IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ NOK株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074901
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ゴム組成物および加硫成形品
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/16 20060101AFI20240524BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240524BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240524BHJP
   C08K 5/541 20060101ALI20240524BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C08L23/16
C08K3/36
C08K3/013
C08K5/541
C08K5/14
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024059879
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2021565411の分割
【原出願日】2020-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2019230474
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昭寛
(72)【発明者】
【氏名】野口 真
(72)【発明者】
【氏名】小林 広迪
(57)【要約】
【課題】本発明は、混練加工性に優れると共に、圧縮永久歪み特性が良好で低温特性および電気絶縁性に優れた加硫成形品を製造するのに好適なゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体と、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカと、シランカップリング剤と、架橋剤とを含有し、前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シリカの含有量が、25重量部以上90重量部以下である、ゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体と、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカと、シランカップリング剤と、架橋剤とを含有し、
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シリカの含有量が、25重量部以上90重量部以下であることを特徴とする、ゴム組成物。
【請求項2】
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体がエチレン・ブテン・エチリデンノルボルネン3元共重合体である、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体のヨウ素価が3以上20以下である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シランカップリング剤の含有量が、0.5重量部以上3.0重量部以下である、請求項1乃至3までのいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
前記架橋剤が有機過酸化物である、請求項1乃至4までのいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5までのいずれか1項に記載のゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形品。
【請求項7】
JIS K6261:2006に準拠して測定したTR-70の値が-40℃以下である、請求項6に記載の加硫成形品。
【請求項8】
JIS K6271-1:2015に準拠して測定した体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上である、請求項6又は7に記載の加硫成形品。
【請求項9】
JIS K6262:2013に準拠して、130℃かつ70時間の条件で測定した圧縮永久歪み率が20%以下である、請求項6乃至8までのいずれか1項に記載の加硫成形品。
【請求項10】
前記加硫成形品がシール部品である、請求項6乃至9までのいずれか1項に記載の加硫成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物およびそれを用いた加硫成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)等のゴム材料は、その性質から、各種ゴム成形品(例えば、シール部品、電気絶縁体、防振ゴム、防音ゴム、一般工業用ゴム等)の材料として広く用いられている。しかしながら、これらの材料は、低温環境下(例えば、-40℃以下)では十分なゴム特性を発揮できないという問題があり、耐寒性に優れたゴム材料の使用が要望されている。
【0003】
このようなゴム材料として、エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体(以下、「EPDM」ともいう)が広く知れている。EPDMは、上記ゴム材料に比べて耐寒性に優れ、低温環境下でも十分なゴム特性を発揮できるため、耐寒シール部品のゴム材料として活用できる。一方で、近年、シール部品には更なる耐寒性が必要となる場合があり、EPDMであっても十分なゴム特性を発揮できないという問題がある。
【0004】
EPDMに代替するゴム材料として、エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体(EBDM)が注目されている。特許文献1には、エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体としてエチレン・ブテン・エチリデンノルボルネン3元共重合体(EBENB)と、カーボンブラック、珪酸、珪酸塩等の充填剤とを含むゴム組成物を用いて製造した高圧水素機器用シール部品が、低温シール性および耐ブリスタ性に優れることが開示されている。特許文献2には、EBENBと、カーボンブラックと、硬度調整剤と、架橋剤とを含むゴム組成物を用いることで、従来のEPDMを用いたゴム製品と同等レベルの硬度を有し、低温シール性に優れたゴム成形品が得られることが開示されている。
【0005】
一方、近年のシール製品においては、低温環境下での高いシール性だけでなく、防食の観点から電気絶縁性も要求される。また、EBENBは、ポリマー共重合体の粘着性が非常に高く、混練機、特にオープンロール混練機表面へ粘着するため、ゴム組成物の混練工程における生産性(混練加工性)の向上が望まれている。
【0006】
特許文献1、2には、例えば、EBENBと、カーボンブラックとを含むゴム組成物を用いることにより、ゴム成形品(シール部品)に優れた低温シール性を付与できることは教示されているものの、電気絶縁性および混練加工性については言及されていない。そのため、シール部品に低温シール性および電気絶縁性の両方を付与できると共に、混練加工性に優れたゴム組成物の開発が望まれている。また、シール製品は、長期間の使用に部分的に永久変形(歪み)が生じて、シール性能が低下してしまうため、ゴム組成物をシール用途に適用する場合、良好な圧縮永久歪み特性も望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2017-170189号
【特許文献2】国際公開第2017-170190号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、混練加工性に優れると共に、圧縮永久歪み特性が良好で低温特性および電気絶縁性に優れた加硫成形品を製造するのに好適なゴム組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施態様に係るゴム組成物は、エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体と、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカと、シランカップリング剤と、架橋剤とを含有し、前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シリカの含有量が、25重量部以上90重量部以下である。
【0010】
本発明の一実施態様において、前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体がエチレン・ブテン・エチリデンノルボルネン3元共重合体である。
【0011】
本発明の一実施態様において、前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体のヨウ素価が3以上20以下である。
【0012】
本発明の一実施態様において、前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シランカップリング剤の含有量が、0.5重量部以上3.0重量部以下である。
【0013】
本発明の一実施態様において、前記架橋剤が有機過酸化物である。
【0014】
本発明の実施態様に係る加硫成形品は、前記ゴム組成物を加硫成形して得られる。
【0015】
本発明の加硫成形品の一実施態様において、JIS K6261:2006に準拠して測定したTR-70の値が-40℃以下である。
【0016】
本発明の加硫成形品の一実施態様において、JIS K6271-1:2015に準拠して測定した体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上である。
【0017】
本発明の加硫成形品の一実施態様において、JIS K6262:2013に準拠して、130℃かつ70時間の条件で測定した圧縮永久歪み率が20%以下である。
【0018】
本発明の一実施態様において、前記加硫成形品は、シール部品である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、混練加工性に優れると共に、圧縮永久歪み特性が良好で低温特性および電気絶縁性に優れた加硫成形品を製造するのに好適なゴム組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係るゴム組成物は、ゴム成分としてのエチレン・ブテン・ジエン3元共重合体(以下、「EBDM」ともいう)と、充填剤としてのシリカと、シランカップリング剤と、架橋剤とを含有する。使用されるシリカは、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有し、また、ゴム組成物中、エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対するシリカの含有量は、25重量部以上90重量部以下である。本実施形態に係るEBDM含有ゴム組成物において、所定のCTAB比表面積を有するシリカを、所定の含有量の範囲内で配合させることにより、混練加工性に優れ、低温特性および電気絶縁性の双方に優れた加硫成形品を製造するのに好適なゴム組成物を得ることができる。また、シランカップリング剤の添加により、得られる加硫成形品に良好な圧縮永久歪み特性が付与される。さらに、加硫成形品が優れた低温特性を示すため、このような加硫成形品の使用形態の一例としてのシール部品は、低温環境下で優れたシール性能を発揮する。以下、本実施形態に係るゴム組成物を構成する各成分について詳細に説明する。
【0021】
<ゴム成分>
本実施形態において、ゴム組成物は、加硫成形品のための主成分(ゴム成分)として、EBDMを含有する。エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体として、例えば、エチレン・ブテン・エチリデンノルボルネン3元共重合体(以下、「EBENB」ともいう)が好ましい。EBENB、EPDMのようなゴム材料の特性は、ゴム組成物(又は加硫成形品)全体の材料コスト、生産効率に大きな影響を与える。また、EBDMは、EPDMに比べて柔軟性に優れることから、耐寒性(低温特性)が優れ、かつ、混練性、分散性、成形性などの加工性に優れ、生産効率が大きく向上するため、生産工程におけるコストの低減を図ることができる。このように、EBDM、特に、EBENBを用いた本実施形態に係るゴム組成物によれば、EPDMを用いた従来のゴム組成物に比べて低温特性に優れ、また、材料コストおよび生産効率の観点から、加硫成形品の生産コストを低減できる。
【0022】
EBDMとしては、エチレンおよびブテンに各種のジエン成分を共重合させたもののいずれを用いることができる。EBDMとしてEBENBを使用する場合、EBENBは、エチレンおよびブテンにエチリデンノルボルネンを共重合させたものであれば特に限定されるものでない。EBDMとして、各モノマー成分を合成して作製した共重合体を使用してもよく、各種の市販品、例えば、三井化学社製の「EBT K-9330M」等をそのまま用いてもよい。
【0023】
EBDMのヨウ素価(g/100g)は、3以上20以下であることが好ましく、5以上18以下であることがより好ましい。ヨウ素価が3以上20以下の範囲であることにより、加硫成形品に優れた耐熱老化性および耐候性が付与され、加硫成形品の劣化を防止できる。また、低温環境下においても安定したEBDMの分子状態を維持することができ、低温特性を向上させることができる。
【0024】
EBDMは、EPDMに比べて、ムーニー粘度ML1+4(100℃)で表されるポリマー粘度が小さく、加工性(例えば、混練性、成形性など)の点でも優れている。そのため、EPDMに代えてEBDMを用いることにより、成形効率などの生産性が向上し、生産コストを低減できる。このようなEBDMのムーニー粘度ML1+4(100℃)は、好ましくは10以上45以下であり、より好ましくは15以上35以下である。ムーニー粘度ML1+4(100℃)が10以上であることにより、加硫成形品において圧縮永久歪が大きくなり過ぎることを防止できると共に、適切な引張強さを付与することができる。また、ムーニー粘度ML1+4(100℃)が45以下であることにより、ゴム組成物の加工性の低下を防止することができる。なお、ムーニー粘度ML1+4(100℃)は、JIS K6300-1:2013の規定に準拠して測定することができる。
【0025】
EBDM中のエチレン成分の含有量は、好ましくは60モル%以上80モル%以下であり、より好ましく65モル%以上75モル%以下である。エチレン成分の含有量が60モル%以上80モル%以下の範囲であることにより、EBDMのガラス転移温度Tgが最小値を示し、耐寒性が向上する。
【0026】
ゴム組成物において、ゴム成分を構成するEBDMは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、他のゴム成分として、さらにエチレン・プロピレン・ジエン3元共重体(EPDM)なども併用することができる。
【0027】
<充填剤>
本実施形態において、ゴム組成物は、30m/g以上150m/g以下のCTAB(セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)比表面積を有するシリカを含有する。ゴム組成物中、充填剤としての役割を果たすシリカが含まれることにより、ポリマー本来の電気絶縁性を維持したまま、得られる加硫成形品の機械強度や圧縮永久歪性を向上させることができる。また、シリカのCTAB比表面積が30m/g以上150m/g以下の範囲であることにより、ゴム組成物の混練工程において、混練機、特にロール混練機のロール表面にゴム組成物が粘着することが抑制され、混練加工性が向上する。その結果、混練工程における作業性が改善され、生産性を向上させることができる。さらに、CTAB比表面積が150m/g以下のシリカを使用することにより、シリカの分散性が良化し、圧縮永久歪み特性が向上する。このように、CTAB比表面積が30m/g以上150m/g以下のシリカを使用することにより、混練加工性に優れ、さらには、電気絶縁性に優れ、圧縮永久歪み特性が向上した加硫成形品を製造し得るゴム組成物を提供することができる。特に、シリカのCTAB比表面積は30m/g以上100m/g以下の範囲であることが好ましく、このようなCTAB比表面積の範囲を有するシリカを使用することにより、圧縮永久歪み特性がより向上する。
【0028】
シリカの市販品として、例えば、東ソー・シリカ社製の「Nipsil E74P」(CTAB比表面積:33m/g)、エボニック社製の「Carplex(登録商標) #101」(CTAB比表面積:50m/g)、エボニック社製の「Ultrasil(登録商標) 360」(CTAB比表面積:55m/g)、エボニック社製の「Carplex(登録商標) #1120」(CTAB比表面積:85m/g)、東ソー・シリカ社製の「Nipsil ER」(CTAB比表面積:115m/g)、およびエボニック社製の「Carplex(登録商標) #67」(CTAB比表面積:140m/g)などを用いることができる。シリカは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0029】
ゴム組成物中に含まれるシリカの含有量は、EBDM100重量部に対し、30重量部以上90重量部以下であることが好ましく、30重量部以上70重量部以下がより好ましい。当該含有量が30重量部以上90重量部以下であることにより、ゴム組成物が優れた混練加工性を示し、かつ加硫成形品に優れた低温特性が付与される。このように、シリカの含有量が、EBDM100重量部に対し30重量部以上90重量部以下であることにより、混練加工性に優れ、低温特性に優れた加硫成形品を製造し得るゴム組成物を提供することができる。特に、シリカの含有量が30重量部以上70重量部以下であることが好ましく、シリカの含有量を所望の硬度に合わせて厳密に制御することにより、圧縮永久歪み特性がより向上する。
【0030】
ゴム組成物には、シリカ以外の充填剤がさらに配合されていてもよい。シリカ以外の他の充填剤を組み合わせて用いる場合には、シリカの含有量が上記の範囲内であれば、他の充填剤はその目的に合わせて任意に種類、配合量などを決定することができる。このような他の充填剤として、ゴム組成物に添加する補強材として一般的な、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルクなど、所望の物性特性が得られるように適宜添加されてもよい。なお、着色用にカーボンブラックなどの導電性を示す充填剤を組み合わせる場合には、加硫成形品が所望の電気絶縁性を示す範囲内で適宜調整される。
【0031】
<シランカップリング剤>
本実施形態に係るゴム組成物は、シランカップリング剤をさらに含んでいる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シランなどのビニル基含有アルコキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン等が挙げられる。シランカップリング剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されるものではないが、EBDM100重量部に対して0.5重量部以上3.0重量部以下であり、0.5重量部以上1.5重量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤が適量添加されることにより、ゴムとシリカとの密着性が高まり、加硫成形品としての圧縮永久歪み特性が向上する。
【0032】
<架橋剤>
ゴム組成物中、EBDMの架橋を形成するための架橋剤がさらに含まれている。架橋剤としては、主に有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、例えば、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類などが挙げられる。具体的には、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)-3-ヘキシン、tert-ブチルクミルパーオキサイド、1,3-ビス(tert-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、n-ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルパーオキシ)バレレートなどが挙げられる。架橋剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
架橋剤の配合量は、EBDM100重量部に対して0.5重量部以上10重量部以下であることが好ましく、1重量部以上5重量部以下であることがより好ましい。架橋剤の配合量が0.5重量部以上10重量部以下の範囲であることにより、EBDMの加硫時にゴム組成物が発泡して加硫成形できなくなることを防止でき、また架橋密度が良好となるため十分な物性特性を示す加硫成形品を製造しやすくなる。
【0034】
このような架橋剤は、市販品をそのまま用いてもよく、上記のような有機過酸化物が含まれるマスターバッチを用いてもよい。マスターバッチは、ゴム組成物を調製する際の混練性および分散性を向上し得る点で好ましい。
【0035】
<他の添加剤>
本実施形態に係るゴム組成物は、必要に応じて、架橋促進剤をさらに含んでいてもよい。架橋促進剤としては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアネート(TAC)、液状ポリブタジエン、N,N’-m-フェニレンジマレイミド、トリメタクリル酸トリメチロールプロパンなどを用いることができる。架橋促進剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。架橋促進剤の配合量は、特に限定されるものではないが、EBDM100重量部に対して0.5重量部以上3.0重量部以下であることが好ましい。加架橋促進剤が適量添加されることにより、架橋効率が向上し、さらに耐熱性、機械的特性が向上するため、加硫成形品としての安定性も向上し得る。
【0036】
本実施形態に係るゴム組成物は、必要に応じて、可塑剤をさらに含んでいてもよい。可塑剤としては、脂肪族炭化水素を主成分とするプロセスオイル、例えば、出光興産社製の「ダイアナプロセスオイルPW-380」、出光興産社製の「ダイアナプロセスオイルPW-220」などが挙げられる。可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。特に、プロセスオイルは、化学構造が類似するパラフィンワックスに比べて低分子であるため、パラフィンワックスを配合した場合には達成し得ない特有の効果を奏する点でより好ましい。可塑剤の配合量は、特に限定されるものではないが、EBDM100重量部に対して1.0重量部以上30重量部以下であることが好ましい。
【0037】
本実施形態に係るゴム組成物は、必要に応じて、滑剤をさらに含んでいてもよい。滑剤としては、混練機の表面温度付近である50℃~100℃に融点を有するものであって、主に脂肪酸系滑剤が好ましい。脂肪酸系滑剤としては、例えば、脂肪酸アマイド、脂肪酸亜鉛、脂肪酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸アマイドとしては、飽和脂肪酸アマイド、不飽和脂肪酸アマイドが挙げられ、構造によって、モノアマイド、置換アマイド、ビスアマイド、メチロールアマイドであってもよい。脂肪酸亜鉛としては、飽和脂肪酸亜鉛、不飽和脂肪酸亜鉛、これらの誘導体、およびその混合物が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などのエステルが挙げられる。脂肪酸系滑剤の他に、非亜鉛系滑剤、オルガノシリコーン系滑剤も適用できる。滑剤の配合量は、特に限定されるものではないが、EBDM100重量部に対して0.5重量部以上3.0重量部以下であることが好ましい。滑剤が適量添加されることにより、混練加工性がより良好となり、またオイルのブリード発生などを防止できる。
【0038】
ゴム組成物中には、上記成分以外にも、受酸剤、酸化防止剤等のゴム工業で一般的に使用されているゴム配合剤が必要に応じて適宜添加されていてもよい。各ゴム配合剤の配合量の合計は、EBDM100重量部に対して300重量部以下であることが好ましい。
【0039】
<ゴム組成物の製造方法>
本実施形態に係るゴム組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、上記に記載されるEBDM、シリカ、シランカップリング剤および架橋剤、さらには、必要に応じて配合される任意の各種添加剤を所定の割合で適宜配合した後、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサ、ニーダ、高剪断型ミキサなどの混練機を用いて混練することによりゴム組成物を製造することができる。なお、混練の前に、必要に応じて予備混練を施してもよい。
【0040】
<加硫成形品>
本実施形態に係るゴム組成物の加硫成形により加硫成形品を製造できる。ゴム組成物の加硫成形は、射出成形機、圧縮成形機などを用いて、一般に約150~230℃で約0.5~30分間の加圧加硫によって行われる。また、このような一次加硫(加圧加硫)を施した後、加硫成形品の内部まで確実に加硫を施すため、必要に応じて二次加硫を行ってもよい。二次加硫は、一般に約150~250℃で約0.5~24時間のオーブン加熱によって行うことができる。
【0041】
本実施形態に係るゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形品は、特に、-40℃以下でも優れた低温特性を示し、低温環境下(例えば、-40℃~-60℃)での使用に好適である。このような加硫成形品の低温特性として、例えば、JIS K6261:2006に準拠して測定したTR-70の値が-40℃以下であることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態に係るゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形品は、優れた電気絶縁性を示す。このような加硫成形品の電気絶縁性として、例えば、JIS K6271-1:2015に準拠して測定した体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上であることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態に係るゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形品は、圧縮永久歪み特性が良好であることが好ましい。このような加硫成形品の圧縮永久歪み特性として、例えば、JIS K6262:2013に準拠して、130℃かつ70時間の条件で測定した圧縮永久歪み率が20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。
【0044】
本実施形態に係る加硫成形品は、良好な圧縮永久歪み特性を示し、さらには低温特性および電気絶縁性に優れるため、例えば、シール部品、絶縁体としての使用に好適である。特に、加硫成形品がシール部品である場合、このようなシール部品は、低温環境下で優れたシール性能を発揮する。その中でも、低温環境下でのシール性、電気絶縁性が要求されるシール部品として、エレクトロモビリティ(e-Mоbility)用ガスケットとしての使用に好適である。
【0045】
加硫成形品の形状は、特に限定されるものではなく、用途に応じた様々な形状にすることができる。例えば、加硫成形品をシール部品として使用する場合、シール部品としての形状は、Oリング、ガスケット、パッキン、シートなどの形状が挙げられる。また、加硫成形品の用途は、上記シール部品に限らず、例えば、絶縁シール、寒冷地用シールなどの他の工業用シール部品としても好適である。
【0046】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の概念および請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【実施例0047】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、これらの例に限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
EBDM(ヨウ素価:16(g/100g)、商品名「EBT K-9330M」、三井化学社製)100重量部、シリカA(商品名「Nipsil E74P」、東ソー・シリカ社製)30重量部、シランカップリング剤(商品名「A171」、モメンティブ社製)1重量部、架橋剤(商品名「パークミルD」、日本油脂社製)3重量部および滑剤(商品名「ダイアミッド0-200T」、日本化成社製)1重量部を、オープンロール混練機により混練してゴム組成物を作製した。
【0049】
<混練加工性>
得られたゴム組成物について、混練機表面への粘着性に基づき、混練加工性を評価した。安定な混練が可能であれば「〇」、混練機表面にゴム組成物の粘着が激しく、混練が続行不能であれば「×」とそれぞれ評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
<低温特性>
得られたゴム組成物について、シート金型を用いて、180℃で10分間の加圧加硫(一次加硫)および150℃で24時間のオープン加硫(二次加硫)を行い、試験片として厚さ2mmのシート状の加硫成形品を作製した。得られた加硫成形品の試験片について、JIS K6261:2006に準拠して、TR-70における温度を測定した。TR-70は、試験片を50%伸張して凍結させた後、これを昇温して弾性率を回復する際に、収縮率が70%になる温度である。TR-70で測定される温度が低いほど、低温でゴム弾性が回復しており、低温特性に優れていることを示す。ゴム弾性によりシール性を付与するシール部品においては、当該温度が低い程望ましい。このような材料特性は、ゴム弾性の観点から好ましいシール挙動を示すことがわかる。TR-70が-40℃以下であれば「〇」、-40℃超であれば「×」と評価した。その結果を表1に示す。
【0051】
<電気絶縁性>
得られた加硫成形品の試験片について、JIS K6271-1:2015に準拠して、500Vを電極間に印加し、1分後の体積抵抗率を測定した。体積抵抗率が高いほど、電気絶縁性に優れていることを示す。体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上であれば「〇」、1×1012Ω・cm未満であれば「×」と評価した。その結果を表1に示す。
【0052】
<圧縮永久歪み特性>
得られた加硫成形品の試験片を3枚積層し、JIS K6262:2013に準拠して、空気中130℃で70時間後の圧縮永久歪み率を測定した。圧縮永久歪み率が低いほど、圧縮永久歪み特性に優れていることを示す。圧縮永久歪み率が15%以下であれば「〇」、20%以下であれば「△」、20%超であれば「×」と評価した。「△」以上を合格レベルに達していると評価した。その結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2)
シリカAの配合量を60重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0054】
(実施例3)
シリカAの配合量を90重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0055】
(実施例4)
シリカAに代えて、シリカB(商品名:「Carplex(登録商標) #101」、エボニック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0056】
(実施例5)
シリカAに代えて、シリカC(商品名:「Ultrasil(登録商標) 360」、エボニック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0057】
(実施例6)
シリカAに代えて、シリカD(商品名:「Carplex(登録商標) #1120」」、エボニック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0058】
(実施例7)
シリカAに代えて、シリカE(商品名:「Nipsil ER」、東ソー・シリカ社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0059】
(実施例8)
シリカAに代えて、シリカF(商品名:「Carplex(登録商標) #67」、エボニック社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0060】
(比較例1)
シリカAの配合量を20重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0061】
(比較例2)
シリカAの配合量を100重量部としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0062】
(比較例3)
シリカAに代えて、シリカG(商品名:「Nipsil LP」、東ソー・シリカ社製)30重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0063】
(比較例4)
シリカAに代えて、シリカH(商品名:「Ultrasil(登録商標) 9500GR」、エボニック社製)20重量部を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0064】
(比較例5)
シリカAに代えて、カーボンブラック(準超耐摩耗性(ISAF:Intermediate Super Abrasion Furnace)カーボンブラック:商品名「ショウブラックN220」、キャボットジャパン社製)80重量部を配合し、かつシランカップリング剤を不含としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0065】
(比較例6)
シランカップリング剤を不含としたこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0066】
(比較例7)
EBDMに代えて、EPDM(商品名:「EP33」、JSR社製)を配合したこと以外は、実施例1と同様にしてゴム組成物およびその加硫成形品を作製して、上記の測定および評価を行った。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
上記表1に示される各成分は、下記の通りである。
・EBDM:エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体(ヨウ素価:16(g/100g)、商品名「EBT K-9330M」、三井化学社製)
・EPDM:エチレン・プロピレン・ジエン3元共重合体(商品名「EP33」、JSR社製)
・シリカA:商品名「Nipsil E74P」、東ソー・シリカ社製(CTAB比表面積:33m/g)
・シリカB:商品名「Carplex(登録商標) #101」、エボニック社製(CTAB比表面積:50m/g)
・シリカC:商品名「Ultrasil(登録商標) 360」、エボニック社製(CTAB比表面積:55m/g)
・シリカD:商品名「Carplex(登録商標) #1120」、エボニック社製(CTAB比表面積:85m/g)
・シリカE:商品名「Nipsil ER」、東ソー・シリカ社製(CTAB比表面積:115m/g)
・シリカF:商品名「Carplex(登録商標) #67」、エボニック社製(CTAB比表面積:140m/g)
・シリカG:商品名「Nipsil LP」、東ソー・シリカ社製(CTAB比表面積:154m/g)
・シリカH:商品名「Ultrasil(登録商標) 9500GR」、エボニック社製(CTAB比表面積:220m/g)
・シランカップリング剤:商品名「A171」、モメンティブ社製
・架橋剤:商品名「パークミルD」、日本油脂社製
・滑剤:商品名「ダイアミッド0-200T」、日本化成社製
・カーボンブラック:準超耐摩耗性(ISAF:Intermediate Super Abrasion Furnace)カーボンブラック(商品名「ショウブラックN220」、キャボットジャパン社製)
また、上記表1中の上記各成分の値は「重量部」を表す。
【0069】
表1から分かるように、EBDMを含むゴム組成物において、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカを、EBDM100重量部に対して25重量部以上90重量部以下の範囲で配合させ、さらにシランカップリング剤が配合された実施例1~8では、いずれも混練機表面にゴム組成物の粘着がなく、安定な混練が可能であり、混練加工性に優れていた。また、実施例1~8のゴム組成物を用いて作製した加硫成形品では、TR-70が-40℃以下、体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上であることから、低温特性および電気絶縁性にも優れていた。さらに、実施例1~8のゴム組成物を用いて作製した加硫成形品では、圧縮永久歪み率が20%以下であることから、良好な圧縮永久歪み特性を示し、特に、実施例1~2、4~6では、優れた圧縮永久歪み特性を示した。
【0070】
一方、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカの含有量が、EBDM100重量部に対して30重量部未満である比較例1では、混練機表面にゴム組成物が粘着し、混練が続行不能であり、混練加工性に劣っていた。
【0071】
30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカの含有量が、EBDM100重量部に対して90重量部を超えている比較例2では、ゴム組成物を用いて作製した加硫成形品が示すTR-70が-40℃超であり、低温特性に劣っていた。
【0072】
CTAB比表面積が150m/gを超えているシリカを使用した比較例3~4では、混練機表面にゴム組成物が粘着し、混練が続行不能であり、混練加工性に劣っていた。また、圧縮永久歪み率が20%を超えており、圧縮永久歪み特性にも劣っていた。
【0073】
30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカの代わりに、カーボンブラックを使用した比較例5では、ゴム組成物を用いて作製した加硫成形品が示すTR-70が-40℃超であり、また、体積固有抵抗率が1×1012Ω・cm未満であるため、加硫成形品に優れた低温特性および電気絶縁性を付与することができなかった。また、シランカップリング剤を使用していないため、圧縮永久歪み率が20%を超えており、圧縮永久歪み特性にも劣っていた。
【0074】
シランカップリング剤を使用していない比較例6では、ゴム組成物を用いて作製した加硫成形品が示す圧縮永久歪み率が20%を超えており、加硫成形品に良好な圧縮永久歪み特性を付与することができなかった。
【0075】
ゴム成分としてEBDMの代わりに、EPDMを使用した比較例7では、ゴム組成物を用いて作製した加硫成形品が示すTR-70が-40℃超であり、加硫成形品に優れた低温特性を付与することができなかった。
【0076】
以上の結果から、EBDMを含むゴム組成物中、EBDM100重量部に対して、30m/g以上150m/g以下の比表面積を有するシリカを、25重量部以上90重量部以下の範囲で配合させることにより、混練加工性に優れると共に、圧縮永久歪み特性が良好で、さらには低温特性および電気絶縁性に優れた加硫成形品を製造するのに好適なゴム組成物を提供できることがわかる。そのため、例えば、加硫成形品がシール部品である場合、このようなシール部品は、低温環境下で優れたシール性能を発揮することができ、特に、e-Mоbility用ガスケットとしての使用に好適である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体と、30m/g以上150m/g以下のCTAB比表面積を有するシリカと、シランカップリング剤と、架橋剤とを含有し、
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シリカの含有量が、25重量部以上90重量部以下であり、
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体がエチレン・ブテン・エチリデンノルボルネン3元共重合体であることを特徴とする、ゴム組成物。
【請求項2】
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体のヨウ素価が3以上20以下である、請求項に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記エチレン・ブテン・ジエン3元共重合体100重量部に対する前記シランカップリング剤の含有量が、0.5重量部以上3.0重量部以下である、請求項1又は2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
請求項1乃至までのいずれか1項に記載のゴム組成物を加硫成形して得られた加硫成形品。
【請求項5】
JIS K6261:2006に準拠して測定したTR-70の値が-40℃以下である、請求項に記載の加硫成形品。
【請求項6】
JIS K6271-1:2015に準拠して測定した体積抵抗率が1×1012Ω・cm以上である、請求項又はに記載の加硫成形品。
【請求項7】
JIS K6262:2013に準拠して、130℃かつ70時間の条件で測定した圧縮永久歪み率が20%以下である、請求項乃至までのいずれか1項に記載の加硫成形品。
【請求項8】
前記加硫成形品がシール部品である、請求項乃至までのいずれか1項に記載の加硫成形品。