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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075090
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】浴室空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/10 20060101AFI20240527BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F24F7/10 101B
F24F13/20 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186283
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敏明
(57)【要約】
【課題】天井裏で第1ユニットに第2ユニットを接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認することができる浴室空調装置を提供する。
【解決手段】本発明の浴室空調装置1は、第1接続部としての係合孔31及び係合長孔32を有する第1ユニット(暖房ユニット10)と、第1接続部に接続される第2接続部としての係合爪42及び係合長爪43を有する第2ユニット(換気ユニット20)とを備える。天井裏3に配置された第1ユニットに対して、第1ユニットから離れた天井開口(点検口4B)から挿入した第2ユニットを接続する。第1ユニット及び第2ユニットの少なくとも一方は、第1接続部と第2接続部とが正しく接続された正常状態と、正しく接続されていない異常状態とを、天井開口からの目視により判断可能な接続確認手段としての矩形マーク33及び矩形遮蔽部44を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接続部を有する第1ユニットと、前記第1接続部に接続される第2接続部を有する第2ユニットとを備え、天井裏に配置された前記第1ユニットに対して、前記第1ユニットから離れた天井開口から挿入した前記第2ユニットを接続してなる浴室空調装置において、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方は、前記第1接続部と前記第2接続部とが正しく接続された正常状態と、正しく接続されていない異常状態とを、前記天井開口からの目視により判断可能な接続確認手段を有していることを特徴とする浴室空調装置。
【請求項2】
前記接続確認手段は、前記第1ユニット又は前記第2ユニットの一方に設けられたマークと、前記第1ユニット又は前記第2ユニットの他方に設けられ、前記第1ユニット及び前記第2ユニットの接続状態で前記マークの少なくとも一部を遮蔽又は露出する遮蔽部とを有し、
接続状態にある前記第1ユニット及び前記第2ユニットを前記天井開口から見て、前記正常状態における前記マークの露出度に対して前記異常状態における前記マークの露出度が変化する請求項1記載の浴室空調装置。
【請求項3】
前記正常状態又は異常状態の一方において前記マークの全体が露出し、前記正常状態又は異常状態の他方において前記マークの少なくとも一部が前記遮蔽部で遮蔽される請求項2記載の浴室空調装置。
【請求項4】
前記マークの色は、前記マークが設けられた前記第1ユニット又は前記第2ユニットの外装色であって、前記マークの周囲における前記外装色、及び前記遮蔽部の色と異なる請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項5】
前記マークは蛍光性又は光反射性を有する請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【請求項6】
前記マークは蓄光性を有する請求項2又は3記載の浴室空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の浴室空調装置の一例が開示されている。この浴室空調装置は、浴室内を暖房及び換気するものであり、暖房用の熱交換器及び循環ファンを有する暖房ユニットと、換気ファンを有する換気ユニットとを備えている。暖房ユニット及び換気ユニットは、暖房ユニットから換気ユニットへ空気が流れるように接続された状態で浴室の天井裏に設置される。
【0003】
この浴室空調装置の設置作業は、天井に形成された取付開口及び点検口を介して浴室内から行われる。すなわち、まず暖房ユニットを取付開口から天井裏に挿入し、天井壁に固定された吊りボルトにより暖房ユニットを吊り下げる。そして、換気ユニットを点検口から天井裏に挿入し、暖房ユニットに対して換気ユニットを接続する。
【0004】
両ユニットの接続は、例えば、暖房ユニットに形成された係合孔に換気ユニットに設けられた係合爪を係合させて仮固定した後、長めの特殊ボルト等により両者を締結することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-116921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の浴室空調装置では、点検口を介する天井裏における作業によって、暖房ユニットに換気ユニットを正常な状態で接続させることが困難であった。
【0007】
すなわち、作業を行う点検口から取付開口に設置された暖房ユニットまでは比較的距離がある上、点検口からの一方向からしか視界が効かない。このため、暖房ユニットと換気ユニットとの接続部は換気ユニットに隠れるため、作業者は接続部を直接確認することができない。しかもユニットの外装色が黒色等の暗い色の場合は特に、天井裏の暗い中で暖房ユニットに接続された換気ユニットが正しい姿勢になっているか否かを確認することが困難である。
【0008】
そのため、係合爪が係合孔に正常に係合していないまま両ユニットをボルト締結してしまい、排気漏れの問題を起こすことがあった。排気漏れの確認には、ダクト等の工事が一通り完了してからしか行うことができないという制約がある。このため、暖房ユニットに換気ユニットを接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認できることが望まれる。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、天井裏で第1ユニットに第2ユニットを接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認することができる浴室空調装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の浴室空調装置は、第1接続部を有する第1ユニットと、前記第1接続部に接続される第2接続部を有する第2ユニットとを備え、天井裏に配置された前記第1ユニットに対して、前記第1ユニットから離れた天井開口から挿入した前記第2ユニットを接続してなる浴室空調装置において、
前記第1ユニット及び前記第2ユニットの少なくとも一方は、前記第1接続部と前記第2接続部とが正しく接続された正常状態と、正しく接続されていない異常状態とを、前記天井開口からの目視により判断可能な接続確認手段を有していることを特徴とする。
【0011】
本発明の浴室空調装置では、第1ユニット及び第2ユニットの少なくとも一方が接続確認手段を有している。このため、予め天井裏に配置された第1ユニットに対して、第2ユニットを接続させようとする作業者は、第1接続部と第2接続部との接続部における実際の接続状態を確認することなく、天井開口から接続確認手段を目視で確認することにより、第1接続部と第2接続部とが正しく接続されているか否かを判断することができる。
【0012】
したがって、本発明の浴室空調装置によれば、天井裏で第1ユニットに第2ユニットを接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認することができる。
【0013】
接続確認手段は、第1ユニット又は第2ユニットの一方に設けられたマークと、第1ユニット又は第2ユニットの他方に設けられ、第1ユニット及び第2ユニットの接続状態でマークの少なくとも一部を遮蔽又は露出する遮蔽部とを有し得る。そして、接続状態にある第1ユニット及び第2ユニットを天井開口から見て、正常状態におけるマークの露出度に対して異常状態におけるマークの露出度が変化することが好ましい。
【0014】
この場合、マークの見え具合によって、接続状態が正常であるか否かを容易に判断することができる。
【0015】
正常状態又は異常状態の一方においてマークの全体が露出し、正常状態又は異常状態の他方においてマークの少なくとも一部が遮蔽部で遮蔽されることが好ましい。
【0016】
この場合、所定形状のマークが正規形状に見えるか否かによって、接続状態が正常であるか否かを容易に判断することができる。
【0017】
マークの色は、マークが設けられた第1ユニット又は第2ユニットの外装色であって、マークの周囲における外装色、及び遮蔽部の色と異なることが好ましい。
【0018】
この場合、マークの色がその周囲の色と異なっているので、マークの見え具合を確認するのが容易になる。
【0019】
マークは蛍光性又は光反射性を有することが好ましい。
【0020】
この場合、マークに光を照射すれば、蛍光性を有するマークなら鮮明に見えるし、光反射性を有するマークなら光が反射して明るく見える。このため、天井裏の暗い中であっても、ライト等の光をマークに照射することにより、そのマークが目立つため、マークの見え具合の確認が容易になる。
【0021】
マークは蓄光性を有することが好ましい。
【0022】
この場合、天井裏の暗い中であっても、ライト等の光をマークに照射することにより、その光の照射を外した後でもしばらくはマークが光って目立つため、マークの見え具合の確認が容易になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の浴室空調装置によれば、天井裏で第1ユニットに第2ユニットを接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施例1の浴室暖房乾燥機が浴室の天井裏に設置された状態を模式的に示す断面図である。
図2図2は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、暖房ユニットと換気ユニットとが接続された状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、暖房ユニットと換気ユニットとの接続を模式的に説明する斜視図である。
図4図4は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、接続状態にある暖房ユニット及び換気ユニットを点検口から見た後面図である。
図5図5は、実施例1の浴室暖房乾燥機に係り、図4のQ矢印部分の拡大図であり、(A)は接続確認手段が正常状態である場合を示し、(B)は接続確認手段が異常状態である場合を示す。
図6図6は、実施例2の浴室暖房乾燥機に係り、図5と同様の拡大図であり、(A)は接続確認手段が正常状態である場合を示し、(B)は接続確認手段が異常状態である場合を示す。
図7図7は、実施例3の浴室暖房乾燥機に係り、図5と同様の拡大図であり、(A)は接続確認手段が正常状態である場合を示し、(B)は接続確認手段が異常状態である場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1~3を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図1に示すように、実施例1の浴室暖房乾燥機1は、本発明の浴室空調装置の具体的態様の一例であり、浴室2の天井裏3に設置されて、浴室2内を空調する。
【0026】
この浴室暖房乾燥機1は、浴室2と、浴室2に隣接する図示しない脱衣室とに対して、それぞれ独立して暖房運転を行うことができる、所謂2室暖房機能付きの浴室暖房乾燥機である。
【0027】
以下、説明の便宜上、図1に示す浴室暖房乾燥機1において、暖房ユニット10が設けられた側、すなわち図1の紙面左側を浴室暖房乾燥機1の前方と規定し、図1の紙面手前側を浴室暖房乾燥機1の左方と規定し、図1の紙面上側を浴室暖房乾燥機1の上方と規定する。そして、図2図4に示す前後、左右及び上下の各方向は、全て図1に対応させて表示する。以下の説明において、前後方向、左右方向及び上下方向は、いずれも浴室暖房乾燥機1における前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ意味する。
【0028】
この浴室暖房乾燥機1は、暖房ユニット10と、換気ユニット20とを備えている。暖房ユニット10は、本発明における「第1ユニット」の一例である。換気ユニット20は、本発明における「第2ユニット」の一例である。
【0029】
図2に示すように、暖房ユニット10及び換気ユニット20は、いずれも略矩形箱状をなしている。暖房ユニット10と換気ユニット20とは、図示しない連通口を有しており、両者が接続された状態で、連通口を介して暖房ユニット10から換気ユニット20に空気が流通する構造とされている。暖房ユニット10及び換気ユニット20は、樹脂成型体よりなる。
【0030】
暖房ユニット10は、浴室2用の第1熱交換器11と、浴室2用の第1循環ファン12と、第1循環ファンモータ等とを備えている。
【0031】
第1熱交換器11は、屋外等に設置したガス給湯器や電気温水器等からなる外部熱源機に接続されている。第1熱交換器11は、外部熱源機から供給される温水との熱交換により、浴室2から吸込んだ空気を加熱する。
【0032】
第1循環ファン12は、第1循環ファンモータにより回転駆動される。第1循環ファンモータは、コントローラに電気的に接続されている。第1循環ファン12は、第1循環ファンモータの作動により、浴室2から空気を吸込んだり、吸込んだ空気を浴室2に吹出したりする。
【0033】
暖房ユニット10は、浴室2と連通する図示しない吸込み口及び吹出し口を下面に有している。第1循環ファン12の作動により、浴室2の空気が吸込み口から暖房ユニット10内に吸込まれ、吸込まれた空気が吹出し口から浴室2に吹出される。
【0034】
換気ユニット20は、脱衣室用の第2熱交換器21と、脱衣室用の第2循環ファン22と、換気ファン23と、第2循環ファンモータと、換気ファンモータ等とを備えている。
【0035】
第2熱交換器21は、屋外等に設置したガス給湯器や電気温水器等からなる外部熱源機に接続されている。第2熱交換器21は、外部熱源機から供給される温水との熱交換により、脱衣室から吸込んだ空気を加熱する。
【0036】
第2循環ファン22は、第2循環ファンモータにより回転駆動される。第2循環ファンモータは、コントローラに電気的に接続されている。第2循環ファン22は、第2循環ファンモータの作動により、脱衣室から空気を吸込んだり、吸込んだ空気を脱衣室に吹出したりする。
【0037】
換気ファン23は、換気ファンモータにより回転駆動される。換気ファンモータはコントローラに電気的に接続されている。換気ファン23は、換気ファンモータの作動により、暖房ユニット10を介して浴室2から吸込んだ空気を屋外に排出したり、脱衣室やトイレから吸込んだ空気を屋外に排出したりする。
【0038】
なお、外部熱源機、コントローラ、第1循環ファンモータ、第2循環ファンモータ及び換気ファンモータの図示は省略する。また、この浴室暖房乾燥機1は、コントローラによって、暖房や換気等の運転が制御される。
【0039】
換気ユニット20は、屋外と連通する排気ダクトが接続される排気用接続口24と、トイレと連通するトイレ用吸気ダクトが接続されるトイレ用接続口25と、脱衣室と連通する脱衣室用吸気ダクトが接続される脱衣室吸気用接続口26と、脱衣室と連通する脱衣室用吹出ダクトが接続される脱衣室吹出用接続口27とを有している。なお、排気ダクト、トイレ用給気ダクト、脱衣室用吸気ダクト及び脱衣室用吹出ダクトの図示は省略する。
【0040】
図3に示すように、暖房ユニット10の後面10Aには、取付板13が固定されている。この取付板13に対して換気ユニット20が固定される。
【0041】
取付板13の上端には、左右一対の被係止部14、14が設けられている。また、取付板13の下端部の近傍には、左右一対の係合孔31、31と、左右方向の中央に左右方向に長い係合長孔32とが設けられている。左右一対の係合孔31、31及び係合長孔32は、本発明における「第1接続部」の一例である。
【0042】
暖房ユニット10の後面10Aの下端部の近傍には、左右一対の矩形マーク33、33が設けられている。矩形マーク33は、本発明における「マーク」の一例である。左右一対の矩形マーク33、33は、左右一対の係合孔31、31にそれぞれ対応する位置であって、取付板13の直ぐ下方に配置されている。
【0043】
暖房ユニット10の後面10Aの外装色は黒であり、矩形マーク33の色は赤である。矩形マーク33は、後面10Aに蛍光ラベルを貼り付けてなり、蛍光性を有する。
【0044】
換気ユニット20の前面20Aの上端部には、左右一対の係止金具41、41が固定されている。係止金具41は、断面L字状をなし、被係止部14に引掛けられて係止される。
【0045】
換気ユニット20の前面20Aの下端部の近傍には、左右一対の係合爪42、42と、左右方向の中央に左右方向に長い係合長爪43とが設けられている。左右一対の係合爪42、42及び係合長爪43は、本発明における「第2接続部」の一例である。係合爪42は、断面L字状をなし、係合孔31内に挿入されて係合孔31に係合される。同様に、係合長爪43は、断面L字状をなし、係合長孔32内に挿入されて係合長孔32に係合される。
【0046】
図2及び図4に示すように、換気ユニット20の前面20Aには、換気ユニット20の下端から下方に突出する左右一対の矩形遮蔽部44、44が設けられている。矩形遮蔽部44は、本発明における「遮蔽部」の一例である。換気ユニット20の外装色及び矩形遮蔽部44の色は黒である。矩形マーク33及び矩形遮蔽部44は、本発明における「接続確認手段」の一例である。
【0047】
左右一対の矩形遮蔽部44、44は、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、左右一対の矩形マーク33、33にそれぞれ対応する位置に配置されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、各矩形マーク33における左右方向の中心と、各矩形遮蔽部44における左右方向の中心とがそれぞれ一致する。また、矩形遮蔽部44の大きさは、矩形マーク33よりも所定量小さく設定されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、矩形マーク33の大部分が矩形遮蔽部44によって遮蔽され、矩形マーク33の左右両端部及び下端部が一定幅でコ字状に露出する(図5(A)に示す正常状態の場合を参照)。なお、図5は、図4のQ矢印部分の拡大図である。
【0048】
なお、以下の説明において、矩形マーク33の露出又は露出度とは、接続状態にある暖房ユニット10及び換気ユニット20を点検口4Bから図1のP矢印方向に見たときの矩形マーク33の露出又は露出度を意味する。図1のP矢印は、水平方向に平行である。
【0049】
この浴室暖房乾燥機1の浴室2の天井裏3への設置作業は、以下のように行われる。
【0050】
図1に示すように、天井パネル4には、取付開口4Aと、点検口4Bとが予め設けられている。点検口4Bは、本発明における「天井開口」の一例である。点検口4Bは、揺動扉4Cにより開閉可能とされている。なお、取付開口4Aは暖房ユニット10を挿通可能な範囲で最小限の大きさとされ、点検口4Bも換気ユニット20を挿通可能な範囲で最小限の大きさとされている。また、取付開口4Aと点検口4Bとの距離は、換気ユニット20の前後方向の長さ以上とされている。
【0051】
まず、暖房ユニット10を取付開口4Aから天井裏3に挿入し、天井壁5に固定された4本の吊りボルト6により暖房ユニット10を吊り下げる。なお、図1には、4本の吊りボルト6のうちの2本の吊りボルト6を図示する。
【0052】
その後、換気ユニット20を点検口4Bから天井裏3に挿入する。そして、点検口4Bからの作業により、換気ユニット20の下端部に設けられた左右一対の係合爪42、42及び係合長爪43を、暖房ユニット10の下端部に設けられた左右一対の係合孔31、31及び係合長孔32内に挿入しつつ、換気ユニット20の上端に設けられた左右一対の係止金具41、41を、取付板13の上端に設けられた左右一対の被係止部14、14に引掛ける。これにより、左右一対の係合爪42、42及び係合長爪43と左右一対の係合孔31、31及び係合長孔32とが係合されるとともに、左右一対の係止金具41、41と左右一対の被係止部14、14とが係止される。
【0053】
こうして、暖房ユニット10に対して換気ユニット20を仮止めした後、点検口4Bからの作業により、図2に示すように、2本の長めの特殊ボルト50、50により暖房ユニット10と換気ユニット20とを締結して、両者の接続を完了する。
【0054】
暖房ユニット10と換気ユニット20との接続完了後、作業者は、図1のP矢印に示すように、点検口4Bから目視により、矩形マーク33及び矩形遮蔽部44を確認する。
【0055】
このとき、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが正常に係合しているときは、暖房ユニット10に対して換気ユニット20が正しい位置及び姿勢で接続される。このため、図5(A)に正常状態の場合を示すように、矩形マーク33の左右両端部と下端部とが一定幅でコ字状に露出して赤く見える。これにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが正常に係合していると判断できる。
【0056】
一方、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が異常に係合しているときは、暖房ユニット10に対して換気ユニット20が正しい位置及び姿勢からずれた位置及び姿勢で接続される。本実施例の場合は、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が正しく係合していないまま2本の特殊ボルト50、50を締め付けると、暖房ユニット10に対して換気ユニット20が正しい位置から下方にずれて傾いた姿勢になる。
【0057】
このため、図5(B)に異常状態の場合を示すように、下方にずれた矩形遮蔽部44で矩形マーク33の下端部が遮蔽されて見えなくなって、矩形マーク33の両端部のみが露出して赤く見える。これにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。なお、このとき、矩形遮蔽部44の下方へのずれ量が少なくて矩形マーク33の下端部の幅が左右両端部の幅よりも短く見えても、このときの矩形マーク33の露出度が、正常状態のときの矩形マーク33の露出度に対して減少していれば、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。
【0058】
このように、正常状態の矩形マーク33の露出度に対して、異常状態の矩形マーク33の露出度が減少する。このため、点検口4Bからの視認により、矩形マーク33の見え具合を確認することにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが正しく係合しているか否かを容易に判断することができる。
【0059】
しかも、矩形マーク33の色は赤であり、矩形マーク33の周囲の暖房ユニット10の外装色の黒と異なるとともに、矩形遮蔽部44の黒とも異なる。黒に対して赤はコントラストも強い。加えて、矩形マーク33は蛍光性も有する。このため、接続状態の暖房ユニット10及び換気ユニット20に向かって点検口4Bからライトの光を図1のP矢印方向に照射すれば、強いコントラストの矩形マーク33がより鮮明に見える。
【0060】
したがって、本実施例の浴室暖房乾燥機1によれば、天井裏3で暖房ユニット10と換気ユニット20を接続させる際に、両者の接続状態を容易に確認することができる。
【0061】
(実施例2)
実施例2の浴室暖房乾燥機では、実施例1の浴室暖房乾燥機1において、接続確認手段を変更している。
【0062】
図6に示すように、暖房ユニット10の後面10Aには、左右一対の円形マーク34、34が設けられている。円形マーク34は、本発明における「マーク」の一例である。左右一対の円形マーク34、34は、後面10Aの下端部の近傍であって、実施例1の浴室暖房乾燥機1における左右一対の矩形マーク33、33と同様の位置に設けられている。なお、図6は、図4のQ矢印部分に相当する拡大図である。
【0063】
暖房ユニット10の後面10Aの外装色は黒であり、円形マーク34の色は赤である。円形マーク34は、光反射性を有するラベルを貼り付けてなる。
【0064】
換気ユニット20の前面20Aには、換気ユニット20の下端から下方に突出する左右一対の矩形遮蔽部45、45が設けられている。矩形遮蔽部45は、本発明における「遮蔽部」の一例である。左右一対の矩形遮蔽部45、45は、実施例1の浴室暖房乾燥機1における左右一対の矩形遮蔽部44、44と同様の位置に設けられている。
【0065】
矩形遮蔽部45の中央には、頂点の一つが真下を向く正三角形の窓45Aが開口している。換気ユニット20の外装色及び矩形遮蔽部45の色は黒である。円形マーク34及び矩形遮蔽部45は、本発明における「接続確認手段」の一例である。
【0066】
左右一対の矩形遮蔽部45、45は、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、左右一対の円形マーク34、34にそれぞれ対応する位置に配置されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、円形マーク34の中心と、矩形遮蔽部45の窓45Aの中心とが一致する。また、矩形遮蔽部45の窓45Aの大きさは、円形マーク34よりも所定量大きく設定されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、円形マーク34の全体が矩形遮蔽部45によって遮蔽されることなく、円形マーク34の全体が窓45Aから露出する(図6(A)に示す正常状態の場合を参照)。
【0067】
このため、暖房ユニット10と換気ユニット20との接続完了後、点検口4Bから目視により、円形マーク34及び矩形遮蔽部45を確認したとき、図6(A)に正常状態の場合を示すように、円形マーク34の全体が窓45Aから露出して赤く見えるときは、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが正常に係合していると判断できる。
【0068】
一方、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が異常に係合しているときは、暖房ユニット10に対して換気ユニット20が正しい位置から下方にずれて傾いている。このため、図6(B)に異常状態の場合を示すように、下方にずれた矩形遮蔽部45で円形マーク34の上部が遮蔽されて見えなくなって、円形マーク34の下部のみが窓45Aから露出して赤く見える。これにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。なお、このとき、矩形遮蔽部45の下方へのずれ量が多くて円形マーク34の全体が矩形遮蔽部45で遮蔽されて円形マーク34が全く見えなくても、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。
【0069】
このように、円形マーク34が正規形状で見えたときは、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が正常に係合していると判断でき、円形マーク34が正規形状で見えないときは、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が異常に係合していると判断できるので、係合状態が正常であるか否かを容易に判断することができる。
【0070】
しかも、円形マーク34は光反射性を有するため、接続状態の暖房ユニット10及び換気ユニット20に向かって点検口4Bからライトの光を図1のP矢印方向に照射すれば、円形マーク34が光って目立つため、円形マーク34の見え具合の確認が容易になる。
【0071】
その他の構成及び作用効果は、実施例1の浴室暖房乾燥機1と同様である。
【0072】
(実施例3)
実施例3の浴室暖房乾燥機では、実施例1の浴室暖房乾燥機1において、接続確認手段を変更している。
【0073】
図7に示すように、暖房ユニット10の後面10Aには、左右一対の円形マーク35、35が設けられている。円形マーク35は、本発明における「マーク」の一例である。左右一対の円形マーク35、35は、後面10Aの下端部の近傍であって、実施例1の浴室暖房乾燥機1における左右一対の矩形マーク33、33と同様の位置に設けられている。なお、図7は、図4のQ矢印部分に相当する拡大図である。
【0074】
暖房ユニット10の後面10Aの外装色は黒であり、円形マーク35の色は赤である。円形マーク35は、蓄光性を有するラベルを貼り付けてなる。
【0075】
換気ユニット20の前面20Aには、換気ユニット20の下端から下方に突出する左右一対の矩形遮蔽部46、46が設けられている。矩形遮蔽部46は、本発明における「遮蔽部」の一例である。左右一対の矩形遮蔽部46、46は、実施例1の浴室暖房乾燥機1における左右一対の矩形遮蔽部44、44と同様の位置に設けられている。
【0076】
矩形遮蔽部46の中央には、頂点の一つが真上を向く正三角形の窓46Aが開口している。換気ユニット20の外装色及び矩形遮蔽部46の色は黒である。円形マーク35及び矩形遮蔽部46は、本発明における「接続確認手段」の一例である。
【0077】
左右一対の矩形遮蔽部46、46は、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、左右一対の円形マーク35、35にそれぞれ対応する位置に配置されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の正常な接続状態において、円形マーク35の中心の高さ位置と、矩形遮蔽部46の窓46Aにおける三角形の底辺の高さ位置とが一致する。また、矩形遮蔽部46の窓46Aの大きさは、円形マーク35よりも所定量大きく設定されている。詳しくは、暖房ユニット10及び換気ユニット20の異常な接続状態において、円形マーク35の全体が矩形遮蔽部46によって遮蔽されることなく、円形マーク35の全体が窓46Aから露出する(図7(B)に示す異常状態の場合を参照)。
【0078】
このため、暖房ユニット10と換気ユニット20との接続完了後、点検口4Bから目視により、円形マーク35及び矩形遮蔽部46を確認したとき、図7(A)に正常状態の場合を示すように、円形マーク35の下部が矩形遮蔽部46で遮蔽されて円形マーク35の上部のみが窓46Aから露出して赤く見えるときは、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが正常に係合していると判断できる。
【0079】
一方、一対の係合孔31、31及び係合長孔32に一対の係合爪42、42及び係合長爪43が異常に係合しているときは、暖房ユニット10に対して換気ユニット20が正しい位置から下方にずれて傾いている。このため、図7(B)に異常状態の場合を示すように、矩形遮蔽部46が下方にずれることで、円形マーク35の全体が窓46Aから露出して赤く見える。これにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。なお、このとき、矩形遮蔽部46の下方へのずれ量が少なくて円形マーク35の下部が矩形遮蔽部46で遮蔽されて円形マーク35の下部が見えなくても、このときの円形マーク35の露出度が、正常状態のときの円形マーク35の露出度に対して増加していれば、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43とが異常に係合していると判断できる。
【0080】
このように、円形マーク35が正規形状で見えるか否かにより、又は円形マーク35の露出度が正常状態における円形マーク35の露出度に対して増加しているか否かにより、一対の係合孔31、31及び係合長孔32と一対の係合爪42、42及び係合長爪43との係合が正常であるか否かを容易に判断することができる。
【0081】
しかも、円形マーク35は蓄光性を有するため、接続状態の暖房ユニット10及び換気ユニット20に向かって点検口4Bからライトの光を図1のP矢印方向に照射すれば、光の照射を外した後でもしばらくは円形マーク35が光って目立つため、円形マーク35の見え具合の確認が容易になる。
【0082】
その他の構成及び作用効果は、実施例1の浴室暖房乾燥機1と同様である。
【0083】
以上において、本発明を実施例1~3に即して説明したが、本発明は上記実施例1~3に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0084】
実施例1~3では、第1接続部として係合孔31及び係合長孔32を採用するとともに、第2接続部として係合爪42及び係合長爪43を採用するが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、互いに機械的に係合可能な他の係合部及び被係合部により、第1接続部及び第2接続部を構成してもよい。また、ボルトを利用した雄ねじ状の締結部及び雌ねじ状の被締結部により、第1接続部及び第2接続部を構成してもよい。
【0085】
実施例1~3では、2室暖房機能付きの浴室暖房乾燥機に本発明を適用したが、これに限らず、浴室のみを暖房乾燥する浴室暖房乾燥機に本発明を適用してもよい。
【0086】
実施例1~3では、暖房ユニット及び換気ユニットを備える浴室暖房乾燥機に本発明を適用したが、これに限らず、互いに空気が流通するように接続される第1ユニット及び第2ユニットを有する他の浴室空調装置に本発明を適用してもよい。また、第1ユニットに対して第2ユニット及び第3ユニットが接続される浴室空調装置や、あるいは第1ユニットに接続された第2ユニットに第3ユニットが接続される浴室空調装置に本発明を適用してもよい。
【0087】
実施例1~3では、マークの形状を矩形や円形とするが、マークの形状はこれに限らず、例えば三角形や星形にしてもよい。また、遮蔽部の形状も矩形以外の他の形状を採用し得るし、遮蔽部に設ける窓の形状も適宜設定可能である。さらに、マーク及び遮蔽部の色や、マークや遮蔽部の周囲における第1ユニット及び第2ユニットの外装色も、特に限られず、マークが目立つように適宜選択すればよい。また、マーク及び遮蔽部の数、位置や大きさも、特に限定されず、適宜設定可能である。
【0088】
実施例1~3では、ラベルを貼り付けてマークを形成しているが、これに限らず、例えば、樹脂材への着色や、塗料によってマークを形成してもよい。
【0089】
実施例1~3では、第2ユニットの天井裏への挿入及び第1ユニットへの接続の作業を点検口を介して行うが、これに限らず、これらの作業は他の天井開口から行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は例えば、住宅や施設等に設置される浴室空調システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1…浴室暖房乾燥機(浴室空調装置)
2…浴室
3…天井裏
4B…点検口(天井開口)
10…暖房ユニット(第1ユニット)
31…係合孔(第1接続部)
32…係合長孔(第1接続部)
33…矩形マーク(マーク、接続確認手段)
34、35…円形マーク(マーク、接続確認手段)
20…換気ユニット(第2ユニット)
42…係合爪(第2接続部)
43…係合長爪(第2接続部)
44、45、46…矩形遮蔽部(遮蔽部、接続確認手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7