(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075118
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 29/62 20060101AFI20240527BHJP
F04D 29/50 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F04D29/62 A
F04D29/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186325
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】100100365
【弁理士】
【氏名又は名称】増子 尚道
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 克司
(72)【発明者】
【氏名】山田 健登
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB07
3H130AB29
3H130AB44
3H130AC16
3H130BA53J
3H130BA75J
3H130CA14
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130DE04Z
3H130DG09Z
3H130DJ01Z
3H130EA03J
3H130EB01A
(57)【要約】
【課題】流体の流れにより吐出口を切替える切替弁を備えたポンプで切替動作の確実性を高め弁漏れを防ぐ。
【解決手段】ポンプ室13を有する筐体12と、流体を吸い込む吸入路14と、流体を吐き出す第1吐出路15と、第2吐出路16と、正逆回転可能にポンプ室内に配された羽根車32と、ポンプ室内で流体の回転流を受け回転する回転体21と、回転体を所定位置で停止させるストッパ機構28を備えたポンプで、第1吐出路はポンプ室の第1周方向位置に開口する第1吐出口を有し、第2吐出路はポンプ室の第2周方向位置に開口する第2吐出口を有し、回転体は周壁部23と開口部25とを有し、回転体が正転して第1回転変位状態となったときに開口部により第1吐出口が開放され且つ周壁部により第2吐出口が閉塞され、回転体が逆転して第2回転変位状態となったときに開口部により第2吐出口が開放され且つ周壁部により第1吐出口が閉塞されるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にポンプ室を有する筐体と、
前記ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第1吐出路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第2吐出路と、
前記ポンプ室内に設置され、回転駆動装置によって回転駆動されることにより前記ポンプ室内に前記流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な、羽根車と
を備えたポンプであって、
前記ポンプは、
前記ポンプ室内に回転可能に備えられ、前記第1回転方向への回転流を受けたときには前記第1回転方向に回転し、前記第2回転方向への回転流を受けたときには前記第2回転方向に回転する、回転体と、
前記回転体の回転を予め定められた位置で停止させるストッパ機構と
を備え、
前記第1吐出路は、前記ポンプ室の内周面の第1周方向位置に開口する第1吐出口を有し、
前記第2吐出路は、前記ポンプ室の内周面の前記第1周方向位置とは異なる周方向位置である第2周方向位置に開口する第2吐出口を有し、
前記回転体は、
前記ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、
前記回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、
前記ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、
当該周壁部を貫通する開口部と
を有し、
前記ストッパ機構は、
前記回転体が前記第1回転方向に回転して前記開口部が前記第1吐出口に対向した第1回転変位状態となったときに前記回転体の回転を停止させるとともに、前記回転体が前記第2回転方向に回転して前記開口部が前記第2吐出口に対向した第2回転変位状態となったときに前記回転体の回転を停止させ、
前記第1回転変位状態では、前記開口部によって前記第1吐出口が開放されるとともに前記周壁部によって前記第2吐出口が閉塞され、
前記第2回転変位状態では、前記開口部によって前記第2吐出口が開放されるとともに前記周壁部によって前記第1吐出口が閉塞される
ことを特徴とするポンプ。
【請求項2】
前記吸入路は、前記ポンプ室の底面部に開口する吸入口を有し、
前記基盤部は、
前記吸入口から前記羽根車に向けて前記ポンプ室内に流れ込む前記流体の通過を可能とする中心開孔を有する円板状の形状を有し、
前記羽根車と前記ポンプ室の底面との間に配置され、
前記ポンプ室の軸線方向を上下方向とし、前記ポンプ室の底面から前記ポンプ室の天面へ向かう方向を上とし、前記ポンプ室の天面から前記ポンプ室の底面へ向かう方向を下としたときに、
前記周壁部は、前記基盤部の周縁部から上方に立ち上がるように形成され、
前記受圧凸部は、前記基盤部の上面に備えられ、
前記羽根車は、
前記周壁部の内部に収容されるように配置され、
上下方向に延びる回転軸を中心として回転する
請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記ストッパ機構は、
前記基盤部の下面および前記ポンプ室の底面のうちのいずれか一方に備えられ、前記回転体の回転軸を中心とした円弧を描くように延びた、係合溝と、
前記基盤部の下面および前記ポンプ室の底面のうちの他方に備えられて前記係合溝内に差し込まれた係合突起と
を有し、
前記係合溝は、
前記第1回転変位状態において前記係合突起が当接する第1ストッパ部と、
前記第2回転変位状態において前記係合突起が当接する第2ストッパ部と
を有する
請求項2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記第1吐出路内のポンプ室側端部に、前記ポンプ室に向けて進退摺動可能に備えられ、前記流体の流通を許容する、第1筒状部材と、
前記第1筒状部材を前記ポンプ室に向け付勢し、前記第1筒状部材の先端部を前記回転体の前記周壁部に押し付ける、第1付勢部材と、
前記第2吐出路内のポンプ室側端部に、前記ポンプ室に向けて進退摺動可能に備えられ、前記流体の流通を許容する、第2筒状部材と、
前記第2筒状部材を前記ポンプ室に向け付勢し、前記第2筒状部材の先端部を前記回転体の前記周壁部に押し付ける、第2付勢部材と
をさらに備えた
請求項1に記載のポンプ。
【請求項5】
前記受圧凸部を複数備え、
当該複数の受圧凸部は、前記中心開孔を中心として前記基盤部の周縁部に向け放射状に延びるように形成されている
請求項2に記載のポンプ。
【請求項6】
前記羽根車は、
上下方向に間隔を隔てて配置された上板および下板を有するとともに、
前記上板と前記下板との間に前記羽根車の回転軸に対して放射状に延びる複数の羽根を有し、
前記下板はその中心部に、上下方向に貫通して前記上板と前記下板との間に前記流体を吸い込むことを可能とする吸込孔を有する
請求項2に記載のポンプ。
【請求項7】
内部にポンプ室を有する筐体と、
前記ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第1吐出路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第2吐出路と、
前記ポンプ室内に設置され、回転駆動装置によって回転駆動されることにより前記ポンプ室内に前記流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な、羽根車と
を備えたポンプであって、
前記筐体は、
前記ポンプ室と前記第1吐出路との間に介在されるように形成された第1弁室と、
前記ポンプ室と前記第2吐出路との間に介在されるように形成された第2弁室と
を有し、
前記第1弁室は、
前記第1吐出路の第1弁室側の開口である第1吐出口と、
前記ポンプ室との連通を可能とする第1弁室開口と
を有し、
前記第2弁室は、
前記第2吐出路の第2弁室側の開口である第2吐出口と、
前記ポンプ室との連通を可能とする第2弁室開口と
を有し、
前記ポンプは、
前記ポンプ室内に回転可能に備えられ、前記第1回転方向への回転流を受けたときには前記第1回転方向に回転し、前記第2回転方向への回転流を受けたときには前記第2回転方向に回転する、回転体と、
前記第1吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第1吐出口を開放する開弁位置との間で揺動可能に前記第1弁室内に備えられた第1弁蓋と、
前記第2吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第2吐出口を開放する開弁位置との間で揺動可能に前記第2弁室内に備えられた第2弁蓋と、
前記回転体と前記第1弁蓋とを接続し、前記回転体が前記第1回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第1弁蓋に伝達することにより前記第1弁蓋を前記開弁位置へ向け揺動させる一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第1弁蓋に伝達することにより前記第1弁蓋を前記閉弁位置へ向け揺動させる、第1連結アームと、
前記回転体と前記第2弁蓋とを接続し、前記回転体が前記第1回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第2弁蓋に伝達することにより前記第2弁蓋を前記閉弁位置へ向け揺動させる一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第2弁蓋に伝達することにより前記第2弁蓋を前記開弁位置へ向け揺動させる、第2連結アームと
を備え、
前記回転体は、
前記ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、
前記回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、
前記ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、
当該周壁部を貫通する開口部と
を有し、
前記周壁部は、前記回転体が前記第1回転方向へ回転して前記開口部が前記第1弁室開口に対向した第1回転変位状態となったときには前記ポンプ室から前記第1弁室への前記流体の通過を許容するとともに前記第2弁室開口を閉塞して前記ポンプ室から前記第2弁室への前記流体の通過を遮断する一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転して前記開口部が前記第2弁室開口に対向した第2回転変位状態となったときには前記ポンプ室から前記第2弁室への前記流体の通過を許容するとともに前記第1弁室開口を閉塞して前記ポンプ室から前記第1弁室への前記流体の通過を遮断し、
前記第1弁蓋は、前記第1回転変位状態では前記第1吐出口を開放する一方、前記第2回転変位状態では前記第1吐出口を閉塞し、
前記第2弁蓋は、前記第1回転変位状態では前記第2吐出口を閉塞する一方、前記第2回転変位状態では前記第2吐出口を開放する
ことを特徴とするポンプ。
【請求項8】
内部にポンプ室を有する筐体と、
前記ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、
前記ポンプ室の側面の第1位置に開口する第1吐出口を有し、前記ポンプ室から前記流体を吐き出す、第1吐出路と、
前記ポンプ室の側面の第2位置に開口する第2吐出口を有し、前記ポンプ室から前記流体を吐き出す、第2吐出路と、
前記ポンプ室内に設置され、回転駆動装置によって回転駆動されることにより前記ポンプ室内に前記流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な、羽根車と
を備えたポンプであって、
前記ポンプは、
前記ポンプ室内に回転可能に備えられ、前記第1回転方向への回転流を受けたときには前記第1回転方向に回転し、前記第2回転方向への回転流を受けたときには前記第2回転方向に回転する、回転体と、
前記第1吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第1吐出口を開放する開弁位置との間で前記ポンプ室の側面に沿って摺動可能に前記ポンプ室内に備えられた第1弁蓋と、
前記第2吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第2吐出口を開放する開弁位置との間で前記ポンプ室の側面に沿って摺動可能に前記ポンプ室内に備えられた第2弁蓋と、
前記回転体と前記第1弁蓋とを接続し、前記回転体が前記第1回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第1弁蓋に伝達することにより前記第1弁蓋を前記開弁位置へ向け移動させる一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第1弁蓋に伝達することにより前記第1弁蓋を前記閉弁位置へ向け移動させる、第1連結アームと、
前記回転体と前記第2弁蓋とを接続し、前記回転体が前記第1回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第2弁蓋に伝達することにより前記第2弁蓋を前記閉弁位置へ向け移動させる一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転したときに当該回転体の回転力を前記第2弁蓋に伝達することにより前記第2弁蓋を前記開弁位置へ向け移動させる、第2連結アームと
を備え、
前記回転体は、
前記ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、
前記回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と
を有し、
前記回転体が前記第1回転方向へ回転して第1回転変位状態となったときに、前記第1弁蓋が開弁位置に移動し且つ前記第2弁蓋が閉弁位置に移動するようにし、
前記回転体が前記第2回転方向へ回転して第2回転変位状態となったときに、前記第1弁蓋が閉弁位置に移動し且つ前記第2弁蓋が開弁位置に移動するようにした
ことを特徴とするポンプ。
【請求項9】
内部にポンプ室を有する筐体と、
前記ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第1吐出路と、
前記ポンプ室から前記流体を吐き出す第2吐出路と、
前記ポンプ室内に設置され、回転駆動装置によって回転駆動されることにより前記ポンプ室内に前記流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な、羽根車と
を備えたポンプであって、
前記筐体は、
前記ポンプ室と前記第1吐出路との間に介在されるように形成された第1弁室と、
前記ポンプ室と前記第2吐出路との間に介在されるように形成された第2弁室と
を有し、
前記第1弁室は、
前記第1吐出路の第1弁室側の開口である第1吐出口と、
前記ポンプ室との連通を可能とする第1弁室開口と
を有し、
前記第2弁室は、
前記第2吐出路の第2弁室側の開口である第2吐出口と、
前記ポンプ室との連通を可能とする第2弁室開口と
を有し、
前記ポンプは、
前記ポンプ室内に回転可能に備えられ、前記第1回転方向への回転流を受けたときには前記第1回転方向に回転し、前記第2回転方向への回転流を受けたときには前記第2回転方向に回転する、回転体と、
前記第1吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第1吐出口を開放する開弁位置との間で前記第1吐出口に対して進退動可能に前記ポンプ室内に備えられた第1弁体と、
前記第2吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第2吐出口を開放する開弁位置との間で前記第2吐出口に対して進退動可能に前記ポンプ室内に備えられた第2弁体と、
一端部に前記第1弁体が接続され、他端部に前記第2弁体が接続され、中間部が揺動支軸により揺動可能に支持され、前記揺動支軸を中心として第1揺動方向へ揺動すると前記第1弁体を閉弁方向へ進行させるとともに前記第2弁体を開弁方向へ退行させる一方、前記揺動支軸を中心として第2揺動方向へ揺動すると前記第1弁体を開弁方向へ退行させるとともに前記第2弁体を閉弁方向へ進行させる、連結アームと
を備え、
前記回転体は、
前記ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、
前記回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、
前記ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、
当該周壁部を貫通する開口部と、
当該回転体とともに回転する駆動歯車部と
を有し、
前記連結アームは、
前記揺動支軸に備えられ、前記駆動歯車部と噛み合って前記回転体の回転を前記連結アームに伝達する、従動歯車部
を有し、
前記周壁部は、前記回転体が前記第1回転方向へ回転して前記開口部が前記第1弁室開口に対向した第1回転変位状態となったときには前記ポンプ室から前記第1弁室への前記流体の通過を許容するとともに前記第2弁室開口を閉塞して前記ポンプ室から前記第2弁室への前記流体の通過を遮断する一方、前記回転体が前記第2回転方向へ回転して前記開口部が前記第2弁室開口に対向した第2回転変位状態となったときには前記ポンプ室から前記第2弁室への前記流体の通過を許容するとともに前記第1弁室開口を閉塞して前記ポンプ室から前記第1弁室への前記流体の通過を遮断し、
前記回転体および前記駆動歯車部が前記第1回転方向へ回転すると前記従動歯車部を介して前記連結アームが第2揺動方向へ揺動し、前記回転体が前記第1回転変位状態となったときに、前記第1弁体が開弁位置に退行するとともに前記第2弁体が閉弁位置に進行する一方、
前記回転体および前記駆動歯車部が前記第2回転方向へ回転すると前記従動歯車部を介して前記連結アームが第1揺動方向へ揺動し、前記回転体が前記第2回転変位状態となったときに、前記第1弁体が閉弁位置に進行するとともに前記第2弁体が開弁位置に退行するようにした
ことを特徴とするポンプ。
【請求項10】
内部にポンプ室を有する筐体と、
前記ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、
前記ポンプ室の側面の第1位置に開口する第1吐出口を有し、前記ポンプ室から前記流体を吐き出す、第1吐出路と、
前記ポンプ室の側面の第2位置に開口する第2吐出口を有し、前記ポンプ室から前記流体を吐き出す、第2吐出路と、
前記ポンプ室内に設置され、回転駆動装置によって回転駆動されることにより前記ポンプ室内に前記流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な、羽根車と
を備えたポンプであって、
前記ポンプは、
前記ポンプ室内に回転可能に備えられ、前記第1回転方向への回転流を受けたときには前記第1回転方向に回転し、前記第2回転方向への回転流を受けたときには前記第2回転方向に回転する、回転体と、
前記第1吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第1吐出口を開放する開弁位置との間で前記ポンプ室の側面に沿って摺動可能に前記ポンプ室内に備えられた第1弁蓋と、
前記第2吐出口を閉塞する閉弁位置と前記第2吐出口を開放する開弁位置との間で前記ポンプ室の側面に沿って摺動可能に前記ポンプ室内に備えられた第2弁蓋と
を備え、
前記回転体は、
前記ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、
前記回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、
当該回転体とともに回転する駆動歯車部と
を有し、
前記第1弁蓋は、前記駆動歯車部と噛み合って前記回転体の回転を直線運動に変換して前記第1弁蓋に伝達する第1従動ラック部を有し、
前記第2弁蓋は、前記駆動歯車部と噛み合って前記回転体の回転を直線運動に変換して前記第2弁蓋に伝達する第2従動ラック部を有し、
前記回転体および前記駆動歯車部が前記第1回転方向へ回転して第1回転変位状態になると前記第1従動ラック部を介して前記第1弁蓋が開弁位置に移動するとともに前記第2従動ラック部を介して前記第2弁蓋が閉弁位置に移動し、
前記回転体および前記駆動歯車部が前記第2回転方向へ回転して第2回転変位状態になると前記第1従動ラック部を介して前記第1弁蓋が閉弁位置に移動するとともに前記第2従動ラック部を介して前記第2弁蓋が開弁位置に移動するようにした
ことを特徴とするポンプ。
【請求項11】
前記第1回転変位状態となったとき、および、前記第2回転変位状態となったときに、前記回転体の回転を停止させるストッパ機構
を備えた請求項7から10のいずれか一項に記載のポンプ。
【請求項12】
前記吸入路は、前記ポンプ室の底面部に開口する吸入口を有し、
前記基盤部は、
前記吸入口から前記羽根車に向けて前記ポンプ室内に流れ込む前記流体の通過を可能とする中心開孔を有する円板状の形状を有し、
前記羽根車と前記ポンプ室の底面との間に配置され、
前記ポンプ室の軸線方向を上下方向とし、前記ポンプ室の底面から前記ポンプ室の天面へ向かう方向を上とし、前記ポンプ室の天面から前記ポンプ室の底面へ向かう方向を下としたときに、
前記周壁部は、前記基盤部の周縁部から上方に立ち上がるように形成され、
前記受圧凸部は、前記基盤部の上面に備えられ、
前記羽根車は、
前記周壁部の内部に収容されるように配置され、
上下方向に延びる回転軸を中心として回転する
請求項7または9に記載のポンプ。
【請求項13】
前記受圧凸部を複数備え、
当該複数の受圧凸部は、前記中心開孔を中心として前記基盤部の周縁部に向け放射状に延びるように形成されている
請求項12に記載のポンプ。
【請求項14】
前記羽根車は、
上下方向に間隔を隔てて配置された上板および下板を有するとともに、
前記上板と前記下板との間に前記羽根車の回転軸に対して放射状に延びる複数の羽根を有し、
前記下板はその中心部に、上下方向に貫通して前記上板と前記下板との間に前記流体を吸い込むことを可能とする吸込孔を有する
請求項12に記載のポンプ。
【請求項15】
前記吸入路は、前記ポンプ室の底面部に開口する吸入口を有し、
前記基盤部は、
前記吸入口から前記羽根車に向けて前記ポンプ室内に流れ込む前記流体の通過を可能とする中心開孔を有する円板状の形状を有し、
前記羽根車と前記ポンプ室の底面との間に配置され、
前記ポンプ室の軸線方向を上下方向とし、前記ポンプ室の底面から前記ポンプ室の天面へ向かう方向を上とし、前記ポンプ室の天面から前記ポンプ室の底面へ向かう方向を下としたときに、
前記受圧凸部は、前記基盤部の上面に備えられ、
前記羽根車は、
上下方向に延びる回転軸を中心として回転する
請求項8または10に記載のポンプ。
【請求項16】
前記受圧凸部を複数備え、
当該複数の受圧凸部は、前記中心開孔を中心として前記基盤部の周縁部に向け放射状に延びるように形成されている
請求項15に記載のポンプ。
【請求項17】
前記羽根車は、
上下方向に間隔を隔てて配置された上板および下板を有するとともに、
前記上板と前記下板との間に前記羽根車の回転軸に対して放射状に延びる複数の羽根を有し、
前記下板はその中心部に、上下方向に貫通して前記上板と前記下板との間に前記流体を吸い込むことを可能とする吸込孔を有する
請求項15に記載のポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプに係り、特に、流体の流れによって吐出口を切り替える切替弁を一体に備えたポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の熱交換システムは複雑になってきている。カーボンニュートラルの観点から自動車の電動化が進み、車両室内だけでなくモータやバッテリなど冷却対象が増えたためである。
【0003】
このような熱交換システムでは、冷却水を循環させる経路を運転状況に応じて様々に切り替え、効率的な冷却を行うために切替弁とウォーターポンプが備えられる(例えば下記特許文献2及び特許文献3参照)。
【0004】
また、流体の流れによって吐出口を切り替える切替弁を一体に備えたポンプを開示する文献として、下記特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-116425号公報
【特許文献2】特開2008-213583号公報
【特許文献3】特開2011-98628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、切替弁とウォーターポンプはセットで通常使用されるが、EV車(電気自動車)やハイブリッド車では、当該切替弁とウォーターポンプのセットを複数組み込んで熱交換システムを構築することが多く、切替弁とウォーターポンプそれぞれに制御用のモータが搭載されている。
【0007】
したがって、現状の熱交換システムには、例えば、切替弁とウォーターポンプを一体化することでシステムの簡素化や省スペース化を図り、あるいは、流体の流れを利用して流路の切り替えを行うことで切替弁を制御するモータを不要として省エネ化を図るなどの改良の余地がある。
【0008】
一方、前記特許文献1には、切替弁を一体に備えたウォーターポンプが示されている。しかしながら、当該文献記載の発明に係るポンプは、弁漏れを生じるおそれがあり、動作の確実性の点で十分なものとは言えない。
【0009】
具体的には、特許文献1記載のポンプ1は、ポンプが運転されている限りは、一方の弁蓋部24(又は25)が完全に一方の吐出口12(又は13)を閉じた状態にして他方の吐出口13(又は12)のみから流体を吐出する旨記載されているものの(同文献の段落0023~0026参照)、切替弁2の受圧面(流体の流れを受ける弁蓋部24,25の内面)が二面対称に配置されていることから、例えば切替動作の途中で弁蓋部24,25が釣り合ってしまい、吐出口12,13が両方とも開放された状態で切替弁2が停止してしまうおそれがある。さらに、閉塞側の弁蓋部が流体の脈動によって開いて弁漏れを生じる可能性もある。
【0010】
したがって、本発明の目的は、流体の流れによって吐出口を切り替える切替弁を備えたポンプにおいて切替動作の確実性を向上させ、弁漏れが生じることを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
〔第1発明〕
前記課題を解決し目的を達成するため、本願の第1の発明に係るポンプは、内部にポンプ室を有する筐体と、ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、ポンプ室から流体を吐き出す第1吐出路と、ポンプ室から流体を吐き出す第2吐出路と、ポンプ室内に設置され回転駆動装置によって回転駆動されることによりポンプ室内に流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な羽根車とを備えたポンプである。
【0012】
また上記ポンプは、ポンプ室内に回転可能に備えられ第1回転方向への回転流を受けたときには第1回転方向に回転し第2回転方向への回転流を受けたときには第2回転方向に回転する回転体と、回転体の回転を予め定められた位置で停止させるストッパ機構とを備えている。また、上記第1吐出路は、ポンプ室の内周面の第1周方向位置に開口する第1吐出口を有する。また、上記第2吐出路は、ポンプ室の内周面の第1周方向位置とは異なる周方向位置である第2周方向位置に開口する第2吐出口を有する。
【0013】
さらに上記回転体は、ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、当該周壁部を貫通する開口部とを有する。また、上記ストッパ機構は、回転体が第1回転方向に回転して開口部が第1吐出口に対向した第1回転変位状態となったときに回転体の回転を停止させるとともに、回転体が第2回転方向に回転して開口部が第2吐出口に対向した第2回転変位状態となったときに回転体の回転を停止させる。
【0014】
また、第1回転変位状態では、上記開口部によって第1吐出口が開放されるとともに上記周壁部によって第2吐出口が閉塞され、第2回転変位状態では、上記開口部によって第2吐出口が開放されるとともに上記周壁部によって第1吐出口が閉塞される。
【0015】
本願発明に係るポンプは、羽根車によってポンプ室内に生じる回転流(回転する流体の流れ)を受けて回転する回転体によってポンプ室から流体を吐出する吐出口を切り替えるものであるが、上記第1の発明は、回転体自体、より具体的には回転体の周壁部と開口部によって吐出口を開閉して吐出口を切り替える。
【0016】
羽根車は、例えば電動機のような回転駆動装置により回転させるが、当該羽根車(回転駆動装置)は、正逆いずれの方向にも、すなわち第1回転方向(例えば反時計回り)と、その逆の回転方向である第2回転方向(第1回転方向を反時計回りとすれば時計回り)の双方に回転させることが可能で、ポンプ室内にこれら第1回転方向と第2回転方向の流体の流れ(回転流)を生じさせることが出来る。
【0017】
回転体は、上記回転流を受ける受圧凸部を有し、流体の力を受けて回転流の方向に回転する。回転体が第1回転方向へ回転すると、第1回転変位状態でストッパ機構により回転体の回転が停止される。この第1回転変位状態では、回転体の開口部によって第1吐出口が開放され且つ回転体の周壁部によって第2吐出口が閉塞される。したがって、吸入路からポンプ室内に吸い込まれた流体は、第1吐出口を通じて第1吐出路へ排出される。一方、回転体が第2回転方向へ回転すると、第2回転変位状態でストッパ機構により回転体の回転が停止される。この第2回転変位状態では、回転体の開口部によって第2吐出口が開放され且つ回転体の周壁部によって第1吐出口が閉塞される。したがって、吸入路からポンプ室内に吸い込まれた流体は、第2吐出口を通じて第2吐出路へ排出される。このように羽根車の回転方向を変更して回転流の方向を変えることにより、流路を切り替えることが出来る。
【0018】
また、上記第1の発明の一態様では、吸入路がポンプ室の底面部に開口する吸入口を有し、基盤部が吸入口から羽根車に向けてポンプ室内に流れ込む流体の通過を可能とする中心開孔を有する円板状の形状を有するとともに羽根車とポンプ室の底面との間に配置され、ポンプ室の軸線方向を上下方向とし、ポンプ室の底面からポンプ室の天面へ向かう方向を「上」とし、ポンプ室の天面からポンプ室の底面へ向かう方向を「下」としたときに、周壁部が基盤部の周縁部から上方に立ち上がるように形成され、受圧凸部が基盤部の上面に備えられ、羽根車が周壁部の内部に収容されるように配置されるとともに上下方向に延びる回転軸を中心として回転する。なお、この一態様に係る構成は、後述する第2発明の第1態様および第3態様に係るポンプにも適用が可能である。
【0019】
また、ストッパ機構は、基盤部の下面およびポンプ室の底面のうちのいずれか一方に備えられ回転体の回転軸を中心とした円弧を描くように延びた係合溝と、基盤部の下面およびポンプ室の底面のうちの他方に備えられて係合溝内に差し込まれた係合突起とを有し、係合溝は、第1回転変位状態において係合突起が当接する第1ストッパ部と、第2回転変位状態において係合突起が当接する第2ストッパ部とを有することがある。
【0020】
さらに弁漏れを防ぐため、第1吐出路内のポンプ室側端部にポンプ室に向けて進退摺動可能に備えられ流体の流通を許容する第1筒状部材と、第1筒状部材をポンプ室に向け付勢し第1筒状部材の先端部を回転体の周壁部に押し付ける第1付勢部材と、第2吐出路内のポンプ室側端部にポンプ室に向けて進退摺動可能に備えられ流体の流通を許容する第2筒状部材と、第2筒状部材をポンプ室に向け付勢し第2筒状部材の先端部を回転体の周壁部に押し付ける第2付勢部材とを備えることが好ましい。
【0021】
また、受圧凸部を複数備え、当該複数の受圧凸部が前記中心開孔を中心として基盤部の周縁部に向け放射状に延びるように形成されるようにすることが好ましい(後述する第2発明の各態様についても同様)。正逆(第1回転方向及び第2回転方向)いずれの回転流からも同じように良好に力を受けて回転体を回転させることが出来るようにするためである。
【0022】
また、羽根車は、上下方向に間隔を隔てて配置された上板および下板を有するとともに、上板と下板との間に羽根車の回転軸に対して放射状に延びる複数の羽根を有し、下板はその中心部に、上下方向に貫通して上板と下板との間に流体を吸い込むことを可能とする吸込孔を有するようにすることが好ましい(後述する第2発明の各態様についても同様)。
【0023】
これは、羽根が露出した所謂オープンインペラで羽根車を構成すると、羽根車の回転によって生じる負圧により回転体が浮き上がって異音や振動が生じるおそれがあるからである。上記態様のように羽根を上板と下板とで覆った所謂クローズドインペラとすれば(特に回転体の基盤部に面する下側を覆う下板を備えれば)、そのような事態が生じることを防ぐことが出来る。
【0024】
〔第2発明〕
本願の第2の発明に係るポンプは、回転体自体により吐出口の開閉を行った前記第1の発明と異なり、吐出口を開閉する弁蓋や弁体を別に備え、これらを回転体によって作動させることにより流路(吐出路)の切り替えを行うものである。ただし、第2発明の第1態様と第3態様では、吐出口を開閉する弁蓋に加えて前記第1の発明と同様の回転体自体(周壁部と開口部)による流路の開閉を行う構造を採っている。これは、閉鎖側の流路への流体の漏出(弁漏れ)をより確実に防ぐためである。
【0025】
〔第2発明の第1態様〕
本願の第2の発明の第1の態様に係るポンプは、内部にポンプ室を有する筐体と、ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、ポンプ室から流体を吐き出す第1吐出路と、ポンプ室から流体を吐き出す第2吐出路と、ポンプ室内に設置され回転駆動装置によって回転駆動されることによりポンプ室内に流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な羽根車を備えている。
【0026】
また上記筐体は、ポンプ室と第1吐出路との間に介在されるように形成された第1弁室と、ポンプ室と第2吐出路との間に介在されるように形成された第2弁室を有し、第1弁室は、第1吐出路の第1弁室側の開口である第1吐出口と、ポンプ室との連通を可能とする第1弁室開口を有し、第2弁室は、第2吐出路の第2弁室側の開口である第2吐出口と、ポンプ室との連通を可能とする第2弁室開口を有する。
【0027】
さらに上記ポンプは、ポンプ室内に回転可能に備えられ第1回転方向への回転流を受けたときには第1回転方向に回転し、第2回転方向への回転流を受けたときには第2回転方向に回転する回転体と、第1吐出口を閉塞する閉弁位置と第1吐出口を開放する開弁位置との間で揺動可能に第1弁室内に備えられた第1弁蓋と、第2吐出口を閉塞する閉弁位置と第2吐出口を開放する開弁位置との間で揺動可能に第2弁室内に備えられた第2弁蓋と、回転体と第1弁蓋とを接続し回転体が第1回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第1弁蓋に伝達することにより第1弁蓋を開弁位置へ向け揺動させる一方、回転体が第2回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第1弁蓋に伝達することにより第1弁蓋を閉弁位置へ向け揺動させる第1連結アームと、回転体と第2弁蓋とを接続し回転体が第1回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第2弁蓋に伝達することにより第2弁蓋を閉弁位置へ向け揺動させる一方、回転体が第2回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第2弁蓋に伝達することにより第2弁蓋を開弁位置へ向け揺動させる第2連結アームを備えている。
【0028】
また上記回転体は、ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、周壁部を貫通する開口部を有する。周壁部は、回転体が第1回転方向へ回転して開口部が第1弁室開口に対向した第1回転変位状態となったときに、ポンプ室から第1弁室への流体の通過を許容するとともに第2弁室開口を閉塞してポンプ室から第2弁室への流体の通過を遮断する。一方、回転体が第2回転方向へ回転して開口部が第2弁室開口に対向した第2回転変位状態となったときには、周壁部は、ポンプ室から第2弁室への流体の通過を許容するとともに第1弁室開口を閉塞してポンプ室から第1弁室への流体の通過を遮断する。また上記第1弁蓋は、第1回転変位状態では第1吐出口を開放し、第2回転変位状態では第1吐出口を閉塞する。一方、上記第2弁蓋は、第1回転変位状態では第2吐出口を閉塞し、第2回転変位状態では第2吐出口を開放する。
【0029】
また、上記第2発明の第1態様に係るポンプでは、第1回転変位状態となったときおよび第2回転変位状態となったときにそれぞれ回転体の回転を停止させるストッパ機構を備えることが好ましい(後述する第2発明の第2態様以降の各態様についても同様)。
【0030】
〔第2発明の第2態様〕
本願の第2の発明の第2の態様に係るポンプは、内部にポンプ室を有する筐体と、ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、ポンプ室の側面の第1位置に開口する第1吐出口を有しポンプ室から流体を吐き出す第1吐出路と、ポンプ室の側面の第2位置に開口する第2吐出口を有しポンプ室から前記流体を吐き出す第2吐出路と、ポンプ室内に設置され回転駆動装置によって回転駆動されることによりポンプ室内に流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な羽根車を備えたポンプである。
【0031】
また当該ポンプは、ポンプ室内に回転可能に備えられ第1回転方向への回転流を受けたときには第1回転方向に回転し、第2回転方向への回転流を受けたときには第2回転方向に回転する回転体と、第1吐出口を閉塞する閉弁位置と第1吐出口を開放する開弁位置との間でポンプ室の側面に沿って摺動可能にポンプ室内に備えられた第1弁蓋と、第2吐出口を閉塞する閉弁位置と第2吐出口を開放する開弁位置との間でポンプ室の側面に沿って摺動可能にポンプ室内に備えられた第2弁蓋と、回転体と第1弁蓋とを接続し回転体が第1回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第1弁蓋に伝達することにより第1弁蓋を開弁位置へ向け移動させる一方、回転体が第2回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第1弁蓋に伝達することにより第1弁蓋を閉弁位置へ向け移動させる第1連結アームと、回転体と第2弁蓋とを接続し回転体が第1回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第2弁蓋に伝達することにより第2弁蓋を閉弁位置へ向け移動させる一方、回転体が第2回転方向へ回転したときに回転体の回転力を第2弁蓋に伝達することにより第2弁蓋を開弁位置へ向け移動させる第2連結アームを備えている。
【0032】
さらに上記回転体は、ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、回転流による流体圧力を受ける受圧凸部とを有する。また当該第2態様では、回転体が第1回転方向へ回転して第1弁蓋が開弁位置に移動したときには第2弁蓋が閉弁位置に移動し、回転体が第2回転方向へ回転して第1弁蓋が閉弁位置に移動したときには第2弁蓋が開弁位置に移動するように構成する。
【0033】
〔第2発明の第3態様〕
本願の第2の発明の第3の態様に係るポンプは、内部にポンプ室を有する筐体と、ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、ポンプ室から流体を吐き出す第1吐出路と、ポンプ室から流体を吐き出す第2吐出路と、ポンプ室内に設置され回転駆動装置によって回転駆動されることによりポンプ室内に流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な羽根車を備えたポンプである。
【0034】
また上記筐体は、ポンプ室と第1吐出路との間に介在されるように形成された第1弁室と、ポンプ室と第2吐出路との間に介在されるように形成された第2弁室を有し、第1弁室は、第1吐出路の第1弁室側の開口である第1吐出口と、ポンプ室との連通を可能とする第1弁室開口を有し、第2弁室は、第2吐出路の第2弁室側の開口である第2吐出口と、ポンプ室との連通を可能とする第2弁室開口を有する。
【0035】
さらに上記ポンプは、ポンプ室内に回転可能に備えられ第1回転方向への回転流を受けたときには第1回転方向に回転し、第2回転方向への回転流を受けたときには第2回転方向に回転する回転体と、第1吐出口を閉塞する閉弁位置と第1吐出口を開放する開弁位置との間で第1吐出口に対して進退動可能にポンプ室内に備えられた第1弁体と、第2吐出口を閉塞する閉弁位置と第2吐出口を開放する開弁位置との間で第2吐出口に対して進退動可能にポンプ室内に備えられた第2弁体と、一端部に第1弁体が接続され他端部に第2弁体が接続され中間部が揺動支軸により揺動可能に支持され揺動支軸を中心として第1揺動方向へ揺動すると第1弁体を閉弁方向へ進行させるとともに第2弁体を開弁方向へ退行させる一方、揺動支軸を中心として第2揺動方向へ揺動すると第1弁体を開弁方向へ退行させるとともに第2弁体を閉弁方向へ進行させる連結アームとを備えている。
【0036】
また上記回転体は、ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、ポンプ室の内周面に沿うように形成した周壁部と、周壁部を貫通する開口部と、回転体とともに回転する駆動歯車部を有する。また、連結アームは、揺動支軸に備えられ駆動歯車部と噛み合って回転体の回転を連結アームに伝達する従動歯車部を有する。
【0037】
そして、上記周壁部は、回転体が第1回転方向へ回転して上記開口部が第1弁室開口に対向した第1回転変位状態となったときにはポンプ室から第1弁室への流体の通過を許容するとともに第2弁室開口を閉塞してポンプ室から第2弁室への流体の通過を遮断する一方、回転体が第2回転方向へ回転して上記開口部が第2弁室開口に対向した第2回転変位状態となったときにはポンプ室から第2弁室への流体の通過を許容するとともに第1弁室開口を閉塞してポンプ室から第1弁室への流体の通過を遮断する。
【0038】
さらに、回転体および駆動歯車部が第1回転方向へ回転すると従動歯車部を介して連結アームが第2揺動方向へ揺動し、回転体が第1回転変位状態となったときに、第1弁体が開弁位置に退行するとともに第2弁体が閉弁位置に進行する一方、回転体および駆動歯車部が第2回転方向へ回転すると従動歯車部を介して連結アームが第1揺動方向へ揺動し、回転体が第2回転変位状態となったときに、第1弁体が閉弁位置に進行するとともに第2弁体が開弁位置に退行するようにする。
【0039】
〔第2発明の第4態様〕
本願の第2の発明の第4の態様に係るポンプは、内部にポンプ室を有する筐体と、ポンプ室内に流体を吸い込む吸入路と、ポンプ室の側面の第1位置に開口する第1吐出口を有しポンプ室から流体を吐き出す第1吐出路と、ポンプ室の側面の第2位置に開口する第2吐出口を有しポンプ室から流体を吐き出す第2吐出路と、ポンプ室内に設置され回転駆動装置によって回転駆動されることによりポンプ室内に流体の第1回転方向への回転流および当該第1回転方向とは逆の方向である第2回転方向への回転流を生じさせることが可能な羽根車を備えたポンプである。
【0040】
また当該ポンプは、ポンプ室内に回転可能に備えられ第1回転方向への回転流を受けたときには第1回転方向に回転し、第2回転方向への回転流を受けたときには第2回転方向に回転する回転体と、第1吐出口を閉塞する閉弁位置と第1吐出口を開放する開弁位置との間でポンプ室の側面に沿って摺動可能にポンプ室内に備えられた第1弁蓋と、第2吐出口を閉塞する閉弁位置と第2吐出口を開放する開弁位置との間でポンプ室の側面に沿って摺動可能にポンプ室内に備えられた第2弁蓋とを備えている。
【0041】
また上記回転体は、ポンプ室内に回転可能に支持された基盤部と、回転流による流体圧力を受ける受圧凸部と、回転体とともに回転する駆動歯車部とを有する。また、第1弁蓋は、駆動歯車部と噛み合って回転体の回転を直線運動に変換して第1弁蓋に伝達する第1従動ラック部を有する。また、第2弁蓋は、駆動歯車部と噛み合って回転体の回転を直線運動に変換して第2弁蓋に伝達する第2従動ラック部を有する。
【0042】
そして、回転体および駆動歯車部が第1回転方向へ回転して第1回転変位状態になると第1従動ラック部を介して第1弁蓋が開弁位置に移動するとともに第2従動ラック部を介して第2弁蓋が閉弁位置に移動する一方、回転体および駆動歯車部が第2回転方向へ回転して第2回転変位状態になると第1従動ラック部を介して第1弁蓋が閉弁位置に移動するとともに第2従動ラック部を介して第2弁蓋が開弁位置に移動するようにする。
【0043】
また、上記第2発明の第2態様および第4態様に係るポンプでは、吸入路がポンプ室の底面部に開口する吸入口を有し、基盤部が、吸入口から羽根車に向けてポンプ室内に流れ込む流体の通過を可能とする中心開孔を有する円板状の形状を有するとともに、羽根車とポンプ室の底面との間に配置され、ポンプ室の軸線方向を上下方向とし、ポンプ室の底面からポンプ室の天面へ向かう方向を「上」とし、ポンプ室の天面からポンプ室の底面へ向かう方向を「下」としたときに、受圧凸部が基盤部の上面に備えられ、羽根車が上下方向に延びる回転軸を中心として回転するように構成することがある。
【発明の効果】
【0044】
本発明によれば、流体の流れによって吐出口を切り替える切替弁を備えたポンプにおいて切替動作の確実性を向上させ、弁漏れが生じることを防ぐことが出来る。
【0045】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基いて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。また、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るポンプを示す斜視図である。
【
図2】
図2は、前記第1実施形態に係るポンプの内部構造を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図3】
図3は、前記第1実施形態に係るポンプを示す垂直断面図(
図4のC-C断面)である。
【
図4】
図4は、前記第1実施形態に係るポンプを示す水平断面図(
図3のB-B断面/羽根車は図示していない)である。
【
図5】
図5は、前記第1実施形態に係るポンプを示す水平断面図(回転体を取り外した状態)である。
【
図6】
図6は、前記第1実施形態に係るポンプの回転体を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、前記第1実施形態に係るポンプの回転体を示す底面図である。
【
図8】
図8は、前記第1実施形態に係るポンプの羽根車およびロータ(羽根車付ロータ)を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、前記第1実施形態に係るポンプの羽根車付ロータを示す平面図である。
【
図10】
図10は、前記第1実施形態に係るポンプの羽根車付ロータを示す垂直断面図である。
【
図11】
図11は、前記第1実施形態の変形例に係るポンプの回転体を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、前記第1実施形態の変形例に係るポンプの回転体を示す底面図である。
【
図13】
図13は、前記第1実施形態の変形例に係るポンプを示す水平断面図(ストッパ機構の係合突起と係合溝を透視状態で示している)である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施形態に係るポンプを示す斜視図である。
【
図15】
図15は、前記第2実施形態に係るポンプ(
図18に符号D,Dで示した位置で切断した状態)を示す垂直断面図である。
【
図16】
図16は、前記第2実施形態に係るポンプの内部構造(第1切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図17】
図17は、前記第2実施形態に係るポンプの内部構造(第2切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図18】
図18は、前記第2実施形態に係るポンプの内部構造(第1切替状態)を示す平面図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図19】
図19は、前記第2実施形態に係るポンプの内部構造(第2切替状態)を示す平面図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図20】
図20は、前記第2実施形態に係るポンプの内部構造(第1切替状態)を示す平面図(回転体を取り除いた状態)である。
【
図21】
図21は、前記第2実施形態に係るポンプの回転体と弁蓋と連結アームを示す底面図である。
【
図22】
図22は、本発明の第3の実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図23】
図23は、前記第3実施形態に係るポンプ(第2切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図24】
図24は、前記第3実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す平面図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図25】
図25は、本発明の第4の実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図26】
図26は、前記第4実施形態に係るポンプ(第2切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図27】
図27は、前記第4実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す平面図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図28】
図28は、前記第4実施形態に係るポンプの回転体と弁体と連結アームを示す底面図である。
【
図29】
図29は、本発明の第5の実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図30】
図30は、前記第5実施形態に係るポンプ(第2切替状態)を示す斜視図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図31】
図31は、前記第5実施形態に係るポンプ(第1切替状態)を示す平面図(羽根車、蓋体及び駆動装置は図示していない)である。
【
図32】
図32は、前記第5実施形態に係るポンプの回転体と弁蓋を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図面を参照しつつ本発明の実施形態に係るポンプについて説明する。なお、各図には前後方向、左右方向および上下方向を表す互いに直交する二次元座標または三次元座標を適宜表示し、以下の説明はこれらの方向に基いて行う。ただし、本発明および各実施形態に係るポンプは図示した以外にも様々な姿勢で使用することが可能であり、各方向は説明の便宜上のものであって本発明の各部構成はこれらの方向によって何ら限定されるものではない。また、筐体やポンプ室の軸線方向、駆動装置(ロータ)や羽根車の回転軸が延在する方向は、上下方向に一致する。さらに「垂直」および「水平」と言うことがあるが、垂直方向は上下方向に一致し、垂直方向に直交する方向が左右方向および前後方向を含む水平方向である。さらに、羽根車や回転体や回転流について、上から見たときに(
図4や
図5等のように)反時計回りの回転R1を「正転」、時計回りの回転R2を「逆転」とそれぞれ称する。
【0048】
〔第1実施形態〕
図1から
図10に示すように、本発明の第1の実施形態に係るポンプ11は、ポンプ室13を内部に有する筐体12と、ポンプ室13の内部に回転可能に設置した羽根車32と、羽根車32を回転駆動するモータ(電動機)41と、流体をポンプ室13に吸入する吸入管14と、流体をポンプ室13から吐出する吐出口15a,16aをそれぞれ有する2本の吐出管15,16(第1吐出管15及び第2吐出管16)と、羽根車32によってポンプ室13の内部に形成される回転流を受けて回転しポンプ室13から流体を吐出させる吐出口15a,16aを切り替える回転体21と、回転体21の回転を所定の位置で停止させるストッパ機構28と、筐体12(ポンプ室13)の天面を閉塞する蓋体18を備えている。なお、本実施形態は、本願の前記第1発明を具体化したものである。
【0049】
ポンプ室13は、円形の平面形状を有し、羽根車32および回転体21を取り囲むように垂直に起立する環状の内周面を有する。また、第1吐出管15と第2吐出管16は、ポンプ室13を挟んで互いに対向するように備える。第1吐出管15のポンプ室13に対する開口である第1吐出口15aと、第2吐出管16のポンプ室13に対する開口である第2吐出口16aは、ポンプ室13の中心軸Aを挟んで互いに対向するようにポンプ室13の内周面に形成されている。筐体12の底面中心部にはポンプ室13と連通するように吸入管14を備える。吸入管14の上端部は、ポンプ室13の底面から垂直上方へ立ち上がり、当該上端部の上面が吸入口14aとなっている。
【0050】
回転体21は、ポンプ室13の底面部に配置する。この回転体21は、ポンプ室13の内部に水平に配置される円板状(円形の平面形状を有する板状)の基盤部22と、基盤部22の周縁から垂直上方に立ち上がる周壁部23とを備え、有底無蓋のカップ状の全体形状を有する。
【0051】
基盤部22の上面には、前記回転流による流体圧力を受ける複数の受圧凸部24を備える。またこれらの受圧凸部24は、基盤部22の中心に対して放射状に径方向に延びるように配置する。これは、正転および逆転のいずれの方向の回転流も良好に捉えて回転体21をより確実に回転させるためである。また基盤部22は、その中心部に中心開孔26を有する。中心開孔26には、前記ポンプ室13内に起立した吸入管14の上端部を差し込み、これにより基盤部22(回転体21)を回転可能に支持する。
【0052】
回転体21の周壁部23には、開口部(貫通孔)25を形成してある。この開口部25は、回転体21が正転して第1回転変位状態(
図2~
図4に示す状態)となったときに第1吐出口15aと対向(正対)して第1吐出管15とポンプ室13(回転体21の内部)とを連通させ、回転体21が逆転して第2回転変位状態(
図2~
図4に示す第1回転変位状態から反時計方向R2へ180°回転した状態)となったときに第2吐出口16aと対向(正対)して第2吐出管16とポンプ室13(回転体21の内部)とを連通させる。
【0053】
回転体21を第1回転変位状態と第2回転変位状態でそれぞれ停止させるのは、回転体21(基盤部22)の底面部に備えたストッパ機構28である。ストッパ機構28は、回転体21の回転軸Aを中心とした円弧を描いて延びるようにポンプ室13の底面に形成した係合溝17と、基盤部22の底面から下方へ突出して当該係合溝17の中に差し込まれるように形成した係合突起27とからなる。
【0054】
係合溝17は、一端を第1ストッパ部17aとし、他端を第2ストッパ部17bとしてある(
図5参照)。回転体21が正転し、開口部25が第1吐出口15aに対向した第1変位状態となったときには、係合突起27が第1ストッパ部17aに当接して回転体21の回転が停止される。一方、回転体21が逆転し、開口部25が第2吐出口16aに対向した第2変位状態となったときには、係合突起27が第2ストッパ部17bに当接して回転体21の回転が停止される。
【0055】
さらに本実施形態では、閉鎖側の吐出管15または16から流体が漏れ出すことを防ぐ手段をさらに備えている。具体的には、各吐出管15,16のポンプ室13側の端部の内部に入れ子状に嵌挿させた筒状部材29,29aをそれぞれ備えるとともに、各筒状部材29,29aをポンプ室13に向けて付勢し、各筒状部材29,29aの先端を回転体21の周壁部23の外周面に押し当てるコイルばね30を各吐出管15,16の外側(ポンプ室13から遠い側の端部)にそれぞれ備える。
【0056】
上記筒状部材29,29aのうち、第1吐出管15に備えた第1筒状部材29は、第1吐出口15aが開放状態(回転体21が第1回転変位状態)にあるときにはポンプ室13から吐き出される流体の流通を許容する一方、第1吐出口15aが閉鎖状態(回転体21が第2回転変位状態)にあるときにはポンプ室13から第1吐出管15へ流体が漏れ出すことを阻止する。また、第2吐出管16に備えた第2筒状部材29aは、第2吐出口16aが開放状態(回転体21が第2回転変位状態)にあるときにはポンプ室13から吐き出される流体の流通を許容する一方、第2吐出口16aが閉鎖状態(回転体21が第1回転変位状態)にあるときにはポンプ室13から第2吐出管16へ流体が漏れ出すことを阻止する。なお、回転体21は、上記第1筒状部材29および第2筒状部材29aに対して摺動回転(第1筒状部材29の先端部及び第2筒状部材29aの先端部に接触しながら回転)する。
【0057】
羽根車32は、羽根車付ロータ31としてモータ41に含まれるロータ42と一体に構成し、羽根車部分がカップ状の回転体21の中に(言い換えれば基盤部22の上面部で且つ円筒状の周壁部23の内側に)収容されるように配置する。また、羽根車付ロータ31の中心孔31aの上部と下部にはそれぞれベアリング38,39を備え、これらのベアリング38,39を介してシャフト40に羽根車付ロータ31を回転可能に支持してある。シャフト40は、ロータ付羽根車31の中心部を貫通するようにポンプ室13の中心軸Aに沿って垂直に延びている。また、シャフト40の上端部は蓋体18の中心部から上方へ突出するように形成した円筒部19の上面部に固定し、シャフト40の下端部は吸入口14aの上部に配置した軸受部材36に固定してある。軸受部材36は、複数本(本実施形態では3本)の脚部37によって吸入管14の上端部(吸入口14a)の内周面に支持されている。
【0058】
なお、シャフト40の中心軸A、羽根車32およびロータ42の回転軸A、回転体21の回転軸A、ポンプ室13の中心軸A、ならびに、吸入管14および吸入口14aの中心軸Aは、いずれも垂直方向に延び、互いに一致する。
【0059】
羽根車32の上部には、羽根車32を回転駆動するモータ41を備える。モータ41は、羽根車32と一体に構成した回転子(ロータ)42と、コイル44を含んでロータ42を回転させる磁界を発生させる固定子(ステータ)43とを有し、これらを蓋体18の上面部に形成した樹脂モールドカバー45で覆ってある。ロータ42は、ポンプ室13の天面(上面)を水密状態に閉塞する蓋体18の前記円筒部19の中に収容し、当該円筒部19の外側にステータ43を配置する。
【0060】
羽根車32は、回転軸Aに対して放射状に延びる複数の羽根35を上板33と下板34との間に備えている。下板34の中心部には、下板34を上下方向に貫通する吸込孔34a(
図10参照)を形成し、羽根車32の内部(上板33と下板34の間の空間)と吸入管14とが連通するようにする。したがって、羽根車32の回転によって吸入口14aからポンプ室13内に吸い込まれる流体は、下板34の吸込孔34aから羽根車32の内部(上板33と下板34の間の空間)に流入し、回転する羽根車32の遠心力によって各羽根35の間から回転体21の内周面に向けて放出され、ポンプ室13(回転体21)の内部に回転流を生じさせるとともに、開放されている吐出口(第1吐出口15a又は第2吐出口16a)から吐出管(第1吐出管15又は第2吐出管16)を通って外部へ吐き出される(
図3の矢印W1参照)。
【0061】
図3~
図5を参照して本実施形態に係るポンプの動作を説明する。
【0062】
モータ41を駆動して羽根車32を正転(反時計回りに回転/符号R1参照)させると、ポンプ室13の内部に反時計回りの回転流が生じ、この回転流を受圧凸部24が受けることにより回転体21が正転する。回転体21が正転すると、係合突起27が係合溝17の内部で正転方向に移動するが、係合突起27は係合溝17の一端部である第1ストッパ部17aと、他端部である第2ストッパ部17bとの間でしか移動することが出来ないから、第1ストッパ部17aに当接すると係合突起27はそれ以上、正転方向へ移動することが出来なくなり、これにより回転体21の回転が停止される。この状態が第1回転変位状態(本願では「第1切替状態」と称することもある)で、この状態では回転体21の周壁部22に形成された開口部25が第1吐出口15aに対向(正対)し、ポンプ室13と第1吐出管15が連通される。したがって、羽根車32の回転により吸入管14を通じてポンプ室13内に吸い上げられた流体は、第1吐出管15から排出される(
図3の矢印W1参照)。また、羽根車32が正転し正転方向の回転流が生じている限り、回転体21は受圧凸部24を介して正転方向への力を受け続けるから、係合突起27が第1ストッパ部17aに押し付けられ、上記第1回転変位状態が維持される。
【0063】
一方、モータ41を駆動して羽根車32を逆転(時計回りに回転/符号R2参照)させると、ポンプ室13の内部に時計回りの回転流が生じ、これを受けて回転体21が逆転する。回転体21が逆転すると、係合突起27が係合溝17内で逆転方向に移動するが、第2ストッパ部17bに当接すると係合突起27はそれ以上、逆転方向へ移動することが出来なくなり、これにより回転体21の回転が停止される。この状態が第2回転変位状態(本願では「第2切替状態」と称することもある)で、この状態では前記第1回転変位状態から回転体21は180°回転し、回転体21の周壁部23に形成された開口部25が第2吐出口16aに対向(正対)してポンプ室13と第2吐出管16が連通される。したがって、羽根車32の回転により吸入管14を通じてポンプ室13内に吸い上げられた流体は、第2吐出管16から排出されるようになる。また、羽根車32が逆転し逆転方向の回転流が生じている限り、回転体21は受圧凸部24を介して逆転方向への力を受け続けるから、係合突起27が第2ストッパ部17bに押し付けられ、上記第2回転変位状態が維持される。
【0064】
このようにして、羽根車32(モータ41)の回転方向を変更することにより流路(吸入管14からポンプ室13に吸入された流体が排出される吐出口15a,16a)を切り替えることが出来る。
【0065】
さらに本実施形態では、開口部25とストッパ機構28の構造を変更することにより、様々な流路切替状態を実現することが出来る。
【0066】
図11から
図13はその一例を示すもので、この例では、
図13に示す状態で見て右、前および左の3箇所に開口部(右側の開口部25を第1開口部、前側の開口部25aを第2開口部、左側の開口部25bを第3開口部とそれぞれ称する)を形成するとともに、係合突起27を左から後にかけて円弧状に(90°の円弧を描くように)延びる平面形状を有するように形成する。なお、係合溝17は前記第1実施形態(
図5)と同様で、一端に第1ストッパ部17aを、他端に第2ストッパ部17bをそれぞれ有する。
【0067】
図13は回転体21が正転して(符号R1参照)係合突起27が第1ストッパ部17aに当接した第1切替状態を示しているが、この第1切替状態では、第1開口部25が第1吐出口15aに対向するとともに、第3開口部25bが第2吐出口16aに対向している。したがって、第1吐出管15と第2吐出管16がともにポンプ室13と連通しており、吸入管14からポンプ室13へ流入した流体は、第1吐出管15と第2吐出管16の双方から排出されることとなる。
【0068】
一方、
図13の第1切替状態から、羽根車32を逆転させることによりポンプ室13内の回転流を逆転させると、回転体21は逆転し(符号R2参照)、係合突起27が第2ストッパ部17bに当接するまで90°回転する。すると、第2開口部25aが第2吐出口16aに対向するとともに、第1吐出口15aは周壁部23によって閉塞され、吸入管14からポンプ室13へ流入した流体は、第2吐出管16のみから排出されることとなる。
【0069】
なお、上記のほかにも、ストッパ機構と開口部や吐出口の位置や数を変更することにより様々な切替状態が可能なポンプを構成することが出来る。
【0070】
〔第2実施形態〕
図14から
図21を参照して本発明の第2の実施形態に係るポンプについて説明する。なお、本実施形態は、本願の前記第2発明の第1態様を具体化したもので、回転体によって作動され吐出口を開閉する弁蓋と、前記第1実施形態と同様の回転体自体(周壁部と開口部)による流路の開閉機構とを備え、これらによって流路(吐出口)の切り替えを行うものである。また、本実施形態および後述する第3以降の実施形態の説明では、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略し、相違点を中心に述べる。
【0071】
図14から
図21に示すように本実施形態に係るポンプ51は、ポンプ室13、第1弁室52および第2弁室53を内部に有する筐体12と、ポンプ室13の内部に回転可能に設置した羽根車32(羽根車付ロータ31)と、羽根車32を回転駆動するモータ41と、流体をポンプ室13に吸入する吸入管14と、流体を吐出する吐出口(第1吐出口15a及び第2吐出口16a)を有する2本の吐出管(第1吐出管15及び第2吐出管16)と、羽根車32によってポンプ室13の内部に形成される回転流を受けて回転する回転体21と、第1吐出口15aを開閉できるように第1弁室52内に備えられた第1枢軸56によって揺動可能に支持された第1弁蓋54と、第2吐出口16aを開閉できるように第2弁室53内に備えられた第2枢軸57によって揺動可能に支持された第2弁蓋55と、回転体21の回転力を第1弁蓋54に伝達し第1弁蓋54を開閉させる第1連結アーム58と、回転体21の回転力を第2弁蓋55に伝達し第2弁蓋55を開閉させる第2連結アーム59と、回転体21の回転を所定の位置で停止させるストッパ機構61,62とを備えている。
【0072】
また、上記第1弁室52は、ポンプ室13と第1吐出口15aとの間に形成してあり、ポンプ室13との連通を可能とする第1弁室開口52aを有する。上記第1吐出口15aは、第1弁室52に開口している。同様に、上記第2弁室53は、ポンプ室13と第2吐出口16aとの間に形成してあり、ポンプ室13との連通を可能とする第2弁室開口53aを有する。また上記第2吐出口16aは、第2弁室53に開口している。
【0073】
回転体21は、本実施形態では、周壁部23に形成された2つの開口部、すなわち第1開口部25と第2開口部25aを有する。第1開口部25は、回転体21の回転により第1弁室開口52aに対向したとき(この状態が第1回転変位状態である)に第1弁室52とポンプ室13とを連通させる。なお、この第1回転変位状態では、第2弁室開口53aは、回転体21の周壁部23によって閉塞される。第2開口部25aは、回転体21の回転により第2弁室開口53aに対向したとき(この状態が第2回転変位状態である)に第2弁室53とポンプ室13とを連通させる。なお、この第2回転変位状態では、第1弁室開口52aは、回転体21の周壁部23によって閉塞される。
【0074】
また、上記各連結アーム58,59は、回転体21の下側(基盤部22とポンプ室13の底面との間)に備えられ、回転体21と各枢軸56,57とを連結する。より具体的には、第1連結アーム58は、一端が第1枢軸56に固定され、他端が回転体21の基盤部22に相対揺動可能に接続されている。第2連結アーム59は、一端が第2枢軸57に固定され、他端が回転体21の基盤部22に相対揺動可能に接続されている。これにより、回転体21が回転すると、各連結アーム58,59が揺動して各枢軸56,57を回転させ、各弁蓋54,55が回転体21の回転に連動して揺動することとなる。
【0075】
さらに、上記ストッパ機構61,62は、
図20に示すようにポンプ室13の底面に形成した、扇状の平面形状を有する2つの凹部61,62、すなわち第1連結アーム58を収容する第1凹部61と、第2連結アーム59を収容する第2凹部62である。各凹部61,62は、連結アーム58,59を衝突(当接)させることで各連結アーム58,59の揺動を停止させ、これにより回転体21の回転を停止させるもので、第1凹部61は、回転体21の第1回転変位状態(
図16、
図18及び
図20)において第1連結アーム58を衝突(当接)させる第1ストッパ面61aと、回転体21の第2回転変位状態(
図17及び
図19)において第1連結アーム58を衝突(当接)させる第2ストッパ面61bとを有する。同様に第2凹部62は、回転体21の第1回転変位状態(
図16、
図18及び
図20)において第2連結アーム59を衝突(当接)させる第1ストッパ面62aと、回転体21の第2回転変位状態(
図17及び
図19)において第2連結アーム59を衝突(当接)させる第2ストッパ面62bとを有する。
【0076】
本実施形態に係るポンプの動作を述べれば次のとおりである。
【0077】
図16および
図18に示すように羽根車32を逆転(時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体21を逆転させると(矢印R2参照)、回転体21に相対揺動可能に連結された第1連結アーム58は、第1枢軸56を中心として反時計回りに揺動(正転)し、第1枢軸56を正転(反時計回りに回転)させる。また第2連結アーム59は、第2枢軸57を中心として反時計回りに揺動(正転)し、第2枢軸57を正転(反時計回りに回転)させる。これらにより、第1弁蓋54は開弁方向へ揺動して第1吐出口15aを開放し、第2弁蓋55は閉弁方向へ揺動して第2吐出口16aを閉塞する。またこの第1回転変位状態では、回転体21の第1開口部25が第1弁室開口52aに対向(正対)して第1弁室52とポンプ室13とが連通されるとともに、回転体21の周壁部23が第2弁室開口53aを閉塞して第2弁室53とポンプ室13との連通が遮断される(非連通状態となる)。またこの第1回転変位状態では、
図20に示すように第1連結アーム58が第1凹部61の第1ストッパ面61aに当接するとともに、第2連結アーム59が第2凹部62の第1ストッパ面62aに当接し、回転体21の更なる回転(逆転)が阻止される。したがって、吸入口14aからポンプ室13内に流入した流体は、第1開口部25、第1弁室開口52a、第1弁室52および第1吐出口15aを通って第1吐出管15から排出される、第1切替状態となる。
【0078】
一方、
図17および
図19に示すように羽根車32を正転(反時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体21を正転させると(矢印R1参照)、回転体21に相対揺動可能に連結された第1連結アーム58は、第1枢軸56を中心として時計回りに揺動(逆転)し、第1枢軸56を逆転(時計回りに回転)させる。また第2連結アーム59は、第2枢軸57を中心として時計回りに揺動(逆転)し、第2枢軸57を逆転(時計回りに回転)させる。これらにより、第1弁蓋54は閉弁方向へ揺動して第1吐出口15aを閉塞し、第2弁蓋55は開弁方向へ揺動して第2吐出口16aを開放する。またこの第2回転変位状態では、回転体21の第2開口部25aが第2弁室開口53aに対向(正対)して第2弁室53とポンプ室13とが連通されるとともに、回転体21の周壁部23が第1弁室開口52aを閉塞して第1弁室52とポンプ室13との連通が遮断される。またこの第2回転変位状態では、第1連結アーム58が第1凹部61の第2ストッパ面61bに当接するとともに、第2連結アーム59が第2凹部62の第2ストッパ面62bに当接し、回転体21の更なる回転(正転)が阻止される。したがって、吸入口14aからポンプ室13内に流入した流体は、第2開口部25a、第2弁室開口53a、第2弁室53および第2吐出口16aを通って第2吐出管16から排出される、第2切替状態となる。
【0079】
このように本実施形態のポンプ51によれば、連動する回転体21(開口部25,25a及び周壁部23)と弁蓋54,55により、閉鎖側の流路が二重に閉塞されるから、弁漏れをより確実に防ぐことが出来る。
【0080】
〔第3実施形態〕
図22から
図24を参照して本発明の第3の実施形態に係るポンプについて説明する。なお、本実施形態は、本願の前記第2発明の第2態様を具体化したもので、前記第2実施形態と同様に回転体によって作動される弁蓋によって吐出口を開閉するが、スライドする弁蓋によって吐出口を開閉するものである。
【0081】
図22から
図24に示すように本実施形態に係るポンプは、ポンプ室13の対向する一対の内側面(左側面及び右側面)の一方の内側面(左側面)である第1内側面71に第1吐出口15aを設け、他方の内側面(右側面)である第2内側面72に第2吐出口16aを設ける。また、これら第1吐出口15aと第2吐出口16aは、互いに向かい合うように前後方向については同位置に形成する。そして、第1内側面71に沿って前後方向に摺動する(第1内側面71に接触しながらスライドする)第1弁蓋73と、第2内側面72に沿って前後方向に摺動する(第2内側面72に接触しながらスライドする)第2弁蓋74とを備える。
【0082】
また第1弁蓋73は、回転体21が正転すると(
図22の矢印R1参照)前方へ移動して第1吐出口15aを開放する一方、回転体21が逆転すると(
図23の矢印R2参照)後方へ移動して第1吐出口15aを閉塞するように、回転体21の下側(回転体21とポンプ室13の底面との間)に備えた第1連結板75によって回転体21(基盤部22)と連結されている。また、第2弁蓋74は、第1弁蓋73とは逆に、回転体21が正転すると(
図22の矢印R1参照)後方へ移動して第2吐出口16aを閉塞する一方、回転体21が逆転すると(
図23の矢印R2参照)前方へ移動して第2吐出口16aを開放するように、回転体21の下側(回転体21とポンプ室の底面との間)に備えた第2連結板76によって回転体21(基盤部22)と連結されている。
【0083】
また、第1弁蓋73の後方には、第1弁蓋73が後方へ移動して第1吐出口15aを閉塞したときに第1弁蓋73の後端が当接する第1ストッパ面77を筐体12に形成してある。同様に、第2弁蓋74の後方には、第2弁蓋74が後方へ移動して第2吐出口16aを閉塞したときに第2弁蓋74の後端が当接する第2ストッパ面78を筐体12に形成してある。これらのストッパ面77,78は、前記各実施形態のストッパ機構と同様に、各弁蓋73,74の後方への移動を停止させることにより回転体21の(それ以上の)回転を止め、流路の切替状態を維持する機能を果たす。
【0084】
なお、本実施形態(後述する第5実施形態も同様)では、回転体21は、前記第1実施形態および第2実施形態と同様に受圧凸部24を備えた円板状の基盤部22を有するが、周壁部および開口部を有していない。また、本実施形態および第4以降の実施形態に係るポンプは、前記第1実施形態と同様にポンプ室13に回転流を生じさせるモータや羽根車、ポンプ室13の天面を閉塞する蓋体を備えているが、これらは図示していない。
【0085】
本実施形態に係るポンプの動作を述べれば次のとおりである。
【0086】
図22に示すように羽根車を正転(反時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体を正転させると(符号R1参照)、回転体21に連結された第1弁蓋73が前方へスライドして第1吐出口15aを開放する一方、回転体21に連結された第2弁蓋74は後方へスライドして第2吐出口16aを閉塞し、第1切替状態となる。またこの第1切替状態では、第2弁蓋74が第2ストッパ面78に押し付けられ、羽根車を正転させている限り、当該状態が維持される。したがって、吸入口14aからポンプ室13内に流入した流体は、第1吐出口15aを通って第1吐出管15から排出される。
【0087】
他方、
図23に示すように羽根車を逆転(時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体を逆転させると(符号R2参照)、回転体21に連結された第1弁蓋73が後方へスライドして第1吐出口15aを閉塞する一方、回転体21に連結された第2弁蓋74は前方へスライドして第2吐出口16aを開放し、第2切替状態となる。またこの第2切替状態では、第1弁蓋73が第1ストッパ面77に押し付けられ、羽根車を逆転させている限り、当該状態が維持される。したがって、吸入口14aからポンプ室13内に流入した流体は、第2吐出口16aを通って第2吐出管16から排出される。
【0088】
〔第4実施形態〕
図25から
図28を参照して本発明の第4の実施形態に係るポンプについて説明する。なお、本実施形態は、本願の前記第2発明の第3態様を具体化したもので、回転体によって作動される弁体によって吐出口を開閉して流路を切り替えるものである。
【0089】
図22から
図24に示すように本実施形態に係るポンプは、流体を排出する第1吐出口15aと第2吐出口16aを備え、これらの吐出口15a,16aに対してそれぞれ進退動可能に円錐状の先端部(後端部)を有する2つの円柱状の弁体81,82を、すなわち第1弁体81と第2弁体82を備えた。各弁体81,82は、前後方向に移動して先端部が吐出口15a,16aに抜き差しされることにより吐出口15a,16aを開閉する。
【0090】
これらの弁体81,82を回転体21によって駆動するため、回転体21の基盤部22の底面に駆動側平歯車86を備え、この駆動側平歯車86に噛み合う従動側平歯車85を備えた連結アーム83をポンプ室13内の回転体21の前部に左右方向に延びるように配置する。連結アーム83は、中央部を揺動支軸84によってシーソー状に揺動可能に支持し、一端(左端)に第1弁体81の基端部(前端部)を相対揺動可能に連結し、他端(右端)に第2弁体82の基端部(前端部)を相対揺動可能に連結してある。したがって、第1弁体81と第2弁体82は、シーソー状に(一方が進行すれば他方が退行し、他方が退行すれば他方が進行するように)前後方向に移動する。
【0091】
また本実施形態では、前記第2実施形態と同様に、第1吐出口15aとポンプ室13との間に形成した第1弁室52と、第2吐出口16aとポンプ室13との間に形成した第2弁室53とを備えた。また、第1弁室52はポンプ室13との連通を可能とする第1弁室開口52aを有し、第2弁室53はポンプ室13との連通を可能とする第2弁室開口53aを有する。さらに回転体21は、周壁部23に形成された2つの開口部(第1開口部25と第2開口部25a)を有し、第1開口部25は、回転体21の回転により第1弁室開口52aに対向したとき(第1回転変位状態)に第1弁室52とポンプ室13とを連通させる。なお、この第1回転変位状態では、第2弁室開口53aは回転体21の周壁部23によって閉塞される。また第2開口部25aは、回転体21の回転により第2弁室開口53aに対向したとき(第2回転変位状態)に第2弁室53とポンプ室13とを連通させる。なお、この第2回転変位状態では、第1弁室開口52aは回転体21の周壁部23によって閉塞される。
【0092】
また本実施形態では、連結アーム83の揺動を停止させるストッパ機構として、ポンプ室13の前面に連結アーム83の前面が当接する2つのストッパ面(第1ストッパ面87a及び第2ストッパ面87b)を形成した。これらストッパ面87a,87bのうち第1ストッパ面87aは、後に述べる第1切替状態となったときに、連結アーム83の左部分を受け止めて連結アーム83の反時計回りの揺動を阻止する。また、第2ストッパ面87bは、後に述べる第2切替状態となったときに、連結アーム83の右部分を受け止めて連結アーム83の時計回りの揺動を阻止する機能を果たす。
【0093】
さらに本実施形態では、回転体21を停止させるストッパ機構として、基盤部22に円弧状の2つの係合開口89と、ポンプ室13の底面から上方に起立して当該係合開口89の各々にそれぞれ差し込まれる2つの係合突起88を形成した。回転体21が回転すると各係合突起88は、対応する各係合開口89内において回転体21に対してそれぞれ相対的に移動することとなり、回転体21の第1回転変位状態では、各係合突起88が各係合開口89の一端部に当接することにより回転体21の回転を阻止する一方、回転体21の第2回転変位状態では、各係合突起88が各係合開口89の他端部に当接することにより回転体21の回転を阻止する。
【0094】
本実施形態のポンプの動作を述べれば次の通りである。
【0095】
図25および
図27に示すように羽根車を逆転(時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体を逆転させると、この回転が回転体21の駆動側平歯車86に噛み合った従動側平歯車85を介して連結アーム83に伝達され、連結アーム83が揺動支軸84を中心として反時計回りに揺動する。すると、連結アーム83の左端部に連結された第1弁体81は第1吐出口15aから離れた開弁位置に移動される一方、連結アーム83の右端部に連結された第2弁体82は先端部が第2吐出口16aに差し込まれた閉弁位置に移動される。またこの第1回転変位状態では、回転体21の第1開口部25が第1弁室開口52aに対向して第1弁室52とポンプ室13とが連通されるとともに、回転体21の周壁部23が第2弁室開口53aを閉塞して第2弁室53とポンプ室13との連通が遮断される。またこの第1回転変位状態では、連結アーム83(左部分)が第1ストッパ面87aに当接して連結アーム83の更なる揺動(反時計回りの回転)が阻止されるとともに、回転体21の各係合開口89の一端部が各係合突起88に当接して回転体21の更なる回転(時計回りの回転)が阻止される。この第1切替状態では、吸入口14aからポンプ室13内に吸い込まれた流体は、第1開口部25、第1弁室開口52a、第1弁室52および第1吐出口15aを通って第1吐出管15から排出される。
【0096】
一方、
図26に示すように羽根車を正転(反時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体を逆転させると、この回転が回転体21の駆動側平歯車86に噛み合った従動側平歯車85を介して連結アーム83に伝達され、連結アーム83が揺動支軸84を中心として時計回りに揺動する。すると、連結アーム83の左端部に連結された第1弁体81はその先端部が第1吐出口15aに差し込まれた閉弁位置に移動される一方、連結アーム83の右端部に連結された第2弁体82は第2吐出口16aから離れた開弁位置に移動される。またこの第2回転変位状態では、回転体21の第2開口部25aが第2弁室開口53aに対向して第2弁室53とポンプ室13とが連通されるとともに、回転体21の周壁部23が第1弁室開口52aを閉塞して第1弁室52とポンプ室13との連通が遮断される。またこの第2回転変位状態では、連結アーム83(右部分)が第2ストッパ面87bに当接して連結アーム83の更なる揺動(時計回りの回転)が阻止されるとともに、回転体21の各係合開口89の他端部が各係合突起88に当接して回転体21の更なる回転(反時計回りの回転)が阻止される。この第2切替状態では、吸入口14aからポンプ室13内に吸い込まれた流体は、第2開口部25a、第2弁室開口53a、第2弁室53および第2吐出口16aを通って第2吐出管16から排出される。
【0097】
このように本実施形態のポンプによれば、前記第2実施形態のポンプと同様に、連動する回転体21(開口部25,25a及び周壁部23)と弁体81,82により、閉鎖側の流路が二重に閉塞されるから、弁漏れをより確実に防ぐことが出来る。
【0098】
〔第5実施形態〕
図29から
図32を参照して本発明の第5の実施形態に係るポンプについて説明する。なお、本実施形態は、本願の前記第2発明の第4態様を具体化したもので、回転体によってスライド動作される弁蓋によって吐出口を開閉して流路を切り替えるものである。
【0099】
図29から
図32に示すように本実施形態に係るポンプでは、筐体12内に形成したポンプ室13の対向する内側面(左側面及び右側面)にそれぞれ吐出口15a,16aを開口させ、各吐出口15a,16aを開閉できるように各内側面に沿って前後方向に摺動可能に弁蓋91,92を備える。すなわち、ポンプ室13の左側面には第1吐出口15aを開口させ、左側面に沿って摺動可能に第1弁蓋91を配置する。同様に、ポンプ室13の右側面には第2吐出口16aを開口させ、右側面に沿って摺動可能に第2弁蓋92を配置する。
【0100】
各弁蓋91,92は開口91a,92aを備えており、弁蓋91,92がスライドして当該開口91a,92aが吐出口15a,16aに対向したときに吐出管15,16とポンプ室13とが連通される。すなわち、第1弁蓋91は第1開口91aを有し、第1開口91aが第1吐出口15aに対向したときに第1吐出管15とポンプ室13とが連通される。同様に、第2弁蓋92は第2開口92aを有し、第2開口92aが第2吐出口16aに対向したときに第2吐出管16とポンプ室13とが連通される。
【0101】
また、各弁蓋91,92を案内する(前後方向に移動可能に支持する/以下同様)ため、第1弁蓋91の前端部を案内する第1前側ガイド溝93を筐体12内の左前部に形成するとともに、第1弁蓋91の後端部を案内する第1後側ガイド溝94を筐体12内の左後部に形成してある。同様に、第2弁蓋92の前端部を案内する第2前側ガイド溝95を筐体12内の右前部に形成するとともに、第2弁蓋92の後端部を案内する第2後側ガイド溝96を筐体12内の右後部に形成してある。これらのガイド溝93~96は、各弁蓋91,92の左右方向の移動(位置ずれ)を制限して前後方向へ移動する各弁蓋91,92を案内する機能を果たす。
【0102】
また本実施形態では、弁蓋91,92を回転体21によって駆動するため、回転体21の基盤部22の周縁に駆動側歯車97を形成するとともに、この駆動側歯車97に噛み合うラック状の従動側歯車98(
図32参照)を各弁蓋(第1弁蓋91及び第2弁蓋92)の下縁にそれぞれ形成してある。したがって、本実施形態では、回転体21が回転すると第1弁蓋91と第2弁蓋92が同時に且つ互いに逆方向に移動する(一方の弁蓋が前方へ移動すれば他方の弁蓋が後方へ移動する)。
【0103】
さらに、第1切替状態(
図29及び
図31に示す第1吐出管15から流体を吐出させる状態)と第2切替状態(
図30に示す第2吐出管16から流体を吐出させる状態)において回転体21を停止させるストッパ機構として、前記第4実施形態と同様の機構、すなわち、回転体21の基盤部22に形成した円弧状の2つの係合開口89と、ポンプ室13の底面から上方に起立して当該係合開口89の各々にそれぞれ差し込まれる2つの係合突起88とを備えた。なお、これらの機能は前記第4実施形態と同様であるから説明を省略する。
【0104】
また、各弁蓋91,92を案内する前記ガイド溝93~96は、各弁蓋91,92を停止させるストッパとしての機能も有する。具体的には、上記第1切替状態(
図29及び
図31参照)では、第1弁蓋91は第1後側ガイド溝94の後端面に当接して停止され、第2弁蓋92は第2前側ガイド溝95の前端面に当接して停止される。また上記第2切替状態(
図30参照)では、第1弁蓋91は第1前側ガイド溝93の前端面に当接して停止され、第2弁蓋92は第2後側ガイド溝96の後端面に当接して停止される。このように各ガイド溝93~96の端部内面(前端面及び後端面)が各蓋体91,92を停止させるストッパ面としての機能を果たしている。
【0105】
さらに本実施形態に係るポンプは、閉弁時に弁蓋91,92をポンプ室13の内側面に押し付けて閉鎖側の吐出口から流体が漏れ出すことを防ぐ弁漏れ防止機構を備えている。具体的には、次のとおりである。
【0106】
各弁蓋91,92について前後に(第1前側ガイド溝93、第1後側ガイド溝94、第2前側ガイド溝95及び第2後側ガイド溝96に)1本ずつ、弁蓋91,92の内面(ポンプ室13の中央側の面)に接触するように円柱状の押圧棒101を備えた。これらの押圧棒101は、上下方向に延在し、上下方向に延びる保持穴102に遊嵌されている(径方向に位置ずれ可能に遊びを持って挿入されている)。各保持穴102は、上下方向に延びて前記ガイド溝93~96に連通する開口を有し、各押圧棒101は当該開口を通じて弁蓋91,92に接触している。
【0107】
一方、弁蓋91,92側、すなわち弁蓋91,92の前端部内面と後端部内面には、前方へ向かうにつれ弁蓋91,92の厚さが次第に薄くなるようなテーパ面91b,91c,92b,92cをそれぞれ形成してある。なお、上記「前方」は、各弁蓋91,92が各吐出口15a,16aを閉鎖するときに移動する方向であり、第1弁蓋91が前方へ移動したとき(
図30に示す第2切替状態)には、第1開口91aが第1吐出口15aからずれて(対向しなくなって)第1吐出口15aが第1弁蓋91の外面(左側面)によって閉鎖される。また、第2弁蓋92が前方へ移動したとき(
図29及び
図31に示す第1切替状態)には、第2開口92aが第2吐出口16aからずれて(対向しなくなって)第2吐出口16aが第2弁蓋92の外面(右側面)によって閉鎖される。
【0108】
各押圧棒101は、各弁蓋91,92が閉鎖方向(前方)に移動したときに各弁蓋91,92をポンプ室13の内側面に押し付ける機能を果たす。すなわち、
図29および
図31に示す第1切替状態では、第2弁蓋92の前端部(テーパ面92bが形成された部分)が第2前側ガイド溝95内で、また、第2弁蓋92の後端部(テーパ面92cが形成された部分)が第2後側ガイド溝96内で、それぞれ押圧棒101とガイド溝95,96の側面との間に楔状に差し込まれる。これにより、第2弁蓋92がポンプ室13の右側面(特に、第2吐出口16aの周囲のポンプ室内壁面)に押し付けられ密着されることで、第2吐出口16aからの流体の漏出が阻止される。
【0109】
また同様に、
図30に示す第2切替状態では、第1弁蓋91の前端部(テーパ面91bが形成された部分)が第1前側ガイド溝93内で、また、第1弁蓋91の後端部(テーパ面91cが形成された部分)が第1後側ガイド溝94内で、それぞれ押圧棒101とガイド溝93,94の側面との間に楔状に差し込まれる。これにより、第1弁蓋91がポンプ室13の左側面(特に、第1吐出口15aの周囲のポンプ室内壁面)に押し付けられ密着されることで、第1吐出口15aからの流体の漏出が阻止される。
【0110】
このように各弁蓋91,92に形成したテーパ面91b,91c,92b,92cと押圧棒101の働きによって閉鎖側の吐出口からの弁漏れを防ぐことが出来る。しかも、本実施形態の上記弁漏れ防止機構によれば、前後(前側ガイド溝93,95と後側ガイド溝94,96)にテーパ面91b,91c,92b,92cと押圧棒101を備えてこれらにより弁蓋91,92の両端部(前端部および後端部)を押圧するから、弁蓋91,92の全体を均一にポンプ室13の内面に押し付けることができ、より確実に弁漏れを防ぐことが可能となる。
【0111】
本実施形態のポンプの動作を述べれば次の通りである。
【0112】
図29および
図31に示すように羽根車を逆転(時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体21を時計回りに回転させると、この回転が回転体21の駆動側歯車97に噛み合った従動側歯車98を介して各弁蓋91,92に伝達されることにより、第1弁蓋91が後方(開弁方向)へ移動して第1開口91aが第1吐出口15aと対向し、第1吐出管15とポンプ室13とが連通される。また同時に、第2弁蓋92が前方(閉弁方向)へ移動し、第2吐出口16aが第2弁蓋92によって閉塞される。したがってこの第1切替状態では、吸入口14aからポンプ室13内に吸い込まれた流体は、第1吐出口15aを通って第1吐出管15から排出される。またこの第1切替状態では、回転体21のストッパ機構(係合開口89と係合突起88)と、ガイド溝93~96のストッパ構造(ストッパ面)によって、回転体21の更なる回転と弁蓋91,92の更なる移動が阻止され、当該切替状態が維持される(次に述べる第2切替状態についても同様)。
【0113】
一方、
図30に示すように羽根車を正転(反時計回りに回転)させて同方向への回転流を生じさせ、回転体21を反時計回りに回転させると、この回転が回転体21の駆動側歯車97に噛み合った従動側歯車98を介して各弁蓋91,92に伝達されることにより、第1弁蓋91が前方(閉弁方向)へ移動して第1吐出口15aが第1弁蓋91によって閉塞される。また同時に、第2弁蓋92が後方(開弁方向)へ移動して第2開口92aが第2吐出口16aと対向し、第2吐出管16とポンプ室13とが連通される。したがってこの第2切替状態では、吸入口14aからポンプ室13内に吸い込まれた流体は、第2吐出口16aを通って第2吐出管16から排出される。
【符号の説明】
【0114】
A ポンプ室の中心軸,シャフトの中心軸,羽根車及びロータの回転軸,回転体の回転軸,吸入管及び吸入口14aの中心軸
W1 流体の流れ
11,51 ポンプ
12 筐体
13 ポンプ室
14 吸入管
14a 吸入口
15 第1吐出管
15a 第1吐出口
16 第2吐出管
16a 第2吐出口
17 係合溝
17a 第1ストッパ部
17b 第2ストッパ部
18 蓋体
19 円筒部
21 回転体
22 基盤部
23 周壁部
24 受圧凸部
25 開口部(第1開口部)
25a 第2開口部
25b 第3開口部
26 中心開孔
27,88 係合突起
28 ストッパ機構
29 第1筒状部材
29a 第2筒状部材
30 コイルばね
31 羽根車付ロータ
32 羽根車
33 上板
34 下板
34a 吸込孔
35 羽根
36 軸受部材
37 脚部
38,39 ベアリング
40 シャフト
41 モータ
42 回転子(ロータ)
43 固定子(ステータ)
44 コイル
45 樹脂モールドカバー
46 ステータコア
52 第1弁室
52a 第1弁室開口
53 第2弁室
53a 第2弁室開口
54,73,91 第1弁蓋
55,74,92 第2弁蓋
56 第1枢軸
57 第2枢軸
58 第1連結アーム
59 第2連結アーム
61 第1凹部(ストッパ機構)
61a,62a,77,87a 第1ストッパ面
61b,62b,78,87b 第2ストッパ面
62 第2凹部(ストッパ機構)
71 第1内側面
72 第2内側面
75 第1連結板
76 第2連結板
81 第1弁体
82 第2弁体
83 連結アーム
84 揺動支軸
85 従動側平歯車
86 駆動側平歯車
89 係合開口
91a 第1開口
91b,91c,92b,92c テーパ面
92a 第2開口
93 第1前側ガイド溝
94 第1後側ガイド溝
95 第2前側ガイド溝
96 第2後側ガイド溝
101 押圧棒
102 保持穴