(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074900
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】トイレ装置
(51)【国際特許分類】
A47K 17/00 20060101AFI20240524BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20240524BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 Z
A47K13/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059800
(22)【出願日】2024-04-02
(62)【分割の表示】P 2022022773の分割
【原出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176072
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 功
(72)【発明者】
【氏名】島田 光浩
(72)【発明者】
【氏名】倉島 ひな子
(72)【発明者】
【氏名】須澤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山中 勝美
(57)【要約】
【課題】使用者の排尿によって画像センサが汚れることを防止するトイレ装置を提供する。
【解決手段】トイレ装置1は、便器9の上方に配置される便座4と、撮影面45aが便器9の便鉢91に向かうように設けられ、便鉢91内を撮影する画像センサ45と、画像センサ45とは異なる箇所に設けられ、便鉢91内に泡Bを吐出する泡吐出装置96と、画像センサ45及び泡吐出装置96を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の上方に配置される便座と、
撮影面が前記便器の便鉢に向かうように設けられ、前記便鉢内を撮影する画像センサと、
前記画像センサとは異なる箇所に設けられ、前記便鉢内に泡を吐出する泡吐出装置と、
前記画像センサ及び前記泡吐出装置を制御する制御装置と、を備えることを特徴とするトイレ装置。
【請求項2】
前記便器に対して開閉可能な便蓋を備え、
前記制御装置は、使用者が前記トイレ装置に接近する動作があった場合、前記便蓋を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が前記便座に着座する着座動作があった場合、前記泡吐出装置から泡を吐出する制御を禁止することを特徴とする請求項1に記載のトイレ装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記便座を開く便座開動作があった場合、又は、使用者による泡の吐出を指示する操作を受け付けた場合、前記便鉢内に泡が吐出されるように前記泡吐出装置を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のトイレ装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記便鉢内に前記泡が存在している場合、前記画像センサによる撮影を禁止することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記画像センサで撮影した画像に基づいて、前記便鉢内に排出された大便の性状又はサイズを判定する大便判定部と、前記大便判定部の判定結果を出力する出力部と、を備え、
前記出力部は、前記便鉢内に前記泡が存在している場合、前記大便判定部の判定結果とともに、前記泡がある旨の情報を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項6】
前記泡吐出装置から吐出された泡を消滅させる消滅部を備え、
前記制御装置は、前記画像センサを制御して前記便鉢内を撮影するときに前記便鉢内に前記泡が存在している場合、前記消滅部を制御して前記泡を消滅させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記泡吐出装置を制御して前記便鉢内に泡を吐出した後の所定時間又は前記便器の洗浄の有無に基づいて、前記便鉢内に前記泡が存在しているか否かを判定する泡判定部を備えることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記画像センサによって撮影した画像を解析することによって、前記便鉢内に前記泡が存在しているか否かを判定する泡判定部を備えることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のトイレ装置。
【請求項9】
前記泡判定部は、前記画像センサによって撮影した画像を解析して前記泡の量を算出し、算出した泡の量に基づき、前記便鉢内に前記泡が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項8に記載のトイレ装置。
【請求項10】
前記泡判定部は、前記画像センサによって撮影した画像を解析して前記便鉢内における前記泡の位置を算出し、算出した前記泡の位置に基づき、前記便鉢内に前記泡が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項8又は9に記載のトイレ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、大便の性状やサイズを判定するために、便器の便鉢内を撮影する画像センサを便座の裏面に設けた便座装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の便座装置のように便座の裏面等、便鉢の上方に画像センサを配置する場合において、例えば使用者が立ったまま便鉢に向かって排尿すると、便鉢内で飛散した尿が画像センサの撮影面に当たって汚れる恐れがある。画像センサの撮影面が汚れると、画像センサが撮影する便鉢内の大便の画像が不鮮明となり、大便の性状やサイズを正確に判定することができなくなるという問題があった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の排尿によって画像センサが汚れることを防止するトイレ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の第1態様に係るトイレ装置は、便器の上方に配置される便座と、撮影面が便器の便鉢に向かうように設けられ、便鉢内を撮影する画像センサと、画像センサとは異なる箇所に設けられ、便鉢内に泡を吐出する泡吐出装置と、画像センサ及び泡吐出装置を制御する制御装置と、を備える。
【0007】
この構成によれば、使用者が排尿する際に、泡吐出装置により便鉢内に泡を吐出しておけば、この泡により使用者の排尿が便鉢内で飛散して画像センサに当たることを抑制でき、もって、画像センサが汚れることを防止することができる。また、泡吐出装置が、画像センサとは異なる箇所に設けられているため、泡の吐出により、画像センサが汚れることを防止することができる。
【0008】
また、本発明の第2態様に係るトイレ装置は、便器に対して開閉可能な便蓋を備え、制御装置は、使用者がトイレ装置に接近する動作があった場合、便蓋を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座に着座する着座動作があった場合、泡吐出装置から泡を吐出する制御を禁止する。
【0009】
この構成によれば、使用者が大便をする際の準備動作があった場合、すなわち、使用者がトイレ装置に接近する動作があった場合、便蓋を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座に着座する着座動作があった場合、便鉢内に泡が吐出されないので、その泡によって大便の一部が撮影できなくなることを防止することができる。
【0010】
また、本発明の第3態様に係るトイレ装置では、制御装置は、便座を開く便座開動作があった場合、又は、使用者による泡の吐出を指示する操作を受け付けた場合、便鉢内に泡が吐出されるように泡吐出装置を制御する。
【0011】
この構成によれば、使用者が立ったまま便鉢に向かって排尿(立ち小便)する準備動作があった場合、すなわち、便座を開く便座開動作があった場合、便鉢内に泡が吐出されるので、この泡により使用者の排尿が便鉢内で飛散して画像センサに当たることを抑制でき、もって、画像センサが汚れることを防止することができる。また、使用者が便座に座って排尿(座り小便)する準備動作があった場合、すなわち、使用者による泡の吐出を指示する操作を受け付けた場合、便鉢内に泡が吐出されるので、この泡により使用者の排尿が便鉢内で飛散して画像センサに当たることを抑制でき、もって、画像センサが汚れることを防止することができる。
【0012】
また、本発明の第4態様に係るトイレ装置では、制御装置は、便鉢内に泡が存在している場合、画像センサによる撮影を禁止する。
【0013】
この構成によれば、便鉢内に泡が存在している場合、大便の全部又は一部が撮影できなくなるために、画像センサによる撮影を禁止し、画像センサによる画像に基づいて大便の性状やサイズを正確に判定することができなくなることを防止する。
【0014】
また、本発明の第5態様に係るトイレ装置では、制御装置は、画像センサで撮影した画像に基づいて、便鉢内に排出された大便の性状又はサイズを判定する大便判定部と、大便判定部の判定結果を出力する出力部と、を備え、出力部は、便鉢内に泡が存在している場合、大便判定部の判定結果とともに、泡がある旨の情報を出力する。
【0015】
この構成によれば、便鉢内に泡が存在している場合、大便判定部の判定結果とともに、泡がある旨の情報を出力するので、出力を受け取った医師や介護士等が、全部又は一部の大便が泡により見えていない可能性を把握して診断することができる。
【0016】
また、本発明の第6態様に係るトイレ装置は、泡吐出装置から吐出された泡を消滅させる消滅部を備え、制御装置は、画像センサを制御して便鉢内を撮影するときに便鉢内に泡が存在している場合、消滅部を制御して泡を消滅させる。
【0017】
この構成によれば、便鉢内に泡が存在している場合でも泡を消滅させた後に、便鉢内を撮影することができるので、撮影により得られる画像において泡により大便の全部又は一部が見えなくなることを防止することができる。
【0018】
また、本発明の第7態様に係るトイレ装置では、制御装置は、泡吐出装置を制御して便鉢内に泡を吐出した後の所定時間又は便器の洗浄の有無に基づいて、便鉢内に泡が存在しているか否かを判定する泡判定部を備える。
【0019】
この構成によれば、泡は、吐出された後の所定時間で消滅したり、便器の洗浄で消滅したりするので、これらの事象を利用して、便鉢内に泡が存在しているか否かを簡易的に判定することができる。
【0020】
また、本発明の第8態様に係るトイレ装置では、制御装置は、画像センサによって撮影した画像を解析することによって、便鉢内に泡が存在しているか否かを判定する泡判定部を備える。
【0021】
この構成によれば、制御装置以外の特別な装置を追加することなく、便鉢内に泡が存在しているか否かを判定することができる。
【0022】
また、本発明の第9態様に係るトイレ装置では、泡判定部は、画像センサによって撮影した画像を解析して泡の量を算出し、算出した泡の量に基づき、便鉢内に泡が存在しているか否かを判定する。
【0023】
この構成によれば、泡の量に基づき、便鉢内に泡が存在しているか否かを簡易的に判定することができる。
【0024】
また、本発明の第10態様に係るトイレ装置は、泡判定部は、画像センサによって撮影した画像を解析して便鉢内における泡の位置を算出し、算出した泡の位置に基づき、便鉢内に前記泡が存在しているか否かを判定する。
【0025】
この構成によれば、便鉢内における泡の位置に基づき、便鉢内に泡が存在しているか否かを簡易的に判定することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、使用者の排尿によって画像センサが汚れることを防止するトイレ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、トイレ装置が設置されたトイレルームを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、操作装置の一例を示す正面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るトイレ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係るトイレ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0029】
[第1実施形態]
まず、
図1から
図5を参照しながら、本発明の第1実施形態に係るトイレ装置1について説明する。
図1は、トイレ装置1が設置されたトイレルームRを示す斜視図であり、
図2は、操作装置7の一例を示す正面図であり、
図3は、
図1のI-I断面を示す断面図であり、
図4は、泡吐出装置96の一例を示す図であり、
図5は、トイレ装置1のブロック図であり、
図6は、第1実施形態に係るトイレ装置1の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0030】
<全体構成>
図1に示すように、トイレルームRの床面F上には便器9が設置されている。便器9は、大便器であり、使用者の便を受ける便鉢91と、便鉢91の周囲で立設するリム92と、を有している。例えば、トイレルームRに設けられた洗浄操作部(不図示)が使用者により操作されると、便鉢91に洗浄水が供給され、便鉢91の洗浄及び便鉢91からの便の排出が行われる。洗浄操作部は、トイレルームRに設けられる操作レバーや、後述する操作装置7に設けられたスイッチ等、種々の形態を採用し得る。
【0031】
トイレ装置1は、この便器9に適用される。トイレ装置1は、便座装置2と、操作装置7とを備える。なお、以下の説明では、後述する便座4に着座した使用者から見て前方を「前」、後方を「後」、左方を「左」、右方を「右」という。また、鉛直方向上方を「上」、鉛直方向下方を「下」という。
【0032】
便座装置2は、便器9の上部に開閉可能に取り付けられ、本体3と、便座4と、便蓋5と、を備えている。便座装置2は、便器9に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器9と一体となるように取り付けられてもよい。本体3の前面には、使用者検知センサ32と、着座検知センサ33と、開閉検知センサ34と、が設けられている。
【0033】
使用者検知センサ32は、便器9の近傍に使用者が存在することを検知するために設けられている。この使用者検知センサ32は、例えば焦電型赤外線センサであり、所定サイクルで信号を送信するとともに、使用者が放出する特定波長の赤外線を受けると、その信号に変化が生じるように構成されている。
【0034】
着座検知センサ33は、使用者が便座4の着座面4bに着座していることを検知するために設けられている。この着座検知センサ33は、例えば赤外線を用いる測距センサであり、所定サイクルで信号を送信するとともに、対象物と着座検知センサ33との距離の変化に応じてその信号に変化が生じるように構成されている。
【0035】
開閉検知センサ34は、便座4の開閉状態を検知するために設けられている。この開閉検知センサ34は、例えばマイクロスイッチであり、便座4が便器9から一定角度以上開くと便座4の開状態を検知する。
【0036】
便座4は、環状を呈し、その中央部には開口4aが形成されている。開口4aは、便座4がリム92上に載置されているとき、便鉢91を開放する。便座4の後端部は本体3に軸支されており、これにより、便座4は、リム92上に載置される姿勢と、リム92から離れて便鉢91を大きく開放する姿勢との間で回動可能とされている。このような便座4の裏面には、画像センサ45が設けられている。
【0037】
画像センサ45は、外部から光を入射させて撮影を行うカメラであり、画像信号を送信するように構成されている。
図2に示すように、便座4がリム92上に載置された姿勢にあるとき、画像センサ45におけるレンズがある面の撮影面45aは、便鉢91内を向くように配置されている。これにより、画像センサ45は、画角θの範囲に存在する便鉢91内の物体を撮影し得る。
【0038】
図1に示すように、便蓋5は、便器9に対して開閉可能に本体3に軸支されている。これにより、便蓋5は、便器9を覆う姿勢と、便器9から離れて便鉢91を大きく開放する姿勢との間で回動可能とされている。
【0039】
操作装置7は、例えばトイレルームRの壁面に設置される。操作装置7は、複数のスイッチ70と、表示部71と、を備える。複数のスイッチ70は、便座装置2の複数の動作(例えば、局部洗浄の開始や停止)にそれぞれ対応している。表示部71は、操作装置7の外側面に設けられた液晶パネルであり、種々の情報を表示する。
【0040】
図2に示すように、複数のスイッチ70には、例えば、使用者の押下操作(泡の吐出の指示)を受け付けて便鉢91内に泡を吐出するための吐出スイッチ701と、使用者の押下操作を受け付けて便鉢91内を撮影するための撮影スイッチ702と、が含まれている。
【0041】
図3に示すように、便器9は、便鉢91の底部に接続される排水通路部93と、便鉢91に形成される吐水口94と、便鉢91の外周側に形成される通水路95と、これらの通水路95や吐水口94を介して便鉢91内に洗浄水又は/及び泡Bを供給する泡吐出装置96と、を備える。排水通路部93は、便鉢91内から下水側水路(不図示)に排出される汚物の通り道となる。排水通路部93の通水方向の途中位置には封水931が溜められ、便鉢91の底部にはこの封水931の一部が溜水932として溜められる。泡吐出装置96は、洗浄水や泡Bを便器9の通水路95内に吐き出す吐水管960と、洗浄水や泡Bを吐水管960に供給する供給機構961と、を備える。
【0042】
図4に示すように、泡吐出装置96は、供給機構961として、洗浄水を供給する洗浄水供給機構962と、泡Bを供給する泡供給機構963と、を備える。また、泡吐出装置96は、洗浄水供給機構962に洗浄水を給水する補給管962aと、泡供給機構963に洗浄水を供給する第1給水管963aを備える。補給管962a及び第1給水管963aは上水道につながる第2給水管964から分岐して形成される。泡吐出装置96の各構成要素は便鉢91の後方及び下方に配置されるが、その配置位置は特に限られない。
【0043】
洗浄水供給機構962は、洗浄水Wを貯溜する洗浄水タンク962bと、洗浄水タンク962b内の洗浄水Wを送り出す洗浄水ポンプ962cと、補給管962aを開閉する第1開閉弁となる洗浄水バルブ962dと、を備える。洗浄水タンク962bには補給管962aから洗浄水Wが給水される。洗浄水バルブ962dは電磁弁である。補給管962aから洗浄水タンク962bへの洗浄水Wの給水の有無は洗浄水バルブ962dの開閉により切り替えられる。洗浄水ポンプ962cから送り出された洗浄水Wは、吐水管960、通水路95及び吐水口94を経由して便鉢91内に供給される。
【0044】
泡供給機構963は、洗剤を貯留する洗剤タンク963bと、洗剤タンク963b内の洗剤を送り出す洗剤ポンプ963cとを備える。洗剤は、たとえば、泡立ちのよい成分を含む液状洗剤が用いられる。また、泡供給機構963は、第1給水管963aを開閉する第2開閉弁となる泡バルブ963dと、洗剤ポンプ963cから送り出された洗剤と第1給水管963aを通る水とを混合させるエゼクタ963eとを備える。泡バルブ963dは電磁弁である。洗剤ポンプ963cを駆動し、泡バルブ963dを開状態にすると、エゼクタ963eに洗剤と水が送り込まれる。エゼクタ963eは、洗剤と水が送り込まれると、エジェクタ効果を利用して外気を取り込みつつ洗剤、水、外気を混合させることで泡Bを生成する。この泡Bは、洗浄水、洗剤、空気が混じった気液混合体として構成される。エゼクタ963eで生成された泡Bは、吐水管960、通水路95及び吐水口94を経由して便鉢91内に供給される。吐水口94から吐き出される泡Bは、
図3に示すように、溜水面932a上に浮いた状態で溜められる。
【0045】
図5に示すように、便座装置2の本体3内には、制御装置31が配置されている。制御装置31は、外部から受信した信号等に基づいて種々の制御を行う。このような制御装置31は、その一部又は全部が、アナログ回路で構成されるか、デジタルプロセッサで構成され、機能ブロックとして大便判定部311と、泡判定部312と、出力部としての通信部313と、を備えている。
【0046】
大便判定部311は、画像センサ45で撮影した画像に基づいて、便鉢91内に排出された大便の性状又はサイズを判定する。泡判定部312は、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する。通信部313は、例えばクラウドサービスC等、便座装置2の外部との信号の送受信を行う。また、通信部313は、大便判定部311の判定結果や泡判定部312の判定結果をクラウドサービスCや使用者の携帯端末(不図示)に出力する。
【0047】
なお、制御装置31に組み込まれるソフトウェアのモジュールは、必ずしも
図5に示される機能ブロックのように分割されている必要はない。すなわち、実際のアナログ回路やモジュールは、
図5に示す複数の機能ブロックの働きをするものとして構成されていてもよいし、更に細分化されていてもよい。制御装置31の構成は、後述する処理を実行できるように構成されていれば、当業者が適宜変更できる。
【0048】
制御装置31は、画像センサ45、使用者検知センサ32、着座検知センサ33、開閉検知センサ34及び泡吐出装置96に対して制御信号を送信可能に接続されており、これらを当該制御信号に基づき制御する。また、制御装置31は、使用者検知センサ32や着座検知センサ33、開閉検知センサ34から検知信号を受信したり、画像センサ45から画像信号を受信したり、押下操作されたスイッチ70に対応する操作信号を操作装置7から受信したりすることができる。
【0049】
<動作例>
制御装置31は、着座検知センサ33から受信した信号に基づいて、使用者が便座4に着座したと判定すると、便座4の内部に設けられたヒータ(不図示)に制御信号を送信する(つまり、ヒータに電力を供給する)。これにより、ヒータが発生させるジュール熱を受けて便座4の着座面4bの温度が上昇し、便座4の暖房が行われる。
【0050】
また、使用者が、局部洗浄の開始に対応する操作装置7のスイッチ70を押下操作すると、操作装置7の通信部72がこのスイッチ70に対応する信号を生成し、無線で便座装置2に送信する。便座装置2は、この信号を制御装置31の通信部313で受信し、制御装置31は、例えば、不図示のノズルに制御信号を送信する。制御信号を受信したノズルは、本体3から便鉢91内に進出するとともに、開かれた電磁バルブから供給される水を、使用者の局部に向けて吐出する。
【0051】
また、制御装置31は、使用者の排便後又は排便中に、画像センサ45を制御して、使用者の操作なしに、便鉢91内を自動的に撮影(以下、適宜、「自動撮影」という。)する自動撮影モードを実行する。この自動撮影では、所定時間の間に、便鉢91内を複数回撮影する。画像センサ45は、撮影した便鉢91内の画像に対応する画像信号を制御装置31に送信する。画像信号を受信した制御装置31の大便判定部311は、予め定められたプログラムに基づいて、画像信号に基づく画像から、使用者の大便の色、形、及び量等の大便の性状又はサイズを判定する。制御装置31の通信部313は、この判定結果に対応する信号を生成し、外部のクラウドサービスCに送信する。医療従事者等は、このクラウドサービスCにアクセスして上記判定結果を取得することにより、使用者の健康状態を把握し、それに基づく助言をすることが可能になる。
【0052】
<画像センサ45の汚れ防止>
トイレ装置1では、画像センサ45が汚れることを防止するための工夫が施されている。以下、この点について説明する。
【0053】
泡吐出装置96の特に吐水管960は、便座4又は便器9において画像センサ45とは異なる箇所に設けられている。言い換えれば、画像センサ45は、泡吐出装置96とは異なる箇所に設けられている。これにより、泡吐出装置96からの泡Bで画像センサ45が汚れることを防止できる。同じ観点から、画像センサ45の撮影面45aは、吐水管960の吐水口から予め定められた距離以上離れていることが好ましく、例えば第1実施形態のように吐水管960が便器9に設けられ、画像センサ45が便座4に設けられることで、予め定められた距離以上離れるようになる。さらに、吐水管960が便器9の後方に設けられ、画像センサ45が便座4の前方に設けられると、画像センサ45の撮影面45aと吐水管960の吐水口との距離が離れてより好ましい。また、同じ観点から、画像センサ45の撮影面45aと直交する垂線と、吐水管960の吐水口と直交する垂線(吐水方向の線)とは交差することが好ましく、その交差角度が145度未満であることがさらに好ましく、90度未満であることがさらにより好ましい。また、吐水管960の吐水口と直交する垂線が便鉢91の下方に向かうように吐水管960を配置することが好ましい。また、制御装置31は、泡吐出装置96からの泡Bの吐出速度を、泡Bが溜水面932a等で跳ねないように、予め定められた吐出速度以下に制御することが好ましい。また、制御装置31は、泡吐出装置96からの泡Bの吐出量を、泡Bが溜水面932a上に長く留まらないように、予め定められた吐出量以下に制御することが好ましい。
【0054】
また、制御装置31は、使用者がトイレ装置1に接近する動作があった場合、便蓋5を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座4に着座する着座動作があった場合、泡吐出装置96から泡Bを吐出する制御を禁止する。一方で、制御装置31は、便座4を開く便座開動作があった場合、又は、使用者による泡Bの吐出を指示する操作を受け付けた場合、便鉢91内に泡Bが吐出されるように泡吐出装置96を制御する。なお、このような場合は、使用者がトイレ装置1に接近する動作があった場合、便蓋5を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座4に着座する着座動作があったときでも実行されてもよい。
【0055】
また、制御装置31は、便鉢91内に泡Bが存在している場合、画像センサ45による撮影を禁止したり、大便判定部311による判定を禁止したり、通信部313からの出力を禁止したりしてもよい。一方で、便鉢91内に泡Bが存在している場合に画像センサ45による撮影を禁止しない場合、通信部313は、大便判定部311の判定結果とともに、泡Bがある旨の情報を出力する。
【0056】
また、トイレ装置1は、泡吐出装置96から吐出された泡Bを消滅させる消滅部として洗浄水供給機構962を備え、制御装置31は、画像センサ45を制御して便鉢91内を撮影するときに便鉢91内に泡Bが存在している場合、洗浄水供給機構962を制御して便鉢91内に洗浄水Wを吐出して泡Bを消滅させる。
【0057】
また、泡判定部312は、泡吐出装置96を制御して便鉢91内に泡Bを吐出した後の所定時間又は便器9の洗浄の有無に基づいて、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定したり、画像センサ45によって撮影した画像を解析することによって、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定したりしてもよい。
【0058】
画像を解析する場合には、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して泡Bの量を算出し、算出した泡Bの量に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する。具体的には、泡判定部312は、算出した泡Bの量が閾値(0より大きい値)以上であれば泡Bが存在していると判定し、算出した泡Bの量が閾値未満であれば泡Bが存在していないと判定する。また、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して便鉢91内における泡Bの位置を算出し、算出した泡Bの位置に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定してもよい。具体的には、算出した泡Bの位置が所定領域内にある場合には泡Bが存在していると判定し、算出した泡Bの位置が所定領域外であれば泡Bが存在していないと判定する。この所定領域としては、例えば、便鉢91の底部を臨む領域や、溜水面932aを臨む領域等が挙げられる。
【0059】
以下、
図6を用いて画像センサ45が汚れることを防止するための一連の処理の流れの一例を説明する。なお、
図6に示す一連の処理は、例えば数秒毎に繰り返される。
【0060】
(ステップSP10)
制御装置31は、使用者検知センサ32の検知信号に基づき、使用者検知センサ32が使用者を検知したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP11の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には
図6に示す一連の処理が終了する。
【0061】
(ステップSP11)
制御装置31は、開閉検知センサ34の検知信号に基づき、使用者による便座4の開閉動作を検知したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP12の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP13の処理に移行する。
【0062】
(ステップSP12)
制御装置31は、泡吐出装置96の泡供給機構963を制御して、便鉢91内に泡Bを吐出する。そして、
図6に示す一連の処理が終了する。
【0063】
(ステップSP13)
上記ステップSP11で否定判定された場合、制御装置31は、吐出スイッチ701からの操作信号の有無に基づき、吐出スイッチ701の操作が有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP12の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP14の処理に移行する。
【0064】
(ステップSP14)
制御装置31は、着座検知センサ33の検知信号に基づき、使用者の便座4への着座動作を検知したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP15の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には
図6に示す一連の処理が終了する。
【0065】
(ステップSP15)
制御装置31の泡判定部312は、泡吐出装置96を制御して便鉢91内に泡Bを吐出した後の所定時間又は便器9の洗浄の有無に基づいて、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する。そして、処理は、ステップSP16の処理に移行する。
【0066】
(ステップSP16)
制御装置31は、泡判定部312の判定結果に基づき、泡Bが有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP20の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP17の処理に移行する。
【0067】
(ステップSP17)
制御装置31は、画像センサ45を制御して、便鉢91内を自動撮影する。そして、処理は、ステップSP18の処理に移行する。
【0068】
(ステップSP18)
制御装置31の大便判定部311は、自動撮影により得られた画像に基づき、使用者の大便の性状又はサイズを判定する。そして、処理は、ステップSP19の処理に移行する。
【0069】
(ステップSP19)
制御装置31の通信部313は、大便判定部311の判定結果をクラウドサービスCや使用者の携帯端末(不図示)に出力する。そして、
図6に示す一連の処理が終了する。
【0070】
(ステップSP20)
上記ステップSP16で肯定判定された場合、制御装置31は、撮影スイッチ702からの操作信号の有無に基づき、撮影スイッチ702の操作が有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP21の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP22の処理に移行する。
【0071】
(ステップSP21)
制御装置31は、洗浄水供給機構962を制御して、便鉢91内に洗浄水Wを吐出して泡Bを消滅させる。そして、処理は、ステップSP17の処理に移行する。
【0072】
(ステップSP22)
上記ステップSP20で否定判定された場合、制御装置31は、便鉢91内の自動撮影を禁止する。そして、
図6に示す一連の処理が終了する。
【0073】
<作用効果>
以上、第1実施形態の構成によれば、使用者が排尿する際に、泡吐出装置96により便鉢91内に泡Bを吐出しておけば、この泡Bにより使用者の排尿が便鉢91内で飛散して画像センサ45に当たることを抑制でき、もって、画像センサ45が汚れることを防止することができる。また、泡吐出装置96が画像センサ45とは異なる箇所に設けられているため、泡Bの吐出により、画像センサ45が汚れることを防止することができる。
【0074】
また、制御装置31は、使用者がトイレ装置1に接近する動作があった場合、便蓋5を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座4に着座する着座動作があった場合、泡吐出装置96から泡Bを吐出する制御を禁止する。
【0075】
この構成によれば、使用者が大便をする際の準備動作があった場合、すなわち、使用者がトイレ装置1に接近する動作があった場合、便蓋5を開く便蓋開動作があった場合、又は、使用者が便座4に着座する着座動作があった場合、便鉢91内に泡が吐出されないので、その泡Bによって大便の一部が撮影できなくなることを防止することができる。
【0076】
また、制御装置31は、便座4を開く便座開動作があった場合、又は、使用者による泡Bの吐出を指示する操作を受け付けた場合、便鉢91内に泡Bが吐出されるように泡吐出装置を制御する。
【0077】
この構成によれば、使用者が立ったまま便鉢91に向かって排尿(立ち小便)する準備動作があった場合、すなわち、便座4を開く便座開動作があった場合、便鉢91内に泡Bが吐出されるので、この泡Bにより使用者の排尿が便鉢91内で飛散して画像センサ45に当たることを抑制でき、もって、画像センサ45が汚れることを防止することができる。また、使用者が便座4に座って排尿(座り小便)する準備動作があった場合、すなわち、使用者による泡Bの吐出を指示する操作を受け付けた場合、便鉢91内に泡Bが吐出されるので、この泡Bにより使用者の排尿が便鉢91内で飛散して画像センサ45に当たることを抑制でき、もって、画像センサ45が汚れることを防止することができる。
【0078】
また、制御装置31は、便鉢91内に泡Bが存在している場合、画像センサ45による撮影を禁止する。
【0079】
この構成によれば、便鉢91内に泡が存在している場合、大便の全部又は一部が撮影できなくなるために、画像センサ45による撮影を禁止し、画像センサ45による画像に基づいて大便の性状やサイズを正確に判定することができなくなることを防止する。
【0080】
また、泡吐出装置96から吐出された泡Bを消滅させる消滅部としての洗浄水供給機構962を備え、制御装置31は、画像センサ45を制御して便鉢91内を撮影するときに便鉢91内に泡Bが存在している場合、洗浄水供給機構962を制御して泡Bを消滅させる。
【0081】
この構成によれば、便鉢91内に泡Bが存在している場合でも泡Bを消滅させた後に、便鉢91内を撮影することができるので、撮影により得られる画像において泡Bにより大便の全部又は一部が見えなくなることを防止することができる。
【0082】
また、制御装置31は、泡吐出装置96を制御して便鉢91内に泡Bを吐出した後の所定時間又は便器9の洗浄の有無に基づいて、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する泡判定部312を備える。
【0083】
この構成によれば、泡Bは、吐出された後の所定時間で消滅したり、便器9の洗浄で消滅したりするので、これらの事象を利用して、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを簡易的に判定することができる。
【0084】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るトイレ装置について、
図7を参照しながら説明する。
図7は、第2実施形態に係るトイレ装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。第2実施形態に係るトイレ装置では、通信部313が、便鉢91内に泡Bが存在している場合、大便判定部311の判定結果とともに、泡Bがある旨の情報(泡情報)を出力する点が第1実施形態と異なる。第2実施形態に係るトイレ装置の構成は、第1実施形態と同様の構成である。
【0085】
以下、
図7を用いて画像センサ45が汚れることを防止するための一連の処理の流れの一例を説明する。なお、
図7に示す一連の処理は、例えば数秒毎に繰り返される。
【0086】
(ステップSP50)
制御装置31は、開閉検知センサ34の検知信号に基づき、使用者による便座4の開閉動作を検知したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP51の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP52の処理に移行する。
【0087】
(ステップSP51)
制御装置31は、泡吐出装置96の泡供給機構963を制御して、便鉢91内に泡Bを吐出する。そして、
図7に示す一連の処理が終了する。
【0088】
(ステップSP52)
制御装置31は、着座検知センサ33の検知信号に基づき、使用者の便座4への着座動作を検知したか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP53の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には
図7に示す一連の処理が終了する。
【0089】
(ステップSP53)
制御装置31は、画像センサ45を制御して、便鉢91内を自動撮影する。そして、処理は、ステップSP54の処理に移行する。
【0090】
(ステップSP54)
制御装置31の大便判定部311は、自動撮影により得られた画像に基づき、使用者の大便の性状又はサイズを判定する。そして、処理は、ステップSP55の処理に移行する。
【0091】
(ステップSP55)
制御装置31の泡判定部312は、自動撮影により得られた画像を解析することによって、便鉢91内に泡Bが存在しているか否か、すなわち泡Bの有無を判定する。具体的には、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して泡Bの量を算出し、算出した泡Bの量に基づき、便鉢91内に泡が存在しているか否かを判定する。また、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して便鉢91内における泡Bの位置を算出し、算出した泡Bの位置に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定してもよい。そして、処理は、ステップSP56の処理に移行する。
【0092】
(ステップSP56)
制御装置31は、泡判定部312の判定結果に基づき、泡Bが有るか否かを判定する。そして、当該判定が肯定判定された場合には処理はステップSP58の処理に移行し、当該判定が否定判定された場合には処理はステップSP57の処理に移行する。
【0093】
(ステップSP57)
制御装置31の通信部313は、大便判定部311の判定結果をクラウドサービスCや使用者の携帯端末(不図示)に出力する。そして、
図7に示す一連の処理が終了する。
【0094】
(ステップSP58)
上記ステップSP20で否定判定された場合、制御装置31の通信部313は、大便判定部311の判定結果とともに、便鉢91内に泡Bがある旨を示す泡情報をクラウドサービスCや使用者の携帯端末(不図示)に出力する。そして、
図7に示す一連の処理が終了する。
【0095】
<作用効果>
以上、第2実施形態の構成では、制御装置31は、画像センサ45で撮影した画像に基づいて、便鉢91内に排出された大便の性状又はサイズを判定する大便判定部311と、大便判定部311の判定結果を出力する出力部としての通信部313と、を備え、通信部313は、便鉢91内に泡Bが存在している場合、大便判定部311の判定結果とともに、泡Bがある旨の情報を出力する。
【0096】
この構成によれば、便鉢91内に泡Bが存在している場合、大便判定部311の判定結果とともに、泡Bがある旨の情報を出力するので、出力を受け取った医師や介護士等が、全部又は一部の大便が泡により見えていない可能性を把握して診断することができる。
【0097】
また、制御装置31は、画像センサ45によって撮影した画像を解析することによって、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する泡判定部312を備える。
【0098】
この構成によれば、制御装置31以外の特別な装置を追加することなく、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定することができる。
【0099】
また、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して泡Bの量を算出し、算出した泡Bの量に基づき、便鉢91内に泡が存在しているか否かを判定する。
【0100】
この構成によれば、泡Bの量に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを簡易的に判定することができる。ここで、泡判定部312は、算出した泡Bの量が閾値以上であれば泡Bが存在していると判定し、算出した泡Bの量が閾値未満であれば泡Bが存在していないと判定してもよい。泡Bの量が閾値未満の場合には、大便のほぼ全てを撮影することができるので、そのまま大便の自動撮影を実行し、撮影した画像を有効活用することができる。
【0101】
また、泡判定部312は、画像センサ45によって撮影した画像を解析して便鉢91内における泡Bの位置を算出し、算出した泡Bの位置に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを判定する。
【0102】
この構成によれば、便鉢91内における泡Bの位置に基づき、便鉢91内に泡Bが存在しているか否かを簡易的に判定することができる。ここで、算出した泡Bの位置が所定領域内にある場合には泡Bが存在していると判定し、算出した泡Bの位置が所定領域外であれば泡Bが存在していないと判定する。泡Bの位置が所定領域外である場合には、大便のほぼ全てを撮影することができるので、そのまま大便の自動撮影を実行し、撮影した画像を有効活用することができる。
【0103】
[変形例]
本発明は上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、上記実施形態に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0104】
例えば、第1実施形態では、便鉢91内に泡Bが有る場合には制御装置31は自動撮影を禁止する場合を説明したが、便鉢91内に泡Bが有る場合には泡Bが有る旨を使用者に報知してもよい。また、制御装置31は、便鉢91内を自動撮影する前に、便鉢91内を自動撮影する旨を使用者に対して報知してもよい。例えば、制御装置31は、操作装置7の表示部71に対して撮影する旨を表示させたり、画像センサ45の光源を光らせたりすることで、使用者に対して報知する。
【0105】
また、第1実施形態では、泡Bを吐出する際の制御について言及していないが、制御装置31は、例えば、遮蔽部材(不図示)を駆動したり画像センサ45を移動したり、画像センサ45を回転したりすることで、画像センサ45の撮影面45aの露出を防止してもよい。同様に、制御装置31は、使用者が排尿をする際は、遮蔽部材(不図示)を駆動したり画像センサ45を移動したり、画像センサ45を回転したりすることで、画像センサ45の撮影面45aを隠してもよい。
【0106】
また、第1実施形態では、画像センサ45が便座4に設けられる場合を説明したが、本体3や便器9等に設けられてもよい。同様に、第1実施形態では、泡吐出装置96は、便器9に設けられる場合を説明したが、本体3や便座4等に設けられてもよい。このような場合でも、泡Bによる汚れという観点からは、画像センサ45と泡吐出装置96とは互いに異なる箇所、特に、互いに異なる部材に設けられることが好ましい。
【符号の説明】
【0107】
1…トイレ装置、4…便座、5…便蓋、9…便器、31…制御装置、45…画像センサ、45a…撮影面、91…便鉢、96…泡吐出装置、311…大便判定部、312…泡判定部、313…通信部(出力部)、962…洗浄水供給機構(消滅部)