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特開2024-75166遮断機用の阻止棒に使用する緩衝部材および阻止棒
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  • 特開-遮断機用の阻止棒に使用する緩衝部材および阻止棒 図1
  • 特開-遮断機用の阻止棒に使用する緩衝部材および阻止棒 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075166
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】遮断機用の阻止棒に使用する緩衝部材および阻止棒
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/04 20060101AFI20240527BHJP
【FI】
E01F13/04 Z
E01F13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186402
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】509055437
【氏名又は名称】西日本高速道路ファシリティーズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】598153021
【氏名又は名称】株式会社近江テック
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中場 俊之
(72)【発明者】
【氏名】曽我 彰良
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA12
2D101DA05
2D101EA01
2D101FA23
2D101FA27
2D101GA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両が接触した際に変形し、筒状部材に対して装着しやすくかつ脱落しにくい遮断機用の阻止棒に装着する緩衝部材および緩衝部材の提供。
【解決手段】遮断機用の阻止棒に装着する緩衝部材2であって、緩衝部材2は、外周の一方を円形に形成するとともに外周の他方を突出させて山形に形成した雫形の断面形状を有し、外周を円形に形成した部位4の中心に筒状部材を嵌挿させる孔5を長手方向に亘って設けるとともに、前記山形に形成した部位8の内面にも長手方向に亘って空洞9を設ける。また、空洞9と孔5を仕切る境界壁11および孔5を形成する外周壁7に切断部12、13を設ける。これにより、車両が接触した際に柔軟に変形することで車両に対する損傷を和らげることができ、山形に形成したことで車両からの視認性を高め、降雪地域では雪の堆積を軽減し、切断部12、13によって筒状体を装着しやすく構成している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進路を塞いで通行を規制する遮断機用の阻止棒に装着する緩衝部材であって、
当該緩衝部材は、
外周の一方を円形に形成するとともに外周の他方を突出させて山形に形成した雫形の断面形状を有し、
前記外周を円形に形成した部位の中心に筒状部材を嵌挿させる孔を長手方向に亘って設けるとともに、前記山形に形成した部位の内面にも長手方向に亘って空洞を設けたことを特徴とする遮断機用の緩衝部材。
【請求項2】
前記空洞と孔を仕切る境界壁と、前記孔を形成する円形の外周を有する外周壁に、前記空洞の中心と孔の中心を通る中心線に沿った切断部を設けたことを特徴とする請求項1記載の遮断機用の緩衝部材。
【請求項3】
炭素繊維強化プラスチックによって形成された芯材を構成する筒状部材と当該筒状部材に装着される緩衝部材からなる遮断機用の阻止棒であって、
前記緩衝部材は、
外周の一方を円形に形成するとともに外周の他方を突出させた山形に形成し、
外周を円形に形成した部位の中心に前記筒状部材を装着させる孔を長手方向に亘って設けるとともに、山形に形成した部位の内面にも長手方向に亘って空洞を設けたものであり、
前記空洞と孔を仕切る境界壁と、前記孔を形成する円形の外周を有する外周壁に、前記空洞の中心と孔の中心を通る中心線に沿った切断部を設けることによって前記筒状部材を装着する際に開口できるよう構成したことを特徴とする阻止棒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行ゲート用の阻止棒に使用する緩衝部材および阻止棒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高速道路などの料金所を通過する車両の通行を制御する特許文献1記載の阻止棒が知られている。この阻止棒は、剛性大な管又は棒などからなる芯棒と、スポンジ状でクッション効果を有した緩衝保護部材としての発泡合成樹脂層等、発泡合成樹脂層を覆って保護する保護皮膜としての合成樹脂シート、合成樹脂シートの表面を覆う表面皮膜としての合成樹脂フィルム等の多数の積層部材から成っている。また、この阻止棒の一例として発泡合成樹脂層に芯棒を挿入するときの抵抗が減り挿入し易くする等を目的として、接触部に隙間を設けたり発泡合成樹脂層に空間を設けたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-147734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記阻止棒は、車両の前方を塞ぎ、回動して通路を開けることで車両の通行を許容するものである。しかしながら、阻止棒が上がりきる前に車両を進行させて阻止棒に接触してしまう場合がある。この際、阻止棒の表面が堅い素材であると、車が接触した際に傷をつけてしまう可能性がある。また、芯棒である筒状部材を一方端から差し込みやすいということは、逆を言えば抜けやすいということであり、回動を繰り返すうちに抜けてしまう可能性があることから、何らかの対策を講じる必要がある。
本発明は当該事情に鑑み発明されたものであって、車両が接触した際に柔軟に変形可能な構造を有するとともに、筒状部材に対して装着しやすく、かつ脱落しにくい遮断機用の阻止棒に使用する緩衝部材および緩衝部材を装着した阻止棒の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
進路を塞いで通行を規制する遮断機用の阻止棒に装着する緩衝部材であって、
当該緩衝部材は、外周の一方を円形に形成するとともに外周の他方を突出させて山形に形成した雫形の断面形状を有し、前記外周を円形に形成した部位の中心に筒状部材を嵌挿させる孔を長手方向に亘って設けるとともに、前記山形に形成した部位の内面にも長手方向に亘って空洞を設けたことを特徴とする。
【0006】
前記遮断機用の緩衝部材であって、前記空洞と孔を仕切る境界壁と、前記孔を形成する円形の外周を有する外周壁に、前記空洞の中心と孔の中心を通る中心線に沿った切断部を設けたことを特徴とする。
【0007】
炭素繊維強化プラスチックによって形成された芯材を構成する筒状部材と当該筒状部材に装着される緩衝部材からなる遮断機用の阻止棒であって、
前記緩衝部材は、外周の一方を円形に形成するとともに外周の他方を突出させた山形に形成し、外周を円形に形成した部位の中心に前記筒状部材を装着させる孔を長手方向に亘って設けるとともに、山形に形成した部位の内面にも長手方向に亘って空洞を設けたものであり、前記空洞と孔を仕切る境界壁と、前記孔を形成する円形の外周を有する外周壁に、前記空洞の中心と孔の中心を通る中心線に沿った切断部を設けることによって前記筒状部材を装着する際に開口できるよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る遮断機用の緩衝部材は、全体を発砲性の素材によって形成しているので車両が接触した際に柔軟に変形することで車両に対する損傷を和らげる効果を有している。また、緩衝部材の上部は中央に向かって傾斜した山形に形成した突出部位を有しており、車両からの視認性を高めるとともに、降雪地域では雪の堆積を軽減する効果を有している。さらに、突出部位の内部には空洞を設けているので、視認性を向上させているにも関わらず緩衝部材の重量を軽減し回動する阻止棒の動作に負担をかけないようになっている。さらに、緩衝部材は、空洞と孔を仕切る境界壁および孔を形成する外周壁に切断部が設けられているので、筒状体を装着する際に装着しやすいという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態に係る阻止棒の説明図である。
図2】本実施の形態に係る阻止棒に用いる緩衝部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図を用いて説明する。図1は車両の進路を塞いで通行を規制する遮断機用の阻止棒1の説明図であって、図1(a)は阻止棒1の外観図、図1(b)は阻止棒1を構成する緩衝部材2の外観図である。また、図2は緩衝部材2の長手方向に直交する断面の断面図を表している。
緩衝部材2は車両の前方を塞ぐことができる程度の長さを有しており、長手方向に沿って同一の断面を有した長尺体として形成されている。緩衝部材2の断面形状は、所謂雫形といわれるものであり、外周の一方(下方)を円形に形成するとともに外周の他方(上方)を突出させた山形の形状を有している。
【0011】
膨らみを有する下方の円形部分(膨らみ部)4には、同芯上に長手方向に亘って孔5が設けられている。孔5の形状は真円であり阻止棒1を構成する筒状部材6の外径と略同寸法の内径を有している。膨らみ部4は孔5に対して一定の肉厚を有する筒状の外周壁7を構成している。
また、
上方に突出させた山形部分8の内部には空洞9が設けられている。山形の外形を成す空洞9周囲の外郭部10は、筒状の外周壁7と同程度の肉厚を有するように形成されている。また、空洞9と孔5の境界には筒状の外周壁7と同程度の肉厚を有する境界壁11が設けられている。緩衝部材2の表面は塩化ビニル系造膜剤による浸漬塗装が行われた後、降雪の際に雪が滑って落ちる効果がある特殊合成樹脂塗料が塗布されている。
【0012】
緩衝部材2はポリエチレンフォームによって、軽量かつ弾力性のある状態で一体的に成形されている。
緩衝部材2の短手方向の断面は、一例として上方に突出させた山形部分8の頂点から膨らみを有する下方の円形部分4の中心を通過する中心線CLを基準として対称形状を成している。そして、空洞9と孔5の境界を成す境界壁11は中心線と同一位置において切断(切断部12)されている。また、円形部分(膨らみ部)4を構成する筒状の外周壁7も中心線と同一位置において切断(切断部13)されている。
切断部12、13は、阻止棒1の芯材を構成する筒状部材6を緩衝部材2の孔5に嵌挿する際に拡幅することで嵌挿を容易にする効果がある。嵌挿後は、素材の弾性によって筒状部材6が孔5の内面に密着するようになっている。
【0013】
筒状部材6は炭素繊維強化プラスチックで作られており、長尺であるにも関わらず軽量であり、遮断機による旋回にも耐える強度を有している。
遮断機用の阻止棒1は、雫形に形成されているので上下方向に一定の幅を有しており、車両の運転席からよく見えるようになっている。
また、遮断機は車両の前方を塞ぐものであるが、遮断機が上がりきらないうちに車両が進行し車両が阻止棒1に接触する場合がある。このような場合であっても、緩衝部材2は接触した車両に対する損傷が最小限になるように柔軟性を有している。
さらに、切断部12、切断部13を設けることによって筒状部材6に対する装着を容易にし、装着後は両者の密着性を高く保つことにより、筒状部材6の旋回に伴う遠心力を受け手も抜けにくくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、有料道路のゲート、駐車場の入退出ゲートにおいて車両の進行を阻止する遮断機用の阻止棒に利用可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 阻止棒
2 緩衝部材
4 円形部分(膨らみ部)
5 孔
6 筒状部材
7 外周壁
8 山形部分
9 空洞
10 外郭部
11 境界壁
12 切断部
13 切断部
CL 中心線

図1
図2