(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074884
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】フィーダ
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059284
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2022072120の分割
【原出願日】2016-09-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】大橋 広康
(72)【発明者】
【氏名】杉本 浩一朗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 明
(57)【要約】
【課題】種々のテープに対し確実にオートローディングが可能なフィーダを提供する。
【解決手段】フィーダ21のテープ搬送路38には、突出する部品収納部901dを有するキャリアテープ910の搬送時に当該部品収納部901dを通す溝38Aが形成される。そして、溝38A内には、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910が後部側スプロケット64に至るまで、当該キャリアテープ910が突出する部品収納部901dを有するときは当該キャリアテープ910の下面で押圧されて下方に変形するテープ下面付勢部材110が設けられる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープ及びそれとは異なり下方に突出する部品収納部を有するエンボステープを択一的に挿入するテープ挿入部が後部に形成され、択一的に挿入された前記キャリアテープまたは前記エンボステープを排出するためのテープ排出部が前部に形成されたフィーダ本体と、
前記テープ挿入部と前記テープ排出部の間に設けられ、前記キャリアテープまたは前記エンボステープのどちらのカバーテープも剥離可能なテープ剥離装置と、
を備えるフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納されたキャリアテープを搬送するためのフィーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、テープ挿入部に挿入されるキャリアテープの存在の有無を検出するテープ検出センサを備えるオートローディング方式のフィーダが記載されている。このテープ検出センサは、テープ搬送路に向けて付勢されたV字型の板バネと、板バネの中央に設けた光路遮断板で光路が遮断可能な光センサとを備える。このテープ検出センサでは、キャリアテープが板バネを上下動させることにより、光センサに光が遮断又は入射されるので、キャリアテープの存在の有無を検出できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オートローディング方式のフィーダには、比較的小型の部品の収納が可能なキャリアテープ(以下、キャリアテープという)のみならず、比較的大型の部品の収納が可能な下方に突出する部品収納部を有するキャリアテープ(以下、エンボステープという)の供給が可能なものがある。そのようなフィーダのテープ搬送路には、エンボステープの部品収納部を通す溝が形成される。
【0005】
このテープ搬送路において、キャリアテープの種類によっては、オートローディングの動作を開始できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたもので、種々のテープに対し確実にオートローディングが可能なフィーダを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のフィーダは、キャリアテープ及びそれとは異なり下方に突出する部品収納部を有するエンボステープを択一的に挿入するテープ挿入部が後部に形成され、択一的に挿入された前記キャリアテープまたは前記エンボステープを排出するためのテープ排出部が前部に形成されたフィーダ本体と、前記テープ挿入部と前記テープ排出部の間に設けられ、前記キャリアテープまたは前記エンボステープのどちらのカバーテープも剥離可能なテープ剥離装置が設けられる。
【0008】
これにより、種々のテープに対し確実にオートローディング動作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施に好適な部品実装機の全体平面図である。
【
図2】キャリアテープ及びエンボステープの上面図である。
【
図3A】
図2に示すキャリアテープのA-A線断面図である。
【
図3B】
図2に示すエンボステープのA-A線断面図である。
【
図4】本発明の実施の形態を示すフィーダの分解側面図である。
【
図6】
図5に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の周辺を拡大した詳細図である。
【
図7】
図6に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の周辺のB-B線断面図である。
【
図8】フィーダの作動前の状態であり、操作レバーが下がった状態を示す作動状態図である。
【
図9】操作レバーを持ち上げた状態を示す作動状態図である。
【
図10】
図9に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の間のテープ搬送路にキャリアテープを挿入したときの拡大図である。
【
図11】
図10に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の周辺のC-C線断面図である。
【
図12】
図9に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の間のテープ搬送路にエンボステープを挿入したときの拡大図である。
【
図13】
図12に示すテープ下面付勢部材及びテープ上面付勢部材の周辺のC-C線断面図である。
【
図14】操作レバーを下げてキャリアテープを搬送する状態を示す作動状態図である。
【
図15】従来のテープ搬送路にキャリアテープを挿入したときの状態を示す図である。
【
図16】
図15に示すテープ搬送路の周辺のD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(部品実装機の構成)
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、フィーダ21を備えた部品実装機100を示し、部品実装機100は、基板搬送部10、部品供給部20、部品装着部40、リール保持部50及びそれらを制御する制御装置200を有する。なお、以下の説明においては、基板の搬送方向をX軸方向とし、X軸方向に直角な水平方向をY軸方向とする。
【0011】
図1に示すように、部品供給部20は、複数のスロット20aと、各スロット20aに着脱可能に装着される複数のフィーダ21とから構成される。スロット20aは、部品供給部20に、X軸方向に複数並列に設けられる。リール保持部50には、キャリアテープ900(
図2、
図3A参照)又は後述するエンボステープ910(
図2、
図3B参照)が巻回された第1リール810及び第2リール820が交換可能に保持される。第1リール810と第2リール820は、Y方向に並列して1つずつ配設されるとともに、各フィーダ21に対応してX方向に複数配設される。
【0012】
詳細は後述するが、各フィーダ21には、第1リール810及び第2リール820に巻回されたキャリアテープ900又はエンボステープ910が、挿入可能となっている。そして、一方のリール810(820)に巻回されたキャリアテープ900又はエンボステープ910がフィーダ21によってフィーダ21の先端部に設けられた部品取出位置21aに順次搬送される。これにより、当該キャリアテープ900又はエンボステープ910に保持された部品が部品取出位置21aに位置決めされる。また、他方のリール820(810)に巻回されたキャリアテープ900又はエンボステープ910は、フィーダ21によって送給されずに待機している。
【0013】
なお、以下においては、説明の便宜上、搬送中(使用中)のキャリアテープ900又はエンボステープ910と、待機中のキャリアテープ900又はエンボステープ910とを区別するために、前者を第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910A、後者を第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bと称することがある。この場合、第1キャリアテープ又は第1エンボステープに収納された部品がすべて使用された後は、第2キャリアテープ又は第2エンボステープが第1キャリアテープ又は第1エンボステープとなることから、第1キャリアテープ又は第1エンボステープ、第2キャリアテープ又は第2エンボステープは、特定のキャリアテープ又はエンボステープを指すものではない。
【0014】
図2、
図3A及び
図3Bに示すように、キャリアテープ900及びエンボステープ910には、複数の電子部品等の部品が一列に収納される。キャリアテープ900は、ベーステープ901、カバーテープ902、ボトムテープ903とから構成される。エンボステープ910は、ベーステープ904、カバーテープ902とから構成される。ベーステープ901,904は、紙材や樹脂等の柔軟な材料でそれぞれ構成される。キャリアテープ900のベーステープ901の幅方向の中央部には、長さ方向に一定間隔をおいて貫通穴901aが形成される。エンボステープ910のベーステープ904の幅方向の中央部には、長さ方向に一定間隔をおいて下方に凹んだエンボス部904aが形成される。そして、ベーステープ901,904の側部には、長さ方向に一定間隔をおいて、係合穴901bがそれぞれ貫通形成される。
【0015】
図3Aに示すように、キャリアテープ900は、比較的小型の部品を収納するため、ボトムテープ903は平坦に形成され、このボトムテープ903とベーステープ901の貫通穴901aとカバーテープ902との間に形成される部品収納部901cに部品が収納される。また、
図3Bに示すように、エンボステープ910は、比較的大型の部品を収納するため、ベーステープ904のエンボス部904aとカバーテープ902との間に形成される部品収納部901dに部品が収納される。
【0016】
図2に示すように、カバーテープ902の両側部は、接着材902aによってベーステープ901,904上面の両側部にそれぞれ接着され、通常は、カバーテープ902は、部品収納部901c,901dの上部をそれぞれ閉塞する。このカバーテープ902によって、収納部901c,901dに収納された部品の飛び出しが防止される。カバーテープ902は、透明な高分子フィルムによって構成される。また、
図3Aに示すように、キャリアテープ900のベーステープ901の下面には、ボトムテープ903が接着される。このボトムテープ903によって、部品収納部901cに収納された部品の脱落が防止される。ボトムテープ903は、透明又は半透明の紙材や高分子フィルム等で構成される。
【0017】
図1に示すように、基板搬送部10には、部品装着部40の基台41上に、それぞれ一対のガイドレール13a,13bが設けられる。また、基板搬送部10には、これらガイドレール13a,13bによりそれぞれ案内される基板Bを支持して搬送する図略のコンベアベルトと、所定位置に搬送された基板Bを持ち上げてクランプする図略のクランプ装置が設けられる。部品が実装される基板Bは、基板搬送部10のガイドレール13a,13bにより案内されつつコンベアベルトにより、X軸方向に部品実装位置まで搬送される。部品実装位置に搬送された基板Bは、クランプ装置によって部品実装位置に位置決めクランプされる。
【0018】
部品装着部40は、ガイドレール42、Y軸スライド43、X軸スライド45、図略の吸着ノズルを保持した部品装着ヘッド48を有している。Y軸スライド43及びX軸スライド45は、図略のY軸サーボモータ及びX軸サーボモータにより、Y軸方向及びX軸方向への移動が制御される。ガイドレール42及びY軸スライド43によって、Y軸ロボットが構成される。ガイドレール42は、基台41上にY軸方向に装架されて基板搬送部10の上方に配設される。Y軸スライド43は、ガイドレール42に沿ってY軸方向に移動可能に設けられる。Y軸スライド43は、図略のY軸サーボモータにより、ボールねじ機構を介してY軸方向に移動される。
【0019】
X軸スライド45により、X軸ロボットが構成される。X軸スライド45は、Y軸スライド43に、X軸方向に移動可能に設けられる。Y軸スライド43には、図略のX軸サーボモータが設けられる。このX軸サーボモータにより、ボールねじ機構を介してX軸スライド45がX軸方向に移動される。X軸スライド45には、部品装着ヘッド48が設けられる。部品装着ヘッド48は、複数の吸着ノズル(図示せず)を着脱可能に保持している。吸着ノズルは、部品取出位置21aに搬送された部品を吸着して、基板搬送部10によって部品実装位置に位置決めされた基板B上に装着する。
【0020】
X軸スライド45上には、基板カメラ46が取付けられる。基板カメラ46は、基板実装位置に位置決めされた基板Bに設けられた基準マーク、あるいは部品取出位置21aに搬送された部品等を上方より撮像し、基板位置基準情報及び部品位置情報等を取得する。また、基台41上には、吸着ノズルによって吸着された部品を下方より撮像可能な部品カメラ47が設けられる。
【0021】
制御装置200は、フィーダ21を制御するものであり、後述するフィーダ21の第1サーボモータ22及び第2サーボモータ23の回転を制御する。制御装置200は、マイクロプロセッサや、サーボモータ22、23に駆動電流を供給するドライバを有している。フィーダ21が、部品供給部20のスロット20aに装着されると、図略の通信コネクタを介して部品実装機100の本体側からフィーダ21側に電力が供給されるとともに、フィーダID等の必要な情報がフィーダ21側から部品実装機100の制御装置200に送信される。これにより、フィーダ21のシリアルIDに基づいて、フィーダ21に装填されたキャリアテープ900によって送られる部品の情報が取得され、制御装置200に記憶される。
【0022】
(フィーダの構成)
次に、フィーダ21の構成を、
図4~
図7を用いて説明する。フィーダ21は、主に、フィーダ本体21b、テープ搬送路としてのレール38、入口押さえ部材32、前部側スプロケットとしての第1スプロケット61及び第2スプロケット62、後部側スプロケットとしての第3スプロケット63及び第4スプロケット64等から構成される。なお、
図4及び
図5は、フィーダ本体21bの一方(
図4及び
図5の奥側)の側壁21ba(
図7参照)を残し、他方(
図4及び
図5の手前側)の側壁21bb(
図7参照)を除去して、フィーダ21の内部構造が視認できるようにしている。
【0023】
図4に示すように、フィーダ本体21bは、扁平な箱形である。フィーダ本体21bには、キャリアテープ900又はエンボステープ910を挿入するためのテープ挿入部21dが後部に形成され、キャリアテープ900又はエンボステープ910を排出するためのテープ排出部21eが前部に形成される。テープ挿入部21dは、テープ搬送路(レール)38の幅と同一の幅を有するテープ搬送路38の入口として形成され、テープ排出部21eは、テープ搬送路38の幅と同一の幅を有するテープ搬送路38の出口として形成される。
【0024】
テープ搬送路38は、キャリアテープ900又はエンボステープ910をフィーダ本体21bの後方から前方に向かって搬送するために、テープ挿入部21d及びテープ排出部21eと連通するようにフィーダ本体21bの両側壁21ba,21bb間に設けられる。テープ搬送路38の前部38aは、水平に形成される。本実施形態では、テープ搬送路38は、その後部から前部38aの手前まで徐々に高くなるように傾斜している。なお、図示はしていないが、テープ搬送路38の両側には、キャリアテープ900(エンボステープ910)の幅寸法よりも僅かに大きい寸法で離間したガイド部が設けられる。
【0025】
図4~
図7に示すように、テープ搬送路38には、エンボステープ910の部品収納部901dを通す溝38Aが形成される。この溝38A内には、テープ挿入部21dから後述するストッパー部材31まで延びる帯状の板バネ(弾性体)でなるテープ下面付勢部材110が設けられる。テープ下面付勢部材110は、溝38Aの上縁より僅かに高い位置で当該上縁に沿うように配置され、前端部が下方にL字状に曲折されて先端部が溝38Aの底面に図略のネジ等で固定され、後端部が自由端で下方に僅かに曲折される。後端部が下方に曲折される理由は、テープ搬送路38に挿入されるテープ先端を、テープ下面付勢部材110の後端部に突き当てずにテープ下面付勢部材110の上面にスムーズに案内するためである。
【0026】
テープ下面付勢部材110は、上述のように片持ち梁構造となっているので、テープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入されるテープがキャリアテープ900の場合、キャリアテープ900の先端部が第4スプロケット64に至るまで、ボトムテープ903の下面を上方に付勢する(
図11参照)。また、テープ下面付勢部材110は、テープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入されるテープがエンボステープ910の場合、エンボステープ910の先端部が第4スプロケット64に至るまで、ボトムテープ904のエンボス部904aの下面で下方に押圧されて変形する(
図13参照)。
【0027】
図4及び
図5に示すように、入口押さえ部材32は、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900又はエンボステープ910をテープ搬送路38に向けて押さえるもので、テープ挿入部21dに近接してテープ搬送路38の後部上面に沿って配置され、テープ搬送路38に対し離接可能に設けられる。入口押さえ部材32は、下流側押さえ部材33の後部から下方に、一対のシャフト34-2を介して、上下方向移動可能に取り付けられる。一対のシャフト34-2には、入口押さえ部材32を下方に付勢するスプリング35-2が取り付けられる。
【0028】
図4~
図7に示すように、入口押さえ部材32の下面には、テープ下面付勢部材110と対向して後述する第3ドッグ86(本発明の「検知装置」に相当)の配置位置手前まで延びる帯状の板バネ(弾性体)でなるテープ上面付勢部材111が設けられる。テープ上面付勢部材111は、後端部が入口押さえ部材32の下面に図略のネジ等で固定され、前端部が下方にL字状に曲折されて先端部が自由端としてテープ下面付勢部材110に当接される。
【0029】
テープ上面付勢部材111は、上述のように片持ち梁構造となっているので、テープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入され、テープ下面付勢部材110上を通ってくるキャリアテープ900又はエンボステープ910の上面を下方に付勢する。すなわち、キャリアテープ900又はエンボステープ910の先端は、テープ下面付勢部材110に当接されているテープ上面付勢部材111を押し上げ、テープ下面付勢部材110とテープ上面付勢部材111との間に入り込む。これにより、テープ上面付勢部材111は、キャリアテープ900又はエンボステープ910の上面を下方に付勢する。
【0030】
ここで、背景技術で説明したように、キャリアテープ900が撓み易いと、キャリアテープ900をテープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入するとき、
図15に示すように、キャリアテープ900が幅方向に捩れ、
図16に示すように、キャリアテープ900の片側部がテープ搬送路38の溝38A内に脱落することがある。この状態では、キャリアテープ900の先端は、第3ドッグ86に当接して第3ドッグ86を回動させることができず、後述する第3センサ85(
図5参照)(本発明の「検知装置」に相当)でキャリアテープ900が所定位置に挿入されたことを検出できない。
【0031】
しかし、本実施形態では、
図6及び
図7に示すように、テープ搬送路38の溝38A内には、テープ下面付勢部材110が設けられ、入口押さえ部材32の下面には、テープ上面付勢部材111が設けられる。これにより、キャリアテープ900が撓み易くても、キャリアテープ900をテープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入するとき、キャリアテープ900はテープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれる。
【0032】
よって、キャリアテープ900は片側部がテープ搬送路38の溝38A内に脱落することを防止でき、また、エンボステープ910はテープ搬送路38上をスムーズに移動できるので、キャリアテープ900又はエンボステープ910の各先端は、第3ドッグ86に当接して第3ドッグ86を回動させ、第3センサ85でキャリアテープ900又はエンボステープ910が所定位置に挿入されたことを検出できる。
【0033】
上述のように、キャリアテープ900は、テープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれたとき、テープ搬送路38の上面から浮き上がらずに当該上面に沿って移動する必要がある。また、エンボステープ910は、テープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれたとき、エンボス部904aでテープ下面付勢部材110を下方に変形させた状態でテープ搬送路38の上面から浮き上がらずに当該上面に沿って移動する必要がある。このため、テープ下面付勢部材110の弾性率は、テープ上面付勢部材111の弾性率よりも小さくなるように形成される。
【0034】
図4及び
図5に示すように、下流側押さえ部材33は、入口押さえ部材32の下流側においてキャリアテープ900又はエンボステープ910を押さえるもので、テープ搬送路38に対し離接可能に設けられる。下流側押さえ部材33は、フィーダ本体21bに取り付けられた第1支持部材30-1及び第2支持部材30-2に、シャフト34-1を介して、上下方向移動可能に取り付けられる。シャフト34-1には、下流側押さえ部材33を下方に付勢するスプリング35-1が取り付けられる。
【0035】
図4に示すように、第1スプロケット61及び第2スプロケット62は、テープ搬送路38の前部38aの下方のフィーダ本体21bに、つまり、フィーダ本体21bの部品取出位置21aに隣接する位置に、前方から後方(搬送方向下流側から上流側)に向かってそれぞれ回転可能に設けられる。第3スプロケット63及び第4スプロケット64は、テープ搬送路38の後部の下方のフィーダ本体21bに、前方から後方に向かってそれぞれ回転可能に設けられる。
【0036】
第1スプロケット61、第2スプロケット62、及び第3スプロケット63のそれぞれの外周には、一定角度をおいて、係合突起61a、62a、63aがそれぞれ全周に亘って形成される。第4スプロケット64の外周の一部には、180度の間隔をおいて係合突起64aが設けられる。すなわち、第4スプロケット64の係合突起64aの各間には、係合突起が形成されていない部分が存在している。それぞれの係合突起61a~64aは、キャリアテープ900又はエンボステープ910の係合穴901bと係合可能である。
【0037】
第1スプロケット61~第4スプロケット64の外周部よりも内側には、それぞれ、第1スプロケットギヤ61b、第2スプロケットギヤ62b、第3スプロケットギヤ63b、第4スプロケットギヤ64bが形成される。なお、テープ搬送路38の各スプロケット61~64の上方には、図略の窓穴が設けられ、この窓穴から各係合突起61a~64aがテープ搬送路38内に突入している。
【0038】
第1サーボモータ22は、第1スプロケット61及び第2スプロケット62を回転させるモータである。第1サーボモータ22の回転軸22aには、第1ドライブギヤ22bが設けられる。第1ギヤ24は、第1スプロケット61及び第2スプロケット62の下方のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第1ギヤ24に外周には、第1ドライブギヤ22bと噛合する第1外側ギヤ24aが形成される。第1ギヤ24の外周よりも内側には、第1内側ギヤ24bが形成される。
【0039】
第2ギヤ25は、第1スプロケット61及び第2スプロケット62と第1ギヤ24の間のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第2ギヤ25は、第1スプロケットギヤ61b、第2スプロケットギヤ62b、及び第1内側ギヤ24bと噛合している。このような構成によって、第1サーボモータ22の回転が減速されて第1スプロケット61及び第2スプロケット62に伝達され、第1スプロケット61及び第2スプロケット62が同期して回転する。
【0040】
第2サーボモータ23は、第3スプロケット63及び第4スプロケット64を回転させるモータである。第2サーボモータ23の回転軸23aには、第2ドライブギヤ23bが設けられる。第3ギヤ26は、第3スプロケット63及び第4スプロケット64の下方のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第3ギヤ26に外周には、第2ドライブギヤ23bと噛合する第3外側ギヤ26aが形成される。第3ギヤ26の外周よりも内側には、第3内側ギヤ26bが形成される。
【0041】
第4ギヤ27は、第3スプロケット63及び第4スプロケット64と第3ギヤ26の間のフィーダ本体21bに回転可能に設けられる。第4ギヤ27は、第3スプロケットギヤ63b、第4スプロケットギヤ64b、及び第3内側ギヤ26bと噛合している。このような構成によって、第2サーボモータ23の回転が減速されて第3スプロケット63及び第4スプロケット64に伝達され、第3スプロケット63及び第4スプロケット64が同期して回転する。
【0042】
図5に示すように、操作レバー51は、フィーダ本体21bの後部のテープ挿入部21dより上方で後方に突出するように設けられ、ピボット52を中心にして回動可能に支持される。レバー操作用把持部57(
図4も参照)は、操作レバー51より上方でフィーダ本体21bの後部から後方に突出するように形成される。操作レバー51は、作業者がレバー操作用把持部57を掌で握って操作ノブ51bを指で操作し易いように、ピボット52側がレバー操作用把持部57に収容され、操作ノブ51b側がレバー操作用把持部57から突出するように設けられる。
【0043】
操作レバー51には、後述するように、入口押さえ部材32が作動的に連結される。入口押さえ部材32には、一対のシャフト34-2の間に、係合部材54が設けられる。操作レバー51の中央部には、入口押さえ部材32の係合部材54の下面に係合する作動係合部51aが形成される。操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって
図5の反時計回りに回動され、通常は、作動係合部51aを下降した位置に保持し、入口押さえ部材32をスプリング35-2の付勢力によって、テープ搬送路38に当接させる。これによって、通常は、入口押さえ部材32により、テープ挿入部21dよりキャリアテープ900又はエンボステープ910を挿入できないようにしている。
【0044】
これに対して、操作レバー51の後端に設けられた操作ノブ51bが作業者によって持ち上げられ、操作レバー51がスプリング55の付勢力に抗して回動されると、入口押さえ部材32が作動係合部51aを介してスプリング35-2の付勢力に抗して上昇される。これにより、入口押さえ部材32がテープ搬送路38上より離間され、テープ挿入部21dよりキャリアテープ900又はエンボステープ910の挿入が可能となる。
【0045】
入口押さえ部材32の後部には、テープ挿入部21dを閉塞する邪魔板56が枢支されている。邪魔板56によって、キャリアテープ900又はエンボステープ910をテープ搬送路38と入口押さえ部材32との間に挿入できないようにしている。なお、入口押さえ部材32の上昇時には、邪魔板56は、下流側押さえ部材33の後部に係合して回動され、テープ挿入部21dを開放する。
【0046】
入口押さえ部材32の下流側には、ストッパー部材31が隣接して設けられる。ストッパー部材31は、その中央部分に形成された軸支部31bが下流側押さえ部材33に軸支されて、回動可能となっている。ストッパー部材31の軸支部31bよりも前方の下部には、下方に突出形成された当接部31aが形成される。ストッパー部材31の後端は、停止部31cとなっている。
【0047】
下流側押さえ部材33とストッパー部材31との間には、当接部31aをテープ搬送路38に当接する方向に付勢する図略のスプリングが設けられる。ストッパー部材31の軸支部31bよりも前方の上部には、上方に向けて突出する突出部31dが形成され、この突出部31dの先端にカムフォロア31eが設けられる。カムフォロア31eには、操作レバー51の前部に形成されたカム部51cが係脱可能に係合される。
【0048】
操作レバー51がスプリング55の付勢力によって
図5の反時計回りに回動され、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に当接する位置に保持されている状態においては、操作レバー51に形成されたカム部51cが、ストッパー部材31のカムフォロア31eより離間される。これによって、ストッパー部材31はスプリングの付勢力により軸支部31bを中心にして、
図5の時計回りに回動され、当接部31aをテープ搬送路38に当接させるとともに、停止部31cをテープ搬送路38より離間した位置に保持している。
【0049】
一方、操作レバー51がスプリング55の付勢力に抗して回動されると、操作レバー51に形成されたカム部51cが、ストッパー部材31のカムフォロア31eに係合して、ストッパー部材31を図略のスプリングの付勢力に抗して
図5の反時計回りに回動させ、停止部31cをテープ搬送路38に当接する。これにより、操作レバー51をスプリング55の付勢力に抗して回動させた状態で、キャリアテープ900又はエンボステープ910がテープ挿入部21dより挿入されると、キャリアテープ900又はエンボステープ910の先端はストッパー部材31の停止部31cに当接し、所定位置に停止される。
【0050】
なお、第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910Aが、ストッパー部材31の当接部31aとテープ搬送路38との間を通過すると、第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910Aによって当接部31aが持ち上げられ、ストッパー部材31の停止部31cがテープ搬送路38に当接される。従って、その状態で、作業者によって、第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bが、テープ挿入部21dより第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910A上に挿入されると、第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bの先端がストッパー部材31の停止部31cに当接し、停止される。これにより、第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bの下流への搬送が阻止され、その位置で第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bは待機する。
【0051】
図5に示すように、フィーダ本体21bには、テープ挿入部21dよりキャリアテープ900又はエンボステープ910が挿入されると、キャリアテープ900又はエンボステープ910の挿入を検出する第1センサ81が取付けられる。第1センサ81は、テープ搬送路38の上面より突出する第1ドッグ82がキャリアテープ900又はエンボステープ910の挿入によって下降されることによって第1センサ81をオンする。第1ドッグ82は、通常図略のスプリングの付勢力によって、テープ搬送路38の上面より突出する位置に保持されており、キャリアテープ900又はエンボステープ910が挿入されると、下方に押圧される。
【0052】
また、フィーダ本体21bには、操作レバー51が回動されたことを検出する第2センサ83と、キャリアテープ900又はエンボステープ910が第4スプロケット64上のテープ搬送路38まで搬送されたとき作動される第3センサ85が取付けられる。第2センサ83は、操作レバー51に取付けられた第2ドッグ84によってオンされる。第3センサ85は、第3ドッグ86の回動によってオンされる。
【0053】
第3ドッグ86は、その中央部分に形成された軸支部86aが下流側押さえ部材33に軸支されて、回動可能となっている。第3ドッグ86は、通常図略のスプリングによって、
図5の反時計回りに付勢される。これにより、第3ドッグ86は、テープ搬送路38にキャリアテープ900又はエンボステープ910が存在していないときは、先端がテープ搬送路38の上面に当接されるが、テープ搬送路38にキャリアテープ900又はエンボステープ910が存在しているときは、先端がキャリアテープ900又はエンボステープ910の上面に当接される。第3センサ85は、第3ドッグ86の回動によってオンされることによりキャリアテープ900又はエンボステープ910を検知したら、入口押さえ部材32を下降させるためのレバー51の回動指示信号を制御装置200に出力する。これにより、入口押さえ部材32でキャリアテープ900又はエンボステープ910を確実に押さえ込むことができる。
【0054】
図4に示すように、第3スプロケット63の下流側(フィーダ21の後端部側)のフィーダ本体21bには、キャリアテープ900又はエンボステープ910の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第4センサ65が設けられる。第4センサ65は、第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910Aと第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bとの境界部分を検知するセンサである。第2スプロケット62の上流側(フィーダ21の前端部側)のフィーダ本体21bには、キャリアテープ900又はエンボステープ910の有無を検知し、その検知信号を制御部39に出力する第5センサ66が設けられる。
【0055】
浮上防止部材28は、第3スプロケット63と第2スプロケット62の間のテープ搬送路38上に沿って設けられる。浮上防止部材28の前端には、軸支部28aが形成され、この軸支部28aが、フィーダ本体21bに設けられた軸部21cに軸支されて、浮上防止部材28が揺動可能にフィーダ本体21bに取付けられる。浮上防止部材28の後端には、上方に曲げられた案内部28bが形成される。トーションスプリング29は、浮上防止部材28の上方のフィーダ本体21bに取り付けられ、浮上防止部材28を下方に付勢している。このトーションスプリング29によって、浮上防止部材28の下面は、テープ搬送路38の上面に密接される。
【0056】
テープ剥離装置70は、フィーダ本体21bの前側上部に設けられ、キャリアテープ900又はエンボステープ910からカバーテープ902を剥離し、部品取出位置21aに位置決めされた部品収納部901c,901dより部品を取出しできるようにする。
【0057】
(フィーダの動作)
次に、上記した実施の形態に係るフィーダ21の動作について
図8~
図14を参照して説明する。ここで、第1キャリアテープ900A又は第1エンボステープ910Aは、前方側のリール810に巻回され、第2キャリアテープ900B又は第2エンボステープ910Bは、後方側のリール820に巻回されている。通常は、操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって、
図8に示す状態に保持され、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に当接されているとともに、邪魔板56が自重により回動されてテープ挿入部21dを閉塞している。
【0058】
しかる状態で、
図9に示すように、操作レバー51の操作ノブ51bが作業者によって持ち上げ操作される。操作レバー51が持ち上げ操作されると、第2ドッグ84によって第2センサ83が動作され、操作レバー51の作動が検出される。操作レバー51の回動により、作動係合部51aを介して入口押さえ部材32が上昇される。このとき、テープ上面付勢部材111は、先端部がテープ下面付勢部材110に当接した状態で後端部が入口押さえ部材32とともに上昇する。
【0059】
これにより、入口押さえ部材32がテープ搬送路38から離間されるとともに、邪魔板56が下流側押さえ部材33によって回動される。その結果、テープ挿入部21dが開放されて、キャリアテープ900又はエンボステープ910の挿入が可能となる。同時に、操作レバー51の回動により、ストッパー部材31がカム部51cによって回動され、停止部31cがテープ搬送路38に当接される。
【0060】
先ず、作業者により、第1キャリアテープ900Aが挿入される場合を説明する。
図9に示すように、第1キャリアテープ900Aの先端は、テープ挿入部21dを通ってテープ下面付勢部材110で溝38Aが塞がれているテープ搬送路38上に挿入される。このように、第1キャリアテープ900Aはテープ下面付勢部材110で支持されるので、第1キャリアテープ900Aが撓み易くても、第1キャリアテープ900Aの片側部がテープ搬送路38の溝38A内に脱落することはない。このとき、第1キャリアテープ900Aの先端は、第1ドッグ82に当接して第1ドッグ82を押し下げるので、第1センサ81は、第1キャリアテープ900Aが挿入されたことを検出する。
【0061】
そして、
図10及び
図11に示すように、第1キャリアテープ900Aの先端は、テープ下面付勢部材110に当接されているテープ上面付勢部材111を押し上げ、テープ下面付勢部材110とテープ上面付勢部材111との間に入り込み、ストッパー部材31の停止部31cに当接する所定位置まで挿入される。このとき、第1キャリアテープ900Aの先端は、第3ドッグ86に当接して第3ドッグ86を回動させるので、第3センサ85は、第1キャリアテープ900Aが所定位置に挿入されたことを検出し、入口押さえ部材32を下降させるためのレバー51の回動指示信号を制御装置200に出力する。
【0062】
次に、作業者により、第1エンボステープ910Aが挿入される場合を説明する。
図9に示すように、第1エンボステープ910Aの先端は、テープ挿入部21dを通ってテープ搬送路38上に挿入されるが、このときエンボス部904aでテープ下面付勢部材110を溝38Aの底面側へ押し下げるので(
図12及び
図13参照)、テープ搬送路38上に沿って移動する。このとき、第1エンボステープ910Aの先端は、第1ドッグ82に当接して第1ドッグ82を押し下げるので、第1センサ81は、第1エンボステープ910Aが挿入されたことを検出する。
【0063】
そして、
図12及び
図13に示すように、第1エンボステープ910Aの先端は、テープ下面付勢部材110に当接されているテープ上面付勢部材111を押し上げ、テープ下面付勢部材110とテープ上面付勢部材111との間に入り込み、ストッパー部材31の停止部31cに当接する所定位置まで挿入される。このとき、第1エンボステープ910Aの先端は、第3ドッグ86に当接して第3ドッグ86を回動させるので、第3センサ85は、第1エンボステープ910Aが所定位置に挿入されたことを検出し、入口押さえ部材32を下降させるためのレバー51の回動指示信号を制御装置200に出力する。
【0064】
そして、次の動作に移行するが、以降の動作はキャリアテープ900及びエンボステープ910において相違は無いため、エンボステープ910での説明は省略してキャリアテープ900で説明する。
図9に示すように、第1キャリアテープ900Aが停止部31cに当接する位置まで挿入されると、操作レバー51の操作が解除され、操作レバー51は、スプリング55の付勢力によって、
図9の二点鎖線で示す原位置に回動復帰する。操作レバー51の回動復帰により、入口押さえ部材32がテープ搬送路38に向けて下降され、挿入された第1キャリアテープ900Aをテープ搬送路38に向けて押さえる。
【0065】
図14に示すように、第1キャリアテープ900Aの挿入が検出され、操作レバー51が原位置に回動復帰されたことが検出(第2センサ83がオフ)されると、第2サーボモータ23が駆動され、第3及び第4スプロケット63、64が回転される。これにより、第4スプロケット64の係合突起64aが第1キャリアテープ900Aの係合穴901bに係合され、第1キャリアテープ900Aは、第4スプロケット64によって第3スプロケット63側に搬送される。
【0066】
第4スプロケット64による第1キャリアテープ900Aの搬送により、第1キャリアテープ900Aによって下流側押さえ部材33がスプリング35-1の付勢力に抗して持ち上げられ、第1キャリアテープ900Aは、下流側押さえ部材33とテープ搬送路38との間を搬送される。
【0067】
この際、第4スプロケット64の係合突起64aは、第4スプロケット64の外周の一部にしか形成されていないので、第1キャリアテープ900Aの係合穴901bに係合突起64aが係合すると、第1キャリアテープ900Aは間欠的に第3スプロケット63側に移動される。その結果、第1キャリアテープ900Aが急激に、第3スプロケット63側に引き込まれることがない。なお、第1キャリアテープ900Aによって下流側押さえ部材33が持ち上げられると、ストッパー部材31及び第3ドック86の軸支部31b、86aが、一体的に上昇される。
【0068】
第4スプロケット64によって搬送される第1キャリアテープ900Aに形成された係合穴901bが第3スプロケット63の係合突起63aと係合すると、第3スプロケット63によって第1キャリアテープ900Aが第2スプロケット62側に搬送される。第3スプロケット63の外周には、全周にわたって係合突起63aが形成されているので、短時間で第1キャリアテープ900Aが第2スプロケット62側に搬送される。
【0069】
さらに、第1キャリアテープ900Aの先端は、案内部28bとテープ搬送路38の間から、浮上防止部材28の下方に侵入する。第1キャリアテープ900Aの先端は、浮上防止部材28によってテープ搬送路38からの浮き上がりが抑制され、第2スプロケット62に向けて搬送される。第5センサ66が、第3スプロケット63によって搬送された第1キャリアテープ900Aの先端を検出すると、第1サーボモータ22及び第2サーボモータ23は、スプロケット61~64を部品のピッチ間隔で間欠的に回転させる。
【0070】
第1キャリアテープ900Aに形成された係合穴901bが第2スプロケット62の係合突起62aに係合すると、第2スプロケット62によって第1キャリアテープ900Aがテープ剥離装置70に送られ、テープ剥離装置70によって第1キャリアテープ900Aからカバーテープ902が剥離される。そして、第1キャリアテープ900Aに形成された係合穴901bが第1スプロケット61の係合突起61aに係合すると、第1スプロケット61によって第1キャリアテープ900Aに収納された部品が順次部品取出位置21aに位置決めされる。
【0071】
第1キャリアテープ900Aが、フィーダ21によって搬送されている場合には、
図14に示すように、第1キャリアテープ900Aがストッパー部材31の当接部31aを押圧して、ストッパー部材31がスプリング36の付勢力に抗して回動される。これにより、ストッパー部材31の停止部31cが第1キャリアテープ900Aの上面と接触する。
【0072】
その状態で、前述したように、操作レバー51を回動操作(第2センサ83がオン)して、第2キャリアテープ900Bの先端を、テープ挿入部21dを通して第1キャリアテープ900Aと入口押さえ部材32との間に挿入する。すると、第2キャリアテープ900Bの先端がストッパー部材31の停止部31cに当接し、第2キャリアテープ900Bはその位置で停止される。
【0073】
これにより、第2キャリアテープ900Bの下流への搬送が阻止され、その位置で第2キャリアテープ900Bは待機する。第2キャリアテープ900Bがストッパー部材31の停止部31cに当接する位置まで挿入されると、第2キャリアテープ900Bによって第3ドッグ86が作動されるため、第2キャリアテープ900Bの挿入が第3センサ85によって検出される。
【0074】
第2キャリアテープ900Bを挿入した後、操作レバー51の操作を解除すると、操作レバー51は原位置に復帰するが、第1キャリアテープ900Aがストッパー部材31の当接部31aを押圧しているので、ストッパー部材31の停止部31cによって第2キャリアテープ900Bの停止状態が持続される。なお、操作レバー51を回動操作することなく、第2キャリアテープ900Bをテープ挿入部21dより挿入しようとしても、第1キャリアテープ900Aの上面に当接する邪魔板56によって、第2キャリアテープ900Bの挿入が阻止される(
図9参照)。
【0075】
第1キャリアテープ900Aの後端が第2キャリアテープ900Bの先端よりも下流側に搬送されると、第2キャリアテープ900Bに形成された係合穴901bが第4スプロケット64の係合突起64aと係合する。その後、第2キャリアテープ900Bは、第1キャリアテープ900Aによって作られているテープ搬送路38とストッパー部材31との隙間に進入し、第2スプロケット62に向けて搬送される。なお、第2キャリアテープ900Bの先端が当接部31aを押し上げると、前述したように、ストッパー部材31がスプリング36の付勢力に抗して再び回動され、ストッパー部材31によって新たなキャリアテープ900の侵入が阻止される。
【0076】
(効果)
上記した実施の形態のフィーダ21は、複数の部品を収納した部品収納部901dが下方に突出して形成されたキャリアテープ910及び下方に突出していない部品収納部901cが形成されたキャリアテープ900を挿入するためのテープ挿入部21dが後部に形成されるフィーダ本体21bと、キャリアテープ900,910を後方から前方に向かって搬送するため、テープ挿入部21dと連通するようにフィーダ本体21bの両側壁21ba,21bb間に設けられるテープ搬送路38と、フィーダ本体21bに回転可能に設けられ、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910の係合穴901bに係合可能な係合突起64aを有し、当該キャリアテープ900,910をテープ搬送路38に沿って送出する第4スプロケット64と、を備える。
【0077】
そして、テープ搬送路38には、突出する部品収納部901dを有するキャリアテープ900,910の搬送時に当該部品収納部901dを通す溝38Aが形成される。そして、溝38A内には、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910が第4スプロケット64に至るまで、当該キャリアテープ910が突出する部品収納部901dを有するときは当該キャリアテープ910の下面で押圧されて下方に変形し、当該キャリアテープ900が突出していない部品収納部901cを有するときは当該キャリアテープ900の下面を付勢するテープ下面付勢部材110が設けられる。
【0078】
これにより、突出していない部品収納部901cを有するキャリアテープ900が撓み易くても、当該キャリアテープ900をテープ挿入部21dからテープ搬送路38に挿入するとき、キャリアテープ900はテープ下面がテープ下面付勢部材110で支持される。よって、キャリアテープ900の片側部がテープ搬送路38の溝38A内に脱落することを防止できる。
【0079】
また、フィーダ21は、フィーダ本体21bに設けられ、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910をテープ搬送路38に向けて押さえる入口押さえ部材32と、入口押さえ部材32にテープ下面付勢部材110と対向して設けられ、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910の上面を付勢するテープ上面付勢部材111と、を備える。これにより、キャリアテープ900,910は、テープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれるので、テープ搬送路38上をスムーズに移動できる。
【0080】
また、テープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111は、弾性体でなり、テープ下面付勢部材110の弾性率は、テープ上面付勢部材111の弾性率よりも小さいので、キャリアテープ900は、テープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれたとき、テープ搬送路38の上面から浮き上がらずに当該上面に沿って移動できる。また、エンボステープ910は、テープ上下面がテープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111で挟み込まれたとき、エンボス部904aでテープ下面付勢部材110を下方に変形させた状態でテープ搬送路38の上面から浮き上がらずに当該上面に沿って移動できる。
【0081】
また、フィーダ21は、テープ搬送路38における第4スプロケット64よりも搬送下流側のフィーダ本体21bに設けられ、テープ挿入部21dから挿入されるキャリアテープ900,910の先端が当接することにより当該キャリアテープ900,910を検知する第3センサ85及び第3ドッグ86、を備える。そして、テープ上面付勢部材111は、少なくとも第3センサ85及び第3ドッグ86の配置位置まで設けられるので、キャリアテープ900,910の先端を、第3センサ85及び第3ドッグ86に確実に当接させることができる。
【0082】
また、フィーダ21は、フィーダ本体21bに設けられ、テープ挿入部21dからキャリアテープ900,910を挿入する際に、入口押さえ部材32を上昇させる回動可能なレバー51、を備える。そして、第3センサ85及び第3ドッグ86は、キャリアテープ900,910を検知したら、入口押さえ部材32を下降させるためのレバー51の回動指示信号を出力するので、入口押さえ部材32でキャリアテープ900,910を確実に押さえ込むことができる。
【0083】
(その他)
上記した実施の形態においては、テープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111を設ける構成としたが、テープ下面付勢部材110のみを設ける構成としてもよい。また、テープ上面付勢部材111は、前端部が下方にL字状に曲折されて先端部でキャリアテープ900又はエンボステープ910の上面を付勢する構成とした。しかし、キャリアテープ900の撓み易さによっては、後端部側から下方にL字状に曲折する構成として前端部でキャリアテープ900の上面を広い範囲で付勢する構成とし、キャリアテープ900の幅方向の捩れを防止するようにしてもよい。また、テープ下面付勢部材110及びテープ上面付勢部材111は、帯状の板バネで構成したが、例えば圧縮コイルバネやゴム材等の弾性体に板材を貼着したもので構成してもよい。本発明は上記した実施の形態で述べた構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々の形態を採り得るものである。
【符号の説明】
【0084】
21…フィーダ、21b…フィーダ本体、21ba,21bb…側壁、21d…テープ挿入部、32…入口押さえ部材、38…テープ搬送路、38A…溝、51…操作レバー、64…第4スプロケット、64a…係合突起、85…第3センサ、86…第3ドッグ、100…部品実装機、110…テープ下面付勢部材、111…テープ上面付勢部材、900…キャリアテープ、910…エンボステープ、901a…貫通穴、901b…係合穴、901c,901d…部品収納部。