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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074716
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】自転車用サドル及び自転車
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/00 20060101AFI20240524BHJP
   B62J 1/28 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B62J1/00 B
B62J1/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186059
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】522456109
【氏名又は名称】株式会社BULL PASSION
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】東 隆志
(72)【発明者】
【氏名】垣花 創
(72)【発明者】
【氏名】垣花 巧
(57)【要約】
【課題】 自転車に乗る際の便宜性を高め、且つ座り心地も良好な自転車用サドルの提供を目的とする。
【解決手段】本発明の自転車用サドルは、自転車の運転者の臀部を載せるための自転車用サドルであって、サドル外郭の前方端部が直線状若しくは僅かな曲線を有するノーズレス形状であり、サドル外郭後方部に沿って座面より突出する突条部を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の運転者の臀部を載せるための自転車用サドルであって、サドル外郭の前方端部が直線状若しくは僅かな曲線を有するノーズレス形状であり、サドル外郭後方部に沿って座面より突出する突条部を有することを特徴とする自転車用サドル。
【請求項2】
請求項1記載の自転車用サドルであって、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭同士を結んだ線からのサドル前方中央端部の突出量が5センチ以下であることを特徴とする自転車用サドル。
【請求項3】
請求項1記載の自転車用サドルであって、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭の接線の交点に対してサドル前方中央端部が同じ若しくは後ろ側に位置することを特徴とする自転車用サドル。
【請求項4】
請求項1記載の自転車用サドルであって、運転者の背中側に当接する背もたれ部を有することを特徴とする自転車用サドル。
【請求項5】
請求項1記載の自転車用サドルを搭載した自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車の運転手が座る自転車用サドルとそれを用いた自転車に関する。
【背景技術】
【0002】
人の移動手段の1つとして、自転車は古くから利用されており、最近では自分で漕いで前進するものに限らずに電動の自転車などもあり、自転車に搭載された電動機が運転手を支援するようなタイプのものも知られる。また一般に、自転車は自動車などに比べて近距離で手軽な移動に適しており、通勤や通学での利用の他、近所への買い物や自転車に乗ることを目的とする遊びやスポーツなどその用途は大きく広がっている。
【0003】
自転車に乗る際に、運転者が座る部分はサドルと呼ばれており、通常は前方に突き出した細幅のノーズ部から後方へ徐々に幅広に拡大した運転手の臀部を載せる部分を有しており、運転手が自転車を漕ぐ場合には、内股とサドル側部の干渉がないような形状とされている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3074962号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状の細幅のノーズ部が存在するサドルでは、自転車に乗る際に、一旦サドルを跨ぐようにする必要があり、怪我などで足を高く上げられない場合や股関節を開くことに制限がある場合には使い勝手が良くない。また、電動機による支援から運転者が自分の足を動かさなくても必要な推進力を得られる技術もあり、その場合にはサドルの機能としては座り心地を高める工夫が求められている。
【0006】
そこで、本発明は上述の技術的な課題に鑑み、自転車に乗る際の便宜性を高め、且つ座り心地も良好な自転車用サドルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の自転車用サドルは、自転車の運転者の臀部を載せるための自転車用サドルであって、サドル外郭の前方端部が直線状若しくは僅かな曲線を有するノーズレス形状であり、サドル外郭後方部に沿って座面より突出する突条部を有することを特徴とする。サドル外郭の前方端部が直線状若しくは僅かな曲線を有するノーズレス形状とすることで、サドル前方のノーズ部は形成されずに椅子などの座面に近い形状となる。このような自転車用サドルの1つの実施形態としては、例えば、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭同士を結んだ線からのサドル前方中央端部の突出量が5センチ以下であることを特徴とすることもでき、或いは運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭の接線の交点に対してサドル前方中央端部が同じ若しくは後ろ側に位置することを特徴とすることもできる。サドル外郭後方部に沿って突条部を有する構成とすることで、運転者がサドル上に座っている際に、運転者が正しい位置に座っているかどうかが分かり、運転者のサドルの座面からの脱落を防止できる。
【0008】
また、このような自転車用サドルの1つの実施形態としては、運転者の背中側に当接する背もたれ部を有する構造とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態の自転車用サドルを取り付けた自転車の模式的な側面図である。
図2】本発明の実施形態の自転車用サドルの側断面図である。
図3】本発明の実施形態の自転車用サドルの斜視図である。
図4】本発明の他の実施形態の自転車用サドルの斜視図である。
図5】本発明の更に他の実施形態の自転車用サドルの斜視図である。
図6】本発明のまた更に他の実施形態の自転車用サドルの斜視図である。
図7】前記他の実施形態の自転車用サドルの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態かかる自転車用サドルとその自転車用サドルを取り付けた自転車について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の自転車用サドルを取り付けた自転車の模式的な側面図であり、自転車10は、前輪12と後輪14の2つの車輪を具備する典型的な2輪車であって、前輪12と後輪14の間に配されたフレーム16の前端から下方に伸びたフロントフォーク15の前輪12か回転自在に挟持され、後輪14はフレーム16の後方部に挟持され、一対のペダル20に連結されるギアにチェーン22で伝えられる駆動力で回転される。後輪14とチェーン22の間には、図示しない変速ギアも介在し、ギアの段を変えることで変速をすることもできる。フロントフォーク15の上端には、本自転車10の運転者が進行方向やブレーキの操作をするためのハンドル24が設けられ、ハンドル24を操作することで進行方向の舵取りをすることができる。
【0011】
フレーム16の後方側の立管部からサドル支柱17が突き出しており、そのサドル支柱17はブラケットを介してサドル18の底部に結合されている。サドル18は、自転車の運転手が自転車10を進行させたり停止させたりする際に座る構造を有する部材であり、金属製若しくは剛性の高い合成樹脂製の底板部34の上にクッション性を有する座部32が設けられている。この座部32の形状は、底板部34上で概ねマウンド状にサドル側端部が底部から徐々に盛り上がる形状を有しており、運転手の臀部が当接する座部32の表面は、運転手が座った際に臀部に膨らみに沿ってやや窪んだ凹部となり、その凹部からは左右方向の側部で運転手の臀部の位置を安定させるために少し盛り上がった形状を有する。また、座部32の座面は、前方方向がより低くなるような傾斜面とされ、前方に例えば5度乃至10度程度の傾斜した面となる。この傾斜の程度は調整できない構造とすることもでき、或いは調整できる構造とすることもできる。座部32の前方端部33は、直線状のノーズレス形状であり、特に前方端部33の中央で自転車前方に突き出す部分は存在しない。底板部34の上に取り付けられる座部32は、内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。座部32の後方には、上側に突き出る形状の突条部20が設けられており、突条部20を着脱しないように固定的に配設することもでき、突条部20を座部32に対して着脱するように設けることもできる。突条部20は、自転車の運転時に運転手が座部32から後方に脱落しないように設けられ、座部32と同様に内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。
【0012】
底板部34の底面には左右一対のサドルレール36が前方からやや斜め後方に亘って延長されており、サドルレール36の前端部は底板部34から下方に突出される形で取り付けられているが、サドルレール36の後端部には引張り円錐バネなどのバネ38が左右一対設けられ、これらのバネ38の伸縮動作は上下動に対するサドルレール36の緩衝部材として機能する。
【0013】
底板部34の底面の中心には、背もたれ支持部材35の前方端を保持する保持部材31が取り付けられており、背もたれ支持部材35の前方端を嵌合させ、さらに図示しない螺子で固定する。背もたれ支持部材35の他端には、背もたれ部材19がその嵌合穴39に背もたれ支持部材35の他端を差し込むようにして保持されており、図示しない螺子で背もたれ部材19を背もたれ支持部材35に固定する。背もたれ部材19の位置は、螺子止めによって調節することができ、背もたれ支持部材35の他端と背もたれ部材19の嵌合穴39の係合する長さによって、背もたれ部材19の高さ方向の位置を調整できる。また、背もたれ部材19の角度を手回し可能な螺子などにより調整できるような構造とすることもできる。背もたれ部材19の前面側には、クッション性を付与するためのクッション部を設けることもでき、内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることもできる。なお、運転に際して背もたれ部材19を取り外すこともできる。
【0014】
図3はサドル18の座部32と突条部20を示す斜視図である。上から見た場合の平面形状が角丸の四角形であるサドル18は後方側においても概ね直線状で角丸なサドル外郭を有し、突条部20はサドル18のサドル外郭後方部に沿ってサドル18の座面32より突出する。突条部20の突出は、座面32の後方側の2つの角もそれぞれ回り込むように延長されており、運転手の臀部の左右に至るところでは、突条部20は徐々に高さが低くなる形状とされている。
【0015】
本実施形態の自転車用サドルでは、このようなノーズレス形状とされることから、自転車に乗る際の便宜性を高めることができ、特に図示をしていないが、電動アシスト機能がある自転車では、運転者が足で漕ぐ必要性も低くなることから、より運転者の座り心地が求められ、本実施形態の自転車用サドルはそのような求めに応じた快適感を提供できる。本実施形態の自転車用サドルの座部の後方に形成される突条部によって、運転手は臀部からのその突条部に触れる感覚で座る位置を確実に把握することでき、運転手が後方に脱落するような事故も未然に防ぐことができる。また、本実施形態の自転車用サドルでは、気軽に椅子に座るような感覚で自転車の乗ることができるため、1つの趣向としての自転車に乗る楽しさを増加させることできる。
【0016】
図4乃至図6は本実施形態の自転車用サドルの変形例を示す。背もたれ部材は図示を省略しているが、背もたれ部材を本実施形態の自転車用サドルに任意に付加することが可能である。図4に示す自転車用サドル40は、略楕円形の座部42を有し、座部42の前方端部43は、緩やかな曲線状のノーズレス形状である。座部42は、図示しない底板部に取り付けられるクッション性のある部材であって、内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。また、座部42の後方には、運転手の後方への脱落を防ぐために曲線を描くサドル外郭後方部に沿って上側に突き出る形状の突条部44が設けられており、突条部44は座部42と同様に内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。
【0017】
図5に示す自転車用サドル50は、上から見た場合の平面形状として略長方形の座部52を有し、座部52の前方端部53は、直線状のノーズレス形状である。座部52は、図示しない底板部に取り付けられるクッション性のある部材であって、内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。また、座部52の後方には、運転手の後方への脱落を防ぐために曲線を描くサドル外郭後方部に沿って上側に突き出る形状の突条部54が設けられており、突条部54は座部52と同様に内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。
【0018】
図6に示す自転車用サドル60は、上から見た場合の平面形状として2つの島形状を結合した座部62を有し、座部62の前方端部63は、島の外郭を連続させた2つの曲線を結合するようなノーズレス形状である。座部62は、図示しない底板部に取り付けられるクッション性のある部材であって、内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。また、座部62の後方には、運転手の後方への脱落を防ぐために曲線を描くサドル外郭後方部に沿って上側に突き出る形状の突条部64が設けられており、突条部64は座部62と同様に内部に発泡系樹脂、樹脂綿、ジェルなどを有した反発性の素材を樹脂製布若しくは合成皮革などで袋状に包んだ構成とすることができる。
【0019】
以上のような構造を有する本実施形態の自転車用サドルは、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭同士を結んだ線からのサドル前方中央端部の突出量が5センチ以下とされ、好ましくは3センチ以下であり、より好ましくは2センチ以下とされる。また、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭の接線の交点に対してサドル前方中央端部が同じ若しくは後ろ側に位置するように構成することができる。図7は本実施形態の自転車用サドルの構造を示す平面図であり、サドルの座部72の前方端部73は緩やかな凸状の外郭を有し、中心点77Cは、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭点77L、77Rを結んだラインよりも前方位置している。この中心点77Cの前方への突出量D1は、本実施形態では、5センチ以下とされ、好ましくは3センチ以下であり、より好ましくは2センチ以下とされる。図5に示したサドルでは、中心点77Cの前方への突出量D1は極めて小さな値となる。また、図6に示した2つの島状領域を結合させた形状では、中心点77Cの前方への突出量D1はマイナスの値ともなり得る。
【0020】
また、図7において、運転者の両大腿部の下部におけるサドル外郭の接線R1、L1の交点C1は、中心点77Cよりも前方であり、言い換えれば、サドル前方中央端部77Cがサドル外郭の接線R1、L1の交点C1よりも同じ若しくは後ろ側に位置するように構成される。このような構成により、運転者の両大腿部の下部に荷重をかけた場合でも、サドル前方中央端部が運転操作の邪魔になることもなく、快適な運転姿勢を保つことができ、さらに積極的に足を使わない場合においても快適な自転車操作が可能となる。
【0021】
本実施形態の自転車用サドルでは、上述の構造から、自転車に乗る際の便宜性を高めることができ、本実施形態の自転車用サドルの座部の後方に形成される突条部によって、運転手は臀部からのその突条部に触れる感覚で座る位置を確実に把握することでき、運転手が後方に脱落するような事故も未然に防ぐことができる。また、本実施形態の自転車用サドルでは、背もたれ部も含めて、気軽に椅子に座るような感覚で自転車の乗ることができるため、1つの趣向としての自転車に乗る楽しさを増加させることできる。
【符号の説明】
【0022】
10 自転車
12 前輪
14 後輪
15 フロントフォーク
16 フレーム
17 サドル支柱
18 サドル
19 背もたれ部材
20 突条部
21 ギア
22 チェーン
23 ペダル
24 ハンドル
31 保持部材
32 座部
33 前方端部
34 底板部
35 背もたれ支持部材
36 サドルレール
38 バネ
39 嵌合穴
40 自転車用サドル
42 座部
43 前方端部
44 突条部
50 自転車用サドル
52 座部
53 前方端部
54 突条部
60 自転車用サドル
62 座部
63 前方端部
64 突条部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7