(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074750
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】手押し車
(51)【国際特許分類】
B62B 3/02 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B62B3/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023047828
(22)【出願日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】P 2022185407
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】500551677
【氏名又は名称】株式会社島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】島 義弘
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA03
3D050CC05
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050JJ01
3D050JJ07
(57)【要約】
【課題】各前輪脚部と各後輪脚部とを折り畳む上で必要な左右の連結リンクを廃止し、部品点数を削減してコストの低廉化を図ることができる手押し車を提供する。
【解決手段】左右の後輪脚部12同士の間を連結する後側連結フレーム3に、各後輪脚部12に水平軸31を介して先端を回転自在に支持する各後側縦フレーム材32と、これらの基端に両端を連結する後側横フレーム材33とを備える。左右の前輪脚部11同士の間を連結する前側連結フレーム4に、各前輪脚部11に水平軸41を介して基端を連結しかつ先端が水平軸42を介して各後側縦フレーム材32の基端側に回転自在に支持する各前側縦フレーム材43と、これらの基端に両端を連結する前側横フレーム材44とを備える。各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に後側連結フレーム3の後側横フレーム材33の左右両端を各前側縦フレーム材43の屈曲部45に対し上方から当接させて互いの回転を禁止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、前記各操舵フレームの下端に連結され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、前記各前輪脚部同士の間を連結する前側連結フレームと、前記各後輪脚部同士の間を連結する後側連結フレームと、を備え、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが左右方向へ延びる水平軸回りに開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能とされた手押し車であって、
前記後側連結フレームは、前記各後輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ先端が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材と、この各後側横フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材と、を備えている一方、
前記前側連結フレームは、前記各前輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ基端が回転自在に支持され、かつそれぞれ先端が左右方向へ延びる水平軸を介して前記各後側縦フレーム材の基端側に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材と、この各前側縦フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる前側横フレーム材と、を備えており、
前記後側連結フレームと前記前側連結フレームとは、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転が禁止されるように当接していることを特徴とする手押し車。
【請求項2】
前記各後側縦フレーム材と前記各前側縦フレーム材とは、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転中心となる前記各水平軸を通る水平線よりも下方へ傾斜している請求項1に記載の手押し車。
【請求項3】
前記各後側縦フレーム材は、前記各前側縦フレーム材の外側に位置しており、
前記後側連結フレームは、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に前記前側連結フレームに対し上方から当接するようになっている請求項1又は請求項2に記載の手押し車。
【請求項4】
前記各前側縦フレーム材は、前記各後側縦フレーム材の外側に位置しているとともに、
前記各前側縦フレーム材の先端同士の間には、左右方向へ延びる当接フレーム材の両端が連結されており、
前記当接フレーム材は、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に前記後側連結フレームに対し上方から当接するようになっている請求項1又は請求項2に記載の手押し車。
【請求項5】
利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、前記各操舵フレームの下端に連結され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、前記各前輪脚部同士の間を連結する前側連結フレームと、前記各後輪脚部同士の間を連結する後側連結フレームと、を備え、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが左右方向へ延びる水平軸回りに開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能とされた手押し車であって、
前記後側連結フレームは、前記各後輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ先端が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材と、この各後側横フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材と、を備えている一方、
前記前側連結フレームは、前記各前輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ一端が回転自在に支持され、かつそれぞれ中途部が左右方向へ延びる水平軸を介して前記各後側縦フレーム材の基端側に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材を備えており、
前記各前側縦フレーム材は、前記各後側縦フレーム材の外側に位置しているとともに、
前記各前側縦フレーム材の他端同士の間には、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転が禁止されるように前記後側連結フレームに対し上方から当接する当接フレーム材が左右方向へ延びて連結されていることを特徴とする手押し車。
【請求項6】
前記各前側縦フレーム材の他端には、当該各前側縦フレーム材を前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能に操作されるように前記各後輪脚部よりも後方へそれぞれ延長させる延長操作部が一体的に設けられている請求項5に記載の手押し車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シルバーカーや歩行車などの手押し車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の手押し車は、利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、各操舵フレームの下端に左右方向へ延びる水平軸回りに回転自在に支持され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部とを備えている。また、手押し車は、各前輪脚部の上下両端部同士をそれぞれ左右方向へ延びて連結する前後の前側連結フレーム材と、各後輪脚部の下端部同士を左右方向へ延びて連結する後側連結フレーム材とを備えている。
【0003】
また、このような手押し車にあっては、各前輪脚部と各後輪脚部との間に、左右の連結リンクを設け、各連結リンクに、各前輪脚部と各後輪脚部との折り畳み時に互いに中折れする前側リンク部材及び後側リンク部材を設けたものが知られている(特許文献1参照)。また、各前側リンク部材の前端は、各前輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介して回転自在に支持されているとともに、各後側リンク部材の後端は、各後輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介して回転自在に支持されている。そして、各前側リンク部材の後端と各後側リンク部材の前端とは、左右方向へ延びる水平軸を介して回転自在に支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、前記従来のものでは、各前輪脚部と各後輪脚部とを折り畳む上で左右の連結リンクを設ける必要がある。この各連結リンクでは、各前輪脚部と各後輪脚部との折り畳み時に互いに中折れする前側リンク部材及び後側リンク部材が必要となるため、部品点数が増加し、コストアップにつながってしまうことになる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各前輪脚部と各後輪脚部とを折り畳む上で必要な左右の連結リンクを廃止し、部品点数を削減してコストの低廉化を図ることができる手押し車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明では、利用者が両手でそれぞれ把持した状態で操舵する操舵部より下方へ延びる左右の操舵フレームと、この各操舵フレームの下端に連結され、前輪を転動自在に支持する左右の前輪脚部と、前記各操舵フレームの下端に連結され、後輪を転動自在に支持する左右の後輪脚部と、前記各前輪脚部同士の間を連結する前側連結フレームと、前記各後輪脚部同士の間を連結する後側連結フレームと、を備え、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが左右方向へ延びる水平軸回りに開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能とされた手押し車を前提とする。更に、前記後側連結フレームに、前記各後輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ先端が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材と、この各後側縦フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材と、を設ける。一方、前記前側連結フレームに、前記各前輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ基端が回転自在に支持され、かつそれぞれ先端が左右方向へ延びる水平軸を介して前記各後側縦フレーム材の基端側に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材と、この各前側縦フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる前側横フレーム材と、を設ける。そして、前記後側連結フレームと前記前側連結フレームとを、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転を禁止するように当接させることを特徴としている。
【0008】
また、前記各後側縦フレーム材と前記各前側縦フレーム材とを、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転中心となる前記各水平軸を通る水平線よりも下方へ傾斜させることがこのましい。
【0009】
更に、前記各後側縦フレーム材を、前記各前側縦フレーム材の外側に位置させている。そして、前記後側連結フレームを、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に前記前側連結フレームに対し上方から当接させるようにしてもよい。
【0010】
これに対し、前記各前側縦フレーム材を、前記各後側縦フレーム材の外側に位置させるとともに、前記各前側縦フレーム材の先端同士の間に、左右方向へ延びる当接フレーム材の両端を連結する。そして、前記当接フレーム材を、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に前記後側連結フレームに対し上方から当接させるようにしてもよい。
【0011】
また、前記目的を達成するため、本発明では、前記手押し車を同様に前提とし、前記後側連結フレームに、前記各後輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ先端が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材と、この各後側縦フレーム材の基端に両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材と、を設ける。一方、前記前側連結フレームは、前記各前輪脚部に左右方向へ延びる水平軸を介してそれぞれ一端が回転自在に支持され、かつそれぞれ中途部が左右方向へ延びる水平軸を介して前記各後側縦フレーム材の基端側に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材を設ける。そして、前記各前側縦フレーム材を、前記各後側縦フレーム材の外側に位置させるとともに、前記各前側縦フレーム材の他端同士の間に、前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に互いの回転が禁止されるように前記後側連結フレームに対し上方から当接する当接フレーム材を左右方向へ延ばして連結することを特徴としている。
【0012】
更に、前記各前側縦フレーム材の他端に、当該各前側縦フレーム材を前記各後輪脚部と前記各前輪脚部とが開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能に操作されるように前記各後輪脚部よりも後方へそれぞれ延長させる延長操作部を一体的に設けることがこのましい。
【発明の効果】
【0013】
以上、要するに、各後輪脚部同士の間を連結する後側連結フレームの各後側縦フレーム材の基端側と、各前輪脚部同士の間を連結する前側連結フレームの各前側縦フレーム材の先端とを水平軸回りに中折れさせ、各後輪脚部と各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に後側連結フレームと前側連結フレームとを当接させて互いの回転を禁止している。このため、各前輪脚部と各後輪脚部とを折り畳む上で必要な左右の連結リンクの前側リンク部材及び後側リンク部材を、後側連結フレームの各後側縦フレームと前側連結フレームの各前側縦フレーム材とで代用している。これにより、左右の連結リンクを中折れさせる前側リンク部材及び後側リンク部材を廃止して、部品点数の削減に伴うコストの低廉化を図ることができる。
【0014】
しかも、後側連結フレームの各後側縦フレームの基端を後側横フレーム材の両端により一体的に連結するとともに、前側連結フレームの各前側縦フレームの基端を前側横フレーム材の両端により一体的に連結することで、前側リンク部材及び後側リンク部材としての剛性が非常に高められ、耐久性の向上を図ることができる。
【0015】
また、各後側縦フレーム材と各前側縦フレーム材とを、後側連結フレームと前側連結フレームとを当接させた際に互いの回転中心となる水平軸を通る水平線よりも下方へ傾斜させることで、各後側縦フレーム材及び各前側縦フレーム材が互いに水平線よりも上方へ傾斜し難くなる。これにより、各後輪脚部と各前輪脚部との開脚位置での姿勢が安定し、開脚姿勢を円滑に保持することができる。
【0016】
更に、各後側縦フレーム材を各前側縦フレーム材の外側に位置させ、各後輪脚部と前記各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に後側連結フレームを前側連結フレームに対し上方から当接させている。これにより、各後輪脚部と各前輪脚部との開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0017】
これに対し、各前側縦フレーム材を各後側縦フレーム材の外側に位置させ、各後輪脚部と各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に、各前側縦フレーム材の先端に両端を連結した当接フレーム材を後側連結フレームに対し上方から当接させている。これにより、各後輪脚部と各前輪脚部との開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0018】
また、後側連結フレームの各後側縦フレーム材の基端側と、前側連結フレームの各前側縦フレーム材の中途部とを水平軸回りに中折れさせ、各後輪脚部と各前輪脚部とを開脚位置に変換した際に後側連結フレームに対し各前側縦フレーム材の他端同士の間の当接フレーム材を上方から当接させて互いの回転を禁止している。このため、各前輪脚部と各後輪脚部とを折り畳む上で必要な左右の連結リンクの前側リンク部材及び後側リンク部材を、各後側縦フレームと各前側縦フレーム材とで代用している。これにより、左右の連結リンクを中折れさせる前側リンク部材及び後側リンク部材を廃止して、部品点数の削減に伴うコストの低廉化を図ることができる。
【0019】
更に、各前側縦フレーム材の他端において各後輪脚部よりもそれぞれ後方へ延長させた延長操作部を一体的に設けることで、先端が各後輪脚部よりも後方に位置する延長操作部によって、各後輪脚部と各前輪脚部との開脚位置から閉脚位置への操作が非常に簡単に行うことができ、閉脚位置への操作性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図2】
図1の手押し車を前方から見た正面図である。
【
図3】
図1の手押し車を後方から見た背面図である。
【
図4】
図1の手押し車を右側方から見た右側面図である。
【
図5】
図1の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図6】
図5の手押し車を前方から見た正面図である。
【
図7】
図5の手押し車を後方から見た背面図である。
【
図8】
図5の手押し車を右側方から見た右側面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図10】
図9の手押し車を前方から見た正面図である。
【
図11】
図9の手押し車を後方から見た背面図である。
【
図12】
図9の手押し車を右側方から見た右側面図である。
【
図13】
図9の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図17】本発明の第3の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図21】
図17の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図25】本発明の第4の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図29】
図25の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図33】本発明の第5の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図37】
図33の手押し車を座面の閉じ位置で斜め前方から見た斜視図である。
【
図41】
図37の手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態に係る手押し車を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の第1の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部と各後輪脚部との開脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図2は
図1の手押し車を前方から見た正面図をそれぞれ示している。また、
図3は
図1の手押し車を後方から見た背面図、
図4は
図1の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0023】
図1~
図4に示すように、この手押し車1Aは、歩行車として用いられ、左右一対の前輪脚部11,11と、左右一対の後輪脚部12,12と、ハンドルフレーム13とを備えている。
【0024】
左右の前輪脚部11,11は、後述する左右のハンドル支柱部18,18の下端にそれぞれの上端が連結され、それぞれの下端に転動自在に支持された前輪14,14を備えている。一方、左右の後輪脚部12,12は、それぞれの下端に転動自在に支持された後輪15,15を備えている。また、左右の後輪脚部12,12の下端部には、各後輪15をそれぞれ制動するブレーキ16が回動自在に支持されている。
【0025】
ハンドルフレーム13は、操舵部としての略コの字状のハンドル17と、このハンドル17の両端(図では下端)を下方から支持する操舵フレームとしての左右のハンドル支柱部18,18とで構成されている。ハンドル17は、その底部(図では前端部)を左右方向に延びたのちにその両端より後方へ延びるハンドル部材21と、このハンドル部材21の左右の角部よりそれぞれ下方へ延びるハンドル支持部材22,22とを備えている。
【0026】
また、ハンドル17は、ハンドル部材21の左右の角部より後方へ延びる把持部23,23を備え、この各把持部23を利用者が両手で把持した状態で操舵される。各把持部23の下側には、それぞれ前後方向へ延びるブレーキレバー24,24が設けられている。各ブレーキレバー24は、その前端がハンドル部材21の左右の角部に支持され、操作時にブレーキ操作ワイヤー(図示せず)を介してブレーキ16を回動させて後輪15を制動するようになっている。各ブレーキ16は、左右方向へ延びるブレーキフレーム19により連結され、各ブレーキレバー24のうちの一方のブレーキレバー24の操作により各後輪15の制動を可能にしている。
【0027】
また、左右のハンドル支持部材22,22は、略円筒状に形成され、各ハンドル支柱部18の上端に取り付けられている。各ハンドル支柱部18は、各前輪脚部11に沿って上下方向へスライド自在に支持されている。この場合、各ハンドル支柱部18は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、又は鉄鋼等を押出成形したパイプから形成されている。
【0028】
左右の前輪脚部11,11の上端には、上側ブラケット25,25がそれぞれ設けられている。左右の上側ブラケット25,25は、左右方向へ延びる前側上端フレーム27により連結されている。この場合、前側上端フレーム27によって左右のハンドル支柱部18,18同士が各上側ブラケット25を介して連結され、左右の前輪脚部11,11の剛性を確保している。
【0029】
各上側ブラケット25の後端部には、左右の後輪脚部12,12の上端がそれぞれ左右方向へ延びる水平軸26を介して回転自在に支持されている。また、左右の前輪脚部12,12の下端部同士は、左右方向へ延びる前側下端フレーム28によって連結されている。
【0030】
図5は
図1の手押し車1Aを各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図6は
図5の手押し車1Aを前方から見た正面図をそれぞれ示している。また、
図7は
図5の手押し車1Aを後方から見た背面図、
図8は
図5の手押し車1Aを右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0031】
図5~
図8にも示すように、左右の前輪脚部11,11と左右の後輪脚部12,12とは、各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し水平軸26回りに開脚位置(
図1~
図4に示す位置)から閉脚位置(
図5~
図8に示す位置)に折り畳み可能とされている。
【0032】
左右の後輪脚部12,12の上下方向略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状の後側連結フレーム3が連結されている。また、前側上端フレーム27と前側下端フレーム28との間に位置する、各前輪脚部11の上下方向略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状の前側連結フレーム4が連結されている。
【0033】
後側連結フレーム3は、各後輪脚部12の上下方向略中間位置に左右方向へ延びる水平軸31,31を介してそれぞれ先端(
図1~
図4では後端)が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材32,32と、この各後側縦フレーム材32の基端(
図1~
図4では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材33と、を備えている。
【0034】
一方、前側連結フレーム4は、各前輪脚部11に左右方向へ延びる水平軸41,41を介してそれぞれ基端(
図1~
図4では前端)が回転自在に支持され、かつそれぞれ先端(
図1~
図4では後端)が左右方向へ延びる水平軸42,42を介して各後側縦フレーム材32の基端側(
図1~
図4では前端側)に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材43,43と、この各前側縦フレーム材43の基端に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる前側横フレーム材44と、を備えている。
【0035】
前側連結フレーム4の各前側縦フレーム材43の略中間部には、下方へ略くの字状に屈曲する屈曲部45が設けられている。更に、後側連結フレーム3の各後側縦フレーム材32は、前側連結フレーム4の各前側縦フレーム材43の外側に位置している。
【0036】
そして、後側連結フレーム3と前側連結フレーム4とは、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に後側横フレーム材33の左右両端が各前側縦フレーム材43の屈曲部45に対し上方から当接している。このとき、各後側縦フレーム材32と各前側縦フレーム材43とは、互いの回転中心となる水平軸31,41をそれぞれ通る水平線よりも下方へ傾斜した状態で停止し、後側連結フレーム3及び前側連結フレーム4のそれ以上の回転が禁止されている。
【0037】
また、前輪脚部11,11の上端部には、各上側ブラケット25の下側に連設された下側ブラケット50,50が取り付けられている。各下側ブラケット50には、図示しない買い物カゴを支持するように後方へ開口する略コの字状の支持フレーム5の左右一対の縦フレーム材51,51の両先端(
図1~
図4では両後端)がそれぞれ左右方向へ延びる水平ピン52,52を介して回転自在に支持されている。この場合、支持フレーム5は、左右の縦フレーム材51,51と、この各縦フレーム材51の基端に両端が一体的に連結された横フレーム材53とを備え、使用時に略水平な起立位置(
図1~
図4に示す位置)と、各ハンドル支柱部18に沿って上方へ倒伏する倒伏位置(
図5~
図8に示す位置)とに変換される。
【0038】
右側の後輪脚部12の上端部には、前方へ延びるリンク54の基端(後端)が左右方向へ延びる水平軸55を介して回転自在に支持されている。また、リンク54の先端部(前端部)には、上方へ開口する略コの字状の案内溝56が設けられ、この案内溝56内に支持フレーム5の右側の縦フレーム材51先端の水平ピン52が摺動自在に案内される。
【0039】
そして、各後輪脚部12を各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳む際に、後側連結フレーム3の後側横フレーム材33を上方へ引き上げ操作することによって各後輪脚部12が折り畳まれる。また、リンク54の先端は付勢スプリング57によって常時下向きに付勢されていて、各後輪脚部12を開脚位置に変換した際の変換動作に連動して支持フレーム5が起立位置に変換され、水平ピン52が案内溝56の前側の上端位置に係止されるようにしている。一方、各後輪脚部12を閉脚位置に変換した際の変換動作に連動して支持フレーム5が倒伏位置に変換され、水平ピン52が案内溝56の後側の上端位置に係止されるようになっている。
【0040】
また、各前輪脚部11には、各フレームブラケット50と各水平軸41との間を各前輪脚部11に沿って上下方向へスライド移動するスライドブラケット29,29が設けられている。各スライドブラケット29には左右方向へ延びる水平軸59が設けられているとともに、この水平軸59には、それぞれ前方へ延びるリンクアーム58,58の一端(下端)が回転自在に支持されている。この各リンクアーム58の他端は、支持フレーム5の各縦フレーム材51の略中間位置に回転自在に支持され、支持フレーム5の起立位置での姿勢が各リンクアーム58によって保持されるようにしている。各リンクアーム58は、左右方向へ延びるリンクフレーム20によって連結されている。そして、各スライドブラケット29は、支持フレーム5が倒伏位置に変換される際に各フレームブラケット50付近まで上方へスライド移動する。
【0041】
したがって、本実施の形態では、各後輪脚部12同士の間を連結する後側連結フレーム3の各後側縦フレーム材32の基端側と、各前輪脚部11同士の間を連結する前側連結フレーム4の各前側縦フレーム材43の先端とを水平軸42回りに中折れさせ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に後側連結フレーム3の後側横フレーム材33の左右両端を各前側縦フレーム材43の屈曲部45に対し上方から当接させて互いの回転を禁止している。このため、各前輪脚部11と各後輪脚部12とを折り畳む上で必要な左右の連結リンクの前側リンク部材及び後側リンク部材を、後側連結フレーム3の各後側縦フレーム32と前側連結フレーム4の各前側縦フレーム材43とで代用している。これにより、左右の連結リンクを中折れさせる前側リンク部材及び後側リンク部材を廃止して、部品点数の削減に伴うコストの低廉化を図ることができる。
【0042】
しかも、後側連結フレーム3の各後側縦フレーム32の基端が後側横フレーム材33の両端により一体的に連結されているとともに、前側連結フレーム4の各前側縦フレーム43の基端が前側横フレーム材44の両端により一体的に連結されている。これにより、前側リンク部材及び後側リンク部材としての剛性が非常に高められ、耐久性の向上を図ることができる。
【0043】
加えて、各後輪脚部12,12の上下方向略中間位置同士の間を連結する後側連結フレーム3が後方に開口する略コの字状に形成されていることにより、各把持部23を両手で把持した利用者の足元に十分な空間が確保され、歩行性に優れた手押し車1Aを提供することができる。
【0044】
また、各後側縦フレーム材32と各前側縦フレーム材43とが、後側連結フレーム3と前側連結フレーム4とを当接させた際に互いの回転中心となる水平軸31,41を通る水平線よりも下方へ傾斜している。このため、各後側縦フレーム材32及び各前側縦フレーム材43が互いに水平線よりも上方へ傾斜し難くなる。これにより、各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での姿勢が安定し、開脚姿勢を円滑に保持することができる。
【0045】
更に、各後側縦フレーム材32を各前側縦フレーム材43の外側に位置させ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に後側連結フレーム3の後側横フレーム材33の左右両端を各前側縦フレーム材43の屈曲部45に対し上方から当接させている。これにより、互いに水平線よりも上方へ傾斜し難い位置で当接する各後側縦フレーム材32及び各前側縦フレーム材43と相俟って各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0047】
本実施の形態では、後側連結フレーム及び前側連結フレームの構成を変更している。なお、後側連結フレーム及び前側連結フレームを除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0048】
図9は本発明の第2の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との開脚位置で斜め前方から見た斜視図を示している。また、
図10は
図9の手押し車を前方から見た正面図、
図11は
図9の手押し車を後方から見た背面図、
図12は
図9の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。更に、
図13は
図9の手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図14は
図13の手押し車を前方から見た正面図、
図15は
図13の手押し車を後方から見た背面図、
図16は
図13の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0049】
すなわち、本実施の形態では、
図9~
図16に示すように、手押し車1Bは、歩行車として用いられ、左右の後輪脚部12,12の略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状の後側連結フレーム6が連結されている。また、前側上端フレーム27と前側下端フレーム28との間に位置する、各前輪脚部11の略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状の前側連結フレーム7が連結されている。
【0050】
後側連結フレーム6は、各後輪脚部12の略中間位置に左右方向へ延びる水平軸31,31を介してそれぞれ先端(
図9~
図12では後端)が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材62,62と、この各後側縦フレーム材62の基端(
図9~
図12では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材63と、を備えている。
【0051】
一方、前側連結フレーム7は、各前輪脚部11に左右方向へ延びる水平軸41,41を介してそれぞれ基端(
図9~
図12では前端)が回転自在に支持され、かつそれぞれ先端(
図9~
図12では後端)が左右方向へ延びる水平軸42,42を介して各後側縦フレーム材62の基端側(
図9~
図12では前端側)に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材73,73と、この各前側縦フレーム材73の基端に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる前側横フレーム材74と、を備えている。
【0052】
前側連結フレーム7の各前側縦フレーム材73の略中間部には、下方へ略くの字状に屈曲する屈曲部75が設けられている。更に、前側連結フレーム7の各前側縦フレーム材73は、後側連結フレーム6の各後側縦フレーム材62の外側に位置している。また、各前側縦フレーム材73の先端同士の間には、左右方向へ延びる当接フレーム材77の両端が連結されている。そして、当接フレーム材77の左右両端部は、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に各後側縦フレーム材62の前後方向略中間位置に対し上方から当接している。このとき、各後側縦フレーム材62と各前側縦フレーム材73とは、互いの回転中心となる水平軸31,41をそれぞれ通る水平線よりも下方へ傾斜した状態で停止し、後側連結フレーム6及び前側連結フレーム7のそれ以上の回転が禁止されている。
【0053】
この場合、各後輪脚部12を各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳む際には、前側連結フレーム7の当接フレーム材77を上方へ引き上げ操作することによって各後輪脚部12が折り畳まれる。
【0054】
したがって、本実施の形態では、各前側縦フレーム材73を各後側縦フレーム材62の外側に位置させ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に当接フレーム材77の左右両端部を各後側縦フレーム材62の前後方向略中間位置に対し上方から当接させている。これにより、互いに水平線よりも上方へ傾斜し難い位置で当接する各後側縦フレーム材62及び各前側縦フレーム材73と相俟って各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0055】
次に、本発明の第3の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0056】
本実施の形態では、前側連結フレームの構成を変更している。なお、前側連結フレームを除くその他の構成は、前記第2の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0057】
図17は本発明の第3の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との開脚位置で斜め前方から見た斜視図を示している。また、
図18は
図17の手押し車を前方から見た正面図、
図19は
図17の手押し車を後方から見た背面図、
図20は
図17の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。更に、
図21は
図17の手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図22は
図21の手押し車を前方から見た正面図、
図23は
図21の手押し車を後方から見た背面図、
図24は
図21の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0058】
すなわち、本実施の形態では、
図17~
図24に示すように、手押し車1Cも、歩行車として用いられている。また、前側上端フレーム27と前側下端フレーム28との間に位置する、各前輪脚部11の略中間位置同士の間には、前側連結フレーム8が設けられている。
【0059】
前側連結フレーム8は、各前輪脚部11に左右方向へ延びる水平軸41,41を介してそれぞれ一端側(
図17~
図20では前端側)が回転自在に支持され、かつそれぞれ中途部の他端寄り(
図17~
図20では後端寄り)が左右方向へ延びる水平軸42,42を介して各後側縦フレーム材62の基端側(
図17~
図20では前端側)に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材81,81を備えている。また、前側連結フレーム8は、各前側縦フレーム材81の一端(
図17~
図20では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる前側横フレーム材82を備えている。この場合、前側連結フレーム8は、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状を呈している。
【0060】
前側連結フレーム8の各前側縦フレーム材81の略中間部には、下方へ略くの字状に屈曲する屈曲部83が設けられている。この各前側縦フレーム材81は、後側連結フレーム6の各後側縦フレーム材62の外側に位置している。また、各前側縦フレーム材81の他端同士の間には、左右方向へ延びる当接フレーム材84の両端が連結されている。そして、当接フレーム材84の左右両端部は、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に各後側縦フレーム材62の前後方向略中間位置に対し上方から当接している。このとき、各後側縦フレーム材62と各前側縦フレーム材81とは、互いの回転中心となる水平軸31,41をそれぞれ通る水平線よりも下方へ傾斜した状態で停止し、後側連結フレーム6及び前側連結フレーム8のそれ以上の回転が禁止されている。
【0061】
更に、各前側縦フレーム材81の他端には、当該各前側縦フレーム材81を各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能に操作されるように各後輪脚部12よりも後方へそれぞれ延長させる延長操作部85が一体的に設けられている。各延長操作部85の先端(
図17~
図20では後端)には、それぞれ把持部80が取り付けられている。この場合、各後輪脚部12を各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳む際には、各把持部80を把持して延長操作部85を上方へ引き上げ操作することによって各後輪脚部12が折り畳まれる。
【0062】
したがって、本実施の形態では、各前側縦フレーム材81を各後側縦フレーム材62の外側に位置させ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に当接フレーム材84の左右両端部を各後側縦フレーム材62の前後方向略中間位置に対し上方から当接させている。これにより、互いに水平線よりも上方へ傾斜し難い位置で当接する各後側縦フレーム材62及び各前側縦フレーム材81と相俟って各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0063】
更に、各前側縦フレーム材81の他端において各後輪脚部12よりもそれぞれ後方へ延長させた延長操作部85が一体的に設けられているので、先端の把持部80が各後輪脚部12よりも後方に位置する各延長操作部85によって、各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置から閉脚位置への操作が非常に簡単に行うことができ、各後輪脚部12の閉脚位置への操作性の向上を図ることができる。
【0064】
次に、本発明の第4の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0065】
本実施の形態では、前側連結フレームの構成を変更している。なお、前側連結フレームを除くその他の構成は、前記第3の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0066】
図25は本発明の第4の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との開脚位置で斜め前方から見た斜視図を示している。また、
図26は
図25の手押し車を前方から見た正面図、
図27は
図25の手押し車を後方から見た背面図、
図28は
図25の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。更に、
図29は
図25の手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図30は
図29の手押し車を前方から見た正面図、
図31は
図29の手押し車を後方から見た背面図、
図32は
図29の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0067】
すなわち、本実施の形態では、
図25~
図32に示すように、手押し車1Dは、歩行車として用いられている。また、前側上端フレーム27と前側下端フレーム28との間に位置する、各前輪脚部11の略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状を呈する前側連結フレーム8が設けられている。
【0068】
前側連結フレーム8は、各前輪脚部11に水平軸41,41を介してそれぞれ一端側(
図25~
図28では前端側)が回転自在に支持され、かつそれぞれ中途部の他端寄り(
図25~
図28では後端寄り)が水平軸42を介して各後側縦フレーム材62の基端側(
図25~
図28では前端側)に回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材81,81と、前側連結フレーム8は、各前側縦フレーム材81の一端(
図25~
図28では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された前側横フレーム材82とを備えている。
【0069】
更に、各前側縦フレーム材81の他端には、当該各前側縦フレーム材81を各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能に操作されるように各後輪脚部12よりも後方へそれぞれ延長させる延長操作部86が一体的に設けられている。そして、各延長操作部86にはそれぞれ屈曲部87が設けられ、この屈曲部87によって各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し開脚位置にあるときに各延長操作部86を各後側縦フレーム材62先端の水平軸31に対し当接させた状態に保持するようにしている。また、各延長操作部86の先端(
図25~
図28では後端)には、それぞれ把持部80が取り付けられている。この場合、各後輪脚部12を各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳む際には、各把持部80を把持して延長操作部86を上方へ引き上げ操作することによって各後輪脚部12が折り畳まれる。
【0070】
したがって、本実施の形態では、各前側縦フレーム材81を各後側縦フレーム材62の外側に位置させ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に当接フレーム材84の左右両端部を各後側縦フレーム材62の前後方向略中間位置に対し上方から当接させている。これにより、互いに水平線よりも上方へ傾斜し難い位置で当接する各後側縦フレーム材62及び各前側縦フレーム材81と相俟って各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0071】
しかも、各延長操作部86の屈曲部87によって、各後輪脚部12が開脚位置にあるときに各延長操作部86が各後側縦フレーム材62先端の水平軸31に対し当接させた状態に保持されているので、各延長操作部86を安定した状態に保持することができ、使用時の信頼性を確保することができる。
【0072】
更に、各前側縦フレーム材81の他端において各後輪脚部12よりもそれぞれ後方へ延長させた延長操作部86が一体的に設けられているので、先端の把持部80が各後輪脚部12よりも後方に位置する各延長操作部86によって、各後輪脚部12の閉脚位置への操作が非常に簡単に行うことができ、各後輪脚部12の閉脚位置への操作性の向上を図ることができる。
【0073】
次に、本発明の第5の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0074】
本実施の形態では、後側連結フレーム及び前側連結フレームの構成を変更している。なお、後側連結フレーム及び前側連結フレームを除くその他の構成は、前記第4の実施の形態と同じであるので、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0075】
図33は本発明の第5の実施の形態に係る手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との開脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図34は
図33の手押し車を前方から見た正面図、
図35は
図33の手押し車を後方から見た背面図、
図36は
図33の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。また、
図37は
図33の手押し車を座面の閉じ位置で斜め前方から見た斜視図、
図38は
図37の手押し車を前方から見た正面図、
図39は
図37の手押し車を後方から見た背面図、
図40は
図37の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。更に、
図41は
図37の手押し車を各前輪脚部11と各後輪脚部12との閉脚位置で斜め前方から見た斜視図、
図42は
図41の手押し車を前方から見た正面図、
図43は
図41の手押し車を後方から見た背面図、
図44は
図41の手押し車を右側方から見た右側面図をそれぞれ示している。
【0076】
すなわち、本実施の形態では、
図33~
図44に示すように、手押し車1Eは、歩行車として用いられ、左右の前輪脚部11,11の略中間位置同士の間には、前側連結フレーム9が設けられている。この前側連結フレーム9は、各前輪脚部11に水平軸41を介してそれぞれ一端(
図33~
図36では前端)が回転自在に支持された左右一対の前側縦フレーム材91,91を備えている。
【0077】
また、左右の後輪脚部12,12の上下方向略中間位置同士の間には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に後方に開口する略コの字状の後側連結フレーム10が連結されている。この後側連結フレーム10は、各後輪脚部12に水平軸31を介してそれぞれ先端(
図33~
図36では後端)が回転自在に支持された左右一対の後側縦フレーム材101,101と、この各後側縦フレーム材101の基端(
図33~
図36では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された左右方向へ延びる後側横フレーム材102と、を備えている。
【0078】
後側連結フレーム10の各後側縦フレーム材101の略中間部には、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際にそれぞれ下方へ略くの字状に屈曲する屈曲部103が設けられている。また、前側連結フレーム9の各前側縦フレーム材91は、後側連結フレーム10の各後側縦フレーム材101の外側に位置している。更に、各前側縦フレーム材91は、それぞれ中途部が水平軸42を介して各後側縦フレーム材101の基端側に回転自在に支持されている。
【0079】
また、各前側縦フレーム材91の他端同士の間には、各後輪脚部12と各前輪脚部11とを開脚位置に変換した際に当該各後輪脚部12及び各前輪脚部11の互いの回転が禁止されるように各後側縦フレーム材101の屈曲部103に対し上方から当接する当接フレーム材92が左右方向へ延びて連結されている。この場合、当接フレーム材92は、各後輪脚部12が開脚位置に変換された際に各前側縦フレーム材91の他端より左右両端がそれぞれ下方に突出した状態で左右方向へ延びている。
【0080】
更に、
図37~
図40に示すように、各前側縦フレーム材91の他端部側、つまり各水平軸42と当接フレーム材92の左右両端との間には、略三角形状のブラケット94の3つの角部のうちの2つの角部がそれぞれねじ止めされている。このブラケット94の残る1つの角部は、各前側縦フレーム材91よりも反当接フレーム材92側に突出し、当該残る1つの角部に対し着座可能な略コの字状の座面フレーム95の両端がそれぞれ水平軸96を介して回動自在に支持されている。また、座面フレーム95の両端部付近は、左右方向へ延びるフレーム材97によって連結されている。この場合、座面フレーム95は、着座可能に倒伏する倒伏位置では前方に開口する略コの字状を呈する一方、走行時などの不使用時には邪魔とならないように上方に起立する起立位置では下方に開口する略コの字状を呈した状態に格納される。
【0081】
そして、各前側縦フレーム材91の他端には、当該各前側縦フレーム材91を各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳み可能に操作されるように各後輪脚部12よりも後方へそれぞれ延長させる延長操作部93が一体的に設けられている。各延長操作部93は、屈曲部103によって各後輪脚部12が各前輪脚部11に対し開脚位置にあるときに各後側縦フレーム材101先端の水平軸31に対し当接させた状態に保持するようにしている。また、各延長操作部93の先端(
図37~
図40では後端)には、それぞれ把持部80が取り付けられている。この場合、
図41~
図44に示すように、各後輪脚部12を各前輪脚部11に対し開脚位置から閉脚位置に折り畳む際には、座面フレーム95を起立位置に変換してから、各把持部80を把持して延長操作部93を上方へ引き上げ操作することによって各後輪脚部12が折り畳まれる。
【0082】
したがって、本実施の形態では、各前側縦フレーム材91を各後側縦フレーム材101の外側に位置させ、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換した際に当接フレーム材92の左右両端部を各後側縦フレーム材101の屈曲部103に対し上方から当接させている。これにより、互いに水平線よりも上方へ傾斜し難い位置で当接する各後側縦フレーム材101及び各前側縦フレーム材91と相俟って各前輪脚部11に対する各後輪脚部12の開脚位置での開脚姿勢を確実に保持することができる。
【0083】
しかも、各延長操作部93によって、各後輪脚部12が開脚位置にあるときに各延長操作部93が各後側縦フレーム材101先端の水平軸31に対し当接させた状態に保持されているので、各延長操作部93を安定した状態に保持することができ、使用時の信頼性を確保することができる。
【0084】
更に、各前側縦フレーム材91の他端において各後輪脚部12よりもそれぞれ後方へ延長させた延長操作部93が一体的に設けられているので、先端の把持部80が各後輪脚部12よりも後方に位置する各延長操作部93によって、各後輪脚部12の閉脚位置への操作が非常に簡単に行うことができ、各後輪脚部12の閉脚位置への操作性の向上を図ることができる。
【0085】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、前記各実施の形態では、各前輪脚部11に対し各後輪脚部12を開脚位置に変換させるようにしたが、各後輪脚部に対し各前輪脚部が開脚位置に変換されるようにしてもよい。
【0086】
また、前記各実施の形態では、手押し車1A~1Eを歩行車として用いた場合について述べたが、シルバーカーや乳母車などの折り畳み可能な手押し車に適用してもよいのはいうまでもない。
【0087】
更に、前記第5の実施の形態では、前側連結フレーム9に左右の前側縦フレーム材91,91を設けたが、前側連結フレームに、各前側縦フレーム材の一端(
図37~
図40では前端)に左右両端がそれぞれ一体に連結された前側横フレーム材が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1A~1E 手押し車
11 前輪脚部
12 後輪脚部
14 前輪
15 後輪
17 ハンドル(操舵部)
18 ハンドル支柱部(操舵フレーム)
4 前側連結フレーム
26 水平軸
3 後側連結フレーム
31 水平軸
32 後側縦フレーム材
33 後側横フレーム材
4 前側連結フレーム
41 水平軸
42 水平軸
43 前側縦フレーム材
44 前側横フレーム材
6 後側連結フレーム
62 後側縦フレーム材
63 後側横フレーム材
7 前側連結フレーム
73 前側縦フレーム材
74 前側横フレーム材
77 当接フレーム材
8 前側連結フレーム
81 前側縦フレーム材
82 前側横フレーム材
84 当接フレーム材
85 延長操作部
86 延長操作部
9 前側連結フレーム
91 前側縦フレーム材
92 当接フレーム材
93 延長操作部
10 後側連結フレーム
101 後側縦フレーム材
102 後側横フレーム材