IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンライズエンジニアリングの特許一覧

特開2024-74722薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造
<>
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図1
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図2
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図3
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図4
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図5
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図6
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図7
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図8
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図9
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図10
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図11
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図12
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図13
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図14
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図15
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図16
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図17
  • 特開-薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074722
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造
(51)【国際特許分類】
   F23B 50/12 20060101AFI20240524BHJP
   A61H 33/10 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F23B50/12
A61H33/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186067
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】505391034
【氏名又は名称】株式会社サンライズエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 太樹
【テーマコード(参考)】
3K046
4C094
【Fターム(参考)】
3K046AA11
3K046AB02
3K046AC02
3K046AD01
3K046BA02
3K046FA01
4C094AA01
4C094BA18
4C094DD08
4C094EE01
4C094FF02
4C094GG03
4C094GG04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃焼効率が高く、アウトドアレジャーでのサウナ用として好適な薪/ペレット両用ストーブを提供すること。
【解決手段】薪/ペレット両用ストーブは、自然燃焼用の燃料の供給・給気を行う供給部、供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室、排気部、および供給部に着脱可能なペレット燃料の貯留・供給ならびに燃焼を行うアタッチメント・ペレットボックス10を備えており、ペレットボックス10はペレット燃料を貯留する貯留部、貯留部2からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段3、給気口4、ならびに本体燃焼室と連通し給気口4からの給気によりペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部を備え、ペレット量調節手段3の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段6、またその下方に給気口4からの給気量を調節する給気量調節手段8とが備えられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、
該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、
該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部と、および
該供給部に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのアタッチメントであるところのペレットボックスを備えており、
該ペレットボックスは、
ペレット燃料を貯留する貯留部、
該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに
給気口を備え、さらに、
該ペレット量調節手段の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、
該ペレット量二次調節手段の下方に該給気口からの給気量を調節する給気量調節手段が備えられている
ことを特徴とする、薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項2】
前記ペレットボックスは、前記供給部への装着時には前記本体燃焼室に連通するよう形成されていて、前記給気口からの給気により供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部を備えており、ペレット燃料の燃焼がなされることを特徴とする、請求項1に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項3】
前記ペレット量二次調節手段は、前記吸気量調節手段により調節された給気が前記燃焼部へと流通するように格子構造により形成されていることを特徴とする、請求項1、2のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項4】
前記ペレット量二次調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により前記燃焼部への開口面積が調節されることを特徴とする、請求項3に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項5】
前記給気量調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により給気量が調節されることを特徴とする、請求項4に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項6】
前記本体燃焼室と排気部との間には内部における気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室が設けられており、
該本体気流誘導室は上部に該本体燃焼室との間の前流側通気口が、
下部に該排気部との間の後流側通気口が設けられており、
該本体燃焼室には内部の炎を見通せる窓が設けられている
ことを特徴とする、請求項1、2、4、5のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項7】
前記本体燃焼室の背面と背中合わせに前記本体気流誘導室が設けられ、前記排気部は該本体気流誘導室と相接するとともに、該本体燃焼室および前記供給部とも相接して設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項8】
自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部とを備えてなる薪/ペレット両用ストーブの該供給部に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのペレットボックスであって、
ペレット燃料を貯留する貯留部、
該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに
給気口を備え、さらに、
該ペレット量調節手段の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、
該ペレット量二次調節手段の下方に該給気口からの給気量を調節する給気量調節手段が備えられている
ことを特徴とする、ペレットボックス。
【請求項9】
前記供給部への装着時に前記本体燃焼室に連通するよう形成されていて、前記給気口からの給気により供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部を備えており、ペレット燃料の燃焼がなされることを特徴とする、請求項8に記載のペレットボックス。
【請求項10】
前記ペレット量二次調節手段は、前記吸気量調節手段により調節された給気が前記燃焼部へと流通するように格子構造により形成されていることを特徴とする、請求項8、9のいずれかに記載のペレットボックス。
【請求項11】
前記ペレット量二次調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により前記燃焼部への開口面積が調節されることを特徴とする、請求項10に記載のペレットボックス。
【請求項12】
前記給気量調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により給気量が調節されることを特徴とする、請求項11に記載のペレットボックス。
【請求項13】
サウナ室の熱源として用いられることを特徴とする、請求項1、2、4、5、7のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【請求項14】
請求項1、2、4、5、7のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブと、該薪/ペレット両用ストーブを熱源とするサウナ室用空間とからなることを特徴とする、サウナ室構造。
【請求項15】
移動手段上に積載もしくは設置可能、または積載もしくは設置されていることを特徴とする、請求項14に記載のサウナ室構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造に係り、特に薪・ペレット両燃料を使用でき、無動力・無電源にて使用することのできる、薪/ペレット両用ストーブ等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペレットストーブは、木材等を原料として一定形状に圧縮成形した木質ペレット(以下、単に「ペレット」という)を燃料として用いるストーブである。ペレットの燃焼により発生する二酸化炭素は樹木成長過程において大気中から吸収されるものであるから、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない、いわゆるカーボンニュートラルを実現する。ペレットはまた、薪と比較すると水分量が少なくて燃焼しやすい、燃焼時間が長い、投入量を調節しやすいといった利点がある。一方、その運転には、燃料供給モータやスクリュー、送風ファン、排気ファンなどを用いるものが、従来一般的である。
【0003】
ペレットストーブについては従来、特許出願等もなされており、たとえば後掲特許文献1には、既存のストーブへの取り付け簡単、可搬性に優れたペレット燃焼器およびペレット用ストーブとして、ペレットを貯蔵して排出口から排出する筒状の燃料貯蔵部と、その排出口から排出されたペレットを受け入れて燃焼させる筒状の燃焼部とを備え、燃料貯蔵部は燃焼部の上方に着脱自在に取り付け可能、燃焼部はストーブの上端開口部に設置可能である構成のペレット燃焼器が開示されている。そして、不使用時には燃焼部を燃料貯蔵部中に収容可能としている。
【0004】
また、出願人は、暖炉的な燃焼を実現でき、燃料としてペレットをも使用可能な自然燃焼ストーブであって、燃焼風の逆流を防止してガラス窓への煤の付着等を有効に防止でき、内部の炎の揺らぎを十分に楽しませることのできるストーブ方式を提供するために、薪燃料供給と給気を行う供給部、供給部に連通し薪燃料の燃焼が行われる本体燃焼室、そこからの気流が最終的に排出される排気部を備え、本体燃焼室と排気部との間に気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室を設け、本体気流誘導室の上部には本体燃焼室との間の前流側通気口、下部には排気部との間の後流側通気口を設け、また本体燃焼室には内部の炎を見通せる窓を設けた構成を開示している(後掲特許文献2)。この方式のストーブでは、無動力・無電源でありながら自動的に安定的な温度・熱量での燃焼が可能、暖房にも調理にも演出にも便利、メンテナンス性に優れ、保管・運搬に便利という各効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6756963号公報「ペレット燃焼器、及びペレット用ストーブ」
【特許文献2】特開2022-081723号公報「自然燃焼ストーブ、その使用方法、およびペレットボックス」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて近年、キャンプなど屋外におけるレジャー・レクリエーションの需要の高まりを受け、さまざまな商品が開発され、提供されている。その一つにサウナがある。携帯式ストーブを熱源としてテント内で用いるサウナ(テントサウナ)や、車載式のサウナ室などである。しかしながら、このようなアウトドア用のサウナに適したストーブの提供は未だ少数であり、特にペレット燃料を用いる際の燃焼効率が高く、それによって低燃費となるストーブの提供が求められている。また、ペレット燃料を用いる際の燃焼状態をより制御可能な方式も求められている。
【0007】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の状況を踏まえ、出願人が先に開示した上記特許文献2記載発明を基礎としつつ、ペレット燃料を用いる際の燃焼効率をより高めることのできる、薪/ペレット両用ストーブを提供することである。また、燃焼効率を高めることを含め、ペレット燃料を用いる際の燃焼状態をより制御可能な薪/ペレット両用ストーブを提供することである。
【0008】
本発明の課題はまた、かかるペレットを薪/ペレット両用ストーブを可能ならしめる脱着可能なペレットボックスを提供することである。さらに本発明の課題は、かかる薪/ペレット両用ストーブを用いた、燃焼効率のよい、アウトドアレジャー等に適したサウナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は上記課題について検討した。その結果、上記特許文献2に開示した自然燃焼ストーブおよびそれに用いるペレットボックスの発明を基礎とし、当該ペレットボックスに、ペレット量調節手段によって自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、給気口からの給気量を調節する給気量調節手段とを備える構造とすることによって、燃焼効率をより高められることを見出し、これに基づいて本発明を完成するに至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0010】
〔1〕 自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部と、および該供給部に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのアタッチメントであるところのペレットボックスを備えており、該ペレットボックスは、ペレット燃料を貯留する貯留部、該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに給気口を備え、さらに、該ペレット量調節手段の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、該ペレット量二次調節手段の下方に該給気口からの給気量を調節する給気量調節手段が備えられていることを特徴とする、薪/ペレット両用ストーブ。
〔2〕 前記ペレットボックスは、前記供給部への装着時には前記本体燃焼室に連通するよう形成されていて、前記給気口からの給気により供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部を備えており、ペレット燃料の燃焼がなされることを特徴とする、〔1〕に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
〔3〕 前記ペレット量二次調節手段は、前記吸気量調節手段により調節された給気が前記燃焼部へと流通するように格子構造により形成されていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
〔4〕 前記ペレット量二次調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により前記燃焼部への開口面積が調節されることを特徴とする、〔3〕に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【0011】
〔5〕 前記給気量調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により給気量が調節されることを特徴とする、〔4〕に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
〔6〕 前記本体燃焼室と排気部との間には内部における気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室が設けられており、該本体気流誘導室は上部に該本体燃焼室との間の前流側通気口が、下部に該排気部との間の後流側通気口が設けられており、該本体燃焼室には内部の炎を見通せる窓が設けられていることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔4〕、〔5〕のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
〔7〕 前記本体燃焼室の背面と背中合わせに前記本体気流誘導室が設けられ、前記排気部は該本体気流誘導室と相接するとともに、該本体燃焼室および前記供給部とも相接して設けられていることを特徴とする、〔6〕に記載の薪/ペレット両用ストーブ。
【0012】
〔8〕 自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部と、該供給部に連通し燃焼が行われる本体燃焼室と、該本体燃焼室からの気流が最終的に排出される排気部とを備えてなる薪/ペレット両用ストーブの該供給部に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのペレットボックスであって、ペレット燃料を貯留する貯留部、該貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに給気口を備え、さらに、該ペレット量調節手段の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、該ペレット量二次調節手段の下方に該給気口からの給気量を調節する給気量調節手段が備えられていることを特徴とする、ペレットボックス。
〔9〕 前記供給部への装着時に前記本体燃焼室に連通するよう形成されていて、前記給気口からの給気により供給されたペレット燃料の燃焼が行われる燃焼部を備えており、ペレット燃料の燃焼がなされることを特徴とする、〔8〕に記載のペレットボックス。
〔10〕 前記ペレット量二次調節手段は、前記吸気量調節手段により調節された給気が前記燃焼部へと流通するように格子構造により形成されていることを特徴とする、〔8〕、〔9〕のいずれかに記載のペレットボックス。
【0013】
〔11〕 前記ペレット量二次調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により前記燃焼部への開口面積が調節されることを特徴とする、〔10〕に記載のペレットボックス。
〔12〕 前記給気量調節手段は揺動可能に形成されており、その揺動により給気量が調節されることを特徴とする、〔11〕に記載のペレットボックス。
〔13〕 サウナ室の熱源として用いられることを特徴とする、〔1〕、〔2〕、〔4〕、〔5〕、〔7〕のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブ。
〔14〕 〔1〕、〔2〕、〔4〕、〔5〕、〔7〕のいずれかに記載の薪/ペレット両用ストーブと、該薪/ペレット両用ストーブを熱源とするサウナ室用空間とからなることを特徴とする、サウナ室構造。
〔15〕 移動手段上に積載もしくは設置可能、または積載もしくは設置されていることを特徴とする、〔14〕に記載のサウナ室構造。
【発明の効果】
【0014】
本発明の薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造は上述のように構成されるため、上述の各課題を解決してそれぞれの効果を得ることができる。すなわち、出願人が先に開示した上記文献2記載発明を基礎としつつ、薪/ペレット両用ストーブにおいて、ペレット燃料を用いる際の燃焼効率をより高めることができる。また、燃焼効率を高めることを含め、ペレット燃料を用いる際の燃焼状態をより制御可能な薪/ペレット両用ストーブを提供することができる。
【0015】
また、そのような薪/ペレット両用ストーブのための、これに脱着可能なペレットボックスを提供することができる。さらに、本発明薪/ペレット両用ストーブを用いて、燃焼効率のよい、アウトドアレジャー等に適したサウナを実現することができる。
なお、燃焼効率の定義は、燃焼によって得られたエネルギー/燃料の持っているエネルギー」である。以降説明する本願発明では「室内に放出されたエネルギー(またはサウナストーンを温めるために使われたエネルギー)/燃料の持っているエネルギー」を主旨としており、これは本来は「熱効率」である。しかしながら、本願においては「燃焼効率」の語により説明することとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明薪/ペレット両用ストーブの基本構成を概念的に示す説明図である(ペレットボックス取り外し状態)。
図2】本発明薪/ペレット両用ストーブの基本構成を概念的に示す説明図である(ペレットボックス装着状態)。
図3】本発明ペレットボックスの基本構成を概念的に示す説明図である。
図4図3に示した本発明ペレットボックス構成例の作用を概念的に示す説明図である。
図5】本発明に係るペレットボックスの実施例の側面図である。
図6図5に示す実施例の斜視図である。
図7図6中のC-C´断面図(一部の外装部品の図示を省略)である。
図8図5等に示したペレットボックス実施例に対応する薪/ペレット両用ストーブ実施例の本体部分(ペレットボックスが取り外されている状態)を排気部のあるうら面側から示す斜視図である。
図9図8に示した実施例にペレットボックスを装着した状態を示す斜視図である。
図10図9の状態をおもて面(排気部のある面の反対側)から視た図である。
図11】本発明サウナ室構造の基本構成を概念的に示す説明図である。
図12】本発明サウナ室構造の提供形態例を概念的に示す説明図である。
図13】移動可能なサウナ室構造実施例の室内写真である。
図14】実験に用いた本発明薪/ペレット両用ストーブの斜視写真である。
図15】ペレットボックス要部断面図により本実験の各実験条件を示す図である。
図16】各実験条件での燃焼実験における結果として、排ガス温度、O濃度、および発生CO濃度を示すグラフである。
図17】本発明の調節方式を備えない従来方式すなわち特許文献2開示技術に係るストーブでの燃焼実験における、排ガス温度、O濃度、および発生CO濃度を示すグラフである。
図18】各実験条件での燃焼実験における結果として、サウナストーン温度、および本体燃焼室内温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。
図1、2は、本発明薪/ペレット両用ストーブの基本構成を概念的に示す説明図であり、前者はペレットボックス取り外し状態、後者は装着状態を示す。これらに図示するように本薪/ペレット両用ストーブ100は、自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部20と、供給部20に連通し燃焼が行われる本体燃焼室30と、本体燃焼室30からの気流が最終的に排出される排気部40と、および供給部20に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのアタッチメントであるところのペレットボックス10を備えており、ペレットボックス10は、ペレット燃料を貯留する貯留部、貯留部からの自然落下によるペレット燃料の供給量を調節するペレット量調節手段、ならびに給気口を備え、さらに、ペレット量調節手段の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段と、ペレット量二次調節手段の下方に給気口からの給気量を調節する給気量調節手段とが備えられていることを、主たる構成とする。
【0018】
かかる構成の本薪/ペレット両用ストーブ100を薪ストーブとして用いる場合には、供給部20から自然燃焼用の燃料すなわち薪の供給がなされるとともに燃焼用の給気がなされ、かかる給気により、供給部20から供給された薪の燃焼が本体燃焼室30においてなされ、暖房・熱源たるストーブとしての機能が果たされる。本体燃焼室30からの気流は、最終的に排気部40から排出される。給気と薪供給を行うための供給部20には、本発明ペレットボックス10を装着、取り外しすることができ、ペレットストーブとして本薪/ペレット両用ストーブ100を用いることもできる。すなわち本薪/ペレット両用ストーブ100は、自然燃焼用燃料・薪を燃料として用いること、ペレットを燃料として用いること、その両方の用い方によって使用することができる。
【0019】
本薪/ペレット両用ストーブ100をペレットストーブとして用いる場合には、図2に示すようにペレットボックス10が供給部20に取り付けられる。ペレットボックス10には、その内部にペレット燃料(以下、単に「ペレット」ともいう)が貯留されるとともに、燃焼に供するための供給がなされる。これにより、供給部20からはペレットの供給がなされるとともに燃焼用の給気がなされ、かかる給気により、ペレットボックス10から供給されたペレットの燃焼が本薪/ペレット両用ストーブ100内においてなされ、暖房・熱源たるストーブとしての機能が果たされる。本体燃焼室30からの気流は、最終的に排気部40から排出される。
【0020】
本発明薪/ペレット両用ストーブを構成する一要素であるペレットボックス自体もまた、本発明の範囲内である。ペレットボックスについて説明する。
図3は、本発明ペレットボックスの構成例を概念的に示す説明図である。本図でのペレットボックスを示す符号としては、概念的な説明図である図1、2においてペレットボックスの表示に用いた符号と同様の「10」を用いる。図示するように本発明に係るペレットボックス10は、ペレット燃料を貯留する貯留部2、貯留部2からの自然落下によるペレットの供給量を調節するペレット量調節手段3、ならびに給気口4を備え、さらに、ペレット量調節手段3の下方に自然落下したペレットの量を二次的に調節するペレット量二次調節手段6、およびペレット量二次調節手段6の下方に給気口4からの給気量を調節する給気量調節手段8を備えていることを、主たる構成とする。
【0021】
かかる構成により本ペレットボックス10においては、その貯留部2内にペレットが貯留され、燃焼に供するための供給がなされるのだが、その供給に当たっては、ペレット量調節手段3により、貯留部2からの自然落下してくるペレット燃料の供給量が調節される。また、給気口4からは燃焼用の空気が供給される。ペレット量調節手段3により調節された供給量のペレットと、給気口4から供給される空気によって、ペレットの燃焼がなされる。本発明ペレットボックス10では、この燃焼の条件がさらに調節され得る。すなわち、ペレット量二次調節手段6によって、ペレット量調節手段3の下方に自然落下したペレットの量が二次的に調節され得、また給気量調節手段8によって、給気口4からの給気量が調節され得る。
【0022】
図4は、図3に示した本発明ペレットボックス構成例の作用を概念的に示す説明図である。前出図2に示される通り本ペレットボックス10は、供給部20への装着時には前記本体燃焼室30に連通するよう形成されているが、それとともに、図4に示す通り、本ペレットボックス10は給気口4からの給気により供給されたペレットの燃焼が行われる燃焼部5を備えている構成とすることができる。すなわち、ペレットボックス10内においてペレットの燃焼がなされる構成である。
【0023】
かかる構成により本ペレットボックス10では、貯留部2から供給されるペレットPLの燃焼BRが、給気口4からの給気ARにより、本体燃焼室30へと連通する燃焼部5においてなされる。ここで、貯留部2から供給されるペレットPLは、ペレット量調節手段3やペレット量二次調節手段6による供給量の調節を受け得、また給気ARは、給気量調節手段8によって調節され得る。これらの調節方式の例について説明する。
【0024】
図4および図3に示すように本薪/ペレット両用ストーブに係るペレットボックス10のペレット量二次調節手段6は、貯留部2から自然落下するペレットPLの供給路断面を遮断―開放可能な板状の形態で、揺動(SW)可能に形成されており、その揺動SWにより燃焼部5への開口面積を調節する調節方式とすることができる。なお、ペレット量二次調節手段6の遮断―開放のための揺動SWは、連続的になされるものとすることができる。一方、段階的になされる構造等、それ以外の構造であってもよい。
【0025】
かかる構成の本発明に係るペレットボックス10では、ペレット量調節手段3による自然落下量の調節を受けつつ貯留部2から自然落下するペレットPLの供給路上に、その断面を遮断―開放可能なように設置された揺動可能なペレット量二次調節手段6の揺動SWにより、燃焼部5への開口面積すなわち燃焼部5へのペレットPL供給路の断面積が調節されることで、最終的なペレットPL供給量が調節され、燃焼部5におけるペレットPLの燃焼BRが調節され得る。ペレット量二次調節手段6の揺動SWの角度範囲、形状、サイズ等は任意に設計可能である。また、揺動SWは、ペレットボックス10の外部から操作可能な構造とすることができる。
【0026】
図4および図3に示すように本薪/ペレット両用ストーブに係るペレットボックス10の給気量調節手段8は、給気口4からなされる給気ARの量を調節可能なように、燃焼部5へと向かう給気AR流路上に、流路断面の断面積を調節可能なよう揺動可能に形成されており、その揺動SWにより燃焼部5への開口面積を調節し、給気量を調節する調節方式とすることができる。なお、給気量調節手段8の吸気量調節のための揺動SWは、連続的になされる構造とすることができる。一方、段階的になされる構造等、それ以外の構造であってもよい。
【0027】
かかる構成の本発明に係るペレットボックス10では、給気口4からなされる給気ARは、燃焼部5へと向かう流路上にその断面積の大きさを調節可能なように設置された揺動可能な給気量調節手段8の揺動SWにより、燃焼部5への開口面積すなわち燃焼部5への給気ARの断面積が調節されることで、最終的な給気量が調節され、燃焼部5におけるペレットPLの燃焼BRが調節され得る。給気量調節手段8の揺動SWの角度範囲、形状、サイズ等は任意に設計可能である。また、揺動SWは、ペレットボックス10の外部から操作可能な構造とすることができる。
【0028】
なお、ペレット量調節手段3は図示するように、貯留部2内のペレットPLを下方から受け止める板状の形態であって、摺動SLによって遮断―開放を行うことで貯留部2からのペレットPLの自然落下量を調節する構成とすることができる。なお、ペレット量調節手段3の遮断―開放のための摺動SLは、連続的になされるものとすることができる。一方、段階的になされる構造等、それ以外の構造であってもよい。
【0029】
かかる構成の本発明に係るペレットボックス10では、ペレット量調節手段3が貯留部2の底部をなし、摺動SLによって底部たるペレット量調節手段3の進退が調節されてかかる底部における開口の広狭が調節され、開口の広狭程度によって貯留部2からのペレットPLの自然落下量が調節される。なお、摺動SLは、ペレットボックス10の外部から操作可能な構造とすることができる。
【0030】
図5は、本発明に係るペレットボックスの実施例の側面図である。また、
図6図5に示す実施例の斜視図、図7図6中のC-C´断面図(一部の外装部品の図示を省略)である。これら、特に図7および6に示されるように、
本ペレットボックス510のペレット量二次調節手段56は、吸気量調節手段58により調節された給気が燃焼部55へと流通するように、格子構造により形成されていることを特徴的な構成とする。
【0031】
かかる構成の本実施例ペレットボックス510では、空隙を有する格子構造からなるペレット量二次調節手段56によって、吸気量調節手段58により調節された給気の燃焼部55への流通を、円滑になさしめることができる。概念的説明図である前出図3、4にて示した通り、ペレット量二次調節手段56と吸気量調節手段58はともに揺動によってその開閉程度を自在に調節する構造とすることが可能であり、給気量調節手段58による給気の流路がペレット量二次調節手段56によって塞がれることもあり得る。しかしそのような場合でも、ペレット量二次調節手段56が格子構造であることにより、燃焼部55への吸気が遮断されることはなく、最終的な給気量調節は、あくまでも吸気量調節手段58の開閉程度によってなされる。
【0032】
なお、図5に示すように、ペレット量二次調節手段56の揺動は操作部位56mにより、吸気量調節手段58の揺動は操作部位58mにより、またペレット量調節手段53の摺動は操作部位53mにより、それぞれペレットボックス510外部から行うことができる。また、貯留部52には内部に貯留されているペレットの残量を確認するための貯留部スリット52s、燃焼部55にはそのメンテナンス等を行うことのできる燃焼部扉55d、燃焼部55の下方には灰受け部57が設けられている。
【0033】
図8は、図5等に示したペレットボックス実施例に対応する薪/ペレット両用ストーブ実施例の本体部分(ペレットボックスが取り外されている状態)を排気部のあるうら面側から示す斜視図である。図示するように本薪/ペレット両用ストーブ5100は、その構成要素であるペレットボックスが取り外されている状態では、供給部520が露出しており、供給部扉520dから本体燃焼室530内に自然燃焼用燃料すなわち薪を供給して燃焼させ、暖房・熱源たる自然燃焼ストーブとして用いることができる。
【0034】
図9は、図8に示した実施例にペレットボックスを装着した状態を示す斜視図である。また、図10図9の状態をおもて面(排気部のある面の反対側)から視た図である。これらに示すように本薪/ペレット両用ストーブ5100は、供給部520へのペレットボックス510装着によって、ペレット燃料による燃焼を行うペレットストーブとすることができ、暖房・熱源として用いることができる。ペレットストーブとして用いる場合の燃焼効率増強作用や燃焼状態の制御性付加作用については、上述の通りである。
【0035】
なお、特に図示はしないが、上記特許文献2開示技術と同様に、本体燃焼室530と排気部540との間に、内部における気流の流通経路を延長するための本体気流誘導室が設けられ、この本体気流誘導室は上部に本体燃焼室530との間の前流側通気口が、下部に排気部540との間の後流側通気口が設けられ、該本体燃焼室530には内部の炎を見通せる窓、すなわち本体燃焼室窓530wが設けられている構成とすることができ、当該開示技術と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
また、これも図示はしないが、上記特許文献2開示技術と同様に、前記本体気流誘導室を本体燃焼室530の背面と背中合わせに設け、排気部540は該本体気流誘導室と相接するとともに、本体燃焼室530および供給520部とも相接して設けられている構成とすることもでき、当該開示技術と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
また、下記<Op1>~<Op3>の少なくともいずれかを備えた構成の薪/ペレット両用ストーブも、本発明の範囲内である。
<Op1> 本体燃焼室の下方に設けられるオーヴン
<Op2> 本体燃焼室の上面部に設けられる上蓋
<Op3> 特許第3594299号に記載の4脚安定設置構造または4脚水平設置構造を用いた脚部
【0038】
図11は、本発明サウナ室構造の基本構成を概念的に示す説明図である。図示するように、以上説明したいずれかの構成を備えている本発明薪/ペレット両用ストーブ6100はこれをサウナ室用空間6200に設置してサウナ室の熱源として用いることができる。このように、薪/ペレット両用ストーブ6100とこれを熱源とするサウナ室用空間6200とからなるサウナ室構造6300も、本発明の範囲内である。
【0039】
図12は、本発明サウナ室構造の提供形態例を概念的に示す説明図である。図示するように本サウナ室構造7300は、移動手段7900上に積載もしくは設置可能、または積載もしくは設置されている形態とすることができる。かかる構成により、移動手段7900が移動可能な場所であればどこででもサウナ室構造7300を利用することができ、キャンプなどのアウトドア用途にも便利である。
【0040】
図13は、移動可能なサウナ室構造実施例の室内写真である。図示するように移動手段(車両)上に設置された本サウナ室構造8300は、サウナ室用空間8200内に熱源として薪/ペレット両用ストーブ8100が据えられて構成されている。本例では、薪/ペレット両用ストーブ8100の本体燃焼室窓830wを通して、本体燃焼室830内部の燃焼の様子、炎を見通せる状態でサウナを楽しむことができる。
【0041】
<実験>
本発明薪/ペレット両用ストーブの燃焼効率向上効果を確認するための実験を行った。
図14は、実験に用いた本発明薪/ペレット両用ストーブの斜視写真である。図示するように本薪/ペレット両用ストーブ9100は、自然燃焼用の燃料の供給ならびに給気を行う供給部920と、供給部920に連通し燃焼が行われる本体燃焼室930と、本体燃焼室930からの気流が最終的に排出される排気部(図示せず)と、および供給部920に着脱可能な、ペレット燃料の貯留ならびに供給を行うためのアタッチメント・ペレットボックス910を備えて構成されている。また、ペレットボックス910は、既に説明した構成、すなわち貯留部、ペレット量調節手段、給気口、ペレット量二次調節手段、給気量調節手段、および燃焼部を備えた構成である。
【0042】
図15は、ペレットボックス要部断面図により本実験の各実験条件を示す図である。本実験では、ペレット供給量および給気量の調節による燃焼状態制御および燃焼効率向上の効果を確認することを目的とした。ペレット供給量は、ペレット量調節手段93を全開にした状態でペレット量二次調節手段96の開口度を最小/最大とする2条件、また給気量は、給気量調節手段98の開口度を最小/最大とする2条件とし、これらの組合せによる4つの条件にて燃焼を行い、所定のパラメータを測定した。4つの実験条件は下記の通りである。なお、以降、給気量における開口度を「空気口開口度」ともいう。
【0043】
・実験条件1(図中(a))
ペレット供給量:最小、 空気口開口度 :最小
・実験条件2(図中(b))
ペレット供給量:最小、 空気口開口度 :最大
・実験条件3(図中(c))
ペレット供給量:最大、 空気口開口度 :最小
・実験条件4(図中(d))
ペレット供給量:最大、 空気口開口度 :最大
なお、各実験条件1~4は、一台の薪/ペレット両用ストーブ9100を用いて、この条件の順に燃焼条件を切り替えて行った。
【0044】
測定したパラメータは次の通りである。
・燃焼による排ガスの温度 (℃)
・排ガス中のO濃度 (%)
・排ガス中のCO濃度 (ppm)
・サウナストーン温度 (℃)
・本体燃焼室(燃焼室)内温度 (℃)
なお本実験は、薪/ペレット両用ストーブ9100をサウナ室の熱源として用いつつ行った。「サウナストーン温度」は、本ストーブ9100により熱せられたサウナストーンの温度である。
【0045】
図16は、各実験条件での燃焼実験における結果として、排ガス温度、O濃度、および発生CO濃度を示すグラフである。図において、横軸は時刻経過、左縦軸は排ガス温度(℃)と排ガス中O濃度(%)、右縦軸はCO濃度(ppm)を示す。図では、実験実施日の11:30~14:00過ぎまでの間に、実験条件1、2、3、4を順に試験した結果が示されている。また、図示する通り、実験開始前には薪によって本薪/ペレット両用ストーブ9100の予熱を行い、実験開始直前にこれを燃焼部扉(図では「窓」)を開けて取出した。また、実験条件3での実験開始の際に灰落としをするとともに、途中で1度燃焼扉を開けてそのガラス面の煤取りを行った。
【0046】
図17は、本発明の調節方式を備えない従来方式すなわち特許文献2開示技術に係るストーブでの燃焼実験における、排ガス温度、O濃度、および発生CO濃度を示すグラフである。図において、横軸は時刻経過、左縦軸は排ガス温度(℃)と排ガス中O濃度(%)、右縦軸はCO濃度(ppm)を示している。横軸は図16と対応し、実験実施日の14:30~15:30過ぎの間で従来方式ストーブを試験した結果が示されている。
【0047】
図18は各実験条件での燃焼実験における結果として、サウナストーン温度、および本体燃焼室内温度を示すグラフである。横軸は時刻経過、縦軸は温度(℃)を示す。図16と同様、実験実施日の11:30~14:00過ぎまでの間に、実験条件1、2、3、4を順に試験した結果が示されている。
【0048】
表1~5は、各実験条件1~4における測定パラメータの5分間平均値、最大値、および最小値をまとめて示したものである。各表では「実験条件1」を「状態1」等として表示している。また、表5の「従来機種」とは従来方式ストーブである。なお表中、「空気比」とは、実際に使用する空気量と理論空気量との比である。理論空気量とは燃料が完全燃焼するために必要な空気量である。実際には、燃料と空気を均一に混合することは不可能なため、理論空気量だけ供給しても空気不足となりがちとなる。そこで、少し多めの空気量を供給することになる。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
各グラフおよび表に示した結果、以下のことが確認、考察された。
1)ペレット供給量・空気量とも最小に調節した実験条件1では、燃焼室内温度は400℃近くまで上昇した。一方、実験条件2にて空気口の開口度を最大に変更した結果、燃焼室内温度および排ガス温度は低下した。このことから、実験条件2における増加分の空気は、燃焼に使用されることなく燃焼室内に流れ込み、その結果、燃焼室内温度を低下させたと考えられる。
【0055】
したがって、本発明薪/ペレット両用ストーブ9100を用い、ペレット供給量最小の条件を共通とした場合、より燃焼効率を高めたい場合には給気量も少なくし、逆に燃焼効率を抑えて燃焼室内温度を抑制したい場合には、実験条件2のように給気量を多くする、という燃焼制御方法を採れることが示された。
【0056】
2)ペレット供給量・空気量とも最小に調節した実験条件1では、ほぼ2時間の間、ペレットの追加供給を要することなく燃焼を継続することができた。また、サウナストーンの温度は90℃近くまで上昇しており、熱源・サウナストーブとしての機能を発揮しつつ、供給ペレット量を抑制しての低燃費での燃焼が可能であることが確認できた。なお、本実験では温度センサをサウナストーンの比較的表面に近い箇所に設置したため、中心部の温度はより高かったと推測でき、本条件1によってサウナストーブとしての十分な機能が得られているものと考えられる。
【0057】
したがって、本発明薪/ペレット両用ストーブ9100を用い、ペレット供給量を抑制した状態で、かつ給気量も抑制することによって、燃焼効率向上の点でも、燃費低減の点でも望ましい燃焼を行えることが示された。
【0058】
3)ペレット供給量を最大とした実験条件3では、燃焼室内温度は600℃を超えた。また、給気量を抑制した本条件ではCO濃度が低下し、5分間平均では181.2ppmという値を示し、好ましい燃焼状態であった。
【0059】
したがって、本発明薪/ペレット両用ストーブ9100を用いる場合、生成するCO濃度を極力抑制した好ましい燃焼状態に制御するためには、本条件のようにペレット供給量を多くし、かつ給気量を抑制する調節が適していることが示された。
【0060】
4)ペレット供給量を最大とした実験条件4でも、燃焼室内温度は600℃を超えた。一方、本条件では排ガス温度の低下が見られた。このことから、上述の実験条件2と同様に、供給される空気の一部が燃焼に使用されることなく燃焼室内に流れ込み、その結果、燃焼室内温度を低下させる現象が起きていると考えられる。
【0061】
したがって、本発明薪/ペレット両用ストーブ9100を用い、ペレット供給量を多くして高い燃焼効率を得ている状況下、これを抑えて燃焼室内温度を抑制したい場合には、本条件4のように給気量を多くする、という燃焼制御方法を採れることが示された。
【0062】
5)なお、排ガス温度については、実験条件1~4と従来方式とでは測定箇所(燃焼室からの距離)が異なるため、単純な比較はできないが、従来方式の燃焼状況は本発明実験条件1、2の状態に近いものと推測される。その推測に基づくと、本発明実験条件1、2においてもCO濃度は従来方式よりも低く抑えることができており、燃焼状況が改善されていると言える。これは本発明実験条件3においても同様である。さらに本発明実験条件3では、従来方式と比較して大幅にCO濃度が改善されることは上述の通りである。
【0063】
6)また、本発明実験条件1、2では、排ガス中のO濃度も従来方式より低く抑えられている。したがって本発明実験条件1、2では、給気された空気が効率よく燃焼に使用されているものと考えられる。
【0064】
以上の実験の結果、本発明の調節方式によって、燃焼効率の向上を始めとして、燃焼状態をさまざまに制御可能であることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の薪/ペレット両用ストーブ、ペレットボックス、およびサウナ室構造によれば、出願人が先に開示した上記文献2記載発明を基礎としつつ、より燃焼効率の高い薪/ペレット両用ストーブを提供でき、またこれを用いて、燃焼効率のよいアウトドアレジャー等用のサウナを提供することができる。したがって、キャンプ等屋外でのレクリエーション用途を初めとする薪/ペレット両用ストーブの利用全分野、製造分野、および関連する全分野において、産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0066】
2、52、92…貯留部
3、53、93…ペレット量調節手段
4、54、94…給気口
5、55、95…燃焼部
6、56、96…ペレット量二次調節手段
8、58、98…給気量調節手段
10、510、610、710、910…ペレットボックス
20、520、620、720、920…供給部
30、530、630、730、830、930…本体燃焼室
40、540、640、740、840…排気部
100、5100、6100、7100、8100、9100…薪/ペレット両用ストーブ
52s…貯留部スリット
53m、93m…ペレット量調節手段の操作部位
55d…燃焼部扉
56m…ペレット量二次調節手段の操作部位
57、97…灰受け部
58m…吸気量調節手段の操作部位
520d、920d…供給部扉
530w、830w、930w…本体燃焼室窓
6200、7200、8200…サウナ室用空間
6300、7300、8300…サウナ室構造
7900…移動手段
99…灰落とし手段
AR…給気
BR…燃焼
PL…ペレット燃料
SL…摺動
SW…揺動
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18