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特開2024-75030レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法
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  • 特開-レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法 図1
  • 特開-レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法 図2
  • 特開-レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法 図3
  • 特開-レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法 図4
  • 特開-レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075030
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20240527BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G01D5/20 110X
H01R13/52 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186140
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000203634
【氏名又は名称】多摩川精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雅宏
【テーマコード(参考)】
2F077
5E087
【Fターム(参考)】
2F077FF34
2F077PP26
2F077VV21
2F077VV31
5E087LL04
5E087LL13
5E087QQ06
(57)【要約】
【課題】従来のレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法は、輪状凹部をレゾルバ本体の外周に設け、この輪状凹部の射出成形時にできたパーティングラインの上にOリングを設けていたため、パーティングラインとOリングとの間に隙間が発生し、防水が完全ではなかった。
【解決手段】レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法は、ハウジングの第1壁部とレゾルバ本体の第2壁部とによってOリングを挟持することにより、パーティングラインを形成することなく防水できる構造と方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)の内側のレゾルバ本体(1)の外周位置(1C)に設けられたOリング(5)と、前記Oリング(5)を保持するため、前記外周位置(1C)に設けられたOリング用保持部(60)と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝(60)は、前記ハウジング(2)に形成された第1壁部(2A)及び前記レゾルバ本体(1)に形成された第2壁部(1A)とを有し、前記Oリング(5)は、前記第1壁部(2A)と前記第2壁部(1A)によって挟持され、前記Oリング用保持部(60)の内面には、パーティングラインが設けられていない構造であることを特徴とするレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造。
【請求項2】
前記第1壁部(2A)は、前記ハウジング(2)の第1段部(2M)に形成され、前記第2壁部(1A)は前記レゾルバ本体(1)の第2段部(1M)に形成されていることを特徴とする請求項1記載のレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造。
【請求項3】
ハウジング(2)の内側のレゾルバ本体(1)の外周位置(1C)に設けられたOリング(5)と、前記Oリング(5)を保持するため、前記外周位置(1C)に設けられたOリング用保持部(60)と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝(60)は、前記ハウジング(2)に形成された第1壁部(2A)及び前記レゾルバ本体(1)に形成された第2壁部(1A)とを有し、前記Oリング(5)は、前記第1壁部(2A)と前記第2壁部(1A)によって挟持され、前記Oリング用保持部(60)の内面には、パーティングラインを設けていないことを特徴とするレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付方法。
【請求項4】
前記第1壁部(2A)は、前記ハウジング(2)の第1段部(2M)に形成され、前記第2壁部(1A)は前記レゾルバ本体(1)の第2段部(1M)に形成したことを特徴とする請求項3記載のレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法に関し、特に、Oリングを保持するためのOリング用保持部(Oリング溝)の内面にパーティングラインを用いない(形成しない)ようにするための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用いられていたこの種のOリングを用いて二物体間の防水を行う場合、図4及び図5で示すように本出願人が社内製作した構造を第1の従来例として示す。
すなわち、HV/EV用主機モータのハウジング内に、角度センサであるレゾルバを搭載することがあり、この場合、レゾルバの電気信号を受け渡すための構造としては、一般的には、防水機能を有する中継コネクタとレゾルバと中継コネクタを接続する中継ハーネスとで構成される場合が多い。
ただし、その場合、部品点数の増加による全体のコストが高くなることになっていた。
図4で示す第1従来例の場合、レゾルバ1Rを内蔵した樹脂成形のレゾルバ本体1の外周位置1Cには、輪状のOリング5を保持するためのOリング用保持部(Oリング溝)60がインサート成形されていた。
また、前記Oリング溝60は、金型から取りあげる時の型開き時に、図示していないが、周知のパーティングラインが前記Oリング用保持部60の内面2aに残されていた。
【0003】
また、図5で示す第2従来例の場合、レゾルバ本体1の輪状ステータ40の輪状絶縁カバー42を延長させた延長部43を端子ピン55を有する端子ピン保持部56に突き当てることによって、パーティングラインの発生のないOリング溝60が形成されるが、前述したようにコストがかかり、汎用品への適用が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-128040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4の第1従来構成の場合、レゾルバ本体1の外周位置1Cに凹状のOリング溝60を射出成形しなくてはならず、型抜きのために、1個又は複数のパーティングラインが形成され、このパーティングラインとOリング用保持部(Oリング溝)60との間に隙間ができるため、防水構造としては不適当であった。
【0006】
次に図5で示す第2従来例の構造は、前述のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、図5に示されたレゾルバ本体1の全体を図示しない射出成形機の開閉自在な金型で射出成形後に、型開きして成形した場合、型開き時のパーティングラインがその外面の軸方向に沿って形成され、前記Oリング溝60内にもパーティングラインが突条として形成される。
前述のように、前記Oリング溝60内にパーティングラインの突条が形成されていると、このOリング溝60内にOリング5等のシール材を挿入していても、このシール材と突条の周辺との間にわずかなギャップが形成されるため、オイル漏れが発生しやすい状況となっていた。
【0007】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、Oリングを保持するためのOリング用保持部(Oリング溝)の内面にパーティングラインを用いない(形成しない)ようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造は、ハウジングの内側のレゾルバ本体の外周位置に設けられたOリングと、前記Oリングを保持するため、前記外周位置に設けられたOリング用保持部と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝は、前記ハウジングに形成された第1壁部及び前記レゾルバ本体に形成された第2壁部とを有し、前記Oリングは、前記第1壁部と前記第2壁部によって挟持され、前記Oリング用保持部の内面には、パーティングラインが設けられていない構造であり、また、前記第1壁部は、前記ハウジングの第1段部に形成され、前記第2壁部は前記レゾルバ本体の第2段部に形成されている構造であり、また、本発明によるレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付方法は、ハウジングの内側のレゾルバ本体の外周位置に設けられたOリングと、前記Oリングを保持するため、前記外周位置に設けられたOリング用保持部と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝は、前記ハウジングに形成された第1壁部及び前記レゾルバ本体に形成された第2壁部とを有し、前記Oリングは、前記第1壁部と前記第2壁部によって挟持され、前記Oリング用保持部の内面には、パーティングラインを設けていない方法であり、また、前記第1壁部は、前記ハウジングの第1段部に形成され、前記第2壁部は前記レゾルバ本体の第2段部に形成した方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、ハウジングの内側のレゾルバ本体の外周位置に設けられたOリングと、前記Oリングを保持するため、前記外周位置に設けられたOリング用保持部と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝は、前記ハウジングに形成された第1壁部及び前記レゾルバ本体に形成された第2壁部とを有し、前記Oリングは、前記第1壁部と前記第2壁部によって挟持され、前記Oリング用保持部の内面には、パーティングラインが設けられていない構造及び方法であり、また、前記第1壁部は、前記ハウジングの第1段部に形成され、前記第2壁部は前記レゾルバ本体の第2段部に形成されている構造であるため、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝を形成する第1壁部、第2壁部には、パーティングラインが形成されておらず安定した防水構造が得られる。
また、各壁部の加工が楽で、かつ、簡単であるため、結果として、パーティングラインが発生することなく、安定した防水効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態によるレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造を示す一部断面図である。
図2図1の上部断面Eを示す拡大断面図である。
図3図1の下部断面Fを示す拡大断面図である。
図4】第1従来例を示す要部の断面図である。
図5】第2従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、レゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法に関し、特に、Oリングを保持するためのOリング用保持部(Oリング溝)の内面にパーティングラインを用いない(形成しない)ようにすることである。
【実施例0012】
以下、図面と共にレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法の好適な実施の形態について説明する。
尚、従来例と同一又は同等部分には、同一符号を用いて説明する。
図1において、符号1で示されるものは、周知のレゾルバ1Rをインサート成形した樹脂よりなるレゾルバ本体であり、このレゾルバ本体1の外周の形状は、全て射出成形機の金型内で中子等を用いて射出成形されている。
【0013】
図1で示す前記レゾルバ本体1(白抜き状態の部分)は、射出成形で構成されており、金属の輪状体(ハッチングあり)からなるハウジング2の貫通孔20の内面2aに嵌め込むことにより、レゾルバ本体1とハウジング2を合体することができる構造である。
輪状に金属加工された前記ハウジング2の内面2aには第1段部2Mが形成され、前記第1段部2Mから内方に向けて突出して形成された第1壁部2Aが形成されている。
【0014】
前記ハウジング2とレゾルバ本体1とを合体させた後の図1の上部断面Eと下部断面Fは、図2図3に示されており、何れの図2図3においても、第1壁部2Aと第2壁部1AによってOリング5が挟持されている。
【0015】
前記第1壁部2Aは、前記ハウジング2の軸心Pに向けて切断した状態を示しており、前記第1壁部2Aは、従来例(図4に示す)のOリング用保持部(Oリング溝)60と同様の広さで用いることができるように構成され、このレゾルバ本体1の外周位置1Cにおいて、従来のOリング用保持部(Oリング溝)60を容易に得ることができる構造である。
【0016】
すなわち、前記Oリング用保持部60のレゾルバ本体1の片側の壁を除去して前記ハウジング2を延出させて前記第1壁部2Aを形成し、前記第1壁部2Aと前記第2壁部1Aによって前記Oリング5を保持するように構成されている。
【0017】
また、従来例のOリング溝と本発明によるOリング溝との差を述べる。
すなわち、前述の図4の従来構成のOリング溝60は、このままのレゾルバ本体1の外周位置1Cで、射出成形による樹脂成形を行った場合、中子を介してレゾルバ本体1を金型内に装着させて射出成形を行うことになり、従来のように、1個又は複数の金型開閉によるパーティングラインが発生し、このパーティングラインが形成されていると、パーティングラインとOリング溝60との間の密着性が悪く、隙間による水漏れが発生する。
【0018】
そこで、本発明においては、図4と同じ機能を有する構造のOリング用保持部(Oリング溝)60を、パーティングラインを何ら有しない状態となるようにした構造であり、その構造は、図1から図3で示されるように、樹脂のレゾルバ本体1の第2壁部1Aと金属製の第1壁部2Aにより、パーティングラインを伴うような射出成形が不要(すなわち、第1壁部2Aには、パーティングラインが型開閉時に発生しない)であるが故にOリング用保持部(Oリング溝)60の内面にはパーティングラインが形成されず、完全な防水を得ることができる。
【0019】
すなわち、本発明の要旨とするところは次の通りである。
ハウジング2の内側のレゾルバ本体1の外周位置1Cに設けられたOリング5と、前記Oリング5を保持するため、前記外周位置1Cに設けられたOリング用保持部60と、前記Oリング用保持部すなわちOリング溝60は、前記ハウジング2に形成された第1壁部2A及び前記レゾルバ本体1に形成された第2壁部1Aとを有し、前記Oリング5は、前記第1壁部2Aと前記第2壁部1Aによって挟持され、前記Oリング用保持部60の内面には、パーティングラインが設けられていない構造であるレゾルバ本体1とハウジング2のOリング5による取付構造であり、また、前記第1壁部2Aは、前記ハウジング2の第1段部2Mに形成され、前記第2壁部1Aは前記レゾルバ本体1の第2段部1Mに形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明によるレゾルバ本体とハウジングのOリングによる取付構造及び方法は、ハウジングの第1壁部とレゾルバ本体の第2壁部によって形成された第1、第2壁部によってOリング溝を形成するため、Oリング用保持部すなわちOリング溝を形成する時に、パーティングラインを形成することがなく、パーティングラインに基づく液漏れを防止(防水)できる。
【符号の説明】
【0021】
1 レゾルバ本体
1A 第2壁部
1C 外周位置
1M 第2段部
1R レゾルバ
2 ハウジング
2a 内面
2A 第1壁部
2M 第1段部
5 Oリング
20 貫通孔
60 Oリング用保持部(Oリング溝)
E 上部断面
F 下部断面
P 軸心
図1
図2
図3
図4
図5