(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075132
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】工具
(51)【国際特許分類】
B25F 5/02 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186345
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五藤 健
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA01
3C064BA03
3C064BA11
3C064BA33
3C064BB80
3C064BB82
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA26
3C064CB06
3C064CB11
3C064CB17
3C064CB64
3C064CB72
3C064CB82
3C064CB91
(57)【要約】
【課題】被取付部に対する取付部のガタツキを十分に抑制することが可能な技術を提供する。
【解決手段】工具は、原動機と、動力伝達機構と、ハウジングと、先端工具を保持する先端工具保持部と、先端工具保持部の少なくとも一部を覆う本体部と、先端工具保持部の回転軸に沿った略円筒形状を有する取付部と、を含むカバーと、ハウジングに固定されており、取付部が取り付けられる被取付部と、取付部を被取付部に対して固定可能なロック機構と、を備える。被取付部は、取付部を回転軸に沿ってスライド可能に受け入れるとともに、取付部を回転軸周りに回転可能に受け入れる。被取付部には、回転軸の周方向に沿う取付溝が設けられている。取付溝には、取付部と被取付部によって回転軸の径方向に押圧される弾性部材が取り付けられている。回転軸の軸方向における弾性部材の幅の、径方向における弾性部材の幅に対する比率は、1.0よりも大きい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機と、
前記原動機に接続される動力伝達機構と、
前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、
前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、
前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆う本体部と、前記先端工具保持部の回転軸に沿った略円筒形状を有する取付部と、を含むカバーと、
前記ハウジングに固定されており、前記取付部が取り付けられる被取付部と、
前記取付部を前記被取付部に対して固定する状態と固定しない状態の間で切り換わるロック機構と、を備えており、
前記被取付部は、前記取付部を前記回転軸に沿ってスライド可能に受け入れるとともに、前記取付部を前記回転軸周りに回転可能に受け入れるように構成されており、
前記被取付部には、前記回転軸の周方向に沿う取付溝が設けられており、
前記取付溝には、前記取付部と前記被取付部によって前記回転軸の径方向に押圧される弾性部材が取り付けられており、
前記回転軸の軸方向における前記弾性部材の幅の、前記径方向における前記弾性部材の幅に対する比率は、1.0よりも大きい、工具。
【請求項2】
前記軸方向における前記弾性部材の前記幅の、前記軸方向における前記取付部と前記被取付部のオーバーラップ幅に対する比率は、0.2以上である、請求項1の工具。
【請求項3】
前記取付溝および前記弾性部材は、それぞれ、前記周方向に沿って切れ目なく連続的に設けられる、請求項1または2の工具。
【請求項4】
前記取付部には、前記取付部から前記被取付部に向けて突出する突出部が設けられており、
前記被取付部には、前記軸方向における前記突出部の移動を規制するガイド溝が設けられており、
前記径方向における前記弾性部材の前記幅の、前記径方向における前記突出部の幅に対する比率は、1.0よりも大きい、請求項1から3の何れか一項の工具。
【請求項5】
前記取付部には、前記取付部から前記被取付部に向けて突出する突出部が設けられており、
前記被取付部には、前記軸方向における前記突出部の移動を規制するガイド溝が設けられており、
前記ガイド溝の一部が、前記弾性部材によって規定される、請求項1から4の何れか一項の工具。
【請求項6】
前記弾性部材は、
前記軸方向に略直交しており、前記取付部が前記被取付部に取り付けられる際に前記取付部に対向する第1面と、
前記軸方向に略直交しており、前記第1面とは反対側に向けられる第2面と、
前記径方向に略直交しており、前記取付溝の外側に向けられる第3面と、
前記径方向に略直交しており、前記取付溝の内側に向けられる第4面と、を備えており、
前記弾性部材は、前記周方向に直交する断面において、前記第1面、前記第2面、前記第3面、および前記第4面によって規定される略矩形形状を有する、請求項1から5の何れか一項の工具。
【請求項7】
前記第1面と前記第3面の接続部分は、面取り形状を有する、請求項6の工具。
【請求項8】
前記第1面と前記第4面の接続部分および前記第2面と前記第4面の接続部分の少なくとも一方は、面取り形状を有していない、請求項6または7の工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆う本体部と、前記先端工具保持部の回転軸に沿った略円筒形状を有する取付部と、を含むカバーと、前記ハウジングに固定されており、前記取付部が取り付けられる被取付部と、前記取付部を前記被取付部に対して固定する状態と固定しない状態の間で切り換わるロック機構と、を備える工具が開示されている。前記被取付部は、前記取付部を前記回転軸に沿ってスライド可能に受け入れるとともに、前記取付部を前記回転軸周りに回転可能に受け入れるように構成されている。前記被取付部には、前記回転軸の周方向に沿う取付溝が設けられている。前記取付溝には、前記取付部と前記被取付部によって前記回転軸の径方向に押圧される弾性部材が取り付けられている。前記回転軸の軸方向における前記弾性部材の幅の、前記径方向における前記弾性部材の幅に対する比率は、1.0程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2209591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の工具では、取付部を被取付部に対してスライドまたは回転させる際に取付部が被取付部に対してガタつくことを抑制すべく、被取付部に取付溝を設けて、当該取付溝に弾性部材を設けている。弾性部材は、被取付部に対して取付部を径方向に支持することで、取付部が被取付部に対してガタつくことを抑制している。この構成では、軸方向における弾性部材の幅を大きくするほど、弾性部材が取付部を広範囲にわたって支持可能となるため、取付部のガタツキは効果的に抑制される。一方で、径方向における弾性部材の幅が大きすぎると、弾性部材が径方向に大きく変形し得るので、取付部のガタツキを抑制できないことがある。特許文献1の工具では、軸方向における弾性部材の幅の、径方向における弾性部材の幅に対する比率が1.0程度であるため、軸方向における弾性部材の幅を大きくすると、径方向における弾性部材の幅も同程度に大きくなってしまう。このため、軸方向における弾性部材の幅を大きくしようとしても、径方向における弾性部材の幅が過剰に大きくなってしまうので、被取付部に対する取付部のガタツキを十分に抑制できないことがあった。本明細書では、被取付部に対する取付部のガタツキを十分に抑制することが可能な技術を提供する。
【0005】
なお、本明細書では、弾性部材の寸法に係る数値(幅や比率など)については、押圧等による負荷がかかっていない状態の弾性部材を参照して記載している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する工具は、原動機と、前記原動機に接続される動力伝達機構と、前記原動機および前記動力伝達機構を収容するハウジングと、前記動力伝達機構に接続されており、先端工具を保持する先端工具保持部と、前記先端工具保持部の少なくとも一部を覆う本体部と、前記先端工具保持部の回転軸に沿った略円筒形状を有する取付部と、を含むカバーと、前記ハウジングに固定されており、前記取付部が取り付けられる被取付部と、前記取付部を前記被取付部に対して固定する状態と固定しない状態の間で切り換わるロック機構と、を備える。前記被取付部は、前記取付部を前記回転軸に沿ってスライド可能に受け入れるとともに、前記取付部を前記回転軸周りに回転可能に受け入れるように構成されている。前記被取付部には、前記回転軸の周方向に沿う取付溝が設けられている。前記取付溝には、前記取付部と前記被取付部によって前記回転軸の径方向に押圧される弾性部材が取り付けられている。前記回転軸の軸方向における前記弾性部材の幅の、前記径方向における前記弾性部材の幅に対する比率は、1.0よりも大きい。
【0007】
上記の構成によれば、軸方向における弾性部材の幅の、径方向における弾性部材の幅に対する比率が1.0よりも大きい。このため、径方向における弾性部材の幅を過剰に大きくすることなく、軸方向における弾性部材の幅を大きくすることができる。これにより、弾性部材が径方向に大きく変形することを抑制できるとともに、弾性部材によって取付部を広範囲にわたって支持できる。従って、被取付部に対する取付部のガタツキを十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例に係るグラインダ2の縦断面図である。
【
図2】実施例に係るグラインダ2のホイールカバー12を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図3】実施例に係るグラインダ2のホイールカバー12を上方から見た図である。
【
図4】実施例に係るグラインダ2において、ホイールカバー12をカバー取付部50に取り付けた状態で、バンド部44、カバー取付部50、およびラバーリング56を軸Aの周方向に直交する断面で見た図である。
【
図5】実施例に係るグラインダ2の前方の部分について、ホイールカバー12をカバー取付部50に取り付ける前の状態を、後方左方下方から見た斜視図である。
【
図6】実施例に係るグラインダ2のラバーリング56を前方右方上方から見た斜視図である。
【
図7】実施例に係るグラインダ2のラバーリング56を軸Aの周方向に直交する断面で見た図である。
【
図8】実施例に係るグラインダ2の横断面図である。
【
図9】実施例に係るグラインダ2の前方の部分について、ホイールカバー12をカバー取付部50に取り付ける前の状態を、前方右方上方から見た図である。
【
図10】実施例に係るグラインダ2の前方の部分について、ホイールカバー12をカバー取付部50に取り付けた後、ホイールカバー12が着脱位置にある状態を、前方右方上方から見た図である。
【
図11】実施例に係るグラインダ2の前方の部分について、ホイールカバー12をカバー取付部50に取り付けた後、ホイールカバー12が固定位置にある状態を、前方右方上方から見た図である。
【
図12】変形例に係るグラインダ2のラバーリング56を軸Aの周方向に直交する断面で見た図である。
【
図13】別の変形例に係るグラインダ2のラバーリング56を軸Aの周方向に直交する断面で見た図である。
【
図14】さらに別の変形例に係るグラインダ2において、ラバーリング56の代わりに設けられる複数のOリング72、74を、軸Aの周方向に直交する断面で見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して以下に詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、開示された追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された工具を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0010】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、以下の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、特許請求の範囲に記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0011】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又は特許請求の範囲に記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびに特許請求の範囲に記載された特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0012】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記軸方向における前記弾性部材の前記幅の、前記軸方向における前記取付部と前記被取付部のオーバーラップ幅に対する比率は、0.2以上であってもよい。なお、ここでいう「オーバーラップ幅」とは、取付部を被取付部に対して取り付けた状態でのオーバーラップ幅を意味する。
【0013】
軸方向における弾性部材の幅の、オーバーラップ幅に対する比率は、弾性部材が取付部を支持可能な範囲の、オーバーラップ幅に対する相対的な広さを示す指標ともいえる。当該比率が大きいほど、弾性部材が取付部を広範囲にわたって支持可能となるため、被取付部に対する取付部のガタツキは効果的に抑制される。従来の工具では、軸方向における弾性部材の幅の、オーバーラップ幅に対する比率は、大きくとも0.2未満であった。上記の構成によれば、軸方向における弾性部材の幅の、オーバーラップ幅に対する比率が、0.2以上である。このため、被取付部に対する取付部のガタツキを従来よりも効果的に抑制できる。
【0014】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記取付溝および前記弾性部材は、それぞれ、前記周方向に沿って切れ目なく連続的に設けられてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、取付部と被取付部の間が弾性部材によって封止される。これにより、先端工具がワークを加工することによって生じる粉塵が、取付部と被取付部の間を通過することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、弾性部材がひとつなぎに形成されるので、工具の部品点数を削減することができる。
【0016】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記取付部には、前記取付部から前記被取付部に向けて突出する突出部が設けられてもよい。前記被取付部には、前記軸方向における前記突出部の移動を規制するガイド溝が設けられてもよい。前記径方向における前記弾性部材の前記幅の、前記径方向における前記突出部の幅に対する比率は、1.0よりも大きくてもよい。
【0017】
弾性部材の耐久性を向上する観点では、弾性部材の厚さ(すなわち径方向における弾性部材の幅)をある程度大きくすることが望ましい。従来の工具では、径方向における弾性部材の幅の、径方向における突出部の幅に対する比率は、大きくとも1.0程度であった。このため、弾性部材の厚さが比較的小さく、弾性部材の耐久性に劣る可能性があった。上記の構成によれば、径方向における弾性部材の幅の、径方向における突出部の幅に対する比率が1.0よりも大きいので、弾性部材の厚さを比較的大きくできる。従って、弾性部材の耐久性を向上できる。
【0018】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記取付部には、前記取付部から前記被取付部に向けて突出する突出部が設けられてもよい。前記被取付部には、前記軸方向における前記突出部の移動を規制するガイド溝が設けられてもよい。前記ガイド溝の一部が、前記弾性部材によって規定されてもよい。
【0019】
ガイド溝によって突出部の軸方向への移動を規制する構成において、取付溝とガイド溝が軸方向に離間して設けられると、被取付部が軸方向に関して大型化するおそれがある。上記の構成によれば、弾性部材(すなわち取付溝)とガイド溝が軸方向に隣接して設けられるので、被取付部を軸方向に関して小型化することができる。
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記弾性部材は、前記軸方向に略直交しており、前記取付部が前記被取付部に取り付けられる際に前記取付部に対向する第1面と、前記軸方向に略直交しており、前記第1面とは反対側に向けられる第2面と、前記径方向に略直交しており、前記取付溝の外側に向けられる第3面と、前記径方向に略直交しており、前記取付溝の内側に向けられる第4面と、を備えてもよい。前記弾性部材は、前記周方向に直交する断面において、前記第1面、前記第2面、前記第3面、および前記第4面によって規定される略矩形形状を有してもよい。
【0021】
取付溝と取付部の間には、弾性部材を配置するための空間(配置空間とも呼ぶ。)が形成される。一般的に、配置空間は、周方向に直交する断面において略矩形形状を有する。弾性部材の形状が配置空間の形状に沿っていないと(例えば、弾性部材が周方向に直交する断面において略円形形状を有していると)、取付溝(または取付部)と弾性部材の間に比較的大きな隙間が生じてしまう。この隙間が大きいと、弾性部材が取付部と被取付部によって押圧される際に弾性部材が大きく変形し得るので、被取付部に対する取付部のガタツキを抑制できないことがある。上記の構成によれば、弾性部材は、周方向に直交する断面において略矩形形状を有する。すなわち、弾性部材が配置空間の形状に沿った形状を有するので、取付溝(または取付部)と弾性部材の間に生じる隙間を低減できる。これにより、弾性部材が取付部と被取付部によって押圧される際に弾性部材が大きく変形してしまうことを抑制できる。従って、被取付部に対する取付部のガタツキを抑制できる。
【0022】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1面と前記第3面の接続部分は、面取り形状を有してもよい。
【0023】
第1面と第3面の接続部分が面取り形状を有していないと、取付部を被取付部に取り付ける過程で、取付部が第1面に対して垂直に突き当たる。この時、取付部を取り付け方向に押し込んでいっても、弾性部材を径方向に押し縮めるような力は生じない。このため、弾性部材が取付部の内側にうまく入り込んでいかず、取り付け作業を行うユーザに煩わしさを感じさせるおそれがある。上記の構成によれば、第1面と第3面の接続部分が面取り形状を有している。取付部を被取付部に取り付ける過程では、取付部が面取り形状に突き当たる。当該面取り形状は取付部の取り付け方向に向かうにつれて拡径した形状を有しているので、取付部を取り付け方向に押し込んでいくと、取付部と弾性部材の間に径方向の反力が生じる。この反力によって、弾性部材が押し縮められ、取付部の内側に入り込んでいく。従って、上記の構成によれば、弾性部材が比較的簡単に取付部の内側に入り込んでいくので、取り付け作業を行うユーザが感じる煩わしさを低減できる。
【0024】
1つまたはそれ以上の実施形態において、前記第1面と前記第4面の接続部分および前記第2面と前記第4面の接続部分の少なくとも一方は、面取り形状を有していなくてもよい。
【0025】
取付部が弾性部材に対して摺動する際に、弾性部材が取付部に引っ張られて、弾性部材が取付溝から脱落するおそれがある。上記の構成によれば、第1面と第4面の接続部分および第2面と第4面の接続部分の少なくとも一方は、いわゆるピン角形状を有している。弾性部材が取付部に引っ張られたとしても、当該ピン角形状が取付溝の底面や壁面に引っ掛かることにより、弾性部材が取付溝に留められる。従って、弾性部材が取付溝から脱落することを抑制できる。
【0026】
(実施例)
図1に示すように、グラインダ2は、モータハウジング4と、リヤハウジング6と、ギヤハウジング8と、ベアリングボックス10と、ホイールカバー12を備えている。
【0027】
モータハウジング4の内部には、モータ14が収容されている。モータ14は、前後方向に伸びる出力軸16を有している。出力軸16は、ベアリング18、20を介して、モータハウジング4に回転可能に支持されている。
【0028】
リヤハウジング6は、モータハウジング4の後方に取り付けられている。リヤハウジング6の内部には、電源回路22が収容されている。電源回路22には、外部の電源から電源コード24を介して電力が供給される。電源回路22は、ユーザがスイッチ26(
図5参照)をオンに操作すると、モータ14に電力を供給し、ユーザがスイッチ26をオフに操作すると、モータ14への電力の供給を停止する。モータ14は、電源回路22から供給される電力によって、出力軸16を回転させる。
【0029】
ギヤハウジング8は、モータハウジング4の前方に取り付けられている。ギヤハウジング8の内部には、互いに噛み合うように配置された第1ベベルギヤ28と第2ベベルギヤ30が収容されている。第1ベベルギヤ28は、出力軸16の前方端部に固定されている。第2ベベルギヤ30は、上下方向に伸びるスピンドル32の上部に固定されている。以下では、第1ベベルギヤ28と第2ベベルギヤ30を総称して、単にベベルギヤ34ともいう。ベベルギヤ34は、モータ14の回転を減速してスピンドル32に伝達する減速機構である。ギヤハウジング8は、ベアリング36を介して、スピンドル32の上方端部を保持している。また、ギヤハウジング8の上面には、シャフトロック38(
図9参照)が設けられている。ユーザがシャフトロック38を下方に押し込むと、第2ベベルギヤ30の回転が禁止されて、スピンドル32の回転が禁止される。
【0030】
ベアリングボックス10は、ギヤハウジング8の下方に取り付けられている。ベアリングボックス10は、ベアリング40を介して、第2ベベルギヤ30を保持している。また、ベアリングボックス10は、ベアリング41を介して、スピンドル32を保持している。スピンドル32は、上下方向に沿った軸A周りに、ベアリングボックス10に対して回転可能である。スピンドル32の下部には、インナフランジIFとアウタフランジOFを介して、研削ホイールGWを取り付け可能である。グラインダ2において、モータ14の出力軸16が回転すると、スピンドル32とともに研削ホイールGWが軸A周りに回転することで、ワークの研削を行うことができる。スピンドル32は、先端工具である研削ホイールGWを保持する先端工具保持部ということもできる。なお、以下の説明では、モータハウジング4、リヤハウジング6、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10を総称して、単にハウジング42ともいう。
【0031】
ベアリングボックス10には、ホイールカバー12が取り付けられている。
図2に示すように、ホイールカバー12は、バンド部44と、本体部45を備えている。
【0032】
バンド部44は、上下方向に伸びる略円筒形状を有している。
図3に示すように、バンド部44の内周面には、軸Aの径方向内側に向けて突出しており、軸Aの周方向に長手方向を有する抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eが形成されている。抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eは、上下方向の位置が互いに一致している。抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eのうち、抜け止めリブ44a、44b、44cは、軸Aの周方向における幅が互いに一致している。抜け止めリブ44d、44eは、軸Aの周方向における幅が互いに一致している。軸Aの周方向における抜け止めリブ44d、44eの幅は、軸Aの周方向における抜け止めリブ44a、44b、44cの幅よりも大きい。また、抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eは、軸Aの径方向における幅が互いに一致している。
図4に示すように、軸Aの径方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの幅w1は、いずれも、0.5mmから5.0mmの範囲内であって、本実施例では1.5mmである。また、
図2に示すように、バンド部44には、バンド部44の略半周にわたって、複数の貫通孔44fが形成されている。複数の貫通孔44fは、軸Aの周方向に並ぶように配置されている。
【0033】
本体部45は、上面部46と、側面部48を備えている。上面部46は、バンド部44の下側端部から軸Aの径方向に拡がる円環部46aと、円環部46aの外側端部から軸Aの径方向に伸びる略半円形状の半円部46bを備えている。側面部48は、半円部46bの外側端部から下方に伸びる略半円筒形状の半円筒部48aと、半円筒部48aの下端から内側に屈曲した絞り部48bを備えている。図示しないが、本体部45は、研削ホイールGWの少なくとも一部を覆う形状に形成されている。本実施例では、本体部45は、研削ホイールGWの略半周にわたる部分を覆う形状に形成されている。
図1に示す例では、本体部45は、研削ホイールGWの後方の部分を覆う位置に配置されている。本体部45によって、グラインダ2の使用時に、研削ホイールGWからユーザに向けて研削粉が飛ぶことを防止することができる。なお、本体部45は、スピンドル32の少なくとも一部を覆っているともいえる。
【0034】
図5に示すように、ベアリングボックス10には、軸Aの軸方向(すなわち上下方向)に沿って下方に突出する略円筒形状のカバー取付部50が形成されている。
図4に示すように、カバー取付部50は、取付溝51と、ガイド溝52と、フランジ54を備えている。取付溝51は、カバー取付部50の全周にわたって連続的に設けられている。軸Aの径方向における、ガイド溝52の底面から取付溝51の底面までの幅w2は、-4.5mmから9.5mmの範囲内であって、本実施例では0.4mmである。幅w2が正の値である場合、幅w2はガイド溝52の底面を基準面とした時の取付溝51の深さに相当する。幅w2が負の値である場合、幅w2は取付溝51の底面を基準面とした時のガイド溝52の深さに相当する。また、取付溝51には、ラバーリング56が取り付けられている。
【0035】
図6に示すように、ラバーリング56は、軸Aに関して略軸対称な帯形状を有している。ラバーリング56は、下面56a(
図7参照)と、上面56bと、内側円筒面56cと、外側円筒面56dと、下側傾斜面56eと、上側傾斜面56fを備える。下側傾斜面56eは、下面56aと外側円筒面56dの接続部分に面取り加工を施すことによって形成されている。上側傾斜面56fは、上面56bと外側円筒面56dの接続部分に面取り加工を施すことによって形成されている。なお、下面56aと内側円筒面56cの接続部分と、上面56bと外側円筒面56dの接続部分には、面取り加工が施されていない。このため、下面56aと内側円筒面56cの接続部分と、上面56bと外側円筒面56dの接続部分は、いわゆるピン角形状を有している。また、ラバーリング56に負荷がかかっていない状態では、内側円筒面56cの内径は、取付溝51(
図4参照)の底面の外径よりもわずかに小さい。このため、ラバーリング56は、取付溝51の底面によって軸Aの径方向外側にわずかに押し広げられた状態で、取付溝51に取り付けられる。なお、
図6では、負荷がかかっていない状態のラバーリング56を図示していることに留意されたい。
【0036】
図7に示すように、ラバーリング56は、軸Aの周方向に直交する断面において、略矩形形状を有する。軸Aの軸方向におけるラバーリング56の幅w3は、0.5mm以上であって、本実施例では5.0mmである。軸Aの径方向におけるラバーリング56の幅w4は、0.5mmから10mmの範囲内であって、本実施例では2.5mmである。また、軸Aの軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、軸Aの径方向におけるラバーリング56の幅w4に対する比率は、0.05以上であって、本実施例では2.0である。軸Aの径方向におけるラバーリング56の幅w4の、軸Aの径方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの幅w1(
図4参照)に対する比率は、0.1から20の範囲内であって、本実施例では1.7である。なお、
図7では、負荷がかかっていない状態のラバーリング56を図示していることに留意されたい。
【0037】
図4に示すように、ラバーリング56は、一部が取付溝51に嵌まり込んでおり、残部が取付溝51から軸Aの径方向外側に突出している。取付溝51から突出したラバーリング56の下面56aは、ガイド溝52の上側の壁面として機能している。
【0038】
図5に示すように、フランジ54は、カバー取付部50の最下端において、軸Aの径方向に突出している。フランジ54の上面は、ガイド溝52の下側の壁面として機能している。フランジ54には、ホイールカバー12の抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44e(
図3参照)に対応して、切り欠き54a、54b、54c、54d、54eが形成されている。切り欠き54a、54b、54c、54d、54eは、ガイド溝52に連通している。
図4に示すように、軸Aの径方向における、ガイド溝52の底面からフランジ54の外周面までの幅w5は、0.5mmから5.5mmの範囲内であって、本実施例では1.7mmである。幅w5は、フランジ54の外周面を基準面とした時のガイド溝52の深さに相当する。また、幅w2と幅w5の和は、フランジ54の外周面を基準面とした時の取付溝51の深さに相当する。
【0039】
図8に示すように、ベアリングボックス10には、ロック機構104が設けられている。ロック機構104は、ロックプレート106と、スリーブ108、110と、圧縮バネ112を備えている。
【0040】
ロックプレート106は、ギヤハウジング8およびベアリングボックス10と干渉しない形状で左右方向に伸びる平板状の基部106aと、基部106aの左側端部から上方に伸びる操作部106bと、基部106aに形成されており、左右方向に長手方向を有する長孔106c、106dと、基部106aの右側端部から前方に伸びる腕部106eと、腕部106eの前側端部の近傍において左側に向けて突出する係止部106f(
図5参照)と、基部106aの長孔106cと長孔106dの間で上方に向けて突出する当接部106gを備えている。
【0041】
ロックプレート106は、ベアリングボックス10をギヤハウジング8に固定しているネジ58a、58b(
図5参照)、58c、58dのうち、後方左方に配置されたネジ58cと、後方右方に配置されたネジ58dに取り付けられている。ネジ58cは上下方向に伸びており、ロックプレート106の長孔106cを貫通して、スリーブ108と、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ネジ58dは、上下方向に伸びており、ロックプレート106の長孔106dを貫通して、スリーブ110と、ベアリングボックス10と、ギヤハウジング8を締結している。ロックプレート106は、左右方向にスライド可能に、ネジ58c、58dに保持されている。
【0042】
ギヤハウジング8とベアリングボックス10の間には、圧縮バネ112を収容するバネ収容室8aが形成されている。バネ収容室8aは、下方に開口しており、ロックプレート106の当接部106gを内部に受け入れている。バネ収容室8aの右部には、バネ受け壁8bが形成されている。圧縮バネ112は、バネ収容室8aにおいて、左右方向に沿って配置される。圧縮バネ112は、右端がバネ受け壁8bに当接し、左端が当接部106gに当接している。圧縮バネ112は、ベアリングボックス10に対してロックプレート106を左方向、すなわち係止部106f(
図5参照)をカバー取付部50に近づける方向に付勢している。
【0043】
図9に示すように、ホイールカバー12をグラインダ2に取り付ける際には、ロックプレート106の操作部106b(
図5参照)を右方向に押し込んで、係止部106fをカバー取付部50から離反させた状態とする。この状態から、ホイールカバー12の抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44e(
図3参照)をカバー取付部50の切り欠き54a、54b、54c、54d、54e(
図5参照)に位置合わせして、カバー取付部50がバンド部44の内側に入り込むように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせる。なお、
図9に示す状態では、ラバーリング56の外側円筒面56dの外径は、バンド部44の内径よりもわずかに大きい。このため、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して上方向にスライドさせていくと、バンド部44の上面の内側周縁部が、やがてラバーリング56の下側傾斜面56eに当接する。下側傾斜面56eは上方に向かうにつれて拡径した形状を有しているので、バンド部44が下側傾斜面56eに当接した状態では、バンド部44とラバーリング56の間に径方向の反力が生じる。このため、ホイールカバー12をさらに上方向にスライドさせていくと、ラバーリング56が軸Aの径方向内側に押し縮められて、バンド部44の内側に嵌まり込んでいく。これにより、
図10に示すように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に取り付けることができる。なお、この状態では、操作部106b(
図5参照)の押し込みを解除すると、圧縮バネ112(
図8参照)の付勢力によってロックプレート106が左方に押し戻される。これにより、係止部106fの先端がバンド部44の外周面に押し付けられる。また、バンド部44の内側面に嵌まり込んだラバーリング56(
図9参照)は、バンド部44とカバー取付部50の間で押圧される。ラバーリング56により、バンド部44とカバー取付部50の間が封止される。
【0044】
抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44e(
図3参照)が切り欠き54a、54b、54c、54d、54e(
図5参照)に位置合わせされた状態における、ベアリングボックス10に取り付けられた後のホイールカバー12の位置(すなわち、
図10に示すようなホイールカバー12の位置)を、以下では「着脱位置」ともいう。
【0045】
ベアリングボックス10に取り付けられたホイールカバー12は、カバー取付部50に対して、軸A周りに回転可能である。ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して着脱位置から回転させると、バンド部44がラバーリング56(
図9参照)に対して摺動するとともに、抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44e(
図3参照)がガイド溝52(
図9参照)内を軸A周りに移動する。これにより、
図4に示すように、フランジ54の上面に抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eのそれぞれの下面が向かい合った状態となる。この状態では、抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eがフランジ54の上面に当接することにより、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが禁止される。この場合、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すことができない。
【0046】
また、
図10に示す状態から、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させていくと、ロックプレート106の係止部106fに対するバンド部44の複数の貫通孔44fの位置が変化する。ロックプレート106の係止部106fがバンド部44の複数の貫通孔44fのうちの一つに位置合わせされると、例えば
図11に示すように、圧縮バネ112の付勢力によって係止部106fが貫通孔44fに入り込む。この状態では、ホイールカバー12がロックプレート106と係合しているので、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する回転が禁止されて、ホイールカバー12がベアリングボックス10に対して固定される。
【0047】
係止部106fが貫通孔44fに入り込んだ状態における、ベアリングボックス10に対するホイールカバー12の位置(すなわち、
図11に示すようなホイールカバー12の位置)を、以下では「固定位置」ともいう。
【0048】
なお、係止部106fに位置合わせされる貫通孔44fによって、ホイールカバー12の固定位置が異なる。すなわち、係止部106fに位置合わせされる貫通孔44fによって、軸Aの周方向における本体部45の位置が異なる。ホイールカバー12の固定位置を変更する場合には、ロックプレート106の操作部106b(
図5参照)を右方向に押し込んで、係止部106fを貫通孔44fから抜け出した状態としてから、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して回転させる。そして、係止部106fに位置合わせする貫通孔44fを適宜選択することで、ホイールカバー12の固定位置を選択することができる。
【0049】
ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外す際には、ロックプレート106の操作部106b(
図5参照)を押し込みながら、
図10に示すように、ホイールカバー12をベアリングボックス10に対して着脱位置まで回転させる。この状態では、抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eが切り欠き54a、54b、54c、54d、54eと位置合わせされて、ホイールカバー12のベアリングボックス10に対する下方向へのスライドが許容される。この場合、ホイールカバー12をベアリングボックス10から取り外すことができる。
【0050】
図4に示すように、軸Aの軸方向におけるバンド部44とカバー取付部50のオーバーラップ幅w6は、2.5mm以上であって、本実施例では14mmである。また、軸Aの軸方向におけるラバーリング56の幅w3(
図7参照)の、軸Aの軸方向におけるバンド部44とカバー取付部50のオーバーラップ幅w6に対する比率は、任意の値を取り得るが、本実施例では0.36である。
【0051】
(変形例)
ラバーリング56の形状は、適宜変更されてもよい。例えば、ラバーリング56は、下側傾斜面56eおよび上側傾斜面56fの少なくとも一方を備えていなくてもよい。例えば、
図12に示すように、ラバーリング56は、上側傾斜面56fを備えていなくてもよい。また、
図13に示すように、ラバーリング56は、内側円筒面56cから軸Aの径方向外側に向けて陥凹した凹部56gを備えていてもよい。
【0052】
取付溝51には、ラバーリング56以外の弾性部材が取り付けられてもよい。例えば、
図14に示すように、取付溝51(
図4参照)には、ラバーリング56の代わりに、複数のOリング72、74が上下に並ぶように取り付けられてもよい。また、取付溝51には、複数の弾性部材(図示せず)が、軸Aの周方向に沿って取り付けられていてもよい。例えば、1つのラバーリング56を複数に分割して得られる複数のラバー部材が、取付溝51に取り付けられてもよい。
【0053】
弾性部材に用いられる材料は、ラバー以外(例えば、スポンジ、プラスチック樹脂)であってもよい。
【0054】
軸Aの径方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの幅w1、軸Aの径方向における取付溝51の幅w2、軸Aの軸方向におけるラバーリング56の幅w3、軸Aの径方向におけるラバーリング56の幅w4、軸Aの径方向におけるフランジ54の幅w5、および軸Aの軸方向におけるバンド部44とカバー取付部50のオーバーラップ幅w6の数値は、適宜変更されてもよい。また、幅w1、w2、w3、w4、w5、w6のうち任意の2つの数値間の比率は、適宜変更されてもよい。
【0055】
下側傾斜面56eおよび上側傾斜面56fは、面取り加工以外の方法・手段によって形成されてもよい。例えば、下側傾斜面56eおよび上側傾斜面56fは、金型によって形成されてもよい。
【0056】
ガイド溝52の上側の壁面は、ラバーリング56の下面56aではなく、カバー取付部50(ベアリングボックス10)によって規定されてもよい。この場合、取付溝51とガイド溝52は、カバー取付部50において互いに離間した位置に設けられていてもよい。
【0057】
バンド部44に、抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eが設けられていなくてもよい。また、カバー取付部50に、ガイド溝52が設けられていなくてもよい。
【0058】
(対応関係)
以上のように、1つまたはそれ以上の実施形態において、グラインダ2(工具の例)は、モータ14(原動機の例)と、モータ14に接続されるベベルギヤ34(動力伝達機構の例)と、モータ14およびベベルギヤ34を収容するハウジング42と、ベベルギヤ34に接続されており、研削ホイールGW(先端工具の例)を保持するスピンドル32(先端工具保持部の例)と、スピンドル32の少なくとも一部を覆う本体部45と、軸A(先端工具保持部の回転軸の例)に沿った略円筒形状を有するバンド部44(取付部の例)と、を含むホイールカバー12(カバーの例)と、ハウジング42に固定されており、バンド部44が取り付けられるカバー取付部50(被取付部の例)と、バンド部44をカバー取付部50に対して固定する状態と固定しない状態の間で切り換わるロック機構104と、を備える。カバー取付部50は、バンド部44を軸Aに沿ってスライド可能に受け入れるとともに、バンド部44を軸A周りに回転可能に受け入れるように構成されている。カバー取付部50には、軸Aの周方向に沿う取付溝51が設けられている。取付溝51には、バンド部44とカバー取付部50によって軸Aの径方向に押圧されるラバーリング56(弾性部材の例)が取り付けられている。軸Aの軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、径方向におけるラバーリング56の幅w4に対する比率は、1.0よりも大きい。
【0059】
上記の構成によれば、軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、径方向におけるラバーリング56の幅w4に対する比率が1.0よりも大きい。このため、径方向におけるラバーリング56の幅w4を過剰に大きくすることなく、軸方向におけるラバーリング56の幅w3を大きくすることができる。これにより、ラバーリング56が径方向に大きく変形することを抑制できるとともに、ラバーリング56によってバンド部44を広範囲にわたって支持できる。従って、カバー取付部50に対するバンド部44のガタツキを十分に抑制することができる。
【0060】
1つまたはそれ以上の実施形態において、軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、軸方向におけるバンド部44とカバー取付部50のオーバーラップ幅w6に対する比率は、0.2以上である。
【0061】
軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、オーバーラップ幅w6に対する比率は、ラバーリング56がバンド部44を支持可能な範囲の、オーバーラップ幅w6に対する相対的な広さを示す指標ともいえる。当該比率が大きいほど、ラバーリング56がバンド部44を支持可能となるため、カバー取付部50に対するバンド部44のガタツキは効果的に抑制される。従来のグラインダでは、軸方向における弾性部材の幅の、オーバーラップ幅に対する比率は、大きくとも0.2未満であった。上記の構成によれば、軸方向におけるラバーリング56の幅w3の、オーバーラップ幅w6に対する比率が、0.2以上である。このため、カバー取付部50に対するバンド部44のガタツキを従来よりも効果的に抑制できる。
【0062】
1つまたはそれ以上の実施形態において、取付溝51およびラバーリング56は、それぞれ、周方向に沿って切れ目なく連続的に設けられる。
【0063】
上記の構成によれば、バンド部44とカバー取付部50の間がラバーリング56によって封止される。これにより、研削ホイールGWがワークを加工することによって生じる粉塵が、バンド部44とカバー取付部50の間を通過することを抑制できる。さらに上記の構成によれば、ラバーリング56がひとつなぎに形成されるので、グラインダ2の部品点数を削減することができる。
【0064】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バンド部44には、バンド部44からカバー取付部50に向けて突出する抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44e(突出部の例)が設けられる。カバー取付部50には、軸方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの移動を規制するガイド溝52が設けられる。径方向におけるラバーリング56の幅w4の、径方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの幅w1に対する比率は、1.0よりも大きい。
【0065】
ラバーリング56の耐久性を向上する観点では、ラバーリング56の厚さ(すなわち径方向におけるラバーリング56の幅w4)をある程度大きくすることが望ましい。従来のグラインダでは、径方向における弾性部材の幅の、径方向における突出部の幅に対する比率は、大きくとも1.0程度であった。このため、ラバーリング56の厚さが比較的小さく、ラバーリング56の耐久性に劣る可能性があった。上記の構成によれば、径方向におけるラバーリング56の幅w4の、径方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの幅w1に対する比率が1.0よりも大きいので、ラバーリング56の厚さを比較的大きくできる。従って、ラバーリング56の耐久性を向上できる。
【0066】
1つまたはそれ以上の実施形態において、バンド部44には、バンド部44からカバー取付部50に向けて突出する抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eが設けられる。カバー取付部50には、軸方向における抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの移動を規制するガイド溝52が設けられる。ガイド溝52の上側の壁面(ガイド溝の一部の例)が、ラバーリング56の下面56aによって規定される。
【0067】
ガイド溝52によって抜け止めリブ44a、44b、44c、44d、44eの軸方向への移動を規制する構成において、取付溝51とガイド溝52が軸方向に離間して設けられると、カバー取付部50が軸方向に関して大型化するおそれがある。上記の構成によれば、ラバーリング56(すなわち取付溝51)とガイド溝52が軸方向に隣接して設けられるので、カバー取付部50を軸方向に関して小型化することができる。
【0068】
1つまたはそれ以上の実施形態において、ラバーリング56は、軸方向に略直交しており、バンド部44がカバー取付部50に取り付けられる際にバンド部44に対向する下面56a(第1面の例)と、軸方向に略直交しており、下面56aとは反対側に向けられる上面56b(第2面の例)と、径方向に略直交しており、取付溝51の外側に向けられる外側円筒面56d(第3面の例)と、径方向に略直交しており、取付溝51の内側に向けられる内側円筒面56c(第4面の例)と、を備える。ラバーリング56は、周方向に直交する断面において、下面56a、上面56b、外側円筒面56d、および内側円筒面56cによって規定される略矩形形状を有する。
【0069】
取付溝51とバンド部44の間には、ラバーリング56を配置するための空間(配置空間とも呼ぶ。)が形成される。一般的に、配置空間は、周方向に直交する断面において略矩形形状を有する。ラバーリング56の形状が配置空間の形状に沿っていないと(例えば、ラバーリング56が周方向に直交する断面において略円形形状を有していると)、取付溝51(またはバンド部44)とラバーリング56の間に比較的大きな隙間が生じてしまう。この隙間が大きいと、ラバーリング56がバンド部44とカバー取付部50によって押圧される際にラバーリング56が大きく変形し得るので、カバー取付部50に対するバンド部44のガタツキを抑制できないことがある。上記の構成によれば、ラバーリング56は、周方向に直交する断面において略矩形形状を有する。すなわち、ラバーリング56が配置空間の形状に沿った形状を有するので、取付溝51(またはバンド部44)とラバーリング56の間に生じる隙間を低減できる。これにより、ラバーリング56がバンド部44とカバー取付部50によって押圧される際にラバーリング56が大きく変形してしまうことを抑制できる。従って、カバー取付部50に対するバンド部44のガタツキを抑制できる。
【0070】
1つまたはそれ以上の実施形態において、下面56aと外側円筒面56dの接続部分は、下側傾斜面56e(面取り形状の例)を有する。
【0071】
下面56aと外側円筒面56dの接続部分が下側傾斜面56eを有していないと、バンド部44をカバー取付部50に取り付ける過程で、バンド部44が下面56aに対して垂直に突き当たる。この時、バンド部44を取り付け方向に押し込んでいっても、ラバーリング56を径方向に押し縮めるような力は生じない。このため、ラバーリング56がバンド部44の内側にうまく入り込んでいかず、取り付け作業を行うユーザに煩わしさを感じさせるおそれがある。上記の構成によれば、下面56aと外側円筒面56dの接続部分が下側傾斜面56eを有している。バンド部44をカバー取付部50に取り付ける過程では、バンド部44が下側傾斜面56eに突き当たる。当該下側傾斜面56eはバンド部44の取り付け方向に向かうにつれて拡径した形状を有しているので、バンド部44を取り付け方向に押し込んでいくと、バンド部44とラバーリング56の間に径方向の反力が生じる。この反力によって、ラバーリング56が押し縮められ、バンド部44の内側に入り込んでいく。従って、上記の構成によれば、ラバーリング56が比較的簡単にバンド部44の内側に入り込んでいくので、取り付け作業を行うユーザが感じる煩わしさを低減できる。
【0072】
1つまたはそれ以上の実施形態において、下面56aと内側円筒面56cの接続部分および上面56bと内側円筒面56cの接続部分の少なくとも一方は、面取り形状を有していない。
【0073】
バンド部44がラバーリング56に対して摺動する際に、ラバーリング56がバンド部44に引っ張られて、ラバーリング56が取付溝51から脱落するおそれがある。上記の構成によれば、下面56aと内側円筒面56cの接続部分および上面56bと内側円筒面56cの接続部分の少なくとも一方は、いわゆるピン角形状を有している。ラバーリング56がバンド部44に引っ張られたとしても、当該ピン角形状が取付溝51の底面や壁面に引っ掛かることにより、ラバーリング56が取付溝51に留められる。従って、ラバーリング56が取付溝51から脱落することを抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
2 :グラインダ
4 :モータハウジング
6 :リヤハウジング
8 :ギヤハウジング
8a :バネ収容室
8b :バネ受け壁
10 :ベアリングボックス
12 :ホイールカバー
14 :モータ
16 :出力軸
18 :ベアリング
20 :ベアリング
22 :電源回路
24 :電源コード
26 :スイッチ
28 :第1ベベルギヤ
30 :第2ベベルギヤ
32 :スピンドル
34 :ベベルギヤ
36 :ベアリング
38 :シャフトロック
40 :ベアリング
41 :ベアリング
42 :ハウジング
44 :バンド部
44a、44b、44c、44d、44e :抜け止めリブ
44f :貫通孔
45 :本体部
46 :上面部
46a :円環部
46b :半円部
48 :側面部
48a :半円筒部
48b :絞り部
50 :カバー取付部
51 :取付溝
52 :ガイド溝
54 :フランジ
54a、54b、54c、54d、54e :切り欠き
56 :ラバーリング
56a :下面
56b :上面
56c :内側円筒面
56d :外側円筒面
56e :下側傾斜面
56f :上側傾斜面
56g :凹部
58a、58b、58c、58d :ネジ
72、74 :Oリング
104 :ロック機構
106 :ロックプレート
106a :基部
106b :操作部
106c、106d :長孔
106e :腕部
106f :係止部
106g :当接部
108、110 :スリーブ
112 :圧縮バネ
GW :研削ホイール
IF :インナフランジ
OF :アウタフランジ