ユニット120と、加熱部102と、送風装置160と、制御部40とを有している。
【0056】
(定着ユニット120)
図3に示される定着ユニット120は、記録媒体Pの画像を記録媒体Pに定着する部分であり、記録媒体Pに接触して記録媒体Pを加熱及び加圧することで、トナー像を記録媒体Pに定着する機能を有している。本実施形態では、定着装置100によって記録媒体Pが予備加熱され、定着ユニット120が該記録媒体Pを定着する。なお、定着装置100が記録媒体Pにトナー像を定着する動作を定着動作と称する。
【0057】
この定着ユニット120は、図3に示されるように、記録媒体Pの搬送方向において、定着装置100の下流側に配置されている。具体的には、定着ユニット120は、加熱ロール130と、加圧ロール140と、従動ロール150と、を有している。
【0058】
(加熱ロール130)
図3及び図6に示される加熱ロール130は、後述する加熱部102に対する搬送方向下流側に配置され、記録媒体Pに接触して記録媒体Pを加熱する機能を有している。この加熱ロール130は、記録媒体Pの上面に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0059】
また、加熱ロール130は、円筒状の基材132と、基材132の外周に形成されたゴム層134と、ゴム層134の外周に形成された離型層136と、基材132の内部に収容されたヒータ138(加熱源)と、を有している。ヒータ138は、例えば、単一又は複数のハロゲンランプで構成されている。
【0060】
(従動ロール150)
図3及び図6に示される従動ロール150は、加熱ロール130の外周面における記録媒体Pに対する接触領域以外の領域に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。また、従動ロール150は、円筒状の基材152と、基材152の内部に収容されたヒータ154(加熱源)と、を有している。この従動ロール150は、加熱ロール130に従動して回転し、加熱ロール130を加熱する。
【0061】
(加圧ロール140)
図3及び図6に示される加圧ロール140は、加熱ロール130との間に記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを加圧する機能を有している。すなわち、加熱ロール130及び加圧ロール140は、回転しながら記録媒体を挟んで記録媒体を加熱する一対の回転体の一例である。この加圧ロール140は、加熱ロール130の下側に装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0062】
加圧ロール140は、円筒状の基材142と、基材142の外周に形成されたゴム層144と、ゴム層144の外周に形成された離型層146と、を有している。
【0063】
加圧ロール140の周長は、グリッパ76がチェーン72に配置された配置間隔と同じとされている。また、図3及び図6に示されるように、加圧ロール140の外周面には、装置前後方向に延びる凹部148が形成されている。
【0064】
そして、記録媒体Pの前端部を保持するグリッパ76が、加圧ロール140と加熱ロール130との間を通過する場合に、当該グリッパ76が凹部148に入り込むように構成されている。
【0065】
なお、定着ユニット120では、加圧ロール140が、駆動部(図示省略)によって回転駆動され、その加圧ロール140に従動して加熱ロール130が回転し、その加熱ロール130に従動して従動ロール150が回転する。
【0066】
(加熱部102)
加熱部102は、搬送機構60によって搬送される記録媒体Pの搬送経路に配置されており、表面を非接触で加熱する機能を有している。具体的には、加熱部102は、画像形成部12によって画像が形成された記録媒体Pの上面を非接触で加熱する。加熱部102は、定着ユニット120での本定着(加熱)前の予備加熱装置と捉えることができる。さらに具体的には、加熱部102は、反射板104と、複数のヒータ106(加熱源)と、金網112と、を備えている。なお、送風装置160の構成については後述する。
【0067】
反射板104は、ヒータ106からの赤外線を下方側(すなわち、搬送機構60によって搬送される記録媒体P側)へ反射する機能を有している。この反射板104は、下方側が開放された箱状に形成されている。反射板104は、例えばアルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。
【0068】
ヒータ106は、記録媒体Pの幅方向(以下「紙幅方向」という場合がある)に沿って長さを有する円柱状の赤外線ヒータである。ヒータ106は、反射板104の内部に搬送方向に沿って、複数並べられている。なお、紙幅方向は、搬送方向と交差する交差方向(具体的には、直交する方向)である。各図では、紙幅方向が矢印D方向にて示されている。なお、ヒータ106は、後述するように、動力回路HCにおいて三相交流電源ACを有する一次側回路PCに対して継電器48の二次側回路SCに接続されている(図8も参照)。
【0069】
金網112は、反射板104の下方側の開口に配置されている。これにより、金網112は、反射板104の内部と、反射板104の外部とを仕切っている。そして、金網112は、搬送機構60によって搬送される記録媒体Pとヒータ106との接触を防止している。
【0070】
(送風装置160)
図3及び図5に示されるように、送風装置160は、加熱部102に対向して配置され、チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体Pの裏面に向けて送風する装置である。具体的には、送風装置160は、図3に示すように、チェーン72の内側(内周側)であって、記録媒体Pの搬送経路よりも下方に配置され、ファン161と、装置本体166と、送風板180と、を有している。装置本体166は、上方側が開放された箱状に形成されている。具体的には、装置本体166は、平面視にて枠状に形成された側壁163と、板状の底壁162と、を有している。底壁162の搬送方向の中央部であって、装置前後方向の中央部には、開口部164が形成されている。この開口部164に対してファン161が取り付けられている。ファン161は、回転駆動により、開口部164を通じて装置本体166の内部へ送風する。
【0071】
ファン161には、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、ファン161としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよく、送風する送風機であればよい。なお、ファン161は、送風機の一例である。
【0072】
送風板180は、装置本体166の上部開口を塞ぐように、側壁163の上端に取り付けられている。これにより、装置本体166は、開口部164及び後述の送風孔182を除いて密閉されている。
【0073】
送風板180は、板状に形成されており、加熱部102に対向する対向面181を有している。対向面181は、上方側を向いており、加熱部102と送風板180との間を搬送される記録媒体Pの下面に対向する。
【0074】
送風板180は、金属板で構成されている。この送風板180は、ヒータ106からの赤外線を上方側(チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体P側)へ反射する反射板としての機能も有している。
【0075】
送風板180には、送風板180の厚み方向に貫通する複数の送風孔182が形成されている。すなわち、複数の送風孔182は、対向面181に設けられており、加熱部102と送風板180との間を搬送される記録媒体Pの下面に対して開口している。
【0076】
この送風孔182は、図5に示されるように、搬送方向及び紙幅方向に沿って、二次元状(マトリックス状)に配置されている。なお、図5では、チェーングリッパ66及び送風装置160の各部を簡略化して示している。
【0077】
送風装置160では、ファン161の駆動により、装置本体166の内部に流入した空気を、チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体Pの下面に対して、複数の送風孔182を通じて送風する(図3参照)。これにより、チェーングリッパ66で前端部が保持された記録媒体Pの後端側部分が、送風板180の対向面181から浮上し、送風板180の対向面181に対して非接触となる。すなわち、記録媒体Pは、チェーングリッパ66及び送風装置160により、送風板180の対向面181に対して非接触の状態で搬送される。
【0078】
ここで、図3に示されるように、送風板180は、対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めを向くように配置されている。具体的には、対向面181は、搬送方向(矢印X方向)の上流側よりも下流側で高くされることで、水平方向に対して斜めに配置されている。すなわち、対向面181は、搬送方向の上流側から下流側へ向かって上り勾配を有する傾斜面とされている。言い換えれば、加熱部102と送風装置160とが対向している領域の記録媒体Pの搬送方向は、水平方向に対して傾いている、
【0079】
したがって、対向面181は、図3に示されるように、紙幅方向視及び紙幅方向断面視において、斜めに配置されている。なお、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、水平方向に沿って配置されている(図5も参照)。すなわち、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、傾きを有していない。なお、水平方向とは、鉛直方向に対して直交する方向である。
【0080】
対向面181は、図4に示されるように、送風装置160の非送風時において、記録媒体Pの搬送方向の後端側部分が接触する角度に配置されている。該記録媒体Pには、画像形成装置10で用いられる最小サイズを含む全てのサイズの記録媒体Pが含まれる。該角度は、対向面181の水平方向に対する角度の上限を規定するものであり、対向面181が予め定められた角度を超えると、送風装置160の非送風時において、記録媒体Pが対向面181に対して非接触となる。
【0081】
送風孔182は、対向面181に対する垂直方向に形成されており、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、送風孔182は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0082】
本実施形態では、送風板180に加えて、ファン161及び装置本体166を含む送風装置160全体が、水平方向に対して斜めに配置されている。具体的には、装置本体166では、板状の底壁162が、送風板180に沿って配置されており、水平方向に対して斜めに配置されている。側壁163は、底壁162に対する垂直方向に上方側へ延びており、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、側壁163は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。ファン161の送風方向(軸方向)は、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、ファン161の送風方向(軸方向)は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0083】
なお、本実施形態では、チェーン72は、加熱部102と送風装置160との間に配置された部分において、対向面181に沿って配置されており、対向面181上における記録媒体Pの搬送方向は、対向面181に沿った方向とされている。また、前述のように、ヒータ106は、搬送方向に沿って複数並べられており、ヒータ106の並び方向は、対向面181に沿った方向とされている。なお、対向面181上における記録媒体Pの搬送方向が、対向面181に対して角度を有していてもよい。また、ヒータ106の並び方向は、対向面181に対して角度を有していてもよい。
【0084】
続いて本実施形態における制御部40について、図7及び図8を適宜参照しながら説明する。
【0085】
(制御部40)
制御部40は、定着ユニット120、加熱部102、送風装置160と電気的に接続されており、後述するように画像形成装置10の搬送装置16、画像形成部12を含む各部を制御する各種の機能を実現する装置である。本実施形態における制御部40は、送風装置160の動作状態を検知する検知部の一例である制御回路CCを有し、検知部が送風装置160の動作を検知した場合に加熱部102を起動させる。また言い換えれば、制御部40は、送風装置160の動作状態を検知する検知部を有すると共に、検知部が送風装置160の停止又は動作不良を検知した場合に、加熱部102を停止させる。具体的には、図8に示すように、制御部40は、制御装置50が組み込まれた制御回路CCを有している。
【0086】
(制御装置50)
図7は、本実施形態に係る制御装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0087】
制御装置50は、コンピュータとしての機能を備え、図7に示されるように、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54を備えている。なお、制御装置50は、汎用的なプロセッサを備える上記構成に代えて、専用のプロセッサ(例えば、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等))を備えて構成されていてもよい。
【0088】
CPU51、ROM52、RAM53、及びストレージ54の各々は、バス59により相互に接続されている。CPU51は、制御装置50の全体を統括し、制御する。ROM52は、本実施形態で用いる制御プログラムを含む各種プログラム及び各種データ等を記憶している。RAM53は、各種プログラムの実行時のワークエリアとして用いられるメモリである。CPU51は、ROM52に記憶されたプログラムをRAM53に展開して実行することにより、各種処理を行う。なお、制御プログラムは、実行プログラムの一例である。
【0089】
ストレージ54は、一例としてHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等で構成され、各種プログラム及び各種データ等を記憶している。なお、制御プログラムは、ストレージ54に記憶されていてもよい。
【0090】
制御装置50において、CPU51が制御プログラムを実行することにより、画像形成装置10の搬送装置16、画像形成部12を含む各部を制御する各種の機能を実現する。
【0091】
続いて、本実施形態における制御部40による制御対象であるヒータ106が接続された動力回路HC、及びヒータ106の動作を制御する制御回路CCについて図8を適宜参照しながら説明する。
【0092】
(動力回路HC)
本実施形態における電気回路は、一例として図8に示される様に、三相の交流電源が電気的に接続された一次側回路PCと、ヒータ106が接続された二次側回路SCと、がΔ―Δ結線で接続されている。また、一次回路と二次回路は、それぞれの相毎に、継電器48によって電気的に遮断及び接続が制御される。
【0093】
継電器48は、一次回路と二次回路とを電気的に遮断及び接続を可能であればよく、例えば電磁接触器、SSR(Solid State Relay)が用いられる。継電器48が一次回路と二次回路とを電気的に接続した場合には、ヒータ106に交流電圧が印加されることで、ヒータ106が加熱する。なお、継電器48が動作する具体的な条件については後述する。
【0094】
(制御回路CC)
図8に示されるように、本実施形態における画像形成装置10の制御回路CCは、制御装置50と、送風装置160(ファン161の駆動モータ)と、変換器VCと、比較器42と、第一制御器44と、第二制御器46と、AND回路LCと、報知手段49と、が電気的に接続されている。また、制御回路CCは、本実施形態における専用回路の一例であり、後述するように継電器48と電気的に接続されている。
【0095】
図8に示されるように、制御装置50は、画像形成動作のジョブの開始として「真」の値、及びジョブの終了を示す信号として「偽」の値、の2値をとる2値信号S0が入力される。なお、入力される2値信号S0は、「真」又は「偽」の2値をとる真偽値である。また、画像形成動作とは、上述の搬送動作及び定着動作を含む画像形成装置の動作を指す。制御部40は、2値信号S0の値が「真」(ジョブを開始する)である場合に、2値信号S1として「真」の値を出力し、2値信号S0の値が「偽」(ジョブを終了する)である場合に、予め定められた時間を経過後に2値信号S1として「偽」の値を出力する。制御装置50における2値信号S1の出力先は、送風装置160及びAND回路LCである。なお、出力される2値信号S1は、「真」又は「偽」の2値をとる真偽値である。
【0096】
また制御装置50は、後述するようにAND回路LCから出力された2値信号S5における真偽値を取得し、2値信号S5における真偽値を2値信号S7として出力する。この制御装置50の2値信号S7の出力先は、第二制御器46である。
【0097】
また、制御装置50は、後述するように2値信号S0の値と2値信号S5の値のうち、いずれか一方が「真」であり、いずれか他方が「偽」の場合、2値信号S9として「真」の値を、それ以外の場合に「偽」の値を出力する。この制御装置50の2値信号S9の出力先は、報知手段49である。なお、出力される2値信号S9は、「真」又は「偽」の2値をとる真偽値である。
【0098】
送風装置160は、制御装置50から出力された2値信号S1を検出した場合に、ファン161を回転駆動させる。そして、回転するファン161の回転数に応じた数のパルス信号S2を出力する。送風装置160におけるパルス信号S2の出力先は、変換器VCである。パルス信号S2は、ファン161を駆動する駆動モータの回転数に応じた信号である。
【0099】
変換器VCは、パルス信号S2を受け取った場合に、パルス信号S2におけるパルスの数に応じたアナログ信号S3を出力する。一例として、パルス信号S2におけるパルスの数が単調に増加した場合に、出力されるアナログ信号S3は、単調に増加する。変換器VCにおけるアナログ信号S3の出力先は、比較器42とつながっている。
【0100】
比較器42は、前述の変換器VCに加えて、基準電圧源RVと電気的に接続されている。比較器42は、変換器VCから出力されたアナログ信号S3の電圧値と、基準電圧源RVの電圧値とを比較し、比較した結果を2値信号S4として出力する。比較器42における2値信号S4の出力先は、AND回路LCと第一制御器44である。なお、出力される2値信号S4は、「真」又は「偽」の2値をとる真偽値である。
【0101】
なお、ファン161が設計時に意図した回転数以上で回転している場合、アナログ信号S3の電圧値は、基準電圧源RVの電圧値よりも大きくなるように設定されている。また、ファン161の回転数が設計時に意図した下限値未満となった場合に、アナログ信号S3の電圧値は、基準電圧源RVの電圧値よりも小さくなるように設定されている。言い換えれば、基準電圧源RVの電圧値は、ファン161の回転数が設計時に意図した下限値となった場合のアナログ信号S3に合わせて設定される。
【0102】
なお、本実施形態において、比較器42は、送風装置160から出力されるパルス信号S2に基づいて変換器VCから出力されたアナログ信号S3の電圧値を、基準電圧源RVの電圧値と比較して、送風装置160の動作状態を検知している。言い換えれば、変換器VC及び比較器42は、本開示に係る第一検知部D1の一例である。2値信号S4が「真」の場合が「検知部が送風装置の動作を検知した場合」の一例であり、2値信号S4が「真」の場合が「検知部が送風装置の停止又は動作不良を検知した場合」の一例である。
【0103】
AND回路LCは、制御装置50から出力された2値信号S1と、比較器42から出力された2値信号S4とを取得し、取得した結果を「真」又は「偽」の2値をとる真偽値である2値信号S5として出力する。なお、AND回路LCは、2値信号S1と2値信号S4の両方が「真」であった場合に「真」を出力し、それ以外の場合には「偽」を出力する。AND回路LCにおける2値信号S5の出力先は、制御装置50である。
【0104】
なお、本実施形態において、AND回路LCは、送風装置160を駆動させる2値信号S1を検知している。言い換えれば、AND回路LCは、本開示に係る第二検知部D2の一例である。
【0105】
第一制御器44は、一例としてロードスイッチであり、前述の比較器42に加えて、信号源SVと電気的に接続されている。第一制御器44は、比較器42から出力された2値信号S4を取得し、2値信号S4が「真」の場合に2値信号S6の「真」の値として信号源SVの電圧値を出力する。また、2値信号S4が「偽」の場合に信号源SVの電圧を電気的に遮断する。第一制御器44における2値信号S6の出力先は、第二制御器46である。なお、信号源SVが出力する電圧値は、後述するように、継電器48を制御させる電圧値とされている。
【0106】
第二制御器46は、一例としてロードスイッチである。第二制御器46は、制御装置50から出力された2値信号S7を取得し、2値信号S7が「真」の場合に2値信号S8の「真」の値として第一制御器44が出力した2値信号S6の電圧値を出力する。また、2値信号S7が「偽」の場合には2値信号S6の電圧を電気的に遮断して2値信号S8の「偽」の値とする。第二制御器46における2値信号S8の出力先は、継電器48である。
【0107】
そして、継電器48は、第二制御器46から出力された2値信号S8を取得し、2値信号S8が「真」の場合に一次側回路PCと二次側回路SCとを電気的に接続し、2値信号S8が「偽」の場合に一次側回路PCと二次側回路SCとを電気的に遮断する。
【0108】
報知手段49は、一例としてブザー等の鳴動する部品である。そして、制御装置50から出力された2値信号S9における真偽値を取得し、制御装置50から出力された2値信号S9が「真」の場合には鳴動せず、2値信号S9が「偽」の場合には鳴動することにより、周囲の人物に2値信号S9の真偽値を報知する。言い換えれば、報知手段49は、制御部40が加熱部102を停止させた場合に、加熱部102の動作状態を報知する。なお、報知手段49は、ブザーに変えて警告灯とすることにより視覚的に報知する構成としてもよく、画像形成装置10におけるユーザーが入力する箇所に何らかの表示をすることによって報知をする構成としてもよい。
【0109】
なお、制御回路CCにおける変換器VC、比較器42、AND回路LCについては、独立した部品として組み込まれてもよく、単一のIC(integrated circuit)が又は制御装置50が有する機能として組み込まれていてもよい。また、比較器42は、変換器VCから出力されたアナログ信号S3の電圧値と、基準電圧源RVの電圧値とを比較していたが、変換器VCから出力されたアナログ信号S3の電圧値と比較する電圧値を予め記憶することで、基準電圧源RVを有していない構成としてもよい。
【0110】
また、第一制御器44は、ロードスイッチに変えて、上述のAND回路LCと同様に比較器42から出力された2値信号S4と信号源SVから出力された電圧信号とを取得し、両方が「真」の場合に2値信号S6として「真」を出力する構成としてもよい。また第二制御器46についても同様に、上述の第一制御器44から出力された2値信号S6と制御装置50から出力された2値信号S7とを取得し、両方が「真」の場合に2値信号S8として「真」を出力する構成としてもよい。
【0111】
なお、図8では図示されないが、制御装置50は、2値信号S1として「真」の値を出力する場合において、搬送装置16の駆動を開始させ、2値信号S1として「偽」の値を出力する場合に搬送装置16の駆動を停止させる制御を行うことが好ましい。
【0112】
(制御動作)
続いて、送風装置160の状態に応じた本実施形態における制御回路CCの動作について説明する。なお、以下に記載する「送風装置160が正常な状態」とは、2値信号S1が「真」の値であって、送風装置160のファン161が回転駆動する場合において、設計時に意図した回転数で回転駆動している状態を指す。また、「送風装置160が異常な状態」とは、2値信号S1が「真」の値でありながら、ファン161の回転数が設計時に意図した回転数未満である状態、又はファン161が回転駆動しない場合など、「送風装置160が正常な状態」以外の状態を指す。また、送風装置160が異常な状態とは、「送風装置160が動作不良の状態」であるともいえる。
【0113】
(送風装置160が正常な状態で画像形成動作のジョブを開始する場合)
まず、画像形成装置10において、2値信号S0が「真」である(画像形成動作のジョブを開始する)場合に、制御装置50は、送風装置160を駆動させる2値信号S1として「真」の値を出力する。
【0114】
続いて送風装置160は、2値信号S1に基づいて、ファン161の回転駆動を開始する。そして、送風装置160は、パルス信号S2としてファン161の回転数に応じたパルス数の信号を出力する。
【0115】
続いて変換器VCは、パルス信号S2のパルス数に基づいて、アナログ信号S3として電圧値を出力する。
【0116】
続いて、比較器42は、アナログ信号S3の電圧値と基準電圧源RVの電圧値とを比較する。上述の通り、送風装置160のファン161が、正常に回転駆動している場合、アナログ信号S3の電圧値が基準電圧源RVの電圧値よりも大きくなるため、比較器42は、2値信号S4として「真」の値を出力する。
【0117】
続いて、AND回路LCは、2値信号S1の値と2値信号S4の値とが共に「真」であるため、2値信号S5として「真」の値を出力する。
【0118】
続いて、第一制御器44は、2値信号S4の値が「真」であるため、信号源SVの電圧を2値信号S6として出力する。
【0119】
続いて、制御部40は、2値信号S5の値が、「真」であるため、2値信号S7として「真」の値を出力する。また制御部40は、2値信号S1と、2値信号S5とが両方とも「真」の値であるため、2値信号S9として「偽」の値を出力する。
【0120】
続いて第二制御器46は、2値信号S7の値が「真」であるため、2値信号S8として「真」の値を出力する。
【0121】
そして、継電器48は、2値信号S8の値が「真」であるため、一次側回路PCと二次側回路SCとを電気的に接続する。これにより、ヒータ106の加熱が開始される。
【0122】
なお、この場合においては、2値信号S9の値が「偽」であるため、報知手段49は、鳴動しない。
【0123】
このように、本実施形態における定着装置100では、送風装置160が正常な状態で画像形成動作のジョブが開始する場合においては、送風装置160のファン161が回転駆動された後に、継電器48が一次側回路PCと二次側回路SCとを接続する。なお、図8に示されるように、第一制御器44から出力された2値信号S6は、第二制御器46に入力される。すなわち、本実施形態における制御回路CCでは、第一制御器44及び第二制御器46の少なくとも一方が送風装置160の停止を検知した場合に、加熱部102を停止させる。
【0124】
(送風装置160が正常な状態で画像形成動作のジョブを終了する場合)
画像形成装置10において、2値信号S0が「偽」である(画像形成動作のジョブを終了する)場合に、制御装置50は、まず、2値信号S7として「偽」の値を出力する。また制御部40は、2値信号S1と、2値信号S5とが両方とも「偽」の値であるため、2値信号S9として「真」の値を出力する。また、制御装置50は、予め定められた時間を経過後に、2値信号S1として「偽」の値を出力する。
【0125】
この場合、まず2値信号S7が「偽」となるため、第二制御器46は、2値信号S8として「偽」の値を出力する。
【0126】
そして、継電器48は、2値信号S8の値が「偽」であるため、一次側回路PCと二次側回路SCとを電気的に切断する。これにより、ヒータ106の加熱が停止する。
【0127】
また、予め定められた時間が経過し、制御装置50から出力された2値信号S1の値が「偽」となった場合に、送風装置160は、ファン161の回転駆動を停止する。そして、送風装置160は、パルス信号S2としてファン161の回転駆動と同様のパルス数の値(具体的には0)を出力する。このように、制御装置50は、定着動作を停止する際に、加熱部102を停止させた後に送風装置160を停止させる、
【0128】
続いて、比較器42は、アナログ信号S3の電圧値と基準電圧源RVの電圧値とを比較する。上述の通り、送風装置160のファン161の回転が停止している場合、基準電圧源RVの電圧値がアナログ信号S3の電圧値よりも大きくなるため、比較器42は、2値信号S4として「偽」の値を出力する。
【0129】
続いて、第一制御器44は、2値信号S4の値が「偽」であるため、信号源SVの電圧を遮断する。すなわち、2値信号S6として「偽」の値を出力する。
【0130】
なお、この場合においては、2値信号S9の値が「偽」であるため、報知手段49は、鳴動しない。
【0131】
(送風装置160が異常な状態で画像形成動作のジョブを開始する場合)
まず、画像形成装置10において、2値信号S0が「真」である(画像形成動作のジョブを開始する)場合に、制御装置50は、2値信号S1として「真」の値を出力する。
【0132】
続いて送風装置160は、2値信号S1に基づいて、ファン161の回転駆動を開始する。ここで、送風装置160が異常の場合、例えば、ファン161の回転数が、設計時に意図した回転数よりも小さい場合、送風装置160が出力する風量は、正常時と比べて減少する。そして、送風装置160は、パルス信号S2としてファン161の回転数に応じたパルス数の信号を出力する。
【0133】
続いて変換器VCは、パルス信号S2のパルス数に基づいて、アナログ信号S3として電圧値を出力する。
【0134】
続いて、比較器42は、アナログ信号S3の電圧値と基準電圧源RVの電圧値とを比較する。上述の通り、送風装置160のファン161の回転数が正常な状態よりも減少した場合、基準電圧源RVの電圧値がアナログ信号S3の電圧値よりも大きくなるため、比較器42は、2値信号S4として「偽」の値を出力する。
【0135】
続いて、AND回路LCは、2値信号S1の値が「真」であっても、2値信号S4の値が「偽」であるため、2値信号S5として「偽」の値を出力する。
【0136】
続いて、第一制御器44は、2値信号S4の値が「偽」であるため、信号源SVの電圧を遮断する。すなわち、2値信号S6として「偽」の値を出力する。この結果、2値信号S6が偽であるため、2値信号S7の値に拠らず2値信号S8の値が「偽」となり、ヒータ106は駆動されない。
【0137】
なお、2値信号S4の値が「偽」である場合、制御部40の制御装置50は、2値信号S5の値が、「偽」であるため、2値信号S7として「偽」の値を出力する。また制御部40は、2値信号S0が「真」で、かつ2値信号S5が「偽」の値であるため、2値信号S9として「真」の値を出力する。2値信号S9の値が「真」であるため、報知手段49は、鳴動する。
【0138】
また、2値信号S7が「偽」である場合、第二制御器46は、2値信号S8として「偽」の値を出力する。このため、例えば第一制御器44が誤動作により、2値信号S6として「真」の値を出力した場合においても、第二制御器46が2値信号S8として「偽」の値を出力することで、ヒータ106は駆動されない。すなわち、第二制御器46は、第一制御器44のバックアップとして機能する。
【0139】
このように、本実施形態における定着装置100では、送風装置160が異常な状態で画像形成動作のジョブが開始する場合においては、ヒータ106が三相交流電源ACから電気的に遮断された状態を保つ。
【0140】
(画像形成動作のジョブを開始した後に、送風装置160が異常な状態となった場合)
画像形成動作のジョブを開始した後に、送風装置160が異常な状態となった場合、例えば、ファン161の回転数が、設計時に意図した回転数よりも小さくなった場合、送風装置160が出力する風量は、正常時と比べて減少する。そして、送風装置160は、パルス信号S2としてファン161の回転数に応じたパルス数の信号を出力する。
【0141】
続いて変換器VCは、パルス信号S2のパルス数に基づいて、アナログ信号S3として電圧値を出力する。
【0142】
続いて、比較器42は、アナログ信号S3の電圧値と基準電圧源RVの電圧値とを比較する。上述の通り、送風装置160のファン161の回転数が正常な状態よりも減少した場合、基準電圧源RVの電圧値がアナログ信号S3の電圧値よりも大きくなるため、比較器42は、2値信号S4として「偽」の値を出力する。
【0143】
続いて、AND回路LCは、2値信号S1の値が「真」であっても、2値信号S4の値が「偽」であるため、2値信号S5として「偽」の値を出力する。
【0144】
続いて、第一制御器44は、2値信号S4の値が「偽」であるため、信号源SVの電圧を遮断する。すなわち、2値信号S6として「偽」の値を出力するため、2値信号S7の値に拠らず2値信号S8の値が「偽」となるため、ヒータ106は駆動されない。
【0145】
なお、制御部40は、2値信号S5の値が、「偽」であるため、2値信号S7として「偽」の値を出力する。また制御部40は、2値信号S0が「真」で、かつ2値信号S5が「偽」の値であるため、2値信号S9として「真」の値を出力する。2値信号S9の値が「真」であるため、報知手段49は、鳴動する。
【0146】
また、2値信号S7が「偽」である場合、第二制御器46は、2値信号S8として「偽」の値を出力する。このため、例えば第一制御器44が誤動作により、2値信号S6として「真」の値を出力した場合においても、第二制御器46が2値信号S8として「偽」の値を出力することで、ヒータ106は駆動されない。すなわち、第二制御器46は、第一制御器44のバックアップとして機能する。
【0147】
このように、本実施形態における定着装置100では、画像形成動作のジョブを開始した後に送風装置160が異常な状態となった場合においては、ヒータ106の加熱が停止する。言い換えれば、本実施形態における制御部40は、加熱部102が起動している状態において送風装置160の停止を検知した場合に加熱部102を停止させる。
【0148】
続いて、本実施形態における定着装置100及び画像形成装置10の作用及び効果について説明する。
【0149】
(作用及び効果)
送風装置160が停止した状態で加熱部102が起動した場合、記録媒体Pが過剰に加熱される可能性がある。ここで、本実施形態における定着装置100は、制御部40が送風装置160の動作を検知した場合に加熱部102を起動させる。このため、本実施形態における定着装置100によれば、送風装置160が停止した状態で加熱部102を起動させる定着装置100と比べて、搬送装置16が停止した場合に記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制することができる。
【0150】
また、加熱部102が起動している状態において、送風装置160が停止した場合に、記録媒体Pが過剰に加熱される可能性がある。ここで、本実施形態における定着装置100は、制御部40が送風装置160の停止を検知した場合に加熱部102を停止させる。このため、本実施形態における定着装置100によれば、送風装置160が動作不良の状態で加熱部102の稼働を継続する定着装置100と比べて、記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制することができる。
【0151】
また、本実施形態における定着装置100における制御部40は、定着動作を停止する際に、加熱部102の動作を停止させたあとに送風装置160を停止させる。このため、本実施形態における定着装置100によれば、定着動作を停止する際に、送風装置160の停止が加熱部102の停止よりも先とされている定着装置100と比べて、搬送装置16が停止時に記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制することができる。
【0152】
また、本実施形態における定着装置100における制御部40は、第一検知部D1が送風装置160から出力されるパルス信号S2に基づいて、送風装置160の動作状態を検知する。このため、本実施形態における定着装置100によれば、制御部40が送風装置160を駆動させる2値信号S1のみを検知する定着装置100と比べて、記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制することができる。
【0153】
また、本実施形態における定着装置100における制御部40は、送風装置160を駆動させる2値信号S1を検知する第二検知部D2をさらに有している。このため、本実施形態における定着装置100によれば、制御部40が検知部として第一検知部D1のみを有する定着装置100と比べて、送風装置160の動作状態の誤検知の可能性を低減することができる。
【0154】
また、本実施形態における定着装置100は、制御部40が加熱部102を停止させた場合に、加熱部102の動作状態を報知する報知手段49を有している。このため、本実施形態における定着装置100によれば、送風装置160の動作不良を検知した場合に制御部40が加熱部102を停止させるのみである定着装置100と比べ、加熱部102が停止したことをユーザーが認識しやすい。
【0155】
また、本実施形態における定着装置100は、加熱部102と送風装置160とが対向している領域の記録媒体Pの搬送方向は、水平方向に対して傾いている。このため、本実施形態における定着装置100によれば、加熱部102と送風装置160とが対向している領域の記録媒体Pの搬送方向が水平方向である場合と比べ、加熱部102と送風装置160とが対向している領域から記録媒体Pが排出されやすい。
【0156】
また、本実施形態における定着装置100は、加熱部102に対して記録媒体Pの搬送方向の下流側に、加熱ロール130及び加圧ロール140を有する定着ユニット120をさらに備えている。このため、本実施形態における定着装置100によれば、記録媒体Pを加熱して搬送し、記録媒体Pにトナー画像を定着させることができる。
【0157】
また、本実施形態における画像形成装置10は、本実施形態における定着装置100を構成に備えている。このため、本実施形態における画像形成装置10によれば、送風装置160が停止した状態で加熱部102を稼働する定着装置100を備える画像形成装置10と比べて、記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制することができる。
【0158】
(変形例)
なお、上述の説明では、定着装置100には、回転しながら記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを加熱する一対の回転体が設けられていたが、これに限定されない。例えば、加熱部102における記録媒体Pへの加熱によりトナー像を記録媒体Pに定着させる場合、定着装置100は、一対の回転体を有していない構成とされてもよい。
【0159】
また、上述の説明では、定着装置100は、加熱部102と送風装置160とが対向している領域の記録媒体Pの搬送方向は、水平方向に対して傾いていたが、これに限定されず、搬送方向は水平方向と一致していてもよい。
【0160】
また、上述の説明では、定着装置100は、制御部40が加熱部102を停止させた場合に、加熱部102の動作状態を報知する報知手段49をさらに備えていたが、報知手段49を備えていない構成とされていてもよい。
【0161】
また、上述の説明では、制御回路CCには、第一制御器44及び第二制御器46が組み込まれていたが、第一制御器44及び第二制御器46のうちいずれか一方のみを有する構成としてもよい。すなわち、第一制御器44のみが組み込まれ、2値信号S7に基づく第二制御器46を有していない構成としてもよく、第二制御器46のみが組み込まれ、2値信号S4に基づく第一制御器44を有していない構成としてもよい。
【0162】
また上述の説明では、制御部40は、定着動作を停止する際に、加熱部102を停止させた後に送風装置160を停止させていたが、加熱部102よりも先に送風装置160を停止させてもよい。例えば、制御装置50は、2値信号S0が「真」又は「偽」の値となってから、予め定められた時間が経過した後に2値信号S1を出力していたが、これに変えて、2値信号S0の値の検知をしてから速やかに2値信号S1を出力してもよい。
【0163】
また上述の説明では、制御部40は、加熱部102が起動している状態において送風装置160の停止を検知した場合に、加熱部102を停止させた後に送風装置160を停止させていたが、加熱部102よりも先に送風装置160を停止させてもよい。
【0164】
このような変形例においても、上述の説明と同様に、搬送装置16が停止した場合に、記録媒体Pが過剰に加熱されることを抑制する定着装置100を得ることができる。
【0165】
(その他の変形例)
なお、上述の説明では、画像形成装置10の一例としてトナー画像を電子写真方式により記録媒体Pにトナー像を形成する機能を有していたが、これに限定されない。例えば、インクを用いて記録媒体Pに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置10においても、インクが塗布された記録媒体Pの表面を加熱し、インクの溶媒を揮散させて画像を定着させる定着装置100として適用される。
【0166】
また、上述の説明では、記録媒体Pとは、一例として枚葉紙とされていたが、これに限定されず、例えば、耐熱樹脂製のフィルムや、金属フィルムなどであってもよい。
【0167】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0168】
なお、以下に本開示の好ましい態様を更に示す。
【0169】
(((1)))
記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、前記記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、
前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、
前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有し、前記検知部が前記送風装置の動作を検知した場合に前記加熱部を起動させる制御部と、
を備える、定着装置。
【0170】
(((2)))
前記制御部は、前記加熱部が起動している状態において前記送風装置の停止を検知した場合に前記加熱部を停止させる、
(((1)))の定着装置。
【0171】
(((3)))
記録媒体を搬送する搬送装置による前記記録媒体の搬送経路に配置され、記録媒体の表面を非接触で加熱する加熱部と、
前記加熱部に対向して配置され、前記記録媒体の裏面に送風する送風装置と、
前記送風装置の動作状態を検知する検知部を有すると共に、前記検知部が前記送風装置の停止を検知した場合に、前記加熱部を停止させる制御部と、
を備える、定着装置。
【0172】
(((4)))
前記制御部は、定着動作を停止する際に、前記加熱部を停止させた後に前記送風装置を停止させる、
(((1)))から(((3)))のいずれか1の、定着装置。
【0173】
(((5))))
前記検知部は、専用回路に構成され、前記送風装置から出力される信号に基づいて前記送風装置の動作状態を検知する第一検知部を含む、
(((1)))から(((4)))のいずれか1の、定着装置。
【0174】
(((6)))
前記検知部は、プロセッサとソフトウェアの協働により前記送風装置から出力される信号に基づいて前記送風装置の動作状態を判断して検知する第二検知部をさらに含み、
前記制御部は、前記第一検知部及び前記第二検知部の少なくとも一方が前記送風装置の停止を検知した場合に、前記加熱部を停止させる、
(((5)))の、定着装置。
【0175】
(((7)))
前記制御部が前記加熱部を停止させた場合に、前記加熱部の動作状態を報知する報知手段をさらに備える、
(((2)))から(((6)))のいずれか1の、定着装置。
【0176】
(((8)))
前記送風装置は、前記記録媒体の搬送経路よりも下方に配置され、
前記加熱部と前記送風装置とが対向している領域の前記記録媒体の搬送方向は、水平方向に対して傾いている、
(((1)))から(((7)))のいずれか1の、定着装置。
【0177】
(((9)))
前記記録媒体の搬送方向において、前記加熱部の下流側に配置され、回転しながら前記記録媒体を挟んで前記記録媒体を加熱する一対の回転体をさらに備える、
(((1)))から(((8)))のいずれか1の定着装置。
【0178】
(((10)))
前記記録媒体にトナー画像を形成する形成部と、
前記トナー画像が形成された前記記録媒体を搬送する前記搬送装置と、
前記トナー画像を前記記録媒体に定着させる(((9)))の定着装置と、
を備える、画像形成装置。
【0179】
(((1)))の定着装置によれば、送風装置により記録媒体を非接触とさせながら記録媒体を加熱する加熱部を有する定着装置において、送風装置が停止した状態で加熱部を起動させる定着装置と比べて、搬送装置が停止した場合に記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
(((2)))の定着装置によれば、送風装置が動作不良の状態で加熱部の稼働を継続する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
(((3)))の定着装置によれば、送風装置により記録媒体を非接触とさせながら記録媒体を加熱する加熱部を有する定着装置において、送風装置が動作不良の状態で加熱部の稼働を継続する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
(((4)))の定着装置によれば、定着動作を停止する際に、送風装置の停止が加熱部の停止よりも先とされている定着装置と比べて、搬送装置が停止時に記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
(((5)))の定着装置によれば、制御部が送風装置を駆動させる信号のみを検知する定着装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
(((6)))の定着装置によれば、制御部が検知部として第一検知部のみを有する定着装置と比べて、送風装置の動作状態の誤検知の可能性を低減することができる。
(((7)))の定着装置によれば、送風装置の動作不良を検知した場合に制御部が加熱部を停止させるのみである定着装置と比べ、加熱部が停止したことをユーザーが認識しやすい。
(((8)))の定着装置によれば、加熱部と送風装置とが対向している領域の記録媒体の搬送方向が水平方向である場合と比べ、加熱部と送風装置とが対向している領域から記録媒体が排出されやすい。
(((9)))の定着装置によれば、記録媒体を加熱して搬送し、記録媒体にトナー画像を定着させることができる。
(((10)))の画像形成装置によれば、送風装置が停止した状態で加熱部を稼働する定着装置を備える画像形成装置と比べて、記録媒体が過剰に加熱されることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0180】
10 画像形成装置
12 画像形成部
16 搬送装置
18 排出部
20 トナー像形成部
30 転写装置
31 転写ベルト
34 二次転写部
40 制御部
42 比較器
44 第一制御器
46 第二制御器
48 継電器
49 報知手段
50 制御装置
60 搬送機構
66 チェーングリッパ
72 チェーン
76 グリッパ
80 反転機構
100 定着装置
102 加熱部
104 反射板
106 ヒータ
112 金網
120 定着ユニット
130 加熱ロール
140 加圧ロール
150 従動ロール
160 送風装置
161 ファン
180 送風板
181 対向面
182 送風孔
D1 第一検知部
D2 第二検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8