(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074847
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】飼料添加剤組成物、及びそれを含む飼料組成物
(51)【国際特許分類】
A23K 20/105 20160101AFI20240524BHJP
A23K 50/30 20160101ALI20240524BHJP
【FI】
A23K20/105
A23K50/30
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024052221
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2021530216の分割
【原出願日】2019-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0153029
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ジュン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウォン・キム
(57)【要約】
【課題】本発明の一目的は、ウルソール酸(ursolic acid)またはその塩を含む飼料添加剤組成物を提供することである。本発明の他の目的は、本発明の飼料添加剤組成物を含む飼料組成物を提供することである。
【解決手段】飼料添加剤組成物、及びそれを含む飼料組成物に係り、さらに詳細には、ウルソール酸及び/またはマスリン酸を含む飼料添加剤組成物、及び該飼料添加剤組成物を含む飼料用組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウルソール酸またはその塩を含む、飼料添加剤組成物。
【請求項2】
前記飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、前記ウルソール酸またはその塩を11,000ないし25,000ppmで含む、請求項1に記載の飼料添加剤組成物。
【請求項3】
マスリン酸またはその塩を更に含む、請求項1に記載の飼料添加剤組成物。
【請求項4】
前記飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、前記マスリン酸40ないし10,000ppmで含む、請求項3に記載の飼料添加剤組成物。
【請求項5】
前記ウルソール酸及びマスリン酸は、1:1ないし3,000:1の重量比で含む、請求項3に記載の飼料添加剤組成物。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の飼料添加剤組成物を含む、飼料組成物。
【請求項7】
前記飼料組成物は、リシン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン及びバリンからなる群から選択されるいずれか1以上の必須アミノ酸を更に含む、請求項6に記載の飼料組成物。
【請求項8】
前記飼料組成物の全体重量を基準に、前記必須アミノ酸を0.05ないし5%(w/w)で含む、請求項7に記載の飼料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料添加剤組成物、及びそれを含む飼料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
2017年を基準に、韓国養豚農家の生産性は、ここ数年来停滞状態に留まっている。そのような状況における解決法として、肥育豚の出荷時期を遅らせ、出荷体重を増大させたり、枝肉歩留率に係わる農家競争力の向上が提示されており、それにより、肥育豚成長の特徴に合う飼料の必要性が課題となっている実情である。前記肥育豚の成長段階は、豚の成長が進む最後の段階であり、筋肉の成長が完了し、脂肪の蓄積が進められる。従って、肥育豚の成長段階は、枝肉歩留率だけではなく、豚肉の品質に直結する筋肉内脂肪蓄積(例えば、背中脂肪の低減)に大きな影響を及ぼす時期のうちの一つである。
【0003】
現在、農家のニーズに合わせ、枝肉歩留率の向上及び背中脂肪の低減を目的とする合成製品として、Elanco社のペイリーン(Paylean)が発売されていたが、前記製品は、動物体内残留及び副作用に係わる問題により、有害物質として分類されている。一方、大韓民国公開特許第10-2016-0119273号は、豚の飼料要求率を低下させ、豚の成長率を上昇させるために、グリシン化合物またはその塩を処理する方法、及び前記グリシン化合物を含む飼料用組成物を開示している。そのように、家畜の成長率などを上昇させるための多角的な研究が進められているが、まだ不備があるのが実情である。
【0004】
そのような背景下、本発明者らは、枝肉歩留率の上昇などにより、農家の生産性を向上させることができる飼料添加剤を開発するために鋭意努力した結果、天然物由来のウルソール酸及び/またはマスリン酸を更に給与することにより、飼料効率、及び家畜の枝肉歩留率を向上させ、過剰蓄積される背中脂肪のレベルを低下させることができることを確認し、それに基づいて本発明を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一目的は、ウルソール酸(ursolic acid)またはその塩を含む飼料添加剤組成物を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、本発明の飼料添加剤組成物を含む飼料組成物を提供することである。
【0007】
本発明のそれ以外の目的及び利点は、特許請求の範囲、及び図面と共に、以下の詳細な説明によってさらに明確になるであろう。本明細書に記載されていない内容は、本発明の技術分野、または類似した技術分野の当業者であるならば、十分に認識して類推することができるものであるので、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明において開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの他の説明及び実施形態にも適用されうる。すなわち、本発明で開示された多様な要素の全ての組み合わせが、本発明の範疇に属する。また、以下で記述された具体的な敍述により、本発明の範囲が制限されるとはいえない。
【0009】
本発明は、一態様として、ウルソール酸またはその塩を含む飼料添加剤組成物を提供する。
【0010】
本明細書で使用される用語「飼料添加剤」とは、飼料組成物に添加される物質を称し、飼料管理法上の補助飼料該当しうる。前記飼料添加剤は、動物または家畜の生産性向上や健康を増進させるためのものでもある。韓国内養豚農家の生産性は、数年来停滞状態に留まっており、それにより、枝肉歩留率の上昇、及び背中脂肪の低減による豚肉品質の向上に寄与する飼料添加剤の開発に係わる研究が活発になされている。しかし、動物体内残留及び副作用に係わる問題により、飼料添加剤の開発に困難をきたしているのが実情である。
【0011】
一実施例によれば、育成豚または肥育豚に、天然物由来のウルソール酸を含む飼料添加剤を更に給与した場合、飼料効率及び枝肉歩留率が向上しただけではなく、背中脂肪の低減が有意的に向上されることを認められた。従って、本発明は、ウルソール酸を有効成分として含む飼料添加剤組成物を提供することができる。
【0012】
本明細書で使用される用語「ウルソール酸」は、下記化学式1で表される化合物を称する。前記ウルソール酸は、ラズベリー、チェリー、リンゴ粕のような天然物に含有された五環式トリテルペン酸の一種であり、その生理的活性としては、抗酸化、殺虫、血糖強化及び抗老化のような効果が報告されている。
【化1】
【0013】
本発明のウルソール酸は、塩の形態で飼料添加剤組成物にも含まれえる。前記ウルソール酸は、飼料成分として許容可能な形態の塩としても提供されえ、それは、公知の方法によっても製造されえる。具体的な例としては、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸のような無機酸;メタンスルホン酸のようなスルホン酸;またはシュウ酸、酢酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸のような有機カーボン酸によって形成された酸付加塩でもある。
【0014】
一具現例において、本発明の飼料添加剤組成物は、前記ウルソール酸またはその塩を飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、11,000ないし25,000ppmを含むことができる。前記ウルソール酸またはその塩の含量は、飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、例えば、11,000ないし22,000ppm、11,000ないし19,000ppm、11,000ないし16,000ppm、11,000ないし13,000ppm、13,000ないし22,000ppm、13,000ないし19,000ppm、13,000ないし16,000ppm、15,000ないし22,000ppm、15,000ないし19,000ppm、15,000ないし16,000ppm、17,000ないし22,000ppm、17,000ないし19,000ppm、または19,000ないし22,000ppmでもよいが、家畜の種類及び年齢、適用形態、目的とする効果などによって適切に調節可能である。
【0015】
また、本発明の飼料添加剤組成物は、マスリン酸(maslinic acid)またはその塩を更に含んでもよい。
【0016】
一実施例によれば、肥育豚に、天然物由来のウルソール酸及びマスリン酸を含む飼料添加剤を更に給与した場合、飼料効率及び枝肉歩留率が向上され、特に、背中脂肪の低減効果は、前記ウルソール酸を含む飼料添加剤に比べ、大きく向上されることが認められた。従って、本発明は、ウルソール酸及びマスリン酸を有効成分として含む飼料添加剤組成物を提供することができる。
【0017】
本明細書で使用される用語「マスリン酸」とは、下記化学式2で表される化合物を称する。前記マスリン酸は、朝鮮五味子、枇杷葉のような天然物に含有された五環式トリテルペン酸の一種であり、その生理的活性としては、抗酸化、抗老化及び抗炎症のような効果が報告されている。
【化2】
【0018】
本発明のマスリン酸は、ウルソール酸と同様に、塩形態で飼料添加剤組成物にも含まれる。前記マスリン酸は、飼料成分として許容可能な形態の塩としても提供され、塩に係わる具体的な例示は、前記ウルソール酸で言及した通りである。
【0019】
一具現例において、本発明の飼料添加剤組成物は、前記マスリン酸またはその塩を飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、40ないし10,000ppmで含んでもよい。前記マスリン酸またはその塩の含量は、飼料添加剤組成物の全体重量を基準に、例えば、40ないし9,000ppm、40ないし8,000ppm、40ないし7,000ppm、40ないし6,000ppm、40ないし5,000ppm、40ないし4,000ppm、40ないし3,000ppm、40ないし2,000ppm、40ないし1,000ppm、40ないし5,000ppm、40ないし2,500ppm、40ないし2,000ppm、40ないし1,500ppm、または40ないし1,000ppmでもあり、例えば、100ないし5,000ppm、100ないし4,000ppm、100ないし3,000ppm、100ないし2,000ppm、100ないし1,000ppm、200ないし2,500ppm、200ないし2,000ppm、200ないし1,500ppm、または200ないし1,000ppmでもあるが、家畜の種類及び年齢、適用形態、目的とする効果などによって適切に調節可能である。
【0020】
一具現例において、本発明のウルソール酸及びマスリン酸は、1:1ないし3,000:1の重量比で含んでもよい。前記ウルソール酸及びマスリン酸の重量比は、例えば、1:1ないし2,500:1、1:1ないし2,000:1、1:1ないし1,500:1、1:1ないし1,000:1、1:1ないし500:1、1:1ないし400:1、1:1ないし300:1、1:1ないし200:1、1:1ないし100:1、1:1ないし90:1、1:1ないし80:1、1:1ないし70:1、1:1ないし60:1、1:1ないし50:1、1:1ないし40:1、1:1ないし30:1、1:1ないし20:1、または1:1ないし10:1でもあるが、それらもまた、適宜変更可能である。
【0021】
本発明の飼料添加剤組成物は、粉末状または顆粒状にも製造され、必要により、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸、リンゴ酸のような有機酸;リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、酸性ピロリン酸塩、ポリリン酸塩のようなリン酸塩;ポリフェノール、カテキン、α-トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンC、緑茶抽出物、甘草抽出物、キトサン、タンニン酸、フィチン酸のような天然抗酸化剤のうちいずれか一つ、または1以上を更に含んでもよい。本発明の飼料添加剤は、一般的な飼料形態にも製剤化され、一般的な飼料成分を共に含んでもよい。
【0022】
本発明の飼料添加剤組成物は、穀物、例えば、粉砕または破砕された小麦、燕麦、大麦、とうもろこし及び米;植物性タンパク質飼料、例えば、セイヨウアブラナ、豆及びひまわりを主成分にする飼料;動物性タンパク質飼料、例えば、血粉、肉粉、骨粉及び魚粉;糖分及び乳製品、例えば、各種粉乳及び乳清粉末からなる乾燥成分などをさらに含み、それ以外にも、栄養補充剤、消化向上剤及び吸収向上剤、成長促進剤などをさらに含んでもよい。
【0023】
本発明の飼料添加剤組成物は、動物に単独で投与したり、食用担体において、他の飼料添加剤と組み合わせて投与したりすることもできる。また、前記飼料添加剤は、トップドレッシングとして、またはそれらを飼料に直接混合したり、飼料と別途の経口剤形としたりして、容易に動物に投与することができる。前記飼料添加剤組成物を飼料と別途に投与する場合、当該技術分野に周知されているように、薬剤学的で許容可能な食用担体と組み合わせ、即座放出または徐放性の剤形に製造することができる。そのような食用担体は、固体または液体、例えば、とうもろこし澱粉、ラクトース、スクロース、豆フレーク、ピーナッツオイル、オリーブ油、胡麻油及びプロピレングリコールでもよい。固体担体が使用される場合、該飼料添加剤は、錠剤、カプセル剤、散剤、トローチ剤、あるいは含糖錠剤または微粉散剤状のトップドレッシングでもよい。液体担体が使用される場合、該飼料添加剤は、ゼラチン軟質カプセル剤、またはシロップ剤や懸濁液、エマルジョン剤、または溶液剤の剤形でもよい。
【0024】
本発明の飼料添加剤組成物は、例えば、保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶液促進剤などを含んでもよい。前記飼料添加剤は、浸し込み、噴霧または混合でもって、動物の飼料に添加しても利用されえる。
【0025】
本発明の飼料添加剤組成物は、哺乳類及び家擒を含む多数の動物食餌に適用することができる。前記哺乳類として、豚、牛、羊、山羊及び実験用齧齒動物だけではなく、愛玩動物(例:犬、猫)などに使用することができ、前記家擒類として、ニワトリ、七面鳥、鴨、ガチョウ、きじ及びうずらなどにも使用することができる。
【0026】
本発明の他の態様は、本発明の飼料添加剤組成物を含む飼料組成物を提供する。
【0027】
本明細書で使用される用語「飼料組成物」は、動物に給与されるえさを称する。前記飼料組成物は、動物の生命を維持させたり、肉、乳などを生産させたりするのに必要な有機または無機も栄養素を供給する物質を言う。前記飼料組成物は、本発明の飼料添加剤を含み、動物を生命維持させたり、肉、乳などを生産させたりする必要な栄養成分を更に含んでもよい。
【0028】
本発明の飼料組成物内の飼料添加剤組成物の含量は、適用家畜の種類及び年齢、適用形態、目的とする効果などによって適切に調節可能であり、例えば、0.01ないし1%(w/w)、0.01ないし0.5%(w/w)、または0.15ないし0.5%(w/w)でもって使用されうる。
【0029】
一具現例において、本発明の飼料組成物は、前記ウルソール酸またはその塩を飼料組成物の全体重量を基準に、10ないし300ppmで含んでもよい。前記ウルソール酸またはその塩の含量は、飼料組成物全体重量を基準に、例えば、10ないし90ppm、10ないし80ppm、10ないし70ppm、10ないし60ppm、10ないし50ppm、10ないし40ppm、10ないし30ppm、または10ないし20ppmでもあるが、家畜の種類及び年齢、適用形態、目的とする効果などによって適切に調節可能である。
【0030】
一具現例において、本発明の飼料組成物は、前記マスリン酸またはその塩を飼料組成物全体重量を基準に、1ないし100ppbで含んでもよい。前記マスリン酸またはその塩の含量は、飼料組成物全体重量を基準に、例えば、1ないし90ppb、1ないし80ppb、1ないし70ppb、1ないし60ppb、1ないし50ppb、1ないし45ppb、1ないし40ppb、1ないし35ppb、1ないし30ppb、1ないし25ppb、1ないし20ppb、または1ないし10ppbでもよいが、家畜の種類及び年齢、適用形態、目的とする効果などによって適切に調節可能である。
【0031】
本発明の飼料組成物は、リシン(lysine)、トレオニン(threonine)、トリプトファン(tryptophan)、メチオニン(methionine)及びバリン(valine)からなる群から選択されるいずれか1以上の必須アミノ酸を更に含んでもよい。
【0032】
一実施例によれば、肥育豚に、ウルソール酸及びマスリン酸を含む飼料添加剤と、リシンのような必須アミノ酸とを共に更に給与した場合、飼料効率及び枝肉歩留率などに対する効果がさらに向上された。従って、本発明は、効能増進の側面において、必須アミノ酸を更に含む飼料組成物を提供することができる。
【0033】
一具現例において、本発明の飼料組成物は、前記必須アミノ酸を、飼料組成物全体重量を基準に、0.05ないし5%(w/w)で含んでもよい。前記必須アミノ酸の含量は、飼料組成物全体重量を基準に、例えば、0.05ないし4%(w/w)、0.05ないし3%(w/w)、0.05ないし2%(w/w)、0.05ないし1%(w/w)、0.1ないし4%(w/w)、0.1ないし3%(w/w)、0.1ないし2%(w/w)、0.1ないし1%(w/w)、0.5ないし4%(w/w)、0.5ないし3%(w/w)、0.5ないし2%(w/w)、または0.5ないし1%(w/w)でもある。
【0034】
本発明の飼料組成物は、投与のために、飼料添加剤組成物以外にさらに、クエン酸、フマル酸、アジピン酸、乳酸などの有機酸;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、重合リン酸塩などのリン酸塩;ポリフェノール、カテチン、トコフェロール、ビタミンC、緑茶抽出物、キトサン、タンニン酸などの天然抗酸化剤のうち1種以上を混合して使用することができ、必要によっては、抗インフルエンザ剤、緩衝液、静菌剤のような他の一般的な添加剤を添加することができる。また、本発明の飼料組成物は、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤または潤滑剤を付加させて添加し、水溶液、懸濁液、乳濁液のような注射用剤形、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化させることができる。また、本発明の飼料組成物は、補助成分として、アミノ酸、無機塩類、ビタミン、抗酸化剤、抗真菌剤、抗菌剤のような各種補助剤;並びに粉砕されたり破砕されたりした小麦、麦、とうもろこしのような植物性タンパク質飼料;血粉、肉粉、魚粉のような動物性タンパク質飼料;動物性脂肪;及び植物性脂肪のような主成分以外にも、栄養補充剤、成長促進剤、消化吸収促進剤、疾病予防剤と共に使用されうる。
【0035】
本発明の飼料組成物は、家畜飼料に、乾燥重量基準で、1kg当たり約10ないし500g、例えば、10ないし100gの量で混合することができ、完全に混合した後、メッシュで供給するか、あるいは追加加工工程を介し、ペレット化、膨脹化または押出の工程を経ることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明による飼料添加剤組成物は、飼料効率、及び家畜の枝肉歩留率を向上させることができ、背中脂肪を有意的に低減させることができる。
【0037】
従って、本発明による飼料添加剤組成物、またはそれを含む飼料組成物は、家畜の生産性及び品質向上に寄与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明について、実施例を介してさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例に限定されるものではない。
【実施例0039】
試験例1.飼料添加剤の給与による育成豚の段階における仕様試験
本試験例においては、ウルソール酸を含む飼料添加剤が飼料効率に及ぼす影響を確認するものである。本試験例における試験家畜は、総288頭のデュロック(Duroc)×ヨークシャー(Yorkshir)×ランドレース(Landrace)三元交配種育成豚であり、試験開始段階において、それらの平均体重は、37.73±2.14kgであった。該仕様試験は、CJ第一製糖系所属であるCJ豚豚ファーム法人の農場である完州農場で36日間実施した。試験設計としては、CJ第一製糖基本飼料処理区(対照区)、及び前記基本飼料に、飼料全体重量を基準に、25ppmのウルソール酸が添加された試験飼料処理区(実施例1)を設定した。すなわち、前記試験飼料の処理区は、基本飼料に、本試験例による飼料添加剤を添加した処理区であり、前記飼料添加剤全体重量を基準に、17,000ppmのウルソール酸を含む飼料添加剤を使用した。前記飼料添加剤は、既存の天然物内ウルソール酸の含量を測定した後、それに基づき、ウルソール酸含量を調節し、必要な場合、天然物から抽出したウルソール酸を追加する方式によって製造された。各処理区に、4回の反復試験を実施し、各試験に、24頭ずつ完全任意配置して試験を実施した。基本飼料としては、米国仕様標準指針(NRC)を基にし、2,510kcal NE(net energy(正味エネルギー))/kg、17.00重量%のタンパク質、及び0.93重量%のリシンを含む家畜用飼料を使用した。前記飼料は、粉飼料の形態で、自由採食させ、水は、自動給水機を利用して提供した。その後、各時点において、試験家畜の体重及び飼料摂取量を測定し、日当たり増体量(ADG:average daily gain)、日当たり飼料摂取量(ADFI:average daily feed intake)及び飼料要求率(FCR:feed conversion ratios)を算出した。前記飼料要求率は、飼料重量対体重増加量の比率を意味し、SAS(1996)のGeneral Linear Model Procedureプログラムを使用し、処理区平均間の有意性を検定した。
【0040】
表1は、前記基本飼料または試験飼料を36日間給与した育成豚の日当たり増体量、日当たり飼料摂取量及び飼料効率を確認した結果である。
【0041】
【0042】
前記表1から分かるように、基本飼料または試験飼料を給与してから36日目、実施例1による育成豚の日当たり増体量は、対照区対比で、約5%ほど向上され、飼料効率側面においても、実施例1による育成豚は、対照区に比べ、約8.4%高く示された。そのような実験結果から、ウルソール酸を含む飼料添加剤は、育成豚の成長を促進させ、飼料重量対比で、体重増加量、すなわち、飼料効率も向上させるということが分かった。
【0043】
試験例2.飼料添加剤の給与による育成豚/肥育豚の段階における仕様試験の結果
本試験例においては、ウルソール酸及び/またはマスリン酸を含む飼料添加剤が、飼料効率、枝肉歩留率、及び背中脂肪のレベルに及ぼす影響を確認するものである。本試験例における試験家畜は、総120頭のデュロック×ヨークシャー×ランドレース三元交配種育成豚/肥育豚であり、試験開始の段階において、それらの平均体重は、43.3kg±0.9kgであった。該仕様試験は、忠南大学校付設の試験農場において、用役評価として、67日間実施した。試験設計としては、下記表2から分かるように、CJ第一製糖の基本飼料の処理区(対照区)、前記基本飼料に、飼料全体重量を基準に、25ppmまたは50ppmのウルソール酸が添加された試験飼料処理区(実施例2または3)、及び前記基本飼料に、飼料全体重量を基準に、25ppmのウルソール酸及び10ppbのマスリン酸が添加された試験飼料処理区(実施例4)を設定した。前記試験飼料の処理区は、基本飼料に、本試験例による飼料添加剤を添加した処理区であり、前記飼料添加剤の全体重量を基準に、17,000ppmのウルソール酸、または5,500ppmのマスリン酸を含む飼料添加剤を使用した。前記飼料添加剤は、既存の天然物内のウルソール酸またはマスリン酸の含量を測定した後、それに基づき、それらの含量を調節し、必要な場合、天然物から抽出したウルソール酸またはマスリン酸を追加する方式によって製造された。各処理区ごとに、6回の反復試験を実施し、各試験ごとに、4頭ずつ完全任意配置して試験を実施した。基本飼料としては、米国仕様標準指針(NRC)を基にし、2,510kcal NE(net energy(正味エネルギー))/kg、17.00重量%のタンパク質、及び0.93重量%のリシンを含む家畜用飼料を使用した。前記飼料は、粉飼料の形態で自由採食させ、水は、自動給水機を利用して提供した。その後、各時点において、試験家畜の体重及び飼料摂取量を測定し、日当たり増体量、日当たり飼料摂取量及び飼料効率を算出し、試験家畜を屠畜した後、枝肉歩留率、及び背中脂肪のレベルを測定した(NE(正味エネルギー))。また、SAS(1996)のGeneral Linear Model Procedureプログラムを使用し、処理区平均間の有意性を検定した。
【0044】
【0045】
表3は、前記基本飼料または前記試験飼料を67日間給与した育成豚/肥育豚の飼料効率、枝肉歩留率、及び背中脂肪のレベルを確認した結果である。
【0046】
【0047】
前記表3から分かるように、基本飼料または試験飼料を給与してから67日目、実施例2,3または4による育成豚/肥育豚は、いずれも対照区に比べ、向上された日当たり増体量、飼料効率、枝肉歩留率、及び背中脂肪の低減を示した。特に、枝肉歩留率及び背中脂肪の低減において、実施例3及び4による育成豚/肥育豚は、対照区と有意な差を示した(*,p<0.05)。
【0048】
具体的には、ウルソール酸を更に給与した実施例2の育成豚/肥育豚において、飼料効率の向上だけではなく、枝肉歩留率上昇及び背中脂肪低減の効果を確認した。また、実施例3の育成豚/肥育豚の場合、対照区に比べ、2.46%ほど枝肉歩留率が上昇し、背中脂肪は、1.16mmほど低減された。それは、実施例2の結果に比べ、さらに向上されたものであるが、ウルソール酸の給与量に依存し、枝肉歩留率の上昇及び背中脂肪の低減の効果が向上されるということが分かった。
【0049】
併せて、ウルソール酸及びマスリン酸を給与した実施例4の育成豚/肥育豚の場合、対照区に比べ、2.1%ほど枝肉歩留率が向上され、背中脂肪は、1.30mmほど低減された。それは、前述のように、実施例2の枝肉歩留率の上昇及び背中脂肪の低減の効果に比べ、さらに向上されたものであり、特に、背中脂肪の低減においては、多量のウルソール酸を給与した実施例3に比べても、優秀なものであった。従って、ウルソール酸及びマスリン酸の給与は、枝肉歩留率上昇及び背中脂肪低減の効果をさらに向上させるということが分かった。
【0050】
試験例3.飼料添加剤の給与による肥育豚段階における仕様試験の結果
本試験例においては、前記試験例2の飼料添加剤に、必須アミノ酸成分を追加した場合、それによる飼料の効率、枝肉歩留率の上昇、及び背中脂肪の低減を確認するものである。本試験例における試験家畜は、総288頭のデュロック×ヨークシャー×ランドレース三元交配種肥育豚であり、試験開始段階において、それらの平均体重は、70.6kg±2.5kgであった。該仕様試験は、CJ第一製糖系所属であるCJ豚豚ファーム法人の農場である完州農場において、42日間実施した。試験設計としては、下記表4から分かるように、CJ第一製糖基本飼料の処理区(対照区)、前記基本飼料に、50ppmのウルソール酸及び20ppbのマスリン酸が添加された試験飼料の処理区(実施例5)、前記試験飼料に、0.13%(w/w)のリシンが添加された試験飼料処理区(実施例6)を設定した。前記試験飼料の処理区は、基本飼料に、本試験例による飼料添加剤を添加した処理区であり、前記飼料添加剤の全体重量を基準に、17,000ppmのウルソール酸、または5,500ppmのマスリン酸を含む飼料添加剤を使用した。前記飼料添加剤は、既存の天然物内ウルソール酸またはマスリン酸の含量を測定した後、それに基づき、それらの含量を調節し、必要な場合、天然物から抽出したウルソール酸またはマスリン酸を追加する方式によって製造された。また、前記試験飼料に、更に0.13%のリシンを添加し、実施例6の試験飼料を製造した。各処理区に、4回の反復試験を実施し、各試験に、24頭ずつ完全任意配置して試験を実施した。基本飼料としては、米国仕様標準指針(NRC)を基にし、2,510kcal NE(net energy(正味エネルギー))/kg、17.00重量%のタンパク質、及び0.93重量%のリシンを含む家畜用飼料を使用した。前記飼料は、粉飼料の形態で自由採食させ、水は、自動給水機を利用して提供した。その後、各時点において、試験家畜の体重及び飼料摂取量を測定し、日当たり増体量、日当たり飼料摂取量及び飼料効率を算出し、試験家畜を屠畜した後、枝肉歩留率及び背中脂肪のレベルを測定した(NE(正味エネルギー))。また、SAS(1996)のGeneral Linear Model Procedureプログラムを使用し、処理区平均間の有意性を検定した。
【0051】
【0052】
表5は、前記基本飼料または前記試験飼料を42日間給与した肥育豚の飼料効率、枝肉歩留率及び背中脂肪のレベルを確認した結果である。
【0053】
【0054】
前記表5から分かるように、基本飼料または試験飼料を給与してから42日目、実施例5の肥育豚の場合、飼料効率が向上されただけではなく、対照区に比べ、1.05%ほど枝肉歩留率が上昇し、背中脂肪は、2.23mmほど低減された。それは、試験例2で確認したウルソール酸及びマスリン酸の給与による効果を再び検証する結果である。
【0055】
また、リシンを更に給与した実施例6の肥育豚において、飼料効率の向上だけではなく、枝肉歩留率の上昇及び背中脂肪の低減の効果を確認した。具体的には、実施例6の肥育豚の場合、対照区に比べ、1.45%ほど枝肉歩留率が上昇し、背中脂肪は、0.62mmほど低減された。特に、実施例6の枝肉歩留率の向上効果は、実施例5の結果に比べ、大きく向上されたものであり、背中脂肪の低減効果も、前述の向上された枝肉歩留率を総合した考慮するとき、有意的な低減効果であると判断された。従って、リシンのような必須アミノ酸成分の追加は、飼料添加剤として給与されたウルソール酸及びマスリン酸の効果を向上させるのに寄与するということが分かった。
【0056】
前述の本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明の技術的思想や、必須な特徴を変更せずとも、他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということを理解することができるであろう。従って、以上で記述された実施例は、全ての面において例示的なものであり、限定的ではないと理解されなければならないのである。