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特開2024-7499安定化用の支持体及びスムーズなトレイ連結を備えた基板容器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007499
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】安定化用の支持体及びスムーズなトレイ連結を備えた基板容器
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/673 20060101AFI20240110BHJP
   B65D 85/30 20060101ALI20240110BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01L21/68 T
B65D85/30 500
B65D85/86 400
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023108122
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】63/357,011
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506017182
【氏名又は名称】家登精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUDENG PRECISION INDUSTRIAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】邱 銘乾
(72)【発明者】
【氏名】荘 家和
(72)【発明者】
【氏名】李 國華
(72)【発明者】
【氏名】沈 恩年
(72)【発明者】
【氏名】呂 俊明
【テーマコード(参考)】
3E096
5F131
【Fターム(参考)】
3E096AA05
3E096BA15
3E096BA16
3E096BB03
3E096CA02
3E096CB03
3E096CC02
3E096DA01
3E096EA02X
3E096FA09
3E096GA04
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA00
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA22
5F131DA02
5F131DA23
5F131DA24
5F131DA25
5F131DA43
5F131GA03
5F131GA13
5F131GA22
5F131GA33
5F131GA53
5F131GA62
5F131GA69
5F131GA82
5F131GA85
5F131GA99
(57)【要約】
【課題】安定化用の支持体及びスムーズなトレイ連結を備えた基板容器を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、互いに間隔をあけて配置された複数の凸リブであって、基板を収容するための複数の溝及び載置面を画定する複数の凸リブを備え、基板に用いられる少なくとも1つの支持体を含む基板容器を開示する。前記複数の凸リブの各々は、前端と後端とを有し、前記複数の凸リブのうちの隣り合う2つの凸リブの後端は前記2つの隣り合う凸リブで画定された溝が後端で閉鎖されるように閉鎖部を介して連結され、前記閉鎖部は内方に向けて凹となる面を有し、前記内方に向けて凹となる面と前記載置面との間に、前記基板を拘束するための挟持位置が画定される。
【選択図】図5B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁を有する筐体と、
前記筐体の側壁に連結された少なくとも1つの支持体であって、互いに間隔をあけて配置された複数の凸リブであって、基板を収容するための複数の溝及び載置面を画定する複数の凸リブを備えた少なくとも1つの支持体と、
を含む基板容器であって、
前記複数の凸リブの各々は、前端と後端とを有し、前記複数の凸リブのうちの隣り合う2つの凸リブの後端は前記2つの隣り合う凸リブで画定された溝が後端で閉鎖されるように閉鎖部を介して連結され、前記閉鎖部は内方に向けて凹となる面を有し、前記内方に向けて凹となる面と前記載置面との間に、前記基板を拘束するための挟持位置が画定される基板容器。
【請求項2】
前記挟持位置により、前記内方に向けて凹となる面が少なくとも基板の上縁を拘束することに用いられ、前記載置面が前記基板の底部を支持することで、前記基板を保持させる請求項1に記載の基板容器。
【請求項3】
前記挟持位置により、前記内方に向けて凹となる面が基板の上面・下面を拘束することに用いられ、前記載置面が前記基板の底部を支持することで、前記基板を保持させる請求項1に記載の基板容器。
【請求項4】
前記内方に向けて凹となる面は、第1斜面と第2斜面とを連接して成り、前記第1斜面と前記第2斜面が内方に向けて凹となる挟角を画成する請求項1に記載の基板容器。
【請求項5】
前記2つの隣り合う凸リブは、それぞれ上凸リブ及び下凸リブであり、前記上凸リブの底部、前記下凸リブの頂部及び前記内方に向けて凹となる面は前記溝を画成する請求項4に記載の基板容器。
【請求項6】
前記上凸リブの底部は案内斜面を有し、前記案内斜面は前記閉鎖部の内方に向けて凹となる面の第1斜面に連接された請求項5に記載の基板容器。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体の底部に脱着可能に連結されて、前記筐体がトレイを介して載置装置(loading apparatus)の載置インターフェース部(loading interface)に置かれるようにさせるトレイと、
を含む基板容器であって、
前記トレイは、頂部と、底部と、案内口とを備え、前記トレイの頂部に案内面が設けられ、前記案内面は前記案内口に近く、載置インターフェース部からの規制機構を受け入れるために用いられ、
前記案内面には、前記案内面と前記規制機構との間の摩擦力を低減するのに適しているテクスチャー構造(texture)が形成されている、
基板容器。
【請求項8】
前記案内口は、前記トレイの前記頂部と前記底部を貫通する矩形の案内口であり、前記トレイの前記頂部には前記案内口の四辺に沿って延びる凸縁が形成され、前記凸縁は前記案内面を有する請求項7に記載の基板容器。
【請求項9】
前記案内面は斜面を有し、前記斜面は前記案内口の縁に隣接する請求項7に記載の基板容器。
【請求項10】
前記トレイは、3つの位置決め溝をさらに備え、前記3つの位置決め溝は前記トレイの底部に対称的に配置され、前記案内口は前記3つの位置決め溝のうちの2つの対称的な位置決め溝間に位置する請求項7に記載の基板容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板容器又はウエハ容器に関し、特に、安定性が改善され、滑りにくいトレイを備えた基板容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板は、例えばウエハのサイズが大きくなるにつれ、基板上に形成される回路の密度も増大し、このような回路はパーティクル及びその他の汚染物質による欠陥がより発生しやすくなる。また、基板のサイズが大きくなるにつれ、基板の重量及び基板容器のサイズも大きくなる。このため、基板と容器とが衝突するとパーティクルが発生する可能性が高くなる。基板のサイズと重量が増加することにつれ、基板容器の支持安定性も強化する必要があった。大型基板容器の汚染リスクを軽減するため、基板容器を改良する必要があった。
【0003】
なお、従来の基板容器と載置装置の載置インターフェース部との間の摩擦面積が大きすぎるため、基板容器と載置インターフェース部との間に過剰な粘着が生じ、基板容器のロードとアンロードの円滑性に影響を与える。これにより従来の載置装置の設計変更が不可能な場合において、基板容器を改良する必要があった。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、側壁を有する筐体と、前記筐体の側壁に連結された少なくとも1つの支持体であって、互いに間隔をあけて配置された複数の凸リブであって、基板を収容するための複数の溝及び載置面を画定する複数の凸リブを備えた少なくとも1つの支持体とを含む基板容器を提供する。前記複数の凸リブの各々は、前端と後端とを有し、前記複数の凸リブのうちの隣り合う2つの凸リブの後端は前記2つの隣り合う凸リブで画定された溝が後端で閉鎖されるように閉鎖部を介して連結され、前記閉鎖部は内方に向けて凹となる面を有し、前記内方に向けて凹となる面と前記載置面との間に、前記基板を拘束するための挟持位置が画定される。
【0005】
一具体的実施形態において、前記挟持位置により、前記内方に向けて凹となる面が少なくとも基板の上縁を拘束することに用いられ、前記載置面が前記基板の底部を支持することで、前記基板を保持させる。
【0006】
一具体的実施形態において、前記挟持位置により、前記内方に向けて凹となる面が基板の上面・下面を拘束することに用いられ、前記載置面が前記基板の底部を支持することで、前記基板を保持させる。
【0007】
一具体的実施形態において、前記内方に向けて凹となる面は、第1斜面と第2斜面とを連接して成り、前記第1斜面と前記第2斜面が内方に向けて凹となる挟角を画成する。
【0008】
一具体的実施形態において、前記2つの隣り合う凸リブは、それぞれ上凸リブ及び下凸リブであり、前記上凸リブの底部、前記下凸リブの頂部及び前記内方に向けて凹となる面は前記溝を画成する。
【0009】
一具体的実施形態において、前記上凸リブの底部は案内斜面を有し、前記案内斜面は前記閉鎖部の内方に向けて凹となる面の第1斜面に連接された。
【0010】
本発明は、筐体と、前記筐体の底部に脱着可能に連結されて、前記筐体がトレイを介して載置装置の載置インターフェース部に置かれるようにさせるトレイとを含む基板容器も提供する。前記トレイは、頂部と、底部と、案内口とを備え、前記トレイの頂部に案内面が設けられ、前記案内面は前記案内口に近く、載置インターフェース部からの規制機構を受け入れるために用いられる。前記案内面には、前記案内面と前記規制機構との間の摩擦力を低減するのに適しているテクスチャー構造が形成されている。
【0011】
一具体的実施形態において、前記案内口は、前記トレイの頂部と底部を貫通する矩形の案内口であり、前記トレイの頂部には前記案内口の四辺に沿って延びる凸縁が形成され、前記凸縁は前記案内面を有する。
【0012】
一具体的実施形態において、前記案内面は斜面を有し、前記斜面は前記案内口の縁に隣接する。
【0013】
一具体的実施形態において、前記トレイは、3つの位置決め溝をさらに備え、前記3つの位置決め溝は前記トレイの底部に対称的に配置され、前記案内口は前記3つの位置決め溝のうちの2つの対称的な位置決め溝間に位置する。
【0014】
本発明の前述の態様及び他の態様は、添付の図面を参照しながら、下記非限定的な具体的実施形態に基づいて詳細に説明することにより、より明らかになるであろう。
【0015】
本発明をよりよく理解するため、以下の図面及び説明を参照することができる。以下の図面を参照しつつ、非限定的かつ非網羅的な実施形態を説明する。図面中の構成要素は必ずしも実際のサイズに描かれているわけではなく、構造及び原理の説明に焦点を合わせて描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る基板容器の立体図である。
図2】本発明の一実施形態に係る基板容器の立体分解図である。
図3A】本発明の支持体の正面図である。
図3B】本発明の支持体の背面図である。
図4A】本発明の支持体の上面図である。
図4B】本発明の支持体の左側面図である。
図4C】本発明の支持体の右側面図である。
図5A】本発明の支持体の部分拡大図である。
図5B】本発明の支持体の部分拡大図である。
図5C】本発明の支持体の部分拡大図である。
図5D】本発明の支持体の部分拡大図である。
図6】本発明の別の実施形態に係る基板容器の立体図である。
図7】本発明の一実施形態に係る基板容器の立体分解図である。
図8】本発明のトレイの立体図である。
図9A】本発明のトレイの上面図である。
図9B】本発明のトレイの底面図である。
図10A図9AのA-A線に沿った断面図である。
図10B図9AのA-A線に沿った断面図の部分拡大図である。
図11A】本発明の異なる実施形態に係るテクスチャー構造を示す図である。
図11B】本発明の異なる実施形態に係るテクスチャー構造を示す図である。
図12A】本発明のテクスチャー構造の異なるパターンである。
図12B】本発明のテクスチャー構造の異なるパターンである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下は、図面を参照しつつ本発明をより完全に説明し、かつ特定の実施形態を例示する。しかし、請求された主題は、様々な異なる形態で具体的に実施され得、したがって、カバー又は出願の請求する主題の構成は、本明細書に開示された具体的実施形態に限定されない。具体的実施形態は、単なる例示である。同様に、本発明は、出願又はカバーされる請求の主題に対して合理的に広い範囲を提供することを意図している。また、例えば請求された主題は、方法、装置又はシステムとして具体的に実施され得る。
【0018】
本明細書で使用される用語「一実施形態において」は、必ずしも同じ具体的実施形態を指すとは限らず、本明細書で使用される用語「他のいくつか/特定の実施形態において」は、必ずしも異なる具体的実施形態を指すとは限らない。請求される主題は、具体的実施形態の全部或いは一部の組み合わせを含むことが意図されている。
【0019】
背景技術で述べたように基板のサイズが大きくなると、基板の重量も増加する。このタイプの基板に適応するため、基板容器の安定化能力を強化する必要がある。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る基板容器1の立体図である。図2は、本発明の一実施形態に係る基板容器1の立体分解図である。
【0021】
基板容器1は、筐体11と、筐体11に結合可能なドア(図示せず)とを含む。筐体11は、基本的に頂部(ceiling)、底部、一対の側壁及び後壁から構成され、収容空間を画成し、複数の内部コンポーネント及び複数の基板を収容するために用いられる。筐体11の頂部、底部及び側壁は、前端にある開口部12を画成し、開口部12を通して、ロボットアーム先端が前記収容空間に出入りして基板を出し入れすることができるようにする。基板容器1は、側壁の内側に脱着可能に連結されて、複数の基板を収容できる複数の溝を画定するための一対の支持体13を含む。
【0022】
図1及び図2に示される構成要素以外に、基板容器1は実際にその他の構成要素も含む。例えば頂部には、天井走行式無人搬送車(OHT)に適合する結合構造を設け、収容空間にガスを供給するガス拡散タワー(gas diffusion tower)を底部に組み付け、排気通路を開口部12に近く設けて排気するために用いられることができる。一又は複数の給気モジュール及び排気モジュールは、底部に取り付けられてガス拡散タワー及び排気通路にそれぞれ接続されることができる。なお、ドアは、開口部12の近くの穴に適合することでドアを筐体11に結合させるためのラッチ機構を備え得る。
【0023】
図3A及び図3Bは、それぞれ支持体13の正面図及び背面図であり、特に、図2の左側の支持体13を示す。図4A図4B及び図4C図は、それぞれ支持体13の上面図、左側面図及び右側面図である。支持体13は、基本的に連続壁131を含み、連続壁131は基本的に筐体11の側壁の形状に基づき形作られて、略湾曲の連続壁(図3A)を呈し、連続壁131の外面は筐体11の側壁に可能な限り貼着する。連続壁131は、筐体11の頂部と底部との間に延びる高さ及び後側と開口部12との間に延びる長さを有する。連続壁131は、支持体13の上下境界として頂部135と、底部136とを有する。複数の凸リブ133は、連続壁131の頂部と底部との間に水平に延びる連続構造である。複数の凸リブ133は、所定の間隔を隔てて連続壁131の内面に位置する。なお、支持体13は、頂部135及び底部136に支持体137を制限して筐体11の側壁に位置決めするための複数の位置決め部材137をそれぞれ設けることができる。支持体13は、一体的に成形することも、複数の部材から組み立ててから成ることもできる。
【0024】
図5A図5Dは、それぞれ支持体13の部分拡大図であり、特に図2の右側の支持体13を示す。これら凸リブ133の一端は互いに連結されて閉鎖となり、他端が連結されずに開放となる。隣り合う2つの凸リブ133間には1つの溝5及び1つの載置面が画定され、単一の基板を収容する。隣り合う2つの凸リブ133は、適切な間隔をあけて分離されて、隣り合う2つの凸リブ133の開放端から基板が溝5に出入りできるようになっている。前記載置面とは、隣り合う2つの凸リブ133のうちの下凸リブ133の頂部構造を指し、基板の底部を支持するために用いられる。
【0025】
図5Bは、連続した閉鎖部1321を示し、各閉鎖部1321は、溝5の末端が閉鎖されるように隣り合う2つの凸リブ133の末端を連結する。溝5に収容される基板の縁は、閉鎖部1321と隣り合う2つの凸リブ133との間に制限される。図5Cに示すように、閉鎖部1321は、内方に向けて凹となる面50を有し、前記内方に向けて凹となる面は第1斜面51と第2斜面52によって画定され、第1斜面51は上凸リブ133の底部の案内斜面1331に連接され、第2斜面52は下凸リブ133の頂部の下降斜面1332に連接される。
【0026】
図5Cに示すように、第1斜面51と第2斜面52によって画定される内方に向けて凹となる面は、凹頂点53(concave peak)を有し、前記凹頂点は下凸リブ133の頂部の載置面、すなわち、平面1333に形成されたバンプ(bump)1334とほぼ同じ高さ(破線で示すように)であることで、基板の側面(縁及び上面・下面を含む)が内方に向けて凹となる面50の凹頂点53に当接でき、第1斜面51と第2斜面52によって規制及び挟持され、同時に載置面のバンプ1334が基板の底部を支持する。その他の実施形態において、凹頂点53の位置は平面1333又はバンプ1334の位置よりわずかに低いため、基板の縁が内方に向けて凹となる面50に当接した時、基板の少なくとも上縁は第1斜面51によって規制され、載置面のバンプ1334は基板の底部を支持し、基板は第1斜面51と平面1333のバンプ1334によって相互作用して保持された状態にある。いくつかの実施形態において、バンプ1334を省略してもよい。凹頂点53が平面1333又はバンプ1334と同じ高さを有する利点は、基板の縁が第1斜面51と第2斜面52によって挟持されている間、基板のエッジを可能な限り水平に保つことができることであり、そうでないと基板の底部が平面1333に近接せずに垂れ下がる可能性がある。
【0027】
上凸リブ133の案内斜面1331が、基板の縁が内方に向けて凹となる面50に向けて移動するように案内する機能を有し、下凸リブ133の下降斜面1332と第2斜面52とが窪み(sunken)54を形成することで、基板の下縁が移動過程中に衝突される確率を低減する。図5Cに示すように、下降斜面1332と第2斜面52とによって形成された窪み54は、谷頂点(valley peak)55を有し,前記谷頂点55が内方に向けて凹となる面50の凹頂点53より低く、すなわち、前記谷頂点55は下凸リブ133の頂部の平面1333より低い。該実施形態において、第1斜面51と第2斜面52は内方に向けて凹となる挟角θ1を画定し、第2斜面52と下降斜面1332は窪み挟角θ2を画定し、θ2はθ1よりも大きい。もちろん、本発明はこれに限定されるものではない。他の可能な実施形態において、前記第1斜面51、第2斜面52、案内斜面1331及び下降斜面1332が、曲面であり得るため、前記内方に向けて凹となる挟角θ1及び窪み挟角θ2の数値を明確に定義することができないが、基板の下縁が衝撃されてパーティクルが発生するのを防ぐため、窪み54の谷頂点55は内方に向けて凹となる面50の凹頂点53より低くなければならない。
【0028】
第1斜面51が上凸リブ133の底部の案内斜面1331に連接されることと、第2斜面52が下凸リブ133の頂部の下降斜面1332に連接されることは挟持範囲を画成する。図5Dは、連続壁131の外面に複数の凹所132を有し、各凹所132の位置が挟持範囲に対応することを示している。この構造設計の目的は、連続壁131の壁の厚さを一致させ、基板の重量を支える複数の凸リブ133の元の特性を維持することである。
【0029】
図6は、本発明の別の実施形態に係る基板容器の立体図である。図7は、本発明の別の実施形態に係る基板容器の立体分解図である。
【0030】
基板容器1は、筐体11と、筐体11に結合可能なドア(図示せず)とを含む。筐体11は、基本的に頂部、底部、一対の側壁及び後壁から構成され、収容空間を画成し、複数の内部コンポーネント及び複数の基板を収容するために用いられる。筐体11の頂部、底部及び側壁は、前端にある開口部12を画成し、開口部12を通してロボットアーム先端が前記収容空間に出入りして基板を出し入れすることができるようにする。基板容器1は、底部の外側に着脱可能に取り付けられ、基板容器1のベース部とするトレイ14をさらに含む。
【0031】
図8は、トレイ14の立体図である。図9A及び図9Bは、それぞれトレイ14の上面図及び底面図である。トレイ14は、基本的に板体であり、トレイ14の頂部には主に基板容器1の底部と連結する構成が含まれ、底部には主に載置装置と連結する構成が含まれる。例えばトレイ14の後端には給気モジュール(図示せず)用の2つの丸穴81が形成され、前端には排気モジュール(図示せず)用の2つの丸穴82が形成されている。載置装置上のガス供給ノズル及び排気ポートは、後端の丸穴81及び前端の丸穴82を介して基板容器の底部にある給気モジュール及び排気モジュールにそれぞれ接続して、ガスの操作を実現できる。
【0032】
図9Bに示すように、トレイ14の底面には、対称的な分布でトレイ14の底面に形成された3つの位置決め溝83を有し、うち1つの位置決め溝83は後端の丸穴81に近く、他の2つの位置決め溝83は前端の丸穴82に近い。載置装置の載置インターフェース部は、これら位置決め溝83に嵌合されて基板容器1を載置インターフェース部に位置決めさせることができる複数の位置決めピン(pins)を有する。
【0033】
図9Aに示すように、トレイ14の頂部には、案内口84を有する。この案内口84は、載置装置の載置インターフェース部によって提供される規制機構(図示せず)と協働するように設計され、規制機構が次に説明される。規制機構は、載置インターフェース部から案内口84を経由してトレイ14に入り込み、係止、押し付け、引っ掛け又は吸引の方法でトレイ14を保持する。案内口84は、前端の丸穴82或いは2つの対称的な位置決め溝83間に位置し、矩形を呈するが、本発明はこれに限定されず、載置インターフェース部の設計に応じて変更することができる。図8に示すように、案内口84の縁には、隆起した凸縁又はボスが形成され、前記凸縁は案内面85を有する。案内面85は、細長い面であり、案内口84に隣接する矩形の縁、特にトレイ14の中心に近い矩形の縁であるが、本発明はこれに限定されない。
【0034】
案内面85は、前記規制機構と協働するように設計されている。図10A及び図10Bは、それぞれ図9AのA-A線に沿った断面図及びその部分拡大図である。図に示すように、案内面85は案内口84の後端に位置する。概略的な規制機構9は、載置装置の載置インターフェース部から案内口84に入り込み、案内面85に当接する。規制機構9の末端にローラー(roller)を有し、前記ローラーで案内面85に接触する。図10Bに示すように、案内面85の前縁の案内口84に近い箇所に斜面851を有し、斜面851はローラーが案内面85に乗り上げるときの障害を軽減するために用いられる。規制機構9は、筐体を載置したトレイ14が載置装置の載置インターフェース部に密着するように案内面85に圧力を加えることができる。規制機構9は、案内面85から水平方向に移動して離れ、案内口84から退いて載置インターフェース部に戻ることができる。ローラーで案内面85に接触するが、規制機構9によって加えられる下向きの圧力が増大すると、ローラーと案内面85との間の摩擦が増大するため、規制機構9の動きが滑らかにならなくなる。
【0035】
本発明は、接触面積を減少させることによって摩擦を減少させるための技術的手段を提案する。具体的に言えば、案内面85には特殊なテクスチャー構造が形成されている。図11A及び図11Bは、それぞれテクスチャー構造の異なる実施形態を示している。図11Aは、案内面85Aが、平面上に複数の隆起、例えば円形の隆起、細長い隆起、又は蛇行する隆起が形成されることを示している。図11Bは、案内面85Bが平面上に凹み又は溝、例えば円形の凹み又は細長い溝が形成されることを示している。したがって、ローラーが案内面85A、85Bに当接する時の接触面積が、ローラーが平面に当接する時の接触面積よりも相対的に小さくなって、ローラーと案内面85A、85Bとの間の摩擦を効果的に低減させ、このため、規制機構9とトレイ14との機械的相互作用がよりスムーズになる。その他の実施形態において、前記テクスチャー構造は、特定の粗さによって画定される粗面或いは特定の材料をコーティングすることによって形成される粗面であり得る。前記テクスチャー構造は、レーザー表面処理、機械加工表面処理若しくは化学的処理によって形成された粗面であってもよい。
【0036】
図12A及び図12Bは、それぞれテクスチャー構造の異なるパターンを示している。図12Aは、テクスチャー構造のパターンが案内面85の長手方向に沿って延在する複数の細長いパターン100Aを配列して成ることを示している。異なる変形例において、細長いパターン100Aは案内面の幅方向に沿って延在してもよいし、斜めに延在してもよい。テクスチャー構造の隆起又は凹みは、細長いパターン100Aの分布によって形成され得る。図12Bは、テクスチャー構造のパターンが案内面85上に均等に分布する複数の円形パターン100Bを配列して成ることを示している。異なる変形例において、円形パターン100Bを正方形、三角形或いはその他の多辺形に置き換えることができる。テクスチャー構造の隆起又は凹みは、円形パターン100Bの分布に従って形成され得る。
【0037】
しかし、本発明の各具体的実施形態は説明の目的のためのものであって、本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく多種多様な改変を加えることができ、かつ本発明の特許範囲に含まれるきであることを理解されたい。したがって、本明細書に記載される各具体的実施形態は本発明を限定ではなく、本発明の真の範囲及び主旨は後記の特許請求の範囲に開示される。
【符号の説明】
【0038】
100A 細長いパターン
100B 円形パターン
1 基板容器
11 筐体
12 開口部
13 支持体
131 連続壁
132 凹所
1321 閉鎖部
133 凸リブ
1331 案内斜面
1332 下降斜面
1333 平面
1334 バンプ
135 頂部
136 底部
137 位置決め部材
14 トレイ
5 溝
50 内方に向けて凹となる面
51 第1斜面
52 第2斜面
53 凹頂点
54 窪み
55 谷頂点
81 丸穴
82 丸穴
83 位置決め溝
84 案内口
85、85A、85B 案内面
851 斜面
9 規制機構
θ1 内方に向けて凹となる挟角
θ2 窪み挟角
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B