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特開2024-74935テネリグリプチンの新規結晶形及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074935
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】テネリグリプチンの新規結晶形及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20240524BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240524BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20240524BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61P43/00 111
A61P3/08
A61K31/496
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061237
(22)【出願日】2024-04-05
(62)【分割の表示】P 2020067308の分割
【原出願日】2020-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】500515071
【氏名又は名称】金剛化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100175075
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康子
(72)【発明者】
【氏名】山田 明広
(72)【発明者】
【氏名】湯島 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 亮平
(72)【発明者】
【氏名】吉川 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】横田 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】金森 俊樹
(57)【要約】
【課題】水溶性に優れるテネリグリプチンの新規な結晶、及びその製造方法、並びに高純度で医薬品の合成中間体として好適なテネリグリプチンの新規な結晶、及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】特定の粉末X線回折パターンを示す、テネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物、並びにその製造方法。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項2】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項3】
nが1.8~2.2である請求項1または2に記載の塩、又はその水和物。
【請求項4】
nが2.0である請求項3に記載の塩、又はその水和物。
【請求項5】
水分含量が0~5%である請求項1~4のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物。
【請求項6】
水分含量が0~3%である請求項5に記載の塩、又はその水和物。
【請求項7】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項8】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項9】
nが1.8~2.2である請求項7または8に記載の塩、又はその水和物。
【請求項10】
nが2.0である請求項9に記載の塩、又はその水和物。
【請求項11】
水分含量が0~5%である請求項7~10のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物。
【請求項12】
水分含量が0~3%である請求項11に記載の塩、又はその水和物。
【請求項13】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.7°,7.7°,11.3°,16.2°,17.0°(A晶)、5.2°,10.4°,19.1°,19.8°,20.7°(B晶)、または5.5°,13.4°,14.3°,21.4°,26.7°(C晶)にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、t-ブチルメチルエーテル(TBME)、及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項14】
テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項15】
式(I):
【化1】
で示される3-{(2S,4S)-1-(1,1-ジメチルエチルオキシカルボニル)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン(Boc‐テネリグリプチン)のt-ブトキシカルボニル(式(I)中Boc)基を、臭化水素酸処理により除去して式(II):
【化2】
で示されるテネリグリプチンの、臭化水素酸塩を得る工程、及び
得られたテネリグリプチン・臭化水素酸塩を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項16】
請求項1~6のいずれか一項に記載のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩を40~100℃で結晶転移する工程を含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項17】
結晶転移温度が40~80℃である請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物。
【請求項19】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物。
【請求項20】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。
【請求項21】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な結晶構造を有するテネリグリプチン[化学名:3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン]及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
テネリグリプチン[化学名:3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン:式(II)]:
【化1】
の2.5臭化水素酸塩水和物は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(Dipeptidyl peptidase-4(以下、「DPP-4」)選択的阻害薬であり、DPP-4によるグルカゴン様ペプチド-1(Glucagon-like peptide-1、以下「GLP-1」)の分解を抑制し、活性型GLP-1の血中濃度を上昇させ、血糖依存的にインスリン分泌を促進すると共にグルカゴン分泌を抑制することで血糖降下作用を発揮する2型糖尿病治療薬である(特許文献1,2、特許非文献1。)
【0003】
テネリグリプチンには、同一分子で結晶中での分子の配列の仕方、つまり結晶構造が異なる結晶多型が存在することが報告されている(例えば、特許文献3)。同文献において、テネリグリプチン・3塩酸塩が調製されているが、安定性や吸湿性に課題があるため、再現性良く製造するのが困難であると記載されている。さらに特許文献3において、テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩水和物及び2.0臭化水素酸塩水和物の結晶多形A,B,C(A晶、B晶、C晶)も調製されており、これら臭化水素酸塩は室温で長期間安定であることが記載されている。
【0004】
特許文献3には、テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩水和物及び2.0臭化水素酸塩水和物の結晶多形A,B,Cを、次の様に水系溶媒を使用して製造している。
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩A晶:テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩を水で再結晶する。
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩B晶:約30℃で、テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩A晶を2%含水エタノールで再結晶する。
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩C晶:約20℃で、テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩A晶を2%含水エタノールで再結晶する。
【0005】
結晶多形間では、外観、溶解性、融点、溶出率、バイオアベイラビリティ、安定性、有効性等の物性が全く異なる事が多い。そこで、より優れた物理化学的性質を有する、特に相対的に高い溶解度、バイオアベイラビリティ及び有効性を有するテネリグリプチンの新規結晶形が望まれていた。特に、水溶性の高い結晶は、注射剤等製剤の投与形態を選択する際の自由度が高くなる。また、医薬品原薬を製造するにあたり、低コストでかつ工業化し易い製造方法についても、普編的な必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平2-538453号
【特許文献2】特許4101053号
【特許文献3】特許4208938号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Bioorganic&Medicinal Chemistry,20(2012) 5705-5719.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的に化合物を医薬品原薬として用いる場合には高純度のものが望まれ、精製効果の高い有機溶媒を用いた分液操作や再結晶等の方法が採用される場合が多い。また、医薬品製造では、様々な有機反応試剤等に使用し、有機溶媒を用いた分液や再結晶等によりそれらを除去する。しかし、テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩水和物及び2.0臭化水素酸塩水和物の結晶多形であるA晶、B晶、C晶は、前述のように、水或いは水を含むアルコール溶媒から調製されている。よって、医薬品原薬の製造過程で使用された有機反応試剤あるいはそれら由来の有機不純物が十分に除去されていない可能性がある。そのため、有機溶媒に対して可溶であって、有機溶媒を用いた再結晶法が採用可能なテネリグリプチンの結晶の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は、水溶性に優れるテネリグリプチンの新規な結晶、及びその製造方法を提供することを目的とする。また本発明は、高純度で医薬品の合成中間体として好適なテネリグリプチンの新規な結晶、及びその製造方法を提供することを目的とする
【発明を解決するための手段】
【0010】
すなわち本発明は、以下の[1]~[8]である。
【0011】
[1]粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【0012】
[2]粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【0013】
[3]粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【0014】
[4]粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物。
【0015】
[5]粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.7°,7.7°,11.3°,16.2°,17.0°(A晶)、5.2°,10.4°,19.1°,19.8°,20.7°(B晶)、または5.5°,13.4°,14.3°,21.4°,26.7°(C晶)にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、t-ブチルメチルエーテル(TBME)、及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、[1]~[4]のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物の、製造方法。
【0016】
[6]テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、[1]~[4]のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物の、製造方法。
【0017】
[7]式(I):
【化2】
で示される3-{(2S,4S)-1-(1,1-ジメチルエチルオキシカルボニル)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジンのt-ブトキシカルボニル(t-Boc)基を、臭化水素酸処理により除去して式(II):
【化3】
で示されるテネリグリプチン・臭化水素酸塩を得る工程、及び
得られたテネリグリプチン・臭化水素酸塩を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、[1]~[4]テネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物の、製造方法。
【0018】
[8]テネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶を、40~100℃で結晶転移する工程を含む、テネリグリプチン・n臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物の、製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、新規な結晶構造を有し、既知のテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物のA晶、B晶、及びC晶よりも高い水溶性を示すテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又は水和物のD晶及びE晶を得ることができる。さらに本発明により、高純度で医薬品の合成中間体として好適なテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又は水和物のD晶及びE晶を得ることができる。ここでnは、1.5~2.5、1.8~2.2、または2.0でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1~6で得られた結晶(D晶)のXRDデータである。
図2】実施例7~12で得られた結晶(E晶)のXRDデータである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明について、以下詳細に説明する。
【0022】
本発明は、粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物に関する。ここで、粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置により測定したXRDデータである。
【0023】
本発明において、「テネリグリプチン・n臭化水素酸塩」の「n」は、臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5、1.8~2.2、または2.0でありうる。中でも、nが2.0であることが好ましい。
【0024】
また本発明は、粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物に関する。
【0025】
さらに本発明は、粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物に関する。
【0026】
また本発明は、粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物に関する。
【0027】
本発明のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶/E晶、又はその水和物の水分含量は、0~5%とすることができ、好ましくは0~3%とすることができる。
【0028】
本発明のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶/E晶、又はその水和物は、例えば次の(1)~(3)の方法で製造することができる。
(1)テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のA晶、B晶、またはC晶
を、溶媒中で結晶転移する。ここで、A晶、B晶、またはC晶の粉末X線回折パターンは次の通りである。
A晶:5.7°,7.7°,11.3°,16.2°,17.0°
B晶:5.2°,10.4°,19.1°,19.8°,20.7°
C晶:5.5°,13.4°,14.3°,21.4°,26.7°
(いずれも、2θで表される回折角度を示す。)
【0029】
(2)テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩又はテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩を、溶媒中で再結晶或いは懸濁攪拌により結晶転移する。
【0030】
(3)下記式(I)で表されるBoc‐テネリグリプチンのBoc基を、臭化水素酸で除去し、造塩により得られたテネリグリプチン・臭化水素酸塩を、溶媒を使用した再結晶或いは懸濁攪拌により結晶転移する。
【化4】
【0031】
上記(1)~(3)において使用するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のA晶、B晶、C晶、テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩、及びBoc-テネリグリプチン(I)は、文献記載の方法(例えば、特許文献2、3、非特許文献1等)に準じて製造可能である。
【0032】
上記(1)~(3)の結晶転移において使用する溶媒としては、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、t-ブタノール等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸t-ブチル等)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、TBME、シクロペンチルメチルエーテル、THF、1,4-ジオキサン等)、炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、n-ペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-へプタン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、2-ブタノン等)等が挙げられ、単一あるいは混合して使用することができる。中でも好ましい溶媒は、アルコール系溶媒であり、より好ましくはエタノールである。
【0033】
結晶転移の際の温度は、40℃以上とすることが好ましく、40~100℃、40~80℃、または60~80℃とすることがより好ましい。
【0034】
さらに、本発明のテネリグリプチン・n臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物は、テネリグリプチン・n臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物を、結晶転移することにより製造可能である。結晶転移温度は、40℃以上とすることが好ましく、40~100℃、40~80℃、または60~80℃とすることがより好ましい。
【0035】
本発明における、より好ましい態様を以下に例示する。
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物。
【0036】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物。
【0037】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。
【0038】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。
【0039】
上記(1)~(3)によるテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物、及びテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物の製造方法。
【0040】
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶、又はその水和物を、所定の温度において結晶転移することによるテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物の製造方法。
【実施例0041】
以下に具体的な実施形態を挙げて本発明を説明するが、これらの例は単なる実例であって本発明はその実施形態に限定されるものではなく、それらにおける様々な変更及び改変が当業者によって、添付の特許請求の範囲に規定される本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく実行され得ることが理解される。
【0042】
以下、実施例において、本発明のテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のD晶及びE晶(実施例1~6:D晶、実施例7~12:E晶)を製造した。得られた結晶について、粉末X線回折装置によりXRDデータを測定し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により純度を測定した。また比較例として、従来の方法(特許文献3に記載の方法)により、テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のB晶及びC晶(比較例1:B晶、比較例2:C晶)を製造し、得られた結晶について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により純度を測定した。
【0043】
原料として用いたテネリグリプチン・2.0臭素水素酸塩のA晶、B晶、及びC晶、テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩、及びBoc-テネリグリプチンは文献記載の方法(例えば、特許文献2、3、非特許文献1等)に準じて調製した。
【0044】
実施例1:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物A晶499mg(HPLC純度99.5%)をエタノール6mLに約40℃で溶解した。同温で約2時間攪拌した後、析出物を濾取、乾燥して表題化合物322mg(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータを図1に示す。
【0045】
実施例2:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物B晶501mg(HPLC純度98.7%)にエタノール5mLを加え、約30℃で約3時間攪拌した。固体を濾取、乾燥して表題化合物391mg(HPLC純度99.4%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例1で得られたデータと同様であった。
【0046】
実施例3:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物C晶996mg(HPLC純度94.2%)をエタノール20mLに約60℃で溶解した。同温で約3時間攪拌した後、析出物を濾取、乾燥して表題化合物322mg(HPLC純度99.8%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例1で得られたデータと同様であった。
【0047】
実施例4:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物C晶499mg(HPLC純度94.2%)に2-プロパノール10mLを加え、約60℃で約2時間攪拌した。固体を濾取、乾燥して表題化合物392mg(HPLC純度99.5%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例1で得られたデータと同様であった。
【0048】
実施例5:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩水和物5.01g(HPLC純度97.8%)をエタノール100mLに約60℃で溶解した。この溶液を結晶が析出するまで濃縮し、析出物を濾取、乾燥して表題化合物2.55g(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例1で得られたデータと同様であった。
【0049】
実施例6:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩D晶
Boc-テネリグリプチン4.10g(HPLC純度98.3%)のエタノール30mL溶液に約75℃で48%臭化水素酸3.93gを加え、同温で5時間攪拌した。反応液にトルエン50gを加えた後、減圧留去する。得られた残渣にエタノール100gを加えた後、結晶が析出するまで濃縮し、析出物を濾取、乾燥して表題化合物3.85g(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例1で得られたデータと同様であった。
【0050】
実施例7:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物A晶497mg(HPLC純度99.5%)をエタノール6mLに約50℃で溶解した。同温で約1時間攪拌した後、析出物を濾取後、約70℃で乾燥して表題化合物302mg(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータを図2に示す。
【0051】
実施例8:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物B晶500mg(HPLC純度98.7%)にエタノール5mLを加え、約60℃で約3時間攪拌した。固体を濾取、約70℃で乾燥して表題化合物402mg(HPLC純度99.4%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例7で得られたデータと同様であった。
【0052】
実施例9:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物C晶502mg(HPLC純度94.2%)をエタノール10mLに約60℃で溶解した。同温で約2時間攪拌した後、析出物を濾取、約70℃乾燥して表題化合物298mg(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例7で得られたデータと同様であった。
【0053】
実施例10:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物C晶497mg(HPLC純度94.2%)にTHF10mL加えて約60℃で1時間攪拌した。固体を濾取し、約70℃で乾燥して表題化合物444mg(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例7で得られたデータと同様であった。
【0054】
実施例11:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩水和物1.99g(HPLC純度97.8%)をエタノール100mLに約60℃で溶解した。この溶液を結晶が析出するまで濃縮し、析出物を濾取、約70℃で乾燥して表題化合物0.5g(HPLC純度99.9%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例7で得られたデータと同様であった。
【0055】
実施例12:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩E晶
Boc-テネリグリプチン2.34g(HPLC純度98.3%)のエタノール30mL溶液に約75℃で48%臭化水素酸2.21gを加え、同温で5時間攪拌した。反応液にトルエン50gを加えた後、減圧留去する。得られた残渣にエタノール100gを加えた後、結晶が析出するまで濃縮し、析出物を濾取、約70℃乾燥して表題化合物1.09g(HPLC純度99.7%)を白色結晶として得た。この結晶のXRDデータは、実施例7で得られたデータと同様であった。
【0056】
比較例1:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩B晶
Boc-テネリグリプチン3.75g(HPLC純度98.3%)のエタノール30mL溶液に約75℃で48%臭化水素酸2.21gを加え含水率約2%とし、同温で5時間攪拌した。反応液を20℃まで冷却し、析出物を濾取、乾燥して表題化合物3.87g(HPLC純度98.7%)を白色結晶として得た。
【0057】
比較例2:テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩C晶
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物C晶1.00g(HPLC純度94.2%)に2%含水エタノール11.8mL加えて約20℃で3時間攪拌した。固体を濾取、乾燥して表題化合物653mg(HPLC純度96.6%)を白色結晶として得た。
【0058】
水に対する溶解度の測定
テネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩の各結晶(A、B、C、D、E晶)について、20℃におけるテネリグリプチンの溶解度をテネリグリプチンの飽和溶液をHPLCで測定することにより求めた。テネリグリプチンのピーク面積値から水への溶解度を検量線法により算出した。結果を表1に示す。
(測定条件)
装置:高圧液体クロマトグラフ装置
カラム:L-column ODS φ4.6mm×250mm,5μm(化学物質評価研究機構製)
カラム温度:40℃
流量:約1.0mL/min
移動相A:pH=3.0に調整した10mMギ酸アンモニウム水溶液
移動相B:アセトニトリル
移動相比率:移動相A:B=80:20で注入後、グラジエント条件で25分後の移動相比率が40:60になるよう設定した
溶解液:水:アセトニトリル=1:1の混合溶液
【0059】
(表1)20℃におけるテネリグリプチンの水に対する溶解度
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明により、新規な結晶構造を有し、既知のテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩水和物のA晶、B晶、及びC晶よりも高い水溶性を示すテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又は水和物のD晶及びE晶を提供することが可能となる。さらに本発明により、高純度で医薬品の合成中間体として好適なテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又は水和物のD晶及びE晶を提供することが可能となる。

図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項2】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩、又はその水和物。
【請求項3】
nが1.8~2.2である請求項1または2に記載の塩、又はその水和物。
【請求項4】
nが2.0である請求項3に記載の塩、又はその水和物。
【請求項5】
水分含量が0~5%である請求項1~4のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物。
【請求項6】
水分含量が0~3%である請求項5に記載の塩、又はその水和物。
【請求項7】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.7°,7.7°,11.3°,16.2°,17.0°(A晶)、5.2°,10.4°,19.1°,19.8°,20.7°(B晶)、または5.5°,13.4°,14.3°,21.4°,26.7°(C晶)にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、t-ブチルメチルエーテル(TBME)、及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項8】
テネリグリプチン・2.5臭化水素酸塩又はその水和物を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項9】
式(I):
【化1】
で示される3-{(2S,4S)-1-(1,1-ジメチルエチルオキシカルボニル)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン(Boc-テネリグリプチン)のt-ブトキシカルボニル(式(I)中Boc)基を、臭化水素酸処理により除去して式(II):
【化2】
で示されるテネリグリプチンの、臭化水素酸塩を得る工程、及び
得られたテネリグリプチン・臭化水素酸塩を、メタノール、エタノール、1-プロパノール,2-プロパノール、THF、TBME及び酢酸エチルから選択される一以上の溶媒中で結晶転移する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項10】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、12.9°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、または
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、5.5°±0.2°、9.3°±0.2°、12.9°±0.2°、19.6°±0.2°、及び22.3°±0.2°にピークを有することを特徴とするテネリグリプチン・n臭化水素酸塩、又はその水和物であって、nは臭化水素酸のテネリグリプチンに対するモル比であり、1.5~2.5であるテネリグリプチン・n臭化水素酸塩を40~100℃で結晶転移する工程を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の塩、又はその水和物の、製造方法。
【請求項11】
結晶転移温度が40~80℃である請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、12.7°±0.2°、及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。
【請求項13】
粉末X線回折パターンにおいて、2θで表される回折角度として、少なくとも5.4°±0.2°、9.5°±0.2°、12.7°±0.2°、18.9°±0.2°及び21.4°±0.2°にピークを有するテネリグリプチン・2.0臭化水素酸塩のE晶、又はその水和物。