(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007472
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置
(51)【国際特許分類】
G01N 22/00 20060101AFI20240110BHJP
G01N 27/72 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N22/00 J
G01N22/00 Y
G01N27/72
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023107063
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/855,473
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジャンニ タラスキー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ パンセ
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AB07
2G053BA02
2G053BA04
2G053BA05
2G053BC07
2G053CA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置を提供する。
【解決手段】内部キャビティ402と取外可能カバーとを有するハウジングで400であって、前記カバーを有する前記ハウジングが、電磁共振チャンバ406を形成する、ハウジングと、材料サンプルを収容するように構成されている容器102であって、容器と、前記ハウジングのx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線104、106であって、前記キャビティの電磁共振モードに結合するように配置および構成されており、かつ、前記キャビティ内において前記1つ以上の共振器と前記ハウジングの側壁408のうちの一方との間に少なくとも部分的に配置されている周波数チューナ110であって、y軸に沿って移動可能であるように固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置であって、
内部キャビティと取外可能カバーとを有するハウジングであって、前記ハウジングと取り付けられている前記カバーとの組合せが、電磁共振チャンバを形成する、ハウジングと、
前記材料のサンプルを収容するように構成されている容器であって、前記ハウジングの対向する側壁を通じて前記ハウジングのy軸に沿って延び、前記キャビティのx-y-z中心点を通過する、容器と、
前記ハウジングのx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線であって、前記キャビティの電磁共振モードに結合するように配置および構成されている、電気信号線と、
前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている1つ以上の共振器であって、固定されているかまたは前記y軸に対して移動可能であるように固定されている、1つ以上の共振器と、
前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記1つ以上の共振器と前記ハウジングの前記側壁のうちの一方との間に少なくとも部分的に配置されている周波数チューナであって、前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、周波数チューナと、を備える、装置。
【請求項2】
前記1つ以上の共振器は、前記y軸に対し移動可能であるように固定されている1つ以上の誘電体共振器である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の電磁特性は磁気特性であり、
前記1つ以上の誘電体共振器は、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている第1の誘電体共振器パックおよび第2の誘電体共振器パックを含み、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿って互いに対し移動可能であるように固定されているとともに、間隙によって分離されており、
前記周波数チューナは、誘電体周波数チューナパックを含み、前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの一方と前記ハウジングの1つの側壁との間に配置されており、前記誘電体周波数チューナパックは前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の電磁特性は透磁率および磁気損失正接を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている誘電体保持器によって、互いに対し移動可能であるように固定されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記誘電体保持器は、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックの各側に1つのナットが配置されている2対のナットを含み、前記ナットは、前記容器と螺合する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器と螺合する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは第1の誘電体材料から形成され、
前記誘電体保持器は第2の誘電体材料から形成される、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の誘電体材料の誘電率は、前記第2の誘電体材料の誘電率よりも大きい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記誘電体周波数チューナパックは前記第1の誘電体材料から形成される、請求項10に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの所与の1つは第1の体積の材料から形成され、
前記誘電体保持器のうちの所与の1つは第2の体積の材料から形成され、
前記誘電体周波数チューナパックは第3の体積の材料から形成され、
前記第1の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きく、前記第3の体積の材料よりも大きく、
前記第3の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きい、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
すべての前記誘電体保持器の前記第2の体積の材料をまとめたものは、第1の誘電体共振器パックおよび第2の誘電体共振器パックの前記第1の体積の材料をまとめたものの50%未満である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の電磁特性は電気特性であり、
前記周波数チューナは、金属または高誘電率材料から形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の電磁特性は誘電率および誘電損失正接を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の共振器は、前記y軸に沿った運動自由度を持たないように固定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記周波数チューナは前記容器と螺合する、請求項1に記載の装置。
【請求項17】
前記周波数チューナは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている保持器によって、移動可能であるように固定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記材料のサンプルは、請求項3および請求項13の両方の装置とともに使用可能な特定のサンプルである、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
材料のサンプルの磁気特性を測定する方法であって、
請求項3に記載の装置を使用する工程と、
前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、
2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与して前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックを共振させる工程と、
ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記第1の誘電体共振器パックと前記第2の誘電体共振器パックとの間の前記間隙を前記y軸に沿って調整して粗チューニング調整を行い、前記周波数チューナを前記y軸に沿って調整して微チューニング調整を行う工程であって、前記粗チューニング調整および前記微チューニング調整により、前記第1の共振器パックおよび前記第2の共振器パックおよび特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTEモードにより共振する、工程と、
前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの透磁率および磁気損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【請求項20】
材料のサンプルの電気特性を測定する方法であって、
請求項13に記載の装置を使用する工程と、
前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、
2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与する工程と、
ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記1つ以上の共振器の位置を前記y軸に沿って調整することによって周波数チューニング条件を前記y軸に沿って調整し、その結果、前記1つ以上の共振器および特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTMモードにより共振する、工程と、
前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの誘電率および誘電損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置に関し、詳細には、材料のサンプルの磁気特性および誘電特性のうちの少なくとも一方を測定するための装置に関し、より詳細には、同じ材料のサンプルの磁気特性および誘電特性を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための既存の装置は、例えば、同軸プローブと、伝送線路と、自由空間における送信機および受信機と、共振キャビティと、平行板と、トロイダルインダクタと、を備える。
【0003】
材料のサンプルの電磁特性を測定するための既存の装置は、自身の意図された目的に適し得るが、材料のサンプルの複数の電磁特性を測定する技術、詳細には、材料のサンプルの磁気材料特性および誘電材料特性の両方を測定する技術は、同じ材料のサンプルの磁気特性および誘電特性の両方を測定するために使用され得る装置によって進歩する。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態は、添付の独立請求項によって定められる、材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置を含む。材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置のさらなる有利な修正は、添付の従属請求項によって定められる。
【0005】
一実施形態では、材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置は、内部キャビティと取外可能カバーとを有するハウジングであって、前記ハウジングと取り付けられている前記カバーとの組合せが、電磁共振チャンバを形成する、ハウジングと、前記材料のサンプルを収容するように構成されている容器であって、前記ハウジングの対向する側壁を通じて前記ハウジングのy軸に沿って延び、前記キャビティのx-y-z中心点を通過する、容器と、前記ハウジングのx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線であって、前記キャビティの電磁共振モードに結合するように配置および構成されている、電気信号線と、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている1つ以上の共振器であって、固定されているかまたは前記y軸に対して移動可能であるように固定されている、1つ以上の共振器と、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記1つ以上の共振器と前記ハウジングの前記側壁のうちの一方との間に少なくとも部分的に配置されている周波数チューナであって、前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、周波数チューナと、を備える。
【0006】
一実施形態では、材料のサンプルの磁気特性を測定する方法は、上記の装置を使用する工程と、特定の前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで特定の前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与して前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックを共振させる工程と、ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パック間の前記間隙を前記y軸に沿って調整して粗チューニング調整を行い、前記周波数チューナを前記y軸に沿って調整して微チューニング調整を行う工程であって、前記粗チューニング調整および前記微チューニング調整により、前記第1の共振器パックおよび前記第2の共振器パックおよび特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTEモードにより共振する、工程と、前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの透磁率および磁気損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える。
【0007】
一実施形態では、材料のサンプルの電気特性を測定する方法は、前記の装置を使用する工程と、特定の前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで特定の前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与する工程と、ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記1つ以上の共振器の位置を前記y軸に沿って調整することによって周波数チューニング条件を前記y軸に沿って調整し、その結果、前記1つ以上の共振器および特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTMモードにより共振する、工程と、前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの誘電率および誘電損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える。
【0008】
本発明の上記の特徴および利点ならびに他の特徴および利点は、添付の図面に関連して考慮されるとき、本発明の以下の詳細な記載から容易に明らかになる。
例示的であり非限定的な図面を参照する。添付の図面では、同様の要素には同様の番号が付されているか、または同様に図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に従う、材料のサンプルの横電気(TE)モードを介して透磁率μ及び磁気損失正接δμを測定するための装置の第1の部分の上から見た平面図。
【
図2】一実施形態に従う、
図1の材料のサンプルの横磁気(TM)モードを介して誘電率(ε)および誘電損失正接(δε)を測定するための装置の第2の部分の上から見た平面図。
【
図3A】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3B】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3C】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3D】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3E】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3F】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3G】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3H】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図3I】一実施形態に従う、
図1の第1の部分の例示的な構成の組立工程を順に示す図。
【
図4A】一実施形態に従う、電界強度がプロットされたTEモードにより共振するように構成された第1の部分の解析的電磁性能特性を示す図。
【
図4B】一実施形態に従う、材料の試験サンプルがその場にある場合とない場合との
図4Aに示される再構成可能共振器応答を示す図。
【
図4C】一実施形態に従う、磁界強度がプロットされたTMモードにより共振するように構成された第2の部分の解析的電磁性能特性を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当業者は、本明細書において以下にさらに記載される図面は、例示を目的とするだけであることを理解する。説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される要素は、必ずしも一定の縮尺に描かれていないことが認識される。例えば、いくつかの要素の寸法または縮尺は、明確さのため、他の要素に対して誇張されていることがある。さらに、適切であると考えられる場合、参照番号は、対応する要素または類似の要素を示すように図面間において繰り返されてよく、または類似の要素は、すべての図面において繰り返し列挙されなくてよく、そうした列挙は、存在しない場合、本質的に開示されることが認識および理解される。
【0011】
本明細書において使用される際、「実施形態」という語句は、「本明細書において開示および/または示される実施形態」を意味する。これは、添付の特許請求の範囲に係る発明の特定の実施形態を必ずしも包含しないことがあるが、それにもかかわらず、添付の特許請求の範囲に係る発明の完全な理解に有用であるものとして本明細書において提供される。
【0012】
以下の詳細な説明は、例示を目的として多くの詳細を含むが、当業者は、以下の詳細に対する多くの変形形態および代替形態が添付の特許請求の範囲内にあることを理解する。例えば、記載される特徴が他の記載される特徴に関して互いに排他的でない場合、互いに排他的でない特徴のそうした組み合わせは、本明細書において本質的に開示されていると考えられる。これに加えて、共通する特徴は、様々な図において共通して示され得るが、簡単のためにすべての図において具体的に列挙されない場合があるが、特定の図において列挙されない場合であっても、明示的に開示された特徴であるとして当業者によって認識される。したがって、以下の例示的な実施形態は、本明細書に開示される特許請求の範囲に記載の発明に対する一般性を失うことなく、かつ、特許請求の範囲に記載の発明に限定を課すことなく記載される。
【0013】
透磁率、誘電率、およびそれぞれの損失正接の測定を可能にする2つの共振ベースの測定システムが提案されている。2つの共振ベースの測定システムは、材料の同じサンプルを使用してよく、それによって、材料のサンプルの透磁率および誘電率を測定するために異なるサンプルを使用するときの差による潜在的な誤差を取り除き得る。
【0014】
第1の測定システムは、共振ベースの測定システムであり、透磁率および損失正接を測定する方法を実装するように使用される。
透磁率と透磁率のそれぞれの損失正接とを測定する第1のシステムは、基本TEモードにより動作する再構成可能な共振器を形成する複数の高誘電率「パック」を備える。システムは、パック間の相対距離を調整するターナーアセンブリを使用して、所望の測定周波数にチューニングされる。中心に穴を有する低誘電率シャフトは、サンプルが挿入されることを可能にし、それによって、次いで、システムの共振周波数をシフトさせる。周波数シフトは、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を使用して測定され、挿入されたサンプルの透磁率に比例する。これに加えて、応答曲線(Q)の3dB帯域幅も、VNAを使用して測定され、挿入されたサンプルの透磁率の損失正接に比例する。電磁シミュレーションは、上述の測定値と、共振器アセンブリ、金属キャビティ、およびシステムへの結合ループの仕様に依存するサンプル材料の透磁率および透磁率の損失正接との間のスケーリング関係を較正するように使用される。
【0015】
例示的な測定の工程は、以下を含む。
チューナを使用して、空のキャビティを、結合ループに結合されたVNAを使用して測定される所望の測定周波数にチューニングする。
【0016】
サンプルを挿入する。
VNAを使用して測定される応答曲線の共振周波数シフトおよびQを測定する。
サンプルを取り出し、サンプルの断面寸法を測定する。
【0017】
測定された周波数シフトおよびサンプルの断面寸法を、較正されたスケーリング関係へと入力して、透磁率を計算する。
測定されたQおよびサンプルの断面寸法を較正されたスケーリング関係へと入力して、透磁率の損失正接を計算する。
【0018】
第2の測定システムは、共振ベースの測定システムであり、材料のサンプルの誘電率および損失正接を測定する方法を実装するように使用される。
誘電率と誘電率のそれぞれの損失正接とを測定する第2のシステムは、金属または高誘電率材料から形成された共振器を備え、その共振器は、自身の基本TMモードにより動作する再構成可能な共振器を形成する。システムは、共振器と金属キャビティ内のチューナの金属表面との間の相対距離を調整するターナーアセンブリを用いて、所望の測定周波数にチューニングされる。チューナおよび共振器の中心にある穴は、サンプルが挿入されることを可能にし、サンプルは、システムの共振周波数をシフトさせる。周波数シフトは、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)を使用して測定され、挿入されたサンプルの誘電率に比例する。これに加えて、応答曲線(Q)の3dB帯域幅もVNAを使用して測定され、挿入されたサンプルの誘電率の損失正接に比例する。電磁シミュレーションは、上述の測定値と、共振器アセンブリ、金属キャビティ、およびシステムへの結合ループの仕様に依存するサンプル材料誘電率および誘電率の損失正接との間のスケーリング関係を較正するように使用される。
【0019】
例示的な測定の工程は、以下を含む。
チューナを使用して、空のキャビティを、結合ループに結合されたVNAを使用して測定される所望の測定周波数にチューニングする。
【0020】
サンプルを挿入する。
VNAを使用して測定される応答曲線の共振周波数シフトおよびQを測定する。
サンプルを取り出し、サンプルの断面寸法を測定する。
【0021】
測定された周波数シフトおよびサンプルの断面寸法を、較正されたスケーリング関係へと入力して、誘電率を計算する。
測定されたQおよびサンプルの断面寸法を較正されたスケーリング関係へと入力して、誘電率の損失正接を計算する。
【0022】
様々な図および添付の文章によって示され記載されるような実施形態は、材料の同じサンプルの電磁特性、特に透磁率および誘電率特性を測定するための装置を提供する。材料の1つのサンプルと材料の別のサンプルとの間の、材料特性に影響を及ぼし得る材料特性または物理的特性におけるわずかな差を打ち消すことができるため、材料の同じサンプルを透磁率測定と誘電率測定との両方に使用してよく、それによって測定の精度が大幅に改善されることに留意することが重要である。材料のサンプルは、固体、粉末、または液体であってよい。
【0023】
一実施形態では、
図1および
図2をまとめて参照すると、材料のサンプル500の1つ以上の電磁特性を測定するための装置100(第1の部分200および第2の部分300は、互いに別々に使用されてよく、別々のユニットとして一緒に使用されてよく、組み合わされたユニットとして一緒に使用されてもよいように、別々に示されている)が開示されている。第1の部分200(
図1参照)は、横電気(TE)モードを介して、材料のサンプル500の透磁率μおよび磁気損失正接δμなどの磁気特性を測定するのに有用である。第2の部分300(
図2参照)は、横磁気(TM)モードを介して、
図1に示されるような材料のサンプル500の誘電率εおよび誘電損失正接δεなどの電気特性を測定するのに有用である。一実施形態では、さらに
図1および
図2をまとめて参照すると、装置100の第1の部分200および第2の部分300の各々は、内部キャビティ402と取外可能カバー404とを有するハウジング400(
図3Aおよび
図3Iを参照すると最もよく見られる)であって、ハウジング400と取り付けられているカバー404との組合せが、キャビティ402の内側に電磁共振チャンバ406を形成する、ハウジング400と、材料のサンプル500を収容するように構成されている容器102であって、ハウジング400の対向する側壁408,410を通じてハウジング400のy軸に沿って延び、キャビティ402のx-y-z中心点412を通過する、容器102と、ハウジング400のx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線104,106であって、材料のサンプル500を有するキャビティ402の電磁共振モードに結合するように配置および構成されており、コネクタ116を介してハウジング400に接続されている、電気信号線104,106と、容器102の周りに容器102と中心を等しくするように配置されており、かつ、キャビティ402内に配置されている、1つ以上の共振器108であって、固定されているかまたはy軸に対して移動可能であるように固定されている、1つ以上の共振器108と、容器102の周りに容器102と中心を等しくするように配置されており、かつ、キャビティ402内において1つ以上の共振器108とハウジング400の側壁408,410のうちの一方との間に少なくとも部分的には配置されている、周波数チューナ110であって、y軸に沿って移動可能であるように固定されている、周波数チューナ110と、を備える。一実施形態では、ハウジング400およびカバー404は、例えば、アルミニウムなどであるがこれに限定されない非磁性金属材料から形成される。
【0024】
一実施形態では、ここで特に
図1を参照すると、1つ以上の共振器108は、容器102の周りに容器102と中心を等しくするように配置されており、かつ、キャビティ402内に配置されている第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2を含み、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2は、y軸に沿って互いに対し移動可能であるように固定されており、間隙112によって分離されている。一実施形態では、周波数チューナ110は、誘電体周波数チューナパック110であり、誘電体周波数チューナパック110は、容器102の周りに容器102と中心を等しくするように配置されており、かつ、キャビティ402内において第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2のうちの一方とハウジング400の側壁408,410との間に配置されており、y軸に沿って移動可能であるように固定されている。一実施形態では、容器102および誘電体周波数チューナパック110は、ロックナット118によってハウジング400に対して定位置に保持される。
【0025】
一実施形態では、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2は、y軸に沿った運動自由度が制御されている誘電体保持器114によって互いに対して移動可能であるように固定されている。一実施形態では、誘電体保持器114は、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2のそれぞれの各側に1つのナットが配置されている2対のナット114.1,114.2を含み、ナット114.1,114.2は、容器102と螺合し、容器102は雄ねじを有し、ナット114.1,114.2は雌ねじを有する。一実施形態では、誘電体周波数チューナパック110も容器102と螺合し、容器102は雄ねじを有し、周波数チューナパック110は雌ねじを有する。
【0026】
一実施形態では、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2は第1の誘電体材料から形成され、誘電体保持器114は第2の誘電体材料から形成され、第1の誘電体材料は第2の誘電体材料の誘電率よりも大きい誘電率を有する。一実施形態では、第1の誘電体材料の誘電率は30以上であり、第2の誘電体材料の誘電率は4以下である。一実施形態では、第1の誘電体材料はセラミックを含む。一実施形態では、第2の誘電体材料はプラスチックを含む。第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2、および誘電体保持器114の材料に対して、前者が後者よりも高い、実質的に異なる誘電率を用いることによって、電磁共振チャンバ406における向上したQ値(品質係数Q)が達成可能である。一実施形態では、誘電体周波数チューナパック110も第1の誘電体材料から形成される。
【0027】
一実施形態では、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2のうちの所与の1つは第1の体積の材料から形成され、誘電体保持器114のうちの所与の1つは第2の体積の材料から形成され、誘電体周波数チューナパック110は第3の体積の材料から形成され、第1の体積の材料は第2の体積の材料よりも大きく、第3の体積の材料よりも大きく、第3の体積の材料は第2の体積の材料よりも大きい。一実施形態では、すべての誘電体保持器114の第2の体積の材料をまとめたものは、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2の第1の体積の材料をまとめたものの50%未満である。本明細書に開示されるように、電磁共振チャンバ406内の様々な誘電体コンポーネントの体積の材料を区別することによって、電磁共振チャンバ406におけるさらに向上したQ値(品質係数Q)が達成可能である。
【0028】
一実施形態では、次に
図2を特に参照すると、周波数チューナ110は、金属または高誘電率材料から形成され、一実施形態では、誘電率が30以上である。一実施形態では、1つ以上の共振器108は、y軸に沿った運動自由度を持たないように固定され、誘電率が30以上である。一実施形態では、1つ以上の共振器108は、誘電体共振器、またはこれに代えて金属共振器である。一実施形態では、周波数チューナ110は、容器102と螺合し、y軸に沿った運動自由度が制御されている保持器114によって移動可能であるように固定されている。一実施形態では、保持器114は、容器102と螺合するナットであり、容器102は雄ねじを有し、ナット114は雌ねじを有する。
【0029】
一実施形態では、材料のサンプル500は、変更することなく、第1の装置200および第2の装置300の両方とともに使用可能な特定のサンプルである。
ここで
図3A、
図3B、
図3C、
図3D、
図3E、
図3F、
図3G、
図3H、および
図3Iを参照すると、これらの図は、
図1の装置100の第1の部分200の例示的な構造の組立工程を順に示す。
【0030】
図3Aでは、第1の部分200のすべての部品が、組立前に示されており、
図1に従って列挙されている。
図3Bでは、コネクタ116は、電気信号線104,106を収容する準備として設置される。
【0031】
図3Cでは、周波数チューナ110が設置される。
図3Dでは、容器102が一緒に設置される。
図3Eおよび
図3Fでは、リテーナ114が設置される。
【0032】
図3Gでは、共振器108が設置される。
図3Hでは、ロックナット118が取り付けられる。
図3Iでは、カバー404が取り付けられる。
【0033】
ここで
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、これらの図は、電界強度がプロットされた(
図4A)TEモードにより共振するように構成された装置100の第1の部分200(
図1参照)、および磁界強度がプロットされた(
図4C)TMモードにより共振するように構成された装置100の第2の部分300(
図2参照)の解析的電磁性能特性を示す。
図4Bは、材料500のサンプルがその場にある場合(
図4Bの左側プロット)およびない場合(
図4Bの右側プロット)の
図4Aに示される再構成可能共振器応答のS(2,1)特性を示す。
図4Aに示される実施形態では、電界分布がプロットされ、材料500のサンプルに非常に近接し、材料500のサンプルを取り囲む付近において低強度であることが示される。より具体的には、第1の部分200は、材料のサンプル500が配置されるキャビティ402の中心412において電界を実質的に生成しないようにチューニングされる。
図4Bから理解されるように、周波数シフトは、容器102へと完全に挿入されている材料のサンプル500の存在下において生じ、装置100は、電磁共鳴チャンバ406の共振周波数にチューニングされ、周波数シフトΔfは、材料のサンプル500の透磁率μに比例する。
図4Bからさらに理解されるように、3dB帯域幅BWが定義され、これは、材料のサンプル500の磁気損失正接δμを定義する。具体的に示されないが、
図4Cの第2の部分300についての同様の出力グラフを生成して、材料500のサンプルの誘電率εおよび誘電損失正接δεについての試験結果を提供することが可能である。
図4Cに示される実施形態に関して、磁界分布がプロットされ、材料のサンプル500に近接し、材料のサンプル500を取り囲む近傍において低強度であることが示される。より具体的には、第2の部分300は、材料のサンプル500が配置されるキャビティ402の中心412において実質的に磁界を生成しないようにチューニングされる。
【0034】
装置100の第1の部分200の前述の記載から、材料のサンプル500の磁気特性を測定する方法は、特定のサンプル500が容器102におけるキャビティ402の完全に内側に配置されるまで特定のサンプル500を容器102へと挿入し、2つの対向する電気信号線104,106に特定の周波数によりエネルギーを付与して第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2を共振させ、ネットワークアナライザ600を介して2つの対向する電気信号線104,106上の信号フィードバックを監視しながら、第1および第2の誘電体共振器パック108.1,108.2間の間隙112をy軸に沿って調整して粗チューニング調整を行い、周波数チューナ110をy軸に沿って調整して微チューニング調整を行い、粗チューニング調整および微チューニング調整により、第1および第2の共振器パック108.1,108.2および特定のサンプル500が電磁共振チャンバ406の共振モードにてTEモードにより共振し、信号フィードバックおよびネットワークアナライザ600を介して特定のサンプル500の透磁率および磁気損失正接のうちの少なくとも一方を測定することによって、本明細書に開示されるような装置100の第1の部分200を使用することを含むことが理解される。一実施形態では、使用される特定の周波数は1.6GHzである。装置100の第2の部分300の前述の記載から、材料のサンプル500の電気的特性を測定する方法は、特定のサンプル500が容器102におけるキャビティ402の完全に内側に配置されるまで特定のサンプル500を容器102へと挿入し、2つの対向する電気信号線104,106に特定の周波数によりエネルギーを付与し、ネットワークアナライザ600を介して2つの対向する電気信号線104,106上の信号フィードバックを監視しながら、1つ以上の共振器108の位置をy軸に沿って調整することによって周波数チューニング条件をy軸に沿って調整し、その結果、1つ以上の共振器108および特定のサンプル500がキャビティ402の共振モードにてTMモードにより共振し、信号フィードバックおよびネットワークアナライザ600を介して特定のサンプル500の誘電率および誘電損失正接のうちの少なくとも一方を測定することによって、本明細書に開示されるような装置100の第2の部分300を使用することを含むことが理解される。一実施形態では、使用される特定の周波数は1.6GHzである。
【0035】
個々の特徴の特定の組合せが本明細書に記載され図示されているが、特徴のこれらの特定の組合せは例示する目的に過ぎず、そうした組合せが明示的に図示されているか否かにかかわらず、そうした個々の特徴のいずれかの任意の組合せを実施形態に従って使用してよく、本明細書の開示と一致することが理解される。本明細書に開示される特徴のあらゆるそうした組合せは、本明細書において企図され、本出願を全体として考慮するときに当業者の理解の範囲内であると見なされ、当業者によって理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内にある限り、本明細書に開示される本発明の範囲内であると見なされる。
【0036】
例示的な実施形態を参照して本明細書において本発明を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてよく、その要素を均等物により置き換えてよいことが当業者に理解される。本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるように、多くの修正がなされてよい。したがって、本発明は、本発明を実施するために想定される最良の形態または唯一の形態として本明細書に開示された特定の1つまたは複数の実施形態に限定されず、本発明は、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むことが意図される。図面および記載では、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語および/または寸法が使用されている場合があるが、それらは、特に明記しない限り、一般的な、例示的な、および/または説明的な意味においてのみ使用され、限定する目的ではなく、したがって、特許請求の範囲はそのように限定されない。第1、第2などの用語の使用、または図面にそのように列挙されたものは、順序または重要性を示すものではなく、むしろ、第1、第2などの用語は、1つの要素を別の要素から区別するように使用される。用語「1つの(a)」、「1つの(an)」などの使用は、量の限定を示すのではなく、参照された項目の1つ以上の存在を示す。本明細書において使用される「含む(comprising)」という用語は、1つまたは複数の追加の特徴の可能な包含を排除するものではない。また、本明細書に提供される任意の背景情報は、本明細書に開示される本発明に関連する可能性があると出願人が考える情報を明らかにするように提供される。そうした背景情報のいずれかが、本明細書に開示される本発明の実施形態に対する先行技術を構成することを必ずしも容認することを意図するものではなく、そのように解釈されるものでもない。
【0037】
上記のすべてを考慮して、少なくとも以下の態様および/または態様の組み合わせに従うがこれらに限定されない実施形態の様々な態様が本明細書に開示されることが理解される。
【0038】
態様1.材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置であって、内部キャビティと取外可能カバーとを有するハウジングであって、前記ハウジングと取り付けられている前記カバーとの組合せが、電磁共振チャンバを形成する、ハウジングと、前記材料のサンプルを収容するように構成されている容器であって、前記ハウジングの対向する側壁を通じて前記ハウジングのy軸に沿って延び、前記キャビティのx-y-z中心点を通過する、容器と、前記ハウジングのx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線であって、前記キャビティの電磁共振モードに結合するように配置および構成されている、電気信号線と、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている1つ以上の共振器であって、固定されるかまたは前記y軸に対し移動可能であるように固定されている、1つ以上の共振器と、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記1つ以上の共振器と前記ハウジングの前記側壁のうちの一方との間に少なくとも部分的に配置されている周波数チューナであって、前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、周波数チューナと、を備える、装置。
【0039】
態様2.前記1つ以上の共振器は、前記y軸に対し移動可能であるように固定されている1つ以上の誘電体共振器である、態様1に記載の装置。
態様3.前記1つ以上の電磁特性は磁気特性であり、前記1つ以上の誘電体共振器は、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている第1の誘電体共振器パックおよび第2の誘電体共振器パックを含み、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿って互いに対し移動可能であるように固定されており、間隙によって分離されており、前記周波数チューナは、誘電体周波数チューナパックを含み、前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの一方と前記ハウジングの1つの側壁との間に配置されており、前記誘電体周波数チューナパックは前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、態様2に記載の装置。
【0040】
態様4.前記1つ以上の電磁特性は透磁率および磁気損失正接を含む、態様1~3のいずれか1つに記載の装置。
態様5.前記ハウジングおよび前記カバーは、非磁性金属材料から形成される、態様1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0041】
態様6.前記非磁性金属材料はアルミニウムを含む、態様5に記載の装置。
態様7.前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている誘電体保持器によって互いに対し移動可能であるように固定されている、態様3~6に記載の装置。
【0042】
態様8.前記誘電体保持器は、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックの各側に1つのナットが配置されている2対のナットを含み、前記ナットは、前記容器と螺合する、態様7に記載の装置。
【0043】
態様9.前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器と螺合する、態様3~8のいずれか1つに記載の装置。
態様10.前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは第1の誘電体材料から形成され、前記誘電体保持器は第2の誘電体材料から形成される、態様7または8に記載の装置。
【0044】
態様11.前記第1の誘電体材料の誘電率は、前記第2の誘電体材料の誘電率よりも大きい、態様10に記載の装置。
態様12.前記第1の誘電体材料の誘電率は30以上である、態様10または11に記載の装置。
【0045】
態様13.前記第1の誘電体材料はセラミックを含む、態様10~12のいずれか1つに記載の装置。
態様14.前記第2の誘電体材料の誘電率は4以下である、態様10~13のいずれか1つに記載の装置。
【0046】
態様15.前記第2の誘電体材料はプラスチックを含む、態様10~14のいずれか1つに記載の装置。
態様16.前記誘電体周波数チューナパックは前記第1の誘電体材料から形成される、態様10~15に記載の装置。
【0047】
態様17.前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの所与の1つは第1の体積の材料から形成され、前記誘電体保持器のうちの所与の1つは第2の体積の材料から形成され、前記誘電体周波数チューナパックは第3の体積の材料から形成され、前記第1の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きく、前記第3の体積の材料よりも大きく、前記第3の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きい、態様7~16のいずれか1つに記載の装置。
【0048】
態様18.すべての前記誘電体保持器の前記第2の体積の材料をまとめたものは、第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックの前記第1の体積の材料をまとめたものの50%未満である、態様11に記載の装置。
【0049】
態様19.前記材料のサンプルは、固体、粉末、または液体である、態様1~18のいずれか1つに記載の装置。
態様20.前記1つ以上の電磁特性は電気特性であり、前記周波数チューナは、金属または高誘電率材料から形成される、態様1に記載の装置。
【0050】
態様21.前記周波数チューナは、誘電率が30以上である高誘電率材料から形成される、態様20に記載の装置。
態様22.前記1つ以上の電磁特性は誘電率および誘電損失正接を含む、態様1,20または21に記載の装置。
【0051】
態様23.前記ハウジングおよび前記カバーは、非磁性金属材料から形成される、態様20~22のいずれか1つに記載の装置。
態様24.前記非磁性金属材料はアルミニウムを含む、態様23に記載の装置。
【0052】
態様25.前記1つ以上の共振器は、前記y軸に沿った運動自由度を持たないように固定されている、態様1,20~24のいずれか1つに記載の装置。
態様26.前記周波数チューナは前記容器と螺合する、態様1,20~25のいずれか1つに記載の装置。
【0053】
態様27.前記1つ以上の共振器の誘電率は30以上である、態様1,20~26のいずれか1つに記載の装置。
態様28.前記周波数チューナは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている保持器によって移動可能であるように固定されている、態様1,20~27のいずれか1つに記載の装置。
【0054】
態様29.前記保持器は、容器と螺合するナットを含む、態様28に記載の装置。
態様30.前記材料のサンプルは、固体、粉末、または液体である、態様20~29のいずれか1つに記載の装置。
【0055】
態様31.前記材料のサンプルは、態様1~30の装置とともに使用可能な特定のサンプルである、態様1~30のいずれか1つに記載の装置。
態様32.材料のサンプルの磁気特性を測定する方法であって、態様3~19のいずれか1つに記載の装置を使用する工程と、態様31の特定の前記サンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで特定の前記サンプルを前記容器へと挿入する工程と、2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与して前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックを共振させる工程と、ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パック間の前記間隙を前記y軸に沿って調整して粗チューニング調整を行い、前記周波数チューナを前記y軸に沿って調整して微チューニング調整を行う工程であって、前記粗チューニング調整および前記微チューニング調整により、前記第1の共振器パックおよび前記第2の共振器パックおよび特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTEモードにより共振する、工程と、前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの透磁率および磁気損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【0056】
態様33.前記特定の周波数は1.6GHzである、態様32に記載の方法。
態様34.材料のサンプルの電気特性を測定する方法であって、態様20~30のいずれか1つに記載の装置を使用する工程と、特定の前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで特定の前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与する工程と、ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記1つ以上の共振器の位置を前記y軸に沿って調整することによって周波数チューニング条件を前記y軸に沿って調整し、その結果、前記1つ以上の共振器および特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTMモードにより共振する、工程と、前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの誘電率および誘電損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【0057】
態様35.前記特定の周波数は1.6GHzである、態様34に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のサンプルの1つ以上の電磁特性を測定するための装置であって、
内部キャビティと取外可能カバーとを有するハウジングであって、前記ハウジングと取り付けられている前記カバーとの組合せが、電磁共振チャンバを形成する、ハウジングと、
前記材料のサンプルを収容するように構成されている容器であって、前記ハウジングの対向する側壁を通じて前記ハウジングのy軸に沿って延び、前記キャビティのx-y-z中心点を通過する、容器と、
前記ハウジングのx軸に沿って配向されている2つの対向する電気信号線であって、前記キャビティの電磁共振モードに結合するように配置および構成されている、電気信号線と、
前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている1つ以上の共振器であって、固定されているかまたは前記y軸に対して移動可能であるように固定されている、1つ以上の共振器と、
前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記1つ以上の共振器と前記ハウジングの前記側壁のうちの一方との間に少なくとも部分的に配置されている周波数チューナであって、前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、周波数チューナと、を備える、装置。
【請求項2】
前記1つ以上の共振器は、前記y軸に対し移動可能であるように固定されている1つ以上の誘電体共振器である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上の電磁特性は磁気特性であり、
前記1つ以上の誘電体共振器は、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内に配置されている第1の誘電体共振器パックおよび第2の誘電体共振器パックを含み、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿って互いに対し移動可能であるように固定されているとともに、間隙によって分離されており、
前記周波数チューナは、誘電体周波数チューナパックを含み、前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器の周りに前記容器と中心を等しくするように配置されており、かつ、前記キャビティ内において前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの一方と前記ハウジングの1つの側壁との間に配置されており、前記誘電体周波数チューナパックは前記y軸に沿って移動可能であるように固定されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記1つ以上の電磁特性は透磁率および磁気損失正接を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている誘電体保持器によって、互いに対し移動可能であるように固定されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記誘電体保持器は、前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックの各側に1つのナットが配置されている2対のナットを含み、前記ナットは、前記容器と螺合する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記誘電体周波数チューナパックは、前記容器と螺合する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックは第1の誘電体材料から形成され、
前記誘電体保持器は第2の誘電体材料から形成される、請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の誘電体材料の誘電率は、前記第2の誘電体材料の誘電率よりも大きい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記誘電体周波数チューナパックは前記第1の誘電体材料から形成される、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックのうちの所与の1つは第1の体積の材料から形成され、
前記誘電体保持器のうちの所与の1つは第2の体積の材料から形成され、
前記誘電体周波数チューナパックは第3の体積の材料から形成され、
前記第1の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きく、前記第3の体積の材料よりも大きく、
前記第3の体積の材料は前記第2の体積の材料よりも大きい、請求項5~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
すべての前記誘電体保持器の前記第2の体積の材料をまとめたものは、第1の誘電体共振器パックおよび第2の誘電体共振器パックの前記第1の体積の材料をまとめたものの50%未満である、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記1つ以上の電磁特性は電気特性であり、
前記周波数チューナは、金属または高誘電率材料から形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記1つ以上の電磁特性は誘電率および誘電損失正接を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上の共振器は、前記y軸に沿った運動自由度を持たないように固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記周波数チューナは前記容器と螺合する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記周波数チューナは、前記y軸に沿った運動自由度が制御されている保持器によって、移動可能であるように固定されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記材料のサンプルは、請求項3に記載の装置とともに使用可能な特定のサンプルである、請求項3に記載の装置。
【請求項19】
材料のサンプルの磁気特性を測定する方法であって、
請求項3に記載の装置を使用する工程と、
前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、
2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与して前記第1の誘電体共振器パックおよび前記第2の誘電体共振器パックを共振させる工程と、
ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記第1の誘電体共振器パックと前記第2の誘電体共振器パックとの間の前記間隙を前記y軸に沿って調整して粗チューニング調整を行い、前記周波数チューナを前記y軸に沿って調整して微チューニング調整を行う工程であって、前記粗チューニング調整および前記微チューニング調整により、前記第1の共振器パックおよび前記第2の共振器パックおよび特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTEモードにより共振する、工程と、
前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの透磁率および磁気損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【請求項20】
材料のサンプルの電気特性を測定する方法であって、
請求項13に記載の装置を使用する工程と、
前記材料のサンプルが前記容器における前記キャビティの完全に内側に配置されるまで前記材料のサンプルを前記容器へと挿入する工程と、
2つの対向する前記電気信号線に特定の周波数によりエネルギーを付与する工程と、
ネットワークアナライザを介して2つの対向する前記電気信号線上の信号フィードバックを監視しながら、前記1つ以上の共振器の位置を前記y軸に沿って調整することによって周波数チューニング条件を前記y軸に沿って調整し、その結果、前記1つ以上の共振器および特定の前記サンプルが前記キャビティの前記共振モードにてTMモードにより共振する、工程と、
前記信号フィードバックおよび前記ネットワークアナライザを介して特定の前記サンプルの誘電率および誘電損失正接のうちの少なくとも一方を測定する工程と、を備える、方法。
【請求項21】
前記材料のサンプルは、請求項13に記載の装置とともに使用可能な特定のサンプルである、請求項13に記載の装置。
【外国語明細書】