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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074781
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】光信号パワー利得
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/291 20130101AFI20240524BHJP
   H04B 10/25 20130101ALI20240524BHJP
【FI】
H04B10/291
H04B10/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023193033
(22)【出願日】2023-11-13
(31)【優先権主張番号】17/991687
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 洋一
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA01
5K102AA53
5K102AK00
5K102KA01
5K102KA42
5K102PA00
5K102PB11
5K102PC12
5K102PH11
5K102PH13
5K102PH14
5K102PH15
5K102PH50
5K102RB00
5K102RD28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光信号パワー利得のための光学装置を提供する。
【解決手段】光利得システムにおいて、波長交換装置300は、非線形光学媒体であってよい光ファイバ330及び前記非線形光学媒体に結合された光学カプラ320を含む。光学カプラ320は、光アイドラ信号が生成されるように、光データ信号及び光ポンプ信号を前記非線形光学媒体に多重化する。光ポンプ312が生成する光ポンプ信号のパワーは、光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベル以下であってもよい。波長交換装置300はさらに、非線形光学媒体に結合され、光データ信号を増幅する増幅器を含んでよい。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
光データ信号及び光ポンプ信号を取得するステップと、
光アイドラ信号が生成されるように、前記光ポンプ信号及び前記光データ信号を非線形光学媒体上に多重化するステップと、
前記光アイドラ信号のパワーが閾値を満たすように、前記光ポンプ信号のパワーを選択するステップと、
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後、前記光データ信号を増幅するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光データ信号を増幅するステップは、前記光データ信号の波長用に構成されたエルビウムドープファイバ増幅器によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後に、
第2光ポンプ信号を生成するステップと、
第2光アイドラ信号が生成されるように、前記第2光ポンプ信号と前記光データ信号を非線形第2光学媒体上に多重化するステップと、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2光ポンプ信号と前記光ポンプ信号の波長が同じである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後に、且つ前記第2光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、
前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、
を更に含む請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記閾値は、前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低い、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記閾値が、前記光データ信号のパワーに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を前記光学媒体上に多重化した後に、且つ前記光データ信号を増幅する前に、
前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、
を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、前記光アイドラ信号の前記波長をフィルタリングするステップ、を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
光学装置であって、
非線形光学媒体と、
光学カプラであって、前記光学媒体に結合され、光データ信号と光ポンプ信号とを前記光学媒体上に多重化して、光アイドラ信号が生成され、及び前記光ポンプ信号のパワーが前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低くなるように構成された光学カプラと、
前記光学媒体に結合され、前記光データ信号を増幅するように構成された増幅器と、
を含む光学装置。
【請求項12】
前記光学カプラに結合され、前記光データ信号を前記光学カプラに提供し、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成されたフィルタ、を更に含む請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記光学媒体と前記増幅器との間に結合されたフィルタを更に含み、前記フィルタは、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成される、請求項11に記載の光学装置。
【請求項14】
前記光学カプラに結合され、前記光データ信号を前記光学カプラに提供し、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成された第2フィルタ、を更に含む請求項13に記載の光学装置。
【請求項15】
前記光学カプラに結合された光ポンプを更に含み、前記光ポンプは、前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低いパワーで前記光ポンプ信号を生成するように構成される、請求項11に記載の光学装置。
【請求項16】
前記光学媒体と前記増幅器との間に結合された非線形第2光学媒体と、
第2光学カプラであって、前記光学媒体と前記第2光学媒体との間に結合され、前記光データ信号と第2光ポンプ信号とを前記第2光学媒体上に多重化して、第2光アイドラ信号が生成され、前記第2光ポンプ信号のパワーが前記第2光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低くなるように構成された第2光学カプラと、
を更に含む請求項11に記載の光学装置。
【請求項17】
前記第2光ポンプ信号と前記光ポンプ信号の波長が同じである、請求項16に記載の光学装置。
【請求項18】
前記光学媒体と前記第2光学カプラとの間にあるフィルタを更に含み、前記フィルタは、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成される、請求項16に記載の光学装置。
【請求項19】
前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルは、前記光データ信号のパワーである、請求項11に記載の光学装置。
【請求項20】
前記増幅器は、前記光データ信号の波長用に構成されたエルビウムドープファイバ増幅器である、請求項11に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示において議論される実施形態は光信号パワー利得に関連する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークは、送信機と受信機の間でデータを送信するために光信号を使用することができる。光信号は、光ファイバに沿って送信することができる。光信号が光ファイバを通過すると、光信号のパワーレベルが低下することがある。そのため、光信号は通常、送信前に増幅される。更に、特定の閾値を超える光信号対雑音比を維持するために、光信号は、特定の距離にわたる送信後に再増幅されてもよい。
【0003】
本開示で請求される主題は、任意の欠点を解決する実施形態なたが]上述のような環境でのみ動作する実施形態に限定されない。むしろ、この背景技術は、本開示に記載の幾つかの実施形態が実施され得る一例である技術領域を説明するためにのみ提供される。
【発明の概要】
【0004】
例示的な実施形態では、光学装置は、非線形光学媒体及び前記光学媒体に結合された光学カプラを含むことができる。前記光学カプラは、光アイドラ信号が生成されるように、光データ信号及び光ポンプ信号を前記光学媒体に多重化するように構成することができる。前記光ポンプ信号のパワーは、前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベル以下であってもよい。前記光学装置は、増幅器であって、前記光学媒体に結合され、前記光データ信号を増幅するように構成された増幅器を更に含むことができる。
【0005】
実施形態の目的及び利点は、請求項において特に指摘される要素、特徴、及び組み合わせにより少なくとも実現され達成される。
【0006】
前述の一般的説明及び以下の詳細な説明は両方とも例として与えられ、説明のためであり、請求される本発明の限定ではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例示的な実施形態は、以下の添付の図面の使用を通じて更なる特殊性及び詳細事項により記載され説明される。
【0008】
図1】例示的な光ネットワークのブロック図を示す。
【0009】
図2】例示的な光利得システムを示す。
【0010】
図3A】例示的な波長交換装置を示す。
【0011】
図3B】波長交換装置内の例示的な信号の図を示す。
【0012】
図4】波長交換装置内の光アイドラ信号の例示的なOSNRレベルの図を示す。
【0013】
図5】光信号パワー利得の例示的な方法のフローチャートを示す。
【0014】
図6】光信号パワー利得に使用できる例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
光ネットワークは、送信機から受信機へデータを伝送するために使用され、データ伝送の需要は増加し続けている。この需要を満たすために、より高いレベルの変調フォーマットが開発され、展開されている。しかしながら、上位レベルの変調フォーマットは、他の下位レベルの変調フォーマットよりも高い光信号対雑音比(optical signal to noise ratio (OSNR))要件を有する場合がある。一部のシステムは、より高いOSNR要件をサポートすることができる。しかし、光信号の伝送中の光信号パワーの劣化のために、光信号についてより高いOSNRを維持するために、光信号がより低いOSNR要件を持つ下位レベルの変調フォーマットを使用した場合には、光信号を伝送できないことがある。
【0016】
一般的な光増幅器は、光信号を増幅するときに光信号に追加のノイズを追加し、その結果、高レベルの変調フォーマットで許容される可能性があるOSNRが発生する可能性があるため、より高いOSNR要件の問題を解決するのに役立たない。
【0017】
本開示の幾つかの実施形態は、ノイズなしで光信号に利得を提供するように、又は光信号内のより低いノイズを増加させるように構成され得る光利得システムに関連し得る。ノイズを有しない又はより低いノイズを有する利得を提供することにより、光信号のOSNR劣化は増幅と比較して抑制され得る。より高いOSNRでは、典型的な増幅器が光信号を増幅するために使用され得る。増幅による増幅された光信号のOSNRの劣化は、増幅された光信号が許容できるOSNRを維持できるように、OSNRの以前の増加によって相殺され得る。
【0018】
幾つかの実施形態では、本開示で提供される光利得システムは、波長交換を使用して、いかなる又は比較的少量のノイズしか提供することなく、光信号に利得を提供することによって、光信号のOSNRの劣化を抑制することができる。波長交換は、非線形光学媒体上で光信号をポンプ信号と多重化して、アイドラ信号を生成することによって生じることができる。ポンプ信号は、アイドラ信号の光パラメトリック増幅が発生せず、ノイズが、波長交換によりほとんど又は全く発生せず、光信号に追加されないように、光信号のパワーレベルよりも低いパワーレベルを有することができる。従って、光信号のOSNRの劣化は、増幅前に抑制され、増幅後に維持されることができる。
【0019】
図を参照すると、図1は、本明細書に記載された少なくとも幾つかの実施形態に従って配置された例示的な光ネットワーク100のブロック図である。光ネットワーク100は、光ネットワーク100の構成要素によって通信される1つ以上の光信号を伝送するように構成された光ファイバ140を含むことができる。光ファイバ140によって結合された光ネットワーク100の構成要素は、端末ノード110a、110b及び光ノード130を含むことができる。光ネットワーク100は、端末ノード110a、110bを有するポイントツーポイント光ネットワークとして図示されているが、光ネットワーク100は、リング光ネットワーク、メッシュ光ネットワーク、又は他の任意の光ネットワーク又はネットワークの組み合わせとして構成されてもよい。光ネットワーク100は、短距離ネットワーク、長距離ネットワーク、又は任意の他の光ネットワーク又は光ネットワークの結合として使用されてよい。光ファイバ140は、シングルモードファイバ(Single-Mode Fiber (SMF))、拡張大有効面積ファイバ(Enhanced Large Effective Area Fiber (E-LEAF))、分散補償ファイバ(Dispersion Compensating Fiber (DCF))、マルチモードファイバ(Multi-Mode Fiber (MMF))などの任意の適切なタイプの光ファイバ、及びそれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
端末ノード110aは、トランシーバ112及び光利得システム116を含むことができる。トランシーバ112は、光信号を変調してデータを符号化し、光ネットワーク100内で光信号を送信するように構成された任意のタイプのトランシーバを含むことができる。光利得システム116は、光信号の信号パワーを増加させるように構成されてもよい。光利得システム116は、1つ以上の波長交換装置、増幅装置、又は1つ以上の波長交換装置と増幅装置の組合せを用いて、光信号の信号パワーを増加させるように構成されてもよい。
【0021】
幾つかの実施形態では、増幅装置は、光信号に増幅を適用するように構成されてもよい。光信号に適用される増幅は、光信号のパワー及び光信号のノイズレベルのパワーを増加させることができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、波長交換装置は、光信号に波長交換パワー利得を適用することができる。波長交換パワー利得は、光信号のノイズフロアのパワーを限定的にしか又は全く増加させずに、光信号に適用することができる。例えば、波長交換装置は、-20dBmの信号パワーを有する光信号を得ることができ、ノイズフロアのパワーを限定的にしか又は全く増加させずに、光信号のパワーを2.5dBだけ増加させることができる。波長交換装置は、ノイズフロアのパワーの限定的な増加で光信号のパワーを増加させることができるので、波長交換装置は、光信号の光信号対ノイズ比(OSNR)を増加させることができる。
【0023】
幾つかの実施態様において、光利得システム116は、複数の波長交換装置を含むことができる。これら及び他の実施態様において、波長交換装置は、ある波長交換装置の出力が別の波長交換装置の入力に提供されるように、カスケード形式で配置することができる。これら及び他の実施態様において、各波長交換装置は、光信号にパワー利得を適用することができる。増幅器システム内でカスケード接続される多くの波長交換装置は、光信号のパワーに対する所望の増加又は光信号のOSNRの所望の増加に基づいて選択することができる。例えば、カスケード接続される波長交換装置の数は、増幅装置によって光信号に加えられる増幅に基づいてもよい。例えば、増幅装置によって加えられる増幅の量は、ノイズレベルの利得をもたらす場合がある。波長交換装置によって加えられるパワー利得の合計が、増幅装置によって加えられる増幅から生じるノイズレベル利得よりも大きくなるように、波長交換装置の数を選択することができる。
【0024】
その結果、増幅装置によって加えられる増幅は、光信号のOSNRの劣化をもたらすことはない。従って、適切な間隔で光利得システム116を適用することは、光信号がより高いレベルの変調フォーマットを有する場合のように、光信号がより高いOSNR要件を有する場合であっても、任意の距離を伝送することができる光信号をもたらすことができる。
【0025】
光ノード130は、光利得システム132を含むことができる。光利得システム132は、光利得システム116と同様であり、光信号の信号パワーを増加させるように構成することができる。
【0026】
端末ノード110bは、トランシーバ122及び光利得システム124を含むことができる。光利得システム124は、光利得システム116と同様であり、光信号の信号パワーを増加させるように構成することができる。トランシーバ122は、光信号を受信し、それを電気信号に復調するように構成された任意のタイプのトランシーバであり得る。幾つかの実施形態では、トランシーバ122は、デジタル信号処理を含むコヒーレント受信機であり得る。
【0027】
変更、追加、又は省略が、本開示の範囲から逸脱することなく光ネットワーク100に対して行われてよい。例えば、幾つかの実施形態では、光ネットワーク100は、2つより多く又はより少ない光ノード130を含むことができる。代替的又は追加的に、光学ノード130は、図1に示されたもの以外の構成要素を含むことができる。更に、幾つかの実施形態では、端末ノード110a、110bは、図1に示されたもの以外の構成要素を含むことができる。代替的又は追加的に、端末ノード110a、110bは、両方とも、光ネットワーク100を介して光信号を受信及び送信するように構成することができる。
【0028】
図2は、本開示における少なくとも1つの実施形態による、例示的な光利得システム200を示す。光利得システム200は、第1帯域通過フィルタ210、第2帯域通過フィルタ212、第3帯域通過フィルタ214、第1波長交換装置220a及び第2波長交換装置220b、これらを総称して波長交換装置220と呼び、及び増幅装置230を含んでよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、第1帯域通過フィルタ210は、図1の光ネットワーク100のような光ネットワーク内の光信号のような光信号を得るように構成することができる。光信号は、任意の変調方式を有する任意のタイプの光信号であり得る。第1帯域通過フィルタ210は、光スペクトルの1つ以上の波長をフィルタリングし、光スペクトルの1つ以上の波長を、フィルタリングなしで第1帯域通過フィルタ210を通過させるように構成され得る。これら及び他の実施形態において、第1帯域通過フィルタ210は、光信号の波長を通過させるように構成され得る。これら及び他の実施形態において、第1帯域通過フィルタ210は、第1波長交換装置220aによって生成され得るアイドル光信号の波長をフィルタリングするように構成され得る。従って、第1帯域通過フィルタ210は、アイドル光信号の波長からノイズを除去するように構成され得る。第1帯域通過フィルタ210は、第1波長交換装置220aに適用されたフィルタリングを有する光信号を提供するように構成され得る。
【0030】
幾つかの実施形態において、第1波長交換装置220aは、第1帯域通過フィルタ210の出力に結合され得ると共に、第1帯域通過フィルタ210から光信号を得るように構成され得る。第1波長交換装置220aは、光信号に利得を適用するように構成されてもよい。第1波長交換装置220aは、光信号のノイズフロアに利得を与えずに又は限られた利得しか与えずに、光信号に利得を与えるように構成されてもよい。その結果、光増幅器によって増幅された場合の光信号のOSNR比に比べて、第1波長交換装置220aによって光信号のOSNR比を増加させることができる。幾つかの実施形態では、光信号に適用される利得の量は可変であってもよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、第1波長交換装置220aは、プロセスを用いて、光信号に利得を適用するように構成されてもよい。プロセスは、非線形光学媒体上に光信号及び光ポンプ信号を多重化することを含んでもよい。その結果、アイドラ光信号が生成される。アイドラ光信号は、非線形光学媒体上に光信号と光ポンプ信号を多重化することによって生じる非線形位相変調によって生成されるサイドバンド信号である。アイドラ光信号は、図3Bで説明するように、光信号と光ポンプ信号と関連している。これら及び他の実施形態では、光信号の波長を有することができ、かつ、光信号に利得を与えるために光信号を構成的に干渉することができるサブアイドラ光信号を生成することもできる。このプロセスを波長交換と呼ぶことができる。このように、利得は、光信号のノイズフロアに利得が適用されることなく又は限られた利得しか適用されずに、光信号に適用することができる。これら及び他の実施形態では、光信号に適用される利得の量は、光信号と多重化された光ポンプ信号のパワーを調整することによって調整することができる。第1波長交換装置220aは、適用された利得を有する光信号を第2帯域通過フィルタ212に供給することができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、第2帯域通過フィルタ212は、波長交換装置220に結合することができる。特に、第2帯域通過フィルタ212の入力は、第1波長交換装置220aの出力に結合することができ、第2帯域通過フィルタ212の出力は、第2波長交換装置220bの入力に結合することができる。これらの実施形態及び他の実施形態において、第2帯域通過フィルタ212は、第1帯域通過フィルタ210に類似することができる。例えば、第2帯域通過フィルタ212は、光信号の波長を通過させ、第1波長交換装置220aによって生成されるアイドル光信号及び第2波長交換装置220bによって生成されるアイドル光信号の波長をフィルタリングするように構成することができる。従って、第2帯域通過フィルタ212は、第1波長交換装置220aによって生成されるアイドル光信号をフィルタリングし、第2波長交換装置220bによって生成されるアイドル光信号の波長からノイズを除去するように構成することができる。第2帯域通過フィルタ212は、第2波長交換装置220bに適用されたフィルタリングにより、光信号を提供するように構成され得る。
【0033】
幾つかの実施形態において、第2波長交換装置220bは、第2帯域通過フィルタ212の出力に結合され得ると共に、第2帯域通過フィルタ212から光信号を得るように構成され得る。第2波長交換装置220bは、第1波長交換装置220aが光信号に利得を適用するのと同様の方法で、光信号に別の利得を適用するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、光信号に適用される利得の量は可変であってもよい。幾つかの実施形態では、第2波長交換装置220bは、第1波長交換装置220aによって適用される利得と同じ利得を適用してもよい。代替的又は追加的に、第2波長交換装置220bは、第1波長交換装置220aによって適用される利得と異なる利得を適用してもよい。第2波長交換装置220bは、適用された利得を有する光信号を第3帯域通過フィルタ214に供給することができる。
【0034】
幾つかの実施形態では、第3帯域通過フィルタ214は、第2波長交換装置230b及び増幅装置230に結合することができる。特に、第3帯域通過フィルタ214の入力は、第2波長交換装置220bの出力に結合されてもよく、第3帯域通過フィルタ214の出力は、増幅装置230の入力に結合されてもよい。第3帯域通過フィルタ214は、第1帯域通過フィルタ210及び第3帯域通過フィルタ214に類似していてもよい。例えば、第3帯域通過フィルタ214は、光信号の波長を通過させ、第1波長交換装置220aによって生成されるアイドル光信号及び第2波長交換装置220bによって生成されるアイドル光信号の波長をフィルタリングするように構成することができる。従って、第3帯域通過フィルタ214は、アイドル光信号を除去するように構成され得る。第3帯域通過フィルタ214は、増幅装置230に適用されたフィルタリングにより、光信号を提供するように構成されてもよい。
【0035】
幾つかの実施形態において、増幅装置230は、第2波長交換装置220bに結合され、第2波長交換装置220bから光信号を受信するように構成されてもよい。これら及び他の実施形態において、増幅装置230は、光信号の波長に利得を適用することによって光信号を増幅するように構成されてもよい。光信号に適用される利得の量は可変であってもよい。これら及び他の実施形態では、増幅装置230はまた、光信号のノイズフロアに利得を適用してもよい。一例として、増幅装置230は、光信号の波長を増幅するように構成されたエルビウムドープファイバ増幅器であってもよい。代替的又は追加的に、増幅装置230は、別のタイプの光増幅器であってもよい。例えば、増幅装置230は、増幅器の種類の中でも特に、ラマン増幅器、半導体光増幅器、希土類ドープファイバ増幅器、及び/又は光パラメトリック増幅器であってもよい。
【0036】
幾つかの実施形態では、第1波長交換装置220aによって適用される利得及び第2波長交換装置220bによって適用される利得は、増幅装置230によって光信号に適用されるノイズレベル利得に基づいてもよい。例えば、波長交換装置220によって適用される利得の総和は、増幅装置230によって光信号の雑音指数に適用される利得以上であってもよい。これら及び他の実施形態において、雑音指数は、次のように定義することができる:雑音指数(dB)は、信号入力OSNR(dB)を信号出力OSNR(dB)で除した比に等しい。これら及び他の実施形態において、各波長交換装置220によって適用される利得は、同じであっても異なっていてもよいが、その合計は、雑音指数に適用される利得と等しいか、又はより大きくてもよい。これら及び他の実施形態において、波長交換装置220によって適用される利得は、増幅装置230によって雑音指数に適用される利得と同じか、又はより大きくなるように調整されてもよい。
【0037】
幾つかの実施形態において、波長交換装置220の1つによって光信号に適用される利得が、増幅装置230によって光信号の雑音指数に適用される利得より大きいことに応答して、光利得システム200は、第2波長交換装置220b及び第2帯域通過フィルタ212を含んでいなくてもよい。
【0038】
変更、追加、又は省略が、本開示の範囲から逸脱することなく光利得システム200に対して行われてよい。例えば、光利得システム200は、追加の波長交換装置及び帯域通過フィルタを含むことができる。これら及び他の実施形態において、各追加の波長交換装置について、光利得システム200は、波長交換装置の前に配置された追加の帯域通過フィルタを含むことができる。代替的に又は追加的に、光利得システム200は、帯域通過フィルタよりも多くの追加の波長交換装置を含むことができる。
【0039】
これら及び他の実施形態では、光利得システム200における追加の波長交換装置の数又は波長交換装置の総数は、増幅装置230によって適用される利得に基づいてもよい。例えば、光利得システム200は、波長交換装置によって適用される利得の合計が増幅装置230の雑音利得より大きくなるように設計されてもよい。例えば、増幅装置230が5dBの雑音指数を含み、各波長交換装置の最大利得が1.5dBである場合、4つの波長交換装置がカスケード接続されて、波長交換装置の利得の合計が6dBとなり、増幅装置230の雑音指数5dBより大きくなるようにしてもよい。
【0040】
別の例として、幾つかの実施形態では、光利得システム200は、第1帯域通過フィルタ210及び第2帯域通過フィルタ212を含んでいなくてもよい。代替的又は追加的に、光利得システム200は、第2帯域通過フィルタ212ではなく、第1帯域通過フィルタ210を含んでもよいし、その逆であってもよい。これら及び他の実施形態において、光利得システム200は、波長交換装置の利得の合計と増幅装置230の雑音指数との間の差、並びに、第1帯域通過フィルタ210及び波長交換装置220の入力におけるアイドル信号の波長におけるノイズレベルに基づいて、第1帯域通過フィルタ210及び/又は第2帯域通過フィルタ212を除去又は含むことができる。例えば、各波長交換装置は2.5dBの利得を適用することができ、増幅装置230の雑音指数は3dBであることができる。従って、2つの波長交換装置は、5dBの利得と2dBのオーバヘッドに対して使用することができる。帯域通過フィルタによるフィルタリングなしで波長交換装置によって発生する可能性のあるノイズが2.5dBのオーバヘッドより小さい場合は、帯域通過フィルタを使用しなくてもよい。
【0041】
図3Aは、本開示における少なくとも1つの実施形態による、例示的な波長交換装置300を示す。波長交換装置300は、光ポンプ312、光学カプラ320、及び光ファイバ330を含むことができる。波長交換装置300は、光入力信号310を取得し、光入力信号310のノイズフロアに利得を適用せず又は限られた利得しか適用せずに光入力信号310に利得を適用するように構成することができる。
【0042】
幾つかの実施形態では、光入力信号310は、光送信機、光ファイバ、又は光ネットワークで使用され得る他の光コンポーネントなどの他の装置から取得され得る光データ信号であってもよい。一例として、光入力信号310は、図1の光ネットワーク100などの光ネットワークからの光信号であってもよい。光入力信号310は、光学カプラ320の入力に提供されてもよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、光ポンプ312は、光ポンプ信号を生成するように構成されてもよい。他のタイプの光ポンプを使用することもできる。光ポンプ信号は、光入力信号310の波長とは異なる波長であってもよい。光ポンプ信号の波長は、光入力信号310の利得を増加させる波長交換のプロセスを可能にするために、光入力信号310の波長に基づいて構成されてもよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、光ポンプ信号のパワーレベルは、波長交換装置300によって光入力信号310に適用されるパワー利得を達成するために選択されてもよい。幾つかの実施形態では、光ポンプ信号のパワーレベルは、光入力信号310のパワーよりも大きくてもよい。光ポンプ312は、光学カプラ320に結合することができ、光ポンプ信号を光学カプラ320に提供するように構成することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、光学カプラ320は、光信号を多重化するように構成することができる。光学カプラ320は、光入力信号310及び光ポンプ信号を受信し、光入力信号310及び光ポンプ信号を多重化するように構成される。光学カプラ320は、多重化された光信号を光ファイバ330に提供することができる。
【0046】
幾つかの実施形態では、光ファイバ330は、光学カプラ320から多重化された光信号を得ることができる非線形光学媒体であってもよい。光ファイバ330の非線形光学媒体に隣接する波長を有する多重化された光信号を提供することは、アイドラ信号を発生させることができる。アイドラ信号の波長は、光入力信号310及び光ポンプ信号の波長と関連付けられてもよい。幾つかの実施形態では、アイドラ信号の波長は、次の式で表すことができる:
ωidler=2ωpump-ωsignal
ここで、ωidlerはアイドラ信号の周波数であり、ωpumpは光ポンプ信号の周波数であり、ωsignalは光入力信号310の周波数である。
【0047】
アイドラ信号が生成されると、更に、光入力信号310と同じ波長のサブアイドラ信号が生成されてもよい。サブアイドラ信号は、アイドラ信号よりも小さいパワーを有してもよい。サブアイドラ信号は、光入力信号310に建設的に(constructively)干渉して、光入力信号310の利得を増加させることができる。従って、サブアイドラ信号のパワーは、光入力信号310に適用される利得と等しくすることができる。サブアイドラ信号の生成プロセス及び光入力信号310への建設的干渉は、本開示において波長交換と呼ぶことができる。
【0048】
幾つかの実施形態において、サブアイドラ信号のパワーはアイドラ信号のパワーに基づいてもよく、アイドラ信号のパワーは光ポンプ信号のパワーに基づいてもよい。アイドラ信号のパワーは、次の式で表すことができる:
Pidler=KxPPump xPsignal
ここで、Pidlerはアイドラ信号のパワーであり、PPumpは光ポンプ信号のパワーであり、Psignalは光入力信号310のパワーであり、Kは波長交換装置300の構成と光ポンプ信号のパワーに基づく値である。Kの値は、図4に関してして記載される。変更、追加、又は省略が、本開示の範囲から逸脱することなく波長交換装置300に対して行われてよい。
【0049】
図3Bは、本開示の少なくとも一実施形態による波長交換装置における例示的な信号の図350を示す。図350は、波長に関連する軸及び信号のパワーレベルに関連する軸を含むことができる。図350は、更に、光ポンプ信号360、光入力信号362及び光アイドラ信号364を含むことができる。図示されているように、光ポンプ信号360、光入力信号362及び光アイドラ信号364の波長は、図3Aに関して説明されているような関係を有することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、光ポンプ信号360及びパワーレベルP1の光入力信号362を、光学カプラ320のような光学カプラに提供し、光ファイバ330のような光ファイバに入力して、光アイドラ信号364を生成することができる。光アイドラ信号364の生成は、光入力信号362と同じ波長を有するサブアイドラ信号の生成をもたらすことができる。サブアイドラ信号と光入力信号362の構成的干渉は、光入力信号362のパワーレベルをP2まで増加させることができる。パワーレベルP2とP1の間の差は、サブアイドラ信号のパワーレベルを表すことができる。図示するように、サブアイドラ信号のパワーレベルは、光ポンプ信号360、光アイドラ信号364、及び光入力信号362のパワーレベルよりも小さくすることができる。更に、光ポンプ信号360は、光アイドラ信号364及び光入力信号362よりも大きなパワーレベルを有することができることに留意されたい。
【0051】
図4は、本開示の少なくとも一実施形態による波長交換装置におけるアイドラ信号の例示的なOSNRレベルの図400を示す。
【0052】
図3Aで説明したように、光入力信号と光ポンプ信号とによって生成される波長交換装置におけるアイドラ信号のパワーは、次式で表すことができる:
Pidler=KxPPump xPsignal
ここで、Pidlerはアイドラ信号のパワーであり、PPumpは光ポンプ信号のパワーであり、Psignalは光入力信号のパワーであり、Kは波長交換装置の構成と光ポンプ信号のパワーに基づく値である。
【0053】
図400は、アイドラ信号のパワー/雑音比を表すことができるアイドラ信号のOSNRに関連付けられた軸、及び変数Kの値に関連付けられた軸を含むことができる。図400は、更に、アイドラ信号のOSNRを表す線402を示す。図400は、ポンプパワーに関する変数Kの値を表す線404を更に示す。
【0054】
図示されているように、Kの値は比較的低く、閾値ポンプパワー410未満のポンプパワーに対して一定又はほぼ一定の値であってもよい。幾つかの実施形態では、閾値ポンプパワー410は、光入力信号のパワーレベルとほぼ同等又は同等であってもよい。ポンプパワーが閾値ポンプパワー410未満の場合、増幅された自然放出が発生することなく、アイドラ信号の信号パワーを増加させることができる。その結果、アイドラ信号の信号パワーは、ノイズの増加又は非常に小さな増加を伴わずに、増加することができる。従って、アイドラ信号のONSRは、線402によって示されるように、閾値ポンプパワー410未満のポンプパワーの増加を伴い、増加することができる。
【0055】
ポンプパワーが閾値ポンプパワー410を超えて増加すると、Kの値が増加し、増幅された自発放出が生じ始め、アイドラ信号の光パラメトリック増幅が生じることがある。アイドル信号のパワーは、光パラメトリック増幅により、次式によって示されるように増加し続ける場合がある:
Pidler=KxPPump xPsignal実際には、アイドル信号のパワーは、Kの値が増加する増加率で、増加する場合がある。しかし、増幅された自然放出によるノイズも、ポンプパワーが増加するにつれて増加する。その結果、アイドラ信号のOSNRは、ポンプパワーが閾値ポンプパワー410よりも大きいときに、線402に示すように減少し始める。
【0056】
ポンプパワーの選択、従って光ポンプ信号のパワーは、閾値より低くなるように選択され得る。ポンプパワーの調整は、アイドラ信号のパワーレベルの調整、従って光入力信号に建設的に干渉し得るサブアイドラ信号の調整を引き起こし得る。従って、光入力信号に適用される利得は、ポンプパワーを調整することによって調整することができる。更に、無視できないノイズ、例えば、-58dBmを超えるノイズの導入を避けるために、ポンプパワーは、閾値ポンプパワー410より低く維持することができる。
【0057】
更に、幾つかの実施形態では、閾値ポンプパワー410は、アイドラ信号のパワーが光入力信号のパワーとほぼ等しいレベルにすることができる。その結果、幾つかの実施形態では、アイドラ信号のパワーが閾値を満たすように、光ポンプ信号のパワーを選択することができる。これら及び他の実施形態では、閾は、光入力信号のパワーに基づいて選択される場合がある。例えば、閾値は、光入力信号のパワーであり、アイドラ信号は、閾値より低いことによって閾値を満たすことができる。従って、アイドラ信号のパワーが光入力信号のパワーより小さくなるように、光ポンプ信号のパワーを選択して、アイドラ信号の光パラメトリック増幅から生じる無視できないノイズの導入を回避又は低減することができる。
【0058】
図5は、光信号パワー利得の例示的な方法500のフローチャートを示す。方法500は、本開示に記載された少なくとも1つの実施形態に従い構成されてよい。方法500の1つ以上の動作は、幾つかの実施形態において、図1の光ネットワーク100又は図2の光利得システム200のような装置又はシステム、又は別の装置、装置の組み合わせ、システム、又は複数のシステムによって実行され得る。これら及び他の実施形態では、方法500の1つ以上のステップ又はステップのいずれも、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体に格納された命令の実行に基づき実行されてよい。別個のブロックを示したが、種々のブロックは、所望の実装に依存して、追加ブロックに分けられ、少ないブロックに結合され、又は削除されてよい。
【0059】
この方法は、ブロック502で開始され、光データ信号及び光ポンプ信号が得られ得る。ブロック504において、光ポンプ信号及び光データ信号は、光アイドラ信号が生成されるように、非線形光学媒体上に多重化されてもよい。
【0060】
ブロック506において、光アイドラ信号のパワーが閾値を満たすように、光ポンプ信号のパワーが選択されてもよい。幾つかの実施形態では、閾値は、光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低くてもよい。代替的又は追加的に、閾値は、光データ信号のパワーであってもよい。
【0061】
ブロック508において、光ポンプ信号と光データ信号とを多重化した後、光データ信号を増幅してもよい。幾つかの実施形態において、光データ信号の増幅は、光データ信号の波長用に構成されたエルビウムドープファイバ増幅器によって実行されてもよい。
【0062】
この及び本願明細書に開示される他の処理、動作及び方法について、実行される機能及び/又は動作が異なる順序で実行されてよいことが理解される。さらに、概説された機能及び動作は例として提供されたものであり、機能及び動作の幾つかは、開示した実施形態の本質を減じることなく、任意であり、少ない機能及び動作に結合され、又は追加の機能及び動作に拡張されてよい。
【0063】
例えば、方法500は、光ポンプ信号及び光データ信号を多重化する前に、光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップを更に含むことができる。代替的又は追加的に、方法500は、光ポンプ信号と光データ信号を多重化した後に、第2光ポンプ信号を生成するステップと、第2光アイドラ信号が生成されるように、第2光ポンプ信号と光データ信号を非線形第2光学媒体上に多重化するステップと、を更に含むことができる。これら及び他の実施形態では、第2光ポンプ信号及び光ポンプ信号の波長は同じであってもよい。この例では、方法500は、光ポンプ信号及び光データ信号を多重化した後、且つ第2光ポンプ信号及び光データ信号を多重化する前に、光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップを更に含むことができる。
【0064】
別の例として、方法500は、光ポンプ信号と光データ信号を光学媒体上に多重化した後、且つ光データ信号を増幅する前に、光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップを更に含むことができる。この例では、方法500は、光ポンプ信号及び光データ信号を多重化する前に、光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップを更に含むことができる。
【0065】
図6は、本開示の少なくとも一実施形態による光信号パワー利得のために使用され得る例示的システム600を示すブロック図である。システム600は、プロセッサ610、メモリ612、通信ユニット616、ディスプレイ618、及びユーザインタフェースユニット620を含み、これらはすべて通信可能に結合され得る。幾つかの実施態様において、システム600は、本開示に記載された方法の1つ以上を実行するために使用することができる。
【0066】
例えば、システム600は、図5に記載された方法の実行を補助するために使用することができる。代替的又は追加的に、システム600又はシステム600の一部は、図1の光ネットワーク100の一部とすることができる。例えば、システム600は、光ポンプのパワーレベルを決定するために使用することができる。
【0067】
通常、プロセッサ610は、種々のコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む、任意の適切な専用又は汎用コンピュータ、コンピューティングエンティティ、又は処理装置を含んでよく、任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体に格納された命令を実行するよう構成されてよい。例えば、プロセッサ610は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)又はテンソル処理ユニット(TPU)のような並列プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラム命令を解釈し及び/又は実行し及び/又はデータを処理するよう構成される任意の他のデジタル若しくはアナログ回路を含んでよい。
【0068】
図6には単一のプロセッサが示されるが、プロセッサ610は、任意の数のネットワーク又は物理的位置に渡り分散され、個々に又は共同で本願明細書に記載された任意の数の動作を実行するよう構成される、任意の数のプロセッサを含んでよいことが理解される。幾つかの実施形態では、プロセッサ610は、プログラム命令を解釈し及び/又は実行し、及び/又はメモリ612に格納されたデータを処理してよい。幾つかの実施形態では、プロセッサ610は、メモリ612に格納されたプログラム命令を実行してよい。
【0069】
例えば、幾つかの実施形態では、プロセッサ610は、タスク実行に関連するメモリ612に記憶されたプログラム命令を実行して、システム600が命令によって指示されたように、それに関連する操作の実行を実行する又は実行を指示することができる。これら及び他の実施形態では、命令は、図5の方法500の1つ以上のブロックを実行するために使用することができる。
【0070】
メモリ612は、コンピュータ実行可能命令を運び又は有するコンピュータ可読記憶媒体又は1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体、又はそれに記憶されたデータ構造を含んでよい。このようなコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ610のような汎用又は専用コンピュータによりアクセスされ得る任意の市販の媒体であってよい。
【0071】
例として、限定ではなく、このようなコンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、又は他の磁気記憶装置、フラッシュメモリ素子(例えば、個体メモリ装置)、又はコンピュータ実行可能命令若しくはデータ構造の形式で特定のプログラムコードを運ぶ又は格納するために使用され得る且つ汎用又は専用コンピュータによりアクセスされ得る任意の他の記憶媒体、を含む非一時的コンピュータ可読媒体を含んでよい。上記の組み合わせも、コンピュータ可読記憶媒体の範囲に含まれてよい。
【0072】
コンピュータ実行可能命令は、例えば、本開示に記載されているように、プロセッサ610に特定の操作又は操作のグループを実行させるように構成された命令及びデータを含み得る。これら及び他の実施形態では、本開示で説明されるような用語「非一時的」は、Federal Circuit decision of In re Nuijten, 500 F.3d 1346 (Fed. Cir. 2007)における特許可能な主題の範囲に含まれない一時的媒体の種類のみを除外するものと考えられるべきである。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれてよい。
【0073】
通信ユニット616は、ネットワークを介して情報を送信し又は受信するよう構成される、任意のコンポーネント、装置、システム、又はそれらの組み合わせを含んでよい。幾つかの実施形態では、通信ユニット616は、他の場所、同じ場所にある装置、又は同じシステム内の他のコンポーネントと通信してよい。例えば、通信ユニット616は、モデム、ネットワークカード(無線又は有線)、光通信装置、赤外線通信装置、無線通信装置(例えば、アンテナ)、及び/又はチップセット(例えば、Bluetooth(登録商標)装置、802.6装置(例えば、都市域ネットワーク(MAN))、WiFi装置、WiMax装置、セルら通信設備、等)、等を含んでよい。通信ユニット616は、ネットワーク及び/又は本開示に記載の任意の他の装置又はシステムとのデータ交換を可能にしてよい。
【0074】
ディスプレイ618は、LCD、LED、点字端末、又は他のタイプのディスプレイのような、1つ又は複数のディスプレイとして構成することができる。ディスプレイ618は、プロセッサ610によって指示されたビデオ、テキストキャプション、ユーザインタフェース、及び他のデータを提示するように構成することができる。
【0075】
ユーザインタフェースユニット620は、ユーザがシステム600とインタフェースすることを可能にする任意の装置を含むことができる。例えば、ユーザインタフェースユニット620は、他の装置の中で、マウス、トラックパッド、キーボード、ボタン、カメラ及び/又はタッチスクリーンを含むことができる。ユーザインタフェースユニット620は、ユーザから入力を受け取り、プロセッサ610に入力を提供することができる。幾つかの実施形態では、ユーザインタフェースユニット620とディスプレイ618を組み合わせることができる。
【0076】
本開示の範囲から逸脱することなく、システム600に対して修正、追加又は省略を行うことができる。例えば、幾つかの実施形態ではシステム600は、明示され又は記載されないことのある任意の数の他のコンポーネントを含んでよい。更に、特定の実装に応じて、システム600は、図示及び説明されているコンポーネントの1つ以上を含まないことができる。
【0077】
上述のように、本願明細書に記載の実施形態は、以下に更に詳細に議論されるように、種々のコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む特定用途向け又は汎用コンピュータ(例えば、図6のプロセッサ610)の使用を含んでよい。更に、上述のように、本願明細書に記載の実施形態は、格納されたコンピュータ実行可能命令又はデータ構造を有するコンピュータ可読媒体(例えば、図6のメモリ612)を用いて実装されてよい。
【0078】
一般的な慣行に従って、図面に示される様々な特徴は、縮尺通り描画されないことがある。本開示に示される図は、特定の機器(例えば、装置、システム等)又は方法の実際の図であることを意図したものではなく、開示の様々な実施形態を説明するために使用される単なる理想化された表現である。従って、様々な特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小することができる。更に、図面の一部は、明確にするために簡略化することができる。従って、図面は、所与の機器(例えば、装置)のすべての構成要素又は特定の方法のすべての操作を示していない場合がある。
【0079】
本明細書で及び特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の請求項本体)で使用される用語は、通常、「広義」の用語として意図される(例えば、用語「含む」は「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は「有するが、これに限定されない」と解釈されるべきである、等)。
【0080】
さらに、特定数の導入された請求項の列挙が意図される場合、このような意図は、請求項中に明示的に示され、このような列挙のない場合、このような意図は存在しない。例えば、理解の支援として、以下の添付の請求項は、請求項の列挙を導入するために、導入フレーズ「少なくとも1つ」及び「1つ以上」の使用を含み得る。しかしながら、このようなフレーズの使用は、同じ請求項が導入フレーズ「1つ以上」又は「少なくとも1つ」及び不定冠詞「a」又は「an」を含むときでも(例えば、「a」及び/又は「an」は「少なくとも1つ」又は「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の列挙の導入が、このような導入された請求項の列挙を含む任意の特定の請求項を、1つのこのような列挙のみを含む実施形態に限定することを意味すると考えられるべきではない。つまり、同じことが、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。
【0081】
さらに、特定数の導入された請求項の列挙が明示的に記載される場合、このような列挙が、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることが理解される(例えば、他の修飾のない「2つの列挙」の記載は、少なくとも2つの列挙、又は2以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、及びC等のうちの少なくとも1つ」又は「A、B、及びC等のうちの1つ以上」と同様の記載が使用される例では、通常、このような構成は、A単独で、B単独で、C単独で、A及びBを一緒に、A及びCを一緒に、B及びCを一緒に、又はA、B、及びCを一緒に、等を含むことを意図する。例えば、用語「及び/又は」の使用は、この方法で解釈されることが意図される。
【0082】
さらに、2以上の選択的な用語を表す任意の離接的な語又はフレーズは、説明、請求項、又は図面にあるかにかかわらず、用語のうちの1つ、用語のうちのいずれか、又は両方の用語を含む可能性を想定すると理解されるべきである。例えば、フレーズ「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるべきである。
【0083】
さらに、用語「第1」、「第2」、「第3」等の使用は、必ずしも本明細書で特定の順序又は要素の数を暗示するために使用されない。通常、用語「第1」、「第2」、「第3」等は、一般的識別子として異なる要素間を区別するために使用される。用語「第1」、「第2」、「第3」等が特定の順序を意味するという表示がない場合、これらの用語は特定の順序を意味すると理解されるべきではない。さらに、用語「第1」、「第2」、「第3」等が要素の特定の数を意味するという表示がない場合、これらの用語は要素の特定の数を意味すると理解されるべきではない。例えば、第1ウィジェットは第1側面を有するものとして記述することができ、第2ウィジェットは第2側面を有するものとして記述することができる。第2ウィジェットに関する「第2側面」という用語の使用は、第2ウィジェットのそのような側面を第1ウィジェットの「第1側面」から区別することであり、第2ウィジェットが2つの側面を有することを意味するものではない。
【0084】
本明細書に記載された全ての例及び条件付き言語は、読者が本発明及び本発明が技術を更に発展させることに貢献する概念を理解するのを支援する教示目的を意図しており、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないと解釈されるべきである。本開示の実施形態は詳細に記載されたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、これらに種々の変更、代替、及び選択が行われ得ることが理解されるべきである。
【0085】
以上の実施形態に加えて、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 方法であって、
光データ信号及び光ポンプ信号を取得するステップと、
光アイドラ信号が生成されるように、前記光ポンプ信号及び前記光データ信号を非線形光学媒体上に多重化するステップと、
前記光アイドラ信号のパワーが閾値を満たすように、前記光ポンプ信号のパワーを選択するステップと、
前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後、前記光データ信号を増幅するステップと、
を含む方法。
(付記2) 前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、を更に含む付記1に記載の方法。
(付記3) 前記光データ信号を増幅するステップは、前記光データ信号の波長用に構成されたエルビウムドープファイバ増幅器によって行われる、付記1に記載の方法。
(付記4) 前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後に、
第2光ポンプ信号を生成するステップと、
第2光アイドラ信号が生成されるように、前記第2光ポンプ信号と前記光データ信号を非線形第2光学媒体上に多重化するステップと、
を更に含む付記1に記載の方法。
(付記5) 前記第2光ポンプ信号と前記光ポンプ信号の波長が同じである、付記4に記載の方法。
(付記6) 前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化した後に、且つ前記第2光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、
前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、
を更に含む付記4に記載の方法。
(付記7) 前記閾値は、前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低い、付記1に記載の方法。
(付記8) 前記閾値が、前記光データ信号のパワーに基づく、付記1に記載の方法。
(付記9) 前記光ポンプ信号と前記光データ信号を前記光学媒体上に多重化した後に、且つ前記光データ信号を増幅する前に、
前記光アイドラ信号の波長をフィルタリングするステップ、
を更に含む付記1に記載の方法。
(付記10) 前記光ポンプ信号と前記光データ信号を多重化する前に、前記光アイドラ信号の前記波長をフィルタリングするステップ、を更に含む付記9に記載の方法。
(付記11) 光学装置であって、
非線形光学媒体と、
光学カプラであって、前記光学媒体に結合され、光データ信号と光ポンプ信号とを前記光学媒体上に多重化して、光アイドラ信号が生成され、及び前記光ポンプ信号のパワーが前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低くなるように構成された光学カプラと、
前記光学媒体に結合され、前記光データ信号を増幅するように構成された増幅器と、
を含む光学装置。
(付記12) 前記光学カプラに結合され、前記光データ信号を前記光学カプラに提供し、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成されたフィルタ、を更に含む付記11に記載の光学装置。
(付記13) 前記光学媒体と前記増幅器との間に結合されたフィルタを更に含み、前記フィルタは、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成される、付記11に記載の光学装置。
(付記14) 前記光学カプラに結合され、前記光データ信号を前記光学カプラに提供し、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成された第2フィルタ、を更に含む付記13に記載の光学装置。
(付記15) 前記光学カプラに結合された光ポンプを更に含み、前記光ポンプは、前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低いパワーで前記光ポンプ信号を生成するように構成される、付記11に記載の光学装置。
(付記16) 前記光学媒体と前記増幅器との間に結合された非線形第2光学媒体と、
第2光学カプラであって、前記光学媒体と前記第2光学媒体との間に結合され、前記光データ信号と第2光ポンプ信号とを前記第2光学媒体上に多重化して、第2光アイドラ信号が生成され、前記第2光ポンプ信号のパワーが前記第2光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルより低くなるように構成された第2光学カプラと、
を更に含む付記11に記載の光学装置。
(付記17) 前記第2光ポンプ信号と前記光ポンプ信号の波長が同じである、付記16に記載の光学装置。
(付記18) 前記光学媒体と前記第2光学カプラとの間にあるフィルタを更に含み、前記フィルタは、前記光アイドラ信号の波長でフィルタリングするように構成される、付記16に記載の光学装置。
(付記19) 前記光アイドラ信号の光パラメトリック増幅をもたらすレベルは、前記光データ信号のパワーである、付記11に記載の光学装置。
(付記20) 前記増幅器は、前記光データ信号の波長用に構成されたエルビウムドープファイバ増幅器である、付記11に記載の光学装置。
【符号の説明】
【0086】
200 光利得システム
220a、220b 波長交換装置
210、212、214 帯域通過フィルタ
230 増幅装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6