(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074967
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】内視鏡用処置具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/94 20060101AFI20240524BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20240524BHJP
A61B 17/29 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61B17/94
A61B18/14
A61B17/29
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062997
(22)【出願日】2024-04-09
(62)【分割の表示】P 2022576914の分割
【原出願日】2021-01-22
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(72)【発明者】
【氏名】塩田 裕亮
(57)【要約】
【課題】高性能な送水ポンプを使用することなく、薬液や生理食塩水等の液体を処置具の遠位端部からの強い水勢で送水可能な内視鏡用処置具を提供する。
【解決手段】内視鏡用処置具は、シースと、前記シース内を進退自在に延在する管部材と、前記管部材の遠位側に設けられ、流体を送水可能な送水口を有する導電性の処置部と、を備え、前記送水口に連通する流路は、前記送水口よりも近位側において一部が狭くなっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シースと、
前記シース内を進退自在に延在する管部材と、
前記管部材の遠位側に設けられ、流体を送水可能な送水口を有する導電性の処置部と、
を備え、
前記送水口に連通する流路は、前記送水口よりも近位側において一部が狭くなっている、
内視鏡用処置具。
【請求項2】
前記管部材は第一管路を有し、
前記処置部は、前記送水口に連通する第二管路を有し、
前記第一管路と前記第二管路に連通した第三管路を有し、
前記第三管路は、前記送水口よりも近位側に設けられており、
前記第三管路の少なくとも一部は、前記第一管路および前記第二管路よりも狭い、
請求項1に記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
前記第一管路、前記第二管路および前記第三管路は同軸に配置されている、
請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
前記第三管路の少なくとも一部は、前記第一管路と前記第二管路の間に配置されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
前記第三管路の少なくとも一部の内径は、前記第一管路および前記第二管路の内径よりも小さい、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
前記第三管路の遠位端は、前記処置部の近位端よりも遠位側に位置する、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
前記第三管路の遠位端が前記第二管路の遠位端より近位側に位置し、
前記第三管路の遠位端と前記第二管路との間に段部が形成されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
前記段部が前記第二管路の近位端に設けられている、
請求項7に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
前記第三管路が前記管部材の遠位端に形成されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項10】
前記管部材の遠位端が前記第二管路に挿入されている、
請求項9に記載の内視鏡用処置具。
【請求項11】
前記第三管路を有する筒体を備え、
前記筒体の遠位端が前記処置部の前記第二管路内に挿入されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項12】
前記第三管路が前記処置部の前記第二管路の近位側に形成されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項13】
前記第三管路の近位端と、前記第一管路との間に傾斜面が形成されている、
請求項2に記載の内視鏡用処置具。
【請求項14】
前記シースは、遠位端に耐熱性および絶縁性を有する絶縁チップを有し、
前記処置部は、前記絶縁チップ内に挿通され、前記シースに対して進退可能な高周波ナイフである、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【請求項15】
前記第三管路を有する筒体と、
前記筒体と前記高周波ナイフとを接続し、導電性の材料で形成されるコネクタとをさらに備え、
前記コネクタと前記絶縁チップが当接することにより、前記高周波ナイフの前記シースに対する突出位置が位置決めされる、
請求項14に記載の内視鏡用処置具。
【請求項16】
前記管部材と前記高周波ナイフとを接続し、導電性の材料で形成されるコネクタをさらに備え、
前記コネクタと前記絶縁チップとが当接することにより、前記高周波ナイフの前記シースに対する突出位置が位置決めされる、
請求項14に記載の内視鏡用処置具。
【請求項17】
前記高周波ナイフは、
絶縁性を有し、前記送水口が形成されている遠位端部材と、
導電性を有し、前記遠位端部材の近位端部に配置され、外縁部が前記遠位端部材の近位側に露出する通電部と、を有する、
請求項14に記載の内視鏡用処置具。
【請求項18】
前記処置部は、一対の鉗子部材と、前記一対の鉗子部材が遠位側に設けられる軸部材を有し、
前記軸部材に前記第二管路が形成されている、
請求項2または請求項3に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:以下、「ESD」と略称する場合がある)等の内視鏡治療において、高周波ナイフ等、切開や剥離用の内視鏡用処置具が使用されている。内視鏡用処置具は、経内視鏡的に粘膜および粘膜下層などの生体組織を切開、剥離可能であり、かつ、薬液や生理食塩水などを遠位端部の送水孔から送水可能に構成されている。
【0003】
ESD手技において、内視鏡の挿入部に形成されたチャンネルに内視鏡用局注針を挿通する。消化管の管腔内にできた病変部に先端部の針を穿刺した状態で薬液や生理食塩水等を送水することにより初期局注を行い、病変部を膨隆させる。その後、内視鏡用局注針を内視鏡から抜去し、内視鏡用高周波処置具を挿入する。内視鏡用高周波処置具により、病変部周辺を切開し、露出した粘膜下層を剥離して病変部を切除する。この他、手技中、時間の経過とともに粘膜下層に注入した薬液や生理食塩水等が漏れ出る結果、膨隆させた病変部が萎んでいく。そのため、遠位端部の送水口を粘膜下層に押し当てながら適宜送水することにより、追加局注を行う。
【0004】
このような内視鏡用処置具として、例えば特許文献1に記載された内視鏡用処置具が知られている。特許文献1の内視鏡用処置具では、高周波ナイフの近位側に導電性の螺旋管を配置し、螺旋管が電極と送水管路として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国特許出願公開111202485A号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の内視鏡用処置具では、粘膜および粘膜下層の状態(粘膜の厚さ、表面の柔らかさ等)の要因に加えて、粘膜および粘膜下層に対する送水孔の当て方が適切でない場合、あるいは遠位端部の送水孔から送水される生理食塩水や薬液等の水勢が弱い場合に、粘膜および粘膜下層を膨隆させたときの形状やサイズがバラつくことがある。この結果、病変部が意図した膨隆形状やサイズにならない。この場合、局注する度に高周波処置具と局注針を入れ替えて局注を行うため、手技の時間が長くなる。このような課題を解決するため、圧力が高い又は流量の多い送水ポンプ、あるいは高圧かつ高流量の送水ポンプを使用する必要がある。しかし、送水ポンプの大型化、および価格も高額であるという課題があった。
【0007】
特許文献1の内視鏡用処置具では、高周波ナイフの先端に送水孔があり、送水孔の穴が小さい。このため、血液や粘液が送水孔の穴の中に入って付着した状態で通電を繰り返すと付着物が焦げて固着して送水管路が詰まり、薬液や生理食塩水等を前方に送水できなくなる。そのため、送水管路内の詰まりを解除できなかった場合は、新しい高周波処置具への交換が必要であり、手技の時間が長くなる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、高性能な送水ポンプを使用することなく、薬液や生理食塩水等の液体を処置具の遠位端部からの強い水勢で送水可能な内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様に係る内視鏡用処置具は、シースと、前記シース内を進退自在に延在する管部材と、前記管部材の遠位側に設けられ、流体を送水可能な送水口を有する導電性の処置部と、を備え、前記送水口に連通する流路は、前記送水口よりも近位側において一部が狭くなっている。
【0010】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路の遠位端は、前記処置部の近位端よりも遠位側に位置してもよい。
【0011】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路の遠位端が前記第二管路の遠位端より近位側に位置し、前記第三管路の遠位端と前記第二管路との間に段部が形成されていてもよい。
【0012】
上述の内視鏡用処置具では、前記段部が前記第二管路の近位端に設けられていてもよい。
【0013】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路が前記管部材の遠位端に形成されていてもよい。
【0014】
上述の内視鏡用処置具では、前記管部材の遠位端が前記第二管路に挿入されていてもよい。
【0015】
上述の内視鏡用処置具は、前記第三管路を有する筒体を備え、前記筒体の遠位端が前記処置部の前記第二管路内に挿入されていてもよい。
【0016】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路が前記処置部の前記第二管路の近位側に形成されていてもよい。
【0017】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路の近位端と、前記第一管路との間に傾斜面が形成されていてもよい。
【0018】
上述の内視鏡用処置具では、前記シースは、遠位端に耐熱性および絶縁性を有する絶縁チップを有し、前記処置部は、前記絶縁チップ内に挿通され、前記シースに対して進退可能な高周波ナイフであってもよい。
【0019】
上述の内視鏡用処置具では、前記第三管路を有する筒体と、前記筒体と前記高周波ナイフとを接続し、導電性の材料で形成されるコネクタとをさらに備え、前記コネクタと前記絶縁チップが当接することにより、前記高周波ナイフの前記シースに対する突出位置が位置決めされてもよい。
【0020】
上述の内視鏡用処置具では、前記管部材と前記高周波ナイフとを接続し、導電性の材料で形成されるコネクタをさらに備え、前記コネクタと前記絶縁チップとが当接することにより、前記高周波ナイフの前記シースに対する突出位置が位置決めされてもよい。
【0021】
上述の内視鏡用処置具では、前記高周波ナイフは、絶縁性を有し、前記送水口が形成されている遠位端部材と、導電性を有し、前記遠位端部材の近位端部に配置され、外縁部が前記遠位端部材の近位側に露出する通電部と、を有していてもよい。
【0022】
上述の内視鏡用処置具では、前記処置部は、一対の鉗子部材と、前記一対の鉗子部材が遠位側に設けられる軸部材を有し、前記軸部材に前記第二管路が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
上記内視鏡用処置具によれば、高性能な送水ポンプを使用することなく、薬液や生理食塩水等の液体を処置部の遠位端部からの強い水勢で送水できる。
【0024】
本発明は、局注する度に高周波処置具と局注針を入れ替えて局注を行う必要がなく、手技の長時間化を抑制できる。本発明は、圧力が高い送水ポンプや流量の多い送水ポンプを使用する必要がないため、送水ポンプの大型化を抑制し、かつ価格を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る内視鏡用処置具の全体図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係る内視鏡用処置具の部分断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態に係る内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図4】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図5】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図6】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図7】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図8】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る内視鏡用処置具の全体図である。
【
図11】本発明の第二実施形態に係る内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図12】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図13】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図14】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【
図15】変形例の内視鏡用処置具の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第一実施形態)
以下、本発明に係る内視鏡用処置具の第一実施形態を
図1から
図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る内視鏡用処置具1の全体図である。
図2は、内視鏡用処置具1の要部の断面図である。
図2では、遠位端部を近位部より拡大して図示している。内視鏡用処置具1は、図示しない内視鏡のチャンネル内に挿入して使用する。
図1に示すように、内視鏡用処置具1は、遠位端部に処置部2が設けられ、近位端部に操作部4が設けられている。
【0027】
内視鏡用処置具1は、シース10、操作ワイヤ3、高周波ナイフ2(以下、単に「ナイフ」と記載する。)、および操作部4を有する。軟性のシース10の近位端に操作部4が設けられている。操作ワイヤ3の遠位端にナイフ2が設けられ、操作ワイヤ3は、シース10の内部に挿通されている。ナイフ2および操作ワイヤ3は、操作部4の操作に伴いシース10に対して進退可能に設けられている。ナイフ2は、操作部4および操作ワイヤ3を通じて高周波電流による通電を行い、組織等を切開可能に構成されている。内視鏡用処置具1には、操作部4側からナイフ2の遠位端まで送水管路が形成されている。内視鏡用処置具1は、送水管路に液体を供給し、ナイフ2の遠位端部から送水可能に構成されている。
【0028】
操作ワイヤ3は、例えば、ステンレス等の導電性を有する金属材料からなる。操作ワイヤ3には、全長にわたって第一管路31が形成されている。操作ワイヤ3は、例えば、密巻コイルである。操作ワイヤ3は、全長にわたって絶縁性のインナーチューブ6に被覆されている。
【0029】
シース10は、例えばテトラフルオロエチレンなどの電気的な絶縁性を有する材料で形成されている。シース10の外径は、図示しない内視鏡のチャンネル内を挿通可能な大きさに設定されている。シース10内には、操作ワイヤ3が挿通されている。操作ワイヤ3は、シース10の長手軸Cに沿う方向に進退可能である。シース10及び操作ワイヤ3は、内視鏡のチャンネル内に挿通される挿入部を構成する。
【0030】
シース10の遠位開口には、絶縁チップ8が挿入されている。絶縁チップ8は、不図示の接着剤などによりシース10の遠位端部に固定されている。絶縁チップ8は、例えば、セラミックスや樹脂などの耐熱性および絶縁性を有する材料で形成されている。絶縁チップ8には、シース10の内部空間と連通し、且つ、遠位に開口する挿通孔82が形成されている。絶縁チップ8の挿通孔82の遠位側には、挿通孔82の開口が拡径した段部83が形成されている。絶縁チップ8の遠位端面から近位側に窪む凹部84を有する。絶縁チップ8の近位部の外径はシース10の遠位端に挿入可能な大きさを有する。絶縁チップ8の遠位端部は近位部よりも直径が大きい大径部85が形成されている。大径部85の外径は、シース10の外径と略等しい。大径部85の遠位側の外周部は曲面を有する。
【0031】
図2に示すように、操作部4は、シース10の近位部に設けられている。操作部4は、操作本体43と、スライダ44とを備えている。スライダ44は、操作本体43に対して長手軸Cに沿ってスライド可能に設けられている。操作本体43に対して、スライダ44を進退させる操作により、シース10に対してナイフ2を進退させる操作等が行える。
【0032】
操作本体43は、シース10の近位端部に固定されている。操作本体43には、長手軸Cに沿ってスリット431が形成されている。スライダ44は、操作本体43に対してスリット431に沿ってスライド可能である。操作本体43の近位端部には、指掛け用のリング432を備えている。
【0033】
スライダ44には、指掛け用のリング442が設けられている。スライダ44には、電気コネクタ42を備えている。電気コネクタ42は、図示しない高周波電源装置が電気的に接続される。操作ワイヤ3の近位端部は電気コネクタ42に電気的に接続される。
【0034】
図3は、スライダ44の遠位端部の長手軸Cに沿う断面図である。スライダ44は、操作ワイヤ3の挿入孔441が形成されている。挿入孔441に操作ワイヤ3の近位端部が挿入され、操作ワイヤ3の近位端が固定されている。具体的には、挿入孔441内に、操作ワイヤ3を固定するための一対の凸部443が形成されている。凸部443は、挿入孔441の内面から長手軸Cに直交する方向に突出している。凸部443は、略円柱形状の突起である。凸部443は、挿入孔441に挿入された操作ワイヤ3の近位端部の外周面が一対の凸部443に接触する程度に突出している。
【0035】
図3に示すように、スライダ44に送液口金41が設けられている。図示は省略するが、送液口金41は、シリンジ、または送水ポンプから延長された送水チューブなどの送液手段が着脱可能に構成されている。送液口金41は注入口411を有する。スライダ44には、送液口金41と挿入孔441との間に連通する注入路412が形成されている。操作ワイヤ3の近位端部には、液体を注入するための開口33が形成されている。開口33は、操作ワイヤ3の内外に連通する開口である。挿入孔441と開口33とが対向する位置で、操作ワイヤ3が挿入孔441に対して固定されている。この結果、送液口411から操作ワイヤ3の送液管路31まで連通する。各凸部443にはOリング444が装着される。Oリング444は、操作ワイヤ3と凸部443との間を水密に保持する。Oリング444により送液口金41から液体を流す際に、操作ワイヤ3と凸部443との隙間から液体が漏れることを防止する。
【0036】
図2に示すように、操作ワイヤ3の遠位端には、筒体5が固定されている。筒体5は例えば、ステンレス等の導電性を有する筒状部材である。筒体5は長手軸Cに沿って第三管路53が形成されている。第三管路53の開口面積は、操作ワイヤ3の第一管路31の開口面積よりも小さい。筒体5の近位端と、操作ワイヤ3の遠位端とは、溶接部11により固定されている。操作ワイヤ3の遠位端、筒体5の近位端、および溶接部11は、インナーチューブ6の遠位端部により覆われている。この結果、第一管路31と第三管路52との間は水密に接続されている。筒体5の長手軸C方向の中間部における外周面には螺旋溝54が形成されている。
【0037】
ナイフ2は、電極部材である。
図2に示すように、ナイフ2は、筒体5およびコネクタ7を介して操作ワイヤ3の遠位端部に接続されている。ナイフ2は、例えば、ステンレス等の導電性を有する材料で形成されている。ナイフ2は、長手軸Cに沿って延びる管状の部材である。つまり、ナイフ2は、長手軸Cに沿って第二管路22が形成された管状電極である。ナイフ2は大径部24と小径部25とを有する。大径部24はナイフ2の遠位端部に位置する。小径部25は、大径部24の近位端からナイフ2の近位端23までの領域に位置する。ナイフ2の内部に長手軸Cに沿って延びる第二管路22が形成されている。第二管路22は、ナイフ2の近位端から遠位端まで延び、ナイフ2の近位端および遠位端に開口している。ナイフ2の遠位端の開口は、液体が送水される送水口21である。送水口21は大径部24に開口している。大径部24は小径部25より径方向の厚さが厚い。
【0038】
小径部25は、絶縁チップ8の挿通孔82内に挿通されている。小径部25の外径は、絶縁チップ8の挿通孔82における段部83よりも遠位側の凹部84の内径よりも小さい。長手軸Cに直交する方向において、凹部84の開口面積は、大径部24の面積より大きい。ナイフ2は、絶縁チップ8に対して進退可能に挿通されている。ナイフ2の後退時、大径部24は、凹部84内に進入する。
【0039】
筒体5の遠位端部はナイフ2の第二管路22内に挿入されている。筒体5とナイフ2とは、コネクタ7により接続されている。コネクタ7は、例えばステンレス等の導電性を有する金属材料で形成されている。コネクタ7は長手軸Cに沿って貫通する挿通孔72が形成されている。コネクタ7の近位端部の挿通孔72の内周面には、螺旋溝71が形成されている。コネクタ7の挿通孔72の遠位端部721の内周面は、ナイフ2の後述する小径部25が挿入可能な開口寸法を有する。挿通孔72の遠位端部721にナイフ2の近位端部が挿入され、ナイフ2とコネクタ7とが固定されている。
【0040】
コネクタ7の近位側から挿通孔72内に筒体5が挿入されて、互いの螺旋溝54,71で螺合されている。筒体5の遠位端部はコネクタ7の遠位端よりも遠位側に突出している。コネクタ7と筒体5とが螺合された状態では、挿通孔72の遠位端部721内にナイフ2の近位端23が挿入されている。本例ではコネクタ7と筒体5とがネジで固定される例を示したが、コネクタと筒体との接合方法は螺合に限定されない。例えば、コネクタと筒体とが接着剤や溶接によって接合される構成であってもよい。
【0041】
ナイフ2は、コネクタ7、筒体5、溶接部11、および操作ワイヤ3を通じて電気コネクタ42に接続されている。この結果、ナイフ2は、電気コネクタ42に接続された高周波電源装置から、操作ワイヤ3、溶接部11、コネクタ7、および筒体5を通じて通電される。
【0042】
図2に示すように、筒体5の第三管路53の開口面積は、操作ワイヤ3の第一管路31およびナイフ2の第二管路22の開口面積より小さい。したがって、操作ワイヤ3からナイフ2の送水口21までの液体の流路は、第三管路53で一旦狭くなる。この結果、操作ワイヤ3の第一管路31に供給される液体が第三管路53を通過することにより水圧が増す。水圧が増した液体は第二管路22を通過してナイフ2の送水口21から送水される。この結果、第一管路31に供給される液体の水圧が低くても、第二管路22における水勢を上げることができ、送水口21から水勢を強くした状態で送水できる。
【0043】
次に、内視鏡用処置具1の動作について説明する。内視鏡用処置具1は、例えば操作本体31のリング432およびスライダ44のリング442に術者等である使用者が指を入れ、操作本体43に対してスライダ44を長手軸Cに沿う方向に片手でスライドさせて操作する。
【0044】
操作本体43に対してスライダ44を遠位側に移動させる操作により操作ワイヤ3をシース10に対して遠位側に移動させる。これに伴い、ナイフ2が絶縁チップ8よりも遠位側に突出する。このとき、スライダ44を遠位側に押込むと、
図2に示すように、絶縁チップ8の近位端81にコネクタ7の遠位端面74が当接する。この結果、ナイフ2が最大突出位置まで突出される。つまり、コネクタ7が絶縁チップ8に当接することにより、ナイフ2の突出位置が位置決めされる。コネクタ7が絶縁チップ8に当接し、ナイフ2が最も遠位側に突出した状態を突出状態と称する。
【0045】
突出状態では、絶縁チップ8の挿通孔82を通してナイフ2の小径部25の遠位部分をシース10よりも遠位側に突出させることができる。送液口金41の注入口411から生理食塩水等の液体を第一管路31に供給する。液体は、操作ワイヤ3の第一管路31、筒体5の第三管路53、およびナイフ2の第二管路22を通して送水口21から遠位側に送水される。
【0046】
操作本体43に対してスライダ44を近位側に移動させることでシース10に対して操作ワイヤ3を近位側に後退させる。この結果、絶縁チップ8の凹部84に大径部24が当接する。この結果、シース10の内部空間10S内にナイフ2の小径部25が収容され、操作ワイヤ3を近位側に収納した収納状態に位置決めされる。
【0047】
次に、本実施形態に係る内視鏡用処置具1の動作について説明する。
【0048】
内視鏡のチャンネルから内視鏡用処置具1のシース10の遠位部を突出させ、例えば、体腔内における処置対象部位である病変粘膜部分にナイフ2を対向させる。
【0049】
送液口金41の注入口411に、不図示のシリンジまたは送水チューブを取付ける。使用者は、病変部の粘膜の近傍にナイフ2を押し当て、シリンジまたは送水ポンプに収容されている生理食塩水を操作ワイヤ3の第一管路31に供給する。このとき、ナイフ2は突出状態でも収納状態でもよい。送水管路を介して送水口21から遠位側に生理食塩水を送水する。内視鏡用処置具1では、第一管路31に供給された液体が、第三管路53を通過後、第二管路22を経て送水口21から送水される。第三管路52は、第一管路31より送水管路の開口面積が小さい。このため、第一管路31に供給された液体は、第三管路53を通過することにより水勢が強くなる。したがって、送水口21から水勢が強い状態で送水出来るようになる。この結果、病変部の粘膜および粘膜下層に送水口21を押し当てた状態で送水して病変部を隆起させる。
【0050】
次に、操作部4の電気コネクタ42に接続された不図示の高周波電源装置から、電気コネクタ42、操作ワイヤ3、およびコネクタ7を通じてナイフ2に高周波電流による通電を行う。
【0051】
続いて、例えば、ナイフ2を長手軸Cに直交する横方向に動かすと、ナイフ2に接触する粘膜(組織)が切開される。病変粘膜部分を周方向に完全に切開後、病変粘膜部分の周囲を切開した切り口にナイフ2を当接させて、病変粘膜部分を全て切除して剥離させる。
【0052】
粘膜の切開や出血点を凝固させる処置を行うときに、毛細管現象等により粘液や血液などの体液が送水口21からナイフ2の第二管路22内に入る場合がある。この場合、ナイフ2による切開や剥離で第二管路22内に付着した粘液や血液が高温のナイフ2の熱により焦げ付く場合がある。粘液や血液が第二管路22内で焦げ付くことにより第二管路22の送水管路が狭くなるため送水し難くなる。そこで、第三管路53を経て水勢を強くした状態で送水し、第二管路22内に焦げ付いた付着物を除去する。上述の通り、第三管路53で水勢を強くした液体は、第二管路22を経て、送水口21から送水される。この結果、第二管路22内で焦げ付いた付着物は、液体圧力で第二管路22の内周面から剥されて、送水口21から排出される。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る内視鏡用処置具1によれば、第一管路31から送水口21までの間に、第三管路53を有する。第三管路53の開口面積は、第一管路31および第二管路22の開口面積より小さい。この結果、第一管路31に供給された液体が第三管路53を通過することにより、液体の水勢を上げることができ、送水口21から水勢を強くした状態で送水できる。内視鏡用処置具1によれば、第一管路31に液体を供給するシリンジまたは送水ポンプの出力が小さくても、送水口21から水勢を強くした状態で送水できる。
【0054】
本実施形態に係る内視鏡用処置具1によれば、第一管路31および第二管路22より開口面積が小さい第三管路53を操作ワイヤ3の遠位端部から送水口21までの間に設けることにより、高性能な送水ポンプを使用せず、送水口21から水勢が強い状態で生理食塩水や薬液を送水できる。この結果、粘膜および粘膜下層に送水して病変部を膨隆させる局注操作が容易になり、処置具の入れ替えがなくなり、手技の時間が短縮される。
【0055】
内視鏡用処置具1によれば、第三管路53から水勢が強い状態で送水することで第二管路22内に焦げ付いた付着物を容易に除去することができる。したがって、第二管路22が付着物により詰まることを防止できる。
【0056】
第三管路53を設ける態様は上述の例に限定されない。内視鏡用処置具は、例えば、
図4から
図9に示す変形例の態様であってもよい。以下の説明において、第一実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0057】
図4に示す例は、操作ワイヤ3A、コネクタ7Aおよび筒体5Aの構成が第一実施形態と異なる例である。操作ワイヤ3Aは、導電性材料からなる軟性のチューブである。操作ワイヤ3Aがチューブの場合、操作ワイヤ3Aの第一管路31を水密な状態に保持可能であるため、インナーチューブ6は必須の構成ではない。第一実施形態では、コネクタ7より近位側に筒体5の一部が突出して操作ワイヤ3と接続される例を示した。しかし、第三管路53Aは、操作ワイヤ3の遠位端部から送水口21までの間に位置すればよい。例えば、
図4に示すように、ナイフ2Aの第二管路22の近位端部に筒体5Aを内嵌することにより、第一管路31および第二管路22より開口面積が小さい第三管路53Aを配置してもよい。
【0058】
第一実施形態では、筒体5が操作ワイヤ3と固定され、コネクタ7とナイフ2の近位端部とが固定され、かつ、コネクタ7と筒体5とが螺合することにより筒体とナイフ2とが連結される例を示した。コネクタ7による操作ワイヤ3とナイフ2とを接続する態様はこの例に限定されない。例えば、
図4に示すように、操作ワイヤ3Aの遠位端およびナイフ2Aの近位端をコネクタ7Aの挿通孔72に挿通して固定してもよい。この構成例では、操作ワイヤ3Aとナイフ2Aとがコネクタ7Aに当接して通電可能である。この場合、
図4に示すように、第一実施形態のインナーチューブ6を設けなくてもよい。この構成により、第一実施形態と同様に、第三管路53Aで液体の水圧を上げて送水口21から水勢を強くした状態で送水できる。
【0059】
図5に示す例は、操作ワイヤ3B、コネクタ7B、筒体5B、絶縁チップ8Bおよびナイフ2Bの近位端部の構成が第一実施形態と異なる例である。操作ワイヤ3B、コネクタ7B、及び筒体5Bの構成は
図4に示す変形例と同様である。ナイフ2Bの近位端部26は、小径部25よりも直径が大きい。小径部25と近位端部26との間に段部27が形成されている。長手軸Cと直交する方向において、近位端部26の厚さは、小径部25の厚さより厚い。近位端部26の第二管路22には、筒体5Bの収容部が形成されている。近位端部26において第二管路22の開口面積が他の領域よりやや大きく、筒体5Bが内嵌可能に構成されている。
【0060】
絶縁チップ8Bの近位端部には、遠位側に向かって窪む凹部821が形成されている。凹部821は、絶縁チップ8の挿通孔82より開口寸法が大きく、段部822が形成されている。
図5に示す例では、ナイフ2Bが押し出されると、ナイフ2Bの近位端部26の段部27が、絶縁チップ8Bの凹部821の段部822に当接する。この結果、ナイフ2がシース10に対して最も突出する位置が位置決めされる。
図5に示す変形例の処置具は、第一実施形態と同様に、第三管路53Bで水勢を強くした状態で送水口21から液体を送水できる。
【0061】
第一実施形態で示したコネクタ7および筒体5は必須の構成ではない。
図6に示す例のように、ナイフ2Cに第二管路22および第三管路53Cを連続して形成してもよい。ナイフ2Cは、第二管路22の近位端側に第二管路22および操作ワイヤ3の第一管路31より開口面積が小さい第三管路53Cを有する。この場合、ナイフ2の近位端部と操作ワイヤ3の遠位端部とを溶接部11により固定してもよい。
図6に示す変形例の処置具は、第一実施形態と同様に、第三管路53Cで液体の水勢を強くした状態送水口21から液体を送水できる。
【0062】
図7に示す例では、
図6に示す変形例と同様に、第三管路53Dがナイフ2Dに一体に形成されている。第三管路53Dの態様は、
図6に示す変形例と同じである。第三管路53Dの近位端と、ナイフ2Dの近位端との間に傾斜面29が形成されている。傾斜面29は、ナイフ2Dの近位端から第三管路53Dの近位端に向かって縮径するテーパー状の傾斜面である。このような構成により、第一管路31から第三管路53Dに円滑に送液され、圧力損失を低減できる。
図7に示す変形例の処置具は、第一実施形態と同様に、第三管路53Dで液体の水勢を強くした状態で送水口21から液体を送水できる。
【0063】
第一実施形態では、操作ワイヤ3の内部に第一管路31を有する例を示したが、第一管路31が操作ワイヤと別体で設けられていてもよい。第一管路および第三管路はそれぞれ1つの管路に限定されない。
図8および
図9に示す例のように、操作ワイヤ3と独立して複数の送液管9を設けてもよい。
図8及び
図9に示す変形例では、操作ワイヤ3の周囲に3つの送液管9が配置されている。操作ワイヤ3の遠位端はコネクタ7Eと固定されている。ナイフ2Eの近位端はコネクタ7Eに固定されている。この結果、ナイフ2Eは、操作ワイヤ3およびコネクタ7Eを介して通電される。コネクタ7E内には、接続管路73が形成されている。接続管路73は、送液管9の数と同じ数で形成されている。各接続管路73の近位端は各送液管9に接続されている。接続管路73は、コネクタ7Eの近位端において、コネクタ7Eの周方向に離間して3か所開口し、コネクタ7Eの遠位端に向かって傾斜している。3つの接続管路73は、コネクタ7Eの遠位端部で合流している。第三管路53Eは、3つの送液管9の合流部の遠位側に形成されている。第三管路53Eは、コネクタ7Eと切開2Eとの接続部に形成されている。第三管路53Eの開口面積は、接続管路73の合流部の開口面積より小さい。この構成により、第一実施形態と同様に、第三管路53Eで送水管路の径を小さくし、ナイフ2Eの送水口21から水勢を強くした状態で送水できる。
【0064】
(第二実施形態)
図10から
図12を参照して第二実施形態に係る内視鏡用処置具1Fを説明する。内視鏡用処置具は、高周波ナイフに限定されず、送水と通電の機能を備える内視鏡用処置具に適用できる。
図10に示すように、本実施形態に係る内視鏡用処置具1Fは、処置部が鉗子2Fの例である。操作部4、シース10、操作ワイヤ3、およびインナーチューブ6の構成は第一実施形態と同様である。
【0065】
鉗子2Fは、一対の鉗子部材211,212、一対のリンク部材213,214、複数の回動軸216,217,218、軸部材215、カバー228、およびストッパ227を有する。鉗子2Fは、公知のリンク機構を有する。カバー228とストッパ227とは一体に形成されている。ストッパ227に長手軸C方向に貫通する挿通孔229が形成されている。軸部材215の内部に第二管路22Fが形成されている。軸部材215の近位端が操作ワイヤ3の遠位端に固定されている。第二管路22Fの近位端部に筒体5Fが挿入されている。操作ワイヤ3の第一管路31の遠位側に筒体5Fの第三管路53Fが配置され、第三管路53Fの遠位側に第二管路22Fが形成されている。
【0066】
軸部材215の遠位端に近位回動軸218を介して、リンク部材213,214が連結されている。遠位回動軸216は、一対の鉗子部材211,212が挿通されてカバー228に接続されている。遠位回動軸216には、長手軸Cに沿って貫通する貫通孔216Fが形成されている。貫通孔216Fは、軸部材215の内部の第二管路22Fと同等の開口面積であり、第二管路22Fの延長管路として機能する。その為、貫通孔216Fの遠位端が送水口21Fとして機能する。
【0067】
絶縁チップ8Fには、挿通孔82の長手軸C方向の中間部に拡径部823が形成されている。拡径部823にストッパ227が収容される。ストッパ227は、絶縁チップ8Fに対するカバー228の長手軸C方向の移動範囲を規制している。
【0068】
操作ワイヤ3をシース10に対して進退させると、軸部材215がカバー228に対して進退する。一対の鉗子部材211,212が遠位回転軸216によりカバー228に回動可能に連結されている。この結果、
図11に示すように、操作ワイヤ3の前進に伴い、近位回動軸218が遠位回動軸216に近付き、一対の鉗子部材211,212が開く。この状態で、第一実施形態と同様に、液体が送液口金41を通じて供給される。液体は、第一管路31、第三管路53F、第二管路22Fを通り、軸部材215の遠位端から送水される。軸部材215の遠位端から送水された液体は、遠位回動軸216の貫通孔216Fの遠位端に設けられた送水口21Fを通過して開いている一対の鉗子部材211,212の間から遠位側に送水される。操作ワイヤ3を後退させると、近位回動軸218が近位側に移動し、遠位回動軸216から離れ、
図10に示すように、一対の鉗子部材211,212が閉じる。
【0069】
第二実施形態に係る内視鏡用処置具1Fによれば、第一実施形態と同様に、第三管路53Fで液体の水勢を強くした状態で送水口21Fから液体を送水できる。
【0070】
本実施形態の筒体は、上述の構成に限定されない。例えば、
図12および
図13に示す変形例の態様であってもよい。
図12に示す例では、筒体5Fは、軸部材215の遠位端部に設けられている。
図12に示す例では、第三管路53Fが軸部材215の遠位端側に位置する。筒体5Fの遠位端は、軸部材215の遠位端よりも遠位側に突出している。
【0071】
図12に示す変形例によれば、第二実施形態と同様に、第三管路53Fで水勢を強くした状態で、貫通孔216Fの遠位端に設けられた送水口21Fを通過して開いている一対の鉗子部材211,212の間から遠位側に送水される。第三管路53Fを軸部材215の遠位端に設けることにより、デバイスの遠位部で液体の水勢を強くした状態で送水できる。
【0072】
図13に示す変形例は、筒体5Gが
図12に示す変形例の筒体5Fよりも長い例である。
図13に示すように、長尺な筒体5Gを遠位回動軸216近傍まで突出させてもよい。この場合、一対の鉗子部材211,212が開くと、筒体5Gの遠位端が遠位回動軸216よりも遠位側に突出する。この結果、一対の鉗子部材211,212が開いた状態で、より遠位側において水勢を強くした状態で送水させることができる。
図13に示す変形例によれば、第二実施形態と同様に、第三管路53Gで液体の水勢を強くした状態で送水口21Gから送水できる。
【0073】
上記実施形態では、内視鏡用処置具として高周波ナイフ2A~2Eの例を示したが、内視鏡用処置具は上述の例に限定されない。例えば、
図14および
図15に例示する内視鏡用処置具であってもよい。
図14および
図15に示す高周波処置具2Gでは、遠位端部の構成が上述の高周波ナイフ2A~2Eと異なる。高周波処置具2Gの大径部24Gは、遠位端部材244と、通電部241とを有する。遠位端部材244は大径部24Gの遠位端部に配置されている。遠位端部材244は例えばジルコニアやセラミックス等の絶縁性の球状部材で形成されている。通電部241は、遠位端部材244の近位端部に設けられている。通電部241は、例えば、ステンレス等の導電性を有する金属素材で形成され、円環状の近位端部242と、筒状部243とを有する。筒状部243は、近位端部242から遠位側に突出している。筒状部243が遠位端部材244に挿入されて固定されている。筒状部243内に小径部25Gの遠位端部が挿入されて固定されている。通電部241の近位端部242の外周縁(外縁部)245は遠位端部材244の近位端部の外周面に沿って露出している。操作ワイヤ3G、コネクタ7G、及び小径部25Gを通じて通電部241に高周波電流による通電が行われる。通電時、通電部241の近位端部242の外周縁245が組織等に接触して組織等を切開可能に構成されている。筒体5Gは、小径部25Gの近位端部に挿入されている。第一管路31を経た液体は、第三管路53Gで水勢を強くした状態で送水され第二管路22Gを経て送水口21から送水される。
【0074】
上記実施形態では、流体が生理食塩水である例を示したが、流体はこれに限られず、薬液などでもよい。
【0075】
上記内視鏡用処置具1によれば、第三管路53で液体の水勢を強くした状態で、送水口21から液体を送水できる。このため、操作部4の送液口金41に接続される送水手段が低圧又は低流量のシリンジや低性能送水ポンプ等でも、送水口21から水勢を強い状態で液体を送水できる。したがって、高周波ナイフと局注針とを入れ替えて局注を行う操作が不要となり、処置時間の短縮化を実現できる。
【0076】
送水口21から水勢を強くした状態で送水できるため、ナイフ2の第二管路22内に血液や粘膜が入った場合に、通電を繰り返すことによって付着して焦げ付いた物を、流体を送水することで除去できる。この結果、焦げ付いた付着物によって送水管路が詰まることを抑制できる。
【0077】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において各実施形態における構成要素の組み合わせを変えたり、各構成要素に種々の変更を加えたり、削除したりすることが可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
高性能な送水ポンプを使用することなく、薬液や生理食塩水等の液体を処置具の遠位端部からの強い水勢で送水可能な内視鏡用処置具内視鏡用処置具を提供できる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A 内視鏡用処置具
2 高周波ナイフ(処置部)
2F 鉗子(処置部)
3 操作ワイヤ(管部材)
5 筒体
7 コネクタ
10 シース
411 注入口(供給口)
31 第一管路
22 第二管路
53 第三管路
21 送水口