(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074729
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】更生管の管台設置装置及び既設管の更生方法
(51)【国際特許分類】
F16L 55/18 20060101AFI20240524BHJP
B29C 63/32 20060101ALI20240524BHJP
F16L 55/162 20060101ALI20240524BHJP
F16L 1/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F16L55/18 Z
B29C63/32
F16L55/162
F16L1/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186077
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】508100055
【氏名又は名称】日本ノーディッグテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】竹田 大毅
(72)【発明者】
【氏名】山根 歩
【テーマコード(参考)】
3H025
4F211
【Fターム(参考)】
3H025EA01
3H025EB07
3H025EC01
3H025ED02
3H025EE05
4F211SA05
4F211SC03
4F211SD06
(57)【要約】
【課題】本発明は、既設管の更生に用いられる管台設置装置及び既設管の更生方法に関する。
【解決手段】本発明は、既設管の幅方向に間隔を置いて複数設置される載置部材2及び複数の載置部材2,2・・同士の間を固定し前記幅方向に延びる連結部材3を備えた管台1と、前記管底の幅方向の両端に固定され、連結部材3の両端部を挿通させる溝部4gを有し、管台1を溝部4gに沿って移動させるガイドレール4,4と、を備えている管台設置装置10に関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管の幅方向に間隔を置いて複数設置される載置部材及び複数の前記載置部材同士の間を固定し前記幅方向に延びる連結部材を備えた管台と、
前記管底の幅方向の両端に固定され、前記連結部材の両端部を挿通させる溝部を有し、前記管台を前記溝部に沿って移動させるガイドレールとを備えた管台設置装置。
【請求項2】
前記載置部材は、断面形状が円弧形,L字形又はU字形に形成された棒状の鋼材により形成されている請求項1に記載の管台設置装置。
【請求項3】
前記連結部材は、複数前記載置部材間に跨って延びる板状の部材により形成されている請求項1又は2に記載の管台設置装置。
【請求項4】
前記載置部材には、裏込め材の通過を許す切欠き又は孔が形成されている請求項1又は2に記載の管台設置装置。
【請求項5】
前記載置部材の長手方向の端部には、蓋部材が設けられている請求項1又は2に記載の管台設置装置。
【請求項6】
既設管の内部に更生管を形成する更生管形成工程と、
製管された前記更生管の先端部分と前記既設管の管底との間に、前記管底の幅方向に間隔を置いて複数設置される更生管の載置部材及び複数の前記載置部材同士の間を固定する連結部材を備えた管台と、前記管底の幅方向の両端に固定され、前記連結部材の両端部を挿通させる溝部を有し、前記管台を前記溝部に沿って移動させるガイドレールとを備えた管台設置装置を用いて、前記管台を前記ガイドレールに沿って配置する管台設置工程と、
前記更生管の製管後に、前記既設管の管底に配された前記載置部材に乗るように腹起し材を配置する腹起し材設置工程と、
前記更生管の内側に支保を設置した上で、前記既設管と前記更生管との間に裏込め材を充填する裏込め材充填工程とを有する既設管の更生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管に更生管を形成する際に用いられる更生管の管台設置装置及び既設管の更生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水道管等の既設管を更生する方法として、既設管内に硬質塩化ビニル等の合成樹脂製の更生管を製管した後、既設管と更生管との間隙に裏込め材を注入して硬化させる方法が広く採用されている。
既設管を更生する際には、更生管を置く管底の不陸を補ったり、更生管の勾配の調整を図る必要が生じたりすることがある。また、海岸に近い場所等の既設管は、不明水による水圧によって更生管の底面を押し上げるなどの変形が起こることがあるため、変形が起きにくいように、既設管の更生に際して、既設管と更生管との間に隙間無くモルタルを充填させておく必要がある。
従来の管台としては、既設管の管底と更生管との間に隙間を設けるスペーサと、スペーサに支持されるメッシュ状に組まれた鉄線によるものが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の管台は、不陸が発生している管底に直接スペーサを配置し、その上にメッシュ状に組まれた鉄線を設けるものであるため、不陸が発生している既設管の管底に管台の傾きが影響されてしまっていた。したがって、更生管に付与すべき勾配の設計どおりに管台を設置できないという問題があった。また、更生管を形成しながら更生管の下方に管台を挿入していく必要がある手法において、更生管の下方は見えにくく、設計された適切な位置を作業者が外部から確認することは困難であるため、管台の設置を設計どおりにできなかった。とりわけ、下水道などは、1mの管路において約1mmという細かい勾配を設定する(逆勾配でも約2mm/m)必要があるため、更生管の設置は正確性が要求される。
そこで、本発明は、更生管を所定の位置に容易かつ適切に配置することができる管台の設置装置及び既設管の更生方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の管台設置装置は、既設管の管底の幅方向に間隔を置いて複数設置される載置部材及び複数の前記載置部材同士の間を固定し前記幅方向に延びる連結部材を備えた管台と、前記管底の幅方向の両端に固定され、前記連結部材の両端部を挿通させる溝部を有し、前記管台を前記溝部に沿って移動させるガイドレールと、を備えている。
この構成によれば、既設管の管底に予めガイドレールを設置しておくことで、更生管を少しずつ形成して行きながら更生管の限られた隙間に、設計どおりに管台を設置することができる。
【0005】
本発明の管台設置装置の前記載置部材は、断面形状が円弧形,L字形又はU字形に形成された棒状の鋼材により形成されていてもよい。
この構成によれば、既設管内に供用水を流しながら更生管を形成し管台を設置しても、載置部材に供用水に含まれるごみなどの異物を溜めにくい。
【0006】
本発明の管台設置装置の前記連結部材は、複数の前記載置部材間に跨って延びる板状の部材により形成されていてもよい。
この構成によれば、連結部材の板面に載置部材を安定的に固定させることができる。したがって、管台にゴミが溜まる要素となりうる連結部材の使用数を抑えることができる。
【0007】
本発明の管台設置装置の前記載置部材には、裏込め材の通過を許す切欠き又は孔が形成されていてもよい。
この構成によれば、載置部材の内部にも裏込め材を充填させやすい。
【0008】
本発明の管台設置装置の前記載置部材の長手方向の端部には、蓋部材が設けられていてもよい。
この構成によれば、載置部材の内部にゴミが入ることを防止することができる。
【0009】
本発明の既設管の更生方法は、既設管の内部に更生管を形成する更生管形成工程と、製管された前記更生管の先端部分と前記既設管の管底との間に、前記管底の幅方向に間隔を置いて複数設置される更生管の載置部材及び複数の前記載置部材同士の間を固定する連結部材を備えた管台と、前記管底の幅方向の両端に固定され、前記連結部材の両端部を挿通させる溝部を有し、前記管台を前記溝部に沿って移動させるガイドレールとを備えた管台設置装置を用いて、前記管台を前記ガイドレールに沿って配置する管台設置工程と、前記更生管の製管後に、前記既設管の管底に配された前記載置部材に乗るように腹起し材を配置する腹起し材設置工程と、前記更生管の内側に支保を設置した上で、前記既設管と前記更生管との間に裏込め材を充填する裏込め材充填工程とを有する。
この構成によれば、更生管を設計どおりに配置した状態で、裏込め材を既設管の管底と更生管との間に充填することができる。
【発明の効果】
【0010】
本願の各発明は、更生管を形成しながら、更生管の下方の設計された位置に管台を的確に設置し、既設管の管底と更生管との間を含めて裏込め材を適切に充填することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態の管台を示した斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態の更生管設置装置を示した斜視図である。
【
図3】(a)~(c)本発明の一実施形態の管台の設置工程から裏込め材充填工程を示した概略図である。
【
図4】(a)~(c)本発明の一実施形態の管台の設置工程を示した概略図である。
【
図5】(a),(b)本発明の一実施形態の管台の設置工程を示した概略図である。
【
図6】本発明の他の実施形態の管台を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明の管台1を具備した管台設置装置10及び既設管の更生方法の一実施形態について説明する。
【0013】
図1に示すように、本発明の管台1は、更生管を載置させる載置部材2及び載置部材2同士を連結させる連結部材3を有している。
図2に示すように、本発明の管台設置装置10は、管台1と左右一対のガイドレール4,4を有している。
【0014】
図1に示すように、載置部材2は、更生管を載せて更生管を軸線方向に支持する部材である。載置部材2は、概略矩形の偏平面を有し所定の厚みを有する長尺な2つ鋼板の長辺同士を突き合せた形状で、長手方向に直交する断面視で所定の角度(本実施形態では略90°)をなすようにL字の棒状に形成されている(以下、鋼板のそれぞれを「鋼板部5」という)。本実施形態では、載置部材2として、一枚の長尺な矩形の鋼板を曲げ加工して形成した等辺の山型鋼(アングル鋼)が用いられている。
【0015】
各載置部材2の2つの鋼板部5の長辺5aに沿う端部には、円弧形状の切欠き6が形成されている。
切欠き6は、山型の頂部(即ち山型鋼の折曲部)7側に入り込んだ円弧形状で、間隔を空けて一又は複数形成されている。切欠き6は、2つの鋼板部5,5間で見て、載置部材2の長手方向に直交する方向に連通しないよう、互いに長手方向にずれた位置に形成されている。これにより、一方の鋼板部5に形成された切欠き6を通過した他方の鋼板部5には壁が立ちはだかっている。
【0016】
載置部材2は、
図3(c)に示す更生管Xの管底X1の幅寸法に応じて複数本用いられる。各載置部材2は、山形の頂部7を上方に向け、更生管Xに取り付けられる複数の腹起し材8(
図3(c)参照)の設置位置を考慮して、更生管Xの管底X1を挟んで腹起し材8と対向する位置に配置され得る間隔で平行に配列されている。
【0017】
更生管Xに勾配を取らせる場合は、aパーミル(以後、‰:軸線方向に対する高さの比を表す)、逆勾配の場合は、-b‰(a,bは計画された設計数値)で更生管Xが傾くように設計される。そのため、載置部材2としては、連結部材3に固定した際の高さは、当該設計勾配を得られる載置部材2が好適に用いられる。
【0018】
図1に示すように、載置部材2の両端には、着脱自在の蓋部材9が配されている。
蓋部材9は、載置部材2の断面形状に合わせて、載置部材2の長手方向の両端部を完全に覆うように形成されている。蓋部材9は、磁力、係合構造、その他の方法で着脱自在に形成されている。なお、蓋部材9は、載置部材2の端面に外せないように固定されていてもよい。
【0019】
連結部材3は、複数の載置部材2同士の間隔を設定して固定する部材である。連結部材3は、所定の厚さを有する長尺な矩形の鋼板により形成されている。
連結部材3は、長手方向を複数の載置部材2に交差する方向(本実施形態では直交方向)に向け、偏平面を
図3に示す既設管Yの管底Y1に対向し得る向きで複数の載置部材2を上面に載せて固定している。連結部材3と複数の載置部材2の山型の裾の先端とは、互いの接触箇所で溶接により固定されている。
【0020】
複数の載置部材2は、複数の連結部材3により固定されていてもよいが、本実施形態では、1つの連結部材3によって固定されている。
連結部材3は、複数の載置部材2を連結させるとともに、
図3(b)に示す既設管Yの管底Y1の両端に設置される後述するガイドレール4に挿通させてガイドレール4に従って管台1全体を移動させる役割も果たしている。そのために、連結部材3は、ガイドレール4,4の設置間寸法に応じた長さに形成されている。
【0021】
また、連結部材3は、既設管Yの管底Y1にインバート施工がされている場合などに応じて、管底の形状に沿うよう変形させている。
【0022】
連結部材3の短手方向の少なくとも一端側には、上流側から流れてくる供用水が連結部材3の下方を流れることを防止するカバー部材が設けられていてもよい。
カバー部材は、連結部材3と管底Y1との隙間を塞ぎ得る鋼板、角材などが用いられる。
【0023】
図2に示すように、ガイドレール4は、
図3に示す更生管Xの形成前に既設管Yの管底Y1の両端に固定され、管台1をガイドしつつ更生管Xの下の所定の高さ位置に配置させる部材である。ガイドレール4は、特に限定されないが、数m~10mの長さで形成されており、長手方向に連結させて更生管Xの形成方向に延びるように既設管に固定される。
【0024】
ガイドレール4は、連結部材3の端部を挿通させる溝部4gが形成された鋼材により形成されている。ガイドレール4としては、例えばC型鋼などを好適に用いることができる。溝部4gの開口幅(矢印L2方向の寸法)は、連結部材3の板厚に対し、を摺動させやすい程度に余裕のある寸法に設定されている。ガイドレール4の長手方向の寸法は、複数の連結部材3を挿通させることが可能な程度に形成されている。
なお、更生管Xの勾配は、前述のとおり載置部材2によって付与することが可能であるが、ガイドレール4の設置位置によって調整することも可能である。
【0025】
以上の構成を有する管台1を用いて既設管Yに更生管Xを形成する方法について説明する。
管台1を用いて更生管Xを形成するには、
図3(a)に示すように、既設管Yの管底Y1の幅方向(既設管Yを軸線L方向に見た水平方向)の両端又は両側壁の下端にガイドレール4を配置する(ガイドレール配置工程)。ガイドレール4は、更生管Xの勾配等を考えて設置すべき高さが決定されている。ガイドレール4を設置する高さ位置としては、可能な限り連結部材3と既設管Yの管底Y1との間に隙間が形成されないように考慮されるとよい。また、更生管Xの形成を開始する前に、更生管Xの始端で管台1の適切な挿入完了位置が分かるように、
図4(a)に示すように、管台1の挿入留め(アンカー)30を設けておく。
【0026】
これにより、管台1は、形成された更生管Xの下方で作業者が見えにくい狭い隙間に、設計に従って適切に配置される。すなわち、更生管Xの形成前にガイドレール4を既設管Yに取り付けることによって、更生管Xの勾配等を考慮して更生管Xを支持する管台1の正確な位置出しをすることができる。そして、更生管Xを形成した後に、管台1が設置されるべき位置に正確に配置できる状態となる。また、可能な限り連結部材3と既設管Yの管底Y1との間に隙間が形成されないように設定される。
【0027】
次に、
図5(a)に示すように、既設管Y内で製管機40を回転させ、合成樹脂からなる帯状のプロファイルPを螺旋状に巻回し更生管Xを形成していく(更生管形成工程)。この際、ガイドレール4は、既設管Yの両端に配置しているので製管機40による製管作業を妨げないように配置されている。
【0028】
既設管Yの軸線方向に更生管Xを所定寸法形成したところで、連結部材3の長手方向を既設管Yの管底Y1の幅方向に合わせた向きで用意する。これにより載置部材2は、既設管Yないし更生管Xの軸線に対して略平行に配された状態となる。なお、所定寸法とは、管台1の載置部材2の長手方向の寸法程度又はそれよりもやや長い寸法、すなわち管台1の更生管Xの下方への挿入が容易な程度であるとよい。
【0029】
更生管Xを少し持ち上げ、管台1の連結部材3の両端をガイドレール4の溝内に合わせ、管台1を更生管Xの下方に押し込む。そうすると、作業者が管台1の位置などを特に確認しなくても連結部材3がガイドレール4に沿って、更生管Xの下方であって既設管Yの管底Y1との間に隙間を極力形成しないように挿入される(管台配置工程)。
【0030】
図4(a)に示すように、管台1の載置部材2又は連結部材3が予め設置しておいたアンカー30に当たったら、管台1が所定の位置まで挿入されたことが分かるので、更生管Xを載置部材2上に置いて、再び更生管Xを軸線方向に載置部材2の長手方向の寸法程度製管し、前述のようにして更生管Xの下方に管台1を挿入する。2つ目以降の管台1は、先に挿入した管台1に当たるところまで挿入する。
【0031】
以上の更生管形成工程及び管台配置工程を繰り返して、
図4(b),(c)及び
図5(b)に示すように、更生管Xを延ばしつつ、管台1が製管機40による更生管Xの形成の邪魔にならないように、管台1を順次設置していく。
更生管Xの形成が完了したら、
図3(c)に示すように、更生管Xの内側に腹起し材8を取り付け(腹起し材設置工程)、不図示の支保を設置する。管台1は、腹起し材8の設置位置に対向し得るように載置部材2を設けているので、腹起し材8と載置部材2とが更生管Xを挟んだ状態で支保が設置される。
【0032】
支保の設置後、既設管Yと更生管Xとの間にモルタル等の裏込め材20を注入すると、管台1の周辺に裏込め材20が回っていき、その後載置部材2に形成された切欠き6から載置部材2内に裏込め材20が入り込む(裏込め材充填工程)。
【0033】
この際、切欠き6は、2つの鋼板部5,5間で長手方向にずれた位置に形成されているので、切欠き6から入り込んだ裏込め材20は、切欠き6に対向する鋼板部5の内壁に当たってその内壁に沿って流動し、他方に形成された切欠き6から一部抜けていきつつも載置部材2内を広がっていく。そして、載置部材2の両端は蓋部材9により閉じられているので、載置部材2内に裏込め材20が溜まっていく。このようにして、裏込め材20は管台1の外側及び内側にしっかりと充填されていく。
【0034】
裏込め材20の充填が完了したら、支保及び腹起し材8を更生管Xから取り外し、既設管Y内への更生管Xの形成が完了する。
【0035】
このように、本発明の管台設置装置10及び既設管の更生方法によれば、既設管Yの管底Y1の幅方向両端に、ガイドレール4,4が配されており、このガイドレール4,4に連結部材3を挿通させて管台1を更生管Xの下方に押し込むことができる。したがって、更生管Xを形成しながらその下方に管台1を設置していくにあたり、管台1の配置位置を確認することが難しくても、管台1の高さ位置及び向きを略設計どおりに適切に配置することができる。
【0036】
また、載置部材2が細長い断面山型の棒状に形成され既設管Yの軸線に略沿って、すなわち水流方向に沿うように配置されているため、載置部材2の内部及び外面に水中に浮遊するゴミなどの異物を引っ掛けて溜めてしまうことを防止しやすい。
【0037】
また、連結部材3は、軸線に対して交差する方向に長辺を向けて配置されるが、偏平で長尺な板状に形成され、その偏平面を既設管Yの管底Y1に極力隙間を形成しないように配される。また、管底Y1が湾曲している場合には、連結部材3を湾曲面に沿わせて変形させている。
【0038】
よって、既設管Yを流れる水は、連結部材3の下方には流れにくく、連結部材3の端面に当たると連結部材3の上面側に流れ浮遊物などを流していく。したがって、管台1の設置により既設管Yと更生管Xとの間に異物を溜めてしまい、裏込め材20の充填が不十分になってしまうといった問題を効果的に防止することができるという効果を奏する。
【0039】
また、載置部材2の長手方向の端部には蓋部材9が取り付けられていることで、既設管Y内の上流側から流れる水の載置部材2内への進入を効果的に防ぐことができる。これによって、水に含まれたゴミ等の異物が管台1の内部に溜まることで裏込め材20の充填を妨げてしまうことを有効に回避することができる。
【0040】
また、載置部材2が山型に形成されているため、異物が流れてきても載置部材2の山形の頂部7から下方及び下流側に流されやすくなって溜まりにくい。したがって、本発明の管台1は、その周辺に裏込め材20が充填されにくくなって充填が不十分になる問題を回避することができるという効果を奏する。
【0041】
また、連結部材3が、長尺な鋼板により成されているため、載置部材2を鋼板との接触面で堅固に固定することができる。したがって、載置部材2を固定するように既設管Yの管底の幅方向に延びて、水の流れを阻害し、また水に含まれて浮遊するゴミを溜めてしまうおそれのある連結部材3の数を抑制し水流及びこれに含まれるゴミの流れを留めてしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0042】
また、載置部材2と腹起し材8とを対向させて配置するため、更生管Xを管台1と腹起し材8及び支保により確実に把持することができるという効果を奏する。また上記構成により、更生管Xの変形を防止することができるという効果を奏する。
【0043】
なお、上記実施形態において、切欠き6は円弧状に形成された例を示したが、切欠き6の形状は円弧形状に限定されるものではない。また、連結部材3との間で開口を形成する切欠き6が形成されていることが望ましいが、載置部材2内に裏込め材20を進入させる開口として、鋼板部5に孔が形成されていてもよい。
【0044】
また、載置部材2の形状として山形鋼を用いた例を示したが、載置部材2の形状は、その表面にゴミなどの異物が溜まりにくい形状であれば断面円弧形やU字形等の形状であってもよい。
また、載置部材2の鋼板部5,5がなす角度は、90°であることは必須ではなく、90°以下又は90°以上であってもよい。
【0045】
また更に、管台1の載置部材2は、
図6に示すように、少なくとも2本が既設管Yの軸線方向に前後する管台1の載置部材2と接し得る長さを有していれば、3本目の載置部材2は、前後の載置部材2と接する長さを有していなくてもよい。
管台1として上記の構成を採ることにより、少なくとも2本の載置部材2で、軸線方向に前後する管台1の載置部材2と接触して安定性を保持することができ、3本目以上の載置部材2の材料費を抑え得るとともに、水流を妨げる物を極力設けないようにすることができるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0046】
1 菅台
2 載置部材
3 連結部材
4 ガイドレール
5 鋼板部
6 切欠き
10 管台設置装置
20 裏込め材(モルタル)
X 更生管
Y 既設管
Y1 既設管の管底