(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074820
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】新規な重水素置換ピリミジン誘導体及びこれを含む薬剤学的組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/12 20060101AFI20240524BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240524BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240524BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240524BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240524BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240524BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240524BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240524BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C07D401/12 CSP
A61K31/506
A61P35/00
A61K9/08
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K9/10
A61P43/00 111
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024045064
(22)【出願日】2024-03-21
(62)【分割の表示】P 2022536831の分割
【原出願日】2020-12-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0167769
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520200126
【氏名又は名称】オンコビクス・カンパニー・リミテッド
【住所又は居所原語表記】B121,UTOWER,120,Heungdeokjungang-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 16950,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スン-ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンホ・イ
(72)【発明者】
【氏名】レンガサミー・ラジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒュブ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ユン・ジョン・コン
(57)【要約】
【課題】肺癌治療に優れる効果を持つ新規な重水素置換ピリミジン誘導体、及びそれを含む薬剤学的組成物を提供すること。
【解決手段】化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩、並びに有効成分として当該化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩及び薬剤学的に許容可能な担体を含む、肺癌治療用薬剤学的組成物により、上記課題を解決する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩:
【化1】
前記式において、
XはC1‐C4のアルキルスルホニル基であり、
Y
2及びY
3は、それぞれ独立に、重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキル基であり、
Y
1は、1個以上の重水素で置換されたC1‐C4のアルキル基である。
【請求項2】
前記重水素で置換されたC1‐C4のアルキル基は、メチル基であることを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩。
【請求項3】
前記化学式1の化合物は下記化合物のいずれか一つであることを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩:
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物2);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物4);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物5);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物7)。
【請求項4】
前記塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸及びトルエンスルホン酸からなる群から選択される1種以上の酸によって誘導された塩であることを特徴とする、請求項1に記載の化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩。
【請求項5】
有効成分として請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩及び薬剤学的に許容可能な担体を含む、肺癌治療用薬剤学的組成物。
【請求項6】
前記薬剤学的に許容可能な担体は、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、乳化剤、及び懸濁剤からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の肺癌治療用薬剤学的組成物。
【請求項7】
前記薬剤学的に許容可能な担体は、水、食塩水、葡萄糖水溶液、類似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、界面活性剤、懸濁剤、及び乳化剤からなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の肺癌治療用薬剤学的組成物。
【請求項8】
前記肺癌は、ALK変異及び上皮細胞成長因子受容体変異(Epidermal Growth Factor Receptor(EGFR) mutation)発現肺癌であることを特徴とする、請求項7に記載の肺癌治療用薬剤学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な重水素置換ピリミジン誘導体及びこれを含む薬剤学的組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
非小細胞肺がん(Non‐Small Cell Lung Cancer、NSCLC)は、最近世界的に癌関連疾患の有病率と死亡率が非常に高い疾病である。非小細胞肺がんは様々な要因があるが、主にチロシンキナーゼ(Tyrosine kinase)酵素、未分化リンパ腫キナーゼ(Anaplastic lymphoma kinase)遺伝子突然変異、過発現などによって発生され、これらを治療するための抗癌剤は、この酵素の活性抑制を標的として開発されている。
【0003】
韓国を含む東アジアで主に発生する非小細胞肺がんは、上皮細胞成長因子(EGFR)遺伝子変異を持つ場合が多いものとして知られているが、上皮細胞成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor;EGFR)のキナーゼ領域で活性変異(activating mutation)は一部非小細胞肺がん患者から発癌遺伝子として発見されていて、これを治療するための低分子上皮細胞成長因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害剤としてゲフィチニブ(Gefitnib)、エルロチニブ(Erlotinib)などが治療剤として使われている(Science 2004、304:1497‐500;及びNew England Journal of Medicine 2004、350:2129‐39)。EGFR活性変異が確認された非小細胞性肺がん患者に対して前記ゲフィチニブ(Gefitnib)、エルロチニブ(Erlotinib)を治療剤として使えば、大方の患者から1年以内に薬物に対する耐性が発現される(Clinical Cancer Research 2013;19:2240‐7)。このような耐性機序のうち、上皮細胞成長因子受容体のT790M変異の割合が最大60%程度で観察される。したがって、肺癌でT790M変異上皮細胞成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor;EGFR)を標的とする3世代EGFR阻害剤(3rd Generation EGFR inhibitor)が開発された。代表的な薬物としてオシメルチニブ(Osimertinib)レーザーチニブ(Lasertinib)などがあって、T790M変異を標的とし、相対的に低い毒性を示しているので、このような非小細胞肺がんの治療に臨床的に使われている(J Thorac Dis.2018 Jul;10(7):3909‐3921)。しかし、前記3世代EGFR阻害剤の薬物耐性が必然的に報告されていて、主な耐性機序としてC797S変異(mutation)、MET増幅(amplification)などが報告された(J Hematol Oncol.2016、Jul 22;9(1):59;及びNature Medicine 2015、21、560‐562;及びLung Cancer 2018、118、105‐110;及びASCO2017 abstract 2572、9020)。C797S変異及びMET増幅は別に発見されることもあるが、同時に発見される場合もあると報告された。
【0004】
非小細胞肺がん患者の一部においてALK(Anaplastic Lymphoma Kinase)遺伝子異常(EML4‐ALK transfusion)が観察され、多様なチロシンキナーゼ阻害剤(Tyrosine kinase inhibitors、TKIs)などがこのような癌を治療するために臨床的に使われている。ALK‐陽性非小細胞肺がんは、ALK、EML4遺伝子融合によって発生し、2つの遺伝子の融合によって普段潜在されていたALK遺伝子が細胞の成長速度を急速化させながら、この信号を受けた細胞が速く癌細胞に転移される。代表的な治療薬物としてクリゾチニブ(Crizotinib)は2011年米国FDAで多標的(Multi‐Targeted)坑癌治療剤として承認された。この薬物は、MET、ALK、ROS1などに活性抑制を通じて転移性、ALK陽性非小細胞肺がんなどの治療に使われている。クリゾチニブの臨床研究結果を見ると、主に腺癌組職形態の肺癌患者が参加し、46%がアジアンであった。腫瘍反応率約65%、無所行生存期間7.7ヶ月(坑癌化学療法群3ヶ月)など、とても優れる効能を示し、最も頻繁に報告された異常反応は、視野以上、下痢、嘔吐、むくみ、吐き気などであった(J Thorac Oncol 2012;7(7):1086‐90.)。クリゾチニブを使用すると、必然的に耐性が発生するが、主にALKキナーゼドメインでの2次変異発生(約30%)とALK融合変異遺伝子増幅及び遠回り信号伝達過程における活性化などが報告されている。とても多様な変異が存在するが、この中でL1196M、G1269Aを含む2次変異と最も頻繁なゲートキーパー(Gate‐Keeper)残基に位置してクリゾチニブとALK結合の邪魔を誘導するL1196Mなどがある(J Clin Oncol 2013;31(8):1105‐11.)。
【0005】
ALK変異あるいはEGFR変異(または同時)によって引き起こされる非小細胞肺がんは、いずれもキナーゼ‐薬物の結合力を阻害する2次変異が主な耐性機序によって、このような変異は細胞内での下位信号伝達に影響を及ぼすと報告されている(Eur Med Chem.2017 Aug 18;136:497‐510.)。多様なALKとEGFR阻害剤の開発が持続的に行われているにもかかわらず、2種のキナーゼを一緒に阻害する阻害剤開発は、とても遅く進められている状況である。したがって、前記記述された主要薬物耐性機序であるALK変異またはEGFR変異癌細胞の成長を効果的に抑制する薬物の開発が要求されている。
この他に、前記非小細胞肺がんは多様な腫瘍遺伝子の発現、再配列などによって発生し、KRAS、ROS1、RETなどがこれに当たる(Lancet Oncol2011;12(2):175‐80.)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】PCT特許公開公報 WO/2009/143389A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らはALK変異、EGFR変異癌を効果的に抑制する新規化合物を開発するために努力した。その結果、新規な重水素置換ピリミジン誘導体が肺癌治療に優れる効果を発現することを確認した。
【0008】
したがって、本発明はまた、肺癌治療に優れる効果を持つ新規な重水素置換ピリミジン誘導体、及びそれを含む薬剤学的組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は肺癌の中でもALK変異またはEGFR変異発現肺癌治療に優れる効果を持つ新規な重水素置換ピリミジン誘導体、及びそれを含む薬剤学的組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は、
下記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩:
【化1】
前記式において、
Xは重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキルスルホニル基または重水素で置換または非置換されたC1‐C4のジアルキルホスホリル基で、
Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立に、重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキル基であり、
前記化学式1の化合物は1個以上の重水素を含む。
【0011】
また、本発明は、
有効成分として前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩及び薬剤学的に許容可能な担体を含む肺癌治療用薬剤学的組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、
肺癌治療用で使われる前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩を提供する。
【0013】
また、本発明は、
前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩を有効量で動物に投与することを含む肺癌を持つ動物の治療方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の新規な重水素置換ピリミジン誘導体及びこれを含む薬剤学的組成物は肺癌治療に優れる効果を提供する。
【0015】
また、前記重水素置換ピリミジン誘導体及びこれを含む薬剤学的組成物は、特に、ALK変異、EGFR変異癌細胞の成長を効果的に抑制する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施例1及び2で得た化合物に対するラット(rat)での薬物動態学要素を測定した結果を示す。
【
図2】本発明の実施例1及び2で得た化合物に対するラット(rat)での薬物動態学要素を測定した結果を示す。
【
図3】本発明の実施例1及び2で得た化合物に対するラット(rat)での薬物動態学要素を測定した結果を示す。
【
図4】本発明の実施例1及び2で得た化合物に対するラット(rat)での薬物動態学要素を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について具現例を挙げて詳細に説明する。ただし、これは例示として提示するものであって、これによって本発明が制限されないし、本発明は後述する請求項の範疇によって定義されるだけである。また、本発明を実施するのに必要な構成と言っても通常の技術者が公知の技術から容易に実施できる構成については具体的な説明を省略する。
【0018】
以下、別途説明がない限り、用語「本発明の化合物」または「化学式1の化合物」は、化合物自体及びこの薬剤学的に許容可能な塩を全て含む概念で使われる。
【0019】
本明細書において、用語「アルキル基」は明示された数の炭素原子を持つ直鎖及び分岐型炭化水素基を意味する。前記アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、s‐ブチル、i‐ブチル、t‐ブチルなどである。
【0020】
本明細書において、用語「アルキルスルホニル」は、アルキル‐S(O2)‐を意味する。ここで、アルキルは前記で定義されている。
【0021】
本発明は下記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩に関する:
【化2】
前記式において、
Xは重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキルスルホニル基または重水素で置換または非置換されたC1‐C4のジアルキルホスホリル基で、
Y
1、Y
2及びY
3は、それぞれ独立に、重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキル基であり、
前記化学式1の化合物は1個以上の重水素を含む。
【0022】
前記化学式1の化合物において、前記Y1、Y2及びY3のいずれか一つ以上は重水素で置換されたC1‐C4のアルキル基である。
【0023】
前記化学式1の化合物から前記重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキル基でアルキル基はメチル基であることが好ましい。
【0024】
前記化学式1の化合物で前記Xは重水素で置換または非置換されたC1‐C4のアルキルスルホニル基である。
【0025】
前記化学式1の化合物は下記化合物の中でいずれか1つであることが好ましい。
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(化合物1);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物2);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(化合物3);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物4);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物5);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(化合物6);
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物7)。
【0026】
本発明の化学式1に含まれる前記重水素(Deuterium)は水素の同位元素の一つで、水素原子内に陽性子一つと中性子一つを含んでいて、一般の水素に比べて質量が2倍である原子核を持つ。重水素は慣行的にDで表し、安定的で崩壊せず、自然界で極少量が存在する元素である。主に水を電気分解して濃縮する方法で製造し、軽水が電極と先に反応して分解され、次に重水が相対的に遅い速度で電極と反応して電気分解される反応速度差を利用して得る。重い元素の場合、中性子数字による質量の影響を受けないので、同位元素間化学的性質の差が大きくない。しかし、質量が小さい水素のような場合、中性子数字変化による質量変化は反応性や拡散速度など、化学的、物理的性質にとても敏感な影響を及ぼす。これを同位元素効果(Isotope effect)といい、水素と重水素で目立って表れると知られている。
【0027】
本発明はこのような重水素の特性を活用して化学式1の化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩の坑癌活性を改善させたことを特徴とする。
【0028】
本発明による化学式1で表される化合物の塩は、無機酸または有機酸に誘導された塩の形態であり、この場合、好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはトルエンスルホン酸などを挙げることができる。
【0029】
また、本発明は、
有効成分として前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩及び薬剤学的に許容可能な担体を含む肺癌治療用薬剤学的組成物に関する。
【0030】
前記薬剤学的組成物は、特に、ALK変異、上皮細胞成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor、EGFR)変異肺癌治療に効果的に使われることができる。
【0031】
本発明の薬剤学的組成物は非小細胞肺がんと小細胞肺癌に全て使われることができる。
【0032】
本発明による化学式1で表される化合物は、無機酸または有機酸に誘導された薬剤学的に許容可能な塩の形態で使われることができるし、この場合、好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パルミチン酸、マレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはトルエンスルホン酸などから誘導された塩を挙げることができる。
【0033】
本発明の薬剤学的組成物は通常の方法によって製剤化されることができるし、錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤、シロップ、エマルジョン、マイクロエマルジョンなどの多様な経口投与の形態で、または静脈内注入、皮下注入、筋肉注入、腹腔注入、経皮注入、組職に直接注入する方法のような非経口投与の形態で製造されることができる。
【0034】
本発明の薬剤学的組成物が経口剤形の形態で製造される場合、薬剤学的に許容可能な担体(carrier)としては、有効成分の活性発現に邪魔にならない限り、この分野で公知の成分が制限されずに使われることができる。
【0035】
前記担体としては、例えば、賦形剤、希釈剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、乳化剤、懸濁剤などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0036】
本発明の薬剤学的組成物が注射剤の形態で製造される場合、薬剤学的に許容可能な担体(carrier)としては、有効成分の活性発現に邪魔にならない限り、この分野で公知の成分が制限されずに使われることができる。
【0037】
具体的に、例えば、水、食塩水、葡萄糖水溶液、類似糖水溶液、アルコール、グリコール、エーテル(例:ポリエチレングリコール400)、オイル、脂肪酸、脂肪酸エステル、グリセリド、界面活性剤、懸濁剤、乳化剤などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
本発明の薬剤学的組成物の投与量は、患者の年齢、性別、状態、体内で活性成分の吸収率、不活性率及び併用される薬物を考慮して決めた方がよく、化学式1の化合物を基準にしたとき、1回あたり0.0001mg/kg(体重)ないし100mg/kg(体重)で注入することができる。前記投与回数は1日1回から3回ぐらいが適当である。
【0039】
また、本発明は、
肺癌治療用で使われる前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩に関する。
【0040】
また、前記化学式1で表される化合物またはこの薬剤学的に許容可能な塩を有効量で動物に投与することを含む肺癌を持つ動物の治療方法に関する。
【0041】
前記動物は人であり、前記肺癌はALK変異、EGFR変異癌細胞を持つ肺癌である。
【0042】
以下、実施例を通じて本発明をより詳しく説明する。これらの実施例は本発明をより具体的に説明するためのもので、本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは当業界で通常の知識を有する者にとって自明である。
【0043】
本発明の化学式1で表される化合物は、下記反応式に例示された方法によって製造されることができるが、これに限定されるものではない。
【化3】
【0044】
Step A‐1:N‐メチル‐N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミドの合成
【化4】
1‐フルオロ‐2‐ニトロベンゼン(1.0当量)をアセトニトリルに溶かし、ポタシウムカーボネート(2.0当量)とN‐メチルメタンスルホンアミド(1.4当量)を室温で添加する。そして、80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、室温に温度を下げてろ過する。ろ液を減圧蒸発させて化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0045】
Step A‐2:N‐(2‐アミノフェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミドの合成
【化5】
N‐メチル‐N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミド(1.0当量)をメタノール及びエチルアセテート混合溶液(1:1)に溶解して10%パラジウム/チャコール(0.2当量)を添加する。水素下で2時間撹拌する。反応終決後、セライトを使ってろ過する。ろ液を減圧下で蒸発させ、エチルエーテルとペンテインを使って固体化させる。以後、ろ過して目標化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0046】
Step A‐3:N‐(2‐((2,5‐ジクロロピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミドの合成
【化6】
N‐(2‐アミノフェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(1.0当量)をイソプロピル‐アルコールに溶解して2,4,5‐トリクロロピリミジン(1.1当量)とN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を室温で添加する。80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、減圧蒸発させ、水とジクロロメタンを使って抽出する。有機層を2N塩酸を使用して洗う。有機層を減圧蒸発させて目標化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0047】
Step A'‐1:N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミドの合成
【化7】
1‐フルオロ‐2‐ニトロベンゼン(1.0当量)をアセトニトリルに溶かしてポタシウムカーボネート(2.0当量)とメタンスルホンアミド(1.4当量)を室温で添加する。そして、80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、室温に温度を下げてろ過する。ろ液を減圧蒸発させて目標化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0048】
Step A'‐2:N‐(メチル‐d3)‐N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミドの合成
【化8】
N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミド(1.0当量)をN,N‐ジメチルホルムアミドに溶かしてポタシウムカーボネート(1.2当量)とヨードメタン‐d3(1.1当量)を室温で添加する。70℃で2時間撹拌した後、反応を終決させ、室温に温度を下げて水を添加する。生成された固体をろ過して充分水で洗浄し、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0049】
Step A'‐3:N‐(2‐アミノフェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミドの合成
【化9】
N‐メチル‐N‐(2‐ニトロフェニル)メタンスルホンアミド(1.0当量)をメタノール、エチルアセテート(1:1)に溶解し、10%パラジウム/チャコール(0.2当量)を添加する。水素下で2時間撹拌する。反応終決後、セライトを使ってろ過する。ろ液を減圧蒸発させる。エチルエーテルとペンテインを使って固体化させた後、ろ過して目標化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0050】
Step A'‐4:N‐(2‐((2,5‐ジクロロピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミドの合成
【化10】
N‐(2‐アミノフェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(1.0当量)をイソプロピル‐アルコールに溶解して2,4,5‐トリクロロピリミジン(1.1当量)とN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(2.5当量)を室温で添加する。80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、減圧蒸発させて、水とジクロロメタンを使って抽出する。有機層を2N塩酸を使って洗って、有機層を減圧蒸発させて目標化合物を得る。分離過程なしに次の反応に使用する。
【0051】
Step B‐1:1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)‐4‐メチルピペラジンの合成
【化11】
4‐フルオロ‐2‐メトキシ‐1‐ニトロベンゼン(1.0当量)をアセトニトリルに溶解してポタシウムカーボネート(2.5当量)とピペラジン中間体を(1.1当量)室温で添加する。還流して一晩中撹拌する。反応終決後、室温に温度を下げてろ過する。ろ液を減圧蒸発させて目標化合物を得て、分離過程なしに次の反応に使用する。
【0052】
Step B‐2:2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)アニリンの合成
【化12】
1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)‐4‐メチルピペラジン(1.0当量)をメチルアルコール及びジクロロメタン混合溶媒(1:1)に溶解させ、10%パラジウム/チャコール(0.2当量)を添加する。水素下で2時間撹拌する。反応終決後、セライトを使ってろ過し、ろ液を減圧蒸発させる。ヘキサンを使って固体化し、作られた固体を分離過程なしに次の反応に使用する。
【0053】
Step B'‐1:1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐オンの合成
【化13】
4‐フルオロ‐2‐メトキシ‐1‐ニトロベンゼン(1.0当量)をアセトニトリルに溶解する。室温でN,N‐ジイソプロピルエチルアミン(3.0当量)、4‐ピペリドンモノハイドレートハイドロクロリド(1.2当量)を添加する。80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、溶媒を減圧蒸発させて水とジクロロメタンで抽出する。有機層は集めて減圧蒸発させて目標化合物を得る。別の分離過程なしに次の反応に使用する。
【0054】
Step B'‐2:tert‐ブチル4‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)ピペラジン‐1‐カルボキシレートの合成
【化14】
1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐オン(1.0当量)をトルエンに溶解させ、室温でtert‐ブチルピペラジン‐1‐カルボキシレート(1.97当量)、トリエチルアミン(2.58当量)、酢酸(1.53当量)を添加する。室温で30分撹拌した後、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(0.83当量)を添加する。この過程をさらに2回繰り返す。添加完了後、室温で一晩中撹拌する。反応終決後、水とエチルアセテートで抽出して有機層を集める。有機層を減圧蒸発させて目標化合物を得る。分離過程なしに次の反応に使用する。
【0055】
Step B'‐3:1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)ピペラジンの合成
【化15】
tert‐ブチル4‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)ピペラジン‐1‐カルボキシレート(1.0当量)をトリフルオロ酢酸とジクロロメタン混合溶媒(1:1)に溶解して室温で撹拌する。反応終決後、減圧蒸発させる。2N ポタシウムヒドロキシド溶液とジクロロメタンで抽出して有機層を集める。有機層を減圧蒸発させて目標化合物を得る。分離過程なしに次の反応に使用する。
【0056】
Step B'‐4:1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)‐4‐(メチル‐d3)ピペラジンの合成
【化16】
1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)ピペラジン(1.0当量)をアセトニトリルに溶解し、トリエチルアミン(1.2当量)とヨードメタン‐d3(1.1当量)を0℃で添加する。同じ温度で撹拌する。反応終決後、水とエチルアセテートで抽出して有機層を集める。有機層を減圧蒸発させてカラムクロマトグラフィーを使って目標化合物を得る(10%メチルアルコール/ジクロロメタン)。
【0057】
Step B'‐5:2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)アニリンの合成
【化17】
1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)‐4‐(メチル‐d3)ピペラジン(1.0当量)をメチルアルコール及びエチルアセテート混合溶媒(1:1)に溶解し、10%パラジウム/チャコール(0.2当量)を添加する。水素下で2時間撹拌する。反応終決後、セライトを使ってろ過する。ろ液を減圧蒸発させる。ヘキサンを使って固体化し、作られた固体を分離過程なしに次の反応に使用する。
【0058】
Step B SM‐1:4‐フルオロ‐2‐(メトキシ‐d3)‐1‐ニトロベンゼン
【化18】
1‐(1‐(3‐メトキシ‐4‐ニトロフェニル)ピペリジン‐4‐イル)ピペラジン(1.0当量)をアセトニトリルに溶解し、ポタシウムカーボネート(2.0当量)とヨードメタン‐d3(1.3当量)を室温で添加する。60℃で2時間撹拌する。反応終決後、減圧蒸発させて水とエチルアセテートで抽出して有機層を集める。有機層を減圧蒸発させ、カラムクロマトグラフィーを使って目標化合物を得る(25%エチルアセテート/n‐ヘキサン)。
【0059】
Step C‐1:最終化合物の合成
ピリミジン誘導体(1.0当量)をイソプロピルアルコールに溶解し、アニリン誘導体(1.0当量)とメタンスルホニル酸(1.3当量)を室温で添加する。80℃で一晩中撹拌する。反応終決後、減圧蒸発させて溶媒を取り除いて、水と10%メタノール/ジクロロメタン混合液を使って抽出する。有機層を減圧蒸発させてカラムクロマトグラフィーを使って目標化合物を得る(10%メチルアルコール/ジクロロメタン)。
【0060】
実施例1:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(化合物1)
【化19】
Step A、Step B'、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0061】
Yield:22.5%、White solid、
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.23(m, 2H), 8.07-8.06(m, 2H), 7.54(dd, J=7.9, 1.6 Hz, 1H), 7.32(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.21(t, J=7.8 Hz, 1H), 7.12(td, J=7.6, 1.5 Hz, 1H), 6.57(d, J=2.5 Hz, 1H), 6.41(dd, J=8.7, 2.6 Hz, 1H), 3.71-3.66(m, 5H), 3.14(s, 3H), 3.06(s, 3H), 2.62(t, J=11.7 Hz, 3H), 2.52-2.43(m, 4H), 2.29-2.23(m, 5H), 1.85-1.79(m, 2H), 1.54-1.41(m, 2H). MS:ESI m/z 618.20 [M+H]+
【0062】
実施例2:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物2)
【化20】
Step A'、Step B、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0063】
Yield:25.5%、White solid、
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6) δ 8.24-8.22(m, 2H), 8.06(s, 2H), 7.54(dd, J=7.9, 1.6 Hz, 1H), 7.32(d, J=8.6 Hz, 1H), 7.21(t, J=7.7 Hz, 1H), 7.12(td, J=7.6, 1.5 Hz, 1H), 6.58(d, J=2.5 Hz, 1H), 6.41(dd, J=8.8, 2.6 Hz, 1H), 3.71-3.66(m, 5H), 3.06(s, 3H), 2.65-2.60(m, 2H), 2.53-2.43(m, 4H), 2.29-2.24(m, 5H), 2.10(s, 3H), 1.86-1.79(m, 2H), 1.53-1.43(m, 2H). MS:ESI m/z 618.20 [M+H]+
【0064】
実施例3:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐メチルメタンスルホンアミド(化合物3)
【化21】
Step A'、Step B SM、Step B、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0065】
Yield:40.3%、White solid、
1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ 8.23(m,2H)、8.07‐8.06(m,2H)、7.54(dd,J=7.9、1.6 Hz,1H)、7.32(d,J=8.6 Hz,1H)、7.21(t,J=7.8 Hz,1H)、7.12(td,J=7.6、1.5 Hz,1H)、6.57(d,J=2.5 Hz,1H)、6.41(dd,J=8.7、2.6 Hz,1H)、3.70‐3.66(m,2H)、3.14(s,3H)、3.06(s,3H)、2.62(t,J=11.7 Hz、3H)、2.52‐2.43(m,4H)、2.29‐2.23(m,5H)、2.10(s,3H)、1.85‐1.79(m,2H)、1.54‐1.41(m,2H)。MS:ESI m/z 618.20[M+H]+
【0066】
実施例4:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド
【化22】
Step A'、Step B'、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0067】
Yield:20.2%、White solid、1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ8.26‐8.23(m,2H)、8.08‐8.06(m,2H)、7.54(dd,J=7.9、1.6 Hz、1H)、7.32(d、J =8.6 Hz、1H)、7.21(t,J=7.7 Hz,1H)、7.12(td,J=7.6、1.5 Hz,1H)、6.58(d,J=2.5 Hz,1H)、6.41(dd,J=8.8、2.6 Hz,1H)、3.71‐3.66(m,5H)、3.06(s,3H)、2.66‐2.59(m,2H)、2.53‐2.43(m,4H)、2.37‐2.25(m,5H)、1.87‐1.80(m,2H)、1.52‐1.44(m,2H)。MS:ESI m/z 621.20[M+H]+
【0068】
実施例5:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド
【化23】
Step A'、Step B SM、Step B、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0069】
Yield:38.9%、White solid、
1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ 8.26‐8.23(m,2H)、8.08‐8.06(m,2H)、7.54(dd,J=7.9、1.6 Hz,1H)、7.32(d,J=8.6 Hz,1H)、7.21(t,J=7.7 Hz,1H)、7.12(td,J=7.6、1.5 Hz,1H)、6.58(d,J=2.5 Hz,1H)、6.41(dd,J=8.8、2.6 Hz,1H)、3.70‐3.66(m,2H)、3.06(s,3H)、2.66‐2.59(m,2H)、2.53‐2.43(m,4H)、2.37‐2.25(m,5H)、2.10(s,3H)、1.87‐1.80(m,2H)、1.52‐1.44(m,2H)。MS:ESI m/z 621.20[M+H]+
【0070】
実施例6:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド
【化24】
Step A、Step B SM、Step B'、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0071】
Yield:41.3%、White solid、
1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ 8.26‐8.23(m,2H)、8.08‐8.06(m,2H)、7.54(dd,J=7.9、1.6 Hz,1H)、7.32(d,J=8.6 Hz,1H)、7.21(t,J=7.7 Hz,1H)、7.12(td,J=7.6、1.5 Hz,1H)、6.58(d,J=2.5 Hz,1H)、6.41(dd,J=8.8、2.6 Hz,1H)、3.70‐3.66(m,2H)、3.14(s,3H)、3.06(s,3H)、2.66‐2.59(m,2H)、2.53‐2.43(m,4H)、2.37‐2.25(m,5H)、1.87‐1.80(m,2H)、1.52‐1.44(m,2H)。MS:ESI m/z 621.20[M+H]+
【0072】
実施例7:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐(メトキシ‐d3)‐4‐(4‐(4‐(メチル‐d3)ピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(化合物7)
【化25】
Step A'、Step B SM、Step B'、Step C方法を利用して前記化合物を合成した。
【0073】
Yield:38.1%、White solid、
1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ 8.26‐8.23(m,2H)、8.08‐8.06(m,2H)、7.54(dd,J=7.9、1.6 Hz,1H)、7.32(d,J=8.6 Hz,1H)、7.21(t,J=7.7 Hz,1H)、7.12(td,J=7.6、1.5 Hz,1H)、6.58(d,J=2.5 Hz,1H)、6.41(dd,J=8.8、2.6 Hz,1H)、3.70‐3.66(m,2H)、3.06(s,3H)、2.66‐2.59(m,2H)、2.53‐2.43(m,4H)、2.37‐2.25(m,5H)、1.87‐1.80(m,2H)、1.52‐1.44(m,2H)。MS:ESI m/z 624.30[M+H]+
【0074】
実施例8:N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミドメタンスルホネートの合成
【化26】
N‐(2‐((5‐クロロ‐2‐((2‐メトキシ‐4‐(4‐(4‐メチルピペラジン‐1‐イル)ピペリジン‐1‐イル)フェニル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)アミノ)フェニル)‐N‐(メチル‐d3)メタンスルホンアミド(実施例2製造化合物、24.0mg、0.039 mmol)をエタノール(1mL)に溶かし、メタンスルホン酸(3.8 mg、0.039 mmol)を室温で添加した。そして、固体が生成されるまで撹拌した。固体が生成されるとヘプタン(1mL)を添加して2時間撹拌した。撹拌完了後、ろ過してヘプタンで洗浄した。ろ過された固体を70℃で乾燥して目的化合物を合成した。
【0075】
Yield:97.4%;明るい灰色のパウダー;1H NMR(400MHz、DMSO‐d6)δ 8.35(s,1H)、8.20(m,2H)、8.08(s,1H)、7.56(dd,J=7.9、1.5 Hz,1H)、7.36(s,1H)、7.24(m,1H)、7.15(t,J=7.6 Hz,1H)、6.63(s,1H)、6.47(s,1H)、3.83‐3.65(m,5H)、3.10‐2.89(s,7H)、2.84‐2.63(s,6H)、2.31‐2.27(m,1H)、2.27(s,3H)、1.91(d,J=32.1Hz、2H)、1.58(s,2H)、1.31‐1.07(m,2H)。MS:ESI m/z 714.05 [M+H]+
【0076】
試験例1:癌細胞成長抑制効果測定
前記実施例1及び2で得られた化合物、実施例2化合物で重水素が水素に置換された化合物(水素置換基準物質)、及び対照薬物である3世代オシメルチニブ(Osimertinib)に対してC797Sが含まれた上皮細胞成長因子(EGFR)キナーゼ阻害活性を測定し、その結果を下記表1に示す。キナーゼ阻害活性測定方法は次のとおりであった。
1.各キナーゼを8mM MOPS pH 7.0、0.2mM EDTA、250μM KKKGQEEEYVFIE、1mM sodium orthovanadate、5mM sodium‐6‐glycerophosphate、10mM Magnesium acetate、[η‐
33P]‐ATP下で培養した。
2.評価化合物(DMSO溶液)及びMg/ATPを添加して反応を進めた。
3.室温で約40分後リン酸(Phosphoric acid)0.5%10uLを添加して反応を終決させた。
4.0.5%10uLで反応液を分けてP30 filtermatにspottingをした。
5.約4分間0.425% phosphoric acidで4回洗浄した。
6.メタノールで1回洗浄した後、乾燥してscintillation countingで分析し、IC
50値を測定した。
7.各化合物が細胞成長を50%抑制した濃度でGI
50値を算出し、その結果を下記表1にA、B、C及びDで示す。
<評価基準>
A:GI
50≦500nM、B:500nM<GI
50≦1,000nM、
C:GI
50>1,000nM
【表1】
【0077】
前記表1で示すように、本発明の実施例1及び2によって製造された化合物1及び2はC797S変異上皮細胞成長因子受容体発現癌細胞株に優れる活性を示した。一方、3世代抗癌剤であるオシメルチニブは活性が微弱であった。よって、このような実験結果から本発明の化合物が既存3世代薬物の耐性機序によって発生するC797S変異肺癌を治療できる新規ピリミジン誘導体であることを確認することができる。
【0078】
試験例2:薬物動態学評価
前記実施例1及び2で得た化合物及び重水素が水素に置換された実施例2化合物(水素置換基準物質)に対してratでの薬物動態試験を次のように実施した。
試験物質をWFI(water for injection)を使って2.5または5mg/mLで調剤した後、ratに単回投与で決まった用量で投与し(10mL/kg)、決まった時間に(0、0.25、0.5、1、2、4、6、8、10、24時間)採血した後、血漿を分離した。薬物の分析はHPLC(XBridge column C18、Waters、mobile phase 0.1% formic acid:acetonitrile(30:70、%/%))及びMS/MS(ESI positive、MRM)を利用して実施し、rat空血漿とそれぞれの常用標準溶液を9:1の割合で混合し、5、50、100、500、1,000及び5,000ng/mlの濃度で調剤及び検量した。また、QC試料の調剤はrat空血漿とQC用標準溶液を9:1の割合で混合し、100、750及び2,500ng/ml濃度で調剤した。前処理方法は血漿試料100μlを遠心分離用チューブに移し、内部標準溶液10μlとメタノール300μlを添加した後、約30秒間混合した。チューブを遠心分離機を利用して回転速度12,000rpm(4℃)で約5分間遠心分離し、上層液を取ってLCバイアルに移した後、機器に注入した。そして、予め検証された分析法を適用してrat血漿中の薬物濃度を定量した。薬物動態パラメーターはWinNonlin 5.2(Pharsight、USA)プログラムを使用し、Noncompartment modeling(best fit)でAUC0‐t、AUC0‐∞、Cmax、Tmax、t1/2を計算した。薬物動態パラメーター結果は平均(Mean)と標準偏差(SD)で表記し、SPSSプログラム(Statistical Package for the Social Sciences、10.0K、USA)を使用して統計処理した。
【0079】
前記実験結果は
図1ないし4に示す。前記
図1ないし4に示すように、実施例1及び実施例2の化合物は対照薬物である重水素が水素に置換された実施例2化合物(水素置換基準物質)と比べて同等またはそれ以上の絶対吸収率を示す。特に、実施例2化合物の場合、水素置換基準物質と比べて111.4%の向上された相手吸収率を示す。
【外国語明細書】