(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007493
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】硬化性ポリマー組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 65/00 20060101AFI20240110BHJP
C08G 61/02 20060101ALI20240110BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20240110BHJP
C08K 5/3447 20060101ALI20240110BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
C08L65/00
C08G61/02
C08K5/13
C08K5/3447
C08F2/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023107849
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】63/367,531
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523064398
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ネーデルラント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ティアン
(72)【発明者】
【氏名】ルイドン・ディン
(72)【発明者】
【氏名】ビジェイ・メータル
(72)【発明者】
【氏名】チャド・ライター
(72)【発明者】
【氏名】ドナ・ラッカー
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J032
【Fターム(参考)】
4J002BC09W
4J002CE001
4J002EJ006
4J002EU117
4J002EV226
4J002FD036
4J002GQ01
4J011AA05
4J011CA02
4J011PA87
4J011PC02
4J011PC08
4J032CA04
4J032CA07
4J032CB04
4J032CB11
4J032CC01
4J032CE03
(57)【要約】
【課題】標準的な加工条件下での早期架橋を最小限に抑えながら、高い硬化速度を有し、改善された電気的性質、例えば、低いDk及びDfを提供する、硬化性ポリマー組成物を与える。
【解決手段】本開示は、(i)ジイソアルケニルアレーン(DIAEA)とジビニルアレーン(DVA)のコポリマー並びに(ii)少なくとも1つのスコーチ防止剤を含む、硬化性ポリマー組成物に関する。コポリマーは、25℃、4時間未満で少なくとも10wt%の炭化水素溶媒中での溶解度;50~300℃のガラス転移温度(Tg);及び5wt%未満である、ゲル含有率、を有する。硬化性ポリマー組成物は、炭化水素溶媒中で90%より大きいゲル含量率、並びに低いDk及びDf値を有する硬化ポリマー組成物を得るために140℃より高い温度で硬化される。硬化性ポリマー組成物は、加工、保管等などのステップにおいて、架橋しないか、又は最小限の早期架橋を有し、銅クラッド積層板用途において使用され得る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ポリマー組成物であって、
(i)ジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのコポリマーであって、
1:15~15:1のジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのモル比、
明細書に記述の溶解度試験によって測定した、25℃、4時間未満で少なくとも10wt%の炭化水素溶媒中での溶解度、
ASTM D3418により測定した50℃~300℃のガラス転移温度(Tg)、
明細書に記述のゲル含有率試験により測定した、コポリマーの全重量に対して5wt%未満のゲル含有率、
を有するジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンのコポリマー、及び
(ii)硬化性ポリマー組成物の全重量に対して0.001~10wt%のスコーチ防止剤であって、スチレン、α-メチルスチレンモノマー、α-メチルスチレンダイマー、α-メチルスチレンオリゴマー、ヒンダードフェノール化合物、非ヒンダードフェノール化合物、ベンゾイミダゾール、及びこれらの混合物を含む群から選択されるスコーチ防止剤
を含み、
トルエン中72.5wt%の濃度の前記硬化性ポリマー組成物が、40℃で1日間保存した後、ブルックフィールド粘度計により25℃で測定して、前記スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の溶液粘度より少なくとも20%低い溶液粘度を有する、
硬化性ポリマー組成物。
【請求項2】
10:1~1:10のジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのモル比を有する、請求項1に記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項3】
前記コポリマーが、25℃、4時間未満の炭化水素溶媒中で10~75wt%の溶解度を有する、請求項1に記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記コポリマーが、0.05~5wt%のゲル含有率を有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記コポリマーが、100℃~250℃のガラス転移温度を有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の溶液粘度より、少なくとも30%低い溶液粘度を有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項7】
120℃で5分間乾燥させた前記硬化性ポリマー組成物の膜で測定した、125℃より大きいゲル化点、及び
35℃で5分間乾燥させた前記硬化性ポリマー組成物の膜で測定した、140℃より大きいゲル化点
の少なくとも1つを有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項8】
120℃で5分間乾燥させた前記硬化性ポリマー組成物の膜で測定して、前記スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物のゲル化点より少なくとも10%高いゲル化点を有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項9】
前記ジイソアルケニルアレーンが、1,3-ジイソプロペニルベンゼン、1,2-ジイソプロペニルベンゼン、1,4-ジイソプロペニルベンゼン、3,4-ジシクロヘキシル-1,2-ジイソプロペニル-ベンゼン、5-(3-メチル-シクロペンチル)-1,3-ジイソプロペニルベンゼン、3-シクロペンチル-メチル-6-n-プロピル-1,4-ジイソプロペニルベンゼン、4-(2-シクロ-ブチル-1-エチル)-1,2-ジイソプロペニルベンゼン、3-(2-n-プロピルシクロプロピル)-1,4-ジイソプロペニルベンゼン、2-メチル-5-n-ヘキシル-1,3-ジイソプロペニルベンゼン、4-メチル-1,2-ジイソプロペニル-ベンゼン、5-エチル-1,3-ジイソプロペニルベンゼン、3-メチル-1,4-ジイソプロペニルベンゼン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
前記ジビニルアレーンが、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される、
請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項10】
前記コポリマーが、1~10kg/molの数平均分子量(Mn)、3~70kg/molの重量平均分子量(Mw)、及び2~20の多分散性指数を有する、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項11】
前記硬化性ポリマー組成物の全重量に対して、0.010~5wt%の前記スコーチ防止剤を含む、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物。
【請求項12】
請求項1~3のいずれかに記載の硬化性ポリマー組成物を140℃より高い温度で硬化することによって得られる硬化ポリマー組成物であって、
明細書に記載のゲル含有率試験によって測定される、90%より大きいゲル含量率、及び、
いずれもASTM D2520により10GHzで測定される、2.7未満の誘電定数(Dk)及び0.006未満の誘電正接(Df)
を有することを特徴とする、硬化ポリマー組成物。
【請求項13】
前記硬化性ポリマー組成物が、前記スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の硬化温度より少なくとも30℃高い温度で硬化される、請求項12に記載の硬化ポリマー組成物。
【請求項14】
30%未満の膨潤含有率;及び
95%より大きいゲル含有率
の少なくとも1つを有する、請求項12又は13のいずれかに記載の硬化ポリマー組成物。
【請求項15】
いずれもASTM D2520により10GHzで測定した、<2.6である誘電定数(Dk)及び<0.005である誘電正接(Df)を有する、請求項12又は13のいずれかに記載の硬化ポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は硬化性ポリマー組成物、それらの調製方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
電子産業は、様々な最終用途向け小型電子機器の開発に関心を持っている。こうした小型化されたデバイスは大容量の情報を扱い、高周波で高速の信号伝送を有する必要がある。小型化されたデバイスの非常に重要な部品の1つは、単一又は複数の誘電体層/積層物を有する回路材料である。基板の製造に使用するのに好ましい誘電体層は、低い誘電定数(Dk)、低い誘電正接(Df)、低減された熱膨張係数(CTE)などを特徴とする。
【0003】
Dk及びDfが低いポリマーは、誘電体層用途で使用するのに好適であるために、例えば機械的性質、溶媒中での溶解度、流動性などの他の性質のバランスを有する必要がある。架橋ポリマーを含有する組成物は、所望の性質を改善するのに貢献することができる。それにもかかわらず、組成物中のある特定のポリマーは非常に反応性であり、輸送中、保管中、又は組成物の加工時にそれらの反応性を制御するのは困難である。組成物中のポリマーの反応性を制御するため、特に早期架橋を回避するための、スコーチ防止剤又はラジカルスカベンジャーは、当該技術分野で公知である。しかし、こうした添加剤は、ポリマーの早期架橋を低減する/停止するのには効果的でないか、又はDk及びDfにマイナスの影響を及ぼす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、標準的な加工条件下での早期架橋を最小限に抑えながら、高い硬化速度を有し、改善された電気的性質、例えば、低いDk及びDfを提供する、硬化性ポリマー組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(要旨)
一態様では、本開示は、(i)ジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのコポリマー並びに(ii)0.001~10wt%のスコーチ防止剤を含む、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる硬化性組成物に関する。コポリマーは、1:15~15:1のジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのモル比;明細書に記述の溶解度試験によって測定した、25℃、4時間未満で少なくとも10wt%の炭化水素溶媒中での溶解度;ASTM D3418により測定した50℃~300℃のガラス転移温度(Tg);及び明細書に記述のゲル含有率試験により測定した、コポリマーの全重量に対して5wt%未満の、ゲル含有率、を有する。スコーチ防止剤は、スチレン、α-メチルスチレンモノマー、α-メチルスチレンダイマー、α-メチルスチレンオリゴマー、ヒンダードフェノール化合物、非ヒンダードフェノール化合物、ベンゾイミダゾール、及びこれらの混合物を含む群から選択される。トルエン中72.5wt%の濃度の硬化性ポリマー組成物は、40℃で1日間保存した後、ブルックフィールド粘度計により25℃で測定して、スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の溶液粘度より少なくとも20%低い溶液粘度を有する。
【0006】
第2の態様では、硬化性ポリマー組成物は、10:1~1:10である、ジイソアルケニルアレーンとジビニルアレーンとのモル比を有する。
【0007】
第3の態様では、コポリマーは、炭化水素溶媒中、25℃、4時間未満の10~75wt%の溶解度を有する。
【0008】
第4の態様では、コポリマーは、0.05~5wt%であるゲル含有率を有する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
明細書全体を通して、以下の用語が使用される。
【0010】
「[A、B、及びCなどの群]の少なくとも1つ」若しくは「[A、B、及びCなどの群]のいずれか」、又は「[A、B、及びC]から選択され、及びこれらの組み合わせ」は、群からの単一のメンバー、群からの1を超えるメンバー、又は群からのメンバーの組み合わせを意味する。例えば、A、B、及びCの少なくとも1つは、例えば、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、並びにA及びB、A及びC、B及びC;又はA、B、及びC、若しくはA、B、及びCの任意の他の全ての組み合わせを含む。
【0011】
「スコーチ」とは、ポリマー/組成物の保管、加工、輸送などの過程において、熱又は光の影響のために、ポリマー/組成物が早期架橋をして加工能力を失う現象を指す。早期架橋は、正常な加工条件においてポリマー/組成物を硬化する前の架橋である。
【0012】
「スコーチ防止剤」とは、加工、輸送、保管、又はこれに類するものの間に、フリーラジカルとの反応によりポリマー/組成物に早期に生成したラジカルを、不活性化/停止させるための添加剤を指す。
【0013】
「硬化」又は「架橋」は互換的に使用され、1つのポリマー鎖を別のものに連結するか、又は同じポリマー鎖内の重合した1つの繰り返し単位を別のものに連結し、それによって材料の性質を変更する共有結合の形成を指す。
【0014】
「分子量」又はMwは、ポリマーブロック若しくはブロックコポリマー、又はコポリマーの、g/モル又はkg/molでの、ポリスチレンと等価な分子量を指す。Mwは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン校正標準を使用して測定することができ、ASTM 5296-19などにより行われる。GPC検出器は、紫外線検出器若しくは屈折率検出器、又はこれらの組み合わせであり得る。クロマトグラフは、市販のポリスチレン分子量標準物質を使用して校正される。そのように校正されたGPCを使用して測定されたポリマーのMwは、ポリスチレン等価分子量又は見かけの分子量である。本明細書で表されるMwは、GPCトレースのピークで測定され、ポリスチレン等価「ピーク分子量」と一般に呼ばれ、Mpとして示される。
【0015】
「実質的にゲルのない」とは、炭化水素溶媒、例えば、トルエン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン(MEK)、キシレンなどに不溶な固形物を、<10、又は<8、又は<5、又は<3、又は<2、又は<1wt%含有するポリマーを指す。
【0016】
「ゲル含有率」とは、硬化ポリマー組成物(炭化水素溶媒に浸漬する前)のパーセントとしての、トルエン中の硬化ポリマー組成物の不溶性含有量を指す。実施形態では、ゲル含有率は、>90wt%(<10wt%がトルエン抽出可能)、又は>95wt%(<5wt%がトルエン抽出可能)、又は>98wt%(<2wt%がトルエン抽出可能)である。
【0017】
「ゲル含有率試験」とは、重量G1を有する硬化ポリマー組成物の試料を、20倍体積のトルエン中に室温で4時間入れることによるゲル含有率の測定を指す。次いでトルエン中の内容物をろ過し、硬化ポリマー組成物の固形部分を回収し、次いで乾燥して完全に溶媒を除去し、秤量して不溶性含有量G2を与える。ゲル含有率は、(G2/G1)として計算される。実施形態では、ゲル含有率は、硬化ポリマー組成物の試料を90℃で9時間浸漬し、続いて固形部分をろ過、乾燥、及び重量を記録することによっても測定することできる。
【0018】
「溶解度試験」とは、ポリマー/コポリマー試料を約10倍体積の炭化水素溶媒、例えば、トルエン中に入れ、よく振り、室温で4時間まで放置することによる溶解度の測定を指す。その後、目視観測によって、溶媒中でポリマー/コポリマーが完全に又は部分的に溶解したかどうかを検討する。内容物をデカント又はろ過し、乾燥後に、残りのポリマー/コポリマーの重量を測定し、溶解したポリマー/コポリマーの重量を計算する。
【0019】
「膨潤含有率」とは、完全に飽和するまでトルエンに浸漬した後の、すなわち、ある期間の後に試料重量は同じままで、もはやトルエンを吸収しない硬化ポリマー組成物の重量(W2)と、浸漬前の硬化性ポリマー組成物の重量(W1)との重量差(W%)を指し、W%=(W2-W1)/W1×100として計算される。
【0020】
Dfは「誘電正接」又は「損失正接」(Df)を示し、散逸系における電気エネルギーの損失率の尺度である。
【0021】
Dkは誘電定数又は誘電率を示す。
【0022】
本開示は、(i)ジイソアルケニルアレーン(DIAEA)とジビニルアレーン(DVA)のコポリマー(DIAEA-DVAコポリマー)並びに(ii)少なくとも1種のスコーチ防止剤を含有する、硬化性ポリマー組成物に関する。硬化性ポリマー組成物は、加工、保管、輸送等などのステップにおいて、意図した硬化ステップの前に、架橋しないか、又は最小限の架橋(早期架橋)を有する。硬化性ポリマー組成物は、硬化した時に改善された電気的性質、例えば、Dk及びDfを提供する。
【0023】
(DIAEA-DVAコポリマー)
このコポリマーは、米国特許出願公開第2022/0195109号に開示され、教示されている。DIAEA-DVAコポリマーは、DIAEAモノマー及びDVAモノマーから、ルイス酸触媒又はブレンステッド酸触媒の存在下のカチオン重合によって得ることができる。実施形態では、共重合したDIAEAモノマーは、以下に構造を示す繰り返し単位(A)、(B)、(C)、及び(D)[式中、R1はH又はC1~C8アルキル基である]の少なくとも1つを含む。DIAEA-DVAコポリマーは、共重合したDIAEAモノマー及びDVAモノマーの任意の順序の繰り返し単位を有することができる。
【0024】
【0025】
DIAEA-DVAコポリマーは、以下に示す構造を有する(E)、(F)、(G)、及び(H)から選択される、少なくとも1つの末端基を有することができる。
【0026】
【0027】
コポリマーを生成するためのDIAEAモノマーの非限定的な例としては、(I)1,3-ジイソアルケニルアレーン、(II)1,4-ジイソアルケニルアレーン[式中、R1はメチル、エチル、イソプロピル、又はn-ブチルである]の構造を有する化合物、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
【0029】
実施形態では、DIAEAは、ジイソプロペニルベンゼン(DIPEB)、及びコポリマーを生成するためのそれらの置換変異体から選択される。DIPEBの例としては、限定されるものではないが、1,3-ジイソプロペニルベンゼン;1,2-ジイソプロペニルベンゼン;1,4-ジイソプロペニルベンゼン;3,4-ジシクロヘキシル-1,2-ジイソプロペニル-ベンゼン;5-(3-メチル-シクロペンチル)-1,3-ジイソプロペニルベンゼン;3-シクロペンチル-メチル-6-n-プロピル-1,4-ジイソプロペニルベンゼン;4-(2-シクロブチル-1-エチル)-1,2-ジイソプロペニルベンゼン;3-(2-n-プロピルシクロプロピル)-1,4-ジイソプロペニルベンゼン;2-メチル-5-n-ヘキシル-1,3-ジイソプロペニルベンゼン;4-メチル-1,2-ジイソプロペニル-ベンゼン;5-エチル-1,3-ジイソプロペニルベンゼン;3-メチル-1,4-ジイソプロペニルベンゼン;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
実施形態では、DVAは、ジビニルベンゼン(DVB)、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。DVBとしては、オルト-ジビニルベンゼン、パラ-ジビニルベンゼン、メタ-ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0031】
実施形態では、コポリマーは、(i)シクロジエン又はそのダイマー、(ii)シクロジエンと非環式ジエンの付加物、(iii)2つ以上のアリル基を有するアリル化合物、(iv)2つ以上のビニル基を有するDVA以外のビニル化合物、及びこれらの任意の組み合わせ又はサブ組み合わせを含む、別の重合性モノマーから誘導される繰り返し単位をさらに含む。
【0032】
他の重合性モノマーの例としては、1,3-シクロヘキサジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,3-シクロペンタジエン、アルキルシクロペンタジエン、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルキシレン、トリビニルシクロヘキサン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルトリイソプロペンオキシシラン、メトキシトリビニルシラン、テトラビニルシラン、ジエトキシジビニルシラン、2,4,6,8-テトラビニル-2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、及び2,4,6,8,10-ペンタメチル-2,4,6,8,10-ペンタビニルシクロペンタシロキサン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、ランダムコポリマー、又はブロックコポリマーのいずれかである。代わりに、コポリマーは、DVAで末端キャップされたDIAEAのホモポリマーを含有して、DVA末端キャップポリDIAEAを得ることができる。
【0034】
コポリマーは、構造(E)、(F)、(G)、及び(H)から選択される少なくとも1つの反応性末端基を有することができ、当該技術分野で公知の方法を使用して、イソシアネート、環状無水物、カルボン酸、カルボン酸エステル、又はエポキシ基などの様々な官能基で好適に官能化することができる。
【0035】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、15:1~1:15、又は12:1~1:12、又は10:1~1:10、又は8:1~1:8、又は5:1~1:5、又は4:1~1:4、又は3:1~1:3、又は2:1~1:2、又は1:1である、DIAEAとDVAのモル比を有する。
【0036】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、1~10、1.5~8、又は2~10、又は1~5、又は>1、又は<10kg/molの数平均分子量(Mn);3~70、又は5~60、又は7~55、又は10~50kg/molの重量平均分子量(Mw);及び2~20、3~15、又は2~10、又は5~15の多分散性指数(PDI)を有する。
【0037】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、固形物形態で、又は溶液の全重量に対して20~75wt%、又は30~75wt%、又は>20wt%、又は<75wt%の濃度の炭化水素溶媒中の溶液として存在する。
【0038】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、ガラス繊維の量を除いて、硬化性ポリマー組成物の全重量に対して、90~99.999、又は90~99.995、又は90~99.99、又は99~99.95、又は95~99.999、又は95~99.995、又は95~99.99、又は95~99.95wt%の量で、DIAEA-DVAコポリマーを含む。
【0039】
(DIAEA-DVAコポリマーの調製方法)
DIAEA-DVAコポリマーは、当該技術分野において公知であり、米国特許出願公開第2022/0195109号に開示及び教示されている方法によって調製することができる。実施形態では、コポリマーは、触媒、例えば、ブレンステッド酸、又はルイス酸の存在下の好適な溶媒中でのカチオン性条件下で、DIAEAとDVAの重合により調製される。モノマー/コモノマーの添加は、好適な温度で十分な時間行うことができ、全てのモノマー/コモノマーが本質的に消滅するまで、又は代わりに、反応混合物の分析が十分な分子量のコポリマーが形成されたことを示すまで、重合を続けた。反応の最後に、反応混合物を水で急冷し、続いて有機溶媒層を分離し、溶媒を除去することによって、コポリマーを単離することができる。微量の有機物は、高真空下で生成物から除去することができる。
【0040】
(スコーチ防止剤)
スコーチ防止剤は、目標とする硬化ステップの前の、コポリマー中のビニル基の早期架橋を防ぐ。スコーチ防止剤は、所望のより高い温度で硬化が起こるようにすることができる。スコーチ防止剤の有効性は、スコーチ遅延の時間、架橋が始まる温度、及びコポリマーの硬化程度に及ぼす影響によって確認することができる。
【0041】
実施形態では、スコーチ防止剤は、スチレン、α-メチルスチレンモノマー(AMSM)、α-メチルスチレンダイマー(AMSD)、α-メチルスチレンオリゴマー(AMSO)、少なくとも1つのフェノール性OH基のオルト位が、アルキル基、フェニル基、又はこれに類するものによって置換されたヒンダードフェノール化合物、非ヒンダードフェノール化合物、アミン化合物、チオ尿素化合物、ベンゾイミダゾール、これらの混合物及び誘導体を含む群から選択される。α-メチルスチレン誘導体は、各環に位置する1つ以上の官能基を有することができ、全て同じであっても異なっていてもよい。
【0042】
実施形態では、α-メチルスチレンダイマーは、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、2,4-ジフェニル-4-メチル-2-ペンテン、1,2-トリメチル-3-フェニルインダン、シス-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルシクロブテン、トランス-1,3-ジメチル-1,3-ジフェニルシクロブテン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0043】
実施形態では、α-メチルスチレン誘導体は、式(J):
【0044】
【化4】
[式中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、水素、-CH(O)、-CN、イソシアナト、チオイソシアナト、SO
3H並びにその塩及びエステル、NR
8R
9、シラン、ハロゲン、C(O)OR
10、-C(O)NR
11R
12、-CR
13(O)、-C(O)OC(O)R
14、-C(O)NR
15COR
16、-OC(O)R
17、-OR
18、置換及び非置換アルキル、置換及び非置換アルケニル、置換及び非置換アルキニル、並びに置換及び非置換アリールからなる群からそれぞれ独立して選択され;R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、及びR
17は、H、アルキル、アリール、置換アルキル又は置換アリールの群からそれぞれ独立して選択され;R
18は、アルキル、アリール、置換アルキル又は置換アリールの群から選択され;R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、及びR
7は、全てが同時に水素ではあり得ない]を有する。アルキル及び置換アルキルは、1~12個の炭素からなる鎖を有することができる。さらに、置換アルキル又は置換アリール上に位置する置換基は、フリーラジカル重合を実質的に妨害する恐れのある官能基を含まないことも好ましい。
【0045】
実施形態では、スコーチ防止剤は、ヘテロ原子又は極性基のない炭化水素に基づいている。
【0046】
スコーチ防止剤の例としては、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール、2,2’-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)、4,4’-チオ-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス-(2’,6’-ジ-t-ブチル-p-クレシル)ベンゼン、4,4’-ブチリデン-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル(TEMPO)、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)セバケート(ビス-TEMPO)、4-アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル(AOTEMPO)、1,1-ジフェニルエチレン(DPE)、4-メタクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-シンナモイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルアクリレート、1-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イルアクリレート、2,5-ジ-tert-アミル-ヒドロキノン、イソトリデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロプリオネート、C-13~C-15アルコールエステル、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ポリ(オキシアルキレン)鎖置換3-アリールベンゾフラノン、ポリ(カプロラクトン)鎖置換3-アリールベンゾフラノン、メトキシアリルフェニルアリルエーテル(MAPAE)、マレイン酸ジブチル、アリルマロン酸エステル、様々なモノアリル化合物、ノニルマレイン酸エステル、フマル酸ジエチル、4-ヒドロキシスチレン、4-ビニルアニリン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、スチルベネキノン、アルキル化ジフェニルアミン、キノンイミン、ヒンダードフェノール、ビスフェノール、チオビスフェノール、置換ヒドロキノン、トリス(アルキルフェニル)ホスファイト、ジアルキルチオジプロピオネート、フェニルナフチルアミン、置換ジフェニルアミン、ジアルキル、アルキルアリール、及びジアリール置換p-フェニレンジアミン、モノマー性及びポリマー性ジヒドロキノリン、2-(4-ヒドロキシ-3,5-t-ブチルアニリン)-4,6-ビス(オクチルチオ)1,3,5-トリアジン、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニル-s-トリアジン、2,4,6-トリス(n-1,4-ジメチルペンチルフェニレン-ジアミノ)-1,3,5-トリアジン、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、2-メルカプトトリルイミダゾール、及びその亜鉛塩、石油ろう、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロ-シンナメート)]メタン、ビス[(β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-メチルカルボキシエチル)]スルフィド、4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、チオジエチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ)ヒドロシンナメート、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジ-tert-ブチルフェニル-ホスホナイト、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、及びジステアリルチオジプロピオネートなどのチオ化合物、シロキサン、重合化2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、n,n’-ビス(1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン)、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、混合ジ-アリール-p-フェニレンジアミン、2,2’-オキサミドビス-(エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-オキサミドビス-(エチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-イソプロピリデン-ジフェノール、フェニル-β-ナフチルアミン、フェニル-α-ナフチルアミン、ジフェニル-p-フェニレンジアミン、1,3-ビス-(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
実施形態では、スコーチ防止剤は、ジメチルジチオカルバミン酸ビスマス、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウム、ジエチルジチオカルバミン酸カドミウム、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジアミルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸鉛、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属塩である。
【0048】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、単一のスコーチ防止剤又は2種以上のスコーチ防止剤の混合物を含有する。スコーチ防止剤の混合物は、α-メチルスチレンダイマーに基づく、及び/又はヘテロ原子若しくは極性基のない炭化水素に基づく、少なくとも1種のスコーチ防止剤を有することができる。
【0049】
実施形態では、スコーチ防止剤は、ガラス繊維の量を除いて、硬化性ポリマー組成物の全重量に対して、0.001~10、又は0.005~10、又は0.010~10、又は0.050~10、又は0.001~5、又は0.005~5、又は0.010~5、又は0.050~5wt%の量で、硬化性ポリマー組成物に添加される。
【0050】
(任意成分)
硬化性ポリマー組成物は、開始剤、活性剤、硬化剤、安定剤、中和剤、増粘剤、融合助剤、酸化防止剤、オゾン分解防止剤、変色pH指示薬、可塑剤、粘着付与剤、膜形成添加剤、染料、顔料、架橋剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、触媒、充てん剤、他のポリマー、繊維、難燃剤、粘度調整剤、湿潤剤、脱気器、強化剤、接着促進剤、着色剤、熱安定剤、潤滑剤、流動調整剤、滴抑制剤、帯電防止剤、加工助剤、促進剤、耐水剤、防水剤、熱伝導性付与剤、電磁波シールド性付与剤、蛍光剤、ラジカルスカベンジャー、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一種の添加剤をさらに含む。
【0051】
促進剤の非限定的な例としては、ジベンゾチアゾール、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(DCBS)、チオカルバミルスルフェンアミド、2-(4-モルホリノチオ)-ベンゾチアゾール(MBS)、N-オキシジエチレンチオカルバミル-N-オキシジエチスルホンアミド(OTOS)、2-メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2-2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルホンアミド(TBBS)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、4,4’-ジチオジモルホリン(DTDM)、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、チオ尿素、ザンテート、チオホスフェート、2-メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(ZMBT)、2-(4-モルフォリノジチオ)ベンゾチアゾール(MDB)、ジエチルチオカルバモイル-2-メルカプトベンゾチアゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、ヒドロペルオキシド、液体ペルオキシジカーボネート、ジアルキルペルオキシド、ジペルオキシケタール、モノペルオキシカーボネート、環状ケトンペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、t-ブチルクミルペルオキシド、オルガノスルホニル過酸化物、1,3-ビス-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチル-3-ヘキシン、ジ-t-ブチルペルオキシド、α,α-ジ[(t-ブチルペルオキシ)-イソプロピル]ベンゼン、ジ-t-アミルペルオキシド、1,3,5-トリ-[(t-ブチルペルオキシ)イソプロピル]ベンゼン、ペルオキシ酸エステル、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル4,4-ジ(t-ブチルペルオキシ)バレレート、エチル3,3-ジ(t-ブチルペルオキシ)ブチレート、エチル3,3-ジ(t-アミルぺルオキシ)ブチレート、2,2-ジ(t-アミルペルオキシ)プロパン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-n-ブチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-エトキシカルボニルメチル-1,2,4,5-テトラオキサシクロノナン、及びこれらの混合物から選択される熱開始剤又は放射線開始剤をさらに含む。
【0053】
実施形態では、添加剤は、硬化性ポリマー組成物の全重量に対して、0.1~10、又は0.5~8、又は0.1~5の量で使用される。
【0054】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、DIAEA-DVAコポリマー以外のポリマーをさらに含む。こうした他のポリマーの例としては、1,2-ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブタジエン-ポリイソプレンコポリマー、ポリブタジエン-ポリスチレン-ポリジビニル-ベンゼンターポリマー、ポリフェニレンエーテル、硬化性環状オレフィン又はそれらのコポリマー、ポリアクリレート、ポリジシクロペンタジエン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、ブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルイミド(PEI)、マレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ベンゾキサジン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、ポリスルホン、ポリエステルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、天然ゴム(NR)、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及びEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、合成ポリイソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、ポリブタジエンゴム、高シスポリブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、イソブチレン-芳香族ビニル又はジエンモノマーコポリマー、臭素化NR、塩素化NR、臭素化イソブチレンp-メチルスチレンコポリマー、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンホモポリマーゴム、エピクロロヒドリン-酸化エチレン又はアリルグリシジルエーテルコポリマーゴム、エピクロロヒドリン-酸化エチレン-アリルグリシジルエーテルターポリマーゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム、ポリスルフィドゴム、フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、フッ素化シリコーンゴム、フッ素化ホスファゲンゴム、スチレンエラストマー、熱可塑性オレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、及びこれらの混合物から選択されるゴム状ポリマーをさらに含む。
【0056】
任意の好適な量の他のポリマー及び/又はゴム状ポリマーを、所望の最終用途に基づいて硬化性ポリマー組成物に組み入れることができる。こうしたポリマーは、使用される場合、ガラス繊維の量を除いて、硬化性ポリマー組成物の全重量に対して、10~99、又は15~95、又は20~70、又は25~60、又は30~55、又は>25、又は<50wt%の範囲である。
【0057】
(硬化性ポリマー組成物の調製方法)
硬化性ポリマー組成物は、当該技術分野で公知の任意のプロセス、例えば、配合、ブレンディング、又は溶液中、によって調製することができる。実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、組成物の全ての成分を混合することによって配合される。配合は、任意の従来の混合又は配合操作、例えば、単軸及び二軸押出機によって達成することができる。混合温度は、早期架橋することなく、成分の密接混合(intimate blend)が得られ、冷却後に維持されるように選択することができる。
【0058】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、コポリマー、スコーチ防止剤、及び任意成分の混合物を含有する。この混合物に、架橋剤を添加し、組成物の硬化を行うことができる。
【0059】
実施形態では、スコーチ防止剤を任意成分と共にコポリマーに添加して硬化性ポリマー組成物を形成し、続いて架橋剤を添加し、次いで組成物を硬化に供する。
【0060】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、全ての成分を炭化水素溶媒、例えば、トルエン中で混合し、十分な時間撹拌して、溶液中の硬化性ポリマー組成物を得ることによって調製される。硬化性ポリマー組成物の炭化水素溶媒での濃度(総固形分)は、溶液の全重量に対して、10~80wt%、又は20~75wt%、又は25~80wt%、又は30~75wt%、又は>20wt%、又は<75wt%であり得る。
【0061】
硬化性ポリマー組成物は、例えば溶媒中でそのまま使用することができ、又は下流の最終用途向けに膜にして、例えば、CCL用途などで使用するために硬化/又は架橋することもできる。
【0062】
実施形態では、ポリマー組成物は、DIAEA-DVAコポリマー及び任意成分を含むが、スコーチ防止剤を含有せずに調製される。ポリマー組成物は、ある特定の性質を硬化性ポリマー組成物と比較するために使用することができる。
【0063】
(硬化性ポリマー組成物の硬化)
硬化性ポリマー組成物は、外部供給源、例えば、熱、紫外光(UV)、可視光、電子線、又はこれらの組み合わせを使用することによって硬化し、硬化ポリマー組成物を得ることができる。組成物の硬化は、開始剤により、又は開始剤なしで行うことができる。
【0064】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物の硬化は、140~250℃、又は145~220℃、又は150~210℃、又は155~200℃、又は>140℃、又は>150℃の温度で、0.5~60分、又は1~50分、又は5~40分、又は10~30分の時間実行される。
【0065】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の硬化温度より少なくとも30℃高い温度で硬化される。実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の硬化温度と比較して、少なくとも35℃、又は少なくとも40℃、又は少なくとも45℃高い温度で硬化される。
【0066】
実施形態では、(硬化前のDIAEA-DVAコポリマー中に存在する全ビニル基に対して)、硬化後にDIAEA-DVAコポリマー中のビニル基の>60%、又は>65%、又は>70%、又は>75%、>80%、又は>85%、又は>90%、又は>99%が、架橋ステップのために消費される。
【0067】
(DIAEA-DVAコポリマー及び硬化性ポリマー組成物の性質)
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、分子量範囲と比較的広い分子量分布(多分散性指数)の良好な組み合わせを有する樹脂材料であり、これにより無極性溶媒中で部分的により可溶性になり、それによってそれらの加工性が高まる。
【0068】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、炭化水素溶媒中、25℃、4時間未満の時間で、溶媒の全重量に対して、少なくとも10、又は>20、又は>30、又は>50、又は>70、又は<99、又は10~75、又は20~65、又は10~60wt%である、溶解度を有する。溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、シクロヘキサン、ワニス塗料用ナフサ(VM&Pナフサ)、石油エーテル、トルエン、キシレン、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0069】
実施形態では、固形物としてのDIAEA-DVAコポリマーは、炭化水素溶媒に溶解すると、実質的にゲルのない溶液を形成し、固形物の<2、又は<5、又は<10、<15wt%は溶媒中で不溶性のままである。
【0070】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマー溶液は炭化水素溶媒中で、コポリマーの全重量に対して、0.05~5、又は0.1~4.5、又は1~4、又は<5wt%、又は<2wt%、又は<1wt%であるゲル含有率を有する。
【0071】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、200~450℃、又は220~420℃、又は240~400℃、又は<600℃、又は<500℃又は>300℃の分解開始温度を有する。
【0072】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、ASTM D3418による示唆走査熱分析(DSC)又はDMA(動的機械分析計)を使用して測定して、50~300℃、又は60~250℃、又は70~220℃、又は80~200℃、又は100~250℃、又は120~220℃又は>150℃、又は<250℃、又は<200℃のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0073】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、ASTM D570により25℃で測定して、<0.1、又は<0.08、又は<0.05の吸湿係数を有する。
【0074】
実施形態では、DIAEA-DVAコポリマーは、>0.9、又は>1.0、又は1.0~2.0、又は1.0~1.50g/ccの密度を有する。
【0075】
実施形態では、トルエン中72.5wt%の濃度を有する硬化性ポリマー組成物は、40℃で1日間保存した後、スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物の溶液粘度より、少なくとも20%低いか、又は少なくとも30%低いか、又は少なくとも40%低い25℃での溶液粘度を有する。
【0076】
実施形態では、トルエン中72.5wt%の濃度を有し、40℃で50日間老化した後の硬化性ポリマー組成物は、初期溶液粘度(老化前)と比較して<30%、又は<25%、又は<20%、又は<15%の溶液粘度の増加を有する。
【0077】
実施形態では、トルエン中72.5wt%の濃度を有し、40℃で100日間老化した後の硬化性ポリマー組成物は、初期溶液粘度(老化前)と比較して<50%、又は<45%、又は<40%、又は<35%の溶液粘度の増加を有する。
【0078】
実施形態では、トルエン中72.5wt%の濃度を有し、40℃で181日間老化した後の硬化性ポリマー組成物は、初期溶液粘度(老化前)と比較して<50%、又は<45%、又は<40%の溶液粘度の増加を有する。
【0079】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、Discovery Hybrid Rheometer(DHR)を使用して、120℃で5分間乾燥させた硬化性ポリマー組成物の膜試料で測定した、>125℃、又は>130℃、又は>132℃、又は>135℃、又は>138℃、又は>140℃のゲル化点を有する。
【0080】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、Discovery Hybrid Rheometer(DHR)を使用して、35℃で5分間乾燥させた膜試料で測定した、>135℃、又は>140℃、又は>145℃、又は>150℃のゲル化点を有する。
【0081】
実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、Discovery Hybrid Rheometer(DHR)を使用して、120℃で5分間乾燥させた膜試料で測定した、スコーチ防止剤を含まないポリマー組成物より少なくとも10%、又は少なくとも15%、又は少なくとも20%高いゲル化点を有する。
【0082】
(硬化ポリマー組成物の性質)
優れた架橋特性に起因して、望ましくないスコーチ現象が生じることなく、高い実用的有用性を有する硬化ポリマー組成物を得ることができる。硬化ポリマー組成物は、電子用途に有用な、様々な程度の靭性、柔軟性、良好な化学的安定性及び酸化安定性、並びに高い難燃性を有する。
【0083】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、ASTM D2520により10GHzで測定した、<2.7、又は<2.65、又は<2.60、又は<2.55のDk(誘電率)を有する。
【0084】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、ASTM D2520により10GHzで測定した、<0.006、又は<0.005、又は<0.004、又は0.003~0.0001、又は0.002~0.0001のDf(損失正接)を有する。
【0085】
実施形態では、硬化プロセス中の硬化性ポリマー組成物は、>80、又は>100、又は>120、又は>140、又は>160、又は>180、又は>200J/g、又は60~220、又は80~210、又は100~200J/gの発熱エネルギー値を有する。発熱エネルギーは架橋度の指標であり、示差走査熱量計(DSC)を使用して、10℃/minの速度で室温から300又は400℃まで温度を上げることによって得られる、発熱ピークの分析によって測定することができる。
【0086】
硬化ポリマー組成物は、金属、例えば、アルミニウム、銅などへの良好な接着を有する。実施形態では、硬化ポリマー組成物は、0.1~1.0、又は0.2~0.9、又は0.3~0.7N/mの金属への180°剥離強度を有する。
【0087】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、硬化ポリマー組成物の全初期重量に対して、<30%、又は<25%、又は<20%、又は<15%、又は<10%、又は<5%、又は0~30%、又は0~20%、又は0~10%の室温での膨潤含有率を有する。
【0088】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、硬化ポリマー組成物の全初期重量に対して、<30%、又は<25%、又は<20%、又は<15%、又は<10%、又は<7%、又は0~30%、又は0~20%、又は0~10%の90℃での膨潤含有率を有する。
【0089】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、硬化ポリマー組成物の全重量上に対して、>85%、又は>88%、又は>90%、又は>95%、又は>98%、又は>99%、又は100%以下である、室温で4時間後のゲル含有率を有する。
【0090】
実施形態では、硬化ポリマー組成物は、硬化ポリマー組成物の全重量に対して、>85%、又は>88%、又は>90%、又は>95%、又は>98%、又は>99%、又は100%以下である、90℃で9時間後のゲル含有率を有する。
【0091】
実施形態では、(硬化ポリマー組成物の全重量に対して)40wt%のガラス繊維を含有する硬化ポリマー組成物は、-50~300℃の範囲にわたりDMAを使用して測定して、XY平面で5~40、又は10~25、又は15~20ppm/℃、及びZ方向で30~120、又は40~95、又は45~85ppm/℃の熱膨張係数(CTE)を有する。
【0092】
(硬化性ポリマー組成物の用途)
硬化性ポリマー組成物は、自動車向けコーティング用途、例えば、再仕上げ、プライマー、ベースコート、アンダーコート、オーバーコート、クリアコートなどで使用することができる。電源ケーブル、特に、高電圧用途での交流(AC)用途及び直流(DC)用途の両方で有用なケーブルを、硬化性ポリマー組成物から得ることができる。
【0093】
硬化性ポリマー組成物は、メタルクラッド積層板、例えば、銅クラッド積層板(CCL)、電気器具ハウジング、電気ケーブル、電気コネクター、電子スイッチ、並びにプリント回路基盤(PCB)、プリント配線板、及びフレキシブルプリンター回路(FPC)などの電子部品としての使用に有用であり得る。
【0094】
PCBの製作向けに使用するプレプレグは、ゴム成分及び任意選択の添加剤と組み合わせた硬化性ポリマー組成物を使用して、当該技術分野で公知のプロセスによって作ることができる。実施形態では、硬化性ポリマー組成物は、PCB調製用のガラス繊維を含む。ガラス繊維は、ガラス繊維とコポリマーの間の接着を増加させるために、オルガノシロキサン、例えば、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサンなどで前処理することができる。
【0095】
実施形態では、CCLは、硬化ポリマー組成物から作られた絶縁層の片側又は両側に配置された金属箔を含む。さらに、CCLは、絶縁層に接する表面の側に配置されたバリア層を含むことができる。バリア層は、伝送損失を低減することができる、コバルトなどの金属を含有することができる。バリア層は、めっきプロセス、例えば、スパッタリング、電気めっき又は無電解めっきによって形成することができる。個々の積層板を積み重ね、それらを例えば、110~220℃、又は120~210℃、又は125~180℃の範囲の温度の加熱、及び例えば、0.5~20、又は1~18、又は2~15、又は5~12MPaの圧力に、10分~5時間、又は2時間~20時間の範囲の時間供することによって、所望厚さの積み重ねられた積層板を製造することができる。
【実施例0096】
以下の実施例は、非限定的であることを意図している。
【0097】
硬化性ポリマー組成物の溶液粘度は、ブルックフィールド粘度計によって測定される。炭化水素溶媒中の濃度は、総固形分、例えば、スコーチ防止剤を有するか、又は有さないコポリマーである。濃度は、溶液の全重量に対して、10~80wt%の範囲であり得る。
【0098】
レオロジー特性、例えば、ゲル化点は、TA Instruments製、Discovery Hybrid Rheometer(DHR)を使用して測定される。
【0099】
実施例で使用する成分は、以下を含む。
【0100】
スコーチ防止剤-1(ASA-1)は、硫黄含有フェノール化合物である。
【0101】
スコーチ防止剤-2(ASA-2)は、窒素含有環状化合物である。
【0102】
(実施例1)
1,3-DIPEBと1,3-ジビニルベンゼンのコポリマーの調製。3リットル三つ口フラスコに921gのシクロヘキサンを入れ、65℃まで加熱し、0.0125gのトリフリック酸を連続的に撹拌しながら添加した。64.5gの1,3-DIPEB、185.7gの1,3-ジビニルベンゼン、及び250gのシクロヘキサンの混合物を30分にわたって添加した。混合物の添加後、反応内容物を750mLの水及び2gのNaHCO3で急冷し、続いて反応内容物を65℃でさらに15分間加熱した。底部から水層を除去した。残りの有機層は、水で数回洗浄した。溶媒を除去することによって、コポリマー生成物を回収した。
【0103】
(実施例2)
濃度50wt%の実施例1のコポリマー及びトルエン中のスコーチ防止剤(様々な量)を用いて、硬化性ポリマー組成物を調製した。試料は、異なる温度及び様々な時間で、炉中で老化させた。粘度変化の評価は、試料及びスコーチ防止剤を含まない比較例2aの目視観測によって行った。表1は、目視観測後の様々な試料のデータ及び結果を示す。
【0104】
【0105】
(実施例3)
70wt%の濃度を有する、トルエン中の実施例1のコポリマー及び異なるスコーチ防止剤(様々な量)を組み合わせ、次いでシリコン基板上へ溶媒流延することによって、硬化性ポリマー組成物の膜試料を調製した。厚さ100ミクロンの各膜を、室温で1時間、続いて120℃で5分間乾燥させた。次いで、DHRを使用してゲル化点を測定するために、膜試料をシリコン基板から取り外した。結果を表2に示す。比較可能なものは実施例3aである。
【0106】
【0107】
(実施例4)
実施例1のコポリマー及びスコーチ防止剤(様々な量)の硬化性ポリマー組成物を、トルエン中72.5wt%の濃度で調製した。これらの試料を、老化のために40℃で181日まで炉中に保持した。各試料に対して目視観測を行い、25℃でDHRを使用することにより粘度を測定した。結果を表3に示す。比較可能なものは実施例4aである。
【0108】
【0109】
(実施例5)
2つのスコーチ防止剤の組み合わせを除いて、実施例3の手順を繰り返すことによって調製した膜試料に対して、ゲル化点測定を実行した。各膜を室温で1時間、続いて35℃又は120℃で5分間乾燥させた。次いで、表4に示すようにDHRを使用してゲル化点を測定するために、膜試料をシリコン基板から取り外した。各膜の厚さは、100ミクロンであった。比較可能なものは、実施例5a及び5fである。
【0110】
【0111】
(実施例6)
硬化ポリマー組成物の調製。
【0112】
実施例5からの試料5f及び5iを、0.5wt%の過酸化ジクミルと別々に混合した。各試料を型に入れ、8,000psi、100℃で5分間加圧し、続いて20,000psi、180℃で2時間加圧した。試料のゲル含有率(室温で4時間)、膨潤含有率(室温で4時間)、Dk及びDfを測定した。結果を表5に示す。
【0113】
【0114】
本明細書で使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、その用語に続いて明らかにされる要素又はステップを含むことを意味するが、いずれのこうした要素又はステップも網羅的ではなく、実施形態は他の要素又はステップを含むことができる。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語を様々な態様を記述するために本明細書で使用してきたが、「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」を、本開示のより特定の態様を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用することができ、開示もされる。