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特開2024-75157給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075157
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/06 20060101AFI20240527BHJP
   E04B 1/684 20060101ALI20240527BHJP
   E04F 19/08 20060101ALI20240527BHJP
【FI】
F24H9/06 301Z
E04B1/684 B
E04F19/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186381
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000150006
【氏名又は名称】日本総合住生活株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592171692
【氏名又は名称】株式会社ユハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】玉置 真俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 光扶
【テーマコード(参考)】
2E001
3L037
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA04
2E001FA42
2E001GA63
2E001HD11
2E001MA02
2E001MA04
3L037CA03
3L037CB03
(57)【要約】
【課題】
建物の既設開口を修復することで縦横寸法に変化のある種々の設置開口に対して給湯設備を乾式構造で止水して設置可能にする。
【解決手段】
雨仕舞スリーブAは、方形短筒状のスリーブ本体1の室内側の端部の全周に固定フランジ板2が設けられ、前記スリーブ本体1の室外側の端部に、集合住宅の外壁Wに設けられた設置開口Hの内周面に弾接して止水するシール片状の第1止水材S1 が全周に亘って設けられた構成であり、前記雨仕舞スリーブAは、前記設置開口Hの内面との間隔に対応して前記第1止水材S1 の幅寸法を調整することで、当該間隔の差異を吸収して一次止水され、方形枠状の第2止水材S2 を介して前記固定フランジ板2が前記外壁Wの内壁面74に複数の固定ボルト77を介して固定されることで乾式構造で二次止水される構成とする。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅の浴槽に給湯するための給湯設備を設置するために、当該集合住宅の外壁に設けられた断面方形状の既設開口を修復した設置開口に雨仕舞スリーブを乾式構造で止水して設置するための設置構造であって、
前記雨仕舞スリーブは、方形短筒状のスリーブ本体の室内側の端部の全周に固定フランジ板が設けられ、前記スリーブ本体の室外側の端部に、前記設置開口の内周面に弾接して止水するシール片状の第1止水材が全周に亘って設けられた構成であり、
前記雨仕舞スリーブは、前記設置開口の内面との間隔に対応して前記第1止水材の幅寸法を調整することで、当該間隔の差異を吸収して一次止水され、
方形枠状の第2止水材を介して前記固定フランジ板が前記外壁の内壁面に複数の固定部材を介して固定されることで乾式構造で二次止水されていることを特徴とする給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項2】
前記第2止水材は、浸入した水を吸収して膨潤することで浸水を阻止する性質を有し、当該第2止水材が変形可能な止水材収容レールに収容され、
前記止水材収容レールは、天板部と両側板部とで囲まれる空間が当該第2止水材の収容空間となっていて、前記両側板部の壁面当接部は、二股状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項3】
前記固定フランジ板における前記スリーブ本体の収容空間に臨む部分には、当該スリーブ本体の収容空間に挿入配置される有底方形筒状の接続筒を止水して雨仕舞スリーブに固定配置する固定止水材が内装されて、当該固定止水材の圧縮変形により、その全部又は一部を内側横方向に変形移動させて、前記接続筒の外周面に押圧させる固定止水機構が全周に亘って形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項4】
前記固定止水機構は、前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板におけるスリーブ本体に収容された接続筒に臨む部分に、当該固定フランジ板と協働して、当該接続筒に臨む側に止水材突出部配置開口が全周に亘って形成されるように方形枠状の止水材収容枠体が固定され、
当該止水材収容枠体の内部には、前記固定フランジ板の側に固定止水材が一体に取付けられたスライド体が、当該固定フランジ板に対して垂直な方向にスライド可能に配置され、
前記止水材収容枠体の天板部に周方向に沿って所定間隔をおいて螺合された複数の押付けボルトを押し付けて、前記スライド体を固定フランジ板に向けてスライドさせることで、前記固定止水材の本体部を圧縮変形させて、前記止水材突出部配置開口に突出状態で配置されている押圧突出部を当該接続筒に向けて変形移動させて押圧させて、雨仕舞スリーブに対する前記接続筒の固定と止水とを同時に実現させることを特徴とする請求項3に記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項5】
前記固定止水機構は、前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板におけるスリーブ本体の収容空間に臨む部分に、当該固定フランジ板と協働して、前記収容空間に臨む側に固定止水材突出開口が全周に亘って形成されるように方形枠状の止水材収容枠体が固定され、
当該止水材収容枠体に前記固定フランジ板と平行な方向にスライド可能に収容されるスライド体における前記スリーブ本体の側に、前記固定止水材突出開口から一部が突出した状態で固定止水材が一体に取付けられ、
前記スライド体における前記固定止水材が取付けられた側と対向する側の天板部は、当該天板部に作用する押付け力により、当該スライド体がスリーブ本体の側に微動するようなテーパー面に形成され、
前記止水材収容枠体の天板部に周方向に沿って所定間隔をおいて螺合された複数の押付けボルトを前記スライド体の天板部に押し付けて、前記スライド体を前記接続筒の側にスライドさせることで、前記固定止水材の全体を圧縮させて、前記接続筒に押圧させることで、前記雨仕舞スリーブに対する前記接続筒の固定と止水とを同時に実現させることを特徴とする請求項3に記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項6】
前記第1止水材は、被取着部に対してシール片が一体に設けられた構成であり、前記スリーブ本体の室外側の端部外周には、前記第1止水材の被取着部を取着させる取着溝を有する止水材取着部が、全周に亘って前記スリーブ本体の外周面から側方に突設され、
前記止水材取着部の突出長を基準長に対して長くすることで、基準サイズに対して拡張された前記設置開口に対応させて、前記第1止水材による一次止水を可能にしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【請求項7】
前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板の周縁部には、手前側に直角に屈曲された補強板部が全周に亘って形成され、
基準サイズに対して拡張された前記設置開口における拡張部分には、横断面L字形の拡幅固定フランジ板が前記補強板部に接続されて、当該固定フランジ板を部分的に拡幅させることで、拡幅された前記設置開口に対するスリーブ本体の固定と前記二次止水とを可能にしたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の給湯設備設置開口における雨仕舞スリーブ設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合住宅の浴槽に給湯するための給湯設備を設置するために、当該集合住宅の外壁に設けられた断面方形状の給湯設備設置開口を改修して乾式構造で止水する雨仕舞スリーブ設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
集合住宅の浴室設備の給湯設備として電気窯を使用するものがあり、当該電気窯は、集合住宅の外壁に設けられた断面方形状の設置開口に止水して収容された構造のものがある。築年数が長い集合住宅では、浴室設備も老朽化して、改修の必要に迫られる。
【0003】
上記した築年数の長い集合住宅の設置開口に設置される給湯設備の止水には、外壁の設置開口の室内側に設置用の木枠を設置して、タイル、モルタル等を使用した湿式構造が主流であった。長期間の使用により、木枠撤去後の外壁の前記設置開口の部分は、劣化、欠損が激しく、これらの部分を修復して、新たな給湯設備を止水して設置する必要がある。モルタル類を使用した湿式構造の止水では、3~7年で止水機能が低下し、その再改修を余儀なくされるため、新たな給湯設備の設置では、湿式構造の止水は望ましくない。
【0004】
窓等の開口部の乾式止水構造としては、例えば、特許文献1~3に開示のものが知られているが、いずれも建物の開口に窓類を新規に設置する場合のものである。従って、各開口の寸法は設計通りに一定しているため、止水構造の寸法設計は比較的容易である。
【0005】
本発明の止水の対象は、建物の既設の開口を修復した後の開口であるため、修復の内容又は程度により開口の縦横寸法は変化して、修復後の個々の設置開口によりそれぞれ異なった寸法になることが多い。従って、縦横寸法が一定していない前記設置開口に新たな給湯設備を設置して、その止水を乾式構造により行うには、特許文献1~3に開示の発想とは異なる独自の発想の止水構造が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-152167号公報
【特許文献2】特開2013-104261号公報
【特許文献3】特開2004-225463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、建物の既設開口を修復することで縦横寸法に変化のある種々の設置開口に対して給湯設備を乾式構造で止水して設置可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、
集合住宅の浴槽に給湯するための給湯設備を設置するために、当該集合住宅の外壁に設けられた断面方形状の既設開口を修復した設置開口に雨仕舞スリーブを乾式構造で止水して設置するための設置構造であって、
前記雨仕舞スリーブは、方形短筒状のスリーブ本体の室内側の端部の全周に固定フランジ板が設けられ、前記スリーブ本体の室外側の端部に、前記設置開口の内周面に弾接して止水するシール片状の第1止水材が全周に亘って設けられた構成であり、
前記雨仕舞スリーブは、前記設置開口の内面との間隔に対応して前記第1止水材の幅寸法を調整することで、当該間隔の差異を吸収して一次止水され、
方形枠状の第2止水材を介して前記固定フランジ板が前記外壁の内壁面に複数の固定部材を介して固定されることで乾式構造で二次止水されていることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、設置開口内に配置される方形短筒状のスリーブ本体の室外側端部の外側には、切断により幅寸法が調整可能なシール片状の第1止水材がフランジ状になって設けられていて、前記設置開口の内面との間隔に対応して前記第1止水材の幅寸法を切断して調整することで、既設開口を修復した設置開口の縦横寸法が一定していない場合でも、当該第1止水材の先端自由端部が設置開口の内面に弾接して、当該スリーブ本体の室外側端部が一次止水される。また、スリーブ本体の室内側端部に全周に亘って設けられた固定フランジ板は、第2止水材を介して前記外壁の内面に複数の固定部材を介して固定されることで二次止水される。このように、設置開口の内部にスリーブ本体が設置された雨仕舞スリーブは、当該スリーブ本体の室外側端部と室内側端部との二箇所において二重止水されて、乾式構造による高い止水性が長期に亘って確保される。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第2止水材は、浸入した水を吸収して膨潤することで浸水を阻止する性質を有し、当該第2止水材が変形可能な止水材収容レールに収容され、前記止水材収容レールは、天板部と両側板部とで囲まれる空間が当該第2止水材の収容空間となっていて、前記両側板部の壁面当接部は、二股状に形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明によれば、収容空間に第2止水材が収容されて、前記固定フランジ板の裏面に配置された止水材収容レールが、当該固定フランジ板の外部から押圧されると、当該止水材収容レールの天板部を除く部分が変形されて、両側板部の先端部の二股状の部分が外壁の内壁面に密着すると共に、内部の第2止水材も全体が変形されて前記内壁面に密着して止水される。ここで、第1止水材による止水が不完全で、内部に浸入した水が第2止水材に達した場合には、当該第2止水材は、浸水を吸収して自身が膨潤することで、浸水が阻止されるので、一層高い止水性が期待できる。第2止水材の膨潤性は永久的で、膨潤状態で放置されると、乾燥により、止水性を保持したまま原体積に近い体積まで収縮されることで、膨潤と乾燥を繰り返すので、長期に亘る止水性を確保できる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記固定フランジ板における前記スリーブ本体の収容空間に臨む部分には、当該スリーブ本体の収容空間に挿入配置される有底方形筒状の接続筒を止水して雨仕舞スリーブに固定配置する固定止水材が内装されて、当該固定止水材の圧縮変形により、その全部又は一部を内側横方向に変形移動させて、前記接続筒の外周面に押圧させる固定止水機構が全周に亘って形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明によれば、固定止水機構に内装されている固定止水材の圧縮変形により、その全部又は一部を内側横方向に変形移動させて前記接続筒の外周面に押圧されることで、雨仕舞スリーブに対する接続筒の固定と止水とを同時に行える。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記固定止水機構は、前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板におけるスリーブ本体に収容された接続筒に臨む部分に、当該固定フランジ板と協働して、当該接続筒に臨む側に止水材突出部配置開口が全周に亘って形成されるように方形枠状の止水材収容枠体が固定され、
当該止水材収容枠体の内部には、前記固定フランジ板の側に固定止水材が一体に取付けられたスライド体が、当該固定フランジ板に対して垂直な方向にスライド可能に配置され、
前記止水材収容枠体の天板部に周方向に沿って所定間隔をおいて螺合された複数の押付けボルトを押し付けて、前記スライド体を固定フランジ板に向けてスライドさせることで、前記固定止水材の本体部を圧縮変形させて、前記止水材突出部配置開口に突出状態で配置されている押圧突出部を当該接続筒に向けて変形移動させて押圧させて、雨仕舞スリーブに対する前記接続筒の固定と止水とを同時に実現させることを特徴としている。
【0015】
請求項4の発明によれば、複数の押付けボルトにより、止水材収容枠体の内部に配置されたスライド体を固定フランジ板に向けて押圧させることで、当該スライド体に一体に設けられた固定止水材の本体部が圧縮変形されて、当該本体部に一体に設けられて、前記止水材突出部配置開口から接続筒の側に向けて突出配置されている押圧突出部が、前記接続筒の側に向けて変形移動されて、当該接続筒を押圧する。これにより、雨仕舞スリーブに対する前記接続筒の固定と止水とを同時に実現させられる。このように、固定フランジ板又は内壁面に対して垂直な方向から押付けボルトを回転操作して、前記固定止水材の押圧突出部が設けられた側の一部を、スライド体のスライド方向と直交する内壁面に対して平行な方向に沿って圧縮変形させることで、スリーブ本体に収容された接続体を固定止水している。よって、室内側に施工される浴室設備の浴室壁が立設された後においても、浴室内側からの前記押付ボルトの回転操作で、スリーブ本体内の接続体を固定止水できる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記固定止水機構は、前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板におけるスリーブ本体の収容空間に臨む部分に、当該固定フランジ板と協働して、前記収容空間に臨む側に固定止水材突出開口が全周に亘って形成されるように方形枠状の止水材収容枠体が固定され、
当該止水材収容枠体に前記固定フランジ板と平行な方向にスライド可能に収容されるスライド体における前記スリーブ本体の側に、前記固定止水材突出開口から一部が突出した状態で固定止水材が一体に取付けられ、
前記スライド体における前記固定止水材が取付けられた側と対向する側の天板部は、当該天板部に作用する押付け力により、当該スライド体がスリーブ本体の側に微動するようなテーパー面に形成され、
前記止水材収容枠体の天板部に周方向に沿って所定間隔をおいて螺合された複数の押付けボルトを前記スライド体の天板部に押し付けて、前記スライド体を前記接続筒の側にスライドさせることで、前記固定止水材の全体を圧縮させて、前記接続筒に押圧させることで、前記雨仕舞スリーブに対する前記接続筒の固定と止水とを同時に実現させることを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明によれば、止水材収容枠体の天板部に取付けられた多数の押付けボルトを、当該止水材収容枠体に収容されたスライド体のテーパー状の天板部に押し付けることで、当該スライド体を接続筒の側に微動させて、当該スライド体に取付けられている固定止水材を、当該スリーブ本体の内部に収容された接続筒の外面に押圧させることで、雨仕舞スリーブに対する接続筒の固定と止水とを同時に実現できる。なお、室内側に施工される浴室設備の浴室壁が立設された後においても、浴室内側からの前記押付けボルトの回転操作で、スリーブ本体内の接続体を固定止水できることは、請求項4の発明と同様である。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記第1止水材は、被取着部に対してシール片が一体に設けられた構成であり、前記スリーブ本体の室外側の端部外周には、前記第1止水材の被取着部を取着させる取着溝を有する止水材取着部が、全周に亘って前記スリーブ本体の外周面から側方に突設され、
前記止水材取着部の突出長を基準長に対して長くすることで、基準サイズに対して拡張された前記設置開口に対応させて、前記第1止水材による一次止水を可能にしたことを特徴としている。
【0019】
第1止水材を構成するシール片は、その先端部を弾性変形させて、設置開口の内面に対して弾接させることで止水する構造であるので、当該シール片の幅は、所定値を超えて大きくできない。そこで、請求項6の発明によれば、スリーブ本体の室外側の端部にフランジ状となって設けられる止水材取着部の突出長を基準長に対して長くすることで、基準サイズに対して拡張された前記設置開口に対応させて、前記第1止水材による一次止水が可能となる。
【0020】
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記雨仕舞スリーブの固定フランジ板の周縁部には、手前側に直角に屈曲された補強板部が全周に亘って形成され、
基準サイズに対して拡張された前記設置開口における拡張部分には、横断面L字形の拡幅固定フランジ板が前記補強板部に接続されて、当該固定フランジ板を部分的に拡幅させることで、拡幅された前記設置開口に対するスリーブ本体の固定と前記二次止水とを可能にしたことを特徴としている。
【0021】
請求項7の発明によれば、設置開口が基準サイズに対して拡張されていて、外壁内面に対して雨仕舞スリーブの固定フランジ板を固定できない場合には、当該固定フランジ板における基準サイズに対して拡張された部分において、横断面L字形の拡幅固定フランジ板を前記補強板部に接続して、当該固定フランジ板を部分的に拡幅させることで、拡幅された前記設置開口に対するスリーブ本体の固定と二次止水とが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の発明によれば、設置開口内に配置される方形短筒状のスリーブ本体の室外側端部の外側には、切断により幅寸法が調整可能なシール片状の第1止水材がフランジ状になって設けられていて、前記設置開口の内面との間隔に対応して前記第1止水材の幅寸法を切断して調整することで、既設開口を修復した設置開口の縦横寸法が一定していない場合でも、当該第1止水材の先端自由端部が設置開口の内面に弾接して、当該スリーブ本体の室外側端部が一次止水される。また、スリーブ本体の室内側端部に全周に亘って設けられた固定フランジ板は、第2止水材を介して前記外壁の内面に複数の固定部材を介して固定されることで二次止水される。このように、設置開口の内部にスリーブ本体が設置された雨仕舞スリーブは、当該スリーブ本体の室外側端部と室内側端部との二箇所において二重止水されて、乾式構造による高い止水性が長期に亘って確保される。
【0023】
請求項3の発明によれば、固定止水機構に内装されている固定止水材の圧縮変形により、その全部又は一部を内側横方向に変形移動させて前記接続筒の外周面に押圧されることで、スリーブ本体に対する接続筒の固定と止水とを同時に行える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る雨仕舞スリーブA、外壁Wの設置開口H、接続筒B及び電気窯Eとの関係を示す斜視図である。
図2】外壁Wの設置開口Hに雨仕舞スリーブAが設置された状態の一部を破断した斜視図である。
図3】同じく縦断面図である。
図4】同じく横断面図である。
図5】浴室83に対する雨仕舞スリーブA及び電気窯Eの配置を示す平面断面図である。
図6】雨仕舞スリーブAを前面から見た斜視図である。
図7】同じく背面から見た斜視図である。
図8】雨仕舞スリーブAのスリーブ本体1の室外側端部に設けられた止水材取着部7にシール片状の第1止水材S1 が取着される構造を示す斜視図である。
図9】(a)は、第1止水材S1 の斜視図であり、(b),(c)は、シール片62の幅が異なる状態で使用されることを示す断面図であり、(d)は、突出幅を広くした止水材取着部7’の断面図である。
図10】(a),(b)は、それぞれ第2止水材S2 の変形前後の断面図である。
図11】(a),(b)は、それぞれスリーブ本体1に対して接続筒Bを止水状態で固定する固定止水機構Kの作用前後の断面図である。
図12】別の固定止水機構K’によりスリーブ本体1に対して接続筒Bが止水固定された状態の断面図である。
図13】基準サイズよりも大きな設置開口Hに対して拡幅固定フランジ板41を使用することで、固定フランジ板2を内壁面74に対して固定可能なことを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示されるように、建物の外壁Wには、既存開口を修復した断面方形状の設置開口Hが設けられ、当該設置開口Hには、本発明に係る雨仕舞スリーブAが二重止水構造により取付けられ、その方形短筒状のスリーブ本体1の内部に、同じく方形短筒状の接続筒Bが止水構造により挿入配置され、当該接続筒Bの内部に、給湯設備の一つである電気窯Eが止水構造で挿入配置される。接続筒Bは、その内部に給湯設備の一つである電気窯Eの一部を挿入配置することで、当該電気窯Eの自重を受けて支持する部材である。
【0026】
図2図4に示されるように、前記設置開口Hは、長期間に亘り従前の給湯設備が設置されていた既存開口を修復したものであるので、当該修復の内容及び程度により、縦横の各寸法は、各設置開口Hによりそれぞれ異なる。断面方形状の設置開口Hの計4つの内面のうち上内面71は、水平に形成され、相対向する両側内面72は、垂直に形成され、下内面73は、外部に雨水等を排水可能なように、外側が低くなるような傾斜面に形成されている。建物の外壁Wの内壁面74との間に所定間隔(45~150mm)をおいて、板厚が10mm程度の浴室壁81が配置される。
【0027】
雨仕舞スリーブAは、図2図8に示されるように、金属薄板により一体に形成され、前記設置開口Hの内部に挿入配置される方形短筒状のスリーブ本体1と、当該スリーブ本体1の室内側に配置される端部に、外側に向けてフランジ状となって一体に設けられた固定フランジ板2とから成り、当該スリーブ本体1の内部空間は、前記接続筒Bの収容空間3となっている。固定フランジ板2におけるスリーブ本体1の各辺に対応する部分の幅は、設置開口Hの周囲の壁の配置によって定められる。スリーブ本体1の室外側に配置される端部には、フランジ状の第1取着溝形成板部4が一体に設けられ、当該第1取着溝形成板部4の内側(室内側)には、所定間隔をおいて当該第1取着溝形成板部4と同一形状の第2取着溝形成板部5が溶接により一体化されて、第1及び第2の各取着溝形成板部4,5の間には、後述の第1止水材S1 の被取着部61を嵌着させることで、スリーブ本体1の室外側の端部に方形枠状の第1止水材S1 をフランジ状にして取着させるための取着溝6が形成されて、止水材取着部7となっている。第1止水材S1 は、樹脂製であって、図8及び図9に示されるように、全体形状がスリーブ本体1に対応した方形枠状をなしていて、前記取着溝6に嵌入される被取着部61と、当該被取着部61に一体に形成されたシール片62とから成り、スリーブ本体1の前記取着溝6に被取着部61が嵌入されることで、スリーブ本体1の室外側の端部に方形枠状(フランジ状)となって一体に取付けられる。第1止水材S1 のシール片62は、弾性変形して自身の先端部が設置開口Hの各内面71~73に弾接するような幅寸法に切断して使用される。第1止水材S1 は、スリーブ本体1と、設置開口Hの各内面71~73との間から室内側に雨水が浸入するのを防止する止水材であるため、レインバリア(rain barrier) と称することもできる。
【0028】
スリーブ本体1の室内側端部にフランジ状となって一体に設けられた固定フランジ板2の内側形状は、スリーブ本体1の外形である方形状に対応していると共に、その外側形状も方形状に形成されていて、その外周縁部に手前側に向けて補強板部8a,8bが形成されている。当該固定フランジ板2は、周囲の壁の配置状態に対応して、上下の横辺部の幅はほぼ同一であるが、左右の縦辺部の幅は大きく異なっていて、幅の狭い縦辺部の補強板部8bは、前記設置開口Hの横方向の寸法との関係で、後述の拡幅固定フランジ板41を連結して増幅させることを予定して、他の補強板部8aよりも広幅となっている。
【0029】
第1取着溝形成板部4における上下に水平に配置される部分には、水平方向(横方向)に所定間隔をおいて一対のボルト支持ブラケット9が溶接により固定され、下方に配置される一対のボルト支持ブラケット9に溶接固定されたナット11にそれぞれ支持ボルト12か螺合され、当該支持ボルト12を設置開口Hの下内面73に当接させることで、雨仕舞スリーブAのスリーブ本体1の内部に接続筒Bを介して固定配置される後述の電気窯Eの自重を支持している。なお、上下に配置される各第1取着溝形成板部4のいずれにもボルト支持ブラット9を設けたのは、室内側の壁構造により、雨仕舞スリーブAを上下反転させて配置することがあるためである。
【0030】
前記固定フランジ板2は、外壁Wの内壁面74に第2止水材S2 を用いて止水構造で固定される。第2止水材S2 は、浸入した水を吸収して膨潤することで浸水を阻止する性質を有し、当該第2止水材S2 は、変形可能な止水材収容レール14に収容される。前記止水材収容レール14は、変形可能な金属薄板で形成され、平板状の天板部14aと、側方に向けて凸となってわん曲された両側板部14bとで囲まれる空間が、前記第2止水材S2 の収容空間15となっていて、前記両側板部14bの先端部は、二股状に形成された壁面当接板部14cとなっている。第1止水材S1 は、図7に示されるように、止水材収容レール14に収容された状態で全体が方形状にわん曲されて、固定フランジ板2の裏面に両面テープ75(図10参照)を介して接着固定される。
【0031】
外壁Wの内壁面74の側における第2止水材S2 の配置部分には、所定間隔をおいて多数のアンカーナット76が埋設されている。外壁Wの設置開口Hに室内側からスリーブ本体1を挿入配置した状態で、固定フランジ板2を当該内壁面74に対向配置させることで、当該固定フランジ板2の裏面側に接着固定された止水材収容レール14を当該内壁面74に密着させる。この状態で、図10に示されるように、室内側から、固定フランジ板2、止水材収容レール14の天板部14a及び第2止水材S2 を貫通させて、固定ボルト77を前記アンカーナット76に向けて打ち込むと、当該止水材収容レール14の両側板部14b、二股状の両壁面当接板部14c及び内部の第2止水材S2 が大きく変形されて、前記固定ボルト77が前記アンカーナット76に圧入される。これにより、固定フランジ板2は、多数組のアンカーナット76及び固定ボルト77を介して外壁Wの内壁面74に固定される。なお、図8及び図10において、2aは、固定フランジ板2に形成された固定ボルト挿通孔を示す。
【0032】
浸入した水を吸収して膨潤することで浸水を阻止する性質を有する第2止水材S2 として、実施例では、クニミネ工業株式会社製の「クニシールC-31」を使用した。上記のようにして、止水材収容レール14の天板部14aを除く部分が大きく変形されて、その内側の第2止水材S2 が大きく圧縮変形されて、外壁Wの内壁面74の凹凸類に対応して密着することで、外壁Wの設置開口Hに設置された雨仕舞スリーブAは、前記第1止水材S1 のシール片62が当該設置開口Hの各内面71~73に弾性することにより「一次止水」に加えて、外壁Wの室内側において方形枠状の第2止水材S2 が圧縮変形されて、当該外壁Wの内壁面74に密着することで「二次止水」されることで、二重構造で止水される。しかも、前記「一次止水」の不完全により内部に浸入した浸水が第2止水材S2 の部分に達した場合には、当該第2止水材S2 が浸水を吸収して膨潤することで止水されるので、止水性能が飛躍的に高められる。浸水吸収による第2止水材S2 の膨潤は、乾燥により消失されて、当該第2止水材S2 は、原形状に近い状態に復元するが、膨潤と乾燥の繰り返しにより、長期間に亘って止水性能を維持する。
【0033】
また、図4図7及び図11に示されるように、前記固定フランジ板2の表面におけるスリーブ本体1の収容空間3に臨む部分には、当該収容空間3に挿入配置される接続筒Bを雨仕舞スリーブAの全体に対して止水構造で固定するための固定止水機構Kが方形枠状となって設けられている。当該固定止水機構Kは、雨仕舞スリーブAの固定フランジ板2と協働して、スリーブ本体1の収容空間3に臨む側に止水材突出部配置開口21が全周に亘って形成されるように、前記固定フランジ板2に固定される横断面略コの字形の計4本の止水材収容枠体22と、前記固定フランジ板2の側に固定止水材S3 が一体に取付けられて、前記各止水材収容枠体22の内部に、固定フランジ板2に対して垂直な方向にスライド可能に配置されるスライド体23と、前記各止水材収容枠体22の天板部22aに溶接により一体に設けられたナット24に対して螺合される多数本の押付けボルト25とから成る。計4本の止水材収容枠体22は、図6に示されるように、方形枠状に組み付けられ、固定止水材S3 は、第1止水S1 と同様に、1本状の部材が方形枠状に形成された状態で、前記止水材収容枠体22内に収容される。止水材収容枠体22における止水材突出部配置開口21と反対の部分には、平板状の固定板部26が一体に設けられ、当該固定板部26が固定フランジ板2に水密リベット27を介して固定されることで、当該固定フランジ板2に対して止水材収容枠体22が固定される。止水材収容枠体22にスライド可能に収容されるスライド体23における前記止水材収容枠体22に設けられた止水材突出部配置開口21と反対側には、スライド前進端を規制する前進端規制板部23aが設けられている。また、スライド体23の天板部23bは、前記押付けボルト25により押付け力が加えられると、その分力により、当該スライド体23の全体が、止水材収容枠体22の内部において前記止水材突出部配置開口21の側に向けて微動するように傾斜されている。
【0034】
前記固定止水材S3 は、図11に示されるように、難燃性スポンジゴムで成形されて、圧縮力の作用しない原形状において、横断面略方形状の本体部28における止水材突出部配置開口21の側の側面に押圧突出部29が一体に形成されている。固定止水材S3 の本体部28は、止水材収容枠体22の内部に収容配置され、その押圧突出部29は、止水材収容枠体22の止水材突出部配置開口21から外部に突出した状態で配置される。押付けボルト25によりスライド体23に、固定フランジ板2に対して垂直な押付け力が作用すると、前記スライド体23は前記止水材突出部配置開口21の側に最大に微動すると共に、前記固定止水材S3 の本体部28が圧縮変形されることで、圧縮方向の寸法が小さくなると共に、圧縮方向と直交する固定フランジ板2と平行な方向に沿って膨張しようとするが、膨張方向の両端が前進端規制板部23aと接続筒Bとで規制されて、当該膨張が不能なために、固定止水材S3 の全体が固定フランジ板2と平行な方向に沿っても圧縮される。即ち、固定止水材S3 は、押出突出部29を除く部分は、固定フランジ板2に対して垂直な方向に圧縮されると共に、当該押出突出部29及び本体部28における固定フランジ板2の側のほぼ半分の前記押出突出部29に接続される部分は、当該固定フランジ板2と平行な方向に沿って圧縮されることで、接続筒Bの外面は、前記押圧突出部29により押圧力Fで押圧される。
【0035】
よって、外壁Wの内側(室内側)において、前記押付けボルト25の回転によりスライド体23が固定フランジ板2に向けてスライドして、その前進端規制板部23aが固定フランジ板2に当接すると、当該スライド体23に一体に取付けられている固定止水材S3 は、上記のように互いに直交する二方向に圧縮変形されて、その押圧突出部29が、方形筒状の接続筒本体51の外面の全周に亘って押圧することで、雨仕舞スリーブAの固定フランジ板2に対して前記接続筒Bが止水構造で固定される。接続筒本体51の室内側の端部には、段差を有するフランジ板52が設けられていて、当該フランジ板52における段差部53の内側の部分に、前記押付けボルト25を回転させるドライバー78を挿通させるドライバー挿通孔54が、多数の押付けボルト25の配置位置に対応して設けられている。
【0036】
このように、固定フランジ板2又は内壁面74に対して垂直な方向から押付けボルト25を回転操作して、前記固定止水材S3 の押圧突出部29が設けられた側の一部を、スライド体23のスライド方向と直交する外壁Wの内壁面74に対して平行な方向に沿って圧縮変形させることで、スリーブ本体1に収容された接続筒Bを固定止水している。よって、室内側に施工される浴室設備の浴室壁81が立設された後においても、浴室内側からの前記押付ボルト25の回転操作で、スリーブ本体1内の接続筒Bを固定止水できる。
【0037】
外壁Wの設置開口Hに対する雨仕舞スリーブA及び接続筒Bの施工は、以下のようにして行う。まず、図9(b),(c)に示されるように、スリーブ本体1の室外側の端部の全周に亘って設けられたシール片状の第1止水材S1 のシール片62における設置開口Hの各内面71~73に対応する各辺部を、当該設置開口Hの各内面71~73との間隔に対応した幅に切断する。なお、図9(b)において、62’は、第1止水材S1 のシール片62の不用部を除去した切断片を示す。この状態で、雨仕舞スリーブAのスリーブ本体1を室内側から設置開口Hに挿入すると、所定幅に切断された各辺部の各第1止水材S1 は、その先端部が弾性変形されて各内面71~73に弾接し、この状態で、スリーブ本体1の下内面73と対応する部分に設けられた一対の支持ボルト12を介して設置開口Hの下内面73に対して雨仕舞スリーブAの全体を仮設置させておく。
【0038】
外壁Wの内壁面74における雨仕舞スリーブAの固定フランジ板2の各固定ボルト挿通孔2aに対応する部分には、予めアンカーナット76が打設により埋設されている。上記のようにして、設置開口Hに対して雨仕舞スリーブAを仮設置することで、図2図4、及び図10に示されるように、固定フランジ板2の裏面に設けられた方形枠状の第2止水材S2 が、外壁Wの内壁面74に対して接触状態で配置される。この状態で、固定フランジ板2の固定ボルト挿通孔2aに挿通された固定ボルト77を、内壁面74に臨んで外壁W内に埋設されたアンカーナット76に対して螺合させると、図10に示されるように、固定フランジ板2は、多数組のアンカーナット76及び固定ボルト77を介して外壁Wの内壁面74に固定される。固定ボルト77の螺合時においては、止水材収容レール14の各側板部14b及び二股状の各当接板部14c並びに当該止水材収容レール14に収容された第2止水材S2 は、上記したように変形されて、二股状の各当接板部14c及び第2止水材S2 は、内壁面74に密着して止水されると同時に、多数の固定ボルト77が外壁Wの内壁面74に臨んだ部分に埋設されたアンカーナット76に螺合されることで、雨仕舞スリーブAの固定フランジ板2が当該内壁面74に固定され、その結果として、雨仕舞スリーブAの全体が止水構造で設置開口Hの周辺の外壁Wに固定される。
【0039】
よって、雨仕舞スリーブAは、設置開口Hの内部におけるシール片状の第1止水材S1 による「一次止水」と、内壁面74における第2止水材S2 による「二次止水」との二重構造で止水され、しかも第2止水材S2 は、浸水を吸収して膨潤する性質を有するために、仮に、第1止水材S1 の部分からの浸水があったとしても、当該浸水は、第2止水材S2 に吸収されるので高い止水性が実現される。
【0040】
図3図6に示されるように、外壁Wの内壁面74に対して所定間隔をおいて配置された浴室壁81における設置開口Hに対応する部分には、同一サイズの浴室壁開口82が形成されている。前記接続筒Bを雨仕舞スリーブAのスリーブ本体1に挿入する前に、浴室壁81が施工されている場合には、前記浴室壁開口82の内側から前記接続筒Bを挿入して、当該接続筒Bのフランジ板52の段差部53を浴室壁開口82に嵌め込むことで、当該浴室壁81に対して接続筒Bを仮保持しておく。なお、接続筒Bの施工時において、浴室壁81が施工されていない場合には、何らかの手段により、スリーブ本体1に対する接続筒本体51の挿入長を定め、下側(設置開口Hの下内面73に対応する側)に配置された固定止水材S3 の押圧突出部29により、スリーブ本体1の内部に挿入された接続筒本体51を仮保持しておく。なお、図6において、83,84は、それぞれ浴室及び浴槽を示す。
【0041】
そして、図3及び図11に示されるように、浴室壁81の内側から、当該浴室壁81のドライバー挿通孔54に挿通されたドライバー78により、止水材収容枠体22の天板部22aの各押付けボルト25を回転させると、当該止水材収容枠体22の内部のスライド体23が固定フランジ板2の側に向けてスライドされて、当該スライド体23に一体に設けられた固定止水体S3 の本体部28は、前進端規制板部23aが固定フランジ板2に当接するまで、当該固定フランジ板2に対して垂直な方向に圧縮される。その結果として、当該本体部28における固定フランジ板2の側のほぼ半分及び止水材突出部配置開口21から外部に突出した押圧突出部29は、固定フランジ板2と平行な方向に膨張しようとすることで、当該部分が圧縮されて、前記押圧突出部29は、過大な押圧力Fで、接続筒本体51の全周を押圧する。この固定止水構造により、接続筒Bは、フランジ板52の段差部53が浴室壁開口82に嵌り込んだ構造と協働して、接続筒本体51の部分において雨仕舞スリーブAに対して止水状態で安定して固定される。
【0042】
次に、本発明の上記実施例の各改変について説明する。図12は、改変された固定止水機構K’の断面図であって、止水材収容枠体30は、接続筒Bの方形短筒状の接続筒本体51に計4辺の各辺部における自身のフランジ板52に近い部分に固定されて計4つの横断面L字形の第1ブラケット31と、当該第1ブラケット31の天板部31aに一体に取付けられた計4つの同じく横断面L字形の第2ブラケット32と、第1及び第2の各ブラケット31,32に形成される収容空間33内に収容されて、当該固定フランジ板2と平行な方向にスライド可能な計4つのスライド体34と、前記第1ブラケット31の天板部31aと第2ブラケット32の起立板部32aとが重合された重合天板部35に固定されたナット36に螺合された多数本の押付けボルト37とで構成される。
【0043】
前記スライド体34における接続筒本体51の側には、固定止水材S3'が一体に取付けられ、当該固定止水材S3'の一部は、前記収容空間33の止水材収容枠体30の側の固定止水材突出開口30aから当該接続筒本体51に当接した状態で突出されている。スライド体34の天板部34aは、当該天板部34aに作用する前記押付けボルト37の押付け力により、当該スライド体34を接続筒本体51に向けて押し付ける力が発生するような傾斜面に形成されている。よって、浴室83の内部からドライバー78により押付けボルト37を回転させて、当該押付けボルト37の先端部により、傾斜面に形成されたスライド体34の天板部34aを押し付けると、その押付け力の分力により、当該スライド体34を接続筒本体51の側にスライドさせる力が作用して、接続筒本体51に先端部が当接している固定止水材S3'が圧縮されて、接続筒本体51の外面を前記押付け力の分力と同等の押圧力F’で押し付ける。これにより、雨仕舞スリーブAに対して接続筒Bは、止水構造で固定される。
【0044】
次に、設置開口Hのサイズが基準サイズに比較して大きいために、図13に示されるように、内壁面74に対して第2止水材S2 を配置できない場合には、幅方向の一端部に補強板部41bが設けられた拡幅固定フランジ板41を使用して、内壁面74に対して第2止水材S2 を配置可能とする。即ち、固定フランジ板2の幅方向の外側に拡幅固定フランジ板41を配置して、各補強板部8b,41bを複数本の連結ビス42で連結させることで、固定フランジ板2の幅寸法が不足する部分を拡幅し、拡幅された拡幅固定フランジ板41の部分に第1止水材S1 を配置させることで、基準サイズに対して大きなサイズの設置開口Hに対して雨仕舞スリーブAを設置できる。
【0045】
また、第1止水材S1 のシール片62は、設置開口Hの各内面71~73に弾性変形により弾接させて止水する構造であるため、シール片62の厚さに対してその幅を一定以上広くできない。よって、基準サイズに対して大きなサイズの設置開口Hの場合には、シール片62の先端が各内面71~73に到達できなくて止水できない事態が発生し得る。この場合には、図9(d)及び図13に示されるように、スリーブ本体1の室外側の端部の外側にフランジ状となって一体形成される止水材取着部7’の幅T2 を通常サイズの幅T1 よりも広くすることで、第1止水材S1 のシール片62の先端部を各内面71~73に弾接させられる。
【符号の説明】
【0046】
1:スリーブ本体
2:固定フランジ板
7:止水材取着部
14:止水材収容レール
14a:天板部
14b:側板部
14c:当接板部
15:第2止水材の収容空間
21:止水材突出部配置開口
22:止水材収容枠体
23:スライド体
23b:スライド体の天板部
25:押付けボルト
28:固定止水材の本体部
29:固定止水材の押圧突出部
41:拡幅固定フランジ板
61:第1止水材の被取着部
62:第1止水材のシール片
A:雨仕舞スリーブ
B:接続筒
E:電気窯(給湯設備)
H:設置開口
K:固定止水機構
1 :第1止水材
2 :第2止水材
3 :固定止水材
1 ,T2 :止水材取着部の幅
W:外壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13