(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024075171
(43)【公開日】2024-06-03
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/10 20200101AFI20240527BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240527BHJP
G02F 1/1343 20060101ALI20240527BHJP
G09F 9/35 20060101ALI20240527BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240527BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20240527BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20240527BHJP
G02F 1/1347 20060101ALN20240527BHJP
G02F 1/13357 20060101ALN20240527BHJP
【FI】
G02B30/10
G02F1/1335 500
G02F1/1343
G09F9/35
G09F9/00 313
H04N13/307
H04N13/305
G02F1/1347
G02F1/13357
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186413
(22)【出願日】2022-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 宗治
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H199
2H291
2H391
5C061
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H092GA03
2H092GA29
2H092HA04
2H092JA24
2H189AA35
2H189JA05
2H189JA14
2H189LA05
2H189LA06
2H189LA07
2H189LA10
2H189LA18
2H189LA20
2H189NA13
2H199BA20
2H199BA63
2H199BB04
2H199BB08
2H199BB10
2H199BB43
2H199BB52
2H291FA13X
2H291FA59X
2H291FA60X
2H291FA62X
2H291GA05
2H291GA08
2H291GA10
2H291GA19
2H291GA23
2H291HA06
2H291HA15
2H291LA03
2H291LA28
2H291MA01
2H391CB32
2H391CB43
2H391CB52
2H391EB02
2H391FA03
5C061AA06
5C061AA07
5C061AB16
5C094AA02
5C094BA03
5C094BA43
5C094CA19
5C094CA21
5C094DA12
5C094ED01
5G435AA01
5G435BB12
5G435CC09
5G435FF13
5G435GG02
5G435HH02
5G435KK07
(57)【要約】
【課題】 多重像の発生を防ぐことが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置は、複数のレンズを有するレンズ素子と、液晶層を備えるバリア素子と、表示パネルと、を備え、前記レンズ素子は、前記表示パネル及び前記バリア素子の間に設けられ、前記バリア素子は、第1基板と、第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられた前記液晶層と、を備え、前記第1基板は、複数の第1電極と、前記複数の第1電極を覆う、絶縁層と、前記絶縁層上に設けられた、複数の第2電極と、を備え、前記第2基板は、第3電極を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを有するレンズ素子と、
液晶層を備えるバリア素子と、
表示パネルと、
を備え、
前記レンズ素子は、前記表示パネル及び前記バリア素子の間に設けられ、
前記バリア素子は、
第1基板と、第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられた前記液晶層と、
を備え、
前記第1基板は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極を覆う、絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた、複数の第2電極と、
を備え、
前記第2基板は、第3電極を備える、表示装置。
【請求項2】
前記複数の第1電極のそれぞれ、及び前記複数の第2電極のそれぞれは、第1方向に沿う短辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延伸する長辺と、を有する矩形形状を有し、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極は、前記第1方向に沿って交互に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記複数のレンズは、複数のレンチキュラーレンズである、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極のうちの1つの電極は、円形形状を有し、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極のうちの他の電極は、円環形状を有し、
前記円環形状を有する前記他の電極は、前記円形形状の1つの電極を中心に、同心円状に配置され、
前記複数の第1電極及び前記複数の第2電極は、前記中心から外側に向けて、交互に配置される、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数のレンズは、複数のマイクロレンズである、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の第1電極それぞれ、又は、前記複数の第2電極それぞれと接続される、配線と、
を、さらに備え、
前記配線は、第1方向に沿う短辺と、前記第1方向に交差する第2方向に沿って延伸する長辺と、を有する矩形形状を有する、請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、裸眼で立体視を可能とする様々な表示装置が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、多重像の発生を防ぐことが可能な表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る表示装置は、
複数のレンズを有するレンズ素子と、
液晶層を備えるバリア素子と、
表示パネルと、
を備え、
前記レンズ素子は、前記表示パネル及び前記バリア素子の間に設けられ、
前記バリア素子は、
第1基板と、第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の間に設けられた前記液晶層と、
を備え、
前記第1基板は、
複数の第1電極と、
前記複数の第1電極を覆う、絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられた、複数の第2電極と、
を備え、
前記第2基板は、第3電極を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図3】
図3は、表示パネルの概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5は、画素レイアウトの一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示した線A1-A2に沿った表示パネルの断面図である。
【
図7】
図7は、表示装置の積層構造を示す断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す表示装置の配向膜の初期配向方向及び偏光板の透過軸を説明する図である。
【
図9】
図9は、表示装置の積層構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す表示装置の配向膜の初期配向方向及び偏光板の透過軸を説明する図である。
【
図11】
図11は、バリア素子に含まれる液晶素子の概略的な構成の一例を示す断面図である。
【
図13】
図13は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図14】
図14は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図15】
図15は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図19】
図19は、実施形態の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図20】
図20は、実施形態の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図21】
図21は、実施形態の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
【
図25】
図25は、レンズと遮光領域の距離の関係を示す図である。
【
図27】
図27は、実施形態のバリア素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図28】
図28は、実施形態のバリア素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
【
図29】
図29は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図30】
図30は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図31】
図31は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図32】
図32は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図33】
図33は、バリア形成領域の中心線が、レンズの中心線に対して、第1方向Xにずれている状態を示す図である。
【
図34】
図34は、実施形態における表示装置の構成例を示す平面図である。
【
図36】
図36は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図37】
図37は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図38】
図38は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
【
図39】
図39は、実施形態における表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図40】
図40は、実施形態における表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図41】
図41は、実施形態における表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図42】
図42は、実施形態における表示装置の構成例を示す断面図である。
【
図43】
図43は、レンズ及び開口部の長さの関係を示す図である。
【
図44】
図44は、マイクロレンズの長さ(直径)と円形状開口部の長さ(直径)の関係を示す図である。
【
図45】
図45は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図46】
図46は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図47】
図47は、実施形態における表示装置の構成例を示す図である。
【
図48】
図48は、バリア素子の開口率と照明装置の輝度の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
本明細書で述べる実施形態は、一般的なものでなく、本発明の同一又は対応する特別な技術的特徴について説明する実施形態である。以下、図面を参照しながら一実施形態に係る表示装置について詳細に説明する。
【0009】
本実施形態においては、第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zは、互いに直交しているが、90度以外の角度で交差していてもよい。第3方向Zの矢印の先端に向かう方向を上又は上方と定義し、第3方向Zの矢印の先端に向かう方向とは反対側の方向を下又は下方と定義する。なお第1方向X、第2方向Y、及び、第3方向Zを、それぞれ、X方向、Y方向、及び、Z方向と呼ぶこともある。
【0010】
また、「第1部材の上方の第2部材」及び「第1部材の下方の第2部材」とした場合、第2部材は、第1部材に接していてもよく、又は第1部材から離れて位置していてもよい。後者の場合、第1部材と第2部材との間に、第3の部材が介在していてもよい。一方、「第1部材の上の第2部材」及び「第1部材の下の第2部材」とした場合、第2部材は第1部材に接している。
【0011】
また、第3方向Zの矢印の先端側に表示装置を観察する観察位置があるものとし、この観察位置から、第1方向X及び第2方向Yで規定されるX-Y平面に向かって見ることを平面視という。第1方向X及び第3方向Zによって規定されるX-Z平面、あるいは第2方向Y及び第3方向Zによって規定されるY-Z平面における表示装置の断面を見ることを断面視という。
【0012】
[実施形態]
図1は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図1に示す表示装置DSPは、照明装置ILDと、表示パネルPNLと、接着剤ADHと、レンズ素子LNSと、バリア素子BRRと、を備えている。
【0013】
表示装置DSPは、ライトフィールドディスプレイである。ある物体を視認する場合、視認者は、当該物体表面で反射した反射光が目に到達することで当該物体を視認することとなる。一方、ライトフィールドディスプレイは、画像を表示する表示画面からの出射光をコントロールすることで、上述の如き反射光を再現する。すなわち、平面ディスプレイに表示されたある物体の画像であっても、当該物体の実物が各方向に放出しているような反射光を表示画面からの出射光によって再現できるので、当該表示画面を視認する視認者は、当該表示画面に対する1又は複数視点において当該物体が実在しているように感じられる。
【0014】
一般的にディスプレイは、同一な光(輝度、色)をできるだけ全方位に拡散させ、広視野角を実現している。一方、ライトフィールドディスプレイは、画素ごとに光の取り出し方向を限定することで立体視を実現させる。光の取り出し方向を限定するには、遮光バリアで光の角度を限定したり、拡散した光をレンズで平行にしたりすることが挙げられる。本実施形態の表示装置DSPは、レンズにより光の取り出し方向を限定している。
【0015】
照明装置ILDは、例えば、光源素子と、導光板と、拡散板と、を備えるバックライトであればよい。光学素子は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)や、レーザダイオード等であればよい。また、導光板や拡散板以外に、光学素子を備えていてもよい。
【0016】
表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、第1基板SUB1及び第2基板SUB2との間に設けられる液晶層(図示しない)と、偏光板POL1と、偏光板POL2と、を備えている。第1基板SUB1には、液晶層を駆動する複数の画素回路が設けられている。第2基板SUB2又は第1基板SUB1には、複数のカラーフィルタが設けられている。複数の画素回路、液晶層、及び複数のカラーフィルタは、複数の画素PXを構成する。複数の画素PXは、赤色を発光する画素PXR、緑色を発光する画素PXG、青色を発光する画素PXBを含んでいる。画素PXR、画素PXG、及び画素PXBは、第1方向Xに沿って、この順に配置されている。
【0017】
照明装置ILDに隣接し、第1基板SUB1に接して、偏光板POL1が設けられている。レンズ素子LNSに隣接し、第2基板SUB2に接して、偏光板POL2が設けられている。
【0018】
レンズ素子LNSは、接着剤ADHにより、表示パネルPNLに接着されている。本実施形態のレンズ素子LNSは、複数のレンズLXを有している。レンズ素子LNSは、透明部材、例えば透明樹脂材料を用いて形成されていればよい。当該透明樹脂材料として、例えば、アクリル樹脂が挙げられる。また、レンズ素子LNSは、透明部材であり、通過する光の位相差が変わらない部材、例えばガラス材料を用いて形成されていてもよい。また、レンズ素子LNSとして液晶レンズを採用することも可能である。本実施形態において、複数のレンズLXそれぞれは、レンチキュラーレンズである。レンズLXは、X-Z平面での形状がレンズ形状であり、第2方向Yに沿って延伸している。
【0019】
本実施形態の表示装置DSPでは、レンズ素子LNSにより、画素PXから出射される映像光の取り出し方向を限定する。レンズ素子LNSのレンズLXは、映像光を遮光することがなく、取り出された光を効率よく利用することができる。これにより、輝度の高い表示装置を得ることが可能である。
【0020】
レンズ素子LNS上に空気層ARLを挟んで、バリア素子BRRが設けられている。バリア素子BRRは、透明導電層TCYと、液晶素子LCBと、偏光板POL3と、を備えている。詳細は後述するが、液晶素子LCBには、複数の遮光領域LBが形成される。複数の遮光領域LBそれぞれは、複数のレンズLXの頂点の間に重畳して設けられる。換言すると、遮光領域LBは、1つのレンズLXの端部に重畳して設けられる。隣り合う遮光領域LBの間の領域を開口部OPとする。1つのレンズLXに対して、1つの開口部OPが設けられる。
【0021】
レンズ素子LNSは、表示パネルPNLの上方に設けられている。バリア素子BRRは、レンズ素子LNSの上方に設けられている。換言すると、レンズ素子LNSは、表示パネルPNL及びバリア素子BRRの間に設けられている。
【0022】
照明装置ILDから出射された照明光は、表示パネルPNLに入射する。表示パネルPNLは、入射した照明光を、表示パネルPNLの画素PXで変調することにより、画像を表示する。表示画像は、映像光として上方に出射され、レンズ素子LNSにて平行光に調整される。
【0023】
図1において、表示パネルPNLは、横電界、例えばFFS(FFS:Fringe Field Switching)方式で液晶層を駆動する。一方、バリア素子BRRでは、縦電界、例えばTN(Twisted Nematic)方式で液晶層を駆動する。
【0024】
図2は、表示装置の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図2に示す構成例は、バリア素子BRRに偏光板POL4を備える、という点で、
図1に示す構成例と異なっている。
【0025】
透明導電層TCYに接して、偏光板POL4が設けられている。偏光板POL4は、透明導電層TCY及びレンズLXの間に設けられている。
【0026】
図3は、表示パネルの概略的な構成の一例を示す平面図である。
図3に示す表示パネルPNLにおいて、複数の走査線GL1、走査線GL2…は、走査線駆動回路GDに接続されている。複数の信号線SL1、信号線SL2…は、信号線駆動回路SDに接続されている。なお、走査線GL及び信号線SLは、必ずしも直線的に延出していなくてもよく、それらの一部が屈曲していてもよい。例えば、信号線SLは、その一部が屈曲していたとしても、第2方向Yに延出しているものとする。
【0027】
共通電極CEは、コモン電圧(Vcom)の電圧供給部CDに接続され、複数の画素PXに亘って配置されている。
【0028】
図4は、1つの画素の構成を示す図である。画素PXは、それぞれ、スイッチング素子SW、画素電極PE、共通電極CE、液晶層LC等を備えている。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)によって形成されている。スイッチング素子SWのTFTは、走査線GL及び信号線SLと電気的に接続されている。
【0029】
走査線GLは、第1方向Xに並んだ複数の画素PXに接続されている。具体的には、走査線GLは、当該画素PXのそれぞれにおける、スイッチング素子SWのゲート電極GEと、電気的に接続されている。信号線SLは、第2方向Yに並んだ複数の画素PXに接続されている。具体的には、信号線SLは、当該画素PXのそれぞれにおける、スイッチング素子SWのソース電極SEと電気的に接続されている。
【0030】
画素電極PEは、スイッチング素子SWのドレイン電極DEと電気的に接続されている。画素電極PEのそれぞれは、共通電極CEと対向している。画素電極PEと共通電極CEとの間に生じる電界によって液晶層LCを駆動する。保持容量CSは、例えば、共通電極CEと同電位の電極、及び、画素電極PEと同電位の電極の間に形成される。
【0031】
図5は、画素レイアウトの一例を示す平面図である。走査線GL1乃至走査線GL3は、それぞれ第1方向Xに沿って直線的に延出し、第2方向Yに間隔を置いて並んでいる。信号線SL1乃至信号線SL3は、それぞれ概ね第2方向Yに沿って延出し、第1方向Xに間隔をおいて並んでいる。
【0032】
画素電極PE1及び画素電極PE2は、走査線GL1及び走査線GL2の間に配置されている。画素電極PE1及び画素電極PE2は、第1方向Xに沿って並んでいる。画素電極PE3及び画素電極PE4は、走査線GL2及び走査線GL3の間に配置されている。画素電極PE3及び画素電極PE4は、第1方向Xに沿って並んでいる。画素電極PE1及び画素電極PE3は、信号線SL1及び信号線SL2の間に配置されている。画素電極PE2及び画素電極PE4は、信号線SL2及び信号線SL3の間に配置されている。
【0033】
図5において、第2方向Yに対して反時計回りに鋭角に交差する方向を、方向D1と定義する。第2方向Yに対して時計回りに鋭角に交差する方向を、方向D2と定義する。なお、第2方向Yと方向D1とのなす角度θ1は、第2方向Yと方向D2とのなす角度θ2とほぼ同一である。
【0034】
画素電極PE1及び画素電極PE2は、それぞれ方向D1に沿って延伸する、帯電極Pa1及び帯電極Pa2を有している。画素電極PE3及び画素電極PE4は、それぞれ方向D2に沿って延伸する、帯電極Pa3及び帯電極Pa4を有している。図示した例では、帯電極Pa1乃至帯電極Pa4は、それぞれ、2本ずつ設けられるが、1本でもよいし、3本以上であってもよい。
【0035】
共通電極CE1は、信号線SL1乃至信号線SL3の上に重畳している。画素電極PE1及び画素電極PE2は、共通電極CE1の上に重畳している。共通電極CE2は、信号線SL1乃至信号線SL3の上に重畳している。画素電極PE3及び画素電極PE4は、共通電極CE2の上に重畳している。共通電極CE2は、共通電極CE1から第2方向Yに離間し、互いに電気的に絶縁されている。図示した例では、走査線GL2は、共通電極CE1及び共通電極CE2の間に位置している。
【0036】
図6は、
図5に示した線A1-A2に沿った表示パネルの断面図である。図示した例は、横電界を利用する表示モードの一つであるFFSモードが適用された例に相当する。表示パネルPNLは、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、液晶層LCPと、を備えている。
【0037】
第1基板SUB1は、絶縁基材IB1、信号線SL2及び信号線SL3、金属配線ML21及び金属配線ML31、共通電極CE1、画素電極PE2、配向膜AL1などを備えている。
【0038】
絶縁基材IB1は、ガラスや可撓性の樹脂材料などの光透過性を有する材料で形成されている。絶縁層UC1は、絶縁基材IB1の上に配置されている。
【0039】
信号線SL2及び信号線SL3は、絶縁層UC1の上に位置し、絶縁層GIによって覆われている。なお、信号線SL2及び信号線SL3は、図示しない他の信号線SL1等と同一層に位置している。信号線SL2及び信号線SL3は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、銅(Cu)、クロム(Cr)などの金属材料や、これらの金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。一例では、信号線SL2及び信号線SL3は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及び、チタン(Ti)を順に積層した積層体である。
【0040】
金属配線ML21及び金属配線ML31は、絶縁層GIの上に位置し、絶縁層ILIによって覆われている。金属配線ML21は信号線SL2の直上に位置し、金属配線ML31は信号線SL3の直上に位置している。金属配線ML21及び金属配線ML31は、上記の金属材料や、上記の金属材料を組み合わせた合金などによって形成され、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。一例では、金属配線ML21及び金属配線ML31は、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、及び、チタン(Ti)を順に積層した積層体、あるいは、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、及び、モリブデン(Mo)を順に積層した積層体である。
【0041】
共通電極CE1は、絶縁層ILIの上に位置し、絶縁層PLLによって覆われている。共通電極CE1は、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)やインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)などの透明な導電材料によって形成された透明電極である。
【0042】
画素電極PE2は、絶縁層PLLの上に位置し、配向膜AL1によって覆われている。画素電極PE2は、ITOやIZOなどの透明な導電材料によって形成された透明電極である。
【0043】
絶縁層UC1、絶縁層GI、絶縁層ILI、絶縁層PLLは、それぞれ、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などの無機絶縁材料によって形成された無機絶縁層であり、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。絶縁層GI、絶縁層ILI、及び絶縁層PLLは、例えば、アクリル樹脂などの有機絶縁材料によって形成された有機絶縁層であってもよい。あるいは、上記無機絶縁層及び上記有機絶縁層の積層であってもよい。
【0044】
第2基板SUB2は、絶縁基材IB2、遮光層BM、カラーフィルタCF、オーバーコート層OC、配向膜AL2などを備えている。
【0045】
絶縁基材IB2は、絶縁基材IB1と同様に、ガラスや樹脂材料などの光透過性を有する材料で形成されている。遮光層BM及びカラーフィルタCFは、絶縁基材IB2の面のうち、第1基板SUB1と対向する面に設けられている。
【0046】
カラーフィルタCFは、画素電極PE2と対向する位置に配置され、その一部が遮光層BMに重なっている。カラーフィルタCFとしては、赤色、緑色、青色のそれぞれのカラーフィルタが含まれる。オーバーコート層OCは、カラーフィルタCFを覆っている。オーバーコート層OCは、透明な樹脂によって形成されている。
【0047】
配向膜AL2は、オーバーコート層OCを覆っている。配向膜AL1及び配向膜AL2は、例えば、水平配向性を呈する材料によって形成されている。上述した第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、配向膜AL1及び配向膜AL2が対向するように配置されている。
【0048】
液晶層LCPは、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の間に位置し、配向膜AL1と配向膜AL2との間に保持されている。液晶層LCPは、液晶分子LMを備えている。液晶層LCは、ポジ型(誘電率異方性が正)の液晶材料、あるいは、ネガ型(誘電率異方性が負)の液晶材料によって構成されている。
【0049】
偏光板POL1は、絶縁基材IB1に接着されている。偏光板POL2は、絶縁基材IB2に接着されている。なお、偏光板POL1及び偏光板POL2に加えて、必要に応じて位相差板、散乱層、反射防止層などを備えていてもよい。
【0050】
このような表示パネルPNLにおいては、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されていないオフ状態において、液晶分子LMは、配向膜AL1及び配向膜AL2の間で所定の方向に初期配向している。このようなオフ状態では、照明装置ILDから表示パネルPNLに向けて照射された光は、偏光板POL1及び偏光板POL2によって吸収され、暗表示となる。
【0051】
一方、画素電極PEと共通電極CEとの間に電界が形成されたオン状態においては、液晶分子LMは、電界により初期配向方向とは異なる方向に配向し、その配向方向は電界によって制御される。このようなオン状態では、照明装置ILDからの光の一部は、偏光板POL1及び偏光板POL2を透過し、明表示となる。
【0052】
図7は、表示装置の積層構造を示す断面図である。
図7に示す表示装置DSPは、
図1に示す表示装置DSPに対応している。
図7に示す表示装置DSPは、第3方向Zに沿って、偏光板POL1と、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、偏光板POL2と、接着剤ADHと、レンズ素子LNSと、基板BSB1と、基板BSB2と、偏光板POL3と、を備えている。
【0053】
第1基板SUB1には、配向膜AL1が設けられている。第2基板SUB2には、配向膜AL2が設けられている。基板BSB1には、配向膜AL3が設けられている。基板BSB2には、配向膜AL4が設けられている。
【0054】
図8は、
図7に示す表示装置の配向膜の初期配向方向及び偏光板の透過軸を説明する図である。
図8では、偏光板POL1と、配向膜AL1と、配向膜AL2と、偏光板POL2と、配向膜AL3と、配向膜AL4と、偏光板POL3と、のみを示している。
図8では、これら構成要素は、それぞれ、平面視したものが示されている。
【0055】
偏光板POL1の透過軸AX1は、第1方向X及びその逆方向に沿っている。配向膜AL1の初期配向方向OR1は、第2方向Yの逆方向に沿っている。配向膜AL2の初期配向方向OR2は、第2方向Yに沿っている。偏光板POL2の透過軸AX2は、第2方向Y及びその逆方向に沿っている。
【0056】
配向膜AL3の初期配向方向OR3は、第1方向Xに沿っている。配向膜AL4の初期配向方向OR4は、第2方向Yの逆方向に沿っている。偏光板POL3の透過軸AX3は、第1方向X及びその逆方向に沿っている。
【0057】
配向膜AL1の初期配向方向OR1及び配向膜AL2の初期配向方向OR2は、互いに逆方向である。偏光板POL1の透過軸AX1及び偏光板POL2の透過軸AX2は、互いに直交している。配向膜AL3の初期配向方向OR3及び配向膜AL4の初期配向方向OR4は、互いに直交している。偏光板POL3の透過軸AX3及び偏光板POL2の透過軸AX2は、互いに直交している。
【0058】
図9は、表示装置の積層構造を示す断面図である。
図9に示す表示装置DSPは、
図2に示す表示装置DSPに対応している。
図9に示す表示装置DSPは、第3方向Zに沿って、偏光板POL1と、第1基板SUB1と、第2基板SUB2と、偏光板POL2と、接着剤ADHと、レンズ素子LNSと、偏光板POL4と、基板BSB1と、基板BSB2と、偏光板POL3と、を備えている。
【0059】
図10は、
図9に示す表示装置の配向膜の初期配向方向及び偏光板の透過軸を説明する図である。
図10では、偏光板POL1と、配向膜AL1と、配向膜AL2と、偏光板POL2と、偏光板POL4と、配向膜AL3と、配向膜AL4と、偏光板POL3と、のみを示している。
図10では、これら構成要素は、それぞれ、平面視したものが示されている。
【0060】
偏光板POL1の透過軸AX1は、第1方向X及びその逆方向に沿っている。配向膜AL1の初期配向方向OR1は、第2方向Yの逆方向に沿っている。配向膜AL2の初期配向方向OR2は、第2方向Yに沿っている。偏光板POL2の透過軸AX2は、第2方向Y及びその逆方向に沿っている。
【0061】
偏光板POL4の透過軸は、第2方向Y及びその逆方向に沿っている。配向膜AL3の初期配向方向OR3は、第1方向Xに沿っている。配向膜AL4の初期配向方向OR4は、第2方向Yの逆方向に沿っている。偏光板POL3の透過軸AX3は、第1方向X及びその逆方向に沿っている。
【0062】
配向膜AL1の初期配向方向OR1及び配向膜AL2の初期配向方向OR2は、互いに逆方向である。偏光板POL1の透過軸AX1及び偏光板POL2の透過軸AX2は、互いに直交している。配向膜AL3の初期配向方向OR3及び配向膜AL4の初期配向方向OR4は、互いに直交している。偏光板POL4の透過軸AX4及び偏光板POL3の透過軸AX3は、互いに直交している。
【0063】
図10において、偏光板POL2の透過軸AX2及び偏光板POL4の透過軸AX4は、平行である。つまり、偏光板POL2と偏光板POL4は、同じ機能を有する。したがって、偏光板POL2と偏光板POL4は、それぞれ設けずに、1枚だけ設けてもよい。偏光板POL2と偏光板POL4のうち、1枚だけ設けた例が、
図8である。
【0064】
図11は、バリア素子に含まれる液晶素子の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図11に示す液晶素子LCBは、基板BSB1と、基板BSB2と、基板BSB1及び基板BSB2の間に設けられる液晶層LCYと、を備えている。
【0065】
基板BSB1は、基材BA1と、電極LE1と、絶縁層INSと、電極LE2と、配向膜AL3と、を備えている。基板BSB2は、基材BA2と、電極UEと、配向膜AL4と、を備えている。
【0066】
基板BSB1では、基材BA1上に、複数の電極LE1が設けられている。複数の電極LE1を覆って、絶縁層INSが設けられている。絶縁層INS上に、複数の電極LE2が設けられている。複数の電極LE2を覆って、配向膜AL3が設けられている。
【0067】
複数の電極LE2は、複数の電極LE1と、互い違いに設けられている。1つの電極LE2は、2つの電極LE1の間隙に重畳して設けられている。逆に、1つの電極LE1は、2つの電極LE2の間隙に重畳して設けられている。
図11においては、4つの電極LE1、及び、4つの電極LE2を示している。
【0068】
基板BSB2では、基材BA2に接して、電極UEが設けられている。電極UEは、いわゆるベタ膜であり、基材BA2全面に接して設けられている。電極UEを覆って、配向膜AL4が設けられている。
【0069】
基材BA1及び基材BA2は、透明基材、例えば、ガラス基材や、透明樹脂材料を用いた基材等であればよい。基材BA1の厚さは、基材BA2の厚さより薄い。基材BA1は、厚さの薄い基材を用いてもよいし、電極等を形成後、厚さを薄くなるように研磨してもよい。
【0070】
電極LE1、電極LE2、及び電極UEは、透明導電材料で形成されている。電極LE1、電極LE2、及び電極UEとして、例えば、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:IZO)を用いて形成すればよい。
【0071】
また電極LE1及び電極LE2の第1方向Xに沿う長さ(幅)は、例えば、
図1で示す画素PXの第1方向Xに沿う長さ(幅)の2倍以上3倍以下であればよい。
【0072】
絶縁層INSは、珪素を含む絶縁層、例えば、酸化珪素層や、窒化珪素層や、窒素を含む酸化珪素層(窒化酸化珪素層)を用いればよい。
【0073】
図11に示すように、基板BSB1では、電極LE2及び絶縁層INSを覆って、配向膜AL3が設けられている。基板BSB2においても同様に、電極UEを覆って、配向膜AL4が設けられている。すなわち、液晶層LCYは、基板BSB1及び基板BSB2に設けられた配向膜AL3及び配向膜AL4に挟持されているともいえる。配向膜AL3及び配向膜AL4の初期配向方向は、上述の通りである。
【0074】
液晶素子LCBでは、電極LE1、電極LE2、及び電極UEに印加される電圧により、電界が発生する。液晶層LCYが当該電界によって制御されることにより、
図1に示す遮光領域LBが形成される。なお、電圧が印加された電極に対応して開口部OPを形成し、電圧が印加されない電極に対応して、遮光領域LBを形成してもよい。なお、液晶素子LCBにおいては、ポジ型のTN(Twisted Nematic)液晶が用いられている。また、液晶素子LCBは電圧無印加状態で光を透過させる、ノーマリホワイト方式が採用されている。
【0075】
図1に示すバリア素子BRRでは、液晶素子LCBの基材BA1に接して、透明導電層TCYが設けられている。透明導電層TCYは、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)を用いて形成すればよい。透明導電層TCYは、レンズ素子LNS及びバリア素子BRRの距離を最小にするために設けられる。
【0076】
またバリア素子BRRには、液晶素子LCBの基材BA2に接して、偏光板POL3が設けられている。
【0077】
図12は、比較例の表示装置の断面図である。比較例の表示装置DSPrは、
図1に示す表示装置DSPと比較して、バリア素子を設けないという点で異なっている。
【0078】
表示装置DSPrにおいて、例えば、1つのレンズLXの中心が、1つの緑色の画素PXGに対向しているものとする。換言すると、レンズLXの中心は、画素PXGの直上に位置している。第1方向Xに沿って、画素PXGの左隣には画素PXR、画素PXGの右隣には画素PXBが設けられている。
【0079】
照明装置ILDから出射され、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBを通る光を、それぞれ、光LTR、光LTG、及び光LTBとする。光LTR、光LTG、及び光LTBは、それぞれ、画素PXR、画素PXG、及び画素PXBを通る際に、第3方向Zの軸を中心として±20°程度(全体で40°程度)広がる。レンズLXは、当該広がった光を集光して、平行光として出射する。光LTGは、画素PXGを通りレンズLXで集光され、レンズLXから平行光として出射される。光LTRは、左隣の画素PXRを通りレンズLXで集光され、レンズLXから紙面右斜め上に出射される。光LTBは、右隣の画素PXBを通りレンズLXで集光され、レンズLXから紙面左斜め上に出射される。
【0080】
図13は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
図13に示す表示装置DSPrでは、光LTGは、緑色を発光する画素PXGを通り拡散する。当該拡散した光LTGがレンズLXを透過する際に集光される。集光された光LTGは、第3方向Zに平行な光として、レンズLXから出射される。
図13では、レンズLXから出射される光は、全て光LTGである。
【0081】
図14は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
図14に示す表示装置DSPrでは、レンズLXの収差によって、集光位置がずれている。
図14においては、赤色を発光する画素PXR及び緑色を発光する画素PXGそれぞれを通る光、並びに、レンズLXの位置関係が示されている。
【0082】
レンズLXに収差があるので、レンズLXには、画素PXRを通過する光LTRだけでなく、隣接する画素PXGを通過する光LTGの一部も入射する。このように、レンズLXから出射される光には、目的とする画素PXを通る光だけでなく、周辺の画素PXを通る光が混合される。このような光から形成される画像は、情報のずれが画像の重ね合わせとなり、多重像となってしまう。
【0083】
なお本開示において、所望の画素を通る光を主光線といい、隣接する画素を通る光を隣接光線と呼ぶ。例えば、
図14に示す例では、画素PXRを通る光LTRが主光線であり、画素PXGを通る光LTGが隣接光線である。隣接光線の割合が増える、換言すると、主光線の割合が減ると、画像のずれが大きくなってしまう。
【0084】
主光線のみで構成される画像は、画像を見る角度が変わると共に切り替わってしまい、リアリティが下がる恐れがある。隣接光線が主光線に適度に混合され、緩やかに主光線と隣接光線の比率が切り替わると、画像の変化が自然なものと認識される。そのため、隣接光線はある程度混合されていることが好ましい。しかしながら、上述のように、主光線は画素の法線方向(第3方向Z)に対して広がるため、主光線に対する隣接光線の割合の上昇を抑えることが必要となる。
【0085】
図15は、比較例の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
図15に示す表示装置DSPrでは、製造バラツキにより、画素とレンズの間の距離が短くなっている。
図15においては、緑色を発光する画素PXGの直上に、レンズLXの中心が位置している。
【0086】
画素PXとレンズLXの距離が短いため、画素PXGを通る光LTGだけでなく、隣接する画素PXR及びPXBを通る光LTR及びLTBもレンズLXに入射する。目的とする画素PXを通る光だけでなく、周辺の画素PXを通る光が混合される。このような光から形成される画像は、多重像となってしまう。
【0087】
図16乃至
図18は、それぞれ、
図13乃至
図15に示す光により形成される画像を示す図である。
図16は、
図13において方向DR1から見た画像を示している。
図16に示す画像は、レンズLXで集光された光LTGのみから構成される画像を含んでいる。また、光LTGで形成された画像の端部は、光が届かない非透過部NTRとなる。
【0088】
図17は、
図14において方向DR2から見た画像を示している。
図17に示す画像は、光LTRにより構成された画像を含んでいる。当該画像の左右には、光LTGから形成される画像が表示される。
図14に示すように、光LTGは紙面左から右に進む。
図17では光LTRによる画像の左右に形成される光LTGによる画像のうち、右側の画像の幅は、左側の画像の幅より長い。
【0089】
図18は、
図15において方向DR3から見た画像を示している。
図18に示す画像は、光LTGにより構成された画像を含んでいる。当該画像の左右には、それぞれ、光LTR及びLTBから形成される画像が表示される。
【0090】
比較例に示すように、バリア素子を有さない表示装置では、隣接する画素を通る光が混合され、多重像となる恐れがある。
【0091】
図19乃至
図21は、それぞれ、実施形態の画素を通る光とレンズとの関係を示す図である。
図19に示す表示装置DSPでは、第3方向Zに沿ってレンズLXに隣接して、遮光領域LBが設けられている。遮光領域LBは、上述したように、複数のレンズLXの頂点の間に重畳して形成される。換言すると、遮光領域LBは、レンズLXの端部に重畳して形成される。遮光領域LBは、制御部(図示しない)からの信号に基づいて、バリア素子BRRに形成される。
【0092】
図19では、遮光領域LBは、レンズLXの端部を通過する光LTGを遮光する。
図20では、遮光領域LBは、レンズLXの端部を通過する光LTG及び光LTRの一部を遮光する。
図20に示す表示装置DSPでは、光LTRのみから構成される画像が形成されるため、異なる色の光の混合が生じない。よって、多重像が発生することを防ぐことが可能である。
【0093】
図21では、遮光領域LBは、レンズLXの端部を通過する光LTR及び光LTBを遮光する。
図21に示す表示装置DSPでは、光LTGのみから構成される画像が得られる。
図21によっても、多重像が発生することを防ぐことができる。
【0094】
図22乃至
図24は、それぞれ、
図19乃至
図21に示す光により形成される画像を示す図である。
図22に示す画像では、
図16に示す画像と比較して、非透過部NTRは遮光領域LBに覆われている。
【0095】
図23に示す画像では、
図17に示す画像と比較して、非透過部NTR及び光LTGがレンズLXに入射する領域が、遮光領域LBに覆われている。よって、光LTGは画像を形成しない。光LTRにより形成される画像には、光LTGによる混色が生じない。よって多重像の発生を防ぐことができる。
【0096】
図24に示す画像では、
図18に示す画像と比較して、非透過部NTR並びに光LTR及び光LTBがレンズLXに入射する領域が、遮光領域LBに覆われている。よって、光LTR及び光LTBは画像を形成しない。光LTGにより形成される画像には、光LTR及び光LTBによる混色が生じない。よって多重像の発生を防ぐことができる。
【0097】
図25は、レンズと遮光領域の距離の関係を示す図である。レンズLXの幅を幅WLN、レンズLXの頂点を頂点VX、頂点VXを含むX-Y平面と遮光領域LBとの距離を距離TLN、とする。隣り合う遮光領域LBは、頂点VXから等距離に位置している。換言すると、開口部OPの中心は、頂点VXを通る法線(第3方向Zに沿う線)と一致する。
【0098】
距離TLNが長くなる、すなわち、レンズLX及び遮光領域LBの距離が離れるほど、斜め方向の光は、頂点VXから見て左右非対称に遮光され、主光線の比率が下がる。これを制限するためには、距離TLNを、0以上((0.1×幅WLN/tan30°)=(0.1×幅WLN×√3))以下(0≦TLN≦0.1×WLN×√3(式1))とする。
【0099】
(式1)に示される距離TLNは、レンズLXの位置が幅WLNの10%の長さ分ずれたとしても、視野角が最大に留まる範囲である。視野角最大とは、レンズLXの頂点VXから出射される光が、頂点VXを通る法線に対して、±30°である場合を指す。
【0100】
図26は、比較例の表示装置を示す図である。表示装置DSPrは、
図20に示す表示装置DSPにおいて、距離TLNが0.1×WLN×√3を超えている場合(TLN>0.1×WLN×√3)を示している。
【0101】
図26に示す表示装置DSPrでは、紙面左側の光LTGは遮光領域LBに遮光されていない。また紙面右側の光LTGも遮光領域LBに遮光されていない上に、主光線である光LTRが遮光領域LBに遮光されてしまっている。このように、表示装置DSPrから出射される光は、不要であるはずの光LTGが混合された上に、主光線であるLTRの一部が遮光され、比率が低下してしまっている。
【0102】
よって、レンズLXの頂点VXを含むX-Y平面と遮光領域LBとの距離TLNは、(式1)を満たす距離であることが好ましい。
【0103】
本実施形態の表示装置DSPは、レンズ素子LNS上にバリア素子BRRを備えている。表示装置DSPは、隣り合う画素PXを通る光を、バリア素子BRRの遮光領域LBが遮光することで、目的とする画素PXを通る光だけを出射することができる。これにより、表示装置DSPが表示する画像が多重像となるのを防ぐことが可能である。
【0104】
図27は、実施形態のバリア素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図27に示すバリア素子BRRは、第2方向Yに沿って延伸する3つの電極LE1と、第2方向Yに沿って延伸する4つの電極LE2を有している。電極LE1及びLE2は、第1方向Xに沿って交互に配置されている。
【0105】
図27に示す電極LE1を、紙面左から電極LE11、電極LE12、及び電極LE13とする。電極LE2を紙面左から電極LE21、電極LE22、電極LE23、及び電極LE24とする。つまり、紙面左から右に向かって、電極LE21、電極LE11、電極LE22、電極LE12、電極LE23、電極LE13、及び電極LE24が配置されている。
【0106】
電極LE21、電極LE11、電極LE22、電極LE12、電極LE23、電極LE13、及び電極LE24は、それぞれ、第1方向Xに沿って延伸する短辺、及び、第2方向Yに沿って延伸する長辺を有する、矩形形状を有している。
【0107】
図27に示すバリア素子BRRの第1方向Xに沿った断面構造は、
図11に示す通りである。ただし、
図27では、電極LE1及びLE2のうち、第1方向Xに沿って中央に位置する電極LE1の幅(第1方向Xに沿った長さ)は、他の電極LE1及び電極LE2の幅より長い。
【0108】
すなわち、電極LE12の幅は、他の電極LE21、電極LE11、電極LE22、電極LE23、電極LE13、及び電極LE24の幅より長い。
【0109】
電極LE21及び電極LE24には、同じ電圧が印加される。
図27に示すバリア素子BRRでは、電極LE21と電極UEの間、並びに、電極LE24と電極UEとの間に電位差が生じることにより、液晶層LCYの液晶分子が電位差に応じて長軸の向きを変え、これによってこれら電極間における光の透過率が低下し、バリア形成領域が形成される。電極LE21及び電極UE、並びに、電極LE24及び電極UEにより形成されるバリア形成領域を、それぞれ、バリア形成領域BFR1とする。
【0110】
同様に、電極LE11及びUEにより形成されるバリア形成領域をバリア形成領域BFR2、電極LE22及び電極UEにより形成されるバリア形成領域をバリア形成領域BFR3、電極LE12及び電極UEにより形成されるバリア形成領域をバリア形成領域BFR4、電極LE23及び電極UEにより形成されるバリア形成領域をバリア形成領域BFR5、電極LE13及び電極UEにより形成されるバリア形成領域をバリア形成領域BFR6とする。
【0111】
バリア形成領域BFR1乃至バリア形成領域BFR6は、電極LE21、電極LE11、電極LE22、電極LE12、電極LE23、電極LE13、及び電極LE24と同様に、第1方向Xに沿って延伸する短辺、及び、第2方向Yに沿って延伸する長辺を有する、矩形形状を有している。
【0112】
図27に示すバリア素子BRRには、6分割されたバリア形成領域が形成される。これらバリア形成領域を組み合わせることにより、上述の遮光領域LBを形成することが可能である。
【0113】
図28は、実施形態のバリア素子の概略的な構成の一例を示す平面図である。
図28に示す構成例は、最外側の電極に重畳して、固定の遮光層を設ける、という点で、
図27に示す構成例と異なっている。
【0114】
図28に示すバリア素子BRRでは、最外側の電極である電極LE24及び電極LE21に重畳して、固定の遮光層KBを設けている。これにより、電極LE24及び電極LE21への電圧の印加の有無にかかわらず、電極LE24及び電極LE21が占める領域は、遮光される。すなわち、バリア形成領域BFR1が形成されても形成されなくても、当該領域は常に遮光されている。
【0115】
図29乃至
図31は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
図29乃至
図31では、バリア素子BRRの平面図(紙面上方)と、それに対応するレンズ素子LNSの1つのレンズLXの断面図(紙面下方)を示している。
【0116】
なお
図29乃至
図31において、1つのレンズLXの平面は、第1方向Xに沿って延伸する短辺、及び、第2方向Yに沿って延伸する長辺を有する、矩形形状を有しているものとする。1つのレンズLXの平面は、バリア形成領域BFR1乃至バリア形成領域BFR6全体に対応している。すなわち、レンズLXは、レンチキュラーレンズである。
【0117】
図29では、電極LE21、電極LE24、及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。バリア形成領域BFR1が遮光領域LBとして機能する。また電極LE11、電極LE22、電極LE12、電極LE23、及び電極LE13が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0118】
図30では、電極LE21、電極LE24、及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。電極LE11及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR2が形成される。電極LE13及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR6が形成される。バリア形成領域BFR1、バリア形成領域BFR2、及びバリア形成領域BFR6が遮光領域LBとして機能する。また電極LE22、電極LE12、及び電極LE23が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0119】
図31では、電極LE21、電極LE24、及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。電極LE11及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR2が形成される。電極LE13及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR6が形成される。電極LE22及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR3が形成される。電極LE23及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR5が形成される。バリア形成領域BFR1、バリア形成領域BFR2、バリア形成領域BFR3、バリア形成領域BFR5、及びバリア形成領域BFR6が遮光領域LBとして機能する。また電極LE12が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0120】
図29乃至
図31に示されるように、電圧を印加する電極を変えることにより、遮光領域LBが占める領域を変化させることが可能である。つまり開口部OPの占める領域も変化させることが可能である。これにより、例えば、被写界深度を変えて表示を行うことも可能である。バリア素子BRRに接続される制御部(図示しない)からの信号により、電圧を印加する電極を選択すればよい。
【0121】
図29乃至
図31では、電極LE21、電極LE11、電極LE22、電極LE12、電極LE23、電極LE13、及び電極LE24が占める領域の中心に対して、左右対称に位置する電極ごとに同じ電圧を印加する。
【0122】
これに対し、バリア素子とレンズ素子の重なりが第1方向Xにずれてしまう場合が考えられる。
図32は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
図33は、本来であればバリア形成領域の中心線となる電極LE12の中心線が、レンズの中心線に対して、第1方向Xにずれている状態を示す図である。
図32及び
図33において、電極LE12の中心線を中心線DB、レンズLXの中心線をDxとする。
【0123】
このような場合、電極LE12の左右に位置する電極に対称となるようには電位を与えない。例えば
図33に示すように、当該中心から左側に位置する電極については、電極LE21のみ電位を印加する。他方、当該中心から右側に位置する電極については、電極LE13、電極LE24に電位を印加する。電位を印加された電極に対応する領域のみを遮光領域LBとする構成も採用可能である。制御部(図示しない)からの信号に基づいて、当該電極に電位が印加される。
【0124】
以上本実施形態により、表示画像が多重像となるのを防ぐことが可能な表示装置を得ることができる。
【0125】
<構成例1>
図34は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す平面図である。
図34に示した構成例では、
図27に示した構成例と比較して、バリア形成領域が円形形状及び円環形状であるという点で異なっている。
【0126】
図34に示すバリア素子BRRは、
図27と同様に、電極LE1及び電極LE2を備えている。バリア素子BRRは、電極LE1として、電極LE11、電極LE12、及び電極LE13を有している。バリア素子BRRは、電極LE2として、電極LE21及び電極LE22を有している。
【0127】
円形形状の電極LE13を中心として、内側から外側に同心円状に、円環形状の電極LE22、電極LE12、電極LE21、及び電極LE11が設けられている。電極LE1及び電極LE2は、1つの円形形状の電極を中心として、内側から外側に向けて、交互に配置されているといえる。
【0128】
バリア素子BRRは、第2方向Yに延伸する配線LE3を有している。配線LE3として、配線LE31、配線LE32、配線LE33、配線LE34、配線LE35が設けられている。配線LE31は、コンタクトホールCH1を介して、電極LE11と接続されている。配線LE32は、コンタクトホールCH2を介して、電極LE12と接続されている。配線LE33は、コンタクトホールCH3を介して、電極LE13と接続されている。配線LE34は、コンタクトホールCH4を介して、電極LE22と接続されている。配線LE35は、コンタクトホールCH5を介して、電極LE21と接続されている。
【0129】
図35は、
図34に示すバリア素子の概略的な構成の一例を示す断面図である。
図35に示すバリア素子BRRでは、基板BSB1と、基板BSB2と、基板BSB1及び基板BSB2の間に設けられた液晶層LCYと、を備えている。
【0130】
基板BSB1では、基材BA1上に、配線LE3(配線LE3a及び配線LE3b)が設けられている。配線LE3を覆って、絶縁層INS1が設けられている。絶縁層INS1上には、電極LE1が設けられている。電極LE1を覆って、絶縁層INS2が設けられている。絶縁層INS2上には、電極LE2が設けられている。電極LE2及び絶縁層INS2を覆って、配向膜AL3が設けられている。
【0131】
絶縁層INS1及び絶縁層INS2は、
図2に示す絶縁層INSと同様の材料で形成されていればよい。配線LE3は、透明導電材料、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)等で形成されていればよい。あるいは、透過率に影響に少ない微細配線を形成可能な場合は、配線LE3は、金属材料で形成されていてもよい。
【0132】
電極LE1(電極LE11、電極LE12、及び電極LE13)は、絶縁層INS1に設けられるコンタクトホールCHaを介して、配線LE3aに接続されている。電極LE11、電極LE12、及び電極LE13について、配線LE3aは、それぞれ、配線LE31、配線LE32、及び配線LE33に該当する。電極LE11、電極LE12、及び電極LE13について、コンタクトホールCHaは、それぞれ、コンタクトホールCH1、コンタクトホールCH2、及びコンタクトホールCH3に該当する。
【0133】
電極LE2(電極LE21及び電極LE22)は、絶縁層INS1及び絶縁層INS2に設けられるコンタクトホールCHbを介して、配線LE3bに接続されている。電極LE21及び電極LE22について、配線LE3bは、それぞれ、配線LE34及び35に該当する。電極LE21及び電極LE22について、コンタクトホールCH3bは、それぞれ、コンタクトホールCH4及びコンタクトホールCH5に該当する。
【0134】
配線LE31を介して、電極LE11に電圧を印加する。電極LE11及び電極UEに印加された電圧により、液晶層LCYが変調され、バリア形成領域BFR1が形成される。同様に、電極LE21及び電極UE、電極LE12及び電極UE、電極LE22及び電極UE、電極LE13及び電極UEに印加された電圧により、それぞれ、バリア形成領域BFR2、バリア形成領域BFR3、バリア形成領域BFR4、及びバリア形成領域BFR5が形成される。
【0135】
図34に示すバリア素子BRRには、5分割されたバリア形成領域が形成される。
図27と同様、これらバリア形成領域を組み合わせることにより、遮光領域LBを形成することが可能である。
【0136】
図36乃至
図38は、バリア形成領域とレンズとの位置関係を示す図である。
図36乃至
図38では、バリア素子BRRの平面図と、それに対応するレンズ素子LNSの1つのレンズLXの断面図を示している。
【0137】
なお
図36乃至
図38において、1つのレンズLXの平面は、円形形状を有しているものとする。1つのレンズLXの平面は、バリア形成領域BFR1乃至バリア形成領域BFR6全体に対応している。すなわち、レンズLXは、マイクロレンズである。
【0138】
図36では、電極LE11及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。バリア形成領域BFR1が遮光領域LBとして機能する。また電極LE21、電極LE12、電極LE22、及び電極LE13が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0139】
図37では、電極LE11及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。電極LE21及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR2が形成される。バリア形成領域BFR1及びバリア形成領域BFR2が遮光領域LBとして機能する。また電極LE12、電極LE22、及び電極LE13が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0140】
図38では、電極LE11及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR1が形成される。電極LE21及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR2が形成される。電極LE12及び電極UEで電圧が印加され、バリア形成領域BFR3が形成される。バリア形成領域BFR1、バリア形成領域BFR2、及びバリア形成領域BFR3が遮光領域LBとして機能する。また電極LE22及び電極LE13が設けられる領域が、開口部OPに該当する。
【0141】
図36乃至
図38に示されるように、電圧を印加する電極を変えることにより、遮光領域LBが占める領域を変化させることが可能である。つまり開口部OPの占める領域も変化させることが可能である。これにより、例えば、被写界深度を変えて表示を行うことも可能である。
本構成例において、実施形態と同様の効果を奏する。
【0142】
<構成例2>
図39及び
図40は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す断面図である。
図39及び
図40に示す構成例は、それぞれ、レンズ素子及びバリア素子の形状の一例を示している。
【0143】
図39に示すレンズ素子LNSは、レンズLXとして、複数のレンチキュラーレンズを有している。レンチキュラーレンズは、X-Z平面での断面形状が円の一部であり、Y-Z平面での断面形状が長方形である。レンチキュラーレンズは、第2方向Yに沿って延伸している。
【0144】
図40に示すバリア素子BRRには、遮光領域LBが形成される。遮光領域LBが形成されない領域が開口部OPである。開口部OPは、複数のスリットを有している。当該スリットは、それぞれ、レンチキュラーレンズと同様に、第2方向Yに沿って延伸している。
【0145】
複数のレンチキュラーレンズそれぞれに、平面視で当該スリットのそれぞれが重畳している。スリットの幅は、レンチキュラーレンズの幅より短い。
【0146】
図40に示す遮光領域LBは、
図27に示すバリア素子BRRにより形成することができる。
図39に示すレンチキュラーレンズは、
図27に示すバリア素子BRRに対応して配置されるレンズ素子LNSに設けることが可能である。
【0147】
図41及び
図42は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す断面図である。
図41及び
図42に示す構成例は、
図39及び
図40に示す構成例と比較して、レンズ素子及びバリア素子の形状が円形形状である、という点で異なっている。
【0148】
図41に示すレンズ素子LNSは、レンズLXとして、複数のマイクロレンズを有している。複数のマイクロレンズそれぞれは、半球状の形状を有している。当該マイクロレンズは、X-Z平面での断面もY-Z平面での断面形状は半円形状である。当該マイクロレンズのX-Y平面での断面は、円形形状である。
【0149】
図42に示すバリア素子BRRには、遮光領域LBが形成される。遮光領域LBが形成されない領域が開口部OPである。開口部OPは、複数の円形状開口部を構成している。
図42では、例えば、電極LE1及びLE2が設けられない領域は、あらかじめ遮光性の材料層を設けておけばよい。あるいは、電圧が印加された電極に対応して開口部OPが形成され、電圧が印加されない電極に対応して遮光領域LBが形成されればよい。
【0150】
複数のマイクロレンズそれぞれに、平面視で当該円形状開口部のそれぞれが重畳している。円形形状開口部の直径は、マイクロレンズの直径より短い。
【0151】
図42に示す遮光領域LBは、
図34に示すバリア素子BRRにより形成することができる。
図41に示すレンチキュラーレンズは、
図34に示すバリア素子BRRに対応して配置されるレンズ素子LNSに設けることが可能である。
【0152】
図43は、レンズ及び開口部の長さの関係を示す図である。
図43は、
図1の部分拡大図であり、主にレンズLX及び開口部OPを示している。レンズLXは、
図39に示すレンチキュラーレンズ又は
図41に示すマイクロレンズ等であればよい。開口部OPは、
図40に示すスリットや
図42に示す円形状開口部等であればよい。
【0153】
図43において、開口部OPの第1方向Xに沿う長さ(幅)を長さWB、レンズLXの第1方向Xに沿う長さ(幅)を長さWLとする。長さWBは長さWLより短い(WB<WL)。
【0154】
さらに長さWBは、長さWLの50%以上であることが好ましい(WB≧0.5×WL)。長さWBを長さWLの50%以上にすることにより、レンズ素子LNSの被写界深度を高めることが可能である。バリア素子BRRに接続される制御部(図示しない)からの信号により、電圧を印加する電極を選択すればよい。
【0155】
図44は、マイクロレンズの長さ(直径)と円形状開口部の長さ(直径)の関係を示す図である。
【0156】
マイクロレンズの中心及び円形形状開口部の中心は一致していることが好ましい。
図44に示す例では、マイクロレンズの中心及び円形状開口部の中心は、いずれも中心CRである。円形状開口部の端部からマイクロレンズの端部までの距離は、全て方向において等距離である。
【0157】
図44において、マイクロレンズであるレンズLXの第1方向Xに沿う長さを長さWLX、第2方向Yに沿う長さを長さWLYとする。円形形状開口部である開口部OPの第1方向Xに沿う長さを長さWBX、第2方向Yに沿う長さを長さWBYとする。
【0158】
第1方向X及び第2方向Yそれぞれにおいても、上述と同様に、長さWBXは、長さWLXの50%以上であることが好ましい(WBX≧0.5×WLX)。長さWBYは、長さWLYの50%以上であることが好ましい(WBY≧0.5×WLY)。これにより、レンズ素子LNSの被写界深度を高めることが可能である。
【0159】
マイクロレンズの平面視での形状が真円の場合、長さWLX及び長さWLYは等しい(WLX=WLY)。円形状開口部の平面視での形状が真円の場合、長さWBX及び長さWBYは等しい(WBX=WBY)。ただし、マイクロレンズ及び円形状開口部の平面視での形状が真円でなくても、第1方向X及び第2方向Yそれぞれにおいて、開口部OPの長さがレンズLXの長さの50%以上であることが好ましい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0160】
<構成例3>
図45は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図45に示す構成例は、遮光領域及び開口部との間に、ハーフトーン領域が設けられる、という点で、
図29に示す構成例と異なっている。
【0161】
図45では、レンズLXはレンチキュラーレンズであり、バリア素子BRRの電極LE1及びLE2は、第2方向Yに延伸する矩形形状を有している。
【0162】
図45では、電極LE11及び電極LE13に印加される電圧は、電極LE21及び電極LE24に印加される電圧よりも小さい。電極LE11及び電極LE13に対応する領域では、液晶層LCYの透過率は、電極LE21及び電極LE24に対応する領域、すなわち、バリア形成領域BFR1よりも高くなる。バリア形成領域BFRより透過率の高い領域を、ハーフトーン領域HFRとする。バリア形成領域BFR及びハーフトーン領域HFRに対応する電極に印加される電圧は、バリア素子BRRに接続される制御部(図示しない)からの信号により制御すればよい。
【0163】
電極LE11及び電極LE13に対応する領域を、それぞれ、ハーフトーン領域HFR11及びハーフトーン領域HFR12とする。ハーフトーン領域HFR11及びハーフトーン領域HFR12での液晶層LCYの透過率が同じであり、区別する必要がない場合は、単にハーフトーン領域HFR1とする。
【0164】
ハーフトーン領域HFR1は、遮光領域LB及び開口部OPとの間に形成される。遮光領域LBと開口部OPの境界の透過率を段階的に変わるようにすることで、主光線と隣接光線のバランスがアナログ的に変化することを可能とする。
【0165】
図46は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図46に示す構成例は、多段階のハーフトーン領域を設けるという点で、
図45に示す構成例と異なっている。
【0166】
図46では、
図45に示す例に加えて、電極LE22及び電極LE23にも電圧が印加される。電極LE22及び電極LE23に印加される電圧は、電極LE11及び電極LE13に印加される電圧より小さい。
【0167】
これにより、電極LE22及び電極LE23に対応する領域は、ハーフトーン領域HFR1(ハーフトーン領域HFR11及びハーフトーン領域HFR12)よりもさらに透過率が高い、ハーフトーン領域HFR21及びハーフトーン領域HFR22が形成される。ハーフトーン領域HFR21及びハーフトーン領域HFR22での液晶層LCYの透過率が同じであり、区別する必要がない場合は、単にハーフトーン領域HFR2とする。
【0168】
ハーフトーン領域HFR2は、ハーフトーン領域HFR1及び開口部OPとの間に形成される。遮光領域LB及び開口部OPとの遮光領域LBと開口部OPの境界の透過率を多段階的に変わるようにすることで、主光線と隣接光線のバランスを、さらにアナログ的に変化することができる。
【0169】
図47は、実施形態における表示装置の他の構成例を示す図である。
図47に示す構成例は、レンズがマイクロレンズである、という点で、
図45に示す構成例と異なっている。
【0170】
図47では、レンズLXはマイクロレンズであり、バリア素子BRRの電極LE1及び電極LE2は、円環形状を有している。遮光領域LBとなるバリア形成領域BFR1は、円環形状に形成される。
【0171】
図47では、電極LE11に印加される電圧は、電極LE21に印加される電圧よりも小さい。電極LE21に印加される電圧は、電極LE12に印加される電圧よりも小さい。電極LE11、電極LE21、及び電極LE12に対応して、それぞれ、遮光領域LB、ハーフトーン領域HFR1、及びハーフトーン領域HFR2が形成される。遮光領域LB、ハーフトーン領域HFR1、及びハーフトーン領域HFR2は、この順に、液晶層LCYの透過率が高い。
【0172】
ハーフトーン領域HFR2は、ハーフトーン領域HFR1及び開口部OPとの間に形成される。ハーフトーン領域HFR1は、遮光領域LB及びハーフトーン領域HFR2との間に形成される。遮光領域LB及び開口部OPとの遮光領域LBと開口部OPの境界の透過率を多段階的に変わるようにすることで、主光線と隣接光線のバランスを、アナログ的に変化することができる。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0173】
<構成例4>
図48は、バリア素子の開口率と照明装置の輝度の関係を示す図である。バリア素子BRRにより形成される開口部OPの割合を開口率OPR(%)とする。照明装置ILDの輝度の割合を輝度率LUM(%)とする。
【0174】
開口率OPRが上昇すると、表示装置DSPから出射される映像光の輝度は上昇する。このような輝度変化と、照明装置ILDの制御を連動させることにより、表示装置DSPの輝度を一定に保つことが可能である。これにより、表示装置DSPに表示される画像が同一で、被写界深度のみ変更した場合においても違和感が生じない。
【0175】
照明装置ILDの制御を連動させない場合では、被写界深度が変更されると、表示装置DSPに表示される画像の輝度が変化してしまう。これにより、当該画像を視認するユーザが違和感を生じてしまう。
【0176】
照明装置ILD及びバリア素子BRRには、
図1には図示しない制御部から、連動して駆動するように、駆動信号を入力する。これにより、バリア素子BRRの開口部OPの開口率OPRと、照明装置ILDの輝度率LUMを連動させることが可能である。
【0177】
図48において、横軸は開口率OPR(%)、縦軸は輝度率LUM(%)である。
図48では、輝度率LUM100%の場合に、開口率OPRを50%とする。開口率OPR50%を開口率OPRの下限MINとする。開口率OPRが50%以上100%以下の範囲のとき、それに応じて、輝度率LUMを50%以上100%以下の範囲で変化させればよい。開口率OPRに輝度率LUMを乗じたものが定数になるように、開口率OPRと輝度率LUMを決定すればよい。
本構成例においても、実施形態と同様の効果を奏する。
【0178】
本明細書中の表示パネルPNLにおいては、横電界方式、例えば、FSS(Fringe Field Switching)方式の液晶表示パネルが用いられている。しかし、本発明の表示パネルPNLはこれに限定されない。本発明の表示パネルPNLは、垂直配向方式、例えば、VA(Vertical Alignment)方式の液晶表示パネルであってもよい。この場合における、偏光板それぞれの吸収軸の向きや、バリア素子BRRの初期配向の向きとしては、
図8中配向膜AL1及び配向膜AL2の初期配向方向を取り去った構成を採用することができる。偏光板それぞれの吸収軸の向きや、配向膜の初期配向方向は、表示パネルPNL及びバリア素子BRRの液晶層の駆動方式にしたがって、適宜定めることができる。
【0179】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0180】
BFR1…バリア形成領域、BFR2…バリア形成領域、BFR3…バリア形成領域、BFR4…バリア形成領域、BFR5…バリア形成領域、BFR6…バリア形成領域、BRR…バリア素子、DSP…表示装置、HFR…ハーフトーン領域、ILD…照明装置、LB…遮光領域、LCB…液晶素子、LE1…電極、LE2…電極、LE3…配線、LNS…レンズ素子、LX…レンズ、OP…開口部、PNL…表示パネル、PX…画素。