(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074778
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム、及び消防予備警報制御方法
(51)【国際特許分類】
A62C 37/44 20060101AFI20240524BHJP
A62C 3/16 20060101ALI20240524BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240524BHJP
H01M 50/251 20210101ALI20240524BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A62C37/44
A62C3/16 C
H01M50/204 401D
H01M50/204 401F
H01M50/251
H01M10/48 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183152
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】202211463245.9
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523404125
【氏名又は名称】楚能新能源股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CORNEX NEW ENERGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, Cornex Avenue, Linkong Economic Zone, Xiaogan, Hubei 432099, China
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100217412
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 亜子
(72)【発明者】
【氏名】彭建▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲細▼彬
(72)【発明者】
【氏名】卜相楠
(72)【発明者】
【氏名】蒋▲遠▼富
(72)【発明者】
【氏名】周雷▲軍▼
【テーマコード(参考)】
2E189
5H030
5H040
【Fターム(参考)】
2E189GA01
5H030AA06
5H030AS06
5H030FF51
5H040AA37
5H040AS01
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD26
5H040LL06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムを提供する。
【解決手段】エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムであって、消防制御ホスト、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステム、及びPACK級水消防サブシステムを含む。クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、キャビン級のパーフルオロヘキサノン消防を実現し、PACK級水消火サブシステムは、電池箱内の水消防を実現する。複数成分の消火薬剤を併用し、全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を実現する。煙霧、温度、CO、H2及びVOCの5種類の熱暴走特徴量をエネルギー貯蔵コンテナの火災状況探測と早期予備警報の重要条件とし、電池システム火災の早期感知と正確監視を実現する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムであって、
前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、複数成分の消火薬剤を併用する消火システムであり、前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは分級式消防消火システムであり、
前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、消防制御ホスト、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステム、及びPACK級水消防サブシステムを含み、
前記クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置された、エネルギー貯蔵コンテナ内部のキャビン級火災探測を実現するためのキャビン級火災探測器と、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置されて電池クラスタに対応して設けられた、電池クラスタをクラスタ級火災探測するためのクラスタ級火災探測器と、パーフルオロヘキサノンを散布するためのパーフルオロヘキサノン吐出ヘッドと、を含み、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドは、エネルギー貯蔵コンテナ内のパーフルオロヘキサノン消火剤のパーティション式全水没消火を実現するためであり、前記キャビン級火災探測器及び前記クラスタ級火災探測器は、それぞれ前記消防制御ホストに信号接続され、
前記PACK級水消防サブシステムは、電池箱内に設けられ、電池箱内部のPACK級火災探測を実現するためのPACK級火災探測器と、市政水道水を散布するための散水吐出ヘッドと、を含み、前記散水吐出ヘッドは前記電池箱内に設けられ、前記PACK級火災探測器は前記消防制御ホストに信号接続され、
前記消防制御ホストは、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド及び前記散水吐出ヘッドの散布制御を実現するために用いられることを特徴とする、
エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項2】
前記クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、パーフルオロヘキサノンを積載するためのパーフルオロヘキサノン貯液タンクと、前記パーフルオロヘキサノン貯液タンクと前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドとを接続するための1級消防抑制剤管路と、を含み、前記1級消防抑制剤管路に1級分岐管が設けられ、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドは前記1級分岐管に設けられ、前記1級分岐管に1級区画電磁弁が設けられ、前記1級区画電磁弁は前記消防制御ホストに制御接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項3】
前記1級消防抑制剤管路には、空間管路電磁弁が設けられ、前記空間管路電磁弁は、前記消防制御ホストに制御接続されていることを特徴とする、
請求項2に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項4】
前記キャビン級火災探測器及び前記クラスタ級火災探測器は、第1級消防通信管路を介して前記消防制御ホストに信号接続され、
好ましくは、エネルギー貯蔵コンテナには3つのキャビンが設けられ、それぞれ消防キャビン、配電キャビン、電池キャビンであり、前記キャビンごとに対応して前記エネルギー貯蔵コンテナの内側頂部に少なくとも1つの前記キャビン級火災探測器が設けられ、
好ましくは、エネルギー貯蔵コンテナに複数の機能キャビネットが設けられ、それぞれ消防消火抑制キャビネット、集流キャビネット、高圧キャビネット、及び複数の電池キャビネットであり、前記電池キャビネットごとに対応してキャビネット本体の正門上方門枠の外側には、少なくとも1つの前記クラスタ級火災探測器が設けられていることを特徴とする、
請求項3に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項5】
1本の前記1段分岐管には、1つの前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドと1つの前記1級区画電磁弁とが設けられて1つのキャビン級消防ユニットを構成し、
前記キャビン級消防ユニットは、複数設けられ、全ての前記キャビン級消防ユニットが前記1級消防抑制剤管路上に並列に設けられ、前記集流キャビネット、前記高圧キャビネット、及び前記電池キャビネットに対応して少なくとも1つの前記キャビン級消防ユニットが設けられていることを特徴とする、
請求項4に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項6】
前記PACK級水消防サブシステムは、市政水道水を積載するための貯水タンクと、前記貯水タンクと前記散水吐出ヘッドとを接続するための2級消防抑制剤管路と、を含み、前記2級消防抑制剤管路には2級分岐管が設けられ、前記散水吐出ヘッドは前記2級分岐管に設けられ、前記2級分岐管には2級区画電磁弁が設けられ、前記2級区画電磁弁は前記消防制御ホストに制御接続されていることを特徴とする、
請求項1に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項7】
前記2級消防抑制剤管路には、前記消防制御ホストに制御接続された2級区画電磁弁が設けられ、
好ましくは、前記PACK級火災探測器は、第2級消防通信管路を介して前記消防制御ホストに信号接続されることを特徴とする、
請求項6に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項8】
1本の前記2級分岐管には、1つの前記散水吐出ヘッドと1つの電池箱制御弁が設けられて1つのPACK級消防ユニットを構成し、
前記PACK級消防ユニットは、複数設けられ、全ての前記PACK級消防ユニットが前記2級消防抑制剤管路上に並列に設けられ、電池箱ごとに少なくとも1つの前記PACK級消防ユニットが設けられていることを特徴とする、
請求項6に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム。
【請求項9】
エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法であって、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを用いて消防監視及び消火を行い、
前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法は、分級予備警報メカニズムを採用し、多級消防制御策略を通じてエネルギー貯蔵コンテナに対して全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を行うことを特徴とする、
エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法。
【請求項10】
各探測器の監視信号を取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも1つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視した場合、1級警報を触発し、1級消防動作を行うステップ1と、
各探測器の監視信号を継続的に取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも2つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視した場合、2級警報を触発し、2級消防動作を行うステップ2と、
各探測器の監視信号を継続的に取得し、2級警報を触発したまま、電池熱暴走が進行し続ける場合、3級警報を触発し、3級消防動作を行うステップ3と、を含み、
好ましくは、前記1級消防動作は、消防制御ホストが消防制御室監視プラットフォームに予備警報情報をアップロードし、ローカル表示制御ユニットに関連する基準超過パラメータを重点的に表示することであり、
好ましくは、前記2級消防動作は、消防制御ホストがエネルギー貯蔵コンテナの排煙ファンと電動ルーバーとを連動に起動して排風換気を行い、BMS及びPCS電力降下処理を連動させ、放電電力出力または充電電力入力を制限することであり、
好ましくは、前記3級消防動作は、消防制御ホストが排煙ファンと電動ルーバーを連動にオフし、BMSを連動させてクラスタ級及びキャビン級高圧リレーを遮断し、予備電源を起動し、PCSを連動させて機器を停止するとともに、PACK級消防消火及び空間級消防消火を行うことであることを特徴とする、
請求項9に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法。
【請求項11】
前記ステップ2において、各探測器の監視信号を継続的に取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも2つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視し、且つその数が前記ステップ1において電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視した火災探測器の数よりも大きい場合、2級警報を触発し、2級消防動作を行うことを特徴とする、
請求項10に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法。
【請求項12】
各探測器の監視信号を取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうちある火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視した場合、即ち1級警報閾値を超えた場合、1級警報を触発し、1級消防動作を行うステップ1と、
各探測器の監視信号を継続的に取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうちある火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視した場合、即ち2級警報閾値を超えた場合、2級警報を触発し、2級消防動作を行うステップ2と、
各探測器の監視信号を継続的に取得し、2級警報を触発したまま、電池熱暴走が進行し続ける場合、3級警報を触発し、3級消防動作を行うステップ3と、を含み、
1級警報閾値は、H2濃度警報閾値、及びCO濃度警報閾値を含み、2級警報閾値は、H2濃度警報閾値、CO濃度警報閾値、及びVOC濃度警報閾値を含むことを特徴とする、
請求項9に記載のエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー貯蔵電池及び消防制御技術分野に関し、特に、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム及びエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の発展に伴い、我が国の電力需要の増加は非常に力強いが、風力エネルギー、太陽エネルギーを基とするエネルギー発電は、地域と天気に大きく影響され、間接性及び波動性があり、電力網を統合する際には大規模なエネルギー貯蔵システムが電力品質の調節と制御を行う必要がある。エネルギー貯蔵コンテナは、容量が大きく、信頼性が高く、柔軟性が高く、環境適応性が高いなどの利点があるため、電力系統の発電側、電力網側、ユーザー側ですでに広く応用され始め、電力網の電力供給調整を助け、峰削りと谷埋めや、圧力調整と周波数調整を実現し、電力網の渋滞を緩和し、負荷電力を保障するなどの面で重要な役割を果たした。
【0003】
しかしながら、エネルギー貯蔵コンテナの電池のエネルギー密度が高く、作業環境が相対的に密閉し、放熱条件が限界あるため、火災が発生すると、結果は想像にたえない。不完全な統計によると、2019年から現在まで、世界的なエネルギー貯蔵プロジェクトで爆発と火災事故が26件発生し、重大な人的被害と財産損失をもたらし、エネルギー貯蔵コンテナの安全問題はすでに業界の警鐘を鳴らして、無視されることができない。国家能源局総合司は、「電力生産事故防止のための25項目の重点要求(2022年版)(意見聴取稿)」の意見を求める書簡において、中大型電気化学エネルギー貯蔵発電所は、三元リチウム電池、ナトリウム硫黄電池を選択してはならなく、階段利用動力電池を選択してはならなく、階段利用動力電池を選択する場合、一致性スクリーニングを行い、トレースデータに基づいて安全評価を行う必要があると明らかに指摘された。そのため、エネルギー貯蔵コンテナ内部の電池システム技術路線は、将来的にはリン酸鉄リチウム電池を主とする。リン酸鉄リチウム電池の基本構造は、主に正極、負極、電解液、ダイヤフラム、集流体、電極リード、及びハウジングなどの構造からなる。リン酸鉄リチウム電池は、内部構造から見れば、その正極はLiFeO4の遷移金属化合物であり、負極は黒鉛、グラフェンなどの炭素系元素から構成され、電解液はリチウム塩を含む有機溶液であり、ダイヤフラムは通常ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)膜から構成され、集流体は正と負の両極を有し、正極集流体は一般にアルミニウム、負極集流体は一般に銅またはニッケルなどである。
【0004】
明らかに、リン酸鉄リチウム電池の内部成分は、電気化学特性が活発な化学材料であったり、導電性の金属であったりすることから、電池が外部押圧、衝突、針刺などの機械的破壊を受けた場合、あるいは充放電中に過充電、過放電、高温などの極端な状況に頻繁に遭遇する場合、ダイヤフラムが破裂、崩壊し、それによって電池内短絡と激しい化学反応を引き起こし、最終的に電池熱暴走を触発させる。
【0005】
現段階では、エネルギー貯蔵コンテナ火災探測及び消防警報設計方案は、主に国家基準「GB 50116-2013火災自動警報システム設計規範」を参照し、典型的な感温探測機と典型的な感煙探測機を配置し、消防警報システムは独立した通信方式を採用し、地元のプレハブ室で集中制御するものである。
図1を参照して、
図1は従来技術における典型的なエネルギー貯蔵コンテナ火災探測及び消防警報システムの論理制御図であり、火災自動検出制御と人工手動制御の2種類の制御方式を含み、火災信号探測、消防警報、連動制御、及び消火剤放出の4つのステップに従って火災防止制御の目的を実現し、同時に人工手動介入の機能を備え、人工的に緊急起動したり、消防警報や消火動作を中止したりすることができる。
【0006】
エネルギー貯蔵コンテナの上記方案設計は、火災防止制御システムが基本的に伝統的な建築類の消防設計方案を流用し、消防安全予備警報の適用性の面で、3つの大きな弊害が存在している。まず、探測部分では、現在のエネルギー貯蔵消防は主に煙温度感量を火災発生したかの判断根拠とし、探測量が比較的に単一であり、電池を完全に熱暴走させ、生成された温度と煙がキャビン全体に広がったときこそ警報の役割を果たすことが可能であるので、早期に火災信号を探測することができない。次に、火災抑制部分では、既存のエネルギー貯蔵消防の多くは、エアロゾル、乾燥粉、ヘプタフルオロプロパンなどを消火剤としており、通常の噴射は1回だけで再び作動せず、まず火を消し止めるしかなく、電池の再燃焼の問題を解決できず、電池の熱暴走現象を徹底的に改善することができない。最後に、消防制御策略の部分では、既存のエネルギー貯蔵消防制御論理が簡単すぎったり、複雑すぎったりすることから、電池は熱暴走が触発された後動作しないか、電池は正常に動作しているときに誤動作するかの現象を引き起こしやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、上記の多くの技術的問題に直面する時、煙温度感量及び多種の可燃ガスの共同監視、複数成分の消火薬剤の共同使用、分級予備警報、連動制御を実現し、正確な熱暴走特徴量の検出を実現し、また、適時に火を消し止め、急速に温度を下げ、持続的に抑制し、熱暴走の拡大を徹底的に遮断し、二次再燃を防止することができるエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム及び消防予備警報制御方法をどのように提供することは、当業者にとって早急に解決する問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術案を提供する。
【0009】
本発明はエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを提供し、本発明において、前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、複数成分の消火薬剤を併用する消火システムであり、前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは分級式消防消火システムであり、
【0010】
前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、消防制御ホスト、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステム、及びPACK級水消防サブシステムを含み、
【0011】
前記クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置された、エネルギー貯蔵コンテナ内部のキャビン級火災探測を実現するためのキャビン級火災探測器と、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置されて電池クラスタに対応して設けられた、電池クラスタをクラスタ級火災探測するためのクラスタ級火災探測器と、パーフルオロヘキサノンを散布するためのパーフルオロヘキサノン吐出ヘッドと、を含み、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドは、エネルギー貯蔵コンテナ内のパーフルオロヘキサノン消火剤のパーティション式全水没消火を実現するためであり、前記キャビン級火災探測器及び前記クラスタ級火災探測器は、それぞれ前記消防制御ホストに信号接続され、
【0012】
前記PACK級水消防サブシステムは、電池箱内に設けられ、電池箱内部のPACK級火災探測を実現するためのPACK級火災探測器と、市政水道水を散布するための散水吐出ヘッドと、を含み、前記散水吐出ヘッドは前記電池箱内に設けられ、前記PACK級火災探測器は前記消防制御ホストに信号接続され、
【0013】
前記消防制御ホストは、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド及び前記散水吐出ヘッドの散布制御を実現するために用いられるものである。
【0014】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、前記クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、パーフルオロヘキサノンを積載するためのパーフルオロヘキサノン貯液タンクと、前記パーフルオロヘキサノン貯液タンクと前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドとを接続するための1級消防抑制剤管路と、を含み、前記1級消防抑制剤管路に1級分岐管が設けられ、前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドは前記1級分岐管に設けられ、前記1級分岐管に1級区画電磁弁が設けられ、前記1級区画電磁弁は前記消防制御ホストに制御接続されている。
【0015】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消 防消火システムにおいて、前記1級消防抑制剤管路には、空間管路電磁弁が設けられ、前記空間管路電磁弁は、前記消防制御ホストに制御接続されている。
【0016】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、前記キャビン級火災探測器及び前記クラスタ級火災探測器は、第1級消防通信管路を介して前記消防制御ホストに信号接続されている。
【0017】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、エネルギー貯蔵コンテナには3つのキャビンが設けられ、それぞれ消防キャビン、配電キャビン、電池キャビンであり、前記キャビンごとに対応して前記エネルギー貯蔵コンテナの内側頂部に少なくとも1つの前記キャビン級火災探測器が設けられている。
【0018】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、エネルギー貯蔵コンテナに複数の機能キャビネットが設けられ、それぞれ消防消火抑制キャビネット、集流キャビネット、高圧キャビネット、及び複数の電池キャビネットであり、前記電池キャビネットごとに対応してキャビネット本体の正門上方門枠の外側には、少なくとも1つの前記クラスタ級火災探測器が設けられている。
【0019】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、1本の前記1段分岐管には、1つの前記パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドと1つの前記1級区画電磁弁とが設けられて1つのキャビン級消防ユニットを構成し、前記キャビン級消防ユニットは、複数設けられ、全ての前記キャビン級消防ユニットが前記1級消防抑制剤管路上に並列に設けられ、前記集流キャビネット、前記高圧キャビネット、及び前記電池キャビネットに対応して少なくとも1つの前記キャビン級消防ユニットが設けられている。
【0020】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、前記PACK級水消防サブシステムは、市政水道水を積載するための貯水タンクと、前記貯水タンクと前記散水吐出ヘッドとを接続するための2級消防抑制剤管路と、を含み、前記2級消防抑制剤管路には2級分岐管が設けられ、前記散水吐出ヘッドは前記2級分岐管に設けられ、前記2級分岐管には2級区画電磁弁が設けられ、前記2級区画電磁弁は前記消防制御ホストに制御接続されている。
【0021】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、前記2級消防抑制剤管路には、前記消防制御ホストに制御接続された2級区画電磁弁が設けられている。
【0022】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、前記PACK級火災探測器は、第2級消防通信管路を介して前記消防制御ホストに信号接続される。
【0023】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムにおいて、1本の前記2級分岐管には、1つの前記散水吐出ヘッドと1つの電池箱制御弁が設けられて1つのPACK級消防ユニットを構成し、前記PACK級消防ユニットは、複数設けられ、全ての前記PACK級消防ユニットが前記2級消防抑制剤管路上に並列に設けられ、電池箱ごとに少なくとも1つの前記PACK級消防ユニットが設けられている。
【0024】
本発明は、さらに、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法を提供し、このエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、本発明は上述のようなエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを用いて消防監視及び消火を行い、前記エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法は、分級予備警報メカニズムを採用し、多級消防制御策略を通じてエネルギー貯蔵コンテナに対して全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を行う。
【0025】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、
【0026】
各探測器の監視信号を取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも1つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視した場合、1級警報を触発し、1級消防動作を行うステップ1と、
【0027】
各探測器の監視信号を継続的に取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも2つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視した場合、2級警報を触発し、2級消防動作を行うステップ2と、
【0028】
各探測器の監視信号を継続的に取得し、2級警報を触発したまま、電池熱暴走が進行し続ける場合、3級警報を触発し、3級消防動作を行うステップ3と、を含む。
【0029】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、前記1級消防動作は、消防制御ホストが消防制御室監視プラットフォームに予備警報情報をアップロードし、ローカル表示制御ユニットに関連する基準超過パラメータを重点的に表示することである。
【0030】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、前記2級消防動作は、消防制御ホストがエネルギー貯蔵コンテナの排煙ファンと電動ルーバーとを連動に起動して排風換気を行い、BMS及びPCS電力降下処理を連動させ、放電電力出力または充電電力入力を制限することである。
【0031】
好ましくは、本発明が提供するエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、前記3級消防動作は、消防制御ホストが排煙ファンと電動ルーバーを連動にオフし、BMSを連動させてクラスタ級及びキャビン級高圧リレーを遮断し、予備電源を起動し、PCSを連動させて機器を停止するとともに、PACK級消防消火及び空間級消防消火を行うことである。
【発明の効果】
【0032】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
【0033】
本発明はエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを提供し、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、複数成分の消火薬剤を併用する消火システムであり、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは分級式消防消火システムであり、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、消防制御ホスト、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステム、及びPACK級水消防サブシステムを含み、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置された、エネルギー貯蔵コンテナ内部のキャビン級火災探測を実現するためのキャビン級火災探測器と、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置されて電池クラスタに対応して設けられた、電池クラスタをクラスタ級火災探測するためのクラスタ級火災探測器と、パーフルオロヘキサノンを散布するためのパーフルオロヘキサノン吐出ヘッドと、を含み、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッドは、エネルギー貯蔵コンテナ内のパーフルオロヘキサノン消火剤のパーティション式全水没消火を実現するためであり、キャビン級火災探測器及びクラスタ級火災探測器は、それぞれ消防制御ホストに信号接続され、PACK級水消防サブシステムは、電池箱内に設けられ、電池箱内部のPACK級火災探測を実現するためのPACK級火災探測器と、市政水道水を散布するための散水吐出ヘッドと、を含み、散水吐出ヘッドは電池箱内に設けられ、PACK級火災探測器は消防制御ホストに信号接続され、消防制御ホストは、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド及び散水吐出ヘッドの散布制御を実現するために用いられるものである。このエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムに基づいて、本発明は、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法をさらに提供する。
【0034】
本発明において、本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、複数成分の消火薬剤を併用し、消防制御策略を通じて、市政水道水を直接熱暴走が発生した電池箱に注入し、ペルフルオロヘキサノン消火剤を電池箱に噴射し、全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を実現するものである。本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、煙霧、温度、CO、H2及びVOCの5種類の熱暴走特徴量をエネルギー貯蔵コンテナの火災状況探測と早期予備警報の重要条件とし、電池システム火災の早期感知と正確監視を実現し、本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、3級火災防止制御設計と分級予備警報制御方案を採用し、それぞれPACK級(電池箱級)防止制御と消防予備警報、クラスタ級防止制御と消防予備警報、及びキャビン級防止制御と消防予備警報であり、分塊配置と集中制御の方式でエネルギー貯蔵コンテナに対して全面的な火災保護を行った。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本願の一部となる明細書図面は、本発明へのさらなる理解を提供するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は、本発明への不当な限定となるものではなく、本発明を解釈するためのものである。
【0036】
【
図1】は、従来技術における典型的なエネルギー貯蔵コンテナ火災探測及び消防警報システムの論理制御図である。
【0037】
【
図2】は、本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのクラスタ級及びキャビン級消防配置の概略図である。
【0038】
【
図3】は、本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのPACK級消防配置の概略図である。
【0039】
【
図4】は、本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法の消防予備警報制御論理フローチャートである。
【0040】
【
図5】は、本発明における消防警報等級及び触発条件のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照し、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。各例示は、本発明を限定するのではなく、本発明の解釈によって提供される。実際には、本発明の範囲または精神から逸脱しない限り、本発明において補正および変形が可能であることは、当業者には明らかである。例えば、1つの実施例の一部の特徴を別の実施例に応用してまた別の実施例を生成することができる。したがって、本発明は、添付の請求項およびその均等物の範囲内に収まる補正および変形を含むことが望ましい。
【0042】
図2~
図5を参照して、
図2は本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのクラスタ級及びキャビン級消防配置の概略図であり、
図3は本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのPACK級消防配置の概略図であり、
図4は本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法の消防予備警報制御論理フローチャートであり、
図5は本発明における消防予備警報等級及び触発条件のグラフである。
【0043】
本発明はエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを提供し、具体的には、このエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、複数成分の消火薬剤を併用する消火システムであり、且つエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは分級式消防消火システムである。
【0044】
本発明において、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムは、消防制御ホスト、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステム、及びPACK級水消防サブシステムを含む。
【0045】
具体的には、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置された、エネルギー貯蔵コンテナ内部のキャビン級火災探測を実現するためのキャビン級火災探測器2と、エネルギー貯蔵コンテナ内に配置されて電池クラスタに対応して設けられた、電池クラスタをクラスタ級火災探測するためのクラスタ級火災探測器5と、パーフルオロヘキサノンを散布するためのパーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4と、を含み、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4は、エネルギー貯蔵コンテナ内のパーフルオロヘキサノン消火剤のパーティション式全水没消火を実現するためであり、キャビン級火災探測器2及びクラスタ級火災探測器5は、それぞれ消防制御ホストに信号接続されている。クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防サブシステムは、パーフルオロヘキサノンを積載するためのパーフルオロヘキサノン貯液タンクと、パーフルオロヘキサノン貯液タンクとパーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4とを接続するための1級消防抑制剤管路3と、を含み、1級消防抑制剤管路3に1級分岐管が設けられ、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4は1級分岐管に設けられ、1級分岐管に1級区画電磁弁7が設けられ、1級区画電磁弁7は消防制御ホストに制御接続されている。
【0046】
さらに、1級消防抑制剤管路3には、空間管路電磁弁1が設けられ、空間管路電磁弁1は、消防制御ホストに制御接続されている。キャビン級火災探測器2及びクラスタ級火災探測器5は、第1級消防通信管路6を介して消防制御ホストに信号接続されている。
【0047】
キャビン級火災探測器2及びクラスタ級火災探測器5は、両方もエネルギー貯蔵コンテナの内部に設けられた(好ましくは、エネルギー貯蔵コンテナの内側頂部に設けられ、キャビン級火災探測器2はエネルギー貯蔵コンテナの内側頂部に配置され、クラスタ級火災探測器5はエネルギー貯蔵コンテナ内に配置され、各キャビネットの正門上方門枠の外側に位置する)探測器である。
図2に示すように、エネルギ貯蔵コンテナ内には3つのエリア(キャビン)が設けられており、それぞれ消防キャビン8、配電キャビン9、電池キャビン10であり、キャビン級火災探測器2は、上記3つのキャビンエリアに対応して設けられるものであり、これら3つのエリアの火災探測を実現するために用いられる。キャビンエリアごとには、「キャビネット」構造も設けられており、例えば消防キャビン8に消防消火抑制キャビネット、配電キャビン9に集流キャビネット及び高圧キャビネット、電池キャビン10に複数の電池キャビネットが設けられている。クラスタ級火災探測器5は、クラスタ級火災探測を実現するために、それぞれの「キャビネット」構造に対応して設けられる(具体的には、集流キャビネット、高圧キャビネット、および電池キャビネットごとに設けられている)ものである。
【0048】
一般に、エネルギー貯蔵コンテナには3つのキャビンが設けられ、それぞれ消防キャビン8、配電キャビン9、電池キャビン10であり、キャビンごとに対応してエネルギー貯蔵コンテナの内側頂部に少なくとも1つのキャビン級火災探測器2が設けられている。同時に、エネルギー貯蔵コンテナに複数の機能キャビネットが設けられ、それぞれ消防消火抑制キャビネット、集流キャビネット、高圧キャビネット、及び複数の電池キャビネットであり、電池キャビネットごとに対応してキャビネット本体の正門上方門枠の外側には、少なくとも1つのクラスタ級火災探測器5が設けられている。そのうち、消防キャビン8は消防消火抑制キャビネットに対応し、配電キャビン9は集流キャビネットと高圧キャビネットに対応し、電池キャビン10は複数の電池キャビネットに対応する。
【0049】
具体的には、1本の1段分岐管には、1つのパーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4と1つの1級区画電磁弁とが設けられて1つのキャビン級消防ユニットを構成し、キャビン級消防ユニットは、複数設けられ、全てのキャビン級消防ユニットが1級消防抑制剤管路3上に並列に設けられ、集流キャビネット、高圧キャビネット、及び電池キャビネットに対応して少なくとも1つのキャビン級消防ユニットが設けられている。
【0050】
具体的には、PACK級水消防サブシステムは、電池箱内に設けられ、電池箱内部のPACK級火災探測を実現するためのPACK級火災探測器16と、市政水道水を散布するための散水吐出ヘッド15と、を含み、散水吐出ヘッド15は電池箱内に設けられ、PACK級火災探測器16は消防制御ホストに信号接続され、消防制御ホストは、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4及び散水吐出ヘッド15の散布制御を実現するために用いられるものである。
【0051】
PACK級水消防サブシステムは、さらに、市政水道水を積載するための貯水タンクと、貯水タンクと散水吐出ヘッド15とを接続するための2級消防抑制剤管路13と、を含み、2級消防抑制剤管路13には2級分岐管が設けられ、散水吐出ヘッド15は2級分岐管に設けられ、2級分岐管には2級区画電磁弁11が設けられ、2級区画電磁弁11は消防制御ホストに制御接続されている。2級消防抑制剤管路13には、消防制御ホストに制御接続された2級区画電磁弁11が設けられており、PACK級火災探測器16は、第2級消防通信管路12を介して消防制御ホストに信号接続される。
【0052】
具体的には、1本の2級分岐管には、1つの散水吐出ヘッド15と1つの電池箱制御弁14が設けられて1つのPACK級消防ユニットを構成し、PACK級消防ユニットは、複数設けられ、全てのPACK級消防ユニットが2級消防抑制剤管路13上に並列に設けられ、電池箱ごとに少なくとも1つのPACK級消防ユニットが設けられている。
【0053】
本発明は、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法をさらに提供し、このエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法において、本発明は上述のようなエネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システムを用いて消防監視及び消火を行い、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防予備警報制御方法は、分級予備警報メカニズムを採用し、多級消防制御策略を通じてエネルギー貯蔵コンテナに対して全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を行う。
【0054】
具体的には、本発明は、各探測器の監視信号を取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも1つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視した場合、1級警報を触発し、1級消防動作を行うステップ1であって、1級消防動作は、消防制御ホストが消防制御室監視プラットフォームに予備警報情報をアップロードし、ローカル表示制御ユニットに関連する基準超過パラメータを重点的に表示するステップ1と、
【0055】
各探測器の監視信号を継続的に取得し、PACK級、クラスタ級、及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも2つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視した場合、2級警報を触発し、2級消防動作を行うステップ2であって、2級消防動作は、消防制御ホストがエネルギー貯蔵コンテナの排煙ファンと電動ルーバーとを連動に起動して排風換気を行い、BMS及びPCS電力降下処理を連動させ、放電電力出力または充電電力入力を制限することであるステップ2と、
【0056】
各探測器の監視信号を継続的に取得し、2級警報を触発したまま、電池熱暴走が進行し続ける場合、3級警報を触発し、3級消防動作を行うステップ3であって、3級消防動作は、消防制御ホストが排煙ファンと電動ルーバーを連動にオフし、BMSを連動させてクラスタ級及びキャビン級高圧リレーを遮断し、予備電源を起動し、PCSを連動させて機器を停止するとともに、PACK級消防消火及び空間級消防消火を行うことであるステップ3と、を含んでいる。
【0057】
リチウム電池の熱暴走は過程現象であり、比較的長い時間帯があり、調査研究を経て、この過程(リチウム電池の熱暴走)の前期に大量の一酸化炭素(CO)、水素(H 2)、及び揮発性の可燃アルカン系ガス(VOC)が放出され、リン酸鉄リチウム電池の熱暴走ガス産出物のうちCO比率は27%、H2比率は22%、VOC比率は8%に達することが分かった。また、団体標準「T/CEC 373-2020プレハブリン酸鉄リチウム電池貯蔵発電所消防技術規範」第4.9.3節には、電池プレハブ内に可燃性ガス探測器、感温探測器、感煙探測器を設置すべきであり、各探測器の設置数は2つ以上であるべき、H2とCO可燃ガスの濃度値の探測を可能にすべきであり、測定範囲は50%LEL(爆発下限)以下であり、2級可燃ガス濃度動作閾値の設定を可能にすべきであることが規定されている。
【0058】
本発明において、本発明が提案した消防予備警報制御方法は、煙霧、温度、CO、H2及びVOCの5種類の熱暴走特徴量をエネルギー貯蔵コンテナの火災状況探測と早期予備警報の重要条件とし、電池システム火災の早期感知と正確監視を実現する。
【0059】
エネルギー貯蔵コンテナの火災爆発事故は、いずれも前期に単体電池が熱暴走し、さらにモジュールに拡散し、電池箱全体に引火し、電池箱の熱暴走火災はまた電池箱全体の燃焼を引き起こし、最終的に電池キャビンの大面積爆燃を引き起こし、火災は急速に蔓延し、制御不能な特徴がある。
【0060】
既存のエネルギー貯蔵消防の応用の多くはやはりエアロゾル、乾粉、ヘプタフルオロプロパンなどを主な消火剤としているが、実践的な検証を経て、これらの消火媒体の弊害はいずれも明らかであり、例えば、エアロゾル消火剤は使用時に高温をもたらしやすく、粒子は物体の表面に浮遊し、整理しにくく、電器に損傷を与えやすくなり、乾粉消火剤はリチウム電池の消火にほとんど効果がなく、乾粉噴射後の現場は狼籍で、噴射された物質は整理しにくい、長期振動環境にある場合、薬剤は板結しやすく、湿気を受けて使用できない問題があり、ヘプタフルオロプロパン消火剤は消火効果は良いが、電池の冷却効果が悪く、電池温度が再び上昇して二次再燃を引き起こす。また、ヘプタフルオロプロパン薬剤は高価であり、システムのスプレーが発生すると、二次充填費用が高い。
【0061】
本発明は創造的にパーフルオロヘキサノン消火剤を採用し、パーフルオロヘキサノン消火剤は環境保護無毒、電気絶縁性能良好、使用後に残留無し、設備に二次損傷を与えないなどの利点があり、しかも常温でパーフルオロヘキサノン消火剤は液体であり、充填、輸送及び貯蔵に便利で、定点で何度も噴射することができ、有効に再燃問題を解決することができ、電気化学貯蔵電池の良好な消火剤に属する。また、本発明は、さらに市政水道水を消火剤として採用し、直接温度を下げて冷却し、酸素を遮断して化学抑制の作用を有し、電池内部の電気化学反応を迅速に中止し、熱暴走の拡散を遮断することができ、同時に安価で、取りやすい利点がある。
【0062】
従来技術と比較して、本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、3級火災防止制御設計と分級予備警報制御方案を採用し、それぞれPACK級(電池箱級)防止制御と消防予備警報、クラスタ級防止制御と消防予備警報、及びキャビン級防止制御と消防予備警報であり、同時に複数成分の消火薬剤を併用し、消防制御策略を通じて、市政水道水を熱暴走が発生した電池箱に直接に注入し、パーフルオロヘキサノン消火剤を電池箱に噴射し、全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級パーフルオロヘキサノン消防を実現し、迅速かつ効果的に火を消し止め、温度を下げ、電池の二次再燃焼問題を徹底的に解決した。
図2及び
図3に示すように、
図2は本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのクラスタ級及びキャビン級消防配置の概略図であり、
図3は本発明が提案したエネルギー貯蔵コンテナ消防消火システムのPACK級消防配置の概略図である。
【0063】
本発明において、エネルギー貯蔵コンテナは一般的に40尺または20尺の標準コンテナを担体とし、内部にリン酸鉄リチウム電池システム、エネルギー貯蔵変流器(PCS)、電池管理システム(BMS)、エネルギー管理システム(EMS)、熱管理システム(液冷または空冷システム)、消防システム、配電システムなどが集積されている。リン酸鉄リチウム電池システムは電圧/電流設計レベルに基づいて複数の電池クラスタとして配置され、複数の電池キャビネット内に置くことができ、配電システムは交流配電部分と直流配電部分に分けられ、直流配電部分は高圧キャビネットと集流キャビネットとを含み、消防システムは消防配電箱、消防ポンプ、消火剤貯蔵タンク、消防制御ホスト、火災探測器、音響光警報器、排気立ち入り禁止ランプ、防爆排煙ファン、電動ルーバー、防爆圧力窓、手動/自動変換及び緊急起動停止装置、消防警報ベル、電磁弁アセンブリ、消防管路、抑制剤吐出ヘッドなどを含む。そのうち、消防配電箱、消防ポンプ、消火剤貯蔵タンク、消防制御ホストは、一般的に消防消火抑制キャビネット内に置かれている。上記エネルギー貯蔵コンテナ構造の組成に基づいて、本発明は市政水道水とペルフルオロヘキサノンの2種類の消火剤を用いてそれぞれ電池箱の水消防及び電池箱のペルフルオロヘキサノン消防を実現し、2種類の異なる消火剤を採用するため、消火剤貯蔵タンクは貯水タンクとペルフルオロヘキサノン貯液タンクに分けられる。
【0064】
エネルギー貯蔵コンテナの内部には、消防キャビン8、配電キャビン9、電池キャビン10の3つのキャビンに分けられることができ、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防管網は、空間管路電磁弁1、キャビン級火災探測器2、1級消防抑制剤管路3、パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド4、クラスタ級火災探測器5、第1級消防通信管路6、及び1級区画電磁弁7により構成される。キャビン級防止制御とクラスタ級防止制御は、ペルフルオロヘキサノン消防管路と吐出ヘッドを共用し、キャビン級防止制御はそれぞれ消防キャビン8、配電キャビン9、電池キャビン10の空間頂部にキャビン級火災探測器2を配置し、リチウム電池の早期熱暴走によって放出された可燃ガス(CO、H2及びVOC)、温度、及び煙霧を探測し、火災が発生したキャビンを正確に判断し、連動消防ポンプを通じてペルフルオロヘキサノン消火剤を起動して区画全水没消火を行うことができる。
【0065】
PACK級水消防管網は、2級区画電磁弁11、2級消防通信管路12、2級消防抑制剤管路13、電池箱制御弁14、散水吐出ヘッド15、及びPACK級火災探測器16により構成される。PACK級水消防管網は、クラスタ級及びキャビン級パーフルオロヘキサノン消防管網とは独立して設けられ、電池キャビネットの各電池箱内部には1つのPACK級火災探測器16が設けられ、散水吐出ヘッド15は電池箱パネルに設けられ、消防水は散水吐出ヘッドを通じて電池箱内部に散布され、熱暴走電池に直接作用し、ターゲットシャワー方式で箱体内に不活性化環境を形成し、初期火星を迅速かつ効果的に消火する。
【0066】
本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、電池熱暴走の進行に基づいて分級予備警報メカニズムを実行し、多級消防制御策略を採用し、消防制御ホストを通じて予備警報情報とBMS、PCS、排煙排風、音響光警報及び高圧電気スイッチなどとの連動制御を実現し、安全を確保しながら火災を迅速に消火する。
【0067】
消防警報等級及び触発条件は
図5に示され、制御論理フローチャートは
図4に示され、具体的には以下のように説明する。
【0068】
(1)消防消火システムは自動制御状態(デフォルト状態)で、PACK級、クラスタ級及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも1つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超えたことを監視して1級警報閾値を触発し、即ちH2濃度>(200±30)ppm又はCO濃度>(190±15)ppmであると、消防制御ホストは直ちに予備警報情報を消防制御室監視プラットフォームにアップロードし、ローカル表示制御ユニットは関連する基準超過パラメータを重点的に表示し、当直者に注意を促す。
【0069】
(2)PACK級、クラスタ級及びキャビン級火災探測器のうち少なくとも2つの火災探測器が電池熱暴走特徴量が基準を超え続けていることを監視した場合、2級警報閾値を触発し、即ちH2濃度>(500±50)ppm及びCO濃度>(490±30)ppm及びVOC>(1000±100)ppm及び煙霧警報すると、消防制御ホストは排煙ファンと電動ルーバーを連動に起動し、排風換気を行い、電池キャビン内の可燃ガスを迅速にキャビン外に排出し、ガス爆発濃度を下げ、BMSとPCSの電力降下処理を連動させ、放電電力出力または充電電力入力を制限する。
【0070】
(3)2級警報を触発したまま、電池熱暴走が引き続き進行し、火災探測器は、電池箱または電池キャビンの温度が(80±2)℃より大きく、温度上昇が1℃/秒より大きくなることを同時に監視し、すなわち3級警報閾値を触発すれば、消防制御ホストが排煙ファンと電動ルーバーを連動にオフし、BMSを連動させてクラスタ級及びキャビン級高圧リレーを遮断し、予備電源を起動し、PCSを連動させて機器を停止し、音響光警報器を起動し、排気立ち入り禁止ランプを点灯し、30秒遅延した後、熱暴走が発生した電池箱の制御弁及び当該電池箱が位置する電池クラスタの水路区画電磁弁を開き、同時に空間管路電磁弁及び熱暴走が発生した電池箱が位置する電池クラスタの気路区画電磁弁を開き、消防ポンプを起動し、貯水タンク中の消防水を抽出して熱暴走が発生した電池箱内に注入し、PACK級消防消火を行い、貯液タンク中のパーフルオロヘキサノンを抽出して電池キャビン内に噴出し、空間級消防消火を行う。
【0071】
(4)リン酸鉄リチウム電池内部の電気化学反応機構に基づき、二次再燃焼を防止するために、電池キャビン内のパーフルオロヘキサノン消火剤は三回に分けて噴出し、一回目は40%薬剤を噴出し、二回目は30%薬剤を噴出し、三回目は残りの30%薬剤を噴出し、三回噴出の間隔を15分間にする。
【0072】
(5)コンテナ外壁に設けられた手動/自動変換及び緊急起動停止装置により、消防消火システムを手動制御状態に移行し、人工介入を行うことができる。人為的に火災を発見した場合、緊急起動ボタンを手動で押すと、消防予備警報とシャワー動作を直接起動することができ、消防予備警報とシャワー動作の遅延段階または消火起動段階では、停止ボタンを通じて消防消火動作を終了することができる。
【0073】
本発明は、現在エネルギー貯蔵コンテナ消防システムに存在する電池熱暴走探測量が単一で、消火薬剤及び消防制御策略が電池再燃焼の弊害を効果的に解決できないことに対して、エネルギー貯蔵コンテナに用いられる消防消火システム及び消防予備警報制御方法を提案し、煙温度感量及び多種の可燃ガスの共同監視、複数成分の消火薬剤の共同使用、多重制御策略の分級予備警報、連動制御、分塊配置と集中制御の方式で全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を実現し、熱暴走の拡大を徹底的に遮断し、電池の温度低下と二次再燃焼の問題を効果的に解決した。
【0074】
1、本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、煙霧、温度、CO、H2及びVOCの5種類の熱暴走特徴量をエネルギー貯蔵コンテナの火災状況探測と早期予備警報の重要条件とし、電池システム火災の早期感知と正確監視を実現した。
【0075】
2、本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、3級火災防止制御設計と分級予備警報制御方案を採用し、それぞれPACK級(電池箱級)防止制御と消防予備警報、クラスタ級防止制御と消防予備警報、及びキャビン級防止制御と消防予備警報であり、分塊配置と集中制御の方式でエネルギー貯蔵コンテナに対して全面的な火災保護を行った。
【0076】
3、本発明が提案した消防消火システム及び消防予備警報制御方法は、複数成分の消火薬剤を併用し、消防制御策略を通じて、市政水道水を直接熱暴走が発生した電池箱に注入し、ペルフルオロヘキサノン消火剤を電池箱に噴射し、全拡散灌流式のPACK級水消防及び全水没式の空間級ペルフルオロヘキサノン消防を実現した。
【0077】
以上は、本発明を限定するものではなく、本発明の好適な実施例にすぎない。当業者にとっては、本発明は種々の変更及び変化が可能である。本発明の精神と原則の中で行ったいかなる補正、等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0078】
1 空間管路電磁弁
2 キャビン級火災探測器
3 1級消防抑制剤管路
4 パーフルオロヘキサノン吐出ヘッド
5 クラスタ級火災探測器
6 第1級消防通信管路
7 1級区画電磁弁
8 消防キャビン
9 配電キャビン
10 電池キャビン
11 2級区画電磁弁
12 第2級消防通信管路
13 2級消防抑制剤管路
14 電池箱制御弁
15 散水吐出ヘッド
16 PACK級火災探測器