(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075150
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】媒体排出装置、記録装置、及び媒体排出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 31/30 20060101AFI20240527BHJP
B65H 31/20 20060101ALI20240527BHJP
B65H 29/52 20060101ALI20240527BHJP
B41J 13/00 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
B65H31/30
B65H31/20
B65H29/52
B41J13/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186371
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 雄佑
(72)【発明者】
【氏名】山田 克己
【テーマコード(参考)】
2C059
3F054
3F101
【Fターム(参考)】
2C059AB06
2C059AB18
3F054AA01
3F054AB03
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB14
3F054BE09
3F054BE11
3F054BJ02
3F054CA04
3F054CA37
3F054DA04
3F054DA12
3F101FA06
3F101FB12
3F101FC05
3F101FE20
3F101LA01
3F101LB01
(57)【要約】
【課題】排出された媒体の視認性を向上させることが可能な媒体排出装置、記録装置、及び媒体排出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】前面14aに開口部141aが形成された筐体と、筐体の内部に設けられ、開口部141aに向けて媒体を排出可能な第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154と、排出される媒体を受ける排紙トレイ40と、を備え、排紙トレイ40は、媒体の少なくとも一部を筐体の内部で支持し、第3排出ローラー対154は、第2排出ローラー対153よりも媒体の排出方向において下流に位置し、媒体のうち第1用紙は、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出され、媒体のうち第1用紙よりもサイズが小さい第2用紙P2は、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に開口が形成された筐体と、
前記筐体の内部に設けられ、前記開口に向けて媒体を排出可能な排出部と、
前記排出部によって排出される媒体を受ける媒体受け部と、
を備え、
前記媒体受け部は、媒体の少なくとも一部を前記筐体の内部で支持し、
前記排出部は、第1排出部と、前記第1排出部よりも媒体の排出方向において下流に位置する第2排出部と、を有し、
媒体のうち第1媒体は、前記第1排出部によって前記媒体受け部に排出され、
媒体のうち前記第1媒体よりもサイズが小さい第2媒体は、前記第1排出部及び前記第2排出部によって前記媒体受け部に排出される、
ことを特徴とする、媒体排出装置。
【請求項2】
前記第1排出部と前記第2排出部との間で、媒体を案内する案内部をさらに備え、
前記案内部は、前記第1媒体を前記媒体受け部に案内する第1案内面を有し、
前記第1案内面は、前記排出方向と交差する幅方向において、前記第1媒体が通過する領域であって、前記第2媒体が通過しない領域に配置される、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項3】
前記案内部は、前記第1案内面よりも前記排出方向において下流に、前記第2媒体を前記第2排出部に案内する第2案内面を有する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項4】
前記第2排出部は、前記媒体受け部の鉛直上方に位置し、
前記第1案内面は、前記第1媒体を前記第2排出部の下方に案内する、
ことを特徴とする、請求項2に記載の媒体排出装置。
【請求項5】
前記第2排出部は、ニップ点において媒体を挟持するローラー対であり、
前記第1案内面の少なくとも一部は、前記ニップ点よりも下方に位置する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の媒体排出装置。
【請求項6】
前記案内部は、前記第1案内面よりも前記排出方向において下流に、前記第2媒体を前記第2排出部に案内する第2案内面を有し、
前記第2排出部は、ニップ点において媒体を挟持するローラー対であり、
前記第2案内面は、前記ニップ点よりも下方から前記第2媒体を支持する、
ことを特徴とする、請求項4に記載の媒体排出装置。
【請求項7】
前記第1排出部と前記第2排出部との間で、媒体を案内する案内部と、
前記第1媒体と、前記第2媒体とを判別する制御部と、
をさらに備え、
前記案内部は、媒体を前記媒体受け部に案内する第1案内位置と、媒体を前記第2排出部に案内する第2案内位置と、に変位可能であり、
前記制御部は、
前記第1媒体を排出する場合には、前記案内部を前記第1案内位置に変位させ、
前記第2媒体を排出する場合には、前記案内部を前記第2案内位置に変位させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項8】
前記第2排出部によって前記媒体受け部に排出された前記第2媒体の少なくとも一部は、前記開口を介して前記筐体の外に突出する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項9】
前記媒体受け部に排出された前記第2媒体の前記排出方向における上流端は、前記媒体受け部に排出された前記第1媒体の前記排出方向における上流端よりも、前記排出方向において下流に位置する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項10】
前記第1面と前記第2排出部との距離は、前記第2媒体の前記排出方向における長さよりも短い、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項11】
前記第1媒体と、前記第2媒体とを判別する制御部をさらに備え、
前記第2排出部は、ローラー対であり、
前記制御部は、
前記ローラー対が媒体を挟持可能なニップ状態と、前記ローラー対が離間した解除状態と、を切換可能であり、
前記第1媒体を排出する際に、前記第2排出部を前記解除状態とし、
前記第2媒体を排出する際に、前記第2排出部を前記ニップ状態とする、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項12】
前記第1媒体と、前記第2媒体とを判別する制御部と、
ユーザーに情報を報知する報知部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第2媒体を排出した際に、前記報知部によって前記第2媒体が排出されたことを報知する、
ことを特徴とする、請求項1に記載の媒体排出装置。
【請求項13】
媒体に記録を行う記録部と、
前記記録部によって記録された媒体を排出する、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載された媒体排出装置と、
を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項14】
媒体を排出する排出部と、
前記排出部によって排出される媒体を受ける媒体受け部と、
を備え、
前記排出部が、第1排出部と、前記第1排出部よりも媒体の排出方向において下流に位置する第2排出部と、を有する媒体排出装置の制御方法であって、
排出される媒体が、第1媒体であるか、前記第1媒体よりもサイズが小さい第2媒体であるかを判別することと、
媒体が前記第1媒体である場合に、前記第1媒体を前記第1排出部によって前記媒体受け部に排出することと、
媒体が前記第2媒体である場合に、前記第2媒体を前記第1排出部及び前記第2排出部によって前記媒体受け部に排出することと、
を含むことを特徴とする媒体排出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体排出装置、及びこれを備えた記録装置、並びに媒体排出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、画像が記録されて胴内排出された記録用紙をユーザーが取り出すための開口が正面に形成された画像記録装置が知られている。特許文献1に記載の画像記録装置において、開口より内側には、排紙トレイが配置されており、画像が記録された記録用紙は、装置奥側から開口へ向けて搬送され、排紙トレイに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の画像記録装置では、ハガキなどの小サイズの記録用紙が使用された場合、小サイズの記録用紙は、排紙トレイ上の奥部に載置される。したがって、ユーザーが排紙トレイ上に排出された小サイズの記録用紙を確認しにくい虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
媒体排出装置は、第1面に開口が形成された筐体と、前記筐体の内部に設けられ、前記開口に向けて媒体を排出可能な排出部と、前記排出部によって排出される媒体を受ける媒体受け部と、を備え、前記媒体受け部は、媒体の少なくとも一部を前記筐体の内部で支持し、前記排出部は、第1排出部と、前記第1排出部よりも媒体の排出方向において下流に位置する第2排出部と、を有し、媒体のうち第1媒体は、前記第1排出部によって前記媒体受け部に排出され、媒体のうち前記第1媒体よりもサイズが小さい第2媒体は、前記第1排出部及び前記第2排出部によって前記媒体受け部に排出される。
【0006】
記録装置は、媒体に記録を行う記録部と、前記記録部によって記録された媒体を排出する上記の媒体排出装置と、を備える。
【0007】
媒体排出装置の制御方法は、媒体を排出する排出部と、前記排出部によって排出される媒体を受ける媒体受け部と、を備え、前記排出部が、第1排出部と、前記第1排出部よりも媒体の排出方向において下流に位置する第2排出部と、を有する媒体排出装置の制御方法であって、排出される媒体が、第1媒体であるか、前記第1媒体よりもサイズが小さい第2媒体であるかを判別することと、媒体が前記第1媒体である場合に、前記第1媒体を前記第1排出部によって前記媒体受け部に排出することと、媒体が前記第2媒体である場合に、前記第2媒体を前記第1排出部及び前記第2排出部によって前記媒体受け部に排出することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1用紙が排出された状態を示す拡大断面図。
【
図4】第2用紙が第2排出ローラー対によって排出された状態を示す拡大断面図。
【
図5】第2用紙が第3排出ローラー対によって排出された状態を示す拡大断面図。
【
図8】実施形態2に係るプリンターの要部を示す拡大断面図。
【
図9】実施形態2に係るプリンターの排出動作を示すフローチャート。
【
図10】実施形態3に係るプリンターの要部を示す拡大断面図。
【
図11】実施形態3に係るプリンターの排紙トレイ周辺を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態1
以下、実施形態1に係る記録装置の一例としてのプリンター10を具体的に説明する。
本実施形態のプリンター10は、媒体の一例である用紙P(
図2参照)に液体を吐出することによって記録を行うインクジェットプリンターである。但し、インクジェットプリンターに限らず、レーザープリンターなどでも良い。
図1に示されるように、プリンター10は、スキャナー部11と、本体12と、用紙Pが積載される給紙カセット50と、を備える。プリンター10は、原稿の読み取りと、用紙Pへの記録とを実行可能な複合機である。
【0010】
尚、各図において、X軸方向は、用紙Pの幅方向である。X軸方向を示す矢印の先端側を+X方向、X軸方向を示す矢印の基端側を-X方向とする。プリンター10の前面を見て、右側が+X方向であり、左側が-X方向である。
Y軸方向は、プリンター10の奥行方向であり、X軸方向と直交する。Y軸方向を示す矢印の先端側を+Y方向、Y軸方向を示す矢印の基端側を-Y方向とする。プリンター10の奥側から手前側に向かう方向が+Y方向であり、プリンター10の手前側から奥側に向かう方向が-Y方向である。換言すると、プリンター10の前方が+Y方向であり、後方が-Y方向である。
Z軸方向は、プリンター10の高さ方向であり、X軸方向及びY軸方向の両方と直交する。Z軸方向を示す矢印の先端側を+Z方向、Z軸方向を示す矢印の基端側を-Z方向とする。上方が+Z方向であり、下方が-Z方向である。尚、各方向において+と-を区別しない場合、単にX軸方向、Y軸方向、Z軸方向と記載する。
【0011】
スキャナー部11は、原稿を読み取る。スキャナー部11は、原稿台に載置された原稿を読み取るフラットベッドタイプであっても良く、搬送される原稿を読み取るADF(Auto Document Feeder;自動原稿搬送装置)であっても良く、それらの両方を備えていても良い。
【0012】
本体12は、プリンター10の外郭を構成する筐体14と、筐体14に収容された記録部30(
図2参照)と、記録部30によって記録された用紙Pが排出される排紙トレイ40と、報知部の一例である操作パネル16と、を有する。本体12におけるZ軸方向の中央より-Z方向には、給紙カセット50が着脱可能に収納される。
【0013】
操作パネル16は、筐体14の+Y方向に取付けられる。操作パネル16は、情報を表示することでユーザーに報知を行う機能を有する。操作パネル16は、この他に電源スイッチなどの操作部を有しても良い。また、ユーザーに情報を報知する機能と、操作部としての機能と、を兼ねるタッチパネルなどによって構成されていても良い。操作パネル16は、筐体14に対してチルト可能に取付けられても良い。
【0014】
排紙トレイ40は、複数の部品から構成されており、-Y方向に位置するメイントレイ41と、メイントレイ41に対して+Y方向に延長可能なサブトレイ42と、を有する。サブトレイ42が、さらに複数の部品から構成されていても良い。ここで、排紙トレイ40は媒体受け部の一例である。排紙トレイ40は、給紙カセット50の上方に位置する。
【0015】
排紙トレイ40は、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも+Z方向に位置するように傾斜している。すなわち、メイントレイ41は、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも+Z方向に位置するように傾斜している。また、サブトレイ42が、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも+Z方向に位置するように傾斜しても良い。これによって、排紙トレイ40に排紙された用紙Pが、自重によって-Y方向の力を受けるため、用紙Pの排紙トレイ40からの飛び出しを抑制することができる。
尚、メイントレイ41の全体或いはサブトレイ42の全体が傾斜していなくても良い。また、+Y方向の端部と-Y方向の端部ではなく、+Y方向の一部が-Y方向の一部よりも+Z方向に位置するように傾斜していても良い。
【0016】
サブトレイ42が上述のように傾斜しているとき、サブトレイ42のXY平面に対する傾斜角が、メイントレイ41のXY平面に対する傾斜角よりも大きいことが望ましい。これによって、より効果的に用紙Pの排紙トレイ40からの飛び出しを抑制することができる。
【0017】
筐体14は、+Y方向に向かって開口する凹部141を有する。凹部141は、用紙Pを排出するための、筐体14の内部における空間である。筐体14の+Y方向の側面である前面14aには、用紙Pが排出される開口部141aが形成されている。開口部141aは、凹部141に繋がる開口となっている。凹部141は、排紙トレイ40の上方の空間である。ここで、前面14aは、第1面の一例である。
【0018】
図2は、プリンター10を-X方向に見た場合の断面図である。
プリンター10は、用紙Pを搬送する搬送経路Tを有する。搬送経路Tは、
図2において破線で示される。搬送経路Tには、ピックアップローラー150と、紙送りローラー対151と、第1排出ローラー対152と、第2排出ローラー対153と、第3排出ローラー対154と、プラテン171と、が設けられる。搬送経路Tは、筐体14の内部に設けられる。換言すると、ピックアップローラー150、紙送りローラー対151、第1排出ローラー対152、第2排出ローラー対153、第3排出ローラー対154、及びプラテン171は、筐体14の内部に設けられる。ここで、紙送りローラー対151、第1排出ローラー対152、第2排出ローラー対153、及び第3排出ローラー対154は、ニップ点において用紙Pを挟持するローラー対である。
【0019】
尚、用紙Pが搬送経路Tによって搬送或いは排出される方向を下流と呼び、下流と反対の方向を上流と呼ぶ場合がある。ピックアップローラー150、紙送りローラー対151、第1排出ローラー対152、第2排出ローラー対153、第3排出ローラー対154は、搬送経路Tの上流から下流に向けて、この順で並んでいる。
【0020】
搬送経路Tに設けられる各ローラー対は、図示を省略するが、X軸方向に長尺のローラー軸に1つ以上のローラーが設けられることで構成される。
【0021】
ピックアップローラー150は、給紙カセット50に載置された用紙Pを搬送経路Tに給送するローラーである。給紙カセット50に載置された用紙Pは、ピックアップローラー150によって-Y方向に給送された後に、反転させられ、紙送りローラー対151によって+Y方向に搬送される。紙送りローラー対151は、用紙Pをプラテン171に搬送する。
【0022】
図2に示される記録部30は、プラテン171によって支持された用紙Pに対して、不図示のノズルから液体を吐出することで、用紙Pに画像を形成する。記録部30は、ノズルから用紙Pにインクなどの液体を吐出することで記録を行う。記録部30は、X軸方向に往復移動可能なシリアルヘッドタイプでも良く、X軸方向の移動を伴わずに用紙PのX軸方向全体に渡って液体を吐出可能なラインヘッドタイプでも良い。
【0023】
記録部30によって記録された用紙Pは、第1排出ローラー対152、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154の少なくとも一部によって排紙トレイ40に排出される。つまり、第1排出ローラー対152、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154は、記録部30によって記録された用紙Pを、開口部141aに向けて+Y方向に排出可能である。そして、排紙トレイ40は、+Y方向に排出された用紙Pを受ける。+Y方向は、排出方向の一例である。
【0024】
排紙トレイ40に排出された用紙Pは、少なくとも一部が筐体14の内部に位置する。つまり、排紙トレイ40は、用紙Pの少なくとも一部を筐体14の内部で支持する。換言すると、排紙トレイ40に排出された用紙Pの一部が、開口部141aを介して筐体14の外部まで排出されても良く、用紙Pの全体が筐体14の内部に位置するように排出されても良い。用紙Pの排出の詳細については、後述する。
【0025】
プリンター10は、用紙Pの給送、搬送及び排出を行う不図示の駆動部を備える。不図示の駆動部は、搬送経路Tに設けられるローラーを駆動する。駆動部は、搬送経路Tに設けられるすべてのローラーを駆動しても良く、それぞれのローラー対のうち一方のローラーのみを駆動しても良い。
【0026】
第2排出ローラー対153は、排紙トレイ40の-Y方向の端部に位置する。このとき、第2排出ローラー対153の少なくとも一部が排紙トレイ40と+Y方向においてオーバーラップしても良く、第2排出ローラー対153と排紙トレイ40とが+Y方向においてオーバーラップしなくても良い。第2排出ローラー対153の少なくとも一部が排紙トレイ40と+Y方向においてオーバーラップすることで、プリンター10のY軸方向のサイズを抑制できる。
第3排出ローラー対154は、排紙トレイ40の鉛直上方に位置する。
【0027】
また、プリンター10は、制御部34(
図1参照)を備える。制御部34は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、メモリー、及びストレージを含んで構成される。制御部34は、不図示の駆動部、及び記録部30を含むプリンター10の各部の動作を制御する。
【0028】
メモリーには、CPUが実行するプログラムを含む各種データが格納されている。換言すると、メモリーは、コンピューターにおいて読み取り可能なプログラムが格納された記録媒体の一例である。
【0029】
本実施形態のプリンター10が解決しようとする課題について、詳細に説明する。
図3の一点鎖線は、第3排出ローラー対154を経由せずに、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出された第1用紙P1を示している。第1用紙P1は、後述する第2用紙P2よりもサイズが大きな用紙Pであり、例えばA4サイズのような普通紙である。排紙トレイ40に排出された第1用紙P1の+Y方向における端部は、前面14aよりも+Y方向に突出している。換言すると、第1用紙P1の+Y方向における端部は、筐体14の外部に突出している。すなわち、第1用紙P1の排出方向における下流端は、前面14aよりも+Y方向に突出しており、第1用紙P1の排出方向における下流端は、筐体14の外部に突出している。
【0030】
尚、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出されたときに、+Y方向における端部が、前面14aよりも+Y方向に突出し、筐体14の外部に突出する用紙Pを第1用紙P1としても良い。
また、Y軸方向における長さが所定の長さ以上の用紙Pを第1用紙P1としても良い。さらに、一般にX軸方向すなわち幅方向の長さが長い用紙Pは、Y軸方向における長さも長いため、幅方向の長さが所定の長さ以上の用紙Pを第1用紙P1としても良い。
【0031】
一方で、
図4の一点鎖線は、第3排出ローラー対154を経由せずに、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2を示している。第2用紙P2は、第1用紙P1よりもサイズが小さな用紙Pであり、例えばL判などの用紙Pである。
図4において、排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の+Y方向における端部は、前面14aよりも-Y方向に位置している。換言すると、
図4において、第2用紙P2の+Y方向における端部は、筐体14の内部に位置している。すなわち、
図4において、第2用紙P2の排出方向における下流端は、前面14aよりも-Y方向に位置しており、第2用紙P2の排出方向における下流端は、筐体14の内部に位置している。つまり、
図4において、第2用紙P2の全体が、筐体14の内部に位置している。
【0032】
尚、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出されたときに、+Y方向における端部が、前面14aよりも-Y方向に位置し、筐体14の内部に位置する用紙Pを第2用紙P2としても良い。すなわち、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出されたときに、全体が筐体14の内部に位置する用紙Pを第2用紙P2としても良い。
また、Y軸方向における長さが所定の長さ未満の用紙Pを第2用紙P2としても良い。さらに、一般にX軸方向すなわち幅方向の長さが短い用紙Pは、Y軸方向における長さも短いため、幅方向の長さが所定の長さ未満の用紙Pを第2用紙P2としても良い。
【0033】
ここで、第1用紙P1は第1媒体の一例であり、第2用紙P2は第2媒体の一例である。
【0034】
このように、第3排出ローラー対154を経由せずに、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2は、筐体14の内部において-Y方向すなわち奥側に位置することから、ユーザーが排紙トレイ40に排出された第2用紙P2を視認しづらい虞がある。
【0035】
特に、装置の小型化、設置面積の小型化を実現するためには、排紙トレイ40の筐体14からの突出量や、開口部141aの大きさが小さいことが望ましく、第2用紙P2が視認しづらくなりやすい。
【0036】
図5における一点鎖線は、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2を示している。第3排出ローラー対154は、第2排出ローラー対153よりも+Y方向に位置する。すなわち、第3排出ローラー対154は、第2排出ローラー対153よりも排出方向において下流に位置する。
図5において、排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の+Y方向における端部は、
図4における第2用紙P2の+Y方向における端部よりも+Y方向に位置する。したがって、ユーザーは、
図5における第2用紙P2を
図4における第2用紙P2よりも視認しやすい。
【0037】
また、
図5における第2用紙P2の-Y方向における端部は、
図4における第2用紙P2の-Y方向における端部よりも+Y方向に位置する。つまり、
図5における第2用紙P2の排出方向における上流端は、
図4における第2用紙P2の排出方向における上流端よりも排出方向において下流に位置する。
同様に、
図5における第2用紙P2の-Y方向における端部は、
図3における第1用紙P1の-Y方向における端部よりも+Y方向に位置する。つまり、
図5における第2用紙P2の排出方向における上流端は、第1用紙P1の排出方向における上流端よりも排出方向において下流に位置する。
【0038】
本実施形態のプリンター10は、第2用紙P2を第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出する。一方で、プリンター10は、第1用紙P1を第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出する。すなわち、プリンター10は、第1用紙P1を排紙トレイ40に排出する際に、第3排出ローラー対154による搬送力を第1用紙P1に付与しない。
尚、ここでの「搬送力を付与しない」とは、動力によって用紙Pを積極的に搬送しないことを意味し、用紙Pに接触しない構成だけでなく、用紙Pに従動する構成であっても良い。
【0039】
特に、第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の+Y方向における端部が、前面14aよりも+Y方向に突出していることが望ましい。換言すると、第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の+Y方向における端部が、筐体14の外部に突出していることが望ましい。すなわち、第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の排出方向における下流端が、前面14aよりも+Y方向に突出しており、筐体14の外部に突出していることが望ましい。つまり、第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の少なくとも一部が、開口部141aを介して筐体14の外部に突出していることが望ましい。
【0040】
第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154は排出部の一例であり、第2排出ローラー対153が第1排出部の一例であり、第3排出ローラー対154が第2排出部の一例である。但し、排出部は、必ずしもローラー対である必要はなく、一方のローラーのみで用紙Pを排出する構成でも良い。
【0041】
図5において、前面14aと第3排出ローラー対154とのY軸方向の距離L1は、第2用紙P2のY軸方向の長さL2よりも短い。したがって、第2用紙P2の-Y方向における端部が、第3排出ローラー対154の真下或いは、真下よりも+Y方向に位置するように排出されたとき、第2用紙P2の+Y方向における端部は、前面14aよりも+Y方向に突出する。すなわち、第2用紙P2の+Y方向における端部は、筐体14の外部に突出する。
【0042】
以降では、第2用紙P2を第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出し、第1用紙P1を第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出するための具体的な構成の一例について説明する。
【0043】
図6に示すように、プリンター10は、第2排出ローラー対153と第3排出ローラー対154との間で用紙Pを案内する案内部60を備える。案内部60は、Y軸方向において、第2排出ローラー対153と第3排出ローラー対154との間に位置する。
【0044】
また、案内部60は、Z軸方向において、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154と少なくとも一部が同じ位置にある。すなわち、後述する第1案内部61と第2案内部62とのそれぞれが、Z軸方向において、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154と少なくとも一部が同じ位置にある。尚、案内部60は、X軸方向において、Y軸方向に見たときに、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154と少なくとも一部が重なる位置にあっても良い。但し、本実施形態では、
図7に示すように、案内部60の一部である後述する第1案内部61は、X軸方向において、Y軸方向に見たときに、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154と重なっていない。
【0045】
案内部60は、第1案内部61と、第2案内部62とを有する。第2案内部62は、第1案内部61の+Y方向に位置する。換言すると、第2案内部62は、第1案内部61よりも搬送経路Tにおいて下流に位置する。すなわち、第2案内部62は、第1案内部61よりも排出方向において下流に位置する。
【0046】
第1案内部61は、第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pを-Z方向に案内し、排紙トレイ40に案内する。第1案内部61は、第1案内面61aを有し、第1案内面61aによって、用紙Pを案内する。第1案内面61aは、第1案内部61の-Z方向の面であって、排紙トレイ40に対向する面である。第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pは、その上面が第1案内面61aに当接することで、-Z方向に案内され、第1案内面61aに対向する排紙トレイ40に排出される。つまり、第1案内面61aは、用紙Pを第3排出ローラー対154の-Z方向に案内する。
【0047】
第1案内面61aは、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも-Z方向に位置するように傾斜している。これによって、用紙Pが+Y方向に排出されるのに合わせて、用紙Pを-Z方向に案内することができる。
【0048】
図6に示すように、第1案内面61aは、第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向に位置する。尚、第1案内面61aの一部は、第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも+Z方向に位置していても良い。つまり、第1案内面61aの少なくとも一部が、第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向に位置していれば良い。
【0049】
直線Lは、第3排出ローラー対154を構成するローラーのニップ位置154nにおける接線である。本実施形態では、直線Lは、Y軸方向と平行な直線である。また、本実施形態では、直線Lは、第3排出ローラー対154のニップ位置154nと第2排出ローラー対153のニップ位置153nとを結んだ直線でもある。
【0050】
尚、第3排出ローラー対154を構成するローラーのニップ位置154nにおける接線と、第3排出ローラー対154のニップ位置154nと第2排出ローラー対153のニップ位置153nとを結んだ直線と、が異なっていても良い。また、上記の接線や直線は、Y軸方向と交差しても良い。
【0051】
ニップ位置153n,154nは、それぞれ、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154が用紙Pを挟持する位置であり、ニップ点の一例である。尚、「ニップ点」とは、
図2のように断面において点であることを意味しており、必ずしも挟持する部分が点でなくても良い。すなわち、X軸方向にニップする部分が連続しており、線としてニップしても良い。
【0052】
第1案内面61aは、少なくとも一部が直線Lよりも-Z方向に位置する。すなわち、第1案内面61aの少なくとも一部は、第3排出ローラー対154を構成するローラーのニップ位置154nにおける接線よりも-Z方向に位置する。また、第1案内面61aの少なくとも一部は、第3排出ローラー対154のニップ位置154nと第2排出ローラー対153のニップ位置153nとを結んだ直線よりも-Z方向に位置する。
【0053】
第2案内部62は、第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pを第3排出ローラー対154に案内する。第2案内部62は、第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pを+Z方向に掬い上げるように案内する。本実施形態の第2案内部62は、筐体14を構成するX軸方向の側面から延びた不図示の支持部材によって支持されているが、支持する構成はこれに限らない。
【0054】
第2案内部62は、第2案内面62aを有し、第2案内面62aによって、用紙Pを案内する。第2案内面62aは、第2案内部62の+Z方向の面である。第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pは、その下面が第2案内面62aに当接することで、+Z方向に掬い上げられ、-Z方向から支持されながら、+Y方向の第3排出ローラー対154に案内される。
【0055】
第2案内面62aは、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも+Z方向に位置するように傾斜している。これによって、第2案内面62aは、用紙Pが+Y方向に排出されるのに合わせて、用紙Pを-Z方向から支持しながら、+Z方向に案内することができる。
【0056】
図6に示すように、第2案内面62aは、第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向に位置する。すなわち、第2案内面62aは、第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向から、用紙Pを支持する。また、第2案内面62aは、直線Lよりも-Z方向に位置する。すなわち、第2案内面62aは、第3排出ローラー対154を構成するローラーのニップ位置154nにおける接線よりも-Z方向に位置する。また、第2案内面62aは、第3排出ローラー対154のニップ位置154nと第2排出ローラー対153のニップ位置153nとを結んだ直線よりも-Z方向に位置する。
【0057】
図7は、プリンター10の第1案内部61とその周辺を-Y方向に見た場合の正面図である。
第2排出ローラー対153と第3排出ローラー対154とは、Y軸方向に見て重なる位置に設けられるため、
図7においては、第2排出ローラー対153が図示されておらず、+Y方向に位置する第3排出ローラー対154のみが図示されている。同様に、第3排出ローラー対154と、第2案内部62とは、Y軸方向に見て重なる位置に設けられるため、
図7においては、第2案内部62が図示されておらず、+Y方向に位置する第3排出ローラー対154のみが図示されている。
【0058】
図7において、直線CL1は、Y軸方向から見た用紙Pが搬送される領域のX軸方向における中心線である。プリンター10は、用紙PのX軸方向の大きさに依らず、用紙PのX軸方向の中心が同じ位置を通るように搬送する。すなわち、プリンター10は、用紙PのX軸方向の大きさに依らず、用紙PのX軸方向の中心が直線CL1を通るように搬送する。
【0059】
第1案内部61は、X軸方向において略中央の領域Waには設けられず、外側の領域Wbに設けられている。ここで、領域Waは、第1用紙P1及び第2用紙P2の双方が通過する領域である。また、領域Wbは、第1用紙P1が通過し、第2用紙P2が通過しない領域である。
【0060】
一般に、搬送方向の長さが長い用紙PほどX軸方向の長さが長く、搬送方向の長さが短い用紙PほどX軸方向の長さが短い。そのため、X軸方向において内側の領域Waには、搬送方向の長さが長い第1用紙P1及び搬送方向の長さが短い第2用紙P2の双方が通過する。一方で、X軸方向において外側の領域Wbには、搬送方向の長さが短く、X軸方向の長さが短い第2用紙P2は通過しない。
【0061】
したがって、第1案内部61は、第1用紙P1を-Z方向に案内し、排紙トレイ40に案内するが、第2用紙P2を案内しない。つまり、第1案内面61aは、第1用紙P1を-Z方向に案内し、排紙トレイ40に案内するが、第2用紙P2を案内しない。そのため、第2用紙P2は、
図6において破線で示す経路T2に沿って進み、第2案内部62の第2案内面62aによって第3排出ローラー対154に案内される。一方、第1案内面61aによって-Z方向に案内された第1用紙P1は、
図6において一点鎖線で示す経路T1に沿って、排紙トレイ40に案内される。
【0062】
以上、プリンター10の構成を基に本実施形態を説明したが、プリンター10を構成する筐体14、第2排出ローラー対153、第3排出ローラー対154、及び排紙トレイ40が、媒体排出装置を構成していると捉えることもできる。さらに、上記の構成に加えて、案内部60、制御部34、及び操作パネル16も、媒体排出装置の一部であると捉えることもできる。
【0063】
したがって、本実施形態の媒体排出装置は、前面14aに開口部141aが形成された筐体14と、筐体14の内部に設けられ、開口部141aに向けて用紙Pを排出可能な排出部と、排出部によって排出される用紙Pを受ける排紙トレイ40と、を備え、排紙トレイ40は、用紙Pの少なくとも一部を筐体14の内部で支持し、排出部は、第2排出ローラー対153と、第2排出ローラー対153よりも用紙Pの排出方向において下流に位置する第3排出ローラー対154と、を有し、用紙Pのうち第1用紙P1は、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出され、第1用紙P1よりもサイズが小さい第2用紙P2は、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対によって排紙トレイ40に排出される。
【0064】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2を、上流の第2排出ローラー対153に加えて下流の第3排出ローラー対154によって排出することで、第2用紙P2をより下流まで排出することができる。すなわち、排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。
一方で、サイズが大きい第1用紙P1を、上流の第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出することで、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0065】
本実施形態の媒体排出装置は、第2排出ローラー対153と第3排出ローラー対154との間で、用紙Pを案内する案内部60をさらに備え、案内部60は、第1用紙P1を排紙トレイ40に案内する第1案内面61aを有し、第1案内面61aは、排出方向と交差するX軸方向において、第1用紙P1が通過し、第2用紙P2が通過しない領域Wbに配置される。
【0066】
この構成によれば、第1案内面61aは、領域Wbを通過する第1用紙P1と接触することで、第1用紙P1を排紙トレイ40に案内する。また、第1案内面61aは、領域Wbを通過しない第2用紙P2とは接触しないため、第2用紙P2が第3排出ローラー対154に案内されることを妨げない。つまり、第2用紙P2が第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に案内されたり、第1用紙P1が第3排出ローラー対154に案内されたりすることを抑制できる。
【0067】
また、第1案内面61aが配置されているX軸方向の位置に基づいて、案内される用紙Pが決まるため、用紙Pのサイズを判定する構成や案内部60を変位させる構成などが不要であり、装置の簡素化が可能である。
【0068】
本実施形態の媒体排出装置は、案内部60が、第1案内面61aよりも排出方向において下流に、第2用紙P2を第3排出ローラー対154に案内する第2案内面62aを有する。
【0069】
この構成によれば、第2用紙P2を第2案内面62aによって第3排出ローラー対154に案内するため、より確実に第2用紙P2を第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出することができる。
【0070】
本実施形態の媒体排出装置は、第3排出ローラー対154が、排紙トレイ40の+Z方向に位置し、第1案内面61aが、第1用紙P1を第3排出ローラー対154の下方に案内する。
【0071】
この構成によれば、第1用紙P1が、第1案内面61aによって第3排出ローラー対154の下方に案内されるため、第1用紙P1は、第3排出ローラー対154を経ずに、排紙トレイ40に排出される。このため、第1用紙P1が第3排出ローラー対154を経て排出される構成と比較して、第1用紙P1は、排紙トレイ40においてより上流に排出される。したがって、第2用紙P2の視認性を向上させつつ、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。また、装置のY軸方向におけるサイズを小型化することができる。
【0072】
本実施形態の媒体排出装置では、第3排出ローラー対154が、ニップ位置154nにおいて用紙Pを挟持するローラー対であり、第1案内面61aの少なくとも一部は、ニップ位置154nよりも-Z方向に位置する。
【0073】
この構成によれば、第1案内面61aが第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向に位置することで、より確実に第1用紙P1を第3排出ローラー対154ではなく排紙トレイ40に案内できる。
【0074】
本実施形態の媒体排出装置では、第3排出ローラー対154が、ニップ位置154nにおいて用紙Pを挟持するローラー対であり、第2案内面62aは、ニップ位置154nよりも-Z方向から第2用紙P2を支持する。
【0075】
この構成によれば、第2案内面62aが第3排出ローラー対154のニップ位置154nよりも-Z方向に位置するため、第2用紙P2を-Z方向から支持しながら、安定して第3排出ローラー対154に案内することができる。
【0076】
本実施形態の媒体排出装置では、第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の少なくとも一部は、開口部141aを介して筐体14の外に突出する。
【0077】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2の少なくとも一部が筐体14の外まで排出されることで、より視認性を向上させることができる。
【0078】
本実施形態の媒体排出装置では、排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の排出方向における上流端は、排紙トレイ40に排出された第1用紙P1の排出方向における上流端よりも、排出方向において下流に位置する。
【0079】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2の排出方向における上流端の方が、サイズが大きい第1用紙P1の排出方向における上流端よりも下流に位置するように排出することで、第2用紙P2を第1用紙P1と同じように排出する場合と比較して、第2用紙P2が、より下流まで排出されることから、第2用紙P2の視認性が向上する。一方で、第1用紙P1が第2用紙P2よりも上流に排出されることから、第1用紙P1が、排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0080】
本実施形態の媒体排出装置では、前面14aと第3排出ローラー対154との距離L1は、第2用紙P2の排出方向における長さL2よりも短い。
【0081】
この構成によれば、前面14aと第3排出ローラー対154との距離L1が、第2用紙P2の排出方向における長さL2よりも短いため、第2用紙P2の下流端が開口部141aから突出するように排出することができ、第2用紙P2の視認性が向上する。
尚、上記構成によれば、第2用紙P2の下流端は、基本的には、
図5に示すように開口部141aを介して筐体14の外に飛び出す。ただ、場合によっては、排出された第2用紙P2が排紙トレイ40において-Y方向に移動してしまう虞がある。特に、排紙トレイ40の傾斜によって、第2用紙P2が-Y方向に移動することが考えられる。しかしながら、第2用紙P2が-Y方向に移動した場合であっても、上記構成によれば、第2用紙P2が、開口部141aの付近にあるため、第2用紙P2の視認性が向上する。
【0082】
本実施形態のプリンター10は、用紙Pに記録を行う記録部30と、記録部30によって記録された用紙Pを排出する、上記の媒体排出装置と、を備える。
【0083】
この構成によれば、上述のように、記録部30によって記録された後に、排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。
【0084】
2.実施形態2
次に、第2実施形態について
図8及び
図9を参照して説明する。尚、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
第1実施形態は、第1用紙P1が第3排出ローラー対154を通過せずに排紙トレイ40に排出される形態であったが、これに限定されない。
【0085】
図8に示すように、本実施形態の第3排出ローラー対154は、第3排出ローラー対154を構成するローラーが相対移動することで、接離可能に構成される。例えば、第3排出ローラー対154を構成するローラーのうち、-Z方向に位置するローラーが-Z方向に変位することで、+Z方向に位置するローラーから離間する。
図8において、離間した状態を破線で示している。また、第3排出ローラー対154を構成するローラーのうち、-Z方向に位置するローラーが+Z方向に変位することで、+Z方向に位置するローラーに当接する。このとき、
図8に示すように第2案内部62もローラーとともに±Z方向に変位することが好ましい。このような構成とすることで、第2案内部62が用紙Pと干渉することを抑制できる。
【0086】
本実施形態のプリンター10の制御部34は、第1用紙P1を排出する際に、第3排出ローラー対154を、2つのローラーが離間する解除状態とし、第3排出ローラー対154による搬送力を付与しない。一方で、第2用紙P2を排出する際には、第3排出ローラー対154を、2つのローラーが当接して、用紙Pを挟持可能なニップ状態とし、第3排出ローラー対154によって第2用紙P2を挟持して排出する。すなわち、第3排出ローラー対154によって搬送力を付与して排出する。このように、制御部34は、ニップ状態と解除状態とを切換可能である。
【0087】
制御部34は、第1用紙P1と第2用紙P2とを判別する。制御部34は、給紙前に検出した用紙Pのサイズに基づいて、第1用紙P1と第2用紙P2とを判別しても良く、搬送経路Tを搬送中に検出した用紙Pのサイズに基づいて、第1用紙P1と第2用紙P2とを判別しても良い。また、制御部34は、ユーザーが入力した情報や、記録ジョブの情報に基づいて、第1用紙P1と第2用紙P2とを判別しても良い。
【0088】
本実施形態のプリンター10が用紙Pを排出する動作を、
図9のフローチャートに基づいて説明する。
まずジョブが開始されると、ステップS1として、制御部34は、用紙Pが、第1用紙P1であるか、第2用紙P2であるかを判別する。尚、ジョブの開始は、印刷ジョブが開始されたときでも良く、1枚目の用紙Pへの印刷が完了し、1枚目の用紙Pが排出される前であっても良い。
【0089】
ステップS1で第1用紙P1であると判別されると、制御部34は、ステップS2として、第3排出ローラー対154を離間させて解除状態とする。尚、既に第3排出ローラー対154が解除状態であれば、解除状態のままステップS3に進む。そして、ステップS3として、第2排出ローラー対153によって第1用紙P1を排紙トレイ40に排出する。
【0090】
第1用紙P1を排出すると、制御部34は、ステップS4として、ジョブが終了したかどうかを判定する。ステップS4でジョブが終了していないと判定した場合、制御部34は、ステップS3に戻り、ジョブが終了するまでフローを繰り返す。一方、ステップS4でジョブが終了したと判定した場合、制御部34は、フローを終了する。尚、本実施形態では、ステップS4でジョブが終了していないと判定した場合に、制御部34は、既に実行されたステップS1における判定に基づいてステップS3に戻るが、ステップS1に戻って再度用紙Pが第1用紙P1であるか、第2用紙P2であるかの判別をしても良い。
【0091】
一方、ステップS1で第2用紙P2であると判別されると、制御部34は、ステップS5として、第3排出ローラー対154を当接させてニップ状態とする。尚、既に第3排出ローラー対154がニップ状態であれば、ニップ状態のままステップS6に進む。そして、ステップS6として、第2排出ローラー対153と、ニップ状態の第3排出ローラー対154とによって第2用紙P2を排紙トレイ40に排出する。
【0092】
第2用紙P2を排出すると、制御部34は、ステップS7として、ジョブが終了したかどうかを判定する。ステップS7でジョブが終了していないと判定した場合、制御部34は、ステップS6に戻り、ジョブが終了するまでフローを繰り返す。一方、ステップS4でジョブが終了したと判定した場合、制御部34は、フローを終了する。尚、本実施形態では、ステップS6でジョブが終了していない場合に、既に実行されたステップS1における判定に基づいてステップS6に戻るが、ステップS1に戻って再度用紙Pが第1用紙P1であるか、第2用紙P2であるかの判別をしても良い。
【0093】
第2用紙P2を排出し、ステップS7でジョブが終了すると、ステップS8として、制御部34は、第2用紙P2が排出されたことを操作パネル16によってユーザーに報知する。具体的には、制御部34は、操作パネル16の表示部に、第2用紙P2が排出されたことを示す情報を表示させる。
【0094】
但し、ユーザーへの報知は、操作パネル16による報知に限らない。つまり、報知部は、操作パネル16に限らない。例えば、不図示のスピーカーを備え、該スピーカーから報知音を鳴動させたり、印刷ジョブを送信した端末などに通知させたりしても良い。尚、排紙トレイ40に排出された用紙Pが取り除かれたことを検出できるようにしておき、用紙Pが取り除かれた場合に報知を終了することで、より効果的にユーザビリティーを向上することができる。
【0095】
したがって、本実施形態の媒体排出装置は、第1実施形態の媒体排出装置と同様に、前面14aに開口部141aが形成された筐体14と、筐体14の内部に設けられ、開口部141aに向けて用紙Pを排出可能な排出部と、排出部によって排出される用紙Pを受ける排紙トレイ40と、を備え、排紙トレイ40は、用紙Pの少なくとも一部を筐体14の内部で支持し、排出部は、第2排出ローラー対153と、第2排出ローラー対153よりも用紙Pの排出方向において下流に位置する第3排出ローラー対154と、を有し、第1用紙P1は、第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出され、第1用紙P1よりもサイズが小さい第2用紙P2は、第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出される。
【0096】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2を、上流の第2排出ローラー対153に加えて下流の第3排出ローラー対154によって排出することで、第2用紙P2をより下流まで排出することができる。すなわち、排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。
一方で、サイズが大きい第1用紙P1を、上流の第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出することで、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0097】
また、本実施形態における媒体排出装置の制御方法は、用紙Pを排出する排出部と、排出部によって排出される用紙Pを受ける排紙トレイ40と、を備え、排出部が、第2排出ローラー対153と、第2排出ローラー対153よりも用紙Pの排出方向において下流に位置する第3排出ローラー対154と、を有する媒体排出装置の制御方法であって、排出される用紙Pが、第1用紙P1であるか、第1用紙P1よりもサイズが小さい第2用紙P2であるかを判別することと、用紙Pが第1用紙P1である場合、第1用紙P1を第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出することと、用紙Pが第2用紙P2である場合、第2用紙P2を第2排出ローラー対153及び第3排出ローラー対154によって排紙トレイ40に排出することと、を含む。
【0098】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2を、上流の第2排出ローラー対153に加えて下流の第3排出ローラー対154によって排出することで、第2用紙P2をより下流まで排出することができる。すなわち、排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。
一方で、サイズが大きい第1用紙P1を、上流の第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出することで、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0099】
本実施形態の媒体排出装置は、第1用紙P1と、第2用紙P2とを判別する制御部34をさらに備え、制御部34は、第3排出ローラー対154が用紙Pを挟持可能なニップ状態と、第3排出ローラー対154が離間した解除状態と、を切換可能であり、第1用紙P1を排出する際に、第3排出ローラー対154を解除状態とし、第2用紙P2を排出する際に、第3排出ローラー対154をニップ状態とする。
【0100】
この構成によれば、サイズが小さい第2用紙P2を、上流の第2排出ローラー対153に加えて下流の第3排出ローラー対154によって排出することで、第2用紙P2をより下流まで排出することができる。すなわち、排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。
一方で、サイズが大きい第1用紙P1を、上流の第2排出ローラー対153によって排紙トレイ40に排出することで、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
また、サイズが大きい第1用紙P1を排出する際に第3排出ローラー対154が解除状態となることで、第3排出ローラー対154が第1用紙P1の排出を妨げることを抑制できる。
【0101】
本実施形態の媒体排出装置は、第1用紙P1と、第2用紙P2とを判別する制御部34と、ユーザーに情報を報知する操作パネル16と、をさらに備え、制御部34は、第2用紙P2を排出した際に、操作パネル16によって第2用紙P2が排出されたことを報知する。
【0102】
この構成によれば、第2用紙P2が排出されたことを操作パネル16によってユーザーに報知するため、第1用紙P1と比較して視認しにくい第2用紙P2の取り忘れを抑制することができる。
【0103】
3.実施形態3
次に、第3実施形態について、
図10及び
図11を参照して説明する。尚、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
本実施形態のプリンター10は、案内部60及び第3排出ローラー対154を備えていない点で実施形態1と異なっている。
【0104】
本実施形態のプリンター10は、排紙トレイ40の+Z方向の面に案内ユニット160を着脱可能である。案内ユニット160は、第2排出ローラー対153によって排出された用紙Pを支持し、+Y方向に案内し、排紙トレイ40に案内する。案内ユニット160は、排紙トレイ40の用紙Pが載置される面に装着可能である。案内ユニット160は、排紙トレイ40の-Y方向端部に装着される。換言すると、案内ユニット160は、排紙トレイ40の排出方向における上流に装着される。
【0105】
案内ユニット160は、第2用紙P2が排出されるときに排紙トレイ40に装着される。これによって、第2用紙P2を、
図4に示す位置よりも+Y方向に排出することができる。案内ユニット160は、領域Waに装着される。但し、案内ユニット160が、X軸方向の全体にかけて装着されても良い。
【0106】
第1用紙P1を排出する際には、案内ユニット160は取外される。これによって、第1用紙P1は、通常の排紙位置に排紙されるため、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0107】
案内ユニット160は、案内部材161と、回転体162を有する。回転体162は、案内部材161に取付けられる。
【0108】
案内部材161は、+Z方向の面である案内面161aと、+Y方向の面である規制面161bとを有する。案内面161aは、用紙Pに当接し、支持する面である。案内面161aは、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも-Z方向に位置するように傾斜している。回転体162は、案内部材161の案内面161aから+Z方向に突出し、X軸方向に沿う図示しない回転軸回りに回転する。
【0109】
規制面161bは、案内ユニット160から排紙トレイ40に排出された第2用紙P2が、-Y方向に移動することを規制する面である。規制面161bと前面14aとのY軸方向の距離L3は、第2用紙P2のY軸方向の長さL2よりも短い。したがって、第2用紙P2の-Y方向における端部が、規制面161bに当接するように排出されたとき、第2用紙P2の+Y方向における端部は、筐体14の前面14aよりも+Y方向に突出する。すなわち、案内ユニット160によって排紙トレイ40に排出された第2用紙P2の+Y方向における端部は、筐体14の外部に突出する。
【0110】
尚、本実施形態の規制面161bはZ軸方向に沿った面であるが、これに限らない。+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも-Z方向に位置するように傾斜した面であっても良く、案内部材161が規制面161bを有さなくても良い。
【0111】
回転体162は、従動することによって、案内部材161によって支持された用紙Pを、用紙Pの自重によって+Y方向に搬送する。
図11に示すように、回転体162は、Y軸方向に沿って2列、X軸方向に沿って2列の合計4つ設けられている。尚、回転体162の数は、案内部材161の大きさなどに基づいて任意に設定できる。
【0112】
図11において、直線CL2は、Z軸方向から見た用紙Pが搬送される領域のX軸方向における中心線である。回転体162は、直線CL2に対してX軸方向に対称に配置されている。このため、用紙Pがスキューすることを抑制できる。
【0113】
本実施形態では、第1用紙P1を排出する際に案内ユニット160が取外されるが、装着したままとしても良い。案内ユニット160を領域Waに装着し、領域Wbにかからないようにすることで、第1用紙P1は、X軸方向の両端が-Z方向に、中央部が+Z方向に位置するように湾曲する。したがって、回転体162や案内面161aによって+Y方向に搬送される力が、第1用紙P1に働きにくくなる。そのため、第1用紙P1は、案内ユニット160と排紙トレイ40によって支持された状態で排出される。すなわち、第1用紙P1は、第2用紙P2よりも-Y方向に排出され、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0114】
また、案内ユニット160が領域Waだけでなく領域Wbにかかる場合には、回転体162を領域Waのみに設けることによって、第1用紙P1を排出する際に案内ユニット160を装着したままとしても良い。回転体162が領域Wbに設けられていないことで、案内面161aとの摩擦力によって、第1用紙P1が+Y方向に搬送されにくくなる。そのため、第1用紙P1は、案内ユニット160と排紙トレイ40によって支持された状態で排出される。すなわち、第1用紙P1は、第2用紙P2よりも-Y方向に排出され、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0115】
4.変形例
尚、本発明は上述した実施形態に限定されず、上述した実施形態に種々の変更や改良等を加えることが可能である。変形例を以下に述べる。
【0116】
上述した実施形態では、スキャナー部11を備えたプリンター10を例に説明したが、スキャナー部11を備えていなくても良い。
【0117】
上述した実施形態では、プリンター10を例に説明したが、本発明の媒体排出装置は、スキャナー部11に適用されても良く、画像読取装置や後処理装置などに適用されても良い。
【0118】
実施形態1における第1案内部61を変位可能な構成としても良い。第1案内部61が、
図6に示すように用紙Pを排紙トレイ40に案内する案内位置と、用紙Pの搬送経路Tから退避する退避位置とに変位可能であっても良い。退避位置は、用紙Pが第2排出ローラー対153から第3排出ローラー対154に搬送されるのを妨げない位置であり、換言すれば、用紙Pを第3排出ローラー対154に案内する位置である。第1案内部61が退避位置に位置するとき、第1案内面61aは、
図6における直線Lよりも+Z方向に位置することが望ましい。ここで、案内位置は第1案内位置の一例であり、退避位置は第2案内位置の一例である。
【0119】
このように、第1案内部61を変位可能な構成とすることで、領域Waにも第1案内部61を設けることができる。領域Waに第1案内部61を設けることで、より確実に第1用紙P1を排紙トレイ40に案内できる。
【0120】
第1案内部61を変位可能な構成とし、実施形態2の
図9のフローチャートにおけるステップS2において、第3排出ローラー対154を離間する代わりに、第1案内部61を案内位置に変位させ、ステップS5において、第3排出ローラー対154を当接させる代わりに、第1案内部61を退避位置に変位させても良い。すなわち、ステップS1で第1用紙P1であると判別された場合に、制御部34は、第1案内部61を案内位置に変位させても良い。一方、ステップS1で第2用紙P2であると判別された場合に、制御部34は、第1案内部61を退避位置に変位させても良い。
【0121】
すなわち、上記変形例の媒体排紙装置は、第2排出ローラー対153と第3排出ローラー対154との間で、用紙Pを案内する第1案内部61と、第1用紙P1と、第2用紙P2とを判別する制御部34と、をさらに備え、第1案内部61は、第1用紙P1を排紙トレイ40に案内する案内位置と、第2用紙P2を第3排出ローラー対154に案内する退避位置と、に変位可能であり、制御部34は、第1用紙P1を排出する場合には、第1案内部61を案内位置に変位させ、第2用紙P2を排出する場合には、第1案内部61を退避位置に変位させる。
【0122】
この構成によれば、実施形態1と同様に、サイズが小さい第2用紙P2を、上流側の第2排出ローラー対153に加えて下流側の第3排出ローラー対154によって排出することで、第2用紙P2をより下流側まで排出することができる。すなわち、排出された第2用紙P2の視認性を向上させることができる。一方で、サイズが大きい第1用紙P1を、上流側の第2排出ローラー対153のみで排出することで、第1用紙P1が排紙トレイ40から飛び出すことを抑制できる。
【0123】
さらに、第2用紙P2を第3排出ローラー対154に搬送する際には、第1案内部61が退避することから、第2用紙P2の搬送を第1案内部61が阻害することをより効果的に抑制できる。
また、制御部34によって判別された結果に基づいて第1案内部61を変位させることから、より確実に用紙Pのサイズに適した排出が可能になる。
【0124】
上述した実施形態2では、第1案内部61がない構成としたが、上記の変形例のように変位可能な第1案内部61を実施形態2に組み合わせても良い。
【0125】
上述した実施形態1では、案内部60が第1案内部61と第2案内部62とを含む構成としたが、この構成に限定されない。例えば、第2排出ローラー対153から排出された第2用紙P2が、案内を受けることなく第3排出ローラー対154に向かうように構成されていれば、第2案内部62は必須の構成ではない。
【0126】
本発明は上記において説明した実施形態や変形例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0127】
10…プリンター、11…スキャナー部、12…本体、14…筐体、14a…前面、16…操作パネル、30…記録部、34…制御部、40…排紙トレイ、41…メイントレイ、42…サブトレイ、50…給紙カセット、60…案内部、61…第1案内部、61a…第1案内面、62…第2案内部、62a…第2案内面、141…凹部、141a…開口部、150…ピックアップローラー、151…紙送りローラー対、152…第1排出ローラー対、153…第2排出ローラー対、153n…ニップ位置、154…第3排出ローラー対、154n…ニップ位置、160…案内ユニット、161…案内部材、161a…案内面、161b…規制面、162…回転体、171…プラテン、CL1,CL2,L…直線、L1,L3…距離、L2…長さ、P…用紙、P1…第1用紙、P2…第2用紙、T…搬送経路、T1,T2…経路、Wa,Wb…領域。