(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074987
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】物品搬送車
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B65G1/00 501C
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064057
(22)【出願日】2024-04-11
(62)【分割の表示】P 2020215637の分割
【原出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】冨田 大地
(72)【発明者】
【氏名】大塚 洋
(57)【要約】
【課題】物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる物品搬送車の実現
【解決手段】物品搬送車は、走行体と、物品6を保持する保持装置23と、走行体に搭載され保持装置23を走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、保持装置23が、昇降装置に連結された連結部31と、物品6を支持する物品支持部51と、を備えた物品搬送車であって、保持装置23が、物品支持部51と連結部31との間に設けられて物品支持部51を連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持する弾性支持機構36と、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの移動を案内する案内機構37と、を備え、案内機構37が、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの平行移動を許容すると共に、連結部31に対する物品支持部51の揺動を規制する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、
前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、を備えた物品搬送車であって、
前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、
前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成されている、物品搬送車。
【請求項2】
前記物品支持部は、一対の把持部を備え、
一対の前記把持部は、前記走行経路に沿う方向である走行方向に互いに離間して配置され、
前記弾性支持機構は、一対の前記把持部が互いに独立して上下動するように一対の前記把持部を支持しており、
前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについての前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成されている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記上下方向に沿う上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、
前記弾性支持機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の弾性体を備え、
前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の直動案内機構を備え、
一対の前記把持部のそれぞれにおいて、一対の前記直動案内機構が一対の前記弾性体よりも前記幅方向の外側に配置されている、請求項2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記案内機構は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構を備え、
前記直動案内機構のそれぞれは、前記連結部及び前記物品支持部の一方に固定された案内体と、前記連結部及び前記物品支持部の他方に固定されて前記案内体に沿って移動する移動体と、を備え、
前記案内体は、前記上下方向に沿って前記移動体が移動するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記物品は、上部に設けられたフランジ部と底部に設けられた係合凹部とを備えた容器であり、
前記係合凹部は、前記昇降装置により下降されて載置箇所に載置される場合に、当該載置箇所に設けられた位置決め用の係合凸部に係合され、
前記物品支持部は、一対の把持部により前記フランジ部を把持するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、走行体に搭載さらえ保持装置を走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備えている物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の物品搬送車が、特開2016-094263号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された物品搬送車(1)は、走行レール(2)上を移動経路に沿って走行する走行移動部(16)と、走行移動部(16)に支持され且つ物品(搬送物6)を吊り下げ支持する支持機構(23)と、支持機構(23)を昇降移動自在に支持する昇降支持部(17)と、を備えている。支持機構(23)は、昇降体(31)と、案内支持部(35)と、昇降体(31)と案内支持部(35)との間に位置して案内支持部(35)の荷重を受ける、上下方向に弾性変形自在な緩衝体(36)と、を有している。そのため、走行移動部(16)が走行するときの振動や昇降体(31)が昇降するときに物品(6)に伝わる振動を少なく抑えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された物品搬送車(1)は、物品(6)を床面上の支持台(4)に移載するために、巻回体(28)を回転駆動させ、巻取りベルト(24a)を繰り出すことによって、支持機構(23)を物品(6)と共に下降させる。一般的に、支持台(4)には、物品(6)を位置決めするための位置決めピン等の位置決め機構が設けられているため、物品(6)を支持台(4)に適切に移載するためには、物品(6)を適正な姿勢で支持台(4)まで下降させる必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1に開示された物品搬送車(1)では、案内支持部(35)が昇降体(31)に対して緩衝体(36)を介して支持されているため、案内支持部(35)に対して偏った荷重が作用した場合には、案内支持部(35)が昇降体(31)に対して傾くことがある。例えば、物品(6)の重心の位置に偏りがある場合等に、緩衝体(36)の変形量に偏りが生じて案内支持部(35)が昇降体(31)に対して傾き、物品(6)が適正な姿勢に対して傾いた姿勢となることがある。このように、物品(6)が適正な姿勢に対して傾いた姿勢で支持台(4)まで下降した場合には、物品(6)を支持台(4)に適切に移載することができない場合がある。一方、物品(6)が傾いた姿勢となることを制限するために、緩衝体(36)の弾性率を高くすると、物品(6)に伝わる振動を適切に抑制することが困難になる。
【0007】
そこで、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる物品搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、物品搬送車の特徴構成は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、を備えた物品搬送車であって、前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成されている点にある。
【0009】
本構成によれば、物品支持部と連結部との間に弾性支持機構が設けられているため、走行体が走行することによる走行体の振動や、昇降装置によって昇降することによる保持装置の振動等を弾性支持機構によって減衰させることができる。よって、物品に伝わる振動を少なく抑えることができる。
また、本構成によれば、案内機構が、連結部に対する物品支持部の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部が連結部に対して傾くことを規制できる。そのため、例えば物品の重心に偏りがあること等によって物品支持部に対して偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部及び物品支持部に支持された物品が連結部に対して傾くことを規制することができる。従って、昇降装置によって保持装置を下降させて物品を載置箇所に載置する場合に、物品の姿勢が適正姿勢に対して傾くことで物品を適切に載置できない事態が生じることを回避することができる。一方、案内機構は、連結部に対する物品支持部の上下方向の平行移動を許容する。そのため、物品支持部及び物品支持部に支持された物品に作用する上下方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。
このように本構成によれば、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】一対の搬送物支持部が支持用位置に位置している保持装置の縦断側面図
【
図5】物品搬送車の走行状態において、物品支持部が走行方向に傾く場合の側面図
【
図6】物品が載置箇所に適切に移載された場合の側面図
【
図7】物品が傾いた状態で載置箇所に移載される場合の側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.実施形態
以下、本発明に係る物品搬送車を物品搬送設備に適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、天井側に配設された走行レール2に沿って走行自在な天井搬送車として構成された物品搬送車1と、物品6に収容されている基板に対して処理を行う処理装置3と、その処理装置3に隣接する状態で床面上に設置された支持台等の載置箇所4と、が設けられている。ここで、支持台は、物品搬送車1による物品6の載置箇所4の一例である。このように、本実施形態では、走行レール2によって物品搬送車1の走行経路が構成されている。物品搬送車1によって搬送される物品6は、収容物を収容する搬送容器であり、具体的には、収容物として複数の半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unify Pod)である。
【0012】
物品6を載置する支持台等の載置箇所4は、物品搬送車1の走行経路の下方に設置されており、物品搬送車1の走行方向Xに沿って複数設置されている。物品搬送車1は、物品6を搬送すると共に昇降装置24により物品6を下降させて載置箇所4に物品6を載置する。また、物品搬送車1は、物品6を載置箇所4から受け取って昇降装置24により上昇させ、別の搬送先へ向けて物品6を搬送する。本実施形態では、このような物品搬送車1と載置箇所4との間での物品6の受け渡しを移載と称し、そのような動作を移載動作と称する。本実施形態では、載置箇所4における物品6が載置される載置面4aには、物品6の位置決め用の係合凸部Pが設けられている。本例では、載置面4a上に、3つの係合凸部Pが三角形の頂点部分に位置するような位置関係で配置されている。本例では、載置箇所4としての支持台に物品6としてのFOUPが載置された後、処理装置3により当該FOUP内から半導体基板が取り出され、所定の処理が行われる。そして、処理が完了した半導体基板を収容したFOUPを、物品搬送車1が受け取って別の処理装置3等の搬送先へ搬送する。
【0013】
〔物品〕
図2に示すように、本実施形態に係る物品6は、複数枚の基板を収容する本体部7と、この本体部7より上方である物品6の上部に備えられたフランジ部9と、を備えている。また、この物品6は、本体部7の前面に形成された基板出し入れ用の開口を閉じる蓋体5(
図6参照)を備えている。蓋体5は、本体部7に対して着脱自在に設けられている。なお、以下では、上下方向Zに沿う上下方向視で、物品6の中心から蓋体5に直交する方向を物品前後方向とし、物品前後方向と直交する方向を物品左右方向とする。
【0014】
本実施形態では、蓋体5の単位体積当たりの重量は、物品6(FOUP)のその他の部分に比べて大きい。そのため、本体部7に半導体基板が収容されていない空の状態では、物品6の重心は物品前後方向の蓋体5側に偏る。本体部7に半導体基板が収容され物品6の全体の重量が大きくなると、当該重量における蓋体5の重量の割合が小さくなる。そのため、重心位置は物品6の中央部分に近づくように、物品前後方向における蓋体5側とは反対側に向けて移動する。また、物品6は、物品左右方向においては重量が均等になるように構成されている。そのため、物品6が空の状態である場合や、半導体基板が収容された状態である場合においても、物品6の重心の物品左右方向の偏りは小さい。
【0015】
フランジ部9と本体部7とは、物品連結部8を介して連結されている。物品連結部8は、本体部7から上方に突出するように形成されている。そして、フランジ部9は、物品連結部8の上部に取り付けられ、当該物品連結部8から物品前後方向及び物品左右方向に突出する板状に形成されている。そして、本体部7の上面とフランジ部9の下面との間に形成される、物品前後方向及び物品左右方向の窪みにより、挿入用空間12が形成されている。この挿入用空間12に、後述する一対の把持部50が挿入されることで、物品6が一対の把持部50により把持される。
【0016】
図6に示すように、物品6は、底部11に設けられた係合凹部Bを備えている。係合凹部Bは、上述した載置箇所4の載置面4aに設けられた係合凸部Pに係合されることで、載置箇所4における物品6の位置決めを行うためのものである。本実施形態では、底部11の下方を向く面である底面11aに、3つの係合凹部Bが三角形の頂点部分に位置するような位置関係で配置されている。3つの係合凹部Bの位置関係は、載置箇所4の3つの係合凸部Pの位置関係に対応している。各係合凹部Bは、底面11aから上方に向けて窪んだ凹溝とされている。本例では、3つの係合凹部Bのうち2つは物品6の前端部に近接しかつ物品左右方向に離間して設けられている。3つの係合凹部Bのうち1つは、物品6の後端部に近接しかつ左右方向で2つの係合凹部Bの中間に設けられている。本実施形態では、
図6に示すように、係合凹部Bは、後述する昇降装置24により下降されて物品6
が載置箇所4に載置される場合に、当該載置箇所4に設けられた位置決め用の係合凸部Pに係合される。
【0017】
〔物品搬送車〕
次に、物品搬送車1について説明する。ここでは、物品搬送車1の走行方向に沿う方向を走行方向Xと称し、走行方向Xと上下方向視で直交する方向を幅方向Yと称して説明する。本実施形態では、物品6はその物品左右方向が物品搬送車1の走行方向Xに沿う向きで支持される。そのため、以下では、物品6が保持装置23にて保持されている状態を基準として、物品6の物品左右方向を走行方向Xとし、物品6の物品前後方向を幅方向Yとして説明する。
【0018】
図1及び
図2に示すように、物品搬送車1は、走行経路に沿って走行する走行体16と、物品6を保持する保持装置23と、走行体16に搭載され保持装置23を走行体16に対して昇降させる昇降装置24とを備えている。また、物品搬送車1は、昇降装置24による昇降範囲の上限付近に保持装置23が位置する状態で、当該保持装置23に支持された物品6の上方側及び走行方向Xの両側を覆うカバー部25を更に備えている。
【0019】
図2に示すように、走行体16は、走行用モータ19にて回転駆動されて走行レール2の上面を転動する駆動輪20と、走行レール2の側面に当接する回転自在な案内輪21と、を備えている。そして、駆動輪20が走行用モータ19によって回転駆動され、案内輪21が走行レール2の側面に当接して案内される。これにより、走行体16が、走行レール2に案内されて走行経路に沿って走行する。
【0020】
昇降装置24は、巻取りベルト24aを巻回する巻回体28と、巻回体28を回転駆動する昇降用モータ29と、を備えている。巻取りベルト24aの先端部には、保持装置23が連結されている。そして、昇降装置24は、昇降用モータ29にて巻回体28を正転方向に回転駆動させて巻取りベルト24aを繰り出し、巻回体28を逆転方向に回転駆動させて巻取りベルト24aを巻き取ることで、保持装置23を走行体16に対して昇降させる。
【0021】
〔保持装置〕
次に、物品搬送車1の保持装置23について説明する。
図3~
図5に示すように、物品搬送車1の保持装置23は、昇降装置24に連結された連結部31と、物品6に接触して物品6を支持する物品支持部51と、を備えている。本実施形態では、連結部31は、巻取りベルト24aの先端部に連結されている。そのため、連結部31は、昇降装置24によって昇降される。連結部31は、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を支持する支持体31aと、支持体31aに取り付けられて、弾性支持機構36及び案内機構37を覆う箱状の筐体31bと、を備えている。また、本実施形態では、保持装置23は、物品支持部51を構成する一対の把持部50を互いに接近及び離間させる方向に駆動する把持駆動機構30を備えている。この把持駆動機構30も、支持体31aに支持され、筐体31bの内部に収容されている。
【0022】
まず、把持駆動機構30について説明する。把持駆動機構30は、把持案内機構38と、把持駆動源33と、把持伝達機構39と、を備えている。把持駆動源33は、本実施形態では、電動モータにより構成される把持駆動モータである。
【0023】
把持案内機構38は、一対の把持部50の相互の接近・離間方向の移動を案内する機構である。本実施形態では、一対の把持部50の接近・離間方向は、走行方向Xに平行な方向である。そして、本例では、把持案内機構38は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられ、一対の把持部50のそれぞれの接近・離間方向の移動に連動する連動部材
42と、一対の連動部材42の接近・離間方向の移動を案内する案内レール40とを備えている。ここでは、
図4に示すように、複数の案内レール40が走行方向Xに沿うように支持体31aに支持されている。本実施形態では、1つの連動部材42について一対の案内レール40が幅方向Yに離間して配置されている。従って、本実施形態では、把持案内機構38は、一対の連動部材42に対応して4つの案内レール40を備えている。
図3及び
図4に示すように、連動部材42のそれぞれにおける、各案内レール40によって案内される部分には、当該案内レール40に沿って走行方向Xに案内される被案内部材41が取り付けられている。被案内部材41は、案内レール40に沿って移動自在な状態で当該案内レール40に係合している。
【0024】
上記のとおり、連動部材42は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられている。そして、各連動部材42は、把持伝達機構39と案内機構37とを接続するように構成されている。そして、連動部材42と把持部50とは、案内機構37を介して接続されている。本実施形態では、後述するように、一対の把持部50のそれぞれに対応する案内機構37が、それぞれ一対の直動案内機構37aを備えている。従って、連動部材42は、把持伝達機構39と一対の直動案内機構37aとを接続している。
【0025】
具体的には、連動部材42は、同じ把持部50を支える一対の直動案内機構37aのそれぞれに固定された一対の連動固定部42aと、一対の連動固定部42aを互いに連結する連動本体部42bと、当該連動本体部42bに設けられて、把持伝達機構39に接続された連動接続部42cと、を備えている。本例では、連動本体部42bは、幅方向Yに長い長尺板状に形成されている。そして、連動本体部42bは、幅方向Yに離間して配置された2つの被案内部材41に固定されている。また、連動本体部42bは、幅方向Yに離間して配置された一対の連動固定部42aに連結されている。本例では、一対の連動固定部42aのそれぞれは、上下方向Z視で被案内部材41と重複するように配置されている。このように、連動本体部42bは、一対の被案内部材41同士を連結すると共に、一対の連動固定部42a同士を連結している。一対の連動固定部42aは、連動本体部42bよりも上下方向Zの寸法が大きく形成されている。そして、一対の連動固定部42aのそれぞれにおける上下方向Zに直交する方向を向く面に、直動案内機構37aが取り付けられている。連動接続部42cは、後述する把持伝達機構39に接続される部分である。本実施形態では、把持伝達機構39を構成するナット部35が連動接続部42cに取り付けられている。ここでは、連動接続部42cは、連動本体部42bの幅方向Yにおける中央部分に設けられている。また、図示の例では、連動接続部42cは、ナット部35を内部に保持するブロック状に形成されている。本実施形態では、一対の連動部材42のそれぞれが備える連動接続部42cが、走行方向Xに互いに離間して配置されている。
【0026】
把持伝達機構39は、把持駆動源33の動力を一対の把持部50のそれぞれに伝達し、一対の把持部50を互いに接近及び離間させる方向に移動させる機構である。本実施形態では、把持伝達機構39は、ボールねじ34と、ボールねじ34に螺合するナット部35と、を備えている。
【0027】
ボールねじ34は、把持駆動源33としての把持駆動モータに接続されている。そして、ボールねじ34は、当該把持駆動源33により、軸心回りに回転するように駆動される。本実施形態では、
図4に示すように、ボールねじ34は、軸心が走行方向Xに沿うように配置されている。また、本例では、ボールねじ34は、支持体31aにおける幅方向Yの中央部分に配置されている。ボールねじ34の外周面には、雄ねじが形成されている。本例では、ボールねじ34の軸心に沿う方向(走行方向X)の中央部に対して一方側と他方側とで、螺旋の向きが逆方向となるように雄ねじが形成されている。また、ボールねじ34の軸心に沿う方向(走行方向X)の一方側の端部が、把持駆動源33に接続されている。具体的には、ボールねじ34の軸方向の一端部が、把持駆動モータの出力軸に連結さ
れている。
【0028】
ナット部35は、ボールねじ34の外周面に形成された雄ねじに螺合するように、内周面に雌ねじが形成された筒状部材である。従って、ナット部35の軸心方向も、ボールねじ34と同様に走行方向Xに沿うように配置されている。本実施形態では、上記のとおり、ナット部35は、連動部材42の連動接続部42cに取り付けられている。すなわち、走行方向Xに互いに離間して配置された一対の連動接続部42cのそれぞれに、ナット部35が取り付けられている。そして、一方のナット部35と他方のナット部35とが、ボールねじ34における、雄ねじの向きが互いに異なる部分に螺合している。従って、ボールねじ34が第1の方向に回転した場合に一対のナット部35が互いに接近し、ボールねじ34が第1の方向のとは反対の第2の方向に回転した場合に一対のナット部35が互いに離間する。このような一対のナット部35の接近及び離間する動きに連動して、一対の連動部材42及び一対の把持部50が互いに接近及び離間する。
【0029】
物品支持部51は、
図4に示すように一対の把持部50を備えており、一対の把持部50は走行方向Xに互いに離間して配置されている。そして、物品支持部51は、一対の把持部50により物品6のフランジ部9を把持するように構成されている。本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれは、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を介して連動部材42に支持されている。
図3に示すように、一対の把持部50のそれぞれは、フランジ部9に接する部分となる把持爪部50aと、弾性支持機構36及び案内機構37により支持される被支持部50bと、把持爪部50aと被支持部50bとを連結する把持連結部50cと、を備えている。本例では、
図6に示すように、把持爪部50aは、幅方向Yに延在する長尺板状に形成されている。また、
図4及び
図5に示すように、被支持部50bは、幅方向Yに延在するように形成されている。そして、把持連結部50cは、把持爪部50a及び被支持部50bにおける幅方向Yの両端部のそれぞれに設けられ、把持爪部50aと被支持部50bとを連結している。このように、本例では、把持部50は、一対の把持連結部50cを備えている。なお、一対の把持部50は、向きが対称に配置されている以外、互いに同じ構成となっている。
【0030】
把持爪部50aは、連結部31よりも下方に配置されている。被支持部50bは、連結部31の内部に収容されている。把持連結部50cは、把持爪部50aと被支持部50bとを接続するように、連結部31の内部から連結部31よりも下方へ向けて突出するように配置されている。本例では、
図3及び
図4に示すように、把持連結部50cは、連結部31の支持体31aに形成された貫通孔43を通って上下方向Zに延在している。上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、一対の把持連結部50cを備えている。従って、支持体31aには、走行方向X及び幅方向Yに離間して4つの貫通孔43が形成されており、各貫通孔43に1つの把持連結部50cが挿通されている。
【0031】
図3及び
図6に示すように、一対の把持部50の把持爪部50aが、フランジ部9の下方に形成された挿入用空間12に配置された状態で、フランジ部9を把持する。より具体的には、一対の把持爪部50aがフランジ部9に対して下方から当接することで、フランジ部9を下方から支持する。ここで、上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を介して連動部材42に支持されている。そして、一対の連動部材42が、把持駆動機構30により走行方向Xに接近及び離間する方向に駆動されることにより、一対の把持部50も、接近及び離間する方向に駆動される。これにより、一対の把持部50の間隔が、把持用間隔と解除用間隔とに変化する。把持用間隔は、一対の把持部50が互いに接近した状態の間隔である。この把持用間隔となった状態では、一対の把持爪部50aの走行方向Xの間隔は、フランジ部9の走行方向Xの幅よりも狭くなる。解除用間隔は、一対の把持部50が互いに離間した状態の間隔である。この解除用間隔となった状態では、一対の把持爪部50aの走行方向Xの間隔は、フランジ
部9の走行方向Xの幅よりも広くなる。
【0032】
従って、一対の把持部50を解除用間隔から把持用間隔に変化させることで、フランジ部9を把持して、保持装置23により物品6を保持することができる。また、一対の把持部50を把持用間隔から解除用間隔に変化させることで、フランジ部9の把持を解除して、保持装置23による物品6の保持を解除することができる。
【0033】
図3~
図5に示すように、保持装置23は、物品支持部51と連結部31との間に設けられて物品支持部51を連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持する弾性支持機構36を備えている。上記のとおり、本実施形態では、物品支持部51は、一対の把持部50を備えている。そこで、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれを連結部31に対して弾性的に支持するように構成されている。また上記のとおり、一対の把持部50は、把持案内機構38により相互の接近・離間方向(ここでは走行方向X)の移動が案内されるように構成されている。そのため、一対の把持部50のそれぞれは、弾性支持機構36及び案内機構37を介して、把持案内機構38を構成する連動部材42に支持されている。従って、本実施形態では、弾性支持機構36は、把持部50を連動部材42に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持するように構成されている。より具体的には、弾性支持機構36は、連動本体部42bと把持部50の被支持部50bとの上下方向Zの間に設けられている。図示の例では、連動本体部42bよりも上方に被支持部50bが配置されている。従って、弾性支持機構36は、被支持部50bを下方から弾性的に支持している。本例では、弾性支持機構36は上下方向Zに弾性を有する弾性体36aを備えている。弾性体36aは、図示の例では圧縮コイルばねである。弾性体36aの下端部は、連動本体部42bに保持され、弾性体36aの上端部は、被支持部50bに保持されている。すなわち、連動本体部42b及び被支持部50bは、それぞれ弾性体36aを保持する保持部を備えている。そして、弾性体36aは、圧縮状態で連動本体部42bと被支持部50bとの間に挟まれて配置されている。
【0034】
本実施形態では、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれについて、幅方向Yに離間して配置された一対の弾性体36aを備えている。
図4に示すように、1つの把持部50に対応する一対の弾性体36aは、幅方向Yに離間して配置されている。また、本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれにおいて、一対の弾性体36aは、一対の案内レール40よりも幅方向Yの内側に配置されている。
【0035】
更に、本実施形態では、弾性支持機構36は、一対の把持部50が互いに独立して上下動するように一対の把持部50を支持している。上記のとおり、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられ、一対の把持部50のそれぞれを連結部31に対して弾性的に支持するように構成されている。従って、一対の把持部50の一方は、一対の弾性支持機構36の一方によって連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持され、一対の把持部50の他方は、一対の弾性支持機構36の他方によって連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持されている。これにより、一対の把持部50は、互いに独立して上下動するように弾性支持機構36によって支持されている。
【0036】
図3及び
図4に示すように、保持装置23は、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの移動を案内する案内機構37を備えている。案内機構37は、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの平行移動を許容すると共に、連結部31に対する物品支持部51の揺動を規制するように構成されている。上記の通り、本実施形態では、物品支持部51は一対の把持部50を備えている。そこで、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれの連結部31に対する上下方向Zの平行移動を許容するように構成されている。また、案内機構37は、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの幅方向Y
及び走行方向Xの揺動を規制するように構成されている。そのため、本実施形態では、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれが、対応する連動部材42に対して上下方向Zに平行移動可能な状態で、把持部50と連動部材42とを接続している。
【0037】
ここで「平行移動」とは、物品支持部51が物品6を支持しておらず、保持装置23が水平面に対して理想的な位置関係となる姿勢を基準姿勢とし、基準姿勢において上下方向Zに平行となる連結部31の基準となる仮想軸を第1基準軸とし、基準姿勢において上下方向Zに平行となる物品支持部51の基準となる仮想軸を第2基準軸とした場合に、第1基準軸と第2基準軸とが平行な状態のままで、物品支持部51(本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれ)が連結部31に対して相対移動することをいう。また、「揺動」とは第1基準軸に対して第2基準軸が傾くように、物品支持部51(本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれ)が連結部31に対して相対移動することをいう。案内機構37が、連結部31に対する物品支持部51の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部51が連結部31に対して傾くことが規制される。
【0038】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれについての連結部31に対する上下方向Zの移動を案内するように構成されている。ここで、案内機構37は、一対の把持部50が互いに独立して上下動するように一対の把持部50を案内する構成となっている。このような案内のため、案内機構37は、直動案内機構37aを備えている。本実施形態では、案内機構37は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構37aを備えている。具体的には、
図3~
図5に示すように、案内機構37は、全体として4つの直動案内機構37aを備えている。直動案内機構37aのそれぞれは、連結部31に固定された案内体37bと、物品支持部51に固定されて案内体37bに沿って移動する移動体37cと、を備えている。また、案内体37bは、上下方向Zに沿って移動体37cが移動するように配置されている。すなわち、案内体37bは、上下方向Zに沿って配置されている。ここで、案内体37bは、移動体37cが直線的に移動するように案内する部材であり、本例では、レール状に形成されている。移動体37cは、案内体37bに沿って直線的に移動するように、案内体37bに係合している。なお、本例では、直動案内機構37aはリニアガイドである。
【0039】
本実施形態では、案内体37bは、連動部材42に固定されている。また、移動体37cは、把持部50に固定されている。上記のように、移動体37cが案内体37bに沿って上下方向Zに移動するように案内されることにより、把持部50は、連動部材42に対して上下方向Zに移動するように案内される。つまり、把持部50の連動部材42に対する上下方向Zの平行移動が許容される。一方、案内体37bに案内される移動体37cが、上下方向Z以外には移動できないことにより、把持部50の連動部材42に対する幅方向Y及び走行方向Xへの揺動は規制される。
【0040】
また、本実施形態では、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれについて、幅方向Yに離間して配置された一対の直動案内機構37aを備えている。
図4に示すように、1つの把持部50に対応する一対の直動案内機構37aは、幅方向Yに離間して配置されている。本例では、一対の直動案内機構37aは、連動本体部42bの幅方向Yの両端部に設けられた一対の連動固定部42aのそれぞれに取り付けられている。より具体的には、一対の直動案内機構37aのそれぞれの案内体37bが、連動固定部42aに固定されている。このように、一対の直動案内機構37aは連動部材42によって連結されている。また、一対の直動案内機構37aは、上下方向Z視で、連動本体部42b及び被案内部材41と重複する位置に配置されている。更に、本実施形態では、一対の直動案内機構37aは、把持部50における被支持部50bに取り付けられている。より具体的には、一対の直動案内機構37aのそれぞれの移動体37cが、被支持部50bに固定されている
。これにより、把持部50は、一対の直動案内機構37aにより、連動部材42に対して上下方向Zに沿って平行移動するように案内される。
【0041】
ところで、一対の把持部50は互いに独立している。すなわち、一対の把持部50のそれぞれは、
図3~
図5に示すように、互いに別の弾性支持機構36により支持され、互いに別の案内機構37により案内される。これにより、一対の把持部50は、連結部31に対して互いに独立して上下方向Zに移動することが許容される。そのため、例えば
図5に示すように、一対の把持部50の上下方向Zの位置が互いに異なるものとなり得る。
【0042】
このように、一対の把持部50が走行方向Xに互いに離間して配置され、それぞれ独立して上下動するようになっているため、上記のような案内機構37を備えているにも関わらず、物品6の走行方向Xの揺動が許容される。一般的に、物品搬送車1によって搬送中の物品6には、物品搬送車1の加減速等によって走行方向Xの荷重が作用することが多い。しかし、本実施形態の構成によれば、一対の把持部50が互いに独立して上下動するため、物品6が走行方向Xに揺動する方向の振動を弾性支持機構36によって緩和する効果が案内機構37によって妨げられることがない。一方、本実施形態の構成においても、案内機構37が、一対の把持部50のそれぞれについて、連結部31に対する上下方向Zの移動を案内するように構成され、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの揺動、特に幅方向Yの揺動を規制するように構成されている。そのため、例えば物品6の重心に幅方向Yの偏りあること等によって一対の把持部50に対して幅方向Yに偏った荷重が作用した場合であっても、一対の把持部50が連結部31に対して幅方向Yに傾くことを規制できる。従って、一対の把持部50に支持された物品6が連結部31に対して幅方向Yに傾くことを規制することができる。本実施形態では、物品6が複数の半導体基板を収容するFOUPであり、蓋体5(
図6参照)が物品6における幅方向Yの一方側に配置された状態で、物品搬送車1により搬送される。FOUPは、蓋体5の単位体積当たりの重量がその他の部分に比べて大きく、内部に収容される半導体基板の枚数等によって、物品6の全体における幅方向Yの重心位置が変動する。しかし、本実施形態に係る構成によれば、このような重心の変動によって、物品6が幅方向Yに傾くことを規制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、
図4に示すように、一対の把持部50のそれぞれにおいて、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置されている。ここで、物品6の幅方向Yの揺動により把持部50に作用する荷重は、てこの原理により、幅方向Yの内側の方が幅方向Yの外側よりも大きくなるのが一般的である。従って、一対の直動案内機構37aを一対の弾性体36aより幅方向Yの内側に配置するよりも、一対の直動案内機構37aを一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置した方が、直動案内機構37aに作用する荷重を小さくすることができる。なお、この場合、一対の弾性体36aには比較的大きい荷重が作用することになるが、一般的に、弾性体36aは、直動案内機構37aよりも構造が単純で強度も高く確保し易いため、大きな問題は生じ難い。
【0044】
〔物品の移載動作〕
次に、保持装置23に保持された状態の物品6を、昇降装置24により下降させて直下の載置箇所4に載置する(移載する)場合の動作について説明する。
【0045】
ここで、物品6がカバー部25に収容された状態における、走行体16に対する保持装置23の位置を走行用位置(
図2参照)とする。昇降装置24は、昇降用モータ29の回転駆動により巻取りベルト24aを繰り出して、保持装置23を走行用位置から移載用位置(
図6参照)まで下降させる。保持装置23を移載用位置まで下降させることにより、保持装置23に保持された物品6が載置箇所4に載置される。このように、移載用位置は
、走行用位置よりも下方の位置であって、保持装置23に保持された物品6が載置箇所4の載置面4aに載置された状態での、走行体16に対する保持装置23の位置である。保持装置23が移載用位置にあり、物品6が載置面4aに載置された状態で、把持駆動機構30により、一対の把持部50の間隔を、物品6を把持する把持用間隔から物品6の把持を解除する解除用間隔に切り換える。このようにして、物品6は載置箇所4に移載される。上記のとおり、本例では、載置箇所4の載置面4aに、位置決め用の係合凸部Pが複数設けられている。また、物品6の底面11aに、当該係合凸部Pと係合する係合凹部Bが設けられている。そして、物品6が適正姿勢である状態で保持装置23が移載用位置まで下降した場合、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに係合した状態となり、物品6が載置箇所4の載置面4aに適正に載置される。以下では、保持装置23が移載用位置まで下降した場合に、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに適正に係合することができるような物品6の姿勢を適正姿勢とする。本実施形態では、載置箇所4の載置面4aは水平面に沿うように配置されており、物品6の姿勢が適正姿勢である状態では、物品6の底面11aは水平面に沿う姿勢となる。
【0046】
比較例として、保持装置23が直動案内機構37aを備えていない場合の移載動作について説明する。この場合、一対の把持部50は連結部31に対する揺動が規制されない。そのため、物品6の重心が幅方向Yに偏っている場合、一対の把持部50に対して偏った荷重が作用し、一対の把持部50及びこれに把持された物品6が連結部31に対して幅方向Yに傾く。例えば、本実施形態のように、物品6が複数の半導体基板を収容するFOUPであり、蓋体5(
図7参照)が物品6における幅方向Yの一方側に配置されている場合、蓋体5の単位体積当たりの重量がその他の部分に比べて大きいために、内部に収容される半導体基板の枚数によって、物品6の全体における幅方向Yの重心位置が変動する。具体的には、半導体基板の枚数が少なくなるに従って、物品6の重心が幅方向Yにおける蓋体5の側に偏ることになる。本比較例のように、保持装置23が直動案内機構37aを備えていない場合、一対の把持部50は弾性支持機構36によって弾性的に支持されている。そのため、物品6の重心に偏りがあると、重心が偏っている側に物品6と共に一対の把持部50が傾斜することを規制できず、物品6が適正姿勢に対して幅方向Yに傾くことになる。このように物品6が適正姿勢に対して傾いた状態で保持装置23が移載用位置まで下降した場合、例えば
図7に示すように、物品6の底面11aが載置面4aに対して傾いた姿勢となる。そのため、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに適正に係合することができない場合が生じる。このような場合、物品6を載置箇所4に適切に載置できず、移載不良となる事態が生じ得る。
【0047】
これに対し、本実施形態のように、保持装置23が直動案内機構37aを備えている場合、物品支持部51としての一対の把持部50は、連結部31に対し上下方向Zの平行移動が許容されていると共に、連結部31に対する揺動が規制されている。そのため、一対の把持部50のそれぞれは、上下方向Zに平行移動することのみが許容される状態で弾性支持機構36によって弾性的に支持されている。また上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、幅方向Yに延在するように形成されており、物品6のフランジ部9を幅方向Yに沿う姿勢で支持している。そのため、物品6が一対の把持部50に対して幅方向Yに揺動することが規制されている。これにより、上記のように物品6の重心が幅方向Yに偏っていることによって、一対の把持部50に対して偏った荷重が作用した場合であっても、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの姿勢は維持され、物品6が連結部31に対して傾くことが規制される。従って、昇降装置24によって保持装置23を移載用位置まで下降させて物品6を載置箇所4に載置する場合に、物品6の姿勢が適正姿勢に対して傾くことを規制できる。このように物品6を適正姿勢に維持した状態で保持装置23を移載用位置まで下降させることにより、
図6に示すように、物品6の底面11aに設けられた係合凹部Bを載置箇所4の載置面4aに設けられた係合凸部Pに適正に係合させることができる。すなわち、物品6の重心の幅方向Yの偏りに関わらず、物品6を載置箇所
4に適切に載置することができる。
【0048】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0049】
(1)上記の実施形態では、物品支持部51と連結部31との間に設けられた弾性支持機構36を構成する弾性体36aを圧縮コイルばねとした構成を例として説明した。しかし、弾性体36aの構成は、これには限定されない。弾性支持機構36における弾性体36aの配置を変更することにより、引っ張りコイルばね等の他の形式のばねを用いても良い。また、例えば、弾性を有する合成ゴムや合成樹脂等を用いても良い。
【0050】
(2)上記の実施形態では、物品支持部51が一対の把持部50を備えており、一対の把持部50が走行方向Xに互いに離間して配置される構成を例として説明した。しかし、物品支持部51の構成はこれには限定されない。例えば、一対の把持部50が幅方向Yに互いに離間して配置されていても良い。このような構成は、物品6の重心位置に走行方向Xの偏りがある場合、及び、搬送中の物品6に幅方向Yの荷重が作用する場合に適している。また、例えば、物品支持部51が、一対の把持部50の代わりに、フランジ部9の挿入用空間12に挿入されるフォークを備えていても良い。或いは、物品支持部51が、一対の把持部50の代わりに、物品6を載置面に載置して支持するための載置部を備えていても良い。これらの構成の場合、一体的に構成された物品支持部51の全体が、弾性支持機構36によって弾性支持されると共に、案内機構37によって連結部31に対する上下方向Zの平行移動を許容すると共に連結部31に対する揺動(走行方向X及び幅方向Yの双方の揺動)を規制するように案内される。
【0051】
(3)上記の実施形態では、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置されている構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの内側に配置されていても良い。
【0052】
(4)上記の実施形態では、一対の案内体37bが連動固定部42aに固定され、一対の移動体37cが被支持部50bに固定される構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、一対の案内体37bが被支持部50bに固定され、一対の移動体37cが連動固定部42aに固定されていても良い。
【0053】
(5)上記の実施形態では、案内機構37を構成する直動案内機構37aの一例として、リニアガイドを用いる例について説明した。しかし、直動案内機構37aの構成はこれには限定されない。例えば、ボールスプライン、リニアブッシュ等、公知の各種の直動案内機構を用いることができる。
【0054】
(6)上記の実施形態では、
図4に示すように、案内機構37が、一対の把持部50のそれぞれについて2つ、合計4つの直動案内機構37aを備える構成を例として説明した。しかし、案内機構37の構成はこれには限定されない。例えば、1つの把持部50に対し3つ以上の直動案内機構37aを備えていても良い。また、1つの把持部50に対し、1つの直動案内機構37aのみを備えても良い。また、物品支持部51が一体的に構成されている場合には、当該一体的な物品支持部51に対して、1つ或いは複数の直動案内機構37aが設けられていても良い。
【0055】
(7)上記の実施形態では、物品6がフランジ部9と係合凹部Bとを備え、載置箇所4に係合凹部Bと係合する係合凸部Pが設けられた構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、物品6が係合凹部Bを備えず、載置箇所4に係
合凸部Pが設けられていない構成であっても良い。そのような構成であっても、上記実施形態の構成により、物品6が載置箇所4の載置面4aに対して傾いた姿勢で載置されることを規制することで、物品6を載置箇所4に適切に載置することができる。
【0056】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0057】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について説明する。
【0058】
物品搬送車は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、を備えた物品搬送車であって、前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成されている。
【0059】
本構成によれば、物品支持部と連結部との間に弾性支持機構が設けられているため、走行体が走行することによる走行体の振動や、昇降装置によって昇降することによる保持装置の振動等を弾性支持機構によって減衰させることができる。よって、物品に伝わる振動を少なく抑えることができる。
また、本構成によれば、案内機構が、連結部に対する物品支持部の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部が連結部に対して傾くことを規制できる。そのため、例えば物品の重心に偏りがあること等によって物品支持部に対して偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部及び物品支持部に支持された物品が連結部に対して傾くことを規制することができる。従って、昇降装置によって保持装置を下降させて物品を載置箇所に載置する場合に、物品の姿勢が適正姿勢に対して傾くことで物品を適切に載置できない事態が生じることを回避することができる。一方、案内機構は、連結部に対する物品支持部の上下方向の平行移動を許容する。そのため、物品支持部及び物品支持部に支持された物品に作用する上下方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。
このように本構成によれば、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる。
【0060】
ここで、前記物品支持部は、一対の把持部を備え、一対の前記把持部は、前記走行経路に沿う方向である走行方向に互いに離間して配置され、前記弾性支持機構は、一対の前記把持部が互いに独立して上下動するように一対の前記把持部を支持しており、前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについての前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成されていると好適である。
【0061】
一般的に、物品搬送車によって搬送中の物品には、物品搬送車の加減速によって走行方向の荷重が作用することが多い。本構成によれば、一対の把持部が走行方向に互いに離間して配置され、それぞれ独立して上下動するように弾性支持機構に支持されているため、上記のような案内機構を備えた構成においても、物品の走行方向の揺動が許容される。従
って、物品が走行方向に揺動する方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。一方、本構成においても、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、案内機構が、一対の把持部のそれぞれについて、連結部に対する上下方向の移動を案内するように構成され、連結部に対する一対の把持部のそれぞれの揺動を規制するように構成されている。そのため、例えば物品の重心に幅方向の偏りあること等によって物品支持部に対して幅方向に偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部が連結部に対して幅方向に傾くことを規制できる。従って、物品支持部に支持された物品が連結部に対して幅方向に傾くことを規制することができる。本構成は、物品の重心が幅方向に偏ることが多い場合に適している。
【0062】
また、前記上下方向に沿う上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、前記弾性支持機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の弾性体を備え、前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の直動案内機構を備え、一対の前記把持部のそれぞれにおいて、一対の前記直動案内機構が一対の前記弾性体よりも前記幅方向の外側に配置されていると好適である。
【0063】
本構成によれば、一対の直動案内機構が一対の弾性体より幅方向の内側に配置される場合よりも、直動案内機構に作用する荷重を小さくすることができる。従って、直動案内機構の大型化や高コスト化を回避し易くなる。
【0064】
また、前記案内機構は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構を備え、前記直動案内機構のそれぞれは、前記連結部及び前記物品支持部の一方に固定された案内体と、前記連結部及び前記物品支持部の他方に固定されて前記案内体に沿って移動する移動体と、を備え、前記案内体は、前記上下方向に沿って前記移動体が移動するように配置されていると好適である。
【0065】
本構成によれば、直動案内機構が、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置されているため、それぞれの直動案内機構に作用する荷重を比較的小さく抑え易い。また、複数個所に配置された直動案内機構により、物品支持部を安定的に支持し易い。
【0066】
また、前記物品は、上部に設けられたフランジ部と底部に設けられた係合凹部とを備えた容器であり、前記係合凹部は、前記昇降装置により下降されて載置箇所に載置される場合に、当該載置箇所に設けられた位置決め用の係合凸部に係合され、前記物品支持部は、一対の把持部により前記フランジ部を把持するように構成されていると好適である。
【0067】
本構成によれば、物品を載置箇所に載置する場合に、係合凹部が係合凸部に係合されるため、載置箇所の適切な位置に、容器を適切に載置することができる。また、物品支持部が、一対の把持部によりフランジ部を把持することで、物品を吊り下げた状態で適切に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示に係る技術は、走行経路に沿って走行する物品搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 :天井搬送車(物品搬送車)
6 :物品
9 :フランジ部
11 :底部
23 :保持装置
24 :昇降装置
31 :連結部
32 :物品支持部
50 :把持部
36 :弾性支持機構
36a :弾性体
37 :案内機構
37a :直動案内機構
B :係合凹部
P :係合凸部
X :走行方向
Y :幅方向
Z :上下方向
【手続補正書】
【提出日】2024-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、
前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、把持案内機構と、を備えた物品搬送車であって、
前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、
前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成され、
前記物品支持部は、一対の把持部を備え、
一対の前記把持部が並ぶ方向を並び方向として、
一対の前記把持部は、前記並び方向に互いに離間して配置され、互いに前記並び方向に沿って接近及び離間するように構成され、
前記案内機構は、一対の前記把持部に対応するように前記並び方向に互いに離間して配置された第1案内機構と第2案内機構とを備え、
前記把持案内機構は、前記連結部に支持されていると共に、前記並び方向に一対の前記把持部の移動を案内するように構成され、
一対の前記把持部のうちの一方を第1把持部とし、一対の前記把持部のうちの他方を第2把持部として、
前記弾性支持機構は、前記第1把持部に対応する第1弾性支持機構と、前記第2把持部に対応する第2弾性支持機構と、を備え、
前記第1把持部は、前記第1案内機構及び前記第1弾性支持機構を介して前記把持案内機構に支持され、
前記第2把持部は、前記第2案内機構及び前記第2弾性支持機構を介して前記把持案内機構に支持されている、物品搬送車。
【請求項2】
前記並び方向は、前記走行経路に沿う方向である走行方向と同じ方向であり、
前記弾性支持機構は、一対の前記把持部が互いに独立して上下動するように一対の前記把持部を支持しており、
前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについての前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成されている、請求項1に記載の物品搬送車。
【請求項3】
前記上下方向に沿う上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、
前記弾性支持機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の弾性体を備え、
前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の直動案内機構を備え、
一対の前記把持部のそれぞれにおいて、一対の前記直動案内機構が一対の前記弾性体よりも前記幅方向の外側に配置されている、請求項2に記載の物品搬送車。
【請求項4】
前記案内機構は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構を備え、
前記直動案内機構のそれぞれは、前記連結部及び前記物品支持部の一方に固定された案内体と、前記連結部及び前記物品支持部の他方に固定されて前記案内体に沿って移動する移動体と、を備え、
前記案内体は、前記上下方向に沿って前記移動体が移動するように配置されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項5】
前記物品は、上部に設けられたフランジ部と底部に設けられた係合凹部とを備えた容器であり、
前記係合凹部は、前記昇降装置により下降されて載置箇所に載置される場合に、当該載置箇所に設けられた位置決め用の係合凸部に係合され、
前記物品支持部は、一対の前記把持部により前記フランジ部を把持するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項6】
前記把持案内機構は、前記第1把持部、前記第1案内機構、及び前記第1弾性支持機構を前記並び方向に沿って一体的に移動させると共に、前記第2把持部、前記第2案内機構、及び前記第2弾性支持機構を前記並び方向に沿って一体的に移動させる、請求項1から5のいずれか一項に記載の物品搬送車。
【請求項7】
走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、
前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、把持案内機構と、を備えた物品搬送車であって、
前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、
前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成され、
前記物品支持部は、一対の把持部を備え、
一対の前記把持部が並ぶ方向を並び方向として、
一対の前記把持部は、前記並び方向に互いに離間して配置され、
前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成され、
前記案内機構は、一対の前記把持部に対応するように前記並び方向に互いに離間して配置された第1案内機構と第2案内機構とを備え、
一対の前記把持部のうちの一方を第1把持部とし、一対の前記把持部のうちの他方を第2把持部として、
前記第1案内機構の前記並び方向における配置領域は、前記第1把持部における前記連結部よりも下側の部分の前記並び方向における配置領域と重複し、
前記第2案内機構の前記並び方向における配置領域は、前記第2把持部における前記連結部よりも下側の部分の前記並び方向における配置領域と重複している、物品搬送車。
【請求項8】
前記弾性支持機構は、前記第1把持部に対応する第1弾性支持機構と、前記第2把持部に対応する第2弾性支持機構と、を備え、
前記第1案内機構の前記並び方向における配置領域は、更に、前記第1弾性支持機構の前記並び方向における配置領域と重複し、
前記第2案内機構の前記並び方向における配置領域は、更に、前記第2弾性支持機構の前記並び方向における配置領域と重複している、請求項7に記載の物品搬送車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、走行体に搭載され保持装置を走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備えている物品搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の物品搬送車が、特開2016-094263号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示された符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された物品搬送車(1)は、走行レール(2)上を移動経路に沿って走行する走行移動部(16)と、走行移動部(16)に支持され且つ物品(搬送物6)を吊り下げ支持する支持機構(23)と、支持機構(23)を昇降移動自在に支持する昇降支持部(17)と、を備えている。支持機構(23)は、昇降体(31)と、案内支持部(35)と、昇降体(31)と案内支持部(35)との間に位置して案内支持部(35)の荷重を受ける、上下方向に弾性変形自在な緩衝体(36)と、を有している。そのため、走行移動部(16)が走行するときの振動や昇降体(31)が昇降するときに物品(6)に伝わる振動を少なく抑えることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された物品搬送車(1)は、物品(6)を床面上の支持台(4)に移載するために、巻回体(28)を回転駆動させ、巻取りベルト(24a)を繰り出すことによって、支持機構(23)を物品(6)と共に下降させる。一般的に、支持台(4)には、物品(6)を位置決めするための位置決めピン等の位置決め機構が設けられているため、物品(6)を支持台(4)に適切に移載するためには、物品(6)を適正な姿勢で支持台(4)まで下降させる必要がある。
【0006】
しかし、特許文献1に開示された物品搬送車(1)では、案内支持部(35)が昇降体(31)に対して緩衝体(36)を介して支持されているため、案内支持部(35)に対して偏った荷重が作用した場合には、案内支持部(35)が昇降体(31)に対して傾くことがある。例えば、物品(6)の重心の位置に偏りがある場合等に、緩衝体(36)の変形量に偏りが生じて案内支持部(35)が昇降体(31)に対して傾き、物品(6)が適正な姿勢に対して傾いた姿勢となることがある。このように、物品(6)が適正な姿勢に対して傾いた姿勢で支持台(4)まで下降した場合には、物品(6)を支持台(4)に適切に移載することができない場合がある。一方、物品(6)が傾いた姿勢となることを制限するために、緩衝体(36)の弾性率を高くすると、物品(6)に伝わる振動を適切に抑制することが困難になる。
【0007】
そこで、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる物品搬送車の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑みた、物品搬送車の特徴構成は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、把持案内機構と、を備えた物品搬送車であって、前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成され、前記物品支持部は、一対の把持部を備え、一対の前記把持部が並ぶ方向を並び方向として、一対の前記把持部は、前記並び方向に互いに離間して配置され、互いに前記並び方向に沿って接近及び離間するように構成され、前記案内機構は、一対の前記把持部に対応するように前記並び方向に互いに離間して配置された第1案内機構と第2案内機構とを備え、前記把持案内機構は、前記連結部に支持されていると共に、前記並び方向に一対の前記把持部の移動を案内するように構成され、一対の前記把持部のうちの一方を第1把持部とし、一対の前記把持部のうちの他方を第2把持部として、前記弾性支持機構は、前記第1把持部に対応する第1弾性支持機構と、前記第2把持部に対応する第2弾性支持機構と、を備え、前記第1把持部は、前記第1案内機構及び前記第1弾性支持機構を介して前記把持案内機構に支持され、前記第2把持部は、前記第2案内機構及び前記第2弾性支持機構を介して前記把持案内機構に支持されている点にある。
【0009】
本構成によれば、物品支持部と連結部との間に弾性支持機構が設けられているため、走行体が走行することによる走行体の振動や、昇降装置によって昇降することによる保持装置の振動等を弾性支持機構によって減衰させることができる。よって、物品に伝わる振動を少なく抑えることができる。
また、本構成によれば、案内機構が、連結部に対する物品支持部の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部が連結部に対して傾くことを規制できる。そのため、例えば物品の重心に偏りがあること等によって物品支持部に対して偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部及び物品支持部に支持された物品が連結部に対して傾くことを規制することができる。従って、昇降装置によって保持装置を下降させて物品を載置箇所に載置する場合に、物品の姿勢が適正姿勢に対して傾くことで物品を適切に載置できない事態が生じることを回避することができる。一方、案内機構は、連結部に対する物品支持部の上下方向の平行移動を許容する。そのため、物品支持部及び物品支持部に支持された物品に作用する上下方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。
このように本構成によれば、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる。
【0010】
また、上記に鑑みた別の物品搬送車の特徴構成は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、把持案内機構と、を備えた物品搬送車であって、前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成され、前記物品支持部は、一対の把持部を備え、一対の前記把持部が並ぶ方向を並び方向として、一対の前記把持部は、前記並び方向に互いに離間して配置され、前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成され、前記案内機構は、一対の前記把持部に対応するように前記並び方向に互いに離間して配置された第1案内機構と第2案内機構とを備え、一対の前記把持部のうちの一方を第1把持部とし、一対の前記把持部のうちの他方を第2把持部として、前記第1案内機構の前記並び方向における配置領域は、前記第1把持部における前記連結部よりも下側の部分の前記並び方向における配置領域と重複し、前記第2案内機構の前記並び方向における配置領域は、前記第2把持部における前記連結部よりも下側の部分の前記並び方向における配置領域と重複している点にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】一対の搬送物支持部が支持用位置に位置している保持装置の縦断側面図
【
図5】物品搬送車の走行状態において、物品支持部が走行方向に傾く場合の側面図
【
図6】物品が載置箇所に適切に移載された場合の側面図
【
図7】物品が傾いた状態で載置箇所に移載される場合の側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.実施形態
以下、本発明に係る物品搬送車を物品搬送設備に適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、天井側に配設された走行レール2に沿って走行自在な天井搬送車として構成された物品搬送車1と、物品6に収容されている基板に対して処理を行う処理装置3と、その処理装置3に隣接する状態で床面上に設置された支持台等の載置箇所4と、が設けられている。ここで、支持台は、物品搬送車1による物品6の載置箇所4の一例である。このように、本実施形態では、走行レール2によって物品搬送車1の走行経路が構成されている。物品搬送車1によって搬送される物品6は、収容物を収容する搬送容器であり、具体的には、収容物として複数の半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unify Pod)である。
【0013】
物品6を載置する支持台等の載置箇所4は、物品搬送車1の走行経路の下方に設置されており、物品搬送車1の走行方向Xに沿って複数設置されている。物品搬送車1は、物品6を搬送すると共に昇降装置24により物品6を下降させて載置箇所4に物品6を載置する。また、物品搬送車1は、物品6を載置箇所4から受け取って昇降装置24により上昇させ、別の搬送先へ向けて物品6を搬送する。本実施形態では、このような物品搬送車1と載置箇所4との間での物品6の受け渡しを移載と称し、そのような動作を移載動作と称する。本実施形態では、載置箇所4における物品6が載置される載置面4aには、物品6の位置決め用の係合凸部Pが設けられている。本例では、載置面4a上に、3つの係合凸部Pが三角形の頂点部分に位置するような位置関係で配置されている。本例では、載置箇所4としての支持台に物品6としてのFOUPが載置された後、処理装置3により当該FOUP内から半導体基板が取り出され、所定の処理が行われる。そして、処理が完了した半導体基板を収容したFOUPを、物品搬送車1が受け取って別の処理装置3等の搬送先へ搬送する。
【0014】
〔物品〕
図2に示すように、本実施形態に係る物品6は、複数枚の基板を収容する本体部7と、この本体部7より上方である物品6の上部に備えられたフランジ部9と、を備えている。
また、この物品6は、本体部7の前面に形成された基板出し入れ用の開口を閉じる蓋体5(
図6参照)を備えている。蓋体5は、本体部7に対して着脱自在に設けられている。なお、以下では、上下方向Zに沿う上下方向視で、物品6の中心から蓋体5に直交する方向を物品前後方向とし、物品前後方向と直交する方向を物品左右方向とする。
【0015】
本実施形態では、蓋体5の単位体積当たりの重量は、物品6(FOUP)のその他の部分に比べて大きい。そのため、本体部7に半導体基板が収容されていない空の状態では、物品6の重心は物品前後方向の蓋体5側に偏る。本体部7に半導体基板が収容され物品6の全体の重量が大きくなると、当該重量における蓋体5の重量の割合が小さくなる。そのため、重心位置は物品6の中央部分に近づくように、物品前後方向における蓋体5側とは反対側に向けて移動する。また、物品6は、物品左右方向においては重量が均等になるように構成されている。そのため、物品6が空の状態である場合や、半導体基板が収容された状態である場合においても、物品6の重心の物品左右方向の偏りは小さい。
【0016】
フランジ部9と本体部7とは、物品連結部8を介して連結されている。物品連結部8は、本体部7から上方に突出するように形成されている。そして、フランジ部9は、物品連結部8の上部に取り付けられ、当該物品連結部8から物品前後方向及び物品左右方向に突出する板状に形成されている。そして、本体部7の上面とフランジ部9の下面との間に形成される、物品前後方向及び物品左右方向の窪みにより、挿入用空間12が形成されている。この挿入用空間12に、後述する一対の把持部50が挿入されることで、物品6が一対の把持部50により把持される。
【0017】
図6に示すように、物品6は、底部11に設けられた係合凹部Bを備えている。係合凹部Bは、上述した載置箇所4の載置面4aに設けられた係合凸部Pに係合されることで、載置箇所4における物品6の位置決めを行うためのものである。本実施形態では、底部11の下方を向く面である底面11aに、3つの係合凹部Bが三角形の頂点部分に位置するような位置関係で配置されている。3つの係合凹部Bの位置関係は、載置箇所4の3つの係合凸部Pの位置関係に対応している。各係合凹部Bは、底面11aから上方に向けて窪んだ凹溝とされている。本例では、3つの係合凹部Bのうち2つは物品6の前端部に近接しかつ物品左右方向に離間して設けられている。3つの係合凹部Bのうち1つは、物品6の後端部に近接しかつ左右方向で2つの係合凹部Bの中間に設けられている。本実施形態では、
図6に示すように、係合凹部Bは、後述する昇降装置24により下降されて物品6が載置箇所4に載置される場合に、当該載置箇所4に設けられた位置決め用の係合凸部Pに係合される。
【0018】
〔物品搬送車〕
次に、物品搬送車1について説明する。ここでは、物品搬送車1の走行方向に沿う方向を走行方向Xと称し、走行方向Xと上下方向視で直交する方向を幅方向Yと称して説明する。本実施形態では、物品6はその物品左右方向が物品搬送車1の走行方向Xに沿う向きで支持される。そのため、以下では、物品6が保持装置23にて保持されている状態を基準として、物品6の物品左右方向を走行方向Xとし、物品6の物品前後方向を幅方向Yとして説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、物品搬送車1は、走行経路に沿って走行する走行体16と、物品6を保持する保持装置23と、走行体16に搭載され保持装置23を走行体16に対して昇降させる昇降装置24とを備えている。また、物品搬送車1は、昇降装置24による昇降範囲の上限付近に保持装置23が位置する状態で、当該保持装置23に支持された物品6の上方側及び走行方向Xの両側を覆うカバー部25を更に備えている。
【0020】
図2に示すように、走行体16は、走行用モータ19にて回転駆動されて走行レール2の上面を転動する駆動輪20と、走行レール2の側面に当接する回転自在な案内輪21と、を備えている。そして、駆動輪20が走行用モータ19によって回転駆動され、案内輪21が走行レール2の側面に当接して案内される。これにより、走行体16が、走行レール2に案内されて走行経路に沿って走行する。
【0021】
昇降装置24は、巻取りベルト24aを巻回する巻回体28と、巻回体28を回転駆動する昇降用モータ29と、を備えている。巻取りベルト24aの先端部には、保持装置23が連結されている。そして、昇降装置24は、昇降用モータ29にて巻回体28を正転方向に回転駆動させて巻取りベルト24aを繰り出し、巻回体28を逆転方向に回転駆動させて巻取りベルト24aを巻き取ることで、保持装置23を走行体16に対して昇降させる。
【0022】
〔保持装置〕
次に、物品搬送車1の保持装置23について説明する。
図3~
図5に示すように、物品搬送車1の保持装置23は、昇降装置24に連結された連結部31と、物品6に接触して物品6を支持する物品支持部51と、を備えている。本実施形態では、連結部31は、巻取りベルト24aの先端部に連結されている。そのため、連結部31は、昇降装置24によって昇降される。連結部31は、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を支持する支持体31aと、支持体31aに取り付けられて、弾性支持機構36及び案内機構37を覆う箱状の筐体31bと、を備えている。また、本実施形態では、保持装置23は、物品支持部51を構成する一対の把持部50を互いに接近及び離間させる方向に駆動する把持駆動機構30を備えている。この把持駆動機構30も、支持体31aに支持され、筐体31bの内部に収容されている。
【0023】
まず、把持駆動機構30について説明する。把持駆動機構30は、把持案内機構38と、把持駆動源33と、把持伝達機構39と、を備えている。把持駆動源33は、本実施形態では、電動モータにより構成される把持駆動モータである。
【0024】
把持案内機構38は、一対の把持部50の相互の接近・離間方向の移動を案内する機構である。本実施形態では、一対の把持部50の接近・離間方向は、走行方向Xに平行な方向である。そして、本例では、把持案内機構38は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられ、一対の把持部50のそれぞれの接近・離間方向の移動に連動する連動部材42と、一対の連動部材42の接近・離間方向の移動を案内する案内レール40とを備えている。ここでは、
図4に示すように、複数の案内レール40が走行方向Xに沿うように支持体31aに支持されている。本実施形態では、1つの連動部材42について一対の案内レール40が幅方向Yに離間して配置されている。従って、本実施形態では、把持案内機構38は、一対の連動部材42に対応して4つの案内レール40を備えている。
図3及び
図4に示すように、連動部材42のそれぞれにおける、各案内レール40によって案内される部分には、当該案内レール40に沿って走行方向Xに案内される被案内部材41が取り付けられている。被案内部材41は、案内レール40に沿って移動自在な状態で当該案内レール40に係合している。
【0025】
上記のとおり、連動部材42は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられている。そして、各連動部材42は、把持伝達機構39と案内機構37とを接続するように構成されている。そして、連動部材42と把持部50とは、案内機構37を介して接続されている。本実施形態では、後述するように、一対の把持部50のそれぞれに対応する案内機構37が、それぞれ一対の直動案内機構37aを備えている。従って、連動部材42は、把持伝達機構39と一対の直動案内機構37aとを接続している。
【0026】
具体的には、連動部材42は、同じ把持部50を支える一対の直動案内機構37aのそれぞれに固定された一対の連動固定部42aと、一対の連動固定部42aを互いに連結する連動本体部42bと、当該連動本体部42bに設けられて、把持伝達機構39に接続された連動接続部42cと、を備えている。本例では、連動本体部42bは、幅方向Yに長い長尺板状に形成されている。そして、連動本体部42bは、幅方向Yに離間して配置された2つの被案内部材41に固定されている。また、連動本体部42bは、幅方向Yに離間して配置された一対の連動固定部42aに連結されている。本例では、一対の連動固定部42aのそれぞれは、上下方向Z視で被案内部材41と重複するように配置されている。このように、連動本体部42bは、一対の被案内部材41同士を連結すると共に、一対の連動固定部42a同士を連結している。一対の連動固定部42aは、連動本体部42bよりも上下方向Zの寸法が大きく形成されている。そして、一対の連動固定部42aのそれぞれにおける上下方向Zに直交する方向を向く面に、直動案内機構37aが取り付けられている。連動接続部42cは、後述する把持伝達機構39に接続される部分である。本実施形態では、把持伝達機構39を構成するナット部35が連動接続部42cに取り付けられている。ここでは、連動接続部42cは、連動本体部42bの幅方向Yにおける中央部分に設けられている。また、図示の例では、連動接続部42cは、ナット部35を内部に保持するブロック状に形成されている。本実施形態では、一対の連動部材42のそれぞれが備える連動接続部42cが、走行方向Xに互いに離間して配置されている。
【0027】
把持伝達機構39は、把持駆動源33の動力を一対の把持部50のそれぞれに伝達し、一対の把持部50を互いに接近及び離間させる方向に移動させる機構である。本実施形態では、把持伝達機構39は、ボールねじ34と、ボールねじ34に螺合するナット部35と、を備えている。
【0028】
ボールねじ34は、把持駆動源33としての把持駆動モータに接続されている。そして、ボールねじ34は、当該把持駆動源33により、軸心回りに回転するように駆動される。本実施形態では、
図4に示すように、ボールねじ34は、軸心が走行方向Xに沿うように配置されている。また、本例では、ボールねじ34は、支持体31aにおける幅方向Yの中央部分に配置されている。ボールねじ34の外周面には、雄ねじが形成されている。
本例では、ボールねじ34の軸心に沿う方向(走行方向X)の中央部に対して一方側と他方側とで、螺旋の向きが逆方向となるように雄ねじが形成されている。また、ボールねじ34の軸心に沿う方向(走行方向X)の一方側の端部が、把持駆動源33に接続されている。具体的には、ボールねじ34の軸方向の一端部が、把持駆動モータの出力軸に連結されている。
【0029】
ナット部35は、ボールねじ34の外周面に形成された雄ねじに螺合するように、内周面に雌ねじが形成された筒状部材である。従って、ナット部35の軸心方向も、ボールねじ34と同様に走行方向Xに沿うように配置されている。本実施形態では、上記のとおり、ナット部35は、連動部材42の連動接続部42cに取り付けられている。すなわち、走行方向Xに互いに離間して配置された一対の連動接続部42cのそれぞれに、ナット部35が取り付けられている。そして、一方のナット部35と他方のナット部35とが、ボールねじ34における、雄ねじの向きが互いに異なる部分に螺合している。従って、ボールねじ34が第1の方向に回転した場合に一対のナット部35が互いに接近し、ボールねじ34が第1の方向のとは反対の第2の方向に回転した場合に一対のナット部35が互いに離間する。このような一対のナット部35の接近及び離間する動きに連動して、一対の連動部材42及び一対の把持部50が互いに接近及び離間する。
【0030】
物品支持部51は、
図4に示すように一対の把持部50を備えており、一対の把持部50は走行方向Xに互いに離間して配置されている。そして、物品支持部51は、一対の把持部50により物品6のフランジ部9を把持するように構成されている。本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれは、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を介して連動部材42に支持されている。
図3に示すように、一対の把持部50のそれぞれは、フランジ部9に接する部分となる把持爪部50aと、弾性支持機構36及び案内機構37により支持される被支持部50bと、把持爪部50aと被支持部50bとを連結する把持連結部50cと、を備えている。本例では、
図6に示すように、把持爪部50aは、幅方向Yに延在する長尺板状に形成されている。また、
図4及び
図5に示すように、被支持部50bは、幅方向Yに延在するように形成されている。そして、把持連結部50cは、把持爪部50a及び被支持部50bにおける幅方向Yの両端部のそれぞれに設けられ、把持爪部50aと被支持部50bとを連結している。このように、本例では、把持部50は、一対の把持連結部50cを備えている。なお、一対の把持部50は、向きが対称に配置されている以外、互いに同じ構成となっている。
【0031】
把持爪部50aは、連結部31よりも下方に配置されている。被支持部50bは、連結部31の内部に収容されている。把持連結部50cは、把持爪部50aと被支持部50bとを接続するように、連結部31の内部から連結部31よりも下方へ向けて突出するように配置されている。本例では、
図3及び
図4に示すように、把持連結部50cは、連結部31の支持体31aに形成された貫通孔43を通って上下方向Zに延在している。上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、一対の把持連結部50cを備えている。従って、支持体31aには、走行方向X及び幅方向Yに離間して4つの貫通孔43が形成されており、各貫通孔43に1つの把持連結部50cが挿通されている。
【0032】
図3及び
図6に示すように、一対の把持部50の把持爪部50aが、フランジ部9の下方に形成された挿入用空間12に配置された状態で、フランジ部9を把持する。より具体的には、一対の把持爪部50aがフランジ部9に対して下方から当接することで、フランジ部9を下方から支持する。ここで、上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、後述する弾性支持機構36及び案内機構37を介して連動部材42に支持されている。そして、一対の連動部材42が、把持駆動機構30により走行方向Xに接近及び離間する方向に駆動されることにより、一対の把持部50も、接近及び離間する方向に駆動される。これにより、一対の把持部50の間隔が、把持用間隔と解除用間隔とに変化する。把持用間隔は、一対の把持部50が互いに接近した状態の間隔である。この把持用間隔となった状態では、一対の把持爪部50aの走行方向Xの間隔は、フランジ部9の走行方向Xの幅よりも狭くなる。解除用間隔は、一対の把持部50が互いに離間した状態の間隔である。この解除用間隔となった状態では、一対の把持爪部50aの走行方向Xの間隔は、フランジ部9の走行方向Xの幅よりも広くなる。
【0033】
従って、一対の把持部50を解除用間隔から把持用間隔に変化させることで、フランジ部9を把持して、保持装置23により物品6を保持することができる。また、一対の把持部50を把持用間隔から解除用間隔に変化させることで、フランジ部9の把持を解除して、保持装置23による物品6の保持を解除することができる。
【0034】
図3~
図5に示すように、保持装置23は、物品支持部51と連結部31との間に設けられて物品支持部51を連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持する弾性支持機構36を備えている。上記のとおり、本実施形態では、物品支持部51は、一対の把持部50を備えている。そこで、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれを連結部31に対して弾性的に支持するように構成されている。また上記のとおり、一対の把持部50は、把持案内機構38により相互の接近・離間方向(ここでは走行方向X)の移動が案内されるように構成されている。そのため、一対の把持部50のそれぞれは、弾性支持機構36及び案内機構37を介して、把持案内機構38を構成する連動部材42に支持されている。従って、本実施形態では、弾性支持機構36は、把持部50を連動部材42に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持するように構成されている。より具体的には、弾性支持機構36は、連動本体部42bと把持部50の被支持部50bとの上下方向Zの間に設けられている。図示の例では、連動本体部42bよりも上方に被支持部50bが配置されている。従って、弾性支持機構36は、被支持部50bを下方から弾性的に支持している。本例では、弾性支持機構36は上下方向Zに弾性を有する弾性体36aを備えている。弾性体36aは、図示の例では圧縮コイルばねである。弾性体36aの下端部は、連動本体部42bに保持され、弾性体36aの上端部は、被支持部50bに保持されている。すなわち、連動本体部42b及び被支持部50bは、それぞれ弾性体36aを保持する保持部を備えている。そして、弾性体36aは、圧縮状態で連動本体部42bと被支持部50bとの間に挟まれて配置されている。
【0035】
本実施形態では、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれについて、幅方向Yに離間して配置された一対の弾性体36aを備えている。
図4に示すように、1つの把持部50に対応する一対の弾性体36aは、幅方向Yに離間して配置されている。また、本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれにおいて、一対の弾性体36aは、一対の案内レール40よりも幅方向Yの内側に配置されている。
【0036】
更に、本実施形態では、弾性支持機構36は、一対の把持部50が互いに独立して上下動するように一対の把持部50を支持している。上記のとおり、弾性支持機構36は、一対の把持部50のそれぞれに対応して設けられ、一対の把持部50のそれぞれを連結部31に対して弾性的に支持するように構成されている。従って、一対の把持部50の一方は、一対の弾性支持機構36の一方によって連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持され、一対の把持部50の他方は、一対の弾性支持機構36の他方によって連結部31に対して上下方向Zに弾性を有する状態で支持されている。これにより、一対の把持部50は、互いに独立して上下動するように弾性支持機構36によって支持されている。
【0037】
図3及び
図4に示すように、保持装置23は、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの移動を案内する案内機構37を備えている。案内機構37は、連結部31に対する物品支持部51の上下方向Zの平行移動を許容すると共に、連結部31に対する物品支持部51の揺動を規制するように構成されている。上記の通り、本実施形態では、物品支持部51は一対の把持部50を備えている。そこで、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれの連結部31に対する上下方向Zの平行移動を許容するように構成されている。また、案内機構37は、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの幅方向Y及び走行方向Xの揺動を規制するように構成されている。そのため、本実施形態では、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれが、対応する連動部材42に対して上下方向Zに平行移動可能な状態で、把持部50と連動部材42とを接続している。
【0038】
ここで「平行移動」とは、物品支持部51が物品6を支持しておらず、保持装置23が水平面に対して理想的な位置関係となる姿勢を基準姿勢とし、基準姿勢において上下方向Zに平行となる連結部31の基準となる仮想軸を第1基準軸とし、基準姿勢において上下方向Zに平行となる物品支持部51の基準となる仮想軸を第2基準軸とした場合に、第1基準軸と第2基準軸とが平行な状態のままで、物品支持部51(本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれ)が連結部31に対して相対移動することをいう。また、「揺動」とは第1基準軸に対して第2基準軸が傾くように、物品支持部51(本実施形態では、一対の把持部50のそれぞれ)が連結部31に対して相対移動することをいう。案内機構37が、連結部31に対する物品支持部51の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部51が連結部31に対して傾くことが規制される。
【0039】
本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれについての連結部31に対する上下方向Zの移動を案内するように構成されている。ここで、案内機構37は、一対の把持部50が互いに独立して上下動するように一対の把持部50を案内する構成となっている。このような案内のため、案内機構37は、直動案内機構37aを備えている。本実施形態では、案内機構37は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構37aを備えている。具体的には、
図3~
図5に示すように、案内機構37は、全体として4つの直動案内機構37aを備えている。直動案内機構37aのそれぞれは、連結部31に固定された案内体37bと、物品支持部51に固定されて案内体37bに沿って移動する移動体37cと、を備えている。また、案内体37bは、上下方向Zに沿って移動体37cが移動するように配置されている。すなわち、案内体37bは、上下方向Zに沿って配置されている。ここで、案内体37bは、移動体37cが直線的に移動するように案内する部材であり、本例では、レール状に形成されている。移動体37cは、案内体37bに沿って直線的に移動するように、案内体37bに係合している。なお、本例では、直動案内機構37aはリニアガイドである。
【0040】
本実施形態では、案内体37bは、連動部材42に固定されている。また、移動体37cは、把持部50に固定されている。上記のように、移動体37cが案内体37bに沿って上下方向Zに移動するように案内されることにより、把持部50は、連動部材42に対して上下方向Zに移動するように案内される。つまり、把持部50の連動部材42に対する上下方向Zの平行移動が許容される。一方、案内体37bに案内される移動体37cが、上下方向Z以外には移動できないことにより、把持部50の連動部材42に対する幅方向Y及び走行方向Xへの揺動は規制される。
【0041】
また、本実施形態では、案内機構37は、一対の把持部50のそれぞれについて、幅方向Yに離間して配置された一対の直動案内機構37aを備えている。
図4に示すように、1つの把持部50に対応する一対の直動案内機構37aは、幅方向Yに離間して配置されている。本例では、一対の直動案内機構37aは、連動本体部42bの幅方向Yの両端部に設けられた一対の連動固定部42aのそれぞれに取り付けられている。より具体的には、一対の直動案内機構37aのそれぞれの案内体37bが、連動固定部42aに固定されている。このように、一対の直動案内機構37aは連動部材42によって連結されている。また、一対の直動案内機構37aは、上下方向Z視で、連動本体部42b及び被案内部材41と重複する位置に配置されている。更に、本実施形態では、一対の直動案内機構37aは、把持部50における被支持部50bに取り付けられている。より具体的には、一対の直動案内機構37aのそれぞれの移動体37cが、被支持部50bに固定されている。これにより、把持部50は、一対の直動案内機構37aにより、連動部材42に対して上下方向Zに沿って平行移動するように案内される。
【0042】
ところで、一対の把持部50は互いに独立している。すなわち、一対の把持部50のそれぞれは、
図3~
図5に示すように、互いに別の弾性支持機構36により支持され、互いに別の案内機構37により案内される。これにより、一対の把持部50は、連結部31に対して互いに独立して上下方向Zに移動することが許容される。そのため、例えば
図5に示すように、一対の把持部50の上下方向Zの位置が互いに異なるものとなり得る。
【0043】
このように、一対の把持部50が走行方向Xに互いに離間して配置され、それぞれ独立して上下動するようになっているため、上記のような案内機構37を備えているにも関わらず、物品6の走行方向Xの揺動が許容される。一般的に、物品搬送車1によって搬送中の物品6には、物品搬送車1の加減速等によって走行方向Xの荷重が作用することが多い。しかし、本実施形態の構成によれば、一対の把持部50が互いに独立して上下動するため、物品6が走行方向Xに揺動する方向の振動を弾性支持機構36によって緩和する効果が案内機構37によって妨げられることがない。一方、本実施形態の構成においても、案内機構37が、一対の把持部50のそれぞれについて、連結部31に対する上下方向Zの移動を案内するように構成され、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの揺動、特に幅方向Yの揺動を規制するように構成されている。そのため、例えば物品6の重心に幅方向Yの偏りあること等によって一対の把持部50に対して幅方向Yに偏った荷重が作用した場合であっても、一対の把持部50が連結部31に対して幅方向Yに傾くことを規制できる。従って、一対の把持部50に支持された物品6が連結部31に対して幅方向Yに傾くことを規制することができる。本実施形態では、物品6が複数の半導体基板を収容するFOUPであり、蓋体5(
図6参照)が物品6における幅方向Yの一方側に配置された状態で、物品搬送車1により搬送される。FOUPは、蓋体5の単位体積当たりの重量がその他の部分に比べて大きく、内部に収容される半導体基板の枚数等によって、物品6の全体における幅方向Yの重心位置が変動する。しかし、本実施形態に係る構成によれば、このような重心の変動によって、物品6が幅方向Yに傾くことを規制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、
図4に示すように、一対の把持部50のそれぞれにおいて、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置されている。
ここで、物品6の幅方向Yの揺動により把持部50に作用する荷重は、てこの原理により、幅方向Yの内側の方が幅方向Yの外側よりも大きくなるのが一般的である。従って、一対の直動案内機構37aを一対の弾性体36aより幅方向Yの内側に配置するよりも、一対の直動案内機構37aを一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置した方が、直動案内機構37aに作用する荷重を小さくすることができる。なお、この場合、一対の弾性体36aには比較的大きい荷重が作用することになるが、一般的に、弾性体36aは、直動案内機構37aよりも構造が単純で強度も高く確保し易いため、大きな問題は生じ難い。
【0045】
〔物品の移載動作〕
次に、保持装置23に保持された状態の物品6を、昇降装置24により下降させて直下の載置箇所4に載置する(移載する)場合の動作について説明する。
【0046】
ここで、物品6がカバー部25に収容された状態における、走行体16に対する保持装置23の位置を走行用位置(
図2参照)とする。昇降装置24は、昇降用モータ29の回転駆動により巻取りベルト24aを繰り出して、保持装置23を走行用位置から移載用位置(
図6参照)まで下降させる。保持装置23を移載用位置まで下降させることにより、保持装置23に保持された物品6が載置箇所4に載置される。このように、移載用位置は、走行用位置よりも下方の位置であって、保持装置23に保持された物品6が載置箇所4の載置面4aに載置された状態での、走行体16に対する保持装置23の位置である。保持装置23が移載用位置にあり、物品6が載置面4aに載置された状態で、把持駆動機構30により、一対の把持部50の間隔を、物品6を把持する把持用間隔から物品6の把持を解除する解除用間隔に切り換える。このようにして、物品6は載置箇所4に移載される。上記のとおり、本例では、載置箇所4の載置面4aに、位置決め用の係合凸部Pが複数設けられている。また、物品6の底面11aに、当該係合凸部Pと係合する係合凹部Bが設けられている。そして、物品6が適正姿勢である状態で保持装置23が移載用位置まで下降した場合、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに係合した状態となり、物品6が載置箇所4の載置面4aに適正に載置される。以下では、保持装置23が移載用位置まで下降した場合に、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに適正に係合することができるような物品6の姿勢を適正姿勢とする。本実施形態では、載置箇所4の載置面4aは水平面に沿うように配置されており、物品6の姿勢が適正姿勢である状態では、物品6の底面11aは水平面に沿う姿勢となる。
【0047】
比較例として、保持装置23が直動案内機構37aを備えていない場合の移載動作について説明する。この場合、一対の把持部50は連結部31に対する揺動が規制されない。
そのため、物品6の重心が幅方向Yに偏っている場合、一対の把持部50に対して偏った荷重が作用し、一対の把持部50及びこれに把持された物品6が連結部31に対して幅方向Yに傾く。例えば、本実施形態のように、物品6が複数の半導体基板を収容するFOUPであり、蓋体5(
図7参照)が物品6における幅方向Yの一方側に配置されている場合、蓋体5の単位体積当たりの重量がその他の部分に比べて大きいために、内部に収容される半導体基板の枚数によって、物品6の全体における幅方向Yの重心位置が変動する。具体的には、半導体基板の枚数が少なくなるに従って、物品6の重心が幅方向Yにおける蓋体5の側に偏ることになる。本比較例のように、保持装置23が直動案内機構37aを備えていない場合、一対の把持部50は弾性支持機構36によって弾性的に支持されている。そのため、物品6の重心に偏りがあると、重心が偏っている側に物品6と共に一対の把持部50が傾斜することを規制できず、物品6が適正姿勢に対して幅方向Yに傾くことになる。このように物品6が適正姿勢に対して傾いた状態で保持装置23が移載用位置まで下降した場合、例えば
図7に示すように、物品6の底面11aが載置面4aに対して傾いた姿勢となる。そのため、物品6の係合凹部Bが載置箇所4の係合凸部Pに適正に係合することができない場合が生じる。このような場合、物品6を載置箇所4に適切に載置できず、移載不良となる事態が生じ得る。
【0048】
これに対し、本実施形態のように、保持装置23が直動案内機構37aを備えている場合、物品支持部51としての一対の把持部50は、連結部31に対し上下方向Zの平行移動が許容されていると共に、連結部31に対する揺動が規制されている。そのため、一対の把持部50のそれぞれは、上下方向Zに平行移動することのみが許容される状態で弾性支持機構36によって弾性的に支持されている。また上記のとおり、一対の把持部50のそれぞれは、幅方向Yに延在するように形成されており、物品6のフランジ部9を幅方向Yに沿う姿勢で支持している。そのため、物品6が一対の把持部50に対して幅方向Yに揺動することが規制されている。これにより、上記のように物品6の重心が幅方向Yに偏っていることによって、一対の把持部50に対して偏った荷重が作用した場合であっても、連結部31に対する一対の把持部50のそれぞれの姿勢は維持され、物品6が連結部31に対して傾くことが規制される。従って、昇降装置24によって保持装置23を移載用位置まで下降させて物品6を載置箇所4に載置する場合に、物品6の姿勢が適正姿勢に対して傾くことを規制できる。このように物品6を適正姿勢に維持した状態で保持装置23を移載用位置まで下降させることにより、
図6に示すように、物品6の底面11aに設けられた係合凹部Bを載置箇所4の載置面4aに設けられた係合凸部Pに適正に係合させることができる。すなわち、物品6の重心の幅方向Yの偏りに関わらず、物品6を載置箇所4に適切に載置することができる。
【0049】
2.その他の実施形態
次に、物品搬送車のその他の実施形態について説明する。
【0050】
(1)上記の実施形態では、物品支持部51と連結部31との間に設けられた弾性支持機構36を構成する弾性体36aを圧縮コイルばねとした構成を例として説明した。しかし、弾性体36aの構成は、これには限定されない。弾性支持機構36における弾性体36aの配置を変更することにより、引っ張りコイルばね等の他の形式のばねを用いても良い。また、例えば、弾性を有する合成ゴムや合成樹脂等を用いても良い。
【0051】
(2)上記の実施形態では、物品支持部51が一対の把持部50を備えており、一対の把持部50が走行方向Xに互いに離間して配置される構成を例として説明した。しかし、物品支持部51の構成はこれには限定されない。例えば、一対の把持部50が幅方向Yに互いに離間して配置されていても良い。このような構成は、物品6の重心位置に走行方向Xの偏りがある場合、及び、搬送中の物品6に幅方向Yの荷重が作用する場合に適している。また、例えば、物品支持部51が、一対の把持部50の代わりに、フランジ部9の挿入用空間12に挿入されるフォークを備えていても良い。或いは、物品支持部51が、一対の把持部50の代わりに、物品6を載置面に載置して支持するための載置部を備えていても良い。これらの構成の場合、一体的に構成された物品支持部51の全体が、弾性支持機構36によって弾性支持されると共に、案内機構37によって連結部31に対する上下方向Zの平行移動を許容すると共に連結部31に対する揺動(走行方向X及び幅方向Yの双方の揺動)を規制するように案内される。
【0052】
(3)上記の実施形態では、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの外側に配置されている構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、一対の直動案内機構37aが一対の弾性体36aよりも幅方向Yの内側に配置されていても良い。
【0053】
(4)上記の実施形態では、一対の案内体37bが連動固定部42aに固定され、一対の移動体37cが被支持部50bに固定される構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、一対の案内体37bが被支持部50bに固定され、一対の移動体37cが連動固定部42aに固定されていても良い。
【0054】
(5)上記の実施形態では、案内機構37を構成する直動案内機構37aの一例として、リニアガイドを用いる例について説明した。しかし、直動案内機構37aの構成はこれには限定されない。例えば、ボールスプライン、リニアブッシュ等、公知の各種の直動案内機構を用いることができる。
【0055】
(6)上記の実施形態では、
図4に示すように、案内機構37が、一対の把持部50のそれぞれについて2つ、合計4つの直動案内機構37aを備える構成を例として説明した。
しかし、案内機構37の構成はこれには限定されない。例えば、1つの把持部50に対し3つ以上の直動案内機構37aを備えていても良い。また、1つの把持部50に対し、1つの直動案内機構37aのみを備えても良い。また、物品支持部51が一体的に構成されている場合には、当該一体的な物品支持部51に対して、1つ或いは複数の直動案内機構37aが設けられていても良い。
【0056】
(7)上記の実施形態では、物品6がフランジ部9と係合凹部Bとを備え、載置箇所4に係合凹部Bと係合する係合凸部Pが設けられた構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されることなく、例えば、物品6が係合凹部Bを備えず、載置箇所4に係合凸部Pが設けられていない構成であっても良い。そのような構成であっても、上記実施形態の構成により、物品6が載置箇所4の載置面4aに対して傾いた姿勢で載置されることを規制することで、物品6を載置箇所4に適切に載置することができる。
【0057】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0058】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した物品搬送車の概要について説明する。
【0059】
物品搬送車は、走行経路に沿って走行する走行体と、物品を保持する保持装置と、前記走行体に搭載され前記保持装置を前記走行体に対して昇降させる昇降装置と、を備え、前記保持装置が、前記昇降装置に連結された連結部と、前記物品に接触して前記物品を支持する物品支持部と、を備えた物品搬送車であって、前記保持装置が、前記物品支持部と前記連結部との間に設けられて前記物品支持部を前記連結部に対して上下方向に弾性を有する状態で支持する弾性支持機構と、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の移動を案内する案内機構と、を備え、前記案内機構が、前記連結部に対する前記物品支持部の前記上下方向の平行移動を許容すると共に、前記連結部に対する前記物品支持部の揺動を規制するように構成されている。
【0060】
本構成によれば、物品支持部と連結部との間に弾性支持機構が設けられているため、走行体が走行することによる走行体の振動や、昇降装置によって昇降することによる保持装置の振動等を弾性支持機構によって減衰させることができる。よって、物品に伝わる振動を少なく抑えることができる。
また、本構成によれば、案内機構が、連結部に対する物品支持部の揺動を規制するように構成されているため、物品支持部が連結部に対して傾くことを規制できる。そのため、例えば物品の重心に偏りがあること等によって物品支持部に対して偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部及び物品支持部に支持された物品が連結部に対して傾くことを規制することができる。従って、昇降装置によって保持装置を下降させて物品を載置箇所に載置する場合に、物品の姿勢が適正姿勢に対して傾くことで物品を適切に載置できない事態が生じることを回避することができる。一方、案内機構は、連結部に対する物品支持部の上下方向の平行移動を許容する。そのため、物品支持部及び物品支持部に支持された物品に作用する上下方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。
このように本構成によれば、物品に伝わる振動を少なく抑えることができるようにしつつ、物品が適正な姿勢に対して傾くことを抑制して物品を載置箇所に適切に載置することができる。
【0061】
ここで、前記物品支持部は、一対の把持部を備え、一対の前記把持部は、前記走行経路に沿う方向である走行方向に互いに離間して配置され、前記弾性支持機構は、一対の前記把持部が互いに独立して上下動するように一対の前記把持部を支持しており、前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについての前記連結部に対する前記上下方向の移動を案内するように構成されていると好適である。
【0062】
一般的に、物品搬送車によって搬送中の物品には、物品搬送車の加減速によって走行方向の荷重が作用することが多い。本構成によれば、一対の把持部が走行方向に互いに離間して配置され、それぞれ独立して上下動するように弾性支持機構に支持されているため、上記のような案内機構を備えた構成においても、物品の走行方向の揺動が許容される。従って、物品が走行方向に揺動する方向の振動を弾性支持機構によって緩和する効果が案内機構によって妨げられることはない。一方、本構成においても、上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、案内機構が、一対の把持部のそれぞれについて、連結部に対する上下方向の移動を案内するように構成され、連結部に対する一対の把持部のそれぞれの揺動を規制するように構成されている。そのため、例えば物品の重心に幅方向の偏りあること等によって物品支持部に対して幅方向に偏った荷重が作用した場合であっても、物品支持部が連結部に対して幅方向に傾くことを規制できる。従って、物品支持部に支持された物品が連結部に対して幅方向に傾くことを規制することができる。本構成は、物品の重心が幅方向に偏ることが多い場合に適している。
【0063】
また、前記上下方向に沿う上下方向視で前記走行方向に直交する方向を幅方向として、前記弾性支持機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の弾性体を備え、前記案内機構は、一対の前記把持部のそれぞれについて、前記幅方向に離間して配置された一対の直動案内機構を備え、一対の前記把持部のそれぞれにおいて、一対の前記直動案内機構が一対の前記弾性体よりも前記幅方向の外側に配置されていると好適である。
【0064】
本構成によれば、一対の直動案内機構が一対の弾性体より幅方向の内側に配置される場合よりも、直動案内機構に作用する荷重を小さくすることができる。従って、直動案内機構の大型化や高コスト化を回避し易くなる。
【0065】
また、前記案内機構は、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置された直動案内機構を備え、前記直動案内機構のそれぞれは、前記連結部及び前記物品支持部の一方に固定された案内体と、前記連結部及び前記物品支持部の他方に固定されて前記案内体に沿って移動する移動体と、を備え、前記案内体は、前記上下方向に沿って前記移動体が移動するように配置されていると好適である。
【0066】
本構成によれば、直動案内機構が、水平面に沿う方向に互いに離間して複数個所に配置されているため、それぞれの直動案内機構に作用する荷重を比較的小さく抑え易い。また、複数個所に配置された直動案内機構により、物品支持部を安定的に支持し易い。
【0067】
また、前記物品は、上部に設けられたフランジ部と底部に設けられた係合凹部とを備えた容器であり、前記係合凹部は、前記昇降装置により下降されて載置箇所に載置される場合に、当該載置箇所に設けられた位置決め用の係合凸部に係合され、前記物品支持部は、一対の把持部により前記フランジ部を把持するように構成されていると好適である。
【0068】
本構成によれば、物品を載置箇所に載置する場合に、係合凹部が係合凸部に係合されるため、載置箇所の適切な位置に、容器を適切に載置することができる。また、物品支持部が、一対の把持部によりフランジ部を把持することで、物品を吊り下げた状態で適切に保持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示に係る技術は、走行経路に沿って走行する物品搬送車に利用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 :天井搬送車(物品搬送車)
6 :物品
9 :フランジ部
11 :底部
23 :保持装置
24 :昇降装置
31 :連結部
32 :物品支持部
50 :把持部
36 :弾性支持機構
36a :弾性体
37 :案内機構
37a :直動案内機構
B :係合凹部
P :係合凸部
X :走行方向
Y :幅方向
Z :上下方向