(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074890
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64U 30/293 20230101AFI20240524BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20240524BHJP
【FI】
B64U30/293
B64U10/16
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059502
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2019556722の分割
【原出願日】2019-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】517331376
【氏名又は名称】株式会社エアロネクスト
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 陽一
(57)【要約】
【課題】機体の水平寸法を効率的に縮小可能な飛行体を提供すること。
【解決手段】本発明による飛行体は、第1方向を長手として前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ2つの第1フレームと、前記第2方向を長手として、前記2つの第1フレームに重ねて前記第1方向に並ぶ2つの第2フレームと、前記第1フレームの両端に取付けられる第1回転翼と、前記第2フレームの両端に取付けられる第2回転翼と、を備え、前記第2フレームには、該第2フレームをその中途で折り畳み可能なヒンジ部が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向を長手として前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ2つの第1フレームと、
前記第2方向を長手として、前記2つの第1フレームに重ねて前記第1方向に並ぶ2つの第2フレームと、
前記第1フレームの両端に取付けられる第1回転翼と、
前記第2フレームの両端に取付けられる第2回転翼と、を備え、
前記第2フレームには、該第2フレームをその中途で折り畳み可能なヒンジ部が設けられている、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記第2フレームが折り畳まれた位置にあるときに、対になって折り畳まれ、
前記対が、側面視において、互いに重なるように折り畳まれる第1アームと第2アームとから構成される、
飛行体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の飛行体であって、
前記2つの第1フレームは、前記2つの第2フレームに井桁状に横架されている、
飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する)が普及している。例えば、複数の回転翼を有するマルチコプタタイプが挙げられる(例えば 、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の飛行体は、アームやロータが機体の水平方向の寸法の大半を占めており、保管時のスペース効率を下げる要因となっている。
【0005】
そこで、本発明は、機体の水平寸法を効率的に縮小可能な飛行体を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による飛行体は、第1方向を長手として前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ2つの第1フレームと、前記第2方向を長手として、前記2つの第1フレームに重ねて前記第1方向に並ぶ2つの第2フレームと、前記第1フレームの両端部に取付けられる第1回転翼と、前記第2フレームの両端部に取付けられる第2回転翼と、を備え、前記第2フレームには、該第2フレームをその中途で折り畳み可能なヒンジ部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機体の水平寸法を効率的に縮小可能な飛行体を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態による飛行体の平面視図である。
【
図2】本実施の形態による飛行体の側面視図である。
【
図3】第2フレームが折り畳まれた状態を示す平面視図である。
【
図4】第2フレームが折り畳まれた状態を示す側面視図である。
【
図6】本発明の飛行体におけるフレーム構造の第1変形例を示す図である(その1)。
【
図7】本発明の飛行体におけるフレーム構造の第1変形例を示す図である(その2)。
【
図8】本発明の飛行体におけるフレーム構造の第2変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
第1方向を長手として前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ2つの第1フレームと、
前記第2方向を長手として、前記2つの第1フレームに重ねて前記第1方向に並ぶ2つの第2フレームと、
前記第1フレームの両端部に取付けられる第1回転翼と、
前記第2フレームの両端部に取付けられる第2回転翼と、を備え、
前記第2フレームには、該第2フレームをその中途で折り畳み可能なヒンジ部が設けられている、
飛行体。
[項目2]
項目1に記載の飛行体であって、
前記第2フレームが折り畳まれた位置にあるときに、対になって折り畳まれ、
前記対が、側面視において、互いに重なるように折り畳まれる第1アームと第2アームとから構成される、
飛行体。
[項目3]
項目1又は項目2に記載の飛行体であって、
前記2つの第1フレームは、前記2つの第2フレームに井桁状に横架されている、
飛行体。
【0010】
<実施の形態の詳細>
以下、本発明の実施の形態による飛行体について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
<本発明による実施の形態の詳細>
図1に示されるように、本発明の実施の形態による飛行体1は、回転翼2と、回転翼2を回転させるためのモータ3と、モータ3が取り付けられているフレーム4とを備えている。
【0012】
回転翼2は、モータ3からの出力を受けて回転する。回転翼2が回転することによって、飛行体1を出発地から離陸させ、水平移動させ、目的地に着陸させるための推進力が発生する。なお、回転翼2は、右方向への回転、停止及び左方向への回転が可能である。
【0013】
本発明の回転翼2は、羽根は細長い形状を有している。任意の羽根(回転子)の数(例えば、1、2、3、4、またはそれ以上の羽根)でよい。また、羽根の形状は、平らな形状、曲がった形状、よじれた形状、テーパ形状、またはそれらの組み合わせ等の任意の形状が可能である。なお、羽根の形状は変化可能である(例えば、伸縮、折りたたみ、折り曲げ等)。羽根は対称的(同一の上部及び下部表面を有する)または非対称的(異なる形状の上部及び下部表面を有する)であってもよい。羽根はエアホイル、ウイング、または羽根が空中を移動される時に動的空気力(例えば、揚力、推力)を生成するために好適な幾何学形状に形成可能である。羽根の幾何学形状は、揚力及び推力を増加させ、抗力を削減する等の、羽根の動的空気特性を最適化するために適宜選択可能である。
【0014】
モータ3は、回転翼2の回転を生じさせるものであり、例えば、駆動ユニットは、電気モータ又はエンジン等を含むことが可能である。羽根は、モータによって駆動可能であり、時計方向に及び/または反時計方向に、モータの回転軸(例えば、モータの長軸)の周りに回転する。
【0015】
羽根は、すべて同一方向に回転可能であるし、独立して回転することも可能である。羽根のいくつかは一方の方向に回転し、他の羽根は他方方向に回転する。羽根は、同一回転数ですべて回転することも可能であり、夫々異なる回転数で回転することも可能である。回転数は移動体の寸法(例えば、大きさ、重さ)や制御状態(速さ、移動方向等)に基づいて自動又は手動により定めることができる。
【0016】
フレーム4は、それぞれ対応するモータ3及び回転翼2を支持している部材である。フレーム4には、回転翼機の飛行状態、飛行方向等を示すためにLED等の発色体を設けることとしてもよい。本実施の形態によるフレーム4は、カーボン、ステンレス、アルミニウム、マグネシウム等またはこれらの合金又は組み合わせ等から適宜選択される素材で形成することが可能である。
【0017】
フレーム4は、
図1及び
図2に示すように、2つの第1フレーム40,40と、2つの第2フレーム41,41とを備える。第1フレーム40,40は、第2フレーム41,41に井桁状に横架されている。第1フレーム40,40と第2フレーム41,41同士は、従来公知の方法で接続される。
【0018】
図1に示すように、第1フレーム40,40は、Y方向(第1方向)を長手として前記第1方向に交差するX方向(第2方向)に沿って所定の間隔をおいて並んでいる。第1フレーム40,40の両端部には、第1回転翼20が取り付けられている。
【0019】
図1に示すように、第2フレーム41,41は、X方向(第2方向)を長手として、2つの第1フレーム40,40に重ねてY方向(第1方向)に沿って所定の間隔をおいて並んでいる。第2フレーム41,41の両端部には、第2回転翼21が取り付けられている。第2フレーム41,41には、
図4に示すように、該第2フレーム41,41をその中途で折り畳み可能なヒンジ部42が設けられている。
【0020】
図3及び
図4に示すように、第2フレーム41,41が折り畳まれた位置にあるときに、第2フレーム41,41は対になって折り畳まれる。
図4に示すように、前記対は、側面視において、互いに重なるように折り畳まれる第1アーム41Aと第2アーム41Bとから構成される。
図3に示すように、平面視において、第1アーム41Aと第2アーム41Bとは、2つの第1フレーム40,40と、2つの第2フレーム41,41とにより区画される方形状の空間Sの外側に配置されている。
【0021】
本実施形態の飛行体1によれば、第2フレーム41,41を折り畳み式にすることで、機体の水平寸法を効率的に縮小することが可能となり、現場の使い勝手が良い飛行体1を提供できる。さらに第2フレーム41,41を着脱する手間を減らすこともできる。
【0022】
上述した飛行体は、
図5に示される機能ブロックを有している。なお、
図5の機能ブロックは最低限の参考構成である。フライトコントローラは、所謂処理ユニットである。処理ユニットは、プログラマブルプロセッサ(例えば、中央処理ユニット(CPU))などの1つ以上のプロセッサを有することができる。処理ユニットは、図示しないメモリを有しており、当該メモリにアクセス可能である。メモリは、1つ以上のステップを行うために処理ユニットが実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶している。メモリは、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラやセンサ類から取得したデータは、メモリに直接に伝達されかつ記憶されてもよい。例えば、カメラ等で撮影した静止画・動画データが内蔵メモリ又は外部メモリに記録される。
【0023】
処理ユニットは、飛行体の状態を制御するように構成された制御モジュールを含んでいる。例えば、制御モジュールは、6自由度(並進運動x、y及びz、並びに回転運動θx、θy及びθz)を有する飛行体の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために飛行体の推進機構(モータ等)を制御する。制御モジュールは、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。
【0024】
処理ユニットは、1つ以上の外部のデバイス(例えば、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部と通信可能である。送受信機は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。例えば、送受信部は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部は、センサ類で取得したデータ、処理ユニットが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることができる。
【0025】
本実施の形態によるセンサ類は、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPSセンサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
【0026】
本発明の飛行体は、宅配業務専用の飛行体としての利用、及び倉庫、工場内における産業用の飛行体としての利用が期待できる。また、本発明の飛行体は、マルチコプター・ドローン等の飛行機関連産業において利用することができ、さらに、本発明は、カメラ等を搭載した空撮用の飛行体としても好適に使用することができる他、セキュリティ分野、農業、インフラ監視等の様々な産業にも利用することができる。
【0027】
上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができると共に、本発明にはその均等物が含まれることは言うまでもない。
【0028】
(第1変形例)
図6及び
図7は、本発明の飛行体におけるフレーム構造の第1変形例を示す図である。本変形例では、
図6に示すように、2つの第1フレーム40,40と、2つの第2フレーム41,41とにより区画される方形状の空間Sについて、空間Sの方形の4つの頂点を時計回りにV1~V4と定義している。フレーム構造は、
図6に示すように、頂点V1と頂点V2の中間点を始点としてX方向に延びる第1アーム41Aと、頂点V3と頂点V4の中間点を始点として第1アーム41Aと反対にX方向に延びる第2アーム41Bとを備える。
図7に示すように、フレーム構造には、第1アーム41Aを下方に折り畳み可能なヒンジ部42Aと、第2アーム41Bを下方に折り畳み可能なヒンジ部42Bが設けられている。本変形例のフレーム構造によれば、第1アーム41A及び第2アーム41Bを折り畳み式にすることで、機体の水平寸法を効率的に縮小することが可能となり、現場の使い勝手が良い飛行体を提供できる。さらに第1アーム41A及び第2アーム41Bを着脱する手間を減らすこともできる。
【0029】
(第2変形例)
図8は、本発明の飛行体におけるフレーム構造の第2変形例を示す図である。本変形例では、第1アーム41Aが第1フレーム40に取り離し可能に連結される。同様に、第2アーム41Bも第1フレーム40に取り離し可能に連結される。本変形例のフレーム構造によれば、第1アーム41A及び第2アーム41Bが第1フレーム40から取り離し可能であるため、機体の水平寸法を効率的に縮小することが可能となり、現場の使い勝手が良い飛行体を提供できる。
【符号の説明】
【0030】
1 飛行体
20 第1回転翼
21 第2回転翼
40 第1フレーム
41 第2フレーム
41A 第1アーム
41B 第2アーム
42 ヒンジ部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向を長手として前記第1方向に交差する第2方向に並ぶ2つの第1フレームと、
前記第2方向を長手として前記2つの第1フレームに接続され前記第1方向に並ぶ2つの第2フレームと、
前記第1フレームに取付けられる第1回転翼と、
前記第2フレームに取付けられる第2回転翼と、を備え、
前記第1フレーム及び前記第2フレームのうち前記第2フレームのみに、該第2フレームをその中途で折り畳み可能なヒンジ部が設けられている、
飛行体。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行体であって、
前記2つの第1フレームと前記2つの第2フレームにより井桁状が構成されている、
飛行体。