(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074971
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】オーラルケア用経口組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 36/15 20060101AFI20240524BHJP
A61K 36/488 20060101ALI20240524BHJP
A61K 36/39 20060101ALI20240524BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240524BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240524BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240524BHJP
A23G 3/48 20060101ALI20240524BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61K36/15
A61K36/488
A61K36/39
A61P1/02
A61P43/00 121
A23L33/105
A23G3/48
A23L2/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063182
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2022110040の分割
【原出願日】2017-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】上野 栞
(72)【発明者】
【氏名】北村 整一
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】 歯周病に対する優れた予防及び/又は改善効果を奏する経口組成物を提供すること。
【解決手段】 松樹皮抽出物と、コーヒーノキ、菩提樹、葛花、大麦若葉及び甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材とを含有することを特徴とするオーラルケア用経口組成物である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮抽出物と、葛花又は甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材とを含有することを特徴とするオーラルケア用経口組成物。
【請求項2】
松樹皮抽出物を有効成分とするオーラルケア用経口組成物において、さらに、葛花又は甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材を含有することを特徴とするオーラルケア用経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯周病の予防・改善効果を有する経口組成物に関する。
【0002】
歯周病は、細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患であり、歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症が引き起こされ、そのまま放置すると歯を失うおそれのある病気である。また、この歯周病が進行すると、歯周病菌が口腔内の毛細血管を通して全身の臓器に運ばれ、糖尿病、肺炎、動脈硬化、心筋梗塞等の全身疾患を引き起こす可能性があるともいわれている。
【0003】
このような歯周病の予防・改善する経口組成物としては、例えば、松樹皮抽出物を含有する組成物が有効であることが報告されている(特許文献1及び2参照)。
【0004】
この松樹皮抽出物は歯周病の予防・改善効果を有するものの、更なる効果の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2005/089784号
【特許文献2】特表2001-511153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、歯周病に対する優れた予防及び/又は改善効果を奏する経口組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、オーラルケアの研究に取り組み、特に歯周病をより効果的に予防及び/又は改善する食品及び医薬品について鋭意検討した結果、特定の植物素材が松樹皮抽出物の歯周病の予防・改善効果を増強することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りのものである。
[1]松樹皮抽出物と、コーヒーノキ、菩提樹、葛花、大麦若葉及び甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材とを含有することを特徴とするオーラルケア用経口組成物。
[2]松樹皮抽出物を有効成分とするオーラルケア用経口組成物において、さらに、コーヒーノキ、菩提樹、葛花、大麦若葉及び甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材を含有することを特徴とするオーラルケア用経口組成物。
[3]松樹皮抽出物と、コーヒーノキ及び菩提樹から選ばれる少なくとも1つの植物素材とを含有することを特徴とする経口組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の経口組成物は、歯周病に対する優れた予防及び/又は改善効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の組成物(松樹皮抽出物+コーヒーノキ)のPorphyromonas gingivalisに対する増殖抑制効果を示す図である。
【
図2】本発明の組成物(松樹皮抽出物+菩提樹)のPorphyromonas gingivalisに対する増殖抑制効果を示す図である。
【
図3】本発明の組成物(松樹皮抽出物+葛花)のPorphyromonas gingivalisに対する増殖抑制効果を示す図である。
【
図4】本発明の組成物(松樹皮抽出物+大麦若葉)のPorphyromonas gingivalisに対する増殖抑制効果を示す図である。
【
図5】本発明の組成物(松樹皮抽出物+甘藷若葉)のPorphyromonas gingivalisに対する増殖抑制効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の経口組成物は、松樹皮抽出物と、コーヒーノキ、菩提樹、葛花、大麦若葉及び甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材(副素材ということがある)とを含有することを特徴とする。副素材は、1種単独(例えばコーヒーノキのみ)で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。副素材を2種以上組み合わせて用いる場合、松樹皮抽出物の効果を増強する効果の高い副素材同士を組み合わせることが好ましい。
【0012】
松樹皮抽出物と植物素材の組合せが、歯周病の原因菌であるPorphyromonas gingivalisの増殖を効果的に抑制することから、本発明の経口組成物は、歯周病を有効に予防及び/又は改善することができる。また、本発明の経口組成物は、Porphyromonas gingivalisがタンパク質やアミノ酸を代謝した際に生じる悪臭を抑制し、歯周病に特有な口臭を予防及び/又は改善することができる。
【0013】
[松樹皮抽出物]
本発明の経口組成物における松樹皮抽出物は、主な成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン-3-オールおよび/又はフラバン-3,4-ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。
【0014】
松樹皮抽出物の原料としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げることができ、これらの中でも、フランス海岸松が好ましい。得られた抽出物は、必要に応じて濃縮又は乾燥して、液状、ペースト状、又は粉末としてもよい。また、松樹皮抽出物は、市販品を用いることができ、例えば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物(フラバンジェノール(登録商標))を用いることができる。
【0015】
また、本発明の経口組成物における松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2~30の縮重合体(2~30量体)であり、重合度が2~10の縮重合体(2~10量体)が好ましく、重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)がさらに好ましい。本明細書では、重合度が2~4の重合体を、OPC(oligomeric proanthocyanidin)という。本発明の経口組成物における松樹皮抽出物は、OPCを20質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0016】
松樹皮抽出物は、松の樹皮を水又は有機溶媒で抽出して得られる。水を用いる場合には温水・熱水が好ましく用いられる。抽出に用いる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール等の食品あるいは薬剤の製造に許容される有機溶媒が好ましく用いられる。これらの水、有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上の溶媒を組み合わせて用いてもよい。特に、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒が好ましく用いられる。
【0017】
[植物素材(副素材)]
本発明における植物素材(副素材)は、植物素材そのものの他、その粉砕物、搾汁、抽出物等の加工処理物を用いることができる。粉砕物としては、粉末、顆粒等が挙げられる。絞汁や抽出物は、液状であってもよいが、ペースト状や乾燥粉末として用いることもできる。抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水、エタノール、含水エタノール等の水溶性溶媒を用いることができる。
以下、各植物素材について説明する。
【0018】
(コーヒーノキ)
本発明で使用する「コーヒーノキ」とは、アカネ科(Rubiaceae)、コーヒーノキ属(Coffea)の植物であり、例えば、アラビアコーヒーノキ(Coffee arabica)、ロブスタコーヒーノキ(Coffee canephora Pierr.)、Coffee robusta、リベリアコーヒーノキ(Coffee liberica)等を用いることができる。本発明の植物素材として用いる部位としては、種子(コーヒー豆)が好ましく、焙煎したものを用いてもよいが、焙煎していない生の種子を用いることがより好ましい。
【0019】
(菩提樹)
菩提樹は、シナノキ科(Tiliaceae)の植物であり、本発明に用いられる菩提樹としては、ナツボダイジュ(Tilia platyphyllos Scop.)、フユボダイジュ(Tilia cordata Mill.)、セイヨウシナノキ(Tilia europaea L.)などのシナノキ科、シナノキ属(Tilia)の植物が挙げられる。本発明の植物素材として用いる部位としては、花が好ましい。
【0020】
(葛花)
葛花としては、マメ科クズ属に属する植物の花が用いられる。葛は、マメ科クズ属のつる性の多年草植物である。葛花としては、蕾から全開した花までのいずれの過程で採取したものを用いてもよく、各過程で採取したものを混合して用いることもできる。葛の種類としては、特に制限はないが、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)、プエラリア・ロバータ(Pueraria lobata)、プエラリア・スンバーギアナ(Pueraria thunbergiana)等を例示することができ、プエラリア・トムソニイ(Pueraria thomsonii)が好ましい。
【0021】
(大麦若葉)
大麦(Hordeum vulgare L.)は、中央アジア原産とされ、イネ科に属する一年生又は越年生草本であり、穂形により、二条大麦や六条大麦などに大別される。本発明の植物素材として用いる大麦若葉は、通常入手可能なものであれば特に限定されず、二条大麦や六条大麦などのいずれの大麦若葉を用いてもよい。また、いずれの品種の大麦若葉を用いてもよい。大麦若葉は、大麦の若葉が含まれていればよく、茎等の他の部位が含まれていてもよい。
【0022】
(甘藷若葉)
甘藷は、ヒルガオ科(Convolvulaceae)に属する植物であり、一般にサツマイモと呼ばれるものである。甘藷の品種は、特に限定されず、例えば、すいおう、ジョイホワイト、コガネセンガン、シロユタカ、サツマスターチ、アヤムラサキなどの品種が挙げられる。
なかでも、ポリフェノール含有量が高いすいおうが好ましい。本発明の植物素材として用いる甘藷若葉は、甘藷の若葉が含まれていればよく、茎等の他の部位が含まれていてもよい。特に、茎葉の先端部分(若茎葉)が好ましく、黄味がかった緑色を保持している状態の若茎葉がさらに好ましい。
【0023】
[本発明の経口組成物]
本発明の経口組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、一般的な食品、食品添加剤、飼料等として用いることができる。
【0024】
本発明の経口組成物は、オーラルケア、特に歯周病の予防及び/又は改善に用いることができる。かかるオーラルケア用経口組成物や歯周病予防及び/又は改善用経口組成物は、松樹脂抽出物及び植物素材を含有し、オーラルケアや、歯周病の予防及び/又は改善に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができる物であれば特に制限されるものではない。例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物のいずれかにオーラルケアに効果がある旨や歯周病の予防及び/又は改善効果がある旨を表示したものが本発明の権利範囲に含まれる。
【0025】
なお、本発明のオーラルケア用経口組成物や歯周病予防及び/又は改善用経口組成物は、製品の包装等に、本発明における組合せの成分(松樹皮抽出物+副素材)が、オーラルケアや歯周病予防及び/又は改善の有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、松樹皮抽出物のみを有効成分として表示したものであってもよい。すなわち、本発明のオーラルケア用経口組成物又は歯周病予防及び/又は改善用経口組成物の一形態としては、松樹皮抽出物を有効成分とし、さらに、コーヒーノキ、菩提樹、葛花、大麦若葉及び甘藷若葉から選ばれる少なくとも1つの植物素材を含有する形態を挙げることができる。
【0026】
具体的に、本発明のオーラルケア用経口組成物や歯周病予防及び/又は改善用経口組成物としては、医薬品(医薬部外品を含む)やいわゆる健康食品が挙げられる。いわゆる食品においては、例えば、「歯茎の健康を保つ」「歯茎からの出血を抑える」「歯周ポケットを浅くする」等の歯周病の予防及び/又は改善作用を有する旨を表示したものを例示することができる。
【0027】
本発明の経口組成物の形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル状、スティック状等を挙げることができる。
【0028】
本発明の経口組成物は、摂取し易い錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状の形態が好ましく、特に口腔内に一定期間滞在する飲料、チュアブル錠、飴、チューインガム等が好ましい。具体的には、口腔内で溶解させるタイプのサプリメントや、ペットボトル、缶、瓶等に充填された容器詰飲料や、水(湯)、牛乳、果汁、青汁等に溶解して飲むためのインスタント飲料や、飴、チューインガム等を例示することができる。これらは食後などに手軽に飲用しやすく、また嗜好性を高めることができるという点で好ましい。
【0029】
本発明の経口組成物における松樹皮抽出物及び植物素材(本発明の成分)の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0030】
一般的には、本発明の経口組成物が医薬品やサプリメントの場合には、本発明の成分が乾燥質量換算で全体の0.1~100質量%含まれていることが好ましく、1~85質量%含まれていることがより好ましく、5~70質量%含まれていることがさらに好ましい。
【0031】
本発明の効果をより有効に発揮させるためには、本発明の成分が乾燥質量換算で本発明の経口組成物全体の80%以上含まれていることが好ましく、90%以上含まれていることがより好ましく、95%以上含まれていることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
【0032】
本発明の経口組成物における松樹皮抽出物と、植物素材との配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.001~1:1000の範囲であることが好ましく、1:0.01~1:500の範囲であることがより好ましく、1:0.1~1:200の範囲であることがさらに好ましい。
【0033】
本発明の経口組成物の摂取量としては特に制限はないが、本発明の効果をより顕著に発揮させる観点から、成人の1日当たり、松樹皮抽出物摂取量が、0.5mg/日以上となるように摂取することが好ましく、1mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、1.5mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、500mg/日であり、好ましくは400mg/日である。本発明の経口組成物は、オーラルケアを必要とする方であれば特に限定されないが、8割程度が歯周病にかかっているといわれる30~40代の成人や、歯茎の弱った高齢者が摂取することが好ましい。
【0034】
本発明の経口組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0035】
本発明の経口組成物は、必要に応じて、経口用として許容される本発明の成分以外の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。本発明の成分以外の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B12、B13、B15、B17、ビオチン、コリン、葉酸、イノシトール、PABA、ビタミンC、ビタミンP)、油溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)等のビタミン類;カルシウム、マグネシウム、リン、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【実施例0036】
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
【0037】
[実施例1]
(試験方法)
Porphyromonas gingivalis(以下、P.gingivalis)を、アネロパック・ケンキ(三菱化学株式会社製)および角型ジャー(三菱化学株式会社製)を用いて嫌気環境にし、高圧蒸気滅菌した変法GAMブイヨン(日水製薬株式会社製)で37℃で培養した。
P.gingivalisをダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(ナカライテスク株式会社製)で希釈し、濁度が0.5McFarlamdとなるように調製した。濁度の指標には、マクファーランドスタンダード(シスメックス・ビオメリュー株式会社製)を用いた。
【0038】
変法GAM寒天培地(日水製薬株式会社製)を高圧蒸気滅菌後、滅菌シャーレに注ぎ、プレート培地を作製した。プレート培地に、上記0.5McFarlandに調製したP.gingivalisを一様に塗布した。
【0039】
PBSまたはDMSOを用いて被験物質(松樹皮抽出物及び/又は副素材)を所定の濃度となるように調製した。かかる被験物質を、抗生物質検定用6mm濾紙(GEヘルスケア製)に15μL滴下し、上記P.gingivalisを塗布したシャーレに貼り付けた。
【0040】
アネロパック・ケンキ、角型ジャーおよび恒温培養機を用いて37℃、嫌気環境で2~3日培養した。
【0041】
シャーレ内に形成された各被験物質の阻止円の直径を測定し、抗生物質検定用濾紙の直径(6mm)を除算した。各プレートにポジティブコントロールとして設けたイソジンの阻止円の直径から6mmを除算した値で各被験物質の増殖抑制作用を補正した(被験物質阻止円の直径-6mm(mm)/イソジン阻止円の直径-6mm(mm))。各被験物質による増殖抑制作用を、松樹皮抽出物単体(50mg/mL)に対する割合で算出し、各被験物質のP.gingivalisに対する増殖抑制作用を評価した。
【0042】
なお、被験物質としては、以下に示す市販品又は調製品を用いた。
[松樹皮抽出物]
フランス海岸松樹皮抽出物である松樹皮抽出物(東洋新薬社;フラバンジェノール(登録商標))を用いた。
【0043】
[副素材]
コーヒーノキ(Coffee robusta)は、市販されているコーヒーの種子(生コーヒー豆)のエキス末を用いた。
菩提樹(Tilia cordata Mill.)は、市販されている花のエキス末を用いた。
葛花(Pueraria thomsonii)は、熱水抽出した花のエキス末(東洋新薬社)を用いた。
大麦若葉は、粉砕末(東洋新薬社)を含水エタノールで抽出したエキス末を用いた。
甘藷若葉は、粉砕末(東洋新薬社)を含水エタノールで抽出したエキス末を用いた。
【0044】
各被験物質のP.gingivalisに対する増殖抑制作用の評価結果を
図1~5に示す。図中のFVGは、松樹皮抽出物(フラバンジェノール(登録商標))を意味する。
【0045】
図1~5に示すように、松樹皮抽出物と特定の植物素材を組み合わせることにより、P.gingivalisの増殖が効果的に抑制されることがわかる。特に、コーヒーノキ、菩提樹、大麦若葉及び甘藷若葉は単独では効果が弱い若しくはないにもかかわらず、松樹皮抽出物と組み合わせることで、P.gingivalisに対する増殖抑制作用が効果的に高まった。葛花はそのものにも増殖抑制作用が見られたが、松樹皮抽出物と組み合わせることでより効果が高まった。よって、本発明の経口組成物は、P.gingivalisの増殖を効果的に抑制することで、歯周病を予防及び/又は改善し、また、歯周病に特有な口臭を予防及び/又は改善する、優れたオーラルケア用経口組成物であることがわかる。
【0046】
[実施例2](錠剤の製造)
松樹皮抽出物 12mg
菩提樹エキス末(花由来) 200mg
ショ糖脂肪酸エステル 350mg
セラック 10mg
香料 2mg
還元麦芽糖 残部
からなる混合物を打錠し、300mgの錠剤4粒を製造した。
【0047】
[実施例3](チュアブルタブレットの製造)
松樹皮抽出物 1.5mg
コーヒーノキエキス末(生コーヒー豆由来) 150mg
ヒドロキシプロピルセルロース 250mg
ショ糖脂肪酸エステル 50mg
アスパルテーム 30mg
香料 3mg
還元麦芽糖 残部
からなる混合物を打錠し、500mgのチュアブルタブレット2粒を製造した。
【0048】
[実施例4](顆粒剤の製造)
松樹皮抽出物 50mg
大麦若葉末 2000mg
フラクトオリゴ糖 200mg
還元麦芽糖 残部
からなる混合物を混合後に造粒し、3gの顆粒剤を製造した。
【0049】
[実施例5](粉末剤の製造)
松樹皮抽出物 100mg
甘藷若葉末 1500mg
茶抽出物 50mg
デキストリン 残部
からなる混合物を混合し、3gの粉末剤を製造した。
【0050】
[実施例6](キャンディの製造)
松樹皮抽出物 30mg
コーヒーノキエキス末(生コーヒー豆由来) 50mg
菩提樹エキス末(花由来) 20mg
甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、
アセスルファムK、ステビア) 30mg
香料 10mg
還元麦芽糖水飴 残部
からなる3gのキャンディ1粒を常法に従って製造した。
【0051】
[実施例7](容器詰め飲料の製造)
松樹皮抽出物 200mg
葛花エキス 35mg
紅茶葉エキス末 500mg
アスコルビン酸ナトリウム 50mg
水 残部
からなる350mlの容器詰め飲料を常法に従って製造した。