(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074946
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】車両用カバー装置
(51)【国際特許分類】
B60R 13/04 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B60R13/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061940
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2022084189の分割
【原出願日】2022-05-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載日:令和4年5月17日 掲載アドレス:https://www.moriroku.co.jp/news/pdf/20220517mh.pdf :https://www.moriroku.co.jp/special/drive/ 掲載日:令和4年5月17日 掲載アドレス:https://www.moriroku.co.jp/special/drive/ 掲載日:令和4年5月17日 掲載アドレス:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4249/tdnet/2127244/00.pdf 掲載日:令和4年5月17日 掲載アドレス:https://www2.jpx.co.jp/disc/42490/140120220517550310.pdf :https://www2.jpx.co.jp/disc/42490/140120220517550303.pdf 掲載日:令和4年5月18日 掲載アドレス:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4249/ir_material_for_fiscal_ym/118163/00.pdf 掲載日:令和4年5月18日 掲載アドレス:https://ssl4.eir-parts.net/doc/4249/ir_material_for_fiscal_ym/118161/00.pdf 掲載日:令和4年5月18日 掲載アドレス:https://webcast.net-ir.ne.jp/42492205/index.html
(71)【出願人】
【識別番号】508309887
【氏名又は名称】森六テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(72)【発明者】
【氏名】堀山 順吾
(57)【要約】
【課題】外観性をより高めることのできる車両用カバー装置を提供すること。
【解決手段】車両用カバー装置10は、リッド100によって開閉可能なリッド用開口部41を有しているカバー体40を備えている。前記リッド100の前面102は、前記カバー体40の前面42に対して、前記カバー体40の表裏方向Rtに合致している。前記カバー体40の前記前面42には、このカバー体40の前記前面42に対して窪んだ凹状の第1溝131が形成されている。前記カバー体40を、このカバー体40の前記前面42から見て、前記リッド用開口部41の縁41aと前記リッド100の縁103との間の、前記カバー体40の前記表裏方向Rtに貫通した見切り用の隙間103は、前記第1溝131の幅Gwに対して合致している。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドによって開閉可能なリッド用開口部を有しているカバー体を備えた、車両用カバー装置であって、
前記リッドの前面は、前記カバー体の前面に対して、前記カバー体の表裏方向に合致しており、
前記カバー体の前記前面には、このカバー体の前記前面に対して窪んだ凹状の第1溝が形成されており、
前記カバー体を、このカバー体の前記前面から見て、前記リッド用開口部の縁と前記リッドの縁との間の、前記カバー体の前記表裏方向に貫通した見切り用の隙間は、前記第1溝の幅に対して合致している、車両用カバー装置。
【請求項2】
前記リッドの前記前面には、このリッドの前記前面に対して窪んだ凹状の第2溝が形成されており、
この第2溝は、前記カバー体の前記第1溝に対して連続した位置に配置されている、請求項1に記載の車両用カバー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カバー装置の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車等の多くの車両には、各種の車両用カバー装置が設けられている。この車両用カバー装置は車体の外部や内部を覆っている。車両用カバー装置の一例として、フロントバンパカバー等のカバー体を備えている構成を挙げることができる。車両用カバー装置に関する従来技術として、特許文献1(
図1及び
図2参照)及び特許文献2(
図1及び
図2参照)に開示される技術がある。
【0003】
特許文献1に示される車両用カバー装置は、車両の前部に搭載されているレーダユニットを覆うための、レーダカバー(カバー体)を備えている。このレーダカバーは、透明樹脂材料により形成された透明部材と、この透明部材の背面に一体的に形成されるとともにこの透明部材を支持する黒色の支持部材とを備えている。この支持部材は、エンジンルーム側に突出する係合部を有している。この係合部は、支持部材の縁から透明部材とは反対側へ延びており、ラジエータグリル本体等に係止される。
【0004】
特許文献2に示されるような車両用カバー装置は、フロントグリル本体部に形成されたフック用開口を、フックカバーによって塞ぐ構成である。フロントグリル本体部の前面と、フックカバーの前面とには、それぞれ前方へ突出した斜め格子模様の意匠部が設けられている。フックカバーによってフック用開口を塞いだ状態では、フロントグリル本体部の意匠部のなかの、フック用開口の縁に位置する部分は、フックカバーの意匠部の周縁によって、車両前方から覆われる。この結果、フックカバーの意匠が、フロントグリル本体部の意匠に吸収されて、一部品のように見えるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-177873公報
【特許文献2】特開2020-044904公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示される車両用カバー装置では、車両の前方からレーダカバー(カバー体)を見たときに、支持部材の周縁や係合部は、支持部材の周縁に有る隙間を通して目視される可能性がある。車両用カバー装置の外観性を高めるには、前記透明部材の背面から後方へ延出部を延ばして、支持部材の周縁や係合部周りを覆うことが考えられる。しかし、透明部材の厚さが、中央部分と周縁部分とで異なってしまう。車両用カバー装置の外観性を、より高めるには更なる改良の余地がある。
【0007】
特許文献2に示される車両用カバー装置では、牽引フックカバー(カバー体)が、透明部材と支持部材との複合材ではない。
【0008】
本開示は、外観性をより高めることができる車両用カバー装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、リッドによって開閉可能なリッド用開口部を有しているカバー体を備えた、車両用カバー装置であって、
前記リッドの前面は、前記カバー体の前面に対して、前記カバー体の表裏方向に合致しており、
前記カバー体の前記前面には、このカバー体の前記前面に対して窪んだ凹状の第1溝が形成されており、
前記カバー体を、このカバー体の前記前面から見て、前記リッド用開口部の縁と前記リッドの縁との間の、前記カバー体の前記表裏方向に貫通した見切り用の隙間は、前記第1溝の幅に対して合致している、車両用カバー装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、車両用カバー装置の外観性を、より高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例による車両用カバー装置を車両前方から見た図である。
【
図4】
図3に示される支持部材の第1延出部と透明部材の第2延出部と被加飾面周りの拡大図である。
【
図6】
図2に示されるリッドを開放した状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、添付図に示した形態は本発明の一例であり、本発明は当該形態に限定されない。説明中、左右とは車両に乗車した乗員を基準として左右、前後とは車両の進行方向を基準として前後を指す。また、図中Frは前、Rrは後、Leは乗員から見て左、Riは乗員から見て右、Upは上、Dnは下を示している。
【0013】
<実施例>
実施例を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示されるように、車両用カバー装置10は、乗用車等の車両における車体(図示せず)の外部を覆っている。この車両用カバー装置10の一例として、車体の前部を覆う構成について説明する。但し、車両用カバー装置10は、車体の前部を覆う構成に限定されるものではなく、例えば、車体の外部全般や車体の内部(車室を含む)を覆う構成にも適用できる。
【0015】
図1及び
図2に示されるように、車両用カバー装置10は、フロントバンパ(図示せず)の前面を覆うフロントバンパカバー20と、このフロントバンパカバー20の上縁21(上端21)に隣接している第1カバー体30と、フロントバンパカバー20の開口部22に組付けられている第2カバー体40とを含んでいる。
【0016】
開口部22は、車両前方から見て、フロントバンパカバー20の上側を開放した凹状の構成であって、上端を第1カバー体30によって塞がれている。この第1カバー体30は、フロントバンパカバー20の上縁21に沿って車幅方向へ延びた、細長い帯状の部材である。フロントバンパカバー20の上部には、左右のヘッドランプ51,51が配置されている。第1カバー体30の上にはフード52が配置されている。
【0017】
第1カバー体30のことを、適宜「カバー体30」と言い換えることがある。
図3及び
図4に示されるように、第1カバー体30は、車両前面側に位置する縦板状の透明部材60と、この透明部材60の背面61に一体的に形成される縦板状の支持部材70と、を備えている。透明部材60は、透明樹脂の成形品であって、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって成形される。支持部材70は、透明部材60を支持する有色樹脂(例えば黒色等の不透明樹脂)の成形品であって、例えばABS樹脂やポリプロピレン樹脂によって成形される。
【0018】
先に、支持部材70について説明する。
図4に示されるように、支持部材70は、この支持部材70の縁71(下縁71)に一体に形成されている第1延出部72と、この第1延出部72の先端部73に一体に形成されている端末部74と、を有している。ここで、支持部材70の縁71とは、支持部材70のなかの、
図1に示されるフロントバンパカバー20の上縁21に隣接している方の縁に相当する。第1延出部72及び端末部74は、支持部材70と同じ樹脂の成形品によって構成されている。
【0019】
第1延出部72は、支持部材70の縁71から、透明部材60とは反対側へ延びる横板状の部材である。
【0020】
端末部74は、第1延出部72の先端部73から、支持部材70に沿いつつ且つこの支持部材70に対して離れる方向へ突出している、縦板状の部材である。端末部74の突出量は、後述する第2延出部62の板厚T1に相当する。
【0021】
第1延出部72の先端部73には、透明部材60とは反対側へ延びるバー状の掛け止め部75が一体に形成されてもよい。この掛け止め部75は、車体側の固定部材に設けられている被係止め部55(
図3参照)に圧入、掛け止め、ビス止めによって掛け止められる。この結果、車体側の固定部材に対して第1カバー体30を取り付けることができる。
【0022】
前記透明部材60は、この透明部材60の背面61に一体に形成されている第2延出部62と、透明部材60の前面63に一体に形成されている加飾面64と、を有している。ここで、透明部材60の前面63とは、車両の前方から見た面に相当する。第2延出部62及び加飾面64は、透明部材60と同じ透明樹脂の成形品によって構成されている。
【0023】
第2延出部62は、透明部材60の背面61から後方へ、第1延出部72の下面72aに沿いつつ端末部74まで延びている、横板状の部材である。言い換えると、この第2延出部62は、透明部材60の背面61から後方へ、第1延出部72に沿いつつ端末部74まで延びるとともに、第1延出部72に一体的に形成されている。第2延出部62の板厚T1は、例えば透明部材60の板厚T2と同じである。透明部材60の前面63から第2延出部62の先端面62aまでの長さは、Lnである。
【0024】
被加飾面64は、透明部材60の前面63から、第2延出部62とは反対側へ突出した平坦な凸面状の部分である。透明部材60の前面63から被加飾面64までの突出量、つまり前面63に対する被加飾面64の段差の高さは、Apである。
【0025】
この被加飾面64は、第1カバー体30を前面63から見て(車両の前方から見て)、第2延出部62の全体に対して重なっているとともに、全面(ほぼ全面を含む)にわたって不透明の加飾層65を有している。
【0026】
加飾層65は、例えばホットスタンプによる薄膜層、つまり、金属箔を用いたホットスタンプ法によって形成されたホットスタンプ層の構成とすることが好ましい。被加飾面64に、ホットスタンプによる薄膜層を設けることによって、金属光沢を有している縁取り加飾をすることができるので、第1カバー体30の意匠性を高めることができる。
【0027】
以上の第1カバー体30の説明をまとめると、次のとおりである。
【0028】
図4に示されるように、車両用カバー装置10は、透明部材60と、この透明部材60の背面61に一体的に形成されるとともに透明部材60を支持する支持部材70と、を備えた第1カバー体30を含んでいる。支持部材70は、この支持部材70の縁71から、透明部材60とは反対側へ延びる第1延出部72を有している。透明部材60は、第1延出部72に一体的に形成されている第2延出部62と、第1カバー体30を前面63から見て、第2延出部62の全体に対して重なっているとともに、全面(ほぼ全面を含む)にわたって不透明の加飾層65と、を有している。
【0029】
一般に、車両用カバー装置10の前方から第1カバー体30を見たときには、この第1カバー体30の周縁に有る隙間を通して、第1カバー体30の裏側を目視される可能性がある(
図4の目視線Vi1参照)。
【0030】
これに対して本実施例では、上述のように、透明部材60の第2延出部62が、第1延出部72に一体的に形成されている。このため、第1カバー体30は、前方から目視した場合と同様の外観性を維持することができる。
【0031】
ところで、透明部材60の前面63から第2延出部62の先端面62aまでの長さLnは、透明部材60の板厚T2よりも大きい(Ln>T2)。このため、透明部材60に被加飾面64及び加飾層65を有していない場合には、第1カバー体30を真正面から見たときに、透明部材60のみを透しての見え方(奥行き感)に対して、第2延出部62を透しての見え方(奥行き感)が異なることが、考えられる。
【0032】
これに対して上述のように、透明部材60は、第1カバー体30を前面63から見て、第2延出部62の全体に対して重なっているとともに、全面(ほぼ全面を含む)にわたって不透明の加飾層65を有している。
【0033】
このため、車両用カバー装置10の前方から第1カバー体30を見たときに、第2延出部62は不透明の加飾層65によって隠れているので、第2延出部62を透して目視することはできない(
図4の目視線Vi2参照)。その代わりに、加飾層65を目視することができる。この加飾層65を設けることによって、第1カバー体30全体の意匠性を高めることができる。この結果、外観性をより高めることのできる車両用カバー装置10を提供することができる。なお、第2延出部62が隠れていれば、加飾層65の範囲は最適な値に設定することができる。つまり、車両用カバー装置10の前方から第1カバー体30を見たときに、第2延出部62が加飾層65によって隠れるように、第1カバー体30の前面31に対する加飾層65の範囲が設定される。被加飾面64の範囲は、加飾層65の範囲に合わせて設定される。
【0034】
このように、本実施例では、車両用カバー装置10の前方から第1カバー体30を見たときに、この第1カバー体30の周縁に有る隙間を通して、第1カバー体30の裏側を目視されることを規制するとともに、不透明の加飾層65によって、第1カバー体30の外観性及び意匠性を高めることができる。
【0035】
支持部材70は、第1延出部72の先端部73から、支持部材70に沿いつつ且つこの支持部材70に対して離れる方向へ突出している端末部74を有している。第2延出部62は、透明部材60の背面61から後方へ、第1延出部72に沿いつつ端末部74まで延びている。
【0036】
第2延出部62の先端面62aは、有色(例えば黒色)の端末部74によって、目隠しされている。透明部材60の前面63から第2延出部62の先端面62aまでの長さLnを、任意に設定することによって、目視制限範囲を最適になるように、自由に設定することができる。
【0037】
さらには、透明部材60は、この透明部材60の前面63から、第2延出部62とは反対側へ突出した凸面状の被加飾面64を有している。加飾層64は、透明部材60のなかの被加飾面64に有している。
【0038】
被加飾面64は、透明部材60の前面63に対して浮き上がった、段差面となる。このため、加飾層65は透明部材60の前面63から浮き上がった、いわゆる立体的に見える。つまり、透明部材60は、第1カバー体30の裏側を目視されないように規制するだけではなく、第1カバー体30全体の意匠性の向上の役割を果たすことができる。段差の高さApについては、視認性の向上と意匠性の向上を勘案して、最適な値に設定すればよい。
【0039】
次に、前記第2カバー体40について説明する。
図1に示されるように、第2カバー体40は、一般にフロントグリルとして知られており、第1カバー体30の前面31(表面31)に沿いつつ隣接している。この第2カバー体40のことを、適宜「カバー体40」や「フロントグリル40」と言い換えることがある。
【0040】
図3及び
図5に示されるように、第2カバー体40(カバー体40)は、例えば車両前面側に位置する縦板状の透明部材80と、この透明部材80の背面81に一体的に形成される縦板状の支持部材90と、を備えている。透明部材80は、透明樹脂の成形品であって、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって成形される。支持部材90は、透明部材80を支持する有色樹脂(例えば黒色等の不透明樹脂)の成形品であって、例えばABS樹脂やポリプロピレン樹脂によって成形される。
【0041】
図2及び
図6も参照すると、この第2カバー体40は、リッド100によって開閉可能なリッド用開口部41を有している。このリッド用開口部41は、第2カバー体40の表裏方向Rt(厚み方向Rt)に貫通した孔である。リッド100は、ヒンジ101(
図6参照)によって例えば横方向への片開きに、スイング可能に支持されている。例えば、リッド100を開けることによって、車体側に配置されているバッテリチャージ部や牽引用フックを使用することができる。このリッド100は、フロントグリル40(第2カバー体40)の一部に設けられるので、フロントグリルガーニシュと言うことができる。なお、リッド100は、ヒンジ101による開閉構造に限定されるものではなく、リッド用開口部41に対して開閉可能であればよい。さらに、このリッド100は、図示せぬ掛け止め機構によって、第2カバー体40に掛け止めることができる。
【0042】
詳しく述べると、
図3及び
図5に示されるように、このリッド100は、車両前面側に位置する縦板状の透明部材110と、この透明部材110の背面111に一体的に形成される縦板状の支持部材120と、を備えている。透明部材110は、透明樹脂の成形品であって、例えばアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂によって成形される。支持部材120は、透明部材110を支持する有色樹脂(例えば黒色等の不透明樹脂)の成形品であって、例えばABS樹脂やポリプロピレン樹脂によって成形される。
【0043】
リッド100の前面102(正面102)は、第2カバー体40の前面42(正面42)に対して、第2カバー体40の表裏方向Rtに合致している(面一である)。
【0044】
リッド用開口部41を閉じた状態のリッド100は、第2カバー体40の一部を構成する。このため、第2カバー体40とリッド100とは、全体的に一体感を有して視認可能である。
【0045】
図2及び
図6に示されるように、第2カバー体40の前面42と、リッド100の前面102とには、意匠性を高めるための連続した格子模様(グリッド模様)の溝130が形成されている。ここで、格子模様には、斜め格子模様を含む。
【0046】
詳しく述べると、格子模様の溝130は、第2カバー体40の前面42に形成されている格子模様の第1溝131と、リッド100の前面102に形成されている格子模様の第2溝132と、からなる。格子模様の第1溝131に対して、格子模様の第2溝132は連続している。つまり、第1溝131の各々の縦溝部131aと、第2溝132の各々の縦溝部132aとは、互いに連続するように位置している。第1溝131の各々の横溝部131bと、第2溝132の各々の横溝部132bとは、互いに連続するように位置している。
【0047】
図3及び
図5も参照すると、各々の縦溝部131a間(縦溝部132a間)のピッチはP1である。各々の横溝部131b間(横溝部132b間)のピッチはP2である。これらのピッチP1,P2を総称して「溝ピッチP1,P2」という。
【0048】
図3及び
図5に示されるように、第1溝131は、第2カバー体40の透明部材80のみに形成されることが好ましい。第2溝132は、リッド100の透明部材110のみに形成されることが好ましい。第1溝131及び第2溝132の、溝ピッチ、溝幅、溝深さは任意であって、第2カバー体40及びリッド100を車両用カバー装置10の前方からから見たときの意匠性が、最適となるように設定される。
【0049】
図2及び
図6に示されるように、第2カバー体40を前面42から見て、リッド用開口部41とリッド100の形状及び向きは、格子模様の溝130の形状に合っている。例えば、溝130が、斜め格子模様の構成である場合には、リッド用開口部41とリッド100の形状及び向きは、斜め格子模様の形状に合っている。
【0050】
図2に示されるように、第2カバー体40を、この第2カバー体40の前面42から見て、リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間の見切り用の隙間Crは、格子模様の溝130に対して合致(略合致を含む)している。第2カバー体40を前面42から見て、リッド100の大きさは、溝ピッチP1,P2の倍数である。隙間Crの幅Cwは、第1溝131及び第2溝132の溝幅Gwと同じである。
【0051】
上述の第1溝131及び第2溝132の構成については、次のように説明することができる。(
図2、
図3及び
図5参照)。第2カバー体40の前面42には、凹状の第1溝131が形成されている。第2カバー体40を、この第2カバー体40の前面42から見て、リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間の見切り用の隙間Crは、第1溝131の幅Gw(溝幅Gw)に対して合致(略合致を含む)している。リッド100の前面102には、凹状の第2溝132が形成されている。
図2に示されるように、この第2溝132は、第2カバー体40の第1溝131に対して連続した位置に配置されている。
【0052】
以上の第2カバー体40の説明をまとめると、次のとおりである。
【0053】
図2に示されるように、リッド用開口部41を閉じた状態のリッド100は、第2カバー体40の一部を構成している。リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間には、必然的に見切り用の隙間Crが発生する。第2カバー体40を前面42から見たときに、隙間Crは目立たないことが好ましい。
【0054】
隙間Crを目立たなくする従来の技術としては、前記特許文献2(特開2020-044904公報)に示される車両用カバー装置がある。しかし、特許文献2の技術は、フロントグリル本体部の前面と、フックカバーの前面とには、それぞれ前方へ突出した斜め格子模様の意匠部を設けている。フックカバーによってフック用開口を塞いだ状態では、フロントグリル本体部の意匠部のなかの、フック用開口の縁に位置する部分が、フックカバーの意匠部の周縁によって、車両前方から覆われる。しかしながら、このような従来の技術では、構成が複雑であり、製造コストが嵩む。
【0055】
これに対して本発明(本実施例)は、簡単な構成によって隙間Crを目立たなくすることを課題とする。
【0056】
本発明者は、
図2及び
図6に示されるように、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とに設ける、連続した格子模様の形態を、溝130の構成にすることにより、格子模様の溝130に対して、見切り用の隙間Crが一つのまとまった意匠のように見える(同化して見える)ことを、新たに知見した。本発明(本実施例)は、この知見に基づいて完成させた。
【0057】
本発明(本実施例)では、車両用カバー装置10の第2カバー体40(カバー体40)は、リッド100によって開閉可能なリッド用開口部41を有している。リッド100の前面102は、第2カバー体40の前面42に対して、第2カバー体40の表裏方向Rt(
図5参照)に合致(略合致を含む)している。第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とには、連続した格子模様の溝130が形成されている。第2カバー体40を、この第2カバー体40の前面42から見て、リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間の見切り用の隙間Crは、格子模様の溝130に対して合致(略合致を含む)している。
【0058】
つまり、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とには、意匠性を高めるための連続した格子模様の溝130が形成されている。しかも、第2カバー体40を前面42から見たときに、隙間Crは、格子模様の溝130に対して合致している。この溝130は、第2カバー体40の前面42に対して窪んでいる。隙間Crの部分は、溝130との見分けがつきにくいので、溝130の一部にしか見えない。溝130に対して、隙間Crの部分の位置が目立たない。このため、第2カバー体40とリッド100とは、一つのまとまった意匠のように(全体的に一体感を有して)視認可能である。
【0059】
以上の説明から明らかなように、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とに設ける、連続した格子模様の形態を、溝130の構成にすることにより、格子模様の溝130に対して、見切り用の隙間Crが一つのまとまった意匠のように見える(同化して見える)。しかも、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とに設ける、連続した格子模様の形態を、溝130の構成にするだけの、極めて簡単な構成によって隙間Crを目立たなくすることができる。
【0060】
以上説明した本発明(本実施例)については、次のようにまとめることもできる。
【0061】
本発明(本実施例)は、簡単な構成によって隙間Crを目立たなくすることを課題とする。
【0062】
本発明者は、
図2及び
図6に示されるように、第2カバー体40の前面42に凹状の溝131を設け、この溝131の幅Gwに対して、リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間の見切り用の隙間Crを合致させることにより、溝130に対して、見切り用の隙間Crが一つのまとまった意匠のように見える(同化して見える)ことを、新たに知見した。本発明(本実施例)は、この知見に基づいて完成させた。
【0063】
本発明(本実施例)では、車両用カバー装置10の第2カバー体40(カバー体40)は、リッド100によって開閉可能なリッド用開口部41を有している。リッド100の前面102は、第2カバー体40の前面42に対して、第2カバー体40の表裏方向Rt(
図5参照)に合致(略合致を含む)している。第2カバー体40の前面42には、凹状の第1溝131が形成されている。第2カバー体40を、この第2カバー体40の前面42から見て、リッド用開口部41の縁41aとリッド100の縁103との間の見切り用の隙間Crは、第1溝131の幅Gwに対して合致(略合致を含む)している。ここで、第1溝131及び第2溝132は、格子模様の溝の構成に限定されない。
【0064】
つまり、第2カバー体40の前面42には、意匠性を高めるための凹状の第1溝131が形成されている。しかも、第2カバー体40を前面42から見たときに、隙間Crは、第1溝131に対して合致している。この第1溝131は、第2カバー体40の前面42に対して窪んでいる。隙間Crの部分は、第1溝131との見分けがつきにくいので、第1溝131の一部にしか見えない。第1溝131に対して、隙間Crの部分の位置が目立たない。このため、第2カバー体40とリッド100とは、一つのまとまった意匠のように(全体的に一体感を有して)視認可能である。
【0065】
以上の説明から明らかなように、第2カバー体40の前面42に設ける第1溝131に対して、見切り用の隙間Crが一つのまとまった意匠のように見える(同化して見える)。しかも、第2カバー体40の前面42に設ける第1溝131を設けるだけの、極めて簡単な構成によって隙間Crを目立たなくすることができる。
【0066】
さらには、リッド100の前面102には、凹状の第2溝132が形成されている。この第2溝132は、第2カバー体40の第1溝131に対して連続した位置に配置されている。
【0067】
つまり、リッド100の前面102には、意匠性を高めるための凹状の第2溝132が形成されている。しかも、第2カバー体40を前面42から見たときに、隙間Crは、第2溝132に対して合致している。この第2溝132は、リッド100の前面102に対して窪んでいる。隙間Crの部分は、第1溝131と、この第1溝131に対して連続した第2溝132との、見分けがつきにくいので、第1溝131及び第2溝132の一部にしか見えない。第1溝131及び第2溝132に対して、隙間Crの部分の位置が目立たない。このため、第2カバー体40とリッド100とは、一つのまとまった意匠のように(全体的に一体感を有して)視認可能である。
【0068】
以上の説明から明らかなように、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とに、第1溝131及び第2溝132を設けることにより、第1溝131及び第2溝132に対して、見切り用の隙間Crが一つのまとまった意匠のように見える(同化して見える)。しかも、第2カバー体40の前面42とリッド100の前面102とに第1溝131及び第2溝132を設けるだけの、極めて簡単な構成によって隙間Crを目立たなくすることができる。
【0069】
なお、本発明の作用及び効果を奏する限りにおいて、本発明は、実施例に限定されるものではない。
例えば、車両用カバー装置10は、車体の前部を覆う構成に限定されるものではなく、他の部位を覆う構成であってもよい。例えば、車両用カバー装置10は、車体の外部全般や車体の内部(車室を含む)を覆う構成にも適用できる。
また、車両用カバー装置10は、乗用車に備える構成を例示したが、乗用車以外の車両にも適用可能であり、これらの形式のものに限られるものではない。
また、
図5に示されるように、第2カバー体40とリッド100との組合せ構造においては、第2カバー体40とリッド100とのいずれか一方または両方が、単一材によって構成されるものであってもよい(透明部材及び支持部材の複合材に限定されるものではない)。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の車両用カバー装置10は、乗用車の前部に搭載するのに好適である。
【符号の説明】
【0071】
10 車両用カバー装置
30 第1カバー体
31 前面
40 第2カバー体(カバー体)
41 リッド用開口部
41a リッド用開口部の縁
42 第2カバー体の前面(正面)
60 透明部材
61 背面
62 第2延出部
62a 第2延出部の先端面
63 透明部材の前面
64 加飾面
65 加飾層
70 支持部材
71 支持部材の縁
72 第1延出部
72a 第1延出部の下面
73 第1延出部の先端部
74 端末部
100 リッド
102 リッドの前面
103 リッドの縁
130 格子模様の溝
131 第1溝
132 第2溝
Cr 見切り用の隙間
Gw 第1溝及び第2溝の溝幅
Rt 第2カバー体の表裏方向