(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007505
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】インテリジェント温度モデル
(51)【国際特許分類】
A61B 90/00 20160101AFI20240110BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240110BHJP
【FI】
A61B90/00
G01K1/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023108255
(22)【出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】10 2022 116 528.0
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ロビン アンドリス
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手持ち式の電動医療機器の取り扱いをサポートするシステムを提供する。
【解決手段】医療機器内に配置された少なくとも1つの機器温度センサ5と、熱モデル6であって、これを用いて、温度センサの出力値に始まり、負荷依存機械損失、電気損失、オーミック再磁化損失、熱伝達係数、コンポーネントの熱伝導率、医療機器内の熱放射の影響および対流の影響の群から影響量7を考慮して、医療機器の利用部分の表面全体にわたる温度分布を結論付けることができる、熱モデル6と、表示装置8であって、これを用いて、医療機器のアクティブ作動中の利用部分の表面全体にわたる温度分布を、好ましくは医療機器のカラーグラフィック表現として、表示することができる、表示装置8と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式の電動医療機器(1)の取り扱いをサポートするシステムであって、
前記医療機器(1)内に配置された少なくとも1つの機器温度センサ(5)と、
熱モデル(6)であって、これを用いて、前記温度センサの出力値に始まり、負荷依存機械損失、電気損失、オーミック再磁化損失、熱伝達係数、コンポーネントの熱伝導率、前記医療機器内の熱放射の影響および対流の影響の群から影響量を考慮して、前記医療機器(1)の利用部分(2、3、4)の表面全体にわたる温度分布を結論付けることができる、前記熱モデル(6)と、
表示装置(8)であって、これを用いて、前記医療機器のアクティブ作動中の前記利用部分(2、3、4)の前記表面全体にわたる前記温度分布を、好ましくは前記医療機器(1)のカラーグラフィック表現として、表示することができる、表示装置(8)と、
を備える、システム。
【請求項2】
さらに、限界温度を超えた時に、警告信号または警告メッセージが出力される装置又は制御装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、前記医療機器(1)の周囲温度が検出可能である、少なくとも1つの温度センサ(10)をに備える、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
評価ユニット(12)をさらに備え、これを用いて、前記利用部分(2、3、4)の前記表面全体にわたる前記温度分布と、前記さらなる温度センサ(10)の出力値に基づいて、臨界動作温度値までの余地を表示することができる、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または前記医療機器(1)の少なくとも1つの目標作業プロファイルが好ましくは格納されるメモリユニット(15)と、
制御ユニット(11)であって、これを用いて、前記ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または前記医療機器(1)の前記目標作業プロファイルからの現在の使用プロファイルの偏差を、連続的に表示することができる、制御ユニット(11)と、
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御ユニット(11)は、検出された前記偏差の関数として、前記医療機器の少なくとも1つの選択された動作プロセスパラメータに関する情報(通知シンボル13、14)を出力することを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記情報は、前記医療機器の最適動作時間に関して、最大許容モータ速度(nmax)などの動作プロセスパラメータを修正するための提案であることを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記機器温度センサ(5)は、他の環境よりも発熱が大きくなりやすい環境において、前記医療機器(1)上に配置されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記表示装置(8)は、モバイル機器のディスプレイによって形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記熱モデル(6)が、メモリに記憶されたデータおよび/またはアルゴリズムに基づいて動作することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱モデル(6)は、前記医療機器の動作中に経験的に得られ、前記メモリ(15)に記憶されたデータによってサポートされることを特徴とする、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手持ち式医療機器の取り扱いをサポートするシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが手持ちする医療機器システムのアクティブ利用部分、例えば外科用器具のモータハンドピースは、表面材料と接触時間に応じて承認規格(IEC 60601-1、表24参照)に規定された表面温度(接触温度)を超えてはらならない。これらの温度限界は、連続運転中(例えば外科用モータの運転中)には、効率の制限が原因で必然的に超えてしまうため、この規格ではこのような場合にインターバル操作(例えば30秒のモータ起動または30秒の停止)という仕様を要求している。
【0003】
モータを過熱から保護するために、センサのない温度モデルのサポートにより、外科用モータの温度を推測し、利用部分の温度の許容量および操作中の利用部分に供給されるエネルギーを把握することもすでに知られている。
【発明の概要】
【0004】
規格の仕様は通常、医療機器システムの操作説明書に記載されているが、そのような医療機器システムのユーザは、実際にはこれらの仕様にあまり精通しておらず、むしろ混乱していることさえある。その結果、一方では、ユーザは怪我から守られることが保証されず、他方では、医療機器の動作プロファイルを十分に活用することができない。
【0005】
従って、本発明は、手持ち式電動医療機器の取り扱いをサポートするシステムを提供するという目的に基づいており、このシステムにより、医療機器のユーザは、可能な限り簡単な操作で、かつ、怪我から可能な限り保護された状態で、医療機器の動作プロファイルを十分に活用することができるようにサポートされる。
【0006】
この目的は、請求項1の特徴を備えたシステムによって解決される。
【0007】
本発明は、医療機器の利用部分の表面全体の温度を、全作業時間範囲にわたって、できるだけ正確に表示するという概念に基づいている。装置にかける労力をできるだけ少なくする小さくするために、医療機器の全表面が熱モデルに含まれるという特別な側面を有する公知の方法で、熱モデルが使用される。負荷依存機械損失、外科用モータの電気的損失(オーミック再着磁損失)、および利用部品の全表面にわたる熱伝導率の質がわかりさえすれば、利用部品の全表面にわたる温度分布について十分に正確な結論を導き出すことができる。表示装置は、温度測定の結果を、サーモグラフィに類似した視覚的表示で、医療機器のユーザに一目で分かるようにし、ユーザは、医療機器の動作状態や使用について、継続的かつ特に有意義に情報を得ることができる。このようにして、ユーザは、どの温度範囲で作業しているかが、ユーザの作業と同期して示される。最も簡単で分かりやすい視覚的表示は、現在使用中の医療機器のカラーグラフィック表現である。
【0008】
さらなる有利な発展は、従属請求項の主題である。
【0009】
本システムは、最もシンプルな、装置に関連する追加のコンポーネントと共に、医療機器の限界温度を任意の段階で超えたときに、警告信号または警告メッセージを出力するために使用することができる。好ましくは、この限界温度は、最大許容限界温度を超えようとしていることを医療機器のユーザが知ることができるように、許容操作限界温度より数K度低い温度に設定される。
【0010】
システムが、少なくとも1つのさらなる温度センサを備え、これを用いて医療機器の周囲温度を検出できる場合、ユーザは、操作中にいつでも、臨界温度値までの「安全距離」がいくらあるのかを知ることができる。
【0011】
好ましくは、この場合、評価ユニットが使用され、この評価ユニットによって、臨界動作温度値に対する余地が、利用部品の表面全体にわたる温度分布とさらなる温度センサの出力値に基づいて、表示装置に表示され得る。
【0012】
このシステムは、メモリユニットによりアップグレードすることもでき、メモリユニットには、好ましくは、ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または医療機器の少なくとも1つの目標作業プロファイル、例えば電動医療機器の実際のインターバル操作が記憶され、さらに、制御ユニットも提供され、これにより、ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または医療機器の目標作業プロファイルからの現在の使用プロファイルの偏差が連続的に表示される。このようにして、医療機器のユーザは、例えば、規格によって指定された温度加熱ウィンドウをどの程度利用したかについて、継続的に知らされる。メモリユニットは、医療機器の動作パラメータが継続的に記憶され、その進展も評価に含めることができるように、有利に備えられている。
【0013】
制御ユニットが、検出された偏差の関数として、医療機器の少なくとも1つの選択された動作プロセスパラメータに関する情報を出力する場合、医療機器のユーザは、医療機器を中断することなく可能な限り長く使用できるように、操作中に適切なタイミングで対応することができる。
【0014】
制御ユニットからの情報の中で特に価値があるものは、例えば、最大許容モータ回転数などの動作プロセスパラメータの修正提案であり、これは医療機器の操作時間を最適化することができる。制御ユニットは、例えば、該当する場合は、最大モータ回転数nmaxを60,000rpmから50,000rpmに下げるなど、現在の設定プロファイルから外れる装置設定を提案することができる。
【0015】
少なくとも1つの機器温度センサは、原則として医療機器のどこにでも配置することができる。しかし、発熱が他の環境よりも大きくなる傾向にある環境では、機器温度センサが医療機器上に配置されれば、ユーザの安全性はさらに向上する。理想的には、温度センサは、発熱が最大になると予想される場所のすぐ近くに配置される。
【0016】
手術室のモニターや別の機器のディスプレイなど、さまざまな機器を表示装置に使用することができる。表示装置がノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器のディスプレイによって形成される場合、システムはさらに簡素化される。
【0017】
好ましくは、熱モデルは、メモリに保存されたデータおよび/またはアルゴリズムに基づいて動作する。
【0018】
熱モデルが、医療機器の操作中に経験的に得られてメモリに保存されたデータによってサポートされる場合、システム出力の精度が向上すると同時に、ユーザの個々の操作パターンとその時間的順序をシステム出力に組み込むことができるという前提条件を作り出すことができる。
【0019】
以下、本発明の構成例を、概略図面を用いて、さらに詳細に説明する。以下のものが示される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、手持ち式の電動医療機器の取り扱いをサポートするシステムの第1の実施形態のコンポーネントを示すブロック図である。
【0021】
【0022】
【
図2】
図2は、
図1によるシステムで使用される表示装置の説明図である。
【0023】
【
図3】
図3は、変形実施例のシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、
図1Aに概略的に示されている、手持ち式電動医療器具1の取り扱いをサポートするためのシステムの第1の実施形態を示す。医療機器1は、近位ハンドル部2と、遠位機器部3と、手術用モータが配置されたモータ部4とを有する。このような医療機器システムの、外科医等のユーザによって手持ちされるアクティブ利用部分は、表面材料および接触時間に応じて、所定の表面温度(接触温度)を超えてはならない。また、外科用モータは、効率が低下する動作点での動作から保護されなければならない。このため、ユーザ側は医療機器の現在の使用ポイントをよく把握しておく必要がある。
【0025】
以下に説明するシステムにより、ユーザは、一方では怪我から確実に保護され、他方では医療機器の動作プロファイルを十分に活用できるという点でサポートされる。
【0026】
この目的のために、システムは、医療機器1内に配置された少なくとも1つの機器温度センサ5を有し、この機器温度センサ5は、例えば
図1Aに示すように、発熱量が他の環境よりも大きくなりやすい環境において医療機器1上に配置される。
【0027】
この機器温度センサ5は、その測定値を熱モデル6に供給し、この熱モデル6を用いて、温度センサ5の出力値から出発して、負荷依存機械的損失、外科用モータの電気損失およびオーミック再着磁損失、熱伝達係数、コンポーネントの熱伝導率、医療機器内の熱放射の影響および対流の影響の群からの影響量7を考慮して、医療機器1の利用部分の表面全体にわたる温度分布を結論付けることができる。このような熱モデルは、より多くの影響量7が考慮されればされるほど、医療機器の表面温度をより正確に表す。しかし、医療機器1の表面全体にわたる熱伝導率の質だけでなく、負荷依存機械損失、電気損失(オーミック再磁化損失)の考慮といった、限定的な選択でも、°範囲の表面温度を正確に推定するのに十分であることが判明した。
【0028】
熱モデル6を用いて得られたこの推定結果は、表示装置8によって、医療機器1のアクティブ動作中の利用部分、すなわち医療機器1のコンポーネント2、3、4の表面全体にわたる温度分布がサーモグラフィと同様の方法でグラフィックとして見られるように表示される。この目的のために、
図1に示すように、医療機器1のカラーグラフィック表現が好ましくは使用される。
【0029】
図2は、グラフィック表現の詳細を示している。医療機器1の全体は、温度の異なる点が異なる色で示されるように着色されている。
図2の白黒図では、異なる色は密度の異なるドットのパターンで示されている。色は、9と記された温度スケールで繰り返される。例えば、最も高い温度は赤色で表示され(白黒表示では最もドットの密度が高く表示され)、最も低い温度は青色で表示される(
図2による表示ではドットの密度が最も小さく表示される)ように色が割り当てられる。そのため、医療機器1のユーザは、医療機器がどのような動作状態にあり、現在の負荷要素が何かを、連続的に、特に有意義に、一目で見ることができる。このようにして、どの温度範囲で作業しているかが、作業と同期してユーザに示される。
【0030】
このシステムは、医療機器1の任意の箇所で限界温度を超えた場合に、警告信号または警告メッセージを発する装置(より詳細には図示しない)で補完することができる。好ましくは、この限界温度は、医療機器1のユーザが最大許容限界温度を超えようとしていることを知れるよう、許容動作限界温度より数K度低い温度に設定される。
【0031】
図3は、システムの変形版である。
図1によるシステムのコンポーネントに加えて、このシステムは少なくとも1つの温度センサ10をさらに備えており、これを用いると、医療機器1の周囲温度を好ましくは連続的に測定できる。このようにすることで、操作中いつでも、臨界温度値からどの程度の「安全距離」を維持して操作しているかをユーザに示すことができるという前提条件が生まれる。したがって、この追加の温度センサを使用して、医療機器1の温度勾配が環境に関してどのように変化するか、ひいては、IEC 60601規格よれば依然許容される医療機器の表面温度がどのように変化するかを、ユーザに継続的に示すことができる。
【0032】
好ましくは、この場合、制御ユニット11に統合された評価ユニット12が使用され、この評価ユニット12を用いて、機器部3を含む医療機器1の表面全体にわたる温度分布と、さらなる温度センサ10の出力値WAとに基づいて、臨界動作温度値までの余地を表示装置に表示することができる。
【0033】
図3では、この情報は通知シンボル、例えば矢印13、14で表され、臨界点がどこに、どのような確率で予想されるかをユーザに示す。通知シンボルは、その重要度や危険度を示すために、色分けすることもできる。さらに、この情報は、危機的状況に対処する方法に関する指示と組み合わせることもできる。
【0034】
図3によるシステムはまた、温度センサ5および10の出力値と温度プロファイルの展開とを連続的に記録するメモリユニット15を有する。このメモリユニット15は、好ましくは、ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または医療機器1の少なくとも1つの目標作業プロファイルも記憶することができる。これは、例えば、ユーザがシステムに入力する、電動医療機器1の実際のインターバル操作とすることができる。そして、制御ユニット11は、表示装置8を介して、ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または医療機器1の目標作業プロファイルからの現在の使用プロファイルの偏差を継続的に表示することができる。このようにして、医療機器1のユーザは、例えば、規格によって指定された温度加熱ウィンドウをどの程度利用したかについて、継続的に知らされる。メモリユニット15は、医療機器1の動作パラメータが継続的に記憶され、その進展も評価に含めることができるように、有利に備えられている。
【0035】
制御ユニットが、検出された偏差の関数として、少なくとも1つの選択された、医療機器の動作プロセスパラメータに関する情報を出力する場合、医療機器のユーザは、医療機器をできるだけ長く中断することなく使用できるように、操作中の早い段階で対応することができる。この観点から、制御ユニットは医療機器1の制御技術に介入する機能を備えることもできる。
【0036】
記録された温度プロファイルの関数として制御ユニットによって出力される情報は、例えば、最大許容モータ回転数などの動作プロセスパラメータを変更するための提案であり、これを用いて医療機器1の動作時間を最適化することができる。したがって、制御ユニットは、例えば、該当する場合は、最大モータ速度nmaxを60,000rpmから50,000rpmに下げるなど、現在の設定プロファイルから外れる装置設定を提案することができる。また、制御ユニットがこの動作プロセスパラメータを独立して変更することも可能である。
【0037】
説明した実施形態は例示に過ぎず、もちろん本発明の基本的な考え方から逸脱することなく変更することができる。少なくとも1つの機器温度センサは、原則として、医療機器1の任意の位置に配置することができる。
【0038】
表示装置には、手術室のモニターや別装置のディスプレイなど、さまざまな装置を使用できる。表示装置がノートパソコンやスマートフォンなどのモバイル機器のディスプレイであれば、システムはさらに簡素化できる。
【0039】
熱モデル6は、例えば、メモリに格納されたデータおよび/またはアルゴリズムを組み込むなど、多種多様なベースで動作することができる。
【0040】
熱モデルは、医療機器1の操作中に経験的に得られてメモリに保存されたデータによってもサポートすることができ、これにより、ユーザの個々の操作パターンとその時間的順序をシステム出力に組み込むことができる。
【0041】
本発明は、このように、手持ち式電動医療機器の取り扱いをサポートするためのシステムを構築するものであり、このシステムにより、医療機器のユーザは、可能な限り簡単な操作で、かつ、怪我から可能な限り保護された状態で、医療機器の動作プロファイルを十分に活用できるようにサポートされる。
システムは、以下の構成要素、
医療機器内に配置された少なくとも1つの機器温度センサと、
熱モデルであって、これを用いて、温度センサの出力値に始まり、負荷依存機械損失、電気損失、オーミック再磁化損失、熱伝達係数、コンポーネントの熱伝導率、医療機器内の熱放射の影響および対流の影響の群から影響量を考慮して、医療機器1の利用部分の表面全体にわたる温度分布を結論付けることができる、熱モデルと、
表示装置であって、これを用いて、医療機器の作動中の利用部分2、3、4の表面全体にわたる温度分布を、好ましくは医療機器1のカラーグラフィック表現として、表示することができる、表示装置と、
を備える。
【0042】
本明細書には、以下の態様が含まれる。
[1]手持ち式の電動医療機器(1)の取り扱いをサポートするシステムであって、
前記医療機器(1)内に配置された少なくとも1つの機器温度センサ(5)と、
熱モデル(6)であって、これを用いて、前記温度センサの出力値に始まり、負荷依存機械損失、電気損失、オーミック再磁化損失、熱伝達係数、コンポーネントの熱伝導率、前記医療機器内の熱放射の影響および対流の影響の群から影響量を考慮して、前記医療機器(1)の利用部分(2、3、4)の表面全体にわたる温度分布を結論付けることができる、前記熱モデル(6)と、
表示装置(8)であって、これを用いて、前記医療機器のアクティブ作動中の前記利用部分(2、3、4)の前記表面全体にわたる前記温度分布を、好ましくは前記医療機器(1)のカラーグラフィック表現として、表示することができる、表示装置(8)と、
を備える、システム。
[2]さらに、限界温度を超えた時に、警告信号または警告メッセージが出力される装置又は制御装置を備える、[1]に記載のシステム。
[3]さらに、前記医療機器(1)の周囲温度が検出可能である、少なくとも1つの温度センサ(10)をに備える、[1]又は[2]に記載のシステム。
[4]評価ユニット(12)をさらに備え、これを用いて、前記利用部分(2、3、4)の前記表面全体にわたる前記温度分布と、前記さらなる温度センサ(10)の出力値に基づいて、臨界動作温度値までの余地を表示することができる、[3]に記載のシステム。
[5]ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または前記医療機器(1)の少なくとも1つの目標作業プロファイルが好ましくは格納されるメモリユニット(15)と、
制御ユニット(11)であって、これを用いて、前記ユーザ固有アプリケーションプロファイルおよび/または前記医療機器(1)の前記目標作業プロファイルからの現在の使用プロファイルの偏差を、連続的に表示することができる、制御ユニット(11)と、
をさらに備える、[1]~[4]のいずれか一項に記載のシステム。
[6]前記制御ユニット(11)は、検出された前記偏差の関数として、前記医療機器の少なくとも1つの選択された動作プロセスパラメータに関する情報(通知シンボル13、14)を出力することを特徴とする、[5]に記載のシステム。
[7]前記情報は、前記医療機器の最適動作時間に関して、最大許容モータ速度(nmax)などの動作プロセスパラメータを修正するための提案であることを特徴とする、[6]に記載のシステム。
[8]前記機器温度センサ(5)は、他の環境よりも発熱が大きくなりやすい環境において、前記医療機器(1)上に配置されることを特徴とする、[1]~[7]のいずれか一項に記載のシステム。
[9]前記表示装置(8)は、モバイル機器のディスプレイによって形成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
[10]前記熱モデル(6)が、メモリに記憶されたデータおよび/またはアルゴリズムに基づいて動作することを特徴とする、[1]~[9]のいずれか一項に記載のシステム。
[11]前記熱モデル(6)は、前記医療機器の動作中に経験的に得られ、前記メモリ(15)に記憶されたデータによってサポートされることを特徴とする、[10]に記載のシステム。
【外国語明細書】