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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074920
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】リーン車両
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20240524BHJP
   B62K 5/08 20060101ALI20240524BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20240524BHJP
   B62J 17/02 20060101ALI20240524BHJP
   B62J 17/086 20200101ALI20240524BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/08
B62K5/027
B62J17/02
B62J17/086
B62J23/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060354
(22)【出願日】2024-04-03
(62)【分割の表示】P 2021543063の分割
【原出願日】2020-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2019158751
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】大野 孝祐
(57)【要約】
【課題】車両本体の前部の設計自由度と車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供する。
【解決手段】リーン車両1は、車体フレーム21と、車体フレーム21に支持され、運転者が着座するシート27と、車体フレーム21の左に位置し、左前輪31を含む左前輪ユニット3aと、車体フレーム21の右に位置し、右前輪32を含む右前輪ユニット3bと、車体フレーム21上に、シート27に着座する運転者の前を覆うように、前後方向において左前輪31及び右前輪32とシート27との間に位置する前部車体カバー部265とを備える。前部車体カバー部265は、シート27に着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を視認できるように、光透過材料で構成された光透過部266を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左に旋回する際には左に傾斜し且つ右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両であって、
車体フレームと、
前記車体フレームに支持され、運転者が着座するシートと、
前記車体フレームの左に位置し、左前輪を含む左前輪ユニットと、
前記車体フレームの右に位置し、右前輪を含む右前輪ユニットと、
前記車体フレーム上に、前記シートに着座する運転者の前を覆うように、前後方向において前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットと前記シートとの間に位置する前部車体カバーと、
を備え、
前記前部車体カバーは、光透過性材料によって構成され、前記リーン車両が左または右に傾斜している状態でも前記シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認できるような大きさを有する光透過部を有する、リーン車両。
【請求項2】
請求項1に記載のリーン車両において、
前記光透過部は、前記前部車体カバーにおいて、前記シートに着座した運転者が、上下方向において前記左前輪ユニットの上端と下端との間の少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの上端と下端との間の少なくとも一部を視認できるような位置に、設けられている、リーン車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載のリーン車両において、
前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットは、車両の正面視で、少なくとも一部が前記前部車体カバーと重なるように、前記前部車体カバーの前に配置されている、リーン車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載のリーン車両において、
前記光透過部は、
前記シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部を視認可能にする左光透過部と、
前記シートに着座した運転者が前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認可能にする右光透過部と、
を有する、リーン車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載のリーン車両において、
前記光透過部は、車両の正面視で、上部が前記シートの着座面よりも上方に位置し、下部が前記シートの着座面よりも下方に位置するように、前記前部車体カバーに形成されている、リーン車両。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載のリーン車両において、
前記前部車体カバーを含み、前記シートに着座した状態の前記運転者を収容可能なキャビンを構成する車体カバーをさらに備えている、リーン車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーン車両に関する。
【背景技術】
【0002】
左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜するリーン車両が知られている。このようなリーン車両として、例えば特許文献1及び非特許文献1には、2つの前輪を有する車両が開示されている。前記2つの前輪は、左前輪及び右前輪を含む。
【0003】
前記特許文献1及び前記非特許文献1に開示されている車両は、シートに着座した状態の運転者を収容可能なキャビンを構成するとともに、左または右に開口部を有する車体カバーを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】意匠登録第1595205号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“YAMAHA MWC-4”、ヤマハ発動機株式会社、[令和1年7月30日検索]、インターネット(https://global.yamaha-motor.com/jp/profile/design/concept/mwc4/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1及び非特許文献1のようなリーン車両では、車両本体の前部に、照明灯及びバックミラーなどが設けられている。そのため、前記リーン車両では、前記車両本体の前部が大型化していて、シートに着座した運転者が前輪を視認しにくい。このように運転者が前輪を視認しにくいと、前記運転者は車両の車幅感覚をつかみにくい。
【0007】
これに対し、前記車両本体の前部の左右方向寸法を小さくすることにより、シートに着座した運転者は前輪を視認しやすい。これにより、前記運転者が車両の車幅を容易に把握することができる。しかしながら、上述のように、前記車両本体の前部の左右方向寸法を小さくすることにより、前記車両本体の前部に採用可能なデザインは制約を受ける。
【0008】
本発明は、車両本体の前部の設計自由度と車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、車両本体の前部の設計自由度と車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両の構成について検討を行った。本発明者は、鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0010】
本発明の一実施形態に係るリーン車両は、左に旋回する際には左に傾斜し且つ右に旋回する際には右に傾斜するリーン車両である。前記リーン車両は、車体フレームと、前記車体フレームに支持され、運転者が着座するシートと、前記車体フレームの左に位置し、左前輪を含む左前輪ユニットと、前記車体フレームの右に位置し、右前輪を含む右前輪ユニットと、前記車体フレーム上に、前記シートに着座する運転者の前を覆うように、前後方向において前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットと前記シートとの間に位置する前部車体カバーとを備える。前記前部車体カバーは、光透過性材料によって構成され、前記リーン車両が左または右に傾斜している状態でも前記シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認できるような大きさを有する光透過部を有する。
【0011】
上述のように、シートに着座する運転者の前を覆うように前後方向において左前輪ユニット及び右前輪ユニットと前記シートとの間に位置する前部車体カバーが、光透過部を有することにより、シートに着座した運転者が前記光透過部を介して前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認することができる。しかも、前記光透過部は、前記リーン車両が左または右に傾斜している状態でも前記シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認できるような大きさを有する。これにより、運転者は、シートに着座した状態で、左前輪及び右前輪の位置を容易に把握することができる。
【0012】
また、前記前部車体カバーが前記光透過部を有することにより、車両本体の前部を左右方向に小型化することなく、シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認することができる。これにより、車両本体の前部の設計自由度が低下することを防止できる。
【0013】
したがって、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明のリーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記光透過部は、前記前部車体カバーにおいて、前記シートに着座した運転者が上下方向において前記左前輪ユニットの上端と下端との間の少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの上端と下端との間の少なくとも一部を視認できるような位置に、設けられている。
【0015】
これにより、車両本体の前部を左右方向に小型化することなく、シートに着座した運転者は、光透過部を介して左前輪ユニット及び右前輪ユニットを直接視認することができる。よって、運転者は、シートに着座した状態で、左前輪及び右前輪の位置をより容易に把握することができる。したがって、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明のリーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットは、車両の正面視で(in front view of the vehicle)、少なくとも一部が前記前部車体カバーと重なるように、前記前部車体カバーの前に配置されている。
【0017】
これにより、左右方向において左前輪ユニット及び右前輪ユニットを前部車体カバーにより近い位置に配置できるため、シートに着座した運転者が光透過部を介して前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットを視認する際に、前記左前輪ユニットの少なくとも一部及び前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認可能な範囲を広くすることができる。よって、前記前部車体カバーに設けられる前記光透過部の設計自由度が高くなる。
【0018】
上述の構成により、運転者が、シートに着座した状態で、前記左前輪ユニット及び前記右前輪ユニットの位置をより視認しやすくすることできる。したがって、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0019】
他の観点によれば、本発明のリーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記光透過部は、前記シートに着座した運転者が前記左前輪ユニットの少なくとも一部を視認可能にする左光透過部と、前記シートに着座した運転者が前記右前輪ユニットの少なくとも一部を視認可能にする右光透過部と、を有する。
【0020】
これにより、前部車体カバーの全体が光透過部の場合に比べて、左前輪ユニット及び右前輪ユニットをそれぞれ視認しやすいように前部車体カバーに左光透過部及び右光透過部を形成することができる。よって、車両本体の前部を左右方向に小型化することなく、運転者は、シートに着座した状態で、左前輪及び右前輪の位置をより容易に把握することができる。したがって、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0021】
他の観点によれば、本発明のリーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記光透過部は、車両の正面視で、上部が前記シートの座面よりも上に位置し、下部が前記シートの座面よりも下に位置するように、前記前部車体カバーに形成されている。
【0022】
これにより、運転者の体型の違いによって前記運転者の視野が異なる場合でも、前記運転者は、シートに着座した状態で、前記光透過部を介して左前輪ユニット及び右前輪ユニットを視認することができる。よって、車両本体の前部を左右方向に小型化することなく、どのような体型の運転者でも、シートに着座した状態で、左前輪及び右前輪の位置をより容易に把握することができる。したがって、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0023】
他の観点によれば、本発明のリーン車両は、以下の構成を含むことが好ましい。前記リーン車両は、前記前部車体カバーを含み、前記シートに着座した状態の前記運転者を収容可能なキャビンを構成する車体カバーをさらに備えている。
【0024】
これにより、キャビンの有無にかかわらず、左前輪及び右前輪の位置を把握しやすいように、前部車体カバーに光透過部を形成できる。すなわち、シートに着座した運転者が左前輪及び右前輪の位置を容易に把握することとは関係なく、リーン車両のキャビンの形状を決めることができる。これにより、キャビンを有するリーン車両において、車両本体の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【0025】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施例のみを定義する目的で使用されるのであって、前記専門用語によって発明を制限する意図はない。
【0026】
本明細書で使用される「及び/または」は、一つまたは複数の関連して列挙された構成物のすべての組み合わせを含む。
【0027】
本明細書において、「含む、備える(including)」「含む、備える(comprising)」または「有する(having)」及びそれらの変形の使用は、記載された特徴、工程、要素、成分、及び/または、それらの等価物の存在を特定するが、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/または、それらのグループのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0028】
本明細書において、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、及び/または、それらの等価物は、広義の意味で使用され、“直接的及び間接的な”取り付け、接続及び結合の両方を包含する。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的または機械的な接続または結合に限定されず、直接的または間接的な接続または結合を含むことができる。
【0029】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0030】
一般的に使用される辞書に定義された用語は、関連する技術及び本開示の文脈における意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されていない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されることはない。
【0031】
本発明の説明においては、いくつもの技術および工程が開示されていると理解される。これらの各々は、個別の利益を有し、他に開示された技術の1つ以上、または、場合によっては全てと共に使用することもできる。
【0032】
したがって、明確にするために、本発明の説明では、不要に個々のステップの可能な組み合わせをすべて繰り返すことを控える。しかしながら、本明細書及び請求の範囲は、そのような組み合わせがすべて本発明の範囲内であることを理解して読まれるべきである。
【0033】
本明細書では、本発明に係るリーン車両の実施形態について説明する。
【0034】
以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多数の具体的な例を述べる。しかしながら、当業者は、これらの具体的な例がなくても本発明を実施できることが明らかである。
【0035】
よって、以下の開示は、本発明の例示として考慮されるべきであり、本発明を以下の図面または説明によって示される特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
【0036】
[リーン車両]
本明細書において、リーン車両とは、傾斜姿勢で旋回する車両である。具体的には、リーン車両は、車両の左右方向において、左に旋回する際に左に傾斜し、右に旋回する際に右に傾斜する車両である。リーン車両は、一人乗りの車両であってもよいし、複数人が乗車可能な車両であってもよい。なお、リーン車両は、3輪車または4輪車など、傾斜姿勢で旋回する全ての車両を含む。
【0037】
[乗車空間]
本明細書において、乗車空間とは、リーン車両において、シートに着座した運転者が位置する空間を意味する。リーン車両がキャビンを構成する車体フレームを有する場合には、前記乗車空間は前記キャビンによって構成される。なお、リーン車両がキャビンを構成する車体フレームを有していない場合、前記乗車空間は車体フレームによって囲まれていない空間である。すなわち、前記乗車空間は、リーン車両がキャビンを構成する車体フレームを有していない場合、前部車両カバーよりも後ろに位置する空間を含む。
【0038】
[左前輪ユニット及び右前輪ユニット]
本明細書において、左前輪ユニットとは、左前輪だけではなく、例えば前記左前輪の上に配置される左フロントフェンダなどのように、上下方向に延びる回転軸線を中心として前記左前輪と一体で回転し且つ前記左前輪と一体で上下方向に移動する部材も含む。右前輪ユニットとは、右前輪だけでなく、例えば前記右前輪の上に配置される右フロントフェンダなどのように、上下方向に延びる回転軸線を中心として前記右前輪と一体で回転し且つ前記右前輪と一体で上下方向に移動する部材も含む。
【0039】
[左前輪ユニットの上端及び右前輪ユニットの上端]
本明細書において、左前輪ユニットの上端とは、リーン車両の停止時または走行時に、上下方向において左前輪ユニットの最も上に位置する部分を意味する。右前輪ユニットの上端とは、リーン車両の停止時または走行時に、上下方向において右前輪ユニットの最も上に位置する部分を意味する。
【0040】
[左前輪ユニットの下端及び右前輪ユニットの下端]
本明細書において、左前輪ユニットの下端とは、リーン車両の停止時または走行時に、上下方向において左前輪ユニットの最も下に位置する部分を意味する。右前輪ユニットの下端とは、リーン車両の停止時または走行時に、上下方向において右前輪ユニットの最も下に位置する部分を意味する。
【発明の効果】
【0041】
本発明の一実施形態によれば、車両本体の前部の設計自由度と車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1図1は、実施形態に係るリーン車両の全体構成の概略を示す左側面図である。
図2図2は、リーン車両の全体構成の概略を示す正面図である。
図3図3は、車体フレームの概略構造を示す分解斜視図である。
図4図4は、車体フレーム、車体カバー及び運転者の位置関係を模式的に示す平面図である。
図5図5は、車体フレームが左に傾斜した際の傾斜リンク機構を後方に見た場合の模式図である。
図6図6は、車体フレームが右に傾斜した際の傾斜リンク機構を後方に見た場合の模式図である。
図7図7は、車体フレームが左に傾斜している際のリーン車両の全体構成を示す正面図である。
図8図8は、左に傾斜している状態のリーン車両の正面図及び左側面図を並べて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下で、実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0044】
以下、図中の矢印Fは、リーン車両1の前方向を示す。図中の矢印Bは、リーン車両1の後方向を示す。図中の矢印Uは、リーン車両1の上方向を示す。図中の矢印Dは、リーン車両1の下方向を示す。図中の矢印Rは、リーン車両1の右方向を示す。図中の矢印Lは、リーン車両1の左方向を示す。また、リーン車両1の前後方向、左右方向及び上下方向は、それぞれ、リーン車両1を運転する運転者から見た場合に、リーン車両1を基準とした前後方向、左右方向及び上下方向を意味する。
【0045】
本実施形態のリーン車両1は、鉛直方向に対して車体フレーム21を左右方向に傾斜させて旋回する。そのため、車体フレーム21が傾斜した状態を示す図5から図8では、上述のリーン車両1を基準とした方向に加え、車体フレーム21を基準とした方向を以下のように定める。
【0046】
図中の矢印FUは、車体フレーム21の上方向を示す。図中の矢印FDは、車体フレーム21の下方向を示す。図中の矢印FRは、車体フレーム21の右方向を示す。図中の矢印FLは、車体フレーム21の左方向を示す。また、車体フレーム21左右方向及び上下方向は、それぞれ、リーン車両1を運転する運転者から見た場合に、車体フレーム21を基準とした左右方向及び上下方向を意味する。
【0047】
(全体構成)
図1は、実施形態に係るリーン車両1の全体構成の概略を示す左側面図である。図2は、リーン車両1の全体構成の概略を示す正面図である。リーン車両1は、車両本体2と、左右一対の前輪ユニット3と、後輪4と、傾斜リンク機構5と、操舵機構6と、緩衝装置7と、パワーユニット8(駆動源)とを備えている。
【0048】
本実施形態のリーン車両1は、左に旋回する際に左に傾斜し且つ右に旋回する際に右に傾斜する車両である。すなわち、本実施形態のリーン車両1は、左に旋回する際には車両本体2及び左右一対の前輪ユニット3を左に傾斜し且つ右に旋回する際には車両本体2及び左右一対の前輪ユニット3を右に傾斜する車両である。
【0049】
図1及び図2に示すように、車両本体2は、車体フレーム21と、リアアーム23と、車体カバー26と、シート27とを有する。図1及び図2において、車体フレーム21は直立状態である。以下の説明において、図1及び図2を参照する場合には、車体フレーム21は直立状態を前提としている。なお、車体フレーム21が直立状態とは、車体フレーム21の上下方向が鉛直方向と同じ状態を意味する。
【0050】
図1に示すように、車体フレーム21は、車体カバー26、シート27及びパワーユニット8等のリーン車両1に搭載される搭載部品を支持している。具体的には、車体フレーム21は、前部で傾斜リンク機構5を支持している。車体フレーム21は、後部でリアアーム支持部24(図3参照)、シート27及びパワーユニット8を支持している。
【0051】
パワーユニット8は、例えば動力発生源であるモータを有する。なお、パワーユニット8は、前記動力発生源として、エンジンを有していてもよいし、エンジン及びモータを組み合わせたハイブリッドシステムを有していてもよい。
【0052】
図3は、車体フレーム21、左右一対の前輪ユニット3、後輪4、傾斜リンク機構5及び操舵機構6の概略構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、車体フレーム21は、メイン骨格部21aと、傾斜リンク機構支持部22と、リアアーム支持部24と、ハンドル支持部25と、を有する。
【0053】
メイン骨格部21aは、リーン車両1の車両本体2の骨格を構成するフレームである。メイン骨格部21aは、前後方向に直線的に延びている。すなわち、メイン骨格部21aの左右方向の幅は、メイン骨格部21aの前後方向の長さよりも小さい。メイン骨格部21aは、前骨格部211と、後骨格部212とを含む。前骨格部211及び後骨格部212は、前後方向に並んだ状態で連結されている。
【0054】
前骨格部211は、メイン骨格部21aにおいて後骨格部212の前に位置する。前骨格部211は前後方向に延びている。前骨格部211は、一対の前骨格側壁部211aと、前骨格底壁部211bとを有する。一対の前骨格側壁部211aは、左右方向に並んで位置し且つ前後方向に長い。前骨格底壁部211bは、一対の前骨格側壁部211aの下端部同士を接続する。一対の前骨格側壁部211a及び前骨格底壁部211bは、例えば、溶接によって接続されている。なお、一対の前骨格側壁部211a及び前骨格底壁部211bは、接着やボルト等によって接続されていてもよいし、一体に形成されていてもよい。
【0055】
一対の前骨格側壁部211aの高さ寸法は、それぞれ、前部よりも後部の方が低い。これにより、シート27の着座面27cに着座した運転者の足元に、前骨格部211を配置することができる。よって、メイン骨格部21aをリーン車両1の下部に配置することができる。これにより、リーン車両1の重心を低くすることができる。なお、本実施形態における高さとは、リーン車両1が走行する路面からの高さを意味する。
【0056】
後骨格部212は、メイン骨格部21aにおいて前骨格部211の後ろに位置する。後骨格部212は前後方向に延びている。後骨格部212は、一対の後骨格側壁部212aと、複数の後骨格梁部212bとを有する。一対の後骨格側壁部212aは、左右方向に並んで位置し且つ前後方向に長い。複数の後骨格梁部212bは、一対の後骨格側壁部212aを左右方向に接続する。
【0057】
後骨格部212の上下方向の寸法は、前骨格部211の上下方向の寸法よりも大きい。後骨格部212の左右方向の寸法は、前骨格部211の左右方向の寸法よりも小さい。
【0058】
前骨格部211は、前部で傾斜リンク機構支持部22を支持している。後骨格部212は、前部でパワーユニット8及びシート27を支持し、後部でリアアーム支持部24を支持している。
【0059】
なお、図4に示すように、メイン骨格部21aは、平面視で、車体カバー本体26aに設けられた後述する左ステップ261と右ステップ262との間に位置する。すなわち、メイン骨格部21aは、運転者がシート27に着座した状態で左ステップ261及び右ステップ262に足を載せた時の運転者の両脚の間を前後方向に直線的に延びている。
【0060】
図1に示すように、シート27は、車体フレーム21の後骨格部212によって支持されている。シート27は、着座部27aと、シートバック27bとを有する。シート27の着座部27aが後骨格部212の上部によって支持されている。着座部27aの上面は、運転者が着座する着座面27cである。
【0061】
図3に示すように、傾斜リンク機構支持部22は、前骨格部211の前端に接続されている。傾斜リンク機構支持部22は、後述の傾斜リンク機構5を支持している。傾斜リンク機構5は、左右一対の前輪ユニット3を支持している。すなわち、傾斜リンク機構支持部22は、傾斜リンク機構5を介して左右一対の前輪ユニット3を支持している。傾斜リンク機構5の詳しい構成は、後述する。
【0062】
図2及び図3に示すように、左右一対の前輪ユニット3は、車体フレーム21の左に位置する左前輪ユニット3aと、車体フレーム21の右に位置する右前輪ユニット3bとを含む。
【0063】
左前輪ユニット3aは、左前輪31と、左前輪31の上に位置する左フロントフェンダ33とを含む。左フロントフェンダ33は、左前輪31に対して、上下方向に延びる図示しない回転軸線を中心として左前輪31と一体で回転し且つ左前輪31と一体で上下方向に移動するように固定されている。左前輪ユニット3aは、上下方向に延びる図示しない回転軸線を中心として左前輪31と一体で回転し且つ左前輪31と一体で上下方向に移動する他の部材を含んでいてもよい。
【0064】
右前輪ユニット3bは、右前輪32と、右前輪32の上に位置する右フロントフェンダ34とを含む。右フロントフェンダ34は、右前輪32に対して、上下方向に延びる図示しない回転軸線を中心として右前輪32と一体で回転し且つ右前輪32と一体で上下方向に移動するように固定されている。右前輪ユニット3bは、上下方向に延びる図示しない回転軸線を中心として右前輪32と一体で回転し且つ右前輪32と一体で上下方向に移動する他の部材を含んでいてもよい。
【0065】
後述する傾斜リンク機構5の左アーム機構51は、車体フレーム21に対して左前輪31を支持するように、傾斜リンク機構支持部22から左に向かって延びている。後述する傾斜リンク機構5の右アーム機構52は、車体フレーム21に対して右前輪32を支持するように、傾斜リンク機構支持部22から右に向かって延びている。
【0066】
図3に示すように、傾斜リンク機構支持部22と前骨格部211との間には、緩衝装置7(図2参照)を支持する緩衝装置支持部28が配置されている。この緩衝装置支持部28は、傾斜リンク機構支持部22の上部と、前骨格部211に接続されたハンドル支持部25の前下端部とに接続されている。
【0067】
緩衝装置支持部28は、緩衝装置支持本体部28aと、タワー部28bとを有する。緩衝装置支持本体部28aは、円筒状の部材であり、上下方向に延びるタワー部28bの基端部を支持する。緩衝装置支持本体部28aは、傾斜リンク機構支持部22及びハンドル支持部25の前下端部に接続されている。
【0068】
なお、図2に示すように、緩衝装置7は、左緩衝装置71と、右緩衝装置72とを含む。左緩衝装置71は、タワー部28bと傾斜リンク機構5の後述する左上アーム部材511とを接続するように設けられている。右緩衝装置72は、タワー部28bと傾斜リンク機構5の後述する右上アーム部材521とを接続するように設けられている。特に図示しないが、左緩衝装置71及び右緩衝装置72は、それぞれ、スプリング及びダンパを有する。
【0069】
左緩衝装置71は、路面から左前輪31に入力される力を緩衝するとともに、車体フレーム21(図1参照)に対する左前輪31の位置決めを行う。右緩衝装置72は、路面から右前輪32に入力される力を緩衝するとともに、車体フレーム21(図1参照)に対する右前輪32の位置決めを行う。
【0070】
図3に示すように、ハンドル支持部25は、前骨格部211の前部の上部に接続され、前骨格部211の上部から上に向かって延びている。ハンドル支持部25の一部が、メイン骨格部21aの前骨格部211以外の部分の上部から上に延びていてもよい。すなわち、ハンドル支持部25の少なくとも一部が、前骨格部211の上部から上に延びていれば、ハンドル支持部25はメイン骨格部21aにどのように設けられていてもよい。
【0071】
なお、ハンドル支持部25は、前骨格部211以外の部分の上部から上に延びていてもよい。すなわち、ハンドル支持部25は、メイン骨格部21aの上部から上に延びていてもよい。
【0072】
ハンドル支持部25は、操舵機構6のバーハンドル61及びステアリングシャフト62を支持している。ハンドル支持部25は、操舵機構6のバーハンドル61を、シート27の着座面27cに着座した運転者が把持しやすい位置に位置付けるような高さを有する。
【0073】
操舵機構6は、バーハンドル61と、ステアリングシャフト62と、ステアリングシャフト支持部63と、図示しない操舵力伝達部とを有する。バーハンドル61は、左右方向に延びるバー部材であり、ステアリングシャフト62の上端部に接続されている。ステアリングシャフト62は、後述するようにハンドル支持部25の上部に固定されたステアリングシャフト支持部63によって回転可能に支持されている。特に図示しないが、ステアリングシャフト62は、前記操舵力伝達部に、バーハンドル61の回転を伝達可能に接続されている。前記操舵力伝達部は、左前輪31及び右前輪32に対し、ステアリングシャフト62の回転を左右方向の操舵力として伝達する。前記操舵力伝達部の詳しい構成については説明を省略する。
【0074】
バーハンドル61及びステアリングシャフト62によって、ステアリングハンドルSHが構成される。ステアリングシャフト62は、ステアリングシャフト支持部63によって支持されている部分であり、伝達部品によってステアリングシャフト62に接続された他の回転シャフトは含まない。ステアリングハンドルSHは、操舵軸Pを中心として回転する。
【0075】
図3に示すように、本実施形態のハンドル支持部25は、4本のハンドル支持脚部25aと、複数のハンドル支持梁部25bと、ハンドル支持天板部25cとを有する。4本のハンドル支持脚部25a及び複数のハンドル支持梁部25bは、それぞれ、一方向に長い板状のバー部材である。ハンドル支持天板部25cは、平板部材である。
【0076】
4本のハンドル支持脚部25aの上端部は、ハンドル支持天板部25cに連結されている。4本のハンドル支持脚部25aは、複数のハンドル支持梁部25bのうち一部によって左右方向に連結され、複数のハンドル支持梁部25bのうち他の一部によって前後方向に連結されている。本実施形態では、4本のハンドル支持脚部25a、複数のハンドル支持梁部25b及びハンドル支持天板部25cは、一体に形成されている。これにより、ハンドル支持部25は、板状のバー部材によって櫓状に形成されている。
【0077】
4本のハンドル支持脚部25aは、下端部が前骨格部211に固定されている。ハンドル支持天板部25c上には、操舵機構6の後述するステアリングシャフト支持部63が固定されている。バーハンドル61は、ステアリングシャフト支持部63によって回転可能に支持されたステアリングシャフト62に連結されている。ハンドル支持部25は、バーハンドル61及びステアリングシャフト62によって構成されるステアリングハンドルSHを支持している。
【0078】
リアアーム支持部24は、後骨格部212の後端に接続されている。リアアーム支持部24は、左右一対のリアアーム23の前部を回転可能に支持する。左右一対のリアアーム23は、それぞれ、リアアーム支持部24から後ろに延びている。左右一対のリアアーム23は、それらの後部で後輪4を回転可能に支持する。
【0079】
(傾斜リンク機構)
次に、傾斜リンク機構5の構成を、図3図5及び図6を用いて説明する。図5は、車体フレーム21が左に傾斜した際の傾斜リンク機構5を後方に見た場合の模式図である。図6は、車体フレーム21が右に傾斜した際の傾斜リンク機構5を後方に見た場合の模式図である。
【0080】
傾斜リンク機構5は、ダブルウィッシュボーン方式のリンク機構である。傾斜リンク機構5は、傾斜リンク機構支持部22に支持されている。傾斜リンク機構5は、左アーム機構51と、右アーム機構52とを有する。
【0081】
左アーム機構51は、傾斜リンク機構支持部22の左部分及び左前輪31に接続されている。後述するように、左アーム機構51は、傾斜リンク機構支持部22及び左前輪31に対してそれぞれ上下方向に回転可能である。すなわち、左アーム機構51は、傾斜リンク機構支持部22に対して左前輪31を上下方向に回転可能に支持する。
【0082】
左アーム機構51は、車体フレーム21が左に傾斜する際に傾斜リンク機構支持部22に対して上にスイングし、車体フレーム21が右に傾斜する際に傾斜リンク機構支持部22に対して下にスイングする。左アーム機構51は、左上アーム部材511と、左下アーム部材512と、左ナックル513とを有する。
【0083】
左上アーム部材511は、平板部材であり、左右方向に延びるように傾斜リンク機構支持部22と左前輪31との間に配置されている。左上アーム部材511の右端部は、傾斜リンク機構支持部22に、左上アーム部材511の右端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。左上アーム部材511の左端部は、左前輪31のホイールに接続された左ナックル513に、左上アーム部材511の左端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。
【0084】
左下アーム部材512は、平板部材であり、左上アーム部材511の下に、左上アーム部材511に対して平行に配置されている。すなわち、左下アーム部材512も、左上アーム部材511と同様に、左右方向に延びるように傾斜リンク機構支持部22と左前輪31との間に配置されている。左下アーム部材512の右端部は、傾斜リンク機構支持部22に、左下アーム部材512の右端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。左下アーム部材512の左端部は、左前輪31のホイールに接続された左ナックル513に、左下アーム部材512の左端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。
【0085】
以上のような左アーム機構51の構成により、車体フレーム21が左に傾斜すると、左ナックル513は、傾斜リンク機構支持部22に対して平行状態で左に傾斜する。このとき、左上アーム部材511及び左下アーム部材512は平行状態を維持する。一方、車体フレーム21が右に傾斜すると、左ナックル513は、傾斜リンク機構支持部22に対して平行状態で右に傾斜する。このとき、左上アーム部材511及び左下アーム部材512は平行状態を維持する。
【0086】
右アーム機構52は、傾斜リンク機構支持部22の右部分及び右前輪32に接続されている。後述するように、右アーム機構52は、傾斜リンク機構支持部22及び右前輪32に対してそれぞれ上下方向に回転可能である。すなわち、右アーム機構52は、傾斜リンク機構支持部22に対して右前輪32を上下方向に回転可能に支持する。
【0087】
右アーム機構52は、車体フレーム21が左に傾斜する際に傾斜リンク機構支持部22に対して下にスイングし、車体フレーム21が右に傾斜する際に傾斜リンク機構支持部22に対して上にスイングする。右アーム機構52は、右上アーム部材521と、右下アーム部材522と、右ナックル523とを有する。
【0088】
右上アーム部材521は、平板部材であり、左右方向に延びるように傾斜リンク機構支持部22と右前輪32との間に配置されている。右上アーム部材521の左端部は、傾斜リンク機構支持部22に、右上アーム部材521の左端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。右上アーム部材521の右端部は、右前輪32のホイールに接続された右ナックル523に、右上アーム部材521の右端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。
【0089】
右下アーム部材522は、平板部材であり、右上アーム部材521の下に、右上アーム部材521に対して平行に配置されている。すなわち、右下アーム部材522も、右上アーム部材521と同様に、左右方向に延びるように傾斜リンク機構支持部22と右前輪32との間に配置されている。右下アーム部材522の左端部は、傾斜リンク機構支持部22に、右下アーム部材522の左端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。右下アーム部材522の右端部は、右前輪32のホイールに接続された右ナックル523に、右下アーム部材522の右端部を中心として上下方向に回転可能に接続されている。
【0090】
以上のような右アーム機構52の構成により、車体フレーム21が左に傾斜すると、右ナックル523は、傾斜リンク機構支持部22に対して平行状態で左に傾斜する。このとき、右上アーム部材521及び右下アーム部材522は平行状態を維持する。一方、車体フレーム21が右に傾斜すると、右ナックル523は、傾斜リンク機構支持部22に対して平行状態で右に傾斜する。このとき、右上アーム部材521及び右下アーム部材522は平行状態を維持する。
【0091】
したがって、上述の構成を有する傾斜リンク機構5によって、車体フレーム21、左前輪31及び右前輪32は、左または右に傾斜することができる。
【0092】
なお、特に図示しないが、上述の傾斜リンク機構5は、リンク機構駆動モータによって、左右方向の傾斜が制御されるように構成されていてもよい。前記リンク機構駆動モータは、例えば、傾斜リンク機構支持部22よりも後ろで且つ後述するモータカバー264(図2参照)の後ろに配置されている。
【0093】
図7は、上述の構成を有する傾斜リンク機構5によって左に傾斜したリーン車両1の正面図である。上述の傾斜リンク機構5によって、車体フレーム21は、左または右に傾斜したリーン状態になる。図8は、図7、及び、左に傾斜したリーン車両1の側面図を並べて示した図である。
【0094】
(車体カバー)
次に、車体カバー26の構成を以下で詳細に説明する。
【0095】
車体カバー26は、車体フレーム21によって支持されている。図1及び図2に示すように、車体カバー26は、車体フレーム21を覆う車体カバー本体26aと、車体カバー本体26aの上に位置する上部カバー26bとを含む。上部カバー26bは、左右方向から見て、上に向かって突出する凸状に形成されている。上部カバー26bは、運転者がシート27の着座面27cに着座した状態で、運転者の頭部よりも上に位置するように形成されている。
【0096】
これにより、上部カバー26bは、車体カバー本体26aとの間に、運転者が乗車する乗車空間を構成する。すなわち、上部カバー26b及び車体カバー本体26aによって、前記乗車空間を区画し且つシート27の着座面27cに着座した状態の運転者を収容可能なキャビンCが構成される。このキャビンCには、後述の前部車体カバー部265も含まれる。
【0097】
なお、車体カバー本体26aのみによってキャビンCが構成されてもよい。また、キャビンCを構成する車体カバー本体26aは、運転者の左部を覆う部分を含んでいなくてもよいし、運転者の右部を覆う部分を含んでいなくてもよいし、運転者の後部を覆う部分を含んでいなくてもよいし、これらのうち複数の部分を含んでいなくてもよい。
【0098】
車体カバー本体26aは、シート27の着座面27cに着座した運転者の右部を覆う一方、運転者の左部を開放させるように、形成されている。これにより、運転者は、リーン車両1に対して左から乗降することができる。
【0099】
車体カバー本体26aの右下部には、開口部26cが形成されている。この開口部26cは、シート27の着座面27cに着座した運転者の右足が貫通して地面に着地できるように設けられている。すなわち、リーン車両1は、シート27に着座している運転者の右部を覆うように前記運転者に対して右に位置し、シート27に着座している運転者の右足が着地する際に前記右足が貫通可能な開口部26cを有する車体カバー26を備える。これにより、リーン車両1の利便性を向上することができる。
【0100】
車体カバー本体26aの前下部には、前記乗車空間に面する部分に、左ステップ261及び右ステップ262(図4参照)が設けられている。すなわち、左ステップ261及び右ステップ262は、車体カバー本体26aの後述する前部車体カバー部265の後部に設けられている。左ステップ261は、車体カバー本体26aの左部に位置し、シート27の着座面27cに着座した運転者の左足が載置される。右ステップ262は、車体カバー本体26aの右部に位置し、シート27の着座面27cに着座した運転者の右足が載置される。
【0101】
図4は、運転者、車体フレーム21及び車体カバー26の関係を模式的に示す平面図である。なお、図4では、説明のために、リーン車両1において、車体フレーム21、左前輪31、右前輪32、後輪4、傾斜リンク機構5以外の部品の図示を省略するとともに、車体カバー26の外形を1点鎖線で示す。
【0102】
左ステップ261は、メイン骨格部21aの左に位置する。右ステップ262は、メイン骨格部21aの右に位置する。すなわち、メイン骨格部21aは、左右方向において、左ステップ261と右ステップ262との間に位置する。なお、図4では、左ステップ261及び右ステップ262を、説明のために2点鎖線及び斜線で図示する。
【0103】
本実施形態では、左ステップ261及び右ステップ262は、車体カバー本体26aに一体に形成されている。左ステップ及び右ステップは、車体カバー本体26aとは別に設けられていてもよい。
【0104】
上述の構成により、左ステップ261及び右ステップ262は、車体カバー本体26aを介してメイン骨格部21aによって支持されている。なお、メイン骨格部21aに、左ステップ及び右ステップをそれぞれ支持するステップ支持部が設けられていてもよい。この場合、左ステップ及び右ステップは、それぞれ、ステップ支持部によってメイン骨格部21aに支持される。
【0105】
図2に示すように、車体カバー本体26aの前部には、シート27の着座面27cに着座した運転者の前を覆う前部車体カバー部265(前部車体カバー)が設けられている。すなわち、車体カバー26は、前部車体カバー部265を有する。この前部車体カバー部265は、キャビンCの前部を構成する。なお、前部車体カバー部265の下には、傾斜リンク機構5を駆動させるリンク機構駆動モータの前を覆うモータカバー264が設けられている。
【0106】
図1に示すように、前部車体カバー部265は、左前輪31及び右前輪32よりも後ろに位置する。詳しくは、前部車体カバー部265は、メイン骨格部21a上に、シート27の着座面27cに着座する運転者の前を覆うように、前後方向において、左前輪31及び右前輪32とシート27との間に位置する。
【0107】
図4に示すように、本実施形態では、前部車体カバー部265の左右方向の最大寸法WCは、左前輪31及び右前輪32のトレッド幅WHよりも大きい。しかも、左ステップ261及び右ステップ262は、前部車体カバー部265の後部に設けられている。
【0108】
前部車体カバー部265が左前輪31及び右前輪32に対して上述のような位置関係を有することにより、図4に示すように左前輪31及び右前輪32で跳ね上げられた水は、前部車体カバー部265によって、キャビンCの乗車空間内への浸入を防止される。なお、図4では、左前輪31及び右前輪32で跳ね上げられた水を実線で示し、前部車体カバー部265に沿って移動する水の移動方向を実線矢印で示す。
【0109】
前部車体カバー部265は、シート27の着座面27cに着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認可能なように、光透過部266を有する。光透過部266は、光透過材料で構成されている。光透過部266は、光を透過するが、気体及び液体は透過しない。光透過部266は、例えば、透明な材料によって構成された透明部を含んでもよい。光透過部266は、光を透過可能な光透過材料によって構成されていれば、どのような材料によって構成されていてもよい。光透過部266は、例えば、ガラス、アクリル樹脂によって構成されていてもよい。また、光透過部266は、シート27の着座面27cに着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認することができれば、透明でなくてもよい。
【0110】
なお、図4では、光透過部266を太い1点鎖線で模式的に示す。
【0111】
光透過部266は、前部車体カバー部265の下部に設けられている。光透過部266は、シート27の着座面27cに着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認可能な位置に設けられている。これにより、図1図2図4図7及び図8に示すように、シート27の着座面27cに着座した運転者は、光透過部266を介して、左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認することができる。なお、図1図2図4図7及び図8では、運転者の視線を一点鎖線の矢印で示す。
【0112】
また、光透過部266は、図7に示すようにリーン車両1が左または右に傾斜している状態でも、シート27の着座面27cに着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認可能な大きさを有する。これにより、リーン車両1が左または右に傾斜している状態でも、シート27の着座面27cに着座した運転者は、光透過部266を介して、左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認することができる。
【0113】
よって、シート27の着座面27cに着座した運転者は、リーン車両1の車幅感覚を容易につかむことができる。しかも、上述の構成により、前部車体カバー部265の左右方向の寸法を小さくして前記運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認できるようにする必要がない。
【0114】
したがって、車両本体2の前部の設計自由度と運転者による車両の車幅感覚のつかみやすさとの両立が可能なリーン車両1を提供することができる。
【0115】
光透過部266は、前部車体カバー部265において、シート27の着座面27cに着座した運転者が、上下方向において左前輪ユニット3aの上端と下端との間の少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの上端と下端との間の少なくとも一部を視認できるような位置に、設けられている。これにより、シート27の着座面27cに着座した運転者は、光透過部266を介して左前輪ユニット3a及び右前輪ユニット3bを直接視認することができる。
【0116】
光透過部266は、左光透過部267と、右光透過部268とを含む。左光透過部267は、前部車体カバー部265において、左右方向の中央に対して左に位置する。すなわち、左光透過部267は、リーン車両1の正面視で、ハンドル支持部25よりも右に位置する。右光透過部268は、前部車体カバー部265において、左右方向の中央に対して右に位置する。すなわち、右光透過部268は、リーン車両1の正面視で、ハンドル支持部25よりも左に位置する。本実施形態では、左光透過部267及び右光透過部268は、一体に形成されている。すなわち、左光透過部267及び右光透過部268は左右方向に繋がっている。
【0117】
以上の構成により、左前輪31及び右前輪32とシート27の着座面27cに着座した運転者との間に前部車体カバー部265が位置する場合でも、前記運転者は、光透過部266を介して、左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を視認することができる。しかも、リーン車両1が左または右に傾斜している場合でも、前記運転者は、光透過部266を介して、左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を視認することができる。よって、前記運転者は、左前輪31及び右前輪32の位置を容易に把握することができる。
【0118】
これにより、車両本体2の前部を左右方向に小型化することなく、前記運転者は、リーン車両1の車幅感覚を把握することができる。したがって、リーン車両1が狭い走行路などを走行する場合に、前記運転者はリーン車両1を容易に操作することができる。これにより、リーン車両1の利便性を向上できる。したがって、車両本体2の前部の設計自由度と運転者によるリーン車両1の車幅感覚のつかみやすさとの両立を図ることができる。
【0119】
また、本実施形態では、光透過部266は、リーン車両1の正面視で、上部がシート27の着座面27cよりも上方に位置し、下部がシート27の着座面27cよりも下方に位置するように、前部車体カバー部265に形成されている。
【0120】
これにより、運転者の体型の違いによって前記運転者の視野が異なる場合でも、前記運転者は、シート27の着座面27cに着座した状態で、光透過部266を介して左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を視認することができる。よって、車両本体2の前部を左右方向に小型化することなく、どのような体型の運転者でも、シート27の着座面27cに着座した状態で、左前輪31及び右前輪32の位置をより容易に把握することができる。したがって、車両本体2の前部の設計自由度と運転者によるリーン車両1の車幅感覚のつかみやすさとの両立を図ることができる。
【0121】
図2に示すように、本実施形態では、前部車体カバー部265は、リーン車両1の正面視で、左前輪31及び右前輪32の少なくとも一部と重なるように設けられている。すなわち、左前輪31及び右前輪32は、リーン車両1の正面視で、少なくとも一部が前部車体カバー部265と重なるように、前部車体カバー部265の前に配置されている。
【0122】
これにより、左右方向において左前輪31及び右前輪32を前部車体カバー部265により近い位置に配置できるため、シート27の着座面27cに着座した運転者が光透過部266を介して左前輪ユニット3a及び右前輪ユニット3bを視認する際に、左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を視認可能な範囲を広くすることができる。よって、前部車体カバー部265に設けられる光透過部266の設計自由度を高めることができる。
【0123】
なお、本発明者は、運転者がリーン車両の大きさを把握しやすいリーン車両についても詳細検討を行った。
【0124】
本発明者は、詳細検討の中で、運転者が2つの前輪の位置を把握できると、リーン車両の大きさを把握しやすいことに気が付いた。そこで、本発明者は、2つの前輪の左右方向の間隔を、シートに着座した運転者の前に位置する前部車体カバーよりも大きくすることにより、前記前部車体カバーの左に位置する空間及び右に位置する空間で運転者が前記2つの前輪の上部の位置を目視できるようにすることを考えた。この構成により、運転者は、前記2つの前輪の位置から、リーン車両の左右方向の車幅を容易に把握することができる。
【0125】
しかしながら、上述のように2つの前輪の左右方向の間隔を前部車体カバーの左右方向の幅よりも大きくすると、前記2つの前輪によって跳ね上げられた水が、前記前部車体カバーを越えて運転者が位置する乗車空間内に入りやすくなる場合がある。これは、リーン車両の場合、走行時に2つの前輪の上下方向の位置が相対変化するため、水の跳ね上げる範囲が広くなるからである。
【0126】
そのため、本発明者は、上述したようなリーン車両の形態による制約が少ない構成を検討することにした。具体的には、本発明者は、2つの前輪の左右方向の間隔を、シートに着座した運転者の前に位置する前部車体カバーよりも大きくすることなく、運転者がリーン車両の大きさを把握しやすい構成について検討した。
【0127】
本発明者は、詳細検討する中で、2つの前輪の上部が見えなくても、前記2つの前輪のいずれか一部が見えれば、運転者は前輪の位置を把握できることに気が付いた。これは、前輪の一部しか見えなくても前輪全体を想像する能力を人が備えているからである。本発明者は、この気づきをもとに鋭意検討の結果、以下のような構成に想到した。
【0128】
すなわち、本発明者は、2つの前輪の左右方向の間隔を、シートに着座した運転者の前に位置する前部車体カバーよりも大きくすることなく、運転者がリーン車両の大きさを把握しやすいリーン車両として、本実施形態のようなリーン車両1の構成に想到した。また、本実施形態のようなリーン車両1の構成は、2つの前輪の左右方向の間隔を、シートに着座した運転者の前に位置する前部車体カバーよりも大きくしたリーン車両で採用しても、運転者がリーン車両の大きさを把握しやすいことを見出した。
【0129】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0130】
前記実施形態では、前部車体カバー部265の左右方向の最大寸法は、左前輪31及び右前輪32のトレッド幅よりも大きい。しかしながら、前部車体カバー部の左右方向の最大寸法は、左前輪及び右前輪のトレッド幅と同じか該トレッド幅よりも小さくてもよい。
【0131】
前記実施形態では、前部車体カバー部265には、シート27の着座面27cに着座した運転者が左前輪ユニット3aの少なくとも一部及び右前輪ユニット3bの少なくとも一部を直接、視認可能なように、光透過部266が設けられている。しかしながら、前部車体カバー部には、シートの着座面に着座した運転者が左前輪ユニットの少なくとも一部及び右前輪ユニットの少なくとも一部を間接的に視認可能なように、光透過部が設けられていてもよい。この場合、シートの着座面に着座した運転者は、リーン車両に設けられたミラー等の光学部品を用いることにより、前記光透過部を介して左前輪ユニットの少なくとも一部及び右前輪ユニットの少なくとも一部を間接的に視認することができる。
【0132】
なお、前記実施形態のように、シートの着座面に着座した運転者が光透過部を介して左前輪ユニットの少なくとも一部及び右前輪ユニットの少なくとも一部を直接視認できる方が、間接的に左前輪ユニットの少なくとも一部及び右前輪ユニットの少なくとも一部を視認する場合に比べて、前記運転者は左前輪及び右前輪を感覚的に認識しやすい。
【0133】
前記実施形態では、シート27は、着座部27aと、シートバック27bとを有する。しかしながら、シートは、着座部のみを有する、いわゆる鞍乗型のシートであってもよい。
【0134】
前記実施形態では、左光透過部267及び右光透過部268は、前部車体カバー部265に一体に形成されている。すなわち、左光透過部267及び右光透過部268は、左右方向に繋がっている。しかしながら、左光透過部及び右光透過部は、前部車体カバー部に別に形成されていてもよい。光透過部は、左光透過部と右光透過部とを有していなくてもよい。
【0135】
前記実施形態では、ハンドル支持部25は、前骨格部211に対して別体に設けられている。しかしながら、ハンドル支持部は、前骨格部と一体で設けられていてもよい。すなわち、ハンドル支持部は、メイン骨格部と一体で設けられていてもよい。
【0136】
前記実施形態では、メイン骨格部21aは、前骨格部211と、後骨格部212とを含む。しかしながら、メイン骨格部は、前骨格部及び後骨格部以外に、パワーユニットのケーシングの少なくとも一部を含んでいてもよい。
【0137】
前記実施形態では、車体フレーム21は、前後方向に直線的に延びるメイン骨格部21aと、ハンドル支持部25とを有する。しかしながら、前記実施形態の車体フレーム21は、車体フレームの一例である。車体フレームは、前記実施形態とは異なる構成の骨格部及びハンドル支持部を有していてもよい。車体フレームは、ハンドル支持部の代わりに、骨格部に支持され且つステアリングシャフトを回転可能に支持するヘッドパイプを有していてもよい。
【0138】
前記実施形態では、ハンドル支持部25は、板状のバー部材によって櫓状に形成されている。しかしながら、ハンドル支持部は、ステアリングハンドルを回転可能に支持できる構成であれば、パイプ部材によって構成されていてもよいし、板状部材によって構成されていてもよい。
【0139】
前記実施形態では、傾斜リンク機構5は、ダブルウィッシュボーン方式のリンク機構である。しかしながら、傾斜リンク機構は、例えばパラレログラムリンク方式のように、他の方式のリンク機構であってもよい。
【0140】
傾斜リンク機構がパラレログラムリンク方式の場合、前記傾斜リンク機構は、上下方向に並んで左右方向に平行に延びる一対のクロス部材と、上下方向に延びて前記一対のクロス部材の左端部同士を接続する左サイド部材と、上下方向に延びて前記一対のクロス部材の右端部同士を接続する右サイド部材とを有する。前記一対のクロス部材は、長手方向の中央部分が、傾斜リンク機構支持部に回転可能に接続される。前記左サイド部材は、左前輪に接続される。前記右サイド部材は、右前輪に接続される。
【0141】
前記実施形態では、メイン骨格部21aは、前骨格部211と、後骨格部212とを含む。しかしながら、メイン骨格部は、一体で構成されていてもよいし、3つ以上の部材を前後方向に連結することにより構成されていてもよい。また、メイン骨格部は、左右方向に複数の部品を連結することにより構成されていてもよい。メイン骨格部は、パイプ部材を用いて構成されていてもよい。
【0142】
前記実施形態では、前骨格部211の後部は、前部よりも低い。しかしながら、前骨格部は、前後方向で同じ高さを有していてもよいし、前部が後部よりも低くてもよい。
【0143】
前記実施形態では、後骨格部212の左右方向の寸法は、前骨格部211の左右方向の寸法よりも小さく、後骨格部212の高さは、前骨格部211の高さよりも大きい。しかしながら、後骨格部の左右方向の寸法は、前骨格部の左右方向の寸法と同じか該左右方向の寸法よりも大きくてもよい。後骨格部の高さは、前骨格部と同じ高さか前骨格部よりも小さくてもよい。
【0144】
前記実施形態では、リーン車両の例として3輪車両を説明したが、リーン車両は、4輪車など、3輪車以外の車両であってもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 リーン車両
2 車両本体
3 前輪ユニット
3a 左前輪ユニット
3b 右前輪ユニット
4 後輪
5 傾斜リンク機構
6 操舵機構
7 緩衝装置
8 パワーユニット(駆動源)
21 車体フレーム
21a メイン骨格部
211 前骨格部
211a 前骨格側壁部
211b 前骨格底壁部
212 後骨格部
212a 後骨格側壁部
212b 後骨格梁部
22 傾斜リンク機構支持部
23 リアアーム
24 リアアーム支持部
25 ハンドル支持部
25a ハンドル支持脚部
25b ハンドル支持梁部
25c ハンドル支持天板部
26 車体カバー
26a 車体カバー本体
26b 上部カバー
26c 開口部
261 左ステップ
262 右ステップ
264 モータカバー
265 前部車体カバー部
266 光透過部
267 左光透過部
268 右光透過部
27 シート
27a 着座部
27b シートバック
27c 着座面
28 緩衝装置支持部
28a 緩衝装置支持本体部
28b タワー部
31 左前輪
32 右前輪
33 左フロントフェンダ
34 右フロントフェンダ
51 左アーム機構
511 左上アーム部材
512 左下アーム部材
513 左ナックル
52 右アーム機構
521 右上アーム部材
522 右下アーム部材
523 右ナックル
61 バーハンドル
62 ステアリングシャフト
63 ステアリングシャフト支持部
71 左緩衝装置
72 右緩衝装置
C キャビン
P 操舵軸線
SH ステアリングハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8