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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074831
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ヘッドホン
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/10 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
H04R1/10 104B
H04R1/10 104Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024048385
(22)【出願日】2024-03-25
(62)【分割の表示】P 2020085398の分割
【原出願日】2020-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】田久保 陽介
(57)【要約】
【課題】低域の音質を調整しつつ、音導管に外音を安定して導入可能なカナル型ヘッドホンを提供する。
【解決手段】本発明にかかるヘッドホンは、使用者の外耳道に装着されるカナル型のヘッドホンであって、ドライバユニットと、ハウジングと、音導管と、イヤピースと、を有してなる。ハウジングは、ドライバユニットが収容される第1室と、ハウジング内において、第1室から物理的に隔離される第2室と、第2室とハウジングの外部とを連通させ、ハウジングの外音を第2室内に導入する導入孔と、を備える。音導管は、第1室と連通する第1音導部と、第2室と連通する第2音導部と、第1音導部と第2音導部との間に配置される壁部と、第1音導部と第2音導部それぞれと連通する音響連結部と、を備える。音導管は、第1室と第2室それぞれと連通する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の外耳道に装着されるカナル型のヘッドホンであって、
電気信号に基づいて音波を生成するドライバユニットと、
前記ドライバユニットを収容するハウジングと、
前記ハウジングに突設され、前記ドライバユニットからの前記音波を前記外耳道に導く音導管と、
前記音導管に取り付けられ、前記外耳道の形状に適合するように変形可能なイヤピースと、
を有してなり、
前記ハウジングは、
前記ドライバユニットが収容される第1室と、
前記ハウジング内において、前記第1室から物理的に隔離される第2室と、
前記第2室と前記ハウジングの外部とを連通させ、前記ハウジングの外音を前記第2室内に導入する導入孔と、
を備えて、
前記音導管は、
前記第1室と連通する第1音導部と、
前記第2室と連通する第2音導部と、
前記第1音導部と前記第2音導部との間に配置される壁部と、
前記第1音導部と前記第2音導部それぞれと連通する音響連結部と、
を備えて、
前記音導管は、前記第1室と前記第2室それぞれと連通する、
ことを特徴とするヘッドホン。
【請求項2】
前記ドライバユニットは、
前記電気信号に基づいて振動する振動板、
を備えて、
前記ドライバユニットに対して前記音導管が配置される方向を前方としたとき、前記導入孔は、前後方向において、前記振動板よりも後方に配置される、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項3】
前記導入孔は、前記ドライバユニットよりも後方に配置される、
請求項2記載のヘッドホン。
【請求項4】
前記ハウジングは、
前記第1室と前記第2室とを隔離する隔離壁、
を備える、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項5】
前記隔離壁の一部は、前記ハウジングと別体である、
請求項4記載のヘッドホン。
【請求項6】
前記隔離壁は、前記音導管内に延出して、前記第1音導部と、前記第2音導部と、を前記音導管内に形成する、
請求項4記載のヘッドホン。
【請求項7】
前記導入孔の開口面積は、前記第2音導部の横断面積よりも大きい、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項8】
前記第2室の横断面積は、前記第2音導部の横断面積と前記導入孔の開口面積それぞれよりも大きい、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項9】
前記第2室の容積は、前記音導管の容積よりも大きい、
請求項8記載のヘッドホン。
【請求項10】
前記イヤピースが前記外耳道に装着されたとき、前記導入孔は、前記ハウジングの外部から視認可能な位置に配置される、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項11】
前記イヤピースが前記外耳道に装着されたとき、前記導入孔は、前記使用者の耳甲介腔よりも外側に配置される、
請求項10記載のヘッドホン。
【請求項12】
前記音響連結部は、前記第1音導部と前記第2音導部それぞれに連通する空間である、
請求項1記載のヘッドホン。
【請求項13】
前記音響連結部は、前記イヤピースに隣接して配置される、
請求項1記載のヘッドホン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドホンに関する。
【背景技術】
【0002】
カナル型ヘッドホン(イヤホン)は、外耳道に挿入されるイヤピースを備える。イヤピースは、外耳道の形状に適合して変形することで、外耳道の内面に密着して、外耳道を密閉する。そのため、カナル型ヘッドホンは、耳から離れ難い、遮音性が高い、音漏れが少ない、低域の音質(周波数特性)が良い、などの利点を有する。その結果、カナル型ヘッドホンは、外出時に広く使用されている。
【0003】
また、近年、Bluetooth(登録商標)を利用して楽音再生機と接続される無線式のカナル型ヘッドホンが普及したことで、カナル型ヘッドホンは、ウォーキングやジョギング(ランニング)、トレーニングなどの運動中にも使用されている。
【0004】
しかしながら、カナル型ヘッドホンの高い遮音性により、カナル型ヘッドホンの使用者は、外音(例えば、自動車や自転車の走行音などのヘッドホンの外部の環境音)を聴取し難く、自動車や自転車の接近に気付き難い。そのため、外音を導入する(外音を使用者の鼓膜に導入する)機能を備えるカナル型ヘッドホンが求められている。
【0005】
例えば、外音を収音するマイクロホンと、マイクロホンからの信号を処理する回路と、が搭載されるカナル型ヘッドホンは、外音を導入する機能を備え得る。しかしながら、この構成は、ハウリングの発生や、ハウジングの大型化、コストの増加などの問題を生じさせる。
【0006】
また、例えば、カナル型ヘッドホンのドライバユニットからイヤピースまでの音波の経路に外音を導入する孔が設けられることにより、カナル型ヘッドホンは、外音を導入する機能を備え得る。しかしながら、ドライバユニットからの音波の回折角は、音波の周波数が低くなる(音波の波長が長くなる)に連れて、大きくなる。そのため、この構成では、ドライバユニットからの音波は、外耳道に向かう前に孔を介して外部に放出される。その結果、低域(約1kHz以下)の音圧は、同周波数が低くなるに連れて、鼓膜に伝達され難くなる。すなわち、カナル型ヘッドホンの周波数特性において、低域の音圧レベルは、同周波数が低くなるに連れて低下する。つまり、前述の経路に外音を導入する孔が設けられると、カナル型ヘッドホンの低域の音質は、悪化する。このように、孔による外音の導入と低域の音質との間には、トレードオフの関係が成り立つ。
【0007】
これまでにも、音導管に外気に通じる通路を設け、通路内に配置された音響抵抗材の密度を変えることで低域の音質を調整可能な技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
特許文献1に開示された技術によれば、カナル型ヘッドホンは、外気に通じる通路を介して、外音を導入し得る。しかしながら、この構成では、外気に通じる開口(通気孔)が音導管に配置される。そのため、カナル型ヘッドホンが装着されたとき、通気孔は、耳甲介腔の奥深く(外耳道の近傍)に配置される。耳甲介腔はカナル型ヘッドホンのハウジングにより覆われるため、外音は、ハウジングと耳介(耳甲介腔)との間の隙間を通過しなければ通気孔に到達できない。また、人の耳の形状は様々であるため、通気孔は、外耳道や耳甲介腔により塞がれ得る。その結果、外音は、通気孔に到達するまでに減衰または遮断される。したがって、同技術では、音導管に外音が安定して導入されず、使用者の鼓膜に導かれる外音の音圧にばらつきが生じる。すなわち、使用者は、外音を明瞭に聴取できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6508687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管に外音を安定して導入可能なカナル型ヘッドホンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかるヘッドホンは、使用者の外耳道に装着されるカナル型のヘッドホンであって、電気信号に基づいて音波を生成するドライバユニットと、ドライバユニットを収容するハウジングと、ハウジングに突設され、ドライバユニットからの音波を外耳道に導く音導管と、音導管に取り付けられ、外耳道の形状に適合するように変形可能なイヤピースと、を有してなり、ハウジングは、ドライバユニットが収容される第1室と、ハウジング内において、第1室から物理的に隔離される第2室と、第2室とハウジングの外部とを連通させ、ハウジングの外音を第2室内に導入する導入孔と、を備えて、音導管は、第1室と連通する第1音導部と、第2室と連通する第2音導部と、第1音導部と第2音導部との間に配置される壁部と、第1音導部と第2音導部それぞれと連通する音響連結部と、を備えて、音導管は、第1室と第2室それぞれと連通する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、所望の低域の音質を有すると共に、音導管に外音を安定して導入できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかるヘッドホンの実施の形態を示す斜視図である。
図2図1のヘッドホンが備える第1放音ユニットのA矢視図である。
図3図2の第1放音ユニットのBB線における断面図である。
図4図3において、第1放音ユニットが備えるドライバユニットの図示を省略した状態の第1放音ユニットの断面図である。
図5図2の第1放音ユニットが使用者に装着された状態を使用者の正面方向から見た第1放音ユニットの斜視図である。
図6図5の状態の図2のBB線における断面図である。
図7図2の第1放音ユニットが備える第2室の容積を変更したときのヘッドホンの周波数特性を示すグラフである。
図8図2の第1放音ユニットが備える導入孔を外側からダンパで覆い、ダンパの密度を変更したときのヘッドホンの周波数特性を示すグラフである。
図9】本発明にかかるヘッドホンの別の実施の形態を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかるヘッドホン(イヤホン)の実施の形態について説明する。各図において、同一の部材と要素とには同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
●ヘッドホン●
●ヘッドホンの構成
図1は、本発明にかかるヘッドホンの実施の形態を示す斜視図である。
【0016】
ヘッドホン1は、ヘッドホン1の使用者U(図5参照。以下同じ。)の耳(外耳道)に装着されて、例えば、携帯型楽音再生機などの音源(不図示。以下同じ。)からの音声信号に応じた音波を出力する。ヘッドホン1は、第1放音ユニット10と第2放音ユニット20とを有してなる。ヘッドホン1は、無線通信回線を介して、音源と接続される。また、第1放音ユニット10と第2放音ユニット20とは、無線通信回線を介して接続される。すなわち、ヘッドホン1は、完全無線式のヘッドホンである。
【0017】
なお、ヘッドホンは、完全無線式のヘッドホンに限定されない。すなわち、例えば、ヘッドホンは、第1放音ユニットと第2放音ユニットとがケーブルで連結される無線式のヘッドホンでもよく、あるいは、ケーブルを介して音源と接続される有線式のヘッドホンでもよい。
【0018】
第1放音ユニット10は、使用者Uの右耳(の外耳道)に装着されて、音源からの音声信号に応じた音波を出力する。
【0019】
第2放音ユニット20は、使用者Uの左耳(の外耳道)に装着されて、音源からの音声信号に応じた音波を出力する。
【0020】
●第1放音ユニットの構成
図2は、図1の第1放音ユニット10のA矢視図である。
図3は、図2の第1放音ユニット10のBB線における断面図である。
図4は、図3において、ドライバユニット12の図示を省略した状態の第1放音ユニット10の断面図である。図3は、説明の便宜上、後述する振動板121を二点鎖線で示す。
【0021】
第1放音ユニット10は、ハウジング11と、ドライバユニット12と、音導管13と、イヤピース14と、回路基板15と、を備える。
【0022】
ハウジング11は、ドライバユニット12と回路基板15とを収容する。ハウジング11は、例えば、ABSなどの合成樹脂製である。ハウジング11は、本体部111と、突出部112と、隔離壁113と、第1室R1と、第2室R2と、第3室R3と、導入孔11hと、を備える。
【0023】
「ドライバユニット12を収容」は、ドライバユニット12の全体がハウジング11内に配置される状態と、ドライバユニット12の一部がハウジング11内に配置される状態と、を含む。
【0024】
本体部111は、中空の略卵状である。本体部111の一部は、第1放音ユニット10が使用者Uに装着された状態(以下「装着状態」という。)において、本体部111の他の一部から外耳道に向けて中空の略円錐台状に突出して、突出部112として構成される。
【0025】
以下の説明において、本体部111に対して突出部112が突出する方向(図3の紙面右方向)を「前方」とし、その反対の方向(図3の紙面左方)を「後方」とする。
【0026】
また、以下の説明において、「経路の横断面積」は、同経路の一方側の開口から他方側の開口に向けて同経路を最短距離で通過する空気の流れる方向に垂直な面で同経路を切断したときの、同経路の開口面積を意味する。
【0027】
隔離壁113は、ハウジング11内において、本体部111と突出部112との内側を、第1室R1と第2室R2とに物理的に隔離する。隔離壁113は、第1隔離壁113aと第2隔離壁113bとを備える。
【0028】
第1隔離壁113aは、前後方向に平行な板状である。第1隔離壁113aは、突出部112の内側に配置される。第1隔離壁113aは、突出部112と一体である。第1隔離壁113aは、前後方向において、導入孔11hよりも前方に配置される。
【0029】
第2隔離壁113bは、前後方向に沿う第1部分113b1と、導入孔11hの貫通方向に沿う第2部分113b2と、を有するL字板状である。第2隔離壁113bは、本体部111と突出部112それぞれの内側に配置される。第2隔離壁113bは、本体部111と突出部112それぞれと別体である。第2隔離壁113bは、第1部分113b1が第1隔離壁113aと連続するように、本体部111と突出部112それぞれの内面に溶着される。
【0030】
第1室R1は、ドライバユニット12を収容する。第1室R1は、本体部111と突出部112と隔離壁113と回路基板15とにより形成される部屋である。
【0031】
第2室R2は、導入孔11hからの外音を音導管13に導く経路であると共に、後述のとおり、第1放音ユニット10の低域の音質(周波数特性)を調整する。第2室R2は、本体部111と突出部112と隔離壁113とにより形成される部屋である。第2室R2は、隔離壁113により第1室R1と物理的に隔離される。
【0032】
「外音」は、ハウジング11の外部に存在する音源(例えば、道路を走行する自動車や自転車、屋内外に設置されるスピーカなど)から出力される環境音(例えば、自動車や自転車の走行音、自動車のエンジン音、スピーカから出力されるアナウンス音など)の音波である。
【0033】
第3室R3は、回路基板15に実装される不図示の回路(後述)を収容する。第3室R3は、本体部111と回路基板15とにより形成される部屋である。
【0034】
本実施の形態において、第1室R1の容積は、第2室R2と第3室R3それぞれの容積よりも十分に大きい。また、第2室R2の容積は、音導管13の容積よりも大きい。
【0035】
導入孔11hは、外音を第2室R2内へ導入する円形の貫通孔である。導入孔11hは、本体部111に配置され、ハウジング11の外部と第2室R2とを連通させる。導入孔11hの貫通方向は、突出部112の突出方向(前後方向)に対して垂直である。
【0036】
ドライバユニット12は、音源からの電気信号に基づいて、音波を生成して出力する。ドライバユニット12は、バランスドアーマチュア型のドライバユニットである。ドライバユニット12は、音源からの電気信号に基づいて振動する振動板121を備える。ドライバユニット12は、突出部112と第1隔離壁113aとの間に取り付けられる。すなわち、ドライバユニット12は、第1室R1のうち、突出部112に収容される。前後方向において、ドライバユニット12は、導入孔11hよりも前方に配置される。換言すれば、導入孔11hは、ドライバユニット12(振動板121)よりも前方に配置される。
【0037】
音導管13は、装着状態において、ドライバユニット12からの音波(以下「再生音」という。)を外耳道に向けて導く。音導管13は、ハウジング11と一体である。音導管13は、円筒状の筒状部131と、板状の壁部132と、第1音導部133と、第2音導部134と、音響連結部135と、を備える。
【0038】
筒状部131は、突出部112の前端面が前方に向けて円筒状に突出することにより、構成される。すなわち、筒状部131は、突出部112と一体である。
【0039】
壁部132は、筒状部131の内側を第1音導部133と第2音導部134とに物理的に隔離する。壁部132は、筒状部131と第1隔離壁113aそれぞれと一体の板状である。壁部132は、筒状部131の後半部の内側において、第1音導部133と第2音導部134との間に配置される。
【0040】
第1音導部133は、第1室R1と連通して、再生音を音響連結部135に導く。第1音導部133は、筒状部131と壁部132とにより形成される半円筒状の通路である。第1音導部133は、溝部133aを備える。溝部133aは、ドライバユニット12の前端部が配置される溝である。溝部133aは、前後方向に沿う半円筒状で、筒状部131の内面に配置される。溝部133aは、第1音導部133の前端から突出部112の前端部まで延出される。この構成によれば、ドライバユニット12が突出部112と音導管13の後端部とに配置されても、突出部112と音導管13それぞれの外径は、外耳道に挿入可能な程度に小さくできる。また、再生音の一部は、溝部133aを介して音響連結部135へ導かれる。
【0041】
第2音導部134は、第2室R2と連通して、導入孔11hからの外音を音響連結部135に導く。第2音導部134は、筒状部131と壁部132とにより区画される半円筒状の通路である。第2音導部134の横断面積は、第1音導部133の横断面積と導入孔11hの開口面積と第2室R2の横断面積それぞれよりも小さい。第2音導部134の容積は、第1音導部133の容積と第2室R2の容積それぞれよりも小さい。
【0042】
音響連結部135は、第1音導部133と第2音導部134それぞれと連通して、再生音と外音とを音響的に連結(合成)させて外耳道に向けて導く。音響連結部135は、音導管13の前半部に配置される。
【0043】
イヤピース14は、装着状態において、外耳道の形状に適合するように変形して、外耳道の内面に密着する。イヤピース14は、例えば、弾性を有するシリコンゴムなどの合成樹脂製である。イヤピース14は、略円筒状の内筒部141と、内筒部141と一体で傘状の外筒部142と、を備える。イヤピース14は、筒状部131が内筒部141に挿入されることにより、音導管13に取り付けられる。イヤピース14は、音導管13に対して着脱可能である。
【0044】
回路基板15は、第1放音ユニット10の動作に必要な回路(例えば、無線通信回路やD/A変換回路、増幅回路など)を実装する。回路基板15は、第1室R1と第3室R3とを区画するように、本体部111に収容される。
【0045】
●第2放音ユニットの構成
図1に戻る。
第2放音ユニット20は、ハウジング21と、ドライバユニット(不図示)と、音導管(不図示)と、イヤピース24と、回路基板(不図示)と、を備える。ハウジング21は、導入孔21hを備える。第2放音ユニット20の構成は、第1放音ユニット10の構成と共通する。そのため、第2放音ユニット20の具体的な説明は、省略する。
【0046】
このように構成されるヘッドホン1では、装着状態において、イヤピース14が使用者Uの右耳の外耳道に挿入され、イヤピース24が使用者Uの左耳の外耳道に挿入される。すなわち、ヘッドホン1は、外耳道に装着されるカナル型のヘッドホンである。
【0047】
●ヘッドホンの動作
次に、ヘッドホン1の動作について、第1放音ユニット10を例に、図面を参照しながら説明する。
【0048】
図5は、第1放音ユニット10が使用者Uに装着された状態を、使用者Uの正面方向から見た第1放音ユニット10の斜視図である。
図6は、図5の状態の図2のBB線における断面図である。図6は、使用者Uの頭部を二点鎖線で示す。
【0049】
第1放音ユニット10が装着されるとき、イヤピース14の外筒部142は、外耳道に挿入され、外耳道の形状に適合するように変形して、外耳道の内面に密着する。このとき、イヤピース14により外耳道内に押し込まれる空気の一部は、内筒部141と、音響連結部135と第2音導部134と第2室R2とを介して、導入孔11hからハウジング11の外部に放出される。そのため、ヘッドホン1の装着時に使用者Uに与える外耳道の圧迫感および閉塞感は、外耳道内の空気がハウジング11の外部に排出されない場合と比較して、低減される。
【0050】
装着状態において、再生音は、図6の太い実線矢印S1で示されるように、第1音導部133と音響連結部135と内筒部141と外耳道とを介して、鼓膜(不図示。以下同じ。)に導かれる。その結果、装着状態の使用者Uは、音源からの所望の音声(再生音)を聴取できる。一方、外音は、図6の実線矢印S2で示されるように、導入孔11hと第2室R2と第2音導部134と音響連結部135と内筒部141と外耳道とを介して、鼓膜に導かれる。その結果、装着状態の使用者Uは、外音を聴取できる。このように、再生音と外音それぞれは、音響連結部135を通過する。すなわち、外音は、音響連結部135(および/または内筒部141)において再生音と音響的に連結(合成)され、鼓膜に導かれる。
【0051】
ここで、音波の回折角は、音波の波長が短いほど小さい。そのため、高域の音波は、高い直進性を有する。一方、低域の音波は、高い拡散性を有する。したがって、第1音導部133へ導かれた音波のうち、低域(約1kHz以下)の音波は、音波の波長が長くなる(音波の周波数が低くなる)に連れて、音響連結部135内で回折して、第2音導部134へ進入し易くなる。
【0052】
第2音導部134へ進入した低域の音波は、図6の破線矢印S3で示されるように、第2室R2と導入孔11hとを介して、ハウジング11の外部に放出される。そのため、ヘッドホン1の周波数特性のうち、低域の音圧レベル(低域の音質)は、音波の周波数が低くなるに連れて低下する。したがって、音響連結部135において合成される外音のうち、低域の外音は、外音の周波数が低くなるに連れて、ドライバユニット12からの音波により打ち消される(マスキングされる)ことなく、鼓膜に導かれる。一般的に、歩行者や走行者(ランニングやジョギングをしている者)に対して危険の存在を報知する外音は、自動車や自転車の走行音や、自動車のエンジン音である。これらの外音の周波数帯域は、凡そ100Hzから250Hz程度の低域である。そのため、装着状態の使用者Uは、外出中にボーカルなどの再生音を聴取しつつ、自動車の走行音やエンジン音を聴取できる。
【0053】
第1放音ユニット10において、低域の音圧レベルは、ハウジング11の外部と音響連結部135との間の空気の経路(以下「通気路L」という。)の影響を受ける。すなわち、低域の音圧レベルは、通気路Lの大きさ(開口面積、長さ、容積など)を変更することで所望の音圧レベルに調整可能である。本実施の形態において、通気路Lは、導入孔11hと第2室R2と第2音導部134とにより構成される。
【0054】
第2室R2の容積は第2音導部134の容積よりも十分に大きいため、通気路Lの容積は、第2室R2の容積を変更するだけで容易に変更できる。また、ハウジング11の容積は音導管13の容積よりも十分に大きいため、第2室R2の容積を変更可能な範囲は、大きい。そして、前述のとおり、第2隔離壁113bは、本体部111と突出部112それぞれと別体である。そのため、第2室R2の容積は、第2隔離壁113bの形状を変更するだけで、容易に変更可能である。
【0055】
前述のとおり、再生音と外音とは、いずれも通気路Lを通過する。そのため、通気路Lを通過する再生音と外音それぞれは、通気路L内の空気の影響を受ける。ここで、第2室R2の容積は、通気路Lの容積の大部分を占める。そのため、通気路Lを通過する再生音と外音それぞれは、第2室R2の容積(すなわち、第2室R2内の空気)の影響を強く受ける。すなわち、例えば、第2室R2の容積が第2音導部134の容積と導入孔11hの容積よりも十分に大きいとき、第2室R2内の空気のスチフネスは、小さい。つまり、第2室R2の容積が大きくなるほど、第2室R2の容積が再生音と外音とに与える影響は、小さくなる。換言すれば、同影響は、第2室R2の容積が小さくなるほど、大きくなる。このように、ヘッドホン1において、第2室R2は、再生音と外音それぞれに対して音響的な影響を与える。すなわち、第2室R2は、低音域において、外音の取り込みを調整すると共に、ヘッドホン1の低音の音質を調整する。
【0056】
図7は、第2室R2の容積を変更したときのヘッドホン1の周波数特性を示すグラフである。同図は、音圧レベルを縦軸に示し、周波数を横軸に示す。同図は、本実施の形態のヘッドホン1の周波数特性を実線で、本実施の形態よりも第2室R2の容積を小さくしたときの周波数特性を破線で、それぞれ示す。
【0057】
図7に示されるとおり、第2室R2の容積を小さくすると、ヘッドホン1の周波数特性において、低域の音圧レベルは、増加する。本実施の形態において、導入孔11hと第2音導部134それぞれの位置・大きさは、一定である。したがって、第2室R2の容積は、第2隔離壁113bの形状の変更により、変更できる。そして、第2隔離壁113bの形状の変更により第2室R2の容積を小さくすると、再生音に対する第2室R2の音響インピーダンスが高くなり、第2室R2は音響的な障壁として機能する。その結果、再生音の低域の音圧レベルは、増加する。
【0058】
図5図6とに戻る。
前述のとおり、導入孔11hは、本体部111を貫通する貫通孔である。そのため、導入孔11hの開口面積(導入孔11hの通気率)は、導入孔11hをハウジング11の外側から覆うだけで変更可能である。また、導入孔11hの通気率は、導入孔11hを覆う部材の密度を変更することにより、変更可能である。
【0059】
図8は、導入孔11hをハウジング11の外側から部材(不図示)で覆い、同部材の密度を変更したときのヘッドホン1の周波数特性を示すグラフである。同図において、実線は導入孔11hを覆わないとき(部材が無いとき)の周波数特性を示し、二点鎖線は導入孔11hを完全に密閉したときの周波数特性を示し、破線は部材の密度が低いときの周波数特性を示し、一点鎖線は部材の密度が高いときの周波数特性を示す。同図は、導入孔11hの通気率が減少するに連れて、低域の音圧レベルが増加していることを示す。
【0060】
図5図6とに戻る。
装着状態において、導入孔11hは、使用者Uの耳甲介腔よりも外側であって、使用者Uの正面から視認可能な位置に配置される。すなわち、導入孔11hは、装着状態において、使用者Uの耳により塞がれない(覆われない)。そのため、導入孔11hは、常に外音を第2室R2に導入可能である。
【0061】
「耳甲介腔よりも外側」は、耳珠よりも外側(図5図6との紙面左側)を意味する。すなわち、本実施の形態において、導入孔11hは、耳介において、耳珠よりも外側に配置される。
【0062】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、ハウジング11は、ドライバユニット12が収容される第1室R1と、第1室R1から物理的に隔離される第2室R2と、第2室R2とハウジング11の外部とを連通させ、外音を第2室R2内に導入する導入孔11hと、を備える。音導管13は、第1室R1と第2室R2それぞれと連通する。この構成によれば、ドライバユニット12からの音波(再生音)は、第1室R1を介して音導管13に導かれる。一方、外音は、導入孔11hと第2室R2とを介して、音導管13に導かれる。その結果、外音は、音導管13において再生音と音響的に連結(合成)され、使用者Uの鼓膜に導かれる。また、再生音のうち、低域の音波は、第2室R2と導入孔11hとを介して、ハウジング11の外部に放出される。その結果、ヘッドホン1の低域の音圧レベルは、低下する。
【0063】
ここで、第2室R2は、再生音と外音それぞれに対して音響的な影響を与える。すなわち、外部へ放出される再生音と音導管へ導入される外音とは、第2室R2内の空気(容積)の影響を受ける。また、前述のとおり、導入孔11hの通気率は、低域の音圧レベルに影響を与える。その結果、ヘッドホン1の低域の音圧レベルは、第2室R2の容積および/または導入孔11hの通気率により所望の音圧レベルに調整される。すなわち、ヘッドホン1の低域の音質は、第2室R2の容積および/または導入孔11hの通気率により所望の音質に調整される。このように、ヘッドホン1は、第2室R2により所望の低域の音質を有すると共に、ハウジング11の導入孔11hにより音導管13に外音を安定して導入できる。したがって、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0064】
また、以上説明した実施の形態によれば、音導管13は、第1室R1と連通する第1音導部133と、第2室R2と連通する第2音導部134と、第1音導部133と第2音導部134との間に配置される壁部132と、を備える。この構成によれば、再生音は、途中で第2室R2へ漏れ出すことなく、音導管13の出口(音導管13の外耳道側の開口)まで導かれる。次いで、再生音のうち、低域の音波のみが同出口において分岐している第2音導部134に進入し、中高域の音波はイヤピース14を介して外耳道に導かれる。その結果、ヘッドホン1は、中高域の音圧を変えない。また、外音は、第2音導部134を介して、音導管13の出口(前端)まで導かれ、同出口で再生音と音響的に連結(合成)され、外耳道へ導かれる。このように、ヘッドホン1は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13(の出口)に外音を安定して導入できる。その結果、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0065】
さらに、以上説明した実施の形態によれば、音導管13は、第1音導部133と第2音導部134それぞれと連通する音響連結部135を備える。この構成によれば、低域の音波のみが音響連結部135において分岐している第2音導部134に進入し、中高域の音波は音響連結部135を介して外耳道に導かれる。その結果、ヘッドホン1は、中高域の音圧を変えることなく、低域の音圧のみ調整できる。また、外音は、第2音導部134を介して、音響連結部135まで導かれ、音響連結部135で再生音と音響的に連結(合成)され、外耳道へ導かれる。このように、ヘッドホン1は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13(音響連結部135)に外音を安定して導入できる。その結果、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0066】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ドライバユニット12に対して音導管13が配置される方向を前方としたとき、導入孔11hは、前後方向において、ドライバユニット12(振動板121)より後方に配置される。この構成によれば、導入孔11hは、装着状態において、ドライバユニット12が配置される位置よりも外耳道から離れた位置に配置される。すなわち、導入孔11hは、装着状態において、使用者Uの耳介に覆われ難い位置に配置される。その結果、ヘッドホン1は、外耳道の近傍に通気孔を設ける従来のヘッドホンよりも、音導管13に外音を安定して導入できる。したがって、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0067】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、ハウジング11は、第1室R1と第2室R2とを隔離する隔離壁113を備える。この構成によれば、第2室R2は、ドライバユニット12が収容される第1室R1から確実に隔離される。また、第2室R2の容積(横断面積)は、隔離壁113の形状を変更することにより、変更可能である。すなわち、ヘッドホン1の低域の音圧レベルは、隔離壁113の形状を変更することにより、所望の音圧レベルに調整される。その結果、ヘッドホン1は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13に外音を安定して導入できる。したがって、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0068】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、隔離壁113は、本体部111と突出部112それぞれと別体の第2隔離壁113bを備える。この構成によれば、第2室R2の容積は、第2隔離壁113bの形状を変更することにより、容易に変更可能である。ここで、例えば、ハウジング11が金型で成型されるとき、ヘッドホン1の製造者は、本体部111と突出部112と第1隔離壁113aそれぞれを金型で成型し、第2隔離壁113bを別途成型できる。その結果、同製造者は、第2隔離壁113bの形状を変更するだけで、第2室R2の容積を変更できる。すなわち、ヘッドホン1の低域の音圧レベルは、第2隔離壁113bの設計を変更するだけで、容易に所望の音圧レベルに調整される。つまり、ヘッドホン1の低域の音質は、容易に調整できる。
【0069】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、導入孔11hの開口面積は、第2音導部134の横断面積よりも大きい。換言すれば、第2室R2に対する外音の入口である導入孔11hは、第2室R2に対する低域の音波の入口である第2音導部134より小さい。この構成によれば、ヘッドホン1は、多くの外音を第2室R2に導入しつつ、第2室R2に進入する低域の音波を制御可能である。すなわち、ヘッドホン1は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13に外音を安定して導入できる。その結果、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0070】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、第2室R2の横断面積は、第2音導部134の横断面積と導入孔11hの開口面積それぞれよりも大きい。この構成によれば、第2室R2からの外音の第2音導部134への進入は、第2音導部の横断面積(容積)により制御される。一方、第2室R2からの再生音の導入孔11hへの進入は、導入孔11hの開口面積により制御される。換言すれば、ヘッドホン1の低域の音質と外音の導入とは、通気路Lの大きさにより調整される。したがって、ヘッドホン1は、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13に外音を安定して導入できる。その結果、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【0071】
さらにまた、以上説明した実施の形態によれば、装着状態において、導入孔11hは、ハウジング11の外部から視認可能な位置(例えば、使用者Uの耳甲介腔よりも外側)に配置される。この構成によれば、導入孔11hは、耳(耳介)により外部から塞がれない(覆われない)。そのため、導入孔11hは、常に外音を第2室R2へ導入できる。その結果、ヘッドホン1は、音導管13に外音を安定して導入できる。
【0072】
なお、導入孔11hの数や形状は、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、導入孔の数は複数でもよく、導入孔の形状はスリット状でもよい。
【0073】
また、前後方向において、ドライバユニットに対する導入孔の配置は、導入孔が耳に塞がれなければよく、本実施の形態に限定されない。すなわち、例えば、導入孔は、前後方向において、ドライバユニットと同じ位置に配置されてもよく、あるいは、図3に示される位置よりも後方に配置されてもよい。
【0074】
さらに、外音が音響連結部に導入可能であれば、導入孔の開口面積は、第2音導部の横断面積以下でもよい。
【0075】
さらにまた、導入孔の貫通方向は、突出部の突出方向(前後方向)に対して傾斜してもよい。
【0076】
さらにまた、第2隔離壁は、本体部と突出部それぞれと一体でもよい。
【0077】
さらにまた、ハウジングは突出部を備えず、音導管は本体部に突設されてもよい。
【0078】
さらにまた、音導管は、ハウジングと別体でもよい。この構成では、音導管は壁部を備えず、隔離壁が音導管に延出してもよい。すなわち、例えば、第1音導部と第2音導部それぞれは、音導管と隔離壁とにより形成されてもよい。
【0079】
さらにまた、音導管は、壁部を備えなくてもよい。この構成では、低域の音波は、音導管を介して第2室へ進入する。また、外音は、再生音と音導管の内側で合成される。
【0080】
さらにまた、音導管は、音響連結部を備えなくてもよい。この構成では、例えば、壁部は、音導管の後端から前端に亘って、音導管の内側を第1音導部と第2音導部とに区画してもよい。
【0081】
さらにまた、ヘッドホンは、ハウジングを使用者の耳介に保持するサポートを備えてもよい。この構成において、サポートは、ハウジングに着脱可能であり、導入孔を塞ぐ閉位置と、導入孔を塞がない開位置と、に回転可能でもよい。また、導入孔は、サポートがハウジングに着装されたときに塞がれ(密閉され)、サポートがハウジングから脱装されたときに開放されてもよい。この構成によれば、使用者は、サポートの位置や着脱により、容易に低域の音質を変更できる。
【0082】
さらにまた、ドライバユニットは、ダイナミック型のドライバユニットでもよい。この構成では、ドライバユニットは、本体部に収容される。
【0083】
図9は、本発明にかかるヘッドホンの別の実施の形態を示す模式断面図である。同図は、ダイナミック型のドライバユニット12Aを備えるヘッドホン1Aの断面を、模式的に示す。同図は、説明の便宜上、ヘッドホン1Aが備える第1放音ユニット10Aの断面のみ示す。
【0084】
ヘッドホン1Aは、ハウジング11Aとドライバユニット12Aと音導管13Aとイヤピース14とを有してなる。
【0085】
ハウジング11Aは、導入孔11Ahと隔離壁113Aとを備える。隔離壁113Aは、ハウジング11Aの内側を、ドライバユニット12Aが収容される第1室RA1と、導入孔11Ahからの外音を音導管13Aに導く第2室RA2と、を物理的に隔離する。ドライバユニット12Aは、振動板121Aを備える。
【0086】
音導管13Aは、第1室RA1に連通する第1音導部133Aと、第2室RA2に連通する第2音導部134Aと、第1音導部133Aと第2音導部134Aそれぞれに連通する音響連結部135Aと、第1音導部133Aと第2音導部134Aとを物理的に区画する壁部132Aと、を備える。
【0087】
ドライバユニット12Aに対して音導管13Aが配置される方向を前方としたとき、導入孔11Ahは、前後方向において、ドライバユニット12Aよりも後方に配置される。この構成によれば、ドライバユニット12Aからの音波(再生音)は、第1室RA1と第1音導部133Aとを介して、音響連結部135Aに導かれる。低域の音波は、音響連結部135Aから第2音導部134Aに進入し、第2室RA2と導入孔11Ahとを介して、ハウジング11Aの外部に放出される。一方、外音は、導入孔11Ahと第2室RA2とを介して、音響連結部135Aに導入され、音響連結部135Aで再生音と音響的に連結(合成)され、外耳道へ導かれる。すなわち、ヘッドホン1Aは、先に説明したヘッドホン1と同様に、所望の低域の音質を有すると共に、音導管13A(音響連結部135A)に外音を安定して導入できる。その結果、装着状態の使用者Uは、再生音と外音とを明瞭に聴取できる。
【符号の説明】
【0088】
1 ヘッドホン
11 ハウジング
11h 導入孔
113 隔離壁
113b 第2隔離壁(隔離壁の一部)
12 ドライバユニット
121 振動板
13 音導管
132 壁部
133 第1音導部
134 第2音導部
135 音響連結部
14 イヤピース
R1 第1室
R2 第2室
1A ヘッドホン
11A ハウジング
11Ah 導入孔
113A 隔離壁
12A ドライバユニット
121A 振動板
13A 音導管
132A 壁部
133A 第1音導部
134A 第2音導部
135A 音響連結部
RA1 第1室
RA2 第2室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9