(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074950
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】Dドメイン含有ポリペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/00 20060101AFI20240524BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240524BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/765 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/47 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/705 20060101ALI20240524BHJP
C07K 14/725 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240524BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20240524BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240524BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20240524BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20240524BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240524BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240524BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240524BHJP
A61K 47/66 20170101ALI20240524BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240524BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240524BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240524BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240524BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
C07K14/00 ZNA
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/765
C07K14/47
C07K14/705
C07K14/725
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/867 Z
C12N5/10
C12N5/0783
A61K35/17
A61K35/76
A61K38/16
A61K48/00
A61K47/66
A61K47/68
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P35/02
A61P35/00
A61P37/02
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062058
(22)【出願日】2024-04-08
(62)【分割の表示】P 2023050785の分割
【原出願日】2018-11-14
(31)【優先権主張番号】62/585,780
(32)【優先日】2017-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517350388
【氏名又は名称】アーセルクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ヒルベルト,デイビッド,エム.
(72)【発明者】
【氏名】スワース,ジェフリー,エス.
(57)【要約】
【課題】BCMA、CD123、AFP、AFPp26、CS1、又はHER2の標的タンパク質に特異的に結合する、非抗体構造骨格をベースとしたDドメイン(DD)含有ポリペプチド(DDpp)を提供する。
【解決手段】特定の配列を有する上記標的タンパク質に結合するDDpp、DDppを含む融合タンパク質(キメラ抗体受容体等)、これらのタンパク質をコードする核酸、核酸を含むベクター及び宿主細胞、並びに前記タンパク質、核酸、ベクター、細胞、または医薬組成物を用いた疾患の診断および治療方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記からなる群より選択されるメンバーであるDドメイン(DD)標的結合ドメインを含むタンパク質:
(a)BCMAに特異的に結合し、配列番号11~305、または306のアミノ酸配列を含むDD、
(b)CD123に特異的に結合し、配列番号307~739、または740のアミノ酸配列を含むDD、
(c)AFPに特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD、
(d)AFP p26に特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD、
(e)CS1に特異的に結合し、配列番号896~909、または910のアミノ酸配列を含むDD、および
(f)HER2に特異的に結合し、配列番号911~949、または950のアミノ酸配列を含むDD。
【請求項2】
前記DDが、異種ポリペプチドに融合されている、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
前記異種ポリペプチドが、完全長抗体または抗体フラグメントを含む、請求項2に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記異種ポリペプチドが、下記からなる群より選択されるメンバーを含む、請求項2に記載のタンパク質:
(a)膜貫通ドメイン、
(b)膜結合ドメイン、
(c)ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメント、
(d)AFPまたはそのフラグメント、
(e)AFP p26またはそのフラグメント、および
(f)受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント。
【請求項5】
前記DDが、完全長抗体重鎖のアミノ末端、完全長抗体軽鎖のアミノ末端、完全長抗体重鎖のカルボキシル末端、または完全長抗体軽鎖のカルボキシル末端に融合される、請求項3に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記異種ポリペプチドがFcである、請求項3に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記異種ポリペプチドが、BCMA、CD123、CS1、およびCD19からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む、請求項2に記載のタンパク質。
【請求項8】
標識されている、請求項1~7のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項9】
前記標識が、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、およびビオチン部分からなる群より選択される、請求項9に記載のタンパク質。
【請求項10】
治療薬または細胞傷害剤に結合されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか1項に記載のタンパク質を含む標的結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
【請求項12】
標的結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項11に記載のCAR。
【請求項13】
膜貫通ドメインが、41BBまたはCD28膜貫通ドメインを含む、請求項11または12に記載のCAR。
【請求項14】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項11~13のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項15】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、請求項11~14のいずれか1項に記載のCAR。
【請求項16】
前記DD標的結合ドメインと同じまたはこれと異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のタンパク質。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質をコードする、単離核酸。
【請求項18】
請求項17に記載の核酸を含む、ベクター。
【請求項19】
前記核酸が、前記核酸によりコードされたタンパク質の発現を調節するヌクレオチド配列に動作可能に連結されている、請求項18に記載のベクター。
【請求項20】
レンチウイルスベクターである、請求項19に記載のベクター。
【請求項21】
請求項17に記載の核酸、または請求項18~21のいずれか1項に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項22】
請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質を発現するように遺伝子改変された、細胞。
【請求項23】
T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項21または22に記載の細胞。
【請求項24】
請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、または請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞を含む、医薬組成物。
【請求項25】
請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質を含む、キット。
【請求項26】
癌の対象を治療する方法であって、
請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞、または請求項24に記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記癌が、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、形質細胞腫、および骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記B細胞悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫および多発性骨髄腫からなる群より選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項27】
前記癌が、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、白血病、形質細胞腫および骨髄腫からなる群から選択される骨髄悪性腫瘍である、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
B細胞関連障害(例えば、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS))の対象を治療する方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞、または請求項24に記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項30】
免疫系の障害のある対象を治療する方法であって、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞、または請求項24に記載の医薬組成物の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項31】
前記免疫系の障害が、関節リウマチなどの自己免疫疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
癌の対象を治療する方法であって、
キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を前記対象に投与することを含み、前記CARが、任意選択で、癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合してもよい、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDDを含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメイン;を含み、前記細胞内ドメインがシグナル伝達ドメインを含み、対象に投与時に、前記標的結合ドメインは癌細胞により発現された前記着目標的に特異的に結合し、および
前記着目標的の結合により前記免疫細胞が前記癌細胞に対して細胞傷害性効果をもたらす細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される、方法。
【請求項33】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記免疫細胞がNK細胞である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記投与が静脈内投与である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
癌を治療するための組成物の使用であって、前記組成物が、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20のいずれか1項に記載のベクター、または請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞を含む、使用。
【請求項37】
前記癌がB細胞悪性腫瘍である、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
前記B細胞悪性腫瘍が、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
前記B細胞悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫からなる群より選択される、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
B細胞関連障害を治療するための組成物の使用であって、前記組成物が、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞、または請求項24に記載の医薬組成物を含む、使用。
【請求項41】
前記免疫系の障害を治療するための組成物の使用であって、前記組成物が、請求項1~16のいずれか1項に記載のタンパク質、請求項17に記載の核酸、請求項18、19または20に記載のベクター、請求項21~23のいずれか1項に記載の細胞、または請求項24に記載の医薬組成物を含む、使用。
【請求項42】
前記免疫系の障害が、関節リウマチなどの自己免疫疾患である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
癌の治療のためのキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用であって、前記CARが、任意選択で、癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合してもよい、配列番号11~949、または950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDDを含む標的結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、前記細胞内ドメインがシグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、前記標的結合ドメインが癌細胞により発現された前記着目標的に特異的に結合し、および
前記着目標的の結合により前記免疫細胞が前記癌細胞に対して細胞傷害性効果をもたらす細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される、使用。
【請求項44】
前記免疫細胞が、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、請求項43に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
抗体ベース試薬により生物学的研究開発のペースが加速された。抗体組成物は、医薬品産業で利用されている治療薬および診断薬の内で最も重要で、成功したものの一つである。しかし、コスト、時間および効力の観点から、代わりの親和性試薬の開発に向けた気運が高まってきた。
【0002】
歴史的に抗体により達成されてきた用途に対し、種々の非抗体結合フォーマットが出現した。不定形の直鎖ペプチドに関しては多くの成功事例が報告されているが、ペプチド配列に構造的制約を課すことにより-通常は、ジスルフィド結合の導入により、さらに明確な結果が達成されている。この制約は、固定形状相補性のより好ましい熱力学および残基の表面提示(例えば、疎水性アミノ酸)(それ以外の場合には埋め込まれるため、対向ターゲットではなくなり得る)を介して、より高い親和性およびより高い特異性を提供する(Ladner,Trends in Biotech.13(10):426-430(1995))。逆に、ジスルフィド結合を含むフォーマットは通常、ドメイン内またはドメイン間のシステインの不適切な対形成をする傾向があり、これが、低い発現、製品収率および製品品質に繋がる可能性がある。
【0003】
タンパク質サブドメインで見つかる構造は、別の構造的制約源を提供した。フィブロネクチンIII型リピート(アドネクチン)、z-タンパク質(アフィボディ)、ノッチン、リポカリン(アンチカリン)およびアンキリンリピート(DARPin)などの構造は、種々の異なる標的に対して抗体様親和性が生じた(Hey et al.,Trends in Biotech.23(10):514-422(2005))。これらのドメインは通常、抗体可変ドメイン中に認められるフレームワークおよび相補性決定領域(CDR)に類似の2つの特徴:高い熱力学的安定性を付与する構造的骨格およびライブラリーの変動性を提示するための基盤を形成する残基またはループを含む。
【発明の概要】
【0004】
新規標的結合組成物、特に、代替結合骨格(例えば、非抗体骨格)を含むこのような試薬に対する必要性は、実質的にまだ未充足のままである。特に着目すべき試薬は、例えば、抗体と比較して、実質的に低減された製造コストおよび/または同等のまたは優れた試薬、診断および/または治療特性を特徴とし得る。本開示は、非抗体構造骨格をベースとした新規標的結合Dドメイン(DD)ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、Dドメインポリペプチド(DDpp)は、高標的結合親和性および非抗体構造骨格を特徴とする。いくつかの実施形態では、DDppは、特定の細胞(例えば、疾患細胞)に対し標的治療薬(例えば、免疫細胞)として都合よく使用することにより、オフターゲット効果を低減または無くすることができる標的特異的結合ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、提供されるDDppは、疾患に関与する細胞または可溶性因子に結合する治療薬として使用される。
【0005】
いくつかの実施形態では、本開示はDドメイン(DD)標的結合ドメインを含むタンパク質(DDpp)を提供し、DDは、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、CS1(配列番号965)、HER2(配列番号967)、AFP(配列番号9)、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントからなる群より選択される着目標的に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、一価または多価である。いくつかの実施形態では、DDppは、単一特異性または多重特異性である。さらなる実施形態では、DDppは、単一特異性で、多価性である。他の実施形態では、DDppは、多重特異性で、多価性である。融合タンパク質の製造方法と使用方法と同様に、1つまたは複数のDDを含む融合タンパク質も提供される。DDppおよびベクターをコードする核酸ならびに核酸を含む宿主細胞も提供される。このような使用の非限定的例には、限定されないが、標的分析、ならびに診断および治療用途が挙げられる。
【0006】
さらなる実施形態では、本開示は、Dドメイン(DD)標的結合ドメインを含むタンパク質(DDpp)を提供し、DDは、(a)BCMA(配列番号7)に特異的に結合し、配列番号11~305、または306のアミノ酸配列を含むDD;(b)CD123(配列番号8)に特異的に結合し、配列番号307~739、または740のアミノ酸配列を含むDD;(c)AFP(配列番号9)またはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD;(d)AFP p26(配列番号10)に特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD;(e)CS1(配列番号965)またはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号896~909、または910のアミノ酸配列を含むDD、および(f)HER2またはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号911~949、または950のアミノ酸配列を含むDDからなる群より選択されるメンバーである。それらそれぞれの標的に特異的に結合する能力を保持している(a)~(f)の変異体を含むタンパク質も提供される。いくつかの実施形態では、DDppは、異種ポリペプチドに融合される。いくつかの実施形態では異種ポリペプチドは、完全長抗体またはその抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDは、完全長抗体重鎖のアミノ末端;完全長抗体軽鎖のアミノ末端;完全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または完全長抗体軽鎖のカルボキシル末端に融合される。他の実施形態では、DDは、Fcである抗体フラグメントに融合される。さらなる実施形態では、異種ポリペプチドは、(i)膜貫通ドメイン;(ii)膜結合ドメイン;(iii)ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメント;(iv)AFPまたはそのフラグメント;(v)AFP p26またはそのフラグメント;(vi)受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント;および(vii)細胞内受容体(例えば、核タンパク質)の細胞外ドメインまたはそのフラグメントからなる群より選択されるメンバーを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)またはCD19(配列番号3)またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたは細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、血清タンパク質(例えば、AFP、およびAFP p26)の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、標識されている。さらなる実施形態では、標識は、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、およびビオチン部分からなる群より選択される。さらなる実施形態では、タンパク質は、治療薬または細胞傷害剤に結合される。いくつかの実施形態では、タンパク質は、1つまたは複数の主要組織適合抗原(MHC)クラスIまたはクラスII複合体に結合する異種ポリペプチドを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、BCMAに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAタンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、BCMAに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、BCMAの異なるエピトープに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含み、BCMAまたは異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0008】
いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAタンパク質に特異的に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む融合タンパク質である。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0009】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたBCMA結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPもしくはAFP p26、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(例えば、配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、1つまたは複数の標的結合DDppおよびp29タンパク質(例えば、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有する)を含む可溶性タンパク質である。このようなp29配列を含む融合タンパク質は、驚くべきことに、本明細書で、長い血清中半減期を有することが発見された。いくつかの実施形態では、可溶性DDpp融合タンパク質は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、またはそれを超えるインビボ血漿中半減期を有する。いくつかの実施形態では、可溶性融合タンパク質は、マウスで、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い時間、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿中半減期を有する。いくつかの実施形態では、可溶性DDpp融合タンパク質は、ヒトで、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い時間、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿中半減期を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD123(例えば、配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、CS1、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0012】
さらなる実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA、AFP、およびAFP p26)、受容体(例えば、BCMA、CD123、CS1、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0013】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、CD123に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、CD123に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、CD123の異なるエピトープに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含み、BCMAまたは異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0014】
いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN8828)を含む。他の実施形態では、CD123結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0015】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたCD123結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPもしくはAFP p26、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(例えば、配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、CS1、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0017】
さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA、AFP、およびAFP 26)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0019】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、CS1に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、CS1に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、CS1の異なるエピトープに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含み、BCMAまたは異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0020】
いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN8828)を含む。他の実施形態では、CS1結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0021】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたCS1結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPもしくはAFP p26、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(例えば、配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、CS-1、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0023】
さらなる実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA、AFP、およびAFP 26)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0025】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、AFPまたはそのフラグメントに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号9からなるアミノ酸配列またはそのフラグメントを有するAFPタンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、AFPまたはそのフラグメントに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、AFPの異なるエピトープまたはそのフラグメントに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPまたはそのフラグメントに特異的に結合するDDを含み、AFP、AFPフラグメント、または異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPまたはそのフラグメントに特異的に結合するDDを含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0026】
いくつかの実施形態では、DDppは、AFP、またはそのフラグメントに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号9からなるアミノ酸配列またはそのフラグメントを有するAFPタンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)に動作可能に連結されたAFP結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0027】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたAFPまたはAFPフラグメントに特異的に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPまたはAFPフラグメントに特異的に結合するDDを含み、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPまたはAFPフラグメントに特異的に結合するDDを含み、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0031】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、AFP p26に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号10からなるアミノ酸配列またはそのフラグメントを有するAFP p26に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDは、配列番号10からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合するが、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPには特異的に結合しない。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、AFP p26に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、AFP p26の異なるエピトープに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含み、AFP p26または異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0032】
いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号10からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質のDDは、AFP p26に特異的に結合するが、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPに特異的に結合しない。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む融合タンパク質である。他の実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0033】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26に特異的に結合するDDを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたAFP p26結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質はAFP p26結合DDを含み、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0035】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質はAFP p26結合DDを含み、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0036】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、HER2に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、複数の標的結合ドメイン(例えば、二量体、三量体、など)を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、HER2に結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、HER2の異なるエピトープに結合するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含み、BCMAまたは異なる標的抗原に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含み、癌細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0037】
いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2タンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体を含む。他の実施形態では、HER2結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0038】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたHER2結合DDを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPもしくはAFP p26、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(例えば、配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、CS-1、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0040】
さらなる実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質(例えば、HSA、AFP、およびAFP 26)、受容体(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)の細胞外ドメイン、または細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のフラグメントを含み、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸残基からなる。
【0042】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む融合タンパク質である。さらなる実施形態では、DDppは、完全長抗体を含む融合タンパク質であり、抗体は、DDpp融合タンパク質が投与される対象の癌により発現されると考えられている癌抗原に特異的に結合する。
【0043】
いくつかの実施形態では、開示DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、標識されている。DDppを標識するために使用できる標識は、限定されないが、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識が挙げられる。いくつかの実施形態では、標識はビオチン部分である。いくつかの実施形態では、標識はストレプトアビジン部分である。いくつかの実施形態では、標識はHisタグまたはFLAGタグである。いくつかの実施形態では、標識は、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、またはその他の類似の薬剤である。
【0044】
他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、固体担体に結合される。いくつかの実施形態では、固体担体は、ビーズ、スライドガラス、チップ、ゼラチン、およびアガロースからなる群より選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、リポソームに結合されている。いくつかの実施形態では、DDppは、共有結合によりリポソームに結合されている。いくつかの実施形態では、DDppは融合タンパク質である。さらなる実施形態では、DDppはCARである。さらなる実施形態では、DDppは、共有結合ではなくイオン結合によりリポソームに結合されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、標的結合DDppは、治療薬または細胞傷害剤(例えば、化学療法剤または放射線治療薬)に結合されている。
【0047】
さらなる実施形態では、本開示は、本明細書で開示のDD(例えば、配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を含むDD)を含む標的結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を提供する。いくつかの実施形態では、DDは、BCMAに結合し、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、CD123に結合し、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、AFPに結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、AFP p26に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、標的結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CAR膜貫通ドメインは、41BBまたはCD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、ヒトT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、DD標的結合ドメインと同じまたはこれと異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、CARは免疫細胞で発現される。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞はT細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの実施形態では、CARは、リポソームに結合されている。
【0048】
いくつかの実施形態では、CARは、癌細胞の表面上に発現した着目標的(例えば、BCMAまたはCD123)に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。さらなる実施形態では、CARは、癌細胞の表面上に発現した第2の異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。さらなる実施形態では、投与されるCARは、第2の異なる癌細胞または血管内皮細胞により発現された第2の異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。
【0049】
開示DDpp(例えば、核酸DDpp融合タンパク質)をコードする核酸も提供される。さらに、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)をコードする核酸を含むベクター(例えば、プラスミド、ウイルスベクター、および非ウイルスベクター)ならびに核酸およびベクターを含む宿主細胞も提供される。いくつかの実施形態では、ベクターは、核酸分子によりコードされたポリペプチドの発現を調節するヌクレオチド配列を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、誘導性プロモーター配列を含む。さらなる実施形態では、ベクターは、タンパク質コード核酸の発現のための1種または複数の追加の標準的成分(例えば、プロモーター、パッケージング成分、など)を含む。いくつかの実施形態では、ベクターはレンチウイルスベクターである。
【0050】
本開示は、本明細書で開示の標的結合DDppをコードする核酸分子を含む宿主細胞も提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞(例えば、細胞の細胞株)は、本明細書で開示のDD(例えば、配列番号11~949,または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質を発現するように遺伝子改変される。いくつかの実施形態では、宿主細胞によるDDppの発現は、DDppの産生と単離を可能とする。いくつかの実施形態では、発現は、表面上に発現されたおよび/または宿主細胞の膜に一体化されたDDppをもたらす。いくつかの実施形態では、宿主細胞はウイルス粒子、または細菌、酵母、真菌、または植物細胞である。他の実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。さらなる実施形態では、哺乳動物細胞は免疫細胞である。一実施形態では、宿主細胞はヒト免疫細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト免疫細胞はT細胞である。他の実施形態では、ヒト免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、ヒト免疫細胞はその細胞表面上にDDppを提示する。
【0051】
本開示は、本明細書で開示のDDを含むタンパク質を発現している宿主細胞をさらに提供する。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本明細書で開示のDDを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。いくつかの実施形態では、CARは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950ならびに膜貫通ドメインから選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む標的結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)をさらに含む。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、CAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、宿主免疫細胞により発現された第1のCARと同じまたは異なる標的(同じ標的の異なるエピトープ、または癌細胞により発現された第2の着目標的)に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む免疫細胞である。
【0052】
膜結合型のウイルス様粒子(VLP)を生成する哺乳動物細胞も提供され、哺乳動物細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)に融合されたDドメインポリペプチド(DDpp)を含む融合タンパク質を発現するように遺伝子改変され、融合タンパク質は、生成されたVLP上に発現される(例えば、膜貫通タンパク質として)。実施形態に応じて、哺乳動物細胞により生成されたVLPは、抗体生成のための免疫原としての使用に好適する。
【0053】
本明細書で開示のDDを含むタンパク質を含む医薬組成物、タンパク質をコードする核酸、核酸を含むベクター、および核酸および/またはベクターを含む宿主細胞も提供される。同様に、開示標的結合DDpp(例えば、DD-FcおよびDD-CARなどのDDpp融合タンパク質)、核酸分子、ベクター、および宿主細胞の内の1つまたは複数を含むキット(例えば、治療キット、診断キット、研究用途用キット、など)も提供される。
【0054】
本明細書で提供されるDDppは、限定されないが、インビトロまたはインビボで着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26、ペプチドタグ、およびアルファフェトプロテイン、ヒト血清アルブミン(HSA)または免疫グロブリンなどの血清タンパク質などの治療標的および/または診断標的)に特異的に結合する能力およびDDpp融合タンパク質などのタンパク質を1つまたは複数の追加の部分(例えば、固体担体)と連結または結合するための、および/またはそのほかの修飾のための反応部位として機能する能力を有する。本明細書で提供されるDDppはまた、追加の望ましい、製造、処方および生物学的、診断、ならびに治療用途に有用な特性および/または機能も有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、DDppは、標的を含む試料中の着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に結合、検出、および/または定量するために使用される。一実施形態では、本開示は、試料中の着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)を検出する方法を提供し、該方法は、(a)試料と、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、標的に特異的に結合するDDを含むDDppとを、標的に対するDDppの特異的結合に好適する条件下で接触させて、標的/DDpp複合体を形成させること、および(b)複合体および/または捕捉標的の存在を検出すること、を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、固体担体に固定される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号11~305または306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のBCMAまたはBCMAを含む融合タンパク質に結合、これを検出、および/または定量するために使用される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号307~739または740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のCD123またはCD123を含む融合タンパク質に結合、これを検出、および/または定量するために使用される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号741~874または886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のAFP p26またはAFP p26を含む融合タンパク質に結合、これを検出、および/または定量するために使用される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号896~909または910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のCS1またはCS1を含む融合タンパク質に結合、これを検出、および/または定量するために使用される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号911~949または950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、DDppは、試料中のHER2またはHER2を含む融合タンパク質に結合、これを検出、および/または定量するために使用される。
【0056】
標的を含む試料中の着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)を定量する方法も提供し、該方法は、(a)試料と、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含み、固体担体上に固定され、標的に特異的に結合するDDを含むDDppとを、標的に対するDDppの特異的結合に好適する条件下で接触させて、標的/DDpp複合体を形成させること、および(b)標的/DDpp複合体および/または捕捉標的の存在を検出すること、を含み、生成物の定量的検出は、試料中の標的の量または標的を含む融合タンパク質の量を示す、またはほかの方法でこれら量と相互に関係づけることができる。
【0057】
さらなる実施形態では、提供されるDDppは、タンパク質分析で使用される。いくつかの実施形態では、DDppは、検出可能薬剤および/またはタグに結合される。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;または配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、検出可能薬剤に結合される。一実施形態では、検出可能薬剤は色素原を含む。別の実施形態では、検出可能薬剤は蛍光染料を含む。さらなる実施形態では、検出可能薬剤は放射性核種を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、共有結合により検出可能な薬剤に結合される。いくつかの実施形態では、DDppは融合タンパク質である。さらなる実施形態では、DDppは、多量体である。さらなる実施形態では、DDppは、タグに結合される。いくつかの実施形態では、タグは、ポリヒスチジンタグ、ミックタグ、およびFLAGタグからなる群より選択されるメンバーである。さらなる実施形態では、DDppは、タグの組み合わせ(例えば、ポリヒスチジンタグおよびFLAGタグ)に結合される。いくつかの実施形態では、DDppは、共有結合によりタグに結合される。いくつかの実施形態では、DDppは融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは多量体である。
【0058】
さらなる実施形態では、DDppは、固体担体またはタグに結合される。いくつかの実施形態では、固体担体は、クロマトグラフィービーズ、樹脂、スライド・ガラス、チップ、ゼラチン、またはアガロースである。
【0059】
診断および治療用途でDDppを使用する方法も提供される。一実施形態では、本開示は、疾病または障害の治療方法を提供し、該方法は、着目治療標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合する治療有効量のDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)を、それを必要としている対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、癌、B細胞悪性腫瘍、免疫系の疾患または障害、または感染症である。追加の治療薬と開示DDppとの同時投与を含む疾患または障害の治療方法も提供される。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、疾患または障害は、乳癌または卵巣癌である。
【0060】
本明細書で開示の標的結合DDppは、診断および治療用途を含む用途を有する。いくつかの実施形態では、DDppは治療の状況、例えば、癌(例えば、固形または血液系腫瘍)などの疾患の治療および/または診断にとって有用である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、治療有効量の:本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質(すなわち、DDpp);該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクターまたは該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAに特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDDアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPに特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号10からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、AFP p26に特異的に結合するが、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPに特異的に結合しない。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍の対象を治療する方法を提供し、前記方法は、有効量の:本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクターまたは該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDDを含む標的結合ドメインを含み、該ポリペプチドは着目標的および膜貫通ドメインに特異的に結合する。さらなる実施形態では、着目標的は癌細胞により発現される。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAに特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号10からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、細胞内ドメインを含む。さらなる実施形態では、細胞内ドメインはシグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時には、標的結合ドメインが、癌細胞により発現された着目標的(例えば、BCMAおよびCD123)に特異的に結合し、着目標的の結合により免疫細胞が癌細胞に対して細胞傷害性効果を与える細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。他の実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されたCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、異なるCAR免疫細胞型の組み合わせが対象に静脈内投与される。いくつかの実施形態では、癌は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌または卵巣癌である。
【0064】
いくつかの実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍の対象を治療する方法を提供し、前記方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合するポリペプチドを含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAに特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1に特異的に結合する。さらなる実施形態では、標的結合ドメインは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、細胞内ドメインを含む。さらなる実施形態では、細胞内ドメインはシグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時には、標的結合ドメインが、悪性B細胞により発現された着目標的(例えば、BCMA、CS1、およびCD123)に特異的に結合し、着目標的の結合により免疫細胞が悪性のB癌細胞に対して細胞傷害性効果を与える細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。他の実施形態では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されたCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。いくつかの実施形態では、免疫細胞は静脈内投与される。いくつかの実施形態では、異なるCAR免疫細胞型の組み合わせが対象に静脈内投与される。
【0065】
いくつかの実施形態では、本開示は、B細関連障害のある対象を治療する方法を提供し、前記方法は、有効量の:本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクターまたは該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を対象に投与することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫系の障害のある対象を治療する方法を提供し、前記方法は、有効量の:本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクターまたは該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、免疫系の障害は、関節リウマチなどの自己免疫疾患である。
【0067】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌を治療するための組成物の使用を提供し、該組成物は、本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクターまたは該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を含む。いくつかの実施形態では、癌はB細胞悪性腫瘍である。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、癌は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌または卵巣癌である。
【0068】
いくつかの実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍を治療するための組成物の使用を提供し、該組成物は、本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクター;または該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を含む。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示は、B細胞関連障害を治療するための組成物の使用を提供し、該組成物は、本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクター;または該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、本開示は、免疫系の障害を治療するための組成物の使用を提供し、該組成物は、本明細書で開示のDD(例えば、表1に開示のアミノ酸配列を有するDD、または配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を有するDD)を含むタンパク質;該タンパク質をコードする核酸;該核酸を含むベクター;または該核酸もしくはベクターを含む宿主細胞を含む。いくつかの実施形態では、免疫系の障害は、関節リウマチなどの自己免疫疾患である。
【0071】
さらなる実施形態では、本開示は、癌の治療のための、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用を提供し、該CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合するポリペプチドを含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、標的結合ドメインは癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合し、着目標的の結合により、免疫細胞が癌細胞に対する細胞傷害性効果を生じる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、T細胞およびNK細胞)の組み合わせが使用される。いくつかの実施形態では、癌は多発性骨髄腫である。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌または卵巣癌である。
【0072】
さらなる実施形態では、本開示は、B細胞悪性腫瘍の治療のための、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用を提供し、CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、着目標的(例えば、BCMA、CS1、またはCD123などの悪性B細胞により発現された標的)に特異的に結合するポリペプチドを含み、配列番号11~306、307~740、および896~910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、標的結合ドメインは悪性B細胞により発現された着目標的に特異的に結合し、着目標的の結合により、免疫細胞が悪性B細胞に対する細胞傷害性効果を生じる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、T細胞およびNK細胞)の組み合わせが使用される。いくつかの実施形態では、B細胞悪性腫瘍は多発性骨髄腫である。
【0073】
さらなる実施形態では、本開示は、免疫系の障害の治療のための、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用を提供し、該CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、標的化される免疫細胞により発現された着目標的に特異的に結合するポリペプチドを含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み、免疫系障害のある対象に投与時に、標的結合ドメインは標的化免疫細胞により発現された着目標的に特異的に結合し、着目標的の結合により、組換え免疫細胞が標的化免疫細胞に対する細胞傷害性効果を生じる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。いくつかの実施形態では、免疫細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの実施形態では、免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、T細胞およびNK細胞)の組み合わせが使用される。
【0074】
上記で要約され、および/または本明細書で説明される方法は、開業医により行われる特定の行為を記載する;しかし、それらの方法は別の当事者によるこれらの行為の教示を同様に含めることができることは理解されたい。従って、「標的特異的結合ポリペプチド-CARを含むT細胞の投与」などの行為は、「標的特異的結合ポリペプチド-CARを含むT細胞の投与の教示」を含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、本開示は、下記を提供する。
[1].下記からなる群より選択されるメンバーであるDドメイン(DD)標的結合ドメインを含むタンパク質:
(a)BCMAに特異的に結合し、配列番号11~305、または306のアミノ酸配列を含むDD、
(b)CD123に特異的に結合し、配列番号307~739、または740のアミノ酸配列を含むDD、
(c)AFPに特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD、
(d)AFP p26に特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD、
(e)CS1に特異的に結合し、配列番号896~909、または910のアミノ酸配列を含むDD、
(f)HER2に特異的に結合し、配列番号911~949、または950のアミノ酸配列を含むDD。
[2].DDが異種ポリペプチドに融合されている、[1]に記載のタンパク質。
[3].異種ポリペプチドが、完全長抗体または抗体フラグメントを含む、[2]に記載のタンパク質。
[4].異種ポリペプチドが、下記からなる群より選択されるメンバーを含む、[2]に記載のタンパク質。
(a)膜貫通ドメイン、
(b)膜結合ドメイン、
(c)ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメント、
(d)AFPまたはそのフラグメント、
(e)AFP p26またはそのフラグメント、および
(f)受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント。
[5].DDが、完全長抗体重鎖のアミノ末端;完全長抗体軽鎖のアミノ末端;完全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または完全長抗体軽鎖のカルボキシル末端に融合される、[3]に記載のタンパク質。
[6].異種ポリペプチドがFcである、[3]に記載のタンパク質。
[7].異種ポリペプチドが、BCMA、CD123、CS1、およびCD19からなる群より選択される受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む、[2]に記載のタンパク質。
[8].標識されている、[1]~[7]のいずれか1つに記載のタンパク質。
[9].標識が、酵素標識、蛍光標識、発光標識、生物発光標識、およびビオチン部分からなる群より選択される、[9]に記載のタンパク質。
[10].治療薬または細胞傷害剤に結合される、[1]~[10]のいずれか1つに記載のタンパク質。
[11].[1]~[5]のいずれか1つに記載のタンパク質を含む標的結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
[12].標的結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む、[11]に記載のCAR。
[13].膜貫通ドメインが、41BBまたはCD28膜貫通ドメインを含む、[11]または[12]に記載のCAR。
[14].細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、[11]~[13]のいずれか1つに記載のCAR。
[15].細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、[11]~[14]のいずれか1つに記載のCAR。
[16].DD標的結合ドメインと同じまたはこれと異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む、[1]~[15]のいずれか1つに記載のタンパク質。
[17].[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質をコードする、単離核酸。
[18].[17]に記載の核酸を含む、ベクター。
[19].核酸が、核酸によりコードされたタンパク質の発現を調節するヌクレオチド配列に作動可能に連結されている、[18]に記載のベクター。
[20].レンチウイルスベクターである、[19]に記載のベクター。
[21].[17]に記載の核酸、または[18]~[21]のいずれか1つに記載のベクターを含む、宿主細胞。
[22].[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質を発現するように遺伝子改変された、細胞。
[23].T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、[21]または[22]に記載の細胞。
[24].[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、または[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞を含む、医薬組成物。
[25].[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質を含む、キット。
[26].癌の対象を治療する方法であって、
[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞、または[24]に記載の医薬組成物の有効量を対象に投与することを含む、方法。
[26].癌が、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、形質細胞腫、および骨髄腫からなる群より選択されるB細胞悪性腫瘍である、[26]に記載の方法。
[28].B細胞悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質細胞腫、および多発性骨髄腫からなる群より選択される、[27]に記載の方法。
[27].癌が、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、白血病、形質細胞腫および骨髄腫からなる群から選択される骨髄悪性腫瘍である、[26]に記載の方法。
[29].B細胞関連障害(例えば、意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)の対象を治療する方法であって、有効量の、[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞、または[24]に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
[30].免疫系の障害のある対象を治療する方法であって、有効量の、[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞、または[24]に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む、方法。
[31].免疫系の障害が、関節リウマチなどの自己免疫疾患である、[30]に記載の方法。
[32].癌の対象を治療する方法であって、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を対象に投与することを含み、該CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有し、任意選択で癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合してもよい、DDを含む標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み、対象に投与時に、標的結合ドメインは癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合し、着目標的の結合により、免疫細胞が癌細胞に対する細胞傷害性効果を生じる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される、方法。
[33].免疫細胞がT細胞である、[32]に記載の方法。
[34].免疫細胞がNK細胞である、[32]に記載の方法。
[35].投与が静脈内である、[32]に記載の方法。
[36].癌を治療するための組成物の使用であって、組成物が、[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、または[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞を含む、使用。
[37].癌がB細胞悪性腫瘍である、[36]に記載の使用。
[38].B細胞悪性腫瘍が、リンパ腫(例えば、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL))、白血病、および骨髄腫からなる群より選択される、[37]に記載の使用。
[39].B細胞悪性腫瘍が、慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫からなる群より選択される、[38]に記載の使用。
[40].B細胞関連障害を治療するための組成物の使用であって、組成物が、[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞、または[24]に記載の医薬組成物を含む、使用。
[41].免疫系の障害を治療するための組成物の使用であって、組成物が、[1]~[16]のいずれか1つに記載のタンパク質、[17]に記載の核酸、[18]、[19]または[20]に記載のベクター、[21]~[23]のいずれか1つに記載の細胞、または[24]に記載の医薬組成物を含む、使用。
[42].免疫系の障害が、関節リウマチなどの自己免疫疾患である、[41]に記載の使用。
[43].癌の治療のための、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用であって、該CARは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含み、任意選択で癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合してもよい、標的結合ドメイン;膜貫通ドメイン;および細胞内ドメインを含み、該細胞内ドメインは、シグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、標的結合ドメインは癌細胞により発現された着目標的に特異的に結合し、着目標的の結合により、免疫細胞が癌細胞に対する細胞傷害性効果を生じる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導される、使用。
[44].免疫細胞が、T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である、[43]に記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【
図1】(
図1A-1B)DDppは、融合タンパク質(例えば、抗体-DDpp融合タンパク質)の一部として、新規結合特異性を別の分子(例えば、完全長抗体)に付与する。DDpp-抗体融合体は、RSV特異的抗体(SYN)および配列番号1の標的のないペプチド(DD)またはCD137特異的DDpp(bb10)(配列番号876)を用いて作成された。DDppは、N末端(bb10-SYNおよびDD-SYN)またはC末端(SYN-bb10およびSYN-DD)に融合される。4つすべての抗体融合体は、RSVに結合する(
図1A)。しかし、bb10の抗体重鎖のN末端(bb10-SYN)またはC末端(SYN-bb10)への融合は、通常は単一特異性である抗体に対し、新規CD137結合特異性を付与する(
図1B)。
【
図2-1】(
図2A-2F)CD123-DDpp-CAR T細胞は、標的結合に応答してサイトカインを産生する。
図2Aおよび2Bは、CD123陰性腫瘍K562およびCD123陽性腫瘍BDCMと共培養した場合、それぞれの、CD123-DDpp-CAR発現T細胞によるインターフェロンガンマ(IFNγ)の産生に関連するデータを示す。
図2Cおよび2Dは、K562およびBDCMと共培養した場合の、それぞれの、CD123-DDpp-CAR T細胞によるインターロイキン-2(IL2)の産生を測定した類似のデータを示す。
図2Eおよび2Fは、PDL1発現腫瘍細胞(SUDHL-1)と共培養した場合の、PD-L1-DDpp CAR T細胞による類似の標的駆動サイトカイン(IFNγ、IL2)を示す。
【
図3】(
図3A-3B)DDpp-CAR発現T細胞は、scFvよりも高い程度までの過剰枯渇を受けない。
図3Aは、3種の枯渇マーカー(LAG3、PD1、およびTIM3)の、scFv-CAR 32716上のこれらのマーカーの発現と類似のレベルで種々のDDpp-CARを発現しているT細胞上の発現を示す(3278(Du X1,Ho M,Pastan I.2007.New immunotoxins targeting CD123,a stem cell antigen on acute myeloid leukemia cells.J Immunother.30(6):607-13)。
図3Bは、CD123特異的scFv(32716)を発現しているCAR T細胞に比較して、DDpp-CAR T細胞(CD123標的化cg06 DDppを発現している)上の類似の枯渇マーカー発現を示すフローサイトメトリーデータを示す。
【
図4】(
図4A-4C)標的発現腫瘍細胞(BDCM)と共培養した場合、DDpp-CAR発現T細胞(CD123標的化)は脱顆粒を受ける。
図4A~4Cは、T細胞単独培養(
図4A)またはK562細胞の存在下での培養(
図4B)またはBDCM細胞の存在下での培養(
図4C)により得られた結果を示す。
【
図5-1】(
図5A-5D)DDpp-CAR発現T細胞は、標的特異的腫瘍細胞傷害性を媒介する。
図5Aは、CD123陰性のK562腫瘍細胞のCD123-DDpp-CAR T細胞による死滅%に関連するデータを示す。
図5Bは、CD123標的化DDpp-CAR T細胞がCD123陽性BDCM細胞と共培養された場合の死滅%を示す。
図5Aおよび5Bからのデータは、第1のドナー血液試料由来のT細胞を用いて生成された。
図5Cおよび5Dは、第2のドナー由来の収集T細胞からの類似のデータを示す。
【
図6】(
図6A-6E)二重特異的DDpp-CAR T細胞。
図6Aは、CD123標的化DDpp-CAR(cg06)を発現しているT細胞の%を示す。
図6Bは、PDL1標的化DDpp-CAR(pb04)を発現しているT細胞の%を示す。
図6Cは、二重特異的CD123-PDL1標的化DDpp-CARを発現(pb04 DDppに比べて、T細胞膜に遠位のcg06 DDppを用いて発現)しているT細胞の%を示す。
図6Dは、二重特異的PDL1-CD123標的化DDpp-CARを発現(cg06 DDppに比べて、T細胞膜に遠位のpb04 DDppを用いて発現)しているT細胞の%を示す。
図6Eは、二重特異性DDppの増大した細胞内シグナル伝達に関連するデータを示す。
【
図7】(
図7A-7B)二重結合ドメインアダプター蛋白質は、単一結合ドメインアダプター蛋白質に比べて、CAR発現ジャーカットNFAT-ルシフェラーゼレポーター細胞により高められたシグナル伝達を促進することを示す。
図7Aでは、予めAFP(p26ドメイン)-結合CAR(af03)を形質導入した50,000個のレポーター細胞を、CD123特異的Cg06アダプター(Cg06-p26)またはCg06-二重アダプター蛋白質(Cg06-p26-Cg06)の存在下、50,000個のCD123
+MOLM13またはCD123-欠損MOLM13細胞の存在下で、5時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を評価した。CD123欠乏細胞は、CRISPR/Cas9遺伝子工学技術を用いて生成した。
図7Bでは、予めAFP(p26ドメイン)結合CAR(af03)を形質導入した50,000個のレポーター細胞を、50,000個のBCMA
+U266細胞の存在または非存在下、BCMA特異的Bc40-アダプター(Bc40-p26)またはBc40-二重アダプター蛋白質(Bc40-p26-Bc40)の存在下で5時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を評価した。
【
図8】bc40 DDpp(配列番号164)を含むBCMA-標的化DDpp-CARは、B細胞癌のマウスモデルにおいてBCMA-発現腫瘍、U226を根絶する。
【発明を実施するための形態】
【0077】
本明細書で使用されるセクション見出しはいずれも、単に構成上の意図であり、記載主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0078】
用語の定義
実施形態が用語の「含む(comprising)」と共に本明細書で記載される場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「から基本的になる(consisting essentially of)」の用語で記載される別の類似の実施形態も同様に提供される。しかし、特許請求の範囲で移行句として使用される場合は、それぞれが別々におよび適切な法的文脈および事実の文脈で解釈されるべきである(例えば、「含む(comprising)」は、より開放型の語句であると見なされ、「からなる(consisting of)」はより排他的であると見なされ、「から基本的になる(consisting essentially of)」はこれらの中間的であると見なされる)。
【0079】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、特に明記しない限り複数の参照物を含む。
【0080】
「Aおよび/またはB」などの表現で使用される用語の「および/または」は本明細書では、AとBの両方;AまたはB;A(単独);およびB(単独)を含むことが意図されている。同様に、「A、Bおよび/またはC」などの表現で使用される用語の「および/または」はそれぞれ次の実施形態を包含する:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0081】
用語の「タンパク質」および「ポリペプチド」は、本明細書では同義に用いられ、ペプチド結合を介して結合されたアミノ酸由来の単位を含む生物学的ポリマーを意味し、タンパク質は、2つ以上のポリペプチド鎖から構成され得る。
【0082】
本明細書で同義に使用される場合、用語の「抗体」または「免疫グロブリン」は、完全長抗体および抗原結合フラグメントまたはその単鎖、エフェクタードメイン、サルベージ受容体結合エピトープ、またはその一部などの抗体の任意の機能的ドメインを含む抗体フラグメントを含む。典型的抗体は、ジスルフィド結合により相互に連接された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(VHと略称)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2、およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VLと略称)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメイン、Clからなる。VHおよびVL領域は、より保存されたフレームワーク領域(FW)と呼ばれる領域が散在する相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分できる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFWからなり、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順で配列される:FW1、CDR1、FW2、CDR2、FW3、CDR3、FW4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1の構成成分(C1q)を含む宿主組織または因子への免疫グロブリンの結合を媒介し得る。本開示の抗体の例には、典型的抗体、scFv、およびこれらの組み合わせおよびこれらの組み合わせが挙げられ、例えば、DDppは、典型的な全(完全長)抗体の重鎖および/または軽鎖のN末端に共有結合される(例えば、ペプチド結合を介して、または化学的リンカーを介して)か、完全長抗体のH鎖および/またはL鎖中にインターカレートされる。
【0083】
用語の「抗体フラグメント」は、完全な抗体の一部を意味し、例えば、抗原結合フラグメントまたはその単鎖、エフェクタードメイン、サルベージ受容体結合エピトープ、またはその一部などの抗体の任意の機能的ドメインを意味する。抗体フラグメントの例には、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、およびFvフラグメント、直鎖抗体、単鎖抗体、および抗体フラグメントから形成された多重特異的抗体が挙げられる。本明細書で使用される場合、「抗体フラグメント」は、抗原結合部位またはエピトープ結合部位を含む。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、エフェクタードメインまたはその一部を含む。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、サルベージ受容体結合エピトープまたはその一部を含む。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語の「Fc領域」または単に「Fc」は、免疫グロブリン鎖定常領域、好ましくは免疫グロブリン重鎖定常領域、またはその一部分のカルボキシル末端部を意味すると理解される。例えば、免疫グロブリンFc領域は、(1)CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン、(2)CH1ドメインおよびCH2ドメイン、(3)CH1ドメインおよびCH3ドメイン、(4)CH2ドメインおよびCH3ドメイン、または(5)2つ以上のドメインおよび免疫グロブリンヒンジ部の組み合わせを含み得る。従って、種々の実施形態では、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、およびIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対しN末端の可撓性ヒンジを意味する。IgAおよびIgMに対しては、FcはJ鎖を含み得る。IgGに対しては、Fcは免疫グロブリンドメインCγ2およびCγ3ならびにCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。好ましい実施形態では、免疫グロブリンFc領域は、少なくとも免疫グロブリンヒンジ部、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含み、好ましくはCH1ドメインを欠く。一実施形態では、重鎖定常領域が由来する免疫グロブリンのクラスは、IgG(Igγ)(γサブクラス1、2、3、または4)である。免疫グロブリンの他のクラス、IgA(Igα)、IgD(Igδ)、IgE(Igε)およびIgM(Igμ)を使用してもよい。Fc領域の境界は変わるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、残基C226またはp260をそのカルボキシル末端に含むように定義され、ナンバリングは、Kabat(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,NIH,Bethesda,Md.(1991))に記載のEUインデックスに準拠する。Fcは、単独でのこの領域、または完全長抗体、抗体フラグメント、またはFc融合タンパク質の状況でのこの領域を意味し得る。限定されないが、EUインデックスによるナンバリングで位置270、272、312、315、356、および358を含む多数の異なるFc位置で多型が観察されており、従って、提示配列と、先行技術の配列との間にわずかな差異が存在し得る。適切な免疫グロブリン重鎖定常領域の選択は、米国特許第5,541,087号、および同5,726,044号に詳細に考察されている。これらの特許のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。特定の結果を得るための特定の免疫グロブリンクラスおよびサブクラスからの特定の免疫グロブリン重鎖定常領域配列の選択は、当該技術分野における技能レベルの範囲内にあると見なされる。免疫グロブリンFc領域をコードするDNA構築物の一部は、好ましくは、少なくとも一部のヒンジドメインを含み、および好ましくは少なくとも一部のFcガンマのCH3ドメインまたはIgA、IgD、IgE、またはIgMのいずれかの相同ドメインを含む。さらに、免疫グロブリン重鎖定常領域内のアミノ酸の置換または欠失は、本明細書で開示の方法および組成物の実施に有用であり得る。1例は、上流CH2領域にアミノ酸置換を導入し、Fc受容体に対する親和性の低減したFc変異体を生成することであろう(Cole,J.Immunol.159:3613(1997))。
【0085】
「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」は、Fc受容体(FcR)(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、およびマクロファージ)を発現している非特異的細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合抗体を認識し、その後、標的細胞を溶解させる(またはその他の細胞傷害性効果を引き起こす)細胞媒介反応を意味する。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号または同5,821,337号に記載のものなどの当該技術分野において既知のいずれかのインビトロADCCアッセイを用いることができる。このようなアッセイに有用なエフェクター細胞には、限定されないが、末梢血単核細胞(PBMC)およびナチュラルキラー細胞(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,PNAS 95:652-656(1998)に開示されたものなどの動物モデルを用いて、インビボで評価することができる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「単鎖可変フラグメント」、または「scFv」抗体は、リンカーペプチドで結合された重鎖および軽鎖のみの可変領域を含む、抗体の形態(例えば、抗体フラグメント)を意味する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDppおよびscFvを含む。
【0087】
用語の「リンカー」は、DDpp融合タンパク質のDDppと別のポリペプチドとの間に位置するペプチドまたはその他の化学的連結部を意味する。2つ以上の連結されるDDppを結合するための適切なリンカーは、当業者には明らかと思われ、また、非限定的例は本明細書で記載されている。
【0088】
本明細書で使用される場合、用語の「作動可能に連結された」は、それぞれが、各分子が単独で有した少なくともあるレベルの機能活性を保持するように(各分子が機能活性を保持する)、2つの分子が結合することを示す。1つの分子が機能活性を有さないいくつかの実施形態では、その他の分子が少なくともあるレベルのその機能活性を有する場合、それは、別の分子と作動可能に連結される。作動可能に連結されるは、2つの非機能的分子の連結を意味することもできる。2つの分子は、それらが直接的であっても、または間接的(例えば、リンカー経由で)であっても、「作動可能に連結される」ことができる。
【0089】
用語の「特異的に結合する」または「に対し選択的親和性を有する」、「結合する」、または「結合」は、同義に使用され、DDppなどの結合物質が、標的エピトープ、タンパク質、または標的分子に無関係のタンパク質を含む別の物質を用いた場合より高頻度に、より急速に、より長い期間、より大きい親和性で、または前記のいくつかの組み合わせで、エピトープ、タンパク質、または標的分子に対して反応または結合することを意味する。異なる種中の相同タンパク質間の配列同一性のために、特異的結合は、いくつかの実施形態では、2つ以上の種中のタンパク質または標的を認識する結合物質を含む。同様に、異なるタンパク質の特定のポリペプチドの配列領域内の相同性のために、特異的結合は、2つ以上のタンパク質または標的を認識する結合物質を含み得る。特定の実施形態では、第1の標的に特異的に結合する結合物質は、第2の標的に特異的に結合しても、またはしなくてもよい。従って、「特異的結合」は、排他的な結合、例えば、単一標的に対する結合を必要とするとは限らない(含むことはできるが)。従って、結合物質は、特定の実施形態では、2つ以上の標的に特異的に結合し得る。特定の実施形態では、複数標的が、結合物質上の同じ抗原結合部位により結合され得る。
【0090】
「標的」は、DDpp融合タンパク質などのDDpp、または抗体または抗体可変ドメインフラグメントなどのDDpp融合タンパク質のほかの成分により結合され得る任意の分子または分子の組み合わせを意味する。
【0091】
用語の「エピトープ」および「抗原決定基」は本明細書では同義に使用され、特定の結合物質(例えば、DDppまたは抗体)により認識および特異的に結合され得る任意の分子(例えば、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26などの着目標的)のその一部を意味する。認識される分子がポリペプチドの場合は、エピトープが、タンパク質の3次フォールディングにより併置された、連続アミノ酸および不連続アミノ酸および/またはその他の分子の化学的に活性な表面基(炭水化物など)から形成される。連続アミノ酸から形成されるエピトープは通常、タンパク質変性時に保持されるが、3次フォールディングにより形成されるエピトープは通常、タンパク質変性時に失われる。エピトープは通常、特有の空間高次構造中に、少なくとも3個のアミノ酸、より一般的には少なくとも5個または8~10個のアミノ酸を含む。
【0092】
本明細書で使用される場合、「ペプチドタグ」は、得られた融合体に機能を与えるための別のタンパク質の一部である、またはそれに結合した(例えば、遺伝子工学により)ペプチド配列を意味する。ペプチドタグは通常、それらが融合されるタンパク質に比べて短く、例えば、ペプチドタグは、いくつかの実施形態では、4個以上のアミノ酸長さ、例えば、5、6、7、8、9、10、15、20個、または25個以上のアミノ酸長さである。いくつかの実施形態では、DDppはペプチドタグを含む融合タンパク質である。他の実施形態では、DDppは、ペプチドタグに特異的に結合する。本明細書で提供される用途を有する多数のペプチドタグが当技術分野において既知である。DDpp融合タンパク質融合タンパク質またはDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)により結合される標的の成分であり得るペプチドタグの例には、限定されないが、HA(赤血球凝集素)、c-myc、単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(gD)、T7、GST、GFP、MBP、Strep-タグ、Hisタグ、Mycタグ、タップタグおよびFLAG(登録商標)(Eastman Kodak,Rochester,N.Y.)が挙げられる。同様に、タグエピトープに対する抗体は、細胞のウェスタンブロット、ELISAアッセイ、および免疫染色法などの当該技術分野において既知の技術を使用して、融合タンパク質の検出と局在化を可能とする。
【0093】
核酸分子、ポリペプチドおよび宿主細胞などの生体物質に関連して用いられる場合、用語の「天然の」は、天然で見出され、ヒトにより改変されていないものを意味する。逆に、生体物質に関連して用いられる場合、用語の「非天然の」または「合成の」は、天然で見出されず、ヒトにより改変されている物質を意味する。
【0094】
本明細書で使用される場合、参照配列の配列に対する「改変」には、参照配列(例えば、本明細書で開示のDD)の対応するアミノ酸位置の配列の置換、欠失、挿入、および/または付加が含まれる。
【0095】
参照配列の配列に対する「置換」は、参照配列の対応するアミノ酸位置での、特定のアミノ酸残基の異なるアミノ酸残基による置換を意味する。
【0096】
「保存的」アミノ酸置換は、1つのアミノ酸残基が、類似の側鎖を有する別のアミノ酸残基と置き換えられる置換である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において明らかにされており、これらの側鎖には、塩基性側鎖(例えば、リシン(K)、アルギニン(R)、ヒスチジン(H))、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E))、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン(G)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、システイン(C))、非極性側鎖(例えば、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラニン(F)、メチオニン(M)、トリプトファン(W))、β分岐側鎖(例えば、スレオニン(T)、バリン(V)、イソロイシン(I))、および芳香族側鎖(例えば、チロシン(Y)、フェニルアラニン(F)、トリプトファン(W)、ヒスチジン(H))が含まれる。例えば、チロシンのフェニルアラニンへの置換は、保存的置換である。特定の実施形態では、DDppの配列の保存的置換は、それが結合する着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFPまたはAFP p26)の置換を含むDDppの変化したまたは変化しない特異的結合を生じる。一実施形態では、DDppの配列の保存的置換は、結合する着目標的に対する置換を含むDDppの結合を抑止しない。選択的結合親和性を付与、変更または維持するヌクレオチドおよびアミノ酸保存的置換および非保存的置換非保存的置換を特定する方法は、当技術分野において既知である(例えば、Brummell,Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashi,Protein Eng.12(10):879-884(1999);and Burks,PNAS 94:412-417(1997)を参照されたい)。
【0097】
「非保存的」アミノ酸置換は、1つのアミノ酸残基が、異種の側鎖を有する別のアミノ酸残基と置き換えられる置換である。一実施形態では、DDppの配列の非保存的置換は、それが結合する着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFPまたはAFP p26)の置換を含むDDppの特異的結合を生じる。一実施形態では、DDppの配列の非保存的置換は、結合する着目標的に対する置換を含むDDppの結合を抑止しない。
【0098】
「非天然アミノ酸」、「アミノ酸類似体」および「非標準アミノ酸残基」は、本明細書では同義に用いられる。本明細書で提供されるDDppで置換できる非天然アミノ酸は、当技術分野において既知である。一実施形態では、非天然アミノ酸は、プロリンを置換できる4-ヒドロキシプロリン、リシンを置換できる5-ヒドロキシリシン、ヒスチジンを置換できる3-メチルヒスチジン、セリンを置換できるホモセリン、およびリシンを置換できるオルニチンである。本明細書で開示のDDppで置換できる非天然アミノ酸の追加の例には、限定されないが、共通アミノ酸のD-異性体、2,4-ジアミノ酪酸、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、ランチオニン、デヒドロアラニン、γ-アミノ酪酸、セレノシステインおよびピロールリジンフルオロアミノ酸、βメチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、およびNα-メチルアミノ酸、または非天然アミノ酸の組み合わせなどの分子が挙げられる。追加の非天然アミノ酸には、例えば、4-アミノ酪酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-フェニルペンタン酸、4-アミノ-3-ヒドロキシ-6-メチルヘプタン酸、2-チエニルアラニン、および/またはアミノ酸のD-異性体を挙げることができる。本明細書で考察のように、いくつかの実施形態では、非天然アミノ酸またはアミノ酸類似体は、配列からの1つまたは複数のアミノ酸の欠失を含むことができる。
【0099】
本明細書で同じ意味で用いられる用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、任意の長さの高分子型のヌクレオチド、リボンヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチド、を意味する。これらの用語には、DNA、RNA、cDNA(相補DNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)、rRNA(リボソームRNA)、shRNA(小ヘアピンRNA)、snRNA(核内低分子RNA)、snoRNA(核小体低分子RNA)、miRNA(マイクロRNA)、ゲノムDNA、合成DNA、合成RNA、および/またはtRNAが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
本明細書で使用される場合、用語の「ネイキッドDNA」は、発現に適切な配向で好適な発現ベクター(例えば、プラスミド)内にクローン化される、本明細書で開示のDDpp(例えば、CAR)などのタンパク質をコードするDNA(例えば、ヒストン不含DNA)を意味する。DDppをコードするDNAを保持および/または発現させるために使用できるウイルスベクターには、限定されないが、SINレンチウイルスベクター、レトロウイルスベクター、泡沫状ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ハイブリッドベクター、および/またはプラスミドトランスポゾン(例えば、Sleeping Beautyトランスポゾンシステム)、またはインテグラーゼ系のベクターシステムが含まれる。DDppの作製および使用に関連して使用できるその他のベクターは、本明細書で記載されるか、あるいは当該技術分野において既知である。
【0101】
本明細書で使用される場合、用語の「ベクター」、「クローニングベクター」、および「発現ベクター」は、ビークルであって、これにより、宿主を形質転換し、導入配列の発現(例えば、転写および翻訳)を促進するように、核酸配列(例えば、開示DDppコード配列)が宿主細胞(例えば、クローニングベクター)中で維持または増幅でき、または宿主細胞に導入できる、ビークルを意味する。ベクターには、プラスミド、ファージ、ウイルスなどが含まれる。
【0102】
「宿主細胞」には、開示DDppをコードする核酸のレシピエントであり得る、またはレシピエントであった個別の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞には、限定されないが、ウイルス粒子、ファージミド、細菌、酵母、植物、動物、および哺乳動物細胞が含まれる。宿主細胞には、単一宿主細胞の子孫が含まれ、その子孫は、天然の、偶発的、または計画的な突然変異および/または変化のために、元の親細胞に完全に同じ(形態または全DNA相補体において)である必要はない。宿主細胞は、インビボ、インビトロ、またはエクスビボでの開示DDppをコードする核酸の遺伝子導入または感染細胞を含む。いくつかの例では、宿主細胞は、例えば、ファージディスプレイまたはCAR T細胞において、その表面上に開示DDppを発現および提示できる。「発現」には、転写および/または翻訳が含まれる。
【0103】
本明細書で使用される場合、「固体担体」、「支持体」、「マトリックス」、および「樹脂」という用語は、同義に使用され、限定されないが、任意のカラム(またはカラム材料)、ビーズ、試験チューブ、マイクロタイターディッシュ、固体粒子(例えば、アガロースまたはセファロース)、マイクロチップ(例えば、シリコン、シリコン-ガラス、または金チップ)、または膜(例えば、生物学的またはフィルター膜)を意味し、これらに対し、DDpp、抗体、またはその他のタンパク質が直接的にまたは間接的に(例えば、ほかの抗体またはタンパク質Aなどのほかの結合相手中間体を介して)結合され得る(例えば、カップリング、連結、または接着され得る)か、またはこれらの中に、DDppまたは抗体が埋め込まれ得る(例えば、レセプターまたはチャンネルを介して)。ポリペプチドを固体担体(例えば、マトリックス、樹脂、プラスチック、など)に結合する試薬および技術は、当該技術分野において周知である。好適な固体担体には、限定されないが、クロマトグラフ樹脂またはマトリックス(例えば、セファロース-4FFアガロースビーズ)、プラスチックマイクロタイターディッシュのウェルの壁または床、シリカベースバイオチップ、ポリアクリルアミド、アガロース、シリカ、ニトロセルロース、紙、プラスチック、ナイロン、金属、およびこれらの組み合わせが挙げられる。DDppおよび他の組成物は、当該技術分野において既知の試薬および技術を用いて、非共有結合または共有結合により支持材料上に固定され得る。一実施形態では、DDppは、リンカーを用いてクロマトグラフィー物質に結合される。
【0104】
本明細書で使用される場合、用語の「薬学的に許容可能な」または「生理学的に許容可能な」およびその文法的変形は、それらが組成物、担体、希釈剤および試薬を意味する場合、同じ意味で用いられ、悪心、眩暈、急性胃蠕動などの治療的に禁止された望ましくない生理学的効果の生成なしに、その物質をヒトに投与できることを示す。
【0105】
「調節する」は、大きさ、頻度、程度、または活性の調節または制御を意味する。別の関連する態様では、このような調節は、よい方向に調節され得る(例えば、頻度、程度、または活性の増大)または悪い方向に調節され得る(例えば、頻度、程度、または活性の低減)。いくつかの実施形態では、正または負の方向への調節は、治療薬の投与前の細胞、組織、または臓器の機能と比較して行われる。さらなる実施形態では、正または負の方向への調節は、健常で健康な細胞、組織、または臓器の機能と比較して行われる。
【0106】
本明細書で提供される「有効量」の本明細書で提供されるDDpp融合タンパク質などのDDppは、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)が結合する標的に関連する1種または複数の生物活性のレベルの観察可能な変化をもたらすなどの具体的に示される目的を成し遂げるのに十分な量である。特定の実施形態では、変化は標的活性のレベルを増大させる。他の実施形態では、変化は標的活性のレベルを低減させる。「有効量」は、示した目的に関連して実験的に、定型業務により決定できる。用語の「治療的有効量」は、対象(哺乳動物)の疾病または疾患を「治療」(例えば、疾患または障害の症状を低減)するのに効果的なDDpp融合タンパク質などのDDppまたは他の治療薬の量を意味する。用語の「治療有効量」はまた、所望の予防結果を達成するのに必要な用量および時間での効果的な量を意味する。
【0107】
「患者」、「対象」、「動物」および「哺乳動物」は、同義に使用され、ヒト患者および非ヒト霊長類などの哺乳動物、ならびにウサギ、ラット、マウスなどの実験動物およびその他の動物を意味する。動物には、全ての脊椎動物、例えば、ニワトリ、両生類、および爬虫類などの哺乳動物および非哺乳動物が含まれる。本明細書で使用される「哺乳動物」は、限定されないが、ヒトならびにチンパンジーおよび他の類人猿ならびにサル種などの非ヒト霊長類;ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギおよびウマなどの家畜(farm animal);イヌおよびネコなどの愛玩動物(domestic animal);マウスなどのげっ歯類、ラットおよびモルモットを含む実験動物、などの哺乳綱のいずれかのメンバーを意味する。特定の実施形態では、患者はヒトである。この用語は特定の年齢または性別を表すものではない。このため、成体および新生児/仔の対象、ならびに胎児/仔は、雄性または雌性にかかわらず、本用語の範囲内に含まれることが意図される。
【0108】
本明細書で使われる「治療する(treat)」、「治療(treatment)」および「治療すること(treating)」は、治療処置および予防または予防処置の両方を意味し、この場合の目的は、疾患、状態、または障害の症状、合併症、または生化学的徴候を防ぐかもしくは遅らせる(減らすまたは遅らせる)、疾患、状態、または障害を緩和もしくはそれらのさらなる進展を阻止もしくは抑制することである。「治療(treatment)」は、病態を標的とする、疾患、状態、または障害の発現後の症状の予防的(疾患の発生を防ぐまたは遅らせる、または臨床的またはその無症候性症状の発現を防止すること)または治療的抑制または緩和、病態の防止、有益な結果を追究するかもしくはそれを得る、または治療が最終的に成功しない場合であっても、個々の状態の進展の確率を減らすことであり得る。治療を必要としている対象には、既にその状態にある対象、ならびに、状態になる傾向のある対象、または状態が予防されるべき対象が含まれる。治療には、DDpp融合タンパク質を単独でまたは追加の治療薬と組み合わせて用いることができる。
【0109】
「癌」、「腫瘍」、または「悪性腫瘍」は、同義の用語として使用され、細胞の無制御な、異常増殖、感染細胞の局所的または血流およびリンパ系を介した身体のその他の部分への拡散(転移)ならびに多数の特徴的構造および/または分子的特色を特徴とする多くの疾患のいずれかを意味する。本明細書で使用される場合、「腫瘍」は、悪性または良性に関係なく、全ての新生細胞成長および増殖、ならびに全ての前癌および癌細胞および組織を意味する。「癌性腫瘍」、または「悪性細胞」は、特異的構造特性を有し、分化を欠き、浸潤および転移できる細胞と理解される。本明細書で提供されるDDpp融合タンパク質を用いて治療できる癌には、白血病およびリンパ腫などの血液腫瘍、または固形腫瘍が挙げられる。特定の実施形態では、治療される癌は白血病またはリンパ腫である。DDBppで治療される癌のタイプには、限定されないが、癌腫、芽細胞腫、および肉腫、および特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、および悪性腫瘍、例えば、肉腫、癌腫および黒色腫が挙げられる。DDppを用いて治療し得る癌および腫瘍のタイプには、限定されないが、乳癌、肺癌、脳癌、骨癌、肝臓癌、腎癌、結腸癌、頭頸部癌、卵巣癌、造血性癌(例えば、白血病)、および前立腺癌が挙げられる。いくつかの実施形態では、DDppを用いて治療し得る癌および腫瘍には、乳癌および卵巣癌が挙げられる。DDpp含有抗体を用いて治療され得る他の型の癌および腫瘍は、本明細書で記載されているか、あるいは、当該技術分野において既知である。
【0110】
用語の「腫瘍抗原」または「癌抗原」は、本明細書では同じ意味で用いられる。腫瘍および癌抗原は、腫瘍特異的抗原(TSA)、癌特異的抗原(CSA)、腫瘍関連抗原(TAA)または癌関連抗原(CAA)であり得る。TSAは、腫瘍細胞に特有であり、身体中の他の細胞では発生しない抗原である。TAAは、腫瘍およびいくつかの正常細胞の両方で認められる抗原である。腫瘍の動的性質のために、いくつかの事例では、腫瘍細胞は、特定のステージで特有の抗原を発現し得、およびその他の場合でも、非腫瘍細胞上でも発現される抗原を発現する。従って、TAAのような特定のマーカーの包含は、それがTSAと見なされることを排除しない。
【0111】
本明細書で使用される場合、「標的細胞」は、疾患に関与し、DDpp含有組成物により標的とされ得る細胞を意味する。他の標的細胞には、開示DDppにより標的とされ得る対象(例えば、ヒトまたは動物)中の任意の細胞を含む。標的細胞は、DDpp融合タンパク質により特異的に結合された標的を発現または過剰発現している細胞であり得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、用語の「エフェクター細胞」は、1つまたは複数のFcRを発現し、エフェクター機能を実行する白血球を意味する。この細胞は少なくともFcRIIIを発現し、ADCCエフェクター機能を実行するのが好ましい。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞および好中球が挙げられ、特定の実施形態では、PBMCおよびNK細胞が好ましい。エフェクター細胞は、その天然由来源、例えば、本明細書に記載の、あるいは当該技術分野において既知の、血液またはPBMCから単離できる。特定の実施形態では、エフェクター細胞はヒトエフェクター細胞である。
【0113】
用語の「エフェクター機能」は、分化した細胞の分化した機能を意味する。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性またはサイトカインの分泌を含むヘルパー活性であり得る。
【0114】
本明細書で使用される場合、用語の「免疫細胞」は、抗原提示細胞、B細胞、好塩基球、細胞傷害性T細胞、樹状細胞、好酸球、顆粒球、ヘルパーT細胞、白血球、リンパ球、マクロファージ、マスト細胞、メモリー細胞、単球、ナチュラルキラー細胞、好中球、貪食細胞、プラズマ細胞、およびT細胞が含まれるが、これらに限定されない、哺乳動物免疫系の細胞を意味する。
【0115】
用語の「T細胞」および「Tリンパ球」という用語は、相互交換可能であり、本明細書では同義に使用される。例としては、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
本明細書で使用される場合、用語の「免疫反応」は、先天免疫、体液性免疫、細胞性免疫、免疫、炎症反応、後天(獲得)免疫、自己免疫、および/または過活動免疫が含まれるが、これらに限定されない、免疫を意味する。
【0117】
本明細書で使用される場合、用語の「形質導入」は、ウイルスベクターを用いた、外来性核酸の細胞中への導入を意味する。本明細書で使用される場合、用語の「遺伝子導入」は、組換えDNA技術を用いた、外来性核酸の細胞中への導入を意味する。用語の「形質転換」は、「外来性」(例えば、外因性の、細胞外の、または別の理由で非内在性の)核酸(DNAまたはRNA)配列を宿主細胞へ導入し、宿主細胞が導入した核酸を発現して所望の導入コード配列によりコードされたタンパク質または酵素などの物質を産生することを意味する。導入核酸配列はまた、「クローン化」または「外来性」遺伝子または配列とも呼ぶことができ、開始、停止、プロモーター、シグナル、分泌、または細胞の遺伝機構により使用される他の配列などの調節または制御配列を含み得る。核酸配列には、既知の機能を有さない非機能性配列を含み得る。導入した核酸(例えば、DNAまたはRNA)を受け取り、発現する宿主細胞は、「形質転換」されており、「形質転換体」または「クローン」である。宿主細胞に導入されたDNAまたはRNAは、宿主細胞と同じ属または種の細胞、または異なる属または種の細胞を含むいずれの供給源由来でもあり得、または非天然でもあり得る。
【0118】
「細胞表面受容体」は、シグナルを受信および細胞の細胞膜を横切ってこのようなシグナルを伝達できる分子および分子の複合体を意味する。本明細書で提供される細胞表面受容体の例は、活性化インテグリン受容体、例えば、転移性細胞上の活性化αvβ3インテグリン受容体である。本明細書で使用される場合、「細胞表面受容体」は、着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)と結合できるDDppを含む細胞表面上に発現した分子も包含する。用語の「受容体」は、分子(例えば、リガンド)と結合する、あるいは、それと相互作用し、細胞上のリガンドの作用を媒介する細胞結合型タンパク質を意味する。いくつかの実施形態では、受容体と相互作用する分子は生理活性分子である。膜結合型細胞表面受容体は通常、マルチドメイン構造を特徴とし、この構造には、リガンド結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および通常シグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインが含まれる。
【0119】
本明細書で使用される場合、用語の「CS1」は、免疫機能を調節するNK細胞受容体で、これはB細胞、T細胞、樹状細胞、NK-T細胞、および単球上でも同様に発現する。CS1は、多発性骨髄腫中で過剰発現され、多発性骨髄腫の免疫療法のための標的化に成功している。Malaer & Mathew,Am J Cancer Res.7(8):1637-1641(2017)。CS1はまた、SLAM7、タンパク質19A、CRACC、およびCD319としても知られる。用語の「CS1」は、変異体、アイソフォーム、同族体、オルソログおよびパラログを含む。CS1は、膜貫通タンパク質で、種々の異なったスプライシングによるアイソフォームがある。いくつかの実施形態では、22個のアミノ酸残基N末端シグナル配列(MAGSPTCLTLIYILWQLTGSAA、配列番号964)および226個のN末端残基(配列番号965)を含む細胞外ドメインを含むヒトCS1のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_067004(配列番号966)を有する。いくつかの実施形態では、ヒトCS1のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_001269517、NP_001269518、NP_001269519、NP_001269520、NP_001269521、NP_001269522、NP_001269523、NP_001269524、またはNP_001269525を有する。
【0120】
本明細書で使用される場合、「キメラ抗原受容体」または「CAR」または「CAR(複数)」は、抗原または標的特異性を細胞(例えば、ナイーブT細胞、セントラルメモリーT細胞、エフェクターメモリーT細胞などのT細胞;NK細胞;NKT細胞またはそれらの組み合わせ)に移植する遺伝子改変受容体を意味する。CARはまた、人工T細胞受容体、キメラT細胞受容体またはキメラ免疫受容体としても知られる。
【0121】
Dドメインポリペプチド(DDpp)
特に指示がない限り、開示組成物および方法の実施は、分子生物学(組換え技術、組織培養物、および細胞形質転換を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学および免疫学の標準的な技術を使用し、これらは当該技術の範囲内のものである。 このような技術は通常、製造業者の仕様に従って、または通常行われるように、次記に記載のような既知の手順を用いて、もしくはこれを日常的に修正して、または本明細書で記載のように実施される:Sambrook et al.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989));PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification(ed.H.A.Erlich,Freeman Press,NY,N.Y.,1992);Oligonucleotide Synthesis(Gait,ed.,1984);Animal Cell Culture(Freshney,ed.,1987);Handbook of Experimental Immunology(Weir et al.,eds.;Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(Miller,ed.,1987);Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel.,ed.,1987);PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications(Innis,ed.,Academic Press,San Diego,Calif.,1990);Mattila,et al.,Nucleic Acids Res.19:967(1991);Eckert,et al.,PCR Methods and Applications 1:17(1991);PCR(McPherson,ed.,IRL Press,Oxford);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis,ed.,1994);Harlow,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988)and Kontermann,ed.,”The Antibody Engineering Lab Manual”(Springer Verlag,Heidelberg/New York,2000);Current Protocols in Immunology(Coligan,ed.,1991);The Immunoassay Handbook(Wild,ed.,Stockton Press NY,1994);およびMethods of Immunological Analysis(Masseyeff.,ed.,Weinheim:VCH Verlags gesellschaft mbH,1993);およびGennaro,et al.2000,Remington:the Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.Lipincott Williams and Wilkins:Baltimore,Md.。具体的定義が与えられない限り、本明細書で記載の分析化学、合成有機化学、および医薬品化学に関連して使用される命名法、およびこれらの検査法および検査技術は当技術分野で既知で、使用されているものである。さらに、標準的な技術を化学合成、化学分析、組換え産生、精製、医薬品調製、処方、送達、および患者の治療に使用できる。
【0122】
種々の実施形態では、本開示は、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26からなる群より選択される着目標的に特異的に結合するDDppを提供する。いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号11~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、(a)BCMAに特異的に結合し、配列番号11~305、または306のアミノ酸配列を含むDD;(b)CD123に特異的に結合し、配列番号307~739、または740のアミノ酸配列を含むDD;(c)AFPまたはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD;(d)AFP p26に特異的に結合し、配列番号741~874、または886~895のアミノ酸配列を含むDD;(e)CS1(配列番号965)またはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号896~909、または910のアミノ酸配列を含むDD、または(f)HER2またはそのフラグメントに特異的に結合し、配列番号911~949、または950のアミノ酸配列を含むDDからなる群より選択されるDドメイン(DD)を含む。それらそれぞれの標的に特異的に結合する能力を保持している(a)~(f)の変異体を含むタンパク質も提供される。
【0123】
さらなる実施形態では、DDppのDDは、配列番号11~949、および950からなる群より選択され、参照DDの標的に特異的に結合する能力を保持しているDD参照配列の変異体である。いくつかの実施形態では、バリアントDDの配列は、配列番号11~949、および950からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、参照DD配列の標的に特異的に結合する能力を保持している。
【0124】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるBCMA結合DD参照配列の変異体であり、BCMAに特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、BCMAに特異的に結合する能力を保持している。
【0125】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるCD123結合DD参照配列の変異体であり、CD123に特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、CD123に特異的に結合する能力を保持している。
【0126】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるCS1結合DD参照配列の変異体であり、CS1に特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、CS1に特異的に結合する能力を保持している。
【0127】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるHER2結合DD参照配列の変異体であり、HER2に特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、HER2に特異的に結合する能力を保持している。
【0128】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるAFP結合DD参照配列の変異体であり、AFPに特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、AFPに特異的に結合する能力を保持している。
【0129】
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるAFP p26結合DD参照配列の変異体であり、AFP p26に特異的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号741~874、または886~895からなる群より選択される参照DD配列に対して、少なくとも75%、80%、85%、87%、89%、90%、92%、94%、96%、もしくは98%の配列同一性を有する変異体のアミノ酸配列を含み、変異体DDは、AFP p26に特異的に結合する能力を保持している。
【0130】
特定の実施形態では、変異体DD(問い合わせ)配列と参照DD配列との間の同一性は、大域的配列アラインメントとも呼ばれ、Brutlag et al.Comp.App.Biosci.6:237-245(1990)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータープログラムを使って決定される。FASTDBアミノ酸アライメントで用いられる好ましいパラメーターは:マトリックスPAM 0、kタプル=2、ミスマッチペナルティー=1、ジョイニングペナルティー=20、ランダム化群長さ=0、カットオフスコア=1、窓サイズ=配列長さ、ギャップペナルティー=5、ギャップサイズペナルティー=0.05、窓サイズ=500または対象アミノ酸配列の長さの短い方。この実施形態では、内部欠失の理由ではなくN末端またはC末端欠失が原因で、参照DD配列が変異体DD問い合わせ配列より短い場合、大域的同一性%を計算する際に、FASTDBプログラムが参照DD配列のN末端およびC末端短縮化を考慮しないという事実を考慮して、結果に対しマニュアルによる補正がなされる。問い合わせ配列に比べて、N末端およびC末端で短縮された参照配列に対しては、同一性%は、参照配列のN末端およびC末端である問い合わせ配列の残基の数を計算することにより補正され、これは、問い合わせ配列の総塩基のパーセントとして、対応する対象残基と対応/整列しない。残基が対応/整列するかどうかの判定は、FASTDB配列アラインメントの結果により決定される。この%はその後、同一性%から差し引かれ、指定パラメーターを用いて上記FASTDBプログラムにより計算され、最終同一性%スコアが得られる。この最終同一性%スコアがこの実施形態での目的で使用されるものである。
【0131】
いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号11~949、または950の対応する参照DDとは、2つ以上の配列改変カテゴリー(すなわち、置換、欠失、挿入、および付加)において異なるアミノ酸配列を含む変異体DDを含み、変異体DDは、それぞれの参照DDの標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26)に結合する能力を保持している。例えば、変異体DDの配列は、参照DDの配列に比較して、アミノ酸欠失、挿入および置換の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列に比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超えるアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列に比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超える保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列に比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超える非保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列に比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超える保存的および非保存的アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列に比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超えるアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列中への、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、または10個を超えるアミノ酸挿入を含み、変異体DDは、参照DDの標的に結合する能力を保持している。さらに、配列番号866、および867の対応する参照DDのアミノ末端、カルボキシ末端、またはアミノおよびカルボキシ末端の両方からアミノ酸残基が欠失した変異体DDを含むDDppが提供される。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列のアミノ末端から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のアミノ酸残基が欠失した配列を含み、変異体DDは、参照DDの標的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DDのカルボキシ末端から、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12個のアミノ酸残基が欠失した配列を含み、変異体DDは、参照DDの標的に結合する能力を保持している。いくつかの実施形態では、変異体DDの配列は、配列番号11~949、または950の参照DD配列のアミノ末端から欠失した、1~5、1~10、または1~15個のアミノ酸残基を含み、変異体DD配列は、1~5、1~10、または1~15個の参照DD配列のカルボキシ末端から欠失したアミノ酸残基を有し、変異体DDは、参照DDの標的に結合する能力を保持している。
【0132】
DDpp融合タンパク質
異種ポリペプチドからなる/を含む「融合タンパク質」、「キメラポリペプチド」、「キメラタンパク質」、「キメラ抗原」、およびDDppは、少なくとも2つのポリペプチド、および任意選択で、2つのポリペプチドを、例えば、組換えプロセスにより生成される1つの連続的なポリペプチドに動作可能に連結するリンカーからなる。2つのポリペプチドは、直接的にまたは間接的に、動作可能に結合され得る。
【0133】
本明細書で提供される「DDpp融合タンパク質」は、着目標的(例えば、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、CS1(配列番号965)、HER2(配列番号967)、AFP(配列番号9)、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメント)に特異的に結合する、少なくとも1つの本明細書で開示のDDppを含む。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、1つのDDppを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、1つまたは複数の標的結合DDppおよびp26タンパク質(例えば、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有する)を含む可溶性タンパク質である。このようなp26配列を含む融合タンパク質は、驚くべきことに、本明細書で、長い血清中半減期を有することが発見された。いくつかの実施形態では、可溶性DDpp融合タンパク質は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、またはそれを超えるインビボ血漿中半減期を有する。いくつかの実施形態では、可溶性融合タンパク質は、マウスで、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い時間、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿中半減期を有する。いくつかの実施形態では、可溶性DDpp融合タンパク質は、ヒトで、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも16時間、少なくとも32時間、少なくとも64時間、もしくは65時間より長い時間、または1~10時間、2~10時間、4~10時間、6~10時間、もしくは6~9時間のインビボ血漿中半減期を有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、本開示は、p26タンパク質(例えば、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有する)を含む可溶性融合タンパク質のインビボ半減期(例えば、マウスまたはヒト中の)を変更する方法を提供する。いくつかの実施形態では、可溶性p26融合タンパク質は、1つまたは複数の標的結合DDppを含む。いくつかの実施形態では、p26可溶性融合タンパク質の半減期は、通常ヒトp26タンパク質中で認められる1つまたは複数のアミノ酸残基を置換または欠失させることにより、または通常ヒトp26タンパク質中では認められない1つまたは複数のアミノ酸残基を挿入することにより、延長または短縮される。別の実施形態では、可溶性融合タンパク質のp26配列は、可溶性融合タンパク質のインビボ半減期を延長または短縮するように、1、2、3、5、5、10、または1~20、1~10、3~10、または3~5個のアミノ酸置換(保存的および/または非保存的置換)、欠失、および/または挿入を行うことにより改変される。特定の実施形態では、p26の配列番号10の位置217のグルタミン(Gln、Q)に対応するアミノ酸残基が別のアミノ酸残基により置換される。さらなる実施形態では、置換は、Gln217Proである。別の実施形態では、可溶性融合タンパク質のp26配列は、可溶性融合タンパク質のインビボ半減期を延長または短縮するように、1~150、1~100、1~50、1~25、または1~10個のアミノ酸残基を欠失させることにより改変される。さらなる実施形態では、可溶性融合タンパク質のp26配列は、FeRnと可溶性融合タンパク質の相互作用を増大または低減させるように、1、2、3、5、5、10、または1~20、1~10、3~10、または3~5個のアミノ酸置換(保存的および/または非保存的置換)、欠失、および/または挿入を行うことにより改変される。
【0136】
多量体DDpp融合タンパク質
一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、2つ以上のDDppを含み、2つ以上のDDppは、同じまたは異なる特異性を有する。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質が複数の標的および/または同じ標的上の反復エピトープまたは異なるエピトープに結合することを可能とする、同じまたは異なるDDのタンデムリピートを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、少なくとも2、3、4、または5つ、または5つを超えるDDppを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、1~3、1~4、1~5、または5つを超える異なるDDppを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、少なくとも2、3、4、または5つ、または5つを超える、異なるDDppを含む。従って、DDpp融合タンパク質は、単量体DDpp(すなわち、1つのDDppを含む)または多量体DDpp(すなわち、直列に、任意選択でリンカーにより動作可能に連結された2つ以上のDDppを含む)であり得る。いくつかの実施形態では、多量体DDppの使用は、高められた(例えば、相乗的)標的結合をもたらす。さらなる実施形態では、多量体DDppは、単一DDpp構築物(例えば、二重、三重特異的、など)を用いて2つ以上の標的の標的化を可能とする。2つ以上の同じDDppの結合により、一価組成物に比べて、明確な利点をもたらす(例えば、結合力、標的クラスタリングおよび受容体活性化を高める)多価性の分子が得られる。2つ以上の異なるDDppの結合は、2つ以上の標的抗原に、別々にまたは同時に結合する可能性を有する多価性および多重特異性分子を生ずる。
【0137】
多量体DDpp融合タンパク質は、DDppホモ多量体(すなわち、任意にリンカーにより結合されてもよい直列の2つ以上の同じDDppを含む)(例えば、ホモ二量体、ホモ三量体、ホモ四量体、など)またはDDppヘテロ多量体(すなわち、少なくとも2つの異なるDDppタンパク質が存在する2つ以上のDDppを含む)であり得る。多量体組成物中に含まれる単量体DDppの数は、実施形態に応じて変わってもよく、また、少なくとも部分的には、DDppが産生される発現系により規定され得る。しかし、いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、約5~約10のDDppサブユニット、約10~約15のサブユニット、約15~約20のサブユニット、約20~約25のサブユニット、または約25~約30のサブユニット(記載の数の中間の数ならびに端点を含む)の多量体を含み得る。さらに、DDpp融合タンパク質の複数のタンデム型成分は、同じまたは異なるDDppを含むことができる。いくつかのDDpp融合体では、DDppは単量体として、またはホモ多量体またはヘテロマー、例えば、ホモ二量体またはヘテロ二量体、ホモ三量体またはヘテロ三量体、ホモ四量体またはヘテロ四量体で存在する。
【0138】
DDpp融合タンパク質は、「単一特異性」または「多重特異性」であり得る。「多重特異性」(例えば、二重特異性、三重特異性、またはさらに多い多重特異性)DDpp融合タンパク質は、1つまたは複数の異なる分子(例えば、タンパク質、固体支持構造、など)上に存在する2つ以上の異なるエピトープを認識し、それに結合する。
【0139】
いくつかの実施形態では、2つ以上のDDは、多価DDppとして一緒に融合される。多価DDppのDDは、同じまたは異なっていてもよい。従って、本開示は、本明細書で記載のいずれかのDDを含み、任意選択で、1つまたは複数のリンカーにより結合されてもよい、DDppホモ二量体(すなわち、2つの同一のDDを含むDDpp)、DDppホモ多量体(すなわち、3つ以上の同一のDDを含むDDpp)、DDppヘテロ二量体(すなわち、2つの異なるDDを含むDDpp)、およびDDppヘテロ多量体(すなわち、3つ以上のDDを含むDDppで、少なくとも2つのDDが異なる)を提供する。
【0140】
いくつかの実施形態では、2つ以上のDDが、多量体化ドメインにより結合、または化学的連結により結合されて、多価DD複合体を生成する。多価DD複合体のDDは、同じまたは異なっていてもよい。従って、本開示は、本明細書で記載のいずれかのDDを含み、任意選択で、1つまたは複数のリンカーにより結合されてもよい、DDホモ二量体複合体(すなわち、2つの同一のDDを含むDD複合体)、DDホモ多量体複合体(すなわち、3つ以上の同一のDDを含むDD複合体)、DDヘテロ二量体複合体(すなわち、2つの異なるDDを含むDD複合体)、およびDDヘテロ多量体複合体(すなわち、3つ以上のDDを含むDD複合体で、少なくとも2つのDDが異なる)を提供する。
【0141】
一実施形態では、多重特異的DDpp融合タンパク質は、単一の着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)上の少なくとも2つの異なるエピトープに結合する少なくとも2つのDDppを含む。さらなる実施形態では、DDpp融合体は二重特異性であり、2つの異なる細胞型の表面上に発現した2つの異なる標的に特異的に結合する。一実施形態では、二重特異性DDpp融合タンパク質は、癌細胞上の標的および免疫エフェクター細胞上の標的に特異的に結合する。一実施形態では、二重特異性DDpp融合タンパク質は、癌細胞上に発現した標的(例えば、BCMA、CS1、CD123、およびCD19)およびTリンパ球の表面上に発現した標的(例えば、CD3)に特異的に結合する。一実施形態では、二重特異性DDpp融合タンパク質は、BCMAおよびCS1に特異的に結合する。
【0142】
さらなる実施形態では、多重特異性DDpp融合タンパク質は、着目標的上の1つのエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDpp、および同じ着目標的上の異なるエピトープに特異的に結合する機能を付与する少なくとも1つのドメインまたは配列(例えば、scFvなどの抗体フラグメント抗体フラグメントまたはドメイン)を含む。一実施形態では、多重特異性DDpp融合タンパク質は、着目標的上のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDpp、および異なる着目標的上のエピトープに特異的に結合する機能を付与する少なくとも1つのドメインまたは配列、例えば、抗体フラグメントまたはドメイン(例えば、scFv)を含む。一実施形態では、多重特異性DDpp融合タンパク質は、着目標的上のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのDDpp、および同じ細胞上の異なる標的上のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つのドメインまたは配列を含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、少なくとも1つのDDppおよび機能付与する少なくとも1つのその他のDDppまたはドメイン配列、例えば、抗体フラグメントまたは固体担体に特異的に結合するドメインを含む。
【0143】
さらなる実施形態では、2つ以上のDDppを含む多量体DDpp融合体は、さらには、その他の異種のタンパク質(またはそれらのサブドメイン)と融合され、そうすることにより、融合パートナーに多価性、多重特異性を付与する。DDppの融合パートナーの例には、限定されないが、抗体、抗体サブドメイン(例えば、scFvまたはFcドメイン)、血清アルブミン、血清アルブミンサブドメイン、細胞表面受容体、T細胞受容体(TCR)のα鎖、T細胞受容体のβ鎖、細胞表面受容体サブドメイン、ペプチド、ペプチドタグ(例えば、FLAGまたはmyc)、フィブロネクチンIII型リピート、z-ドメイン、エラスチン様ポリペプチドが挙げられる。DDppの数と位置およびそれらそれぞれの融合タンパク質内の位置は変わり得る。例えば、DDppは、融合パートナーの1つまたは全ての末端に配置でき、および/またはDDpp融合パートナー内の異種サブユニット内に散在させ得る。
【0144】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDppおよび追加のドメインを含むポリペプチド配列を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDppおよび抗体、抗体フラグメント(例えば、抗原結合ドメインまたはその一部(例えば、scFv)、エフェクタードメインまたはその一部、FcRn結合ドメインまたはその一部、およびFcまたはその一部)、血清タンパク質(例えば、アルブミンその一部)、サイトカイン、成長因子、ホルモン、造影剤、標識剤、およびペプチドタグから選択されるメンバーを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、免疫グロブリンのFcドメイン(例えば、ヒトFcドメイン)またはその一部を含む。さらなる実施形態では、Fcドメインは可変ヒトFcドメインである。
【0145】
いくつかの実施形態では、DDppは、異種ポリペプチドに融合される。いくつかの実施形態では異種ポリペプチドは、完全長抗体またはその抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDは、完全長抗体重鎖のアミノ末端;完全長抗体軽鎖のアミノ末端;完全長抗体重鎖のカルボキシル末端;または完全長抗体軽鎖のカルボキシル末端に融合される。他の実施形態では、DDは、Fcである抗体フラグメントに融合される。さらなる実施形態では、異種ポリペプチドは、(i)膜貫通ドメイン;(ii)膜結合ドメイン;(iii)ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメント;(iv)AFPまたはそのフラグメント;(v)AFP p26またはそのフラグメント;(vi)受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメント;および(vii)細胞内受容体(例えば、核タンパク質)の細胞外ドメインまたはそのフラグメントからなる群より選択されるメンバーを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質のDDppは、より大きな、マルチドメイン分子複合体に組み込まれ(例えば、単量体または多量体DDpp融合タンパク質)、そうすることにより、取り込まれたDDppの機能特性を得られた融合タンパク質に付与する。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDppおよび抗体、抗体フラグメント、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)もしくは血清タンパク質フラグメント、または細胞表面受容体、T細胞受容体(TCR)のアルファ鎖、T細胞受容体のベータ鎖、サイトカイン、成長因子、ホルモン、または酵素、またはそのフラグメント由来のポリペプチド配列を含む。マルチドメインおよび/または多機能性複合体中へのDDの組み込みは、当該技術分野において既知の技術を使用して、別のポリペプチドへの組換え融合、別の化学部分への結合、および別のポリペプチド(またはその他の望ましい化学的化合物)への共有結合による化学的連結により日常的に達成できる。DDpp融合タンパク質は、本明細書で記載のリンカーおよび他の成分などのその他の任意成分をさらに含めることができる。
【0147】
CARとしてのDDpp融合タンパク質
可溶性マルチドメインタンパク質中へのDDの組み込みに加えて、本発明は、膜結合融合タンパク質に結合特異性を付与するように設計された少なくとも1つのDDppからなる細胞結合型DDppを生成する手段を提供する。DDpp受容体は、任意の細胞型により発現され得る。
【0148】
一実施形態では、DDpp受容体融合タンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)、またはDDpp-CARを含み、これは、細胞外標的化ドメインおよび膜貫通ドメインを含む。別の実施形態では、DDpp-CARは、細胞外標的化ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインから構成され、細胞質ドメインはシグナル伝達ドメインを含む。さらなる実施形態では、DDpp-CAR細胞外ドメインは1つまたは複数のDDppを含み、それぞれのDDppは、同じまたは異なる特異性を有する特異的結合ドメインを構成する。いくつかの実施形態では、標的特異的ドメインは、本明細書で開示の、限定されない例としての、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26などの1つ(または複数)の癌または腫瘍抗原を対象とする。一実施形態では、DDpp-CARの細胞内ドメイン(例えば、細胞質ドメイン)は、CD3ゼータ鎖の細胞内ドメインを含む。別の実施形態では、DDppの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ鎖の細胞内ドメインの一部から構成される。さらなる実施形態では、DDpp-CARの細胞内ドメインは、CD3ゼータ鎖の細胞内ドメインおよび共刺激シグナル伝達領域を含む。共刺激シグナル伝達領域は、共刺激分子の細胞内ドメインの全部または一部を含むDDpp-CARの一部を指す。共刺激分子は、リンパ球の抗原に対する効率的反応に必要な抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。共刺激分子および共刺激特性をARに付与できるこれらの分子の一部は、当技術分野において既知であり、DDpp-CAR中に通常の方法で組み込むことができる。加えて、これらの細胞内シグナル伝達および共刺激ドメインに対する短縮化または変異が取り込まれて、受容体シグナル伝達をさらに高めるまたは低減し得る。好ましい実施形態では、T細胞は、安定にDDpp-CARを発現するように遺伝子改変される。このような実施形態では、DDpp-CARの細胞質ドメインは、CD28および/または41BBシグナル伝達ドメインを単独で含むことができ、または開示実施形態との関係において有用な任意の他の所望の細胞質ドメインと組み合わせることができる。一実施形態では、DDpp-CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータ鎖のシグナル伝達ドメインをさらに含むように設計できる。一実施形態では、DDpp-CARは細胞外標的化ドメイン、細胞膜を貫通する膜貫通ドメインを有する細胞外タンパク質リンカー(T細胞またはNK細胞中で認められるような)、および細胞質ドメインを含み、任意選択で、複数のシグナル伝達モジュールを含んでもよい。いくつかの実施形態では、DDpp-CARはまた、エピトープタグを含み得る。いくつかの実施形態では、DDpp-CARの細胞質ドメインは、限定されないが、CD3ゼータ、41BBおよびCD28シグナル伝達モジュールおよびこれらの組み合わせを含み得る。
【0149】
さらなる実施形態では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を提供し、CARは、本明細書で開示のDDpp、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ゼータドメイン、41BBドメイン、CD28ドメインおよび/またはこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。実施形態に応じて、共刺激シグナル伝達領域は、例えば、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARの標的化ドメインは、追加の標的結合ポリペプチドを含む複数の結合ドメイン(例えば、DDまたは1つまたは複数のDDおよびscFv)を含む。標的化領域の一部(または全部)として標的結合ポリペプチドを含むCARをコードする単離核酸も提供される。
【0150】
本開示はまた、CARをコードする核酸配列を含む細胞も提供し、CARは、少なくとも部分的に、着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26)に結合する開示DDppから構成される抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、腫瘍抗原に特異的に結合する(従って、CAR発現細胞を腫瘍に送達するように機能する)。いくつかの実施形態では腫瘍抗原は、血液系腫瘍に付随する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はBCMAである。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はCD123である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はCS1である。さらなる実施形態では、腫瘍抗原は、固形腫瘍に付随する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はHER2である。いくつかの実施形態では、固形および血液腫瘍の両方が標的化される。いくつかの実施形態では、CARを発現している細胞はT細胞、はナチュラルキラー(NK)細胞またはその他の免疫細胞型である。いくつかの実施形態では、CARを発現している細胞(T細胞、NK細胞または他の細胞型のいずれでも)は、ポリペプチドがその対応する腫瘍に結合すると、抗腫瘍免疫性を示す。
【0151】
細胞外ドメイン
標的化される所望の抗原に応じて、DDpp-CARは、目的の抗原標的に特異的である抗原結合DDppを含むように遺伝子改変できる。例えば、BCMAが標的とされるべき目的の抗原である場合、1つまたは複数のBCMA結合DDppがDDpp-CARの標的特異的結合ドメイン中に組み込まれる。さらに、DDpp-CARは、2つ以上のDDppを含めて、DDpp-CARに対し多重特異性または多価性を付与できる。いくつかの実施形態では、DDpp-CARは、BCMA結合DDppを含む。いくつかの実施形態では、DDpp-CARは、CS1結合DDppを含む。いくつかの実施形態では、DDpp-CARは、BCMA結合DDppおよびCS1結合DDppを含む。
【0152】
DDpp受容体(例えば、DDpp-CAR)の細胞外ドメインへ組み込まれるDDppの選択は、標的化される細胞の固有の特性に依存する。例えば、DDpp-CARは、同じ細胞または別の細胞上の受容体などの細胞表面タンパク質に特異的に結合し得る。他の実施形態では、DDpp-CARは、免疫グロブリンなどの可溶性分子に特異的に結合する。他の実施形態では、DDpp-CARにより結合される着目標的には、ウイルス、細菌性および寄生虫感染、免疫系の疾患および障害(例えば、自己免疫疾患)に付随する標的を含む。
【0153】
他の実施形態では、DDpp-CARは、癌に付随する標的細胞上の細胞表面マーカーとして機能するリガンドを認識するように選択され得る。いくつかの実施形態では、DDpp-CARは、腫瘍抗原(例えば、TAAまたは本明細書で記載の、または当該技術分野において既知のその他の腫瘍抗原)を標的とし、それに結合する。従って、本明細書で提供されるのは、DDpp-CARを作製する方法、ヒトT細胞およびナチュラルキラー細胞などのキメラ細胞の作製におけるそれらの使用、およびこれらのキメラT細胞の養子免疫療法における使用である。
【0154】
本明細書で提供される文脈では、「腫瘍抗原」は、癌などの特定の過剰増殖障害に共通の抗原を意味する。DDpp-CAR中のDDppにより特異的結合される腫瘍抗原が本明細書で開示される。一実施形態では、DDpp-CAR中のDDppは、腫瘍特異的抗原(TSA)または腫瘍関連抗原(TAA)に特異的に結合する。TSAは、腫瘍細胞に特有であり、身体中の他の細胞では発生しない。TAA関連抗原は、腫瘍細胞に特有でなく、その代わりに、抗原に対する免疫寛容の状態を誘導できない条件下で正常細胞上に発現される。腫瘍上での抗原の発現は、免疫系が抗原に応答可能とする条件下で起こり得る。TAAは、免疫系が未成熟で、応答できない場合に胎児発生中に正常細胞上で発現される抗原である得る、または通常、正常細胞上で極めて低いレベルで存在するが、腫瘍細胞上では遙かに高いレベルで発現される抗原であり得る。
【0155】
いくつかの実施形態では、DDpp-CARの抗原結合部分中のDDppは、BCMA、CS1、HER2、またはCD123に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAタンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppはBCMAに特異的に結合し、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppはCD123に特異的に結合し、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppはCS1に特異的に結合し、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1およびBCMAに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppはHER2に特異的に結合し、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDpp-CARの抗原結合部分は、HVEM、BTLA、DR3、CD19、CD20、およびCD22から選択される標的にさらに結合する。
【0156】
一実施形態では、DDpp-CAR中のDDppは、悪性腫瘍に付随する腫瘍抗原に特異的に結合する。一実施形態では、DDpp-CARのDDppは、B細胞リンパ腫特異的イディオタイプ免疫グロブリン;CD19、CD20およびCD37などのB細胞分化抗原;骨髄性細胞上のTSLPRおよびIL7R、および多発性骨髄腫細胞上のヒートショックタンパク質gp96から選択される抗原に結合する。
【0157】
いくつかの実施形態では、DDpp-CARの抗原結合部分中のDDppは、AFP、AFP p26、またはそのフラグメントに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号9からなるアミノ酸配列またはそのフラグメントを有するAFPタンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号10からなるアミノ酸配列またはそのフラグメントを有するAFP p26タンパク質に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を特に含む。いくつかの実施形態では、DDpp-CARの抗原結合部分は、腫瘍抗原にさらに結合する。さらなる実施形態では、DDpp-CARの抗原結合部分は、BCMA、CD123、CS1、HER2、HVEM、BTLA、DR3、CD19、CD20、およびCD22から選択される標的にさらに結合する。
【0158】
膜貫通ドメイン
本明細書で使用される場合、用語の「膜貫通ドメイン」(TMD)は、DDpp-CARなどの、細胞膜を貫通する細胞表面発現DDpp融合タンパク質の領域を意味する。いくつかの実施形態ではDDpp-CARの膜貫通ドメインは、膜貫通タンパク質(例えば、I型膜貫通タンパク質)、人工疎水性配列、またはそれらの組み合わせの膜貫通領域である。その他の膜貫通ドメインは、当業者に明らかであり、本明細書で提供される代替実施形態に関連して使用され得る。
【0159】
DDpp受容体(例えば、DDpp-CAR)は、DDpp受容体の細胞外ドメインに融合される膜貫通ドメインを含むように設計できる。上述のように、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインの融合は、リンカーを用いて、またはリンカーなしで達成できる。一実施形態では、DDpp-CAR中のドメインの1つと天然で結合している膜貫通ドメインが使用される。特定の実施形態では、DDpp-CAR中の膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインである。いくつかの事例では、DDpp-CARの膜貫通ドメインは、CD8ヒンジドメインを含む。いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、他の表面膜タンパク質と結合を促進または抑制するように、アミノ酸置換により選択または改変される。
【0160】
膜貫通ドメインは、天然または合成供給源から誘導できる。供給源が天然である場合、ドメインは任意の膜結合型または膜貫通型タンパク質から誘導できる。本明細書の目的のための特定の用途の膜貫通領域は、群:T細胞受容体のα、βまたはζ鎖;CD28、CD3ε、CD45、CD4、CD5、CD8、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137およびCD154から選択されるメンバーから誘導し得る(すなわち、少なくとも膜貫通領域を含む)。あるいは、膜貫通ドメインは、合成でき、その場合、DDpp-CAR膜貫通ドメインは、主に、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を含む。さらなる実施形態では、膜貫通ドメインは、合成膜貫通ドメインの各末端に三つ組のフェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンを含む。
【0161】
本明細書で使用される場合、「細胞外スペーサードメイン」(ESD)は、抗原特異的標的化領域と膜貫通ドメインとの間の親水性領域を意味する。いくつかの実施形態では、DDpp-CARは細胞外スペーサードメインを含む。他の実施形態では、DDpp-CARは細胞外スペーサードメインを含まない。細胞外スペーサードメインには、限定されないが、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体のFcフラグメント、抗体またはそのフラグメントもしくは誘導体のヒンジ部、抗体のCH2領域、抗体のCH3領域、人工スペーサー配列、またはそれらの組み合わせが挙げられる。細胞外スペーサードメインの追加の例には、限定されないが、CD8aヒンジ、およびGly3程度に小さくてもよいポリペプチドから作られる人工スペーサー、またはIgG(ヒトIgG4など)のCHIおよびCH3ドメインが挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞外スペーサードメインは、(i)IgG4のヒンジ部、CH2およびCH3領域、(ii)IgG4のヒンジ部、(iii)IgG4のヒンジ部およびCH2、(iv)CD8aのヒンジ部、(v)IgG1のヒンジ部、CH2、およびCH3領域、(vi)IgG1のヒンジ部、または(vi)IgG1のヒンジ部およびCH2領域、の内のいずれか1つまたは複数である。その他の細胞外スペーサードメインは、当業者に明らかであり、本明細書で提供される代替実施形態に関連して使用され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、約1~100アミノ酸長さの短いオリゴまたはポリペプチドリンカーを用いてDDpp-CARのいずれかのドメインが一緒に連結される。リンカーは、隣接するタンパク質ドメインが互いに自由に動くように、グリシンおよびセリン(またはいずれか他のアミノ酸)のような可撓性残基で構成できる。リンカーのアミノ酸配列組成物は、DDpp-CARまたはDDpp融合タンパク質の免疫原性の可能性を最小化するように選択され得る。2つの隣接するドメインが互いに立体的に干渉しないことを確実にすることが望ましい場合、より長いリンカーが使用できる。いくつかの実施形態では、2~10アミノ酸長さで、DDpp-CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間で結合を形成するのが好ましい。さらなる実施形態では、リンカーは、10~15アミノ酸長さ、または15~20アミノ酸長さ、または20~30アミノ酸長さ、または30~60アミノ酸長さ、または60~100アミノ酸長さ(または記載の長さの中間の任意の範囲)である。さらなる実施形態では、リンカーはグリシン-セリンのダブレット配列である。さらなる実施形態は、ヒトT細胞表面糖タンパク質CD8アルファ鎖(例えば、スイスプロット受入番号P01732のアミノ酸位置138~182 CD8アルファ鎖の範囲の)由来のヒンジ部のフラグメントを用いる。さらなる実施形態は、発現機能または免疫原性を改善するためにアミノ酸置換によりさらに改変されているCD8ヒンジ部のフラグメントを用いる。さらなる実施形態は、ヒトCD28由来の細胞外領域のフラグメントを用いる。さらなる実施形態は、発現機能または免疫原性を改善するために、アミノ酸置換によりさらに改変されているCD28細胞外領域のフラグメントを用いる。
【0163】
細胞内ドメイン
本明細書で使用される場合、「細胞内シグナル伝達ドメイン」(ISD)または「細胞質ドメイン」は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞にその分化した機能を実施するように指示する、DDpp-CARの一部を意味する。DDpp-CARの細胞質ドメイン(すなわち、細胞内シグナル伝達ドメイン)は、DDpp-CARを発現するように遺伝子改変された免疫細胞の少なくとも1つの通常のエフェクター機能の活性化に関与する。用語の「エフェクター機能」は、細胞の分化した機能を意味する。T細胞のエフェクター機能は、例えば、細胞溶解活性およびサイトカインの分泌を含むヘルパー活性を含む。従って、用語の「細胞内シグナル伝達ドメイン」は、エフェクター機能シグナルを伝達し、細胞にその分化した機能を実施するように指示する、DDpp-CARタンパク質の一部を意味する。通常、天然の受容体に対応する全細胞内シグナル伝達ドメインを用いることができるが、多くの事例では、全体鎖を使用することが必須ではない。細胞内シグナル伝達ドメインの短縮部分が使用できる程度に応じて、それがエフェクター機能シグナルを伝達する限り、このような短縮部分を完全な鎖の代わりに使用できる。用語の細胞内シグナル伝達ドメインは、従って、エフェクター機能シグナルを伝達するのに十分な細胞内シグナル伝達ドメインのいずれかの短縮部分を含むことが意図されている。一実施形態では、DDpp-CAR中の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列および抗原受容体結合後に呼応してシグナル伝達を開始するように機能する共受容体の配列、または機能的能力を有するこれらの配列の任意の誘導体または変異体も含む。エフェクター機能シグナルを伝達するドメインの例としては、限定されないが、T細胞受容体複合体のζ鎖またはそのホモログのいずれか(例えば、η鎖、FcsRlyおよびβ鎖、MB1(Iga)鎖、B29(Ig)鎖など)、ヒトCD3ゼータ鎖、CD3ポリペプチド(Δ、δ、およびε)、sykファミリーチロシンキナーゼ(Syk、ZAP70など)、srcファミリーチロシンキナーゼ(Lck、Fyn、Lynなど)、ならびにCD2、CD5、およびCD28などのT細胞形質導入に関与する他の分子が挙げられる。
【0164】
TCR単独により生成されたシグナルは、T細胞の完全な活性化には不十分で、二次的または共刺激シグナルも必要であることが知られている。従って、T細胞活性化は、2つの別々の種類の細胞質シグナル伝達配列:TCR(一次細胞質のシグナル伝達配列)による抗原依存性一次活性化を開始する配列および抗原非依存性に二次的または共刺激シグナル(二次的細胞質シグナル伝達配列)を与えるように機能する配列、により媒介されるということができる。
【0165】
一次細胞質のシグナル伝達配列は、TCR複合体の一次活性化を、促進するようにまたは抑制するように調節する。促進するように作用する一次細胞質のシグナル伝達配列は、シグナル伝達モチーフを含み得、これは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)として知られる。
【0166】
提供された実施形態において、特定の使用に使われる一次細胞質のシグナル伝達配列を含むITAMの例には、TCRζ、FcRγ、FcRβ、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD22、CD79a、CD79b、およびCD66dから誘導されるものが挙げられる。CAR中の細胞質シグナル伝達分子は、CD3ゼータ由来の細胞質のシグナル伝達配列を含むことが特に好ましい。
【0167】
本明細書で使用される場合、「共刺激ドメイン」(CSD)は、メモリー細胞の増殖、生存、および/または発生を高めるCARまたはDDpp-CARの一部を指す。DDpp-CARは、1つまたは複数の共刺激ドメインを含み得る。それぞれの共刺激ドメインは、例えば、CD28、CD137(41BB)、CD134(OX40)、Dap10、CD27、CD2、CD5、ICAM-1、LFA-1(CD11a/CD18)、Lck、TNFR-I、TNFR-II、Fas、CD30、およびCD40、またはこれらの組み合わせから選択されるTNFRスーパーファミリーのメンバーの内のいずれか1つまたは複数の共刺激ドメインを含む。他の共刺激ドメイン(例えば、他のタンパク質由来の)は、当業者に明らかであり、本開示により包含される代替の実施形態に関連して使用され得る。
【0168】
好ましい実施形態では、DDpp-CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータシグナル伝達ドメイン単独またはDDpp-CARとの関連で有用ないずれか他の望ましい細胞質ドメインと組み合わせて含む。例えば、DDpp-CARの細胞質ドメインは、CD3ゼータ鎖部分および共刺激シグナル伝達領域を含み得る。共刺激シグナル伝達領域は、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部を指す。共刺激分子は、リンパ球の抗原に対する効率的反応に必要な抗原受容体またはそれらのリガンド以外の細胞表面分子である。このような分子の例には、CD27、CD28、41BB(CD 137)、OX40、CD30、CD40、PD1、ICOS、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7H3、TIM1、およびLAG3が挙げられる。
【0169】
ポリペプチドリンカーは、DDpp-CARの隣接要素の間に配置され得る。例えば、リンカーは、隣接するDDpp間またはDDppと膜貫通ドメインとの間、または膜貫通ドメインと細胞質ドメインとの間または隣接細胞質ドメイン間に配置され得る。DDpp-CARの細胞質シグナル伝達部分内の細胞質シグナル伝達配列は、相互にランダムにまたは指定の順に結合され得る。任意選択で、ショートリンカー、好ましくは、2~10アミノ酸長さのリンカーが結合を形成し得る。グリシン-セリンダブレットは、特に好適なリンカーを与える。
【0170】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、本明細書で開示のDD(例えば、配列番号11~949、または950のアミノ酸配列を含むDD)を含む標的結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)である。いくつかの実施形態では、DDは、BCMAに結合し、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、CD123に結合し、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、CS1に結合し、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、HER2に結合し、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、AFPに結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、DDは、AFP p26に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CARは、標的結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CAR膜貫通ドメインは、41BBまたはCD28膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、ヒトT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CAR細胞内シグナル伝達ドメインは、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、DD標的結合ドメインと同じまたはこれと異なる標的を有する第2の標的結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、CARは、CS1に結合する第1の標的結合ドメインおよびBCMAに結合する第2の標的結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは免疫細胞で発現される。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞はT細胞(CAR-T細胞)またはナチュラルキラー(NK)細胞(CAR-NK細胞)である。いくつかの実施形態では、CARは、リポソームに結合されている。いくつかの実施形態では、CARは、癌細胞の表面上に発現した着目標的(例えば、BCMA、CS1、またはCD123)に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。さらなる実施形態では、CARは、癌細胞の表面上に発現した第2の異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を含む。さらなる実施形態では、投与されるCARは、第2の異なる癌細胞または血管内皮細胞により発現された第2の異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。
【0171】
追加のDDpp融合タンパク質
いくつかの実施形態では、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、または細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたは細胞外ドメインのフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、血清タンパク質または血清タンパク質の抗原フラグメント(例えば、AFP、およびAFP p26)を含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)または細胞内タンパク質の抗原性部分を含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む異種ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有する異種ポリペプチドを含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質はBCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、および/またはAFP p26に特異的に結合し、1つまたは複数の追加着目標的にさらに結合する。DDpp融合タンパク質により特異的に結合される着目標的は、DDppが結合するのが望ましいいずれかの分子であり得る。例えば、DDpp融合タンパク質により特異的に結合される標的は、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、および/またはAFP p26であり得、さらに、製造、処方、治療、診断または予後関連性または値のいずれかの追加の標的であり得る。多数の代表的な追加標的が一例として本明細書で提供されるが、これは、例示することを意図しており、限定することを意図していない。DDpp融合タンパク質により結合される追加の着目標的は、天然発生または合成であり得る。追加の着目標的は、細胞外成分もしくは細胞内成分、可溶性因子(例えば、酵素、ホルモン、サイトカイン、成長因子、毒素、毒液、混入物、など)、または膜貫通タンパク質(例えば、細胞表面受容体)であり得る。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質により結合される着目標的は、ヒトタンパク質である。一実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、ヒトタンパク質着目標的およびそのサル(例えば、カニクイザル)、マウス、ウサギ、ハムスターおよび/またはウサギオルソログに結合する。
【0174】
一実施形態では、DDpp融合タンパク質はBCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、および/またはAFP p26、および血清タンパク質に特異的に結合する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、フィブリノーゲン、および免疫グロブリン(例えば、IgG、IgEおよびIgM)から選択される血清タンパク質に特異的に結合する。理論に束縛されるものではないが、DDppの担体タンパク質への結合は、DDpp(またはその融合体)に対し改善された薬力学的特性を付与すると考えられており、この特性には、限定されないが、タンパク質結合配列がないDDpp融合タンパク質に比較して、向上した腫瘍標的化、腫瘍侵入、腫瘍内拡散、および高められた治療作用が挙げられる(例えば、国際公開第01/45746号を参照されたい。この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0175】
抗体ベースDDpp融合タンパク質
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体のフラグメントまたはサブドメインを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、DDppはFc融合タンパク質である。さらなる実施形態では、Fcタンパク質は可変ヒトFcドメインを含む。
【0176】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体のフラグメントまたはサブドメイン(例えば、IgG1抗体、IgG3抗体、抗体可変領域、CDR3、scFv、Fc、FcRn結合サブドメイン、およびその他の抗体サブドメイン)を含む。DDppタンパク質は、相互に、および/または1つまたは複数の抗体末端、抗体鎖、抗体フラグメント、または抗体サブドメインに動作可能に連結され、DDpp融合タンパク質を形成できる。
【0177】
DDpp融合タンパク質の抗体成分は、任意の好適な完全長免疫グロブリンまたは抗体フラグメント(例えば、抗原結合ドメインおよび/またはエフェクタードメイン)またはそのフラグメントであり得る。一実施形態では、DDpp-抗体融合タンパク質は、従来のモノクローナル抗体の構造的および機能特性を保持している。従って、いくつかの実施形態では、DDpp-抗体融合タンパク質は、エピトープ結合特性を保持するが、好都合にも、DDpp融合を介して、1つまたは複数の追加の標的結合特異性も組み込む。DDpp融合体に使用できる抗体には、限定されないが、モノクローナル、多重特異性、ヒト、ヒト化、霊長類化、およびキメラ抗体が挙げられる。本明細書で提供される免疫グロブリンまたは抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。特定の実施形態では、抗体は、Fc最適化される抗体である。抗体は、鳥類および哺乳動物を含む任意の動物起源に由来し得またはこれから誘導され得るか、または人工的に生成され得る。DDpp-抗体融合タンパク質の抗体成分は、天然由来または組換え工学(例えば、ファージディスプレイ、ゼノマウス、および合成技術)の結果であり得る。特定の実施形態では、抗体-DDpp融合体の抗体成分は、半減期を延長し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、および/または補体依存性細胞障害(CDC)活性を強化または低減する。いくつかの実施形態では、抗体は、ヒト、マウス、ロバ、ウサギ、ヤギ、モルモット、ラクダ、ラマ、ウマ、またはニワトリ抗体である。特定の実施形態では、抗体は、ヒトである。
【0178】
定常領域は通常、いくつかのエフェクター機能を媒介すると理解されている。例えば、補体のC1成分の抗体への結合は、補体系を活性化する。補体の活性化は、オプソニン作用および細胞病原体の溶解に重要である。補体の活性化は炎症反応も刺激し、自己免疫性過敏症にも関与する。さらに、抗体は、Fc領域を介して細胞に結合し、抗体Fc領域上のFc受容体部位が細胞上のFc受容体(FcR)に結合する。IgG(γ受容体)、IgE(η受容体)、IgA(α受容体)およびIgM(μ受容体)を含む、種々のクラスの抗体に特異的な多数のFc受容体が存在する。細胞表面上のFc受容体への抗体の結合が、抗体コート粒子の貪食および破壊、免疫複合体の排出、キラー細胞による抗体コート標的細胞の溶解(抗体依存性細胞傷害(ADCC)と呼ばれる)、炎症メディエータの放出、胎盤移行および免疫グロブリン産生の制御を含む多数の重要で多様な生物学的反応を誘発する。
【0179】
特定の実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、変化したエフェクター機能を有し、これは次に、投与されたDDpp-Fc融合タンパク質の生物学的プロファイルに影響を与える。例えば、定常領域サブドメインの欠失または不活性化(点変異またはその他の手段による)は、循環改変抗体のFc受容体結合を低減させ得る。他の事例では、定常領域改変は、補体結合を抑制し、従って、血清半減期を短縮し、複合化細胞毒素の非特異的結合を減らし得る。定常領域のさらに他の改変を用いて、抗原特異性または抗体柔軟性を増大させることにより、高められた局在化を可能とするジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を除去し得る。同様に、本開示による定常領域に対する改変は、当業者に既知の生化学的または分子工学技術を用いて容易に行い得る。
【0180】
いくつかの実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、1つまたは複数のエフェクター機能を有さない。例えば、いくつかの実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、抗体依存性細胞毒性(ADCC)活性および/または補体依存性細胞傷害(CDC)活性を有さない。特定の実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、Fc受容体および/または補体因子に結合しない。特定の実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、エフェクター機能を有さない。ADCCおよび/またはCDC活性およびFc受容体および/または補体因子結合を低減または無くするFc配列の遺伝子改変の例は、この試験のためのアッセイおよび手順と同様に、本明細書で記載されている、あるいは、当該技術分野において既知である。
【0181】
いくつかの実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、CH3ドメインを直接的にそれぞれの改変抗体のヒンジ部に融合するように遺伝子改変される。その他の構築物では、ペプチドスペーサーがヒンジ部と改変CH2および/またはCH3ドメインとの間に挿入される。例えば、CH2ドメインが欠失され、残存するCH3ドメイン(改変または非改変)が5~20個のアミノ酸スペーサーを用いてヒンジ部に結合されている、適合性構築物を発現させることができる。このようなスペーサーは、例えば、定常ドメインの調節エレメントが遊離のまま残ってアクセス可能である、またはヒンジ部が可撓性のまま残ることを保証するために添加される。アミノ酸スペーサーは、いくつかの事例では、免疫原性であり、構築物に対し望ましくない免疫反応を誘発することを立証できる。従って、特定の実施形態では、構築物に加えられる任意のスペーサーは、改変DDpp-Fc融合タンパク質の所望の生化学的特性を維持するために、比較的非免疫原性であるか、あるいは、完全に除去され得る。
【0182】
さらなる実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質は、定常領域における少数あるいは単一のアミノ酸の部分的な欠失または置換により改変される。例えば、CH2ドメインの選択領域での単一アミノ酸の変異は、Fc結合を実質的に低減するのに十分であり得る。同様に、エフェクター機能(例えば、補体C1Q結合)を制御する1つまたは複数の定常領域ドメインは、完全にまたは部分的に欠失させ得る。定常領域のこのような部分的欠失は、DDpp-Fc融合タンパク質の選択特性(例えば、血清半減期)を改善すると同時に、対応する定常領域ドメインに関連するその他の所望の機能を残すことができる。いくつかの実施形態では、DDpp-Fc融合タンパク質の定常領域は、得られた構築物のプロファイルを向上させる1つまたは複数のアミノ酸の変異または置換により改変される。これにより、保存された結合部位(例えば、Fc結合)により提供される活性を阻害することが可能であると同時に、改変DDpp-Fc融合タンパク質の構成および免疫原性プロファイルを実質的に維持できる。本開示はまた、細胞毒素、標識または炭水化物部分の内の1つまたは複数に対するエフェクター機能の増大または低減、または結合部位の提供などの所望の特性を向上させるための1つまたは複数のアミノ酸の定常領域への付加を含むDDpp-Fc融合タンパク質を提供する。このような実施形態では、選択定常領域ドメイン由来の特定の配列を挿入するまたは反復させることが望ましい場合がある。
【0183】
いくつかの実施形態では、DDppは、抗体フラグメントまたはサブドメイン(例えば、scFv、ダイアボディ、欧州特許第404,097号;国際公開第93/111161号;同第14/028776号;およびHolliger et al.,PNAS 90:6444-6448(1993)、これら文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に動作可能に連結される。抗体フラグメントまたはサブドメインは、抗体の任意のフラグメントまたはドメインであり得る。例えば、国際公開第04/058820号、同第99/42077号および同第05/017148号を参照されたい。これらそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、DDpp融合タンパク質は、1つまたは複数のエフェクター機能をDDppに付与するおよび/または1つまたは複数のFc受容体に結合する能力をDDpp融合タンパク質に付与する抗体エフェクタードメインまたは抗体エフェクタードメイン誘導体を含むことができる。いくつかの実施形態では、DDpp-抗体融合タンパク質は、抗体またはそのフラグメントの抗原結合フラグメントを含む。さらなる実施形態では、DDpp-抗体融合タンパク質は、CH2およびCH3ドメインにより提供されるエフェクター機能を有する抗体の1つまたは複数のCH2および/またはCH3ドメインを含む免疫グロブリンエフェクタードメインを含む。エフェクター機能を提供し、本発明に包含されるDDpp融合体中のその他の配列は、当業者には明らかであると思われ、通常の方法で選択し、所望のエフェクター機能を基準にして本明細書で包含されるDDpp融合タンパク質として設計できる。
【0184】
一実施形態では、DDpp融合体は、完全長抗体または抗原結合フラグメントである抗体フラグメントを含む。さらなる実施形態では、抗体または抗体フラグメントは、疾患関連抗原に結合する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、病原体(例えば、細菌細胞(結核、天然痘、炭疽病))、ウイルス(例えば、HIV)、寄生生物(例えば、マラリア、リーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズマ、プリオン抗原に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、病原体(例えば、細菌細胞(結核、天然痘、炭疽病))、ウイルス(例えば、HIV)、寄生生物(例えば、マラリア、リーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズマ、またはプリオン抗原に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、免疫系の疾患または障害に関連する抗原に特異的に結合する抗体または抗体フラグメントを含む。
【0185】
好ましい実施形態では、抗体フラグメントまたはドメインを含むDDpp融合タンパク質は、親抗体の活性を保持する。従って、特定の実施形態では、抗体フラグメントまたはドメインを含むDDpp融合タンパク質は、補体依存性細胞障害を誘導できる。特定の実施形態では、抗体フラグメントまたはドメインを含むDDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を誘導できる。
【0186】
従って、いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質に対して免疫グロブリンの生物学的または生化学的特性を付与する抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、抗体フラグメントは、前記1つまたは複数のDDppが欠失したDDpp融合タンパク質に比べて、非共有結合により二量体化する能力、腫瘍部位に局在化する能力、および延長された血清半減期から選択される特性を付与する。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、結合したDDppのない場合の対応する抗体と少なくとも同等の安定性である。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、結合したDDppのない場合の対応する抗体よりも高い安定性である。DDpp融合タンパク質は、例えば、ELISA技術などの確立された方法を用いて測定できる。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、37℃の全血中(インビボまたはエクスビボ)で、少なくとも約10時間、少なくとも約15時間、少なくとも約20時間、少なくとも約24時間、少なくとも約25時間、少なくとも約30時間、少なくとも約35時間、少なくとも約40時間、少なくとも約45時間、少なくとも約48時間、少なくとも約50時間、少なくとも約55時間、少なくとも約60時間、少なくとも約65時間、少なくとも約70時間、少なくとも約72時間、少なくとも約75時間、少なくとも約80時間、少なくとも約85時間、少なくとも約90時間、少なくとも約95時間、または少なくとも約100時間(列挙した時間の間の任意の時間を含む)の間、安定である。一実施形態では、DDpp融合体は、1つまたは複数の定常領域ドメインの少なくとも一部が、対応する非改変免疫グロブリン配列を有する免疫グロブリンフラグメントと比較して、エフェクター機能の低減または増大、非共有結合により二量体化する能力、腫瘍の部位に局在化するように高められた能力、血清半減期の短縮、または血清半減期の延長などの所望の特性を与えるように改変されている免疫グロブリンドメインまたはフラグメントに対応する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは半減期に影響を与えるドメインを含む。これらの定常領域ドメインの改変は、アミノ酸置換、挿入、または欠失であり得る。
【0187】
一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質に対して抗体依存性細胞傷害(ADCC)を付与する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ADCCを高めるように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Bruhns,Blood 113:3716-3725(2009);Shields,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Horton,Cancer Res.68:8049-8057(2008);Zalevsky,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer,Neoplasia 11:509-517(2009);国際公開第06/020114号;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);および国際公開第04/074455号を参照されたい。これらの文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ADCCを高めるDDpp融合タンパク質中のアミノ酸配列に含まれる免疫グロブリンフラグメント遺伝子改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;IgG1-D280H、K290SおよびS298DまたはVを一緒に、またはK290S単独;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;およびIgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L(Fc領域の残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))に対応する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれる。
【0188】
他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ADCCを低減するように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Sazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008);Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007);Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993);Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.,Cell Immunol.200:16-26(2000);Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999);Hutchins et al.,PNAS 92:11980-11984(1995);Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000);国際公開第97/11971号;国際公開第07/106585号;米国特許出願公開第2007/0148167A1号;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ADCCを低減するDDpp融合タンパク質中のアミノ酸配列に含まれる免疫グロブリンフラグメント配列遺伝子改変の例には、IgG1-K326W、E333S;IgG2-E333S;IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2-118-260;IgG4- 261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、p268S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;またはIgG1-L234F、L235E、P331S(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))に対応する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれる。
【0189】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質に対して抗体依存性細胞食作用(ADCP)を付与する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、抗体依存性細胞食作用(ADCP)を高めるように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.276:6591-6604(2001);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Stavenhagen et al.,Cancer Res.67:8882-8890(2007);Richards et al.,Mol.Cancer Ther.7:2517-2527(2008);Horton et al.,Cancer Res.68:8049-8057(2008);Zalevsky et al.,Blood 113:3735-3743(2009);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);国際公開第06/020114号;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);および国際公開第04/074455号を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。ADCPを低減するDDpp融合タンパク質中のアミノ酸配列に含まれる免疫グロブリンフラグメント遺伝子改変の例には、IgG1-S298A、E333A、K334A;IgG1-S239D、I332E;IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG1-P247I、A339DまたはQ;IgG1-D280H、K290SおよびS298DまたはVを一緒に、またはK290S単独;IgG1-F243L、R292P、Y300L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、P396L;IgG1-F243L、R292P、Y300L、V305I、P396L;およびIgG1-G236A、S239D、I332E(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))に対応する1つまたは複数の改変を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン配列が含まれる。
【0190】
他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ADCPを低減するように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Sazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008);Davis et al.,J.Rheumatol.34:2204-2210(2007);Bolt et al.,Eur.J.Immunol.23:403-411(1993);Alegre et al.,Transplantation 57:1537-1543(1994);Xu et al.,Cell Immunol.200:16-20(2000);Cole et al.,Transplantation 68:563-571(1999);Hutchins et al.,PNAS 92:11980-11984(1995);Reddy et al.,J.Immunol.164:1925-1933(2000);国際公開第97/11971号;国際公開第07/106585号;米国特許出願公開第2007/0148167A1号;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびKumagai et al.,J.Clin.Pharmacol.47:1489-1497(2007)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。一例として、DDpp融合タンパク質は、ADCCを低減する1つまたは複数の次の改変:IgG1-N297A;IgG1-L234A、L235A;IgG2-V234A、G237A;IgG4-L235A、G237A、E318A;IgG4-S228P、L236E;IgG2-EU配列118-260;IgG4-EU配列261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C220S、C226S、C229S、p268S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;およびIgG1-L234F、L235E、P331S(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))を含む抗体フラグメントまたはドメインを含むことができる。
【0191】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合タンパク質に対して補体依存性細胞傷害(CDC)を付与する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、補体依存性細胞傷害(CDC)を高めるように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Idusogie et al.,J.Immunol.166:2571-2575(2001);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびNatsume et al.,Cancer Res.68:3863-3872(2008)を参照されたい。これらの文献のそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、DDpp融合タンパク質は、CDCを高める1つまたは複数の次の改変:IgG1-K326A、E333A;IgG1-K326W、E333S、IgG2-E333S(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))を含む抗体フラグメントまたはドメインを含むことができる。
【0192】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合体に対し、FcγRIIb受容体に結合する能力を付与する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体のアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、FcγRIIb受容体に対する阻害結合を高めるように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Chu et al.,Mol.Immunol.45:3926-3933(2008)を参照されたい)。阻害的にFcγRIIb受容体に対する結合を高めるDDpp融合タンパク質中のアミノ酸配列に含まれる免疫グロブリンフラグメント遺伝子改変の例は、IgG1-S267E、L328Fである。
【0193】
他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CDCを低減するように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、国際公開第97/11971号;同第07/106585号;米国特許出願公開第2007/0148167A1号;McEarchern et al.,Blood 109:1185-1192(2007);Hayden-Ledbetter et al.,Clin.Cancer 15:2739-2746(2009);Lazar et al.,PNAS 103:4005-4010(2006);Bruckheimer et al.,Neoplasia 11:509-517(2009);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびSazinsky et al.,PNAS 105:20167-20172(2008)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。一例として、DDpp融合タンパク質は、CDCを低減する1つまたは複数の次の改変:IgG1-S239D、A330L、I332E;IgG2-118-260;IgG4-261-447;IgG2-H268Q、V309L、A330S、A331S;IgG1-C226S、C229S、E233P、L234V、L235A;IgG1-L234F、L235E、P331S;およびIgG1-C226S、p260S(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))を含む抗体フラグメントまたはドメインを含むことができる。
【0194】
IgGの半減期は、その新生児受容体FcRnへのpH依存性結合により媒介される。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、DDpp融合体に対し、新生児受容体FcRnに結合する能力を付与する免疫グロブリンエフェクタードメインまたは免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、FcRnに対する結合を高めるように改変されている免疫グロブリンFcRn結合ドメインの配列を含む機能的ドメインを含む(例えば、Petkova et al.,Int.Immunol.18:1759-1769(2006);Dall’Acqua et al.,J.Immunol.169:5171-5180(2002);Oganesyan et al.,Mol.Immunol.46:1750-1755(2009);Dall’Acqua et al.,J.Biol.Chem.281:23514-23524(2006),Hinton et al.,J.Immunol.176:346-356(2006);Datta-Mannan et al.,Drug Metab.Dispos.35:86-94(2007);Datta-Mannan et al.,J.Biol.Chem.282:1709-1717(2007);国際公開第06/130834号;Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);およびYeung et al.,J.Immunol.182:7663-7671(2009)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0195】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、pH6.0でFcRnに対する選択的親和性を有するが、pH7.4では親和性を有さないように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む機能的ドメインを含む。例えば、DDpp融合タンパク質は、半減期を延長する1つまたは複数の次の改変:IgG1-M252Y、S254T、T256E;IgG1-T250Q、M428L;IgG1-H433K、N434Y;IgG1-N434A;およびIgG1-T307A、E380A、N434A(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版)、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を含む抗体フラグメントまたはドメインを含むことができる。
【0196】
他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、FcRnに対する結合を低減するように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む(例えば、Petkova et al.,Int.Immunol.18:1759-1769(2006);Datta-Mannan et al.,Drug Metab.Dispos.35:86-94(2007);Datta-Mannan et al.,J.Biol.Chem.282:1709-1717(2007);Strohl,Curr.Op.Biotechnol.20:685-691(2009);および Vaccaro et al.,Nat.Biotechnol.23:1283-1288(2005)を参照されたい。これらの文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。例えば、DDpp融合タンパク質は、半減期を短縮する1つまたは複数の次の改変:IgG1-M252Y、S254T、T256E;H433K、N434F、436H;IgG1-I253A;およびIgG1-P257I、N434HおよびD376V、N434H(残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのものである(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版、この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))を含む抗体フラグメントまたはドメインを含むことができる。
【0197】
別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、238、239、246、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、332、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438、および439からなる群より選択されるFc領域(例えば、Fcガンマ)の位置に対応するその配列中に少なくとも1つの置換を含むように改変されている免疫グロブリンエフェクタードメインに対応するアミノ酸配列を含む(Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatらのEUナンバリングシステム(Kabat et al.,Sequences of proteins of Immunological Interest,1991 第5版;この文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従う)。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、位置434に対応する少なくとも1つの残基がA、W、Y、FおよびHから選択される残基である免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、次のそれぞれの置換S298A/E333A/K334Aを有する免疫グロブリンエフェクターフラグメント誘導体の配列を含む。追加の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、K322Aに対応する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体を含む。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、次の置換K246H、H268D、E283L、S324G、S239D およびI332Eの内の1つまたはいずれかの組み合わせを有する免疫グロブリンエフェクターフラグメント誘導体の配列を含む。さらに別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、D265A/N297Aに対応する置換を有する免疫グロブリンエフェクタードメイン誘導体の配列を含む。
【0198】
特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、当該技術分野において既知の技術を使用してエフェクター機能を高めるように糖鎖操作または変異導入されている免疫グロブリンエフェクタードメインの配列を含む。例えば、DDppに含まれる定常領域ドメイン配列の不活性化(点変異またはその他の手段による)は、循環DDpp融合タンパク質のFc受容体結合を低減し、それにより、腫瘍局在化を高め得る。他の事例では、特定の提供された実施形態と一致する定常領域改変は、補体結合を減速し、従って、血清半減期を短縮し、複合化細胞毒素の非特異的結合を減らす可能性がある。定常領域のさらに他の改変を用いて、抗原特異性または抗体柔軟性を増大させることにより、高められた局在化を可能とするようにジスルフィド結合またはオリゴ糖部分を改変し得る。腫瘍局在化、体内分布および血清半減期などの得られた生理学的プロファイル、およびその他の生化学的改変効果は、過度な実験をすることなく公知の免疫学的な技術を用いて容易に測定および定量化できる。
【0199】
いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞は、免疫グロブリンまたはその他のペプチド結合分子のための細胞表面受容体、例えば、免疫グロブリン定常領域のための受容体、および一般に「Fc受容体」(「FcR」)と呼ばれる受容体クラスを含む受容体を含む。免疫グロブリン重鎖アイソタイプの拘束性サブセットと相互作用する特定の能力を有するFcR、または種々の親和性でFcドメインと相互作用するFcR、および/または特定の条件下で免疫エフェクター細胞の拘束性サブセット上で発現し得るFcRを含む、多数のFcRが構造上および/または機能的に特徴付けられてきており、当技術分野において既知である(例えば、Kijimoto-Ochichai et al.,Cell Mol.Life.Sci.59:648(2002);Davis et al.,Curr.Top.Microbiol.Immunol.266:85(2002);Pawankar,Curr.Opin.Allerg.Clin.Immunol.1:3(2001);Radaev et al.,Mol.Immunol.38:1073(2002);Wurzburg et al.,Mol.Immunol.38:1063(2002);Sulica et al.,Int.Rev.Immunol.20:371(2001);Underhill et al.,Ann.Rev.Immunol.20:825(2002);Coggeshall,Curr.Dir.Autoimm.5:1(2002);Mimura et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:49(2001);Baumann et al.,Adv.Exp.Med.Biol.495:219(2001);Santoso et al.,Ital.Heart J.2:811(2001);Novak et al.,Curr.Opin.Immunol.13:721(2001);Fossati et al.,Eur.J.Clin.Invest.31:821(2001))、これらのそれぞれの文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0200】
ADCCを媒介できる細胞は、免疫エフェクター細胞の例である。その他の免疫エフェクター細胞には、ナチュラルキラー細胞、腫瘍浸潤性Tリンパ球(TIL)、細胞傷害性Tリンパ球、およびアレルギー反応機序を含む細胞などの顆粒球細胞が挙げられる。従って、免疫エフェクター細胞には、限定されないが、骨髄およびリンパ系内の種々の分化段階の細胞を含む造血起源の細胞ならびにTリンパ球、Bリンパ球、NK細胞、単球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、好塩基球、好酸球、マスト細胞、血小板、赤血球、および前駆物質、前駆細胞(例えば、造血幹細胞)、ならびにこれら細胞の休止、活性化、および成熟型などの1つまたは複数のタイプの機能細胞表面FcRを発現し得る(発現しなくてもよい)細胞が挙げられる。その他の免疫エフェクター細胞には、免疫機能を媒介できる非造血起源の細胞、例えば、内皮細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、破骨細胞、上皮細胞、およびその他の細胞が挙げられ得る。免疫エフェクター細胞にはまた、細胞傷害性または細胞分裂停止イベント、またはエンドサイトーシス、食作用性、または飲作用イベントを媒介する細胞、またはアポトーシスの誘導をもたらす細胞、または微生物の免疫性または微生物感染の中和をもたらす細胞、またはアレルギー性、炎症性、過敏症および/または自己免疫反応を媒介する細胞を挙げることができる。
【0201】
延長された半減期を有するDDpp融合タンパク質
開示DDppは、第2のペプチドドメインと融合または複合化でき、DDppの半減期を延長し、またはその安定性を高める。
【0202】
一態様では、DDppは、ペプチドの合成、取り扱い、または使用を容易にする1個または複数のアミノ酸をさらに含み、これには、限定されないが、ポリペプチドの溶解度を高めるための、N末端および/またはC末端の1個または2個のリシンが挙げられる。好適な融合タンパク質には、限定されないが、通常はタンパク質配列の一部としては認識されない、1つまたは複数のポリペプチド、ポリペプチドフラグメント、またはアミノ酸に結合したDDppを含むタンパク質が挙げられる。一態様では、融合ペプチドは、2つ以上のペプチドの全アミノ酸配列、またはその代わりに、2つ以上のペプチドの一部(フラグメント)を含む。いくつかの態様では、ペプチド(例えば、タンパク質S結合ペプチド)は、例えば、次記の内の1個または複数に動作可能に連結される:マーカータンパク質、精製を容易にするペプチド、多量体タンパク質の形成を容易にするペプチド配列、または前述のいずれかのフラグメント。好適な融合パートナーには、限定されないが、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、strep tag、およびミックタグが挙げられる。
【0203】
いくつかの実施形態では、DDppは、ポリペプチドの半減期を延長する1つまたは複数の部分に融合される。半減期は、例えば、DDppの分子量を増大させて腎クリアランスを回避すること、および/またはFcRn媒介再利用方法のための結合ドメインを組み込むことにより、延長できる。一実施形態では、DDppは、アルブミンポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、ヒト血清アルブミン(HSA))に融合、または化学的に複合化される。特定の実施形態では、融合または化学的複合化アルブミンフラグメントは、完全長アルブミンタンパク質の10%、25%、50%、または75%を含む。さらなるまたは代替実施形態では、DDppは、インビボで投与される場合にアルブミンに結合するアルブミン結合ドメインまたは脂肪酸に融合、または複合化される。アルブミン結合ドメインの例は、4-(p-ヨードフェニル)ブタン酸から誘導された部分である、「albu-tag」である(Dumelin et al.,Angew Chem.Int.Ed Engl.47:3196-3201(2008))。
【0204】
一実施形態では、DDppは、トランスフェリンポリペプチドまたはそのフラグメント(例えば、ヒトトランスフェリン)に融合、または化学的に複合化される。特定の実施形態では、融合または化学的複合化トランスフェリンフラグメントは、完全長トランスフェリンタンパク質の10%、25%、50%、または75%を含む。さらなるまたは代替実施形態では、DDppは、はインビボで投与される場合にアルブミンに結合するトランスフェリン結合ドメインに融合、または複合化される。
【0205】
いくつかの実施形態では、DDppは、プロリン-アラニン-セリン多量体(PASylation;XL-Protein GmbH)、不完全(non-exact)反復ペプチド配列(XTENylation、rPEG)、グリシン残基のホモポリマー(HAPylation)、エラスチン様リピート配列(ELPylation;例えば、米国特許出願第61/442,106号を参照、この内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、人工GLK(GLK融合体;Huang et al.,Eur.J.Pharm.Biopharm.72:435-41(2010))、またはヒトCGベータサブユニット由来のCTPペプチド(CTP融合)に融合、または化学的複合化される。
【0206】
追加のDDpp融合タンパク質
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質はBCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、および/またはAFP p26に特異的に結合する。疾患関連抗原は、癌、および/または特定の細胞型(例えば、過剰増殖細胞)、および/または病原体(例えば、細菌細胞(例えば、結核、天然痘、および炭疽病)、ウイルス(例えば、HIV)、寄生生物(例えば、マラリアおよびリーシュマニア症)、真菌感染、カビ、マイコプラズマ、プリオン抗原、または免疫系の障害に関連する抗原に特徴的な抗原であり得る。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、治療薬または細胞傷害剤に結合される。
【0207】
追加の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、検出、多量体化、相互作用パートナーとの結合、またはDDpp活性のキャラクタリゼーションを容易にする1つまたは複数の化学部分(例えば、標識)に結合される。代表的化学部分はビオチンである。DDppへの複合化に好適する他の部分には、限定されないが、光増感剤、色素、蛍光色素、放射性核種、放射性核種含有複合体、酵素、毒素、および細胞傷害剤が挙げられる。光増感剤には、例えば、フォトフリン、ビスダイン、レブラン、ホスカン、メトビックス、ヘクスヴィックス(登録商標、Cysview(商標))、レザフィリン、アントリン、フォトクロル、Photosens、Photrex、Lumacan、Cevira、Visonac、BF-200ALA、およびアンフィネックスが挙げられる。さらなる実施形態では、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、Strep Tag、またはミックタグがDDppに結合される。
【0208】
別の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、AFP p26またはそのフラグメントに結合するDDを含む。このようなペプチドタグは、ペプチドタグを含む着目標的を検出するおよび/またはそれに結合するための有用な手段を提供する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、群:ヘキサヒスチジル(His6)タグ、ミックタグおよびFLAGタグから選択されるペプチドタグに特異的に結合する。その他のペプチドタグは、本明細書で記載されている、あるいは、当該技術分野において既知である。
【0209】
エピトープタグを有するDDpp融合タンパク質
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ペプチドエピトープタグを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドタグは、ヘキサヒスチジル(His6)タグ、ミックタグ、およびFLAGタグからなる群より選択される。さらなる実施形態では、ペプチドタグには、限定されないが、avitag(タグのビオチン化およびストレプトアビジンによる単離を可能とする)、カルモデュリン、E-タグ、赤血球凝集素(HA)、S-タグ、SBP-タグ、softag1、ストレプトアビジン、テトラまたはポリシステイン、V5、VSV、およびXpressタグが挙げられる。さらに、ポリヒスチジンタグ(6残基以外の)を使用できる。さらなる実施形態では、共有結合ペプチドタグ、タンパク質タグ、などを使用できる。共有結合ペプチドタグには、限定されないが、イソペプタグ(ピリンCタンパク質に共有結合する)、Spytag(スパイキャッチャータンパク質に共有結合する)、およびスヌープタグ(スパイキャッチャータンパク質に共有結合する)が挙げられる。さらに追加の実施形態では、限定されないが、ビオチンカルボキシル担体タンパク質(BCCP)、グルタチオン-s-トランスフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(またはその他のフルオロフォア)、ハロタグ、Nusタグ、チオレドキシン、およびFcタグを含むタンパク質タグを任意選択で使用し得る。さらに追加の実施形態では、多型のタグを使用し得る。さらに追加の実施形態では、タグが使用されない。さらに追加の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、取り外し可能なタグを含む。実施形態に応じて、本明細書で開示の細胞外、膜貫通型および細胞内ドメインの任意の組み合わせを使用し得る。
【0210】
DDppリンカー
用語の「リンカー」およびスペーサーは、本明細書では同じ意味で用いられ、それがない場合は独立した機能的ドメインを連結するように機能するペプチド結合またはその他の化学的結合を意味する。一実施形態では、DDpp中のリンカーは、それがない場合には独立の機能的ドメインを含む、DDppと別のポリペプチド成分との間に配置される。2つ以上の結合されるDDppを結合するための好適なリンカーは、当業者には明らかであると思われ、通常、ペプチド、タンパク質またはその他の有機分子を結合するために当該技術分野において使われる任意のリンカーであってよい。特定の実施形態では、このようなリンカーは、医薬用途として意図されるタンパク質またはポリペプチドを構築するのに好適する。
【0211】
単鎖アミノ酸配列中で、DDppと、DDpp融合タンパク質の追加の成分を動作可能に連結するのに適切なリンカーには、限定されないが、グリシンリンカー、セリンリンカー、混合グリシン/セリンリンカー、グリシンおよびセリンリッチリンカーまたはほぼ極性のポリペプチドフラグメントから構成されるリンカーなどのポリペプチドリンカーが挙げられる。
【0212】
一実施形態では、リンカーは、ほとんどがグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリシンから選択されるアミノ酸から構成される。一実施形態では、リンカーは、ほとんどがグリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、トレオニン、グルタミン、およびリシンから選択されるアミノ酸から構成される。一実施形態では、DDpp融合タンパク質リンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリシンから選択される1個または複数のアミノ酸から構成される。一実施形態では、DDpp融合タンパク質リンカーは、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、アスパラギン酸、トレオニン、グルタミン、およびリシンから選択される1個または複数のアミノ酸から構成される。別の実施形態では、DDpp融合タンパク質リンカーは、ほとんどが立体障害のないアミノ酸から構成される。別の実施形態では、リンカーは、その中のアミノ酸が、ほとんどがグリシン、セリン、および/またはアラニンである。いくつかの実施形態ではペプチドリンカーは、ポリグリシン、例えば、(Gly)5(配列番号975)、および(Gly)8(配列番号976)、ポリ(Gly-Ala)、およびポリアラニンから選択される。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーはGly-Gly-Gly-Gly-Thr-Gly-Gly-Gly-Gly-Serの配列(配列番号4)を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーはGly-Gly-Gly-Gly-Asp-Gly-Gly-Gly-Gly-Serの配列(配列番号5)を含む。
【0213】
一実施形態では、DDpp融合体は、DDpp融合タンパク質の別の成分に直接結合(すなわち、リンカーなしで)したDDppを含む。一実施形態では、DDpp融合体は、DDpp融合体の別の成分に直接結合した少なくとも2つの、少なくとも3つの、少なくとも4つのDDppを含む。
【0214】
別の実施形態では、DDppは、リンカーを介して、DDpp融合タンパク質の別の成分に動作可能に連結できる。DDpp融合タンパク質は、単一リンカー、複数リンカー、または無リンカーを含むことができる。一実施形態では、DDpp融合体は、リンカーペプチドを介してDDpp融合タンパク質の別の成分に動作可能に連結されたDDppを含む。一実施形態では、DDpp融合体は、リンカーペプチドを介してDDpp融合タンパク質の別の成分に動作可能に連結された2、3、4、または5つのDDを含む。
【0215】
リンカーは、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26などの着目標的にDDppを結合させるように、DDppを動作可能に連結できる限りにおいて、任意のサイズまたは組成とすることができる。いくつかの実施形態では、リンカーは、約1~100アミノ酸、約1~50アミノ酸、約1~20アミノ酸、約1~15約アミノ酸、約1~10約アミノ酸、約1~5約アミノ酸、約2~20アミノ酸、約2~15アミノ酸、約2~10アミノ酸、または約2~5アミノ酸である。リンカーの長さ、可撓性の程度および/またはその他の特性は、限定されないが、着目標的に対する、または1種もしくは複数の他の着目タンパク質標的に対する親和性、特異性または結合力を含む、得られたDD含有タンパク質の特性に何らかの影響を与え得ることを明確にしなければならない。DDpp融合タンパク質融合タンパク質で、2つ以上のリンカーが用いられる場合、これらのリンカーは、同じまたは異なっていてもよい。本明細書で提供される状況および開示では、当業者なら、DDppおよびDDpp融合タンパク質の他の成分を動作可能に連結するために、最適リンカー組成および長さを日常的に決定できるであろう。
【0216】
リンカーはまた、アルキルリンカー、またはPEGリンカーなどの非ペプチドリンカーであり得る。例えば、-NH-(CH2)s-C(O)-(s=2~20)などのアルキルリンカーを使用できる。これらのアルキルリンカーはさらに、低級アルキル(例えば、C1-C6)、低級アシル、ハロゲン(例えば、Cl、Br)、CN、NH2、フェニルなどのような非立体障害性基で置換され得る。代表的非ペプチドリンカーは、PEGリンカーである。特定の実施形態では、PEGリンカーは、約100~5000kDa、または約100~500kDaの分子量を有する。
【0217】
化学的架橋によりDDpp融合タンパク質成分を結合するための適切なリンカーには、限定されないが、グルタルアルデヒドなどのホモ二官能性化学的架橋化合物、アジプイミド酸ジメチル(DMA)、スベルイミノ酸ジメチル(DMS)およびピメルイミド酸ジメチル(DMP)などのイミドエステルまたはジチオビス(スクシンイミジルプロピオネート)(DSP)およびジチオビス(スルホスクシンイミジルプロピオネート)(DTSSP)などのN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)エステルが挙げられる。架橋のために、ヘテロ二機能性試薬のDDpp融合タンパク質成分を結合するための適切なリンカーの例には、限定されないが、1つのアミン反応性末端および他端にスルフヒドリル反応性部分を有する架橋剤、または1端にNHSエステルおよびSH-反応性基(例えば、マレイミドまたはピリジル)を有する架橋剤が挙げられる。
【0218】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質中の1つまたは複数のリンカーは切断可能である。切断可能リンカーの例には、限定されないが、プロテアーゼにより(インビトロまたはインビボで)認識される種々のタイプのペプチド配列、例えば、Tev、トロンビン、第Xa因子、プラスミン(血液プロテアーゼ)、メタロプロテアーゼ、カテプシン(例えば、GFLG、など)、および他の身体区画中で見つかるプロテアーゼが挙げられる。
【0219】
いくつかの実施形態では、リンカーは、細胞中のDDppまたは細胞傷害剤の放出を容易にする「切断可能リンカー」である。例えば、酸不安定性リンカー(例えば、ヒドラゾン)、プロテアーゼ感受性(例えば、ペプチダーゼ感受性)リンカー、感光性リンカー、ジメチルリンカーまたはジスルフィド含有リンカー(Chari,Can.Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号;米国特許出願公開第20090110753号;これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)が使用でき、組成物が細胞中に内部移行すると、DDppまたは細胞傷害剤と融合パートナーとの間の共有結合が細胞内で切断されるのが望ましい。用語の「細胞内で切断される」および「細胞内切断」は、DDpp薬物複合体に対する代謝プロセスまたは細胞内の反応を意味し、それによって、共有結合、すなわち、DDppと細胞傷害剤、DDppと融合体、又は二つのDDppとの間のリンカーを介した結合が破壊され、細胞内で遊離DDppおよび/または細胞傷害剤が生ずる。
【0220】
リンカー最適化は、本明細書で記載の技術を用いて、および/またはその他の当該技術分野において既知の技術を用いて評価できる。いくつかの実施形態では、リンカーは、標的分子および/または抗原に結合する抗体ドメインまたはフラグメントなどの別のDDpp融合タンパク質成分に結合するDDppの能力を妨害しない。
【0221】
化学的複合体としてのDDpp
着目標的に対する特異的結合を促進するDDpp融合タンパク質は、蛍光染料、放射性同位元素、クロマトグラフィー組成物(例えば、ビーズ、樹脂、ゲル、など)および化学療法剤などの種々の化合物と化学的に複合化できる。DDpp複合体は、限定されないが、診断、分析、製造および治療用途を含む用途を有する。
【0222】
DD配列中のシステインの固有の欠如は、部位特異的結合を目的とした特有のシステインの導入のための機会を提供する。
【0223】
いくつかの実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は少なくとも1個の反応性残基を含む。反応性残基は、例えば、化学療法剤などの複合体の結合のための部位として有用である。反応性残基は、例えば、システイン、リシン、または別の反応性残基であり得る。従って、システインは、DDppのNまたはC末端に、またはDDpp配列内に加えることができる。システインは、DDpp配列中の別のアミノ酸を置換できる。加えて、リシンは、DDppのどちらかの末端またはDDpp配列内に加えることができ、および/またはリシンは、DDppの配列中の別のアミノ酸を置換できる。一実施形態では、反応性残基(例えば、システイン、リシン、など)は、DDのループ配列中に位置する(例えば、配列番号11~949および950のアミノ酸残基22~24および46~49)。一実施形態では、反応性残基は、DDpp融合体の成分間、例えば、DDpp融合タンパク質のDDppとその他の成分との間に位置するリンカー中に配置される。反応性残基(例えば、システイン、リシン、など)はまた、DDppの配列内、またはDDpp融合タンパク質のその他の成分内に配置できる。一実施形態では、DDppまたはDDpp融合タンパク質は、少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個の反応性残基を含む。一実施形態では、DDpp融合タンパク質などのDDppは、少なくとも1個、少なくとも2個、または少なくとも3個のシステイン残基を含む。
【0224】
BCMA結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、BCMAに特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppのDDは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0225】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するBCMAに特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAの異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含み、BCMAまたは異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDD(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0226】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、BCMAに特異的に結合する能力を保持しているBCMA結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0228】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照BCMA結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DD変異体の配列は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0229】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのBCMAへの結合を遮断するBCMA結合DDppを提供し、参照DDは配列番号11~305、および306から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号11~305、および306から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じBCMAのエピトープに結合するBCMA結合DDppを提供する。
【0230】
いくつかの実施形態では、DDppは、BCMAに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDは、配列番号7からなるアミノ酸配列を有するBCMAタンパク質に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDppはFc融合タンパク質である。さらなる実施形態では、Fcタンパク質は可変ヒトFcドメインを含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質に動作可能に連結されたBCMA結合DDを含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFPもしくはAFP p26、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(例えば、配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質または血清タンパク質の抗原フラグメント(例えば、AFP、およびAFP p26)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、CD123(例えば、配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0234】
さらなる実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、BCMA結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0235】
CD123結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、CD123に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、CD123結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合し、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123の異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含み、CD123または異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDD(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0237】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、CD123に特異的に結合する能力を保持しているCD123結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0238】
いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0239】
いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CD123結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DD変異体の配列は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0240】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのCD123への結合を遮断するCD123結合DDppを提供し、参照DDは配列番号307~739、および740から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号307~739、および740から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じCD123のエピトープに結合するCD123結合DDppを提供する。
【0241】
いくつかの実施形態では、DDppは、CD123に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質のDDは、配列番号8からなるアミノ酸配列を有するCD123に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、CD123結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0242】
いくつかの実施形態では、DDppは、血清タンパク質に動作可能に連結されたCD123結合DDを含む融合タンパク質である。さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンの全部または一部を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質または血清タンパク質の抗原フラグメント(例えば、AFP、およびAFP p26)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0243】
いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD123(例えば、配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0244】
いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0245】
さらなる実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、CD123結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0246】
CS1結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、CS1に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、CS1結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合し、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1の異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含み、CS1または異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDD(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0248】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、CS1に特異的に結合する能力を保持しているCS1結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0249】
いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0250】
いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照CS1結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DD変異体の配列は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0251】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのCS1への結合を遮断するCS1結合DDppを提供し、参照DDは配列番号896~909、および910から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号896~909、および910から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じCS1のエピトープに結合するCS1結合DDppを提供する。
【0252】
いくつかの実施形態では、DDppは、CS1に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質のDDは、配列番号965からなるアミノ酸配列を有するCS1に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、CS1結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0253】
いくつかの実施形態では、DDppは、血清タンパク質に動作可能に連結されたCS1結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンの全部または一部を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質または血清タンパク質の抗原フラグメント(例えば、AFP、およびAFP p26)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0254】
いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、CS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0255】
いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0256】
さらなる実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、CS1結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0257】
HER2結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、HER2に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0258】
いくつかの実施形態では、HER2結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合し、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2の異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含み、HER2または異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、癌細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDD(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0259】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、HER2に特異的に結合する能力を保持しているHER2結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0260】
いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0261】
いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照HER2結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DD変異体の配列は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0262】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのHER2への結合を遮断するHER2結合DDppを提供し、参照DDは配列番号911~949、および950から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号911~949、および950から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じHER2asのエピトープに結合するHER2結合DDppを提供する。
【0263】
いくつかの実施形態では、DDppは、HER2に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質のDDは、配列番号967からなるアミノ酸配列を有するHER2に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、HER2結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0264】
いくつかの実施形態では、DDppは、血清タンパク質に動作可能に連結されたHER2結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンの全部または一部を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、AFP(配列番号9)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、AFP p26(配列番号10)、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号10、968、969、970、971、972、973、または974の配列を有するポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質または血清タンパク質の抗原フラグメント(例えば、AFP、およびAFP p26)を含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0265】
いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、HER2(配列番号967)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7Rおよびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0267】
さらなる実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、HER2結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0268】
AFP結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、AFPまたはそのフラグメントに特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppのDDは、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPまたはそのフラグメントに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、AFP結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0269】
いくつかの実施形態では、AFP結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPの異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDDを含み、AFPまたは異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0270】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、AFPに特異的に結合する能力を保持しているAFP結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0271】
いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのAFPへの結合を遮断するAFP結合DDppを提供し、参照DDは配列番号741~873、および874から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号741~873、および874から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じAFPのエピトープに結合するAFP結合DDppを提供する。
【0274】
いくつかの実施形態では、DDppは、AFPに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFPに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDの変異体であるAFP結合DDを含む融合タンパク質である。
【0275】
いくつかの実施形態では、DDppは、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)に動作可能に連結されたAFPに特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、Fc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、AFP結合DDppはFc融合タンパク質である。
【0276】
いくつかの実施形態では、DDppは、血清タンパク質に動作可能に連結されたAFP結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質のフラグメントまたは血清タンパク質の抗原フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。さらなる実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、CD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0279】
さらなる実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、AFP結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0280】
AFP p26結合DDpp
いくつかの実施形態では、DDppのDDは、AFP p26に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppのDDは、配列番号10からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらなる実施形態では、AFP p26結合DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDppは、単一標的に結合する複数標的結合ドメインを含む(例えば、二量体、三量体、など)。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、2、3、4、5つ、または5つを超える、同じ配列を有するDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26の異なるエピトープに特異的に結合し、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含み、AFP p26または異なる標的抗原に特異的に結合する2、3、4、5つ、または5つを超える、追加の異なるDDまたは標的結合結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、B細胞の表面上に発現した1つまたは複数の抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、1つまたは複数の癌抗原に結合する1つまたは複数の追加のDDまたはその他の標的結合結合ドメインをさらに含む。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる標的に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、癌細胞の表面上に発現した異なる癌抗原に特異的に結合する。いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDD(例えば、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するDD)を含み、2、3、4、5つ、または5つを超える、異なる癌細胞の表面上に発現した癌抗原に特異的に結合する。
【0282】
いくつかの実施形態では、DDppは、本明細書で開示の、AFP p26に特異的に結合する能力を保持しているAFP p26結合DDの変異体(参照DD)を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDに比べて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26-DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基1~22、29~46、および52~72に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0284】
いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照AFP p26結合DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的または非保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の保存的置換を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DD変異体の配列は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を有する参照DDのアミノ酸残基2~6、8~10、12、13、15~17、19、20、29、30、32~34、36、37、39~41、43、44、52~55、57~59、61、62、64~66、および68~70に対応する位置に、合計1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、1~3、1~5、または1~10個の非保存的置換を含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、本開示は、完全にまたは部分的に(例えば、エピトープと重なり合う)参照DDのAFP p26への結合を遮断するAFP p26結合DDppを提供し、参照DDは配列番号741~873、および874から選択されるアミノ酸配列を有する。他の実施形態では、本開示は、配列番号741~873、および874から選択されるアミノ酸配列からなる参照DDと同じAFP p26のエピトープに結合するAFP p26結合DDppを提供する。
【0286】
いくつかの実施形態では、DDppは、AFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、配列番号9からなるアミノ酸配列を有するAFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。さらなる実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、DDppは、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDの変異体であるAFP p26結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、完全長抗体または抗体の一部(フラグメント)に動作可能に連結されたAFP p26に特異的に結合するDDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、Fc融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、完全長IgG抗体(例えば、IgG1、IgG2、IgG2、またはIgG4)を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、癌抗原に特異的に結合する完全長抗体を含む。さらなる実施形態では、DDppは、商業的に承認された治療抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ、ベルツズマブ、MEDI-551、エプラツズマブ、ベリムマブ、タバルマブ、AMG-557、MEDI-570、およびNN882)を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDppはFc融合タンパク質である。さらなる実施形態では、Fc融合タンパク質は可変ヒトFcドメインを含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、DDppは、血清タンパク質に動作可能に連結されたAFP p26結合DDを含む融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ヒト血清アルブミンまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、血清タンパク質のフラグメントまたは血清タンパク質の抗原フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の血清タンパク質のアミノ酸からなるフラグメントを含む。
【0288】
いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。さらなる実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。さらなる実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメイン、またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37、TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインまたはそのフラグメントを含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、細胞表面受容体の細胞外ドメインの5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個のアミノ酸からなるフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)またはCD123(配列番号8)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、BCMA(配列番号7)、またはCD123(配列番号8)、またはCS1(配列番号965)の細胞外ドメインのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDppは、CD19、CD20、CD22、HVEM、BTLA、DR3、CD37;TSLPR、IL7R、およびgp96からなる群より選択される受容体の細胞外ドメインのフラグメントを含む。
【0290】
さらなる実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)またはそのフラグメントを含む。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列を含むDDを含む。他の実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、配列番号741~874、および886~895からなる群より選択されるアミノ酸配列の変異体を含む。いくつかの実施形態では、AFP p26結合DDpp融合タンパク質は、5~500、5~400、5~300、5~200、5~100、5~50、10~500、10~400、10~300、10~200、10~100、または10~50個の細胞内タンパク質(例えば、核タンパク質)のアミノ酸残基からなるフラグメントを含む。
【0291】
DDppをコードする核酸ならびに核酸を含むベクターも提供される。核酸およびベクターを含む宿主細胞(ウイルス粒子を含む)も提供される。いくつかの実施形態では、宿主細胞は変異体DDをその表面上に提示する原核生物または真核生物である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は変異体DDをその表面上に提示する。さらなる実施形態では、宿主細胞は変異体DDをその表面上に提示するファージである。さらなる実施形態では、宿主細胞は変異体DD融合タンパク質をその表面上に発現するヒト免疫細胞である。
【0292】
DDpp作動物質は、何らかの方法でDDpp標的の生物活性を増大させるまたは高めるまたはDDpp標的の既知の作動物質と同等の生物活性を有するDDppを意味する。別の実施形態では、DDppは、それが結合する標的の拮抗物質である。DDpp拮抗物質は、DDpp標的タンパク質の生物活性を完全にまたは部分的に遮断する、または何らかの方法でDDpp標的タンパク質の生物活性を妨害するまたはDDpp標的タンパク質の既知の拮抗物質または抑制剤と同等の生物活性を有するDDppを意味する。
【0293】
当該技術分野において既知の「標的に対する結合親和性」、「標的に対する結合」などのような表現は、親和定数、例えば、所与の抗原濃度で結合するおよび解離するDDppの量を決定することにより直接測定され得るポリペプチドの特性を意味する。限定されないが、競合分析、平衡分析およびマイクロ熱量分析、および表面プラズモン共鳴相互作用に基づくリアルタイム相互作用分析(例えば、Biacore(登録商標)装置を用いて)などの別の方法を使用して分子間相互作用を特徴付けることができる。これらの方法は、当業者に知られており、例えばNeri et al.,Tibtech 14:465-470(1996),およびJansson et al.,J.Biol.Chem.272:8189-8197(1997)に記載されている。
【0294】
所与のDDpp結合イベントに対する親和性要求は、種々の要因に依存し、これには、限定されないが、結合マトリックスの組成および複雑さ、DDppおよび標的分子の両方の結合価および密度、ならびにDDppの機能的適用が含まれる。一実施形態では、DDppは、着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26)に対し、5x10-3M、10-3M、5x10-4M、10-4M、5x10-5M、または10-5M以下の解離定数(KD)で結合する。追加の実施形態では、DDppは、着目標的に対し、5x10-6M、10-6M、5x10-7M、5x10-8M、または10-8M以下のKDで結合する。追加の実施形態では、DDppは、着目標的に対し、5x10-9M、10-9M、5x10-10M、10-10M、5x10-11M、10-11M、5x10-12M、10-12M、5x10-13M、10-13M、5x10-14M、10-14M、5x10-15M、または10-15M以下のKDで結合する。いくつかの実施形態では、提供されるDDppは、10-4Mと10-5Mとの間、10-5Mと10-6Mとの間、10-6Mと10-7Mとの間、10-7Mと10-8Mとの間、10-8Mと10-9Mとの間、10-9Mと10-10Mとの間、10-10Mと10-11Mとの間、10-11Mと10-12Mとの間からなる群から選択される解離定数を有する。
【0295】
いくつかの実施形態では、DDppは、活性型の着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26)に結合する。一実施形態では、DDppは、活性型の着目標的に可逆的に結合し、また、活性型の結合標的を放出する。いくつかの実施形態では、DDppは、天然型の着目標的に結合する。特定の実施形態では、DDppは、10-10秒-1、5x10-9秒-1、10-9秒-1、5x10-8秒-1、10-8秒-1、5x10-7秒-1、10-7秒-1、5x10-6秒-1、10-6秒-1、5x10-5秒-1、10-5秒-1、5x10-4秒-1、10-4秒-1、5x10-3秒-1、10-3秒-1、5x10-2秒-1、10-2秒-1、5x10-1秒-1、または10-1秒-1以上の解離速度定数またはKoffで着目標的に結合する。
【0296】
KDおよび解離速度定数を決定するための結合実験は、限定されないが、[pH6.0、0.01%ツイーン2]、[pH6.0、0.1%ゼラチン]、[pH5.0、0.01%ツイーン2]、[pH9.0、0.1%ツイーン2]、[pH6.0、15%エチレングリコール、0.01%ツイーン2]、[pH5.0、15%エチレングリコール、0.01%ツイーン2]、および[pH9.0、15%エチレングリコール、0.01%ツイーン2]を含む多くの条件で実施できる。これらの溶液を作製する緩衝液は、当業者により日常的に決定でき、最終溶液の所望のpHに大きく依存する。例えば、クエン酸緩衝液中のグリシン-HCl緩衝液中、またはコハク酸緩衝液中で、低pH溶液(<pH5.5)を作製できる。高pH溶液は、例えば、トリス塩酸、リン酸緩衝液中、または重炭酸ナトリウム緩衝液中で作製できる。例えば、最適pHおよび/または塩濃度を決定する目的のために、当業者は多くの条件を日常的に用いてKDおよび解離速度定数を測定し得る。
【0297】
一実施形態では、DDppは、0.1~10-7秒-1、10-2~10-7秒-1、または0.5x10-2~10-7秒-1の範囲のKoffで着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合する。特定の実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、5x10-2秒-1、10-2秒-1、5x10-3秒-1、または10-3秒-1未満の解離速度定数(Koff)で着目標的に結合する。追加の実施形態では、DDppは、5x10-4秒-1、10-4秒-1、5x10-5秒-1、または10-5秒-1、5x10-6秒-1、10-6秒-1、5x10-7秒-1、または10-7秒-1未満の解離速度定数(Koff)で着目標的に結合する。
【0298】
一実施形態では、DDppは、103~107M-1秒-1、103~106M-1秒-1、または103~105M-1秒-1の範囲のKOnで着目標的(例えば、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合する。特定の実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、103M-1秒-1、5x103M-1秒-1、104M-1秒-1、または5x104M-1秒-1を超える速度(KOn)で着目標的に結合する。追加の実施形態では、DDppは、105M-1秒-1、5x105M-1秒-1、106M-1秒-1、もしくは5x106M-1秒-1、または107M-1秒-1超えるKOnで着目標的に結合する。
【0299】
開示DDppをコードする核酸分子は、本明細書に包含され、これらの核酸を含むベクター、これらの核酸ベクターを含む宿主細胞、ならびにDDpp-アルブミン融合タンパク質の製法およびこれらの核酸、ベクター、および/または宿主細胞の使用方法も同様に包含される。本発明はまた、DDpp-アルブミン融合タンパク質および薬学的に許容可能な希釈剤または担体を含む医薬製剤も包含する。このような製剤は、患者、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトの疾患または病徴の治療、予防、改善または診断方法に使用でき、該方法は、医薬製剤を患者に投与するステップを含む。
【0300】
DDppの作製
開示DDppは、商業的に入手できる試薬および当該技術分野において既知の技術を用いて定常作業により作製できる。一実施形態では、DDppは、Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85:2149(1963);Davis et al.,Biochem.Intl.10:394-414(1985);Larsen et al.,J.Am.Chem.Soc.115:6247(1993);Smith et al.,J.Peptide Protein Res.44:183(1994);O’Donnell et al.,J.Am.Chem.Soc.118:6070(1996);Stewart and Young,Solid Phase Peptide Synthesis,Freeman(1969);Finn et al.,The Proteins,3rd ed.,2:105-253(1976);およびErickson et al.,The Proteins,3rd ed.,2:257-527(1976)などの当該技術分野において既知の固相合成技術により合成される。本開示は合成ペプチドを意図している。あるいは、ペプチドは、開示DDppをコードする核酸を宿主細胞中に導入することにより組み換え発現され、これを培養してペプチドが発現される。このようなペプチドは、培地または細胞ペレットから精製される。
【0301】
提供された方法の実施に有用なDDppの作製は、当該技術分野において既知の化学合成法、半合成法、および組換えDNA法のための種々の標準的な技術を用いて実施し得る。DDppの作製方法もまた、個別に、またはマルチドメイン融合タンパク質の一部として、可溶性物質としておよび細胞結合タンパク質として提供される。
【0302】
任意選択で、参照配列および/または改変ポリペプチド(例えば、DDpp)は、脱免疫化できる。例えば、免疫原性の可能性のある残基またはモチーフは、DDppに対する免疫反応の可能性を低減または無くするために、特定および改変できる。DDppの作製、選別、および単離の種々の実施形態に関する追加の詳細は、以下でさらに詳細に提供される。
【0303】
DDppの組み換え発現
いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質などのDDppは、「組換えで作製」される(すなわち、組換えDNA技術を使って作製される)。DDpp融合タンパク質の合成に利用できる代表的組換え方法には、限定されないが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)ベース合成、鎖状体化、シームレスクローニング、および再帰的指向性ライゲーション法(RDL)が挙げられる(例えば、Meyer et al.,Biomacromolecules 3:357-367(2002),Kurihara et al.,Biotechnol.Lett.27:665-670(2005),Haider et al.,Mol.Pharm.2:139-150(2005);およびMcMillan et al.,32:3643-3646(1999)を参照されたい。それぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0304】
DDppをコードするポリヌクレオチド配列を含む核酸も提供される。このようなポリヌクレオチドは、任意選択で、1つまたは複数の発現制御要素をさらに含んでもよい。例えば、ポリヌクレオチドは、発現制御要素として、1つまたは複数のプロモーターまたは転写エンハンサー、リボソーム結合部位、転写終結シグナル、およびポリアデニル化シグナルを含むことができる。ポリヌクレオチドは任意の好適なベクター内に挿入することができ、これは、任意の好適な発現用宿主細胞中に含めることができる。
【0305】
DDppをコードする核酸の発現は通常、発現ベクター中でDDppをコードする核酸をプロモーターに作動可能に連結することにより達成される。典型的な発現ベクターは、目的の核酸配列の発現の調節に有用な、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、およびプロモーターを含む。当該技術分野において既知の方法を用いて、適切な転写/翻訳制御シグナルと共にDDppをコードする核酸配列を含む発現ベクターを通常の方法で構築できる。これらの方法は、限定されないが、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、およびインビボ組換え/遺伝子組換えを含む。ポリヌクレオチドの発現は、限定されないが、細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞、または哺乳動物細胞を含む当該技術分野において既知の任意の好適な発現宿主中で実施できる。一実施形態では、DDppをコードする核酸配列は、核酸配列が宿主中でDDppに転写および/または翻訳されるように、適切なプロモーター配列に動作可能に連結される。大腸菌中での発現に有用なプロモーターには、T7プロモーターが挙げられるが、これに限定されない。
【0306】
一実施形態では、DDppコード核酸を含むベクターは、DDppの発現のために、宿主細胞(例えば、ファージミド)中に導入される。ベクターは、治療薬をコードする挿入物が転写され得る限り、ベクターはエピソームのままで残るか、または染色体に統合され得る。ベクターは標準的組換えDNA技術により構築することができる。ベクターは、プラスミド、ファージ、コスミド、ファージミド、ウイルス、または原核または真核細胞中で複製および発現に使用することができる当該技術分野において既知のいずれか他のタイプであり得る。当業者なら、多種多様の転写シグナル、例えば、プロモーターおよびRNAポリメラーゼのプロモーターへの結合を調節するその他の配列を含む当該技術分野において既知の多種多様の要素(例えば、発現制御要素)をこのようなベクター中に含めることができることを理解するであろう。ベクターが発現される細胞中で効果的であることが分かっているまたは実証されているいずれのプロモーターもDDppの発現を開始するために使用することができるであろう。適切なプロモーターは、誘導可能(例えば、制御される)、または構成的であり得る。適切なプロモーターの非限定的例には、SV40初期プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルスの3’長末端反復配列中に含まれるプロモーター、HSV-1(単純ヘルペスウイルス-1)チミジンキナーゼプロモーター、メタロチオネイン遺伝子の調節配列、など、ならびに次の動物転写制御領域(これは組織特異性を示し、遺伝子導入動物で利用されている):膵腺房細胞で活性なエラスターゼI遺伝子制御領域;膵臓のベータ細胞中で活性なインスリン遺伝子制御領域、リンパ球系細胞中で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域;精巣、乳房、リンパ系およびマスト細胞中で活性なマウス乳房腫瘍ウイルス制御領域;肝臓中で活性なアルブミン遺伝子制御領域、肝臓中で活性なアルファフェトプロテイン遺伝子制御領域、肝臓中で活性なアルファ1-抗トリプシン遺伝子制御領域、赤血球の細胞中で活性なベータグロビン遺伝子制御領域、脳のオリゴデンドロサイト細胞中で活性なミエリン塩基性タンパク質制御領域、骨格筋中で活性なミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域、および視床下部で活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域、が挙げられる。特定の実施形態では、プロモーターは、リンパ系細胞で活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域である。
【0307】
一実施形態では、DDppをコードする1つまたはいくつかの核酸は、構成的プロモーター、あるいは調節発現系の制御下で発現される。適切な調節発現系には、限定されないが、テトラサイクリン調節発現系、エクジソン誘導性発現系、ラックスイッチ発現系、グルココルチコイド誘導性発現系、温度誘導性プロモーター系、およびメタロチオネイン金属誘導性発現系が挙げられる。DDppをコードするいくつかの異なる核酸が宿主細胞系内に含まれる場合には、いくつかの核酸は構成的プロモーターの制御下で発現され得るが、その他の核酸は調節プロモーターの制御下で発現され得る。発現レベルは、ウェスタンブロット分析およびノーザンブロット分析を含む当業者に既知の方法によって決定され得る。
【0308】
種々の宿主発現ベクター系を利用して、DDppをコードする核酸を発現させることができる。DDpp(例えば、個別のDDサブユニットまたはDDpp融合体)またはその一部もしくはそのフラグメントをコードする核酸を含むベクターには、プラスミドベクター、単鎖および二本鎖ファージベクター、ならびに単鎖および二本鎖RNAまたはDNAウイルスベクターが挙げられる。ファージおよびウイルスベクターはまた、感染および形質導入のための既知の技術を用いてパッケージ化またはカプセル化ウイルスの形で宿主細胞に導入され得る。さらに、ウイルスベクターは、複製可能あるいは複製欠損であり得る。あるいは、無細胞翻訳系を用いて、DNA発現構築物由来のRNAを使って、同様にタンパク質を作製し得る(例えば、国際公開第86/05807号および同第89/01036号;および米国特許第5,122,464号を参照されたい。これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0309】
一般に、任意のタイプの細胞型または培養細胞株を用いて、本明細書で提供されるDDppを発現させることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子改変宿主細胞を生成するのに使用されるバックグラウンド細胞株は、ファージ、細菌細胞、酵母細胞または哺乳動物細胞である。種々の宿主発現ベクター系を使用して、DDpp融合タンパク質のコード配列を発現させ得る。哺乳動物細胞は、着目標的のコード配列および融合ポリペプチドのコード配列を含む組換えプラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで遺伝子導入される宿主細胞系として使用できる。
【0310】
細胞は、生物(ヒト含む)からの初代分離株、培養物、または形質転換または遺伝子導入による細胞株であり得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞はヒト細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はヒトT細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞はヒト患者由来である。
【0311】
有用な宿主細胞には、限定されないが、DDppコード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌などの微生物(例えば、大腸菌、枯草菌);DDpp配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、サッカロマイセス、ピキア);DDppコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;DDppコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたまたは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系が挙げられる。特定の実施形態では、哺乳動物細胞を使って、DDppが作製される。哺乳動物細胞系は通常、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メタロチオネインプロモーター)、または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を利用する。
【0312】
DDpp融合タンパク質などのDDppの作製に宿主細胞として有用な原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌、枯草菌が挙げられる。原核宿主細胞で使うための発現ベクターは通常、1種または複数種の表現型選択可能マーカー遺伝子(例えば、抗生物質耐性を付与するタンパク質または独立栄養要求性を満たすタンパク質をコードする遺伝子)を含む。有用な原核生物宿主発現ベクターの例には、pKK223-3(Pharmacia,Uppsala,Sweden)、pGEMl(Promega,Wis.,USA)、pET(Novagen,Wis.,USA)およびpRSET(Invitrogen,Calif.,USA)シリーズのベクターが挙げられる(例えば、Studier,J.Mol.Biol.219:37(1991)およびSchoepfer,Gene 124:83(1993)を参照されたい)。原核宿主細胞発現ベクターによく使われる代表的プロモーター配列には、T7、(Rosenberg,et al.,Gene 56:125-135(1987));β-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)、ラクトースプロモーター系(Chang,et al.,Nature 275:615(1978);およびGoeddel,et al.,Nature 281:544(1979))、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddel,et al.,Nucl Acids Res 8:4057(1980))、およびtacプロモーター(Sambrook,et al.1990,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.)が挙げられる。
【0313】
一実施形態では、米国特許出願公開第60/344,169号および国際公開第03/056914号(非ヒト真核宿主細胞中でのヒト様糖タンパク質の製造方法)(これらの特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)で教示されている発現系などのDDppのコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母細胞を含む真核宿主細胞系が使用される。DDなどの提供された組成物を作製するのに使用できる代表的酵母には、属サッカロマイセス、ピキア属、放線菌類およびクリベロマイセス由来の酵母が含まれる。酵母ベクターは通常、2mu酵母プラスミド由来の複製起点配列、自己複製配列(ARS)、プロモーター領域、ポリアデニル化配列、転写終止配列、および選択可能マーカー遺伝子を含む。酵母発現構築物中のプロモーター配列の例には、メタロチオネイン、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzeman,J Biol Chem 255:2073(1980))およびその他の糖分解酵素、例えば、エノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、およびグルコキナーゼ由来のプロモーターが挙げられる。酵母発現ならびに酵母形質転換プロトコルに使用するための追加の好適なベクターおよびプロモーターは、当技術分野において既知である。例えば、Fleer,Gene 107:285-195(1991)およびHinnen,PNAS 75:1929(1978)を参照されたい。
【0314】
昆虫および植物宿主細胞培養システムはまた、本開示により包含される組成物を作製するのに有用である。このような宿主細胞系には、限定されないが、米国特許第6,815,184号;米国特許出願第60/365,769号、および同60/368,047号;および国際公開第04/057002号、同第04/024927号、および同第03/078614号で教示の発現系を含む、例えば、DDのコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染させた昆虫細胞系;DDのコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)で感染させたまたは組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換した植物細胞系が挙げられる。
【0315】
追加の実施形態では、二重微小染色体中で安定に増幅された(CHO/dhfr)または不安定に増幅された、DDppをコードする複数コピーのDNAを含むように遺伝子改変された細胞株(例えば、マウス細胞株)を含む、組換えウイルス発現ベクター(例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、レンチウイルス)で感染させた動物細胞系を含む宿主細胞系が使用され得る。一実施形態では、DDppをコードするポリヌクレオチドを含むベクターは、ポリシストロニックである。これらの組成物の作製に有用な代表的哺乳動物細胞には、293細胞(例えば、293Tおよび293F)、CHO細胞、BHK細胞、NS0細胞、SP2/0細胞、YO骨髄腫細胞、P3X63マウス骨髄腫細胞、PER細胞、PER.C6(Crucell,Netherlands)細胞 VERY、Hela細胞、COS細胞、MDCK細胞、3T3細胞、W138細胞、BT483細胞、Hs578T細胞、HTB2細胞、BT20細胞、T47D細胞、CRL7O30細胞、HsS78Bst細胞、ハイブリドーマ細胞、およびその他の哺乳動物細胞が挙げられる。提供された実施形態の実施に有用な追加の代表的哺乳動物宿主細胞には、限定されないが、T細胞が挙げられる。発現系および選択方法のいくつかの例は、次の文献およびその文献中の引用文献に記載されている:Borth et al.,Biotechnol.Bioen.71(4):266-73(2000),in Werner et al.,Arzneimittel-forschung/Drug Res.48(8):870-80(1998),Andersen et al.,Curr.Op.Biotechnol.13:117-123(2002),Chadd et al.,Curr.Op.Biotechnol.12:188-194(2001),およびGiddings,Curr.Op.Biotechnol.12:450-454(2001)。発現系および選択方法の追加の例は、Logan et al.,PNAS 81:355-359(1984),Birtner et al.Methods Enzymol.153:51-544(1987))に記載されている。哺乳動物宿主細胞発現ベクターのための転写および翻訳制御配列は、ウイルスゲノムから誘導される場合が多い。哺乳動物発現ベクター中でよく使われるプロモーター配列およびエンハンサー配列には、ポリオーマウイルス、アデノウイルス2、シミアンウイルス40(SV40)、およびヒトサイトメガロウィルス(CMV)由来の配列が含まれる。哺乳動物宿主細胞で使用される代表的市販発現ベクターには、pCEP4(Invitrogen)およびpcDNA3(Invitrogen)が挙げられる。
【0316】
宿主細胞(例えば、哺乳動物宿主細胞)中に核酸を導入する物理的方法には、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、微粒子銃、微量注入、電気穿孔、などが挙げられる。ベクターおよび/または外来性の核酸を含む細胞を作製する方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al.(2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照されたい。
【0317】
目的のポリヌクレオチドを宿主細胞に導入する生物学的方法には、DNAおよびRNAベクターの使用が挙げられる。ウイルスベクター、および特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物(例えば、ヒト)細胞に挿入するための最も広範に使用される方法になってきている。その他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス、などから誘導できる。例えば、米国特許第5,350,674号および同第5,585,362号を参照されたい。これらそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0318】
目的のDNAおよびRNAを宿主細胞導入する方法には、細胞の電気穿孔法が挙げられ、この方法では、細胞膜の透過性を高めるために細胞に電界が印加され、化学薬品、薬物、またはポリヌクレオチドを細胞中に導入可能になる。DDpp含有DNAまたはRNA構築物は、電気穿孔法を用いて哺乳動物または原核細胞に導入され得る。
【0319】
好ましい実施形態では、細胞の電気穿孔法により、T細胞、NK細胞、NKT細胞の表面上のDDpp-CARの発現がもたらされる。このような発現は、一時的であるか、または細胞の寿命期間にわたり安定であり得る。電気穿孔法は、Maxcyte GT(登録商標)およびSTX(登録商標)遺伝子導入系(MaxCyte,Gaithersburg,MD,USA)を含む、当該技術分野において既知の方法により実現可能である。
【0320】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段には、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、および水中油型乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質系システムなどのコロイド状分散系が挙げられる。インビトロおよびインビボでの送達ビークルとして使用するための代表的コロイド系は、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。非ウイルス送達系が利用される場合では、代表的送達ビークルはリポソームである。核酸の宿主細胞への導入(インビトロ、エクスビボまたはインビボ)に対しては、脂質配合物の使用が考えられる。別の態様では、核酸は脂質と組み合わされ得る。脂質と組み合わされた核酸は、リポソームの水性の内部への封入、リポソームの脂質二重層内に分散、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方に結合した連結分子を介してリポソームに結合、リポソーム中の捕捉、リポソームと複合化、脂質含有溶液中に分散、脂質と混合、脂質と組み合わせ、脂質中に懸濁液として含有、ミセルとともに含有または複合化、または別の方法で脂質と一体化され得る。脂質、脂質/DNAまたは脂質/発現ベクター関連組成物は、溶液中のいずれか特定の構造に限定されない。例えば、それらは二重層構造体中に、ミセルとして、または「収縮した」構造で存在し得る。それらはまた、単純に溶液に分散され、おそらく、寸法または形状が均一ではない凝集体を形成している。脂質は、天然または合成脂質であり得る脂肪性物質である。例えば、脂質は、細胞質中で天然に発生する脂肪滴ならびに長鎖脂肪族炭化水素ならびにこれらの誘導体、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノ、アルコール、およびアルデヒドを含む化合物クラスを含む。
【0321】
使用に好適する脂質は、市販品入手源から得ることができる。例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(「DMPC」)はSigma,St.Louis,MOから入手でき;ジセチルホスフェート(「DCP」)はK&K Laboratories(Plainview,NY)から入手でき;コレステロール(「Choi」)はCalbiochem-Behringから入手でき;ジミリストイルホスファチジルグリセロール(「DMPG」)およびその他の脂質はAvanti Polar Lipids,Inc.(Birmingham,AL)から入手できる。クロロホルムまたはクロロホルム/メタノール中の脂質のストック溶液は、-20℃で保存できる。クロロホルムは、唯一の溶媒として使用し得る。理由は、それがメタノールより容易に蒸発させることができるためである。「リポソーム」は、封入脂質二重層または凝集体の生成により形成される種々の単一および多層状脂質ビークルを包含する汎用用語である。リポソームは、リン脂質二重層膜および内側の水性媒体を有する小胞構造を有するとして特徴付けることができる。多層状リポソームは、水性媒体により分離された複数の脂質層を有する。リン脂質が過剰な水溶液中に懸濁される場合に、それらは自然に形成される。脂質成分は、密閉構造体の形成の前に自己再構成を起こし、水および溶解した溶質を脂質二重層の間に封入する(Ghosh et al.,Glycobiology 5:505-510(1991))。しかし、溶液中で通常の小胞構造とは異なる構造を有する組成物もまた包含される。例えば、脂質は、ミセル構造をとるか、またはただ単に不均一な脂質分子凝集体として存在し得る。リポフェクタミン-核酸複合体もまた意図されている。
【0322】
外来性の核酸を宿主細胞に導入するために使用される方法に関係なく、宿主細胞中の組換え核酸配列の存在は、当該技術分野において既知の種々のアッセイを用いて定常作業により確証できる。このようなアッセイには、例えば、サザンおよびノーザンブロッティング、RT-PCRおよびPCRなどの当該技術分野において既知の「分子生物学的」アッセイ;例えば、提供された実施形態の範囲内にある薬剤を特定するための免疫学的な手段(ELISAおよびウェスタンブロット)による、または本明細書で記載のアッセイによる、特定のペプチドの存在または非存在の検出などの「生化学的」アッセイが挙げられる。
【0323】
遺伝子導入の可能性のある細胞を特定するために、および調節配列の機能を評価するために、レポーター遺伝子が用いられる。一般に、レポーター遺伝子は、レシピエント生物、組織、または細胞中に存在しない、またはそれらにより発現されない、およびその発現がいくつかの容易に検出可能な性質、例えば、酵素活性により顕在化されるポリペプチドをコードする遺伝子である。レポーター遺伝子の発現は、DNAがレシピエント細胞に導入された後の好適な時間にアッセイされる。好適なレポーター遺伝子の非限定的リストには、ルシフェラーゼ、ベータガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、分泌アルカリフォスファターゼ、または緑色蛍光タンパク質遺伝子をコードする遺伝子が挙げられる(例えば、Ui-Tei et al.,FEBS Lett.479:79-82(2000))。好適な発現系は当技術分野において既知であり、既知の技術を使用して作製できる、または市販品として得ることができる。一般に、レポーター遺伝子の最高レベルの発現を示す最小限の5’隣接領域を有する構築物は、プロモーターとして特定される。このようなプロモーター領域は、通常の方法でレポーター遺伝子に結合でき、薬剤のプロモーター駆動性転写を調節する能力を評価するために使用できる。
【0324】
多くの選択システムを哺乳動物宿主ベクター発現系で使用することができ、これらには、限定されないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy,et al.,Cell 22:817(1980))遺伝子が含まれ、それぞれtk-、hgprt-またはaprt-細胞で用いることができる。さらに、代謝拮抗薬耐性を、例えば、dhfr、gpt、neo、hygro、trpB、hisD、ODC(オルニチン脱炭酸酵素)、およびグルタミンシンターゼ系の選択のための基準として使用できる。
【0325】
細胞結合DDppの発現
別の実施形態では、DDppの作製により細胞結合DDpp組成物が得られる。例えば、細胞膜アンカーまたは膜貫通ドメインに動作可能に連結されたDDppをコードする組換えベクターの発現は、細胞結合のままで残る可能性がある。キメラ抗原受容体を含むDDppは、意図的に細胞に結合され、それらが細胞中で発現されている状態で使用される。1つの特定の実施形態は、DDppキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように形質導入されているT細胞の養子細胞移入戦略に関する。細胞を、その表面上に安定にDDppを発現するように遺伝子改変して、MHCから独立した新規標的特異性を付与できるのが好ましい。
【0326】
ウイルスが遺伝子導入に用いられ、哺乳動物細胞ゲノムに統合される各種用途で、種々のウイルス由来ベクターを使用できる。ベクターとして有用なウイルスには、限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスが挙げられる。レンチウイルスベクターは、長期遺伝子導入(例えば、養子T細胞免疫療法)を達成するのに特に好適である。理由は、それらが、長期の、安定な導入遺伝子の組み込みおよび娘細胞へのその伝播を可能とするためである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入できるという点で、マウス白血病ウイルスなどのオンコレトロウイルス由来のベクターに比べて、さらなる利点を有する。それらはまた、低免疫原性というさらなる利点も有する。一般に、好適なベクターは、少なくとも1つの生物で機能的な複製起点、プロモーター配列、簡便な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つまたは複数の選択可能マーカーを含む(例えば、国際公開第01/96584号および同第01/29058号;および米国特許第6,326,193号)。数個のベクタープロモーター配列を導入遺伝子の発現に利用できる。好適なプロモーターの一例は、最初期のサイトメガロウィルス(CMV)プロモーター配列である。このプロモーター配列は、それに動作可能に連結された任意のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を推進できる強力な構成的プロモーター配列である。好適なプロモーターの別の例は、EF1aである。しかし、その他の構成的プロモーター配列も使用でき、これらには、限定されないが、シミアンウイルス40(SV40)初期プロモーター、マウス乳房腫瘍ウイルス(MMTV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)長末端反復配列(LTR)プロモーター、MoMuLVプロモーター、トリ白血病ウイルスプロモーター、エプスタイン・バールウイルス最初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ならびに限定されないが、アクチンプロモーター、ミオシンプロモーター、ヘモグロビンプロモーター、およびクレアチンキナーゼプロモーターなどのヒト遺伝子プロモーターが挙げられる。誘導性プロモーターには、限定されないが、メタロチオネインプロモーター、グルココルチコイドプロモーター、プロゲステロンプロモーター、およびテトラサイクリンプロモーターが挙げられる。
【0327】
DDpp-CARポリペプチドまたはその一部の発現を評価するために、細胞中に導入される発現ベクターはまた、選択可能マーカー遺伝子またはレポーター遺伝子のいずれかまたは両方を含み、ウイルスベクターによる遺伝子導入または感染を試みている細胞集団からの発現細胞の特定および選択を容易に可能とする。他の態様では、選択可能マーカーは、別のDNA部分に対し実施し、同時遺伝子導入手順で使用し得る。両方の選択可能マーカーおよびレポーター遺伝子は、適切な調節配列に隣接し、宿主細胞中で発現を可能にし得る。有用な選択可能マーカーには、例えば、ネオなどの抗生物質耐性遺伝子が含まれる。
【0328】
T細胞の増殖および遺伝子改変の前に、T細胞源が対象から取得される。T細胞は、末梢血単核球、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位由来組織、腹水、胸水、脾臓組織、および腫瘍を含む多くの供給源から得ることができる。種々の実施形態では、当該技術分野において利用できる任意の数のT細胞株を用い得る。
【0329】
T細胞単離、培養、活性化および増殖の完全な考察は、国際公開第/12079000号で見つけ得る。この内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0330】
さらに、本明細書で記載のDDppをコードする核酸を含む宿主細胞が提供される。DDppをコードする核酸配列を含む組成物も提供される。
【0331】
本明細書で使用される場合、「共発現する」は、2種以上のタンパク質コード配列の同時発現を意味する。コード配列は、例えば、単一タンパク質または単一ポリペプチド鎖としてキメラタンパク質をコードする核酸であってよい。
【0332】
DDppの化学合成
組換え法に加えて、DDpp作製はまた、種々の液相および固相化学プロセスを使用した所望のポリペプチドの有機化学合成を用いても実施し得る。種々の自動化合成装置が商業的に入手でき、既知プロトコルに従って使用できる。例えば、Tam et al.,J.Am.Chem.Soc.105:6442(1983);Merrifield,Science 232:341-347(1986);Barany and Merrifield,The Peptides,Gross and Meienhofer,eds,Academic Press,New York,1-284;Barany et al.,Int.J.Pep.Protein Res.30:705-739(1987);Kelley et al.in Genetic Engineering Principles and Methods,Setlow,J.K.,ed.Plenum Press,NY.1990,vol.12,pp.1-19;Stewart et al.,Solid-Phase Peptide Synthesis,W.H.Freeman Co.,San Francisco,1989、を参照されたい。これらの方法の1つの利点は、それらが、天然アミノ酸残基のDDpp配列中への組み込みを可能とすることである。
【0333】
本明細書に包含される方法で使用されるDDppは、合成または翻訳中にもしくはその後に、例えば、グリコシル化、アセチル化、ベンジル化、リン酸化、アミド化、ペグ化、ホルミル化、既知の保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質切断、抗体分子への結合、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク分解性プロセッシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレン化、硫酸化、ユビキチン化、などにより修飾され得る(例えば、Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties,2d Ed.(W.H.Freeman and Co.,N.Y.,1992);Postranslational Covalent Modification of Proteins,Johnson,ed.(Academic Press,New York,1983),pp.1-12;Seifter,Meth.Enzymol.182:626-646(1990);Rattan,Ann.NY Acad.Sci.663:48-62(1992)を参照されたい)。特定の実施形態では、ペプチドはN末端でアセチル化されるおよび/またはC末端でアミド化される。
【0334】
本開示はまた、DDpp誘導体を提供し、アミノ酸の付加、欠失、または置換とは異なる何らかの方法で化学的に改変されているポリペプチドを含む。その際、DDppは、ポリマー、脂質、その他の有機部分、および/または無機部分と化学的に結合する。代表的ポリペプチド改変は、Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,(1996)で与えられる。DDppは、任意選択で、別の部分(例えば、ペプチド部分)への結合を容易にする官能基を含んでもよい。代表的官能基には、限定されないが、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、スルホニルクロリド、アルデヒド、エポキシド、オキシラン、カーボネート、アリール化剤、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、ハロゲン化アルキル誘導体(例えば、ハロアセチル誘導体)、マレイミド、アジリジン、アクリロイル誘導体、アリール化剤、チオール-ジスルフィド交換試薬(例えば、ピリジルジスルフィドまたはTNBチオール)、ジアゾアルカン、カルボニルジイミダゾール、N,N’-ジスクシニルカーボネート、N-ヒドロキシスクシンイミジルクロロホルメート、およびヒドラジン誘導体が挙げられる。マレイミドは、例えば、インビボでアルブミンに結合するDDppを生成するために有用である。
【0335】
いくつかの実施形態では、DDppは共有結合で改変され、1つまたは複数の水溶性ポリマー結合物を含む。水溶性ポリマー(またはそのほかの化学部分)は、任意のアミノ酸残基に結合されるが、いくつかの実施形態では、N-またはC-末端への結合が好ましい。有用なポリマーには、限定されないが、PEG(例えば、約40kD、30kD、20kD、10kD、5kD、または1kDの大きさのPEG)、ポリオキシエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノメトキシ-ポリエチレングリコール、デキストラン、ヒドロキシエチル澱粉、セルロース、ポリ-(N-ビニルピロリドン)-ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリシアル酸(PSA)、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)およびポリビニルアルコール、ならびに前述のいずれかの混合物が挙げられる。一実施形態では、DDppはペグ化される。PEG部分は種々の形状、例えば、直鎖または分岐鎖で利用可能である。水溶性ポリマー結合物のさらなる考察のためには、米国特許第4,640,835号;同第4,496,689号;同第4,301,144号;同第4,670,417号;同第4,791,192号;および同第4,179,337号を参照されたい。ペプチド半減期または安定性を改善するために有用なその他の部分は、本明細書で記載され、例えば、アルブミン(任意選択でDDppへの結合を可能とするように改変されてもよい)、脂肪酸鎖(例えば、C12~C18脂肪酸、例えば、C14脂肪酸、またはジカルボン酸、例えば、オクタデカンジカルボン酸(oddc))、抗体またはそのフラグメント(例えば、抗体のFc部分)、およびプロリン-アラニン-セリン多量体が挙げられる。
【0336】
いくつかの実施形態では、DDppは、ポリエチレングリコール(PEG)、ヒト血清アルブミン(HSA)、抗体または抗体フラグメント、ヒドロキシエチル澱粉、プロリン-アラニン-セリン多量体(PASylation)、C12~C18脂肪酸、またはポリシアル酸に結合される。
【0337】
いくつかの実施形態では、DDppは、ペプチドのN末端アミノ酸でアシル化される。別の態様では、DDppは、ポリペプチドのC末端アミノ酸でアミド化される。またさらなる態様では、ペプチドは、ペプチドのN末端アミノ酸でアシル化され、ペプチドのC末端アミノ酸でアミド化される。
【0338】
いくつかの実施形態では、DDppは1つまたは複数の改変アミノ酸またはタンパク質を構成しないアミノ酸または改変リンカー基(例えば、Grant,Synthetic Peptides:A User’s Guide,Oxford University Press(1992)を参照されたい)を含む。改変アミノ酸には、例えば、アミノ基および/またはカルボキシル基が別の基により置換されているアミノ酸が挙げられる。非限定的例には、チオアミド、尿素類、チオ尿素、アシルヒドラジド、エステル、オレフィン、スルホンアミド、リン酸アミド、ケトン、アルコール、ボロン酸アミド、ベンゾジアゼピンおよびその他の芳香族または芳香族複素環を組み込んだ改変アミノ酸が挙げられる(Estiarte et al.,Burgers Medicinal Chemistry,6.sup.th edition,Volume 1,Part 4,John Wiley & Sons,New York(2002)を参照されたい)。タンパク質を構成しないアミノ酸には、限定されないが、ベータアラニン(Bal)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、4-アミノ酪酸(ガンマ-Abu)、2-アミノイソ酪酸(Aib)、6-アミノヘキサン酸(イプシロン-Ahx)、オルニチン(Orn)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、タウリン、サルコシン、シトルリン(Cit)、システイン酸(Coh)、シクロヘキシルアラニン(Cha)、メチオニンスルホキシド(Meo)、メチオニンスルホン(Moo)、ホモセリン-メチルエステル(Hsm)、プロパルギルグリシン(Eag)、5-フルオロトリプトファン(5Fw)、6-フルオロトリプトファン(6Fw)、3’、4’-ジメトキシフェニルアラニン(Ear)、3’、4’-ジフルオロフェニルアラニン(Dff)、4’-フルオロフェニル-アラニン(Pff)、1-ナフチル-アラニン(1Ni)、2-ナフチルアラニン(2Ni)、1-メチルトリプトファン(1Mw)、ペニシラミン(Pen)、ホモセリン(Hse)、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン(Phg)、ベンゾチエニルアラニン(Bta)、L-ホモ-システイン(Hcy)、N-メチルフェニルアラニン(Nmf)、2-チエニルアラニン(Thi)、3,3-ジフェニルアラニン(Ebw)、L-アルファ-t-ブチルグリシン(Tle)、Bpa、ホモフェニルアラニン(Hfe)、およびS-ベンジル-L-システイン(Ece)が挙げられる。これらのおよびその他のタンパク質を構成しないアミノ酸は、D-またはL-異性体として存在し得る。改変リンカーの例には、限定されないが、可撓性リンカー4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミン(Ttds)、グリシン、6-アミノヘキサン酸、ベータアラニン(Bal)、ペンチン酸(Pyn)、およびTtds、グリシン、6-アミノヘキサン酸およびBalの組み合わせが挙げられる。
【0339】
多くの化学修飾のいずれかを既知の技術、例えば、限定されないが、アセチル化、ホルミル化、などを使って行うことができる。さらに、誘導体は1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含み得る。
【表1】
【0340】
いくつかの実施形態では、本開示は、表1に開示の1つまたは複数のDD配列を含む組成物を提供する。他の実施形態では、本開示は、表1に開示の配列と60~70%、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、95~99%の相同性(およびその中の重なりある領域)を有する配列を含む1つまたは複数のDDを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、このような相同性を有するDDは、表1のそれぞれの参照配列に比べて、機能的に類似であるか、または同一である。いくつかの実施形態では、本開示は、そのそれぞれの標的として表1に開示の1つまたは複数のDD配列(参照配列)と競合する(完全にまたは部分的に)1つまたは複数のDDを含むポリペプチドを提供する。1つのポリペプチドの参照ポリペプチドとそれぞれの標的に対する結合を競合する能力は、当該技術分野において既知の標準的競合アッセイを用いて定常作業により決定できる。いくつかの実施形態では、競合は、ポリペプチドが同じエピトープに対し、表1のポリペプチド(DD)として競合することを必要とするものではなく、むしろ、ポリペプチドは、エピトープを立体的に阻害する結合、エピトープに重なり合う結合、などにより競合できる。
【0341】
DDおよびDDppの親和性成熟および脱免疫化
親和性成熟戦略を用いて、本明細書で記載のDDpp融合タンパク質中で使用できる高親和性DDおよびDDppを生成できる。目的の標的(例えば、BCAM、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26)に特異的に結合する改善されたDDおよびDDppも既知のDDpp参照配列をベースにして作製できる。例えば、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または5つを超えるアミノ酸変異(例えば、保存的または非保存的置換)、欠失または挿入を表1で開示のDD配列(すなわち、参照配列)中に導入でき、得られたDDppをそれぞれの標的に対する結合およびそれぞれの標的の生物活性と拮抗する能力またはそれぞれの標的の生物活性を刺激する能力などの生物活性で選別できる。
【0342】
開示DDpp、特に、対象に投与されるものは、対象(例えば、ヒト)に対して抗原性ではないのが好ましい。いくつかの実施形態では、DDppの配列は、ヒトHLA-DR結合モチーフまたはプロテアソームおよび免疫プロテアソームに対する切断部位を含まない。特定の実施形態では、DDpp配列は、本明細書の出願日に存在しているコンピューター予測モデルバージョンにより判定して、抗原性配列を含まない。特定の実施形態では、DDpp配列は、Propred(例えば、Singh,Bioinformatics 17(12):1236-1237(2001)を参照)、Propred1(Singh,Bioinformatics 19(8):1009-14(2003))、SYFPEITHI(例えば、Schuler,Immunoinf.Meth.in Mol.Biol.409(1):75-93(2007)を参照)、SMM-align(例えば、Nielsen,BMC Bioinformatics 8:238(2007)を参照)、RANKPEP(例えば、Reche,Hum Immunol 63:701-709.(2004)を参照)またはTEPITOPE(Sturniolo,Nat Biotechnol 17:555-561(1999)を参照)から選択されるアルゴリズムにより予測されるMHC(クラスIまたはクラスII)結合部位配列を含まない。アルゴリズムのバージョンと適用したデータベースは、この出願の提出日に存在しているものである。いくつかの実施形態では、DDppは、高親和性(6%未満の結合閾値)T細胞エピトープと特性を共有する配列を含まない。(Singh,Bioinformatics 17:1236-1237(2001))。いくつかの実施形態では、DDppは、プロミスキャス(関連アレルの50%超で存在)T細胞エピトープと特性を共有する配列を含まない(Singh,Bioinformatics 17:1236-1237(2001))。いくつかの実施形態では、DDppは、高親和性またはプロミスキャスT細胞エピトープと特性を共有する配列を含まない。特定の実施形態では、DDppは、配列LAAIKTRLQ(配列番号2)を含まない。予測MHC(クラスIまたはクラスII)結合部位配列を取り除く配列変化を含む親和性成熟DDpp変異体および標的結合DDpp変異体を生成、選別、および特定する技術は、当技術分野において既知である。
【0343】
製品
キットを含む製品が本明細書で提供される。製品は、容器および容器上のまたは容器に添付されたラベルまたは添付文書を含み得る。好適な容器には、例えば、瓶、バイアル、シリンジが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの種々の材料から形成され得る。容器は、本開示の1種または複数のDDpp、DDppをコードする核酸、および/またはベクターまたは宿主細胞を保持する。ラベルまたは添付文書は、親和性ベース選別および/または検出を実施するための使用法を含み得る。
【0344】
DDppを含むキットも提供される。このようなキットは、限定されないが、DDppが特異的に結合する着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)の検出を含む用途を有する。このようなアッセイキットは、着目標的の存在の選別および/または生体液(例えば、血液、血清、または関節液)などの流体中の着目標的の濃度の定量に有用であり得る。
【0345】
一実施形態では、着目標的に特異的に結合するDDppの1つまたは複数の容器を含み、任意選択で、標的/DDpp相互作用の存在または非存在、またはそれらの存在を判定する検出手段を含むDDppアッセイキットが意図されている。キットは、任意選択で、例えば、対照または標準として使用され得る着目標的タンパク質(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)を含んでもよい。DDppは、遊離状態でもよく、宿主細胞の表面上に、またはバクテリオファージの表面上に発現されてもよい。特定の実施形態では、キットで提供されるDDppまたは着目標的は、標識される。当該技術分野において既知の任意の標識を使用できる。いくつかの実施形態では、標識は、ビオチン、蛍光発生素、酵素、エピトープ、色素原、または放射性核種からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、DDppは、固体担体に固定される。標識を検出するために用いられる検出手段は、標識の性質に依存し、当該技術分野において既知の任意の標識、例えば、放射性核種を検出するフィルム;着目標的の存在を検出するための検出可能なシグナルを生ずるまたはこれを増幅する酵素基質であり得る。
【0346】
好ましくは、キットは、DDppのための固体担体をさらに含み、これは、別の要素として提供され得るか、または着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)が特異的に結合するDDppがその固体担体上に固定され得る。従って、キット中の着目標的に特異的に結合するDDppは、固体担体上に固定されるか、またはキットに含まれる担体上に固定されるか、もしくはキットとは別に提供され得る。好ましくは、DDppはマイクロタイタープレート上にコートされる。いくつかの実施形態では、検出は、シグナル増幅分子を必要とする。シグナル増幅分子が酵素の場合には、キットは、任意選択で、酵素により必要とされる基質および補因子をさらに含み、増幅分子はフルオロフォアである。キットは、任意選択で、検出可能な発色団をもたらす色素前駆物質をさらに含んでもよい。
【0347】
キットは、アッセイの実施、ならびに安定剤、洗浄およびインキュベーション緩衝液、などの他の添加剤のための説明書も含み得る。キットの成分は、アッセイの感度を実質的に最大化する試薬の溶液濃度を与えるために、適切に変更される種々の試薬の相対量により、所定の比率で提供される。特に、溶解時に試験試料と混合するために、適切な濃度の試薬溶液が得られる賦形剤を含む試薬は、通常、凍結乾燥された乾燥粉末として提供できる。
【0348】
結合アッセイのための使用可能な種々のフォーマットおよび技術が当技術分野において既知であり、限定されないが、ナイロンまたはニトロセルロースなどのフィルターへの固定化;二次元アレイ、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、競合結合アッセイ、直接および間接的サンドイッチ法、免疫沈殿アッセイ、蛍光微量分析技術(FMAT)(商標)、ルミネックス(商標)システムアッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、電気免疫測定法、AlphaScreen(商標)、 ナノ粒子由来技術、および表面プラズモン共鳴法(SPR)が挙げられる。
【0349】
結合アッセイは均一系または半均一系であり得る。均一系アッセイは、すべての成分が一緒に混合、インキュベートされ、その後、分析されるアッセイである。半均一系アッセイは、大部分の反応は混合物として行われるが、各成分が添加された後に洗い流され、その後次の成分が添加される典型的な段階的構築サンドイッチ法とは対照的に、最終試薬の添加および分析の前に洗浄ステップが必要である。いくつかの実施形態では、アッセイはイムノアッセイである。特定の実施形態では、アッセイは半均一系酵素免疫測定法(EIA)である。
【0350】
用途
DDppは、本明細書で記載の、単独で、融合タンパク質として、化学的複合体として、またはその他の実施形態として、様々な用途を有する。いくつかの実施形態では、DDppは、検出試薬、診断試薬または分析試薬として使用される。いくつかの実施形態は、インビボ、インビトロおよび/またはエクスビボ用途を有する。DDppをインビトロで用いる方法は、種々のフォーマット、例えば、マイクロタイタープレート、タンパク質アレイ、バイオセンサー表面、組織切片、および当業者には自明と思われる追加のフォーマットで実施できる。同様に、DDppをインビボで用いる方法も、限定されないが、DDpp-Fc融合タンパク質、CAR細胞、およびDDpp多重特異性抗体などの種々のフォーマットで使用できる。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質などのDDppは、治療薬として使用される。
【0351】
分析および診断用途
DDppは、本明細書で記載の、単独で、融合タンパク質として、化学的複合体として、またはその他の実施形態として、様々な用途を有する。いくつかの実施形態では、DDppは、さまざまな異なる試料タイプの着目標的の検出試薬として使用される。
【0352】
一実施形態では、DDppは、タンパク質発現などの製造工程に伴う溶液中の着目標的を検出するために使用される。試料には、限定されないが、水、緩衝液、工程中の精製試料、原薬および最終製剤が挙げられる。さらに追加の実施形態では、DDppを用いて、製造に使用される給水源または水(または他の流体)などの試料からの混入物を検出できる。
【0353】
別の実施形態では、DDppは、診断試料中の着目標的の検出に用いられる。試料には、限定されないが、組織ホモジネート、細胞抽出物、生検試料、血清、血漿、リンパ液、血液、血液画分、尿、関節液、髄液、唾液、粘液、喀痰、胸水、乳頭吸引液、呼吸、腸内および尿生殖路液、涙液、母乳、リンパ系由来液、精液、脳脊髄液、臓器内液、腹水、腫瘍嚢胞液、羊水、および培養細胞由来の培地または溶解物が挙げられる。
【0354】
一実施形態では、DDppは、生体試料中の因子(単一または複数)(例えば、抗原または生物)の存在の検出に有用である。本明細書で使用される場合、用語の「検出」は、定量的または定性的検出を包含する。特定の実施形態では、生体試料は、細胞、組織または流体を含む。特定の実施形態では、このような組織は通常組織および/または癌性組織を含む。
【0355】
検出のための種々のフォーマットおよび技術が当技術分野において既知であり、限定されないが、ウェスタンブロット分析、免疫組織化学的検査、ELISA、FACS分析、酵素アッセイ、オートラジオグラフィー、および本明細書で言及されるいずれかの結合アッセイが挙げられる。
【0356】
一実施形態では、標的を含む溶液中の着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)を検出する方法が提供され、該方法は、(a)DDppが標的に特異的に結合するための好適な条件下で、溶液と、着目標的に特異的に結合するDDppを接触させること、および(b)DDppと標的の結合を検出すること、を含む。DDppは、遊離状態であるか、または固定され得る。着目標的とDDppとの間の結合を可能とする十分な時間を与え、溶液は混合物中の非結合成分を取り除くか、または洗い流す。その後、DDppと着目標的との間の結合複合体の形成は、例えば、結合複合体の1つの成分であるDDpp上の標識のシグナルを検出することにより検出できる。標識は、蛍光標識、放射性化合物、または検出可能なシグナルを生成する基質を反応する酵素などの標準的な方法により検出できるシグナルを生成するいずれの標識であってもよい。このような目的のための好適な標識の例は、本明細書で記載されている、および/または別に、当該技術分野において既知である。
【0357】
BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26などの着目標的に結合するDDppは、放射性同位元素、親和標識(ビオチン、アビジンなど)、酵素標識(西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリフォスファターゼなど)を用い、当該技術分野において既知の方法、例えば、国際公開第00/70023号およびHarlow and Lane(1989)Antibodies,Cold Spring Harbor Laboratory,pp.1-726に記載の方法などを使用して、検出可能なように標識できる。
【0358】
検出可能なマーカーまたは標識は、直接または間接的に測定可能な放射性、発色性、発光、または蛍光シグナルなどのシグナルを生成できる任意の標識であり得、これは、試料中の結合した検出可能部分または標識の量を定量化するために使用できる。当該技術分野において既知の検出可能標識には、3H、14C、32P、35S、または125Iなどの放射性同位元素、電気化学発光標識(例えば、基質と組み合わせたルテニウム(Ru)ベース触媒、など)、発光または生物発光標識(例えば、ユーロピウム、バナジウム)、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、またはルシフェリン、などの蛍光または化学発光化合物、酵素(例えば、アルカリフォスファターゼ、ベータガラクトシダーゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素)、コロイド状金、着色ガラスまたはプラスチックビーズ(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)などの比色分析標識、常磁性原子または磁性剤、高電子密度試薬、ナノまたはミクロビーズ含有マイクロトランスポンダー、電子供与体分子または分子構造体、または光反射粒子が挙げられ、微粒子はナノ結晶または量子ドットであり得る。ナノ結晶は、光の光子を吸収し、その後、光子を異なる波長(フルオロフォア)で再放射する物質である。加えて、追加の蛍光標識、または二次抗体は、ナノ結晶に結合され得る。ナノ結晶は、Invitrogen and Evident Technologies(Troy,N.Y.)などの供給源から市販されている。その他の標識には、(E)-5-[2-(メトキシカルボニル)エテニル]シチジンが挙げられ、これは、紫外線(UV)放射にさらされると強力な蛍光シグナルを出す生成物、3ベータ-D-リボフラノシル-2,7-ジオキソピリド[2,3-d]ピリミジンを生成する非蛍光分子である。
【0359】
競合的阻害は、当該技術分野で既知の任意の方法、例えば、競合ELISAアッセイにより測定可能である。DDpp融合タンパク質(例えば、DDpp-Fc、DDpp-CAR、DDpp-scFv)などのDDpp、またはその他の分子は、それが参照分子のエピトープに対する結合をある程度まで阻止するようにそのエピトープに結合する場合、所与のエピトープに対する標準物質の結合を「競合的に阻害する」といわれる。本明細書で使用される場合、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)、またはその他の分子は、例えば、少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、または少なくとも20%だけ参照分子の所与のエピトープに対する結合を競合的に阻害するということができる。用語の「競合する」、「競合する能力」および「と競合する」は、本明細書に記載の、あるいは当該技術分野において既知の、限定されないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、好ましくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫放射線アッセイ、蛍光免疫測定法、発光、電気化学発光、および免疫電気泳動アッセイなどの技術を用いた競合アッセイシステムを含む標準的競合アッセイで測定して、参照分子の標的に対する結合を、DDpp融合タンパク質(例えば、DDppーFc、DDpp CAR、DDpp-scFv、および抗体含有DDpp)などのDDppにより、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%阻害する、DDpp融合タンパク質などのDDppを記述する相対的な用語である。候補結合分子の結合および親和性を測定する方法は、当技術分野において既知であり、限定されないが、親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、平衡透析、蛍光プローブ変異、およびプラズマ共鳴が挙げられる。
【0360】
治療薬
本明細書で記載のDDは、限定されないが、インビトロ、エクスビボ、またはインビボ方法であり得る治療法を含む種々の用途で有用である。
【0361】
治療創薬としての用途は、DDppの標的結合特異性の属性である。種々の分子組成物内へのDDppの組み込み(例えば、DD-抗体融合体、DD-薬物複合体およびDD-キメラ受容体)は、種々の治療指標および治療手法における用途を提供し、これらには、限定されないが、可溶性および細胞結合型組成物が挙げられる。
【0362】
一実施形態では、DDppは、任意のエピトープタグ10および代謝、心臓血管、筋骨格、神経学的、または骨格系の疾患または障害に関連する標的に結合する標的化ドメインから構成される可溶性融合タンパク質である。他の実施形態では、DDppは、酵母、真菌、ウイルスまたは細菌感染症または疾患に関連する標的に結合する可溶性融合タンパク質である。いくつかの実施形態では、DDppは、免疫系の疾患または障害に関連する標的に結合する可溶性融合タンパク質である。
【0363】
本明細書で記載の治療方法を実施するのに有用な治療用組成物も提供される。一実施形態では、本明細書で提供される治療用組成物は、生理学的に許容可能な担体を、有効成分としてその中に溶解または分散された少なくとも1種の本明細書に記載のDDpp融合と共に、含む。別の実施形態では、本明細書で提供される治療用組成物は、生理学的に許容可能な担体を、有効成分としてその中に溶解または分散された少なくとも1種の本明細書に記載のDDppと共に、含む。好ましい実施形態では、治療目的でヒト患者に投与される場合、治療用組成物は、免疫原性を有さない。
【0364】
有効成分をその中に溶解または分散させて含む医薬組成物の作製は、当該技術分野においてよく理解されている。通常、このような組成物は、水性のまたは非水性の溶液または懸濁剤として無菌注射剤として作製される。しかし、使用前に液体中で溶液または懸濁液とするために好適する固体形態も、作製できる。製剤はまた、乳化することもできる。従って、DDpp含有組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル、持続放出製剤もしくは粉末、またはその他の組成物形態の形態とすることができる。いくつかの実施形態では、DDpp組成物(例えば、DDpp融合タンパク質)は、インビボでの分布を確保するまたは最適化するように配合され、例えば、血液脳関門(BBB)は多くの高度に親水性の化合物を排除するので、それが望ましい場合には、例えば、リポソーム中での配合により、組成物はBBBを横切る移動を増大させるように作製される。リポソームを製造する方法については、例えば、米国特許第4,522,811号、同第5,374,548号および同第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定細胞または臓器中に選択的に輸送される1つまたは複数の部分を含むことができ、従って、標的化薬物送達を強化できる(例えば、Ranade,Clin.Pharmacol.29:685(1989)を参照されたい)。
【0365】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、他の有効成分および/または薬学的に許容可能で、有効成分と適合性がある賦形剤と本明細書で記載の治療方法での使用に好適する量で混合できる。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどおよびこれらの組み合わせである。加えて、必要に応じ、組成物は、湿潤または乳化剤、緩衝剤などの有効成分の有効性を高める少量の補助的な物質を含むことができる。
【0366】
治療用DDppは、その中の成分の薬学的に許容可能な塩も含み得る。薬学的に許容可能な塩には、例えば、塩酸またはリン酸などの無機酸、または酢酸、酒石酸、マンデル酸などの有機酸と形成される酸付加塩(ポリペプチドの遊離アミノ基と形成される)などが挙げられる。遊離カルボキシル基と形成される塩はまた、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウムまたは鉄(III)水酸化物などの無機塩基、およびイソプロピルアミン、トリメチルアニリン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどの有機塩基から誘導できる。
【0367】
生理学的に許容可能な担体は、当技術分野において既知である。代表的液体担体は、有効成分および水の他に何らの物質も含まない、または生理学的pH値のリン酸ナトリウム、生理食塩水または両方、リン酸塩緩衝生理食塩水などの緩衝液を含む無菌水溶液である。さらに、水性担体は、2種以上の緩衝塩、ならびに塩化ナトリウムおよび塩化カリウム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、およびその他の溶質などの塩を含むことができる。
【0368】
液体組成物はまた、水に追加する、および水以外の、液相も含み得る。このような追加液相の代表例は、グリセロール、綿実油などの植物油、オレイン酸エチルなどの有機エステル、および水油エマルションである。
【0369】
一実施形態では、治療用組成物は、DDpp融合タンパク質、通常は、治療用組成物の総重量当たり、少なくとも0.1重量%のDDpp融合タンパク質を含む。重量パーセントは、総組成物当たりのDDpp融合体の重量比である。従って、例えば、0.1重量パーセントは、100gの総組成物当たり0.1gのDDppである。
【0370】
DDpp融合タンパク質含有治療用組成物は通常、約10マイクログラム(μg)/ミリリットル(ml)~100ミリグラム(mg)/mlの組成物の体積当たりの有効成分としてのDDpp融合タンパク質を含み、より好ましくは、約1mg/ml~約10mg/ml(すなわち、約0.1~1重量%)の組成物の体積当たりの有効成分としてのDDpp融合タンパク質を含む。
【0371】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)の投与のための投与量の範囲は、標的分子により媒介される病徴の改善に向けた所望の効果をもたらすのに十分大きい量である。投与量は、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全などの有害な副作用を引き起こすほど多量であってはならない。一般に、投与量は、患者の年齢、病状、性別、および疾患の程度で変化し、当業者によって決定可能である。万一何らかの合併症が生じる場合には、投与量は個々の医師によって調節できる。
【0372】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、注射または一定の時間にわたるゆるやかな注入により、非経口的に投与できる。標的分子は通常、全身投与により身体に適用でき、従って、ほとんどの場合、治療用組成物の静脈内投与により治療されるが、標的組織が標的分子を含む可能性がある場合には、他の組織および送達手段が考えられる。従って、DDppは、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、空洞内投与でき、さらに蠕動手段により送達可能である。DDpp融合タンパク質はまた、エアロゾルにより気道および肺に送達できる。
【0373】
DDpp含有治療用組成物は、例えば、単位用量の注射などの従来法で静脈内に投与できる。本明細書で提供される治療用組成物に関連して使用される用語の「単位用量」は、対象に対する単一投与量として適する物理的に別々の単位を意味し、各単位は、例えば、担体、またはビークルなどの必要とされる希釈剤と組み合わせて、所望の治療効果が得られるように計算された所定量の活性物質を含む。いくつかの実施形態では、DDppを含む治療用組成物は、皮下に投与される。
【0374】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、剤形と適合性がある方式により治療有効量で投与される。投与される量は、治療される対象、対象の組織の投与される組成物の有効成分を利用する能力、および所望の治療効果の程度に依存する。投与に必要な有効成分の厳密な量は、開業医の判断に依存し、それぞれの個体に特有である。しかし、全身投与のための好適な投与量範囲は本明細書で開示され、これは、投与経路に依存する。好適な投与計画も変更可能であるが、初期投与とこれに続く、注射または他の投与法による1時間または複数時間の間隔での反復投与が典型例である。あるいは、インビボでの指定された範囲での、血液中の濃度を維持するのに十分な連続的静脈内注入も意図される。
【0375】
DDpp組成物は、処方され、用量が決定され、良質の医療のための原則に従って投与される。これに関して考慮すべき因子には、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個別患者の臨床状態、障害の原因、薬剤送達部位、投与方法、投与スケジュール、およびその他の開業医に既知の因子が挙げられる。DDppの投与のための投与量の範囲は、標的分子により媒介される病徴の改善に向けた所望の効果をもたらすのに十分大きい量である。投与量は、過粘稠度症候群、肺水腫、うっ血性心不全などの有害な副作用を引き起こすほど多量であってはならない。一般に、投与量は、患者の年齢、病状、性別、および疾患の程度で変化し、当業者によって決定可能である。万一何らかの合併症が生じる場合には、投与量は個々の医師によって調節できる。
【0376】
治療および予防用途に効果的な投薬スケジュールおよび量、すなわち「投薬計画」は、疾患または障害の原因、ステージおよび重症度、治療される哺乳動物の身体的状態、年齢、およびDDの送達部位および経路を含む種々の要因に依存するであろう。複合体および組成物の治療効力および毒性は、細胞培養物または実験動物を用いて、標準的医薬薬理学的、および毒性学的方法により測定できる。これらの方法により得られたデータは同様に、ヒトにおける使用のための投与量範囲の処方に使用することができる。さらに、治療指数(すなわち、集団の50%で治療的に有効な投与量を集団の50%の致死投与量で割った値(ED50/LD50))は、既知の手順を用いて容易に決定できる。投与量は、毒性がほとんどまたは全くなしに、ほとんど毒性のない、または投与量を制限する毒性のないED50を含む濃度の範囲内であるのが好ましく、採用される剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変わってもよい。
【0377】
投与計画では、薬物吸収速度、バイオアベイラビリティ、代謝およびクリアランスなどの、当該技術分野において既知の薬物動態学パラメーターも考慮される(例えば、Hidalgo-Aragones,J.Steroid Biochem.Mol.Biol.58:611-617(1996);Groning et al.,Pharmazie 51:337-341(1996);Fotherby,Contraception 54:59-69(1996);およびJohnson et al.,J.Pharm.Sci.84:1144-1146(1995)を参照されたい)。治療されるそれぞれの対象に対し、臨床医が投与計画を決定することは、十分に現状技術およびレベルの範囲内にある。さらに、DDpp組成物の単一または複数投与は、対象に必要で、耐容される投与量と頻度に応じて投与できる。予防および治療処置の期間は、治療される特定の疾患または状態に依存するであろう。いくつかの疾患は、急性期治療に適用できるが、他のものは、長い期間にわたる長期治療が必要である。DDppは、追加の治療薬を用いて順次に、または同時に投与できる。
【0378】
いくつかの実施形態では、DDppは、約1mg/kg~約50mg/kg、約1mg/kg~約25mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約1mg/kg~約15mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、または約1mg/kg~約5mg/kgで投与される。
【0379】
別の実施形態では、DDppは、1種または複数の追加の治療薬と組み合わせて投与される。
【0380】
DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)の治療有効量は、生理学的に許容可能な組成物中に入れて投与される場合、約0.1マイクログラム(μg)/ミリリットル(ml)~約100μg/ml、好ましくは、約1μg/ml~5μg/ml、および通常約5μg/mlの血漿中濃度を達成するのに十分であるような量であり得る。言い方を変えれば、用量は、1日または数日間にわたり毎日1回または複数回の投与で、約0.1mg/kg~約300mg/kg、好ましくは、約0.2mg/kg~約200mg/kg、最も好ましくは、約0.5mg/kg~約20mg/kgの間で変わり得る。
【0381】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載のDDppは、免疫系の疾患または障害、例えば、炎症または自己免疫疾患の治療に有用である。
【0382】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のDDppは、癌の治療に有用である。従って、いくつかの実施形態では、本開示は、癌の治療方法を提供し、該方法は、治療有効量のDDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)を対象に投与することを含む。
【0383】
さらなる実施形態では、本開示は、キメラ抗原受容体(CAR)を提供し、CARは、標的化ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、標的化ドメインは、少なくとも部分的に、本明細書で開示の標的結合DDppから構成される。
【0384】
本開示はまた、CARをコードする核酸配列を含む細胞も提供し、CARは、少なくとも部分的に、着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、およびAFP p26)に結合する開示ポリペプチドから構成される抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの実施形態では、CARは、腫瘍抗原に特異的に結合する(従って、CAR発現細胞を腫瘍に送達するように機能する)。いくつかの実施形態では腫瘍抗原は、血液系腫瘍に付随する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はBCMAである。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はCD123である。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はCS1である。さらなる実施形態では、腫瘍抗原は、固形腫瘍に付随する。いくつかの実施形態では、腫瘍抗原はHER2である。いくつかの実施形態では、固形および血液腫瘍の両方が標的化される。いくつかの実施形態では、CARを発現している細胞はT細胞、はナチュラルキラー(NK)細胞またはその他の免疫細胞型である。いくつかの実施形態では、CARを発現している細胞(T細胞、NK細胞または他の細胞型のいずれでも)は、ポリペプチドがその対応する腫瘍に結合すると、抗腫瘍免疫性を示す。
【0385】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む治療有効量のCAR免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、BCMAに特異的に結合するDDを含む標的結合ドメイン(例えば、配列番号11~305、および306からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)を含む。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。
【0386】
いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞の標的結合ドメインは、対象の癌細胞により発現されたBCMAに特異的に結合し、CAR免疫細胞が、癌細胞に対し細胞傷害性効果を生ずる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導し、それにより、癌を治療する。
【0387】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む治療有効量のCAR免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、CD123に特異的に結合するDDを含む標的結合ドメイン(例えば、配列番号307~739、および740からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)を含む。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞の標的結合ドメインは、対象の癌細胞により発現されたCD123に特異的に結合し、CAR免疫細胞が、癌細胞に対し細胞傷害性効果を生ずる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導し、それにより、癌を治療する。
【0388】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む治療有効量のCAR免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、CS1に特異的に結合するDDを含む標的結合ドメイン(例えば、配列番号896~909、および910からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)を含む。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞の標的結合ドメインは、対象の癌細胞により発現されたCS1に特異的に結合し、CAR免疫細胞が、癌細胞に対し細胞傷害性効果を生ずる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導し、それにより、癌を治療する。
【0389】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む治療有効量のCAR免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、HER2に特異的に結合するDDを含む標的結合ドメイン(例えば、配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む)、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメイン(シグナル伝達ドメインを含む)を含む。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はNK細胞である。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞はT細胞またはNK細胞ではない。さらなる実施形態では、異なるCAR免疫細胞型(例えば、NK細胞およびT細胞)の組み合わせが対象に投与される。いくつかの実施形態では、投与されるCAR免疫細胞の標的結合ドメインは、対象の癌細胞により発現されたHER2に特異的に結合し、CAR免疫細胞が、癌細胞に対し細胞傷害性効果を生ずる細胞傷害性シグナルを生成するように誘導し、それにより、癌を治療する。
【0390】
さらに、癌を治療または予防する方法が提供され、該方法は、DDpp-CAR Tリンパ球を、標的細胞の表面上に腫瘍抗原を発現する癌に罹りやすいまたはその癌を有する患者に投与することを含み、DDppは、その抗原に特異的に結合する。
【0391】
CAR T細胞が、癌の患者に投与されるいくつかの実施形態では、着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)の結合がCAR T細胞を刺激して細胞内シグナル伝達開始させる。さらなる実施形態では、CAR T細胞の着目標的への結合は、T細胞を刺激して細胞内シグナル伝達を開始させ、サイトカインを産生する。さらなる実施形態では、CAR T細胞の着目標的への結合は、T細胞を刺激して細胞内シグナル伝達を開始させ、サイトカインを産生し、脱顆粒して、癌細胞に対する細胞傷害性効果をもたらす。いくつかの実施形態では、CAR T細胞は、着目標的への結合に反応して増殖する。好都合にも、いくつかの実施形態では、CAR T細胞の活性は、T細胞枯渇に関連する表現型を示すT細胞をもたらさない。いくつかの実施形態では、CAR T細胞の膜貫通ドメインは、41BBまたはCD28を含み、細胞質ドメインはT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖を含む。
【0392】
いくつかの実施形態では、投与されるCARは、癌細胞により発現された着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDおよび/またはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。さらなる実施形態では、投与されるCARは、癌細胞により発現された異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。さらなる実施形態では、投与されるCARは、異なる癌細胞または血管内皮細胞により発現された異なる着目標的に特異的に結合する、2、3、4、5つ、または5つを超えるDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)をさらに含む。
【0393】
いくつかの実施形態では、投与される免疫細胞は、癌細胞により発現された第2の着目標的に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む。いくつかの実施形態では、投与される免疫細胞は、異なる癌細胞または血管内皮細胞により発現された第2の着目標的に特異的に結合するDDまたはその他の結合ドメイン(例えば、scFv)を有する第2のCARポリペプチドをさらに含む。
【0394】
いくつかの実施形態では、CARを含む免疫細胞の投与は静脈内投与である。他の実施形態では、CARを含む免疫細胞は、動脈内、筋肉内、局所、またはその他の所与の治療シナリオのための許容可能な経路を介して投与される。
【0395】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法も提供し、該方法は、キメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を対象に投与することを含み、CARは、標的結合ドメインを含み、標的結合ドメインは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み、ポリペプチドは、癌細胞により発現された着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合する。
【0396】
さらなる実施形態では、本開示は、癌の対象を治療する方法を提供し、該方法は、T細胞で発現されているキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞を対象の静脈内に投与することを含み、CARは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む標的結合ドメイン、および41BBおよびCD28から選択される膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖から選択されるシグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、標的結合ドメインは、癌細胞により発現された着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合し、着目標的への結合が、CAR T細胞による、癌細胞に対する細胞傷害性効果をもたらす細胞傷害性シグナルの生成を誘導する。いくつかの実施形態では、細胞傷害性効果は、CAR T細胞の脱顆粒に起因する。好都合にも、いくつかの実施形態では、CAR T細胞の活性化および細胞傷害活性は、T細胞枯渇に関連する表現型を示すCAR T細胞を伴わない。いくつかの実施形態では、CARは、任意選択で、標的結合ドメインとは異なる標的を有する第2のポリペプチドを含む第2の標的結合ドメインをさらに含んでもよい。またさらなる実施形態では、追加の標的化ドメインは、任意選択で、マーカーに対する結合能力を高めるように、またはその他のマーカーに結合特異性を付与するように含めることができる。
【0397】
いくつかの実施形態では、本開示は、癌の対象を治療のためにキメラ抗原受容体(CAR)を含む免疫細胞の使用を提供し、CARは、配列番号11~305、および306;配列番号307~739、および740;配列番号741~874および886~895;配列番号896~909および910;または配列番号911~949、および950からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む標的結合ドメイン、および41BBおよびCD28から選択される膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含み、細胞内ドメインは、T細胞受容体のアルファ、ベータ、またはゼータ鎖から選択されるシグナル伝達ドメインを含み、癌の対象に投与時に、標的結合ドメインは、癌細胞により発現された着目標的(例えば、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26)に特異的に結合し、着目標的への結合が、免疫細胞による、癌細胞に対する細胞傷害性効果をもたらす細胞傷害性シグナルの生成を誘導する。別の実施形態では、免疫細胞はT細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0398】
治療できる癌には、血管形成しない、またはまだ実質的に血管形成していない腫瘍、ならびに血管形成した腫瘍を含めることができる。癌は、非固形腫瘍(血液学的腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫など)または固形腫瘍を含むことができる。DDppで治療される癌のタイプには、限定されないが、癌腫、芽細胞腫、および肉腫、および特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、および悪性腫瘍、例えば、肉腫、癌腫および黒色腫が挙げられる。成体腫瘍/癌および小児科腫瘍/癌も包含される。
【0399】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のDDppは、血液癌の患者の治療に有用である。血液学的(または血行性)癌の例には、急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病および骨髄芽球、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ性白血病など)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(無痛性および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、毛様細胞性白血病、および脊髄形成異常症が挙げられる。いくつかの実施形態では、血液癌は多発性骨髄腫である。
【0400】
肉腫および癌腫などの固形腫瘍の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、およびその他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色芽細胞種、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、ウイルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、精上皮腫、膀胱癌、黒色腫、およびCNS腫瘍(例えば、神経膠腫(脳幹神経膠腫および混合神経膠腫など)、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワン腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫および脳転移)が挙げられる。いくつかの実施形態では、癌は、乳癌または卵巣癌である。
【0401】
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、(1)目的の細胞または組織上の標的(例えば、腫瘍細胞上の腫瘍抗原)および(2)T細胞受容体分子などのエフェクター細胞上の標的に結合する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質による1つまたは複数の標的の結合を用いて、免疫反応を、患者の感染病原体、細胞、組織、またはその他の目的の場所に誘導する。例えば、いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、エフェクター細胞の表面上の標的に特異的に結合する。従って、いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、T細胞の表面上の標的に特異的に結合する。特定の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD3に特異的に結合する。他の実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD2に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、T細胞受容体(TCR)に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、ナチュラルキラー細胞の表面上の標的に特異的に結合する。従って、いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2D)受容体に特異的に結合する。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD16(すなわち、FcγRIII)、CD64(すなわち、FcγRI)、またはCD32(すなわち、FcγRII)に特異的に結合する。
【0402】
一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、腫瘍細胞上の白血球および腫瘍抗原上の標的に結合する。いくつかの実施形態では、DDpp融合タンパク質は、NKG2Dに結合する。さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、NKG2DおよびErbB2、EGFR、IGF1R、CD19、CD20、CD80およびEPCAMから選択される標的に結合する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD3に結合する。特定の実施形態では、DDppは、CD3εに特異的に結合する。一実施形態では、DDpp融合タンパク質は、CD4に結合する。
【0403】
DDpp薬物複合体
さらなる実施形態では、DDpp融合タンパク質は、化学的結合の使用により他の有機または無機分子または基質に結合され得る。一実施形態では、DDpp-薬物複合体は、DDppの標的特異性により細胞傷害剤の局所送達を容易にすることが意図されている。標的特異性と細胞傷害剤のこの組み合わせは、これらの非複合化薬剤の全身投与が、除去しようとした腫瘍細胞のみならず、正常細胞に対しても受け入れられないレベルの毒性を生じ得る場合に、腫瘍への薬物の標的化送達およびその中での細胞内蓄積を可能とする(Baldwin et al.,Lancet pages 603-605(1986);Thorpe,”Antibody Carriers Of Cytotoxic agents In Cancer Therapy:A Review,” in Monoclonal Antibodies ’84:Biological And Clinical Applications,A.Pinchera et al.,(ed.s),pp.475-506(1985))。
【0404】
細胞傷害剤には、化学療法剤、成長阻害剤、毒素(例えば、酵素的に活性な細菌性、真菌、植物、または動物起源の毒素またはそのフラグメント)、放射性同位元素(すなわち、ラジオコンジュゲート)などが挙げられる。このような免疫複合体の生成に有用な化学療法剤には、例えば、メトトレキセート、アドリアマイシン、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン、またはその他の挿入剤が挙げられる。このような免疫複合体の生成に有用な化学療法剤にはまた、モノメチルオーリスタチンE(MMAE)およびモノメチルオーリスタチンF(MMAF)を含むオーリスタチンなどの抗チューブリン薬物が挙げられる。開示方法により使用できる酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントには、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、αサルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。
【0405】
一実施形態では、DDpp(例えば、DDpp融合タンパク質)は、放射性同位元素に結合する。さらなる実施形態では、多くの既知のキレート化剤または直接標識のいずれか1つを用いて、DDppは、90Y、125I、131I、123I、111In、105Rh、153Sm、67Cu、67Ga、166Ho、177Lu、186Re、188Reから選択される同位体に結合される。他の実施形態では、DDppは、薬物、プロドラッグまたはインターフェロンなどのリンホカインに結合される。DDppと細胞毒素の複合体は、定常作業により、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えば、アジプイミド酸ジメチルHCL)、活性エステル(例えば、ジスクシンイミジルスベリン酸塩)、アルデヒド(例えば、グルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えば、ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビスジアゾニウム誘導体(例えば、ビス(p-ジアゾ-ニウムベンゾイル)エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えば、トリレン-2,6-ジイソシアネート)、およびビス活性フッ素化合物(例えば、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなどの種々の二官能性タンパク質カップリング剤を用いて作製できる。特定の実施形態では、毒素は、酵素切断可能リンカー系(例えば、SGN-35に存在するものなど)を介してDDpp融合タンパク質に結合される。DDppと、1つまたは複数の毒素活性を有する、カリチアマイシン、マイタンシノイド、トリコテシン、およびCC1065、およびこれらの毒素の毒素活性を有する誘導体などの小分子毒素の複合体も同様に使用できる。
【0406】
いくつかの実施形態では、細胞傷害剤は、リンカーによりDDppに共有結合される。いくつかの実施形態では、DDppおよび細胞傷害剤に結合するリンカーは、プロテアーゼにより切断される。
【0407】
細胞結合受容体としての治療的使用
一実施形態では、開示DDpp-CARは、形質導入T細胞をDDpp-CARの結合特異性により規定される腫瘍標的に再指示するために使用される。一実施形態では、一次T細胞は、DD標的結合ドメインを膜貫通ドメインおよびCD3ゼータ、CD28、41BBの細胞内ドメインと連結するCARをコードするレンチウイルスベクターで形質導入される。従って、得られた形質導入T細胞集団は、DDpp-CAR媒介T細胞応答を誘発する。いくつかの実施形態では、T細胞は通常、遺伝子改変されて、DDpp-CARを発現し、DDpp-CAR T細胞はそれを必要としているレシピエントに輸注される。さらなる実施形態では、輸注された細胞は、レシピエント中の腫瘍細胞を死滅させることができる。DDpp-CARの特に有利な特性には、次の利点の内の1つ、いくつかまたはすべてを含む:(i)標的結合特異性、(ii)高められた治療効力、(iii)低減したオフターゲット副作用、(iv)特定の患者または患者集団のマーカーに対するカスタマイズのしやすさ、(v)製造中および処理中の高められた安定性、および(vi)1、2、または2つを超える特異的標的を標的として、標的指向型療法を向上させる能力。
【0408】
本明細書で使用される場合、「遺伝子改変細胞(Genetically modified cell)」、「再指示された細胞」、「遺伝子改変細胞(genetically engineered cell)」、または「改変細胞」は、本明細書で提供されるDDppを発現する細胞を意味する。特定の実施形態では、遺伝子改変細胞は、DDpp-CARなどのDDpp融合タンパク質を発現する。さらなる実施形態では、遺伝子改変細胞は、細胞表面上にDDpp-CARを発現し、これを提示する。
【0409】
本明細書で使用される場合、「遺伝子改変細胞より標的とされる疾患」は、治療上有益な結果をもたらすために、遺伝子改変細胞が疾患細胞を標的とするかまたは健康な細胞を標的化するかに関係なく、何らかの形で、いずれかの疾患に関与するいずれかの細胞の、遺伝子改変細胞による標的化を包含する。遺伝子改変細胞には、遺伝子改変T細胞、NK細胞、造血幹細胞、多能性胚性幹細胞、または胚性幹細胞が含まれるが、これらに限定されない。遺伝子改変細胞は、DDpp-CARを発現し、このCARは、標的細胞の表面上で発現したいずれかの抗原を標的にし得る。
【0410】
一実施形態では、DDpp-CARのDDpp部分は、特定の癌を治療するように設計されている。治療できる癌には、血管形成しない、またはまだ実質的に血管形成していない腫瘍、ならびに血管形成した腫瘍を含めることができる。癌は、非固形腫瘍(血液学的腫瘍、例えば、白血病およびリンパ腫など)または固形腫瘍を含むことができる。DDpp-CARで治療される癌のタイプには、限定されないが、癌腫、芽細胞腫、および肉腫、および特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、および悪性腫瘍、例えば、肉腫、癌腫および黒色腫が挙げられる。成体腫瘍/癌および小児科腫瘍/癌も包含される。
【0411】
血液学的(または血行性)癌の例には、急性白血病(急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病および骨髄芽球、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性および赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病、および慢性リンパ性白血病など)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(無痛性および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、毛様細胞性白血病、および脊髄形成異常症が挙げられる。
【0412】
肉腫および癌腫などの固形腫瘍の例には、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、およびその他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色芽細胞種、脂腺癌、乳頭癌、乳頭状腺癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支原性肺癌、腎細胞癌、肝細胞腫、胆管癌、絨毛癌、ウイルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、精上皮腫、膀胱癌、黒色腫、およびCNS腫瘍(例えば、神経膠腫(脳幹神経膠腫および混合神経膠腫など)、神経膠芽腫(多形神経膠芽腫としても知られる)星状細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、シュワン腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起細胞腫、髄膜腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫および脳転移)が挙げられる。
【0413】
一実施形態では、癌および障害は、BCMA、CD123、CS1、HER2、AFP、またはAFP p26を標的とするDDpp-CARを発現している細胞を用いて治療できる。特定の一実施形態では、DD-CARは、B細胞リンパ腫を治療するためにCD22を標的とするように設計され得る。別の実施形態では、CD19を標的とするように設計されたDDppを含むDDpp-CARを発現している細胞を用いて、限定されないが、前駆B-ALL(小児適応症)、成人ALL、マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、同種間骨髄移植後のサルベージ療法、などを含む癌および障害を治療できる。別の実施形態では、CS1を標的とするように設計されたDDppを含むDDpp-CARを発現している細胞を用いて、多発性骨髄腫を治療できる。別の実施形態では、BCMAを標的とするように設計されたDDppを含むDDpp-CARを発現している細胞を用いて、多発性骨髄腫を治療できる。別の実施形態では、CS1を標的とするように設計されたDDppとCS1を標的とするように設計されたBCMAを含むDDpp-CARを発現している細胞を用いて、多発性骨髄腫を治療できる。別の実施形態では、HER2を標的とするように設計されたDDppを含むDDpp-CARを発現している細胞を用いて、乳癌または卵巣癌を治療できる。
【0414】
本明細書で使用される場合、「B細胞関連疾患」は、B細胞免疫不全、自己免疫疾患および/またはB細胞関連過剰/無制御細胞増殖(リンパ腫および/または白血病を含む)を含む。DDpp-CARが治療手法のために使用され得るこのような疾患の例には、限定されないが、全身性エリテマトーデス(SLE)、糖尿病、関節リウマチ(RA)、反応性関節炎、多発性硬化症(MS)、尋常性天疱瘡、セリアック病、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、自己免疫性甲状腺疾患、X連鎖無ガンマグロブリン血症、前B急性リンパ芽球性白血病、全身性エリテマトーデス、分類不能型免疫不全、慢性リンパ性白血病、選択的IgA欠損および/またはIgGサブクラス欠損に関連する疾患、B系統リンパ腫(ホジキンリンパ腫および/または非ホジキンリンパ腫)、胸腺腫を有する免疫不全、一時的な低ガンマグロブリン血症および/または高IgM症候群、ならびにEBV媒介リンパ増殖性疾患などのウイルス媒介B細胞疾患、および病態生理学においてB細胞が関与する慢性感染症が挙げられる。
【0415】
好ましい実施形態では、DDpp-CARは、T細胞中で発現され、癌を治療または予防する方法を提供し、該方法は、DDpp-CARを発現している宿主細胞の癌患者への投与を含み、患者中で癌細胞は、その表面上に腫瘍抗原を発現し、DDppは標的抗原に特異的に結合する。DDppおよびDDpp-CARが結合する代表的標的抗原には、限定されないが、BCMA、CS1、HER2、およびCD123が挙げられる。
【0416】
DDpp-CAR改変T細胞はまた、哺乳動物におけるエクスビボ免疫化および/またはインビボ療法のための1種のワクチンとして機能し得る。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0417】
本明細書で提供されるDDpp-CAR改変T細胞は、単独で、または医薬組成物として、希釈剤および/または化学療法剤、抗体、サイトカインまたは細胞集団などの他の成分と共に、投与できる。本明細書で提供される組成物は、好ましくは、1回または複数回投与できる静脈内投与用として処方される。
【0418】
本明細書で使用される場合、「抗原消失回避変異体(Antigen loss escape variant)」は、標的抗原の発現の低減または消失を示す細胞を意味し、この抗原が本明細書で提供されるCARにより標的とされる。
【0419】
本開示の種々の実施形態が以降でそれに従って実施される実験の記述により例示される。以下の実施例は、開示実施形態の実施を容易にするために提供されるものであり、残りの開示を限定するものと解釈されるべきではない。実施例では、添付図が参照される。
【実施例0420】
実施例
実施例1.代表的着目標的に結合するDDppの単離およびキャラクタリゼーション
国際公開第2016/164305号、および同2016/164369号に記載のように作成したDDppライブラリーを、BCMA、CD123、AFP、またはAFP p26に結合するファージに関し、複数ラウンドの選択によりスクリーニングした。国際公開第2016/164305号、および同2016/164369号のそれぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0421】
BCMAパニング結果由来のファージミドを含む個々のコロニーを採取し、ファージをVCSM13ヘルパーファージを用いて、96ウェルフォーマットで標準的プロトコルに従ってレスキューした。ELISAにより標的結合をアッセイするために、96ウェルプレートを1.3マイクログラム/mlのヤギ抗ヒトIgG1-Fc抗体でコーティングした後、5nMの組換えヒト標的(BCMA-Fc、CD123-Fc、AFP、AFP123)またはIgG1-Fcと共にインキュベートした。50マイクロリットルのレスキューしたファージをELISAブロッキング緩衝液中で5xに希釈した後、各ウェルに添加した。HRP標識抗M13抗体を用いて結合を検出し、各配列に対するELISA比を、標的(すなわち、BCMA-Fc、CD123-Fc、AFP、またはAFP123)に対する450nmの吸収を、そのクローンを含む全ウェルに渡るIgG1-Fcに対する平均吸収で除算した値として報告した。
【0422】
実施例2.DDpp融合タンパク質
モジュール形態のDDppを結合要素として評価するために、DDpp CD137-結合剤、bb10(配列番号876)を、RSV特異的モノクローナル抗体パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))の配列由来の抗体の重鎖のNまたはC末端への融合体として再フォーマットした。二重特異的抗体、SYN-bb10およびbb10-SYNは、CD137およびRSVの両方への結合を示し(
図1A~1B;中実四角はbb10-SYN、中実円はSYN-bb10である)、親Dドメイン配列に新規結合活性が付与され、DDppの機能はNおよびC末端融合体の両方として、保持されたことを実証している。対照的に、標的のないアルファヘリックスタンパク質骨格(配列番号1)およびSYN(N末端融合のためのDD-SYN、中空円;C末端融合のためのSYN-DD、中空四角)は、RSVのみへの結合を示し、CD137への結合は示さなかった。
【0423】
プラスチックに直接結合したCD137に対するDDpp、bb10の結合は、ELISAを用いて実証された(
図1A~1B)。細胞膜の一部としてのCD137へのDDppbb10の結合も同様に、FACSを用いてインサイツで観察された(データは示さず)。
【0424】
実施例3.ヒトT細胞で発現されたDDpp-CARは、標的結合時にサイトカインを産生する
標的:DDpp-CAR発現T細胞結合の、サイトカイン分泌を誘導する能力を、DDpp-CARをコードするPELNSベクターを含む第三世代レンチウイルスパッケージングベクター(pRSV-REV、pMDLg/pRRE、およびpMD2.G)を、リポフェクタミン(登録商標)3000を用いて、一時的に遺伝子導入した293T細胞により評価した。遺伝子導入の6時間後、培地を交換した後、遺伝子導入の30および54時間後にレンチウイルス含有培地を集め、プールした後、遠心分離して細胞デブリを除去した。その後、レンチウイルス分取し、ウイルス形質導入に使用するまで、-80℃で貯蔵した。CARレンチウイルスによるヒトT細胞の形質導入を、完全ヒトPBMCを用いて実施し、40U/mlのIL2を補充した培地中で、αCD3/CD28 T細胞活性化ビーズで活性化した。24時間後、1mlの培地および40U/mlのIL2および硫酸プロタミンを補充した培地を含む3mlのレンチウイルスを含む6ウェル組織培養プレート中に、ウェル当たり2x106個のPMBCを播種した。その後、プレートを1000xg、32℃で2時間遠心分離した後、37℃で一晩インキュベートした。翌日、新しい培地およびレンチウイルス含有培地を用いてレンチウイルス形質導入手順を繰り返した。最初の細胞活性化の72時間後、T細胞活性化ビーズを取り出し、その後、T細胞を約0.25~0.5x106個のT細胞/mlを、100U/mlのIL2を補充した新鮮培地中で増殖のために培養した。T細胞をサイトカインアッセイ(以下に記載)に使用するまで、最初の活性化の7~10日後まで、2~3日毎に、T細胞に追加のT細胞培地およびIL2を補充した。
【0425】
標的抗原発現(CD123)に反応したサイトカイン産生を、ウェル当たり25,000個の形質導入T細胞(活性化後7日)を、25,000個の非標的(K562、CD123-)または標的(BDCM、CD123+)腫瘍細胞と共に、96ウェルプレート中で培養することにより評価した。24時間後、培養上清を集め、ELISAによりサイトカイン産生を評価した。ELISAの前に、培養上清を1:5に希釈した。同様に、PDL1標的抗原発現に反応したサイトカイン産生を、ウェル当たり25,000個の形質導入T細胞(活性化後7日)を、25,000個の非標的(K562、PDL1-)または標的(SUDHL1、PDL1+)腫瘍細胞と共に、96ウェルプレート中で培養することにより評価した。24時間後、培養上清を集め、ELISAによりサイトカイン産生を評価した。ELISAの前に、培養上清を1:5に希釈した。
【0426】
図2Aおよび
図2Bは、CD123結合DDpp-CARを発現しているT細胞が、CD123
+BDCM細胞で刺激後、インターフェロンガンマ(IFNγ)を産生するが、CD123
-細胞株K562の場合はこれを産生しないことを示す。
図2Cおよび
図2Dは、CD123結合DDpp-CARを発現しているT細胞は、CD123
+BDCM細胞で刺激後、インターロイキン2(IL2)を産生するが、CD123
-細胞株K562の場合はこれを産生しないことを示す。同様に、
図2Eおよび2Fは、PDL1結合DDpp-CARを発現しているT細胞は、PDL1
+SUDHL1細胞で刺激後、インターフェロンガンマ(IFNγ)およびIL2をそれぞれ産生するが、PDL1
-細胞株K562の場合はこれらを産生しないことを示す。
【0427】
実施例4.DDpp-CAR形質導入T細胞はT細胞枯渇に関連する表現型を提示しない
DDpp-CAR発現T細胞における抗原非依存性T細胞枯渇の可能性を評価するために、形質導入T細胞(活性化後10日目)をCD3に対する抗体およびT細胞枯渇マーカー(LAG3、PD1、およびTIM3)で染色した。
図3Aは、いくつかのT細胞ドナーの個別の実験由来のデータをまとめたものである。データは、枯渇マーカーの発現が、scFv含有抗CD123 CAR(32176)で観察されたものに比べて、CD123結合DDpp-CAR T細胞で増強されなかったことを示す。
図3Bは、T細胞の活性化の10日後の、scFv含有CAR(最上位横列)またはDDpp-CAR(この特定の実験ではcg06標的化CD123)で形質導入したT細胞中のLAG3、PD1、およびTIM3発現の代表的フローサイトメトリーデータを示す。これらのデータの類似性は、DDpp-CAR T細胞が枯渇マーカーの発現を上方制御せず、癌免疫療法におけるそれらの有効性をさらに裏付けることを再度示す。
【0428】
実施例5.DDpp-CAR発現T細胞は標的特異的脱顆粒および腫瘍細胞傷害性を示す
DDpp-CAR発現T細胞の脱顆粒を評価するために、1x10
5個の形質導入T細胞(活性化の9日目)をモネンシンおよびPE標識CD107a/LAMP1の存在下、T細胞培地中で4時間培養した。T細胞を単独で(
図4A)、または2x10
5個の非標的腫瘍細胞(K562、これはCD123
-(
図4B))または標的発現腫瘍細胞(BDCM、CD123
+(
図4C))の存在下で培養した後、洗浄し、CD3発現のために染色した。次に、T細胞脱顆粒をフローサイトメトリーにより、最初にCD3+SSC-low細胞(非腫瘍)に、その後、CD3+CD107a+細胞にゲートをかけて評価した。略号は、複数のドナーを用いた個別の実験由来の試料である。
【0429】
CD123標的化DDpp-CAR T細胞が単独で培養された場合、CD107a(DDpp-CAR T細胞の脱顆粒のマーカー)の生成は、陰性対照と同等であった。DDpp-CAR T細胞がCD123陰性K562腫瘍細胞と共培養された場合、CD107aの発現は限られ、CD123標的化DDpp-CAR T細胞がCD123陽性BDCM細胞と共培養された場合、有意なCD107aの発現が観察された(データは示さず)。これらのデータは、T細胞が活性化され、シグナルを伝達し、脱顆粒し、腫瘍根絶がなされるであろうことを示す。これらのデータはまた、DDpp-CAR発現T細胞の標的依存性活性化に対するさらなる裏付けを提供する。
【0430】
DDpp-CAR T細胞の細胞溶解活性を、2人の独立したドナーから調製したT細胞を用いて評価した。ドナー#1(
図5A~5B)DDpp-CAR T細胞は、CD123発現腫瘍、BDCMを効果的に死滅させるが、CD123陰性腫瘍、K562に対してはごくわずかな細胞溶解活性しか示さない。同様な結果は、ドナー#2でも観察された(
図5Cおよび5D)。
【0431】
実施例6.二重特異的DDpp
上記で考察したように、DDppは一価または多価性および/または多重特異性であり得る。多重特異的DDppCAR T細胞の免疫反応を誘発する能力を評価するために、二重特異的DDpp-CARをジャーカット細胞上で発現させ、片方または両方の標的を発現している腫瘍細胞に応答する細胞内シグナル伝達を測定した。結合ドメインの融合順序が異なる2つの二重特異的DDppCARを構築した。CG06-pb04は、CD8a膜貫通領域に融合されたpb04ドメインを有し、一方、pb04-cg06は、CD8a膜貫通領域に融合されたcg06ドメインを有する。両方の構築物は、標的-結合ドメイン間にGSリンカーを利用した。
【0432】
図6Aは、CARへの抗フラグmAb結合により評価定されるように、cg06のみ(
図6A)、pb04のみ(
図6B)、cg06-pb04(
図5C)、およびpb04-cg06(
図5D)を含むDDpp-CARは形質導入でき、ジャーカットNFATレポーター細胞株中で発現されることを示す。単一特異的および二重特異的CARのNFAT経路を活性化する能力を、種々のCARを異なるレベルのCD123および/またはPDL1発現を有する腫瘍細胞と共に供培養することにより評価した。細胞を標的細胞と共に6時間共培養した。ルシフェラーゼアッセイ試薬(Promega)の細胞への添加、および誘導細胞内シグナル伝達の尺度としての相対発光強度(RLU)の定量化によりNFAT媒介シグナル伝達を測定した。
【0433】
図6Eは、この実験の結果を示す。最も左側のバーおよびヒストグラムは、種々の細胞型に対するcg06 DDppの相対的死滅効果を示す。高度CD123
+BDCMとの共培養後のシグナル伝達反応は、このDDpp-CARが最大であった。次の右側の群は、同じ細胞型に対するpb04 DDppの共培養後の細胞内シグナル伝達を示すデータを示す。シグナル伝達は、BDCMで最高で、続けてSUHDL1、およびH460であった(これらは、CD123およびPDL1を最も高発現した細胞株である(データは示さず))。次の右側の群は、二重特異的cg06-pb04 DDpp(pb04に比べて、cg06はT細胞膜に対しより遠位である)の細胞内シグナル伝達を示すデータを示す。最後に、最も右側の群は、第2の二重特異的DBPpp(pb04-cg06 DDpp、pb04はcg06に比べて、T細胞膜に対しより遠位である)からの細胞内シグナル伝達を示す。これらの2つの群は、二重特異的DDpp-CARが細胞内シグナル伝達を促進するように機能することを示す。実施形態によると、二重特異的DDpp-CARは、高められた活性を示す(BDCM細胞を有するpb04-cg06群の細胞内シグナル伝達の大きさは、pb04 DDpp単独により説明できるよりも大きい)。従って、いくつかの実施形態では、2つのDDppを含むDDpp-CARは、T細胞機能を高めるように協力できる。いくつかの実施形態では、二重特異的(または他の多量体で)DDpp-CAR使用される種々のDDpp間の相乗作用が存在する。
【0434】
実施例7.二重結合ドメインアダプターの使用によりCARシグナル伝達を高める
予めAFP(p26ドメイン)-結合CAR(af03)(配列番号961)を形質導入した50,000個のレポーター細胞を、CD123特異的Cg06アダプター(Cg06-p26、配列番号953)またはCg06-二重アダプター蛋白質(Cg06-p26-Cg06、配列番号956)の存在下、50,000個のCD123
+MOLM13またはCD123-欠損MOLM13細胞の存在下で、5時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を評価した。CD123欠乏細胞は、CRISPR/Cas9遺伝子工学技術を用いて生成した(
図7A)。同様に、予めAFP(p26ドメイン)結合CAR(af03)(配列番号961)を形質導入した50,000個のレポーター細胞を、50,000個のBCMA
+U266細胞の存在または非存在下、BCMA特異的Bc40-アダプター(Bc40-p26、配列番号954)またはBc40-二重アダプター蛋白質(Bc40-p26-Bc40、配列番号957)の存在下で5時間培養した後、ルシフェラーゼ活性を評価した(
図7B)。
【0435】
図7Aおよび7Bは、単一結合ドメインアダプター蛋白質に比べて、二重結合(2価)ドメインアダプター蛋白質が、CAR発現ジャーカット細胞により高められたシグナル伝達を促進することを示す。
【0436】
実施例8.DDpp-媒介インビボ腫瘍免疫療法
DDpp CARのインビボ抗腫瘍活性を評価するために、T細胞をbc40 DDpp CAR(BCMA標的化CAR)で形質導入した。Bc40は、配列番号164である。形質導入細胞(5X10E6)を、BCMA発現、ルシフェラーゼ/gfp標識U226腫瘍細胞の10E7個の細胞を受けた34日後に、NSGマウスに静脈内投与した。
図8に示すように、4匹のマウスは、U226腫瘍を0日目に受け、これは32日目まで進行性に増殖した。34日目に、マウス#1、#2、および#4は、bc40-DDpp CAR T細胞を受けた。マウス#3は、T細胞を受けなかった。45日目に、CAR T細胞を受けたマウスでU226腫瘍が除去されたが、一方、T細胞を受けなかったマウスは、腫瘍負荷により死亡した。
【0437】
引用された、全ての出版物、特許、特許出願、インターネットサイト、および受入番号/データベース配列(ポリヌクレオチドおよびポリペプチド配列の両方を含む)は、あたかも、それぞれ個別の出版物、特許、特許出願。インターネットサイト、または受入番号/データベース配列が具体的に個別に、参照によってそのように本明細書に組み込まれることが示されるのと同程度に本出願においてその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0438】
上記で開示された特定の特徴および態様の種々の組み合わせまたは副組合せを行うことができ、これらもまた、本開示により包含される実施形態の範囲内に入ることが意図されている。さらに、ある実施形態に関連するいずれか特定の特徴、態様、方法、性質、特性、品質、属性、要素などの開示は、本明細書に記載される他のすべての実施形態で使用することができる。従って、開示実施形態の様々な方法を形成するために、開示実施形態の種々の特徴および態様を相互に組み合わせる、または置換することができることを理解されたい。従って、本開示により包含される実施形態の範囲は、上記の特定の開示実施形態により限定されるべきものではないことが意図されている。さらに、包含される実施形態は、種々の変更、および代替形態が可能であるが、その特定の実施例が図面で示され、本明細書で詳細に記述されている。しかし、本開示の範囲は、開示された特定の形態または方法に限定されるものではなく、それと反対に、本開示は、種々の実施形態、記述および添付請求項の趣旨と範囲内に入るすべての修正物、均等物、および代替物を包含するものであることを理解されたい。本明細書で開示のいずれの方法も、記述の順番で実施する必要はない。本明細書で開示される方法は、開業医によってとられる特定の行為を含むが、しかし、明示的または暗示的に、これらの行為の任意のサードパーティの手引き書をそれらに含めることもできる。例えば、「DDpp-CARを含むT細胞の投与」などの行為は、「DDpp-CARを含むT細胞の投与の教示」を含む。加えて、本開示の特徴または態様はマーカッシュグループの用語で記載される場合、当業者なら、本開示は、それにより、マーカッシュグループの個別のメンバーまたはメンバーのサブグループの用語で同様に記載されることを理解するであろう。
【0439】
本明細書に開示された範囲はまた、任意のおよび全ての重複、部分範囲、およびそれらの組み合わせも包含する。「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」、「の間」などの用語には、記述された数値が含まれる。「約(about)」や「約(approximately)」などの用語が先行した数値には、記述された数値が含まれる。例えば、「約10ナノメーター」は、「10ナノメーター」を含む。
【表2】
【表3】
【表4】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、ヒトT細胞受容体アルファ、ベータ、またはゼータ鎖のドメイン;ヒト41BBドメイン;ヒトCD28ドメイン;およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項18または19に記載のCAR。
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD27、CD28、41BB、OX40、CD30、CD40、PD1、リンパ球機能関連抗原1(LFA1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、NKG2D、B7-H3、CD83に特異的に結合するリガンド、およびこれらの任意の組み合わせからなる群より選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む、請求項18~20のいずれか1項に記載のCAR。