(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007487
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/32 20060101AFI20240110BHJP
E02D 27/52 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
E02D27/32 A
E02D27/32 Z
E02D27/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023107525
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】2022/5519
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(71)【出願人】
【識別番号】520282638
【氏名又は名称】ディーム・オフショア・ベーエー・エヌ・ヴェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディーター・ヴィム・ヤン・ラボー
(72)【発明者】
【氏名】ルシエン・ロマニョーリ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・デ・ムーア
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046CA08
2D046DA05
2D046DA62
(57)【要約】
【課題】本発明は、船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法を提供する。
【解決手段】船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法について説明する。水中底部は、上部層と、その下に位置する岩石層とを含む。本方法は、内部空洞を有する第1の基礎パイルを上部層を通って岩石層上に配置するステップを含み、第1の基礎パイルは、岩石層上で支持を受ける。次いで、シャフトが、第1の基礎パイルを通って岩石層に掘削される。シャフトは、第1の基礎パイルの内部横断寸法よりも小さい横断寸法を有する。次いで、第2の基礎パイルが、シャフト内に岩石層の深さまで配置され、第2の基礎パイルの外面は、シャフト内に延在し、また、重畳長にわたって第1の基礎パイルの外面と重なる。最後に、第2の基礎パイルの外面は、シャフト壁及び第1の基礎パイルの外面に実質的に重畳長にわたって接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法であって、前記水中底部は、上部層と、前記上部層の下に位置する岩石層とを含み、前記方法は、
-内部空洞を有する第1の基礎パイルを前記上部層を通って前記岩石層上に配置するステップであって、前記第1の基礎パイルは、前記岩石層上で支持を受ける、ステップと、
-切削工具が設けられた掘削手段を前記第1の基礎パイルの前記内部空洞内で下降させ、前記掘削手段を回転させることによって、前記第1の基礎パイルを通って前記岩石層内にシャフトを掘削するステップであって、前記シャフトは、前記第1の基礎パイルの内部横断寸法よりも小さい横断寸法を有する、ステップと、
-第2の基礎パイルを前記シャフト内に前記岩石層内の所定深さまで配置するステップであって、前記第2の基礎パイルの外面は、前記シャフト内に延在し、また重畳長にわたって前記第1の基礎パイルの外面と重なる、ステップと、
-前記第2の基礎パイルの前記外面を前記シャフトの壁及び前記第1の基礎パイルの前記外面に実質的に前記重畳長にわたって接続するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
接続する前記ステップが、前記第2の基礎パイルの前記外面と前記シャフト壁との間の空間内、及び前記第2の基礎パイル及び前記第1の基礎パイルの前記外面間の空間内にセメント混合物を配置し、前記セメント混合物を硬化させることによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の基礎パイルの前記外面が内側外面であり、前記第2の基礎パイルの前記外面が外側外面である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記岩石層上に配置された前記第1の基礎パイルが、前記水中底部の前記上部層からの支持によって定位置に保持される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記岩石層上に配置された前記第1の基礎パイルが、前記船舶から下方に吊り下げられた把持構造からの支持によって定位置に保持される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記位置が、実質的に垂直である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記掘削手段が、前記第1の基礎パイルによって支持される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記掘削手段が、掘削された前記シャフトの長手方向が前記第1の基礎パイルの長手方向と実質的に同じであるように前記第1の基礎パイルによって支持される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の基礎パイルが、掘削された前記シャフトによって支持される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の基礎パイルが、掘削された前記シャフトの長手方向が前記第2の基礎パイルの長手方向と実質的に同じであるように掘削された前記シャフトによって支持される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の基礎パイル及び/または前記第2の基礎パイルの前記外面には、少なくとも前記重畳長にわたって、剪断突起部が設けられる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の基礎パイルが中空である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の基礎パイルが、50mm以上120mm以下の壁厚を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の基礎パイルの上側外端が、前記第2の基礎パイルとの接続後に水面より上に位置する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基礎パイルの上側外端に、前記第2の基礎パイルとの接続後にトランジションピースが設けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記基礎上に風力タービンを配置するステップをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記船舶が、ジャッキアッププラットフォームを備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法に関する。水中底部は、少なくとも上部層と、その下に位置する岩石層とを含む。基礎は、特に、より具体的にはモノパイルの形態の沖合風力タービン基礎を含む。しかしながら、基礎は、着陸または着陸場所、レーダータワー及び他のタワー、人工島などの他の海洋構造物のための基礎を形成するために適用することもできる。そのような用途では、基礎は、必要に応じて、水中底部内に所望のパターンで配置された多数のモノパイルを備えることができる。
【背景技術】
【0002】
沖合風力タービンまたは他の構造体の基礎は、水底との高低差を補い、風力タービンに作用するかなりの負荷を吸収しなければならない。基礎に作用する負荷は、とりわけ、基礎に作用する波力及び水面上に突出する風力タービンに作用する風力のために、かなりのものとなり得る。風力タービンの寸法が増大しているため、基礎はますます大きくなり、重くなり、したがって取り扱いがますます困難になっている。
【0003】
風力タービンの頻繁に適用される基礎は、例えば風力タービン(マスト)を取り付けることができるフランジが上側外端に設けられ得るモノパイルを備える。モノパイル上に配置された風力タービン(マスト)との接続を形成するトランジションピースをモノパイル上に取り付けることも可能である。トランジションピースを使用する場合、モノパイルは一般にフランジも有し、及び/または、テーパ状の外側端部が設けられ得る。トランジションピースは、この外側端部の上を摺動させることができ、その後、モノパイルのテーパ状の外側端部とその上を摺動するトランジションピースとの間にセメント混合物(セメント/水混合物またはグラウト)を設け、それを硬化させることによって、トランジションピースとモノパイルとが互いに接続される。中間空間に硬化セメント混合物を提供することによって、トランジションピースを円筒状モノパイルに接続することも可能である。モノパイルは、一般に、通常は鋼またはコンクリートで作られ、長さが50mを超えることができ、直径が例えば6m以上であり、重量が800トン以上であり得る、2つの開いた外側端部を有する中空の管状要素を備える。使用時には、水中底部に打ち込まれたモノパイルは、大部分が水中に位置しているが、風力タービンまたはその上に配置される他の構造体への接続を容易にするために水面上に一定の長さで突出することもできる。
【0004】
水中底部内のモノパイルの配置及び固定は、従来技術によれば、モノパイルを船舶からその上側外端によって、昇降手段、例えば昇降クレーンで持ち上げ、それを実質的に垂直な位置に置き、昇降手段から吊り下げられたモノパイルを水中の水中底部上にまたは水中底部内に下降させることによって実行することができる。次いで、モノパイルは、上側外端上の衝撃ハンマーによる衝撃によって、または例えば超音波振動を利用する他のパイル打込技術によって水中底部にさらに打ち込まれる。
【0005】
この方法を浮遊車両から実行することが可能である。このような方法をジャッキアッププラットフォームから実行することも可能である。そのようなジャッキアッププラットフォームには脚部が設けられ、それによってプラットフォームを海底に配置することができ、したがってプラットフォームは、比較的安定した位置をとる。走行時、ジャッキアッププラットフォームの脚部は、海底と接触しないように引き上げられる。
【0006】
モノパイルを配置するとき、モノパイルがその所望の角度位置を維持することを保証しなければならない。この角度位置は、特にモノパイルが一定の長さにわたって地面に配置される場合、実質的に垂直であることが好ましい。しかしながら、昇降手段から吊り下げられたモノパイルは、水流及び/または船舶の移動によって生成される波力を受ける。これにより、モノパイルの所望の角度位置を維持することが困難であることが分かっており、その結果、モノパイルが望ましくない角度位置、例えば非垂直方向に設置される可能性がある。
【0007】
この理由のために、特許文献1は、海底に配置されるテンプレートの使用を提案している。モノパイルは、テンプレートの比較的短いスリーブ内に下降され、受け入れられる。モノパイルを垂直に保つために、水中底部に対するスリーブの角度位置は、位置決め手段によって変えることができる。これにより、モノパイルをある程度垂直な角度位置に付勢することができる。この特許に記載されている方法の欠点は、各モノパイルを配置するためにテンプレートを水中底部に配置しなければならず、時間と費用がかかることである。テンプレートはさらに複雑なデバイスであり、モノパイルを垂直に保つために位置決め手段を制御しなければならない。波力を受けるモノパイルの曲げモーメントはスリーブの位置で最も高いため、テンプレートは大きな力を受ける可能性があることも考慮されるべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2019/057827号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法であって、上記及び他の欠点を少なくとも部分的に取り除く、方法を提供するという目的を有する。本発明の別の目的は、船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法であって、基礎の所望の角度位置を、その目的に合わせた追加の装置、器具またはデバイスを常に必要とすることなく達成することができる、方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、この目的のために、請求項1に記載の方法を提供する。特に、船舶から水中底部内に基礎を配置するための方法が提供され、この水中底部は、上部層と、その下に位置する岩石層とを含む。本方法は、
-内部空洞を有する第1の基礎パイルを上部層を通って岩石層上に配置するステップであって、第1の基礎パイルが岩石層上で支持を受ける、ステップと、
-切削工具が設けられた掘削手段を第1の基礎パイルの内部空洞内で下降させ、掘削手段を回転させることによって、第1の基礎パイルを通って岩石層内にシャフトを掘削するステップであって、シャフトは、第1の基礎パイルの内部横断寸法よりも小さい横断寸法を有する、ステップと、
-第2の基礎パイルをシャフト内に岩石層の深さまで配置するステップであって、第2の基礎パイルの外面は、シャフト内に延在し、また重畳長にわたって第1の基礎パイルの外面と重なる、ステップと、
-第2の基礎パイルの外面をシャフト壁及び第1の基礎パイルの外面に実質的に重畳長にわたって接続するステップと、
を含む。
【0011】
本発明の方法は、基礎パイルを所望の角度位置に配置するための改善された解決策を提案し、これは、水中底部の成層化をうまく利用し、この底部は少なくとも上部層とその下に位置する岩石層とを含む。地球上の水中底部のかなりの部分は、実際には、土壌、粘土、スラッジ、砂、砂利及び岩石などの緩いまたはあまり固化していない材料で覆われている。このいわゆる表土(または上部層とも呼ばれる被覆層)は、数センチメートルから例えば100メートル、さらには数100メートルまで大きく変化する深さを有し得る。上部層はまた、異なる特性を有する複数の副層を含み得る。本発明の文脈では、上部層は岩石層ではなく、または岩石層を含まないと述べることができる。
【0012】
本発明によれば、最終的には、配置された基礎の一部も形成する第1の基礎パイルは、二重の機能を有する。
【0013】
第1に、第1の基礎パイルは、上部層材料が掘削手段の後ろで落ちて、掘削されたシャフト内に戻ることを防止する。掘削されたシャフト内の上部層材料のそのような蓄積は、掘削されたシャフトを再度通ってドリルストリングを引き上げることをより困難にする可能性がある。上部層内の空洞及び多孔性はまた、任意選択的に適用されるフラッシング媒体の循環を妨げ、それによって、フラッシング媒体を用いて、掘削されたシャフトを介して掘削された粉砕部分を上方向に運ぶことをより困難にする可能性がある。この問題もまた、第1の基礎パイルによって回避される。
【0014】
第2に、第1の基礎パイルは、掘削手段のためのガイドとして機能する。これにより、掘削シャフトの長手方向は、第1の基礎パイルの長手方向と実質的に平行であることが達成される。換言すれば、掘削されたシャフト及び第1の基礎パイルは、長手方向に相互に位置合わせされている。第2の基礎パイルは、岩石層内に掘削されるシャフト内に配置されるため、第2の基礎パイルの長手方向もまた、第1の基礎パイルの長手方向と実質的に平行に延在する。したがって、第2の基礎パイルもまた、長手方向に第1の基礎パイルと自動的に位置合わせされ、長手方向は、全体的に実質的に垂直に延びる。
【0015】
基礎パイルを掘削されたシャフト内に配置することはそれ自体知られており、基礎パイルと掘削されたシャフトとの間の中間空間は、セメント混合物で充填され、次いで硬化される。そのような方法は、例えば、仏国特許第3107908号明細書に記載されている。この特許は、基礎パイル内に配置され、基礎パイルを通して掘削されたシャフト壁に押し付けられるいくつかの半径方向に延伸可能なフィンガが設けられる機構を記載している。このようにして、基礎パイルを、掘削されたシャフトに対して配置することができる。そのような配置は、基礎パイルとドリルシャフト壁との間の空間内に配置されたセメント混合物が、実際に中間空間の幾何学的形状を変える可能性がある力及び変位を受けることなく硬化または固化することができるためには不可欠である。これにより、まだ新しいセメント混合物に破断及び裂けが生じる可能性がある。仏国特許第3107908号明細書に記載されている方法は、その機構の使用を必要とする。さらに、その機構を有する基礎パイルの角度位置は、掘削されたシャフトに対して設定されるため、掘削されたシャフトは所望の角度位置に延在すると仮定される。掘削されたシャフトの角度位置の逸脱は、同様に基礎パイルの角度位置を逸脱させる。
【0016】
本発明によれば、追加の装置、器具またはデバイスを使用せずに第2の基礎パイルを第1の基礎パイルと位置合わせすることにより、第1の基礎パイルと第2の基礎パイルとの間の中間空間が、明確に画定される。本発明の方法は、第2の基礎パイル及び第1の基礎パイルの外面間の中間空間を、外面の接続中に最大2mm~3mm、より好ましくは最大1mm、最も好ましくは最大1mm未満で一定に保つことを可能にすることが分かった。
【0017】
本発明によれば、第2の基礎パイルの外面は、一方の側ではシャフト壁に接続され、他方の側では第1の基礎パイル及び第2の基礎パイル間の実質的な重畳長にわたって第1の基礎パイルの外面に接続される。接続は、1つのステップで、または必要に応じて時間的に分離されたいくつかのステップで実行することができる。したがって、例えば、第2の基礎パイルの外面(任意選択的にその一部)をシャフト壁に接続し、次いで第1の基礎パイルの外面にのみ接続することが可能である。
【0018】
一実施形態では、適切な接続方法は、第2の基礎パイルの外面とシャフト壁との間の中間空間、及び第2の基礎パイル及び第1の基礎パイルの外面間の中間空間内にセメント混合物を配置し、次いでセメント混合物を硬化させることを含む。セメント混合物は、それ自体既知の水/セメント混合物を意味すると理解され、グラウトとも呼ばれる。
【0019】
第2の基礎パイルを第1の基礎パイルの周りに配置することもできるが、一実施形態では、第1の基礎パイルの外面が内側外面であり、第2の基礎パイルの外面が外側外面であることが好ましい。したがって、この実施形態では、第2の基礎パイルは、第2の基礎パイルの長さの一部にわたって、すなわち重畳長にわたって第1の基礎パイル内に配置される。
【0020】
一実施形態では、本発明のさらなる利点は、岩石層上に配置された第1の基礎パイルが水中底部の上部層からの支持によって定位置に保持されることであり得る。これは、上部層が十分な深さ、例えば5mにわたって延在する場合に特に当てはまる。上部層からの支持により、第1の基礎パイルの角度位置は、第1の基礎パイルを岩石層上に配置した後の方法の種々のステップ中にほとんど変化せず、第1の基礎パイルは、岩石層上で支持を受ける。この実施形態では、波力は実際には、第1の基礎パイルの角度位置、特に垂直性にほとんど影響を及ぼさない。
【0021】
上部層の深さが、岩石層上に配置された第1の基礎パイルを定位置(所望の角度位置)に保持するのに不十分である場合、一実施形態では、岩石層上に配置された第1の基礎パイルは、船舶から下方に吊り下げられた把持構造でこれを支持することによって定位置に保持することができる。そのような把持構造は、船舶に取り付けられた支持構造、例えば、水中に吊り下げられ、任意選択的に岩石層まで吊り下げられたラダーに接続される。ラダーには、昇降手段から下方に吊り下げられた第1(または第2)の基礎パイルの周縁部に係合するように構成された把持部材が設けられている。必要に応じて、複数の把持部材をラダーの異なる深さに配置することができる。把持部材は、支持構造体、例えばラダーに対して水平面内で移動することができる。支持構造体自体、特にラダーを水平面内で移動可能にすることも可能である。また、把持部材内に受けられた基礎パイルが水中底部に対して実質的に一定の位置に配置されたままであるように、船舶に対する把持部材の動きを減衰及び/または補償することも可能である。
【0022】
本発明の方法の一実施形態では、第1の基礎パイルの角度位置は、第1の基礎パイルを上部層及び岩石層内に固定する前に、水中底部に対して水平面内で把持部材を移動させることによって任意選択的に調整される。これにより、岩石層上に配置された第1の基礎パイルを、ほぼ正しい角度位置、好ましくは垂直位置にすることができる。角度位置は、基礎パイルの長手方向を垂直方向となす角度によって決定される。
【0023】
本出願の文脈では、垂直方向は、水面に実質的に垂直に延びる方向を示す。本出願の文脈では、水平方向は、水面に実質的に平行に延びる方向を示す。
【0024】
把持構造は、第1の基礎パイルが岩石層上で支持を受けるまで、第1の基礎パイルを配置するときにのみ使用されてもよい。本方法のさらなるステップにおいて把持構造を使用し続けることも可能である。したがって、例えば、第2の基礎パイルがドリルシャフト内に下げられて配置されるときに、第2の基礎パイルに係合するために把持構造を使用することが可能である。把持構造は、好ましくは、第1の基礎パイルの配置中に、それが岩石層上で支持を受けるまで、第1の基礎パイルに係合するためにのみ使用される。
【0025】
シャフトの掘削は、任意の既知の方法で実行することができる。適切な掘削手段は、例えば、切削工具の切削作用によって地面材料が除去されるように、配置された第1の基礎パイル内で回転する細長いドリルストリングを含む。除去された地面材料は、一般に、任意選択的にドリルストリングと第1の基礎パイルとの間の中間環状空間を介して、フラッシング剤(例えば、限定されないが、水、泥、空気)を用いて上方に排出される。
【0026】
本発明の方法は、セグメントから構成された通常のドリルストリング、好ましくは中空ドリルストリングなどの任意の掘削手段を用いて実行することができる。固定手段を使用して第1の基礎パイルの内壁に対して、第1の基礎パイルの長手方向及びそれに対する垂直方向(半径方向)の両方に固定することができる掘削手段を適用することが有利であり得、掘削力は、これらの力を第1の基礎パイルに伝達することによって効果的に吸収される。
【0027】
掘削手段は、掘削中に第1の基礎パイルに受け入れられなければならないため、第1の基礎パイルは、掘削手段よりも幾分大きい横断寸法を有する。第1の基礎パイルは、好ましくは円筒形の形態をとり、好ましくはこれもまた実質的に円筒形の掘削手段を、第1の基礎パイルの長手方向に対応する方向に第1の基礎パイル内に下降させることができる。
【0028】
掘削中、ドリルヘッドは最終的に、第1の基礎パイルの下側外端部よりも水中底部に深く押し込まれ、第1の基礎パイルの下側外端部は最終的に、岩石層上に載る。少なくとも第1の基礎パイルの下に位置する領域において、岩石層への掘削中に岩石層が過度に弱化しないことを確実にすることが重要である。第1の基礎パイルが沈み込めることは実際には望ましくない。
【0029】
第1の基礎パイルは、第1の基礎パイルを回転式に上部層に「捻じ込む」回転モータ、パイルドライバ及び/または機械式もしくは音波式の発振器などの既知の手段を用いて、上部層内に配置することができる。
【0030】
第1及び第2の基礎パイルの所望の角度位置をさらに実現できるようにするために、掘削手段は、実施形態による方法において、第1の基礎パイルによって支持され、より好ましくは、掘削シャフトの長手方向が第1の基礎パイルの長手方向と実質的に同じ(一致する)ように第1の基礎パイルによって支持される。
【0031】
実施形態によるさらなる改良方法は、第2の基礎パイルが、掘削シャフトによって支持され、より好ましくは、掘削シャフトの長手方向が第2の基礎パイルの長手方向と実質的に同じ(一致する)ように掘削シャフトによって支持されるという特徴を有する。
【0032】
基礎は、最終的に、互いに接続された第1及び第2の基礎パイルと、岩石層内のドリルシャフトに接続された第2の基礎パイルとによって形成され、第1及び第2の基礎パイルは、好ましくは、第1の基礎パイルの長手方向に互いに位置合わせされる。したがって、第1及び第2の基礎パイルの寸法は、設計荷重に適合されなければならない。これは、基礎が、必要に応じて、さらに介在するトランジションピースと共に、風力タービンなどのその上に配置された構造体の荷重を支承するためである。第2の基礎パイルのドリルシャフト及び第1の基礎パイルとの接続もまた、設計荷重に適合しなければならない。これらの基礎パイル及び接続部をどのように寸法決めするかは、当業者の通常の知識の範囲内であることは明らかであろう。適切な第1の基礎パイルは、最小50mm、より好ましくは最小60mm、さらにより好ましくは最小70mm、さらにより好ましくは最小80mm、最も好ましくは最小100mmの壁厚を有する。適切な第1の基礎パイルは、最大200mm、より好ましくは最大180mm、さらにより好ましくは最大160mm、最も好ましくは最大120mmの壁厚を有する。
【0033】
第1の基礎パイル及び/または第2の基礎パイルの外面に、少なくとも重畳長にわたって剪断突起部が設けられる、本発明の一実施形態による方法を提供することが有利である。第1及び第2の基礎パイルの外面間の接続は主に剪断負荷下にあるため、剪断突起部は接続を著しく強化することが分かっている。剪断突起部は、好ましくは、第1及び第2の基礎パイルのそれぞれの2つの連続する剪断突起部を互いに接続する仮想線が35°~55°、より好ましくは40°~50°、最も好ましくは約45°の角度で延びるように配置される。
【0034】
一実施形態では、第2の基礎パイルはまた、軽量化のために中空である。
【0035】
本発明のさらなる実施形態では、第1の基礎パイルの上側外端が、第2の基礎パイルへの接続後に水面より上に位置する方法であって、第1の基礎パイルの上側外端には、第2の基礎パイルとの接続後にトランジションピースが設けられ、方法は、基礎上に風力タービンを配置するステップをさらに含み、船舶が、ジャッキアッププラットフォームを備える、方法が提供される。
【0036】
最後に、本特許出願に記載された本発明の実施形態は、これらの実施形態の任意の可能な組み合わせで組み合わせることができ、各実施形態は分割特許出願の主題を個別に形成することができることが述べられる。
【0037】
本発明の他の詳細及び利点は、船舶から水中底部に基礎を配置するためのデバイス及び方法の以下の説明から明らかになるであろう。本説明は、本発明がそれに限定されることなく、単に例として与えられる。参照番号は、添付の図面に関する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】水中底部に基礎を配置するためのデバイスの一実施形態の概略斜視図である。
【
図2A】本発明による方法の一実施形態のステップの概略側面図である。
【
図2B】本発明による方法の一実施形態のその後のステップの概略側面図である。
【
図2C】本発明による方法の一実施形態のその後のステップの概略側面図である。
【
図3A】本発明による方法の別の実施形態のステップの概略側面図である。
【
図3B】本発明による方法の別の実施形態のその後のステップの概略側面図である。
【
図3C】本発明による方法の別の実施形態のその後のステップの概略側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による基礎の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1を参照すると、水中底部2上にモノパイル3を配置するためのデバイス1が示されている。デバイスは同様に、例えば風力タービンマストのトランジションピース4などの長手方向を有する他の物体を互いにまたは別の地面に配置するのに適している。図示のデバイス1は、自律的にナビゲートすることができ、水中底部2上にいくつかのスパッドポール50を下降させることによって所望の位置に配置及び固定することができるジャッキアッププラットフォーム5を備える。この目的のために、スパッドポール50は、
図1に示すように、歯付きホイールドライブ(または他の機構)によって水中底部に対して下方に移動され、それによってさらにプラットフォーム5は、水中から持ち上げられる。この位置では、プラットフォーム5の作業デッキ51は、水面20の数メートル上に位置することができる。スパッドポール50には、水中底部2へのスパッドポール50の貫通を防止するための脚部52が設けられている。
【0040】
プラットフォーム5の作業デッキ51上には、例えばいくつかのトランジションピース4、第1のモノパイル3及び第2のモノパイル7などの配置される構成要素が設けられる。ジャッキアッププラットフォーム5の作業デッキ51には、かなりの力を吸収する目的で、ダブルブーム(60a,60b)を有するクレーン6の形態の昇降手段がさらに設けられている。クレーン6は、実質的に垂直な軸62を中心に基部61の周りで回転可能である。クレーン6には、ウインチ(図示せず)を使用してクレーン6の上部65上に出し入れすることができる吊上ケーブル(63a,63b)のセットが設けられ、このケーブルのセットには、自由外端に、モノパイル(3,7)が使用時にそこから吊り下げられるフックを有する吊上ブロック66が、設けられている。第1のモノパイル及び第2のモノパイル(3,7)には、この目的のために、必要に応じて取り外し可能な吊り上げ構造を持上点(33,73)に設けることができる。ブーム(60a,60b)の角度位置は、必要に応じて、上部65を基部61に接続する牽引ケーブル(64a,64b)のセットによって調整することができる。牽引ケーブル(64a,64b)も同様に、ウインチ(図示せず)を使用して出し入れすることができる。
【0041】
プラットフォーム5の作業デッキ51は、クレーン6とは別個の把持構造10をさらに備えることができる。把持構造10は、クレーン6から吊り下げられた第1及び/または第2のモノパイル(3,7)の1以上の周辺部分(32,72)と把持アーム101を係合させるように構成される。把持構造10は、ジャッキアッププラットフォーム5(の作業デッキ51)にラダー構造100によって接続される。ラダー構造100は、水中底部2に向かって実質的に垂直方向に下方に延在し、任意選択的に、ラダー構造100が水中底部2上で支持されることを可能にするのに十分な長さを有することができる。把持アーム101は、ラダー構造100の決定された深さに配置される。必要に応じて、複数の把持アームをラダー構造100に沿って設けることもでき、これらは必要に応じてラダー構造100に沿って変位可能である。この実施形態では、ジャッキアッププラットフォーム5は、把持構造10のための安定した支持構造体として機能する。
【0042】
図2A~
図2Cを参照すると、その一実施形態による本発明の方法のいくつかのステップが示されている。水中底部2は、上部層2aと、その下に位置する岩石層2bとを含むことを述べることが重要である。上部層2aは、粘土、砂、スクリュー、ロームなどの岩石よりも柔らかい材料からなる。
図2Aに示すように、第1のステップでは、第1の基礎パイル3がクレーン6によって取り上げられ、上部層2aを通って岩石層2b上に配置される。内部空洞3aを有する第1の基礎パイル3を上部層2aを通って送り出すことは、当業者に知られている任意の方法で、例えばパイル打ちによって実施することができる。上部層2aは比較的柔らかいため、第1の基礎パイル3を配置してもあまり問題はないことが分かっている。第1の基礎パイル3は、第1の基礎パイル3が岩石層2b上で支持を受けるまで、上部層2aを通って下降される。ここで、第1の基礎パイル3の下側外端は、岩石層2b上に配置される。ここでは、第1の基礎パイル3が短い距離にわたって岩石層2b内に貫通し得ることは排除されないが、この距離は最小限となる。図示の実施形態では、上部層2aの厚さが比較的制限されているため、第1の基礎パイル3は、把持構造10の把持部材101によって支持することができる。把持構造10のラダー100は、ここでは上部層2a内に延在する。これは必須ではなく、ラダー100は水中のみに延びていてもよいし、または岩石層2b上まで延びていてもよい。第1の基礎パイル3の支持は、上部層2aを通って下降する間だけでなく、
図2Bに示すシャフト9の掘削などの連続する方法ステップ中に行うこともできる。
【0043】
図2Bによれば、次いで、シャフト9が、配置された第1の基礎パイル3を通って岩石層2b内に掘削される。これは、第1の基礎パイル3の内部空洞3a内に(切削工具が装備された)ドリルヘッド80が設けられた掘削手段8を下降させることによって行われる。ドリルヘッド80を回転させることによって、シャフト9が形成され、このシャフトは、所望の深さにわたって岩石層2b内に延在する。ドリルヘッド80は、第1の基礎パイル3を通って配置されているため、掘削されたシャフト9の横断寸法90は、第1の基礎パイル3の内部横断寸法よりも小さい。これにより、第1の基礎パイル3は、岩石層2b上に支持されたままであり、下方に沈下しない。
図2Bに示す方法ステップでは、第1の基礎パイル3を把持構造10で支持することもできる。
【0044】
図2Cによれば、第2の基礎パイル7が、次のステップにおいて、掘削されたシャフト9内に配置される。これは、岩石層2bの深さ70まで行われ、第2の基礎パイル7の外面は、シャフト9内に延びるが、重畳長71にわたって第1の基礎パイル3の外面とも重なる。
【0045】
同様に
図2Cに概略的に示すように、第2の基礎パイル7の外面は、好ましくは第2の基礎パイル7の外面とシャフト壁9との間の空間にセメント混合物を配置することによって、長さ70にわたってシャフト9の壁に接続される。セメント混合物はまた、重畳長71にわたって、第2の基礎パイル7及び第1の基礎パイル3の外面間の空間内に挿入される。次いで、セメント混合物は、第1の基礎パイル3及び第2の基礎パイル7が重畳長71にわたって互いに構造的に接続されるように硬化される。これにより、第2の基礎パイル7はまた、ドリルシャフト9の内壁に構造的に接続される。その結果、互いに構造的に接続された2つの入れ子式基礎パイル(3,7)から構築された基礎が得られる。こうして形成された基礎から水中底部2への力の伝達は、異なるレベルで行われる。第1及び第2の基礎パイル(3,7)の外面とドリルシャフト壁とによって生成される剪断応力に加えて、第1の基礎パイル3は、岩石層2b上で支持を受け、第2の基礎パイル7は、ドリルシャフト9の下側で支持を受けることができる。力の伝達はまた、第1の基礎パイル3の外面と上部層2aとの間の剪断応力を介して、第1の基礎パイル3と上部層2aとの間で行われる。
【0046】
本方法の別の実施形態を
図3A~
図3Cに示す。この実施形態では、岩石よりも柔らかい材料からなる上部層2aの深さは、水中底部2のこの上部層2aからの支持によって第1の基礎パイル3を適所に保持するのに十分に深いので、把持構造10は使用されない。この位置は、好ましくは実質的に垂直である。
【0047】
図3Aに示すように、第1のステップでは、第1の基礎パイル3がクレーン6によって取り上げられ、上部層2aを通って岩石層2b上に配置される。この実施形態では、内部空洞3aを有する第1の基礎パイル3を上部層2aを通って移動させることもまた、当業者に知られている任意の方法で、例えばパイル打ちによって実施することができる。上部層2aが比較的柔らかいことが分かっているため、第1の基礎パイル3を配置することは、
図2A~
図2Cの例よりも上部層2aが厚くなっていても、あまり多くの問題を引き起こさないことが分かっている。第1の基礎パイル3は、第1の基礎パイル3が岩石層2b上で支持を受けるまで、上部層2aを通って下降される。ここで、第1の基礎パイル3の下側外端は、岩石層2b上に配置される。ここでは、第1の基礎パイル3が短い距離にわたって岩石層2b内に貫通し得ることも排除されないが、この距離は最小限となる。図示の実施形態では、上部層2aの厚さが比較的大きいため、第1の基礎パイル3は、把持構造10の把持部材101によって支持される必要はなく、把持部材は、ラダー構造100によって水中の特定の深さまで運ばれている。プラットフォーム5の位置にあり、把持部材111がその側面に設けられた位置決め構造11によって、第1の基礎パイル3を上側でのみ保持するだけでよい。第1の基礎パイル3は、第1の基礎パイル3の所望の角度位置、特に垂直度を設定できるように、その上側でのみ把持部材111と係合される。この目的のために、把持部材111は、水平面内で、好ましくはその位置を水中底部2に対して安定に保つことができるように移動することができる。したがって、水中底部2に対するプラットフォーム5の任意の動きが、補償される。第1の基礎パイル3の支持は、上部層2aを通って下降する間だけでなく、
図3Bに示すシャフト9の掘削などの連続する方法ステップ中に行うこともできる。位置決め構造11の利点は、第1の基礎パイルが岩石層2b上に配置された後に簡単な方法で除去することができ、例えば掘削中にもはや使用する必要がないことである。
【0048】
図3Bによれば、シャフト9が、配置された第1の基礎パイル3を通って岩石層2b内に掘削される。これは、第1の基礎パイル3の内部空洞3a内に(切削工具が装備された)ドリルヘッド80が設けられた掘削手段8を下降させることによって行われる。ドリルヘッド80を回転させることによって、シャフト9が形成され、このシャフトは、所望の深さにわたって岩石層2b内に延在する。ドリルヘッド80は、第1の基礎パイル3を通って配置されているため、掘削されたシャフト9の横断寸法90は、第1の基礎パイル3の内部横断寸法よりも小さい。これにより、本実施形態では、第1の基礎パイル3も、岩石層2b上に支持されたままであり、下方に沈下しない。
図3Bに示す方法ステップでは、必要に応じて第1の基礎パイル3の上側外端も位置決め構造11で支持することができる。
【0049】
図3Cによれば、第2の基礎パイル7が、次のステップにおいて掘削されたシャフト9内に配置される。これは、岩石層2bの深さ70’まで行われ、第2の基礎パイル7の外面は、シャフト9内に延在するが、重畳長71’にわたって第1の基礎パイル3の外面とも重なる。第2の基礎パイル7が岩石層2bに挿入される長さ70’は、
図2A~
図2Cに示す実施形態における挿入長さ70よりも小さくてもよく、これは、上部層2aの厚さが
図2A~
図2Cよりも大きくなり、それによってより多くの支持を提供するためである。
【0050】
同様に
図3Cに概略的に示すように、第2の基礎パイル7の外面は、好ましくは第2の基礎パイル7の外面とシャフト壁9との間の空間内にセメント混合物を配置することによって、長さ70’にわたってシャフト9の壁に接続される。セメント混合物はまた、重畳長71’にわたって、第2の基礎パイル7及び第1の基礎パイル3の外面間の空間に挿入される。次いで、セメント混合物は、第1の基礎パイル3及び第2の基礎パイル7が重畳長71’にわたって互いに構造的に接続されるように硬化される。これにより、第2の基礎パイル7はまた、ドリルシャフト9の内壁に構造的に接続される。
図2A~
図2Cに示す実施形態のように、これは、互いに構造的に接続された2つの入れ子式基礎パイル(3,7)から構築される基礎を作りだす。このようにして形成された基礎から水中底部2への力の伝達は、
図2A~
図2Cの文脈において既に上で説明したように、ここでも異なるレベルで行われる。
【0051】
このようにして形成された基礎の一実施形態が、
図4及び
図5にさらに示されている。
図4は、第2の基礎パイル7が、例えば上述のグラウト接続によってその中に受け入れられ、固定される、第1の基礎パイル3のアセンブリとして形成された基礎を示す。必要に応じて、基礎にはトランジションピース4を設けることができ、トランジションピースは、第1の基礎パイル3の外側端部上で摺動され、例えばグラウト接続部43でそれに固定される。トランジションピース4には、既知の方法でプラットフォーム40を設けることができる。
【0052】
図5の断面は、第2の基礎パイルの直径74が第1の基礎パイル3の直径34よりも小さいことを示している。
図6にさらに説明するように、ドリルシャフト9の直径90が第1の基礎パイル3の内径34よりも小さいため、第1の基礎パイル3は、岩石層2b上で支持される。第2の基礎パイル7の直径74は、さらに、ドリルシャフト直径90よりも小さい(したがって、第1の基礎パイル3の内径34よりも小さい)。これにより、一方では第2の基礎パイル7とドリルシャフト壁9との間に中間空間79が作りだされ、他方では第2の基礎パイル7(の外周壁)と第1の基礎パイル3(の内周壁)との間に中間空間37が作りだされる。2つの中間空間(79,37)は、後で硬化されるセメント混合物で少なくとも部分的に、好ましくは全体的に充填される。さらに、
図6では、第2の基礎パイル7(の外周壁)及び第1の基礎パイル3(の内周壁)には、第1の基礎パイル及び第2の基礎パイル(3,7)間の剪断強度を高めるために、それぞれの剪断突起部75及び35が設けられていることが分かる。
図6は、比較的柔らかい上部層2aを、その特性が異なり得る副層(2a’、2a”)から構成することもできることをさらに示す。したがって、例えば、副層2a”が副層2a’よりも硬いことが可能である。
【0053】
本発明の方法は、水中底部内に基礎を配置するのに特に適しており、その水中底部は、比較的柔らかい上部層と、その下に位置する岩石層とを有する。そのような上部層はまた、被覆層または表土という用語で呼ばれる。本発明の方法を適用することにより、それ自体あまり硬くない水中底部内で堅い基礎を得ることができる。
【0054】
本発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内であれば、多くの変更が加えられ得る。
【符号の説明】
【0055】
1 デバイス、2 水中底部、2a 上部層、2a’,2a’’ 副層、2b 岩石層、3 基礎パイル,モノパイル、3a 内部空洞、4 トランジションピース、5 ジャッキアッププラットフォーム、6 クレーン、7 基礎パイル,モノパイル、8 掘削手段、9 ドリルシャフト壁,ドリルシャフト、10 把持構造、11 位置決め構造、20 水面、32 周辺部分、33 持上点、34 内径、37 中間空間、40 プラットフォーム、43 グラウト接続部、50 スパッドポール、51 作業デッキ、52 脚部、60a,60b ダブルブーム、61 基部、62 軸、63a,63b 吊上ケーブル、64a,64b 牽引ケーブル、65 上部、66 吊上ブロック、70 深さ、70’ 深さ、71 重畳長、71’ 重畳長、72 周辺部分、73 持上点、75 剪断突起部、79 中間空間、80 ドリルヘッド、90 ドリルシャフト直径,横断寸法、100 ラダー構造、101 把持部材,把持アーム、111 把持部材
【外国語明細書】