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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075087
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】液状の油性化粧料及び化粧方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240527BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240527BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20240527BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
A61K8/49
A61Q17/04
A61K8/9789
A61K8/41
A61K8/37
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186276
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】大野 孝斗
(72)【発明者】
【氏名】荒木 健志
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC341
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD662
4C083BB12
4C083CC19
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE01
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】
液状の油性化粧料に固形状の油溶性紫外線吸収剤を配合させた場合においても、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能な液状の油性化粧料の提供、及び当該液状の油性化粧料を用いた化粧方法の提供。
【解決手段】
固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上、並びに、植物油及び/又はエステル油が配合された液状の油性化粧料、並びに当該油性化粧料を用いた化粧方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上、並びに、植物油及び/又はエステル油が配合された液状の油性化粧料。
【請求項2】
SPFが10以上、及び/又は、UVAPFが3.5以上である、請求項1に記載の油性化粧料。
【請求項3】
前記植物油及び/又はエステル油として、少なくとも植物油が30質量%以上配合された、請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料。
【請求項4】
植物油及びエステル油の合計配合量に対する植物油の配合量の質量比が0.3以上である、請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料。
【請求項5】
固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油及びエステル油の合計配合量の質量比が3以上である、請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料。
【請求項6】
前記植物油及び/又はエステル油として、少なくとも、サフラワー油及び/又はブドウ種子油が配合された、請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料。
【請求項7】
液状の油溶性紫外線吸収剤が配合された、請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料。
【請求項8】
固形状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの2種が配合され、
液状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合された、請求項7に記載の油性化粧料。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の油性化粧料を用いた化粧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の油性化粧料及び化粧方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所望の機能を発揮させるために、種々の成分が配合された油性化粧料が提供されている。
【0003】
油性化粧料の例として、下記特許文献1には、ジメチコノール、アミノ変性シリコーン、環状シリコーンおよび流動パラフィンを含有した非水系毛髪処理剤によって、ダメージの度合いが異なる毛髪に対しても、しっとり感、柔軟性および均一な感触を付与することができる技術が提案されている。別の例として、下記特許文献2には、所定量の金属酸化物と、分岐脂肪酸とを含有する流動性を有する油性化粧料によって、使用時の物理的刺激を減少させるなどの技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-249002号公報
【特許文献2】特開2004-210730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油性化粧料は、目的や用途に応じて液状や固形状などの様々な剤型が用いられている。液状の油性化粧料は、固形状の油性化粧料に比べて、毛髪や皮膚への塗布時に伸び広がり易く塗布が容易となる特徴がある。
【0006】
一方、上述したように、種々の成分が配合された油性化粧料が提供されているが、中でも油性化粧料に紫外線吸収剤を配合させて、毛髪や皮膚への紫外線防御能を高めたものも提供されている。そして、液状の油性化粧料に配合される紫外線吸収剤としては、配合が容易なため、液状の油溶性紫外線吸収剤が多く用いられているが、固形状の油溶性紫外線吸収剤が用いられる場合は比較的少ない。
【0007】
液状の油性化粧料に対して、固形状の油溶性紫外線吸収剤を配合させようとする場合、油性化粧料の製造後において、組成物中に分離が生じて不均一な組成物となり、製造後の外観が損なわれることがあった。また、製造後に分離が生じない場合であっても、油性化粧料が低温で保管された際に、低温による外観変化(低温保管後における油性化粧料の外観変化)が生じる場合があった。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑み、液状の油性化粧料に固形状の油溶性紫外線吸収剤を配合させた場合においても、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能な液状の油性化粧料の提供、及び当該液状の油性化粧料を用いた化粧方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、毛髪及び皮膚への紫外線防御能を高めるために、油性化粧料に対して、固形状の油溶性紫外線吸収剤を2種以上配合させることを着想した。そして、本発明者らは、鋭意検討を行ったところ、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上配合された液状の油性化粧料に、植物油及び/又はエステル油が配合されたものとすることによって、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能な液状の油性化粧料が提供できることを見出した。また、該油性化粧料を用いた化粧方法が提供できることを見出した。
【0010】
本発明は、以下の発明を含む。
【0011】
[1]の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上、並びに、植物油及び/又はエステル油が配合された液状の油性化粧料である。
【0012】
[2]の油性化粧料は、[1]の油性化粧料であって、SPFが10以上、及び/又は、UVAPFが3.5以上である。
【0013】
[3]の油性化粧料は、[1]又は[2]の油性化粧料であって、前記植物油及び/又はエステル油として、少なくとも植物油が30質量%以上配合されたものである。
【0014】
[4]の油性化粧料は、[1]~[3]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料であって、植物油及びエステル油の合計配合量に対する植物油の配合量の質量比が0.3以上である。
【0015】
[5]の油性化粧料は、[1]~[4]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料であって、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油及びエステル油の合計配合量の質量比が3以上である。
【0016】
[6]の油性化粧料は、[1]~[5]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料であって、前記植物油及び/又はエステル油として、少なくとも、サフラワー油及び/又はブドウ種子油が配合されたものである。
【0017】
[7]の油性化粧料は、[1]~[6]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料であって、液状の油溶性紫外線吸収剤が配合されたものである。
【0018】
[8]の油性化粧料は、[1]~[7]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料であって、固形状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの2種が配合され、液状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合されたものである。
【0019】
[9]の化粧方法は、[1]~[8]から選ばれるいずれか1つの油性化粧料を用いた化粧方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の油性化粧料によれば、液状の油性化粧料に固形状の油溶性紫外線吸収剤を配合させた場合においても、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能な液状の油性化粧料が提供できる。また、本発明の化粧方法によれば、本発明の油性化粧料を用いた化粧方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0022】
<油性化粧料>
本実施形態の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上、並びに、植物油及び/又はエステル油が配合された液状のものである。本実施形態の油性化粧料によれば、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能な液状の油性化粧料が提供できる。
ここで、用語「及び/又は」とは、両方又はいずれか一方を意味する(以下、同様の意味で用いる)。
【0023】
なお、本実施形態の油性化粧料は、「液状」とは、25℃で静置した際に流動性を有することを意味する(以下、同様の意味で用いる)。
【0024】
本実施形態の油性化粧料における「油性」とは、油性化粧料の組成物中において非水系媒体が外相となることを意味する。前記非水系媒体の例としては、植物油及び/又はエステル油、並びに、植物油及び/又は揮発性のエステル油以外の油性成分が挙げられ、本実施形態の油性化粧料には、非水系媒体として植物油及び/又はエステル油が必須に含まれる。なお、本実施形態の油性化粧料は、1相系(非水系媒体を含む外相のみ)であってもよく、油性化粧料の組成物中において非水系媒体が外相であれば多相系(例えば、非水系媒体を含む外相と、内相との2相など)であってもよい。
また、本実施形態の「油性化粧料」とは、油性の化粧料を意味する。
【0025】
本実施形態の油性化粧料において、「低温による外観変化が抑制可能」とは、低温保管後の油性化粧料の外観が、低温保管前の油性化粧料の外観と比べた際に、外観の変化の程度が少ないことをいう(低温保管の条件は、例えば、-10℃で1カ月間)。なお、低温保管前後で油性化粧料の外観が変化しない場合、低温による外観変化が最も抑制できていることを意味する。
【0026】
(固形状の油溶性紫外線吸収剤)
本実施形態の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上配合されたものである。本実施形態の油性化粧料に、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上配合されたものとすることで、毛髪及び皮膚への紫外線防御能を高めることができる。また、毛髪及び皮膚への紫外線防御能を高めた油性化粧料を用いれば、紫外線による毛髪及び/又は皮膚などの損傷を抑えることが可能となる。
【0027】
なお、「固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上配合された」とは、油性化粧料に配合される固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上であることをいう。本実施形態の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤が、2種配合されたものであってもよく、3種以上(例えば、3種、4種、5種など)配合されたものであってもよい。
【0028】
「固形状の油溶性紫外線吸収剤」において、「固形状」とは25℃で静置した際に流動性を有しないことをいい、「油溶性」とは25℃において100gの水に対する溶解性が1g未満であるか、又は、100gの水に対して溶解しないことをいう。固形状の油溶性紫外線吸収剤には、固体状、結晶状、ペースト状、粉末状が含まれる。
【0029】
本実施形態の油性化粧料に配合される固形状の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、固形状の安息香酸エステル系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸又はそのエステル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸エステルなど)、固形状のケイ皮酸系紫外線吸収剤(例えば、フェルラ酸など)、固形状のベンゾフェノン系紫外線吸収剤(オキシベンゾンなど)、トリアジン構造を有する固形状の紫外線吸収剤、ジベンゾイルメタン構造を有する固形状の紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール構造を有する固形状の紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0030】
本実施形態の油性化粧料に配合される固形状の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、UV-A領域(波長320nm~400nm)に吸収極大波長を示す固形状のUV-A吸収剤、UV-B領域(波長280nm~320nm)に吸収極大波長を示す固形状のUV-B吸収剤、UV-A領域及びUV-B領域の両方にそれぞれ吸収極大波長を示す固形状のUV-A及びUV-B吸収剤が挙げられる。本実施形態の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤として、UV-A領域及びUV-B領域の両領域(波長280nm~400nm)の毛髪及び皮膚への紫外線防御能を高める観点から、少なくとも、固形状のUV-A及びUV-B吸収剤の1種又は2種以上が配合されたものが好ましい。
【0031】
前記固形状のUV-A吸収剤としては、例えば、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル(別名:2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル)、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン(別名:4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン)、オキシベンゾン-2(別名:テトラヒドロキシベンゾフェノン)、オキシベンゾン-6(別名:ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン)などが挙げられる。
前記固形状のUV-B吸収剤としては、例えば、エチルヘキシルトリアゾン(別名:2,4,6-トリス[4-(2-エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン)、PABA(別名:パラアミノ安息香酸)、エチルPABA(別名:パラアミノ安息香酸エチル)、グリセリルPABA(別名:パラアミノ安息香酸グリセリル)、オキシベンゾン-1(別名:ジヒドロキシベンゾフェノン)などが挙げられる。
前記固形状のUV-A及びUV-B吸収剤としては、例えば、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(別名:2,4-ビス-[{4-(2-エチルヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(別名:2,2’-メチレンビス(6-(2H ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)、オキシベンゾン-3(別名:2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)、トリスビフェニルトリアジン、フェルラ酸、ドロメトリゾールトリシロキサンなどが挙げられる。これらの中でも、UV-A領域及びUV-B領域の両領域(波長280nm~400nm)において、毛髪や皮膚への紫外線防御能をより高める観点から、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンが好ましい。
上記で例示された成分名は、別名を除きいずれも化粧品表示名称である。
【0032】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、前記UV-A及びUV-B吸収剤として、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、オキシベンゾン-3、トリスビフェニルトリアジン、フェルラ酸、及びドロメトリゾールトリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものである。
【0033】
本実施形態の油性化粧料における固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量(油性化粧料に配合された固形状の油溶性紫外線吸収剤の合計配合量を意味する。固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種配合された場合は、その2種の合計配合量となる。以下同じ。)の下限値としては、例えば、0.01質量%以上であるが、毛髪や皮膚への紫外線防御能をより高める観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の油性化粧料における固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量の上限値としては、例えば、15質量%以下であるが、低温保管時に油性化粧料の外観変化が生じるおそれを低減する観点から、12質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、6質量%以下がさらに好ましい。
【0034】
本実施形態の油性化粧料における固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量の範囲としては、例えば、0.01質量%以上15質量%以下であるが、下限値及び上限値の好ましい値として上述した観点から、0.1質量%以上12質量%以下が好ましく、0.5質量%以上9質量%以下がより好ましく、1質量%以上6質量%以下がさらに好ましい。
【0035】
(植物油及び/又はエステル油)
本実施形態の油性化粧料は、植物油及び/又はエステル油が配合されたものである。本実施形態の油性化粧料に、植物油及び/又はエステル油が配合されたものとすることにより、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上配合された油性化粧料において、製造後の外観に優れ、低温による外観変化が抑制可能となる。
【0036】
本実施形態の油性化粧料は、1種若しくは2種以上の植物油、及び/又は、1種若しくは2種以上のエステル油が配合されたものであってもよい。そのため、本実施形態の油性化粧料は、植物油及び/又はエステル油として、植物油のみが1種又は2種以上配合されたものであってもよく、エステル油のみが1種又は2種以上配合されたものであってもよく、植物油及びエステル油の両方がそれぞれ1種ずつ又は2種以上ずつが配合されたものであってもよい。
【0037】
本実施形態の油性化粧料は、塗布後に時間経過した場合でも、毛髪及び/又は皮膚に対して持続した油性感の付与が可能となる観点から、植物油及び/又はエステル油として、少なくとも、植物油が配合されたものが好ましい。
【0038】
本実施形態の油性化粧料における植物油及びエステル油の合計配合量(植物油及び/又はエステル油として、植物油のみが配合された場合はその配合量、エステル油のみが配合された場合はその配合量、植物油及びエステル油が配合された場合のそれらの合計配合量をそれぞれ意味する。以下同じ。)の下限値としては、例えば、30質量%以上であり、上限値としては、例えば、99.99質量%以下である。
【0039】
本実施形態の油性化粧料における植物油及びエステル油の合計配合量の範囲としては、例えば、30質量%以上99.99質量%以下である。
【0040】
(植物油及びエステル油の合計配合量に対する植物油の配合量の質量比:[V/VE]比)
本実施形態の油性化粧料は、植物油及びエステル油の合計配合量(以下、植物油及びエステル油の合計配合量を「VE」ということがある)に対する植物油の配合量(以下、植物油の配合量を「V」ということがある)の質量比(以下、該質量比を「[V/VE]比」ということがある)として、例えば、0.3以上であるが、低温による外観変化の抑制により優れる観点から、0.7以上が好ましく、0.9以上がより好ましい。
また、本実施形態の油性化粧料は、[V/VE]比として、上記の下限値の好ましい観点とは別に、低温による外観変化後の復帰性に優れたものとなる観点から、0.5以上が好ましく、0.6以上がより好ましく、0.7以上がさらに好ましい。
【0041】
(固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油及びエステル油の合計配合量の質量比:[VE/S]比)
本実施形態の油性化粧料は、例えば、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量(以下、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量を「S」ということがある)に対する植物油及びエステル油の合計配合量の質量比(以下、該質量比を「[VE/S]比」ということがある)の下限値が、3以上である。また、本実施形態の油性化粧料は、例えば、[VE/S]比の上限値が、10000以下である。
【0042】
本実施形態の油性化粧料は、[VE/S]比の範囲が、例えば、3以上10000以下である。
【0043】
(植物油)
本実施形態の油性化粧料は、1種又は2種以上の植物油が配合されたものである。本実施形態の油性化粧料は、植物油が配合されたものとすることで、毛髪及び/又は皮膚に対して持続した油性感の付与が可能となる。
なお、「植物油」とは、植物から得られたトリグリセライドを主成分とした液状の油脂を意味する。
【0044】
前記植物油としては、例えば、アーモンド油、アブラナ種子油、アボカド油、アマニ油、アルガニアスピノサ核油、アンズ核油、エゴマ油、オリーブ油、カノラ油、キョウニン油、ククイナッツ油、クルミ種子油、コーン油、ゴマ油、コムギ胚芽油、コメヌカ油、コメ胚芽油、サザンカ油、サフラワー油、シア脂油、シソ種子油、ダイズ油、チャ実油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、パーム油、ハイブリッドサフラワー油、ハトムギ油、バオバブ種子油、ババス油、ピーナッツ油、ピスタシオ種子油、ヒマシ油、ヒマワリ種子油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ブロッコリー種子油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、マンゴー種子油、メドウフォーム油、綿実油、野菜油、ヤシ油、ユチャ油、ルリジサ種子油、ローズヒップ油、ワサビノキ種子油などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0045】
本実施形態の油性化粧料に配合される植物油としては、例えば、トリグリセライドの脂肪酸組成として、炭素数6以上24以下の不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸、オレイン酸、α-リノレン酸など)を50重量%以上含む植物油を用いてもよく、炭素数6以上24以下の不飽和脂肪酸を70重量%以上含む植物油を用いてもよい。また、前記植物油としては、例えば、トリグリセライドの脂肪酸組成として、炭素数6以上24以下の一価不飽和脂肪酸(例えば、オレイン酸など)を15重量%以上含む植物油を用いてもよく、炭素数6以上24以下の多価不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸、α-リノレン酸など)を15重量%以上含む植物油を用いてもよく、炭素数6以上24以下の一価不飽和脂肪酸及び炭素数6以上24以下の多価不飽和脂肪酸をそれぞれ15重量%以上含む植物油を用いてもよい。
【0046】
本実施形態の油性化粧料は、前記植物油として、低温による外観変化の抑制及び低温による外観変化後の復帰性に優れたものとなる両観点から、サフラワー油、ブドウ種子油が配合されたものが好ましく、サフラワー油が配合されたものがより好ましい。
【0047】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、植物油及び/又はエステル油として、1種又は2種以上の植物油が配合され、植物油の配合量が30質量%以上とすることができる。
【0048】
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、植物油が配合された場合、植物油の配合量の下限値としては、例えば、30質量%以上であるが、毛髪及び/又は皮膚にしっとりした油性感を付与できる観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、植物油が配合された場合、植物油の配合量の上限値としては、例えば、99.99質量%以下である。
【0049】
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、植物油が配合された場合、植物油の配合量の範囲としては、例えば、30質量%以上99.99質量%以下であるが、下限値の好ましい値として上述した観点から、50質量%以上99.99質量%以下が好ましく、60質量%以上99.99質量%以下がより好ましい。
【0050】
(固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油の配合量の質量比:[V/S]比)
本実施形態の油性化粧料は、植物油及び/又はエステル油として、少なくとも植物油が配合された場合、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油の配合量の質量比(以下、該質量比を「[V/S]比」ということがある)の下限値が、例えば、3以上であり、低温による外観変化の抑制により優れる観点から、13以上が好ましく、16以上がより好ましい。
また、本実施形態の油性化粧料は、植物油及びエステル油として、少なくとも植物油が配合された場合、上記の下限値の好ましい観点とは別に、低温による外観変化後の復帰性に優れたものとなる観点から、[V/S]比の下限値として、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上がさらに好ましく、12以上が特に好ましい。
【0051】
本実施形態の油性化粧料は、植物油及びエステル油として、少なくとも植物油が配合された場合、[V/S]比の上限値が、例えば、10000以下である。
【0052】
本実施形態の油性化粧料は、少なくとも植物油が配合されたものであって、[V/S]比の範囲が、例えば、3以上10000以下である。
【0053】
本実施形態の油性化粧料は、少なくとも植物油が配合されたものであって、[V/S]比の範囲が、[V/S]比の下限値の好ましい値として上述した低温による外観変化の抑制により優れる観点から、13以上10000以下が好ましく、16以上10000以下がより好ましい。
また、本実施形態の油性化粧料は、少なくとも植物油が配合されたものであって、[V/S]比の範囲が、[V/S]比の下限値の好ましい値として上述した低温による外観変化後の復帰性に優れたものとなる観点から、7以上10000以下が好ましく、9以上10000以下がより好ましく、10以上10000以下がさらに好ましく、12以上10000以下が特に好ましい。
【0054】
(エステル油)
本実施形態の油性化粧料は、1種又は2種以上のエステル油が配合されたものである。本実施形態の油性化粧料は、エステル油が配合されたものとすることで、毛髪及び/又は皮膚にさらさらとした軽い手触りの油性感が付与可能となる。
なお、「エステル油」とは、アルコールと脂肪酸から得られたエステル構造を持つ液状の油(但し、液状の油溶性紫外線吸収剤に該当するものを除く)を意味する。
【0055】
前記エステル油としては、例えば、エステル油の化学構造中に含まれる炭素原子の合計数が、12以上60以下のものを用いることできる。
【0056】
前記エステル油としては、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル、直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステル、1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステル、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルが挙げられる。
本実施形態の油性化粧料は、エステル油として、毛髪及び/又は皮膚にさらさらとした軽い手触りの油性感が付与可能となる観点から、少なくとも、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル、及び1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステルの1種又は2種以上が配合されたものが好ましい。
【0057】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数8以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数1以上24以下である1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸メチルヘプチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、リノール酸イソプロピル、ステアリン酸エチルヘキシル、ステアリン酸ヘキシルデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸セテアリル、エチルヘキサン酸エチルヘキシル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソプロピル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。これらの具体例の中でも、毛髪及び/又は皮膚にさらさらとした軽い手触りの油性感が付与可能となる観点から、パルミチン酸エチルヘキシルが好ましい。
前記直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数8以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数2以上12以下の多価のアルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、トリエチルヘキサノイン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ジラウリン酸PG、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビルなどが挙げられる。
前記1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステルとしては、例えば、炭素数2以上24以下の1価の直鎖又は分岐アルコールと炭素数2以上12以下の1価又は多価のカルボン酸とのエステルであってよく、その具体例としては、乳酸エチル、炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリエチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジエトキシエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジエチルヘキシル、マレイン酸ジエチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチルヘキシル、安息香酸アルキル(C12-15)、安息香酸エチルヘキシルなどが挙げられる。これらの具体例の中でも、低温保管時に油性化粧料の外観変化が生じるおそれを低減する観点から、炭酸ジカプリリルが好ましい。
前記ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルとしては、例えば、炭素数12以上24以下のヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と炭素数12以上24以下の1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステルであってよく、その具体例としては、ステアロイルオキシステアリン酸イソセチル、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシルなどが挙げられる。
上記に具体例として示した成分名は、いずれも化粧品表示名称である。
【0058】
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、エステル油が配合された場合、エステル油の配合量(以下、エステル油の配合量を「E」ということがある)の下限値としては、例えば、1質量%以上であるが、毛髪及び/又は皮膚にさらさらとした軽い手触りの油性感が付与可能となる観点から、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、エステル油が配合された場合、エステル油の配合量の上限値としては、例えば、50質量%以下であるが、エステル油に加えてさらに植物油が配合された際に、植物油による毛髪及び/又は皮膚へのしっとりとした油性感の付与がより実現可能となる観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
【0059】
本実施形態の油性化粧料における植物油及び/又はエステル油として、エステル油が配合された場合、エステル油の配合量の範囲としては、例えば、1質量%以上50質量%以下であるが、上限値及び下限値の好ましい値として上述した観点から、3質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましい。
【0060】
(固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油の配合量の質量比:[V/E]比)
本実施形態の油性化粧料は、植物油及び/又はエステル油として、少なくともエステル油が配合された場合、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対するエステル油の配合量の質量比(以下、該質量比を「[V/E]比」ということがある)としては、例えば、3以上10000以下である。
【0061】
(任意成分)
本実施形態の油性化粧料は、上述した固形状の油溶性紫外線吸収剤、並びに、植物油及び/又はエステル油以外の成分(「任意成分」という)が、適宜配合されたものとしてよい。
【0062】
本実施形態の油性化粧料に配合できる任意成分としては、例えば、液状の油溶性紫外線吸収剤、液状のシリコーン、液状の炭化水素、液状の脂肪酸、液状の高級アルコール、液状のロウ、1価の低級アルコール、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、1価の低級アルコール、多価アルコール、固形油、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤色素、酸、アルカリ、キレート剤、水、油溶性紫外線吸収剤以外の紫外線吸収剤などである。
【0063】
(液状の油溶性紫外線吸収剤)
本実施形態の油性化粧料は、毛髪や皮膚への紫外線防御能をより高める観点から、液状の油溶性紫外線吸収剤が1種又は2種以上配合されたものが好ましい。
【0064】
前記液状の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、液状のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸エステルなど)、液状の安息香酸エステル系紫外線吸収剤(例えば、パラジメチルアミノ安息香酸エステルなど)、液状のケイ皮酸系紫外線吸収剤(例えば、パラメトキシケイ皮酸エステルなど)、液状のアントラニル酸エステル(例えば、アントラニル酸メンチルなど)、シリコーン構造を有する液状の紫外線吸収剤(例えば、ポリシリコーン-15など)、2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸エステル(例えば、オクトクリレンなど)などが挙げられる。
【0065】
本実施形態の油性化粧料に配合される液状の油溶性紫外線吸収剤としては、例えば、UV-A領域に吸収極大波長を示す液状のUV-A吸収剤、UV-B領域に吸収極大波長を示す液状のUV-B吸収剤が挙げられる。本実施形態の油性化粧料は、配合される固形状の油溶性紫外線吸収剤の種類に応じて、液状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、液状のUV-A吸収剤、液状のUV-B吸収剤から選ばれる1種又は2種以上が配合すればよい。
【0066】
前記液状のUV-A吸収剤の具体例としては、アントラニル酸メンチルなどが挙げられる。
前記液状のUV-B吸収剤の具体例としては、ジメチルPABAアミル(別名:パラジメチルアミノ安息香酸アミル)、ジメチルPABAエチルヘキシル(別名:パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル)、サリチル酸エチルヘキシル(別名:サリチル酸オクチル)、ホモサレート(別名:サリチル酸ホモメンチル)、シノキサート(別名:4-メトキシケイ皮酸-2-エトキシエチル)、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(別名:パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル(別名:パラメトキシケイ皮酸イソプロピル)、ポリシリコーン-15(別名:ジメチコジエチルベンザルマロネート)、オクトクリレン(別名:2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸2-エチルヘキシルエステル)などが挙げられる。これらの中でも、固形状の油溶性紫外線吸収剤との相溶性に優れる観点から、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが好ましい。
上記具体例の成分名は、アントラニル酸メンチルを除き、いずれも化粧品表示名称である。
【0067】
本実施形態の油性化粧料は、毛髪や皮膚への紫外線防御能をより高める観点から、固形状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンの2種が配合された場合、液状の油溶性紫外線吸収剤として、少なくとも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合されることが好ましい。なお、上述した通り、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシルは固形状のUV-A吸収剤であり、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンは固形状のUV-A及びUV-B吸収剤であり、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは液状のUV-B吸収剤である。これらの組み合わせによって、UV-A領域及びUV-B領域の両領域にわたって、毛髪や皮膚への紫外線防御能を高めることができる。
【0068】
本実施形態の油性化粧料は、液状の油溶性紫外線吸収剤が配合される場合、その配合量としては、例えば、0.01質量%以上15質量%以下である。
【0069】
(液状のシリコーン)
本実施形態の油性化粧料は、液状のシリコーンが配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。前記液状のシリコーンとは、シロキサン結合(Si-O-Si結合)を有する液状の成分である(但し、上記液状の油溶性紫外線吸収剤に該当するものを除く)。前記液状のシリコーンとしては、例えば、ジメチコン、ジメチコノール、アモジメチコン、アミノエチルアミノプロピルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコンなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0070】
本実施形態の油性化粧料に液状のシリコーンが配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、10質量%以下であるが、植物油及び又はエステル油として、植物油が配合された際に、油性化粧料の組成物中において植物油と液状のシリコーンとの相溶性を高める観点から、6質量%以下が好ましい。本実施形態の油性化粧料に液状のシリコーンが配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0071】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、液状のシリコーンが配合され、その配合量が10質量%以下であるか、又は、液状のシリコーンが配合されないものとすることができる。また、本実施形態の油性化粧料は、植物油及び又はエステル油として、植物油が配合された際に、油性化粧料の組成物中において植物油と液状のシリコーンとの相溶性を高める観点から、液状のシリコーンが配合され、その配合量が6質量%以下であるか、又は、液状のシリコーンが配合されないことが好ましい。
【0072】
(液状の炭化水素)
本実施形態の油性化粧料は、液状の炭化水素が配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。前記液状の炭化水素としては、例えば、イソドデカン、水添ポリイソブテン、イソヘキサデカン、ドデカン、ウンデカン、トリデカン、テトラデカン、(C9-12)アルカン、(C10-13)アルカン、ミネラルオイル、スクワランなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0073】
本実施形態の油性化粧料に液状の炭化水素が配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、30質量%以下であるが、植物油及び/又はエステル油として植物油が配合された場合にしっとりとした油性感がより付与可能となる観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。本実施形態の油性化粧料に液状の炭化水素が配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0074】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、液状の炭化水素が配合され、その配合量が30質量%以下であるか、又は、液状の炭化水素が配合されないものとすることができる。
【0075】
(液状の脂肪酸)
本実施形態の油性化粧料は、液状の脂肪酸が配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。前記液状の脂肪酸としては、例えば、炭素数が8以上24以下の脂肪酸を用いることができる。前記炭素数が8以上24以下の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0076】
本実施形態の油性化粧料に液状の脂肪酸が配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、15質量%以下であるが、低温保管時に油性化粧料の外観変化が生じるおそれを低減する観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。本実施形態の油性化粧料に液状の脂肪酸が配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0077】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、液状の脂肪酸が配合され、その配合量が15質量%以下であるか、又は、液状の脂肪酸が配合されないものとすることができる。
【0078】
(液状の高級アルコール)
本実施形態の油性化粧料は、液状の高級アルコールが配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。前記液状の高級アルコールとしては、例えば、炭素数が8以上24以下の液状の高級アルコールを用いることができる。前記炭素数が8以上24以下の液状の高級アルコールとしては、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコールなどが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0079】
本実施形態の油性化粧料に液状の高級アルコールが配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、15質量%以下であるが、植物油及び/又はエステル油として植物油が配合された場合にしっとりとした油性感がより付与可能となる観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。本実施形態の油性化粧料に液状の高級アルコールが配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0080】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、液状の高級アルコールが配合され、その配合量が15質量%以下であるか、又は、液状の高級アルコールが配合されないものとすることができる。
【0081】
(液状のロウ)
本実施形態の油性化粧料は、液状のロウが配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。前記液状のロウとしては、例えば、ホホバ油、オレンジラフィー油などが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0082】
本実施形態の油性化粧料に液状のロウが配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、15質量%以下であるが、植物油及び/又はエステル油として植物油が配合された場合にしっとりとした油性感がより付与可能となる観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。本実施形態の油性化粧料に液状のロウが配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0083】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、液状のロウが配合され、その配合量が15質量%以下であるか、又は、液状のロウが配合されないものとすることができる。
【0084】
(1価の低級アルコール)
本実施形態の油性化粧料は、1価の低級アルコールが配合されたものであってもよく、1価の低級アルコールが配合されないものであってもよい。前記1価の低級アルコールとは、炭素数2以上4以下である1価の低級アルコールを意味する。前記1価の低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールが挙げられる(ここで例示された成分名は、いずれも化粧品表示名称である)。
【0085】
本実施形態の油性化粧料に1価の低級アルコールが配合される場合、その配合量の上限値は、例えば、3質量%以下である。本実施形態の油性化粧料に1価の低級アルコールが配合される場合、その配合量の下限値は、例えば、0.001質量%以上である。
【0086】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、1価の低級アルコールが配合され、その配合量が3質量%以下であるか、又は、1価の低級アルコールが配合されないものとすることができる。
【0087】
(SPF)
本実施形態の油性化粧料は、SPF(Sun Protection Factor)が、例えば、10以上であるが、油性化粧料のUVB領域における紫外線防御能をより高める観点から、12以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上がさらに好ましい。上記SPFの値は、in vitro試験方法を用いた測定値を意味する。in vitro試験方法によるSPF測定方法は、油性化粧料を0.0325g塗布したHelioscreen社製「HELIOPLATE」を対象とし、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」を使用して行うことができる。なお、油性化粧料のSPFが大きい方が、油性化粧料のUVB領域における紫外線防御能に優れる傾向にあることを示す。
なお、SPFは、皮膚及び毛髪へのUVB領域に対する紫外線防御能の指標であり、本実施形態の油性化粧料のSPFが高いものであれば、本実施形態の油性化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪へのUVB領域に対する紫外線防御能を向上させることができる。
【0088】
(UVAPF)
本実施形態の油性化粧料は、UVAPF(UVA protection factor of a product)が、例えば、3.5以上であるが、油性化粧料のUVA領域における紫外線防御能をより高める観点から、3.7以上が好ましく、4.0以上がより好ましい。上記UVAPFの値は、in vitro試験方法を用いた測定値を意味する。in vitro試験方法によるUVAPF測定方法は、油性化粧料を0.0325g塗布したHelioscreen社製「HELIOPLATE」を対象とし、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」を使用して行うことができる。なお、油性化粧料のUVAPFが大きい方が、油性化粧料のUVA領域における紫外線防御能に優れる傾向にあることを示している。
なお、UVAPFは、皮膚及び毛髪へのUVAに対する紫外線防御能の指標であり、本実施形態の油性化粧料のUVAPFが高いものであれば、本実施形態の油性化粧料を使用した際に、皮膚及び/又は毛髪へのUVA領域に対する紫外線防御能を向上させることができる。
【0089】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、SPFが10以上、及び/又は、UVAPFが3.5以上である。
【0090】
(粘度)
本実施形態の油性化粧料の粘度は、特に限定されないが、例えば、B型粘度計で測定した際の25℃での粘度の値が、3000mPa・s以下であってもよく、1000Pa・s以下であってもよい。ここで、本実施形態の油性化粧料の粘度は、B型粘度計において粘度に応じて選定したローターを使用して、ローターの回転速度を適宜設定し、25℃で計測した60秒後の値を採用する。例えば、3号ローターを用いて、回転速度を12rpmとした際の粘度の測定値を採用してもよい。
【0091】
(外観)
本実施形態の油性化粧料の外観は、例えば、透明状である。なお、前記透明状とは、例えば、無色透明のガラス製のボトルに本実施形態の油性化粧料を25℃で収容した際において、収容された油性化粧料及びボトル越しに周囲の景色が視認可能な程度の状態をいう。
【0092】
(用途)
本実施形態の油性化粧料は、例えば、毛髪及び/又は皮膚(頭皮を含む)に用いられるものである。
【0093】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、毛髪用とすることができる。本実施形態の油性化粧料の毛髪用途としては、ヘアケア用途(例えば、ヘアトリートメント、スタイリング兼用ヘアトリートメント、多剤式ヘアトリートメントの一構成剤、パーマの前処理用ヘアトリートメント、パーマの後処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの前処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの後処理用ヘアトリートメント、ブリーチの前処理用ヘアトリートメント、ブリーチの後処理用ヘアトリートメントなど)、ヘアスタリング用途などが挙げられる。なお、前記ヘアトリートメントは、洗い流さないヘアトリートメントであってもよく、洗い流すヘアトリートメントであってもよい。
【0094】
本実施形態の油性化粧料は、毛髪に優れた油性感や滑らかさを付与できる観点から、毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントとして用いると好ましい。毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントの製品形態としては、例えば、ヘアオイル、日焼け止め用ヘアオイルが挙げられる。
【0095】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、皮膚用(頭皮を含む)とすることができる。本実施形態の油性化粧料の皮膚用途としては、例えば、油性の皮膚用ローション、油性の日焼け止め用ローション、スキンオイル、化粧油などが挙げられる。
【0096】
本実施形態の油性化粧料は、例えば、毛髪用の日焼け止め、皮膚用の日焼け止め(頭皮用の日焼け止めを含む)に用いられるものである。
【0097】
(使用方法)
本実施形態の油性化粧料は、公知の油性化粧料に用いられる使用方法を用いることができる。
【0098】
本実施形態の油性化粧料における使用方法の一例を挙げる。
・水で濡れた毛髪に本実施形態の油性化粧料を塗布し、塗布後の油性化粧料を水で洗い流さずに、又は、水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の油性化粧料を塗布し、塗布後の油性化粧料を水で洗い流さずに使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の油性化粧料を塗布し、塗布後の油性化粧料を水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
・皮膚に本実施形態の油性化粧料を塗布し、塗布後の油性化粧料を水で洗い流さずに又は水で洗い流して使用する方法。
【0099】
本実施形態の油性化粧料は、毛髪及び/又は皮膚における紫外線防御能を高める観点から、塗布後に洗い流さない油性化粧料が好ましい。
【0100】
(製造方法)
本実施形態の油性化粧料は、剤型に応じた公知の油性化粧料の製法を採用して製造できる。製造方法の一例としては、用いる固形状の油溶性紫外線吸収剤のなかでも最も高い融点となるものの融点以上の温度で、固形状の油溶性紫外線吸収剤を加熱して溶解させた後、植物油及び/又はエステル油と混合する方法が挙げられる。
【0101】
<化粧方法>
本実施形態の化粧方法は、上述した本実施形態の油性化粧料を用いて毛髪及び/又は皮膚に処理する方法である。
本実施形態の化粧方法としては、本実施形態の油性化粧料を用いる以外には、公知の化粧方法を採用すればよい。そのため、上述した本実施形態の油性化粧料の使用方法を用いてもよい。
【0102】
本実施形態の化粧方法は、例えば、上述した本実施形態の油性化粧料を用いた毛髪及び/又は皮膚(頭皮を含む)の日焼け止めのための化粧方法である。
【実施例0103】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0104】
(実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料の製造)
実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料を、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、サフラワー油、ブドウ種子油、アンズ核油、コメヌカ油、メドウフォーム油、パルミチン酸エチルヘキシル、流動パラフィン、スクワラン、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、トコフェロール、及び香料から選ばれる各種成分を用いて、表1~3に示す組成となるように常法により製造した。
なお、表1~3中の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0105】
上記で製造した実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料を用いて、下記に示す評価方法及び評価基準により、製造後の外観と低温による外観変化の抑制とを目視観察により評価した。
【0106】
(評価方法)
製造した実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料を、無色透明のガラス製の密封容器(容量50mL)に40gずつそれぞれ収容し、製造1日経過後の実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料の外観を、下記評価基準に従って目視で観察して、「製造後の外観」を評価した。
【0107】
次に、実施例1~12、比較例1の油性化粧料が収容された各密封容器を、-10℃の温度に調節した恒温槽で1カ月間静置して保管した。-10℃で1カ月経過した後の実施例1~12、比較例1の油性化粧料が収容された各密封容器を恒温槽から取り出し、室温になるまで静置させた後、下記評価基準に従って各密封容器の内容物の外観を目視で観察し、「低温による外観変化の抑制」の評価を行った。なお、比較例2の油性化粧料については、後述する製造後の外観の評価で、容器内部の底に内容物の分離が見られたため、「低温による外観変化の抑制」の評価を行っていない。
【0108】
続いて、実施例2~11、比較例1の油性化粧料が収容された各密封容器を、下記評価基準に従って振盪混合することにより、「低温による外観変化後の復帰性」を評価した。なお、実施例1、12については、低温による外観変化の抑制の評価で低温による外観の変化が見られなかったため、「低温による外観変化後の復帰性」の評価を行っていない。また、比較例2の油性化粧料については、製造後の外観の評価で容器内部の底に内容物の分離が見られたため、「低温による外観変化の抑制」と「低温による外観変化後の復帰性」の評価を行っていない。
【0109】
(評価基準:製造後の外観)
○:内容物の分離が見られず、外観において均一である。
×:容器内の底から上方に向かっての内容物に分離が見られ、外観において不均一である。
【0110】
(評価基準:低温による外観変化の抑制)
○○○:低温保管による外観の変化が見られない(-10℃で1カ月保管後に室温に戻した際、容器内部の底に内容物の分離が観察できず、低温保管前の外観と同じである)。
○○ :低温保管による外観の変化がわずかに見られる(-10℃で1カ月保管後に室温に戻した際、内容物が2層に分離しておらず、容器内部の底から上方に向かって2mm未満のもやもやとした不均一な領域が観察できる)。
○ :低温保管による外観の変化がやや見られる(-10℃で1カ月保管後に室温に戻した際、内容物が2層に分離しておらず、容器内部の底から上方に向かって2mm以上のもやもやとした不均一な領域が観察できる)。
× :低温保管による外観の変化がかなり見られる(-10℃で1カ月保管後に室温に戻した際、内容物が2層に分離しており、容器内部の底から上方に向かって2mm以上の分離した領域が観察できる)。
【0111】
(評価基準:低温による外観変化後の復帰性)
○○○:低温保管前の外観に非常に復帰しやすい(低温による外観変化の抑制の評価が○○○以外であったものについて、低温保管後の内容物に軽い振盪を1~2回加えて静置した際、均一に混合されて分離が見られず、低温保管前の外観と同じである)。
○○ :低温保管前の外観にかなり復帰しやすい(低温による外観変化の抑制の評価が○、△、又は×であったものについて、低温保管後の内容物に軽い振盪を3~4回加えて静置した際、均一に混合されて分離が見られず、低温保管前の外観と同じである)。
○ :低温保管前の外観にやや復帰しやすい(低温による外観変化の抑制の評価が○○○以外であったものについて、低温保管後の内容物に軽い振盪を5~10回加えて静置した際、均一に混合されて分離が見られず、低温保管前の外観と同じである)。
△ :低温保管前の外観に復帰しにくい(低温による外観変化の抑制の評価が○○○以外であったものについて、低温保管後の内容物に軽い振盪を10回加えて静置した際、均一に混合されず分離しているが、さらに激しい振盪を10回加えて静置すると均一に混合され分離が見られず、低温保管前の外観と同じである)。
× :低温保管前の外観に復帰しない(低温による外観変化の抑制の評価が○○○以外であったものについて、低温保管後の内容物に軽い振盪を10回加えて静置した際、均一に混合されず分離しているが、さらに激しい振盪を10回加えて静置しても均一に混合されず分離しており、低温保管前の外観と異なる)。
【0112】
(評価結果:実施例1~6、比較例1~2)
表1、表2に実施例1~6、比較例1~2の油性化粧料の組成と評価結果を示す。なお、表1、表2の評価結果の欄に斜線があるものについては、未評価であることを示す。
【0113】
【表1】
【0114】
【表2】
【0115】
表1、表2に示す結果から、実施例1~6の油性化粧料は、比較例1の油性化粧料に比べて、低温による外観変化の抑制に優れることが分かる。なお、比較例2の油性化粧料は、製造後の外観の評価が×であり、実施例1~6の油性化粧料に比べて、製造後の外観の評価に劣っていた。このことから、実施例1~6の油性化粧料は、比較例1、2の油性化粧料に比べて、製造後の外観及び低温による外観変化の抑制に優れることが分かる。
表1、表2の結果から、固形状の油溶性紫外線吸収剤が2種以上、並びに、植物油及び/又はエステル油が配合された油性化粧料であれば、製造後の外観及び低温による外観変化の抑制に優れることが理解できる。
【0116】
また、表1、表2に示す結果から、実施例1、2の油性化粧料は、実施例3、4の油性化粧料に比べて、低温による外観変化の抑制により優れることが分かる。また、実施例1の油性化粧料は、実施例2の油性化粧料に比べて、低温による外観変化の抑制にさらに優れることが分かる。そのため、低温による外観変化の抑制に優れる観点から、植物油及び/又はエステル油として、サフワラー油又はブドウ種子油がより好ましく、サフワラー油がさらに好ましいことが分かる。
【0117】
また、表1、表2に示す結果から、実施例2~5の油性化粧料は、実施例6の油性化粧料に比べて、低温による外観変化後の復帰性に優れることが分かる。また、実施例2の油性化粧料は、実施例3~5の油性化粧料に比べて、低温による外観変化後の復帰性にさらに優れることが分かる。そのため、低温による外観変化の抑制及び低温による外観変化後の復帰性の両観点から、植物油及び/又はエステル油として、植物油を用いると好ましく、植物油の中でもブドウ種子油が好ましいことが分かる。
【0118】
(評価結果:実施例7~12)
表3に実施例7~12の油性化粧料の組成と評価結果を示す。なお、表3の評価結果の欄に斜線があるものについては、未評価であることを示す。
【0119】
【表3】
【0120】
表3に示す結果から、実施例10~12の油性化粧料は、実施例7~9の油性化粧料に比べて、低温による外観変化の抑制により優れることが分かる。また、実施例12の油性化粧料は、実施例10、11の油性化粧料に比べて、低温による外観変化の抑制にさらに優れることが分かる。そのため、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油の配合量の質量比([V/S]比)が13.2以上であると、低温による外観変化の抑制により優れ、17.0以上であると低温による外観変化の抑制にさらに優れることが分かる。
【0121】
また、表3に示す結果から、実施例8、9の油性化粧料は、実施例7の油性化粧料に比べて、低温による外観変化後の復帰性に優れることが分かる。また、実施例9の油性化粧料は、実施例8の油性化粧料に比べて、低温による外観変化後の復帰性により優れることが分かる。そのため、低温による外観変化後の復帰性の観点から、固形状の油溶性紫外線吸収剤の配合量に対する植物油の配合量の質量比([V/S]比)としては、9.4以上が好ましく、11.3以上がさらに好ましいことが分かる。
【0122】
上述した実施例1~12、比較例1~2の油性化粧料の評価とは別に、下記に示す参考例1、2の油性化粧料を用いて、SPF及びUVAPFの測定を行った。
【0123】
(参考例1、2の油性化粧料の製造)
参考例1、2の油性化粧料を、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、サフラワー油、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの各種成分を用いて、表4に示す成分の組成となるように製造した(参考例2の油性化粧料はビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを未配合)。なお、表4中の成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。
【0124】
上記で製造した参考例1、2の油性化粧料を用いて、SPF及びUVAPFの測定を行った。測定方法は、次の通りである。
【0125】
(SPF及びUVAPF)
参考例1、2の油性化粧料について、in vitro試験方法によるSPF及びUVAPF測定を、油性化粧料を0.0325g塗布したHelioscreen社製「HELIOPLATE」を対象とし、Labsphere社製SPFアナライザー「UV2000S」を使用して行った。なお、SPF及びUVAPFの測定値の数値が大きくなると、油性化粧料のUVA領域及びUVB領域における紫外線防御能により優れることを示す。
【0126】
表4に参考例1、2の油性化粧料の組成と、SPF及びUVAPFの測定結果を示す。
【0127】
【表4】
【0128】
表4に示す結果から、固形状の油溶性紫外線吸収剤を2種配合した参考例1の油性化粧料は、固形状の油溶性紫外線吸収剤を1種配合した参考例2の油性化粧料に比べて、SPF及びUVAPFの測定値が高く、UVA領域及びUVB領域における紫外線防御能に優れることが分かる。そのため、油性化粧料に固形状の油溶性紫外線吸収剤を2種配合されたものとすることで、油性化粧料に高い紫外線防御能を付与できることが分かる。