(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074763
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電子部品製作用フィルム
(51)【国際特許分類】
C08J 5/18 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
C08J5/18 CER
C08J5/18 CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023115221
(22)【出願日】2023-07-13
(31)【優先権主張番号】10-2022-0156639
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】シム、ダエ ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジュン ジン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヒョ スン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ホ サム
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ミ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジョン ホ
【テーマコード(参考)】
4F071
【Fターム(参考)】
4F071AA46
4F071AB03
4F071AD01
4F071AD02
4F071AE15
4F071AF39
4F071AF58
4F071AH12
4F071BC01
4F071BC12
(57)【要約】
【課題】製造工程の途中に静電気の発生を防止することができ、製造工程の途中に冷却効率を上昇させることができ、均一な厚さを有し、電子部品の製作時にセラミックシートの剥離を容易にし、損傷なく電子部品の製作を可能とする電子部品製作用フィルムを提供する。
【解決手段】
本発明の一例は、高分子層、及び上記高分子層内に分散した導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子とを含む電子部品製作用フィルムを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高分子層と、
前記高分子層内に分散した導電性ナノワイヤ及び磁性ナノ粒子と、を含む、電子部品製作用フィルム。
【請求項2】
前記高分子層は、ポリエステル系化合物を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項3】
前記ポリエステル系化合物は、PET(Polyethylene terephthalate)である、請求項2に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項4】
前記導電性ナノワイヤが炭素を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項5】
前記導電性ナノワイヤがカーボンナノチューブである、請求項4に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項6】
前記導電性ナノワイヤが導電性高分子を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項7】
前記導電性ナノワイヤが炭素及び導電性高分子を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項8】
前記導電性ナノワイヤがカーボンナノチューブを含む、請求項7に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項9】
前記磁性ナノ粒子は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)の少なくとも一つ以上またはこれらの合金を含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項10】
前記高分子層は、表面層と、前記表面層の一面に配置された背面層とを含む、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項11】
前記導電性ナノワイヤ及び前記磁性ナノ粒子が前記高分子層の前記表面層内に分散される、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項12】
前記導電性ナノワイヤ及び前記磁性ナノ粒子が前記高分子層の前記背面層内に分散される、請求項11に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項13】
前記導電性ナノワイヤのアスペクト比(Aspect ratio)が10~500である、請求項1に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項14】
前記表面層内の前記磁性ナノ粒子の含有量は、表面層の含有量に対して0.3wt%以下である、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項15】
前記導電性ナノワイヤがカーボンナノチューブであり、
前記表面層内の前記カーボンナノチューブの含有量は、表面層の含有量に対して1.0wt%以下である、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項16】
前記導電性ナノワイヤが導電性高分子であり、
前記表面層内の前記導電性高分子の含有量は、表面層の含有量に対して3.0wt%以下である、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項17】
前記高分子層は、前記表面層の他面に配置される離型層をさらに含む、請求項10に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項18】
前記導電性ナノワイヤ及び前記磁性ナノ粒子が前記高分子層の前記表面層内に分散される、請求項17に記載の電子部品製作用フィルム。
【請求項19】
前記導電性ナノワイヤ及び前記磁性ナノ粒子が前記高分子層の前記離型層内に分散される、請求項18に記載の電子部品製作用フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品製作用フィルム、具体的には積層型電子部品製造時に用いられる電子部品製作用フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイエンド(High-End)薄層/高積層MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)の場合、製造時に用いられるポリエステルフィルム(Polyester Film)の厚さ偏差が増加する場合、MLCCの誘電層厚さの散布増加によって耐電圧特性が低下し、短絡(Short)率の上昇を引き起こす。
【0003】
また、誘電層が薄層化するほど、成形、積層工程(Roll to Roll)における静電気による異物混入が、MLCC製品の特性に大きな影響を与える。
【0004】
従来技術では、押出した高温の電子部品製作用フィルムを密着、冷却するために、静電気印加剤を高分子重合段階でシート内に添加するか、エアノズル(Air Nozzle)を介して物理的に密着、冷却させる。
【0005】
このとき、フィルムに帯電防止特性を付与するために内部に低分子帯電防止剤を投入して表面に移動させるか、完成したフィルム表面に溶液コーティング及び乾燥を行う。
【0006】
但し、静電気印加剤を過量添加する場合、溶融された高分子内で相溶性が低下して、シートの表面粗さ低下の原因となり得る。
【0007】
また、エアノズルの場合、ノズルと冷却用キャスティングロール(Casting Roll)、押出されたフィルムシート間の距離によって最適冷却条件が決定され、必ずしも最大風量が最大冷却効果を発揮するものではない。押出されたフィルムシートの密着程度及び冷却効率を極大化するために風量を高める場合、押出されたフィルムシートの表面にエア痕が生じることがある。
【0008】
さらに、従来技術の場合、誘電層を構成するシートがフィルムから剥離されるとき、物質間の仕事関数(work function)の差によって帯電が起こり、これが剥離力を上昇させて、しわ及び引き裂き不良による局部的な誘電層の厚さ減少を引き起こす。
【0009】
そこで、フィルムの帯電防止特性及び平坦度を調節してフィルム製造時にキャスティング工程で押出シートの厚さ平滑性を確保し、帯電特性を付与してMLCC製造工程で発生し得るしわ不良及び異物混入を最小化することができる電子部品製作用フィルムに対する研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】日本公開特許2019-081869
【特許文献2】日本公開特許2007-190716
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的の一つは、製造工程の途中に静電気の発生を防止することができる電子部品製作用フィルムを提供することである。
【0012】
本発明の目的のもう一つは、製造工程の途中に冷却効率を上昇させることができる電子部品製作用フィルムを提供することである。
【0013】
本発明の目的のもう一つは、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルムを提供することである。
【0014】
本発明の目的のもう一つは、電子部品の製作時にセラミックシートの剥離を容易にし、損傷なく電子部品の製作を可能とする電子部品製作用フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一例は、高分子層、及び上記高分子層内に分散された導電性ナノワイヤ及び磁性ナノ粒子を含む、電子部品製作用フィルムを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果の一つとして、製造工程の途中に静電気の発生を防止することができる電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0017】
本発明の効果のもう一つとして、製造工程の途中に冷却効率を上昇させることができる電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0018】
本発明の効果のもう一つとして、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【0019】
本発明の効果のもう一つとして、電子部品の製作時のセラミックシートの剥離を容易にし、シートのしわ不良及びburntによる異物不良を改善して損傷なく電子部品の製作を可能とする電子部品製作用フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを概略的に示した断面図である。
【
図2】
図1の電子部品製作用フィルムを概略的に示した斜視図である。
【
図3】本発明の一例による電子部品製作用フィルムの内部構成を具体的に示した断面図である。
【
図4】本発明の導電性ナノワイヤの他の例を示した斜視図である。
【
図5】本発明の導電性ナノワイヤのさらに他の例を示した斜視図である。
【
図6】本発明の変形例による電子部品製作用フィルムの平面図である。
【
図7】本発明の一例による電子部品製作用フィルムの製造工程の一部を示した工程図である。
【
図8】本発明の一例による電子部品製作用フィルムの製造工程の一部を示した工程図である。
【
図9】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合の剥離力改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【
図10】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合、セラミックシートのしわ不良率の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【
図11】本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合、burnt発生回数の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(または強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0022】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0023】
そして、図面において、第1方向は積層方向または厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0024】
本発明の一例及び変形例による電子部品製作用フィルム10、11は、MLCC(Multilayer Ceramic Capacitors)などのキャパシタ、インダクタ(Inductor)、抵抗器(Resistor)などの電子部品を製作するために用いられることができる。
【0025】
一例として、電子部品製作用フィルム10、11は、積層型キャパシタが積層される工程において、最下層の下部でキャパシタの成形層と印刷層を支持する基材として機能し、積層工程中の電子部品を容易に固定させ、同時に静電気の発生を減少することで異物の混入を遮断する機能を行うことができる。
【0026】
このとき、電子部品製作用フィルム10、11は、積層工程後に電子部品から剥離することができる。
【0027】
以下、各図面の図示事項に基づいて、本発明に係る電子部品製作用フィルムの構成を具体的に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを概略的に示した断面図であり、
図2は、
図1の電子部品製作用フィルムを概略的に示した斜視図であり、
図3は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムの内部構成を具体的に示した断面図である。
【0029】
図1~
図3を参照すると、一例による電子部品製作用フィルム10は、高分子層100及び高分子層100内に分散された導電性ナノワイヤ112及び磁性ナノ粒子113を含むことができる。
【0030】
磁性及び導電性を同時に実現することができる磁性ナノ粒子を後述するアスペクト比が大きい導電性ナノワイヤと混合すると、電気的パス(0electrical paths)に対するパーコレーション閾値(Percolation threshold)の含有量が低くなるため、これによって少ない含有量で効率的な帯電防止効果を発現することができる。
【0031】
高分子層100は、表面層110及び表面層110の一面に配置された背面層120を含むことができる。
【0032】
そして、表面層110の内部に導電性ナノワイヤ112及び磁性ナノ粒子113が分散されていることができる。
【0033】
具体的には、表面層110は、第1樹脂層111及び第1樹脂層111内に分散された導電性ナノワイヤ112及び磁性ナノ粒子113を含むことができる。
【0034】
第1樹脂層111は、ポリエステル(Polyester)系化合物またはポリエステル系高分子を含むことができ、例えば、主繰り返し単位がエチレンテレフタレート及びエチレンナフタレートの中から選択された少なくとも一つであることができる。
【0035】
一例として、第1樹脂層111は、エチレングリコール(Ethylene Gylcol)をテレフタル酸(Terephthalic acid)と縮合重合して形成されたポリエチレンテレフタレート(PET、poly(ethylene terephthalate))を含むことができる。
【0036】
このとき、エチレングリコールは、第1樹脂層100重量%に対して0.01~0.5重量%含まれることができる。
【0037】
また、ポリエチレンテレフタレートは、上述したテレフタル酸を用いた直接法を用いて製造されることができるが、ジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate)を用いたDMT法によって製造されることもできる。
【0038】
背面層120は、第2樹脂層121を含むことができる。第2樹脂層121は、第1樹脂層と同一または類似した材料からなることができる。
【0039】
背面層120は、電子部品製作用シート10を製造するロールツーロール(Roll to Roll)工程の途中にシートの形状を維持するようにする役割を果たし、ロールツーロール工程における延伸(Elongation)過程でシートの移送を滑らかにする役割を果たす。
【0040】
また、背面層120は、製造工程の途中にシート10の剛性を十分に維持する役割も果たすことができる。
【0041】
そして、背面層120の平均厚さは、表面層110の平均厚さより厚いことができる。
【0042】
本開示において「平均厚さ」とは、任意の一領域における厚さを意味するのではなく、当該構成の任意の複数の領域における厚さの平均値を意味することができる。
【0043】
例えば、表面層110の平均厚さは、表面層110の任意の複数の離隔した5つの領域において、シート10の積層方向に表面層110の向かい合う一面と他面との間の最短距離を測定した値の平均値を意味することができる。
【0044】
一方、導電性ナノワイヤ112と磁性ナノ粒子113は、必要に応じて表面層110だけでなく、背面層120の第2樹脂層121の内部にも分散されていることができる。
【0045】
磁性ナノ粒子113が背面層120の内に分散される場合、背面層120が後述する冷却ロール(キャスティングロール)320に密着されるため、磁性ナノ粒子113の磁性によってフィルム10の帯電防止性及び密着性がさらに良くなることができる。
【0046】
また、背面層120が接地役割を果たしてフィルムに蓄電された電荷を迅速に解消して静電気の発生を防止することができる。
【0047】
導電性ナノワイヤ112は、ナノメートル(nanometer)単位の大きさを有するワイヤ状の構造体であることができる。
【0048】
このとき、導電性ナノワイヤ112は針状を有することができる。すなわち、導電性ナノワイヤ112は、一方向に延びる柱状を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
導電性ナノワイヤ112が針状である場合、導電性ナノワイヤ112のアスペクト比(Aspect ratio、または縦横比)は10~500であることができる。
【0050】
また、アスペクト比の差が大きい複数の導電性ナノワイヤ112を混合して第1樹脂層111内に分散させることで、最終電子部品製作用フィルム10の表面抵抗を調節することもできる。
【0051】
一方、導電性ナノワイヤの合成は、Vapor-Liquid-Solid(VLS)プロセスによって作られることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0052】
また、本発明の一例による電子部品製作用フィルム10において、導電性ナノワイヤ112は炭素を含むことができ、好ましくはカーボンナノチューブ(CNT)であることができる。
【0053】
このとき、カーボンナノチューブは磁性ナノ粒子を触媒で合成するため、製造工程で別途の磁性ナノ粒子の混合過程が省略されることができる。
【0054】
また、カーボンナノチューブは、第1樹脂層111のMatrix resinとの相溶性のために、場合によっては表面処理されることができる。
【0055】
一方、
図4と同様に、フィルム10'の表面層110'内に含まれる導電性ナノワイヤは導電性高分子114であることができる。
【0056】
例えば、導電性高分子は、PEDOT(Poly(3,4-ethylenedioxythiophene)、PPy(Polypyrrole)、PPS(ポリフェニルスルフィド、Polyphenylene Sulfide)のうち一つまたは少なくとも一つ以上を用いることができる。好ましくは、導電性高分子はPEDOTを用いることができ、PEDOTにPPYとPPSを混合して用いることもできる。
【0057】
このような導電性高分子114は、結合長さ(conjugated length)と重合度によって電気的特性が決定され、一定レベル以上の含有量及び重合度では凝集が発生するため、結合長さが長くて適正含有量及び重合度を有するように構成されることが好ましい。
【0058】
また、
図5と同様に、フィルム10"の機能的目的(e.g.超平滑)及び必要帯電防止レベルに応じて表面層110"内に含まれる導電性ナノワイヤは、炭素素材112と導電性高分子素材114を混合して構成されることもできる。
【0059】
例えば、超平滑帯電防止ポリエステルフィルムの場合、炭素素材と導電性高分子を同時に含んで誘電層成形時にフィルムを解いて巻く工程で発生する摩擦静電量をゼロ化することができ、積層時の剥離テーブルで発生する可能性がある剥離静電量をゼロ化することができる。
【0060】
磁性ナノ粒子113は、単原子強磁性体金属を含むことができ、例えば、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、鉄(Fe)またはこれらのうち2以上の合金を含むことができるが、これに制限されるものではない。
【0061】
このような磁性ナノ粒子113は、単一金属で合成するか、特性の実現のためにめっきコーティングまたは合金の形態で構成されることができる。
【0062】
一例による電子部品製作用フィルム10が磁性ナノ粒子113を含むことにより、後述するキャスティング(Casting)工程でキャスティングロールまたは冷却ロールに溶融押出されたシートを密着させることで冷却効率を向上させると同時に、帯電防止性を有するようになって静電気によるセラミック層の損傷を防止することができる。
【0063】
これにより、均一な厚さを有する電子部品製作用フィルム10を製作することができ、静電気による積層工程で発生し得るしわ不良の改善が可能であり、静電気による異物混入を防止することで最終的にMLCCなどの電子部品における特性を改善させることができる。
【0064】
【0065】
表1における比較例は、磁性ナノ粒子と導電性ナノワイヤを含まないフィルムである。
【0066】
ここで、フィルム内部の磁性ナノ粒子の含有量は、破壊工法としてフィルムを粉砕し、誘導結合プラズマの質量分析器(ICP-MS)によって分析した(測定条件:RF power:1400W、Pump flow rate:1.0ml/min、plasma mode:axial)。
【0067】
フィルム厚さ偏差及び磁性ナノ粒子の凝集有無などは、TEM-EDSを用いて分析する。製作されたフィルムを集束イオンビーム(FIB)装備を用いて薄片化された分析試料を用意し、薄片化された試料をArイオンミリングを用いて表面のダメージ層を除去した後、STEM-EDXを用いて得られたイメージで各成分のマッピング及び分析を行った。
【0068】
表1を参照すると、磁性ナノ粒子の含有量は、表面層の含有量に対して0.3wt%以下であることが好ましい。
【0069】
#5でのように、磁性ナノ粒子の含有量が表面層の含有量に対して0.3wt%を超過する場合、磁性ナノ粒子の含有量が高くなって、表面層内で磁性ナノ粒子が凝集される現象が発生し、フィルムの帯電防止性を低下させることができる。
【0070】
また、表1を参照すると、磁性ナノ粒子を含まない比較例に比べて、磁性ナノ粒子が表面層内に含まれる場合に、最終電子部品製作用フィルム厚さ偏差が減少することができる。
【0071】
ここで厚さ偏差とは、任意の複数の領域、例示として10ヶ所の互いに異なる任意の領域で磁性ナノ粒子が含まれた表面層の厚さを測定し、測定された厚さのうち最大値(Max)から最小値(min)を引いた値を意味することができる。
【0072】
すなわち、表1に示したように表面層が磁性ナノ粒子を含むことによって、より均一な表面層を得ることができ、これにより全体電子部品製作用フィルムの厚さも均一になることができる。
【0073】
また、表1を参照すると、磁性ナノ粒子を含まない比較例に比べて、磁性ナノ粒子が表面層内に含まれる場合に静電気の発生が減少されることが分かる。
【0074】
このように静電気の発生が減少することによって、電子部品製作用フィルムを製作するためのロールツーロール(Roll to Roll)工程中に異物の混入が防止されることができ、追ってMLCCなどの電子部品を電子部品製作用フィルム上に積層する場合、電子部品内に異物が混入される現象を防止することができる。
【0075】
また、表1を参照すると、磁性ナノ粒子を含まない比較例に比べて、磁性ナノ粒子が表面層内に含まれる場合、剥離力(mN)が減少されることができる。
【0076】
本開示において剥離力が減少されるとは、電子部品製作用フィルムが電子部品の積層工程後に電子部品または電子部品の成形、印刷層と容易に剥離されることができることを意味する。
【0077】
【0078】
表2は、磁性ナノ粒子の含有量を表面層の含有量に対して0.1wt%に固定し、導電性ナノワイヤの含有量を調節するとき、フィルム及び成形シートの特性を比較して示したものである。ここで、導電性ナノワイヤはカーボンナノチューブを用いた。
【0079】
また、フィルム内部の導電性ナノワイヤの含有量は、破壊工法としてフィルムを粉砕し、誘導結合プラズマ質量分析器(ICP-MS)によって分析した(測定条件:RF power:1400W、Pump flow rate:1.0ml/min、plasma mode:axial)。
【0080】
フィルム厚さ偏差及び磁性ナノ粒子の凝集有無などは、TEM-EDSを用いて分析する。製作されたフィルムを集束イオンビーム(FIB)装備を用いて薄片化された分析試料を用意し、薄片化された試料をArイオンミリングを用いて表面のダメージ層を除去した後、STEM-EDXを用いて得られたイメージで各成分のマッピング及び分析を行った。
【0081】
表2を参照すると、#10でのように、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して1.0wt%を超過する場合、導電性ナノワイヤの含有量が高くなって、表面層内で導電性ナノワイヤが凝集される現象が発生し、フィルムの帯電防止性を低下させることができる。
【0082】
また、表2を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に、最終電子部品製作用フィルム厚さ偏差が減少することができ、#9において比較例に対してフィルム厚さ偏差が約25%改善された。
【0083】
但し、#10でのように、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して1.0wt%を超過する場合、フィルム厚さ偏差が再び増加することが分かる。
【0084】
ここで、厚さ偏差とは、任意の複数の領域、例示として10ヶ所の互いに異なる任意の領域で磁性ナノ粒子と導電性ナノワイヤが含まれた表面層の厚さを測定し、測定された厚さのうち最大値(Max)から最小値(min)を引いた値を意味することができる。
【0085】
すなわち、表2に示されたように、表面層が磁性ナノ粒子と導電性ナノワイヤを含み、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して1.0wt%以下である場合、より均一な表面層を得ることができ、これによって全体電子部品製作用フィルムの厚さも均一になることができる。
【0086】
また、表2を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に静電気の発生が減少されることが分かる。
【0087】
このように静電気の発生が減少されることによって、電子部品製作用フィルムを製作するためのロールツーロール(Roll to Roll)工程中に異物の混入が防止されることができ、追ってMLCCなどの電子部品を電子部品製作用フィルム上に積層する場合、電子部品内に異物が混入される現象を防止することができる。
【0088】
また、表2を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に剥離力(mN)が減少されることができる。
【0089】
本開示において剥離力が減少されるとは、電子部品製作用フィルムが電子部品の積層工程後に電子部品または電子部品の成形、印刷層と容易に剥離されることができることを意味する。
【0090】
このように導電性ナノワイヤの含有量は、表面層の含有量に対して1.0wt%以下であることが好ましく、さらに好ましくは成形巻取時の巻出部の静電気量と剥離静電量が0となることができるように、導電性ナノワイヤの含有量は表面層の含有量に対して0.5~1.0重量%であることができる。
【0091】
【0092】
表3は、磁性ナノ粒子の含有量を表面層の含有量に対して0.1wt%に固定し、導電性ナノワイヤの含有量を調節するときにフィルム及び成形シートの特性を比較して示したものである。ここで、導電性ナノワイヤは導電性高分子を用いた。
【0093】
表3を参照すると、#14及び#15でのように、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して3.0wt%を超過する場合、導電性ナノワイヤの含有量が高くなって、表面層内で導電性ナノワイヤが凝集する現象が発生して、フィルムの帯電防止性を低下させることがある。
【0094】
また、表3を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に最終電子部品製作用フィルム厚さ偏差が減少することができ、#13において比較例に対してフィルム厚さ偏差が約25%改善された。
【0095】
但し、#14及び#15でのように、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して3.0wt%を超過する場合、フィルム厚さ偏差が再び増加することが分かる。
【0096】
ここで、厚さ偏差とは、任意の複数の領域、例示として10ヶ所の互いに異なる任意の領域で磁性ナノ粒子と導電性ナノワイヤが含まれた表面層の厚さを測定し、測定された厚さのうち最大値(Max)から最小値(min)を引いた値を意味することができる。
【0097】
すなわち、表3に示されたように、表面層が磁性ナノ粒子と導電性ナノワイヤを含み、導電性ナノワイヤの含有量が表面層の含有量に対して3.0wt%以下である場合、より均一な表面層を得ることができ、これによって全体電子部品製作用フィルムの厚さも均一になることができる。
【0098】
また、表3を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に静電気の発生が減少することが分かる。
【0099】
このように静電気の発生が減少されるにつれて、電子部品製作用フィルムを製作するためのロールツーロール(Roll to Roll)工程中に異物の混入が防止されることができ、追ってMLCCなどの電子部品を電子部品製作用フィルム上に積層する場合、電子部品内に異物が混入される現象を防止することができる。
【0100】
また、表3を参照すると、導電性ナノワイヤを含まない比較例に比べて、導電性ナノワイヤが表面層内に含まれる場合に剥離力(mN)が減少されることができる。
【0101】
本開示において剥離力が減少されるとは、電子部品製作用フィルムが電子部品の積層工程後に電子部品または電子部品の成形、印刷層と容易に剥離されることができることを意味する。
【0102】
このように導電性ナノワイヤの含有量は表面層の含有量に対して3.0wt%以下であることが好ましく、より好ましくは成形巻取時の巻出部の静電気量と剥離静電量が0となるように、導電性ナノワイヤの含有量は表面層の含有量に対して3.0wt%であることができる。
【0103】
図6は、本発明の変形例による電子部品製作用フィルムの断面図である。
【0104】
図6を参照すると、変形例による電子部品製作用フィルム11は、表面層110、表面層110の一面に配置された背面層120及び表面層110の一面と向かい合う他面に配置された離型層200を含むことができる。
【0105】
変形例による電子部品製作用フィルム11は、一例による電子部品製作用フィルム10に比べて離型層200のみをさらに含むため、離型層200以外の残りの重複する構成に関しては一例による電子部品製作用フィルム10に関する上述した説明が同様に適用されることができる。
【0106】
離型層200は、表面層110の他面上に配置され、追って電子部品製作用フィルム11上に配置される電子部品または電子部品の成形/印刷層と電子部品製作用フィルム11を容易に剥離することができるようにする。
【0107】
このような離型層200は、シリコン離型層であることができる。例えば、離型層200は、アルケニルポリシロキサン及び水素ポリシロキサンを含む混合成分、白金触媒含有化合物、エポキシ系化合物、染料及び残量の溶媒を含む有色コーティング組成物を含むことができ、有色コーティング組成物が少なくとも1回以上塗布された構造を有することができる。一方、本発明による離型層200の材料はこれに限定されない。
【0108】
さらに他の例として、本発明による離型層200は、ジメチルポリシロキサンを主材料とするシリコン離型組成物を含むことができる。
【0109】
このとき、導電性ナノワイヤ112と磁性ナノ粒子113は、離型層200にも分散されていることができる。磁性ナノ粒子113が離型層200内に分散される場合、誘電体シートの剥離時に帯電防止に効果的であることができる。
【0110】
また、このように構成される変形例による電子部品製作用フィルム11は、離型層200の表面抵抗(Sheet resistance、ohm/sq、Ω/□)を低く維持することができ、具体的には離型層200の他面上での表面抵抗が10^10Ω/□以下であることができる。
【0111】
そこで、Roll to Roll工程で発生する静電気発生量を0.01~0.1kVの範囲に制御することができ、静電気発生による異物混入、電子部品の損傷などを防止することができる。
【0112】
その他の重複する構成に関しては、一例による電子部品製作用フィルムにおける説明が同様に適用されることができるため、省略する。
【0113】
図7及び
図8は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムの製造工程の一部を示した工程図である。
【0114】
図7及び
図8を参照すると、250~300℃の温度を有する押出機310から表面層110及び背面層120を含み、1,000~2,000mmの幅を有する電子部品製作用溶融シート10が押出される。
【0115】
このとき、押出時に2層構造を有するように押出機は2台を適用して、表面層には導電性ナノワイヤ及び磁性ナノ粒子が含まれたポリエステルレジンを適用し、背面は平均粒径が2~5μmのフィラー(Filler、Anti-Blocking Agent)が含まれたポリエステルレジンを適用することができる。
【0116】
そして、表面層110と背面層120との厚さ比率は、好ましくは1:9(表面層:背面層)~3:7であることができる。
【0117】
このとき、押出された電子部品製作用溶融シート10を横方向に均一に延伸(Elongation)し、厚さを均一にするために、押出された溶融シート10内の結晶化度を最小化する必要がある。
【0118】
このために、
図7の押出された電子部品製作用溶融シート10は、キャスティングロール(Casting Roll)または冷却ロール320に密着されて冷却工程を経る。
【0119】
押出された電子部品製作用溶融シート10は、260℃~270℃の温度を有することができ、20℃~25℃の温度を有する冷却ロール320によって冷却される。
【0120】
このとき、電子部品製作用溶融シート10の表面層110が冷却ロール320と接触するように冷却ロール320の表面に密着されることができ、表面層110の内部に導電性ナノワイヤ112と磁性ナノ粒子113が含まれるため、高い密着力を確保することができる。
【0121】
また、冷却ロール320での冷却工程がより効率的に行われるためには、電子部品製作用溶融シート10がより冷却ロール320に密着されることが要求される。このとき、冷却ロール320の表面温度は15~20℃であることができる。
【0122】
上述したように、本発明の電子部品製作用フィルム10は、内部に磁性ナノ粒子113を含んでいるため、磁性(Magnetic Property)を有することができる。
【0123】
そこで、電子部品製作用溶融シート10と冷却ロール320との間の密着度を高めるために、磁性を有する電子部品製作用フィルム10の特性を利用して磁性バンド330を用いる。
【0124】
磁性バンド330の磁気力(Magnetic Force)は0.05~10Nレベルであり、一例として、磁性バンドがN極の磁性を有するにつれて、電子部品製作用溶融シート10が磁性バンド330に近い面がS極を有するようになり、電子部品製作用溶融シート10が冷却ロール320に近い面はN極を有するようになる。
【0125】
このとき、冷却ロール320がS極を有するように制御すると、磁気力を利用して物理的な損傷なしにも電子部品製作用溶融シート10を冷却ロール320に密着させることができる。一方、上述した例示とは逆に磁気力が形成されるように制御しても構わない。
【0126】
冷却されたポリエステル押出シートは、縦方向に1.5~3倍延伸し、横方向に2~4倍延伸して15~50μm厚さを有するフィルムとして製造する。
【0127】
このとき、ポリエステルフィルムの表面抵抗は10^10Ω/□以下で、全てのRoll to Roll工程で発生する静電気は0.01~0.1Kvの範囲に制御される。
【0128】
一方、必要な場合、押出及び冷却工程後に、ジメチルポリシロキサンを主材料とするシリコン離型組成物を製造し、このシリコン離型組成物を表面層の表面に10~200nm厚さで塗布して離型層を形成することができる。
【0129】
一般的に、ポリエステルフィルムは、Roll to Roll工程を介して縦方向の延伸及びSlittingが進行される。
【0130】
また、MLCC製造時に、誘電層と印刷層をフィルム上に塗布して積層する工程もRoll to Roll工程で進行されるため、摩擦静電気による異物混入の可能性が高い。
【0131】
そこで、フィルムの帯電防止特性を付与して工程上の異物混入を最小化するために、従来電子部品製作用溶融シートを密着させるための手段として、エアノズルを用いた物理的密着方式または帯電防止剤の添加及び電気印加方式を用いた電気的密着方式がある。
【0132】
電気的密着方式の場合、ポリエステルレジンの重合時に金属成分の静電気印加剤を添加し、シート内の帯電を誘導する電気印加ワイヤ装置を適用して押出シートをキャスティングロール(Roll)に密着、冷却し、一般的な内部添加物質(低分子有機物)は10^12Ω/□以下の表面抵抗特性を有し難く、帯電防止効果が僅かであり、一定量以上投入時に分散性の確保が難しい。
【0133】
また、帯電防止剤の過剰添加により溶融された高分子内で相溶性が低下して、最終的にフィルムの表面粗さ低下現象を引き起こすことがある。
【0134】
そして、物理的密着方式の場合、押出シートの密着程度と冷却効率を極大化するために風量を高める場合、ノズルの噴射によって押出シートの表面にエア痕が生じることがあり、物理的に溶融シートの表面に損傷を与え、厚さを均一しないようにすることがある。
【0135】
また、エアノズルの場合、ノズルとキャスティングロール、押出シート間の距離に応じて最適冷却条件が決定され、必ずしも最大風量が最大冷却効果を発揮するものではない。
【0136】
本発明の場合、磁性ナノ粒子の磁性及び磁性を有する磁性バンド330と冷却ロール320を用いて、物理的な損傷なしにも電子部品製作用溶融シート10を効果的に冷却ロール320に付着させることができる。
【0137】
また、ポリエステルフィルムの製造時に、縦、横方向に延伸する前に押出された溶融シートの冷却効率を極大化するために磁性ナノ粒子をフィルムの内部に添加し、従来方式と異なって磁性バンドを適用し、その結果、離型フィルム厚さ偏差を改善することができる。
【0138】
すなわち、本発明によると、ポリエステルフィルムの内部に添加する技術は、キャスティング工程において容易にポリエステルシートの冷却効率を上昇させると同時に、帯電防止性を有する機能性ポリエステルフィルム製造を可能とする。
【0139】
このような技術を適用すると、均一な厚さを有するフィルム製造が可能であり、ロールツーロール(Roll to Roll)工程で摩擦静電気、剥離帯電によるしわ不良及び異物混入を防止して薄層、高積層ハイエンド(High End)のMLCC特性を改善することができる。
【0140】
図9は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合、剥離力の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【0141】
図9を参照すると、従来の導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子を含まないフィルムに対して、本発明のように導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子が含まれた一例による電子部品製作用フィルムの剥離力を比較したグラフが示されている。
【0142】
図9のグラフに示されたように、一例による電子部品製作用フィルムは、従来に比べて約52%減少された剥離力を有することができ、これによって追って一例による電子部品製作用フィルム上に配置される電子部品、または電子部品の印刷層と容易に剥離されることができるため、電子部品または印刷層の損傷を防止することができる。
【0143】
図10は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合、印刷層のしわ不良率の改善効果を概略的に示した比較グラフである。
【0144】
図10を参照すると、従来の導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子を含まないフィルムに対して、本発明のように導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子が含まれた一例による電子部品製作用フィルムのしわ不良率(ppm)を比較したグラフが示されている。
【0145】
図10のグラフに示されたように、一例による電子部品製作用フィルムは、MLCCシート積層時の静電気力の制御が可能であり、従来に比べて約92%減少されたしわ不良率を有することができ、これによって均一な平均厚さを有することができる。
【0146】
フィルムの厚さが均一であることによって、追ってフィルム上に配置される電子部品または電子部品の印刷層の損傷及び静電気による異物が混入される現象を防止することができる。
【0147】
図11は、本発明の一例による電子部品製作用フィルムを用いた場合、積層設備の副資材の表面に静電気によって燃焼跡(Burnt)の発生回数が改善されることを概略的に示した比較グラフである。
【0148】
図11を参照すると、従来の導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子を含まないフィルムに対して、本発明のように導電性ナノワイヤと磁性ナノ粒子が含まれた一例による電子部品製作用フィルムによって黒く燃焼するBurnt発生回数を比較したグラフが示されている。
【0149】
帯電防止が十分に行われない場合、静電気によって過度の電圧及び電流が形成されて、受容可能以上の電流が流れることによってBurnt現象が発生する可能性がある。
【0150】
図11のグラフに示されたように、一例による電子部品製作用フィルムは40,000つの製品について実験した結果、MLCCシート剥離時に瞬間的な表面静電気を防止して、従来に比べてBurnt現象が約98.5%減少されたことが分かり、これにより、追って一例による積層副資材の損傷を防止することができる。
【0151】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付図面によって限定されるものではなく、添付された特許請求の範囲によって限定しようとする。
【0152】
したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で当技術分野の通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0153】
10、11 電子部品製作用フィルム
110 表面層
111 第1樹脂層
112 導電性ナノワイヤ
113 磁性ナノ粒子
120 背面層
121 第2樹脂層
200 離型層
310 押出機
320 冷却ロール
330 磁性バンド