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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075018
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】副室式ガスエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02B 19/12 20060101AFI20240527BHJP
   F02B 23/08 20060101ALI20240527BHJP
   F02B 19/16 20060101ALI20240527BHJP
   F02M 21/02 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F02B19/12 E
F02B23/08 L
F02B19/16 F
F02M21/02 301P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186118
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 雄太
(72)【発明者】
【氏名】武原 直人
【テーマコード(参考)】
3G023
【Fターム(参考)】
3G023AA01
3G023AB03
3G023AC07
3G023AD23
3G023AD28
3G023AF03
(57)【要約】
【課題】構造の複雑化を抑制しつつ、副室内の点火プラグ近傍の混合気の可燃濃度を高めることができる副室式ガスエンジンを提供する。
【解決手段】主燃焼室及び主燃焼室と複数の噴孔を介して連通される副室を有する副室式ガスエンジンであって、主燃焼室を形成する主燃焼室形成部と、副室を形成する副室形成部と、ガス燃料及び空気を含む混合気を主燃焼室に導くための吸気ラインと、副室に配置され、未燃燃料を点火するように構成された点火プラグと、吸気ラインから分岐し、吸気ラインを流れる混合気を未燃燃料の少なくとも一部として副室に導くための混合気導入ラインと、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主燃焼室及び前記主燃焼室と複数の噴孔を介して連通される副室を有する副室式ガスエンジンであって、
前記主燃焼室を形成する主燃焼室形成部と、
前記副室を形成する副室形成部と、
ガス燃料及び空気を含む混合気を前記主燃焼室に導くための吸気ラインと、
前記副室に配置され、未燃燃料を点火するように構成された点火プラグと、
前記吸気ラインから分岐し、前記吸気ラインを流れる前記混合気を前記未燃燃料の少なくとも一部として前記副室に導くための混合気導入ラインと、を備える、
副室式ガスエンジン。
【請求項2】
前記複数の噴孔の各々は、前記副室の中心軸線の延在方向における前記主燃焼室側の端部に形成され、
前記点火プラグは、前記副室の前記中心軸線の延在方向における前記主燃焼室から離隔した側の端部に取り付けられ、
前記混合気導入ラインに形成された前記副室に連通する混合気導入口は、前記副室の前記主燃焼室から離隔した側の端部に形成された、
請求項1に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項3】
前記副室は、
前記点火プラグの点火部が配置され、且つ前記混合気導入口が形成された第1領域と、
前記複数の噴孔が形成された第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域との間に形成され、前記第1領域よりも前記副室の前記中心軸線に直交する面積が小さい第3領域と、を含む、
請求項2に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項4】
前記点火プラグは、前記副室の前記中心軸線に沿った断面において、前記点火プラグの軸線が前記副室の前記中心軸線の延在方向に沿って延在する、
請求項3に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項5】
前記点火プラグは、前記副室の前記中心軸線に沿った断面において、前記点火プラグの軸線が、前記主燃焼室側に向かうにつれて前記副室の前記中心軸線からの距離が短くなるように傾斜する、
請求項3に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項6】
前記混合気導入ラインは、前記副室の前記中心軸線に沿った断面において、前記混合気導入口を含む少なくとも一部が、前記混合気導入口側に向かうにつれて前記点火プラグの軸線からの距離が短くなるように傾斜する、
請求項2乃至5の何れか1項に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項7】
前記副室の前記中心軸線の延在方向における一方側から視た場合において、
前記混合気導入ラインの前記混合気導入口を含む少なくとも一部は、前記点火プラグの点火部に向かって延在している、
請求項2乃至5の何れか1項に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項8】
前記点火プラグの点火部は、前記副室の前記中心軸線に沿った断面において、前記混合気導入口の中心を通る仮想直線上に位置する、
請求項2乃至5の何れか1項に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項9】
前記吸気ラインに設けられ、前記混合気を圧縮するように構成された圧縮機をさらに備え、
前記吸気ラインの前記混合気導入ラインとの接続部は、前記圧縮機よりも下流側に設けられた、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項10】
前記吸気ラインの前記圧縮機よりも上流側に接続され、前記ガス燃料を供給するためのガス燃料供給ラインと、
前記ガス燃料供給ラインから分岐し、前記ガス燃料供給ラインを流れる前記ガス燃料を前記未燃燃料の少なくとも一部として前記副室に導くためのガス燃料導入ラインと、をさらに備える、
請求項9に記載の副室式ガスエンジン。
【請求項11】
前記ガス燃料導入ラインは、前記混合気導入ラインに接続され、
前記副室式ガスエンジンは、
前記混合気導入ラインにおける前記吸気ラインとの接続部と前記ガス燃料導入ラインとの接続部との間に設けられ、前記ガス燃料導入ラインとの接続部から前記吸気ラインとの接続部に向かう気体の流通を阻止する第1逆流防止装置と、
前記ガス燃料導入ラインに設けられ、前記混合気導入ラインとの接続部から前記ガス燃料供給ラインとの接続部に向かう気体の流通を阻止する第2逆流防止装置と、をさらに備える、
請求項10に記載の副室式ガスエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、副室式ガスエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ピストンとシリンダヘッドとの間に画定される主燃焼室と、該主燃焼室と複数の噴孔を介して連通される副室(副燃焼室)と、を備える副室式ガスエンジンが知られている(例えば、特許文献1)。副室式ガスエンジンは、副室に配置された点火プラグにより、副室の混合気を着火し、該着火により生じた燃焼火炎が複数の噴孔の各々から噴出することで、主燃焼室の希薄予混合気を燃焼させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-142222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
副室式ガスエンジンには、副室にガス燃料を供給することで点火プラグ周辺の混合気の可燃濃度を高めるアクティブ副室がある。このアクティブ副室は、混合気の過給圧と同程度までガス燃料を昇圧しないと、副室の内部にガス燃料を供給できない。このため、アクティブ副室は、ガス燃料を昇圧するための専用の圧縮機が必要であり、副室式ガスエンジンの構造の複雑化を招くという問題がある。
【0005】
副室式ガスエンジンには、副室に燃料供給がないパッシブ副室がある。このパッシブ副室は、前サイクルにおいて主燃焼室や副室に残留した排ガスの影響を受ける。パッシブ副室において噴孔や副室の形状を工夫することで、点火プラグ周辺の混合気の可燃濃度を高めることができるが、噴孔や副室の形状の制約が大きいという問題がある。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態は、構造の複雑化を抑制しつつ、副室内の点火プラグ近傍の混合気の可燃濃度を高めることができる副室式ガスエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る副室式ガスエンジンは、
主燃焼室及び前記主燃焼室と複数の噴孔を介して連通される副室を有する副室式ガスエンジンであって、
前記主燃焼室を形成する主燃焼室形成部と、
前記副室を形成する副室形成部と、
ガス燃料及び空気を含む混合気を前記主燃焼室に導くための吸気ラインと、
前記副室に配置され、未燃燃料を点火するように構成された点火プラグと、
前記吸気ラインから分岐し、前記吸気ラインを流れる前記混合気を前記未燃燃料の少なくとも一部として前記副室に導くための混合気導入ラインと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、構造の複雑化を抑制しつつ、副室内の点火プラグ近傍の混合気の可燃濃度を高めることができる副室式ガスエンジンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンを模式的に示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンの副室形成部の概略断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンの副室形成部の概略断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンの副室を副室の中心軸線の延在方向における主燃焼室側から視た概略図である。
図5】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンの副室形成部の概略断面図である。
図6】本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジンを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
(副室式ガスエンジン)
図1及び図6の各々は、本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジン1を模式的に示す図である。幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図1及び図6に示されるように、該エンジン1の主燃焼室20及び該主燃焼室20と複数の噴孔31を介して連通される副室(副燃焼室)30を有する。本開示の副室式ガスエンジン1は、自動車用、舶用又は産業用(例えば、陸上発電用)に利用可能である。
【0012】
副室式ガスエンジン1は、図1及び図6に示されるように、主燃焼室20を形成する主燃焼室形成部2と、副室30を形成する副室形成部3と、ガス燃料及び空気を含む混合気を主燃焼室20に導くための吸気ライン4と、副室30に配置され、未燃燃料を点火するように構成された点火プラグ5と、吸気ライン4から分岐し、吸気ライン4を流れる混合気を上記未燃燃料の少なくとも一部として副室30に導くための混合気導入ライン6と、を備える。
【0013】
副室式ガスエンジン1は、図1及び図6に示されるように、主燃焼室20の中心軸線CMに沿って延在するシリンダボア(円筒孔)111が形成されたシリンダブロック11、及び、該シリンダボア111の開口端を閉塞する閉塞部121を有するシリンダヘッド部材12により構成されるシリンダ13と、シリンダボア111の内部に収納され、シリンダボア111の軸線(主燃焼室20の中心軸線CM)の延在方向に沿って往復運動可能なピストン14と、副室口金19と、を備える。
【0014】
(主燃焼室)
上述した主燃焼室20は、シリンダボア111の内周面、ピストン14の頂面、及び、閉塞部121のピストン14の頂面に隙間を挟んで対向するボア側面122、により画定される。閉塞部121及び該閉塞部121のボア側面122は、主燃焼室20の中心軸線CMに対して直交方向に沿って延在する。主燃焼室形成部2は、シリンダブロック11のシリンダボア111が形成された部分、シリンダヘッド部材12の閉塞部121、及び、ピストン14を含む。
【0015】
(シリンダヘッド部材)
シリンダヘッド部材12は、上述した閉塞部121と、点火プラグ5を支持する点火プラグ支持部123と、を有する。図示される実施形態では、シリンダヘッド部材12は、閉塞部121を有するシリンダヘッド12Aと、点火プラグ支持部123を有する副室プラグホルダ12Bと、を含む。シリンダヘッド12Aは、副室プラグホルダ12Bとは別体に構成され、副室プラグホルダ12Bを支持するプラグホルダ支持部124を有する。副室プラグホルダ12Bは、プラグホルダ支持部124に支持されることで、シリンダヘッド12Aに内装される。なお、他の幾つかの実施形態では、シリンダヘッド部材12は、シリンダヘッド12Aと副室プラグホルダ12Bとが一体的に構成されていてもよい。
【0016】
図2図3及び図5の各々は、本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジン1の副室形成部3の概略断面図である。図2図3及び図5では、副室形成部3の副室30の中心軸線CSに沿った、中心軸線CSを含む断面が示されている。副室プラグホルダ12Bは、閉塞部121に対して主燃焼室20とは反対側(図1中上側)に配置され、閉塞部121との間に副室口金19を挟持している。副室プラグホルダ12Bは、点火プラグ5の軸線CPに沿って延在するプラグホール123Aを有する。点火プラグ5は、プラグホール123Aの内部に収容されている。点火プラグ5の外面に形成されたネジ部と、プラグホール123Aの内面に形成されたネジ部と、が螺合することで、点火プラグ5が副室プラグホルダ12Bに固定支持される。点火プラグ支持部123は、ネジ部が内面に形成されたプラグホール123Aを含む。
【0017】
(点火プラグ)
図1図3図5及び図6に示されるように、点火プラグ5は、点火プラグ5の軸線CPの延在方向における一方側(主燃焼室20側)に設けられる点火部51(火花放電部)を含み、点火部51において火花放電を起こすことで、混合気に点火するスパークプラグである。
【0018】
点火部51は、図2図3及び図5に示されるように、中心電極52と、中心電極52に非接触に配設される接地電極53であって、中心電極52との間に火花を発生させるための火花放電ギャップを形成する接地電極53と、を含む。点火部51は、副室30に配置されている。図示される実施形態では、点火部51は、副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部125の端面よりも主燃焼室20側(図中下側)に配置されている。
【0019】
(副室口金)
副室口金19は、主燃焼室20側の端部が閉塞された有底筒状に形成され、主燃焼室20から離隔した側の端部が、副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部に当接した状態で直列に連結されている。副室口金19は、閉塞部121に形成された中心軸線CMに沿って延在する貫通孔126を挿通する。副室口金19の主燃焼室20側の端部125は、主燃焼室20に面するようになっている。
【0020】
(副室)
副室30は、図2図3及び図5に示されるように、副室口金19の内面と、副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部125の端面と、により画定される。上述した副室形成部3は、副室口金19及び副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部125を含む。副室口金19の主燃焼室20側の端部に、その内部に形成された副室30と外部とを連通する複数の噴孔31が形成されている。これらの複数の噴孔31を介して主燃焼室20と副室30とが連通される。
【0021】
図1及び図6に示されるように、閉塞部121における副室口金19の周囲に主燃焼室20に夫々連通する吸気孔15及び排気孔16が形成されている。副室式ガスエンジン1は、吸気孔15を開閉可能な吸気弁17と、排気孔16を開閉可能な排気弁18と、をさらに備える。以下、副室式ガスエンジン1が、主燃焼室20内に混合気(ガス燃焼を含む空気)を導く給気工程、主燃焼室20内の混合気を圧縮する圧縮工程、点火プラグ5により点火された混合気が燃焼する燃焼工程、及び主燃焼室20内から排ガスを排出する排気工程、を備える4ストロークエンジンである場合について説明するが、本開示の副室式ガスエンジン1は、2ストロークエンジンにも適用可能である。
【0022】
(吸気ライン)
吸気ライン4は、ガス燃料及び空気を含む混合気が流れる流路を有する。吸気ライン4の下流端に上述した吸気孔15が形成されている。図示される実施形態では、副室式ガスエンジン1は、吸気ライン4に設けられ、吸気ライン4を流れる混合気を圧縮するように構成された圧縮機41と、吸気ライン4の圧縮機41よりも上流側に接続され、ガス燃料を供給するためのガス燃料供給ライン7と、をさらに備える。
【0023】
圧縮機41を駆動させることで、吸気ライン4のガス燃料供給ライン7との接続部よりも上流側から空気が吸引される。吸気ライン4は、上流端が開放されていてもよいし、酸素濃度が大気中の空気よりも高い気体(リッチ酸素ガス)の供給源(例えば、リッチ酸素ガスを貯留するガスタンク)に接続されていてもよい。ガス燃料供給ライン7の上流端は、ガス燃料の供給源(例えば、ガス燃料を貯留するガス燃料タンク)70に接続されている。ガス燃料供給ライン7を流れる燃料ガスは、吸気ライン4の圧縮機41よりも上流側を流れる混合気よりも高圧になっている。ガス燃料供給ライン7を介して吸気ライン4に流入したガス燃料が吸気ライン4を流れる空気に混ざることで、混合気が形成される。
【0024】
図示される実施形態では、副室式ガスエンジン1は、主燃焼室20から排ガスを排出するための排気ライン9と、排気ライン9に設けられ、排気ライン9を流れる排ガスのエネルギにより駆動するように構成されたタービン43と、圧縮機41及びタービン43を連結する回転シャフト42と、をさらに備える。副室式ガスエンジン1は、圧縮機41、回転シャフト42及びタービン43から構成される過給機(ターボチャージャ)を含む。回転シャフト42の一端側に圧縮機41が連結され、回転シャフト42の他端側にタービン43が連結されている。圧縮機41は、タービン43に回転シャフト42を介して同軸で連結されているので、回転シャフト42とともにタービン43の回転に連動して回転する。圧縮機41は、主燃焼室20から排出される排ガスのエネルギにより駆動し、吸気ライン4を流れる混合気を圧縮するように構成されている。
【0025】
(混合気導入ライン)
混合気導入ライン6の上流端は、吸気ライン4のガス燃料供給ライン7との接続部よりも下流側に接続されている。混合気導入ライン6の下流端には、副室30に連通する混合気導入口61が形成されている。図示される実施形態では、混合気導入口61は、副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部125の端面に形成されている。図示されるように、副室式ガスエンジン1は、混合気導入ライン6に設けられ、混合気導入口61から吸気ライン4との接続部P2に向かう気体の流通を阻止する逆流防止装置(図示例では、逆止弁)90をさらに備えていてもよい。
【0026】
給気工程において、吸気孔15を介して主燃焼室20に導入される混合気を主燃焼室側混合気とする。給気工程において、混合気導入ライン6を介して副室30に導入される混合気を副室側混合気とする。主燃焼室側混合気は、主燃焼室20に残留した排ガスが混ざるので、副室側混合気よりも可燃濃度が低下する。副室側混合気が副室30内の気体に混ざることで副室30内に過濃な混合気を形成する。副室30内の混合気は、点火プラグ5の点火部51における火花放電により着火されて燃焼する。そして、着火火炎は、複数の噴孔31を介して主燃焼室20に噴出し、主燃焼室20内の希薄混合気を燃焼させる。
【0027】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図1及び図6に示されるように、主燃焼室20を形成する上述した主燃焼室形成部2と、副室30を形成する上述した副室形成部3と、上述した吸気ライン4と、上述した点火プラグ5と、上述した混合気導入ライン6と、を備える。
【0028】
上記の構成によれば、副室式ガスエンジン1は、吸気ライン4を流れる混合気を、混合気導入ライン6を介して副室30に導くことができ、副室30内の点火プラグ5近傍の混合気の可燃濃度を高めることができる。上述した副室式ガスエンジン1は、アクティブ副室に比べて、副室30に送るガス燃料を過給圧程度まで昇圧するための専用の圧縮機を必要としないため、その構造の複雑化を抑制できる。また、副室式ガスエンジン1は、パッシブ副室に比べて、前サイクルの残留排ガスの影響が小さくなるため、複数の噴孔31や副室30の形状についての設計自由度が高まる。
【0029】
幾つかの実施形態では、図1及び図6に示されるように、上述した副室式ガスエンジン1は、吸気ライン4に設けられ、混合気を圧縮するように構成された圧縮機41を備える。吸気ライン4の混合気導入ライン6との接続部P1は、圧縮機41よりも下流側に設けられている。上記の構成によれば、圧縮機41により昇圧した混合気を、混合気導入ライン6を介して副室30に導くことができる。この場合には、専用の圧縮機がなくても、混合気導入ライン6を介して副室30に導かれる混合気の供給圧を高くできるため、該混同気を効果的に副室30に供給できる。
【0030】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図2図3及び図5に示されるように、複数の噴孔31の各々は、副室形成部3における副室30の中心軸線CSの延在方向における主燃焼室20側の端部32に形成されている。点火プラグ5は、副室形成部3における副室30の中心軸線CSの延在方向における主燃焼室20から離隔した側の端部33に取り付けられている。混合気導入ライン6に形成された副室30に連通する混合気導入口61は、副室形成部3における副室30の主燃焼室20から離隔した側の端部33に形成されている。
【0031】
上記の構成によれば、点火プラグ5及び混合気導入口61が、副室30の中心軸線CSの延在方向における同じ側(主燃焼室20から離隔した側)に位置するため、混合気導入口61から副室30内に導入した混合気により、点火プラグ5近傍の混合気の可燃濃度を迅速に高めることができる。また、給気工程中に混合気導入口61から副室30内に導入した混合気により、点火プラグの温度を低減できるため、点火プラグ5の熱による損傷を抑制できる。
【0032】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図2図3及び図5に示されるように、上述した副室30が、点火プラグ5の点火部51が配置され、且つ混合気導入口61が形成された第1領域30Aと、複数の噴孔31が形成された第2領域30Bと、第1領域30Aと第2領域30Bとの間に形成され、第1領域30Aよりも副室30の中心軸線CSに直交する面積が小さい第3領域30Cと、を含む。
【0033】
第1領域30Aは、第3領域30Cよりも主燃焼室20から離れた側に位置し、第2領域30Bは、第3領域30Cよりも主燃焼室20側に位置している。図示される実施形態では、第1領域30Aは、副室口金19(副室形成部3)の貫通孔126に挿通する部分よりも主燃焼室20から離れた側に位置している。第1領域30Aは、副室30の中心軸線CSの延在方向における主燃焼室20側に向かうにつれて、副室30の中心軸線CSに直交する面積が小さくなる面積縮小部を少なくとも一部に含み、副室30の中心軸線CSに直交する面積が最小となる主燃焼室20側端が第3領域30Cに接続されている。図示されるように、第3領域30Cは、第1領域30Aとの接続部から第2領域30Bとの接続部までに亘り、副室30の中心軸線CSに直交する面積が一定になっていてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、副室30は、第3領域30Cが第1領域30Aよりも副室30の中心軸線CSに直交する面積が小さいため、混合気導入口61から第1領域30Aに導かれた混合気を、点火プラグ5の点火部51が存在する第1領域30Aに滞留させることができる。これにより、点火プラグ5近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口61から副室30内に導入した混合気による点火プラグ5の冷却効果を高めることができる。
【0035】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図2及び図5に示されるように、上述した点火プラグ5が、副室30の中心軸線CSに沿った断面において、点火プラグ5の軸線CPが副室30の中心軸線CSの延在方向に沿って延在する。この場合には、点火プラグ5の軸線CPが副室30の中心軸線CSの延在方向に対して傾斜する場合に比べて、点火プラグ5の設置が容易となる。
【0036】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図3に示されるように、上述した点火プラグ5が、副室30の中心軸線CSに沿った断面において、点火プラグ5の軸線CPが、主燃焼室20側に向かうにつれて副室30の中心軸線CSからの距離が短くなるように傾斜する。この場合には、点火プラグ5の軸線CPが副室30の中心軸線CSの延在方向に沿って延在している場合に比べて、点火プラグ5の点火部51に、混合気導入口61から副室30内に導入される混合気が向かうように構成することが容易となる。
【0037】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図2図3及び図5に示されるように、副室30の中心軸線CSに沿った断面において、上述した混合気導入ライン6の混合気導入口61を含む少なくとも一部である傾斜部60が、混合気導入口61側に向かうにつれて点火プラグ5の軸線CPからの距離(最短距離)が短くなるように傾斜する。
【0038】
上記の構成によれば、混合気導入ライン6の混合気導入口61を含む少なくとも一部(傾斜部60)を点火プラグ5の軸線CPに向けて傾斜させることで、混合気導入口61から副室30内に導入される混合気を、点火プラグ5近傍に導くことができる。これにより、点火プラグ5近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口61から副室30内に導入した混合気による点火プラグ5の冷却効果を高めることができる。
【0039】
図4は、本開示の一実施形態に係る副室式ガスエンジン1の副室30を副室30の中心軸線CSの延在方向における主燃焼室20側から視た概略図である。幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図4に示されるように、副室30の中心軸線CSの延在方向における一方側から視た場合において、混合気導入ライン6の混合気導入口61を含む少なくとも一部(傾斜部60)が、点火プラグ5の点火部51に向かって延在している。
【0040】
図示される実施形態では、点火プラグ5の点火部51は、副室30の中心軸線CSの延在方向における一方側から視た場合において、混合気導入口61の中心(図心)を通る仮想直線EL上に位置する。仮想直線ELは、混合気導入口61を含む仮想平面に直交する直線であってもよいし、傾斜部60の軸線を延長した直線であってもよい。
【0041】
上記の構成によれば、副室30の中心軸線CSの延在方向における一方側から視た場合において、混合気導入ライン6の混合気導入口61を含む少なくとも一部を、点火プラグ5の点火部51に向かって延在させることで、混合気導入口61から副室30内に導入される混合気を、点火部51近傍に導くことができる。これにより、点火部51近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口61から副室30内に導入した混合気による点火部51の冷却効果を高めることができる。
【0042】
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図5に示されるように、副室30の中心軸線CSに沿った断面において、上述した点火プラグ5の点火部51が、混合気導入口61の中心(図心)を通る仮想直線EL上に位置する。仮想直線ELは、混合気導入口61を含む仮想平面に直交する直線であってもよいし、傾斜部60の軸線を延長した直線であってもよい。
【0043】
上記の構成によれば、混合気導入口61から副室30内に導入される混合気を、点火プラグ5の点火部51に導くことができる。これにより、点火部51近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口61から副室30内に導入した混合気による点火部51の冷却効果を高めることができる。
【0044】
(ガス燃料導入ライン)
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図6に示されるように、上述したガス燃料供給ライン7から分岐し、ガス燃料供給ライン7を流れるガス燃料を未燃燃料の少なくとも一部として副室30に導くためのガス燃料導入ライン8と、をさらに備える。
【0045】
図示される実施形態では、ガス燃料導入ライン8の下流端が混合気導入ライン6に接続されているが、ガス燃料導入ライン8の下流端に副室30に連通するガス燃料導入口が形成されてもよい。該ガス燃料導入口は、副室プラグホルダ12Bの主燃焼室20側の端部125の端面に形成されてもよい。
【0046】
副室式ガスエンジン1を定格出力に対して所定割合(例えば、30%)以下の低負荷や無負荷で運転した場合に、混合気導入ライン6を介して副室30に導かれる混合気の供給圧が低くなり、副室式ガスエンジン1の燃焼が不安定になる虞がある。副室式ガスエンジン1の低負荷運転時や無負荷運転時には、副室30にガス燃料を送るために必要なガス燃料の供給圧が低いので、ガス燃料供給ライン7やガス燃料導入ライン8にガス燃料を昇圧するための圧縮機を設けなくても、ガス燃料導入ライン8を介してガス燃料を副室30に導入できる。ガス燃料導入ライン8を介して副室30に導入されたガス燃料が、副室30内の気体に混ざることで、副室30内に過濃な混合気を形成できる。
【0047】
上記の構成によれば、副室式ガスエンジン1を定格出力に対して所定割合(例えば、30%)以下の低負荷や無負荷で運転した場合に、混合気導入ライン6を介して副室30に導かれる混合気の供給圧が低くなり、副室式ガスエンジン1の燃焼が不安定になる虞がある。副室式ガスエンジン1の低負荷運転時や無負荷運転時に、ガス燃料導入ライン8を介して副室30にガス燃料を導くことで、副室式ガスエンジン1の燃焼が不安定になることを抑制できる。
【0048】
(第1逆流防止装置、第2逆流防止装置)
幾つかの実施形態に係る副室式ガスエンジン1は、図6に示されるように、第1逆流防止装置(図示例では、逆止弁)91と、第2逆流防止装置(図示例では、逆止弁)92と、をさらに備える。ガス燃料導入ライン8は、混合気導入ライン6に接続されている。第1逆流防止装置91は、混合気導入ライン6における吸気ライン4との接続部P2とガス燃料導入ライン8との接続部P3との間に設けられ、ガス燃料導入ライン8との接続部P3から吸気ライン4との接続部P2に向かう気体の流通を阻止するように構成されている。第2逆流防止装置92は、ガス燃料導入ライン8に設けられ、混合気導入ライン6との接続部P4からガス燃料供給ライン7との接続部P5に向かう気体の流通を阻止するように構成されている。
【0049】
図6に示されるように、混合気導入ライン6のガス燃料導入ライン8との接続部P3と混合気導入口61との間に、上述した逆流防止装置90を設置してもよい。
【0050】
副室式ガスエンジン1の低負荷運転時や無負荷運転時には、ガス燃料供給ライン7を流れるガス燃料の圧力が、吸気ライン4の圧縮機41よりも下流側を流れる混合気の圧力よりも高くなる。この場合には、ガス燃料導入ライン8及び混合気導入ライン6のガス燃料導入ライン8との接続部P3よりも下流側を介して、副室30にガス燃料を供給できる。
【0051】
副室式ガスエンジン1の高負荷運転時には、吸気ライン4の圧縮機41よりも下流側を流れる混合気の圧力が、ガス燃料供給ライン7を流れるガス燃料の圧力よりも高くなる。この場合には、混合気導入ライン6を介して、副室30に混合気を供給できる。
【0052】
上記の構成によれば、副室式ガスエンジン1は、第1逆流防止装置91を備えることで、ガス燃料が混合気導入ライン6を介して吸気ライン4に導入されることを抑制できる。また、副室式ガスエンジン1は、第2逆流防止装置92を備えることで、混合気がガス燃料導入ライン8を介してガス燃料供給ライン7に導入されることを抑制できる。上記の構成によれば、副室式ガスエンジン1の低負荷運転時や無負荷運転時に、副室30にガス燃料を供給でき、副室式ガスエンジン1の高負荷運転時に、副室30に混合気導入ライン6を介して混合気を供給できる。
【0053】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0054】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0055】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0056】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る副室式ガスエンジン(1)は、
主燃焼室(20)及び前記主燃焼室(20)と複数の噴孔(31)を介して連通される副室(30)を有する副室式ガスエンジン(1)であって、
前記主燃焼室(20)を形成する主燃焼室形成部(2)と、
前記副室(30)を形成する副室形成部(3)と、
ガス燃料及び空気を含む混合気を前記主燃焼室(20)に導くための吸気ライン(4)と、
前記副室(30)に配置され、未燃燃料を点火するように構成された点火プラグ(5)と、
前記吸気ライン(4)から分岐し、前記吸気ライン(4)を流れる前記混合気を前記未燃燃料の少なくとも一部として前記副室(30)に導くための混合気導入ライン(6)と、を備える。
【0057】
上記1)の構成によれば、副室式ガスエンジン(1)は、吸気ライン(4)を流れる混合気を、混合気導入ライン(6)を介して副室(30)に導くことができ、副室(30)内の点火プラグ(5)近傍の混合気の可燃濃度を高めることができる。副室式ガスエンジン(1)は、アクティブ副室に比べて、副室(30)に送るガス燃料を過給圧程度まで昇圧するための専用の圧縮機を必要としないため、その構造の複雑化を抑制できる。副室式ガスエンジン(1)は、パッシブ副室に比べて、前サイクルの残留排ガスの影響が小さくなるため、複数の噴孔や副室の形状についての設計自由度が高まる。
【0058】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記複数の噴孔(31)の各々は、前記副室(30)の中心軸線(ガス燃料供給ライン7)の延在方向における前記主燃焼室(20)側の端部(32)に形成され、
前記点火プラグ(5)は、前記副室(30)の前記中心軸線(CS)の延在方向における前記主燃焼室(20)から離隔した側の端部(33)に取り付けられ、
前記混合気導入ライン(6)に形成された前記副室(30)に連通する混合気導入口(61)は、前記副室(30)の前記主燃焼室(20)から離隔した側の端部(33)に形成された。
【0059】
上記2)の構成によれば、点火プラグ(5)及び混合気導入口(61)が、副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向における同じ側(主燃焼室20から離隔した側)に位置するため、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気により、点火プラグ(5)近傍の混合気の可燃濃度を迅速に高めることができる。また、給気工程中に混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気により、点火プラグの温度を低減できるため、点火プラグ(5)の熱による損傷を抑制できる。
【0060】
3)幾つかの実施形態では、上記2)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記副室(30)は、
前記点火プラグ(5)の点火部(51)が配置され、且つ前記混合気導入口(61)が形成された第1領域(30A)と、
前記複数の噴孔(31)が形成された第2領域(30B)と、
前記第1領域(30A)と前記第2領域(30B)との間に形成され、前記第1領域(30A)よりも前記副室(30)の前記中心軸線(CS)に直交する面積が小さい第3領域(30C)と、を含む。
【0061】
上記3)の構成によれば、副室(30)は、第3領域(30C)が第1領域(30A)よりも副室(30)の中心軸線(CS)に直交する面積が小さいため、混合気導入口(61)から第1領域(30A)に導かれた混合気を、点火プラグ(5)の点火部(51)が存在する第1領域(30A)に滞留させることができる。これにより、点火プラグ(5)近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気による点火プラグ(5)の冷却効果を高めることができる。
【0062】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記点火プラグ(5)は、前記副室(30)の前記中心軸線(CS)に沿った断面において、前記点火プラグ(5)の軸線(CP)が前記副室(30)の前記中心軸線(CS)の延在方向に沿って延在する。
【0063】
上記4)の構成によれば、点火プラグ(5)の軸線(CP)が、副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向に沿って延在している。この場合には、点火プラグ(5)の軸線(CP)が副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向に対して傾斜する場合に比べて、点火プラグ(5)の設置が容易となる。
【0064】
5)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記点火プラグ(5)は、前記副室(30)の前記中心軸線(CS)に沿った断面において、前記点火プラグ(5)の軸線(CP)が、前記主燃焼室(20)側に向かうにつれて前記副室(30)の前記中心軸線(CS)からの距離が短くなるように傾斜する。
【0065】
上記5)の構成によれば、点火プラグ(5)の軸線(CP)が、副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向に対して傾斜している。この場合には、点火プラグ(5)の軸線(CP)が副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向に沿って延在している場合に比べて、点火プラグ(5)の点火部(51)に、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入される混合気が向かうように構成することが容易となる。
【0066】
6)幾つかの実施形態では、上記2)から上記5)までの何れかに記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記混合気導入ライン(6)は、前記副室(30)の前記中心軸線(CS)に沿った断面において、前記混合気導入口(61)を含む少なくとも一部が、前記混合気導入口(61)側に向かうにつれて前記点火プラグ(5)の軸線(CP)からの距離が短くなるように傾斜する。
【0067】
上記6)の構成によれば、混合気導入ライン(6)の混合気導入口(61)を含む少なくとも一部を点火プラグ(5)の軸線(CP)に向けて傾斜させることで、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入される混合気を、点火プラグ(5)近傍に導くことができる。これにより、点火プラグ(5)近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気による点火プラグ(5)の冷却効果を高めることができる。
【0068】
7)幾つかの実施形態では、上記2)から上記6)までの何れかに記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記副室(30)の前記中心軸線(CS)の延在方向における一方側から視た場合において、
前記混合気導入ライン(6)の前記混合気導入口(61)を含む少なくとも一部は、前記点火プラグ(5)の点火部(51)に向かって延在している。
【0069】
上記7)の構成によれば、副室(30)の中心軸線(CS)の延在方向における一方側から視た場合において、混合気導入ライン(6)の混合気導入口(61)を含む少なくとも一部を、点火プラグ(5)の点火部(51)に向かって延在させることで、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入される混合気を、点火部(51)近傍に導くことができる。これにより、点火部(51)近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気による点火部(51)の冷却効果を高めることができる。
【0070】
8)幾つかの実施形態では、上記2)から上記7)までの何れかに記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記点火プラグ(5)の点火部(51)は、前記副室(30)の前記中心軸線(CS)に沿った断面において、前記混合気導入口(61)の中心を通る仮想直線(EL)上に位置する。
【0071】
上記8)の構成によれば、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入される混合気を、点火プラグ(5)の点火部(51)に導くことができる。これにより、点火部(51)近傍の混合気の可燃濃度を効果的に高めることができ、混合気導入口(61)から副室(30)内に導入した混合気による点火部(51)の冷却効果を高めることができる。
【0072】
9)幾つかの実施形態では、上記1)から上記8)までの何れかに記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記吸気ライン(4)に設けられ、前記混合気を圧縮するように構成された圧縮機(41)をさらに備え、
前記吸気ライン(4)の前記混合気導入ライン(6)との接続部(P1)は、前記圧縮機(41)よりも下流側に設けられた。
【0073】
上記9)の構成によれば、圧縮機(41)により昇圧した混合気を、混合気導入ライン(6)を介して副室(30)に導くことができる。この場合には、専用の圧縮機がなくても、混合気導入ライン(6)を介して副室(30)に導かれる混合気の供給圧を高くできるため、該混同気を効果的に副室(30)に供給できる。
【0074】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記吸気ライン(4)の前記圧縮機(41)よりも上流側に接続され、前記ガス燃料を供給するためのガス燃料供給ライン(7)と、
前記ガス燃料供給ライン(7)から分岐し、前記ガス燃料供給ライン(7)を流れる前記ガス燃料を前記未燃燃料の少なくとも一部として前記副室(30)に導くためのガス燃料導入ライン(8)と、をさらに備える。
【0075】
上記10)の構成によれば、副室式ガスエンジン(1)を定格出力に対して所定割合以下の低負荷や無負荷で運転した場合に、混合気導入ライン(6)を介して副室(30)に導かれる混合気の供給圧が低くなり、副室式ガスエンジン(1)の燃焼が不安定になる虞がある。副室式ガスエンジン(1)の低負荷運転時や無負荷運転時に、ガス燃料導入ライン(8)を介して副室(30)にガス燃料を導くことで、副室式ガスエンジン(1)の燃焼が不安定になることを抑制できる。
【0076】
11)幾つかの実施形態では、上記10)に記載の副室式ガスエンジン(1)であって、
前記ガス燃料導入ライン(8)は、前記混合気導入ライン(6)に接続され、
前記副室式ガスエンジン(1)は、
前記混合気導入ライン(6)における前記吸気ライン(4)との接続部(P2)と前記ガス燃料導入ライン(8)との接続部(P3)との間に設けられ、前記ガス燃料導入ライン(8)との接続部(P3)から前記吸気ライン(4)との接続部(P2)に向かう気体の流通を阻止する第1逆流防止装置(91)と、
前記ガス燃料導入ライン(8)に設けられ、前記混合気導入ライン(6)との接続部(P4)から前記ガス燃料供給ライン(7)との接続部(P5)に向かう気体の流通を阻止する第2逆流防止装置(92)と、をさらに備える。
【0077】
上記11)の構成によれば、副室式ガスエンジン(1)は、第1逆流防止装置(91)を備えることで、ガス燃料が混合気導入ライン(6)を介して吸気ライン(4)に導入されることを抑制できる。また、副室式ガスエンジン(1)は、第2逆流防止装置(92)を備えることで、混合気がガス燃料導入ライン(8)を介してガス燃料供給ライン(7)に導入されることを抑制できる。上記11)の構成によれば、副室式ガスエンジン(1)の低負荷運転時や無負荷運転時に、副室(30)にガス燃料を供給でき、副室式ガスエンジン(1)の高負荷運転時に、副室(30)に混合気導入ライン(6)を介して混合気を供給できる。
【符号の説明】
【0078】
1 副室式ガスエンジン
2 主燃焼室形成部
3 副室形成部
4 吸気ライン
5 点火プラグ
6 混合気導入ライン
7 ガス燃料供給ライン
8 ガス燃料導入ライン
9 排気ライン
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド部材
12A シリンダヘッド
12B 副室プラグホルダ
13 シリンダ
14 ピストン
15 吸気孔
16 排気孔
17 吸気弁
18 排気弁
19 副室口金
20 主燃焼室
30 副室
31 噴孔
41 圧縮機
42 回転シャフト
43 タービン
51 点火部
61 混合気導入口
90 逆流防止装置
91 第1逆流防止装置
92 第2逆流防止装置
111 シリンダボア
121 閉塞部
122 ボア側面
123 点火プラグ支持部
124 プラグホルダ支持部
125 端部
126 貫通孔
CP 点火プラグの軸線
CS 副室の中心軸線
EL 仮想直線
図1
図2
図3
図4
図5
図6