(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075141
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】軒先面戸及びその折板屋根
(51)【国際特許分類】
E04D 3/40 20060101AFI20240527BHJP
E04D 3/362 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
E04D3/40 K
E04D3/362 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186356
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000175973
【氏名又は名称】三晃金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】接待 拓朗
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AS02
2E108AZ08
2E108BN06
2E108CC01
2E108CV09
2E108EE02
2E108FF05
2E108GG05
2E108GG15
(57)【要約】
【目的】重合タイプの折板屋根板材にて施工された折板屋根の軒先に簡易且つ迅速に装着することができる軒先面戸及びその折板屋根を提供すること。
【構成】幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根Bの軒先に装着する軒先面戸Aであって、面戸主板11と該面戸主板11の頂部で且つ該面戸主板11に対して直角状に設けられた接続上部12と該接続上部12に設けられた挿通開口21と該挿通開口21の内周から中心に向かって突出する突出片22とを備えた接続口部2と備えること。折板屋根Bの軒先の下重合山形部82と上重合山形部83との重合頂部又は山形頂部で且つ軒先箇所に予め設置されているドリルビス3Aのネジ軸部32に接続上部の接続口部2が挿入されるようにすること。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根の軒先に装着する軒先面戸であって、面戸主板と該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備え、前記折板屋根の軒先の下重合山形部と上重合山形部との重合頂部又は山形頂部で且つ前記軒先箇所に予め設置されているドリルビスのネジ軸部に前記接続上部の前記接続口部が挿入されるようにしてなることを特徴とする軒先面戸。
【請求項2】
請求項1に記載の軒先面戸において、前記接続上部は前記面戸主板の正面側に位置するように設けられ、該接続板部は前記面戸主板の頂部と同一としてなることを特徴とする軒先面戸。
【請求項3】
請求項1に記載の軒先面戸において、前記接続上部は前記面戸主板の背面側に位置するように設けられ、該接続板部は前記面戸主板の頂部と同一としてなることを特徴とする軒先面戸。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の軒先面戸において、前記突出片の数は3又は4とし、各該突出片は台形状とし、前記接続口部の周囲に沿って等間隔に配置されると共に先端箇所は下方に下がるように傾斜形成されてなることを特徴とする軒先面戸。
【請求項5】
面戸主板と、該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と、該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備えた軒先面戸と、幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根と、前記折板屋根板材同士の前記山形部の重合箇所に螺合されたドリルビスとを備え、該ドリルビスは前記折板屋根の前記軒先の前記重合箇所で且つ軒先箇所に設置され、前記ドリルビスのネジ軸部が前記軒先面戸の接続口部に挿入されると共に、前記突出片が前記ネジ軸部に食い込むことを特徴とした折板屋根。
【請求項6】
請求項5に記載の折板屋根において、前記突出片の数は3又は4とし、各該突出片は台形状とし、前記接続口部の周囲に沿って等間隔に配置されると共に先端箇所は下方に下がるように傾斜形成されてなることを特徴とする折板屋根。
【請求項7】
幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根の軒先に装着する軒先面戸であって、面戸主板と該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備え、前記折板屋根の軒先の下重合山形部と上重合山形部との重合頂部又は山形頂部で且つ前記軒先箇所に予め設置されているタッピングビスのネジ軸部に前記接続上部の前記接続口部が挿入されるようにしてなることを特徴とする軒先面戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合タイプの折板屋根板材にて施工された折板屋根の軒先に簡易且つ迅速に装着することができる軒先面戸及びその折板屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製の重合タイプの折板屋根板材からなり、山形部が連続する屋根の施工が多く行われている。このような屋根の山形部箇所の軒先に雨仕舞,外観性等の目的で装着される面戸が種々開発されている。このような面戸は、屋根用面戸と称されたり、化粧面戸等の種々の名称で称されることもある。
【0003】
そして、その多くの代表的なものとして、面戸に差し込み用の腕状又は板状の突出片が形成され、該突出片を利用して折板屋根板材の一部にビス等の固着具を使用して取り付けるものである。また、面戸の下方に設けられた水切りを、屋根の外壁もしくは外壁の構造材にビス等の固着具にて取り付けるものが存在する。このタイプの面戸を下記に特許文献1及び特許文献2を取り上げた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-120101号公報
【特許文献2】実用新案登録第3209118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開2019-120101号公報)では、軒先面戸の両側に有する爪,ふち及び頂部の突出部をタイトフレームの脚部等に折曲されて固定するものである。また、特許文献2(実用新案登録第3209118号公報)では、面戸の下方に設けられた水切りを、屋根の外壁もしくは外壁の構造材にビス等の固着具にて取り付け、折板屋根板材面戸を折板屋根の軒先に取り付けるものである。
【0006】
特許文献1では、軒先面戸の両側の爪,ふち及び頂部の突出部を折曲してタイトフレームに巻き付けるようにして固定する作業が必要である。この作業は、爪,ふち及び突出部を折り曲げるために工具が必要であり、且つ折り曲げ箇所が複数あり、このようなことから、1つの面戸を取り付けるのに、極めて時間と労力を有することとなり、作業員の肉体的負担が大きくなり、決して効率的な作業とはなり難いものである。
【0007】
特許文献2(実用新案登録第3209118号公報)では、折版屋根用面戸の水返し形状をタッピングネジなどによって外壁もしくは外壁の構造材に固定して、折板屋根板材面戸を折板屋根の軒先に取り付けるものであるため、面戸の閉塞部自体は、折板屋根の軒先部分に配置されているだけであり、特に固定する手段を有していない。そのため、装着作業が面倒であるのみならず、面戸は折板屋根の軒先への装着強度は十分な強度を有しておらず、また装着後においても不安定な状態となる等の問題点が存在する。そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決し、且つ軒先面戸を折板屋根の軒先に装着する作業を簡易且つ迅速にでき且つ強固な装着にできる軒先面戸及びその折板屋根を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで発明者は、前記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根の軒先に装着する軒先面戸であって、面戸主板と該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備え、前記折板屋根の軒先の下重合山形部と上重合山形部との重合頂部又は山形頂部で且つ前記軒先箇所に予め設置されているドリルビスのネジ軸部に前記接続上部の前記接続口部が挿入されるようにしてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、上記課題を解決した。
【0009】
請求項2の発明を、請求項1に記載の軒先面戸において、前記接続上部は前記面戸主板の正面側に位置するように設けられ、該接続板部は前記面戸主板の頂部と同一としてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載の軒先面戸において、前記接続上部は前記面戸主板の背面側に位置するように設けられ、該接続板部は前記面戸主板の頂部と同一としてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1又は2に記載の軒先面戸において、前記突出片の数は3又は4とし、各該突出片は台形状とし、前記接続口部の周囲に沿って等間隔に配置されると共に先端箇所は下方に下がるように傾斜形成されてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項5の発明を、面戸主板と、該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と、該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備えた軒先面戸と、幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根と、前記折板屋根板材同士の前記山形部の重合箇所に螺合されたドリルビスとを備え、該ドリルビスは前記折板屋根の前記軒先の前記重合箇所で且つ軒先箇所に設置され、前記ドリルビスのネジ軸部が前記軒先面戸の接続口部に挿入されると共に、前記突出片が前記ネジ軸部に食い込むことを特徴とした折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項5に記載の折板屋根において、前記突出片の数は3又は4とし、各該突出片は台形状とし、前記接続口部の周囲に沿って等間隔に配置されると共に先端箇所は下方に下がるように傾斜形成されてなることを特徴とする折板屋根としたことにより、上記課題を解決した。
【0011】
請求項7の発明を、幅方向両端に山形部を有する重合タイプの折板屋根板材同士の山形部を重合することにより連結されて施工される折板屋根の軒先に装着する軒先面戸であって、面戸主板と該面戸主板の頂部で且つ該面戸主板に対して直角状に設けられた接続上部と該接続上部に設けられた挿通開口と該挿通開口の内周から中心に向かって突出する突出片とを備えた接続口部と備え、前記折板屋根の軒先の下重合山形部と上重合山形部との重合頂部又は山形頂部で且つ前記軒先箇所に予め設置されているタッピングビスのネジ軸部に前記接続上部の前記接続口部が挿入されるようにしてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、隣接する重合タイプの折板屋根板材同士を重合により連結して施工される折板屋根に予め装着されたドリルビスのネジ軸部に対して、本発明における軒先面戸の接続口部を前記ドリルビスの先端の位置に合わせて作業員が軒先面戸を上方に押し上げるのみで、前記ドリルビスのネジ軸部が軒先面戸の接続口部に挿通し、さらにそのまま軒先面戸を押し上げ続けることで、接続口部の挿通開口にネジ軸部が入り込み貫通し、接続口部の突出片がネジ軸部のネジ溝部(ネジ谷部)に食い込むことで極めて簡易且つ迅速に軒先面戸を折板屋根の軒先に装着することができる。
【0013】
さらに、接続口部の突出片がネジ軸部のネジ溝部(ネジ谷部)に食い込むことにより、接続口部と共に軒先面戸がネジ軸部に極めて強固に固定できる。特に、一旦ネジ軸部のネジ溝部(ネジ谷部)に食い込んだ接続口部の突出片は、その自由端側が基本的に下方に向かって下がるように傾斜して変形するので、作業員は軒先面戸をさらに押し上げ易くなる。
【0014】
そして、軒先面戸がドリルビスのネジ軸部から外れようとする方向、つまり下方への負荷がかかると、突出片は、かえし或いは逆とげとしての働きをなし、該突出片はネジ溝部(ネジ谷部)により深く食い込もうとし、軒先面戸の折板屋根の軒先への装着状態はより一層強固なものとなり、下方側への負荷に対する耐久性に優れたものにできる。
【0015】
また、ドリルビスは、隣接する重合タイプの折板屋根板材同士を重合により連結して折板屋根が施工されるときに、軒先箇所における重合箇所にねじ込み螺合するのみで容易に装着することができる。そして、ドリルビスは、折板屋根板材の山形部同士の重合した頂部箇所にねじ込むものであり、折板屋根板材の山形部の頂部箇所にドリルビスのネジ軸部のネジ山が食い込むようにして螺合することにより、一旦、ねじ込まれたネジ軸部は折板屋根板材の山形部の頂部に強固に固着されることとなる。
【0016】
したがって、軒先面戸を上方に押し上げて、折板屋根の軒先にねじ込まれた前記ドリルビスの先端と衝突しても、ドリルビスは重合した山形部の頂部に対して微動だともせず、ドリルビスのネジ軸部を軒先面戸の接続口部に挿通させて、軒先面戸を軒先に装着することができる。そして、本発明における軒先面戸は、施工時においては、折板屋根の軒先に極めて容易に装着し易く、且つ極めて強固に装着できると共に極めて外れ難いという優れた効果を奏するものである。
【0017】
請求項2の発明を、前記接続上部は前記面戸主板の正面側に位置するように設けられた構成により、ドリルビスのネジ軸部の先端と、軒先面戸の接続口部との両方の位置を確認し易く、ネジ軸部を、接続口部に挿通させることができ、軒先面戸の軒先への装着作業の効率を向上させることができる。請求項3の発明では、前記接続上部は前記面戸主板の背面側に位置するように設けられてなることを特徴とする軒先面戸としたことにより、軒先面戸を折板屋根の軒先に装着したときに、軒先面戸によってドリルビスのネジ軸部が外部から隠されることとなり、ネジ軸部を目立たないようにすることが好まれるときには好適な構造となる。
【0018】
請求項4の発明を、前記突出片の数は3又は4とし、各該突出片は台形状とし、前記接続口部の周囲に沿って等間隔に配置されると共に先端箇所は下方に下がるように傾斜形成される構成としたことにより、折板屋根の軒先に軒先面戸をより一層簡易且つ強固に装着することができる。突出片の数を3としたものでは、3個の突出片が22ネジ軸部の周囲を三方より食い込むので安定した食い込み状態にできる。また、突出片の数を4としたものでは、4個の突出片が22ネジ軸部の周囲を四方より食い込むのでより一層安定且つ強固にできる。
【0019】
さらに、突出片の先端箇所は下方に下がるように傾斜形成される構成により、軒先面戸を折板屋根の軒先に装着する場合、ネジ軸部を接続口部の挿通開口に挿通させ易くでき、少ない力で軒先面戸を軒先に装着することができる。さらに、接続口部の上方より挿通したドリルビスのネジ軸部に対して突出片は先端が下方に傾斜して食い込むので、軒先面戸に下方に荷重がかかると突出片はネジ軸部により一層、強く食い込もうとし、耐久性のある装着状態にできる。
【0020】
請求項5及び請求項6の発明では、折板屋根の軒先に軒先面戸を簡易且つ迅速に装着することができ、施工性及び作業効率に優れ、作業員の負担を減らすことができる折板屋根にすることができる。請求項7の発明では、軒先に予め装着されたタッピングビスを介して軒先面戸を装着するものであり、ドリルビスと略同様に軒先面戸の軒先への装着を簡易且つ迅速にでき、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】(A)は本発明の軒先面戸の斜視図、(B)は(A)の(α)部拡大図、(C)は(B)の(β)部拡大図である。
【
図2】(A)は本発明の軒先面戸の正面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)のY1-Y1矢視断面図、(D)は(A)のX1-X1矢視図、(E)の(D)のX2-X2矢視端面図、(F)は(E)の(γ)部拡大図である。
【
図3】(A)はドリルビスを使用して折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した一部切除且つ断面にした要部拡大正面図、(B)は折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した一部切除且つ断面にした要部拡大正面図、(C)は(B)の(δ)部拡大図、(D)は折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した概略断面図である。
【
図4】(A)は折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した一部切除した斜視図、(B)は軒先面戸とドリルビスとを分離した斜視図、(C)は隣接する折板屋根板材の形状を示す正面略示図である。
【
図5】(A)の(I)は折板屋根の軒先への軒先面戸の装着を開始しようとする状態を示す正面図であり(II)は(I)の(ア)部拡大図、(B)の(I)はドリルビスのネジ軸部が軒先面戸の接続口部に挿通を開始した直後の状態の正面図であり(II)は(I)の(イ)部拡大図、(C)の(I)はドリルビスのネジ軸部が軒先面戸の接続口部に挿通をしている状態の正面図であり(II)は(I)の(ウ)部拡大図、(D)の(I)は折板屋根の軒先への軒先面戸の装着が完了した状態を示す正面図であり(II)は(I)の(エ)部拡大図である。
【
図6】(A)は軒先面戸の接続上部の別の実施形態の要部斜視図、(B)は(A)の要部縦断側面図である。
【
図7】(A)は接続上部及び別の実施形態の接続口部の平面図、(B)は(A)における接続口部の要部斜視図、(C)は接続上部及びさらに別の実施形態の接続口部の平面図、(D)は(C)における接続口部の要部斜視図、(E)はさらに別の実施形態の接続口部の要部斜視図である。
【
図8】(A)は本発明の軒先面戸にシール材を装着した実施形態の斜視図、(B)は本発明の軒先面戸にシール材を装着した実施形態の接続上部の一部を切除した正面図、(C)は(B)の要部平面図である。
【
図9】(A)は下重合山形部と上重合山形部との間に中間山形部を有する折板屋根板材にて施工された折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した実施形態の正面図、(B)はタッピングビスを使用して折板屋根の軒先に軒先面戸を装着した一部切除且つ断面にした要部拡大正面図、(C)は(B)の(ε)部拡大図、(D)はタッピングビスと中間山形部の頂部箇所との拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明における軒先面戸及びその折板屋根の実施形態を図面に基づいて説明する。また、本発明における軒先面戸Aは、構造によって「軒先見切り面戸」,「軒先水切り面戸」等と称することもあり、本発明では主に、軒先面戸と称して説明する。さらに、本発明において、軒先面戸Aが装着される対象となる構成物は折板屋根Bであり、軒先面戸Aの折板屋根Bへの装着にはドリルビス3A又はタッピングビス3Bを備える。まず、軒先面戸Aについて説明する。本発明の軒先面戸Aは、主に面戸部1と接続口部2とを有している(
図1,
図2参照)。
【0023】
さらに、面戸部1は、面戸主板11と接続上部12と傾斜状側部13とを有している。また、軒先面戸Aには必要に応じて見切り部14を有することもある。なお、該見切り部14において「見切り」は、「水切り」と称することもあり、よって「見切り部14」は「水切り部14」と称することもある。また、傾斜状側部13と見切り部14は、必要に応じて設けられるものであり、不要であるならば設けられないこともある。
【0024】
面戸主板11は、軒先面戸Aが装着されてなる折板屋根Bの正面より見た山形部に収まることができる形状である。具体的には、軒先面戸Aは正面より見て隣接する折板屋根板材8,8,…の下重合山形部82の上に上重合山形部83が配置され、下重合山形部82と上重合山形部83とが重合されて構成されてなる略台形山形部分に沿う形状に形成され、折板屋根Bの軒先の形状と略同等形状となっている(
図3,
図5等参照)。面戸主板11の頂部箇所に接続上部12が形成されている(
図1,
図2参照)。前記面戸主板11の幅方向両側の傾斜状端縁から、面戸主板11に略直角で且つ背面側に向かって傾斜状側部13,13が形成されている。
【0025】
接続上部12及び両傾斜状側部13,13は、折板屋根Bの軒先箇所に装着するときに、折板屋根材8の下面側に当接又は近接するものである〔
図3(A),(B)参照〕。また、傾斜状側部13,13及び接続上部12にシール材4が貼着されることもある(
図8参照)。該シール材4は、紐状又は帯状のものであり、スポンジ,ゴム,ウレタン材等にて形成されたものである。
【0026】
シール材4は、両傾斜状側部13,13及び接続上部12上に亘って、連続して両面テープ又は接着剤等にて貼着されたものである〔
図8(C)参照〕。このように、軒先面戸Aが折板屋根Bの軒先に装着されることにより、軒先面戸Aと、折板屋根Bの下重合山形部82と上重合山形部83が重合されて構成される重合山形部Jの下面側との間にシール材4が挟持される状態となり、折板屋根Bと軒先面戸Aとの間において防水性を有する構成にすることができる。
【0027】
面戸主板11には、その外形形状に略等しく、且つ一回り小さく且つ裏面側に膨出形成された台形山形状の凹面部1aが形成されることもある〔
図1(A),
図2(A),(C)参照〕。該凹面部1aは、補強且つ外観性を良好にするものである。さらに、前記面戸主板11の下端には、該面戸主板11の裏面側に向かって屈曲下端片1bが形成され、該屈曲下端片1bの端縁から、正面より見て略長方形状の見切り部14が形成されている〔
図1(A),
図2(A),(C)等参照〕。該見切り部14は、必要に応じて形成されるものであり、必ずしも形成されることはない。
【0028】
接続上部12は、面戸主板11と一つの金属板にて一体的に形成されることができる。この場合、接続上部12は、面戸主板11の頂部箇所より、該面戸主板11に対して略直角状に屈曲形成されたものであって、面戸主板11と接続上部12とは一体的にプレス形成される。接続上部12は、面戸主板11の正面側より前方に向かって突出するように形成される(
図1,
図2参照)。さらに、接続上部12は面戸主板11の裏面側より後方に向かって突出するように形成されることもある(
図6参照)。また、特に図示しないが、接続上部12と面戸主板11とを別部材として、面戸主板11の上端に溶接等の固着手段にて固着する構成としてもかまわない。
【0029】
接続上部12の略中心位置には、接続口部2が形成されている(
図1,
図2参照)。該接続口部2は、軒先面戸Aを、折板屋根Bの軒先に予め装着された後述するドリルビス3A又はタッピングビス3Bを介して折板屋根Bの軒先に装着する役目をなす部位である。なお、本発明の説明では、ドリルビス3Aの使用を前提とする。
【0030】
接続口部2は、挿通開口21と、該挿通開口21の内周から中心に向かって突出する突出片22とを備えている〔
図1,
図2(D),(E),(F)参照〕。接続口部2は、面戸部1の接続上部12に一体的に形成されるものである。これによって、接続上部12は接続口部2と共に軒先面戸Aを、ドリルビス3Aを介して折板屋根Bの軒先に設置される(
図3乃至
図5参照)。接続口部2は、前述したように、挿通開口21と突出片22とによって構成されたものである。
【0031】
挿通開口21は、ドリルビス3Aのネジ軸部32が挿通する接続上部12に形成された貫通箇所である。そして、挿通開口21の内周から挿通開口21の中心位置に向かって突出する突出片22が形成される。接続口部2には、後述するドリルビス3Aのネジ軸部32が相対的に挿通する〔
図3(B),(C),
図5参照〕。
【0032】
具体的には、ドリルビス3Aが折板屋根Bの下重合山形部82と上重合山形部83が重合して構成された重合山形部Jにねじ込み螺合により装着されているので、ドリルビス3Aのネジ軸部32のネジ山が下重合山形部82及び上重合山形部83の金属肉部に食い込み、ドリルビス3Aは折板屋根Bに対して不動状態に固着されることとなる〔
図3(C)参照〕。
【0033】
そのため、軒先面戸Aの接続口部2が作業員の手によって上方に押し上げられ、不動状態のドリルビス3Aの先端のドリル部33を案内役としてネジ軸部32が接続口部2に導かれ、挿通するものであり(
図5参照)、この作業過程で、ドリルビス3Aは山形部の上方に突き上げられて動くことはない。そして、接続口部2の挿通開口21に挿通したネジ軸部32に突出片22の先端が食い込み、接続口部2と共に接続上部12がドリルビス3Aのネジ軸部32に固定される〔
図3(C),
図5(B)乃至(D)の各(II)参照〕。
【0034】
軒先面戸Aの接続口部2の突出片22は、2以上の複数個とし、挿通開口21の周囲に周方向に沿って等間隔に設けられる。なお、接続口部2の突出片22の個数は、1個でもかまわない。具体的には、突出片22の個数は4個が好適である。突出片22の個数を4個とした場合には、挿通開口21を挿通したドリルビス3Aのネジ軸部32を周方向に沿って4個の突出片22が等間隔にネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込むことになり、面戸部1の接続上部12が極めて安定した状態でドリルビス3Aに固定されるものである〔
図3(C),
図5(B)乃至(D)の各(II)参照〕。
【0035】
突出片22は、挿通開口21の内周から中心に向かって先端が狭くなる台形状となることが好ましい〔
図1(B),(C),
図2(C)乃至(D)参照〕。そして、隣接する突出片22同士の間にはスペースが存在するが、このスペースは挿通開口21の一部である〔
図1(C)参照〕。また、接続上部12が水平状に配置された状態で、接続口部2の突出片22の先端部分、つまり挿通開口21の中心側寄りの部分が、下方に下がるように傾斜している。突出片22の先端が下方に下がるように傾斜していることで、不動状態のドリルビス3Aのネジ軸部32が挿通開口21の上方側から挿通させることが行い易くなる〔
図5(B)乃至(D)参照〕。
【0036】
接続口部2の突出片22の個数を等間隔に3個とすることも好適であり、挿通開口21に挿通したドリルビス3Aのネジ軸部32を突出片22が等間隔に3方向から食い込み安定した接続口部2の固定状態にすることができる〔
図7(A),(B)参照〕。接続口部2の突出片22の個数を5個以上とすることもあり、ドリルビス3Aのネジ軸部32を突出片22が等間隔に多方向から食い込み軒先面戸Aを強固な固定状態にすることができる〔
図7(C)~(E)参照〕。また、ネジ軸部32を挿通開口21に挿通するときの突出片22による抵抗を小さくすることができ軒先面戸Aの折板屋根への装着作業を楽にできる。
【0037】
ドリルビス3Aは、ビス頭部31とネジ軸部32とドリル部33からなる〔
図3(B),(C)参照〕。ドリルビス3Aはドリルネジと称することも在る。該ドリルビス3Aは、ドリル部33によって、金属板に貫通孔を穿孔することができる。つまり、予め下孔を穿孔しておく必要はないものである。
【0038】
ドリルビス3Aは、幅方向に隣接する折板屋根板材8,8の下重合山形部82上に上重合山形部83が重合されて構成される重合山形部Jの頂部Jt箇所で且つ軒先箇所に上方からねじ込まれて螺合される。重合山形部Jの頂部Jt箇所は、下重合山形部82の頂面部82bに上重合山形部83の頂面部83bが配置され重合する箇所となる。そして、重合山形部Jの頂部Jtの下面側(頂面部82b)からドリルビス3Aのネジ軸部32が下方に向かって垂直状に突出する構造となる〔
図3(B),(C)参照〕。
【0039】
次に、本発明における軒先面戸Aが装着される折板屋根Bについて、軒先面戸Aを折板屋根Bの軒先に装着する工程に基づいて説明する。折板屋根Bは、主に、前述した軒先面戸Aと、ドリルビス3Aと、折板屋根板材8により構成される。折板屋根板材8は、幅方向両端に山形部を有する重合タイプの金属製の折板タイプの屋根板材である。そして、前記山形部とは、後述する下重合山形部82,上重合山形部83及び中間山形部84の総称である。
【0040】
折板屋根板材8は、底面部81の幅方向の一端側に下重合山形部82が形成され、他端側に上重合山形部83が形成されている〔
図3(A),(B),(D),
図4(A)等参照〕。前記底面部81は、平坦板状の部位であり、幅方向寸法は適宜に設定されるものであり、下重合山形部82と上重合山形部83との間隔が小さい実施形態や、大きい実施形態が存在する。下重合山形部82は傾斜状立上り側部82aの上端に頂面部82bが形成され、該頂面部82bの外端から下方に向けて傾斜状端縁82cが形成されている。該傾斜状端縁82cは、前記傾斜状立上り側部82aよりも上下方向において短く設定されている〔
図4(C)参照〕。
【0041】
同様に、上重合山形部83は傾斜状立上り側部83aの上端に頂面部83bが形成され、該頂面部83bの外端から下方に向けて傾斜状端縁83cが形成されている。該傾斜状端縁83cは、前記傾斜状立上り側部83aよりも上下方向において短く設定されている〔
図4(C)参照〕。
【0042】
そして、隣接する折板屋根板材8,8同士の下重合山形部82と上重合山形部83とが重合されて略台形状の重合山形部Jが構成され、重合タイプの折板屋根Bが構成される。折板屋根Bは、前記重合山形部Jが所定間隔をおいて複数配置される構造となる〔
図3(A)参照〕。
【0043】
まず、折板屋根Bは、複数の折板屋根板材8,8,…が配置され、隣接する折板屋根板材8,8の下重合山形部82の上に上重合山形部83が配置且つ重合して連結される。そして、下重合山形部82と上重合山形部83との重合箇所の頂部Jtにドリルビス3Aが螺合される〔
図3(B)乃至(D)参照〕。このときの重合山形部Jは、下重合山形部82の傾斜状立上り側部82aと上重合山形部83の傾斜状端縁83cが重合し、下重合山形部82の傾斜状端縁82cと上重合山形部83の傾斜状立上り側部83aとが重合し、両頂面部82b,頂面部83b同士が重合するものである。
【0044】
ドリルビス3Aが折板屋根Bの軒先に装着されたときには、折板屋根Bの下重合山形部82及び上重合山形部83の頂面部82b,頂面部83b同士が重合状態となり、その重合された下面側つまり下重合山形部82の頂面部82bの下面側からドリル部33及びネジ軸部32が下方に向かって垂直状に突出するようにして配置される状態となる〔
図3(C),
図4(B),
図5(A)等参照〕。そして、作業員が軒先面戸Aの下方部分を両手で持ち、接続上部12の接続口部2が前記ドリルビス3Aのドリル部33の下方の位置するように設定する。
【0045】
次に、作業員は、軒先面戸Aをそのまま上方に押し上げて、ドリルビス3Aのドリル部33が接続口部2の挿通開口21に挿入し、前記ドリル部33がネジ軸部32への案内役となり、ネジ軸部32が接続口部2の挿通開口21に挿通することになる〔
図5(A)の(I)及び(II)参照〕。さらに、そのまま、軒先面戸Aを押し上げネジ軸部32の下端から挿通開口21に挿通させる〔
図5(B)の(I)及び(II)参照〕。
【0046】
さらに、軒先面戸Aを押し上げてゆくと、接続口部2の突出片22がネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込み始めるが〔
図5(C)の(I)及び(II)参照〕、そのまま、押し上げて接続上部12が折板屋根Bの重合山形部Jの頂部Jt下面に当接又は略当接させる〔
図5(D)の(I)及び(II)参照〕。このとき、接続口部2の突出片22は、ドリルビス3Aのネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込み軒先面戸Aは、折板屋根Bの重合山形部Jに装着固定できる。
【0047】
図3(D)は、折板屋根Bの軒先に軒先面戸Aを装着した一部切除した側面図である。
また、
図4(A)は、折板屋根Bの軒先に軒先面戸Aを装着した要部斜視図である。図中91はタイトフレームであり、前記タイトフレーム91上には先端が円錐状に尖った状態の剣先ボルトが備わっている。そして、隣接する折板屋根板材8,8の下重合山形部82と上重合山形部83とが重合されつつ、重合箇所から上方に突出した剣先ボルトにとナットが締め付けられ、これを、全ての受具において行い、折板屋根Bが施工される。
【0048】
また、93は外壁であり、94は、前記外壁93に装着された軒先水切り材である。軒先面戸Aは、折板屋根Bの軒先に装着した後、必要に応じて軒先面戸Aの見切り部14を軒先水切り材94にビス等の固着具にて固着し、折板屋根Bの軒先への軒先面戸Aの装着が完了する。95は、鉄骨等の構造材であり、該構造材95上に前記タイトフレーム91が設置固着される。
【0049】
折板屋根Bの軒先に装着され且つ隣接する軒先見切面戸A,A同士は、見切り部14の幅方向一端側に形成された連結突起片14aが隣接する軒先面戸Aの見切り部14の裏面側に配置され、前記連結突起片14a部分がビス等の固着具で固着される〔
図3(A),(D)参照〕。さらに、ビスにて軒先面戸Aの見切り部14が軒先水切り材94に固着されてもよい。連結突起片14aには、あらかじめビス等の固着具用の孔が形成されている。
【0050】
本発明では、隣接する重合タイプの折板屋根板材8,8同士を重合により連結して施工される折板屋根Bに予め装着されたドリルビス3Aのネジ軸部32に対して、本発明における軒先面戸Aの接続口部2を前記ネジ軸部32の位置に合わせて作業員が軒先面戸Aを上方に押し上げるのみで、前記ドリルビス3Aのネジ軸部32が軒先面戸の接続口部2に挿通する。そして、そのまま軒先面戸Aを押し上げ続けることで、接続口部2の挿通開口21にネジ軸部32が入り込み貫通し、接続口部2の複数の突出片22,22,…がネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込むことで、軒先面戸Aを折板屋根Bの軒先に極めて簡易且つ迅速に装着することができる。
【0051】
さらに、接続口部2の突出片22がネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込むことにより、接続口部2と共に軒先面戸Aがネジ軸部32に極めて強固に固定できる。特に、一旦、ドリルビス3Aのネジ軸部32のネジ溝部(ネジ谷部)32aに食い込んだ接続口部2の突出片22は、その自由端側が基本的に下方に向かって下がるように傾斜して変形するので、作業員は軒先面戸Aをさらに押し上げ易くなる〔
図3(B),(C),
図5(B)参照〕。
【0052】
そして、軒先面戸Aがドリルビス3Aのネジ軸部32から外れようとする方向、つまり下方への負荷がかかると、突出片22は、下方への負荷に抵抗するかえし状或いは逆とげ状としての働きをなし、該突出片22はネジ溝部(ネジ谷部)32aにより深く食い込もうとし、軒先面戸Aの折板屋根Bの軒先への装着状態はより一層強固なものとなり、下方側への負荷に対する耐久性に優れたものにできる〔
図3(C)参照〕。これによって、軒先面戸Aは、下方側への負荷に対して強固に耐え得るものであり、耐久性に優れたものにできる。
【0053】
本発明において、隣接する重合タイプの折板屋根板材8,8の下重合山形部82に上重合山形部83を配置し、重合連結して折板屋根Bが施工され、ドリルビス3Aを軒先箇所における重合箇所にねじ込み螺合するのみで容易に装着することができる。そして、ドリルビス3Aは、隣接する折板屋根板材8,8における下重合山形部82と上重合山形部83の重合した頂部、すなわち重合山形部Jの頂部Jt箇所にねじ込むものであり、折板屋根Bの重合山形部Jの頂部Jt箇所にドリルビス3Aのネジ軸部32のネジ山32aが食い込むようにして螺合することにより、一旦、ねじ込まれたネジ軸部32は折板屋根板材8の重合山形部J(下重合山形部82及び上重合山形部83の重合箇所)の頂部Jtに強固に装着されることとなる。
【0054】
したがって、軒先面戸Aを上方に押し上げて、折板屋根Bの軒先にねじ込まれたドリルビス3Aの先端(ドリル部33)と衝突しても、ドリルビス3Aは重合山形部Jの頂部Jtに対して微動だともすることがない。そのために、ドリルビス3Aのネジ軸部32を軒先面戸Aの接続口部2に挿通させて、軒先面戸Aを軒先に装着することができる。また、折板屋根板材8は、前述したように、底面部81の幅方向の両端に下重合山形部82及び上重合山形部83を有しているが、さらに折板屋根板材8の別の実施形態として下重合山形部82と上重合山形部83との間に1又は複数個の台形状の中間山形部84が形成されることもある〔
図9(A)参照〕。そして下重合山形部82と中間山形部84との間、及び中間山形部84と上重合山形部83との間には底面部81が存在する。
【0055】
前記中間山形部84は、下重合山形部82と上重合山形部83が重合して構成される重合山形部Jと略同等の形状であり、中間山形部84で且つ軒先箇所では本発明における軒先面戸Aが装着される〔
図9(A),(B)参照〕。この場合、中間山形部84は、重合山形部Jのように下重合山形部82と上重合山形部83のそれぞれの頂面部82b,83bの二枚の金属板が重なるものではなく、一枚の金属板状となる〔
図9(B)参照〕。そして、ドリルビス3Aは、中間山形部84の頂部84aを形成する一枚の金属板に対してねじ込み螺合させることで、軒先面戸Aの押し上げに対して十分に不動を維持できる固定状態にすることができる。
【0056】
したがって、重合山形部Jに軒先面戸Aを装着するのと同様に中間山形部84に対しても同様の手順にて軒先面戸Aを装着することができる。軒先面戸Aの中間山形部84への装着については、重合山形部Jへの軒先面戸Aの装着と略同等であるため、
図5の重合山形部Jを中間山形部84に置き換えて参照されたい。また、本発明における軒先面戸Aは、折板屋根板材8において複数の中間山形部84,84,…を有したものをルーフデッキとして使用した場合に対応する面戸として使用することもできる。
【0057】
本発明では、折板屋根Bにおける重合山形部Jの軒先に軒先面戸Aを装着するために、軒先の頂部Jtに予めドリルビス3Aを装着するものとして説明したが、該ドリルビス3Aの代わりにタッピングビス3Bを使用しても構わない(
図9参照)。特に、折板屋根板材8が薄板金属材の場合ではタッピングビス3Bが使用に適したものとなる。タッピングビス3Bは、ドリルビス3Aのようにドリル部33が存在しないもので、形状が簡単で安価である〔
図9(B),(C)参照〕。
【0058】
タッピングビス3Bが使用される場合では、金属板に下孔を予め穿孔しておくことが必要であり、これを本発明に当てはめてみると、折板屋根Bの重合山形部Jではなく、中間山形部84のように一枚金属板の部分に好適であり、該中間山形部84の頂部84aには下孔84bが穿孔されるものである〔
図9(D)参照〕。そして、該下孔84bにタッピングビス3Bの先端を挿入してねじ込むことにより、頂部84aに内ネジを形成しながら、頂部84aに装着される〔
図9(B),(C)参照〕。
【符号の説明】
【0059】
A…軒先面戸、11…面戸主板、12…接続上部、2…接続口部、21…挿通開口、
22…突出片、3A…ドリルビス、3B…タッピングビス、B…折板屋根、
8…折板屋根板材、82…下重合山形部、83…上重合山形部、J…重合山形部、
Jt…頂部、84…中間山形部、84a…頂部。