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特開2024-74975プルワイヤを有する操向可能なカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074975
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】プルワイヤを有する操向可能なカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20240524BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61M25/00 540
A61M25/092 500
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063266
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2021212701の分割
【原出願日】2015-12-02
(31)【優先権主張番号】14/949,707
(32)【優先日】2015-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/088,449
(32)【優先日】2014-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トライ・ディー・トラン
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・チョウ
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・シー・カヤブヤブ
(57)【要約】
【課題】カテーテルデバイスの操向性能および捻じり性能を強化する。
【解決手段】1つの代表的な実施形態において、操向可能なカテーテルデバイスは、近位部分、遠位部分、ならびに近位部分および遠位部分を少なくとも部分的に通って延在するプルワイヤ管腔を備えるシャフトを備える。プルワイヤは、プルワイヤ管腔を通って延在し、近位端部分および遠位端部分を有し、プルワイヤの遠位端部分は、シャフトの遠位端部分に固定される。調整機構は、プルワイヤの近位端部分に動作可能に接続され、シャフトの遠位部分の湾曲を調整するために、プルワイヤの張力を増減させるように構成される。軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブは、プルワイヤ管腔を通り、プルワイヤ上で同軸上に延在する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操向可能なカテーテルデバイスであって、
近位部分、遠位部分、ならびに前記近位部分および前記遠位部分を少なくとも部分的に通って延在するプルワイヤ管腔を備えるシャフトと、
前記プルワイヤ管腔を通って延在し、近位端部分および遠位端部分を有するプルワイヤであって、プルワイヤの前記遠位端部分は、前記シャフトの前記遠位部分に固定される、プルワイヤと、
前記プルワイヤの前記近位端部分に動作可能に接続され、前記シャフトの前記遠位部分の湾曲を調整するために、前記プルワイヤの張力を増減させるように構成される調整機構と、
前記プルワイヤ管腔を通り、前記プルワイヤ上で同軸上に延在する、軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブと
を備える、カテーテルデバイス。
【請求項2】
前記プルワイヤスリーブは、閉鎖式ピッチコイルを備える、請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項3】
前記プルワイヤスリーブは、前記プルワイヤ管腔内で自由浮遊性である、請求項1または2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項4】
前記プルワイヤスリーブは、前記シャフトの外側で、前記シャフトと並んで延在する近位端部分を備え、前記プルワイヤは、前記プルワイヤスリーブの前記近位端部分を通過して近位に延在する、請求項1から3のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項5】
ハンドルと、前記ハンドルの遠位の場所で前記シャフトに対して固定された停止部材とをさらに備え、前記プルワイヤスリーブは、前記停止部材に固定された近位末端を有し、前記プルワイヤは、前記停止部材を通り、前記ハンドル内に近位に延在する、請求項4に記載のカテーテルデバイス。
【請求項6】
前記シャフトの外側に延在する前記プルワイヤスリーブの前記近位端部分は、前記プルワイヤスリーブが最初に前記シャフトの外側に延在する第1の場所から、前記プルワイヤスリーブの近位末端の第2の場所まで測定される前記シャフトのセクションより長い、請求項4に記載のカテーテルデバイス。
【請求項7】
前記プルワイヤスリーブは、前記プルワイヤ管腔の内側で前記シャフトに対して固定される遠位末端、および、前記シャフトに対して固定される近位末端を備え、前記プルワイヤスリーブは、前記遠位末端と前記近位末端との間で前記プルワイヤ管腔に付着していない、請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項8】
前記プルワイヤは、前記プルワイヤスリーブを通過して、前記プルワイヤスリーブによって占有されない前記プルワイヤ管腔の遠位セクション内に遠位に延在する、請求項1または7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項9】
前記シャフトは、第1のシャフトを備え、前記カテーテルデバイスは、第2のシャフト、および、前記第2のシャフトの遠位部分の湾曲を調整するように構成される別の調整機構をさらに備え、前記第1のシャフトは、前記第2のシャフトを通って同軸上に、前記第2のシャフトを通過して遠位に延在し、それにより、前記第1のシャフトの前記遠位部分の前記湾曲が、前記第2のシャフトに対して調整され得る、請求項1から8のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項10】
1つのプルワイヤだけから成る、請求項1から9のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項11】
シャフト、前記シャフトを通って延在するプルワイヤ、および軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブを有するカテーテルデバイスを設けるステップであって、前記プルワイヤは、前記プルワイヤスリーブを少なくとも部分的に通って延在し、前記プルワイヤおよび前記プルワイヤスリーブは、前記シャフトの中心軸から半径方向にオフセットされ、前記シャフトは、近位部分および遠位部分を備える、ステップと、
前記カテーテルデバイスを患者の身体内に挿入するステップと、
前記シャフトの前記遠位部分の湾曲を調整するために、前記プルワイヤに張力を印加するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記カテーテルデバイスを前記身体内に挿入した後に、前記シャフトの前記遠位部分を回転させるために前記シャフトを捻じるステップと、前記シャフトの前記遠位部分の前記湾曲を調整するステップとをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロテーゼ弁を、半径方向に圧縮した状態で前記カテーテルデバイス上に取付けるステップと、前記カテーテルデバイスを前記身体内に挿入するとき、前記プロテーゼ弁を前記患者の前記身体内に挿入するステップと、前記プロテーゼ弁を前記身体内に配備するステップとをさらに含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記シャフトの前記遠位部分の前記湾曲を調整するために、前記プルワイヤに張力を印加するステップは、前記プルワイヤスリーブを前記シャフトに対して軸方向に移動させる、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記プルワイヤスリーブは、前記シャフトの外側で、前記シャフトと並んで延在する近位端部分を備え、前記プルワイヤは、前記プルワイヤスリーブの前記近位端部分を通過して近位に延在する、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
操向可能なカテーテルデバイスであって、
近位部分および遠位部分を有するシャフトと、
それぞれの近位部分およびそれぞれの遠位部分を有する第1のプルワイヤおよび第2のプルワイヤであって、前記第1および第2のプルワイヤの前記近位部分は、互いに非常に接近して前記シャフトの前記近位部分を通って延在し、前記第1および第2のプルワイヤの前記遠位部分は、1次屈曲セクションを画定する第1の距離にわたって互いに非常に接近して前記シャフトの前記遠位部分を通って延在し、第2の距離にわたって互いから離れて分岐し、その後、2次屈曲セクションを画定する第3の距離にわたって角度を付けて離間した場所で互いに平行に延在する、第1のプルワイヤおよび第2のプルワイヤと
を備え、
前記第1のプルワイヤおよび/または前記第2のプルワイヤに印加される張力は、前記遠位部分を前記シャフトの中心軸から離れて屈曲させるのに効果的であり、屈曲方向は、前記プルワイヤにおける相対的張力によって決定される、カテーテルデバイス。
【請求項17】
前記シャフトは、前記シャフトの前記近位部分を通って延在する主プルワイヤ管腔と、前記主プルワイヤ管腔から延在する第1の遠位プルワイヤ管腔および第2の遠位プルワイヤ管腔とを備え、前記遠位プルワイヤ管腔は、互いから離れて分岐し、その後、前記シャフトの遠位端に向かって、角度を付けて離間した場所で互いに平行に延在し、前記第1のプルワイヤは、前記主プルワイヤ管腔および前記第1の遠位プルワイヤ管腔を通って延在し、前
記第2のプルワイヤは、前記主プルワイヤ管腔および前記第2の遠位プルワイヤ管腔を通って延在する、請求項16に記載のカテーテルデバイス。
【請求項18】
前記第1および第2のプルワイヤの前記遠位部分は、180°未満の角度で互いから角度を付けて離間する、請求項16または17に記載のカテーテルデバイス。
【請求項19】
前記第1および第2のプルワイヤの前記遠位部分は、約120°の角度で互いから角度を付けて離間する、請求項16から18のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項20】
前記シャフトの前記遠位部分の屈曲の範囲は、前記第1のプルワイヤと前記第2のプルワイヤとの間の角度間隔に等しい、請求項16から19のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項21】
前記第1および第2のプルワイヤは、前記第2のプルワイヤにかけられる張力に比べて増加された張力が前記第1のプルワイヤにかけられると、前記1次屈曲セクションの湾曲が、第1の平面において調整され、前記2次屈曲セクションの湾曲が、前記第1の平面から離れて延在するように調整されるように構成される、請求項16から20のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、操向可能な血管内送出デバイスの実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内送出デバイスは、種々の手術において使用されて、プロテーゼ医療デバイスまたは機器を、手術によって容易にアクセス可能でない身体の内部の場所に、または手術なしでのアクセスが望ましい場所に送出する。身体の内部のターゲット場所に対するアクセスは、少数の例を挙げると、血管、食道、気管、消化管の任意の部分、リンパ管を含むが、これらに限定されない、身体内の通路または管腔を通して、送出デバイスを挿入し、誘導することによって達成され得る。1つの特定の例において、プロテーゼ心臓弁は、送出デバイスの遠位端上に圧着状態で取付けられ、プロテーゼ弁が心臓内の埋め込み部位に達するまで、患者の血管構造を通して(例えば、大腿動脈および大動脈を通して)進められ得る。プロテーゼ弁は、その後、プロテーゼ弁がその上に取付けられているバルーンを膨張させることによって、または、プロテーゼ弁がその機能サイズまで自己拡張することができるように送出デバイスのシースからプロテーゼ弁を配備すること等によって、その機能サイズまで拡張される。
【0003】
送出デバイスの有用性は、小さな血管を通り、また、大動脈弓の周り等の血管構造内のきつい屈曲部の周りで成功裡にナビゲートするデバイスの能力によって著しく限定される。種々の技法が、送出デバイスのセクションの湾曲を調整して、血管構造内の屈曲部を通って弁を「操向させる(steer)」のに役立てるために用いられてきた。通常、送出デバイスは、操向可能セクションにしっかり留められた遠位端と、身体の外側で送出デバイスのハンドル上に位置付けられる調整ノブに動作可能に接続される近位端とを有するプルワイヤを用いる。プルワイヤは、通常、プルワイヤ管腔内に配設され、このプルワイヤ管腔は、送出デバイス、例えば、シースまたはカテーテルの壁内で、またはこの壁に隣接して、長手方向に延在する。調整ノブを調整すること、例えば、ノブを回転させることは、プルワイヤに引張り力を印加し、これが、ひいては、操向可能セクションを屈曲させる。
【0004】
この設計の欠点は、例えば、操向可能セクションが、解剖学的通路の湾曲に一致するように偏向されながら、送出デバイスが、湾曲した解剖学的通路、例えば血管内に配設され
ている間に、送出デバイスの遠位端部分の回転位置を調整するために、デバイスが、その中心長手方向軸に対して捻じられ、または回転されるときに、「ウィッピング(whipping)」として知られている現象に見舞われることである。偏向された構成において、プルワイヤおよびプルワイヤ管腔は、送出デバイスの湾曲セクションの内部に沿って低エネルギー構成を採用する。送出デバイスの偏向部分は、長手方向軸の周りの回転に抵抗する。その理由は、こうした回転が、プルワイヤを曲線の内部から離れて移動させることになるからである。多くの場合、この抵抗は、実際問題として回転を不可能にする。「ウィッピング」は、ユーザが成功裡に送出デバイスを回転させるときに起こる。すなわち、ハンドルが回転されるにつれて、湾曲セクションは、最初は抵抗し、その後、ユーザがハンドルを回転し続けるにつれて、最初の低エネルギー構成から最終的な(等価な)低エネルギー構成まで、突然、完全に360°回転する。幾つかの従来技術のデバイスは、複数のプルワイヤまたは張力印加部材を利用して、デバイスの中心軸に対して2つ以上の屈曲平面内で操向可能セクションの位置決めを行う。しかし、これらのデバイスは、複雑であり、また単一プルワイヤデバイスのように、回転すると「ウィッピング」に見舞われる。したがって、捻じり性能および操向性能が改善された送出デバイスの必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0030519号
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0281619号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0065011号
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0005131号
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0036484号
【特許文献6】米国特許出願公開第2012/0123529号
【特許文献7】米国特許出願公開第2010/0049313号
【特許文献8】米国特許出願公開第2012/0239142号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書には、被検者の身体内の場所に、医療デバイス、ツール、作用物質、または他の治療を送出するために使用され得る操向可能なカテーテルデバイスおよび関連方法が開示される。幾つかの実装形態において、操向可能なカテーテルデバイスが使用されて、血管構造を通して、被検者の心臓等に医療デバイスを送出し得る。これらのデバイスは、シャフトを所与の方向に湾曲させるように、および/または、シャフトを真っ直ぐにさせるように構成される1つまたは複数の偏心的に位置決めされたプルワイヤを備えてもよい。開示されるデバイスは、プルワイヤの少なくとも一部分にわたって同軸上に延在する、可撓性があり軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブをさらに備え得、プルワイヤスリーブは、プルワイヤ管腔内で自由浮遊性がある。プルワイヤスリーブは、輪郭付けされた構成にある間にまたプルワイヤの引張り力の下でシャフトを捻じることによって生じる不平衡を減少させ、または除去するのに効果的であり、それにより、カテーテルデバイスの操向性能および捻じり性能を強化する。
【0007】
1つの代表的な実施形態において、操向可能なカテーテルデバイスは、近位部分、遠位部分、ならびに近位部分および遠位部分を少なくとも部分的に通って延在するプルワイヤ管腔を備えるシャフトを備える。プルワイヤは、プルワイヤ管腔を通って延在し、近位端部分および遠位端部分を有し、プルワイヤの遠位端部分は、シャフトの遠位部分に固定される。調整機構は、プルワイヤの近位端部分に動作可能に接続され、シャフトの遠位部分の湾曲を調整するために、プルワイヤの張力を増減させるように構成される。軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブは、プルワイヤ管腔を通り、プルワイヤ上で同軸上に延在する。
【0008】
別の代表的な実施形態において、方法は、シャフト、シャフトを通って延在するプルワイヤ、および軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブを有するカテーテルデバイスを設けることを含む。プルワイヤは、プルワイヤスリーブを少なくとも部分的に通って延在し、プルワイヤおよびプルワイヤスリーブは、シャフトの中心軸から半径方向にオフセットされ、シャフトは、近位部分および遠位部分を備える。本方法は、カテーテルデバイスを患者の身体内に挿入することと、シャフトの遠位部分の湾曲を調整するために、プルワイヤに張力を印加することとをさらに含む。
【0009】
別の代表的な実施形態において、操向可能なカテーテルデバイスは、近位部分および遠位部分を有するシャフトと、第1のプルワイヤおよび第2のプルワイヤとを備える。第1および第2のプルワイヤは、それぞれの近位部分およびそれぞれの遠位部分を有する。第1および第2のプルワイヤの近位部分は、互いに非常に接近してシャフトの近位部分を通って延在する。第1および第2のプルワイヤの遠位部分は、1次屈曲セクションを画定する第1の距離にわたって互いに非常に接近してシャフトの遠位部分を通って延在し、第2の距離にわたって互いから離れて分岐し、その後、2次屈曲セクションを画定する第3の距離にわたって角度を付けて離間した場所で互いに平行に延在する。第1のプルワイヤおよび/または第2のプルワイヤに印加される張力は、遠位部分をシャフトの中心軸から離れて屈曲させるのに効果的であり、屈曲方向は、プルワイヤにおける相対的張力によって決定される。
【0010】
本発明の前述の目的、特徴、および利点、ならびに他の目的、特徴、および利点は、添付の図面を参照して進められる、以下の詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるカテーテルデバイスの側面図である。
図1A図1のカテーテルデバイスの一部分の拡大図であり、停止部材に対するプルワイヤスリーブの接続を示す。
図2A】湾曲した外側シャフトを持ち、内側シャフトの操向可能な遠位先端部分が、アセンブリの湾曲した外側シャフトと同じ平面(x-y平面)内で内側に巻いている状態にある、図1のカテーテルデバイスの側面図である。
図2B】アセンブリの内側シャフトの遠位先端部分が、外側シャフトの平面に対して直角の(図示されるようにページ内に入る)方向に延在する状態にある、図2Aのカテーテルデバイスの側面図である。
図2C】アセンブリの内側シャフトの遠位先端部分が、外側シャフトと反対方向に、ただし、外側シャフトと同じ平面(x-y平面)内で屈曲する状態にある、図2Aのカテーテルデバイスの側面図である。
図2D】アセンブリの内側シャフトの遠位先端部分が、外側シャフトの平面に対して直角の(図示されるようにページから出る)方向に延在する状態にある、図2Aのカテーテルデバイスの側面図である。
図3図1のカテーテルデバイスの長手方向断面図である。
図4図3のライン4-4に沿った、図1のカテーテルデバイスの断面図である。
図5図3のライン5-5に沿った、図1のカテーテルデバイスの別の断面図である。
図6】中心近位管腔および2つの遠位管腔を通って延在する2つのプルワイヤを有する、別の実施形態による、カテーテルデバイスの遠位端部分の概略側面図である。
図7図6のライン7-7に沿った、図6のカテーテルデバイスの断面図である。
図8図6のカテーテルデバイスの斜視図であり、遠位先端部分の屈曲(α)の範囲内の種々の角度で屈曲する遠位先端部分の能力を示す。
図9】別の実施形態による、2つのプルワイヤを備えるカテーテルデバイスの概略側面図である。
図10図9のライン10-10に沿った、図9のカテーテルデバイスの断面図である。
図11】別の実施形態による、2つのプルワイヤを備えるカテーテルデバイスの平坦図である。
図12】別の実施形態による、3つのプルワイヤを備えるカテーテルデバイスの平坦図である。
図13図12のライン13-13に沿った、図12のカテーテルデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書には、被検者の身体内の場所に、医療デバイス、ツール、作用物質、または他の治療を送出するために使用され得る、操向可能なカテーテルデバイスおよび関連方法が開示される。操向可能なカテーテルが有用である手術の例は、任意の身体のダクトまたはキャビティ内のアクセスを含む、神経科、泌尿器科、婦人科、不妊治療(例えば、体外受精、人工授精)、腹腔鏡検査、関節鏡検査、経食道的、経膣的、経膀胱的、経直腸的手術を含む。特定の例は、ステント、グラフト、塞栓コイル等を含むインプラントを留置すること;超音波変換器を含むその撮像デバイスおよび/またはコンポーネントを位置決めすること;および、例えば結石破砕を実施するためのエネルギー源、RF源、超音波エミッタ、電磁源、レーザ源、熱源等を位置決めすることを含む。幾つかの実施形態において、操向可能なカテーテルデバイスは、その遠位端部分にまたは遠位端部分の近くに1つまたは複数のバルーンを備える操向可能なバルーンカテーテルである。幾つかの実装形態において、操向可能なカテーテルデバイスが使用されて、血管構造を通して、被検者の心臓等に医療デバイスを送出し得る。これらのデバイスは、シャフトを所与の方向に湾曲させる、または、真っ直ぐにさせるように構成される1つまたは複数の偏心的に位置決めされたプルワイヤを備えてもよい。開示されるデバイスは、プルワイヤの少なくとも一部分にわたって同軸上に延在し、プルワイヤ管腔内で自由浮遊性がある、可撓性があり軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブをさらに備え得る。プルワイヤスリーブは、輪郭付けされた構成にある間にまたプルワイヤの引張り力の下でシャフトを捻じることによって生じる不平衡を効果的に減少させまたはなくし、それにより、カテーテルデバイスの操向性能および捻じり性能を強化する。
【0013】
例示的な実施形態
図1を参照すると、カテーテルデバイス10は、一実施形態によれば、ハンドル部分12およびハンドル部分12から遠位に延在するシャフト14を備える。シャフト14は、近位部分18および遠位部分20を備える。シャフト14の遠位部分20の湾曲は、プルワイヤ22によって制御され得る。図3に最もよく見られるように、プルワイヤ22は、シャフト14の側壁内に形成される周辺プルワイヤ管腔34を通って延在し、ハンドル12上に取付けられた回転可能ノブの形態の調整機構26に動作可能に接続された近位端部分42を有する。調整機構26は、以下でさらに述べるように、シャフト14の遠位部分20の湾曲を調整するため、プルワイヤの張力を増減させるように構成される。シャフトの遠位部分20は、近位部分18より相対的に可撓性がある材料から構築され得る、またはそうでなければ、以下でさらに述べるように、遠位部分の湾曲が、プルワイヤによって遠位部分に張力を印加することによって調整されるときに、近位部分の湾曲が実質的に不変のままであるように近位部分18より相対的に可撓性があるように構築され得る。シャフト、ハンドル、および調整機構の構造のさらなる詳細は、米国特許出願公開第2013/0030519号、第2009/0281619号、第2008/0065011号、および第2007/0005131号において記載される。
【0014】
カテーテルデバイス10は、プルワイヤ22の長さの少なくとも一部分にわたって同軸上に延在する、可撓性があり軸方向に非圧縮性であるプルワイヤスリーブ28をさらに備え得る。示す実施形態において、プルワイヤスリーブ28は、望ましくはコイルの隣接する巻回部の間に間隔がない閉鎖式ピッチコイルであるヘリカルコイルを備えて、コイルの軸方向圧縮を回避する。コイルは、任意の適した生体適合性金属(例えば、ステンレス鋼、ニチノール等)、ポリマー、またはその組合せで作られ得る。代替の実施形態において、プルワイヤスリーブ28は、十分に可撓性があるが、実質的に軸方向に非圧縮性である他の構成を有し得る。例えば、プルワイヤスリーブは、細長いスロット付きチューブ(例えば、金属チューブ)を備え得、細長いスロット付きチューブは、チューブの長さに沿って(レーザカット等によって)形成された、軸方向に離間した円周方向に延在する複数のスロットを有する。別の例において、プルワイヤスリーブ28は、網組式ステンレス鋼層で補強されたポ
リイミドチューブ等の網組式金属層で補強されたポリマーチューブを備え得る。この例において、内側ポリマー層は網組式層の内側表面に留められ得る、および/または、外側ポリマー層は網組式層の外側表面に留められ得る。
【0015】
図1および図3を参照すると、コイル28は、シャフトの大部分の長さにわたってプルワイヤ管腔34を通して延在し、ハンドル12に近接して、コイルは、シャフトの近位部分18の開口50を通りシャフト14から出て延在し、ハンドルに隣接してシャフト上に取付けられた停止部材24で終端する。シャフト14から出て延在するコイル28の長さは、図1においてL1として示される。コイル28の近位端は、機械的に、圧入によって、ネジによって、延伸加工によって、圧着によって、型締めによって、溶接によって、または適した接着剤を使用して等で、停止部材24に固定され得る。図1Aに示すように、コイル28の近位端は、先に論じたように、コイルが適所に留められ得る停止部材24内のボア58に入るように延在し得る。種々の他の実施形態において、コイル28は、ハンドル部分12等においてより近位に(停止部材24の近位に)、または、より遠位に(停止部材24の遠位に)端を発し得る。
【0016】
図3に示すように、プルワイヤ22の遠位端部分40は、シャフトの遠位末端36に近接してシャフト14に対して固定され得る。例えば、プルワイヤ22の遠位端部分40は、プルワイヤ管腔34の遠位開口にあるまたはそれに隣接するシャフトに埋め込まれるまたはその他の方法で留められるリング38に固定され得る。図1および図1Aに示すように、プルワイヤ22の近位端部分42は、停止部材24を通りハンドル12に入るように延在し、近位端部分42は、調整ノブ26に動作可能に接続される。例えば、プルワイヤの近位端部分42は、ノブ26の回転によってプルワイヤに対する張力を印加し解除するように構成されるハンドルの内部の摺動可能ナット(図示せず)に留められ得る。
【0017】
張力がプルワイヤ22に印加されると、プルワイヤ22に近接するシャフトの遠位部分20の側壁エリアは、反対側の側壁エリアが張力印加される/真っ直ぐにされる間に圧縮され、それにより、(遠位部分20の中心軸に対して)プルワイヤ22の方向への遠位部分20の屈曲をもたらす(図1に示し、図3に仮想線で示す)。ハンドル12上に位置付けられる調整ノブ26は、プルワイヤ22に張力を印加するため一方向に回転され、プルワイヤ22にかかる張力を解除するため反対方向に回転され得る。幾つかの実施形態において、ノブ26は、張力を印加するため、時計回りに回転され、一方、他の実施形態において、反時計回りの回転が、張力を印加する。いずれの場合も、プルワイヤの張力が減少または解除されると、シャフトの遠位部分20の弾性は、遠位部分を、その非屈曲構成に戻す。(プルワイヤ力がない)その非屈曲構成において、遠位部分20は、実質的に真っ直ぐであり得る(図3に示すように)、または、湾曲し得る。
【0018】
代替の実施形態において、遠位部分20は、その非屈曲構成にあるときに湾曲され得、プルワイヤによる張力の印加は、遠位部分20を真っ直ぐにさせ、一方、張力の解除は、遠位部分が、その事前湾曲式の非屈曲構成に戻ることを可能にする。こうした実施形態において、プルワイヤ22は、シャフトの中心軸からシャフトの外側凸状湾曲部分に向かってオフセットするプルワイヤ管腔を通って延在し、それにより、プルワイヤは、シャフトの内側凹状湾曲部分に引張り力を、また、シャフトの外側凸状湾曲部分に圧縮力を印加する。他の実施形態において、プルワイヤ管腔は、事前湾曲式カテーテルの内側および外側以外の場所で長手方向に延在する。
【0019】
図3図5に示すように、シャフト14は、シャフトの長さに沿って延在する中心管腔32を備え得る。その直径がプルワイヤ管腔34の直径より著しく大きくあり得る中心管腔32が使用されて、医療デバイス、ツール、薬剤、または他の物質の1つまたは複数を輸送し得る。幾つかの実施形態において、中心管腔32が使用されて、プロテーゼ心臓弁を輸送する。低摩擦のおよび/または可撓性があるライナ30は、プルワイヤ管腔34の内側表面を覆い得
、また、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、超高分子重量ポリエチレン(UHMWPE)、または別の適した材料を含み得る。ライナ30は、プルワイヤ管腔34内へのコイル28の挿入に対処するのに十分に可撓性があるおよび/または伸張性があり得る。
【0020】
図3に示すように、示す実施形態において、コイル28は、プルワイヤ22上で同軸上にプルワイヤ管腔34を通して延在し、シャフトの操向可能な遠位部分20の手前で終端する。コイルの遠位端部分44は、適した接着剤によって等、任意の適した方法によって内側ライナ30に固定され得る。
【0021】
先に述べたように、ハンドル12に近接するコイル28およびプルワイヤ22の一部分は、シャフトの外側に延在する。図示される実施形態において、この部分は、ハンドル12から遠位に示されるが、他の実施形態では、シャフトの外側のコイルおよびプルワイヤのこの部分は、ハンドルによって囲まれる。コイルおよびプルワイヤを含まないシャフト14のセクションは、シャフト14の「バイパス式セグメント(bypassed segment)」48と呼ばれ得る(図1)。このバイパス式セグメント48は、コイル28が開口50においてシャフト14から外方に延在する第1の場所からコイル28の近位端における(示す実施形態において、停止部材24の遠位面における)第2の場所まで延在する長さL2を有し得る。種々の実施形態において、L2は、シャフト14の長さと比較して比較的小さいことがあり得る。種々の実施形態において、シャフトの全体的な長さは、約91cm~約152cmであり得、バイパス式セグメント48の長さL2は、約5cm~約10cmの範囲にある。幾つかの場合に、L2とシャフト14の全体的な長さとの比は、約1/20未満、約1/15未満、または約1/10未満である。図1に見られるように、シャフトの外側に延在するコイル28の長さL1はシャフトのバイパス式セグメント48の長さL2より大きく、その重要性は以下で説明される。張力がプルワイヤ22に印加されず、シャフト14がその非屈曲または弛緩構成にあるとき、シャフト14の外側に延在するコイル28の部分の長さL1は、長さL2より少なくとも約5~10mm大きくあり得る。
【0022】
先に述べたように、コイル28の遠位端部分44は、シャフト14に対して固定され得(図3)、近位端部分46は、(図1および図1Aに示す実施形態において停止部材24によって)シャフト14に対して固定され得、一方、シャフトの外側に延在するコイル28のセクションは、コイル内に或る量のスラックを導入する。近位端部分46と遠位端部分44との間で、コイル28は、望ましくは、プルワイヤ管腔34、シャフト、または送出デバイスの任意の他の部分の内側表面に付着されないまたは留められない。これは、コイルが、プルワイヤ管腔34に対して「自由浮遊する(free float)」または自由摺動することを可能にし、シャフト14が、蛇行経路を通って進むおよび/または蛇行経路内を回転するにつれて、例えば、プルワイヤに対する張力を変更することなく、曲線の内側から曲線の外側まで回転するとき、コイルがプルワイヤ管腔とコイルとの間の相対的移動に対処することを可能にする。こうして、プルワイヤ22の引張り力は、シャフト14の遠位部分20に伝達され得、一方、コイル28は、シャフトの近位部分18に沿ってプルワイヤ22の引張り力を受けて、シャフト14の近位部分18に対する非同心的引張り力の印加を防止または最小にする。有利には、これは、捻じり力がシャフトに印加されるときの、いわゆるシャフトの「ウィッピング」現象を防止し、シャフトの遠位端が、3次元空間内で360°を通る任意の位置まで中心長手方向軸に対して回転することを可能にする。
【0023】
カテーテルデバイス10の別の重要な利点は、カテーテルデバイス10が、身体管腔内の3次元空間内の任意の位置に操向可能な遠位部分を配向するよう単一プルワイヤに要求するだけであることであり、一方、多くの従来技術のデバイスは、複数のプルワイヤまたは張力印加部材を利用して、2つ以上の屈曲平面において遠位部分の位置決めを行う。認識され得るように、単一プルワイヤだけを利用することは、製造ならびにカテーテルデバイスの使用を大幅に簡略化する。
【0024】
図2A図2Dは、図1に示すカテーテルデバイス10の使用を示す。図2A図2Dにおいて、カテーテルデバイス10は、この実施形態では内側シャフトであるシャフト14上に延在する外側シャフト52を含む。外側シャフト52は、プリセット湾曲を有し得、プリセット湾曲は、示す例では、x-y平面内で湾曲する。代替的に、外側シャフト52は、操向可能な遠位端部分を有し得、その湾曲は、知られている技法(例えば、米国特許出願公開第2013/0030519号、第2009/0281619号、第2008/0065011号、および第2007/0005131号のうちのいずれかにおいて開示されているようなプルワイヤおよび調整ノブ)を使用して調整され得る。外側シャフト52が操向可能である場合、ハンドル12は、さらなる調整ノブを含んで、シャフト52の湾曲を制御し得る、または、別個のハンドルおよびそれぞれの調整ノブが設けられ得る。
【0025】
内側シャフト14の湾曲は、外側シャフト52の湾曲と独立に制御され得る。さらに、内側シャフト14は、外側シャフト52に対して360°を通して(矢印54、56で示す方向に)自由に回転し得、一方、内側シャフトおよび外側シャフトは共に、図面に示すように、それらの湾曲または偏向構成にある。図2Aにおいて、例えば、内側シャフト14の遠位端部分20は、湾曲し、外側シャフト52と共にx-y平面内に存在し、内側シャフト14が外側シャフト52に対して回転していないまたは捻じれていない(0°平面内屈曲と呼ばれる)ことを示す。図2Bにおいて、内側シャフト14は、図2Aに示す位置から90°回転しているまたは捻じれているため、外側シャフト52から延在する遠位端部分20のセクションはy-z平面内に存在し、一方、外側シャフトはx-y平面内に存在する(90°平面外屈曲と呼ばれる)。図2Cにおいて、内側シャフト14は、図2Aに示す位置から180°回転しているまたは捻じれているため、外側シャフト52から延在する遠位端部分20のセクションは外側シャフト52と共にx-y平面内に存在する(180°平面内屈曲と呼ばれる)。図2Dにおいて、内側シャフト14は、図2Aに示す位置から270°回転しているまたは捻じれているため、外側シャフト52から延在する遠位端部分20のセクションはy-z平面内に存在し、一方、外側シャフトはx-y平面内に存在する(270°平面外屈曲と呼ばれる)。認識され得るように、内側シャフト14の遠位端部分20は、ハンドル12と内側シャフト14の遠位端部分20との間の1:1対応を持った状態で、360°を通る任意の回転位置まで外側シャフト52の中心軸に対して回転し得る。プルワイヤスリーブ28を用いることによって、内側シャフト14は、患者の解剖学的構造内の任意の位置まで回転し得、また、望ましくないウィッピングなしでその位置で維持され得る。対照的に、同軸操向可能なカテーテル配置構成内で内側カテーテルとしてカテーテルデバイス10の代わりに通常の操向可能なカテーテルを使用することは、「2重バナナ(double banana)」構成をもたらし、内側カテーテルが、ウィッピングなしで外側カテーテルに対して回転することを防止する。
【0026】
カテーテルデバイス10が外側シャフト52を含む必要がないことが留意されるべきである。外側シャフトが使用されない場合、図2A図2Dの外側シャフト52は、身体血管(例えば、動脈)を表し得、身体血管は、内側シャフト14に、この血管の湾曲通路の形状を全体的にとらせる。送出デバイス10は、上述したのと同じ方法で動作し得、それにより、内側シャフト14は、360°を通して任意の回転位置までその中心長手方向軸に対して回転されまたは捻じられ、その位置で維持され得る。
【0027】
カテーテルデバイス10が使用されて、患者の身体の内部のターゲット場所に対するアクセスが所望される、任意の診断、治療、または介入手術を実施し得る。例えば、カテーテルデバイス10は、少数の例示的な使用を挙げると、例えば、身体内にプロテーゼデバイスを送出し配備するため、身体内のターゲット場所にツールを送出するため、および/または、薬物または他の作用物質を送出または導入するために使用され得る。特定の実施形態において、カテーテルデバイス10は、プロテーゼ心臓弁を、心臓の生来の弁(大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、または三尖弁)のうちの1つの弁に送出するように構成される送出デバイスであり得る。
【0028】
1つの特定の例において、送出デバイスは、塑性的に拡張可能なプロテーゼ心臓弁を拡張または配備するように構成される膨張可能バルーンを含み得る。膨張可能バルーンは、内側シャフト14の遠位端部分上に取付けられ得る、または代替的に、送出デバイスは、米国特許出願公開第2013/0030519号、第2009/0281619号、第2008/0065011号、および第2007/0005131号において、さらに開示されているように、操向可能シャフト14を通して延在する別個のシャフト上に取付けられたバルーンを含み得る。例示的な塑性的に拡張可能なプロテーゼ心臓弁は、米国特許出願公開第2010/0036484号および第2012/0123529号において開示されている。
【0029】
別の例において、送出デバイスが使用されて、自己拡張可能プロテーゼ心臓弁(例えば、ニチノール等の形状記憶材料から形成されるフレームを有するプロテーゼ弁)を送出し配備し得る。自己拡張可能プロテーゼ弁を送出するため、プロテーゼ弁は、半径方向に圧縮された状態で、送出シースまたはスリーブ内に装填され、ターゲット場所においてシースの遠位開口端から進められて、プロテーゼ弁がその機能サイズまで拡張することを可能にし得る。送出シースは、操向可能シャフト14の遠位端部分または操向可能シャフト14を通って延在する別のシャフトの遠位端部分であり得る。自己拡張可能プロテーゼ弁および自己拡張可能プロテーゼ弁用の送出デバイスに関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2010/0049313号および第2012/0239142号において開示されている。
【0030】
送出デバイスは、任意の知られている送出技法を使用して患者の血管構造を通して導入され進められ得る。経大腿手術において、送出デバイスは、大腿動脈および大動脈を通して挿入されて、心臓にアクセスし得る(通常、しかし、大動脈弁置換の場合、排他的に使用されない)。送出デバイスは、プロテーゼ弁を生来の大動脈弁まで送出するのに特に有用である。その理由は、心臓に達するために送出デバイスが追従しなければならない蛇行通路があっても、送出デバイスの捻じり性能が、ターゲット部位におけるプロテーゼ弁の正確な位置決めを可能にするからである。経心室手術において、送出デバイスは、下前心室壁上のむき出しのスポット上に作られた外科的切開を通して挿入され得る(通常、しかし、大動脈弁または僧帽弁置換の場合、排他的に使用されない)。経心房手術において、送出デバイスは、左心房または右心房の壁内に作られた外科的切開を通して挿入され得る。経大動脈手術において、送出デバイスは、上行大動脈内に作られた外科的切開を通して挿入され、心臓に向かって進められ得る(通常、しかし、大動脈弁置換の場合、排他的に使用されない)。経中隔手術において、送出デバイスは、大腿静脈等を介して右心房まで、また、右心室と左心室を分離する中隔を通って進められ得る(大動脈弁または僧帽弁置換のために使用される)。
【0031】
図6および図7は、別の実施形態によるカテーテルデバイス100を示す。示す実施形態におけるカテーテルデバイス100は、第1のプルワイヤ104、第2のプルワイヤ106、および近位部分115(図8)および操向可能な遠位部分116を有するシャフト102を備える。遠位部分116は、図1のカテーテルデバイス10に関連して先に述べたように、近位部分115より相対的に可撓性があり得る。近位部分115は、プルワイヤ104、106の張力を増減させるための1つまたは複数の調整機構を有し得るハンドル(図示せず)に結合され得る。特定の実施形態において、カテーテルデバイス100は、それぞれが、それぞれのプルワイヤ104、106に接続される2つの調整機構を有する。
【0032】
主本体110は、近位部分115を通りかつ遠位部分116の近位セクション118を通るシャフトの中心軸Xに平行に延在する主プルワイヤ管腔108をさらに備え得る。主プルワイヤ管腔108は、その後、第1の遠位プルワイヤ管腔112および第2の遠位プルワイヤ管腔114に分割し得、両者は、互いから離れて分岐し、その後、シャフトの遠位部分116の遠位セクション120を通して角度を付けて離間した場所において互いに全体的に平行に延在する。そのため、プ
ルワイヤ104、106は、主プルワイヤ管腔108を通ってシャフトの近位部分115および遠位部分116の近位セクション118にわたって延在し得る。第1および第2のプルワイヤ104、106は、その後、分かれて、遠位部分116の遠位セクション120にわたって第1の遠位プルワイヤ管腔112および第2の遠位プルワイヤ管腔114に入るようにそれぞれ延在する。
【0033】
図7は、シャフト102の側壁によって画定される弧に沿う2つの遠位プルワイヤ管腔112、114(したがって、プルワイヤ104、106)の角度的位置決めを示す。示す実施形態において、2つの遠位プルワイヤ管腔112、114は、シャフト102の側壁内に配設される。他の実施形態において、遠位プルワイヤ管腔112、114は、例えば、側壁の内部に隣接するまたは側壁の外部に隣接する異なる場所を有する。第1のプルワイヤ管腔112は、シャフト102の中心軸Xから第1の管腔112まで半径方向に延在する第1の軸B1に沿って位置決めされ得る。第2のプルワイヤ管腔114は、シャフト102の中心軸Xから第2の管腔114まで半径方向に延在する第2の軸B2に沿って位置決めされ得る。図示するように、遠位管腔112、114は、シャフトの側壁によって画定される弧に沿って軸B1とB2との間の角度αだけ互いから角度を付けて離間する。角度αは、0°より大きくかつ180°未満の任意の角度であり得る。示す実施形態において、角度αは約120°である。この2重ワイヤ構成は、シャフト102が、1次屈曲セクション(操向可能な遠位部分116の近位セクション118に対応する)および2次屈曲セクション(操向可能な遠位部分116の遠位セクション120に対応する)を有することを可能にする。幾つかの実施形態において、1次屈曲セクション118の硬度は、2つのセクションの間の所望の相対的可撓性に応じて、2次屈曲セクション120の硬度とほぼ同じである、それより高い、または、それより低い。1次屈曲セクションは、主シャフトより低い硬度を有し、主シャフトは、実質的に操向可能でない示す実施形態における1次屈曲セクションに近接するシャフト102の部分である。幾つかの実施形態において、主シャフトは、2次屈曲セクションより高い硬度を有し、2次屈曲セクションは、次に、1次屈曲セクションより高い硬度を有する。
【0034】
代替の実施形態において、プルワイヤ104、106は、共通の主プルワイヤ管腔108を通して延在する必要はなく、代わりに、平行でありかつ近位部分115および遠位部分の近位セクション118の長さに沿って互いに非常に接近するまたは互いの間に間隔が全くない、別個の長手方向に延在するプルワイヤ管腔を通って延在し、その後、互いから分岐し、2つのプルワイヤ管腔の間に間隔αを持って、遠位セクション120に沿って延在する。
【0035】
一方または両方のプルワイヤ104、106が張力下にあるとき、1次屈曲セクション118は、それぞれの屈曲平面P内で曲がり、または湾曲する(図7)。プルワイヤが共通のプルワイヤ管腔を通って延在する(または、互いに非常に接近した別個の管腔を通って延在する)ため、一方または両方のプルワイヤに張力印加することは、1次屈曲セクション118の湾曲を、そのそれぞれの屈曲平面P内で調整するのに効果的である。プルワイヤに差のある張力を印加することによって、2次屈曲セクション120は、1次屈曲セクション118に対して種々の異なる方向に屈曲させられ得る。例えば、同じ量の張力を各プルワイヤ104、106に印加することは、2次屈曲セクション120を、1次屈曲セクションと同じ平面P内で湾曲させる。第2のプルワイヤ106に対して第1のプルワイヤ104の張力を増加させることは、2次屈曲セクション120を、1次屈曲セクション118の平面Pから離れた第1の方向に湾曲または屈曲させる(図8において実線で示す)。同様に、第1のプルワイヤ104に対する第2のプルワイヤ106の張力の増加は、2次屈曲セクション120を、1次屈曲セクション118の平面Pから離れた、第1の方向と反対の第2の方向に湾曲または屈曲させる(図8において仮想線で示す)。
【0036】
示す実施形態において、2次屈曲セクション120は、幾つかの実施形態において球座標系の角度成分に対応する、屈曲の第1の範囲および屈曲の第2の範囲によって画定される球の表面の一部分によって近似される地点に、カテーテルデバイス100の遠位先端がアクセスすることを可能にする。第1の範囲は、角度幅またはアジマス幅α(図7)(半径方向軸B1
よびB2によって境界付けされる)を有する。第2の範囲は、そのX軸においてまたはその近くで最小値(約0°)および2次屈曲セクション120の硬度および長さに依存する最大値(最大限に曲げられた状態)を有する極角度を有する。したがって、プルワイヤ104に張力印加することは、任意選択で、プルワイヤ106に部分的に張力印加しない間、2次屈曲セクション120を、全体的に軸B1に沿って半径方向に外方に曲げる。同様に、プルワイヤ106は、軸B2に沿って2次屈曲セクション120を屈曲させるように動作可能である。プルワイヤ104、106の間の相対的張力を調整することによって、カテーテルデバイス100の遠位先端は、この空間内の任意の中間場所またはポイントまで操向され得る。
【0037】
そのため、2次屈曲セクション120は、角度α内の任意の半径方向屈曲平面内で屈曲させられ得る。そのため、管腔112、114およびプルワイヤ104、106の角度的位置決めは、2次屈曲セクション120について屈曲のアジマスのまたは第1の範囲αを規定する。示す実施形態において、屈曲のこの方向は、1次屈曲平面に対して約-60°と約+60°との間の任意の平面内にあり得、0°方向は1次屈曲平面Pである。したがって、この場合、屈曲の第1の範囲αは約120°である。他の実施形態において、角度αおよび屈曲の対応する第1の範囲は、約140°(約-70°~約+70°)、約130°(約-65°~約+65°)、約110°(約-55°~約+55°)、約100°(約-50°~約+50°)、約90°(約-45°~約+45°)、約80°(約-40°~約+40°)、約70°(約-35°~約+35°)、または約60°(約-30°~約+30°)等で変動し得る。
【0038】
他の実施形態において、2次屈曲セクション120の屈曲の第1の範囲は、1次屈曲平面Pに対して対称である必要はない。例えば、第1の遠位管腔112内の第1のプルワイヤ104の部分は、第1の角度θ1だけ主プルワイヤ管腔108(および主屈曲平面P)から角度を付けて離間し得、第2の遠位管腔114内の第2のプルワイヤ106の部分は、第2の角度θ2だけ主プルワイヤ管腔108(および主屈曲平面P)から角度を付けて離間し得、θ1およびθ2は、互いに等しくない。こうして、2次屈曲セクション120の屈曲の第1の範囲は、主屈曲平面Pを包含するが、主屈曲平面Pの他の側に比べて一方の側でさらに延在するように調整され得る。
【0039】
図9図10、および図11は、別の実施形態によるカテーテルデバイス200を示す。カテーテルデバイス200は、カテーテルデバイス100と類似しており、2次屈曲セクションの屈曲の第1の範囲が主屈曲セクションを包含しないことを除いて、カテーテルデバイス100に関連して上述した特徴の全てを有し得る。図9は側面図であり、図10は横断面図であり、図11は、カテーテル壁が主プルワイヤ管腔に対向するラインに沿って開口した状態の平坦図である。図9および図11を参照すると、カテーテルデバイス200は、近位部分204および遠位部分206を有するシャフト202を備える。第1および第2のプルワイヤ208、210はそれぞれ、シャフトの近位部分および遠位部分を通して延在する。近位部分204は、ハンドル(図示せず)に結合され得、ハンドルは、独立にまたは一緒にプルワイヤの張力を増減させるための1つまたは複数の調整機構を有し得る。
【0040】
シャフト202は、近位部分204を通りまた遠位部分206の近位セクション220を通るシャフトの中心軸Xに平行に延在する主プルワイヤ管腔212をさらに備え得る。シャフトの幾つかの実施形態は、カテーテルデバイス100について先に論じたように単一主プルワイヤ管腔ではなく、別個のプルワイヤ管腔を含む。主プルワイヤ管腔212は、その後、第1の遠位プルワイヤ管腔214および第2の遠位プルワイヤ管腔216に分割し得、両者は、互いから離れて分岐し、その後、シャフトの遠位部分206の遠位セクション222を通して角度を付けて離間した場所において互いに平行に延在する。そのため、プルワイヤ208、210は、主プルワイヤ管腔212を通ってシャフトの近位部分204および遠位部分206の近位セクション220にわたって延在し得る。第1および第2のプルワイヤ208、210は、その後、分かれて、遠位部分206の遠位セクション222にわたって第1の遠位プルワイヤ管腔214および第2の遠位プルワイヤ管腔216に入るようにそれぞれ延在する。図6図7の実施形態に類似して、近位セクション220は1次屈曲セクションを画定し、遠位セクション222は2次屈曲セクションを画定する
。1次屈曲セクション220は主屈曲平面P内で曲がり、または屈曲する。
【0041】
図6図7の実施形態と違って、図9および図11において最もよく分かるように、主プルワイヤ管腔212の遠位端において、遠位プルワイヤ管腔214、216は、最初に、第1の距離D1にわたって異なる角度またはピッチで主プルワイヤ管腔212から離れて円周方向にまた長手方向に延在する。遠位プルワイヤ管腔214、216は、その後、距離D2にわたって互いに平行に延在する。遠位プルワイヤ管腔214、216の湾曲のせいで、遠位セクション222を通って延在するプルワイヤ208、210の部分は、1次屈曲平面Pの一方の側に角度的にオフセットする。第1のプルワイヤ208は第1の角度α1だけ1次屈曲平面Pから角度的にオフセットし、第2のプルワイヤ210は第2の角度α2だけ1次屈曲平面Pから角度的にオフセットする。そのため、2次屈曲セクション222の屈曲の第1の範囲は、1次屈曲平面Pに対してα1とα2との間にある。1つの特定の例において、2次屈曲セクション222の屈曲の第1の範囲は1次屈曲平面Pに対して+30°と+150°との間にある。しかし、角度α1、α2が、異なる実施形態において変動し得、α1およびα2が0°と180°との間の任意の角度であり、α2がα1より大きいことが理解されるべきである。
【0042】
使用時、プルワイヤ208、210の一方または両方に張力印加することは、1次屈曲平面内で1次屈曲セクション220の湾曲を効果的に調整する。異なる量の張力をプルワイヤに印加することによって、2次屈曲セクション222は、α1とα2との間の、1次屈曲平面に対する任意の角度で延在するそれぞれの2次屈曲平面内で屈曲させられ得る。
【0043】
図12は、カテーテルデバイス300の別の実施形態の平坦図であり、図13は、横断面図であり、カテーテルデバイス300は、カテーテルデバイス100および200と類似し、その結果、カテーテルデバイス100および/または200の特徴の任意の組合せを含み得る。カテーテルデバイス100および200と類似して、カテーテルデバイス300は、シャフト302、近位部分304、ならびに1次屈曲セクションおよび2次屈曲セクションを含む遠位部分306を備える。主プルワイヤ管腔312は、シャフトの中心軸Xに平行に、シャフト302の壁および遠位部分306の近位セクション320を通って延在する。第1の遠位プルワイヤ管腔314a、第2のプルワイヤ管腔314b、および第3のプルワイヤ管腔314cは、カテーテルデバイスの遠位部分306の遠位セクション322を下に長手方向に延在する前に、主プルワイヤ管腔から分岐する。
【0044】
図13に示すように、第1のプルワイヤ314aは角度α1だけ1次屈曲平面Pからオフセットし、第2のプルワイヤ314bは角度α2だけオフセットし、第3のプルワイヤ314cは角度α3だけオフセットし、α321でありかつα3<360°である。示す実施形態において、第1、第2、および第3の遠位プルワイヤ管腔は、遠位セクションの円周の周りに、ほぼ等間隔に、例えば約120°離れて配置され、α1は約30°であり、α2は約150°であり、α3は約270°である。他の実施形態は、例えば、2次屈曲部分の総合アクセス可能範囲の特定の部分に対する制御がユーザにとって大きな関心である場合、遠位プルワイヤおよび管腔について他の相対的間隔および/またはオフセットを含む。
【0045】
第1、第2、および第3のプルワイヤ管腔314a、314b、および314cは、主プルワイヤ管腔から遠位に延在し、距離D1にわたって互いから円周方向に分岐し、その後、距離D2にわたって全体的に互いに平行に遠位に継続する。示す実施形態において、第1の遠位プルワイヤ管腔314aは、或る角度で主プルワイヤ管腔から延在するが、他の実施形態において、第1のプルワイヤ管腔は、主プルワイヤ管腔から実質的に真っ直ぐに延在する。
【0046】
カテーテルデバイスは、同様に、第1のプルワイヤ308a、第2のプルワイヤ308b、および第3のプルワイヤ308cを含む。プルワイヤ308a、308b、および308cは、主プルワイヤ管腔312内におよびそれらのそれぞれの遠位プルワイヤ管腔314a、314b、314c内に配設される。各プルワイヤの遠位端は、各プルワイヤの遠位端324にあるまたはその近くのカテーテル
デバイスの壁に留められる、例えば、遠位端324にあるまたはその近くのリングで終端する。他の実施形態において、プルワイヤの遠位端は、例えば、遠位端324が操向可能でない実施形態において、遠位端324より近位の場所の壁に留められる。遠位部分の近位セクション320は1次屈曲セクションを画定し、遠位セクション322は2次屈曲セクションを画定し、2次屈曲セクションは、示す実施形態において、遠位プルワイヤ管腔を収容するシャフト304の部分(part)と全体的に同一の広がりを持つ。
【0047】
したがって、カテーテルデバイス300の示す実施形態は、カテーテルデバイス200の示す実施形態に類似し、第1および第2のプルワイヤ308a、308bは第1および第2のプルワイヤ208、210にそれぞれ対応し、第1および第2の遠位プルワイヤ管腔314a、314bは第1および第2のプルワイヤ管腔214、216にそれぞれ対応する。カテーテルデバイス300は、同様に、第3のプルワイヤ308cおよびそれぞれの第3のプルワイヤ管腔314cを含み、それの付加は、第1および第2のプルワイヤと組み合わせて、示す実施形態において、2次屈曲部分の屈曲の第1の範囲を中心軸Xの周りにフル360°まで増加させる。
【0048】
先に論じたように、カテーテルデバイス300の幾つかの実施形態は、プルワイヤの異なる構成、例えば、不均等円周間隔を有する。これらの構成の幾つかは、軸Xの周りに360°の屈曲の効果的な第1の範囲を有することになるのではなく、代わりに、例えば、約240°または約180°の屈曲の減少した効果的な第1の範囲を有することになる。
【0049】
一般に、第2の屈曲セクションを偏向させることは、その部分の偏向を制御するプルワイヤの対が円周方向に共に接近して(例えば、より小さな角度幅で)配設されるときにより制御可能である。したがって、制御可能性と範囲との間にトレードオフが存在する。したがって、カテーテルデバイス300の幾つかの実施形態は、4つ以上のプルワイヤを含み、その実施形態は、360°までの第1の範囲の屈曲と組み合わせて、改善された制御可能性を提供する。
【0050】
一般的な考察
この説明のために、本開示の実施形態の或る態様、利点、および新規な特徴が本明細書で述べられる。開示される方法、デバイス、およびシステムは、いずれの点でも制限的であると解釈されるべきでない。代わりに、本開示は、単独でまた互いに関する種々の組合せおよび部分的組合せで、開示される種々の実施形態の全ての新規でかつ非自明の特徴および態様に向けられる。方法、デバイス、およびシステムは、任意の特定の態様もしくは特徴またはこれらの組合せに限定されず、開示される実施形態は、任意の1つまたは複数の特定の利点が存在することまたは問題が解決されることを要求しない。
【0051】
本発明の特定の態様、実施形態、または例に関連して述べる特徴、整数、特性、化合物、化学的成分または化学基は、本明細書で述べられる任意の他の態様、実施形態、または例に対して、それに関して不適合でない限り、適用可能であることが理解される。本明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約および図面も含む)で開示される特徴の全て、および/または、そのように開示される任意の方法またはプロセスのステップの全ては、こうした特徴および/またはステップの少なくとも幾つかが互いに排他的である組合せを除いて、任意の組合せで組み合わされてもよい。本発明は、任意の前述の実施形態の詳細に制限されない。本発明は、本明細書(いかなる添付の特許請求の範囲、要約および図面も含む)で開示される特徴のうちの任意の新規な1つもしくはその任意の新規な組合せに、または、そのように開示される任意の方法もしくはプロセスのステップのうちの任意の新規な1つもしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0052】
開示される方法のうちの幾つかの方法の動作が、好都合な提示のために、特定の順序で述べられているが、特定の順序付けが特定の言語によって要求されない限り、こうした説
明が並び替えを包含することが理解されるべきである。例えば、シーケンシャルに述べられる動作は、場合によっては、並べ替えられても、または同時に実行されてもよい。さらに、簡単にするため、添付の図は、開示される方法が他の方法と共に使用され得る種々の方法を示さない場合がある。本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「少なくとも1つの(at least one)」は、指定された要素のうちの1つまたは複数を包含する。すなわち、特定の要素が2つ存在する場合、これらの要素のうちの一つも存在し、したがって、「1つの(an)」要素が存在する。用語「複数の(a plurality of)」および「複数の(plural)」は、指定された要素の2つ以上を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、要素のリストの最後の2つの間で使用される用語「および/または(and/or)」は、挙げた要素のうちの任意の1つまたは複数を意味する。例えば、フレーズ「A、B、および/またはC(A, B, and/or C)」は、「A」、「B」、「C」、「AおよびB」、「AおよびC」、「BおよびC」、または「A、B、およびC」を意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、用語「結合された(coupled)」は、物理的に結合された、またはリンクされた、を一般に意味し、特定の反対の意味の言語がない限り、結合されたアイテム間の中間要素の存在を排除しない。
【0055】
開示された発明の原理が適用され得る多くの考えられる実施形態を考慮すると、示された実施形態は、本発明の好ましい例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして考えられるべきでないことが認識されるべきである。むしろ、本発明の範囲は、下記の請求項によって定義される。したがって、本発明者等は、それらの請求項の範囲および精神内に収まる全てを、本発明者等の発明として特許請求する。
【符号の説明】
【0056】
10、100 カテーテルデバイス
12 ハンドル部分(ハンドル)
14 シャフト(内側シャフト)
18 近位部分
20 遠位部分(遠位端部分)
22 プルワイヤ
24 停止部材
26 調整機構(調整ノブ、ノブ)
28 プルワイヤスリーブ(コイル)
30 ライナ
32 中心管腔
34 プルワイヤ管腔
36 遠位末端
38 リング
40 遠位端部分
42 近位端部分
46 近位端部分
48 バイパス式セグメント
50 開口
52 外側シャフト
58 ボア
104 第1のプルワイヤ
106 第2のプルワイヤ
108 主プルワイヤ管腔
110 主本体
112 第1の遠位プルワイヤ管腔
114 第2の遠位プルワイヤ管腔
115 近位部分
116 遠位部分
118 近位セクション(1次屈曲セクション)
120 遠位セクション(2次屈曲セクション)
200 カテーテルデバイス
202 シャフト
204 近位部分
206 遠位部分
208 第1のプルワイヤ
210 第2のプルワイヤ
212 主プルワイヤ管腔
214 第1の遠位プルワイヤ管腔
216 第2の遠位プルワイヤ管腔
220 近位セクション
222 遠位セクション
300 カテーテルデバイス
302 シャフト
304 近位部分
306 遠位部分
308a 第1のプルワイヤ
308b 第2のプルワイヤ
308c 第3のプルワイヤ
312 主プルワイヤ管腔
314a 第1の遠位プルワイヤ管腔
314b 第2のプルワイヤ管腔
314c 第3のプルワイヤ管腔
320 近位セクション
322 遠位セクション
324 遠位端
図1
図1A
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実施例のうちのいずれか1つに、または添付された図面のうちのいずれか1つを参照して実質的に説明されたカテーテルデバイス又は方法。
【外国語明細書】