(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075104
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】光検出器、カメラ及びイメージングシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 23/10 20230101AFI20240527BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20240527BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20240527BHJP
G01J 3/18 20060101ALI20240527BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20240527BHJP
H04N 25/44 20230101ALI20240527BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240527BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
H04N23/10
G01J3/36
G01J3/02 S
G01J3/18
G01N21/85 A
H04N25/44
H04N25/70
G01N21/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186302
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【弁理士】
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博也
(72)【発明者】
【氏名】矢橋 諒
(72)【発明者】
【氏名】森田 翔
【テーマコード(参考)】
2G020
2G051
2G059
5C024
5C065
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020BA20
2G020CB06
2G020CC02
2G020CC42
2G020CC63
2G020CD06
2G020CD24
2G020CD41
2G051AA05
2G051BA06
2G051CA03
2G051CB01
2G051CC15
2G051CD01
2G051DA06
2G051EA02
2G051EA06
2G059AA05
2G059BB09
2G059BB11
2G059DD12
2G059EE02
2G059EE12
2G059FF01
2G059JJ05
2G059KK04
2G059MM20
5C024AX06
5C024EX47
5C024EX50
5C024GX01
5C024GX07
5C024GX15
5C024GY39
5C024GY41
5C024JX08
5C065BB48
5C065CC10
5C065DD15
5C065EE01
5C065EE03
5C065EE12
(57)【要約】
【課題】ハイパースペクトラルイメージングの処理を高速化することが可能な光検出器、カメラ、及びイメージングシステムを提供する。
【解決手段】光検出器9は、互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板7と、複数の光検出基板7が列方向に沿って並ぶように載置された回路基板8と、を備える。複数の光検出基板7は、行方向及び列方向に沿って配列された複数の光検出部71a,72a,73aを有する。回路基板8は、行方向及び列方向に沿って配列され、複数の光検出部71a,72a,73aに電気的に接続された複数の画素回路81と、複数の画素回路81の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路84と、行選択回路84により選択された行の複数の画素回路81からの信号を列ごとに読み出す列読出回路85と、を有する。行選択回路84は、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板と、
前記複数の光検出基板が載置された回路基板と、を備え、
前記複数の光検出基板の各々は、行方向及び前記行方向に垂直な列方向に沿って配列された複数の光検出部を有し、
前記複数の光検出基板は、前記列方向に沿って並ぶように前記回路基板上に載置されており、
前記回路基板は、
前記行方向及び前記列方向に沿って配列され、前記複数の光検出部にそれぞれ電気的に接続された複数の画素回路と、
前記複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路と、
前記行選択回路により選択された行の前記複数の画素回路からの信号を列ごとに読み出す列読出回路と、を有し、
前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている、光検出器。
【請求項2】
制御部を更に備え、
前記制御部は、入力に対応する行の前記複数の画素回路からの信号が読み出される一方で、前記入力に対応する行以外の行の前記複数の画素回路からの信号は読み出されないように、前記行選択回路を制御する、請求項1に記載の光検出器。
【請求項3】
前記複数の光検出基板は、第1光検出基板と、第2光検出基板と、を含み、
前記第2光検出基板は、前記列方向において第1隙間を空けて前記第1光検出基板と隣り合っている、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項4】
前記回路基板において前記回路基板の厚さ方向から見た場合に前記第1隙間と重なる領域には、前記複数の光検出基板に電気的に接続されていない複数の非接続画素回路が配置されている、請求項3に記載の光検出器。
【請求項5】
前記複数の非接続画素回路の容量部は、前記複数の画素回路の容量部がリセットされる際にリセットされる、請求項4に記載の光検出器。
【請求項6】
前記複数の非接続画素回路の容量部は、常時リセットされている、請求項4に記載の光検出器。
【請求項7】
前記回路基板において前記回路基板の厚さ方向から見た場合に前記第1隙間と重なる領域には、画素回路が配置されていない、請求項3に記載の光検出器。
【請求項8】
前記複数の光検出基板は、第3光検出基板を更に含み、
前記第3光検出基板は、前記列方向において第2隙間を空けて前記第2光検出基板と隣り合っており、
前記列方向における前記第1隙間の長さは、前記列方向における前記第2隙間の長さと異なっている、請求項3に記載の光検出器。
【請求項9】
前記列読出回路は、互いに異なる前記複数の画素回路の列に電気的に接続された複数の出力ポートを有する、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項10】
前記行方向に沿って配列された前記複数の画素回路の個数は、前記列方向に沿って配列された前記複数の画素回路の個数よりも多い、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項11】
前記複数の画素回路の各々は、前記複数の光検出部の1つに電気的に接続されたチャージアンプを有している、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項12】
前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能な第1状態と、前記複数の画素回路の複数の行を前記列方向における配列順に従って順に選択する第2状態と、の間で状態を切替可能に構成されている、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項13】
前記複数の光検出基板は、第1波長域に感度を有する第1光検出基板と、第2波長域に感度を有する第2光検出基板と、を有し、
前記第1波長域の一部は、前記第2波長域と重なっている、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項14】
光入射部と、
前記光入射部から入射した光を分光する分光部と、
前記分光部により分光された前記光を検出する光検出器と、を備え、
前記光検出器は、
行方向及び前記行方向に垂直な列方向に沿って配列された複数の光検出部と、
前記行方向及び前記列方向に沿って配列され、前記複数の光検出部にそれぞれ電気的に接続された複数の画素回路と、
前記複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路と、
前記行選択回路により選択された行の前記複数の画素回路からの信号を列ごとに読み出す列読出回路と、を有し、
前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されており、
前記分光部は、前記列方向に前記光を分光する、カメラ。
【請求項15】
前記行方向に沿って延在するスリットを更に備え、
前記スリットを通過した前記光が前記分光部に入射する、請求項14に記載のカメラ。
【請求項16】
前記光検出器は、互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板と、前記複数の光検出基板が載置された回路基板と、を備え、
前記複数の光検出基板の各々は、前記行方向及び前記列方向に沿って配列された複数の光検出部を有し、
前記複数の光検出基板は、前記列方向に沿って並ぶように前記回路基板上に載置されており、
前記回路基板は、前記複数の画素回路と、前記行選択回路と、前記列読出回路と、を有する、請求項14又は15に記載のカメラ。
【請求項17】
請求項14又は15に記載のカメラと、
前記列方向に沿って対象物を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置により搬送されている前記対象物からの光が前記光入射部に入射する、イメージングシステム。
【請求項18】
請求項16に記載のカメラと、
前記列方向に沿って対象物を搬送する搬送装置と、を備え、
前記搬送装置により搬送されている前記対象物からの光が前記光入射部に入射する、イメージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出器、カメラ及びイメージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ハイパースペクトラルイメージング装置が記載されている。ハイパースペクトラルイメージングでは、対象物の撮影時に対象物の形状だけでなくスペクトル情報が併せて取得され、波長ごとの二次元イメージ情報が得られる。波長ごとの二次元イメージ情報を用いることで、RGB画像では実現することができなかった対象物の検査等を実現し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイパースペクトラルイメージングに基づく検査等には高速化が求められる場合がある。そのため、ハイパースペクトラルイメージングには処理を高速化することが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、ハイパースペクトラルイメージングの処理を高速化することが可能な光検出器、カメラ及びイメージングシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光検出器は、[1]「互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板と、前記複数の光検出基板が載置された回路基板と、を備え、前記複数の光検出基板の各々は、行方向及び前記行方向に垂直な列方向に沿って配列された複数の光検出部を有し、前記複数の光検出基板は、前記列方向に沿って並ぶように前記回路基板上に載置されており、前記回路基板は、前記行方向及び前記列方向に沿って配列され、前記複数の光検出部にそれぞれ電気的に接続された複数の画素回路と、前記複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路と、前記行選択回路により選択された行の前記複数の画素回路からの信号を列ごとに読み出す列読出回路と、を有し、前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている、光検出器」である。
【0007】
この光検出器では、互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板が回路基板上に載置されており、各光検出基板が行方向及び列方向に沿って配列された複数の光検出部を有している。また、複数の光検出基板は、列方向に沿って並ぶように回路基板上に載置されている。これにより、例えば、分光素子によって列方向に分光された光を各光検出基板の光検出部に入射させることで(列方向が分光方向に沿うように光検出器を配置することで)、波長ごとの二次元イメージ情報を取得することができる。また、この光検出器では、複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路が、複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている。これにより、必要な行の画素回路からの信号を読み出す一方で、必要でない行の画素回路からの信号を読み出さないことが可能となる。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、必要な行の画素回路からの信号のみを読み出すことで、例えば全ての行の画素回路を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。よって、この光検出器によれば、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。
【0008】
本発明の光検出器は、[2]「制御部を更に備え、前記制御部は、入力に対応する行の前記複数の画素回路からの信号が読み出される一方で、前記入力に対応する行以外の行の前記複数の画素回路からの信号は読み出されないように、前記行選択回路を制御する、[1]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、例えば全ての行の画素回路を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。
【0009】
本発明の光検出器は、[3]「前記複数の光検出基板は、第1光検出基板と、第2光検出基板と、を含み、前記第2光検出基板は、前記列方向において第1隙間を空けて前記第1光検出基板と隣り合っている、[1]又は[2]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、例えば、分光部によって列方向に分光された光のうち、検査に必要でない波長域の光が第1隙間に入射するように光検出器を配置することで、処理を一層高速化することが可能となる。また、光検出基板を小さくすることができ、製造を容易化することができる。
【0010】
本発明の光検出器は、[4]「前記回路基板において前記回路基板の厚さ方向から見た場合に前記第1隙間と重なる領域には、前記複数の光検出基板に電気的に接続されていない複数の非接続画素回路が配置されている、[3]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、例えば、非接続画素回路に光検出部が電気的に接続されるように光検出基板の配置を変更することができ、自由度を高めることができる。
【0011】
本発明の光検出器は、[5]「前記複数の非接続画素回路の容量部は、前記複数の画素回路の容量部がリセットされる際にリセットされる、[4]に記載の光検出器」であってもよい。非接続画素回路には光検出部が接続されていないため信号は蓄積されないが、光の入射によりPN接合部において発生した電荷が蓄積される場合がある。この場合、当該電荷が寄生容量として周辺の画素回路に影響を及ぼすおそれがある。この点、上記光検出器では、画素回路の容量部がリセットされる際に非接続画素回路の容量部がリセットされるため、非接続画素回路に蓄積された電荷による周辺の画素回路への影響を抑制することができる。
【0012】
本発明の光検出器は、[6]「前記複数の非接続画素回路の容量部は、常時リセットされている、[4]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、非接続画素回路に蓄積された電荷による周辺の画素回路への影響を一層確実に抑制することができる。
【0013】
本発明の光検出器は、[7]「前記回路基板において前記回路基板の厚さ方向から見た場合に前記第1隙間と重なる領域には、画素回路が配置されていない、[3]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、例えば当該領域に非接続画素回路が配置されている場合と比べて、画素回路に供給する電流量を低減することができ、画素回路における発熱を抑制することができる。また、画素回路における発熱を抑制することで、光検出基板において暗電流が発生することを抑制することができる。
【0014】
本発明の光検出器は、[8]「前記複数の光検出基板は、第3光検出基板を更に含み、前記第3光検出基板は、前記列方向において第2隙間を空けて前記第2光検出基板と隣り合っており、前記列方向における前記第1隙間の長さは、前記列方向における前記第2隙間の長さと異なっている、[3]に記載の光検出器」であってもよい。この場合、例えば、分光部によって列方向に分光された光のうち、検査に必要でない波長域の光が第2隙間に入射するように光検出器を配置することで、処理を一層高速化することが可能となる。また、光検出基板を小さくすることができ、製造を容易化することができる。
【0015】
本発明の光検出器は、[9]「前記列読出回路は、互いに異なる前記複数の画素回路の列に電気的に接続された複数の出力ポートを有する、[1]~[8]のいずれか一つに記載の光検出器」であってもよい。この場合、信号の読出速度を向上することができる。
【0016】
本発明の光検出器は、[10]「前記行方向に沿って配列された前記複数の画素回路の個数は、前記列方向に沿って配列された前記複数の画素回路の個数よりも多い、[1]~[9]のいずれか一つに記載の光検出器」であってもよい。この場合、信号の読出速度を向上することができる。
【0017】
本発明の光検出器は、[11]「前記複数の画素回路の各々は、前記複数の光検出部の1つに電気的に接続されたチャージアンプを有している、[1]~[10]のいずれか一つに記載の光検出器」であってもよい。この場合、光検出部において生成された電荷をチャージアンプによって電圧信号に変換することができる。
【0018】
本発明の光検出器は、[12]「前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能な第1状態と、前記複数の画素回路の複数の行を前記列方向における配列順に従って順に選択する第2状態と、の間で状態を切替可能に構成されている、[1]~[11]のいずれか一つに記載の光検出器」であってもよい。この場合、用途等に応じて行選択回路の状態を切り替えることができる。
【0019】
本発明の光検出器は、[13]「前記複数の光検出基板は、第1波長域に感度を有する第1光検出基板と、第2波長域に感度を有する第2光検出基板と、を有し、前記第1波長域の一部は、前記第2波長域と重なっている、[1]~[12]のいずれか一つに記載の光検出器」であってもよい。この場合、広範な検出波長を得つつも、検出感度が著しく低下する波長域のない光検出器を実現できる。
【0020】
本発明のカメラは、[14]「光入射部と、前記光入射部から入射した光を分光する分光部と、前記分光部により分光された前記光を検出する光検出器と、を備え、前記光検出器は、行方向及び前記行方向に垂直な列方向に沿って配列された複数の光検出部と、前記行方向及び前記列方向に沿って配列され、前記複数の光検出部にそれぞれ電気的に接続された複数の画素回路と、前記複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路と、前記行選択回路により選択された行の前記複数の画素回路からの信号を列ごとに読み出す列読出回路と、を有し、前記行選択回路は、前記複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されており、前記分光部は、前記列方向に前記光を分光する、カメラ」である。
【0021】
このカメラでは、分光部が、列方向に光を分光する。すなわち、列方向が分光方向に沿うように光検出器が配置されている。そして、光検出器において、複数の画素回路の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路が、複数の画素回路の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている。これにより、必要な行の画素回路からの信号を読み出す一方で、必要でない行の画素回路からの信号を読み出さないことが可能となる。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、必要な行の画素回路からの信号のみを読み出すことで、例えば全ての行の画素回路を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。よって、このカメラによれば、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。
【0022】
本発明のカメラは、[15]「前記行方向に沿って延在するスリットを更に備え、前記スリットを通過した前記光が前記分光部に入射する、[14]に記載のカメラ」であってもよい。この場合、分光部に光を好適に入射させることができる。
【0023】
本発明のカメラは、[16]「前記光検出器は、互いに異なる波長域に感度を有する複数の光検出基板と、前記複数の光検出基板が載置された回路基板と、を備え、前記複数の光検出基板の各々は、前記行方向及び前記列方向に沿って配列された複数の光検出部を有し、前記複数の光検出基板は、前記列方向に沿って並ぶように前記回路基板上に載置されており、前記回路基板は、前記複数の画素回路と、前記行選択回路と、前記列読出回路と、を有する、[14]又は[15]に記載のカメラ」であってもよい。この場合、波長ごとの二次元イメージ情報を好適に取得することができる。
【0024】
本発明のイメージングシステムは、[17]「[14]~[16]のいずれか一つに記載のカメラと、前記列方向に沿って対象物を搬送する搬送装置と、を備え、前記搬送装置により搬送されている前記対象物からの光が前記光入射部に入射する、イメージングシステム」である。このイメージングシステムによれば、上述した理由により、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。また、上述したとおり、このイメージングシステムの光検出器では必要な行の画素回路からの信号のみを読み出すことが可能となっているため、搬送装置により列方向に沿って搬送されている対象物からの光を高速に処理することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ハイパースペクトラルイメージングの処理を高速化することが可能な光検出器、カメラ及びイメージングシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係るイメージングシステムの構成を示す図である。
【
図3】回路基板における画素回路の配置を示す図である。
【
図5】光検出器における読出領域を説明するための図である。
【
図7】
図6に示されるマルチプレクサの構成を示す図である。
【
図8】行選択回路の動作を示すタイミングチャートである。
【
図9】回路基板における信号の流れを説明するための図である。
【
図10】順次読出モードにおける行選択回路を示す図である。
【
図11】順次読出モードにおける行選択回路の動作を示すタイミングチャートである。
【
図12】第1変形例に係る非接続画素回路の構成を示す図である。
【
図13】第2変形例に係る回路基板における画素回路の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0028】
図1に示されるように、イメージングシステム1(ハイパースペクトラルイメージングシステム)は、カメラ2(ハイパースペクトラルイメージングカメラ)と、搬送装置3とを備えている。イメージングシステム1では、搬送装置3により搬送されている対象物Bからの光Ltがカメラ2により撮影され、ハイパースペクトラルイメージングが実施される。ハイパースペクトラルイメージングでは、対象物Bの撮影時に対象物Bの形状だけでなくスペクトル情報が併せて取得され、波長ごとの二次元イメージ情報が取得される。イメージングシステム1では、例えば、対象物Bは食品であり、スペクトル情報に基づいて食品の選別(検査)が実施される。以下、
図1等に示されるように、互いに垂直なX方向、Y方向及びZ方向を設定して説明する。
【0029】
カメラ2は、光入射部4と、スリット部5と、分光部6と、光検出器9と、筐体10とを備えている。スリット部5、分光部6及び光検出器9は、筐体10内に配置されている。筐体10は例えば不透明な材料により形成されているが、
図1では理解の容易化のために筐体10が透過して示されている。
【0030】
光入射部4は、対象物Bからの光Ltを筐体10内に入射させる部分である。光入射部4は、例えばレンズを含んで構成されており、対象物Bからの光Ltをレンズによって集光しながらスリット部5へ向けて導光する。カメラ2は、例えば、Z方向において光入射部4が搬送装置3と向かい合うように、搬送装置3の鉛直上方に配置されている。すなわち、この例では、Z方向は鉛直方向である。スリット部5には、スリット5aが形成されている。スリット5aは、例えば、長方形状に形成されてX方向に沿って真っ直ぐに延在している。光入射部4から入射した光Ltは、スリット5aを通過して分光部6に入射する。
【0031】
分光部6は、この例では、X方向に沿って真っ直ぐに延在する透過型の回折格子である。分光部6は、Z方向においてスリット5aと向かい合うように配置されている。分光部6は、スリット5aからの光LtをY方向に分光する。すなわち、分光部6は、Y方向における位置(出射角度)に応じて波長が連続的に変化するように、光Ltを分解する。
【0032】
光検出器9は、分光部6により分光された光Ltを検出する。後述するように、光検出器9は、X方向及びY方向に沿って延在する平面状の光検出領域(後述する光検出部71a~73aが配置された領域)を有するエリアイメージセンサである。カメラ2では、スリット5aを通過したX方向に延在する光Ltが分光部6によりY方向に分光されて光検出器9の光検出領域に入射する。光検出領域への入射位置においては、光Ltは、波長がX方向に一様であると共にY方向に連続的に変化する平面状の光となる。この光Ltを光検出器9によって検出することにより、波長ごとの二次元イメージ情報を取得することができる。
【0033】
搬送装置3は、この例ではベルトコンベアであり、無端ベルト3aを有している。搬送装置3は、無端ベルト3aをY方向に送ることにより、無端ベルト3a上に載置された対象物BをY方向に沿って搬送する。対象物Bの検査時(イメージングシステム1の動作時)には、搬送装置3により搬送されている対象物Bからの光Ltが光入射部4に入射し、光検出器9により検出される。これにより、Y方向における位置を変化させつつ対象物Bを撮影することができ(スキャン撮影)、対象物Bの全体を撮影することができる。イメージングシステム1では、搬送装置3による対象物Bの搬送方向、分光部6による光Ltの分光方向、及び光検出基板71~73の並び方向が全てY方向となっている。なお、この例では、イメージングシステム1は、対象物Bに向けて光を照射する光源(図示省略)を更に備えており、光Ltは光源から出射されて対象物Bで反射された反射光を含んでいるが、当該光源は省略されてもよい。
【0034】
図2に示されるように、光検出器9は、複数の光検出基板7と、回路基板8とを備えている。複数の光検出基板7は、第1光検出基板71、第2光検出基板72及び第3光検出基板73を含んでいる。光検出基板71~73は、例えばInGaAsにより形成された光検出チップであり、複数の光検出部(71a~73a)が作り込まれた半導体基板である。光検出基板71~73は、Y方向に沿って並ぶように回路基板8上に載置されている。各光検出基板71~73は、例えば、X方向に平行な長辺を有する長方形板状に形成されている。この例では、光検出基板71~73は、互いに同一の形状を有している。
【0035】
第1光検出基板71は、複数の第1光検出部71aを有し、第2光検出基板72は、複数の第2光検出部72aを有し、第3光検出基板73は、複数の第3光検出部73aを有している。各光検出部71a~73aは、例えばフォトダイオードであり、入射した光の量に応じた電荷を生成する。各光検出基板71~73は、例えば、フォトダイオードが行方向及び行方向に垂直な列方向に沿って二次元に、格子状に配列された二次元のフォトダイオードアレイである。この例では、行方向はX方向に平行であり、列方向はY方向に平行である。
【0036】
複数の第1光検出部71aは、行方向及び列方向に沿って二次元に、格子状に配列されている。図では簡略化されて示されているが、実際には、第1光検出部71aは、例えば行方向(X方向)に320個、列方向(Y方向)に数十個程度並んでいる。同様に、複数の第2光検出部72aは、行方向及び列方向に沿って配列されており、複数の第3光検出部73aは、行方向及び列方向に沿って配列されている。この例では、第2光検出部72a及び第3光検出部73aの行方向及び列方向における配列数は第1光検出部71aと同一である。
【0037】
光検出基板71~73(光検出部71a~73a)は、互いに異なる波長域に感度を有している。例えば、第1光検出部71aは、0.95~1.65μmの第1波長域に感度を有し、第2光検出部72aは、1.3~2.15μmの第2波長域に感度を有し、第3光検出部73aは1.7~2.55μmの第3波長域に感度を有している(いずれも-20℃における値である)。このように、この例では、第1波長域の一部は第2波長域と重なっており、第2波長域の一部は第3波長域と重なっている。感度を有する波長域とは、最大感度の10%以上の感度を有する波長域と定義される。具体的には、最大感度を有する波長をλpとし、λpにおける感度(最大感度)をS(λp)とする。その場合、感度SがS(λp)×0.1以上となる波長域が感度波長域と定義される。一方で、S(λp)×0.1未満の場合は感度を有しないと定義される。
【0038】
回路基板8は、複数の画素回路81を有している(
図3参照)。回路基板8は、例えばSiにより形成されたICチップであり、画素回路81並びに後述する行選択回路84、列読出回路85及び制御回路86が作り込まれた半導体基板である。
【0039】
複数の画素回路81は、行方向(X方向)及び列方向(Y方向)に沿って二次元に、格子状に配列されている。図では簡略化されて示されているが、実際には、画素回路81は、例えば行方向に320個、列方向に256個並んでいる。このように、この例では、行方向に沿って配列された画素回路81の個数は、列方向に沿って配列された画素回路81の個数よりも多い。この例では、行方向に沿って配列された画素回路81の個数は、行方向に沿って配列された第1光検出部71aの個数と等しい。列方向に沿って配列された画素回路81の個数は、列方向に沿って配列された第1光検出部71aの個数よりも多い。
【0040】
複数の画素回路81は、光検出部71a~73aに電気的に接続されている。この点について
図3を参照しつつ説明する。
図3に示されるように、第1光検出基板71、第2光検出基板72及び第3光検出基板73は、間隔を空けてY方向に並ぶように回路基板8上に載置されている。より具体的には、第2光検出基板72は、Y方向において第1隙間D1を空けて第1光検出基板71と隣り合っており、第3光検出基板73は、Y方向において第2隙間D2を空けて第2光検出基板72と隣り合っている。この例では、Y方向における第1隙間D1の長さは、Y方向における第2隙間D2の長さと等しい。
【0041】
第1光検出基板71、第2光検出基板72及び第3光検出基板73は、直下に位置する画素回路81に電気的に接続されている。すなわち、光検出基板71~73の光検出部71a~73aは、Z方向(回路基板8の厚さ方向)(X方向及びY方向に垂直な方向)から見た場合に光検出基板71~73と重なる領域に配置された画素回路81に電気的に接続されている。例えば、1つの光検出部71aと1つの画素回路81とが、バンプ又ははんだ等の接続部材により電気的に接続されている。この例では、1つの光検出部71aと1つの画素回路81とが互いに向き合った状態で、接続部材によって接続されている(フリップチップボンディング)。同様に、光検出部71a~73aは、対応する画素回路81に一対一で電気的に接続されている。これにより、光検出部71a~73aにおいて生成された電荷を画素回路81により電圧信号に変換することができる。画素回路81の構成については後述する。
【0042】
上述したとおり光検出基板71~73の間には隙間(第1隙間D1又は第2隙間D2)が存在することから、複数の画素回路81の中には、光検出基板71~73に電気的に接続されていないものがある。以下、光検出基板71~73に電気的に接続されていない画素回路81を非接続画素回路82という。非接続画素回路82は、回路基板8においてZ方向(回路基板8の厚さ方向)から見た場合に第1隙間D1と重なる領域及び第2隙間D2と重なる領域に配置されている。非接続画素回路82の構成は、光検出基板71~73に電気的に接続された画素回路81と同一である。
【0043】
図2及び
図4に示されるように、回路基板8は、行選択回路84(垂直転送回路)と、列読出回路85(水平転送回路)と、制御回路86(制御部)とを更に有している。行選択回路84は、複数の画素回路81の中から信号を読み出す行を選択する。列読出回路85は、行選択回路84により選択された行の複数の画素回路81からの信号を列ごとに読み出す。制御回路86は、行選択回路84及び列読出回路85に電気的に接続されており、行選択回路84及び列読出回路85の動作を制御する。制御回路86は、例えばタイミングジェネレータである。
【0044】
光検出器9では、行選択回路84が、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行(特定の行)を選択可能に構成されている。すなわち、光検出器9では、複数の画素回路81の複数の行の中から特定の行を選択して読み出すことが可能となっている(選択的読出機能)。これにより、必要な行の画素回路81からの信号を読み出す一方で、必要でない行の画素回路81からの信号を読み出さないことが可能となっている。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、必要な行の画素回路81からの信号のみを読み出すことで、例えば全ての行の画素回路81を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。
【0045】
図5は、光検出器9における読出領域R1の例を説明するための図である。
図5には、回路基板8における画素回路81が配置された領域R2が示されている。光検出器9では、領域R2内の全ての行の画素回路81を順に読み出すのではなく、読出領域R1に含まれる行の画素回路81のみを順に読み出す。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、当該特定の波長域以外の波長域のデータについては取得する必要がない。そこで、特定の波長域に対応する領域に読出領域R1を設定することで、必要な行の画素回路81からの信号のみを読み出すことができ、処理を高速化することが可能となる。
【0046】
読出領域R1は、検査の種類等に応じて適宜に設定され得る。
図5の例では、読出領域R1は、Y方向に沿って並ぶように設定された複数(この例では4つ)の領域R1a,R1b,R1c,R1dを含んでいる。この例では、領域R1aは10行の画素回路81に対応する領域であり、領域R1b~R1dは1行の画素回路81に対応する領域である。隣り合う領域R1a~R1dの間には、例えば10行程度の領域(信号が読み出されない行)が存在している。読出領域R1は、例えばユーザからの入力に従って設定され得る。例えば、制御回路86がユーザからの入力に基づいて読出領域R1を設定する。すなわち、制御回路86は、入力に対応する行の複数の画素回路81からの信号が読み出される一方で、入力に対応する行以外の行の複数の画素回路81からの信号は読み出されないように、行選択回路84を制御してもよい。
【0047】
図4及び
図6~
図9を参照しつつ、具体的な回路構成について説明する。まず、
図4を参照しつつ、回路構成の概略を説明する。行選択回路84は、例えば垂直シフトレジスタであり、Y方向に沿って配置され、各行の画素回路81に電気的に接続されている。列読出回路85は、列選択回路87と、複数の信号処理回路88とを有している。列選択回路87は、例えば水平シフトレジスタであり、X方向に沿って配置され、信号処理回路88を介して各列の画素回路81に電気的に接続されている。
【0048】
列読出回路85は、互いに異なる複数の画素回路81の列に電気的に接続された複数(この例では4つ)の出力ポートPを有している。例えば、画素回路81が行方向(X方向)に320個並べられている場合、4つの出力ポートPは、互いに異なる80列の画素回路81に電気的に接続されている。各出力ポートPは、信号処理回路88に電気的に接続された一対のバッファアンプBFを含んでおり、出力ポートPから外部に最終的な信号が出力される。信号読出時には、まず、行選択回路84が或る1つの行を選択する。続いて、列読出回路85が、当該行の複数の画素回路81からの信号を、信号処理回路88を介して列ごとに読み出す。読み出された信号は、当該列の画素回路81が電気的に接続された出力ポートPから外部に出力される。この一連の信号読出処理が、上述した読出領域R1に含まれる各行について実施される。
【0049】
図6~
図8を参照しつつ、行選択回路84の構成を説明する。
図6に示されるように、行選択回路84は、デコーダ841と、複数のマルチプレクサ843と、複数のDフリップフロップ844とを有している。マルチプレクサ843及びDフリップフロップ844は、画素回路81の行数と同じ数だけ設けられている。マルチプレクサ843は、モード切替スイッチ842を介してデコーダ841に接続されている。
【0050】
下述するように、光検出器9では、行選択回路84が、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能な第1状態と、複数の画素回路81の複数の行をY方向における配列順に従って順に選択する第2状態との間で状態を切替可能に構成されている。すなわち、光検出器9は、行選択回路84が第1状態である選択的読出モードと、行選択回路84が第2状態である順次読出モードの2つのモードで動作可能となっている。行選択回路84の状態は、モード切替スイッチ842により切り替えられる。この例では、
図6に示されるようにモード切替スイッチ842がデコーダ841に接続されている場合には行選択回路84が第1状態となり、
図10に示されるようにモード切替スイッチ842がデコーダ841に接続されていない場合には行選択回路84が第2状態となる。
【0051】
以下ではまず、行選択回路84が第1状態である選択的読出モードの動作について説明する。
図6では、3つの行a,b,cが順に読み出される場合が例示されている。行a,b,cは連続する行ではないが、連続する行であってもよい。
【0052】
デコーダ841には、読み出しを行う行を指示する行指示信号Dinが制御回路86から入力される。デコーダ841は、各行のマルチプレクサ843に接続されている。
【0053】
図6及び
図7に示されるように、各マルチプレクサ843は、入力端子Start、入力端子Sadd、入力端子Qpre、入力端子Eadd及び出力端子Moutを有している。入力端子Startには、制御回路86からスタート信号Startpulseが入力される。入力端子Saddは、モード切替スイッチ842を介してデコーダ841に接続されており、選択的読出モードにおいては入力端子Saddにデコーダ841からの出力信号Doutが入力される。入力端子Qpreには、1行前の行の行選択信号Vsが入力される。例えば、a行目の入力端子Qpreには、(a-1)行目の行選択信号Vs[a-1]が入力される。入力端子Eaddには、1行前の行の入力端子Eaddの信号が入力される。例えば、a行目の入力端子Eaddには、1行前の行の入力端子Eaddの信号Eadd[a-1]が入力される。
【0054】
図7に示されるように、各マルチプレクサ843は、NOT素子NOと、3つのNAND素子NA1~NA3と、OR素子ORとを含んでいる。入力端子Saddの信号がハイレベルである場合、NAND素子NA3の出力には入力端子Startに入力されるスタート信号Startpulseと同じレベルの信号が現れる。一方、入力端子Saddの信号がローレベルの場合、NAND素子NA3の出力には入力端子Qpreに入力される信号と同じレベルの信号が現れる。OR素子ORでは、NAND素子NA3の出力に現れる信号と入力端子Eaddの信号とがOR処理される。出力信号は出力端子Moutから出力される。なお、例えば、ハイレベル(H)は電源電圧と同電位であり、ローレベル(L)はグランド電圧と同電位である。
【0055】
図6に示されるように、各Dフリップフロップ844は、入力端子D、clk端子及び出力端子Qを有している。入力端子Dは、マルチプレクサ843の出力端子Moutに接続されている。clk端子には制御回路86からクロック信号Clkが入力される。出力端子Qからは、行選択信号Vsが出力される。
【0056】
図8を参照しつつ、行選択回路84の動作例を説明する。
図6及び
図8において、行選択信号Vs[a]、Vs[b]、Vs[c]は、それぞれ、a,b,c行目の行指示信号である。a行目の信号を読み出す場合(a行目が選択された場合)、まず、各マルチプレクサ843の入力端子Startにスタート信号Startpulseを入力する(T1)。続いて、スタート信号Startpulseの入力中に、デコーダ841に行指示信号Dinを入力し(T2)、デコーダ841の出力信号Doutを確定させる(T3)。続いて、クロック信号Clkがclk端子に入力される(T4)。これにより、選択されたa行目の行選択信号Vs[a]がローレベル(選択された状態)となり、a行目の信号が読み出される。信号の読み出し後には、a行目の選択を解除するために再びクロック信号Clkがclk端子に入力される(T5)。b行目、c行目の信号を読み出す場合についても同様である。
【0057】
図9を参照しつつ、回路基板8の構成を更に説明する。
図9に示されるように、各画素回路81は、チャージアンプ811(蓄積手段)と、サンプルホールド回路812と、ソースフォロワ回路813の一部とを有している。ソースフォロワ回路813の残部は、信号処理回路88に含まれている。
【0058】
チャージアンプ811は、オペアンプ811aと、オペアンプ811aの第1入力端子と出力端子との間に接続された容量部Cfと、容量部Cfに並列に接続されたリセットスイッチ811bとを含んでいる。オペアンプ811aの第1入力端子は、光検出部71a,72a,73aの1つのアノードに接続されている。光検出部71a,72a,73aの1つのカソードにはバイアス電圧PDbiasが入力される。オペアンプ811aの第2入力端子には、電圧INPが入力される。電圧INPは、オペアンプ811aの仮想短絡によりオペアンプ811aの第2入力端子に発生する。したがって、第2入力端子は、各光検出部71a,72a,73aのアノードと同電位となる。電圧INPは、全ての光検出部71a,72a,73aにおいて順バイアスとならないように、バイアス電圧PDbiasよりも高い電圧に設定されている。光検出部71a,72a,73aにおいて生成された電荷は、容量部Cfに蓄積される。チャージアンプ811は、蓄積された電荷量に応じた電圧信号を出力する。リセットスイッチ811bは、制御回路86によりオンオフされる。リセットスイッチ811bがオンされると、容量部Cfに蓄積された電荷がリセットされる。この例では、全ての画素回路81(非接続画素回路82を含む)のリセットスイッチ811bが一括してオンオフされる。すなわち、リセットスイッチ811bは、全ての画素回路81に共通のリセットスイッチとして設けられている。
【0059】
サンプルホールド回路812は、サンプリングスイッチ812aと、容量部Chとを含んでいる。サンプリングスイッチ812aの第1端は、オペアンプ811aの出力端子に接続されている。サンプリングスイッチ812aの他端には容量部Chが接続されている。サンプリングスイッチ812aは、制御回路86によりオンオフされる。
【0060】
ソースフォロワ回路813は、トランジスタ813aと、行選択スイッチ813bと、定電流源813cとを含んでいる。
図9の例では、トランジスタ813aはNMOS-FETである。トランジスタ813aのゲート端子は、サンプリングスイッチ812aの第2端に接続されている。トランジスタ813aのソース端子は、行選択スイッチ813bの第1端に接続されている。行選択スイッチ813bの第2端には定電流源813cが接続されている。この例では、定電流源813cは、信号処理回路88内に設けられている。行選択スイッチ813bは、行選択回路84からの行選択信号Vsによりオンオフされる。
【0061】
各信号処理回路88は、ソースフォロワ回路813の一部(定電流源813c)と、リセットホールド回路881と、サンプルホールド回路882とを有している。リセットホールド回路881は、画素回路81から出力されたリセット出力信号を保持する。リセットホールド回路881は、サンプリングスイッチ881aと容量部Crとを含んでいる。サンプリングスイッチ881aの第1端は、行選択スイッチ813bの第2端に接続されている。サンプリングスイッチ881aの第2端は、列選択スイッチ883aを介して上述した出力ポートPのバッファアンプBFに接続されている。列選択スイッチ883aは、列選択信号HSRによりオンオフされる。列選択スイッチ883aがオンされると、バッファアンプBFからリセット出力信号が出力される。
【0062】
サンプルホールド回路882は、画素回路81から出力された電圧信号を保持する。サンプルホールド回路882は、サンプリングスイッチ882aと容量部Csとを含んでいる。サンプリングスイッチ882aの第1端は、行選択スイッチ813bの第2端に接続されている。サンプリングスイッチ882aの第2端は、列選択スイッチ883bを介して出力ポートPのバッファアンプBFに接続されている。列選択スイッチ883bは、列選択信号HSRによりオンオフされる。列選択スイッチ883bがオンされると、バッファアンプBFから電圧信号が出力される。
【0063】
回路基板8における信号の流れを説明する。まず、リセットスイッチ811bがオフされると、チャージアンプ811が容量部Cfに蓄積された電荷を電圧信号に変換する。続いて、サンプリングスイッチ812aがオンされ、電圧信号が容量部Chに転送されて蓄積される。続いて、サンプリングスイッチ812aがオフされた後に、行選択スイッチ813bがオンされ、容量部Chに保持されている電圧信号がソースフォロワ回路813を介して信号処理回路88に転送される。このとき、サンプリングスイッチ882aがオンされることにより、電圧信号がサンプルホールド回路882に転送され、容量部Csに保持される。その後、サンプリングスイッチ882aはオフされる。
【0064】
続いて、リセットスイッチ811b及びサンプリングスイッチ812aがオンされた状態で、サンプリングスイッチ881aがオンされることにより、画素回路81のリセット出力信号がリセットホールド回路881の容量部Crに転送されて蓄積される。続いて、サンプリングスイッチ881aがオフされた後に、列選択信号HSRにより列選択スイッチ883a,883bがオンされることによって、リセット出力信号VR及び電圧信号VSがバッファアンプBFを介して出力される。信号処理時には、リセット出力信号VRと電圧信号VSとの差分が実際の出力信号として利用される。リセット出力信号VRと電圧信号VSとの差分を取ることで、チャージアンプ811及びソースフォロワ回路813の特性のばらつきの影響を除外することができ、ユニフォミティを向上することが可能となる。
【0065】
上述したとおり、この例では非接続画素回路82を含む全ての画素回路81のリセットスイッチ811bが一括してオンオフされることから、上記処理においてリセットスイッチ811bがオンされると、光検出基板71~73に電気的に接続されている画素回路81のチャージアンプ811の容量部Cfがリセットされるだけでなく、光検出基板71~73に電気的に接続されていない非接続画素回路82の容量部Cfもリセットされる。すなわち、非接続画素回路82のチャージアンプ811の容量部Cfは、画素回路81の容量部Cfがリセットされる際にリセットされる。
【0066】
次に、
図10及び
図11を参照しつつ、行選択回路84が第2状態である逐次読出モードの動作について説明する。上述したとおり、この場合、画素回路81の行がY方向における配列順に従って順に選択される。
図10では、1行目、2行目及びn行目(例えば最後の行である256行目)が示されている。
図10に示されるように、第2状態では、モード切替スイッチ842がデコーダ841に接続されていない。1行目のマルチプレクサ843の入力端子Saddにはハイレベルの信号が入力されており、1行目のマルチプレクサ843の入力端子Eadd及び1行目以外の行のマルチプレクサ843の入力端子Sadd及びEaddにはローレベルの信号が入力されている。
【0067】
図11に示されるように、逐次読出モードでは、クロック信号Clkがclk端子に入力されることによりスタート信号Startpulseが順次シフトされる。この動作は通常のシフトレジスタと同様である。逐次読出モードでは、1行目のマルチプレクサ843の入力端子Saddがハイレベルであることで、スタート信号Startpulseが1行目のみにおいてアクティブとなり、1行目のみにスタート信号Startpulseが入力される。1行目以外の行においては入力端子Saddがローレベルであるため、スタート信号Startpulseがアクティブとならず、入力端子Qpreが行選択信号Vsをそのまま通過させる。
[作用及び効果]
【0068】
光検出器9では、互いに異なる波長域に感度を有する第1光検出基板71、第2光検出基板72及び第3光検出基板73(複数の光検出基板7)が回路基板8上に載置されており、光検出基板71~73がX方向(行方向)及びY方向(列方向)に沿って配列された複数の光検出部71a~73aを有している。また、光検出基板71~73は、Y方向に沿って並ぶように回路基板8上に載置されている。これにより、例えば、分光部6によってY方向に分光された光Ltを光検出部71a~73aに入射させることで(Y方向が分光方向に沿うように光検出器9を配置することで)、波長ごとの二次元イメージ情報を取得することができる。また、光検出器9では、複数の画素回路81の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路84が、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている。これにより、必要な行の画素回路81からの信号を読み出す一方で、必要でない行の画素回路81からの信号を読み出さないことが可能となる。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、必要な行の画素回路81からの信号のみを読み出すことで、例えば全ての行の画素回路81を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。よって、光検出器9によれば、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。
【0069】
制御回路86が、入力に対応する行の複数の画素回路81からの信号が読み出される一方で、入力に対応する行以外の行の複数の画素回路81からの信号は読み出されないように、行選択回路84を制御する。これにより、例えば全ての行の画素回路81を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。
【0070】
第2光検出基板72が、Y方向において第1隙間D1を空けて第1光検出基板71と隣り合っている。また、第3光検出基板73が、Y方向において第2隙間D2を空けて第2光検出基板72と隣り合っている。これにより、例えば、分光部6によってY方向に分光された光Ltのうち、検査に必要でない波長域の光Ltが第1隙間D1及び第2隙間D2に入射するように光検出器9を配置することで、処理を一層高速化することが可能となる。また、光検出基板71~73を小さくすることができ、製造を容易化することができる。
【0071】
回路基板8において回路基板8の厚さ方向(Z方向)から見た場合に第1隙間D1及び第2隙間D2と重なる領域に、光検出基板71~73に電気的に接続されていない複数の非接続画素回路82が配置されている。これにより、例えば、非接続画素回路82に光検出部71a~73aが電気的に接続されるように光検出基板71~73の配置を変更することができ、自由度を高めることができる。
【0072】
非接続画素回路82の容量部Cfが、画素回路81の容量部Cfがリセットされる際にリセットされる。非接続画素回路82には光検出部71a~73aが接続されていないため信号は蓄積されないが、光Ltの入射によりPN接合部において発生した電荷が蓄積される場合がある。この場合、当該電荷が寄生容量として周辺の画素回路81に影響を及ぼすおそれがある。この点、光検出器9では、画素回路81の容量部Cfがリセットされる際に非接続画素回路82の容量部Cfがリセットされるため、非接続画素回路82に蓄積された電荷による周辺の画素回路81への影響を抑制することができる。なお、光検出部71a~73aに電気的に接続されている画素回路81においては、画素回路81に向けて進行する光Ltは光検出部71a~73aにより遮られる。
【0073】
列読出回路85が、互いに異なる複数の画素回路81の列に電気的に接続された複数の出力ポートPを有している。これにより、信号の読出速度を向上することができる。
【0074】
X方向に沿って配列された画素回路81の個数が、Y方向に沿って配列された画素回路81の個数よりも多い。これにより、信号の読出速度を向上することができる。
【0075】
各画素回路81が、光検出部71a~73aの1つに電気的に接続されたチャージアンプ811を有している。これにより、光検出部71a~73aにおいて生成された電荷をチャージアンプ811によって電圧信号に変換することができる。
【0076】
行選択回路84が、画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能な第1状態と、画素回路81の複数の行をY方向における配列順に従って順に選択する第2状態と、の間で状態を切替可能に構成されている。これにより、用途等に応じて行選択回路84の状態を切り替えることができる。
【0077】
第1光検出基板71の第1波長域の一部が、第2光検出基板72の第2波長域と重なっている。これにより、広範な検出波長を得つつも、検出感度が著しく低下する波長域のない光検出器9を実現できる。また、第2光検出基板72の第2波長域の一部が、第3光検出基板73の第3波長域と重なっている。これにより、広範な検出波長を得つつも、検出感度が著しく低下する波長域のない光検出器9を実現できる。
【0078】
カメラ2では、分光部6が、Y方向に光Ltを分光する。すなわち、Y方向が分光方向に沿うように光検出器9が配置されている。そして、光検出器9において、複数の画素回路81の中から信号を読み出す行を選択する行選択回路84が、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能に構成されている。これにより、必要な行の画素回路81からの信号を読み出す一方で、必要でない行の画素回路81からの信号を読み出さないことが可能となる。ハイパースペクトルイメージングでは、特定の波長域についての検出結果のみを用いて検査等が行われ得る。そのため、必要な行の画素回路81からの信号のみを読み出すことで、例えば全ての行の画素回路81を順に読み出す場合と比べて、処理を高速化することが可能となる。よって、カメラ2によれば、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。また、カメラ2を備えるイメージングシステム1によれば、同様の理由により、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。また、イメージングシステム1の光検出器9では必要な行の画素回路81からの信号のみを読み出すことが可能となっているため、搬送装置3によりY方向に沿って搬送されている対象物Bからの光Ltを高速に処理することができる。
【0079】
カメラ2では、X方向に沿って延在するスリット5aを通過した光Ltが分光部6に入射する。これにより、分光部6に光Ltを好適に入射させることができる。
[変形例]
【0080】
図12に示される第1変形例のように、非接続画素回路82のリセットスイッチ811bは常にオンされていてもよい。この場合、非接続画素回路82の容量部Cfは、常時リセットされている状態となる。このような第1変形例によっても、上記実施形態と同様に、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。また、非接続画素回路82の容量部Cfが常時リセットされているため、非接続画素回路82に蓄積された電荷による周辺の画素回路81への影響を一層確実に抑制することができる。
【0081】
図13に示される第2変形例のように、回路基板8においてZ方向から見た場合に第1隙間D1と重なる領域及び第2隙間D2と重なる領域には、画素回路81が配置されていなくてもよい。すなわち、画素回路81は、非接続画素回路82を含んでいなくてもよい。このような第2変形例によっても、上記実施形態と同様に、ハイパースペクトルイメージングの処理を高速化することが可能となる。また、例えば当該領域に非接続画素回路82が配置されている場合と比べて、画素回路81に供給する電流量を低減することができ、画素回路81における発熱を抑制することができる。また、画素回路81における発熱を抑制することで、光検出基板71~73において暗電流が発生することを抑制することができる。
【0082】
本発明は、上記実施形態及び変形例に限られない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。
【0083】
上記実施形態又は第2変形例において、Y方向における第1隙間D1の長さは、Y方向における第2隙間D2の長さと異なっていてもよい。この場合、例えば、分光部6によってY方向に分光された光Ltのうち、検査に必要でない波長域の光Ltが第2隙間D2に入射するように光検出器9を配置することで、処理を一層高速化することが可能となる。また、光検出基板71~73を小さくすることができ、製造を容易化することができる。
【0084】
上記実施形態では、行選択回路84が、複数の画素回路81の複数の行の中から任意の行を選択可能な第1状態と、複数の画素回路81の複数の行をY方向における配列順に従って順に選択する第2状態との間で状態を切替可能に構成されていたが、行選択回路84は状態を切替可能に構成されていなくてもよい。例えば、モード切替スイッチ842が省略されて行選択回路84が常に第1状態となっていてもよい。この場合、マルチプレクサ843及びDフリップフロップ844が省略され、行選択回路84はデコーダ841のみを有していてもよい。
【0085】
リセットホールド回路881、列選択スイッチ883a、及び列選択スイッチ883aに接続されたバッファアンプBFは省略されてもよい。この場合、消費電力の削減及びフレームレート向上(リセットホールド回路881の動作時間の削減)を図ることができる。1つの波長に複数行の画素回路81が割り当てされてもよい。この場合、複数行からの信号が読み出し後に加算(ビニング)されてもよい。チャージアンプ811に代えてトランスインピーダンスアンプが用いられてもよい。
【0086】
上記実施形態では3つの光検出基板7が設けられていたが、2つの光検出基板7(例えば第1光検出基板71及び第2光検出基板72)のみが設けられていてもよいし、或いは4つ以上の光検出基板7が設けられていてもよい。光検出基板7が1つのみ設けられていてもよい。光検出基板7と回路基板8とが一体化されてモノリシックに構成されていてもよい。3つの光検出基板7は、Y方向において隙間を空けずに回路基板8上に載置されていてもよい。
【0087】
列読出回路85は、1つの出力ポートPのみを有していてもよい。画素回路81の配置は上記の例に限定されない。例えば、X方向に沿って配列された画素回路81の個数は、Y方向に沿って配列された画素回路81の個数と同一でもよいし、当該個数よりも少なくてもよい。第1~第3光検出基板71~73の第1~第3波長域は、互いに重なっていなくてもよい。スリット部5(スリット5a)は省略されてもよい。
【0088】
上記実施形態ではイメージングシステム1が食品の選別に用いられたが、ハイパースペクトラルイメージングは、異物検査、プラスチックの選別、対象物の成分分析、又は資源探索等にも用いられ得る。すなわち、対象物Bは、プラスチック等の他の物体であってもよい。例えばハイパースペクトラルイメージングが資源探索に用いられる場合、光検出器9を備えるカメラがドローン(飛行移動体)に搭載されてもよい。すなわち、ハイパースペクトラルイメージングにおける撮影時には、対象物Bとカメラとが相対移動すればよく、上記実施形態のように対象物Bを移動させてもよいし、カメラを移動させてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1…イメージングシステム、2…カメラ、3…搬送装置、4…光入射部、5a…スリット、6…分光部、7…光検出基板、8…回路基板、9…光検出器、71…第1光検出基板、72…第2光検出基板、73…第3光検出基板、81…画素回路、82…非接続画素回路、84…行選択回路、85…列読出回路、86…制御回路(制御部)、811…チャージアンプ、Cf…容量部、D1…第1隙間、D2…第2隙間、Lt…光。