(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074814
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】デジタルインクジェット印刷ヘッドによって接着剤を塗布するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240524BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240524BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240524BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20240524BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240524BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240524BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/00
B05C11/10
B05D1/26 Z
B05D7/24 301P
B05D3/00 D
B05D3/00 F
B41J2/01 201
B41J2/01 451
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024041864
(22)【出願日】2024-03-18
(62)【分割の表示】P 2021163095の分割
【原出願日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】20382878.5
(32)【優先日】2020-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516277439
【氏名又は名称】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100158920
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 英樹
(72)【発明者】
【氏名】バルベラン ラトーレ, イエズス フランシスコ
(57)【要約】
【課題】少なくとも1つの第1の要素と少なくとも1つの第2の要素を接着するために、デジタルインクジェット印刷ヘッドによって接着剤を塗布するためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本発明のシステムは、デジタルインクジェット印刷ヘッド4に機能的に接続された処理装置を含み、異なる領域において異なる、接着される要素2、3の少なくとも一方の物理的特徴に関するデータセットを含む。処理装置は、接着される要素の少なくとも一方の表面に付着される接着剤の単位面積当たりの量又は種類が、接着される要素の少なくとも一方の表面での異なる領域において異なるようにして、物理的特徴に関するデータに従って、要素2、3間の良好な接着のための、両方の要素2、3間の領域における接着剤の単位面積当たりの量を設定し及び/又は接着剤の種類を選択する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1の要素(2)及び少なくとも1つの第2の要素(3)を接着するために、少なくとも1つのデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)を備えた、デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)により接着剤(1)を塗布するためのシステムであって、該システムは、前記デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)に機能的に接続された処理装置を含み、該処理装置は、接着される両方の前記要素(2、3)の物理的特徴に関するデータセットを含み、接着される少なくとも一方の前記要素(2、3)での異なる領域において前記物理的特徴が異なり、前記処理装置は、
-接着される少なくとも一方の前記要素(2、3)の表面に付着される前記接着剤(1)の単位面積当たりの量又は種類が、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面での異なる領域において異なるようにして、両方の前記要素(2、3)の前記物理的特徴に関するデータに従って、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面に付着される、前記要素(2、3)間の良好な接着のための、両方の前記要素(2、3)間の領域における前記接着剤(1)の単位面積当たりの量を設定し及び/又は前記接着剤(1)の種類を選択し、
-前記デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)を制御して、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面に、前記接着剤(1)の単位面積当たりの量及び/又は前記接着剤(1)の種類を放出する
ようにされていることを特徴とする、デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)により接着剤(1)を塗布するためのシステム。
【請求項2】
前記処理装置は、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面のデジタルパターンを含み、該デジタルパターンの異なる領域は、塗布される前記接着剤(1)の単位面積当たりの1つの量又は1つの種類に関連付けられることを特徴とする、請求項1に記載のデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)により接着剤(1)を塗布するためのシステム。
【請求項3】
前記システムは、前記処理装置に機能的に接続されて、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面のスキャンを行い、前記デジタルパターンを作成するためにスキャンデータを前記処理装置に送信するように構成されたスキャナ(5)を含むことを特徴とする、請求項2に記載のデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)により接着剤(1)を塗布するためのシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記処理装置に接続されたセンサーを含み、該センサーは、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の少なくとも1つの物理的特徴を測定し、測定値を前記処理装置に送信するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)によリ接着剤(1)を塗布するためのシステム。
【請求項5】
接着される両方の前記要素(2、3)の前記物理的特徴に関するデータは、その表面の粗さ、その表面の形態、及び/又は前記要素の材料の種類のデータの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載のデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)によリ接着剤(1)を塗布するためのシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの第1の要素(2)及び少なくとも1つの第2の要素(3)を接着するために、デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)により接着剤(1)を塗布するための方法であって、システムが少なくとも1つの前記デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)を備え、前記方法は、
-前記デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)に機能的に接続された処理装置によって、接着される両方の前記要素(2、3)の物理的特徴に関するデータを受信するステップと、ここで前記物理的特徴は、接着される少なくとも一方の前記要素(2、3)の異なる領域において異なり、
-接着される少なくとも一方の前記要素(2、3)の表面に付着される前記接着剤(1)の単位面積当たりの量又は種類が、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面での異なる領域において異なるようにして、前記処理装置によって、両方の前記要素(2、3)の前記物理的特徴に関するデータに従って、接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面に付着される、前記要素(2、3)間の良好な接着のための、両方の前記要素(2、3)間の領域における前記接着剤(1)の単位面積当たりの量を設定し及び/又は前記接着剤(1)の種類を選択するステップと、
-接着される前記要素(2、3)の少なくとも一方の表面に、少なくとも1つの前記デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)によって、前記処理装置から受け取った前記接着剤(1)の単位面積当たりの量及び/又は前記接着剤(1)の種類を出すステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、少なくとも2つの要素、例えばパネル又はプロファイル材及び薄片又はシートなどを一つに接着するために、デジタルインクジェットヘッドによって接着剤を塗布するためのシステム及び方法である。
【背景技術】
【0002】
接着剤又は粘着性物質は、2つの基材を接着及び取り付ける、例えばベース材料を被覆材料又は他の層に接着及び取り付ける機能を有する。
【0003】
接着剤は、接着している時は固体であるが、接着される表面において接着剤を塗布する、移動させる、伸ばすなどするために、また接着剤を接着される要素に塗布した場合でさえ、接着剤は、その要素の表面へ確実に広く行き渡らせるために、特定の流動性を有することが必要である。
【0004】
接着剤が液体に変わる方法に応じて、様々な種類の接着剤がある。
-液体に変えるために溶剤又は希釈剤が添加されたコールドグルー
-熱で溶けて液体になるホットグルー又はホットメルト接着剤
【0005】
物理的接着工程に関して、接着は異なる性質の材料の分子を結び付けることができる力として定義されることができる。一方で、凝集力は、同じ材料の分子間の引力を指すために使用される。良好な接着をもたらす適切な接着剤が選択された、2つの要素を接着するための用途では、原則として、接着される要素の表面の粗さ及び細孔によりその表面に存在するくぼみを埋めるのに適した接着層の厚さで、その接着の最大強度が得られる。
【0006】
上記の最小の厚さを超える接着剤層の厚さは、より低い抗力の接着を生じる。これは、接着剤の内部凝集力によるものである。通常は、接着する材料に使用される接着剤が良好な接着力を有する場合、この接着力は接着剤自体の内部凝集力よりも常に大きくなる。したがって、表面の粗さに合わせて調整された接着剤の量が、最も強力な接着をもたらす量である。
【0007】
現在、接着剤を塗布するための最も普及している方法は、次の通りである。
-ローラの使用、これは接着剤が添加ローラで添加された塗布ローラによって接着剤を塗布することからなる。
-塗布リップの使用、スロットを通して接着剤を添加することからなり、それを通る接着剤の速度を変えることによって、塗布される接着剤の量が変えられる。
【0008】
また、比較的少ないが、特定の種類の接着剤は、スプレーガン、スワールノズル、又は様々なスプレーシステムにより塗布される。
【0009】
ローラ又はリップによる塗布方法は接触法であるため、生産物が塗布される場所が汚染されていると、これらも汚染され、損傷され、擦り減る(例えば、摩耗によって)などという欠点がある。
【0010】
接触法であるため、塗布される表面が完全には調整されていないか、凹凸を有するか、又は複雑である場合、塗布が困難又は不可能にさえなるという欠点もある。
【0011】
更に、それ自体の組成が原因で一部が剥がれる可能性があるため、接触によって接着することができない接着材料もある。
【0012】
一般に、すべての従来の塗布方法には、単位面積当たりの重量、つまり単位面積当たりの塗布されることができる生産物の量が均一で、一定の許容範囲内であるという共通の特徴がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明のシステム及び方法は、これまで上述した従来の方法によって塗布されていた接着剤を、デジタルインクジェット技術のための印刷ヘッドを使用して塗布することからなる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のデジタルインクジェット印刷ヘッドによって接着剤を塗布するためのシステムは、少なくとも1つの第1の要素と少なくとも1つの第2の要素の接着に適用可能である。このシステムは、少なくとも1つのデジタルインクジェット印刷ヘッドを含む。それは更に、デジタルインクジェット印刷ヘッドに機能的に接続された処理装置を含む。そして、処理装置は、接着される要素の少なくとも一方の物理的特徴に関するデータセットを含み、その物理的特徴は、接着される少なくとも一方の要素の異なる領域において異なる。処理装置は次のように構成される。
-その物理的特徴に関するデータに従って、接着される要素の少なくとも一方の表面に付着される接着剤の単位面積当たりの量を設定し及び/又は種類を選択する。それにより、接着される少なくとも一方の要素の表面に付着される接着剤の単位面積当たりの量又は種類は、接着される要素の表面の異なる領域において異なる。
-デジタルインクジェット印刷ヘッドを制御して、接着される少なくとも一方の要素の表面に、上記接着剤の単位面積当たりの量及び/又は種類を放出する。
【0015】
上記によれば、本発明は、単位面積当たりに付着される接着インクの量又は接着剤の種類が、接着される要素の塗布面での異なる領域において異なるようにして付けられることを特徴とする。したがって、本発明は、接着される要素の物理的特徴に従って、制御された方法で、異なる接着剤の単位面積当たりの量を設定し又は種類を選択することを可能にする。
【0016】
上記によれば、本発明は、接着剤を表面の特定の領域に塗布することを可能にする。それにより、各領域での必要に応じて、表面に異なる量の接着剤を塗布することが可能であり、複雑な表面、曲面、例えば縁などの垂直又は傾斜した領域に、接着剤を正確に塗布することさえ可能である。
【0017】
したがって、本発明は、次のような接着される要素の物理的特徴に従って、接着剤を付着させることを可能にする。
-表面の質感、例えば木目、ひび、表面の欠陥の存在など。
-接着される要素の材料。表面の粗さ/多孔性に影響を与え、したがって接着剤の湿潤性及び接着性又はその硬化に影響を与える可能性がある。
-接着される要素の形状又は接着剤が塗布される表面の傾斜。例えば、パネルの側面又は縁及び前面への塗布。
【0018】
上記によれば、接着される要素の物理的特徴に関するデータは、その表面の粗さ、その表面の形態、及び/又はその要素の材料の種類のデータの少なくとも1つを含む。
【0019】
インク射出ヘッド、又はインクジェットヘッドは、上記の接着剤の物理的及び化学的特性に従って生産物を射出することを可能にする。最も代表的な特性のいくつかは、次の通りである。
-粘度
-粒子サイズ
-表面張力
-導電率
【0020】
インクジェットによる接着剤の塗布は、添加量を非常に低い範囲で、かつ非常に正確に行うことができるので非常に有利であるが、従来のシステムは、その低い添加量を達成することについて特定の限界がある。したがって、上述されたように、接着剤の不必要な消費を減らすことによる節約に加えて、より良好な接着がなされる。
【0021】
本発明の別の対象は、少なくとも1つの第1の要素と少なくとも1つの第2の要素を接着するために、デジタルインクジェット印刷ヘッドによって接着剤を塗布する方法である。上述したように、本発明のシステムは、少なくとも1つのデジタルインクジェット印刷ヘッドを含む。本発明の方法は、次のステップを含む。
-デジタルインクジェット印刷ヘッドに機能的に接続された処理装置によって、接着される要素の少なくとも一方の物理的特徴に関するデータを受信するステップ。ここでその物理的特徴は、接着される少なくとも一方の要素の異なる領域において異なる。
-処理装置において、接着される要素の少なくとも一方の表面の物理的特徴に関するデータに従って、その表面に付着される接着剤の単位面積当たりの量を設定し及び/又は接着剤の種類を選択するステップ。接着される少なくとも一方の要素の表面に付着される接着剤の単位面積当たりの量又は種類は、接着される要素の表面の異なる領域において異なるようにされる。
-接着される要素の少なくとも一方の表面に、少なくとも1つのデジタルインクジェット印刷ヘッドによって、処理装置から受け取った上記接着剤の単位面積当たりの量及び/又は上記接着剤の種類を出すステップ。
【0022】
本発明は、上記の射出ヘッドによって接着剤を提供し、とりわけ次の利点をもたらす。
-塗布ヘッドの解像度に従って、ピコリットルのオーダーでの正確な単位面積当たりの量を有する。
-微視的レベルでさえ、領域と必要性に従って単位面積当たりの量を調整する。
-接着される要素の厳密に必要な領域へ接着を適合する。
-領域に従い、異なる必要性に応じて、異なる種類の接着剤を塗布する。
-接触がないので、塗布システムは塗布面に一定の凹凸を許容する。
-接触した場合に困難又は不可能となる表面、例えば湾曲した、垂直の、傾斜した、でこぼこした表面など、又は接触した場合に粒子が剥離する表面での接着剤の塗布を可能にする。
-おむつ、生理用ナプキン、バンドエイド、絆創膏などの衛生用品の製造分野では、塗布ヘッドとの接触による汚染を防ぐ。
-塗布システムにより、密閉性の高い供給回路の作成が可能であり、それはシアノアクリレートからなる接着剤など、その高い反応性に拘らず、接着剤の塗布を可能にする。
【0023】
例示の実施形態では、処理装置は、接着される要素の少なくとも一方のデジタルパターンを含み、デジタルパターンの各領域は、塗布される接着剤の単位面積当たりの量又は種類に関連付けられる。
【0024】
別の例示の実施形態では、塗布システムは、接着される要素の1つの少なくとも一方の物理的特徴を測定し、その測定値を処理装置に送信するための、処理装置に接続されたセンサーを含む。
【0025】
本発明の適用分野は、パネルラミネート加工工程での、すなわち、平坦な表面への薄片接着及びプロファイル材被覆工程での、すなわち、薄片成形を伴う傾斜面への薄片接着での使用に対応するであろう。これらは、接着剤の使用による、通常は木材又は派生物、アルミニウム、PVCなどで作られたパネル及びプロファイル材の表面仕上げ工程に対応する。
【0026】
別の用途は、断熱材料の異なる複数の層の接着及び付着であり、これらは、材料として上述されたものとは異なる種類の要素を有することができる。
【0027】
本発明はまた、プラスチック、金属、木材、セルロースなどの各種材料の異なる部品のインデックス動作に適用して、例えば、ドアの形成、複合プロファイル材の形成、おむつ、生理用ナプキン、バンドエイド、絆創膏などの製造について、それらの異なる部品によって形成された優れた構造を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
説明を完全なものにし、本発明のより良い理解を提供することを目的として、図が提供される。その図は、説明の一体的部分を形成し、本発明の例示の実施形態を示す。
【
図1】ラミネート加工されたパネルの断面図を示す。
【
図2】接着される2つの要素、具体的には薄片及び基材に接着剤を塗布してラミネート加工又は被覆をする例示の実施形態の概略図を示す。
【
図3】接着される2つの要素のうちの一方、具体的には薄片に接着剤を塗布してラミネート加工又は被覆をする例示の実施形態の概略図を示す。
【
図4】接着される要素、具体的には薄片及び基材に水系又は溶媒系の接着剤を塗布してラミネート加工又は被覆をする例示の実施形態の概略図を示す。
【
図5】接着される要素うちの一方、具体的には基材に水系又は溶媒系の接着剤を塗布してラミネート加工又は被覆をする例示の実施形態の概略図を示す。
【
図6】基材に接着剤を塗布してのシートごとのインデックス動作用途の例示の実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、接着剤(1)で接着された基材とシートの2つの要素(2、3)を含むラミネート加工されたパネルを示す。接着剤(1)では、両方の要素(2、3)の中間域に凝集領域が生成され、接着剤(1)の周りに基材及びシートとの接着領域が生成される。接着剤(1)の層が厚いほど、凝集領域が大きいため両方の要素(2、3)間の接着は劣る。
【0030】
ラミネート加工又は被覆で通常使用される、MDF、HDF、チップボードなどの材料のパネル又はプロファイル材では、製造工程(繊維配向など)により、実質的に大きな表面(例えば、上面又は底面)は小さな表面(例えば、縁)よりもはるかにでこぼこが少なくなる。したがって、通常は、その小さな表面への被覆を接着するために、大きな表面よりもより多くの量の接着剤を塗布しなければならない。
図1は、ラミネート加工されたパネルの詳細を示し、そこでは縁は、上面よりも大きな粗さを有し、縁はより多く接着剤(1)を必要とする。
【0031】
本発明の方法及びシステムにおいて、コイルから供給される連続した薄片、すなわち、材料の連続した薄片からなる第1の要素(2)、又は紙、PVC、HPL、CPLなどの異なる材料の不連続の薄片を使用することができる。それにより、使用される被覆デザインに従って、第2の要素(3)、例えばパネル又はプロファイル材を、任意の所望の外観にすることができる。
【0032】
図2から6は、本発明の異なる適用例を示し、そこでは接着剤(1)は、処理装置に機能的に接続されたデジタルインクジェット印刷ヘッド(4)によって、接着される要素(2、3)の一方又は両方に塗布されることができる。塗布及びその後の硬化又は乾燥の後、一方の要素(2)が他方の要素(3)に貼り付けられ、連続した被覆方法又はラミネート加工の方法で、圧力を加えることにより接着がなされる。
【0033】
図2の適用例では、接着剤(1)は、デジタルインクジェット印刷によって、接着される2つの要素(2、3)、具体的には連続した薄片と基材に塗布される。連続した薄片は、供給コイル(10)から供給され、圧力ローラ(30)によって基材表面にそれが貼り付けられるまで、ガイドローラ(20)によってガイドされる。接着剤(1)は、連続した薄片と基材の両方に塗布された後に硬化する。接着剤(1)は、例えば、電磁放射(40)、UV、IR、又は電子ランプによって硬化される。
【0034】
図3の適用例では、
図2に示された適用例とは異なり、接着剤(1)は、デジタルインクジェット印刷によって、接着される2つの要素(2、3)の一方のみに塗布され、この場合には、例えば、具体的には連続した薄片に塗布される。
【0035】
図4の適用例では、
図2又は3に示される例示の実施形態とは異なり、水系又は溶剤系の低温接着剤(1)が、デジタルインクジェット印刷によって、接着される2つの要素(2、3)、具体的には連続した薄片と基材に塗布される。接着剤(1)は、連続した薄片と基材の両方に塗布された後に、乾燥により固定される。接着剤(1)は、水又は溶剤の蒸発によって、例えば熱風又は加熱ランプ(例えばIRなどによる)などの加熱手段を備えた加熱室(50)を通過することによって乾燥される。
【0036】
図5の適用例では、
図4に示される例示の実施形態とは異なり、水系又は溶剤系の低温接着剤(1)が、接着される要素(2、3)の一方に塗布され、この場合には、例えば、具体的には基材に塗布される。
【0037】
図6の適用例では、
図1から5に示される例示の実施形態とは異なり、不連続の薄片が使用される。薄片は、薄片のスタック(60)から、加圧ローラ(30)によって基材に貼り付けられるまで、シートごとに供給される。
【0038】
例示の実施形態では、処理装置は、接着される要素(2、3)の少なくとも一方の表面のデジタルパターンを含む。デジタルパターンの異なる領域は、塗布される接着剤(1)の単位面積当たりの1つの量又は1つの種類に関連付けられる。
【0039】
接着剤の単位面積当たりの量又は接着剤の可変量は、接着される要素(2、3)の装飾デザイン合わせることができる。すなわち、装飾デザインに対応させることができる。
【0040】
例えば、本発明のシステムは、処理装置に機能的に接続されて、接着される要素(2、3)の少なくとも一方の表面のスキャンを行い、デジタルパターンを作成するためにそのスキャンデータを処理装置に送信するように構成されたスキャナ(5)を含む。
【0041】
シート又は被覆の特定の用途では、いわゆるエンボス加工した薄片、2次元の薄片又は質感のある手触りの薄片を使用する。この場合、従来のリップ又はローラで接着剤(1)を塗布するのは煩雑で非効率的である。その塗布の複雑さは、これらの薄片がデザイン側に構造を有し、一方で接着剤(1)の塗布側にも「見える」側の反対の構造があり、それは完全な平坦ではないという点にある。
【0042】
したがって、それらを接着できるようにするために、通常行われることは、表面全体に接着剤を塗布し、くぼみ領域を接着剤で満たすために、塗布リップ又はローラを過度に押し付けることである。したがって、接着剤の消費量が多くなる。
【0043】
本発明により、薄片のデザインがスキャンされるか又はデジタルパターンがデジタルファイルで提供されて、デジタルスキャン/ファイルを処理することにより、デジタルインクジェット印刷ヘッド(4)が各地点に必要な量の接着剤(1)を射出する。
【0044】
別の例示の実施形態では、生産ラインにおいて塗布システムが接着される要素(2、3)の特徴を測定するセンサーを含み、異なる領域に塗布される接着剤の量を設定するので、接着剤(1)の塗布は動的に行われることができる。物理的特徴の少なくとも1つのその測定値は、処理装置に送られる。
【符号の説明】
【0045】
1 接着剤
2 接着される要素
3 接着される要素
4 デジタルインクジェット印刷ヘッド
5 スキャナ
10 供給コイル
20 ガイドローラ
30 圧力ローラ
40 電磁放射
50 加熱室
60 薄片のスタック