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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074772
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】慣性分離器および使用方法
(51)【国際特許分類】
   B04C 3/00 20060101AFI20240524BHJP
   B04C 3/06 20060101ALI20240524BHJP
   B01D 45/12 20060101ALI20240524BHJP
   F02C 7/052 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B04C3/00 A
B04C3/06
B01D45/12
F02C7/052
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023178189
(22)【出願日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】17/990,986
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス, ルイス クラウディオ ヴィエイラ
(72)【発明者】
【氏名】リウ, ジャンシャオ
【テーマコード(参考)】
4D031
4D053
【Fターム(参考)】
4D031AC01
4D031AC02
4D031BA01
4D031BA03
4D053AA03
4D053AB01
4D053BA01
4D053BB08
4D053BC03
4D053BD01
4D053CA23
4D053CC01
4D053CD13
4D053DA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エンジンの吸気用空気中の微粒子を除去する慣性分離器の提供。
【解決手段】入口端部52に入口51、アンダーカット200を含む反対側の出口端部56に出口55、入口と出口との間に中央通路65を有する入口管50と、中央通路の壁に当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼11を有する、デフレクタ10と、出口管100は、入口101Aを有する第1の端部101および反対側の出口120Aを有する第2の端部120、入口と出口との間の出口管中央通路150を有し、出口管の入口は、入口管の中央通路よりも直径が小さく、出口管は、第1の傾斜端部301および第2の傾斜端部302を有する螺旋状傾斜部300を有し、螺旋状傾斜部は、第2の傾斜端部およびアンダーカットに向かって下方に傾斜した部分310を有し、アンダーカットおよび第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口250とを備える、慣性分離器装置500とする。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に配置された慣性分離器を備える慣性分離器装置であって、前記慣性分離器が、
(a)入口端部に入口、アンダーカットを含む反対側の出口端部に出口、前記入口端部と前記出口端部との間に中央通路を有する入口管であって、前記出口端部が前記アンダーカットを含む、入口管と、
(b)前記中央通路内に同軸に取り付けられたデフレクタであって、前記中央通路の壁に当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼を有する、デフレクタと、
(c)前記入口管の前記出口端部内に位置する同軸に配置された出口管であって、前記出口管は、入口を有する第1の端部および反対側の出口を有する第2の端部、ならびに前記入口管の前記中央通路と流体連通する、前記入口と前記出口との間の出口管中央通路を有し、
前記出口管の前記入口は、前記入口管の前記中央通路よりも直径が小さく、前記出口管は、第1の傾斜端部および第2の傾斜端部を有する螺旋状傾斜部を有する外面を有し、前記螺旋状傾斜部は、前記第2の傾斜端部および前記アンダーカットに向かって下方に傾斜した部分を有する、出口管と、
(d)前記アンダーカットおよび前記第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口と
を備える、慣性分離器装置。
【請求項2】
ハウジング内に配置された2つ以上の慣性分離器を備える慣性分離器アレイであって、前記2つ以上の慣性分離器の各々が、
(a)入口端部に入口、アンダーカットを含む反対側の出口端部に出口、前記入口端部と前記出口端部との間に中央通路を有する入口管であって、前記出口端部が前記アンダーカットを含む、入口管と、
(b)前記中央通路内に同軸に取り付けられたデフレクタであって、前記中央通路の壁に当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼を有する、デフレクタと、
(c)前記入口管の前記出口端部内に位置する同軸に配置された出口管であって、前記出口管は、入口を有する第1の端部および反対側の出口を有する第2の端部、ならびに前記入口管の前記中央通路と流体連通する、前記入口と前記出口との間の出口管中央通路を有し、
前記出口管の前記入口は、前記入口管の前記中央通路よりも直径が小さく、前記出口管は、第1の傾斜端部および第2の傾斜端部を有する螺旋状傾斜部を有する外面を有し、前記螺旋状傾斜部は、前記第2の傾斜端部および前記アンダーカットに向かって下方に傾斜した部分を有する、出口管と、
(d)前記アンダーカットおよび前記第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口と
を備える、慣性分離器アレイ。
【請求項3】
前記2つ以上の慣性分離器の各々が、第1の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブならびに第2の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブを含む出口管を備え、前記第1の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブが、前記第2の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブよりも離間している、請求項2に記載の慣性分離器アレイ。
【請求項4】
動作中のエンジンへの空気流を処理する方法であって、
請求項2または3に記載の慣性分離器アレイの前記2つ以上の慣性分離器の各々の前記入口に空気を通すステップと、
捕集除去し尽くされた空気を前記2つ以上の慣性分離器の各々の前記出口管の前記出口から前記動作中のエンジンに通し、捕集除去流を前記2つ以上の慣性分離器から前記捕集除去流出口に通すステップと
を含む、方法。
【請求項5】
前記慣性分離器アレイの前記2つ以上の慣性分離器の各々が、第1の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブならびに第2の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブを含む出口管を備え、前記第1の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブが、前記第2の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブよりも離間しており、1つの慣性分離器の1つの対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブが、隣接する慣性分離器の1つの対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブに接触し、前記隣接する慣性分離器のさらなる回転を防止する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
動作中のエンジンへの空気流を処理する方法であって、
請求項1に記載の慣性分離器装置の前記慣性分離器の前記入口に空気を通すステップと、
捕集除去し尽くされた空気を前記慣性分離器の前記出口管の前記出口から前記動作中のエンジンに通し、捕集除去流を前記慣性分離器から前記捕集除去流出口に通すステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]ガスタービン、ガソリン、ディーゼル、またはハイブリッドにかかわらず、エンジンは、動作中にエンジンへの空気の流れを必要とする。特に航空機、軍用または産業用ガスタービン車両におけるいくつかのエンジンは、生成される高出力のために、エンジンへの極めて高い空気の流れを必要とする。空気中の微粒子はこれらのエンジンを損傷する可能性があるため、慣性分離器(例えば、渦式空気清浄機、入口粒子分離器(IPS)、およびエンジン空気粒子分離器(EAPS))は、空気が大量の微粒子を含み得る条件下で動作するエンジンと共に使用されることがあり、大量の微粒子は、エンジン入口に入る前に除去される。航空機、特にタービン駆動型のもの(例えば、ヘリコプタ)は、地面の近くで動作するときに大量の塵および埃を巻き上げるので、慣性分離器は、それらと共に使用するのに特に有用である。
【0002】
[0002]単一の慣性分離器または複数の慣性分離器をエンジンと共に使用することができ、典型的には、各分離器は、両端に入口および出口を有する中央通路を有する入口管と、流入空気に渦流を生成して空気中の汚染物質粒子を通路の周辺部に集めて通路の中央の空気を清浄化するためのデフレクタと、入口管の中央通路と連通する中央清浄空気通路を有する出口管とを備える。通路の中央の比較的清浄な空気は、出口管の中央清浄空気通路を通って流れる。典型的には、出口管の外壁は、入口管の中央通路内に略環状の汚染物質捕集除去通路を画定し、この通路を通って汚染物質粒子が通過し、一方、通路の中央の比較的清浄な空気は出口管の中央清浄空気通路を通って流れる。
【0003】
[0003]しかしながら、改善された慣性分離器が必要とされている。
【0004】
[0004]本発明は、従来技術の欠点の少なくともいくつかを改善することを提供する。本発明のこれらおよび他の利点は、以下に記載される説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0005】
[0005]本発明の一態様は、(a)入口端部に入口、反対側の出口端部に出口、アンダーカット、および入口端部とアンダーカットを含む出口端部との間に中央通路を有する入口管と、(b)中央通路内に取り付けられたデフレクタであって、中央通路の壁に当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼を有する、デフレクタと、(c)入口管の出口端部内に位置する同軸に配置された出口管であって、出口管は、入口を有する第1の端部および反対側の出口を有する第2の端部、ならびに入口管の中央通路と流体連通する、入口と出口との間の出口管中央通路を有し、出口管の入口は、入口管の中央通路よりも直径が小さく、出口管は、第1の傾斜端部および第2の傾斜端部を有する螺旋状傾斜部を有し、螺旋状傾斜部は、第2の傾斜端部およびアンダーカットに向かって下方に傾斜した部分を有する、出口管と、(d)アンダーカットおよび第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口とを備える慣性分離器を提供する。
【0006】
[0006]慣性分離器のいくつかの態様では、出口管は、使用中の出口管の回転を防止する対の分離されたタブを含む。
【0007】
[0007]一態様では、本発明の一態様による慣性分離器を含むハウジングを備える慣性分離器装置が提供される。
【0008】
[0008]別の態様では、本発明の一態様による2つ以上の慣性分離器を含むハウジングを備える慣性分離器アレイが提供される。
【0009】
[0009]別の態様では、動作中のエンジンへの空気流を処理する方法は、本発明の一態様による慣性分離器の出口管の入口に空気を通すステップと、捕集除去し尽くされた空気を出口管の出口から動作中のエンジンに通すステップと、捕集除去流を慣性分離器から捕集除去流出口に通すステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の一態様による、入口管と、アンダーカットと、デフレクタ(「スワーラ」または「スピナ」と呼ばれることもある)と、回転防止タブを有する出口管と、螺旋状傾斜部と、捕集除去流出口と、捕集除去流とを備える慣性分離器の側面図を示す図である。
図1B】対の離間した回転防止タブも示す、図1Aに示す慣性分離器の斜視底面図である。
図1C図1Aに示す慣性分離器の側面図を示す図である。
図2A図1Aに示す入口管の上面図を示す図である。
図2B図1Aに示す出口管の上面図を示す図である。
図3】隣接する慣性分離器上の離間した回転防止タブに接触するように配置された、対の離間した回転防止タブを示す、図1Aに示す出口管の斜視側面図である。
図4A】本発明の一態様による慣性分離器を通る空気流および捕集除去流を図解で示す図である。
図4B】本発明の一態様による複数の慣性分離器を通る整列した捕集除去流および捕集除去流出口を図解で示す上面図であり、高速で同じ方向に絶えず移動する粒子も示す図である。
図4C】本発明の一態様による複数の慣性分離器を通る整列した捕集除去流および捕集除去流出口を図解で示す、別の上面図である。
図5】本発明の一態様による慣性分離器装置を示す図であり、装置は、本発明の一態様による図1Aに示すような慣性分離器を含むハウジングを備え、慣性分離器装置を通る空気流および捕集除去流も示す。
図6】本発明の一態様による慣性分離器アレイを示す図であり、アレイは、本発明の一態様による図1Aに示すような複数の慣性分離器を含むハウジングを備え、慣性分離器アレイを通る空気流および捕集除去流も示す。捕集除去流は、各慣性分離器の個々の寄与によってシステムの捕集除去出口に向かってその流れを徐々に増加させる。
図7A図1Bおよび図3に示すように、出口管が対の離間した回転防止タブを含む、慣性分離器アレイで使用するために配置された複数の出口管の側面図を示す図である。
図7B図7Aに示す複数の出口管の上面図を示す図であり、隣接する出口管上の対の離間した回転防止タブは、使用中の管(および慣性分離器)のさらなる回転を防止する。
図8A】ファンと連通する本発明の一態様による慣性分離器アレイを示す図であり、慣性分離器アレイは、ガスタービンエンジンと共に使用することができる。
図8B】空気排出器と連通する本発明の一態様による慣性分離器アレイを示す図であり、慣性分離器アレイは、ガスタービンエンジンと共に使用することができる。
図8C】例示的なタービンエンジンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0018]本発明の一態様によれば、(a)入口端部に入口、反対側の出口端部に出口、アンダーカット、および入口端部とアンダーカットを含む出口端部との間に中央通路を有する入口管と、(b)中央通路内に取り付けられたデフレクタであって、中央通路の壁に当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼を有する、デフレクタと、(c)入口管の出口端部内に位置する同軸に配置された出口管であって、出口管は、入口を有する第1の端部および反対側の出口を有する第2の端部、ならびに入口管の中央通路と流体連通する、入口と出口との間の出口管中央通路を有し、出口管の入口は、入口管の中央通路よりも直径が小さく、出口管は、第1の傾斜端部および第2の傾斜端部を有する螺旋状傾斜部を有し、螺旋状傾斜部は、第2の傾斜端部およびアンダーカットに向かって下方に傾斜した部分を有する、出口管と、(d)アンダーカットおよび第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口とを備える慣性分離器が提供される。
【0012】
[0019]慣性分離器の一態様では、螺旋状傾斜部は、ヘリコイダル傾斜部を含む。
【0013】
[0020]慣性分離器のいくつかの態様では、出口管は、使用中の出口管の回転を防止する対の分離された回転防止タブを含む回転防止要素を含む。
【0014】
[0021]別の態様では、本発明の一態様による2つ以上の慣性分離器を含むハウジングを備える慣性分離器アレイが提供される。
【0015】
[0022]別の態様では、動作中のエンジンへの空気流を処理する方法は、本発明の一態様による慣性分離器の出口管の入口に空気を通すステップと、捕集除去し尽くされた空気を出口管の出口から動作中のエンジンに通すステップと、捕集除去流を慣性分離器から捕集除去流出口に通すステップとを含む。
【0016】
[0023]動作中のエンジンへの空気流を処理する方法の態様は、本発明の一態様による慣性分離器装置の出口管の入口または慣性分離器アレイの2つ以上の入口管に空気を通すステップと、捕集除去し尽くされた空気を(1つまたは複数の)出口管の(1つまたは複数の)出口から動作中のエンジンに通すステップと、捕集除去流を(1つまたは複数の)慣性分離器から(1つまたは複数の)捕集除去流出口に通すステップとを含み得る。
【0017】
[0024]本方法の典型的な態様では、捕集除去流は埃粒子(例えば、塵)を含む。
【0018】
[0025]動作中のエンジンへの空気流を処理する方法の態様はまた、使用中の(1つまたは複数の)慣性分離器の回転を防止および/または最小化するステップを含み得る。本方法の一態様では、1つの慣性分離器の1対の回転防止タブは、隣接する慣性分離器の1対の回転防止タブと接触し、慣性分離器のさらなる回転を防止する。本方法の一態様では、2つ以上の慣性分離器は各々、第1の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブならびに第2の対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブを含む出口管を備え、第1の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブは、第2の対の回転防止タブの第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブよりも離間しており、1つの慣性分離器の1つの対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブは、隣接する慣性分離器の1つの対の第1の回転防止タブおよび第2の回転防止タブに接触し、隣接する慣性分離器のさらなる回転を防止する。
【0019】
[0026]好適には、本発明の態様による慣性分離器は、干渉が低減された空気流を可能にし、より少ない捕集除去流を必要とする。分離器の中央部分の内側の円形の流れは、捕集除去低圧および回転運動によって強化される。さらに、複数の分離器からの捕集除去流を整列させて、捕集除去流(例えば、埃を含む)を分離器から離れて高速で同じ方向により効率的に運ぶことができ、これにより、逆流の可能性を低減することもできる。
【0020】
[0027]別の利点は、捕集除去流が全方向に放出されるのではなく、方向性があり、画定されることである。
【0021】
[0028]次に、本発明の構成要素の各々を以下でより詳細に説明するが、同様の構成要素は同様の参照番号を有する。
【0022】
[0029]参照のために図1Aおよび図1Bに示す態様を使用すると、慣性分離器500は、入口端部52に入口51、反対側の出口端部56に出口55、アンダーカット200、内壁面60Aおよび外壁面60Bを有する壁60、ならびに入口端部52と出口端部56との間に中央通路65を有する入口管50であって、中央通路が入口管の内壁面60Aによって境界付けられ、出口端部56がアンダーカット200を含む入口管50と;中央通路内に取り付けられたデフレクタ10であって、内壁面60Aに当接する、複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼11を有するデフレクタ10と;入口管50の出口端部56内に位置する同軸に配置された出口管100であって、出口管100は、入口101Aを有する第1の端部101および反対側の出口120Aを有する第2の端部120、ならびに入口管の中央通路65と流体連通する、入口101Aと出口120Aとの間の出口管中央通路150を有し、出口管の入口101Aは、入口管の中央通路65よりも直径が小さく、出口管100は、第1の傾斜端部301および第2の傾斜端部302を有する螺旋状傾斜部300を有する外面を有し、螺旋状傾斜部は、第2の傾斜端部およびアンダーカットに向かって下方に傾斜した部分310を有する、出口管100と;アンダーカットおよび第2の傾斜端部に隣接する捕集除去流出口250とを備える。
【0023】
[0030]典型的には、入口管の中央通路は、入口端部から出口端部まで一定の内径を有する。
【0024】
[0031]デフレクタに面する出口管の第1の端部101は、通路150内の清浄なコア流を、汚染物質を含む周辺流から分離する薄い環状部を画定し得る。清浄な空気のみが通路に到達することを確実にするために、いくらかの過剰な空気が捕集除去流において失われる可能性がある。端部は、管状ハウジング内にある出口部材の端部にリップ、例えば円錐形のリップを含み得る。リップは、存在する場合、例えば、排出のために汚染物質、例えば塵粒子を管状ハウジングの周辺部に導くためのバッフルを形成することができる。
【0025】
[0032]いくつかの態様では、例えば図1Aに示すように、入口管の入口は、典型的には分離器がハウジング内に設置されると変形するカラー53をさらに備える。
【0026】
[0033]デフレクタは、翼11が入口管の内壁に当接する点で、例えば射出成形(例えば、「ワンショット」成形)によって、入口管の入口で中央通路に同軸に取り付けられる。デフレクタ10は、流入空気の渦流を生成して空気中の汚染物質粒子を通路の周辺部に遠心的に集め、通路の中央の空気に汚染物質粒子を比較的含ませないようにするために、中央通路の壁に当接し、入口から出口への空気流の線に対してある角度で配置された複数の離間して中央で接合されたヘリカル翼11を有する。
【0027】
[0034]図示の翼はヘリカル状であり、ピッチ長に形成されている。デフレクタは、任意の適切な長さを有することができ、典型的な実施形態では、翼は、入口管の長さの約2%~約20%の範囲を占める。図1Aに示す実施形態では、デフレクタ10は、上流側で翼を越えて延在して先端部13(鈍い先端部として示す)を形成し、下流側で延在して先端部14を形成する円筒形ハブ12(典型的には中空である)を有し、先端部は、例えば鈍い先端部または円錐形の先端部の形態とすることができ、例えば、約30°~約60°の範囲の円錐角に形成され得る。先端部のいずれについても他の形状が本発明に包含され、例えば、上流先端部はドーム状の形状を有することができる。
【0028】
[0035]アンダーカット200は、入口管の出口端部56の一部分57が、入口管の出口端部の別の部分58よりも出口管の第2の端部に向かってさらに下方に延在することを可能にする(図1Cを参照)。図示の態様(図1A図1Cを参照)では、アンダーカットは、慣性分離器の垂直軸線「A」に略対応する略垂直に配置された縁部201(垂直に配置された縁部は、出口管の第1の端部に近い上端201Aと、出口管の第2の端部に近い下端201Bとを有する。図1Bを参照)と、垂直に配置された縁部に直角な略水平に配置された縁部202とを有し、第2の傾斜端部の上面は、垂直に配置された縁部201の上端201Aと下端201Bとの間に位置し、第2の傾斜端部302は、垂直に配置された縁部と略整列している。いくつかの他の態様(図示せず)では、第2の傾斜端部302は、垂直に配置された縁部と略整列しておらず、例えば、端部302は、垂直に配置された縁部に対して下方に傾斜している。
【0029】
[0036]出口管100は、入口管の出口端部56内に同軸に配置され、出口管は、第1の端部101(第1の端部は第1の管の出口端部内に延在する)にある入口101Aと、反対側の第2の端部120にある出口120Aと、第1の管の中央通路の中央部分から清浄な空気を送達するための、第1の端部と第2の端部との間の出口管中央通路150とを有する(すなわち、出口管の入口と出口との間の出口管中央通路は、入口管の中央通路の中央部分と流体連通している)。図示の態様では、出口管は、略テーパ状である(例えば、円錐台形状を有する)。
【0030】
[0037]図示の態様では、出口管は、入口端部の近くで出口管に取り付けられた周囲または周方向リング102を含む。リングは、いくらかの流れ絞りを提供することができ、場合によっては捕集除去通路に向かって粒子を「跳ね返す」ことができる。
【0031】
[0038]出口管は、出口管の第1の端部と第2の端部との間で出口管の外面に取り付けられた/出口管の外面から突出する周方向螺旋状傾斜部300を含む。螺旋状傾斜部は、第1の傾斜端部301および第2の傾斜端部302と、第1の傾斜端部から第2の傾斜端部まで延在する頂部傾斜面307(図3を参照)と、傾斜外側側壁とを有し、第1の傾斜端部は第2の傾斜端部の上方にある(すなわち、第1の傾斜端部は、第2の傾斜端部よりも出口管の第1の端部に近く、第2の傾斜端部は、第1の傾斜端部よりも出口管の第2の端部に近い)。好ましくは、図1Aおよび図3に示すように、螺旋状傾斜部は単一の通路であり、例えば、螺旋状傾斜部の端部は重ならないか、またはわずかに重なるのみであり、分離器の垂直軸線に対して、第2の傾斜端部は、第1の傾斜端部を越えて延在しないか、またはいくらか(例えば、約15%)延在する。
【0032】
[0039]典型的には、傾斜部は流れ絞りを構成し、傾斜部における入口管の中央通路の直径を減少させて、入口管アンダーカットに隣接する捕集除去流出口を介して分離器を出る捕集除去流路(汚染物質粒子、例えば塵を分離器から除去するための図1A図4A図5および図6に形成されたものを示す)を提供する。傾斜部は、環状通路を通る流れを絞り、中央通路65内の圧力が捕集除去流出口よりも高いことを確実にすることができる。例えば出口管を入口管内の所定の位置に支持するために、傾斜部の外側側壁/縁部320は、入口管の内壁面60Aに接触する(より好ましくは、例えば摩擦嵌合によってシールされる)ことが好ましい(好ましくは、外側側壁/縁部320は、傾斜部の一端から他端まで接触してシールする)。
【0033】
[0040]図示の態様では、ヘリコイダル傾斜部を含み得る螺旋状傾斜部300は、第2の傾斜端部302およびアンダーカット200に向かって下方に傾斜した部分310を有し、第1の傾斜端部301は、部分305において下方に角度をほとんどまたは全く有していない(図1Aおよび図3を参照)。例えば、第2の傾斜端部およびアンダーカットに向かって下方に傾斜した部分310は、約1°~約15°の範囲の角度を有する。いくつかの態様では、部分305および溝303は、より大きな厚さを有し、入口管および出口管に対する改善されたシールを提供する。
【0034】
[0041]所望であれば、螺旋状傾斜部300全体を第2の傾斜端部302に向かって下方に傾斜させることができ、アンダーカット200および/または第2の傾斜端部は傾斜部の残りの部分から下方にさらに角度を有することができる。
【0035】
[0042]図示のように、出口管の入口(第1の端部)は、入口管の中央通路65よりも直径が小さい。デフレクタに面する出口管の第1の端部は、通路内の清浄なコア流を、汚染物質を含む周辺流から急激に分離する薄い環状部を画定し得る。端部は、入口管内にある出口管の端部にリップ、例えば円錐形のリップを含み得る。リップは、存在する場合、例えば、排出のために汚染物質、例えば塵粒子を入口管の周辺部に導くためのバッフルを形成することができる。
【0036】
[0043]参照のために図5に示す態様を使用すると、慣性分離器装置600は、ハウジング650内に配置された本発明の一態様による慣性分離器500を備える。
【0037】
[0044]参照のために図6に示す態様を使用すると、慣性分離器アレイ700は、ハウジング750内に配置された本発明の一態様による少なくとも2つの(すなわち、複数の)慣性分離器500を備える。慣性分離器アレイは、ハウジング内に配置された本発明の一態様による任意の数の慣性分離器(例えば、数十の慣性分離器、数百の慣性分離器、数千の慣性分離器)を備えることができる。
【0038】
[0045]図8Aは、ファンと連通する本発明の一態様による慣性分離器アレイ800を示す図であり、図8Bは、空気排出器と連通する本発明の一態様による慣性分離器アレイ800を示す図であり、各アレイは、入口管プレート801および出口管プレート802に取り付けられた複数の分離器500を備え、図8Aおよび図8Bに示す慣性分離器アレイは、ガスタービンエンジンと共に使用することができ、図8Cは、例示的なタービンエンジンを示す図である。
【0039】
[0046]図4B図4C図6図8Aおよび図8Bに示すように、複数の分離器からの捕集除去流を整列させて、捕集除去流(例えば、埃を含む)を分離器から離れて高速で同じ方向により効率的に運ぶことができ、捕集除去流はエンジン入口に入らない。
【0040】
[0047]慣性分離器のいくつかの態様では、出口管は、使用中の出口管の回転を防止する対の分離された回転防止タブを含む。
【0041】
[0048]例えば、参照のために図1B図3図7Aおよび図7Bに示す態様を使用すると、出口管は各々、外向きに延在する対の回転防止タブ180(第1のタブ180Aおよび第2のタブ180Bを含む)ならびに対の回転防止タブ190(第1のタブ190Aおよび第2のタブ190Bを含む)を含む。1つの対におけるタブ間の距離は、他方の対におけるタブ間の距離よりも大きい。したがって、図7Bに示すように、タブ間の距離がより小さい1つの対のタブは、隣接する慣性分離器上の別の対のタブと嵌合し、別の対のタブに接触することができ、タブ間の距離がより小さいタブは、タブ間の距離がより大きいタブを越えて回転することができないので、さらなる回転を防止する。
【0042】
[0049]必要に応じて、慣性分離器の構成要素は、処理される流体に適合する、任意の不透過性熱可塑性材料を含む、任意の適切な剛性不透過性材料から製作することができる。典型的には、入口管は、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレンまたはポリカーボネート樹脂などのポリマーから製作することができる。
【0043】
[0050]必要に応じて、本発明の実施形態による慣性分離器は、モノリシックとすることができ、任意選択的に付加製造(「積層造形」または「3D印刷」と呼ばれることもある)によって製造することもできる。慣性分離器は、典型的には、活性化可能な結合剤(例えば、「ドロップオンパウダー」と呼ばれることもある結合剤噴射)によって互いに結合された金属粉末を繰り返し堆積させた後、典型的には、例えば焼結によって粉末を凝集させることによって形成される。構成要素は、略同時に連続動作で付加製造によって一緒に製造することができる。任意の適切な付加製造設備を使用することができ、様々な製造3Dプリンタが適しており、市販されている。
【0044】
[0051]本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含むすべての参考文献は、各参考文献が個別にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
[0052]本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)における「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」および「少なくとも1つの」という用語および同様の指示語の使用は、本明細書で特に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。1つまたは複数の項目のリストが続く用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「AおよびBの少なくとも1つ」)は、本明細書で特に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(AもしくはB)または列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せ(AおよびB)を意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」という用語は、特に明記しない限り、非限定的な用語(すなわち、「限定されないが、」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書で特に指示されない限り、範囲内に含まれる各別個の値を個別に参照する簡略方法として役立つことを意図しているにすぎず、各別個の値は、本明細書に個別に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載のすべての方法は、本明細書で特に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図しており、特に請求されない限り、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない要素を本発明の実施に必須であると示すと解釈されるべきではない。
【0046】
[0053]本発明を実施するための本発明者らに知られている最良の形態を含む、本発明の好ましい態様を本明細書に記載する。これらの好ましい態様の変形は、前述の説明を読めば当業者には明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待しており、本発明者らは、本発明が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、添付の特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修正および均等物を含む。さらに、本明細書で特に指示されない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
【外国語明細書】