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特開2024-74923治療用化合物の経口送達のためのデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074923
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】治療用化合物の経口送達のためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 31/00 20060101AFI20240524BHJP
   A61M 5/155 20060101ALI20240524BHJP
   A61J 3/07 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61M31/00
A61M5/155
A61J3/07 E
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060590
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2022009746の分割
【原出願日】2012-06-27
(31)【優先権主張番号】61/571,641
(32)【優先日】2011-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514002891
【氏名又は名称】ラニ セラピューティクス, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マー イムラン
(57)【要約】
【課題】治療用化合物の経口送達のためのデバイスを提供する。
【解決手段】本発明の実施形態は、GI管内に薬物および他の治療剤を送達するための嚥下可能なデバイスを提供する。特定の実施形態は、腸壁または他のGI管腔内に薬物を送達するためのカプセルなどの嚥下可能なデバイスを提供する。実施形態はまた前記カプセル内に収容され前記カプセルから腸壁内に進入させられ、そして該壁内で分解して薬物を放出して治療効果を生じさせるように構成されている様々な薬物製剤を提供する。小腸または他のGI管腔内の条件に応答して拡張できる1つまたは複数のバルーンまたは他の拡張可能なデバイスを有する送達メカニズムに前記製剤を連結させて前記製剤を前記カプセルから小腸壁に進入させることができる。本発明の実施形態は、GI管内で十分に吸収されない、耐えられないかつ/または分解される薬物の送達に特に有用である。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持構造(76)と、前記担持構造(76)に取り付けられた前進構造(75)と、前記前進構造(75)に取り外し可能に結合され1つ以上の治療剤製剤(101)を含む少なくとも1つの組織貫入部材(40)とを備え、嚥下されるサイズにされかつ嚥下されるように構成されたカプセル(20)内に配置されるサイズにされた送達組立体(78)と、
前記送達組立体(78)に結合された展開エンジン(80)と、備え、
前記送達組立体(78)は、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を胃腸管の組織内に貫入させるように前記送達組立体(78)を移動するように前記カプセル(20)内に配置された前記展開エンジン(80)に結合されるように構成され、
前記展開エンジン(80)は、力を前記送達組立体(78)に対して加えることにより、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を前記組織内に貫入させるように構成され、
前記送達組立体(78)は、前記展開エンジン(80)の動きによって前記送達組立体(78)に対して力が受け取られることを可能にする態様で、前記展開エンジン(80)に取り付けられるように構成された取り付け表面を備え、
前記展開エンジン(80)の動きは、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を前記前進構造(75)から切り離すために十分であり、その結果、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記組織の中に留置され、
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)が前記組織内に貫入する時に、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記前進構造(75)から取り外される、デバイス。
【請求項2】
前記前進構造(75)は、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を受けるための1つ以上の開口部(74)を備えた支持プラットホームである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記1つ以上の治療剤製剤(101)を含む治療剤製剤(100)から少なくとも部分的に形成されている、固体の組織貫入部材(40)である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
嚥下されるサイズにされかつ嚥下されるように構成された前記カプセル(20)をさらに備え、前記送達組立体(78)と前記展開エンジン(80)は、前記カプセル(20)内に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、前記力を前記送達組立体(78)に対して加えるように前記展開エンジン(80)をトリガするように構成されており、これにより、前記少なくとも1つの固体の組織貫入部材(40)を前記胃腸管の壁の中に送達する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記展開エンジン(80)は、展開バルーン(30)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記展開エンジン(80)は、拡張可能な圧電材料、スプリング、形状記憶材料、または、熱拡張性材料を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記展開エンジン(80)は、拡張可能な部材を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、生分解性材料を含み、前記生分解性材料は、分解することにより、前記1つ以上の治療剤製剤(101)を放出する、請求項1~8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記生分解性材料から実質的に形成されている部分(41)を含み、前記1つ以上の治療剤製剤(101)は、前記部分(41)内に配置されている、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記担持構造(76)は、前記前進構造(75)を受けるキャビティ(76c)を規定する側壁(76s)と底壁(76b)とを有するウェル構造(76)であって、前記側壁(76s)は、拡張可能な展開部材が腸壁に対して拡張されたときに前記腸壁にぶつかって崩壊するように構成される請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記送達組立体(78)は、前記ウェル構造(76)の開口部を被覆する保護フィルム(77)をさらに含む、請求項11に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2011年6月29日に出願された、“Device, System and Methods for the Oral Delivery of Therapeutic Compounds”と題する米国仮特許出願第61/571,641号の優先権の利益を主張する。この米国仮特許出願は、あらゆる目的で、本明細書中に参考として完全に援用される。
【0002】
本出願はまた、共に2010年12月23日に出願され、“Swallowable Drug Delivery Device and Methods of Drug Delivery”と題する米国仮特許出願第12/978,233号および同第12/978,301号の一部継続出願である。上記米国仮特許出願の両方の内容が、あらゆる目的で、本明細書中で参考として援用される。
【0003】
(発明の背景)
本発明の実施形態は、嚥下可能な薬物送達デバイスに関する。より詳細には、本発明の実施形態は、小腸に治療剤を送達するための嚥下可能な送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
様々な疾患の処置のために、近年、新薬の開発が増えているが、タンパク質、抗体およびペプチドを含む多くのものが、経口投与ができないので用途が限られる。これは、胃刺激および出血をはじめとする合併症を伴う不良な経口寛容;胃内での薬物化合物の破壊/分解;ならびに薬物の不良な、遅いまたはむらのある吸収を含む、多数の理由に起因する。従来の代替薬物送達法、例えば静脈内および筋肉内送達は、針を刺すことによる痛みおよび感染リスク、滅菌技術の使用の必要ならびに長期間にわたって患者にIVラインを維持することの必要性および関連リスクを含む、多数の欠点を有する。埋め込み型薬物送達ポンプなどの他の薬物送達アプローチが利用されてきたが、これらのアプローチは、デバイスの半永久埋め込みを必要とし、またIV送達の制限の多くをやはり有し得る。それ故、薬物および他の治療剤の改善された送達方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の簡単な要旨)
実施形態は、体内の様々位置に薬物および他の治療剤を送達するためのデバイス、システム、キットおよび方法を提供する。多くの実施形態は、GI管内に薬物および他の治療剤を送達するための嚥下可能なデバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸壁、大腸壁または他のGI器官壁内に薬物および他の治療剤を送達するためのカプセルなどの嚥下可能なデバイスを提供する。本発明の実施形態は、GI管内で十分に吸収されない、十分に耐えられない、かつ/または分解される薬物および他の治療剤の送達に特に有用である。さらに、本発明の実施形態は、静脈内形態または他の形態の非経口投与(例えば、筋肉内など)によってしか以前は可能でなかったか、または該静脈内形態または他の形態の非経口投与によって好ましく送達されていた薬物および他の治療剤、例えば、タンパク質、ポリペプチドおよび抗体の送達に用いることができる。加えて、本発明の実施形態は、経口送達による血流への薬物の迅速な放出の達成に有用である。
【0006】
1つの態様では、小腸もしくは大腸または胃腸管器官の他の器官の壁内に薬物または他の治療剤を送達するための嚥下可能なデバイスを提供する。前記デバイスは、嚥下され、胃腸管を通過するようなサイズのカプセル;前記カプセルの長軸と小腸の長軸を位置合わせするための該カプセル内に位置する展開可能なアライナ;治療剤を腸壁内に送達するための送達メカニズム;および前記アライナまたは前記送達メカニズムのうちの少なくとも一方を展開するための展開部材を含む。前記カプセル壁は、GI管内の液体との接触により分解し得るが、外部コーティングまたは外層を備えることもでき、この外部コーティングまたは外層は、小腸内で見いだされるより高いpHでしか分解せず、そして前記カプセルが小腸に達してその地点で前記コーティングの分解により薬物送達が開始される前の胃内での分解から下にあるカプセル壁を保護するのに役立つ。使用すると、かかる材料により、小腸などの腸管の選択部分での治療剤の標的送達が可能になる。好適な外部コーティングとしては、メタクリル酸とエチルアクリレートの様々なコポリマーなどの、様々な腸溶コーティングを挙げることができる。
【0007】
多くの実施形態において、前記カプセルは、2つの部分、例えば、ボディと、例えば該ボディの上または下に滑り込ませることによって、該ボディに外嵌するキャップとから形成される。キャップなどの一つの部分を第一のpH(例えば、pH5.5)より上で分解するように構成することができ、第二の部分を第二のより高いpH(例えば、6.5)より上で分解するように構成することができる。これにより、カプセルの一方の部分におけるトリガおよび/またはメカニズムを該カプセルの他方の部分におけるものより前に始動させることが可能になる。なぜなら、腸液は、最初、より低pHのコーティングが分解した部分に侵入し、かくして、かかる流体に応答するトリガ(例えば、分解可能なバルブ)を始動させるからである。使用すると、かかる実施形態は、薬物送達の高度の位置特異度性およびかかる送達の確実性向上をはじめとする幾つかの恩恵を薬物送達プロセスにもたらす。これは、アライナなどの特定のサブメカニズムの展開が小腸SIの上部領域で開始でき、これにより、最適な送達のための該腸内での前記カプセルの位置合わせが可能になることはもちろん、前記カプセルがまだ小腸または他の選択位置にある間に他のメカニズムの展開/始動が腸壁内への薬物送達を達成するのに十分な時間も得られる。
【0008】
分解可能なキャップおよびボディセクションに加えて、前記カプセルの選択可能な部分を、該デバイス全体のより小さい断片への制御可能な分解を可能にするように構成することができる。かかる実施形態は、前記デバイスのGI管通過およびGI管による排泄を助長する。特定の実施形態において、前記カプセルは、GI管の通過を助長するような選択可能なサイズおよび形状のカプセル片を生じさせるように制御可能に分解する生分解性材料のシームを備えることができる。分解を加速させるために、前記シームにプレストレスを与えるか、前記シームを穿孔するか、または別様に処理することができる。前記シームをそのように処理して、バルーンまたは他の拡張可能な部材が拡張することにより加えられる力によってカプセルのより小さい断片への破砕を可能にすることもできる。前記組織貫入部材の展開後にカプセル分解を生じさせるための他の実施形態では、該カプセルは、例えばスナップ嵌めによって、互いに機械嵌めされているのでバルーン膨張により加えられる力によって容易に分離する2つの半分部分、または他の小部分セクションを含み得る。
【0009】
前記アライナは、医療デバイス技術分野において公知の様々なポリマーから製造することができる位置合わせバルーンとして公知の拡張可能なバルーンを典型的に含む。前記位置合わせバルーンは、該位置合わせバルーンが膨張したときに前記カプセルが小腸の長軸と平行に整列するように前記カプセルの長さを伸長させるのに役立つ。さらに、前記位置合わせバルーンは、膨張したとき、その伸長されたカプセルに腸の蠕動収縮によって及ぼされる力が、該カプセルを小腸の長軸と平行に位置合わせするのに役立つような、膨張形状および膨張長を有することができる。好適な形状としては、細長いホットドッグのような形状を挙げることができる。好適な長さとしては、前記カプセルの長さの約1/2倍と2倍の間の範囲を挙げることができる。展開エンジンが展開バルーンおよび化学反応物の使用を含む実施形態については、位置合わせバルーンは、該展開バルーンの展開が該位置合わせバルーンを拡張するのに役立つように該展開バルーンに流体的に連結される。一部の実施形態において、前記位置合わせバルーンは、前記展開バルーンからの水または他の液体との混合によって反応する化学反応物を収容することができる。位置合わせ機能を果たすことに加えて、前記位置合わせバルーンの膨張は、送達などのカプセル内に収容されているデバイスの様々な構成要素を押し出すことにも役立つ。使用すると、かかる構成は、薬物送達が起こり得る前に前記送達メカニズムの上にあるカプセルの特定の部分が分解されるのを待つ必要がないので、治療剤の送達の確実性を向上させる。
【0010】
多くの実施形態において、前記展開部材は、接続チューブと腸液中で見いだされるより高いpHに応答するpH分解性バルブとによってアライナバルーンに流体的に連結されている、展開バルーンとして公知の、拡張可能なバルーンを含む。展開状態での前記展開バルーンは、カプセルの末端の形状に対応するドーム形状を有することができる。多くの実施形態において、アライナバルーンと組み合わせでの展開バルーンは、展開エンジンを含むことができ、この場合、前記展開バルーンは液体水を収容し、前記アライナバルーンは少なくとも1つの化学反応物を収容し、該化学反応物が水の存在下で反応してガスを生成し、その結果、そのガスが前記アライナバルーンを拡張する。前記反応物は、典型的に少なくとも2つの反応物、例えば、クエン酸などの酸と水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基を含み、これらの反応物は、約1:2の比を有し得るが、他の比も企図される。他の酸、例えば酢酸、および塩基を含む、他の反応物も企図される。バルブまたは他の離隔手段が開口すると、前記反応物は、前記液体中で混ざって二酸化炭素などのガスを生成し、そのガスが前記アライナバルーンまたは他の拡張可能な部材を拡張させる。
【0011】
1つの代替実施形態において、前記展開バルーンは、pH応答性である分解可能なバルブを有する接続チューブまたは他の接続手段によって接続された2つのバルーンを実際に含むことができる。前記2つのバルーンは、拡張状態のときにカプセルの末端部分へのそれらの内嵌を可能にする半ドーム形状を各々有することができる。一方のバルーンは、化学反応物(単数または複数)(例えば、重炭酸ナトリウム、クエン酸など)を収容することができ、他方は、液体水を収容することができ、したがって、バルブが分解されると前記二成分が混ざってガス(例えば、二酸化炭素)を形成し、それが両方のバルーン/区画を膨張させ、そして次に位置合わせバルーンを膨張させる。これらの実施形態において、前記展開エンジンは、2つの展開バルーンを含む。さらにもう1つの代替実施形態において、前記展開バルーンは、離隔バルブまたは他の離隔手段によって離隔されている少なくとも第一および第二の部分または区画を備えることができる。水を前記第一の区画に、そして化学反応物を他方に配置することができる。前記バルブまたは他の離隔手段が開口すると前記反応物が前記液体中で混ざってガスを生成し、そのガスを用いて位置合わせバルーンおよび展開バルーンを拡張する。化学反応物を使用する様々な実施形態において、該化学反応物は、単独でまたは展開バルーンと組み合わせて、位置合わせバルーン(もしくは他のアライナ)もしくは送達メカニズムの一方または両方を展開するための展開エンジンを含むことができる。他の形態の展開エンジン、例えば、拡張可能な圧電材料(電圧の印加によって拡張する)、スプリングおよび他の形状記憶材料ならびに様々な熱拡張性材料も企図される。
【0012】
位置合わせバルーンを展開バルーンから離隔するバルブの様々な実施形態を、多数の方法で開口するように、そして多数の条件に応答するように構成することができる。典型的に、前記バルブは、腸液において見いだされるより高いpHに応答して1つまたは複数の部分を分解させることによって開口するように構成され、当該技術分野において公知の様々な腸溶性材料、例えば、本明細書に記載するメタクリル酸とco-エチルアクリレートの様々なコポリマーから前記バルブを製造することができる。展開バルーンが化学反応物を収容するものを含む、他の実施形態では、展開バルーンからのガスによる位置合わせバルーンの膨張を可能にするために選択圧に応答して開口するように前記バルブを構成することができる。類似して、かかる感圧バルブの同じまたは関連実施形態を用いて、位置合わせバルーン内での一連の膨張作用を達成するために十分な圧力の発生により送達バルーンの膨張に備えることができる。代替または追加の実施形態では、小腸内の蠕動収縮によって加えられる圧縮力に応答して開口するように前記バルブを構成することもできる。さらにもう1つのアプローチにおいて、前記バルブは、タブを剥がすことまたはボタンを押すことなどの患者によって開始される起動段階から一定の期間の後に開口するように構成された徐放性バルブであることがある。
【0013】
前記送達メカニズムの実施形態は、位置合わせバルーンに流体的に連結されている拡張可能なバルーン(送達バルーンとして公知)などの拡張可能な部材と該送達バルーンの壁に連結されている送達組立体とを典型的に含む。少なくとも1つの組織貫入部材(TPM)が前記送達デバイスに連結される。様々な実施形態において、前記送達バルーンは、接合された部分から成る(articulated)アコーディオンのようなボディによって接続された比較的平坦な2つの面を伴う細長い形状を有し得る。TPMを腸壁に挿入するためにバルーンの拡張により腸壁を加圧するようにそれらの平面を構成することができる。薬物収容TPMの腸壁の両側への挿入を可能にするように片面または両面にTPMを位置させることができる。それらの面は、多数の薬物収容組織貫入部材の各面への配置を可能にするために十分な表面積を有することができる。
【0014】
TPMは、薬物または他の治療剤を収容し、ならびに送達バルーンまたは他の拡張可能な送達手段の拡張によって腸壁内に挿入されるように構成される。TPMは、送達デバイスに取り外し可能に連結された近位部分と、組織貫入遠位部分と、該組織貫入部材を腸壁内に留置するための留置特徴部とを備えているシャフトを典型的に含む。しかし一部の実施形態では、TPMが留置特徴部を備える必要はないが、その代り、留置特徴部なしに腸壁内に留置される形状をTPMが有し得るか、またはそのように留置されるように別様に構成され得る。TPMを下でさらに詳細に説明する。
【0015】
多くの実施形態において、前記送達メカニズムデバイスは、送達バルーンまたは他の拡張可能な展開部材に連結された送達構造を含む。1つの実施形態において、前記送達構造は、共同してキャビティを規定する側壁と底壁を備えているオープンボックス構造を有する。前記送達バルーンまたは他の送達部材は、腸壁の多数の位置にTMPを配置するための多数の担持構造を備えることができる。アコーディオンのような形状を有する送達バルーンの実施形態では、1つまたは複数の担持構造を送達バルーンの各々の面に配置することができる。前記担持構造は、単体構造を有する場合があり、そして真空成形を用いて前記担持構造を製造することができる。前記底壁を前記拡張可能な部材に例えば接着剤によって取り付けることができる。前進構造はキャビティ内に位置し、該前進構造に取り外し可能に連結された1つまたは複数の組織貫入部材を備えている。貫入可能な保護フィルムが前記側壁に連結され、前記キャビティを覆っている。前記保護フィルムは、前記前進構造の内部に前記組織貫入部材を密封し、ならびにTPMを湿分への曝露および酸化から保護するための保護バリアとして役立つ。使用すると、このフィルムにより、治療剤が腸壁内に送達される前に腸管内で分解されないように保護するための追加の保護レベルが得られる。前記フィルムは、治療剤製剤の保存寿命を、該製剤を湿分への曝露および酸化から保護することにより延長するのにも役立つ。
【0016】
前記TPMは、薬物または他の治療剤を含む治療剤製剤から少なくとも一部は形成され、該治療剤製剤は、患者の血流に該治療剤製剤を送達するために腸壁内で溶解するか、または別様に吸収されるように構成される。前記治療剤製剤は、当該技術分野において公知の1種もしくは複数種の医薬用賦形剤、例えば、崩壊剤、結合剤なども含むことがある。前記TPMは、腸壁の特定の組織層、例えば、粘膜層、粘膜下層などに治療剤を送達するために腸壁内の選択距離に貫入するように望ましくは構成される。これは、TPMシャフト上に位置する止めの使用によって、かつ/または腸壁内の選択距離に貫入すると曲がるか、またはさらには剪断するように該TPMを構成することによって達成することができる。
【0017】
典型的に、前記TPMによって送達される薬物または他の治療剤は、生分解性ポリマー、例えばPGLA、および/または糖、例えばマルトースと混合される。かかる実施形態において、前記TPMは、薬物と生分解性ポリマーの実質的に不均一な混合物を含むことがある。あるいは、前記貫入部材は、生分解性ポリマーから実質的に形成される部分と、薬物もしくは他の治療剤から形成されるかまたは薬物もしくは他の治療剤を収容している別のセクションもしくは区画とを備えることができる。例えば、1つの実施形態において、前記TPMは、生分解性材料の外部シェルと、治療剤のスラグ(例えば、円柱形状のもの)が嵌合される中空コアを含むことがある。前記TPMの先端または組織貫入部分は、組織に容易に貫入することができるようにより硬い材料、例えば糖を含む場合がある。腸壁内に配置されると、前記組織貫入部材は、その壁組織内の腸液によって分解され、薬物がそれらの流体に溶解し、その腸壁組織内または周囲の毛細血管によって血流に吸収される。TPMはまた、前進後にその腸壁の組織内に該貫入部材を留置するための1つまたは複数の組織留置特徴部、例えば返しまたはフックを典型的に備える。前記部材シャフトの周囲に対称に割り当てた2つ以上の返しなどの、組織留置を増進するための様々なパターンに前記留置特徴部を配列することができる。しかし、他の手段により、例えば、逆テーパまたは他の形状によって、前記TPMを腸内に留置することもできる。前記逆テーパ形状を1つまたは複数の留置特徴部と併用して、留置をさらに増進することもできる。
【0018】
前記薬物または他の治療剤は、固体形態である場合があり、そのときには成形もしくは他の類似の方法を用いてそれを組織貫入部材の形状にすることができるか、またはそれが固体もしくは液体であることがあり、そのときには液体形態の生分解性ポリマーにそれを添加し、その後、当該技術分野において公知の成形法または他の形成法を用いてその混合物をTPMにすることができる。望ましくは、薬物と生分解性ポリマーとを含む組織貫入部材の実施形態は、様々なペプチドおよびタンパク質などの薬物をはじめとする薬物のいずれの実質的熱分解も生じさせない温度で形成(例えば、硬化)される。これは、当該技術分野において公知の室温硬化性ポリマーならびに室温成形および溶媒蒸発技術の使用によって達成することができる。特定の実施形態において、前記組織貫入部材内の熱分解される薬物の量は、望ましくは約10重量%未満、さらに好ましくは5%未満、さらにいっそう好ましくは1%未満である。特定の薬物の熱分解温度は公知であるか、または当該技術分野において公知の方法を用いてそれを判定することができ、その後、この温度を用いて、特定のポリマー加工法(例えば、成形、硬化、溶媒蒸発など)を選択および調整することができる。
【0019】
前記アライナ、展開部材、送達部材のうちの1つまたは複数が拡張可能なバルーンを含む本発明の様々な実施形態についてのバルーンは、低減/最小化空間を占有するように該バルーンが包まれる(または別様にカプセル内に配置される)ことを可能にする材料特性および寸法(例えば、壁厚)を有することができる。したがって、本発明によって使用される拡張可能なバルーンの様々な実施形態を薄い、例えば約0.001インチ未満の、壁の中に閉じ込めることができ、また該実施形態は、当該技術分野において公知の様々な非コンプライアントなポリマー、例えばPET、ポリエチレンおよびポリイミドを含むことができる。
【0020】
前記拡張可能なバルーンの1つまたは複数の実施形態は、膨張後の該バルーンのガス抜きに役立つガス抜きバルブも典型的に備える。前記ガス抜きバルブは、バルーン内のガスの脱出のための開口部またはチャネルを生成するために腸内の流体および/または前記バルーンの区画のうちの1区画内の液体に曝露されると分解するように構成されている生分解性材料を含むことができる。特定の実施形態において、前記ガス抜きバルブは、(アライナバルーンに連結される末端の反対側の)送達バルーンの末端に取り付けられたチューブバルブを含む。前記チューブバルブは、小腸内の流体などの流体への曝露により分解するマルトースなどの材料が充填された末端部分を有する中空チューブを含む。前記チューブバルブ内の遮断材料の位置決めは、該遮断材料が溶解して該チューブバルブを開口させる前に送達バルーンが膨張して腸壁内に組織貫入部材を送達するために十分な時間を与えるように構成される。1つまたは複数の実施形態によると、ガス抜きバルブが開口すると、それは、送達バルーンのガス抜きに役立つばかりでなく、アライナバルーンおよび展開バルーンのガス抜きにも役立つ。これは、多くの実施形態において、3つすべてが流体的に接続されているからである。ガス抜きバルブの開口は、アライナバルーンの膨張によってカプセルから押し出される送達バルーンの末端に該ガス抜きバルブを配置し、その結果、該ガス抜きバルブを小腸内の液体に良好に曝露させることによって助長することができる。アライナバルーンと展開バルーンの一方または両方の上に類似のチューブガス抜きバルブを位置させることもできる。これらの後者の2ケースでは、送達バルーンの膨張のための十分な時間を与える期間にわたって分解するように、チューブバルブ内の遮断材料を構成することができる。
【0021】
加えて、バルーンガス抜きを保証するためのさらなる支援として、1つまたは複数の穿刺要素をカプセルの内面に取り付けることができるので、本発明の実施形態において使用される1つまたは複数のバルーンは、完全に膨張すると該穿刺要素と接触し、該穿刺要素によって穿刺される。送達バルーンのガス抜きのための手段のもう1つの代替または追加の実施形態では、組織貫入部材の1つまたは複数を送達バルーンに直接連結させることができ、そして、それらが取り外されるとそのバルーンから引き離され、その過程でそのバルーンを引き裂くように構成する。さらにもう1つの代替実施形態では、送達組立体上のおよび/または送達バルーンに別様に取り付けられた1つまたは複数の組織貫入部材を、該送達バルーンの膨張により該送達バルーンおよびアライナバルーンの一方または両方を穿刺するように構成することができる。
【0022】
本発明のもう1つの態様は、本明細書に記載する嚥下可能なデバイスの実施形態を使用する小腸壁(または腸管内の他の壁)内への送達のための治療剤製剤を提供する。前記製剤は、治療有効用量の少なくとも1つの治療剤(例えば、インスリン、インクレチン、発作抑制化合物、NSAID、抗生物質など)を含む。前記製剤は、固体、液体、ゲルおよびそれらの組み合わせを含むことがあり、1つまたは複数の医薬用賦形剤を含む場合がある。前記製剤は、嚥下可能なカプセル内に収容され、該カプセルから管腔壁内に送達され、そしてその管腔壁内で分解して前記用量の治療剤を放出するような、形状および材料一貫性を有する。典型的に、この形状および材料一貫性は、前記製剤を本明細書に記載する組織貫入部材の1つまたは複数の実施形態中に配置するかまたは該1つまたは複数の実施形態に形成することによって達成される。前記製剤は、小腸または他の体腔の壁内での該製剤の分解速度を向上させるかまたは別様に制御するために選択可能な表面積対体積比も有し得る。前記製剤中の薬物または他の治療剤の用量を、従来の経口送達法に必要とされる用量から漸減させることができ、その結果、該薬物からの潜在的副作用を低減させることができる。
【0023】
本発明のもう1つの態様は、嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態を使用する、GI管壁への薬物および治療剤の送達方法を提供する。かかる方法を、治療有効量の様々な薬物および他の治療剤の送達に用いることができる。これらとしては、別の方法では胃内での化学的分解に起因して注射を必要とする多数の大分子ペプチドおよびタンパク質、例えば、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリン、インターフェロン(MSおよび他の状態の処置用)および他の類似の化合物が挙げられる。本発明の実施形態によって送達することができる好適な薬物および他の治療剤としては、様々な抗体(例えば、HER2抗体)、化学療法剤(例えば、インターフェロン)、糖尿病を処置するためのインスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP-1、エクセナチド)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、コルチゾンなど)、ワクチンおよび抗寄生虫剤、例えば様々な抗マラリア剤が挙げられる。具体的な実施形態では、前記嚥下可能なカプセルの実施形態を使用して、様々な自己免疫関連障害、例えば関節リウマチの処置のための治療有効量のモノクローナル抗体アダリムマブを送達することができる。患者の体重、年齢、状態または他のパラメータについてこのまたは特定の治療剤の投薬量を調整することができる。
【0024】
本発明の様々な方法実施形態において、嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態を使用して、多数の状態の処置用のまたは特定の状態の処置用の複数の薬物(例えば、HIV AIDS処置用のプロテアーゼ阻害剤の混合物)を送達することができる。使用すると、かかる実施形態により、患者は、特定の状態(単数または複数)のために多数の医薬品を摂取しなければならない必要性をなしで済ませることができる。また、上記実施形態は、2種のまたは2種より多い薬物のレジメンが小腸内に、そしてしたがってほぼ同時に血流内に送達され、吸収されることを助長するための手段を提供する。化学組成、分子量などが異なるので、薬物は、腸壁を通して異なる速度で吸収され得、その結果、異なる薬物動態分布曲線が生じ得る。本発明の実施形態は、ほぼ同時に所望の薬物混合物を注射することによりこの論点に対処する。そしてまた、このことが薬物動態を向上させ、それゆえに、選択された薬物混合物の効力を向上させる。
【0025】
本発明のこれらのおよび他の実施形態および態様についてのさらなる詳細を、添付の描図を参照して、以下でより十分に説明する。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
治療剤製剤を患者の腸管の腸壁に挿入するための嚥下可能なデバイスであって、前記デバイスは、
前記腸管を通過するサイズの嚥下可能なカプセル(前記カプセルは、カプセル壁を有し、前記カプセル壁の少なくとも一部分は、腸内の選択pHへの曝露により分解するが、前記カプセル壁を胃内での分解から保護する)と、
少なくとも部分的に非拡張状態で前記カプセル内に配置された第一の拡張可能な部材と、
少なくとも部分的に非拡張状態で前記カプセル内に配置された第二の拡張可能な部材(前記第二の拡張可能な部材は、前記腸管内の流体への曝露により分解する分解可能なバルブによって前記第一の拡張可能な部材に流体的に連結される)と、
前記拡張可能な部材の一つに収容された液体と、
他の拡張可能な部材に収容された反応物(前記バルブが分解すると、前記液体と前記反応物が混ざってガスを生成し、そのガスが前記第二の拡張可能な部材を拡張させる)と、
前記第二の拡張可能な部材の壁に連結された送達デバイスと、
少なくとも1つの組織貫入部材(前記組織貫入部材は、前記送達デバイスに取り外し可能に連結された近位部分と、組織貫入遠位部分と、腸壁内への送達用の治療剤製剤とを備えており、前記組織貫入部材は、腸壁内に留置されるように構成される)と
を含み、ここで、
前記第二の拡張可能な部材の拡張により、前記少なくとも1つの組織貫入部材が前記送達デバイスによって前記腸壁に進入させられ、前記腸壁内のその場所に留置されて、前記治療剤を前記腸壁内に送達するものであるデバイス。
(項目2)
前記カプセルが、第一のカプセル部分および第二のカプセル部分を含み、前記第一の部分が第一のpHで分解し、前記第二の部分が第二のpHで分解する、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
前記第一のカプセル部分が、前記分解可能なバルブの少なくとも一部分の上にあり、前記第一のカプセル部分が分解すると、腸液が前記カプセルに侵入して前記分解可能なバルブと接触することができる、項目2に記載のデバイス。
(項目4)
前記第一のカプセル部分が、約5.5に等しいかまたは約5.5より大きいpHで分解する、項目2に記載のデバイス。
(項目5)
前記第二のカプセル部分が、約6.5に等しいかまたは約6.5より大きいpHで分解する、項目2に記載のデバイス。
(項目6)
前記第一のカプセル部分がボディを構成し、前記第二のカプセル部分が、前記ボディに外嵌するキャップを構成する、項目2に記載のデバイス。
(項目7)
前記カプセル壁の前記pH分解性部分が、pH感受性コーティングを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
前記バルブが糖を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
前記糖がマルトースを含む、項目8に記載のデバイス。
(項目10)
前記反応物が、少なくとも第一および第二の反応物を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
前記第一および第二の反応物が、酸および塩基を含む、項目10に記載のデバイス。
(項目12)
前記第一の反応物が、重炭酸カリウムを含み、前記第二の反応物が、クエン酸を含む、請求項11に記載のデバイス。
(項目13)
前記少なくとも1つの組織貫入部材が、糖を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目14)
前記糖がマルトースを含む、項目13に記載のデバイス。
(項目15)
前記治療剤製剤が、組織貫入部材内に配置された、造形されたセクションを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目16)
前記組織貫入部材が、少なくとも一部は前記治療剤製剤から形成される、項目1に記載のデバイス。
(項目17)
前記組織貫入部材が、前記腸壁内に前記組織貫入部材を留置するための留置特徴部を備えている、項目1に記載のデバイス。
(項目18)
前記留置特徴部が、返しまたはフックを含む、項目1に記載のデバイス。
(項目19)
前記少なくとも1つの組織貫入部材が、複数の組織貫入部材を含む、項目1に記載のデバイス。
(項目20)
前記腸が小腸であり、および前記カプセル壁が、前記小腸内の選択pHに応答して分解するように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目21)
前記第二の拡張可能な部材が、拡張可能な位置合わせ部材と、前記拡張可能な位置合わせ部材に流体的に連結された拡張可能な展開部材とを含み、前記拡張可能な位置合わせ部材が、拡張して前記カプセルの長軸と前記腸の長軸を位置合わせするように構成され;前記拡張可能な展開部材が、拡張して前記少なくとも1つの組織貫入部材を前記腸壁に進入させるように構成される、項目1に記載のデバイス。
(項目22)
前記拡張可能な位置合わせ部材が、接続チューブによって前記拡張可能な展開部材に流体的に連結される、項目21に記載のデバイス。
(項目23)
前記第一の拡張可能な部材が、前記拡張可能な位置合わせ部材に接続チューブによって流体的に連結される、項目21に記載のデバイス。
(項目24)
前記分解可能なバルブが、前記接続チューブに内蔵されている、項目23に記載のデバイス。
(項目25)
前記拡張可能な位置合わせ部材が、前記拡張可能な展開部材の前に拡張する、項目21に記載のデバイス。
(項目26)
前記拡張可能な位置合わせ部材が拡張して、前記拡張可能な展開部材の一部分を前記カプセルから押し出す、項目25に記載のデバイス。
(項目27)
前記拡張可能な位置合わせ部材および前記拡張可能な展開部材が、感圧バルブによって流体的に接続される、項目21に記載のデバイス。
(項目28)
前記感圧バルブが、蝋を含む、項目27に記載のデバイス。
(項目29)
前記第一の拡張可能な部材、前記位置合わせ部材および前記展開部材が、拡張可能なバルーンを含む、項目21に記載のデバイス。
(項目30)
前記第一の拡張可能な部材、前記位置合わせ部材または前記展開部材のうちの少なくとも1つが、ポリマー、実質的に非コンプライアントなポリマー、ポリエチレンPETまたはポリイミドを含む、項目29に記載のデバイス。
(項目31)
前記拡張可能な展開部材が、前記少なくとも1つの組織貫入部材を前記腸壁に押し込むための対向する平面状表面を有する、項目29に記載のデバイス。
(項目32)
前記拡張可能な展開部材が、前記対抗する平面状表面を備えているバルーン(bellows)構成を有する、項目31に記載のデバイス。
(項目33)
前記カプセルの内面に位置する少なくとも1つの穿刺要素をさらに含み、前記少なくとも1つの穿刺要素が、前記第一の拡張可能な部材、前記位置合わせ部材または前記展開部材のうちの少なくとも1つを穿刺してガスを抜くように位置決めおよび構成される、項目29に記載のデバイス。
(項目34)
前記送達デバイスが、
展開部材に連結された担持構造(前記担持構造は、対抗する側壁と前記展開部材に連結された底壁とを有し、前記側壁および底壁がキャビティを規定する)と、
前記キャビティ内に位置する前進構造(前記少なくとも1つの組織貫入部材が前記前進構造に取り外し可能に連結している)と、
前記担持構造の側壁に連結され、前記キャビティを覆っている貫入可能なフィルム(前記貫入可能なフィルムは、前記少なくとも1つの組織貫入部材のための保護バリアを提供する)と
を含み、ここで、
前記拡張可能な展開部材が、前記腸壁に対して拡張するとき、前記少なくとも1つの組織貫入部材が、前記貫入可能なフィルムに貫入して前記腸壁に進入させられる、項目21に記載のデバイス。
(項目35)
前記担持構造の側壁が、前記拡張可能な展開部材が前記腸壁に対して拡張されたときに前記腸壁にぶつかって崩壊するように構成される、項目34に記載のデバイス。
(項目36)
治療剤製剤を患者の腸管の腸壁に挿入するための嚥下可能なデバイスであって、前記デバイスは、
前記腸管を通過するサイズの嚥下可能なカプセル(前記カプセルは、カプセル壁を有し、前記カプセル壁の少なくとも一部分は、腸内の選択pHへの曝露により分解する)と、
少なくとも部分的に非拡張状態で前記カプセル内に配置された第一の拡張可能な部材(前記第一の拡張可能な部材は、液体への曝露により分解する離隔バルブによって離隔された第一の部分および第二の部分を備えており、前記第一の部分は液体を備えており、前記第二の部分は、前記拡張可能な部材を拡張させるガスを生成するために前記液体と反応するように構成された反応物を備えており、前記バルブが分解すると、前記第一の部分からの液体が前記第二の部分における反応物と混ざってガスを生成し、そのガスが前記拡張可能な部材を拡張させる)と、
少なくとも部分的に非拡張状態で前記カプセル内に配置された第二の拡張可能な部材(前記第二の拡張可能な部材は、前記第一の拡張可能な部材の拡張により拡張状態になるように前記第一の拡張可能な部材に流体的に連結されており;前記第二の拡張可能な部材は、拡張可能な壁を有する)と、
前記拡張可能な部材の前記拡張可能な壁に連結された送達デバイスと、
少なくとも1つの組織貫入部材(前記組織貫入部材は、前記送達デバイスに取り外し可能に連結された近位部分と、組織貫入遠位部分と、前記組織貫入部材を前記腸壁内に留置するための留置特徴部と、前記腸壁内への送達用の治療剤製剤とを備えている)と
を含み、ここで、
前記第二の拡張可能な部材の曝露により、前記少なくとも1つの組織貫入部材が前記送達デバイスによって前記腸壁に進入させられ、そこに前記少なくとも1つの留置特徴部によって留置されて、治療剤を前記腸壁内に送達する、デバイス。
(項目37)
前記第一および第二の拡張可能な部材が、拡張可能なバルーンである、項目36に記載のデバイス。
(項目38)
前記腸が小腸であり、および前記カプセル壁が、前記小腸内の選択pHに応答して分解するように構成される、項目36に記載のデバイス。
(項目39)
治療剤を患者の腸管の腸壁に経口送達するための嚥下可能なデバイス:
前記腸管を通過するサイズの嚥下可能なカプセル(前記カプセルは、分解可能なカプセル壁を有し、前記カプセル壁の一部分は、前記腸内の選択pHへの曝露により分解するが、前記カプセル壁を胃内での分解から保護する);非展開状態で前記カプセル内に配置されたアライナ(前記アライナは、前記治療剤の前記腸壁内への送達のために展開状態に展開して前記カプセルの長軸と前記腸の長軸とを位置合わせするように構成される);
前記治療剤を前記腸壁内に送達するための送達メカニズム;および
前記アライナまたは前記送達メカニズムの少なくとも一つを展開させるための展開エンジン。
(項目40)
前記アライナが、拡張可能なバルーンを含む、項目39に記載のデバイス。前記送達メカニズムが拡張可能なバルーンを含む、項目39に記載のデバイス。
(項目41)
前記送達メカニズムに取り外し可能に連結された近位部分と、組織貫入遠位部分と、前記腸壁内への送達用の治療剤製剤とを備えている少なくとも1つの組織貫入部材をさらに含む、項目39に記載のデバイス。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1a図1aは、嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態を示す側視である。
図1b図1bは、嚥下可能な薬物送達デバイスを備えているシステムの実施形態を示す側視である。
図1c図1cは、嚥下可能な薬物送達デバイスと1セットの使用説明書とを含むキットの実施形態を示す側視である。
図1d図1dは、薬物リザーバを備えている嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態を示す側視である。
図1e図1eは、GI管内のデバイスの通過および薬物を送達するためのデバイスの操作を含む、嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態の使用を図示する側視である。
図2図2aおよび2bは、pH感受性生分解性コーティングで被覆されたキャップおよびボディを備えている嚥下可能な薬物送達デバイス用のカプセルの実施形態を図示する側面像であり、図2aは、組み立てられていない状態のカプセルを示し、図2bは、組み立てられた状態のカプセルを示す。
図3a図3aは、展開バルーンとアライナバルーンと送達バルーンと多彩な接続チューブとを含有する、折り畳まれていないマルチバルーン組立体の実施形態を図示するものである。図3aは、展開バルーンの単一ドーム構成についての前記組立体の実施形態を示す。
図3b図3bは、展開バルーンとアライナバルーンと送達バルーンと多彩な接続チューブとを含有する、折り畳まれていないマルチバルーン組立体の実施形態を図示するものである。図3bは、展開バルーンの二重ドーム構成についての前記組立体の実施形態を示す。
図3c図3cは、アライナバルーンをはじめとする本明細書に記載するバルーンの1つまたは複数の実施形態に使用することができる入れ子状バルーン構成の実施形態を図示する透視図である。
図4a図4aは、多区画展開バルーンの実施形態を図示する側面像である。図4aは、離隔バルブが閉鎖している非膨張状態の前記バルーンを示す。
図4b図4bは、多区画展開バルーンの実施形態を図示する側面像である。図4bは、バルブが開口しており、化学反応物が混合されている前記バルーンを示す。
図4c図4cは、多区画展開バルーンの実施形態を図示する側面像である。図4cは、膨張状態の前記バルーンを示す。
図5-1】図5aは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図5-2】図5bは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図5-3】図5cは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図5-4】図5dは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図5-5】図5eは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図5-6】図5f~5gは、マルチプルバルーン組立体の折り畳み方法を図示する側面像であり、各図中の折り畳み構成は、図5cが二重ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、図5dが二重ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関すること、図5eが単一ドーム構成に特有の折り畳み段階に関すること、ならびに図5fおよび5gが単一ドーム構成に特有の最終折り畳み段階に関する正射図(orthogonal view)であることを除き、展開バルーンの単一ドーム構成と二重ドーム構成の両方に適用される。
図6図6aおよび6bは、付属送達組立体を伴う最終折り畳みマルチバルーン組立体の実施形態を図示する正射図である。
図7図7aおよび7bは、カプセルに挿入された最終折り畳みマルチバルーン組立体の実施形態を図示する正射透視図(orthogonal transparent view)である。
図8a図8aは、組織貫入部材の実施形態の側面図である。
図8b図8bは、組織留置特徴部の配置を図示する組織貫入部材の実施形態の下面図である。
図8c図8cは、トロカール先端と逆テーパ型シャフトとを有する組織貫入部材の実施形態の側面図である。
図8d図8dは、別個の薬物収容セクションを有する組織貫入部材の実施形態の側面図である。
図8e図8eおよび8fは、造形された薬物収容セクションを有する組織貫入部材の実施形態の組み立てを示す側面図である。図8eは、組み立て前の組織貫入部材および造形された薬物セクションを示す。
図8f図8eおよび8fは、造形された薬物収容セクションを有する組織貫入部材の実施形態の組み立てを示す側面図である。図8fは、組み立て後を示す。
図9図9は、送達組立体の実施形態を組み立てるために使用した構成要素および段階の多彩な図を提供する。
図10a図10aは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10b図10bは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10c図10cは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10d図10dは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10e図10eは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10f図10fは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10g図10gは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10h図10hは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図10i図10iは、医薬品を腸壁に送達するための嚥下可能なデバイスの操作方法を図示する多彩な図を提供する。
図11図11aは、GI管内でカプセルの制御分解を生じさせるように位置決めされた生分解性シームを有するカプセルを含む嚥下可能な薬物送達デバイスの実施形態を示す。図11bは、GI管の中でより小さい断片に分解された後の図11aの実施形態を示す。
図12図12は、カプセルの生分解を加速するための細孔および/または穿孔を備えている生分解性シームを有するカプセルの実施形態を示す。
図13図13a~13bは、拡張可能なバルーンの膨張によるカプセルの引き裂きのための半径方向または横方向パターンで配列された易裂性シームを有するカプセルの実施形態を示す。図13aは、膨張前のカプセルを示し、図13bは、バルーンの膨張によって断片に破断されたカプセルを示す。
図14図14は、拡張可能なバルーンの膨張によって引き裂かれ得るシームによって接合された別個の部分から製造されたバルーン易裂性カプセルの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(発明の詳細な説明)
本発明の実施形態は、身体の様々な位置内に医薬品を送達するためのデバイス、システムおよび方法を提供する。本明細書において用いる場合、用語「医薬品」は、薬物または他の治療剤はもちろん1種または複数種の医薬用賦形剤も含むことができる、任意の形態の医薬製剤を指す。多くの実施形態は、GI管内に医薬品を送達するための嚥下可能なデバイスを提供する。特定の実施形態は、小腸または他のGI器官の壁に医薬品を送達するための嚥下可能なデバイス、例えばカプセルを提供する。
【0028】
ここで、図1~9を参照して、胃腸(GI)管内の送達部位DSに医薬品100を送達するためのデバイス10の実施形態は、嚥下され、該腸管を通過するサイズのカプセル20と、展開部材30と、医薬品100を収容する1つまたは複数の組織貫入部材40と、展開可能なアライナ60と、送達メカニズム70とを含む。展開可能なアライナ60は、カプセル内に位置し、該カプセルを小腸などの腸と位置合わせするように構成される。典型的に、これは、カプセルの長軸を腸の長軸と位置合わせすることを必然的に伴う;しかし、他の位置合わせも企図される。送達メカニズム70は、医薬品100の腸壁内への送達用に構成され、典型的に、送達部材72、例えば拡張可能な部材を備える。展開部材30は、アライナ60または送達メカニズム70の少なくとも一方の展開用に構成される。さらに本明細書中で説明するように、カプセル壁のすべてまたは一部分は、GI管内の液体がデバイス10による医薬品100の送達を誘発できるようにするために、GI管内の液体との接触により分解可能である。本明細書において用いる場合、「GI管」は、食道、胃、小腸、大腸および肛門を指し、その一方で「腸管」は、小腸および大腸を指す。本発明の様々な実施形態を、腸管および全GI管両方の中への医薬品100の送達用に構成および配列することができる。
【0029】
組織貫入部材40を備えているデバイス10を、液体、半液体もしくは固体形態の医薬品100、または三形態すべての組み合わせの送達用に構成することができる。いかなる形態であっても、医薬品100は、該医薬品がデバイス10から進出させられ、腸壁(小腸もしくは大腸)またはGI管内の他の管腔壁に進入させられ、そしてその後、その腸壁内で分解して薬物または他の治療剤101を放出することを可能にする、材料一貫性を望ましくは有する。前記医薬品100の材料一貫性としては、製剤の(体液中での)硬度、多孔度および溶解度のうちの1つまたは複数を挙げることができる。前記材料一貫性を次のうちの1つまたは複数の選択および使用よって達成することができる:i)製剤を作製するために用いる圧縮力;ii)当該技術分野において公知の1種または複数種の医薬用崩壊剤の使用;iii)他の医薬用賦形剤の使用;iv)製剤(例えば、微粒子化粒子)の粒径および分布;ならびにv)当該技術分野において公知の微粒子化および他の粒子形成方法の使用。
【0030】
小腸壁またはGI管内の他の位置の壁内への医薬品100の送達のためのシステム11は、選択された状態(単数または複数)の処置用の1種または複数種の医薬品100を収容しているデバイス10を含むことができる。一部の実施形態において、前記システムは、図1bの実施形態に示すように、デバイス10と通信するための、本明細書に記載する携帯式デバイス13を備えることができる。多くの実施形態において、システム11は、図1cの実施形態に示すように、パッケージング12にパッケージされているシステム11と1セットの使用説明書15とを含むキット14として構成することもできる。前記説明書は、1つまたは複数の事象、例えば、食事の摂取または生理学的計測、例えば血糖、コレステロールなどに関してデバイス10を使う時を患者に知らせることができる。かかる実施形態において、キット14は、選択された投与期間にわたっての、例えば、処置すべき状態(例えば、一連のインターフェロン処置による癌の処置、免疫抑制剤による自己免疫疾患、例えば、乾癬、多発性硬化症または関節炎の処置)に応じて1日、1週間または何週間にもわたっての医薬品100のレジメンを収容している多数のデバイス10を備えることができる。
【0031】
カプセル20は、嚥下され、腸管を通過するようなサイズである。このサイズを、送達すべき薬物の量ならびに患者の体重および成人対小児利用に応じて調整することもできる。典型的に、前記カプセルは、ビタミンに類似の湾曲した末端を有する管形状を有する。これらのおよび関連実施形態において、カプセル長20Lは0.5から2インチの範囲であり得、直径20Dは0.1から0.5インチの範囲であり得るが、他の寸法も企図される。カプセル20は、内部空間または内容積24vを規定する外面25および内面24を有するカプセル壁21wを備えている。一部の実施形態において、カプセル壁21wは、組織貫入部材40の外方進出のためのサイズの1つのまたは1つより多いアパーチャ26を備えることができる。デバイス10の他の構成要素(例えば、拡張可能な部材など)に加えて、前記内容積は、1つまたは複数の区画またはリザーバ27を備えることができる。
【0032】
製薬技術分野において公知の様々な生分解性ゼラチン材料から前記カプセルを製造することができるが、前記カプセルは、胃内での(酸などに起因する)分解からキャップを保護して、その後、小腸においてまたは腸管の他の領域において見いだされるより高いpHで分解するように構成された、様々な腸溶コーティング20cを備えることもできる。様々な実施形態において、カプセル20は、多数の部分から形成され得、それらの部分の1つもしくは1つより多くの部分が生分解性であり得る。多くの実施形態において、カプセル20は、2つの部分20p、例えば、ボディ部分20P”(本明細書ではボディ20p”)とキャップ部分20p’(本明細書ではキャップ20p)から形成され得、該キャップは、例えば該ボディの上または下に滑り込ませることによって、該ボディに外嵌する(が他の仕組みも企図される)。一方の部分、例えばキャップ20p’は、第一のpH(例えばpH5.5)より上で分解するように構成された第一のコーティング20c’を備えることができ、もう第二の部分、例えばボディ20p’’は、第二のより高いpH(例えば6.5)より上で分解するように構成された第二のコーティング20c”を備えることができる。カプセル20の内面24と外面25の両方がコーティング20c’および20c”で被覆されるので、該カプセルの両方の部分が、選択されたpHを有する流体と接触するまで、実質的に保存される。ボディ20p”の場合は、これにより、バルーン72をボディ部分内に保持するようにボディ20p”の構造的一体性を維持すること、およびバルーン30が拡張されるまで展開されないことが可能になる。コーティング20c’および20c”としては、様々なメタクリレートおよびエチルアクリレート系コーティング、例えば、Evonik Industriesにより商品名EUDRAGITで製造されているものを挙げることができる。カプセル20のこれらおよび他の二重コーティング構成により、カプセル20の一部分のメカニズムを該カプセルの他の部分のものより前に起動させることが可能になる。これは、腸液が、先ず、より低いpHコーティングが分解した部分に侵入し、かくして、かかる流体に対して応答性であるトリガー(例えば、分解可能なバルブ)を起動するためである。使用すると、カプセル20のかかる二重コーティング実施形態は、小腸内の特定の位置(またはGI管内の他の位置)への標的薬物送達はもちろん、送達プロセスの確実性向上も与える。これは、アライナ60などの特定の構成要素の展開が小腸の上方領域(例えば、十二指腸)において始まり、薬物の(例えば、小腸壁への)最適な送達のために腸内でカプセルを位置合わせすることを可能にし、かつ、カプセルが小腸または他の選択位置にまだある間に腸壁への薬物送達を達成するための他の構成要素の展開/起動に十分な時間を提供するように構成され得るという事実に起因する。
【0033】
上で論じたように、当該技術分野において公知の様々な生体適合性ポリマーからカプセル20の1つまたは複数の部分を製造することができ、上記生体適合性ポリマーには様々な生分解性ポリマーが含まれ、これらは、好ましい実施形態ではセルロース、ゼラチン材料PGLA(ポリ乳酸-co-グリコール酸)を含み得る。他の好適な生分解性材料としては、本明細書に記載する様々な腸溶性材料、ならびにラクチド、グリコリド、乳酸、グリコール酸、パラ-ジオキサノン、カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、カプロラクトン、これらのブレンドおよびコポリマーが挙げられる。
【0034】
生分解性腸溶性材料をはじめとする生分解性材料をカプセル20に使用することにより、薬物送達前、中または後に該カプセルが全部または一部分解してGI系通過を助長することが可能になる。本明細書中でさらに詳細に説明するように、様々な実施形態において、カプセル20は、より容易に腸管を通過させられるより小さい断片23に制御可能に分解するように生分解性材料のシーム22を備えることができる。
【0035】
様々な実施形態において、カプセルの壁20wは、GI管内の液体、例えば小腸内の液体との接触により分解し得る。好ましい実施形態において、前記カプセル壁は、胃の通過中は無傷のままであるが、その後、小腸内で分解されるように構成される。1つまたは複数の実施形態では、これをカプセル壁20w上の外部コーティングまたは外層20cの使用により達成することができ、これは、小腸内で見いだされるより高いpHでのみ分解し、該カプセルが小腸に達する(この時点で、本明細書に記載するように、薬物送達プロセスがコーティングの分解によって開始される)前の胃内での分解から下にあるカプセル壁を保護するのに役立つ。使用すると、かかるコーティングにより、小腸などの腸管の選択部分での治療剤の標的送達が可能になる。
【0036】
様々な実施形態において、カプセル20は、1つまたは複数の医療画像診断法、例えば蛍光透視法、超音波、MRIなどを用いるデバイスの定位のために様々な放射線不透過性、エコー源性または他の材料を含む場合がある。具体的な実施形態において、前記カプセルのすべてまたは一部分は、図1aおよび1bの実施形態に示すように、放射線不透過性/エコー源性マーカー20mを含むことができる。放射性不透過性マーカー20mに好適な材料としては、硫酸バリウム、化合物、二酸化チタンおよびその化合物が挙げられる。使用すると、かかる材料により、GI管内のデバイス10の定位が可能になるばかりでなく、その展開状態の定位も可能になる(例えば、特徴的マーカーをキャップ20p’上に、そして別のものをボディ20p”上に位置させて、展開バルーン30(下で論ずる)が膨張しているが、送達バルーン72は膨張していないかどうかの判定を可能にすることができる)。それらを使用して、該デバイスのGI管の通過時間の決定を可能にすることもできる。かかる情報を用いて、特定の患者のための薬物の投薬量を調整することができることはもちろん、糖尿病の処置のために使われるインスリンの場合には食事の摂取などの事象後に彼らが特定の薬物を摂取すべき時に関する情報を与えることもできる。マーカー20mをカプセル20上に位置させて、該カプセルが無傷であるか、または破壊されてしまったかを医師が判定できるようにすることもできる。
【0037】
さらに本明細書中で論ずるように、多くの実施形態において、展開部材30、送達部材72または展開可能なアライナ60のうちの1つもしくは複数は、カプセル20に内嵌するための形状およびサイズである拡張可能なバルーンに対応し得る。したがって、論述を容易にするために、展開部材30、送達部材72および展開可能なアライナ60をここではバルーン30、60および72と呼ぶことにする;しかし、様々な拡張可能なデバイスを含む他のデバイスもまたこれらの要素に企図されること、ならびに例えば、カプセル20の内容積24vに対応する拡張形状およびサイズを有する様々な形状記憶デバイス(例えば、形状記憶生分解性ポリマースパイアから製造された拡張可能なバスケット)、拡張可能な圧電性デバイスおよび/または化学的に拡張可能なデバイスを含み得ることは理解されるはずである。
【0038】
バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数が医療デバイス技術分野において公知の様々なポリマーを含む場合もある。好ましい実施形態において、かかるポリマーは、低密度PE(LDPE)、線状低密度PE(LLDPE)、中密度PE(MDPE)および高密度PE(HDPE)ならびに当該技術分野において公知の他の形態のポリエチレンに対応し得る、1つもしくは1より多くのタイプのポリエチレン(PE)を含むことができる。ポリエチレンを使用する1つより多くの実施形態では、前記材料を架橋させることを、当該技術分野においてそうしたことが公知のポリマー照射法を用いてできる。特定の実施形態では、照射に基づく架橋を用いてバルーン材料のコンプライアンスを低下させることによりバルーンの膨張直径および形状を制御することができる。特定の架橋量を達成して、その結果、所与のバルーンについての特定の量のコンプライアンスを生じさせるように照射量を選択することができ、例えば、照射増加を用いて、より剛性でより低コンプライアンスのバルーン材料を生成することができる。他の好適なポリマーとしては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、シリコーンおよびポリウレタンが挙げられる。様々な実施形態において、バルーン30、60および72は、バルーンの位置および物理的状態(例えば、非膨張、膨張またはパンク)を医師が突きとめることを可能にするために、当該技術分野において公知の様々な放射線不透過性材料、例えば硫酸バリウムも含むことがある。バルーンカテーテル技術分野において公知の様々なバルーンブロー成形方法(例えば、モールドブロー成形、フリーブロー成形など)を用いて、カプセル20の内容積24vにほぼ対応する形状およびサイズを有するようにバルーン30、60および72を製造することができる。様々な実施形態において、バルーン30、60および72ならびに様々な対応する特徴部(例えば、接続チューブ)のうちの1つもしくは複数が単一の金型から形成された単体構造を有することができる。かかる単体構造を利用する実施形態は、デバイス10の1つもしくは複数の構成要素間に造らなければならない接合部がより少ないので、向上した製造性および確実性という恩恵をもたらす。
【0039】
バルーン30、60および72の好適な形状には、先細りした、または湾曲した末端部分を有する様々な円筒形状(かかる形状の例としてホットドッグが挙げられる)が含まれる。一部の実施形態において、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数の膨張サイズ(例えば、直径)は、カプセル20を(例えば、円周応力に起因する)膨張力でばらばらにさせるために、カプセル20より大きい場合がある。他の関連実施形態において、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数の膨張サイズは、膨張したとき、i)カプセル20が、該カプセルの周囲の小腸の収縮を生じさせる蠕動収縮を惹起するために小腸壁と十分に接触し、そして/またはii)許容するように小腸のひだが消されるようなサイズであり得る。これらの両方の結果により、カプセルおよび/または送達バルーン72の選択領域上に組織貫入部材40を送達するようなカプセル/バルーン表面と腸壁間の改善された接触が可能になる。望ましくは、バルーン30、60または72の壁は、薄く、0.005から0.0001”の範囲、さらに好ましくは、0.004、0.003、0.002、0.001および0.0005の具体的な実施形態を伴う、0.005から0.0001の範囲の壁厚を有し得る。加えて、様々な実施形態において、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数は、図3cの実施形態に示すような膨張チャンバ60ICおよび拡張フィンガー60EFを有する入れ子状バルーン構成を有することができる。膨張チャンバ60ICを接続する接続チュービング63は、ガス68の通過のみを可能にするために狭い場合があり、その一方で、バルーン30の2つの半分部分を連結する接続チュービング36は、水の通過を可能にするためにより大きい場合がある。
【0040】
上で指摘するように、アライナ60は、拡張可能なバルーンを典型的に含み、論述を容易にするために、ここではこれをアライナバルーン60またはバルーン60と呼ぶことにする。バルーン60は、上で説明した材料および方法を用いて製造することができる。それは非拡張状態および拡張状態(展開状態とも呼ぶ)を有する。その拡張または展開状態では、バルーン60は、小腸SIの蠕動収縮によってカプセル20に及ぼされる力が、カプセル20の長軸20LAを小腸SIの長軸LAIと平行に位置合わせするのに役立つように、カプセル20の長さを伸長させる。そしてまたこれは、組織貫入部材40の腸壁IWへの貫入を増進および最適化するために組織貫入部材40のシャフトを腸壁IWの表面と垂直に位置合わせするのに役立つ。小腸内でカプセル20を位置合わせするのに役立つことに加えて、アライナ60はまた、(図に示されるように)送達バルーン72の膨張前にカプセル20から送達メカニズム70を押し出すように構成され、したがって、該送達バルーンおよび/またはメカニズムは該カプセルによって妨げられない。使用すると、薬物送達が起こり得る前にカプセルの特定の部分(例えば、送達メカニズム上にあるもの)が分解されるのを待つ必要がないので、アライナ60のこの押し出し機能は、治療剤の送達の確実性を向上させる。
【0041】
バルーン60を、バルーン30および72を備えているデバイス10の1つもしくは複数の構成要素に、ポリマーチューブまたは他の流体連結62によって流体的に連結させることができ、この62は、バルーン60と30を連結させるためのチューブ63、およびバルーン60とバルーン72を連結させるためのチューブ64を含み得る。チューブ63は、バルーン60をバルーン30からの圧力(例えば、バルーン30内での化学反応物の混合によって生成される圧力)により拡張/膨張させるように、ならびに/またはバルーン30および60の一方または両方の膨張のためにガス発生化学反応を開始させるためのバルーン30と60間の液体の通過を別様に可能にするように構成される。チューブ64がバルーン60を72に接続して、バルーン60によるバルーン72の膨張を可能にする。多くの実施形態において、チューブ64は、選択圧力で開口してバルーン60によるバルーン72の膨張を制御するように構成されている制御バルブ55を備えているか、または該制御バルブ55に連結されている。したがって、チューブ64は、前記バルブに接続されている近位部分64pおよび前記バルブからつながる遠位部分64dを含むことができる。典型的に、近位部分64pおよび遠位部分64dは、下で説明するようなバルブハウジング58に接続される。
【0042】
バルブ55は、バルブハウジング58のチャンバ58c内に配置される(あるいは、チュービング64内に直接配置されることもある)材料57の三角形または他の形状のセクション56を含むことがある。セクション57は、選択圧力で機械的に分解して(例えば、裂けて、剪断されて、離層して、など)、チューブ64および/またはバルブチャンバ58c中のガスの通過を可能にするように構成される。バルブ55のための好適な材料57としては、蜜蝋または他の形態の蝋、および選択可能な密封力/破裂圧を有する医療技術分野において公知の様々な接着剤を挙げることができる。バルブフィッティング58は、材料57のセクション56が(図3bの実施形態に示すように)チャンバ58cの壁を互いに封止するようにまたは該チャンバ中の流体の通過を別様に遮断するように配置されている(生分解性材料から作製された)薄い円筒形区画を典型的に含む。セクション56のサイズおよび形状のうちの1つもしくは複数の選択ならびに材料57の(例えば、接着強度、剪断強度などのような特性についての)選択によって、バルブ55の解放圧力を制御することができる。使用すると、制御バルブ55は、バルーン72を膨張させる前にバルーン60を完全にまたは別様に実質的に膨張させるようなバルーン60および72の順序づけられた膨張を可能にする。そしてまたこれは、バルーン60に、バルーン72が膨張する前にカプセル20から(典型的にはボディ部分20p’から)送達メカニズム70の残部と一緒にバルーン72を押し出させ、したがって、組織貫入部材40の展開はカプセル20によって妨害されない。使用すると、かかるアプローチは、カプセル20に収容されている組織貫入部材40の所望の貫入深度の達成とカプセル20に収容されているより多数の組織貫入部材40の送達の両方の点から見て、該部材の腸壁IWへの進入がカプセル壁20wによって妨害されないので、組織貫入部材40の腸壁IWへの貫入の確実性を向上させる。
【0043】
上で説明したように、アライナバルーン60の膨張長60lは、カプセル20を腸の蠕動収縮から小腸の横軸と位置合わせするのに十分なものである。アライナ60についての好適な膨張長60lとしては、アライナ60の膨張前のカプセル20の長さ20lの約1/2倍から2倍の間の範囲を挙げることができる。アライナバルーン60についての好適な形状としては、ホットドッグ様形状などの様々な細長い形状を挙げることができる。具体的な実施形態では、バルーン60は、第一のセクション60’および第二のセクション60”を備えることができ、この場合、第一のセクション60’の拡張はカプセル20から送達メカニズム70を(典型的には から)進出させるように構成され、第二のセクション60”は送達バルーン72を膨張させるために用いられる。これらの実施形態および関連実施形態では、第一のセクション60’が先ず膨張してメカニズム70をカプセルから(典型的にはボディ部分20p’から)押し出し、第二のセクション60”が膨張して送達部材72を膨張させる入れ子式膨張を有するように、第一のセクション60’および第二のセクション60”を構成することができる。これは、第一のセクション60’が(そのより小さい容積に起因して)先ず膨張し、第二のセクション60”に関しては第一のセクション60’が実質的に膨張してしまうまで膨張しないように、第一のセクション60’を第二のセクション60”より小さい直径および容積を有するように構成することによって達成することができる。1つの実施形態において、これは、セクション60’内が最低圧力に達するまでガスにセクション60”を通過させない、セクション60’と60”を接続する(上で説明した)制御バルブ55の使用によって助長され得る。一部の実施形態において、アライナバルーンは、展開しているバルーンからの水または他の液体との混合によって反応する化学反応物を収容することができる。
【0044】
多くの実施形態において、展開部材30は、展開バルーン30として公知の拡張可能なバルーンを含む。様々な実施形態において、展開バルーン30は、ガスの使用、例えば、化学物質からのガス69の発生によりアライナバルーン60の展開/拡張を助長するように構成される。前記ガスは、固体化学反応物65、例えば酸66(例えば、クエン酸)と塩基66(例えば、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウムおよびこれらに類するもの)を反応させ、その後、それらを水または他の水性液68と混合することにより発生させることができる。化学量論的方法を用いて反応物の量を選択して、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数において選択圧力を生じさせることができる。反応物65および液体をバルーン30および60内に別々に保管し、その後、小腸内のpH条件などのトリガー事象に応答して一緒にすることができる。反応物65および液体68をいずれのバルーン内に保管してもよいが、好ましい実施形態では、液体68はバルーン30内に保管され、反応物65はバルーン60内に保管される。反応を開始させるための液体68の通過および/または結果として生ずるガス69を可能にするために、下で説明する分解可能なバルブ50などの離隔手段50も典型的に備えているコネクタチューブ63によってバルーン30をアライナバルーン60に連結させることができる。バルーン30が液体を収容する実施形態については、チューブ63は、バルーン60はもちろんバルーン72も膨張させるために望ましい量のガスの生成に十分な水のバルーン30からバルーン60への通過を可能にするのに十分な直径を有する。また、バルーン30が液体を収容しているとき、バルーン30およびチューブ63の一方または両方は、次のうちの1つもしくは複数によってバルーン60への液体の通行を可能にするように構成される:i)曝露されたバルーン30に対する小腸の蠕動収縮によりバルーン30に加えられる圧縮力;およびii)毛細管作用によるチューブ63による液体の吸い上げ。
【0045】
チューブ63は、バルブが分解するまでバルーン30の内容物(例えば、水58)をバルーン60の内容物(例えば、反応物65)から離隔する、分解可能な離隔バルブまたは他の離隔手段50を典型的に備える。バルブ50は、該バルブが消化管内で様々な液体と共に水に曝露されると開口するように液体水によって分解可能な材料、例えばマルトースから製造することができる。腸液中で見いだされるより高いpHに応答して分解することができる材料、例えばメタクリレート系コーティングからそれを作製することもできる。前記バルブは、バルーン30の上に突出し、かつ/または別様に十分に露出されているチューブ63上の位置に望ましくは位置するので、キャップ20p’が分解するとカプセルに侵入する腸液にバルブ50は曝露される。様々な実施形態において、(図6aおよび6bの実施形態に示すように)バルブ50は、バルーン30の表面にあるようにまたはさらにはその上に突出するように位置することができ、その結果、キャップ20p’が分解するとバルブ50は腸液に明確に曝露される。本発明の様々な実施形態は、離隔バルブ50についての多数の構造、例えば、ビーム様構造(この場合、バルブは、チューブ63および/または接続セクション36を圧迫するビームを含む)、または鍔型構造(この場合、バルブは、チューブ63および/または接続セクション36上にある鍔を含む)を提供する。さらに他のバルブ構造も企図される。
【0046】
バルーン30は、展開状態および非展開状態を有する。展開状態では、展開バルーン30は、カプセルの末端の形状に対応するドーム形状30dを有することができる。展開されたバルーン30についての他の形状30s、例えば球形、チューブ状なども企図される。反応物65は、典型的に少なくとも2つの反応物66および67、例えば、クエン酸などの酸、および重炭酸ナトリウムなどの塩基(これらは、約1:2の比を有し得る。)を含む。他の酸、例えば酢酸(ascetic acid)、および塩基、例えば水酸化ナトリウムをはじめとする他の反応物65も企図される。バルブまたは他の離隔手段50が開口すると、反応物は液体中で混ざり、二酸化炭素などのガスを生成し、このガスがアライナバルーン60または他の拡張可能な部材を拡張させる。
【0047】
図3bに示す代替実施形態において、展開バルーン30は、チューブ36または他の接続手段36(例えば、接続セクション)によって接続された第一のバルーン30’および第二のバルーン30”を実際に含むことができる。接続チューブ36は、上で説明したような液体および/または小腸内で見いだされる塩基性pH(例えば、5.5もしくは6.5)などの特定のpHを有する液体によって分解可能である離隔バルブ50を典型的に備える。2つのバルーン30’および30”は、拡張状態のときにカプセルの末端部分にバルーン30’および30”が内嵌することを可能にする半ドーム形状30hsを各々有することができる。一方のバルーンは、化学反応物(単数または複数)65(例えば、重炭酸ナトリウム、クエン酸など)を収容することができ、他方は、液体水68を収容することができ、したがって、バルブが分解されると前記二成分が混ざってガスを形成し、このガスがバルーン30’および30”の一方または両方を膨張させ、そして次にアライナバルーン60を膨張させる。
【0048】
さらにもう1つの実施形態において、バルーン30は、多数の区画30cを有するように形成されるかまたは別様に構築される多区画バルーン30mcを含むことができる。典型的に、区画30cは、図4aの実施形態に示すように離隔バルブ50または他の離隔手段50によって離隔されている第一の区画34および第二の区画35を少なくとも備える。多くの実施形態において、区画34および35は、離隔バルブ50が典型的に配置される場所であるそれらの間に小さい接続セクション36を少なくとも有する。図4aの実施形態に示されているように、液体68(典型的には水である)を、第一の区画34内に配置することができ、1つもしくは複数の反応物65(これは典型的には固体であるが液体を使用することもできる)を第二の区画35に配置することができる。バルブ50が(例えば、小腸内の流体に起因する分解から)開口すると、液体68は区画35に侵入し(もしくはその逆、または両方)、反応物(単数または複数)65がその液体と混ざって二酸化炭素などのガス69を生成し、それがバルーン30を拡張し、そしてまたそのガスを用いてバルーン60および72のうちの1つもしくは複数を拡張させることができる。
【0049】
反応物65は、典型的に、少なくとも第一の反応物66および第二の反応物67、例えば、クエン酸などの酸、および重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどの塩基を含む。本明細書において論ずるように、様々な実施形態において、それらをバルーン30(区画34および35または半分部分30’および30”を含む)およびバルーン60のうちの1つもしくは複数の中に配置することができる。生成物により不活性ガスを生成する酸と塩基の他の組み合わせを含む、追加の反応物も企図される。クエン酸および重炭酸ナトリウムを使用する実施形態については、2つの反応物間(クエン酸対重炭酸カリウム)の比は、約1:3の具体的な比を伴う、約1:1から約1:4の範囲であり得る。望ましくは、固体反応物65は、殆どまたは全く吸収水を有さない。したがって、前記反応物の1つもしくは複数、例えば、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムをバルーン30内に配置する前に(例えば、真空乾燥により)予備乾燥させることができる。他の酸、例えば酢酸(ascetic acid)、および塩基を含む、他の反応物65も企図される。反応物の組み合わせを含めて特定の反応物65の量は、特定の化学反応ならびにバルーンの膨張体積についての公知化学量論式と、理想気体の法則(例えば、PV=nRT)を用いて、特定の圧力を生じさせるように選択することができる。特定の実施形態では、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数において、i)腸壁内への特定の貫通深度を達成するため、ならびにバルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数について特定の直径を生じさせるため、ならびにiii)選択量の力を腸壁IWに及ぼすための選択圧力を生じさせるように、反応物の量を選択することができる。特定の実施形態では、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数において、より小さい圧力およびより大きい圧力も企図されるが、10から15psiの範囲の圧力を達成するように、反応物(例えば、クエン酸および重炭酸カリウム)の量および比を選択することができる。さらにまた、公知化学量論式を用いて、これらの圧力を達成するための反応物の量および比を決定することができる。
【0050】
ガス69を発生させるための化学反応物65を使用する本発明の様々な実施形態において、前記化学反応物は、単独でまたは展開バルーン30と組み合わせて、アライナバルーン60および送達メカニズム70(送達バルーン72を含む)の一方または両方を展開させるための展開エンジン80を構成し得る。展開エンジン80は、2つの展開バルーン30および30”を使用する実施形態(図3bに示すような二重ドーム構成)を含むこともあり、または図4aに示すような多区画バルーン30mcも含むことがある。展開エンジン80の他の形態、例えば、拡張性圧電材料(電圧の印加によって拡張する)、スプリングおよび他の形状記憶材料ならびに様々な熱拡張性材料の使用も、本発明の様々な実施形態によって企図される。
【0051】
拡張可能なバルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数は、典型的に、膨張後のバルーンのガス抜きに役立つガス抜きバルブ59も含む。ガス抜きバルブ59は、特定のバルーン内のガスの脱出のための開口部またはチャネルを生成するために小腸内の流体および/またはバルーンの区画のうちの1区画内の液体に曝露されると分解するように構成される生分解性材料を含むことができる。望ましくは、ガス抜きバルブ59は、該ガス抜きバルブが分解する前にバルーン30、60および72の膨張に十分な時間を与えるためにバルブ50より遅い速度で分解するように構成される。区画化バルーン30の様々な実施形態において、ガス抜きバルブ59は、図4aの実施形態に示すようにバルーンの末端部分31上に位置する分解可能なセクション39に対応し得る。この実施形態および関連実施形態において、分解可能なセクション39が前記液体への曝露から分解すると、バルーン壁32は、裂けるか、または別様にばらばらになって、急速なガス抜きの高度な保証を提供する。多数の分解可能なセクション39をバルーン壁32内の様々な位置に配置することができる。
【0052】
バルーン72の様々な実施形態において、ガス抜きバルブ59は、図3bの実施形態に示すように(アライナバルーンに連結される末端の反対側の)送達バルーン72の末端72eに取り付けられたチューブバルブ73に対応し得る。チューブバルブ73は、小腸内の流体などの流体への曝露により分解するマルトースなどの材料73mで選択位置73lにて遮断されている管腔を有する中空チューブ73tを含む。チューブ73t内の遮断材料73mの位置73lは、該遮断材料が溶解してバルブ73を開口する前に送達バルーン72が膨張して腸壁IWに組織貫入部材40を送達するために十分な時間を提供するように選択される。典型的に、これは、液体が材料73mに到達する前に該液体がチューブ管腔内を吸い上がる時間を与えるために完全にはチューブ73tの末端73eではないが、その近くである。1つもしくは複数の実施形態によると、ガス抜きバルブ73が開口すると、それは、送達バルーン72のガス抜きに役立つばかりでなく、アライナバルーン60および展開バルーン30のガス抜きにも役立つ。多くの実施形態において、これら3つは、流体的に接続されている(アライナバルーンは送達バルーン72に流体的に接続されており、展開バルーン30はアライナバルーン60に流体的に接続されている)からである。ガス抜きバルブが小腸内の液体に良好に曝露されるように、アライナバルーン60の膨張によってカプセル20から押し出される送達バルーン72の末端72eにガス抜きバルブを配置することにより、ガス抜きバルブ73の開口を助長することができる。類似のチューブガス抜きバルブ73がアライナバルーン62および展開バルーン30の一方または両方の上に位置する場合もある。これらの後者の2ケースでは、送達バルーン72の膨張および組織貫入部材40の腸壁への進入のために十分な時間を与えるような期間にわたって分解するように、チューブバルブ内の遮断材料を構成することができる。
【0053】
加えて、保証されたガス抜きのさらなる支援のために、バルーン(例えば、バルーン30、60、72)が完全に膨張すると、該バルーンは穿刺要素82と接触し、穿刺要素82によって穿刺されるように、1つもしくは複数の穿刺要素82(2図2aに示す)をカプセルの内面24に取り付けることができる。穿刺要素82は、尖った先端を有する、表面24からの短い突出部を含むことができる。バルーンガス抜きのためもう1つの代案または追加の実施形態では、組織貫入部材40の1つもしくは複数を、バルーン72の72wの壁に直接連結させることができ、それらが取り外されるとそのバルーンから引き離され、その過程でそのバルーン壁を引き裂くように構成することができる。
【0054】
ここで、組織貫入部材40についての論述を提示する。組織貫入部材40は、様々な薬物および他の治療剤101と、1種または複数種の医薬用賦形剤(例えば、崩壊剤、安定剤など)と、下で論ずるシャフト44および先端45を含む組織貫入部材40の主構造構成要素を形成するために使用することができる1種または複数種の生分解性材料とから製造することができる。後のほうの材料は、前記貫入部材に所望の構造および材料特性(例えば、腸壁への挿入のための柱強度、または薬物の放出を制御するための多孔度および親水性)を付与するように選択することができる。ここで、図8a~8fを参照して、多くの実施形態において、図8aの実施形態に示すように、腸壁の組織に容易に貫入させるためにシャフト44および針先45または他の尖った先端45を有するように貫入部材40を形成することができる。好ましい実施形態において、先端45は、図8cの実施形態に示すようなトロカール形を有する。先端45は、該先端の硬度および組織貫入特性を増加させる様々な分解性材料、例えばスクロース、マルトース、または他の糖を(該先端のボディ内にまたはコーティングとして)含むことができる。腸壁内に配置されると、貫入部材40は、その壁組織内で腸液によって分解され、その結果、薬物または他の治療剤101がそれらの流体に溶解し、血流に吸収される。大体数秒、数分またはさらに数時間内の薬物101の溶解および吸収を可能にするように、組織貫入部材40のサイズ、形状および化学組成のうちの1つまたは複数を選択することができる。溶解速度を、製薬技術分野において公知の様々な崩壊剤の使用により制御することができる。崩壊剤の例としては、様々なデンプン、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、および様々な架橋ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロースが挙げられるが、これらに限定されない。崩壊剤の選択を小腸壁内の環境、例えば、血流、平均蠕動収縮数などに特異的に合せることができる。
【0055】
組織貫入部材40はまた、前進後に腸壁IWの組織内に該貫入部材を留置するための1つもしくは複数の組織留置特徴部43、例えば返しまたはフックを典型的に備える。図8aおよび8bの実施形態に示すような部材シャフト44の周囲におよび部材シャフト44に沿って対称にまたは別様に割り当てられた2つのまたは2つより多い返しなどの、組織留置を増進するような様々なパターン43pで、留置特徴部43を配列することができる。加えて、多くの実施形態において、貫入部材はまた、送達メカニズム70上の連結構成要素への取り付けのための溝または他の嵌め合い特徴部46を備える。
【0056】
組織貫入部材40は、望ましくは、組織貫入部材40の腸壁への進入後に該貫入部材をバルーンから取り外すためにプラットホーム75(または送達メカニズム70の他の構成要素)に取り外し可能に連結されるように構成される。取り外し可能性(detachability)は、i)プラットホーム75における開口部74と部材シャフト44とがぴったりと合うこと、すなわちそれらの間の嵌合;ii)貫入部材40上の組織留置特徴部43の構成および配置;およびiii)腸壁へのシャフト44の貫入深度をはじめとする様々な手段によって実現することができる。これらの因子のうちの1つもしくは複数を用いて、貫入部材40は、バルーンガス抜きの結果として(この場合、バルーンのガスが抜けるとまたは別様にバルーンが腸壁から引き戻されると留置特徴部43が貫入部材40を組織内に保持する)および/または小腸の蠕動収縮によってカプセル20に及ぼされる力の結果として取り外されるように構成される。
【0057】
具体的な実施形態では、図8cの実施形態に示すように逆テーパ44tを有するように組織貫入部材シャフト44を構成することによって腸壁IW内での組織貫入部材40の取り外し可能性および留置を向上させることができる。シャフト44上のテーパ44tは、該シャフトに腸壁からの蠕動収縮力が加わることで、該シャフトを内方9へ押しやる(例えば内方に圧搾する)結果となるように構成される。これは、シャフトテーパ44tが、横方向に加えられる蠕動力PFを、腸壁の内方にシャフトを押しやるように作用する直交する力OFに変換することに起因する。使用すると、かかる逆テーパ型シャフト構成は、バルーン72のガス抜きによりプラットホーム75(または送達メカニズム70の他の構成要素)から取り外されるように組織貫入部材40を腸壁内に留置するのに役立つ。トロカール先端に加えて、任意の数の先端形状45を有する組織貫入部材40の実施形態に逆テーパを使用することもできる。さらなる実施形態において、逆テーパ型シャフトを有する組織貫入部材40はまた、挿入されると腸壁IW内での該組織貫入部材の留置をさらに増進させるような1つまたは複数の留置特徴部43を備えることができる。
【0058】
上で説明したように、様々な実施形態において、組織貫入部材40を多数の薬物および他の治療剤101から製造することができる。また、1つもしくは複数の実施形態によると、前記組織貫入部材は、完全に薬物101から製造され得るか、または、他の成分構成要素、例えば、様々な医薬用賦形剤(例えば、結合剤、保存剤、崩壊剤など)、所望の機械的特性を有するポリマーなどをさらに有し得る。さらに、様々な実施形態において、1つもしくは複数の組織貫入部材40が他の組織貫入部材と同じまたは異なる薬物101(または他の治療剤)を担持する場合がある。前者の構成によって、より大量の特定の薬物101の送達が可能になり、その一方で後者によって、多数の薬物の実質的同時送達を要する薬物処置レジメンを助長するように2種のまたは2種より多くの異なる薬物をほぼ同時に腸壁内に送達することが可能になる。多数の送達組立体78(例えば、2つ、バルーン72の各面に1つ)を有するデバイス10の実施形態において、第一の組立体78’は、第一の薬物101を有する組織貫入部材を担持することができ、第二の組立体78”は、第二の薬物101を有する組織貫入部材を担持することができる。
【0059】
典型的に、組織貫入部材40によって担持される薬物または他の治療剤101は、組織貫入部材40を形成するための生分解性材料105と混合される。材料105としては、1種もしくは複数種の生分解性ポリマー、例えばPGLA、セルロース、および糖、例えばマルトース、または本明細書に記載するかまたは当該技術分野において公知の他の生分解性材料を挙げることができる。かかる実施形態において、貫入部材40は、薬物101と生分解性材料105の実質的に不均一な混合物を含むことがある。あるいは、組織貫入部材40は、図8dの実施形態に示すように、生分解性材料105から実質的に形成される部分41と、薬物101から形成されるかまたは薬物101を収容する別のセクション42とを含むことがある。1つもしくは複数の実施形態において、セクション42は、薬物101のペレット、スラグ、円柱形または他の形状のセクション42sに対応し得る。造形されたセクション42sを別個のセクションとして予備成形することができ、その後、そのセクションを、図8eおよび8fの実施形態に示すように組織貫入部材40内のキャビティ42cに挿入する。あるいは、セクション42sをキャビティ42cへの薬物製剤100の添加によって形成することができる。薬物製剤100がキャビティ42cに添加される実施形態では、キャビティ42cに流し込まれるかまたは注入される粉末、液体またはゲルとして、製剤を添加することができる。造形されたセクション42sは、薬物101自体から形成されることもあり、または薬物101と1種もしくは複数種の結合剤、保存剤、崩壊剤および他の賦形剤とを含有する薬物製剤から形成されることもある。好適な結合剤としては、ポリエチレングリコール(PEG)および当該技術分野において公知の他の結合剤が挙げられる。様々な実施形態において、前記PEGまたは他の結合剤は、セクション42sの約10から50重量パーセントの範囲を構成することがあり、好ましい実施形態では約30重量パーセントを構成することがある。他の結合剤としては、PLGA、シクロデキストリン、セルロース、メチルセルロース、マルトース、デキストリン、スクロース、PGAを挙げることができる。
【0060】
様々な実施形態において、組織貫入部材40の重量は、約10から15mgの間の範囲であり得るが、より重い重量または軽い重量も企図される。マルトースから製造された組織貫入部材40の実施形態について、その重量は、約11から14mgの範囲であり得る。様々な実施形態において、薬物101および所望の送達用量に応じて、部材40における薬物の重量パーセントは、約0.1から約15%の範囲であり得る。部材40における薬物101の重量パーセントを所望の用量に応じて調整できることはもちろん、該薬物の構造安定性および化学量論的安定性を与えるようにならびにまた該薬物の所望の溶出プロファイルを達成するように調整することもできる。表1は、組織貫入部材40によって送達することができる多数の薬物の用量および重量パーセントの範囲を収載している。
【0061】
【表1】
当該技術分野において公知の1つのもしくは1つより多いポリマーおよび医薬製造技術を用いて組織貫入部材40を製造することができる。例えば、薬物101(生分解性材料105を伴うまたは伴わない)は、固体形態である場合があり、そのときには1種もしくは複数種の結合剤を添加して、成形、圧縮または他の類似の方法を用いてそれを組織貫入部材40の形状にすることができる。あるいは、薬物101および/または薬物製剤100は、固体または液体であることがあり、そのときには液体形態の生分解性材料105にそれを添加し、その後、ポリマー技術分野において公知の成形法または他の形成法を用いてその混合物を貫入部材40にすることができる。
【0062】
望ましくは、薬物または他の治療剤101と生分解性材料105とを含む組織貫入部材40の実施形態は、様々なペプチドおよびタンパク質などの薬物をはじめとする薬物(または他の治療剤)のいずれの実質的熱分解も生じさせない温度で形成される。これは、当該技術分野において公知の室温硬化性ポリマーならびに室温成形および溶媒蒸発技術の使用によって達成することができる。特定の実施形態において、前記組織貫入部材内の熱分解される薬物または他の治療剤の量は、望ましくは約10重量%未満、そしてさらに好ましくは5%未満、さらにいっそう好ましくは1%未満である。特定の薬物の熱分解温度(単数または複数)は公知であるか、または当該技術分野において公知の方法を用いてそれを判定することができ、その後、この温度を用いて、薬物熱分解の温度および関連レベルを最小にするように特定のポリマー加工法(例えば、成形、硬化、溶媒蒸発法など)を選択および調整することができる。
【0063】
送達メカニズム70について説明する。典型的に、このメカニズムは、図6aおよび6bの実施形態に示すように、送達バルーン72に取り付けられている(組織貫入部材40を含有する)送達組立体78を含む。送達バルーンの膨張は、カプセルから腸壁IW内に外向きに送達組立体72を係合させて組織貫入部材40をその壁に挿入するための機械的力をもたらす。様々な実施形態において、送達バルーン72は、接合された部分から成る(articulated)アコーディオンのようなボディ72bによって接続された2つの比較的平坦な面72fを伴う細長い形状を有し得る。組織貫入部材(TPM)40を腸壁に挿入するためにバルーン72の拡張により腸壁(IW)を加圧するように前記平面72fを構成することができる。薬物収容TPM40の腸壁の両側への挿入を可能にするようにバルーン70の片方または両方の面72fにTPM40(それら自体、または下で説明するような送達組立体78の一部として)を位置させることができる。バルーン72の前記面72fは、多数の薬物収容TPMの各面への配置を可能にするために十分な表面積を有することができる。
【0064】
ここで図9を参照して、送達組立体78の組み立てについて説明する。第一段階300において、支持プラットホーム75(プラットホーム75としても公知)に対応し得る生分解性前進構造75に1つもしくは複数の組織貫入部材40を取り外し可能に連結させることができる。好ましい実施形態において、プラットホーム75は、段階300に示すように部材40の挿入のための1つのもしくは1つより多い開口部74を備えている。開口部74は、バルーン72の拡張前にプラットホーム75に部材40を挿入および留置することができるようなサイズである一方で、腸壁にそれらが貫入されるとプラットホームからそれらを取り外すことができるようなサイズである。次いで、段階301に示すように支持プラットホーム75を担持構造76内に配置することができる。担持構造76は、キャビティまたは開口部76cを規定する側壁76sと底壁76bとを有するウェル構造76に対応し得る。プラットホーム75は、望ましくは、当該技術分野において公知の接着剤または他の接合法を用いて底壁76bの内面に取り付けられる。ウェル構造76は、様々なポリマー材料を含むことができ、ポリマー加工技術分野において公知の真空成形技術を用いてそれを形成することができる。多くの実施形態において、段階302に示すように開口部76oを保護フィルム77で被覆することができる。保護フィルム77は、下で説明するように湿分および酸化から組織貫入部材40を保護するバリアとして機能するが、組織貫入部材40がなおそのフィルムに貫入できるように選択された特性を有する。フィルム77は、様々な水および/または酸素不透過性ポリマーを含むことができ、これらのポリマーは、望ましくは、小腸内で生分解性であるように、かつ/または、消化管を不活性状態で通過するように構成される。それは、所与の物質、例えば酸素、水蒸気などに対する不透過性について選択された特定の層を有する多層構造を有することもある。使用すると、保護フィルム77を利用する実施形態は、組織貫入部材40内の治療剤101の保存寿命の増加に役立ち、そしてまたそれがデバイス10の保存寿命の増加に役立つ。まとめると、組織貫入部材40、ウェル構造76およびフィルム77を取り付けた支持プラットホーム75が送達組立体78を構成する場合がある。組織貫入部材40または他の薬物送達手段に収容された1種もしくは複数種の薬物または治療剤101を有する送達組立体78を事前に製造し、保管し、その後、後日、デバイス10の製造に使用することができる。密閉組立体78のキャビティ76cに窒素などの不活性ガスを充填することにより、組立体78の保存寿命をさらに向上させることができる。
【0065】
戻って図6aおよび6bを参照して、組立体78は、バルーン72の一方または両方の面72fに位置することができる。好ましい実施形態において、組立体78は、バルーン72の拡張時に腸壁IWの両側に実質的に均等に力を分配するように(図6aに示すように)両方の面72fに位置する。組立体78は、ポリマー技術分野において公知の接着剤または他の接合法を用いて面72fに取り付けることができる。バルーン72が拡張すると、TPM40は、フィルム77に貫入し、腸壁IWに侵入し、そしてバルーン72のガスが抜かれるとプラットホーム75から取り外されるように留置要素43および/または組織貫通の他の留置特徴部(例えば、逆テーパ型シャフト44t)によってそこに留置される。
【0066】
様々な実施形態において、バルーン30、60および72のうちの1つもしくは複数をカプセル20の内部に、該カプセルの内容積24v内の空間を維持するような折り畳まれた、畳まれたまたは別様に望ましい構成で、パッケージすることができる。折り畳みは、予備成形された折り目または医療用バルーン技術分野において公知の他の折り畳み特徴または方法を用いて行うことができる。特定の実施形態では、バルーン30、60および72を、次のうちの1つもしくは複数を達成するように選択された向きに折り畳むことができる:i)空間を維持する、ii)所望の向きの特定の膨張バルーンを生じさせる;およびiii)所望のバルーン膨張順序を助長する。図5a~5fに示す実施形態は、折り畳み方法および様々な折り畳み配列の実施形態を例証する。しかし、この折り畳み配列および結果として生ずるバルーンの向きが例示的なものであり、他のものも用いることができることは理解されるはずである。この実施形態および関連実施形態では、折り畳みを手で、自動機械によって、または両方の組み合わせによって行うことができる。また、多くの実施形態において、図3aおよび3bの実施形態に示すように、バルーン30、60、70とバルブチャンバ58と多彩な接続チュービング62とを含む単一のマルチバルーン組立体7(本明細書では組立体7)を使用することによって折り畳みを助長することができる。図3aは、バルーン30について単一ドーム構造を有する組立体7の実施形態を示し、その一方で図3bは、バルーン30について二重バルーン/ドーム構成を有する組立体7の実施形態を示す。組立体7は、ポリマー加工技術分野において公知の様々な真空成形法および他の関連方法を用いて所望の形状に真空成形される薄いポリマーフィルムを使用して製造することができる。好適なポリマーフィルムとしては、0.005”の具体的な実施形態を伴う、約0.003から約0.010”の範囲の厚みを有するポリエチレンフィルムが挙げられる。好ましい実施形態では、前記組立体の1つもしくは複数の構成要素(例えば、バルーン30、60など)を接合する必要をなくすために単体構造を有するように前記組立体を製造する。しかし、組立体7を多数の部分(例えば、半分部分)、または構成要素(例えば、バルーン)から製造し、その後、ポリマー/医療デバイス技術分野において公知の様々な接合法を用いてそれらを接合することも企図される。
【0067】
ここで図5a~5f、6a~6bおよび7a~7bを参照して、第一の折り畳み段階210では、バルーン60をバルーン72と共にバルブフィッティング58に外嵌し、その過程でバルブフィッティング58の反対側に反転させる(図5a参照)。次いで、段階211において、バルーン60とバルブ58の折り畳まれた組み合わせに対して直角にバルーン72を折り畳む(図5b参照)。次いで、バルーン30の二重ドーム実施形態についての段階212では、バルーン30の2つの半分部分30’および30”を互いに折り重ね、曝露されたバルブ50を残す(例えば5cを参照して、バルーン30の単一ドーム実施形態については、それ自体に折り重ねられる、図5e参照)。折り畳まれたバルーン30をバルブフィッティング58およびバルーン60の反対側に180°折り曲げる最終折り畳み段階213を行って、図5eに示す二重ドーム構成についての最終折り畳み組立体8ならびに図5eおよび5fに示す単一ドーム構成についての最終折り畳み組立体8’を得ることができる。次いで、1つもしくは複数の送達組立体78を段階214において組立体8(典型的にはバルーン72の2つの面72f)に取り付けて、(図6aおよび6bの実施形態に示す)最終組立体9を得、その後、カプセル20にそれを挿入する。挿入段階215の後の組立体9が挿入された最終組み立てバージョンのデバイス10を図7aおよび7bに示す。
【0068】
ここで図10a~10iを参照して、小腸壁または大腸壁などのGI管内の部位に医薬品101を送達するためのデバイス10の使用方法を説明する。段階およびそれらの順番が例示的なものであり、他の段階および順番も企図されることは理解されるはずである。デバイス10が小腸SIに侵入した後、キャップコーティング20c’は、上部小腸における塩基性pHによって分解され、それに起因して、図10bの段階400に示すようにキャップ20p’が分解する。次いで、バルブ50は小腸内の流体に曝露され、それに起因して、図10cの段階401に示すようにバルブが分解し始める。次いで、図10dに示すように、段階402においてバルーン30が(ガス69生成に起因して)拡張する。次いで、図10eに示すように、段階403においてバルーン60のセクション60’が拡張し始めて、カプセルボディからの組立体78の押し出しを開始する。次いで、図10fに示すように、段階404において、バルーン60のセクション60’および60”が完全に膨張されてカプセルボディから組立体78を完全に押し出して、カプセルの横軸20ALと小腸の横軸LAIを位置合わせするのに役立つようにカプセル長20lを伸長させる。この間に、(バルーンが完全に膨張して、他にガス69が行く場所がないことに起因して)バルーン60内の圧力増加からバルブ55が働かなくなり始めている。次いで、図10gに示すように、段階405では、バルブ55が完全に開口してバルーン72を膨張させ、そしてそのバルーン72が(ボディ20p”から完全に押し出された)ここではもう完全に曝露された組立体78を径方向外方に腸壁IW内へと押す。次いで、図10hに示すように、段階406において、バルーン72は、拡張し続けて、ここで、組織貫入部材を腸壁IWに進入させる。次いで、段階407では、バルーン72は、(バルーン60および30と共に)空気が抜けてしまい、その結果、引き戻され、腸壁IWに留置された組織貫入部材が残る。また、カプセルのボディ部分20P”は、デバイス10の他の生分解性部分と共に、(コーティング20c”の分解に起因して)完全に分解される。分解されなかったいずれの部分も消化からの蠕動収縮によって小腸により遠位に運ばれ、最終的には排泄される。
【0069】
戻って図1bを参照して、バルーン30、60および72のうちの1つまたは複数の膨張のためのpH感受性の分解性コーティングおよびバルブの使用(ならびに医薬品100の展開)の代案または補足として、様々な実施形態では、センサ97、例えば、pHセンサ98または小腸内のカプセルの存在を検出する他の化学的センサに応答して、前記バルーンを拡張させることができる。そのとき、センサ97は、アイソレーションバルブ50の制御可能な実施形態に、または制御可能なアイソレーションバルブ50に連結された電子制御装置29cにシグナルを送って開口させ、かくして本明細書中で説明するようにバルーン30を拡張させる。pHセンサ98の実施形態は、電極ベースのセンサを含む場合もあるか、または機械ベースのセンサ、例えば、小腸内の選択pHもしくは他の化学的条件への曝露により縮むもしくは伸びるポリマーである場合もある。関連実施形態において、伸縮可能pHセンサ98は、コネクタ63および/または36辺りで伸長または収縮してバルーン30と60間および/または区画34と35間のチャネルを開通させるように該センサを構成することにより、アイソレーションバルブ50自体を構成することもできる。
【0070】
いつデバイス10が小腸(またはGI管内の他の位置)の中にあるかを検出するためのもう1つの実施形態によると、センサ97は、腸管内の特定の位置内でカプセル20が受けている蠕動収縮の数を検出するための歪ゲージなどの圧力/力センサを含むことができる(かかる実施形態において、カプセル20は、望ましくは、蠕動収縮中に小腸によって狭持されるようなサイズである)。GI管内の異なる位置は、異なる数の蠕動収縮を有する。例えば、小腸は、毎分12から9回の間の収縮を有し、小腸の長さを下るにつれてその頻度が減少する。したがって、1つまたは複数の実施形態によると、蠕動収縮数の検出を使用して、カプセル20が小腸内にあるかどうかを判定することができるばかりでなく、小腸内での相対位置も判定することができる。使用すると、これらのおよび関連実施形態によって、小腸内の特定の位置での医薬品100の放出が可能になる。
【0071】
図1bをさらに参照して、デバイス10による(例えば、pH感受性コーティングおよび/またはセンサを使用する)薬物送達の内部起動の代案または補足として、一部の実施形態において、ユーザーは、外部からシグナルを送って、バルーン30、60および72のうちの1つまたは複数を拡張させて医薬品100を腸壁内に送達することができる。当該技術分野において公知のRF、磁気または他のワイヤレスシグナル送信手段によって前記シグナルを送ることができる。様々な実施形態において、制御可能なアイソレーションバルブ50、例えば、RF制御小型ソレノイドバルブまたは他の電気機械制御バルブ(図示なし)の使用により外部起動を達成することができる。他の実施形態において、制御可能なアイソレーションバルブ50は、小型磁気的バルブ、例えば、磁気制御小型リードスイッチ(図示なし)に対応し得る。MEMSおよび他のマイクロ製造法を用いて、かかる電気機械的または磁気ベースのバルブを製造することができる。これらのおよび関連実施形態において、ユーザーは、図1bの実施形態に示すような携帯式通信デバイス13(例えば、携帯式RFデバイス、例えば携帯電話)を使用して、デバイス10からの受信シグナル17を送信することができる。かかる実施形態において、嚥下可能なデバイスは、トランスミッタ28、例えばRFトラシーバチップまたは他の類似の通信デバイス/回路部品を含むことができる。携帯式デバイス13は、シグナル送信手段を含むばかりでなく、デバイス10が小腸にまたはGI管内の他の位置にあるときユーザーに情報を与える手段も含むことができる。後者の実施形態を、シグナル送信のためにトランスミッタ28に連結されたロジックリソース29(例えば、プロセッサ29)を使用することによって実行して、いつデバイスが小腸または他の位置にあるかを検出して(例えば、センサからの入力をシグナル送信することにより)ユーザーにシグナル送信(singe)することができる。ロジックリソース29は、そのプロセスの1つまたは複数の態様を制御するための制御装置29cを(ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかで)備えることができる。同じ携帯式デバイスを、バルーン30(ならびにバルーン52および60)が拡張され、選択医薬品100が送達されたとき(例えば、プロセッサ29およびトランスミッタ28を使用して)ユーザーに警告するように構成することもできる。かくして、ユーザーに、医薬品100が送達されたという確認が提供される。これにより、ユーザーが他の適切な薬物/治療剤を摂取することはもちろん、他の関連した決定を行うこと(例えば、糖尿病患者が食事を食べるかまたは食べないか、およびいかなる食物を食べるべきか)も可能になる。アイソレーションバルブ50に優先して嚥下可能なデバイス10にシグナルを送信するように前記携帯式デバイスを構成することもでき、したがって医薬品100の送達を防止するか、遅延させるかまたは加速させるように前記携帯式デバイスを構成することもまたできる。使用すると、かかる実施形態により、他の症状および/または患者の行動(例えば、食事を食べること、寝入ることを決めること、運動など)に基づいて医薬品の送達を防止、遅延または加速させることへのユーザーの介在が可能になる。ユーザーは、カプセルの嚥下から選択期間の後にバルーン30または拡張可能な部材30を外部から拡張させることもできる。その期間を、食物がユーザーのGI管を通って該管内の特定の位置、例えば小腸に移動するための典型的な通過時間または通過時間の範囲に相関させることができる。
【0072】
ここで、図11a~11bおよび12を参照して、様々な実施形態において、カプセル20は、図11aおよび11bの実施形態に示すように、GI管の通過を助長するような選択可能なサイズおよび形状のカプセル片23を生じさせるように制御可能に分解する生分解性材料を含むシーム22を備えることができる。シーム22は、図12の実施形態に示すように、生分解を加速させるために流体が該シームの中に入るための細孔または他の開口部22pも含むことができる。シーム22の生分解を加速させるための他の手段としては、該シームへプレストレスを加えること、および/または図12の実施形態にも示すように該シームに穿孔22fを備えさせること挙げることができる。
【0073】
ここで、図13a~13bおよび14を参照して、多くの実施形態では、バルーン30または他の拡張可能な部材30の膨張によってカプセル20のより小さい断片への破断を可能にするように、シーム22を構成および配列することもできる。特定の実施形態では、シーム22をカプセル半径方向外周21に対して方向づけることができ、これは、カプセルをその外周に沿って半分または他の小部分断片に破断させるために半径方向パターン22rpを有することを含む。カプセルを長さ方向の断片に破断させるために、シーム22をカプセル側方アクセス(capsule lateral access)20laに対して縦に方向づけることもできる。
【0074】
バルーン膨張(または他の拡張可能な部材30の拡張)によるカプセル20の破断についての代案または追加のアプローチとして、図22の実施形態に示すようにシーム22(接着接合部として機能する)により形成される接合部22jで接合される2つのまたは2つより多い別個の接合可能な断片23j(例えば、半径方向の半分部分)からカプセル20を製造することができる。あるいは、接合可能な断片23jを単に機械嵌め、例えばスナップまたはプレス嵌めによって接合することができる。
【0075】
シーム22のための好適な材料としては、本明細書に記載する1種または複数種の生分解材料、例えばPGLA、グリコール酸などを挙げることができる。ポリマー技術分野において公知の様々な接合法、例えば、成形、ホットメルト接合などを用いてカプセル20にシーム22を取り付けることができる。加えて、同じく生分解性材料から製造されるカプセル20の実施形態については、シーム22のより急速な生分解を次のうちの1つまたは複数によって達成することができる:i)より急速生分解性の材料からのシームの製造、ii)シームへプレストレスを加えること、またはiii)シームへの穿孔。GI管内で嚥下可能なデバイスの制御分解を生じさせるために生分解性シーム22を使用するという概念を他の嚥下可能なデバイス、例えば嚥下可能なカメラ(または他の嚥下可能な撮像デバイス)に応用して、GI管通過を助長し、かかるデバイスがGI管内に固着される尤度を低下させることができる。したがって、生分解性シーム22の実施形態を嚥下可能な撮像デバイスおよび他の嚥下可能なデバイスに適合させることができる。
【0076】
さらに他の実施形態では、シーム22は、外部からもしくは内視鏡(もしく他の低侵襲法)により施される超音波を使用してカプセルがより小さい断片に分解されることを可能にする超音波エネルギー、例えば高周波超音波(HIFU)の吸収によって容易に分解される材料で構築され得、そして/または容易に分解される構造を有し得る。
【0077】
本発明のもう1つの態様は、嚥下可能な薬物送達デバイス10の1つまたは複数の実施形態を使用するGI管壁への薬物および他の治療剤の(医薬品100の形態での)送達方法を提供する。ここで、かかる方法の例示的実施形態を説明することにする。説明する薬物送達実施形態は、小腸SI内で行われる。しかし、これが例示的なものであること、ならびに胃および大腸をはじめとするGI管内の多数の位置における薬物の送達に本発明の実施形態を使用することができることは理解されるはずである。論述を容易にするために、嚥下可能な薬物送達デバイス10を本明細書では時としてカプセルと呼ぶことにする。上で説明したような様々な実施形態において、デバイス10を密封パッケージング12の中にキット14としてパッケージすることができ、該パッケージング12は、デバイス10および1セットの使用説明書15を備えている。患者が携帯式デバイス13を使用している場合、該患者は、手作業で、または説明書15またはパッケージング12上にあるバーコード18(もしくは他の識別表示18)によってデバイス13にデータを入力するようにとの指示を受けることができる。バーコードを使用する場合、患者は、デバイス13上のバーコードリーダ19を使用してバーコードをスキャンすることになる。パッケージング12を開け、説明書15を読み、一切の必要データを入力した後、患者は、嚥下可能な薬物送達デバイス10の実施形態を嚥下する。薬物に応じて、患者は、食事と共に(前、中もしくは後に)または生理学的計測、例えば血糖計測に関連してデバイス10を使うことができる。カプセル20は、図1eの実施形態に示すように、蠕動作用によってGI管を通過するようなサイズであり、患者の胃Sを通って小腸SIへと進む。本発明の1つまたは複数の実施形態によると、カプセル10は、小腸に入ると、コーティング20c’および20c”は、小腸内の塩基性pH(または小腸に特有の他の化学的もしくは物理的条件)によって分解され、それに起因して、バルーン30、60および72が拡張するかまたは医薬品100が小腸SIの壁内に送達される。
【0078】
医薬品送達後に、デバイス10は、大腸LIをはじめとする腸管を通過し、最終的には排泄される。易裂性カプセルを有する実施形態については、カプセルをバルーン30の膨張によって直ちにより小さい断片に破断させることができる。生分解性シーム22または他の生分解性部分を有するカプセル20の実施形態については、カプセルが腸管内でより小さい断片に分解されて、腸管通過および腸管からの排泄を助長する。生分解性組織貫入針/部材40を有する特定の実施形態では、針が腸壁に固着されるはずである場合、該針が生分解して該壁からカプセル20を放出する。
【0079】
センサ97を備えているデバイス10の実施形態については、アイソレーションバルブ50の制御可能な実施形態および/または該アイソレーションバルブ50に連結されたプロセッサ29/制御装置29cにシグナルを送信するセンサによってバルーン30または他の拡張可能な部材30の拡張を遂行することができる。外部始動能力を備えているデバイス10の実施形態については、ユーザーは、カプセルを嚥下してから選択期間の後に、バルーン30(ならびにバルーン52および60)を外部から拡張させることができる。その期間を、食物がユーザーのGI管を通って該管内の特定の位置、例えば小腸に移動するための典型的な通過時間(例えば、30分)または通過時間の範囲(例えば、10分から2時間)に相関させることができる。
【0080】
上記方法の1つまたは複数の実施形態を、様々な疾患および状態を処置するための治療有効量の様々な薬物および他の治療剤101を含有する製剤100の送達に用いることができる。これらには、別の方法では胃内での化学的分解に起因して注射を必要とする多数の大分子ペプチドおよびタンパク質、例えば、成長ホルモン、副甲状腺ホルモン、インスリン、インターフェロンおよび他の類似の化合物が挙げられる。本発明の実施形態によって送達することができる好適な薬物および他の治療剤としては、様々な化学療法剤(例えば、インターフェロン)、抗生物質、抗ウイルス薬、インスリンおよび関連化合物、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP-1、エクセナチド)、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン(例えば、IFGおよび他の成長因子)、発作抑制剤(例えば、Furosimide)、抗片頭痛医薬品(スマトリプタン)、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン)および抗寄生虫剤、例えば様々な抗マラリア剤が挙げられる。患者の体重、年齢または他のパラメータについて特定の薬物の投薬量を調整することができる。また、所望の効果または治療効果を達成するための薬物101(例えば、血糖調節のためのインスリン、発作抑制のためのフロシミド(Furosimide))は、該薬物(例えば、胃で消化され小腸壁を通して吸収される嚥下可能なピル)が従来の経口送達によって送達された場合に必要とされる量未満であり得る。これは、胃内の酸および他の消化液によって薬物が分解されないこと、および薬物のほんの一部分のみとは対照的に、すべてが小腸(または胃腸管の他の管腔、例えば大腸、胃など)の壁内に送達されることに起因する。薬物101に応じて、製剤100で送達される用量102は、所望の治療効果(例えば、血糖調節、発作調節など)を達成するために従来の経口送達手段によって送達される用量の100から5%の範囲であり得るが、よりいっそう少ない量も企図される。特定の薬物、処置すべき状態ならびに患者の体重、年齢および状態に基づいて、特定の用量低減を用量調整することができる。(腸管内での分解レベルが分かっている)一部の薬物については、標準的用量低減を用いることができる(例えば、10から20%)。より分解されやすく、かつ吸収不良である薬物については、より大量の用量低減を用いることができる。かくして、摂取用量が低下するので、デバイス10によって送達される特定の薬物(単数または複数)の潜在的毒性および他の副作用(例えば、胃痙攣、過敏性腸、出血など)を低減させることができる。そしてまた、これは、患者の重症度と副作用発生率の両方が低減するので、患者コンプライアンスを向上させる。薬物101の用量低減を利用する実施形態のさらなる恩恵としては、患者がその薬物に対する耐性を発現する(より高い用量を必要とする)尤度低減および、抗生物質の場合には、患者が耐性菌株を発生させる尤度の低減が挙げられる。また、小腸のセクション(複数)が除去されたかまたはその動作(例えば、消化)長が有効に短縮された、胃バイパス術および他の手技を受けている患者については、他の用量低減レベルを達成することができる。
【0081】
単一薬物の送達に加えて、嚥下可能な薬物送達デバイス10およびそれらの使用方法の実施形態を用いて、多数の状態の処置または特定の状態の処置のための複数の薬物(例えば、HIV AIDS処置のためのプロテアーゼ阻害剤)を送達することができる。使用すると、かかる実施形態により、患者は、特定の状態(単数または複数)のために多数の医薬品を摂取しなければならない必要性をなしで済ませることができる。また、それらの実施形態は、2種のまたは2種より多い薬物のレジメンが小腸内に、そしてしたがってほぼ同時に血流内に送達され、吸収されることを助長するための手段を提供する。化学組成、分子量などが異なるため、薬物は、腸壁を通して異なる速度で吸収されるはずであり、その結果、異なる薬物動態分布曲線が生ずる。本発明の実施形態は、実質的に同時に所望の薬物混合物を注射することによりこの論点に対処する。そしてまた、このことが薬物動態を向上させ、およびしたがって、選択された薬物混合物の効力を向上させる。加えて、多数の薬物を摂取する必要をなくすことは、認知または身体能力障害を有する者を含めて、1つまたは複数の長期慢性状態を有する患者にとって特に有益である。
【0082】
様々な用途において、上記方法の実施形態を用いて、薬物および治療剤101を含む製剤100を送達して、多数の医学的状態および疾患を処置することができる。本発明の実施形態で処置することができる医学的状態および疾患としては、限定ではないが、癌、ホルモン状態(例えば、甲状腺機能低下/亢進、成長ホルモン状態)、骨粗鬆症、高血圧、高コレステロールおよびトリグリセリド、糖尿病および他のグルコース調節障害、感染(局所または敗血症)、癲癇および他の発作性疾患、骨粗鬆症、冠不整脈(動脈性および静脈性両方)、冠動脈虚血、貧血または他の類似の状態を挙げることができる。さらに他の状態および疾患も企図される。
【0083】
多くの実施形態において、薬物または他の治療剤の注射(または他の非経口送達形態、例えば坐剤)の必要は無いものの、その代り、小腸壁またはGI管の他の部分の壁内に送達される治療剤(単数または複数)のみに依存して、特定の疾患または状態の処置を行うことができる。例えば、患者がインスリンを注射する必要が全くなく、小腸壁内に送達されるインスリンの使用のみによって(例えば、血糖値を管理することにより)糖尿病または別のグルコース調節障害を処置することができる。類似して、患者は、従来の経口形態の薬物または他の治療剤を摂取する必要がなく、重ねて、嚥下可能なカプセルの実施形態を用いる小腸壁内への送達にしか依存しない。他の実施形態では、小腸壁内に送達される治療剤(単数または複数)を注射用量の該剤(単数または複数)と共に送達することができる。例えば、患者は、嚥下可能なカプセルの実施形態を用いて日用量のインスリンまたは血糖調節用化合物を摂取することができるが、ただ数日ごとにまたは患者の状態(例えば、高血糖)が必要とするときに注射用量を摂取する必要があるだけである。経口形態で旧来送達されている治療剤についても同じことが言える(例えば、患者は、前記嚥下可能なカプセルを摂取することができ、そして必要に応じて従来の経口形態の剤を摂取することができる)。かかる実施形態で送達される投薬量(例えば、嚥下され、注射される用量)を必要に応じて調整することができる(例えば、標準用量応答曲線および他の薬物動態法を用いて適切な投薬量を決定することができる)。また、従来の経口手段によって送達することができる治療剤を使用する実施形態については、嚥下可能なカプセルの実施形態を使用して送達される用量は、胃内でまたは腸管の他の部分の中でその剤の分解が殆どまたは全くないので、その剤の経口送達のために通常施される投薬量より下に調整することができる(この場合もまた、標準用量応答曲線および他の薬物動態法を適用することができる)。
【0084】
ここで、様々な疾患および状態の処置のために1種もしくは複数種の薬物または他の治療剤101を含有する製剤100の実施形態の様々な群を投薬量に関して説明する。特定の治療剤およびそれぞれの投薬量を含めてこれらの実施形態が例示的なものであること、および製剤100が、デバイス10の様々な実施形態を用いて腸管における管腔壁(例えば、小腸壁)内への送達用に構成される、本明細書に記載する多数の他の治療剤(ならびに当該技術分野において公知のもの)を含み得ることは、理解されるはずである。前記投薬量は、本明細書に記載する投薬量より多くても、少なくてもよく、そして、本明細書に記載するかまたは当該技術分野において公知の1つまたは複数の方法を用いて前記投薬量を調整することができる。実施形態の1つの群において、治療剤製剤100は、糖尿病および他のグルコース調節障害の処置のための治療有効用量のインスリンを含むことができる。前記インスリンは、ヒト由来であってもよく、当該技術分野において公知であるように合成により誘導されてもよい。1つの実施形態において、製剤100は、2~4、3~9、4~9、5~8または6~7の特定の範囲を伴う、約1~10単位(1単位は約45.5μgの純粋な結晶性インスリンの生物学的等価量である)の範囲の治療有効量のインスリンを含有し得る。前記製剤中のインスリンの量を次の因子(本明細書では、「グルコース管理用量調整因子」)のうちの1つまたは複数に基づいて用量調整することができる:i)患者の状態(例えば、1型対II型糖尿病);ii)患者の以前の総合的血糖管理レベル;iii)患者の体重;iv)患者の年齢;v)投薬頻度(例えば、1日1回対多数回);vi)時間帯(例えば、朝対夕方);vii)特定の食事(朝食対夕食);viii)特定の食事の内容/グリセミック指数(例えば、(血糖の急上昇を生じさせる傾向があり、それゆえに、より高いグリセミック指数を有する)高脂肪/脂質および糖分対その傾向がない(それゆえに、より低いグリセミック係数を有する)低脂肪および糖分を有する食事);ならびにix)患者の全食事内容(例えば、1日に消費される糖および他の炭水化物、脂質およびタンパク質の量)。
【0085】
実施形態のもう1つの群において、治療剤製剤100は、糖尿病および他のグルコース調節障害の処置のための治療有効用量の1つまたは複数のインクレチンを含むことができる。かかるインクレチンとしては、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)およびそれらの類似体、ならびに胃抑制ペプチド(GIP)を挙げることができる。好適なGLP-1類似体としては、エクセナチド、リラグルチド、アルビグルチドおよびタスポグルチドならびにそれらの類似体、誘導体および他の機能的等価物が挙げられる。1つの実施形態において、製剤100は、約1~10μgの範囲(2~4μg、4~6μg、4~8μgおよび8~10μgの特定の範囲をそれぞれ伴う)の治療有効量のエクセナチドを含有し得る。もう1つの実施形態において、製剤100は、約1~2mg(ミリグラム)の範囲(1.0から1.4mg、1.2から1.6mgおよび1.2から1.8mgの特定の範囲をそれぞれ伴う)の治療有効量のリラグルチドを含有し得る。前記グルコース管理用量調整因子のうちの1つまたは複数を利用して、エクセナチド、リラグルチドまたは他のGLP-1類似体もしくはインクレチンの用量範囲を調整することができる。
【0086】
実施形態のさらにもう1つの群において、治療剤製剤100は、糖尿病および他のグルコース調節障害の処置のための治療剤の組み合わせを含むことができる。かかる組み合わせの実施形態は、治療有効用量のインクレチンおよびビグアニド化合物を含むことができる。前記インクレチンは、本明細書に記載する1つまたは複数のGLP-1類似体、例えばエクセナチドを含むことができ、および前記ビグアニドは、メトホルミン(例えば、Merck Sante S.A.S.により製造されたGLUCOPHAGEの商標で入手できる)ならびにその類似体、誘導体および他の機能性等価物を含むことができる。1つの実施形態において、製剤100は、約1~10μgの範囲の治療有効量のエクセナチド、および約1から3グラムの範囲の治療有効量のメトホルミンの組み合わせを含むことができる。より少ない範囲およびより多い範囲も企図され、前記グルコース管理用量調整因子のうちの1つまたは複数を用いてエクセナチド(または他のインクレチン)およびメトホルミンまたは他のビグアニドのそれぞれの用量を調整する。加えて、数時間(例えば12)から1日そして何日にも及ぶ長期間(なお、さらに長い期間も企図される)にわたっての患者のグルコース管理レベル向上(例えば、正常生理レベル内での血糖の維持ならびに/または高血糖および/もしくは低血糖の事例の発生率および重症度の低減)にエクセナチドまたは他のインクレチンおよびメトホルミンまたは他のビグアニドの投薬量をマッチさせることができる。投薬量のマッチングは、前記グルコース管理調節因子の使用はもちろん、グリコシル化ヘモグロビン(ヘモグロビンA1c、HbA1c、A1cまたはHb1cとして公知)ならびに長期平均血糖値に相関する他の分析物および測定値を用いて長期間にわたって患者の血糖値をモニターすることによっても達成することができる。
【0087】
実施形態のなおさらなるもう1つの群において、治療剤製剤100は、1つまたは複数の成長障害ばかりでなく創傷治癒の処置のための治療有効用量の成長ホルモンを含むことができる。1つの実施形態において、製剤100は、約0.1~4mgの範囲(0.1~1mg、1~4mg、1~2mgおよび2~4mgの個々の範囲を伴い、さらにいっそう多い範囲も企図される)の治療有効量の成長ホルモンを含有し得る。次のうちの1つまたは複数に基づいてその特定の用量を調整することができる:i)処置すべき特定の状態およびその重症度(例えば、妨げられた成長(stunted growth)対創傷治癒);ii)患者の体重;iii)患者の年齢;およびiv)投薬頻度(例えば、1日1回対1日2回)。
【0088】
実施形態のなおさらなるもう1つの群において、治療剤製剤100は、骨粗鬆症または甲状腺障害の処置のための治療有効用量の副甲状腺ホルモンを含むことができる。1つの実施形態において、製剤100は、約1~40μgの範囲(10~20μg、20~30μg、30~40μgおよび10~40μgの個々の範囲を伴い、さらにいっそう多い範囲も企図される)の治療有効量の副甲状腺ホルモンを含有し得る。次のうちの1つまたは複数に基づいてその個々の用量を調整することができる:i)処置すべき特定の状態およびその重症度(例えば、骨密度計測によって判定されるような骨粗鬆症度);ii)患者の体重;iii)患者の年齢;およびiv)投薬頻度(例えば、1日1回対1日2回)。
【0089】
本発明の様々な実施形態の上述の説明は、例証および説明を目的として提供したものである。開示する寸分違わない形態に本発明を限定するためのものではない。多くの修飾、変形および洗練が当業者には明らかである。例えば、デバイスの実施形態を、様々な小児科および新生児利用ならびに様々な獣医学的利用のためにサイズ調整または別様に適応させることができる。また、本明細書に記載する具体的なデバイスおよび方法の非常に多くの等価物を常例的実験のみを用いて突きとめることができることは、当業者には理解される。かかる等価物は、本発明の範囲内であると見なされ、下記添付クレームによって包含される。
【0090】
1つの実施形態からの要素、特徴または行為を容易に組み換えて、または他の実施形態からの1つもしくは複数の要素、特徴または行為で置換して、本発明の範囲内で非常に多くの追加の実施形態を形成することができる。さらに、他の要素と組み合わせるように示されているかまたは記載されている要素は、様々な実施形態において、独立型要素として存在することができる。したがって、本発明の範囲は、記載した実施形態の明細に限定されず、代わりに、添付のクレームによってのみ限定される。
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図5-5】
図5-6】
図6
図7
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図9
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図10g
図10h
図10i
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
担持構造(76)と、前記担持構造(76)に取り付けられた前進構造(75)と、前記前進構造(75)に取り外し可能に結合され1つ以上の治療剤製剤(101)を含む少なくとも1つの組織貫入部材(40)とを備え、嚥下されるサイズにされかつ嚥下されるように構成されたカプセル(20)内に配置されるサイズにされた送達組立体(78)と、
前記送達組立体(78)に結合された展開エンジン(80)と、備え、
前記送達組立体(78)は、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を胃腸管の壁の組織内に貫入させ、前記前進構造(75)から取り外されるように前記送達組立体(78)を移動するように前記カプセル(20)内に配置された前記展開エンジン(80)に結合されるように構成され、
前記展開エンジン(80)は、前記展開エンジン(80)の移動によって力を前記送達組立体(78)に対して加えることにより、前記展開エンジン(80)の拡張が前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を前記胃腸管の壁の組織内に貫入させるように構成され前記展開エンジン(80)が前記胃腸管の壁から離れる動きは、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を前記前進構造(75)から切り離すために十分であり、その結果、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記胃腸管の壁の組織内に貫入し、前記前進構造(75)から取り外され、前記組織の中に留置されることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記前進構造(75)は、前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)を受けるための1つ以上の開口部(74)を備えた支持プラットホームである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記1つ以上の治療剤製剤(101)を含む治療剤製剤(100)から少なくとも部分的に形成されている、固体の組織貫入部材(40)である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
嚥下されるサイズにされかつ嚥下されるように構成された前記カプセル(20)をさらに備え、前記送達組立体(78)と前記展開エンジン(80)は、前記カプセル(20)内に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記展開エンジン(80)は、展開バルーン(30)を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記展開エンジン(80)は、拡張可能な圧電材料、スプリング、形状記憶材料、または、熱拡張性材料を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記展開エンジン(80)は、拡張可能な部材を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、生分解性材料を含み、前記生分解性材料は、分解することにより、前記1つ以上の治療剤製剤(101)を放出する、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの組織貫入部材(40)は、前記生分解性材料から実質的に形成されている部分(41)を含み、前記1つ以上の治療剤製剤(101)は、前記部分(41)内に配置されている、請求項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記担持構造(76)は、前記前進構造(75)を受けるキャビティ(76c)を規定する側壁(76s)と底壁(76b)とを有するウェル構造(76)であって、前記側壁(76s)は、拡張可能な展開部材が腸壁に対して拡張されたときに前記腸壁にぶつかって崩壊するように構成される請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記送達組立体(78)は、前記ウェル構造(76)の開口部を被覆する保護フィルム(77)をさらに含む、請求項10に記載のデバイス。