(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074943
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】振動溶着装置および振動溶着方法
(51)【国際特許分類】
B29C 65/06 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B29C65/06
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061865
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2022112970の分割
【原出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】21195906
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】522238491
【氏名又は名称】ブランソン ウルトラスチャル ニーデルラッスン デル エマーソン テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング アンド カンパニー オーエイチジー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シルヴィオ フックス
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ コラッツ
(72)【発明者】
【氏名】ルドヴィト サイポス
(57)【要約】
【課題】部品のスタックに対し信頼できる溶着を行うことができる装置及び方法。
【解決手段】第1の部品3を第2の部品または部品のスタック5に溶着するための振動溶着装置であって、振動溶着ヘッドは、第1の平面内で第1の軸Xに沿ってのみ振動し、第1の部品を受け取る役割を果たす第1の工具10と、第2の支持体に配置される下部工具12である第2の工具であって、第2の工具は、第2の部品または部品のスタックを受け取る役割を果たし、第1の支持体および第2の支持体は、第1の平面に垂直な第2の軸Zに沿って、初期位置から振動溶着位置に移動可能である、第2の工具と、挟持位置と開放位置との間で第1の軸Xに沿って移動可能な挟持表面を各々有する2つの対向して配置された挟持装置を備える挟持配置であって、挟持位置において、第1の軸Xに沿う第2の部品または溶着された部品のスタックの移動は、振動溶着中に妨害される、挟持配置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部品(3;103)を第2の部品または溶着された部品のスタック(5;105)に溶着するための振動溶着装置のための後付けキットであって、前記振動溶着装置は、使用中に第1の平面内で、第1の軸Xに沿って振動する振動溶着ヘッドを有し、前記後付けキットは、挟持位置において、少なくとも前記第1の軸Xに沿う前記第2の部品または前記溶着された部品のスタック(5;105)の移動を、振動溶着中に妨害することができるように、前記挟持位置と開放位置との間で前記第1の軸Xに沿って移動可能な挟持表面(16;116)を各々有する少なくとも2つの挟持装置(14;114)を有する挟持配置を備える、後付けキット。
【請求項2】
少なくとも1つの挟持表面(16;116)は、前記第1の平面に垂直な第2の軸Zに沿って移動可能である、請求項1に記載の後付けキット。
【請求項3】
振動溶着装置のための後付け方法であって、
請求項1または2に記載の後付けキットを提供するステップ(ステップi)と、
前記少なくとも2つの挟持表面が互いに対向して配置されるように、前記挟持装置(14;114)を、前記振動溶着装置の昇降テーブルまたはフレームに固定するステップ(ステップii)と、
前記挟持装置(14;114)を前記振動溶着装置の制御方法において実装するステップ(ステップiii)と、
を備える、後付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、第1の部品を第2の部品または溶着された部品のスタックに溶着するための振動溶着装置、振動溶着装置を使用する振動溶着方法、振動溶着装置のための後付けキット、およびそれぞれの後付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.発明の背景
2つの部品、通常プラスチック部品を互いに溶着するための振動溶着装置が、一般に知られている。通常、これらの装置は、フレームまたはハウジングを含み、その中に下部工具および上部工具が配置されている。下部工具は昇降テーブルに固定され、上部工具は上部工具プレートにしっかりと固定される。昇降テーブルによって、下部工具を上部工具の方向に移動させ、下部工具内の第1のプラスチック部品を上部工具内の第2のプラスチック部品に摩擦溶着または振動溶着することができる。
【0003】
このような振動溶着装置は、例えば、自動車産業や医療技術において使用されている。自動車産業では、振動溶着装置はライトの製造に使用されるが、プラスチックからなる、またはプラスチックを含む他の部品または部品群の製造にも使用され得る。同様に、振動溶着装置は、医療技術または消費財の製造において装置および/または部品群の製造に使用され得る。
【0004】
振動溶着装置の基本動作は次の通りである。まず、ユーザは、第1のプラスチック部品を下部工具上に配置する。続いて、ユーザは、第2のプラスチック部品を下部工具内の第1の部品上に配置する。次に、下部工具およびその上に配置された部品を有する昇降テーブルが、垂直軸に沿って、初期位置から、上部工具の方向に、第2の部品が上部工具に受け取られるまで移動する。
【0005】
次に、摩擦溶着または振動溶着によって、第1の部品と第2の部品の溶着が行われる。溶着が終わると、昇降テーブルは、下部工具およびその上に配置された第1および第2の部品の複合体とともに、溶着位置から垂直軸に沿って初期位置に戻るように移動する。昇降テーブルが初期位置に到達すると同時に、ユーザは、第1および第2の部品の複合体を取り外す。
【0006】
予熱配置も含むそれぞれの振動溶着装置は、例えば、EP 3 020 532 A1、EP 2 837 492 A1、およびEP 3 009 254 A2から知られている。
【0007】
1つのプラスチック部品をすでに溶着されたプラスチック部品のスタックに溶着しなければならない場合、すなわち、下部工具に配置されたプラスチック部品が複数のすでに溶着されたプラスチック部品または層からなる場合、上記のプラスチック溶着装置の欠点が明らかになる。この場合、上部工具の振動溶着ヘッドからその中に配置された1つのプラスチック部品に伝達される振動は、すでに溶着されたプラスチック部品のスタックにも伝達される。溶着されたプラスチック部品のスタックの高さに依存して、第1のプラスチック部品に当接している溶着された部品のスタックの端部は、結果として生じる溶着シームが品質の低下したものになるか、または溶着接続をまったく確立することができなくなる程度まで、上部工具内の1つの部品とともに移動する。
【0008】
したがって、本発明の課題は、さらなる部品を、溶着された部品のスタックに、信頼できる方法で溶着することができるような、上記の欠点を克服することができる溶着装置を提供することである。加えて、それぞれの振動溶着方法を提供することが、本発明のさらなる課題である。
【発明の概要】
【0009】
3.発明の概要
上記の課題は、独立請求項1による振動溶着装置と、独立請求項7による振動溶着方法と、独立請求項12による後付けキットと、独立請求項14による後付け方法とによって解決される。さらに好ましい実施形態および発展形態は、以下の記載、図面、および付随する請求項から明らかになる。
【0010】
第1の部品を第2の部品または溶着された部品のスタックに溶着するための、本発明の振動溶着装置は、第1の支持体に配置される振動溶着ヘッドを有する上部工具である第1の工具であって、振動溶着ヘッドは、使用中に第1の平面内で、好ましくは第1の軸Xに沿ってのみ振動し、第1の工具は、第1の部品を受け取る役割を果たす、第1の工具と、第2の支持体に配置される下部工具である第2の工具であって、第2の工具は、第2の部品または溶着された部品のスタックを受け取る役割を果たし、第1の支持体および第2の支持体は、互いに対して、少なくとも第1の平面に垂直な第2の軸に沿って、初期位置から振動溶着位置に移動可能である、第2の工具と、挟持位置と開放位置との間で第1の軸に沿って移動可能な挟持表面を各々有する少なくとも2つの対向して配置された挟持装置を備える挟持配置であって、挟持位置において、少なくとも第1の軸に沿う第2の部品または溶着された部品のスタックの移動は、振動溶着中に妨害される、挟持配置とを備える。
【0011】
以下、本発明の振動溶着装置を、その使用に基づいて説明する。出発点として、第1の部品、好ましくはプラスチック部品は、第1の工具、すなわち上部工具にすでに配置されていると仮定する。例えば、それは、圧力下によってそこに保持され得る。第2の工具、すなわち下部工具に、第2の部品または溶着された部品のスタックが配置される。第2の部品または溶着された部品のスタックは、好ましくはプラスチック材料製である。例示的な動作に関して、振動溶着装置の第1の支持体は上部取り付けプレートであり、第2の支持体は昇降テーブル、好ましくは電気モータまたは油圧で駆動される昇降テーブルである。さらに、振動溶着ヘッドは、第1の平面内で第1の軸に沿ってのみ揺動すると仮定する。
【0012】
使用中、下部工具を有する第2支持体は、第1の支持体に対して移動する。例えば、第2の支持体は、固定して配置された第1の支持体の方向に移動する。この移動は、第1の部品が第2の部品または溶着された部品のスタックに当接するまで行われる。
【0013】
先行技術と異なり、本発明の溶着装置は、挟持配置をさらに備える。この挟持配置は、挟持位置と開放位置との間で第1の軸に沿って移動可能な挟持表面を各々有する少なくとも2つの対向して配置された挟持装置を有する。振動溶着位置において、すなわち上部工具内の第1の部品と下部工具内の第2の部品または溶着された部品のスタックとが互いに当接するとき、挟持装置の挟持表面は、挟持位置に近づくように第1の軸に沿って互いに対して移動する。この挟持位置において、第2の部品または溶着された部品のスタックの移動は、振動溶着中に妨害または阻止される。特に、第1の部品を伴った第2の部品または溶着された部品のスタックの移動は、排除されないにしても、溶着シーム、好ましくは所望の品質の溶着シームが生じる程度まで少なくとも低減される。好ましくは、挟持装置の挟持表面は、それらが振動溶着中に挟持位置に固定して配置されるように、挟持位置にロックされる。
【0014】
挟持位置は、1つの代替形態によれば、固定位置である。別の代替形態では、2つの対向して配置された挟持装置は、溶着された部品のスタックの位置を見つけるようにトリガ力で動作し、所望の挟持位置に近づく。
【0015】
さらに、挟持位置は、1つの代替形態では、挟持装置の挟持表面が、第2の部品または溶着された部品のスタックに直接当接する位置である。別の代替形態によれば、挟持位置は、挟持装置の挟持表面が、第2の部品または溶着された部品のスタックから短い距離、例えば0.2mmだけオフセットされる位置である。手順の後者の過程の理由は、追加の応力が、振動溶着中、溶着された部品のスタックに導入されないためである。さらに、溶着された部品のスタックはまた、挟持配置、具体的には挟持装置の挟持表面によって移動されない。最後に、挟持装置の挟持表面を、溶着された部品のスタックの各層に、または好ましくは、主に自己共振周波数が発生する領域もしくは部分に使用することができることに留意しなければならない。これは、好ましい実施形態に関して、後で説明される。
【0016】
さらに、1つの挟持装置の挟持表面を、例えばサーボモータによって、第2の部品または溶着された部品のスタックに対して定められた位置に配置することが好ましい。定められた位置は、例えば上述の0.2mmのような短い距離が、挟持表面と第2の部品または溶着された部品のスタックとの間に存在する位置であってもよい。第2の部品または溶着された部品のスタックの反対側に、他の挟持装置の挟持表面が、規定の力を加える。また、それぞれの挟持装置の挟持表面を移動させるために、例えばサーボモータの代わりに、空気圧シリンダを使用することが好ましい。
【0017】
振動溶着が終了した後、挟持配置は、挟持係合から解放され、第1および第2の部品の複合体または溶着された部品の増加したスタックを有する第2の工具すなわち下部工具を備える第2の支持体は、初期位置に移動する。
【0018】
この段階から、特に、複合体のみ、または2つの部品のみのスタックが存在する場合、上記ステップは、別の第1の部品を、第1の工具すなわち上部工具に配置することによって繰り返される。ステップが、所望のスタックが存在するように所望の回数にわたって繰り返された後に、ユーザは、結果として生じる部品のスタックを、振動溶着装置から取り除くことができる。
【0019】
これに関して、特に上記ステップを繰り返す場合、溶着された部品のスタックは、各サイクルで、さらなる部品または層だけ増加することを考慮しなければならない。したがって、溶着位置、すなわち、第1の支持体と第2の支持体との間の距離が、各々の新しいサイクルで調節されなければならないため、第1の支持体および第2の支持体の互いに対する移動は、非常に精密に制御されなければならない。例えば、開始時に第2の支持体、すなわち昇降テーブルが近づく振動溶着位置は、第1の部品および第2の部品が互いに当接するようなものである。振動溶着後、2つの部品のスタック、すなわち溶着された部品の増加したスタックが、下部工具に存在する。ここで、別の第1の部品が、溶着された部品の増加したスタックに溶着されなければならず、これは、第2の部品または溶着された部品のスタックを新たに形成する。第1の支持体と第2の支持体との間の距離が短すぎるため、したがって、開始からの振動溶着位置を使用することはできない。したがって、振動溶着位置は、各サイクルで、追加される部品の厚さだけ調節されなければならない。具体的には、第2の軸に沿う第1の支持体と第2の支持体との間の距離が、それに応じて増加されなければならない。この理由で、第2の支持体として、電気モータまたは油圧で駆動される昇降テーブルを使用することが特に好ましいが、それは、結果として生じる移動を非常に正確に制御することができるためである。
【0020】
本発明の振動溶着装置の1つの利点は、溶着された部品のスタックの中にすでに存在する溶着シームへの応力が、振動溶着中に低減されることである。さらなる利点は、振動溶着ヘッド、したがって第1の部品の揺動を一定に保ち、自己共振周波数を避けることができることである。最後に、処理時間が増加しないように、振動サイクル時間を一定に保つことができることが有利である。
【0021】
振動溶着ヘッドは、第1の平面内で第1の軸に沿ってのみ揺動すると最初に仮定したので、以下で、第1の平面内で揺動する振動溶着ヘッドを有する、すなわち軌道溶着ヘッドを有する振動溶着装置について論じる。この場合、各々がまた挟持表面を有する、例えば2つの、さらなる挟持装置を提供することが特に好ましい。これらのさらなる挟持装置は、それらの挟持表面が、挟持位置において、例えば第1の軸に垂直な第1の平面内の軸に沿って、第2の部品または溶着された部品のスタックの移動を妨害または阻止するように配向される。それぞれの軸は、第3の軸とも呼ばれる。言い換えれば、挟持配置は、4つの挟持装置を備え、90℃の角度が、2つの隣接する挟持装置の間に含まれる。
【0022】
好ましい実施形態によれば、振動溶着装置の挟持配置は、第2の支持体または振動溶着装置のフレームに固定される。第2の支持体への挟持配置の固定の利点は、挟持配置が第2の支持体、具体的には昇降テーブルとともに第2の軸に沿って移動することである。これは、振動溶着装置の柔軟性を増加させる。挟持配置がフレームに固定される場合、挟持配置は、第2の支持体の移動から独立してその位置を維持し、これは、制御する努力を低減する。
【0023】
さらに、別の好ましい実施形態によれば、少なくとも2つの挟持装置の一方または両方の挟持表面は、第2の軸に沿って移動可能である。この可動性により、第2の軸に沿う挟持表面の位置を、第1の部品の厚さおよび/または第2の部品もしくは溶着された部品のスタックの位置に応じて調節することができる。したがって、挟持表面が、第1の部品の揺動または振動を妨害することなく、第2の部品または溶着された部品のスタックのみを挟持することを確実に保証することができる。この可動性は、特定の好ましい実装において、振動溶着中および/または振動溶着後のZ軸に沿う挟持表面の移動も可能とする。これにより、溶着された部品のスタックは、振動溶着ヘッドの移動が停止した後の、信頼性の高い溶着接続を作り出すために部品に力が加えられる段階の間、安定化される。
【0024】
さらに、振動溶着装置が、上述のように、軌道溶着ヘッドに対して複数の挟持装置を備えることが有利であり、各挟持装置は、それぞれの挟持表面を提供する。さらに、少なくとも1つの、2つの、または好ましくは各挟持装置の挟持表面は、第2の軸に沿って移動可能である。この実施形態により、上述の利点を、複数の挟持装置が挟持配置に使用される場合にも達成することができる。
【0025】
最後に、振動溶着装置が予熱配置を備えることが好ましい。このような予熱配置により、第1の部品と第2の部品または溶着された部品のスタックとの向かい合う側を、結果として生じる溶着シームの特性がさらに改善されるように予熱することができる。具体的には、その後の振動溶着の最初の間のばらばらになった粒子の発生を、それぞれの溶着構造を予熱することによって低減することができる。
【0026】
予熱の場合の手順のそれぞれの過程に関して、第1の部品が、第1の工具、すなわち上部工具に配置された後に、昇降テーブルは、第2の軸に沿って中間位置に戻り、中間位置では、予熱配置を、待機位置から、部品の間の予熱位置に移動させることができる。予熱配置が2つの部品の間に配置された後に、2つの部品は、溶着される場所を予熱される。予熱後、予熱配置は、予熱位置から待機位置に戻される。その後、昇降テーブルは、上記のように、第2の軸に沿って振動溶着位置に移動する。
【0027】
本発明による振動溶着装置を使用する、本発明の振動溶着方法は、第1の部品を第1の工具に配置するステップと、第2の部品または溶着された部品のスタックを有する第2の支持体を、第1の支持体に対して第2の軸に沿って振動溶着位置に移動させるステップと、少なくとも第1の軸に沿う第2の部品または溶着された部品のスタックの移動が妨害されるように、少なくとも2つの対向して配置された挟持装置の挟持表面を、第1の軸に沿って挟持位置に移動させるステップと、次いで、溶着された部品の増加したスタックが生じるように、第1の部品を、第2の部品または溶着された部品のスタックに振動溶着するステップと、その後、挟持表面を第1の軸に沿って開放位置に移動させるステップと、その後、第2の支持体を初期位置に戻すステップとを含む。本発明の振動溶着装置を使用する本発明の振動溶着方法により、所望の品質の溶着シームを有する部品のスタックを、特定の高さまたは層数を有する部品のスタックの場合でも、信頼できるプロセスの方法で生成することができる。本発明の振動溶着方法は、本発明の振動溶着装置を使用するため、技術的効果および利点に関して上記説明が参照される。
【0028】
振動溶着方法の好ましい実施形態では、第1の部品を第1の工具に配置するステップは、第1の部品を第2の工具に、好ましくは第2の部品または溶着された部品のスタックの上に配置するステップと、第1の部品を有する第2の支持体を第1の支持体に対して第2の軸に沿って初期位置から移行位置に移動させるステップとを含む。これらの方法ステップにより、ユーザは、第1の部品を第2の工具に配置し、第2の工具は次いで第1の部品を第1の工具に移行させるために移動する。これにより、第1の部品を第1の工具に配置する手動ステップが排除される。
【0029】
さらに、挟持表面を挟持位置に移動させるステップは、第1の挟持表面を第1の軸に沿って第1の方向に移動させるステップと、対向して配置された第2の挟持表面を、第1の軸に沿って、第1の方向と反対の第2の方向に移動させるステップとを含み、挟持表面を開放位置に移動させるステップは、第1の挟持表面を第1の軸に沿って第2の方向に移動させるステップと、対向して配置された第2の挟持表面を、第1の軸に沿って、第2の方向と反対の第1の方向に移動させるステップとを含むことが好ましい。
【0030】
これに関して、上で説明されているように、2つの対向して配置された挟持装置はまた、溶着された部品のスタックの位置を見つけるようにトリガ力で動作することができることに留意しなければならない。さらに、挟持位置は、挟持装置の挟持表面が、第2の部品もしくは溶着された部品のスタックに直接当接する位置、または挟持装置の挟持表面が、第2の部品もしくは溶着された部品のスタックから短い距離、例えば0.2mmだけオフセットされる位置のいずれかであり得る。いずれの場合も、挟持表面をこの位置にロックすることが好ましい。挟持表面が短い距離だけオフセットされる挟持位置の理由は、追加の応力が、振動溶着中、特に溶着された部品のスタックに導入されないためである。さらに、溶着された部品のスタックはまた、挟持配置、具体的には挟持装置の挟持表面によって移動されない。
【0031】
また、少なくとも1つの、好ましくは各挟持装置の挟持表面が、第2の軸に沿って移動可能である場合、振動溶着方法が、上部工具に隣接するそれぞれの挟持表面の端部が、第1の部品に当接する第2の部品または溶着された部品のスタックの端部の、またはそれに隣接する挟持位置に配置されるように、1つの、2つの、または好ましくは各挟持装置の挟持表面を、第2の軸に沿って移動させるさらなるステップを含むことが、振動溶着方法に有利である。挟持装置が、溶着された部品のスタックの各層に、または好ましくは、主に自己共振周波数が発生する領域もしくは部分に使用され得ることが、これにより可能である。
【0032】
さらに、振動溶着装置が予熱配置を備える場合、振動溶着方法が、第1の部品を第1の工具に配置するステップの後、および第2の支持体を振動溶着位置に移動させるステップの前に、第2の支持体を、第1の支持体に対して予熱位置に移動させるステップと、予熱配置を、待機位置から、第1の工具と第2の工具との間の予熱位置に移動させるステップと、第1の部品および第2の部品または溶着された部品のスタックを予熱するステップと、予熱配置を予熱位置から待機位置に移動させるステップとのさらなるステップを含むことが好ましい。これにより、本発明の振動溶着装置の好ましい実施形態と組み合わせて上に記載された効果的な予熱を達成することができる。
【0033】
使用中に第1の平面内で、好ましくは第1の軸に沿ってのみ振動する振動溶着ヘッドを有する振動溶着装置のための、本発明の後付けキットは、挟持位置において、少なくとも第1の軸に沿う第2の部品または溶着された部品のスタックの移動を、振動溶着中に妨害することができるように、挟持位置と開放位置との間で第1の軸に沿って移動可能な挟持表面を各々有する少なくとも2つの挟持装置を有する挟持配置を備える。後付けキットにより、一般的な振動溶着装置に挟持配置を備え付けることができ、その結果、制御方法を適合させた後に、振動溶着装置は、上記の本発明の振動溶着装置の技術的効果および利点を実現する。したがって、不必要な繰り返しを避けるために、上記説明が参照される。
【0034】
後付けキットの好ましい実施形態では、少なくとも1つの挟持表面は、第1の平面に垂直な第2の軸に沿って移動可能である。この組み合わせにより、結果として生じる振動溶着装置の柔軟性は、上でも論じたように、さらに増加する。
【0035】
振動溶着装置のための本発明の後付け方法は、本発明の後付けキットを提供するステップと、少なくとも2つの挟持表面が互いに対向して配置されるように、挟持装置を、振動溶着装置の昇降テーブルまたはフレームに固定するステップと、挟持装置を振動溶着装置の制御方法において実装するステップとを備える。その結果、後付け方法により、一般的な振動溶着装置を、上記の本発明の振動溶着装置の技術的効果および利点を実現するように改善することができる。
【0036】
4.図面の簡単な説明
以下において、本発明は図面に基づいて詳細に記載されることになる。図面中、同じ参照符号は同じ要素および/または部品を示す。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】初期位置にある、本発明の振動溶着装置の実施形態の概略正面図。
【
図2】移行位置にある、
図1の実施形態の概略正面図。
【
図3】予熱位置にある、
図1の実施形態の概略正面図。
【
図4】振動溶着位置にあり、振動溶着前の、
図1の実施形態の概略正面図。
【
図5】振動溶着位置にあり、振動溶着後の、
図1の実施形態の概略正面図。
【
図6】振動溶着後の、初期位置にある、
図1の実施形態の概略正面図。
【
図7】振動溶着前の、振動溶着位置にある、本発明の振動溶着装置のさらなる実施形態の概略正面図。
【
図8】振動溶着前の、振動溶着位置にある、
図7のさらなる実施形態のさらなる概略正面図。
【
図10】本発明の振動溶着方法の実施形態の手順の概略的な過程。
【
図11】本発明の後付け方法の実施形態の手順の概略的な過程。
【発明を実施するための形態】
【0038】
5.好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の振動溶着装置1;100の実施形態が、以下、特にその機能に関して記載される。一般に、振動溶着装置は、自動車産業、エネルギー産業、または医療技術において使用され得る。特に、部品、好ましくはプラスチック部品が、振動溶着によって、すでに溶着された部品のスタック、好ましくはすでに溶着されたプラスチック部品のスタックに、信頼できる方法で溶着されなければならないあらゆる用途において使用され得る。
【0039】
ここで
図1~6を参照すると、振動溶着装置1の第1の実施形態およびその機能が記載される。振動溶着装置1は、第1の支持体に配置される、振動溶着ヘッドを有する上部工具10である第1の工具を備える。上部工具10の振動溶着ヘッドは、振動溶着平面または第1の平面を定め、使用中、少なくとも第1の軸Xに沿って揺動または振動する。1つの軸、すなわち第1の軸Xに沿ってのみ第1の平面内で振動する振動溶着ヘッドを有する上部工具10の代わりに、軌道振動溶着ヘッドを有する上部工具を使用することも可能である。この場合、振動溶着ヘッドは、第1の平面内で円運動を行うことになり、これは、第1の軸X、および第1の軸Xに垂直なさらなる軸Yによって記述され得る。
【0040】
ここで
図1を参照すると、振動溶着装置1は、第2の支持体に配置される下部工具12である第2の工具も備える。第1の支持体および第2の支持体、したがって上部工具10および下部工具12は、少なくとも第2の軸Zに沿って互いに対して移動可能である。第2の軸Zは、第1の平面に垂直である。
【0041】
この実施形態に関して、振動溶着装置1の第1の支持体は上部取り付けプレートであり、第2の支持体は昇降テーブル、好ましくは電気モータまたは油圧で駆動される昇降テーブルである。特に電気モータまたは油圧により、振動溶着方法を容易にする精密な制御を実現することができる。
【0042】
さらに、振動溶着装置1は、少なくとも2つの対向して配置された挟持装置14を備える挟持配置を有する。各挟持装置14は、挟持表面16を提供する。示された実施形態では、挟持配置は、フレーム(図示せず)に固定される。したがって、挟持配置は、第1または第2の支持体とともに自動的に移動しない。より容易な理解のために、使用中の、そのように構成された振動溶着装置1を説明する。
【0043】
最初に、
図1に見られるように、上部工具10および下部工具12、したがって第1の支持体および第2の支持体は、ユーザが第1の部品3を第2の部品または溶着された部品のスタック5の上に配置し得るように互いから十分に離隔された初期位置にある。示されるように、2つの溶着された部品のスタック5が、下部工具12に存在する。第1の部品3は、下部工具内の溶着された部品のスタック5の上に配置されている。さらに、挟持配置の挟持装置14の挟持表面16は、開放位置にある。
【0044】
次のステップでは、第2の支持体、したがって下部工具12を、第2の軸Zに沿って、上部工具10の方向に、移行位置に到達するまで移動させる。この移行位置では、第1の部品3は、上部工具10によって受け取られる。例えば、第1の部品3は、圧力下などによって上部工具10に保持される。したがって、上部工具10は、第1の部品3を受け取る役割を果たし、下部工具12は、第2の部品または溶着された部品のスタック5を受け取る役割を果たす。挟持表面16は、依然として開放位置にある。この状態は、
図2に見られる。
【0045】
その後、下部工具12および第2の支持体を、第2の軸Zに沿って中間位置へ、上部工具10から離れるように移動させる。第1の部品3が、例えば手動またはさらなる装置で、上部工具10に直接配置される場合、中間位置への下部工具12の移動は必要ない。
【0046】
それにもかかわらず、振動溶着装置1が一般に任意選択の予熱配置18も備えるため、下部工具12、したがって第2の支持体を、中間位置に移動させる。その後、予熱配置18を、待機位置から、中間位置にある上部工具10と下部工具12との間の予熱位置に移動させる。
図3は、プロセスのこの段階を示す。見られるように、挟持表面16の位置は変化しておらず、その結果、開放位置にある。
【0047】
第1の部品3および溶着された部品のスタック5の予熱が行われた後、予熱配置18は、予熱位置から待機位置へ戻される。例えばIRラジエータを有するそれぞれの予熱配置およびそれらの構成は一般に知られており、本明細書には詳細に記載されていない。
【0048】
予熱配置18がその待機位置に到達したらすぐに、下部工具12を、上部工具10に対して振動溶着位置に移動させることができる。
図4に見られるように、この位置で、第1の部品3および溶着された部品のスタック5は互いに当接する。
【0049】
さらに、
図4に関して、2つの対向して配置された挟持表面16は、下部工具12に配置された溶着された部品のスタック5に直接当接しかつそれらを挟持するように、互いに対して第1の軸Xに沿って移動している。したがって、挟持配置は、開放位置から挟持位置に移動しており、挟持位置では、溶着された部品のスタック5の移動は、振動溶着中、少なくとも第1の軸Xに沿って妨害または阻止される。特に、第1の部品3を伴った溶着された部品のスタック5の移動は、排除されないにしても、所望の品質の溶着シームが生じる程度まで少なくとも低減される。
【0050】
これに関して、上述のように、振動溶着装置の挟持配置は振動溶着装置のフレームに固定されていることにまず留意しなければならない。したがって、第2の軸Zに沿う挟持配置の挟持表面の位置は、事前に決定され、特定の第1の部品3に適合される。これにより、制御する努力は低減される。
【0051】
代替形態として、挟持装置14は、第2の支持体に固定されてもよい。この場合、挟持装置、したがって挟持配置は、第2の支持体とともに移動する。この代替形態を使用する場合、挟持表面16が、使用中、第2の部品または溶着された部品のスタック5のみに当接することを確実にしなければならない。そうでなければ、第1の部品3の移動も妨害されることになり、これは振動溶着を阻止することになる。これを避けるために、挟持配置は、溶着された部品のスタック5がすでに特定の高さを有する場合にのみ使用されるように適合され得る。あるいは、第2の軸Zに沿う挟持表面16の可動性が、さらに提供されてもよい。特に、第2の軸Zに沿う挟持表面16、好ましくは各挟持表面16の可動性が、好ましく、有利である。後者は、振動溶着装置100の第2の実施形態に関して論じられる。
【0052】
第2の支持体への挟持配置の固定の利点は、挟持配置が第2の支持体、具体的には昇降テーブルとともに第2の軸Zに沿って移動することである。これは、振動溶着装置1の柔軟性を増加させる。
【0053】
完全を期すために、挟持配置がフレームに固定される場合、第2の軸Zに沿う挟持表面16の可動性がさらに提供され得ることも指摘される。これにより、振動溶着装置1は、挟持配置を除去しフレームの新しい位置に固定する必要なく、他の部品の処理に適合され得る。
【0054】
さらに、2つの対向して配置された挟持装置14は、固定位置としての挟持位置に近づく代わりに、溶着された部品のスタック5の位置を見つけるようにトリガ力で動作することができることに留意しなければならない。さらに、挟持位置は、挟持表面16が、第2の部品もしくは溶着された部品のスタック5に直接当接する位置、または挟持表面16が、第2の部品もしくは溶着された部品のスタック5から短い距離、例えば0.2mmだけオフセットされる位置のいずれかであり得る。いずれの場合も、挟持表面16は、好ましくはロックされる。
【0055】
挟持表面16が短い距離だけオフセットされる場合、追加の応力は、振動溶着中、特に溶着された部品のスタック5に導入されない。さらに、溶着された部品のスタック5はまた、挟持配置、具体的には挟持装置14の挟持表面16によって移動されない。最後に、挟持装置14の挟持表面16を、溶着された部品のスタック5の各層に、または好ましくは、主に自己共振周波数が発生する領域もしくは部分に使用することができることに留意しなければならない。
【0056】
振動溶着中、上部工具10は、好ましくは第1の軸Xに沿ってのみ移動する。挟持装置14の挟持表面16により、この軸Xに沿う、溶着された部品のスタック5の移動は、上記のように妨害または阻止される。
【0057】
上部工具10が、第1の軸Xに沿ってのみならず、振動溶着平面または第1の平面内でも移動が行われるような軌道溶着工具である場合、好ましくは2つの、挟持配置のさらなる挟持装置14を提供することが好ましく、その各々は、それぞれの挟持表面16を有する。さらなる挟持装置14は、互いに対向し、それらが、少なくとも第1の軸Xに垂直であるが第1の平面内にある軸Yに沿う、第2の部品または溶着された部品のスタック5の移動を妨害または阻止するように配置される。それぞれの軸Yは、第3の軸Yとも呼ばれる。
【0058】
振動溶着が終了した後、挟持表面16を、挟持位置から開放位置に移動させ、溶着された部品の増加したスタック20を有する第2の工具すなわち下部工具12を備える第2の支持体を、初期位置に移動させる。これは、
図6に見られる。
【0059】
ここで、上記ステップは、別の第1の部品3を第1の工具すなわち上部工具10に配置することによって繰り返される。下部工具12に存在する溶着された部品の増加したスタック20は、したがって、溶着された部品の新しいスタック5を形成する。ステップが、所望のスタックが存在するように所望の回数にわたって繰り返された後に、ユーザは、結果として生じる、すなわち最終的な溶着された部品のスタック5を、振動溶着装置1から取り除くことができる。
【0060】
このように進める場合、特に上記ステップを繰り返す場合、溶着された部品のスタック5は、各サイクルで、好ましくはプラスチック製のさらなる部品3または層だけ増加することを考慮しなければならない。したがって、振動溶着位置、すなわち、第1の支持体と第2の支持体との間の距離が、各々の新しいサイクルで調節されなければならないため、第1の支持体および第2の支持体の互いに対する移動は、非常に精密に制御されなければならない。
【0061】
開始時、第2の支持体、すなわち昇降テーブルが近づく振動溶着位置は、第1の部品3および第2の部品5が互いに当接するようなものである。振動溶着後、2つの部品のスタック、すなわち溶着された部品の増加したスタック20が、下部工具に存在する。ここで、別の第1の部品3が、溶着された部品の増加したスタック20に溶着されなければならず、これは、この新しいサイクルにおいて、第2の部品または溶着された部品のスタック5を形成する。第1の支持体と第2の支持体との間の距離が短すぎるため、したがって、開始からの振動溶着位置を使用することはできない。したがって、振動溶着位置は、各サイクルで、追加される部品3の厚さだけ調節されなければならない。具体的には、第2の軸Zに沿う第1の支持体と第2の支持体との間の距離が、それに応じて増加されなければならない。この理由で、第2の支持体として、電気モータまたは油圧で駆動される昇降テーブルを使用することが特に好ましいが、それは、結果として生じる移動を非常に正確に制御することができるためである。
【0062】
本発明の振動溶着装置1の1つの利点は、溶着された部品のスタック5の中にすでに存在する溶着シームへの応力が、振動溶着中に低減されることである。さらなる利点は、振動溶着ヘッド、したがって第1の部品3の揺動を一定に保ち、自己共振周波を避けることができることである。最後に、処理時間が増加しないように、振動サイクル時間を一定に保つことができることが有利である。
【0063】
図7~9に、本発明の振動溶着装置100の代替の実施形態が示される。概して、振動溶着装置100の構成は、上記の振動溶着装置1と同様である。それにもかかわらず、上記実施形態とは対照的に、ここでの挟持装置114の挟持表面116は、第2の軸Zに沿ってさらに移動可能である。これは、挟持装置114がフレームに固定されているか第2の支持体に固定されているかにかかわらず、当てはまる。
【0064】
この可動性により、第2の軸Zに沿う挟持表面116の位置を、第1の部品103の厚さおよび/または第2の部品もしくは溶着された部品のスタック105の位置に応じて調節することができる。したがって、挟持表面116が、第1の部品103の揺動または振動を妨害することなく、第2の部品または溶着された部品のスタック105のみを挟持することを確実に保証することができる。したがって、この可動性は、特定の好ましい実装において、振動溶着中および/または振動溶着後のZ軸に沿う挟持表面116の移動も可能とする。これにより、特に溶着された部品のスタック105は、信頼性の高い溶着接続を作り出すために部品103、105に力が加えられる、振動溶着後の段階の間、安定化される。
【0065】
ここで、
図10を参照すると、それぞれの振動溶着方法の実施形態が説明される。第1のステップAで、第1の工具への第1の部品3;103の配置を行う。これは、ユーザが直接行うことができる。代替形態として、第1の部品3;103を第1の工具に配置するこのステップAは、ステップA1およびA2を含む。ステップA1で、第1の部品3;103を、第2の工具に、好ましくは第2の部品または溶着された部品のスタック5;105の上に配置する。後続のステップA2で、第1の部品3;103を有する第2の支持体109を、第1の支持体107に対して第2の軸Zに沿って初期位置から移行位置に移動させる。これらの方法ステップにより、ユーザは、第1の部品3;103を第2の工具に配置し、第2の工具は次いで、第1の部品3;103を第1の工具に移行させるために移動する。これにより第1の部品3;103を第1の工具に配置する手動ステップが排除される。
【0066】
その後、特に振動溶着装置1;100が予熱配置18を含む場合、方法は、さらなるステップH~Kを含む。ステップHで、第2の支持体109を、第1の支持体107に対して中間位置に移動させる。このステップはまた、第1の部品3;103が第1の工具、すなわち上部工具10;110にしっかりと保持されていることを確認するために、予熱配置18の存在から独立して行われてもよい。
【0067】
次に、ステップIで、予熱配置18を、待機位置から、第1の工具と第2の工具との間の予熱位置に移動させる。ステップJで、第1の部品3;103および第2の部品または溶着された部品のスタック5;105の予熱を行う。予熱後、ステップKで、予熱配置を、予熱位置から待機位置に移動させる。この過程により、効果的な予熱を達成することができる。
【0068】
予熱後、ステップBで、第2の部品または溶着された部品のスタック5;105を有する第2の支持体109を、第1の支持体107に対して第2の軸Zに沿って振動溶着位置に移動させる。
【0069】
第1の部品3;103および第2の部品または溶着された部品のスタック5;105が当接する振動溶着位置において、任意選択のステップGが行われてもよい。このステップの要件は、少なくとも1つの、好ましくは各挟持装置14;114の挟持表面16;116が、第2の軸Zに沿って移動可能であることである。この移動は、フレームまたは第2の支持体109への挟持装置14;114の固定から独立しており、すなわち、例えば挟持配置と第2の支持体109の移動から独立している。挟持表面16;116は、特に挟持装置14;114に対して第2の軸Zに沿って移動可能であるため、それは反対に、挟持装置14;114によって提供される挟持表面16;116に追加の自由度を提供する。
【0070】
これにより、ステップGで、1つの、2つの、または好ましくは各挟持装置14;114の挟持表面16;116の、第2の軸Zに沿う移動は、上部工具10;110に隣接するそれぞれの挟持表面116の端部が、第1の部品3;103に当接する第2の部品または溶着された部品のスタック5;105の端部の、またはそれに隣接する挟持位置に配置されるように行われる。これは、例えば
図4、8、および9に示される。
【0071】
結果として、挟持表面16;116は、第1の部品3;103に直接隣接する溶着された部品のスタック5;105に当接する。これは、振動溶着中に第1の部品3;103の移動を妨害することなく効果的に、部品のスタック5;105を安定化する。一般に、挟持表面16;116が、溶着された部品のスタック5;105の各層に、または好ましくは、主に自己共振周波数が発生する領域もしくは部分に使用され得ることが、第2の軸Zに沿う挟持表面16;116の可動性により可能である。さらに、挟持表面16;116の位置を、容易な方法で、第1の部品3;103の厚さに適合させることができる。
【0072】
第2の軸Zに沿う挟持表面16;116の位置が調節された後、少なくとも2つの対向して配置された挟持装置14;114の挟持表面16;116の、第1の軸Xに沿う挟持位置への移動が、ステップCで行われる。結果として、第2の部品または溶着された部品のスタック5;105の移動は、少なくとも第1の軸Xに沿って妨害される。
【0073】
好ましくは、上記のステップCは、特にステップC1およびC2で構成される。ステップC1で、第1の軸Xに沿う第1の方向への第1の挟持表面16;116の移動が行われる一方で、ステップC1の前、後、またはステップC1と同時に、第1の軸Xに沿う、第1の方向と反対の第2の方向への、対向して配置された第2の挟持表面16;116の移動が、ステップC2で行われる。例えば、互いに対向して配置された2つのさらなる挟持装置が存在し、その挟持表面16;116が第3の軸Yに沿って移動可能である場合(上記参照)、その移動は、溶着された部品のスタック5;105を安定化するのと類似の方法でさらに行われる。これは、振動溶着装置が軌道振動溶着ヘッドを備える場合に、特に好ましい。
【0074】
これに関して、対向して配置された挟持装置14;114はまた、溶着された部品のスタック5;105の位置を見つけるようにトリガ力で動作することができることに留意しなければならない。さらに、挟持位置は、挟持表面16;116が、第2の部品または溶着された部品のスタック5;105に直接当接する位置である。あるいは、挟持位置は、挟持表面16;116が、第2の部品または溶着された部品のスタック5;105から短い距離、例えば0.2mmだけオフセットされる位置である。いずれの場合も、挟持表面16;116は、好ましくは挟持位置にロックされる。
【0075】
挟持装置14;114が挟持位置に配置された後に、第2の部品または溶着された部品のスタック5;105への第1の部品3;103の振動溶着が、ステップDで行われる。振動溶着が終了した後に、溶着された部品の増加したスタック20が、したがって存在する。好ましくは、振動溶着ヘッドの移動が停止した後に、信頼性の高い溶着接続が生じるように、溶着された部品の増加したスタック20に力が加えられる。具体的には、力の適用下で所定の保持時間待つことにより、部品3、5;103、105の材料の再結晶が可能となる。
【0076】
さらに、振動溶着が終わった後に、ステップEで、第1の軸Xに沿う開放位置への挟持表面16;116の移動が行われる。ステップCのように、ステップEも、2つのステップE1およびE2を含んでもよい。具体的には、ステップE1で、第1の軸Xに沿う第2の方向への第1の挟持表面16;116の移動が行われる一方で、その前、後、またはそれと同時に、ステップE2で、第1の軸Xに沿う、第2の方向と反対の第1の方向への、対向して配置された第2の挟持表面16;116の移動が行われる。
【0077】
その後、ステップFで、第2の支持体109を、初期位置に戻す。ここで、上記の方法ステップは、結果として生じる部品のスタック20が、所望の高さまたは層数に到達するまで繰り返され得る。上で、特に振動溶着位置に関して、移行位置および中間位置も考慮して説明されているように、溶着された部品のスタック5;105の新しい高さが、それぞれの位置に近づくときに考慮されなければならない。
【0078】
使用中に第1の平面内で、好ましくは第1の軸に沿ってのみ振動する振動溶着ヘッドを有する振動溶着装置のための、本発明の後付けキットの実施形態は、挟持位置と開放位置との間で第1の軸Xに沿って移動可能な挟持表面16;116を各々有する少なくとも2つの挟持装置14;114を有する挟持配置を備え、その結果、挟持位置において、少なくとも第1の軸Xに沿う第2の部品または溶着された部品のスタック5;105の移動を、振動溶着中に妨害することができる。さらに、少なくとも1つの挟持表面16;116は、好ましくは、第1の平面に垂直な第2の軸Zに沿って移動可能である。後付けキットにより、一般的な振動溶着装置に挟持配置を備え付けることができ、その結果、制御方法を適合させた後に、振動溶着装置は、上記の本発明の振動溶着装置1;100の技術的効果および利点を実現する。
【0079】
最後に、
図11に関して、振動溶着装置のための本発明の後付け方法の実施形態について論じる。最初に、ステップiで、本発明の後付けキットが提供される。次に、ステップiiで、挟持装置14;114が、挟持表面16;116が互いに対向して配置されるように、振動溶着装置の昇降テーブルまたはフレームに固定される。最後に、ステップiiiで、振動溶着装置の制御方法における挟持装置14;114の実装が行われる。その結果、後付け方法により、一般的な振動溶着装置を、上記の本発明の振動溶着装置1;100の技術的効果および利点を実現するように改善することができる。
【符号の説明】
【0080】
6.参照符号の一覧
1 振動溶着装置
3 第1の部品
5 第2の部品または溶着された部品のスタック
10 上部工具
12 下部工具
14 挟持装置
16 挟持表面
18 予熱配置
20 溶着された部品の増加したスタック
100 振動溶着装置
103 第1の部品
105 第2の部品または溶着された部品のスタック
107 第1の支持体
109 第2の支持体
110 上部工具
112 下部工具
114 挟持装置
116 挟持表面
X 第1の軸
Z 第2の軸