(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074783
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】香料組成物
(51)【国際特許分類】
C11B 9/00 20060101AFI20240524BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240524BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 15/00 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240524BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C11B9/00 Z
C11B9/00 C
C11B9/00 S
C11B9/00 L
C11B9/00 B
C11D3/50
A61K8/34
A61K8/46
A61K8/35
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/92
A61Q15/00
A61Q13/00 101
A61Q19/10
A61Q5/02
A61Q5/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194065
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2022185399
(32)【優先日】2022-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000169466
【氏名又は名称】高砂香料工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】三原 尚
(72)【発明者】
【氏名】柏木 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】桑原 裕香理
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
4H059
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC061
4C083AC062
4C083AC072
4C083AC122
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4H003AB03
4H003AB19
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4H003FA26
4H059BA12
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4H059BB55
4H059BC10
4H059CA51
4H059DA09
4H059EA35
(57)【要約】
【課題】本発明は、ヘキサナールに由来する臭気を含む体臭、頭皮臭、浴室臭、介護臭の少なくともいずれか一つの悪臭に対し、幅広い香調で、強い香りでマスキングすることなく、感覚的に十分に不快さを低減する香料組成物に関する。
【解決手段】特定の香料成分の群から選ばれる少なくとも一種を含有する香料組成物、より好ましくは、該香料組成物に別の特定の香料成分から選ばれる少なくとも一種を組み合わせて含有する香料組成物を使用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記A群の香料成分から選ばれる少なくとも一種を含有する、悪臭の不快感の低減用である香料組成物。
A群:3-(メントキシ)プロパン-1,2-ジオール、3-メルカプト-2-メチル酪酸エチル、ジメチル-2-(1-フェニルエチル)シクロプロピルメタノール、5-シクロヘキサデセノン、2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル、イソプレゴール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-2-ブテン-1-オール、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール、2-アセチル-2,3,8,8-テトラメチルオクタリン、p-メンタ-1,5-ジエン、メチル(2-ペンチル-3-オキソ-シクロペンチル)アセテート、3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン(アルファ-イソメチルイオノン)、セダーリーフ油、ベルガモット油、カルダモン油、ダバナ油、ガイアックウッド油、ベチバー油
【請求項2】
前期悪臭が体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の香料組成物。
【請求項3】
前記悪臭がヘキサナールに由来する臭気である請求項1に記載の香料組成物。
【請求項4】
さらに下記B群の香料成分から選ばれる少なくとも一種を含有する、請求項1乃至3に記載の香料組成物。
B群:リモネン、リナロール、酢酸リナリル、ゲラニオール、シトロネラール、ベータ-ダマスコン、ガンマ-デカラクトン、酢酸プレニル、酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、3-メチル-2-(シス-2-ペンテニル)-2-シクロペンテン-1-オン、シトロネロール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、シス-2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、エチルアミルケトン、パラ-メンタ-1,8-ジエン-7-アール、(3-メチルブチルオキシ)酢酸-2-プロペニル、酢酸シス-3-ヘキセニル、2-フェニルプロパナール、シトロネラジャワ油、グレープフルーツ油、ナツメグ油、コリアンダー油、ガルバナム油
【請求項5】
A群の香料成分を0.000001~50質量%、及びB群の香料成分を0.0001~50質量%含有する、請求項4に記載の香料組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の香料組成物を0.01~100質量%含有する製品。
【請求項7】
体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭から選ばれる少なくとも一種の悪臭に対して、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の香料組成物を適用する悪臭の不快感低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭を抑制する香料成分を含む香料組成物に関する。また本発明は、該香料組成物を含む製品及び悪臭抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者の嗜好性の多様化や生活環境の多様化に応じて、身の回りの臭気・悪臭に対して敏感な人が増えている。生活空間における不快臭には、体臭(特許文献1)、頭皮臭(特許文献2)、浴室臭(特許文献3)、又は介護臭(特許文献4)などが知られており、いずれも原因物質としてヘキサナールが含まれている。ヘキサナールは鎖状脂肪族アルデヒドの一種で、大豆や草などの青臭さの原因物質として知られているが、食品以外の生活空間における臭いに対しても、その青臭さが存在することで不快感を増強している。
【0003】
ヘキサナールを含む悪臭の一つである浴室臭の消臭技術として特許文献3にはスペアミント油、ハッカ油、ペパーミント油、メントール、メントン、イソメントン、カルボンから選ばれる香料成分を含有する香料組成物が記載されているが、これらはいずれもハッカ様、ハーブ様の似た香調であり、また強い香りで悪臭をマスキングするものであった。
【0004】
また悪臭の選択的な消臭技術として、特定のにおい物質に応答する嗅覚受容体を探索し、その活性化を特定物質で抑制するアンタゴニズムメカニズムに基づく消臭方法の可能性が明らかになってきている。非特許文献1では大豆のオフフレーバーとして悪臭原因物質であるヘキサナールに応答する嗅覚受容体として、OR2W1が開示され、これらの嗅覚受容体の応答を抑制することによって、ヘキサナール臭を抑制できることが記載されている。この従来の手段では、ヘキサナールに応答する嗅覚受容体を、特定の匂い分子で阻害することで悪臭の認識を特異的に抑制すると言われている。
【0005】
しかしながら従来の技術では製品の香りの幅が限定されてしまう、強い香りによって悪臭をマスキングする、消臭効果が感覚的に不十分であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-263102号公報
【特許文献2】特開2011-184469号公報
【特許文献3】特開2007-014749号公報
【特許文献4】特開2017-165959号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】大豆たん白質研究、Vol.23、p159 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヘキサナールに由来する臭気の消臭を前提とした不快感を低減することのできる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行ったところ、特定の化合物および精油が、ヘキサナールに由来する臭気を含む体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭などに対して、強い香りでマスキングすることなく、幅広い香調で、感覚的に十分な不快感低減効果を有することを見出した。さらに驚くべきことに、別な特定の化合物および精油を併用することで、さらに優れた低減効果有することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下に示す香料組成物、該香料組成物を含有する製品及び悪臭抑制方法を提供するものである。
[1]下記A群の香料成分からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有する、悪臭の不快感低減用である香料組成物。
A群:3-(メントキシ)プロパン-1,2-ジオール(クールアクト10)、3-メルカプト-2-メチル酪酸エチル(グアバコア)、ジメチル-2-(1-フェニルエチル)シクロプロピルメタノール(パンプレフィックス)、5-シクロヘキサデセノン(アンブレトン)、(2,2,6-トリメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸エチル(テサロン)、イソプレゴール、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテニル)-2-ブテン-1-オール(ヒンジノール)、1-(2,2,6-トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン-3-オール(デキストランバー)、2-アセチル-2,3,8,8-テトラメチルオクタリン(オルビトン)、p-メンタ-1,5-ジエン(フェランドレン)、メチル(2-ペンチル-3-オキソ-シクロペンチル)アセテート(ヘディオン)、3-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2-シクロヘキセン-1-イル)-3-ブテン-2-オン(アルファ-イソメチルイオノン)、セダーリーフ油、ベルガモット油、カルダモン油、ダバナ油、ガイアックウッド油、ベチバー油
[2]前期悪臭が体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭から選ばれる少なくとも一種である前記[1]に記載の香料組成物。
[3]前記悪臭がヘキサナールに由来する臭気である前記[1]に記載の香料組成物。
[4]さらに下記B群の香料成分からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する、前記[1]乃至[3]に記載の香料組成物。
B群:リモネン、リナロール、酢酸リナリル、ゲラニオール、シトロネラール、ベータ-ダマスコン、ガンマ-デカラクトン、酢酸プレニル、酢酸イソアミル、酢酸ベンジル、3-メチル-2-(シス-2-ペンテニル)-2-シクロペンテン-1-オン、シトロネロール、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、イソ吉草酸エチル、シス-2-メチル-4-プロピル-1,3-オキサチアン、エチルアミルケトン、パラ-メンタ-1,8-ジエン-7-アール、(3-メチルブチルオキシ)酢酸-2-プロペニル、酢酸シス-3-ヘキセニル、2-フェニルプロパナール、シトロネラジャワ油、グレープフルーツ油、ナツメグ油、コリアンダー油、ガルバナム油
[5]A群の香料成分を0.000001~50質量%、及びB群の香料成分を0.0001~50質量%含有する、前記[4]に記載の香料組成物。
[6]前記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の香料組成物を0.01~100質量%含有する製品。
[7]体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭から選ばれる少なくとも一種の悪臭に対して、前記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の香料組成物を適用する悪臭の不快感低減方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、A群から選ばれる少なくとも一種を含有する香料組成物はヘキサナールに由来する臭気を含む体臭、頭皮臭、浴室臭、又は介護臭の少なくともいずれか一つの不快さを低減することができる。さらに、B群から選ばれる少なくとも一種を併用することで、A群のみを用いるよりも優れた不快さ低減効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の香料組成物は、有効成分として前記A群から少なくとも一種を含有し、更に好ましくはA群及びB群の2つの群からそれぞれ少なくとも一種以上を有効成分として含有する。
本発明の香料組成物におけるA群成分の配合量は、製品や香調により制限は無いが、閾値の低い化合物は0.000001%以上が好ましく、0.0001%~1%の範囲がより好ましく、0.0001%~0.01%であることがさらに好ましい。閾値がそれほど低くない化合物は0.1%以上が好ましく、0.1%~50%の範囲がより好ましく、0.1~20%であることがさらに好ましい。
【0013】
本発明の香料組成物におけるB群成分の配合量は、製品や香調により制限は無いが閾値の低い化合物は0.0001%以上が好ましく、0.001%~1%の範囲がより好ましく、0.001%~0.01%であることがさらに好ましい。閾値がそれほど低くない化合物は0.1%以上が好ましく、0.1%~50%の範囲よりが好ましく、0.1~20%であることがさらに好ましい。
【0014】
A群成分とB群成分を併用する場合は、A群成分が閾値の低い化合物の場合はA群:B群が0.0005:99.9995~50:50であることが好ましく、1:99~40:60であることがより好ましく、10:90~30:70であることがさらに好ましい。A群成分がそれほど閾値の低くない化合物の場合はA群:B群が1:99~99:1であることが好ましく、10:90~90:10であることがより好ましく、30:70~70:30であることがさらに好ましい。
【0015】
本発明の香料組成物に、下記で説明するような公知の香料あるいは慣用の添加剤を、本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内において配合することが可能である。
公知の香料の例として、例えば、α-ピネン、セドレンなどの炭化水素類;1-オクテン-3-オール、ノナノールなどの脂肪族飽和又は不飽和アルコール類;ミルセノール、テトラヒドロリナロールなどの飽和又は不飽和鎖状テルペンアルコール;α-ターピネオール、ボルニルメトキシシクロヘキサノールなどの環状テルペンアルコール;ファルネソール等のセスキテルペンアルコール;γ-フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビノール等の芳香族アルコール;脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド、脂肪族ケトン;テルペン系環状ケトン、環状ケトン、脂肪族エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、安息香酸エステル、フェニル酢酸エステル、サリチル酸エステル、アンスラニル酸エステル等が挙げられる。これら公知の香料の本香料組成物における配合量は、配合する香料の種類や目的等によって適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
本発明の香料組成物は、その形態や剤型に応じて、慣用の添加剤と共に香粧品等へ配合することができる。
慣用の添加剤としては、例えば、公知の紫外線吸収剤;メントールやメチルサリチレート等の清涼剤;トウガラシチンキ、ノニルバニリルアミド等の温感剤等を挙げることができる。これら慣用の添加剤の配合量は特に限定されるものではないが、本発明の香料組成物全体に対して、概ね0.005~5.0重量%の範囲である。
また、本発明の香料組成物を含む製品としては、フレグランス製品、香粧品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、衣料用洗剤、衣料用柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、雑貨、などが挙げられる。例えば、フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、など;基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落とし、など;仕上げ化粧品としては、ファンデーション、口紅、リップクリーム、など;頭髪化粧品としては、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、など;日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品、など;薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料、などを挙げることができる。ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパック、など;石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、など;身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープ、など;浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド、等)、フォームバス(バブルバス、等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル、等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブ、などを挙げることができる。
洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸、など;柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアー、など;洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤、など;台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤、など;漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤、等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤、等)、光学的漂白剤、など;エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレー、など;消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプ、など;雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、などの種々の形態を挙げることができる。
本発明の香料組成物を、前記製品に使用する場合、このままの状態、或いはこれらを、例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解した液体状態;界面活性剤、例えば、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いて可溶化或いは分散化した可溶化状態或いは分散化状態;又はカプセル化剤で処理して得られるマイクロカプセル状態など;その目的に応じて任意の形状を選択して用いられている。
さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、上記香料組成物を安定化且つ徐放性にして用いることもある。これらは、最終製品の形態、例えば、液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などに適したもので適宜に選択して用いられる。
さらに、それ自体が着香剤ではないが、使用/適用条件下で、上記香料組成物を放出する能力を有したプロフレグランスとして用いられる。この場合の本香料組成物の配合量は特に限定されるものではないが、製品全体に対して、概ね0.001~20.0重量%の範囲である。
【実施例0016】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
【0017】
実施例1
<A群成分の悪臭抑制能の評価>
試験物質の悪臭抑制能を、官能評価によって確認した。悪臭としてジプロピレングリコールで100倍に希釈したヘキサナールを10μL滴下、及び試験物質を1μL滴下した綿球をプラスチックボトルに入れた。ボトルを1時間室温で静置し、匂い分子をボトル中に十分揮発させた。官能評価試験はパネル20名で行い、悪臭を単独で滴下した場合の匂いの強さを8とし、試験物質を混合した場合の悪臭の強さを0(悪臭を感じない)から10(非常に強く悪臭を感じる)として評価した。得られた数値より平均値を算出した。結果を表1に示す。
【0018】
A群の化合物とヘキサナールを同時に嗅いだとき、いずれの香料化合物もヘキサナールに由来する臭気の強度を著しく低減させた。
【0019】
【0020】
実施例2
<A群成分とB群成分の組み合わせによる悪臭抑制能の評価>
下記表2~8の処方に従い、香料1~60の香料組成物を調製した。表中のTECはクエン酸トリエチルを示す。B群成分は表9に示すように5つのグループに分け、それぞれBグループ1~Bグループ5とし、香料組成物へ添加した。なお、グループの分け方、グループ内の比率は任意であり、表9により何ら制限されるものではない。表2~8中のフローラルベースは表10に従い調製した。
これらの香料組成物について、悪臭抑制能を官能評価によって確認した。悪臭はヘキサナールをキー成分の一つとして含むモデル体臭およびモデル介護臭を表11および12に従い作製した。各モデル悪臭を10μL滴下、及び試験物質は香料1~60を1μL滴下した綿球をプラスチックボトルに入れた。ボトルを30分間室温で静置し、匂い分子をボトル中に十分揮発させた。官能評価試験はパネル20名で行い、悪臭を単独で滴下した場合の不快さを-3とし、試験物質を混合した場合の不快さを-4(極端に不快)から+4(極端に快)として評価した。得られた数値より平均値を算出した。結果を表2~8に示す。
【0021】
クールアクト10を含む香料組成物はモデル体臭の不快さを低減した。さらにBグループ1と併用することで、より優れたモデル体臭の抑制効果を示すことが明らかとなった。このモデル体臭の抑制は、対照物質(メントン、カルボン)を混合した場合に比べ、顕著であった。なお、他の物質(グアバコア0.1%TEC溶液、パンプレフィックス50%TEC溶液、アンブレトン、テサロン、イソプレゴール、ヒンジノール、デキストランバー、オルビトン、フェランドレン、へディオン、アルファ-イソメチルイオノン、セダーリーフ油、ベルガモット油、カルダモン油、ダバナ油、ガイアックウッド油、ベチバー油)についても悪臭の不快感低減効果を検証したところ、いずれの物質も各悪臭の不快さを低減し、さらにBグループ1と併用することで、さらなる抑制効果を有することが明らかとなった。
本検証のBグループ1をBグループ2に置き換えて同様の検証を実施した。その結果、Bグループ1を使用したときと同様、Bグループ2と併用することで、より優れたモデル体臭の不快さの低減効果を示すことが明らかとなった。
【0022】
Bグループ1をBグループ3、4、5に置き換えて同様の検証を実施したところ、Bグループ1を使用したときと同様、いずれもBグループと併用することで、より優れたモデル体臭の不快さの低減効果を示すことが明らかとなった。
【0023】
悪臭をモデル体臭からモデル介護臭に置き換えて同様の検証を実施した。その結果A群成分はモデル介護臭の不快さを低減し、Bグループ1~5との併用により、さらに優れたモデル介護臭の低減効果を示すことが明らかとなった。
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
実施例3
<ゲル芳香剤>
クールアクト10を1.0%、Bグループ1を1.5%含有するフローラル調香料組成物(表2中試験番号2)を香料組成物として、下記表13の処方に従い、ゲル芳香剤を常法により製造した。なお、クールアクト10をA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様にゲル芳香剤を常法により製造した。
【0036】
【0037】
実施例4
<ボディソープ>
アンブレトンを1.0%、Bグループ2を1.5%、フローラルベースを残部として含有するフローラル調香料組成物を香料組成物としてボディソープを常法により製造した。ボディソープ基剤の処方は表14のとおりである。なお、アンブレトンをA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様にボディソープを常法により製造した。
【0038】
【0039】
実施例5
<シャンプー>
テサロンを1.0%、Bグループ3を1.5%、フローラルベースを残部として含有するフローラル調香料組成物を香料組成物としてシャンプーを常法により製造した。シャンプー基剤の処方は表15のとおりである。なお、テサロンをA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様にシャンプーを常法により製造した。
【0040】
【0041】
実施例6
<コンディショナー>
イソプレゴールを1.0%、Bグループ4を1.5%、フローラルベースを残部として含有するフローラル調香料組成物を香料組成物としてコンディショナーを常法により製造した。コンディショナー基剤の処方は表16のとおりである。なお、イソプレゴールをA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様にコンディショナーを常法により製造した。
【0042】
【0043】
実施例7
<液体洗剤>
ヒンジノールを0.5%、Bグループ5を1.5%、フローラルベースを残部として含有するフローラル調香料組成物を香料組成物として液体洗剤を常法により製造した。液体洗剤基剤の処方は表17のとおりである。なお、ヒンジノールをA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様に液体洗剤を常法により製造した。
【0044】
【0045】
実施例8
<液体柔軟剤>
ベルガモット油を1.0%、Bグループ1を1.5%、フローラルベースを残部として含有するフローラル調香料組成物を香料組成物として液体柔軟剤を常法により製造した。液体柔軟剤基剤の処方は表18のとおりである。なお、ベルガモット油をA群のいずれかの化合物、BグループをB群のいずれかの化合物に置き換えた処方とした香料組成物でも同様に液体柔軟剤を常法により製造した。
【0046】