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特開2024-75024情報処理システム、情報処理方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075024
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20240527BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240527BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G06F3/12 329
B41J29/00 E
B41J29/38 801
G06F3/12 332
G06F3/12 305
G06F3/12 336
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186132
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】石戸谷 友輝
(72)【発明者】
【氏名】久保田 ▲祥▼太
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AS06
2C061BB11
2C061CG02
2C061CG15
2C061HK05
2C061HK11
2C061HK20
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
(57)【要約】
【課題】プリンタの設定情報の変更を容易に確認できる。
【解決手段】本発明のある態様は、ユーザ端末と、ユーザ端末と無線通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムである。プリンタは、プリンタの設定情報を記憶する記憶部と、記憶部に記憶されている設定情報を更新する更新部と、ユーザ端末からの要求に応じて、記憶部に記憶されている設定情報をユーザ端末に提供する提供部と、を備える。ユーザ端末は、ユーザの操作に応じてプリンタに対して要求を行い、プリンタに記憶されている設定情報を取得する取得部と、第1時点において取得部によって取得されたプリンタの設定情報と、第1時点より後の第2時点において取得部によって取得されたプリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示するように制御する制御部と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末と、前記ユーザ端末と無線通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムであって、
前記プリンタは、
前記プリンタの設定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている設定情報を更新する更新部と、
前記ユーザ端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている設定情報を前記ユーザ端末に提供する提供部と、を備え、
前記ユーザ端末は、
ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記要求を行い、前記プリンタに記憶されている設定情報を取得する取得部と、
第1時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、前記第1時点より後の第2時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示するように制御する制御部と、を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記ユーザ端末と通信可能なサーバを含み、
前記サーバは、前記ユーザ端末から、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報、及び/又は、前記差分情報を取得し、前記プリンタと関連付けて記憶部に記憶させる、
請求項1に記載された情報処理システム。
【請求項3】
前記プリンタは、前記ユーザ端末を前記プリンタの外部に露出した所定の位置に近接させたときに、前記ユーザ端末との無線通信が可能となるように配置された無線タグを備える、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項4】
前記プリンタは、前記プリンタの電源がオフのときに前記無線タグが前記ユーザ端末と無線通信を行う第1通信モードと、前記プリンタの電源がオンのときに前記無線タグを介して前記ユーザ端末と無線通信を行う第2通信モードと、により動作し、
前記提供部は、
前記第1通信モードでは、前記プリンタの電源がオフになる前に前記無線タグに記憶させた前記設定情報を前記ユーザ端末に提供し、
前記第2通信モードでは、前記無線タグを介して前記記憶部に記憶されている前記設定情報を前記ユーザ端末に提供する、
請求項3に記載された情報処理システム。
【請求項5】
前記ユーザ端末又は前記プリンタは、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報、及び/又は、前記差分情報を、現在の日時と関連付けて印字する印字部を備える、
請求項1又は2に記載された情報処理システム。
【請求項6】
プリンタと無線通信可能なユーザ端末によって実行される情報処理方法であって、
第1時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得し、
前記第1時点より後の第2時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得し、
前記第1時点において取得した前記プリンタの設定情報と、前記第2時点において取得した前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示する、
情報処理方法。
【請求項7】
プリンタと無線通信可能なユーザ端末にインストールされた場合に、コンピュータに、
第1時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得する手順と、
前記第1時点より後の第2時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得する手順と、
前記第1時点において取得した前記プリンタの設定情報と、前記第2時点において取得した前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示する手順と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関連する情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば工場や倉庫等で稼動しているプリンタの修理又は保守を行う場合、サービスマンやカスタマエンジニアが現場に出張してプリンタに対して修理又は保守の作業を実施している。その際、サービスマンやカスタマエンジニアによるプリンタの作業を支援するためのシステムが種々提案されている。
例えば特許文献1には、ユーザやカスタマエンジニア等に対して画像形成動作に係わる既設定の条件、デフォルト設定の条件を表示する場合、表示する設定条件が初期設定か初期設定を変更した条件かにより異なる形式による表示を行うようにした画像形成装置が記載されている。それによって、膨大な項目数となる画像形成動作に係わる設定条件の中から初期設定から変更を行った項目を容易に発見し、必要な項目を探し出することができ、設定条件の確認や調整を効率的に行うことが可能となる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-356649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サービスマンやカスタマエンジニアがプリンタに対して修理又は保守の作業を実施する際、意図的に設定情報を変える場合もあれば、誤って設定情報を変えてしまう場合もある。そのため、作業の前後で設定情報の変更を容易に確認できるようにすることが求められる。また、作業の前後での設定情報の変更を保守履歴の証拠として残すことも求められる。
【0005】
そこで、本発明は、プリンタの設定情報の変更を容易に確認できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末と無線通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムである。
前記プリンタは、
前記プリンタの設定情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されている設定情報を更新する更新部と、
前記ユーザ端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている設定情報を前記ユーザ端末に提供する提供部と、を備える。
前記ユーザ端末は、
ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記要求を行い、前記プリンタに記憶されている設定情報を取得する取得部と、
第1時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、前記第1時点より後の第2時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示するように制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明のある態様によれば、プリンタの設定情報の変更を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態の保守作業支援システムにおいて、プリンタとプリンタを利用した作業を説明する図である。
図2】第1の実施形態の保守作業支援システムにおいてユーザ端末のNFCアプリケーションの画面遷移例を示す図である。
図3】第1の実施形態の保守作業支援システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態の保守作業支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
図5】第1の実施形態の保守作業支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
図6】第1の実施形態の保守作業支援システムにおいてユーザ端末のNFCアプリケーションの画面遷移例を示す図である。
図7】第1の実施形態の保守作業支援システムにおいてユーザ端末のNFCアプリケーションの画面遷移例を示す図である。
図8】第2の実施形態の保守作業支援システムの各装置の内部構成を示すブロック図である。
図9】変更履歴データベースのデータ構成例を示す図である。
図10】第2の実施形態の保守作業支援システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムの一実施形態について説明する。なお、以下に記載する形態は、図面の簡単な説明により説明される図面に限定されるものではない。
本発明のある態様の第1の態様は、ユーザ端末と、前記ユーザ端末と無線通信可能なプリンタと、を含む情報処理システムである。
前記プリンタは、前記プリンタの設定情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている設定情報を更新する更新部と、前記ユーザ端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶されている設定情報を前記ユーザ端末に提供する提供部と、を備える。
前記ユーザ端末は、以下の取得部と制御部を備える。
・ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記要求を行い、前記プリンタに記憶されている設定情報を取得する取得部
・第1時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、前記第1時点より後の第2時点において前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示するように制御する制御部
【0010】
本開示において「プリンタの設定情報」とは、プリンタのユーザが設定可能な情報であれば如何なる情報であってもよい。ここで、「ユーザ」とは、対象となるプリンタを利用する利用者に限られず、プリンタを修理し、あるいは保守作業を行うサービスマンやカスタマエンジニア等の作業担当者も含まれる。
本発明のある態様の第1の態様によれば、プリンタの設定情報の変更を容易に確認できる。
【0011】
本発明のある態様の第2の態様は、前記ユーザ端末と通信可能なサーバを含み、
前記サーバは、前記ユーザ端末から、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報、及び/又は、前記差分情報を取得し、前記プリンタと関連付けて記憶部に記憶させる、第1の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第2の態様によれば、差分情報がサーバに記録されるため、前記ユーザ端末以外の他の通信端末からも差分情報を遠隔的に確認することができる。
【0012】
本発明のある態様の第3の態様は、前記プリンタが、前記ユーザ端末を前記プリンタの外部に露出した所定の位置に近接させたときに、前記ユーザ端末との無線通信が可能となるように配置された無線タグを備える、第1又は第2の態様に記載のプリンタである。
無線タグは、例えば、プリンタの外部に露出した所定の位置の近傍に内蔵される。ユーザがユーザ端末を近接させる位置が認識できるように、無線タグが配置される所定の位置には、所定のマーク等の目印となる情報が示されていることが好ましい。
なお、後述する実施形態の説明では、無線タグの一例としてNFCタグを挙げるが、その限りではなく、Bluetooth(登録商標) Low Energyを利用したBLEタグでもよいし、UHF帯のRFIDタグでもよい。
本発明のある態様の第3の態様によれば、ユーザがユーザ端末をプリンタの外部に露出した所定の位置に近接するだけでプリンタの設定情報を取得でき、差分情報を表示させることができる。すなわち、プリンタの設定情報の変更を確認する際の操作性が非常に良好になる。
【0013】
本発明のある態様の第4の態様は、前記プリンタが、前記プリンタの電源がオフのときに前記無線タグが前記ユーザ端末と無線通信を行う第1通信モードと、前記プリンタの電源がオンのときに前記無線タグを介して前記ユーザ端末と無線通信を行う第2通信モードと、により動作する、第3の態様に記載のプリンタである。
ここで、前記提供部は、前記第1通信モードでは、前記プリンタの電源がオフになる前に前記無線タグに記憶させた前記設定情報を前記ユーザ端末に提供し、前記第2通信モードでは、前記無線タグを介して前記記憶部に記憶されている前記設定情報を前記ユーザ端末に提供する。
本発明のある態様の第4の態様によれば、プリンタの電源がオフの場合でもプリンタの設定情報を取得できるため、利便性が向上する。
【0014】
本発明のある態様の第5の態様は、前記ユーザ端末又は前記プリンタが、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報、及び/又は、前記差分情報を、現在の日時と関連付けて印字する印字部を備える、第1の態様から第4の態様のいずれかに記載のプリンタである。
本発明のある態様の第5の態様によれば、表示された差分情報を現在の日時と関連付けて直ちに印字することができるため、プリンタの設定情報の変更を証拠として文書化することができる。
【0015】
本発明のある態様の第6の態様は、プリンタと無線通信可能なユーザ端末によって実行される情報処理方法であり、
第1時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得し、
前記第1時点より後の第2時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得し、
前記第1時点において取得した前記プリンタの設定情報と、前記第2時点において取得した前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示することを含む。
本発明のある態様の第6の態様によれば、プリンタの設定情報の変更を容易に確認できる。
【0016】
本発明のある態様の第7の態様は、プリンタと無線通信可能なユーザ端末にインストールされた場合に、コンピュータに、
第1時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得する手順と、
前記第1時点より後の第2時点において、ユーザの操作に応じて前記プリンタに対して前記プリンタの設定情報を要求し、前記プリンタから前記設定情報を取得する手順と、
前記第1時点において取得した前記プリンタの設定情報と、前記第2時点において取得した前記プリンタの設定情報と、の差分である差分情報を表示する手順と、
を実行させるプログラムである。
本発明のある態様の第7の態様によれば、プリンタの設定情報の変更を容易に確認できる。
【0017】
本発明のある態様の第8の態様は、前記制御部が、前記第1時点において前記ユーザ端末を前記位置に近接させたときに、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報を含む第1画面を表示させ、前記第2時点において前記ユーザ端末を前記位置に近接させたときに、前記第1画面に代えて、前記取得部によって取得された前記プリンタの設定情報を含む第2画面を表示させる、第3の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第8の態様によれば、変更前後のプリンタの設定情報を簡単な操作で確認できる。
【0018】
本発明のある態様の第9の態様は、前記第2画面が所定の操作対象を含み、前記制御部は、前記操作対象が操作されたときに、前記第2画面に代えて、前記差分情報を含む第3画面を表示させる、第8の態様に記載のプリンタである。
本発明のある態様の第9の態様によれば、差分情報を表示させるときの操作性が良好となる。
【0019】
(1)第1の実施形態
以下、情報処理システムの一例である保守作業支援システムについて説明する。
図1は、本実施形態の保守作業支援システム1において、プリンタ2とプリンタ2を利用した作業を説明する図である。保守作業支援システム1は、プリンタ2と、プリンタ2と無線通信を行うユーザ端末3と、を含む。以下では、プリンタ2が、印字媒体としてラベルに情報を印字し、発行するサーマルプリンタである場合を例にして説明する。
図1Aは、例示的なプリンタ2の斜視図である。図1Aに示すように、プリンタ2は、その前面に表示部25及び操作入力部26を有するとともに、プリンタ2の外部に露出した所定の位置にNFCタグ28(無線タグの一例)が内蔵されている。
【0020】
図1Bにおいて、ユーザ端末3は、保守作業を行う作業担当者が所持する通信端末であり、スマートフォン、タブレット型端末、スマートウォッチ、その他ウェアラブル装置等である。
ユーザ端末3には、プリンタ2からプリンタ2の設定データを取得するためのNFCアプリケーションがインストールされている。NFCアプリケーションは、プリンタとの間でNFC(Near field communication;近距離無線通信)による無線通信を行うようにプログラムされているソフトウェアである。図1Bに示すように、ユーザ端末3をプリンタ2の所定の位置に対してタッチ操作を行うことで、NFCアプリケーションがプリンタ2とNFCによる通信を行うことが可能となる。
なお、以下の説明において「タッチ操作」は、ユーザ端末3をプリンタ2の所定の位置に物理的に接触させる場合に限られず、ユーザ端末3をプリンタ2の所定の位置に向けてかざす、あるいは近接させる等の、ユーザ端末3をプリンタ2に物理的に接触させない場合も含まれる。
【0021】
NFCアプリケーションは、プリンタ2から複数の項目の設定データを取得可能である。複数の項目の設定データの例として、印字方式(感熱方式、熱転写方式)、ヘッド密度、印字速度、印字濃度、印字動作(連続発行・剥離発行)、センサ種(反射センサ・透過センサ)、オフセット値、印字媒体情報、ライフカウンタ情報、ヘッドカウンタ情報、プラテンカウンタ情報、カッタカウンタ情報などが挙げられる。
なお、センサ種とは、印字媒体であるラベルの端部を検出するためのセンサの種類を示す情報である。
オフセット値は、プリンタ2の用紙停止位置の調整量を示す値である。
印字媒体情報は、プリンタ2に装填されているラベルの種類を特定するための情報である。
ライフカウンタ情報は、プリンタ2が製造されてからの累積的なサーマルヘッドやプラテンローラの走行距離を示す値であり、サーマルヘッドやプラテンローラを交換してもリセットされず継続的にカウントされる。
ヘッドカウンタ情報は、サーマルヘッドの走行距離を示す値であり、サーマルヘッドを交換するとゼロにリセットされる。
プラテンカウンタ情報は、プラテンローラの走行距離を示す値であり、プラテンローラを交換するとゼロにリセットされる。
カッタカウンタ情報は、カッタの動作回数を示す値である。
【0022】
以下の説明では、作業担当者が、プリンタ2が稼動している現場に訪問し、プリンタ2の修理又は保守の作業(以下、保守作業)を実行する場合を想定する。その場合、作業担当者がユーザ端末3を所持している。プリンタ2の保守作業を行う際には、作業担当者は、プリンタ2の部品の交換や設定データの変更を行い得るが、意図的に設定データを変える場合もあれば、誤って設定データを変えてしまう場合もある。そこで、保守作業支援システム1は、作業の前後で設定データの変更を容易に確認できるように構成されている。
【0023】
以下、図2を参照して、作業担当者がプリンタ2に対して保守作業を行うときの流れについて、ユーザ端末3のNFCアプリケーションの表示画面の変化を示しながら説明する。図2は、作業担当者によって操作されたときのNFCアプリケーションのユーザ端末3における画面の遷移例を示している。
【0024】
図2において、画面G1は、NFCアプリケーションのメインメニューである。メインメニューは、プリンタ2の電源状態に応じて、OFFモード(第1通信モードの一例)、又は、ONモード(第2通信モードの一例)のいずれかを選択するラジオボタンを有するモード選択部100を含む。
OFFモードは、プリンタ2の電源がオフのときにプリンタ2のNFCタグ28がユーザ端末3と無線通信を行うモードである。ONモードは、プリンタ2の電源がオンのときにプリンタ2のNFCタグ28を介してユーザ端末3と無線通信を行うモードである。
図2の画面G1では、ONモードが選択された例が示される。通常、保守作業の開始時点においてプリンタ2の電源はON状態であるため、ONモードが選択される。
【0025】
画面G1のメニューの中に含まれるボタンb1(「設定データ比較」)を操作し、ユーザ端末3をプリンタ2に対してタッチ操作すると、画面G2(第1画面の一例)が表示される。画面G2には、プリンタ2のプリンタ情報101と設定データリスト102が含まれる。プリンタ情報101には、例えばプリンタ2のプリンタモデル及びプリンタ2を識別するプリンタID(例えばシリアル番号や製造番号など)が含まれる。設定データリスト102には、プリンタ2の設定データのうち一部の項目の設定データ(設定値)が含まれる。プリンタ情報101及び設定データリスト102に含まれる設定データは、直前のタッチ操作によるNFC通信で、NFCアプリケーションがプリンタ2から取得したデータである。なお、設定データリスト102に含まれる設定データの項目は一例に過ぎない。
【0026】
画面G2の設定データリスト102に表示される設定データは、保守作業を実行する前の情報である。
次いで、作業担当者は、保守作業を実行する。保守作業は、定期的な部品交換や修正、設定の変更等、状況に応じて行われる。保守作業中、又は保守作業が完了すると、作業担当者は、ユーザ端末3をプリンタ2に対してタッチ操作する。それによって画面G3が表示される。
画面G3(第2画面の一例)は、画面G2と同様に、プリンタ2のプリンタ情報101と設定データリスト102が含まれる。画面G3において、設定データリスト102に表示される設定データ(設定値)は、保守作業を実行した後の情報であり、画面G2の設定データリスト102の設定値とは異なる場合がある。
【0027】
画面G3が表示された後、作業担当者は継続して保守作業を行ってもよいが、その場合、保守作業が完了した際には再度、ユーザ端末3をプリンタ2に対してタッチ操作を行う。すると、設定データリスト102の設定データが更新される。保守作業を完了させる場合には、画面G3においてボタンb3(「作業終了」)を操作する。
ボタンb3が操作されると、NFCアプリケーションは、画面G4を表示させる。画面G4(第3画面の一例)には、差分データリスト103が含まれる。差分データとは、ある項目について、保守作業を実行する前の設定データと、保守作業を実行した後の設定データと、に差分がある場合に、その差分を示すデータである。差分データリスト103には、1以上の項目の差分データが含まれる。図2の画面G4に示す例では、保守作業中に「印字濃度」と「印字速度」の設定値が変化し、その作業前後の値が表示されている。
【0028】
画面G4には、ボタンb4(「チェック完了」)とボタンb5(「戻る」)が含まれる。ボタンb4が操作されると、差分データリスト103に含まれる差分データがユーザ端末3に保存される。作業担当者が保守作業を再開したい場合にはボタンb5を操作すると、画面G3に戻る。
【0029】
NFCアプリケーションは、以上説明したユーザインタフェースによって、変更前後の設定データや差分データを確認するときの操作性が良好なものとなっている。また、作業担当者は、保守作業の完了直後に設定データが正しく変更されたか否か確認できるため、保守作業の品質が向上する。
さらに、保守作業の対象となる様々な機種のプリンタに対してそれぞれ操作画面が異なるために設定データの変化を作業担当者がプリンタ2上で確認するのが煩雑である。それに対して本実施形態では、プリンタの機種に関わらずNFCアプリケーションによってユーザ端末3の画面で設定データの変更を確認することができ、作業確認の容易性、作業品質が向上する利点がある。
【0030】
次に、図3を参照して、本実施形態の保守作業支援システム1内の各装置の構成について説明する。図3は、本実施形態の保守作業支援システム1においてプリンタ2及びユーザ端末3のハードウェア構成を含むブロック図である。
なお、以下の説明では、プリンタ2の複数の項目の設定データ(設定値)を含むファイルを「設定ファイル」という。プリンタ2の複数の項目の各々について、設定データ(設定値)の差分データを含むファイルを「差分ファイル」という。
【0031】
図3に示すように、プリンタ2は、制御部21、ストレージ22、搬送部23、印字部24、表示部25、操作入力部26、通信部27、及び、NFCタグ28を備える。
制御部21は、CPU211、ROM212、及び、RAM213を含み、プリンタ2の全体を制御する。例えば、CPU211は、ROM212に記録されているファームウェアをロードして実行することで、様々な機能を実現する。RAM213は、CPU211が様々な処理を行う上でのメインメモリとして機能する。
【0032】
制御部21は、ラベルを印字、発行するために搬送部23及び印字部24を制御する。ラベルを発行する場合、制御部21は、外部のホストコンピュータから受信するイメージデータのライン毎のデータであるラインデータを順次、印字部24へ送出する。
ストレージ22(記憶部の一例)は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSD(Solid State Drive)である。ストレージ22には、例えば、外部のホストコンピュータから受信する印字データや、プリンタ2の設定データ等が記録されている。
【0033】
搬送部23は、プラテンローラ、モータ駆動回路、および、ステッピングモータを含み、プリンタ2内で、帯状の用紙である連続紙の搬送を行う。搬送部23は、制御部21による搬送要求に基づき、モータ駆動回路が、プラテンローラの回転を制御するステッピングモータを駆動することによって、連続紙を搬送させる。
印字部24は、サーマルヘッドおよびヘッド駆動回路を含む。ヘッド駆動回路は、制御部21によって順次送出されるラインデータに基づき、サーマルヘッドの複数の発熱素子に選択的に電流を流すことで、連続紙の下流側の先端部分に印字を行う。印字が行われた連続紙の部分がカッタにより切断され、ラベルとして発行(排出)される。
【0034】
表示部25は、例えばLCD等の表示パネル及び表示駆動回路を含み、ファームウェアによるプログラムの実行結果を表示する。
操作入力部26は、例えば、ボタン、あるいは表示部25の表示パネルに実装されるタッチ入力装置等の入力装置を含み、ユーザによる操作入力を受け付ける。
通信部27は、例えば図示しないホストコンピュータと通信を行うことでラベルを発行するための印字データを受信するための通信インタフェースである。
【0035】
NFCタグ28は、ユーザ端末3との間でNFCによる近距離無線通信を行うためのタグであり、図2に示したように、ユーザ端末3をプリンタ2にタッチ操作させたときに、ユーザ端末3との無線通信が可能となるように配置されている。
【0036】
プリンタ2の電源がOFFの場合(つまり、OFFモードの場合)には、NFCタグ28は、ユーザ端末3との間でNDEF(NFC Data Exchange Format)データを送受信する。NDEFデータとは、NFCを用いたデータ交換用の軽量なバイナリーフォーマットのデータである。プリンタ2の電源がOFFの場合にユーザ端末3をプリンタ2にタッチ操作したときに送られるデータや、NFCタグ28からユーザ端末3に送信されるデータ(設定ファイル等)は、NDEF形式となっている。
NFCタグ28は、ROM281を含む。ROM281は、プリンタ2の電源がONからOFFになったときに、プリンタ2の設定ファイルを一時的に記憶するための不揮発性メモリである。
【0037】
制御部21のCPU211がファームウェアを実行することで、以下の更新部及び提供部として機能する。更新部は、ストレージ22に記憶されている設定ファイルを更新する。例えば、保守作業中に作業担当者による操作入力部26の操作に応じて設定データが更新される。提供部は、ユーザ端末3のNFCアプリケーションからの要求に応じて、ストレージ22に記憶されている設定ファイルをNFCアプリケーションに提供する。
前述したように、プリンタ2は、プリンタ2の電源状態に応じて、OFFモード、又は、ONモードのいずれかにより動作する。提供部としての制御部21は、OFFモードでは、プリンタ2の電源がオフになる前にNFCタグ28に記憶させた設定ファイルをユーザ端末3に提供し、ONモードでは、NFCタグ28を介してストレージ22に記憶されている設定ファイルをユーザ端末3に提供する。
【0038】
図3に示すように、ユーザ端末3は、制御部31、ストレージ32、操作入力部33、表示部34、通信部37、及び、NFCタグ38を備える。
制御部31は、CPUを主体として構成され、ユーザ端末3全体を制御する。例えば、制御部31に含まれるCPUは、ストレージ32に記録されているNFCアプリケーションのプログラムをROMからロードして実行し、その実行結果を表示部34に表示する。
ストレージ32(記憶部の一例)は、不揮発性のメモリであり、例えばフラッシュメモリ等のSSDである。ストレージ32は、NFCアプリケーションを実行することで取得したデータ(プリンタ2の設定ファイル、及び、差分ファイル)を記憶する。
【0039】
NFCアプリケーションを実行することで、制御部31は、ユーザの操作に応じてプリンタ2に対して要求を行い、プリンタ2に記憶されている設定ファイル(設定情報の一例)を取得する取得部として機能する。また、制御部31は、保守作業前の時点(第1時点の一例)において取得部によって取得されたプリンタ2の設定データと、保守作業が完了した時点(第2時点の一例)において取得部によって取得されたプリンタ2の設定データと、の差分である差分データ(差分情報の一例)を表示するように制御する。
【0040】
操作入力部33は、例えば、ユーザ端末3の表示パネルに設けられたタッチパネル型入力デバイスである。操作入力部33は、表示パネルに対する操作入力(例えば、図2のボタンb1~b5に対する操作入力)をNFCアプリケーションに通知する。
表示部34は、例えば液晶表示パネルや有機ELパネルを含み、NFCアプリケーションの実行結果(例えば、図2の画面G1~G4)を表示する。
【0041】
通信部37は、外部の装置との間で通信を行うための通信インタフェースである。
NFCタグ38は、NFCによる近距離無線通信を行うための通信インタフェースである。例えば、NFCタグ38は、プリンタ2に対してユーザ端末3のタッチ操作が行われたときに、NFCアプリケーションによる制御の下、NFCによる通信を行う。
【0042】
次に、図4のシーケンスチャートを参照して、本実施形態の保守作業支援システム1の動作(設定データ比較処理)について説明する。
図4では、保守作業の前にプリンタ2の電源がONである場合を想定している。この場合、作業担当者は、NFCアプリケーション上でONモード(図2のモード選択部100参照)を選択し、所定のボタン(図2のb1)を操作した上で、プリンタ2に対してタッチ操作を行う(ステップS2)。それによって、NFCアプリケーションは、NFCタグ38を介してプリンタ2に対してプリンタ2の設定ファイルを要求し、当該要求に応じてプリンタ2が設定ファイルを送信する(ステップS4)。NFCアプリケーションは、設定ファイルを受信すると、受信した設定ファイルに含まれる各項目の設定データを表示し(ステップS6)、受信した設定ファイルを保存する(ステップS8)。ステップS6では、例えば図2の画面G2が表示される。
【0043】
次いで、作業担当者は、プリンタ2の電源をOFFにし、保守作業を実行する。保守作業が完了すると、作業担当者は電源をONし、プリンタ2が起動する(ステップS10)。電源ONに伴って、プリンタ2は設定ファイルを更新する(ステップS12)。この更新によって、設定ファイルは、保守作業の作業内容が反映されたものとなる。
作業担当者は、所定のボタン(図2のb3)を操作した上で、プリンタ2に対してタッチ操作を行う(ステップS14)。それによって、NFCアプリケーションは、NFCタグ38を介してプリンタ2に対してプリンタ2の設定ファイルを要求し、当該要求に応じてプリンタ2が設定ファイルを送信する(ステップS16)。NFCアプリケーションは、設定ファイルを受信すると、受信した設定ファイルに含まれる各項目の設定データを表示し(ステップS18)、受信した設定ファイルを保存する(ステップS20)。ステップS18では、例えば図2の画面G3が表示される。
【0044】
次いで、作業担当者が所定のボタン(図2のボタンb3)を操作すると、NFCアプリケーションは、ステップS8で保存した設定ファイルと、ステップS20で保存した設定ファイルと、から1以上の設定データの項目に対応する差分データを特定して表示する(ステップS22)。さらに、作業担当者が所定のボタン(図2のボタンb4)を操作すると、ステップS22で特定した1以上差分データを含む差分ファイルをストレージ32に記録する(ステップS24)。
【0045】
保守作業の前の時点でプリンタ2の電源がOFF状態である場合もあり得る。その場合であっても、OFFモードによってプリンタ2から設定ファイルを取得することができる。
図5は、OFFモードの処理を示すシーケンスチャートである。
図5において、プリンタ2の使用者が再度にプリンタ2の電源をOFFにした際(ステップS30)、プリンタ2の制御部21は、最新の設定ファイルをNFCタグ28のROM281に書き込む(ステップS32)。
【0046】
その後、作業担当者が保守作業のために来訪することが想定される。電源OFFの状態のプリンタ2に対してユーザ端末3のNFCアプリケーション上で所定の操作を行い(ステップS36)、プリンタ2にタッチ操作を行う。なお、ステップS36での操作は、図2のモード選択部100においてOFFモードを選択した上でボタンb1を操作することに相当する。
タッチ操作に応じて、NFCアプリケーションは、NFCタグ28に対してプリンタ2の設定ファイルを要求する。NFCタグ28は、設定ファイルをNDEFデータに変換し、NDEFデータをNFCアプリケーションに送信する(ステップS38)。NDEFデータを受信したNFCアプリケーションは、NDEFデータに含まれる設定ファイルを抽出して保存(ストレージ32に格納)する(ステップS40)。
ステップS40の後、作業担当者はプリンタ2に対して保守作業を実行するが、その後の動作は、図4のステップS10以降と同じである。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の保守作業支援システム1では、プリンタ2は、ユーザ端末3からの要求に応じてプリンタ2の設定ファイルをユーザ端末3に提供するように構成される。ユーザ端末3は、保守作業前の時点において取得した設定ファイルと、保守作業後の時点において取得した設定ファイルと、の差分である差分データを表示するように構成される。そのため、保守作業を実行する作業担当者等は、保守作業に伴うプリンタ2の設定データの変更を容易に確認できる。
好ましくは、図1に示したように、プリンタ2は、ユーザ端末3をプリンタ2の外部に露出した所定の位置に近接させたとき(つまり、タッチ操作を行ったとき)に、ユーザ端末3との無線通信が可能となるように配置されたNFCタグ28を備える。この場合、作業担当者は、プリンタ2に対してタッチ操作を行うだけで、プリンタ2の設定ファイルを取得し、差分データを表示させることができ、プリンタの設定データの変更を確認する際の操作性が非常に良好になる。
【0048】
図2を参照して、作業担当者がプリンタ2に対して保守作業を行うときに、ユーザ端末3のNFCアプリケーションの表示画面の変化を説明したが、他の表示形式を採ることもできる。
以下、図6及び図7を参照して、図2とは異なるNFCアプリケーションの表示動作について説明する。
【0049】
図6の画面G1は、図2の画面G1と同じである。ここで、画面G1のメニューの中に含まれるボタンb1(「設定データ比較」)を操作すると、画面G5が表示される。画面G5には、ボタンb6(「作業開始」)、ボタンb7(「作業終了」)、ボタンb8(「確認作業」)の3個のボタンが含まれる。ここで、保守作業を開始するに当たり、作業担当者がボタンb6を操作し、ユーザ端末3をプリンタ2に対してタッチ操作すると、NFCアプリケーションは、プリンタ2から設定ファイルを受信し、画面G6を表示する。
画面G6には、NFCアプリケーションに保存されている1以上の設定ファイルからなる設定ファイルリスト104が表示される。画面G6は、タッチ操作によってプリンタ2から取得した設定ファイルに名前を付けるための設定ファイル名入力ボックス105と、名前を付けた設定ファイルを保存するためのボタンb9(「保存」)と、を含む。
作業担当者が設定ファイルの名前を付けて保存操作を行うと、画面G7が表示される。画面G7は、タッチ操作によって取得した設定ファイルに含まれる各項目の設定データ一覧106を含む。
【0050】
次いで、作業担当者は、保守作業を実行し、保守作業が完了すると、画面G7(図7参照)においてボタンb7を操作し、ユーザ端末3をプリンタ2に対してタッチ操作する。それによって、NFCアプリケーションは、プリンタ2から作業完了後の設定ファイルを受信し、画面G8を表示する。画面G8は、画面G6(図6)と同様の画面であり、NFCアプリケーションに保存されている1以上の設定ファイルからなる設定ファイルリスト104aが表示される。画面G8は、設定ファイル名入力ボックス105aと、ボタンb9(「保存」)と、を含む。
作業担当者が設定ファイルの名前を付けて保存操作を行うと、画面G9が表示される。画面G9は、保守作業後のタッチ操作によって取得した設定ファイルに含まれる各項目の設定データ一覧106aを含む。つまり、画面G9において、設定データ一覧106aに表示される設定データ(設定値)は、保守作業を実行した後の情報であり、画面G7の設定データ一覧106(図6)の設定値とは異なる。
【0051】
画面G9において作業担当者がボタンb8を操作すると、NFCアプリケーションは、画面G10を表示させる。画面G10には、差分データリスト107が含まれる。この差分データリスト107は、図2の画面G4の差分データリスト103と同じである。
【0052】
以上説明した保守作業支援システム1では、ユーザ端末3のNFCアプリケーションは、保守作業後の設定ファイルや、保守作業に伴う差分ファイルを取得することができるが、この設定ファイル及び/又は差分ファイルを基に、保守納品書を発行できるようにすることが好ましい。保守納品書は、通常、作業担当者が保守作業を終えた後に保守作業の作業結果、あるいは設定データの変更の証拠を示すものとしてプリンタ2の利用者に手渡す書面である。
ユーザ端末3が印字機能を備えた端末である場合には、ユーザ端末3が保守納品書を印字、発行してもよいし、ユーザ端末3のNFCアプリケーションがプリンタ2に保守納品書を印字、発行するように指示してもよい。したがって、一実施形態では、ユーザ端末3又はプリンタ2は、ユーザ端末3が取得したプリンタ2の設定データ、及び/又は、差分データを、現在の日時と関連付けた情報を含む保守納品書を印字する印字部を備える。
【0053】
一実施形態の情報処理方法は、プリンタ2とユーザ端末3によって実行される情報処理方法であって、以下のステップを含む。
・保守作業前の時点(第1時点の一例)において、ユーザの操作に応じてプリンタ2に対してプリンタ2の設定データを要求し、プリンタ2から設定データを取得するステップ
・保守作業が完了した時点(第2時点の一例)において、ユーザの操作に応じてプリンタ2に対してプリンタ2の設定データを要求し、プリンタ2から設定データを取得するステップ
・保守作業前の時点において取得したプリンタ2の設定データと、保守作業が完了した時点において取得したプリンタ2の設定データと、の差分である差分データを表示するステップ
【0054】
一実施形態のプログラムは、ユーザ端末3にインストールされた場合に、コンピュータに、上記情報処理方法の各ステップを実行させるプログラムである。
【0055】
(2)第2の実施形態
次に、第2の実施形態に係る保守作業支援システム1Aについて説明する。なお、以下の説明では、主として、保守作業支援システム1と異なる点に注目して説明する。
【0056】
保守作業支援システム1Aが保守作業支援システム1と異なるのは、プリンタ2からユーザ端末3に送信される設定ファイル及び/又は差分ファイルがサーバに保存されている点にある。そのため、使用者ごとのプリンタ2から取得した設定ファイルや設定ファイルから得られた差分ファイルが、保守履歴情報としてサーバに記録される。それにより、実際に保守作業を行った作業担当者以外の関係者も設定ファイルや差分ファイルの内容を確認可能となるように構成することができる。
例えば、プリンタ2の保守作業を行う会社において、プリンタ2の設定ファイルや差分ファイルが実際に保守作業を行った作業担当者に問い合わせることなく、例えば、作業担当者以外の窓口担当者が、既に行われた保守作業の内容について遠隔的に把握できるようになる。
【0057】
図8に、本実施形態の保守作業支援システム1Aの各装置の内部構成を示す。図3と比較してわかるように、保守作業支援システム1Aでは、ユーザ端末3とサーバ5がネットワークNWを介して通信可能であり、かつ管理端末4とサーバ5がネットワークNWを介して通信可能である点で保守作業支援システム1と異なる。ネットワークNWは、限定しないが、例えばインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等である。
管理端末4は、プリンタ2の保守作業を管理するための端末であり、例えば、作業担当者以外の窓口担当者等が操作する端末である。管理端末4は、例えば、コンピュータ端末、タブレット端末、スマートフォン等である。
【0058】
図8に示すように、サーバ5は、制御部51、ストレージ52、および、通信部53を備える。
制御部51は、CPUを主体として構成され、サーバ5全体を制御する。例えば、制御部51に含まれるCPUは、ストレージ52に記録されているサーバプログラムをロードして実行する。
ストレージ52は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の大容量記憶装置であり、サーバプログラムのほか、変更履歴データベースを記憶する。変更履歴データベースは、サーバプログラムを実行するときに、適宜、制御部51からアクセスされる。
通信部53は、ユーザ端末3又は管理端末4との間で通信を行うための通信インタフェースである。ユーザ端末3又は管理端末4との間の通信プロトコルは限定しないが、例えばHTTPSである。
【0059】
本実施形態の保守作業支援システム1Aでは、サーバ5の制御部51は、ユーザ端末3から、ユーザ端末3が取得したプリンタ2の設定ファイル及び/又は差分ファイルを取得し、プリンタ2と関連付けて変更履歴データベースに書き込む。
図9に、変更履歴データベースの構成例を示す。図9に示す例では、変更履歴データベースは、ユーザID及びプリンタIDによって特定される各プリンタに対して、複数の項目の設定データ及び差分データを含む。具体的には、変更履歴データベースには、プリンタごとに、設定ファイルに含まれる複数の項目の各々の設定データに対して、初期値(初期の設定値)と変更履歴(日付と設定値)の情報が含まれる。各日付の変更履歴の情報が、それぞれ特定の項目の設定データに対応する差分データに相当する。
【0060】
次に、図10を参照して、本実施形態の保守作業支援システム1Aの動作について説明する。
図10において、ステップS50は、図4に示した設定データ比較処理である。この設定データ比較処理により、作業担当者のユーザ端末3には、プリンタ2の設定ファイル及び差分ファイルが保存される。その後、ユーザ端末3のNFCアプリケーションは、プリンタ2の設定ファイル及び差分ファイルを基に、サーバ5に対してデータ更新要求を行う(ステップS52)。このデータ更新要求を受けてサーバ5は、NFCアプリケーションからプリンタ2の最新の設定データ及び差分ファイルを取得して変更履歴データベースを更新する(ステップS54)。変更履歴データベースの更新は、変更履歴データベース(図9)の対応するレコードの変更履歴の情報を追加することにより行われる。
いったん変更履歴データベースが更新されると、管理端末4からサーバ5にアクセスすることで、プリンタ2の変更履歴の情報を管理端末4の使用者が確認することができる。すなわち、管理端末4がサーバ5に対してデータ閲覧要求を送信し(ステップS56)、当該要求に応じてサーバ5がプリンタ2の変更履歴の情報を含む表示用データを管理端末4に送信する(ステップS58)。例えば、管理端末4のブラウザは、受信した表示データに基づき、プリンタ2の変更履歴の情報を表示する(ステップS60)。
【0061】
以上、本発明の情報処理システム、情報処理方法、及び、プログラムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。例えば、上述した各実施形態および各変形例に記載した個々の技術的特徴は、技術的矛盾がない限り、他の実施形態及び他の変形例の一部又は全部と適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1,1A…保守作業支援システム
2…プリンタ
21…制御部
211…CPU
212…ROM
213…RAM
22…ストレージ
23…搬送部
24…印字部
25…表示部
26…操作入力部
27…通信部
28…NFCタグ
281…ROM
3…ユーザ端末
31…制御部
32…ストレージ
33…操作入力部
34…表示部
37…通信部
38…NFCタグ
4…管理端末
5…サーバ
51…制御部
52…ストレージ
53…通信部
100…モード選択部
101…プリンタ情報
102…設定データリスト
103,107…差分データリスト
104,104a…設定ファイルリスト
105,105a…設定ファイル名入力ボックス
106,106a…設定データ一覧
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10