(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075077
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】電源回路保護装置、バックライト制御装置および電源回路保護方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240527BHJP
H05B 45/18 20200101ALI20240527BHJP
H05B 45/38 20200101ALI20240527BHJP
H05B 45/375 20200101ALI20240527BHJP
H05B 45/56 20200101ALI20240527BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20240527BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240527BHJP
H05B 47/28 20200101ALI20240527BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H02M3/00 K
H02M3/00 P
H05B45/18
H05B45/38
H05B45/375
H05B45/56
H05B45/325
H05B47/105
H05B47/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186246
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 太
【テーマコード(参考)】
3K273
5H730
【Fターム(参考)】
3K273AA02
3K273AA05
3K273BA23
3K273BA24
3K273BA33
3K273CA02
3K273CA12
3K273CA14
3K273CA25
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA17
3K273EA22
3K273EA24
3K273EA25
3K273EA36
3K273EA40
3K273FA06
3K273FA14
3K273FA26
3K273GA06
3K273GA14
5H730AA20
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS11
5H730FD11
5H730FD61
5H730FG05
5H730XX22
5H730XX33
5H730XX38
5H730XX41
(57)【要約】
【課題】電源回路の負荷をより正確に検出して電源回路を部品破壊から保護することが可能な「電源回路保護装置、バックライト制御装置および電源回路保護方法」を提供する。
【解決手段】昇圧電源回路23に供給される入力電圧を検出する電圧センサ24を備え、PWM制御回路21は、電圧センサ24により検出される入力電圧が所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、PWM制御回路21のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。昇圧電源回路23の負荷が入力電圧と相関があることを利用して、電圧センサ24によって昇圧電源回路23への入力電圧を検出することにより、昇圧電源回路23の負荷をより正確に検出することができるようにし、PWM信号のデューティを正常時よりも小さく設定することを通じて昇圧電源回路23にかかる負荷を低減する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧を変圧することによって得られる出力電圧を制御対象回路に電源電圧として印加する電源回路を保護するための電源回路保護装置であって、
可変に設定されるデューティによるパルス波から成る制御信号を発生する制御信号発生部と、
上記制御信号発生部により発生される上記制御信号に基づいて上記制御対象回路の動作を制御する対象回路制御部と、
上記電源回路に供給される上記入力電圧を検出する電圧検出部とを備え、
上記制御信号発生部は、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する
ことを特徴とする電源回路保護装置。
【請求項2】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、
上記制御信号発生部は、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が上記所定の電圧条件に合致することが検知された場合、または、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路保護装置。
【請求項3】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、
上記所定の電圧条件に代えて所定の電圧温度複合条件を用い、
上記制御信号発生部は、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路保護装置。
【請求項4】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、
上記所定の電圧条件に代えて所定の電圧温度複合条件を用い、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定し、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致しないことが検知された場合に、上記電源回路が、上記入力電圧から上記出力電圧への変圧幅を上記正常時の変圧幅より小さくするとともに、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティと同じまたはそれよりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路保護装置。
【請求項5】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が上記所定の電圧条件に合致し、かつ、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記電源回路が、上記入力電圧から上記出力電圧への変圧幅を上記正常時の変圧幅より小さくするとともに、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定し、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が上記所定の電圧条件に合致せず、かつ、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記電源回路が、上記入力電圧から上記出力電圧への変圧幅を上記正常時の変圧幅と同じにするとともに、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定し、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が上記所定の電圧条件に合致し、かつ、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致しないことが検知された場合に、上記電源回路が、上記入力電圧から上記出力電圧への変圧幅を上記正常時の変圧幅より小さくするとともに、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティと同じまたはそれよりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源回路保護装置。
【請求項6】
上記電源回路は、上記入力電圧を昇圧し、当該昇圧によって得られる上記出力電圧を上記制御対象回路に上記電源電圧として印加する昇圧電源回路であり、
上記所定の電圧条件は、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が所定の電圧閾値未満という条件である
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の電源回路保護装置。
【請求項7】
上記電源回路は、上記入力電圧を降圧し、当該降圧によって得られる上記出力電圧を上記制御対象回路に上記電源電圧として印加する降圧電源回路であり、
上記所定の電圧条件は、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が所定の電圧閾値以上という条件である
ことを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の電源回路保護装置。
【請求項8】
上記制御対象回路は液晶表示装置が有するバックライトの発光ダイオードであり、上記バックライトが上記温度検出部を備えており、
請求項2~5の何れか1項に記載の電源回路保護装置を備えた
ことを特徴とするバックライト制御装置。
【請求項9】
入力電圧を変圧することによって得られる出力電圧を制御対象回路に電源電圧として印加する電源回路と、可変に設定されるデューティによるパルス波から成る制御信号を発生する制御信号発生部と、上記制御信号発生部により発生される上記制御信号に基づいて上記制御対象回路の動作を制御する対象回路制御部とを備えた電子機器において、上記電源回路を保護するための電源回路保護方法であって、
上記電源回路に供給される上記入力電圧を電圧検出部により検出し、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することを特徴とする電源回路保護方法。
【請求項10】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致する場合に、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することによって上記制御対象回路を保護するようになされた上記電子機器において、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧が上記所定の電圧条件に合致することが検知された場合、または、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することを特徴とする請求項9に記載の電源回路保護方法。
【請求項11】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致する場合に、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することによって上記制御対象回路を保護するようになされた上記電子機器において、
上記所定の電圧条件に代えて所定の電圧温度複合条件を用い、上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することを特徴とする請求項9に記載の電源回路保護方法。
【請求項12】
上記制御対象回路の発熱に起因する周囲温度を検出する温度検出部を更に備え、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が所定の温度条件に合致する場合に、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することによって上記制御対象回路を保護するようになされた上記電子機器において、
上記所定の電圧条件に代えて所定の電圧温度複合条件を用い、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致することが検知された場合に、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティよりも小さく設定し、
上記電圧検出部により検出される上記入力電圧および上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、上記温度検出部により検出される上記周囲温度が上記所定の温度条件に合致しないことが検知された場合に、上記電源回路が、上記入力電圧から上記出力電圧への変圧幅を上記正常時の変圧幅より小さくするとともに、上記制御信号発生部が、上記制御信号のデューティを上記正常時に設定されるデューティと同じまたはそれよりも大きく設定する
ことを特徴とする請求項9に記載の電源回路保護方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路保護装置、バックライト制御装置および電源回路保護方法に関し、特に、電源回路を部品破壊から保護する装置および方法、並びに当該装置を用いたバックライト制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水銀を使わない環境配慮型のLCD(液晶表示装置)のバックライトとして、光源にLED(発光ダイオード)を用いたものが提供されている。バックライトの光源にLEDを用いた場合、色度の変化を最小にするために、LEDを定電流で駆動することが求められる。LEDを定電流で駆動するための方式として、昇圧定電流駆動方式、降圧定電流駆動方式、昇降圧定電流駆動方式が存在する。例えば車載液晶表示装置では、高輝度を得るために昇圧電源回路が使用され、ディスプレイの輝度調整としてPWM(Pulse Width Modulation)信号が使用される。
【0003】
図13は、昇圧定電流駆動方式による従来のバックライト制御装置を用いた液晶表示装置の概略構成例を示す図である。
図13に示す従来の液晶表示装置100は、バックライト110およびバックライト制御装置120を備えている。バックライト110は、LEDマトリクス111および温度センサ112を備えている。バックライト制御装置120は、PWM制御回路121、電流制御回路122および昇圧電源回路123を備えている。
【0004】
バックライト110のLEDマトリクス111は、複数のLEDにより構成されている。ここでは図示の簡略化のため、直列接続された1つのLED列のみを図示しているが、これと同様の構成が複数列存在する。複数のLED列が並列接続されることによってLEDマトリクス111が構成される。
【0005】
バックライト制御装置120の昇圧電源回路123は、入力電圧VINをそれより高い所定の電圧に昇圧し、昇圧した出力電圧VOUTをLEDマトリクス111のアノード側に印加する。入力電圧VINは、例えば、車両に搭載された図示しないバッテリから供給される電源電圧である。
【0006】
LEDマトリクス111の調光は、PWM制御回路121および電流制御回路122によって行う。PWM制御回路121は、調光率に応じた時間的割合でデューティを設定したパルス波から成るPWM信号を発生して電流制御回路122に供給する。電流制御回路122は、PWM信号のパルスがオンとなっている期間中にLEDマトリクス111のカソード側から定電流を引き込むことにより、LEDマトリクス111の調光を制御する。
【0007】
バックライト110の温度センサ112は、バックライト110に発生する温度を検出し、PWM制御回路121に通知する。PWM制御回路121は、温度センサ112により検出される温度が所定値以上となったことを検知した場合に、PWM信号のデューティを下げることでLEDマトリクス111からの発熱を抑え、LEDマトリクス111を保護する。なお、このように温度センサ112の検出結果に基づいて調光を制御する技術は、例えば特許文献1,2に開示されている。
【0008】
ところで、近年のディスプレイ大型化に伴い、バックライトのより一層の高輝度化が求められており、昇圧電源回路123に使用される部品の負荷も大きくなっている。特に、昇圧電源回路123への入力電圧VINが低電圧のときには出力電圧VOUTへの昇圧幅が大きくなるため、電力損失による負荷が増加し、最悪の場合には昇圧電源回路123の自己発熱により部品破壊に至るという問題があった。
【0009】
このような問題に対し、昇圧電源回路123の付近に温度センサを設置し、昇圧電源回路123での発熱量を検出して保護を図る方法が考えられる。しかしながら、昇圧電源回路123の付近に温度センサを搭載するとしても、搭載位置によって検出温度に差が生じやすく、環境温度を含めてセンシングするため、温度センサを使って電力損失による高負荷を正確に判別するのは困難である。
【0010】
なお、パルス幅制御により安定化した出力電圧を得るように構成された昇圧型のDC-DCコンバータにおいて、DC-DCコンバータの入力電圧が設定電圧以下まで低くなった場合に、制御ICの動作を停止させることによってDC-DCコンバータを保護する技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、この特許文献3に記載の技術をバックライト制御装置に適用すると、昇圧電源回路123への入力電圧VINが設定電圧以下になると昇圧電源回路123の動作が停止し、ディスプレイがブラックアウトしてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010-49809号公報
【特許文献2】特開2015-13560号公報
【特許文献3】特開平7-177730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、電源回路の負荷をより正確に検出して電源回路を部品破壊から保護できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記した課題を解決するために、本発明では、入力電圧を変圧することによって得られる出力電圧を制御対象回路に電源電圧として印加する電源回路に供給される入力電圧を検出する電圧検出部を備え、電圧検出部により検出される入力電圧が所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、正常時に設定されるデューティよりも小さく設定したデューティによるパルス波から成る制御信号を発生し、当該制御信号に基づいて制御対象回路の動作を制御するようにしている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように構成した本発明によれば、電源回路の負荷は入力電圧の大きさと相関があるため、電圧検出部によって入力電圧を検出することにより、電源回路の周囲温度を検出する場合に比べて電源回路の負荷をより正確に検出することができる。そして、検出した入力電圧が所定の電圧条件に合致することが検知された場合には、電源回路に高負荷がかかっている可能性があるとの想定のもと、制御信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することを通じて電源回路にかかる負荷を低減し、電源回路を部品破壊から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施形態によるPWM制御回路の制御内容を説明するための図である。
【
図3】第1の実施形態によるバックライト制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図4】第2の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図5】第2の実施形態によるPWM制御回路の制御内容を説明するための図である。
【
図6】第2の実施形態によるバックライト制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図7】第3の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図8】第3の実施形態によるPWM制御回路の制御内容を説明するための図である。
【
図9】第3の実施形態によるバックライト制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図10】第4の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図11】第4の実施形態によるPWM制御回路の制御内容を説明するための図である。
【
図12】第4の実施形態によるバックライト制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図13】昇圧定電流駆動方式による従来のバックライト制御装置を用いた液晶表示装置の概略構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。第1の実施形態による液晶表示装置1は、例えば車両に搭載され、車両に搭載された電子機器によって表示の制御が行われる。
【0017】
図1に示すように、第1の実施形態による液晶表示装置1は、バックライト110およびバックライト制御装置20を備えている。バックライト10は、LEDマトリクス11および温度センサ12を備えている。LEDマトリクス11は特許請求の範囲の制御対象回路に相当し、温度センサ12は特許請求の範囲の温度検出部に相当する。
【0018】
バックライト制御装置20は、PWM制御回路21、電流制御回路22、昇圧電源回路23および電圧センサ24を備えている。第1の実施形態による電源回路保護装置は、PWM制御回路21、電流制御回路22および電圧センサ24により構成される。PWM制御回路21は特許請求の範囲の制御信号発生部に相当し、電流制御回路22は特許請求の範囲の対象回路制御部に相当し、昇圧電源回路23は特許請求の範囲の電源回路に相当し、電圧センサ24は特許請求の範囲の電圧検出部に相当する。
【0019】
バックライト10のLEDマトリクス11は、複数のLEDにより構成されている。ここでは図示の簡略化のため、直列接続された1つのLED列のみを図示しているが、これと同様の構成が複数列存在する。複数のLED列が並列接続されることによってLEDマトリクス11が構成される。
【0020】
バックライト制御装置20の昇圧電源回路23は、入力電圧VINをそれより高い所定の電圧に昇圧し、昇圧した出力電圧VOUTをLEDマトリクス11のアノード側に印加する。入力電圧VINは、例えば、車両に搭載された図示しないバッテリから供給される電源電圧である。車載のバッテリから昇圧電源回路23に供給される電圧の大きさは、車両の走行状況によって変動が生じ得る。
【0021】
PWM制御回路21は、可変に設定されるデューティによるパルス波から成る制御信号を発生する。具体的には、PWM制御回路21は、バックライト制御装置20の外部において指定された調光率に応じた時間的割合でデューティを設定したパルス波から成るPWM信号を発生し、当該PWM信号を制御信号として電流制御回路22に供給する。調光率は、例えば、本実施形態の液晶表示装置1に対して表示を行う電子機器に対するユーザの操作により指定され得る。あるいは、車内に設置された照度センサにより検出される車室内の照度に基づいて電子機器により調光率が自動的に指定され得る。
【0022】
電流制御回路22は、PWM制御回路21により発生されるPWM信号に基づいて、LEDマトリクス11の動作を制御する。具体的には、電流制御回路22は、PWM制御回路21から供給されるPWM信号のパルスがオンとなっている期間中にLEDマトリクス11のカソード側から定電流を引き込むことにより、LEDマトリクス11の調光を制御する。
【0023】
バックライト10の温度センサ12は、LEDマトリクス11の発熱に起因する周囲温度(バックライト10に発生する温度)を検出し、PWM制御回路21に通知する。PWM制御回路21は、温度センサ12により検出される周囲温度が所定の温度条件に合致することが検知された場合に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することでLEDマトリクス11からの発熱を抑え、LEDマトリクス11を保護する。
【0024】
ここで、所定の温度条件は、温度センサ12により検出される周囲温度が所定の温度閾値Thtより高いという条件である。正常時に設定されるデューティとは、指定された調光率をそのまま反映して設定されるデューティをいう。正常時に設定されるデューティよりもデューティを小さく設定する方法は任意である。例えば、PWM信号のオン期間の比率を正常時より所定パーセント小さくするようにしてもよいし、PWM信号のオン期間の長さを正常時より所定時間だけ短くするようにしてもよい。
【0025】
電圧センサ24は、昇圧電源回路23に供給される入力電圧VINを検出し、PWM制御回路21に通知する。PWM制御回路21は、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することで昇圧電源回路23の負荷を低減し、当該昇圧電源回路23を高負荷による部品破壊から保護する。
【0026】
ここで、所定の電圧条件は、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満という条件である。入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満の場合、この入力電圧VINと所定の出力電圧VOUTとの差が大きくなるため、入力電圧VINを所定の出力電圧VOUTまで昇圧するのに高い負荷がかかると想定される。本実施形態では、このような場合にも、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0027】
図2は、第1の実施形態によるPWM制御回路21の制御内容を説明するための図であり、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定するケースを示している。
図2において、縦軸は温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度を示し、横軸は電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INを示している。
図2において、着色した領域が、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定するケースを示している。
【0028】
すなわち、
図2に示すように、PWM制御回路21は、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Th
tより高いことが検知された場合、または、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INが所定の電圧閾値Th
vより小さいことが検知された場合に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0029】
LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致する場合にPWM信号のデューティを下げることで、LEDマトリクス11の消費電流を減少させることができる。これにより、LEDマトリクス11の負荷を低減し、LEDマトリクス11を部品破壊から保護することが可能である。一方、昇圧電源回路23への入力電圧VINが所定の電圧条件に合致する場合にも、PWM信号のデューティを下げることでLEDマトリクス11の消費電流を減少させ、これによって昇圧電源回路23の出力消費電流を減少させることができる。これにより、昇圧電源回路23での電力損失を抑制し、昇圧電源回路23を部品破壊から保護することが可能である。
【0030】
図3は、第1の実施形態によるバックライト制御装置20の動作例を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、バックライト制御装置20の電源がオンとされたときに開始する。なお、このフローチャートは、第1の実施形態の要旨に係る動作のみを図示しており、正常時における調光動作などは図示を省略している。
【0031】
まず、PWM制御回路21は、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより高いか否かを判定する(ステップS1)。ここで、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより高いと判定された場合、PWM制御回路21は、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS3)。
【0032】
一方、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより高くないと判定された場合、PWM制御回路21は続いて、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満か否かを判定する(ステップS2)。ここで、昇圧電源回路23への入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満であると判定された場合、PWM制御回路21は、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS3)。
【0033】
一方、昇圧電源回路23への入力電圧V
INが所定の電圧閾値Th
v未満ではないと判定された場合、処理はステップS4に進む。ステップS3の処理が実行された後も、処理はステップS4に進む。ステップS4において、バックライト制御装置20は、処理を終了するか否かを判定する。ここでは、バックライト制御装置20の電源をオフする操作が行われたか否かを判定する。電源をオフする操作が行われていない場合、処理はステップS1に戻る。一方、電源をオフする操作が行われた場合、
図3に示すフローチャートの処理は終了する。
【0034】
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、昇圧電源回路23に供給される入力電圧VINを検出する電圧センサ24を備える。そして、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧条件に合致することが検知された場合に、正常時に設定されるデューティよりも小さく設定したデューティから成るPWM信号をPWM制御回路21により発生し、電流制御回路22が当該PWM信号に基づいてLEDマトリクス11の動作(LEDマトリクス11から定電流を引き込む動作)を制御するようにしている。
【0035】
このように構成した第1の実施形態によれば、昇圧電源回路23の負荷は入力電圧VINの大きさと相関があるため、電圧センサ24によって入力電圧VINを検出することにより、昇圧電源回路23の周囲温度を温度センサで検出する場合に比べて昇圧電源回路23の負荷をより正確に検出することができる。そして、検出した入力電圧VINが所定の電圧条件に合致することが検知された場合には、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定することを通じて昇圧電源回路23にかかる負荷を低減し、昇圧電源回路23を部品破壊から保護することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。
図4は、第2の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。第2の実施形態による液晶表示装置1Aも、例えば車両に搭載され、車両に搭載された電子機器によって表示の制御が行われる。
【0037】
図4において、
図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図4に示すように、第2の実施形態による液晶表示装置1Aは、バックライト制御装置20に代えてバックライト制御装置20Aを備えている、バックライト制御装置20Aは、PWM制御回路21に代えてPWM制御回路21Aを備えている。
【0038】
PWM制御回路21Aは、第1の実施形態で説明した所定の電圧条件に代えて所定の電圧温度複合条件を用いる。そして、PWM制御回路21Aは、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧VINおよび温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の電圧温度複合条件に合致することが検知された場合に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0039】
図5は、第2の実施形態によるPWM制御回路21Aの制御内容を説明するための図である。
図5において、縦軸は温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度を示し、横軸は電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INを示している。
図5において、着色した領域が、昇圧電源回路23への入力電圧V
INおよびLEDマトリクス11の周囲温度が所定の電圧温度複合条件に合致するケース、つまりPWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定するケースを示している。
【0040】
図5において、PWM信号のデューティを小さく設定するか否かの境界を示す境界線51は、昇圧電源回路23への入力電圧V
INの値ごとに、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が上回るべき温度閾値を示したものと言える。あるいは、境界線51は、LEDマトリクス11の周囲温度の値ごとに、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INが下回るべき電圧閾値を示したものとも言える。
【0041】
この境界線51は、例えば温度センサ12および電圧センサ24による実測を通じて設定される。すなわち、PWM制御回路21Aにおいてある調光率に基づくPWM信号を発生し、このPWM信号に基づいて電流制御回路22によりLEDマトリクス11を制御している状態において、昇圧電源回路23に供給する入力電圧V
INの値を変えていく。そして、複数の入力電圧V
INごとに、温度センサ12および電圧センサ24により温度と電圧を検出し、検出された値を
図5の座標上にプロットする。境界線51上にある黒丸は複数のプロット点を示している。そして、黒丸間を所定の関数で補間することにより、境界線51を設定する。あるいは、複数のプロット点を近似する近似曲線を求め、これを境界線51として設定するようにしてもよい。
【0042】
PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定すると、バックライト10の輝度は低下する。これに対し、第2の実施形態によれば、PWM信号のデューティを小さく設定する条件を第1の実施形態よりも細かく設定することができ、バックライト10の高輝度を維持できる範囲を広げることができる。
【0043】
すなわち、第1の実施形態では、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより高い場合に一律にPWM信号のデューティを下げていた。これに対し、第2の実施形態では、温度閾値Thtよりも高い値に設定されている境界線51上の温度よりもLEDマトリクス11の周囲温度の方が高い場合に限り、PWM信号のデューティを下げる。これにより、バックライト10の高輝度を維持できる範囲を広げることができる。
【0044】
また、第1の実施形態では、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧VINが所定の電圧閾値Thvより小さい場合に一律にPWM信号のデューティを下げていた。これに対し、第2の実施形態では、電圧閾値Thvよりも小さい値に設定されている境界線51上の電圧よりも昇圧電源回路23への入力電圧VINの方が小さい場合に限り、PWM信号のデューティを下げる。これにより、バックライト10の高輝度を維持できる範囲を広げることができる。
【0045】
図6は、第2の実施形態によるバックライト制御装置20Aの動作例を示すフローチャートである。
図6に示すフローチャートは、バックライト制御装置20Aの電源がオンとされたときに開始する。なお、このフローチャートは、第2の実施形態の要旨に係る動作のみを図示しており、正常時における調光動作などは図示を省略している。
【0046】
まず、PWM制御回路21Aは、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度および電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INが、
図5の境界線51で規定される所定の電圧温度複合条件に合致するか否かを判定する(ステップS11)。ここで、所定の電圧温度複合条件に合致すると判定された場合、PWM制御回路21Aは、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS12)。
【0047】
一方、所定の電圧温度複合条件に合致しないと判定された場合、処理はステップS13に進む。ステップS12の処理が実行された後も、処理はステップS13に進む。ステップS13において、バックライト制御装置20Aは、処理を終了するか否かを判定する。ここでは、バックライト制御装置20Aの電源をオフする操作が行われたか否かを判定する。電源をオフする操作が行われていない場合、処理はステップS11に戻る。一方、電源をオフする操作が行われた場合、
図6に示すフローチャートの処理は終了する。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、第3の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。第3の実施形態による液晶表示装置1Bも、例えば車両に搭載され、車両に搭載された電子機器によって表示の制御が行われる。
【0049】
図7において、
図4に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図7に示すように、第3の実施形態による液晶表示装置1Bは、バックライト制御装置20Aに代えてバックライト制御装置20Bを備えている、バックライト制御装置20Bは、PWM制御回路21Aおよび昇圧電源回路23に代えてPWM制御回路21Bおよび昇圧電源回路23Bを備えている。
【0050】
PWM制御回路21Bは、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINおよび温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が第2の実施形態で説明した所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、温度センサ12により検出される周囲温度が第1の実施形態で説明した所定の温度条件に合致することが検知された場合に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0051】
また、PWM制御回路21Bは、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINおよび温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が第2の実施形態で説明した所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、温度センサ12により検出される周囲温度が第1の実施形態で説明した所定の温度条件に合致しないことが検知された場合に、入力電圧VINから出力電圧VOUTへの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティと同じまたはそれよりも大きく設定する。
【0052】
図8は、第3の実施形態によるPWM制御回路21Bの制御内容を説明するための図である。
図8において、縦軸は温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度を示し、横軸は電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23Bへの入力電圧V
INを示している。
図8に示す第1の境界線51は、
図5に示したものと同じである。
図5に示す第2の実施形態との違いは、第2の境界線52によって、着色されている領域が所定の温度閾値Th
tより大きい領域と温度閾値Th
t以下の領域とに二分されていることである。
【0053】
第1の境界線51を境として着色して示される所定の電圧温度複合条件に合致する領域のうち、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きい領域(第2の境界線52より上側の領域)に該当する場合、すなわち、昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINおよびLEDマトリクス11の周囲温度が所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致する場合、PWM制御回路21Bは第2の実施形態と同様に、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0054】
一方、着色して示される所定の電圧温度複合条件に合致する領域のうち、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Tht以下の領域(第2の境界線52より下側の領域)に該当する場合、すなわち、昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINおよびLEDマトリクス11の周囲温度が所定の電圧温度複合条件に合致する範囲において、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致しない場合、PWM制御回路21Bは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティと同じに維持するか、または正常時よりも大きく設定する。昇圧電源回路23Bの出力電圧VOUTを下げることで、昇圧電源回路23の昇圧による負荷を低下させる一方で、PWM信号のデューティを正常時と同じに維持またはそれより大きくすることで、バックライト10の輝度の低下を抑制することができる。
【0055】
以上に説明したPWM制御回路21Bの動作を整理すると、次の表1のように示される。なお、この表1は、第1の境界線51を境として着色して示される所定の電圧温度複合条件に合致する領域における動作を示したものである。
【0056】
【0057】
図9は、第3の実施形態によるバックライト制御装置20Bの動作例を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートは、バックライト制御装置20Bの電源がオンとされたときに開始する。なお、このフローチャートは、第3の実施形態の要旨に係る動作のみを図示しており、正常時における調光動作などは図示を省略している。
【0058】
まず、PWM制御回路21Bは、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度および電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INが、
図8の第1の境界線51で規定される所定の電圧温度複合条件に合致するか否かを判定する(ステップS21)。ここで、所定の電圧温度複合条件に合致すると判定された場合、PWM制御回路21Bは続いて、温度センサ12により検出されたLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Th
tより大きいか否かを判定する(ステップS22)。
【0059】
ここで、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きいと判定された場合、PWM制御回路21Bは、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS23)。一方、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きくないと判定された場合、PWM制御回路21Bは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを、例えば正常時に設定されるデューティよりも大きく設定する(ステップS24)。
【0060】
上記ステップS21において、所定の電圧温度複合条件に合致しないと判定された場合、処理はステップS25に進む。ステップS23またはステップS24の処理が実行された後も、処理はステップS25に進む。ステップS25において、バックライト制御装置20Bは、処理を終了するか否かを判定する。ここでは、バックライト制御装置20Bの電源をオフする操作が行われたか否かを判定する。電源をオフする操作が行われていない場合、処理はステップS21に戻る。一方、電源をオフする操作が行われた場合、
図9に示すフローチャートの処理は終了する。
【0061】
なお、
図7に示す構成例では、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INをPWM制御回路21Bに通知し、PWM制御回路21Bが昇圧電源回路23Bの昇圧幅を制御する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電圧温度複合条件に合致するか否かをPWM制御回路21Bから昇圧電源回路23Bに通知するとともに、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度を昇圧電源回路23Bに通知するようにし、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Th
tより大きいか否かを昇圧電源回路23Bが判定して、その判定結果に応じて昇圧幅を昇圧電源回路23B自身で制御するようにしてもよい。これは、次に述べる第4の実施形態においても同様である。
【0062】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。
図10は、第4の実施形態による電源回路保護装置および昇圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置を適用した液晶表示装置の構成例を示す図である。第4の実施形態による液晶表示装置1Cも、例えば車両に搭載され、車両に搭載された電子機器によって表示の制御が行われる。
【0063】
図10において、
図7に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図10に示すように、第4の実施形態による液晶表示装置1Cは、バックライト制御装置20Bに代えてバックライト制御装置20Cを備えている、バックライト制御装置20Cは、PWM制御回路21Bに代えてPWM制御回路21Cを備えている。
【0064】
図11は、第4の実施形態によるPWM制御回路21Cの制御内容を説明するための図である。
図11において、縦軸は温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度を示し、横軸は電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23Bへの入力電圧V
INを示している。
図11に示す境界線51,51は、
図8に示したものと同じである。
図8に示す第3の実施形態との違いは、第3の境界線53によって、第2の境界線52より上側の領域が所定の電圧閾値Th
vより小さい領域と電圧閾値Th
v以上の領域とに二分されていることである。
【0065】
第1の境界線51を境として着色して示される所定の電圧温度複合条件に合致する領域のうち、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Tht以下の領域(第2の境界線52より下側の領域)に該当する場合におけるPWM制御回路21Cによる制御は、第2の実施形態と同様である。すなわち、所定の電圧温度複合条件する範囲において、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧条件に合致し(電圧閾値Thv未満)、かつ、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致しない(温度閾値Tht以下)ことが検知された場合、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティと同じに維持するか、または正常時よりも大きく設定する。
【0066】
所定の電圧温度複合条件に合致する領域内でLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きい領域のうち、昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv以上の領域(第3の境界線53より右側の領域)に該当する場合におけるPWM制御回路21Cによる制御も、第2の実施形態と同様である。すなわち、所定の電圧温度複合条件する範囲において、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧条件に合致せず(電圧閾値Thv以上)、かつ、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致する(温度閾値Thtより大きい)ことが検知された場合に、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅と同じにするとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0067】
所定の電圧温度複合条件に合致する領域内でLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きい領域のうち、昇圧電源回路23Bへの入力電圧VINが所定の電圧閾値Thvより小さい領域(第3の境界線53より左側の領域)に該当する場合におけるPWM制御回路21Cによる制御は、以下の通りである。すなわち、所定の電圧温度複合条件する範囲において、電圧センサ24により検出される入力電圧VINが所定の電圧条件に合致し(電圧閾値Thv未満)、かつ、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度条件に合致する(温度閾値Thtより大きい)ことが検知された場合に、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する。
【0068】
このように、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を下げて出力電圧VOUTを小さくするとともに、PWM信号のデューティを下げると、バックライト10の輝度は低下する。そこで、部品破壊からの保護を優先するか、バックライト10の輝度確保を優先するかをモードの指定によって選択可能としてもよい。例えば、バックライト10の輝度確保を優先するモードが指定された場合は第3の実施形態を適用し、部品破壊からの保護を優先するモードが指定された場合は第4の実施形態を適用するようにしてもよい。
【0069】
以上に説明したPWM制御回路21Cの動作を整理すると、次の表2のように示される。なお、この表2は、第1の境界線51を境として着色して示される所定の電圧温度複合条件に合致する領域における動作を示したものである。
【0070】
【0071】
図12は、第4の実施形態によるバックライト制御装置20Cの動作例を示すフローチャートである。
図12に示すフローチャートは、バックライト制御装置20Cの電源がオンとされたときに開始する。なお、このフローチャートは、第4の実施形態の要旨に係る動作のみを図示しており、正常時における調光動作などは図示を省略している。
【0072】
まず、PWM制御回路21Cは、温度センサ12により検出されるLEDマトリクス11の周囲温度および電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧V
INが、
図11の第1の境界線51で規定される所定の電圧温度複合条件に合致するか否かを判定する(ステップS31)。ここで、所定の電圧温度複合条件に合致すると判定された場合、PWM制御回路21Cは続いて、温度センサ12により検出されたLEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Th
tより大きいか否かを判定する(ステップS32)。
【0073】
ここで、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きいと判定された場合、PWM制御回路21Cは続いて、電圧センサ24により検出される昇圧電源回路23への入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満か否かを判定する(ステップS33)。入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満であると判定された場合、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS34)。
【0074】
一方、ステップS33において入力電圧VINが所定の電圧閾値Thv未満ではないと判定された場合、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅と同じにしたまま、PWM信号のデューティを正常時に設定されるデューティよりも小さく設定する(ステップS35)。
【0075】
上記ステップS32において、LEDマトリクス11の周囲温度が所定の温度閾値Thtより大きくないと判定された場合、PWM制御回路21Cは、昇圧電源回路23Bの昇圧幅を正常時の昇圧幅より小さくするよう昇圧電源回路23Bを制御するとともに、PWM信号のデューティを、例えば正常時に設定されるデューティよりも大きく設定する(ステップS36)。
【0076】
上記ステップS31において、所定の電圧温度複合条件に合致しないと判定された場合、処理はステップS37に進む。ステップS34~S36の何れかの処理が実行された後も、処理はステップS37に進む。ステップS37において、バックライト制御装置20Cは、処理を終了するか否かを判定する。ここでは、バックライト制御装置20Cの電源をオフする操作が行われたか否かを判定する。電源をオフする操作が行われていない場合、処理はステップS31に戻る。一方、電源をオフする操作が行われた場合、
図12に示すフローチャートの処理は終了する。
【0077】
以上、第1~第4の実施形態を説明したが、これらは何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。例えば、上記第1~第4の実施形態では、車両に搭載される液晶表示装置を例にとって説明したが、車載以外の液晶表示装置に適用することも可能である。また、上記第1~第4の実施形態では、電源回路保護装置をバックライト制御装置に適用する例について説明したが、制御対象回路はバックライトに限定されない。バックライト以外を制御対象回路として用いる場合、温度センサ12は省略される可能性があり、この場合には制御対象回路の周囲温度に基づいてPWM信号のデューティを制御することは省略される。
【0078】
また、上記第1~第4の実施形態では、電源回路の一例として昇圧電源回路を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源回路は、入力電圧を降圧し、当該降圧によって得られる出力電圧を制御対象回路に電源電圧として印加する降圧電源回路であってもよい。例えば、降圧定電流駆動方式または昇降圧定電流駆動方式によるバックライト制御装置に上記実施形態の電源回路保護装置を適用することも可能である。降圧電源回路を用いる場合、所定の電圧条件として、電圧センサ24により検出される入力電圧が所定の電圧閾値以上という条件を用いる。
【符号の説明】
【0079】
1,1A,1B,1C 液晶表示装置
10 バックライト
11 LEDマトリクス(制御対象回路)
12 温度センサ(温度検出部)
20,20A,20B,20C バックライト制御装置
21,21A,21B,21C PWM制御回路(制御信号発生部)
22 電流制御回路(対象回路制御部)
23,23A,23B 昇圧電源回路(電源回路)
24 電圧センサ(電圧検出部)