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特開2024-75038座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備
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  • 特開-座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備 図1
  • 特開-座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備 図2
  • 特開-座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075038
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備
(51)【国際特許分類】
   B21B 1/02 20060101AFI20240527BHJP
   B21B 15/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B21B1/02 E
B21B15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186159
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184859
【弁理士】
【氏名又は名称】磯村 哲朗
(74)【代理人】
【識別番号】100123386
【弁理士】
【氏名又は名称】熊坂 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196667
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘
(72)【発明者】
【氏名】梶井 憲弘
(72)【発明者】
【氏名】野口 侑紀
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 紘弥
(72)【発明者】
【氏名】山上 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】中澤 将人
【テーマコード(参考)】
4E002
【Fターム(参考)】
4E002AB04
4E002BC05
4E002BC07
4E002BD01
4E002CA07
(57)【要約】
【課題】スラブの反りによる進捗異常の抑制が可能で、スラブエッジ部の品質不良についても低減可能な、座屈防止装置制御方法と、それを行う幅プレス設備を提供する。
【解決手段】スラブの板厚中心付近の上下方向に1対あるいは複数対の座屈拘束ロールと、温度測定部とを有した幅プレス設備にて、前記スラブを間欠的に幅圧下するに際して、前記温度測定部により測定された幅プレス設備進入温度から算出される、スラブの予測増厚量と、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブの増厚量との差異により、前記座屈拘束ロールの定位置制御と定圧制御とを可変とする、座屈防止装置制御方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブの板幅中心付近の上下方向に1対あるいは複数対の座屈拘束ロールと、温度測定部とを有した幅プレス設備にて、前記スラブを間欠的に幅圧下するに際して、前記温度測定部により測定された前記スラブの幅プレス設備進入温度から算出されるスラブ予測増厚量と、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量との差異により、前記座屈拘束ロールの定位置制御と定圧制御とを可変とする、座屈防止装置制御方法。
【請求項2】
前記スラブ予測増厚量が、前記幅プレス設備進入温度と、前記幅プレス設備進入温度から予測された、プレス荷重、幅圧下量、初期スラブ幅により算出される、請求項1に記載の座屈防止装置制御方法。
【請求項3】
前記スラブ予測増厚量が、前記幅圧下量と前記初期スラブ幅、前記鋼種から規定された前記スラブ増厚量に対して30%以上差異を生じる場合において、1つまたは複数の下側の座屈拘束ロールの制御方法を前記定位置制御から前記定圧制御へと変更する、請求項1又は2に記載の座屈防止装置制御方法。
【請求項4】
幅プレス設備であって、温度測定部と、スラブの搬送路と、スラブの幅圧下を行う1対の金型と、座屈防止装置とを有し、
前記座屈防止装置は、前記スラブの搬送路を通るスラブの板幅中心付近の上下方向に配置された1対あるいは複数対の座屈拘束ロールと、制御機構とを備えて成り、
前記制御機構は、
前記温度測定部により測定されるスラブの幅プレス設備進入温度から算出されるスラブ予測増厚量を評価する評価手段と、
幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量との差異により、前記座屈拘束ロールの定位置制御と定圧制御とを可変とする変更手段と、を備えて成る、幅プレス設備。
【請求項5】
前記評価手段が、前記幅プレス設備進入温度と、前記幅プレス設備進入温度から予測されたプレス荷重、幅圧下量、初期スラブ幅により前記スラブの予測増厚量を算出する、請求項4に記載の幅プレス設備。
【請求項6】
前記変更手段が、前記スラブ予測増厚量と、前記幅圧下量と前記初期スラブ幅、前記鋼種から規定された前記スラブ増厚量と、の差異が30%以上となる場合において、1つまたは複数の下側の座屈拘束ロールの制御方法を前記定位置制御から前記定圧制御へと変更する、請求項4又は5に記載の幅プレス設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ(鋼片)の品質不良を発生させず、進捗異常を回避可能な座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備に関する。具体的には、鋼片をスラブ長手方向に搬送しつつ一対の金型で幅方向両側から断続的にプレスして幅圧下圧延(以下、単に「幅圧下」ともいう)をする際の、スラブの座屈を防止するロールを制御する方法に関する。なお、当該ロールは、単に「座屈防止ロール」、又は、「座屈拘束ロール」という場合がある。また、当該方法を行う幅プレス設備にも関する。
【背景技術】
【0002】
スラブの幅プレス設備において、幅圧下圧延に際してスラブの幅方向には座屈が発生しやすい。座屈現象はスラブ幅圧下中に、上方向(凸状)あるいは下方向(凹状)へ折れ曲がる現象である。特許文献1は、前述の座屈現象を抑制する技術として材料の幅圧下を行う金型と、金型長手方向の中央部相当位置で材料幅方向の中央部両面を押さえる上下一対の座屈を防止するロールとを有する幅プレス設備を開示している。特許文献1には、材料(スラブ)の全幅を押圧し得るフィードローラとメジャーリングロールとを一対として前記金型の入側と出側の少なくとも2箇所に設け、幅圧下中の材料を把持し、該材料の座屈やねじれを防止する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2~4には、スラブの座屈を防止するために、上下高さ位置が可変の座屈拘束ロールを設置することが開示されている。そして、幅圧下によるスラブの先端部および定常部の板厚増肉量の予測値に応じて、幅圧下によるスラブ変形を考慮した前記座屈拘束用ロールの上下高さ位置を適切に調整する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-154810号公報
【特許文献2】特開2009-248186号公報
【特許文献3】特開2011-140056号公報
【特許文献4】特開2010-110786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術は、スラブの先端部および定常部の板厚増肉量の予測値に応じて、座屈拘束用ロールの上下高さ位置を調整してスラブの座屈を防止する方法である。しかし、実際の増肉量と予測値に乖離がある場合、座屈防止ロールの位置が不適となり、スラブの反りを原因とする進捗異常が発生するという課題があった。
【0006】
また、スラブの先端部および定常部の板厚増肉は幅圧下装置進入時の温度影響が大きい。しかし、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種により予め規定される板厚増肉量の予測値では、実際の増厚量に対して精度に不足するという問題点もあった。
【0007】
本発明は、スラブの反りによる進捗異常の抑制が可能で、スラブエッジ部の品質不良についても低減が可能な、座屈防止装置制御方法と、座屈防止装置を有する幅プレス設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは、上記の課題を解決すべく検討を行い、その結果、以下の知見を得た。
【0009】
幅圧下量が大きいスラブ、特に板厚200mm以上の幅圧下を行う場合には、幅圧下荷重、板厚増肉量ともに大きく、予測値の誤差も拡大する。このため、スラブ反りの懸念から幅圧下量を制限して操業している。
【0010】
また、幅プレス設備においてスラブを間欠的に幅圧下するに際し、座屈防止ロールを定位置制御のみとした場合はパスラインが不安定となり、定圧制御のみとした場合は通板性に問題が生じる。この結果、スラブの反りによる進捗異常やスラブエッジ部の品質が低下することが判明した。
【0011】
そこで、幅プレス設備の入側で測定されたスラブ温度により増厚量を予測し、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種により予め規定される板厚増肉量(スラブ増厚量)との差異に応じて、定位置制御と定圧制御を可変にすることで、この問題が解決することを見出した。
【0012】
特に、当該差異が小さい場合には定位置制御、当該差異が大きい場合には定圧制御とする、ハイブリッド制御を行うことにより、スラブ反りによる進捗異常を抑制できるようになり、その結果、幅圧下量も増加できるようになることを見出した。
【0013】
本発明は以上の知見に基づきなされたもので、その要旨は以下の通りである。
[1]スラブの板幅中心付近の上下方向に1対あるいは複数対の座屈拘束ロールと、温度測定部とを有した幅プレス設備にて、前記スラブを間欠的に幅圧下するに際して、前記温度測定部により測定された前記スラブの幅プレス設備進入温度から算出されるスラブ予測増厚量と、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量との差異により、前記座屈拘束ロールの定位置制御と定圧制御とを可変とする、座屈防止装置制御方法。
[2]前記スラブ予測増厚量が、前記幅プレス設備進入温度と、前記幅プレス設備進入温度から予測されたプレス荷重、幅圧下量、初期スラブ幅により算出される、[1]に記載の座屈防止装置制御方法。
[3]前記スラブ予測増厚量が、前記幅圧下量と前記初期スラブ幅、前記鋼種から規定された前記スラブ増厚量に対して30%以上差異を生じる場合において、1つまたは複数の下側の座屈拘束ロールの制御方法を前記定位置制御から前記定圧制御へと変更する、[1]又は[2]に記載の座屈防止装置制御方法。
[4]幅プレス設備であって、温度測定部と、スラブの搬送路と、スラブの幅圧下を行う1対の金型と、座屈防止装置とを有し、前記座屈防止装置は、前記スラブの搬送路を通るスラブの板幅中心付近の上下方向に配置された1対あるいは複数対の座屈拘束ロールと、制御機構とを備えて成り、前記制御機構は、前記温度測定部により測定される幅プレス設備進入温度から算出されるスラブ予測増厚量を評価する評価手段と、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量との差異により、前記座屈拘束ロールの定位置制御と定圧制御とを可変とする変更手段と、を備えて成る、幅プレス設備。
[5]前記評価手段が、前記幅プレス設備進入温度と、前記幅プレス設備進入温度から予測されたプレス荷重、幅圧下量、初期スラブ幅により前記スラブ予測増厚量を算出する、[4]に記載の幅プレス設備。
[6]前記変更手段が、前記スラブ予測増厚量と、前記幅圧下量と前記初期スラブ幅、前記鋼種から規定された前記スラブ増厚量と、の差異が30%以上となる場合において、1つまたは複数の下側の座屈拘束ロールの制御方法を前記定位置制御から前記定圧制御へと変更する、[4]又は[5]に記載の幅プレス設備。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって、スラブ反りによる進捗異常を抑制できるようになり、幅圧下量の増加の効果が得られる。また、パスライン精度が向上することによりスラブエッジシーム不良の発生を防止する効果も得られる。この結果、従来は困難であった厚み200mm~400mmのスラブに対し、より精度の高い座屈防止技術を提供することができるため、産業上の利用価値は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明を実施する幅プレス設備配置例を示す側面概要図である。
図2図2は、本発明による下側座屈防止ロールの各制御方法でのプレス数に対するパスラインずれ量を示す図である。
図3図3は、本発明による下側座屈防止ロールの各制御方法でのパスラインずれ平均値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態における構成要件には、当業者が容易に置換可能なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
【0017】
図1は発明を実施する幅プレス設備の配置例を示す側面概要図である。図1の幅プレス設備の入側にスラブの温度測定部(1)を有している。この温度測定部(1)は、スラブの温度を測定可能な公知の温度計で良い。そして、当該設備の入側から入側テーブルロール(2)、上下で1対となる入側上/下ピンチロール(4、3)、上下で1対または複数対となる上側/下側座屈防止ロール#1、2(6、8、5、7)を備えている。さらに、1対の金型(11)、上下で1対となる出側上/下ピンチロール(10、9)とを備えている。なお、入側テーブルロール(2)、入側及び出側ピンチロール(3、4、9、10)、座屈防止ロール#1、2(5~8)、金型(11)は公知のものを用いることができる。また、上記座屈防止ロール#1、2(5~8)と制御機構(13)とで、座屈防止装置を構成する。制御機構(13)は、評価手段(15)と変更手段(16)とを備えて成る。評価手段(15)は、スラブ予測増厚量と、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量の算出、及び、これらの差異を算出する。変更手段(16)は、評価手段(15)の結果に応じて座屈拘束ロール#1、2(5~8)の制御を変更する機能を有している。なお、当該制御機構(13)は、コンピューターを備えた公知の制御装置を備えても良く、当該公知の制御装置は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)を含む。
【0018】
ここで、本発明の座屈防止装置制御方法について以下に説明する。
【0019】
図1において、スラブ(12)は、入側テーブルロール(2)、各ピンチロール(3、4、9、10)を備えたスラブの搬送路を、図1の矢印で示すスラブ進行方向に搬送され、金型(11)にて間欠的に幅圧下される。それと同時に座屈拘束ロール#1、2(5~8)で概ね拘束される。この時、座屈拘束ロール#1、2(5~8)は、スラブ(12)の板幅中心付近を上下方向から拘束する。なお、板幅中心付近とは、金型(11)で幅圧下した際、座屈拘束ロール#1、2(5~8)で拘束しない場合にスラブの増厚挙動に基づいて予想される、座屈防止に最適な従来公知の拘束位置であり、スラブの板幅中央部が最も好ましい。本発明の座屈防止装置制御方法では、この座屈拘束ロール#1、2(5~8)を以下のとおり制御する。
【0020】
先ず、温度測定部(1)によってスラブ(12)の温度を測定し、幅プレス設備進入温度として制御機構(13)の評価手段(15)に送信する。なお、測定するスラブ(12)の温度は表面温度が好ましいが、スラブ(12)の中心温度が測定可能である場合には、中心温度でも良い。
【0021】
次に、この幅プレス設備進入温度から、上記評価手段(15)にてスラブ予測増厚量を計算する。当該スラブ予測増厚量は、幅プレス設備進入温度から予測された、幅プレス荷重、幅圧下量、初期スラブ幅により算出されることが好ましい。より具体的には、予め実験や数値計算にてこれらのパラメータによる増厚量への影響を調査して公知の定式化をしておけばよい。
【0022】
次に、上記評価手段(15)にて、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種から規定されたスラブ増厚量を算出する。このスラブ増厚量の算出についても、予め実験や数値計算にてこれらのパラメータによる増厚量への影響を調査して公知の定式化をしておけばよい。
【0023】
なお、上述の公知の定式化について、例えば特許文献3の式(1)を用いることができる。
ΔH=α(ΔW/WO)2×HO [mm] ・・・(1)
ここで、ΔHは幅圧下後のスラブ(幅中央部)の板厚増肉量、WOは幅圧下前のスラブの幅、ΔWは幅圧下量、HOは幅圧下前のスラブの板厚である。
【0024】
幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種により予め規定されるスラブ増厚量に対する、スラブ温度測定部により測定されたスラブ温度から予測されるスラブ予測増厚量との誤差に応じて変更手段(16)により、定位置制御と定圧制御を可変にする。このハイブリッド制御を行うことにより、定位置制御が有するパスライン安定性の問題と、定圧制御が有する通板性の問題を軽減することができる。ここで、定位置制御とは、下側の座屈拘束ロール(5、7)の位置を所定の位置に制御することを意味する。また、定圧制御とは、スラブに付与される圧力が一定になるように、下側の座屈拘束ロール(5、7)を制御することを意味する。なお、これら定位置制御及び定圧制御の変更方法は、公知の方法で行えばよく、これを行う変更手段(16)についても公知の手段で良い。
【0025】
また、温度測定部(1)により測定されたスラブの幅プレス設備進入温度から算出されるスラブ予測増厚量が、幅圧下量と初期スラブ幅、鋼種により予め規定されるスラブ増厚量に対して生じる差異は30%未満とすることが好ましい。前記差異が30%以上となる場合は、1つまたは複数の下側の座屈防止ロール#1、2(5、7)の制御方法を定圧制御とする。また、当該差異が30%未満の場合には、1つまたは複数の下側の座屈防止ロール#1、2(5、7)の制御方法を定位置制御とする。
【0026】
このような制御が特に好ましいのは、200mm以上の厚みを有するスラブ(12)の幅圧下量を行う場合である。この場合、下側の座屈防止ロール#1、2(5、7)は20mm以上パスライン(14)から下方に固定され、スラブ(12)の幅プレス設備進入温度から予測されるスラブ予測増厚量の予測精度から±6mmで回帰可能と示されるためである。この効果により、幅圧下量の大きな材料の幅圧下時のスラブ反りによる進捗異常の発生防止とエッジシームの抑制を可能とする。
【実施例0027】
図1において、次の場合のスラブ(12)の中心と金型(11)の中心(金型芯)のずれであるパスラインずれを算出した。つまり、一つ目が下側座屈防止ロール#1(5)、下側座屈防止ロール#2(7)をともに定位置制御とした場合。二つ目が下側座屈防止ロール#1(5)、下側座屈防止ロール#2(7)をともに定圧制御とした場合。三つめが下側座屈防止ロール#1(5)を定位置制御、下側座屈防止ロール#2(7)を定圧制御とした場合である。なお、一つ目と二つ目の場合が従来の制御方法、三つ目の場合が本発明の制御方法である。なお、発明例1、2の制御方法では、規定のスラブ増厚量に対し評価手段によって得られたスラブ予測増厚量の差異が夫々20%、30%以上となった際に、スラブ幅圧下開始前に下側座屈防止ロールの制御方法を定位置制御から定圧制御へと変更した。図2に下側座屈防止ロール(5、7)の各制御方法におけるプレス数に対するパスラインずれ量を示す。なお、図2の「ハイブリッド」は、発明例2を意味する。下側座屈防止ロール#1(5)を定位置制御、下側座屈防止ロール#2(7)を定圧制御とした場合のパスラインずれ量の変動が少ないことが確認された。また、図3に下側座屈防止ロール(5、7)の各制御方法におけるパスラインずれの平均値を示す。図2と同様に定位置制御と定圧制御を併用する本発明の場合のパスラインずれの変動が最も小さく、パスラインずれ量自体も少ないことが示され、幅圧下時のスラブ反りによる進捗異常の発生防止とエッジシームの抑制効果が得られる。上述の差異が20%(発明例1)よりも、30%以上となった際に下側座屈防止ロールの制御方法を定位置制御から定圧制御へと変更した発明例2の方が、パスラインずれ量の変動が顕著に少なくなることが判明した。
【符号の説明】
【0028】
1 温度測定部
2 入側テーブルロール
3 入側下ピンチロール
4 入側上ピンチロール
5 下側座屈防止ロール#1
6 上側座屈防止ロール#1
7 下側座屈防止ロール#2
8 上側座屈防止ロール#2
9 出側下ピンチロール
10 出側上ピンチロール
11 金型
12 スラブ
13 制御機構
14 パスライン
15 評価手段
16 変更手段
図1
図2
図3