(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075114
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/56 20210101AFI20240527BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
G03B17/56 Z
H04N5/222 100
G03B17/56 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186319
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】399086263
【氏名又は名称】学校法人帝京大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】塚田 圭輔
【テーマコード(参考)】
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H105AA01
2H105AA06
2H105EE05
2H105EE36
5C122DA25
5C122GD12
5C122GE05
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】医療手技を実施者の目線で適切に撮影できるようにする。
【解決手段】ネックマウント(NM)とその装着者の医療手技を撮影するカメラとを備える医療手技撮影装置に用いられNMとカメラとを接続する延長アダプタであって、NMはNM本体部とその装着時にNMの最下部に位置しNM本体部の径方向外側に位置し第1連結軸を介して延長アダプタに接続される接続部とを備え、カメラは撮影時にカメラの最下部に位置し第2連結軸を介して延長アダプタに接続される接続部を備え、延長アダプタは本体部とNM側接続部とカメラ側接続部とを備え、延長アダプタは第1連結軸を中心にNMに対して回動可能に構成され、撮影時に延長アダプタはカメラ側接続部がNM本体部に隣接する状態になるまで回動させられてNMに固定され、本体部は延長アダプタがそのように回動させられる時のNMの接続部と本体部との干渉を避ける凹部を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の首の周囲に掛けられる概略環状のネックマウントと前記装着者による医療手技を撮影するカメラとを備える医療手技撮影装置において用いられ、前記ネックマウントと前記カメラとを接続する医療手技撮影装置用延長アダプタであって、
前記ネックマウントは、
前記装着者の首の周囲に掛けられるネックマウント本体部と、
前記ネックマウント本体部が前記装着者の首の周囲に掛けられた時に前記ネックマウントのうちの鉛直方向の最も下側に位置する部分であって、前記ネックマウント本体部よりも前記ネックマウント本体部の径方向の外側に位置する部分であって、第1連結軸を介して前記医療手技撮影装置用延長アダプタに接続される部分である接続部とを備え、
前記カメラは、
カメラ本体部と、
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に前記カメラのうちの鉛直方向の最も下側に位置する部分であって、第2連結軸を介して前記医療手技撮影装置用延長アダプタに接続される部分である接続部とを備え、
前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、
延長アダプタ本体部と、
前記ネックマウントの接続部に接続されるネックマウント側接続部と、
前記カメラの接続部に接続されるカメラ側接続部とを備え、
前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動可能に構成され、
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、前記カメラ側接続部が前記ネックマウント本体部に隣接する状態になるまで、前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動させられて、前記ネックマウントに固定され、
前記延長アダプタ本体部は、
前記カメラ側接続部が前記ネックマウント本体部に隣接する状態になるまで前記医療手技撮影装置用延長アダプタが前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動させられる時における前記ネックマウントの接続部と前記延長アダプタ本体部との干渉を避ける凹部を備える、
医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項2】
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラ側接続部は、前記ネックマウント側接続部よりも鉛直方向の上側に位置する、
請求項1に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項3】
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラは、前記ネックマウントの接続部よりも鉛直方向の上側に位置する、
請求項2に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項4】
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラは、前記ネックマウント本体部よりも前記ネックマウント本体部の径方向の内側に位置する、
請求項3に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項5】
前記ネックマウントの接続部は、前記第1連結軸を支持する複数の軸受部と、前記複数の軸受部の間に位置する溝部とを備え、
前記延長アダプタ本体部は、前記ネックマウント側接続部と前記カメラ側接続部との間に配置され、
前記ネックマウント側接続部は、前記溝部に挿入されると共に、前記第1連結軸を支持する軸受部を備え、
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記延長アダプタ本体部および前記ネックマウント側接続部のうちの前記溝部の外側に露出する部分の表面の法線は、鉛直線とゼロより大きい角度をなす、
請求項1に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項6】
前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記延長アダプタ本体部および前記ネックマウント側接続部のうちの前記溝部の外側に露出する部分の表面の法線は、鉛直線と60°より大きい角度をなす、
請求項5に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタ。
【請求項7】
請求項1に記載の医療手技撮影装置用延長アダプタと、前記ネックマウントと、前記カメラとを備える医療手技撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像部を備える首掛け型装置について記載されている。特許文献1に記載された首掛け型装置は、装着者の首裏に接触する中央集積部と、中央集積部の左端から前方に延びている左腕部と、中央集積部の右端から前方に延びている右腕部とを備えており、概略U字形の形状を有する。特許文献1には、首掛け型装置の装着時に、中央集積部が装着者の首裏に接触しかつ左腕部および右腕部が装着者の首横から胸部側に向かって垂れ下がるように、首掛け型装置が装着者の首に掛けられる旨が記載されている。
ところで、特許文献1に記載された首掛け型装置では、撮像部が左腕部に設けられている。つまり、撮像部が、装着者の中心から外れた位置に配置されている。そのため、特許文献1に記載された技術によっては、例えば装着者の手技などを装着者の目線で撮影することができない。
【0003】
医学の世界は日進月歩しており、最新の医学的知見と医療技術をアップデートし続けることは容易でない。加えて手術手技の習得や維持、向上には実践的経験値が必要であり、屍体や模擬骨を利用した訓練がおこなわれているが、これらはコストとリソースの問題で決して多くの医療従事者がその恩恵を受けられるわけではない。代替手段としてこれまでにも手術中に撮影したビデオ映像を元に手術研修教材が制作され一般的に利用されている。しかし、執刀医の視点とは異なった、奥行きのない二次元映像では手術手技の習得、向上に必要な実践的経験値を得ることは難しく、新しい手術研修手法の確立が望まれている。
近年、実践的経験値を獲得するためVirtual Reality(VR)技術を用いた手術研修が導入され始めている。しかし、既存の撮影方法では清潔領域を維持しなければならない手術において撮影に用いる360度カメラの機種や設置位置が限られていたため、執刀医の視点と異なったり、映像にハレーションが生じていたりとVR研修教材の実用性に課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した点に鑑み、本発明は、医療手技の実施者の目線でその医療手技を適切に撮影することができる医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、装着者の首の周囲に掛けられる概略環状のネックマウントと前記装着者による医療手技を撮影するカメラとを備える医療手技撮影装置において用いられ、前記ネックマウントと前記カメラとを接続する医療手技撮影装置用延長アダプタであって、前記ネックマウントは、前記装着者の首の周囲に掛けられるネックマウント本体部と、前記ネックマウント本体部が前記装着者の首の周囲に掛けられた時に前記ネックマウントのうちの鉛直方向の最も下側に位置する部分であって、前記ネックマウント本体部よりも前記ネックマウント本体部の径方向の外側に位置する部分であって、第1連結軸を介して前記医療手技撮影装置用延長アダプタに接続される部分である接続部とを備え、前記カメラは、カメラ本体部と、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に前記カメラのうちの鉛直方向の最も下側に位置する部分であって、第2連結軸を介して前記医療手技撮影装置用延長アダプタに接続される部分である接続部とを備え、前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、延長アダプタ本体部と、前記ネックマウントの接続部に接続されるネックマウント側接続部と、前記カメラの接続部に接続されるカメラ側接続部とを備え、前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動可能に構成され、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記医療手技撮影装置用延長アダプタは、前記カメラ側接続部が前記ネックマウント本体部に隣接する状態になるまで、前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動させられて、前記ネックマウントに固定され、前記延長アダプタ本体部は、前記カメラ側接続部が前記ネックマウント本体部に隣接する状態になるまで前記医療手技撮影装置用延長アダプタが前記第1連結軸を中心に前記ネックマウントに対して回動させられる時における前記ネックマウントの接続部と前記延長アダプタ本体部との干渉を避ける凹部を備える、医療手技撮影装置用延長アダプタである。
【0007】
本発明の一態様の医療手技撮影装置用延長アダプタでは、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラ側接続部は、前記ネックマウント側接続部よりも鉛直方向の上側に位置してもよい。
【0008】
本発明の一態様の医療手技撮影装置用延長アダプタでは、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラは、前記ネックマウントの接続部よりも鉛直方向の上側に位置してもよい。
【0009】
本発明の一態様の医療手技撮影装置用延長アダプタでは、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記カメラは、前記ネックマウント本体部よりも前記ネックマウント本体部の径方向の内側に位置してもよい。
【0010】
本発明の一態様の医療手技撮影装置用延長アダプタでは、前記ネックマウントの接続部は、前記第1連結軸を支持する複数の軸受部と、前記複数の軸受部の間に位置する溝部とを備え、前記延長アダプタ本体部は、前記ネックマウント側接続部と前記カメラ側接続部との間に配置され、前記ネックマウント側接続部は、前記溝部に挿入されると共に、前記第1連結軸を支持する軸受部を備え、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記延長アダプタ本体部および前記ネックマウント側接続部のうちの前記溝部の外側に露出する部分の表面の法線は、鉛直線とゼロより大きい角度をなしてもよい。
【0011】
本発明の一態様の医療手技撮影装置用延長アダプタでは、前記カメラが前記装着者による医療手技を撮影する時に、前記延長アダプタ本体部および前記ネックマウント側接続部のうちの前記溝部の外側に露出する部分の表面の法線は、鉛直線と60°より大きい角度をなしてもよい。
【0012】
本発明の一態様は、前記医療手技撮影装置用延長アダプタと、前記ネックマウントと、前記カメラとを備える医療手技撮影装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、医療手技の実施者の目線でその医療手技を適切に撮影することができる医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態の医療手技撮影装置1の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示すネックマウント11の部品図である。
【
図3】
図1に示す延長アダプタ12の部品図である。
【
図4】
図1に示す延長アダプタ12の部品図などである。
【
図5】
図1に示すカメラ13が延長アダプタ12から取り外された状態を示す図である。
【
図6】
図5に示すカメラ13を構成するブラケット13Bの部品図である。
【
図7】カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時におけるネックマウント11と延長アダプタ12との関係などの一例を示す図である。
【
図8】カメラ13が滅菌ガウンGWを着用した装着者WRによって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置1と滅菌ガウンGWとの関係などを示す図である。
【
図9】カメラ13が滅菌ガウンGWを着用した装着者WRによって実施される医療手技を撮影する時における装着者WRと医療手技撮影装置1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
【
図10】カメラ13が連結軸15を中心に延長アダプタ12に対して回動させられる角度を説明するための図である。
【
図11】カメラ13によって長時間の撮影が行われる場合の一例を説明するための図である。
【
図12】第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の部品図である。
【
図13】第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の部品図などである。
【
図14】第1比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。
【
図15】第1比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係などを示す図である。
【
図16】第2比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。
【
図17】第2比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
【
図18】第3比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。
【
図19】第3比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置の実施形態について説明する前に、比較例の医療手技撮影装置について説明する。
【0016】
(第1比較例)
図14は第1比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。詳細には、
図14(A)は第1比較例の医療手技撮影装置R1の正面図、
図14(B)は第1比較例の医療手技撮影装置R1の左側面図である。
図14に示すように、第1比較例の医療手技撮影装置R1は、ネックマウントR11と、カメラR13と、連結軸R15とを備えている。ネックマウントR11は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11(
図2参照)と同様に構成されている。カメラR13は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のカメラ13(
図5参照)と概略同様に構成されている。連結軸R15は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1の連結軸15と同様に構成されている。
図14に示すように、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11の接続部11C(
図2参照)と同様に構成された第1比較例の医療手技撮影装置R1のネックマウントR11の接続部は、連結軸R15を介してカメラR13に接続される。詳細には、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のカメラ13のブラケット13B(
図6参照)の接続部13B1(
図6参照)と同様に構成された第1比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13のブラケットの接続部は、連結軸R15を介してネックマウントR11の接続部に接続される。
【0017】
図15は第1比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係などを示す図である。詳細には、
図15(A)は第1比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係を示している。
図15(B)は第1比較例の医療手技撮影装置R1におけるネックマウントR11に対するカメラR13の回動範囲を示している。
図14(A)に示すように、第1比較例では、カメラR13が医療手技撮影装置R1の装着者による医療手技を撮影する時に、カメラR13は、概略環状のネックマウントR11よりもネックマウントR11の径方向の外側(
図14(A)の下側)に位置する。
そのため、
図15(A)に示すように、第1比較例では、医療手技撮影装置R1を装着した装着者が滅菌ガウンGWを着用する時に、カメラR13が滅菌ガウンGWの内側に隠れてしまう(つまり、カメラR13が滅菌ガウンGWによって覆われてしまう)。その結果、カメラR13は医療手技撮影装置R1の装着者による医療手技を撮影することができない。
【0018】
第1比較例では、カメラR13を、ネックマウントR11に対して回動させて、概略環状のネックマウントR11よりもネックマウントR11の径方向の内側(
図14(A)の上側)に位置させようとしても、ネックマウントR11の接続部とカメラR13のブラケットの接続部とが干渉してしまう。そのため、第1比較例では、カメラR13を
図14(B)に示す状態から
図15(B)に示す状態までしかネックマウントR11に対して回動させることができない。
【0019】
(第2比較例)
図16は第2比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。詳細には、
図16(A)は第2比較例の医療手技撮影装置R1の正面図、
図16(B)は第2比較例の医療手技撮影装置R1の左側面図である。
図16に示すように、第2比較例の医療手技撮影装置R1は、ネックマウントR11と、延長アダプタR12と、カメラR13と、連結軸R14と、連結軸R15とを備えている。ネックマウントR11は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11(
図2参照)と同様に構成されている。
延長アダプタR12は、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された2種類の延長アダプタのうちの短い延長アダプタと同様に構成されている。
https://www.glider-sports.com/?pid=158978729
【0020】
カメラR13は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のカメラ13(
図5参照)と概略同様に構成されている。連結軸R14は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1の連結軸14と同様に構成されている。連結軸R15は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1の連結軸15と同様に構成されている。
図16(A)および
図16(B)に示すように、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11の接続部11C(
図2参照)と同様に構成された第2比較例の医療手技撮影装置R1のネックマウントR11の接続部は、連結軸R14を介して延長アダプタR12の一方(
図16(B)の左側)の接続部に接続される。延長アダプタR12の他方(
図16(B)の右側)の接続部は、連結軸R15を介してカメラR13に接続される。
【0021】
第2比較例では、延長アダプタR12を、ネックマウントR11に対して回動させて、延長アダプタR12の他方の(
図16(B)の右側)接続部を延長アダプタR12の一方(
図16(B)の左側)の接続部よりも鉛直方向の上側(
図16(B)の上側)に位置させようとしても、ネックマウントR11の接続部と延長アダプタR12の本体部(延長アダプタR12の一方の接続部と他方の接続部との間の部分)とが干渉してしまう。そのため、第2比較例では、延長アダプタR12の他方の(
図16(B)の右側)接続部を延長アダプタR12の一方(
図16(B)の左側)の接続部よりも鉛直方向の上側(
図16(B)の上側)に位置させることができず、その結果、カメラR13を概略環状のネックマウントR11よりもネックマウントR11の径方向の内側(
図16(A)の上側)に位置させることができない。
【0022】
図17は第2比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
図16(A)に示すように、第2比較例では、カメラR13が医療手技撮影装置R1の装着者による医療手技を撮影する時に、カメラR13は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11のネックマウント本体部11A(
図2参照)と同様に構成された概略環状のネックマウントR11のネックマウント本体部上に位置する。
そのため、
図17に示すように、第2比較例では、医療手技撮影装置R1を装着した装着者が滅菌ガウンGWを着用する時に、カメラR13の下側部分(
図17の下側の部分)が滅菌ガウンGWの内側に隠れてしまう(つまり、カメラR13の下側部分が滅菌ガウンGWによって覆われてしまう)。その結果、カメラR13は医療手技撮影装置R1の装着者による医療手技を適切に撮影することができない。
【0023】
(第3比較例)
図18は第3比較例の医療手技撮影装置R1を示す図である。詳細には、
図18(A)は第3比較例の医療手技撮影装置R1の正面図、
図18(B)は第3比較例の医療手技撮影装置R1の左側面図である。
図19は第3比較例の医療手技撮影装置R1のカメラR13が滅菌ガウンGWを着用した装着者によって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置R1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
図18に示すように、第3比較例の医療手技撮影装置R1は、ネックマウントR11と、延長アダプタR12-1と、延長アダプタR12-2と、カメラR13と、連結軸R14と、連結軸R15-1と、連結軸R15-2とを備えている。ネックマウントR11は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11(
図2参照)と同様に構成されている。
延長アダプタR12-1は、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された2種類の延長アダプタのうちの短い延長アダプタと同様に構成されており、延長アダプタR12-2は、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された2種類の延長アダプタのうちの長い延長アダプタと同様に構成されている。
https://www.glider-sports.com/?pid=158978729
【0024】
カメラR13は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のカメラ13(
図5参照)と概略同様に構成されている。連結軸R14は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1の連結軸14と同様に構成されている。連結軸R15-1、15-2は、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1の連結軸15と同様に構成されている。
図18(A)および
図18(B)に示すように、後述する第1実施形態の医療手技撮影装置1のネックマウント11の接続部11C(
図2参照)と同様に構成された第3比較例の医療手技撮影装置R1のネックマウントR11の接続部は、連結軸R14を介して延長アダプタR12-1の一方(
図18(B)の左側)の接続部に接続される。延長アダプタR12-1の他方(
図18(B)の右側)の接続部は、連結軸R15-1を介して延長アダプタR12-2の一方(
図18(B)の下側)の接続部に接続される。延長アダプタR12-2の他方(
図18(B)の上側)の接続部は、連結軸R15-2を介してカメラR13に接続される。
【0025】
第3比較例では、
図18(B)に示すように、延長アダプタR12-2の他方の(
図18(B)の上側)接続部を延長アダプタR12-1の一方(
図18(B)の左側)の接続部よりも鉛直方向の上側(
図18(B)の上側)に位置させることができる。その結果、
図18(A)に示すように、カメラR13を概略環状のネックマウントR11よりもネックマウントR11の径方向の内側(
図18(A)の上側)に位置させることができる。
一方、第3比較例では、
図18(B)に示すように、医療手技撮影装置1の前後方向(
図18(B)の左右方向)に延びる延長アダプタR12-1を用いる必要があるため、ネックマウント11に対する延長アダプタR12-1、R12-2の前側(
図18(B)の右側)への突出量PAが大きくなってしまう。
その結果、
図19に示すように、医療手技撮影装置R1を装着した装着者が滅菌ガウンGWを着用する時に、滅菌ガウンGWが延長アダプタR12-1(
図18(B)参照)、連結軸R15-1(
図18(B)参照)等に引っ掛かるおそれがある。それゆえ、滅菌ガウンGWが延長アダプタR12-1、連結軸R15-1等に引っ掛かることに伴って滅菌ガウンGWの外側表面が不潔になってしまうおそれがある。
また、第3比較例では、2つの延長アダプタR12-1、R12-2および3つの連結軸R14、R15-1、R15-2を用いる必要があるため、医療手技撮影装置R1を構成する部品数が多くなってしまい、医療手技撮影装置R1全体が重量化してしまう。
【0026】
以下、図面を参照し、本発明の医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置の実施形態について説明する。
【0027】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態の医療手技撮影装置1の一例を示す図である。詳細には、
図1はカメラ13が装着者WR(
図9参照)による医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置1の正面図である。
図1に示す例では、第1実施形態の医療手技撮影装置1が、ネックマウント11と、延長アダプタ12と、カメラ13と、連結軸14と、連結軸15とを備えている。
ネックマウント11は、医療手技撮影装置1の使用時(つまり、医療手技撮影装置1が、医療手技撮影装置1の装着者によって実施される医療手技を撮影する時)に、医療手技撮影装置1の装着者WRの首の周囲に掛けられる。
【0028】
図2は
図1に示すネックマウント11の部品図である。
図2に示す例では、ネックマウント11が、ネックマウント本体部11Aと、アジャスタ部11Bと、接続部11Cとを備えている。ネックマウント本体部11Aは、ネックマウント11のうちの装着者WRの首の周囲に掛けられる部分である。アジャスタ部11Bは、ネックマウント11のうちの環状のネックマウント11の周長を調整する部分である。
図1および
図2に示す例では、ネックマウント11がアジャスタ部11Bを備えており、ネックマウント11が環状(O形状)である。
他の例では、ネックマウント11がアジャスタ部11Bを備えておらず、ネックマウント11がC形状(つまり、概略環状)であってもよい。
【0029】
図2に示す例では、接続部11Cは、ネックマウント本体部11Aが装着者WRの首の周囲に掛けられた時にネックマウント11のうちの鉛直方向の最も下側(
図1および
図2の下側)に位置する部分である。接続部11Cは、ネックマウント本体部11Aよりも環状のネックマウント本体部11Aの径方向の外側に位置する。また、接続部11Cは、連結軸14(
図1参照)を介して延長アダプタ12(
図1参照)に接続される。接続部11Cは、ベース部11C1と、3つの軸受部11C2と、2つの溝部11C3とを備えている。
他の例では、接続部11Cが、N個(Nは3以外の複数)の軸受部11C2と、(N-1)個の溝部11C3とを備えていてもよい。
【0030】
図2に示す例では、ベース部11C1が、接続部11Cのうちのネックマウント本体部11Aに隣接する部分である。3つの軸受部11C2のそれぞれは、連結軸14を収容する穴(図示せず)を有し、連結軸14を支持する。2つの溝部11C3のそれぞれは、3つの軸受部11C2のうちの隣接する2つの軸受部11C2の間に位置し、延長アダプタ12の後述する軸受部12B1を収容する。
図1および
図2に示す例では、3つの軸受部11C2のうちの右側(
図1および
図2の右側)の軸受部11C2が、連結軸14に形成された雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)を有する。
他の例では、連結軸14が、ねじ止めとは異なる他の手法によってネックマウント11に固定されてもよい。
【0031】
図1および
図2に示す例では、ネックマウント11が、下記のURLが示すwebサイトに記載されたネックマウントと同様に構成されている。
https://www.glider-sports.com/?pid=154667394
他の例では、ネックマウント11の構成が、上記のURLが示すwebサイトに記載されたネックマウントの構成とは異なっていてもよい。
【0032】
図1に示す例では、延長アダプタ12が、ネックマウント11とカメラ13とを接続するために医療手技撮影装置1において用いられる。
【0033】
図3および
図4は
図1に示す延長アダプタ12の部品図などである。詳細には、
図3(A)は延長アダプタ12の正面図、
図3(B)は延長アダプタ12の右側面図、
図4(A)は延長アダプタ12の右前側かつ上側から見た延長アダプタ12の斜視図である。
図4(B)は延長アダプタ12が連結軸14(
図1参照)を中心にネックマウント11に対して回動させられて、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接している状態を示している。
図3および
図4に示す例では、延長アダプタ12が、延長アダプタ本体部12Aと、ネックマウント側接続部12Bと、カメラ側接続部12Cとを備えている。
延長アダプタ本体部12Aは、延長アダプタ12のうちのネックマウント側接続部12Bとカメラ側接続部12Cとの間に配置されている部分である。延長アダプタ本体部12Aは、凹部12A1を備えている。
ネックマウント側接続部12Bは、延長アダプタ12のうちのネックマウント11の接続部11Cに接続される部分である。ネックマウント側接続部12Bは、2つの軸受部12B1と、溝部12B2とを備えている。2つの軸受部12B1は、ネックマウント11の接続部11Cの2つの溝部11C3に挿入される。2つの軸受部12B1のそれぞれは、連結軸14を収容する穴12B11を有し、連結軸14を支持する。溝部12B2は、接続部11Cの3つの軸受部11C2のうちの中央の軸受部11C2を収容する。つまり、接続部11Cの中央の軸受部11C2が溝部12B2に挿入される。
【0034】
接続部11CがN個(Nは3以外の複数)の軸受部11C2と(N-1)個の溝部11C3とを備える他の例では、ネックマウント側接続部12Bが、(N-1)個の軸受部12B1と、(N-2)個の溝部12B2とを備えていてもよい。
【0035】
図1~
図4に示す例では、雄ねじ部を有する連結軸14を、雌ねじ部を有する軸受部11C2に対して締め付けることによって、軸受部11C2と軸受部12B1とが当接して摩擦力が生じ、その摩擦力によって、延長アダプタ12がネックマウント11に対して固定される。
連結軸14の締め付け力を弱めることによって、軸受部11C2と軸受部12B1との間の摩擦力が低減し、延長アダプタ12が連結軸14を中心にネックマウント11に対して回動可能になる。
【0036】
図1~
図4に示す例では、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、
図1および
図4(B)に示すように、延長アダプタ12は、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接する状態になるまで、連結軸14を中心にネックマウント11に対して回動させられて、ネックマウント11に固定される。
詳細には、延長アダプタ本体部12Aの凹部12A1は、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接する状態になるまで延長アダプタ12が連結軸14を中心にネックマウント11に対して回動させられる時におけるネックマウント11の接続部11Cと延長アダプタ本体部12Aとの干渉を避けるように形成されている。
その結果、
図1および
図4(B)に示すように、延長アダプタ12は、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接する状態になるまで、連結軸14を中心にネックマウント11に対して回動することができる。
【0037】
図3および
図4に示す例では、カメラ側接続部12Cが、延長アダプタ12のうちのカメラ13の後述する接続部13B1に接続される部分である。カメラ側接続部12Cは、連結軸15(
図1参照)を介してカメラ13(
図1参照)に接続される。カメラ側接続部12Cは、3つの軸受部12C1と、2つの溝部12C2とを備えている。
他の例では、カメラ側接続部12Cが、M個(Mは3以外の複数)の軸受部12C1と、(M-1)個の溝部12C2とを備えていてもよい。
【0038】
図3および
図4に示す例では、3つの軸受部12C1のそれぞれは、連結軸15を収容する穴12C11を有し、連結軸15を支持する。2つの溝部12C2のそれぞれは、3つの軸受部12C1のうちの隣接する2つの軸受部12C1の間に位置し、カメラ13の後述する軸受部13B11を収容する。
図1~
図4に示す例では、3つの軸受部12C1のうちの右側(
図1、
図3(A)、
図4(A)および
図4(B)の右側)の軸受部12C1が、連結軸15に形成された雄ねじ部(図示せず)と螺合する雌ねじ部(図示せず)を有する。
他の例では、連結軸15が、ねじ止めとは異なる他の手法によって延長アダプタ12に固定されてもよい。
【0039】
図1に示す例では、カメラ13が、医療手技撮影装置1の装着者WRによって実施される医療手技を撮影する。
【0040】
図5は
図1に示すカメラ13が延長アダプタ12から取り外された状態を示す図である。
図5に示す例では、カメラ13が、カメラ本体部13Aと、ブラケット13Bと、レンズ保護フィルタ13Cとを備えている。カメラ本体部13Aは、医療手技撮影装置1の装着者WRによって実施される医療手技を撮影する。レンズ保護フィルタ13Cは、カメラ本体部13Aのレンズを保護する機能を有する。
図5に示す例では、カメラ13がレンズ保護フィルタ13Cを備えているが、他の例では、カメラ13がレンズ保護フィルタ13Cを備えていなくてもよい。
【0041】
図5に示す例では、カメラ13は、例えば下記のURLが示すwebサイトに記載された360度カメラと同様に構成されている。
https://www.insta360.com/jp/product/insta360-oner_twin-edition
他の例では、カメラ13の構成が、例えば上記のURLが示すwebサイトに記載された360度カメラの構成とは異なっていてもよい。
【0042】
図5に示す例では、カメラ13は、360度カメラのうちのコンパクトでかつ高画質(5.7K以上)映像を撮影可能である。カメラ13では、カメラ13による撮影環境(例えば手術野)の明るさに応じて、映像のハレーションを防ぐISO感度、シャッタースピードの調整が行われる。
【0043】
図6は
図5に示すカメラ13を構成するブラケット13Bの部品図である。
図6に示す例では、ブラケット13Bが、カメラ本体部13Aおよびレンズ保護フィルタ13Cを支持する機能と、カメラ本体部13Aおよびレンズ保護フィルタ13Cを延長アダプタ12に接続する機能とを有する。ブラケット13Bは、接続部13B1と、ブラケット本体部13B2とを備えている。ブラケット本体部13B2は、カメラ本体部13Aおよびレンズ保護フィルタ13Cを支持する。
接続部13B1は、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時にカメラ13のうちの鉛直方向の最も下側(
図1の下側および
図6の左下側)に位置する部分である。また、接続部13B1は、連結軸15(
図1参照)を介して延長アダプタ12に接続される。接続部13B1は、2つの軸受部13B11と、溝部13B12とを備えている。2つの軸受部13B11は、延長アダプタ12のカメラ側接続部12Cの2つの溝部12C2に挿入される。2つの軸受部13B11のそれぞれは、連結軸15を収容する穴13B11Aを有し、連結軸15を支持する。溝部13B12は、延長アダプタ12のカメラ側接続部12Cの3つの軸受部12C1のうちの中央の軸受部12C1を収容する。つまり、延長アダプタ12のカメラ側接続部12Cの中央の軸受部12C1が溝部13B12に挿入される。
【0044】
延長アダプタ12のカメラ側接続部12CがM個(Mは3以外の複数)の軸受部12C1と(M-1)個の溝部12C2とを備える他の例では、ブラケット13Bの接続部13B1が、(M-1)個の軸受部13B11と、(M-2)個の溝部13B12とを備えていてもよい。
【0045】
図1~
図6に示す例では、雄ねじ部を有する連結軸15を、延長アダプタ12のカメラ側接続部12Cの雌ねじ部を有する軸受部12C1に対して締め付けることによって、軸受部12C1と軸受部13B11とが当接して摩擦力が生じ、その摩擦力によって、ブラケット13Bが延長アダプタ12に対して固定される。
連結軸15の締め付け力を弱めることによって、軸受部12C1と軸受部13B11との間の摩擦力が低減し、ブラケット13Bが連結軸15を中心に延長アダプタ12に対して回動可能になる。
【0046】
図7はカメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時におけるネックマウント11と延長アダプタ12との関係などの一例を示す図である。詳細には、
図7(A)はカメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置1の左側面図である。つまり、
図7(A)は
図1の左側から(装着者WRの右側から)医療手技撮影装置1を見た図である。
図7(B)は
図7(A)に示す医療手技撮影装置1からカメラ13および連結軸15を外した状態を拡大して示している。
図8はカメラ13が滅菌ガウンGWを着用した装着者WRによって実施される医療手技を撮影する時における医療手技撮影装置1と滅菌ガウンGWとの関係などを示す図である。
図9はカメラ13が滅菌ガウンGWを着用した装着者WRによって実施される医療手技を撮影する時における装着者WRと医療手技撮影装置1と滅菌ガウンGWとの関係を示す図である。
【0047】
図3および
図4を参照して説明したように、延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aには、ネックマウント11の接続部11Cと延長アダプタ本体部12Aとの干渉を避ける凹部12A1が形成されている。そのため、
図7(A)および
図7(B)に示すように、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、延長アダプタ12は、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接する状態になるまで、連結軸14を中心にネックマウント11に対して
図7(A)および
図7(B)の反時計回りに回動させられて、ネックマウント11に固定される。
その結果、
図7(B)に双方向矢印で示すように、ネックマウント11に対する延長アダプタ本体部12Aの前側(
図7(B)の右側)への突出量PAを抑制することができる。それゆえ、
図8および
図9に示すように、医療手技撮影装置1を装着した装着者WR(例えば術者(執刀医))が滅菌ガウンGWを着用する時に、滅菌ガウンGWが延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aに引っ掛かるおそれを抑制することができる。その結果、滅菌ガウンGWが延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aに引っ掛かることに伴って滅菌ガウンGWの外側表面が不潔になってしまうおそれを抑制することができる。
【0048】
また、
図7(B)に示すように、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、延長アダプタ12のカメラ側接続部12Cは、ネックマウント側接続部12Bよりも鉛直方向の上側(
図7(B)の上側)に位置する。そのため、
図7(A)に示すように、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、カメラ13は、ネックマウント11の接続部11Cよりも鉛直方向の上側(
図7(A)の上側)に位置する。詳細には、
図1に示すように、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、カメラ13は、ネックマウント11の概略環状のネックマウント本体部11Aよりもネックマウント本体部11Aの径方向の内側(
図1の上側)に位置する。
その結果、
図8および
図9に示すように、医療手技撮影装置1を装着した装着者WRが滅菌ガウンGWを着用する時に、カメラ13が滅菌ガウンGWの内側に隠れてしまう(つまり、カメラ13が滅菌ガウンGWによって覆われてしまう)おそれを抑制することができる。
【0049】
詳細には、
図7(B)に示すように、カメラ13が装着者WRによる医療手技を撮影する時に、延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aおよびネックマウント側接続部12Bのうちのネックマウント11の接続部11Cの溝部11C3の外側に露出する部分(つまり、
図7(B)に示されている部分)の表面の法線Nは、鉛直線VLとゼロより大きい角度θ(
図7(B)に示す例では、60°より大きい角度θ)をなす。
そのため、
図8および
図9に示すように、医療手技撮影装置1を装着した装着者WRが滅菌ガウンGWを着用する時に、滅菌ガウンGWが延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aまたはネックマウント側接続部12Bに引っ掛かるおそれを抑制することができる。その結果、滅菌ガウンGWが延長アダプタ12の延長アダプタ本体部12Aまたはネックマウント側接続部12Bに引っ掛かることに伴って滅菌ガウンGWの外側表面が不潔になってしまうおそれを抑制することができる。
【0050】
図10はカメラ13が連結軸15を中心に延長アダプタ12に対して回動させられる角度を説明するための図である。詳細には、
図10(A)はカメラ13のレンズの光軸が概略水平に設定された例を示している。
図10(B)はカメラ13が
図10(A)に示す状態から連結軸15を中心に
図10(B)の時計回りに約40°回動させられた例を示している。
図10(C)はカメラ13が
図10(B)に示す状態から連結軸15を中心に
図10(C)の時計回りに約50°回動させられた例を示している。
図10(A)、
図10(B)および
図10(C)に示すように、第1の実施形態の医療手技撮影装置1では、カメラ13によって撮影される装着者WRの医療手技の内容に応じて、延長アダプタ12に対するカメラ13の角度が調整可能である。
【0051】
図11はカメラ13によって長時間の撮影が行われる場合の一例を説明するための図である。
図11に示す例では、カメラ13が長時間の手術中の装着者WRによる医療手技を撮影する。詳細には、手術の開始前に、延長コードCDおよびモバイルバッテリMBがカメラ13に接続される。装着者WRは、医療手技撮影装置1を装着し(つまり、医療手技撮影装置1を首の周囲に掛け)、モバイルバッテリMBを手術着のポケットに挿入し、延長コードCDを身体の前方に這わせておき、滅菌ガウンGWを着用する。その結果、延長コードCDは、滅菌ガウンGWの内側に配置される。
手術中、カメラ13は、カメラ13の内蔵バッテリおよびモバイルバッテリMBを用いることによって、長時間の撮影を行う。
【0052】
上述した例では、カメラ13が、装着者WRとしての術者(執刀医)による医療手技を撮影する、つまり、医療手技撮影装置1が、装着者WRとしての術者によって装着される。
他の例では、カメラ13が、装着者WRとしての手術助手による医療手技を撮影する、つまり、医療手技撮影装置1が、装着者WRとしての手術助手によって装着されてもよい。
更に他の例では、カメラ13が、装着者WRとしての機械出しを行う看護師による医療手技を撮影する、つまり、医療手技撮影装置1が、装着者WRとしての機械出しを行う看護師によって装着されてもよい。
更に他の例では、カメラ13によって撮影される医療手技が採血処置であり、医療手技撮影装置1を装着する装着者WRが、採血を行う看護師などであってもよい。
更に他の例では、カメラ13によって撮影される医療手技が例えばエコー検査、心電図測定などの生理機能検査であり、医療手技撮影装置1を装着する装着者WRが、生理機能検査を行う臨床検査技師などであってもよい。
更に他の例では、カメラ13によって撮影される医療手技が注射処置であり、医療手技撮影装置1を装着する装着者WRが、注射処置を行う看護師などであってもよい。
更に他の例では、カメラ13によって撮影される医療手技が脱臼整復であり、医療手技撮影装置1を装着する装着者WRが、整復処置を行う医師などであってもよい。
更に他の例では、カメラ13によって撮影される医療手技が創傷処置、ギプス、シーネなどの外固定などであり、医療手技撮影装置1を装着する装着者WRが、処置を行う医師あるいは看護師などであってもよい。
【0053】
第1実施形態の医療手技撮影装置1によれば、医療手技の実施者の目線でその医療手技を適切に撮影することができるため、医療手技撮影装置1によって撮影された医療手技の映像を用いて医療従事者の医療技術の習得、向上に貢献することができる。
【0054】
[第2実施形態]
以下、本発明の医療手技撮影装置用延長アダプタおよび医療手技撮影装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の医療手技撮影装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の医療手技撮影装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の医療手技撮影装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の医療手技撮影装置1と同様の効果を奏することができる。
【0055】
医療手技撮影装置1を装着する装着者WRの首の長さは、装着者WRに応じて異なる。そこで、第2の実施形態の医療手技撮影装置1では、延長アダプタ12の長さが、第1の実施形態の医療手技撮影装置1よりも小さい値に設定されている。
【0056】
図12および
図13は第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の部品図などである。詳細には、
図12(A)は第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の正面図、
図12(B)は第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の右側面図、
図13(A)は第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12の右前側かつ下側から見た延長アダプタ12の斜視図である。
図13(B)は第2の実施形態の医療手技撮影装置1の延長アダプタ12が連結軸14を中心にネックマウント11に対して回動させられて、カメラ側接続部12Cがネックマウント本体部11Aに隣接している状態を示している。
第2の実施形態の医療手技撮影装置1によれば、装着者WRの首が短い場合であっても、医療手技撮影装置1は、装着者WRによる医療手技を妨げることなく、装着者WRによる医療手技を撮影することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…医療手技撮影装置、11…ネックマウント、11A…ネックマウント本体部、11B…アジャスタ部、11C…接続部、11C1…ベース部、11C2…軸受部、11C3…溝部、14…連結軸、12…延長アダプタ、12A…延長アダプタ本体部、12A1…凹部、12B…ネックマウント側接続部、12B1…軸受部、12B11…穴、12B2…溝部、12C…カメラ側接続部、12C1…軸受部、12C11…穴、12C2…溝部、15…連結軸、13…カメラ、13A…カメラ本体部、13B…ブラケット、13B1…接続部、13B11…軸受部、13B11A…穴、13B12…溝部、13B2…ブラケット本体部、13C…レンズ保護フィルタ、WR…装着者、GW…滅菌ガウン